JP2023104717A - 調光シート - Google Patents
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Abstract
【課題】調光シートでのウイルスの増殖を抑えることを可能とした調光シートを提供する。【解決手段】調光シート21は、第1透明電極層34と、第2透明電極層35と、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に位置する調光層31と、第1透明電極層34に対して調光層31とは反対側に位置する第1透明支持層36と、第1透明支持層36に対して第1透明電極層34とは反対側に位置し、抗ウイルス剤を含む抗ウイルス層41と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、調光シートに関する。
調光シートは、第1透明電極層と、第2透明電極層と、第1透明電極層と第2透明電極層との間に位置する調光層とを備えている。調光シートの一例では、調光層は、複数の空隙を有した透明高分子層と、空隙を満たす液晶組成物とを含んでいる。この調光シートでは、例えば、調光層に電圧が印加されていない状態において、調光層が不透明を呈す一方で、調光層に電圧が印加されている状態において、調光層が透明を呈する。調光層が不透明を呈する状態では、調光層を介した物体の視認が困難である。そのため、調光シートは、例えば、プライバシーの保護を必要とする空間と、当該空間外とを隔てるためのパーティションや窓などに適用することが検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、調光シートの状態を透明と不透明との間で切り替えるためには、調光層に対する電圧の印加と非印加とを切り替えればよい。そのため、例えば、布製カーテンの開閉に比べて、調光シートの状態を短時間に変更することが可能である。それゆえに、調光シートには、プライバシーの保護が可能な空間を瞬時に形成することが可能な環境、例えば医療機関などでの使用が検討されている。こうした調光シートが適用される環境の拡張により、調光シートには、調光シートが適用された環境の安全性を高めることに寄与可能であることが新たに求められている。
上記課題を解決するための調光シートは、第1透明電極層と、第2透明電極層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、前記第1透明電極層に対して前記調光層とは反対側に位置する第1透明支持層と、前記第1透明支持層に対して前記第1透明電極層とは反対側に位置し、抗ウイルス剤を含む抗ウイルス層と、を備える。この調光シートによれば、抗ウイルス層が含む抗ウイルス剤によって、調光シートにおいてウイルスが増殖することが抑えられる。
上記調光シートにおいて、前記第1透明電極層と前記調光層とに挟まれた配向層であって、前記第1透明電極層に対する電圧の印加によって前記調光層のヘイズを高めるように構成された第1配向層をさらに備え、前記調光層は、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置して空隙が分散している樹脂層、および、液晶分子を含み前記空隙を埋める液晶組成物を備え、かつ、単位厚さあたりの前記液晶組成物の密度が高い第1高密度部と、単位厚さあたりの前記液晶組成物の密度が前記第1高密度部よりも低い低密度部と、を備え、前記第1高密度部が、前記第1配向層に接していてもよい。
上記調光シートによれば、配向層からの距離が小さい領域における液晶組成物の密度が高いため、複数の液晶分子において配向層の配向規制力によって配向される液晶分子の量を増やすことが可能である。そのため、第1透明電極層と第2透明電極層との間に電位差が生じていない状態において、調光シートの透明さを高めることができる。
上記調光シートにおいて、前記第1透明支持層と前記抗ウイルス層との間に位置する被覆層と、をさらに備え、前記第1透明支持層は、前記第1透明電極層を支持する支持面と、前記支持面とは反対側の面である被保護面とを含み、前記第1透明電極層は、第1電極要素と第2電極要素とを含み、前記第1電極要素と前記第2電極要素とは、前記支持面に沿って並ぶ別々の層状体であり、かつ、前記支持面に沿った方向に延びる溝によって相互に電気的に絶縁され、前記第1透明電極層の厚さ方向が前記溝の深さ方向であって、前記溝は、前記第1透明支持層と前記第1透明電極層とを前記深さ方向に貫通し、かつ、前記被保護面に開口部を有し、前記開口部は、前記被覆層で覆われていてもよい。
上記調光シートによれば、第1電極要素と第2電極要素との一方のみに電圧信号を印加する、あるいは、第1電極要素と第2電極要素とに互いに異なる電圧信号を印加することによって、調光シートにおける第1電極要素が位置する領域と第2電極要素が位置する領域との光透過率を変えることができる。したがって、第1電極要素と第2電極要素との両方に電圧信号を印加せず、これらの電極要素の位置する領域の光透過率に差がない状態と、上述のように各電極要素の位置する領域の光透過率に差がある状態との切替が可能となるため、調光シートの意匠性の向上が可能である。
上記調光シートにおいて、前記第1透明支持層は、前記第1透明電極層を支持する支持面を含み、前記第1透明電極層は、第1電極要素と第2電極要素とを含み、前記第1電極要素と前記第2電極要素とは、前記支持面に沿って並ぶ別々の層状体であり、かつ、前記支持面に沿って延びる溝によって相互に電気的に絶縁され、前記溝の深さ方向は、前記第1透明電極層の厚さ方向であり、前記溝は、前記第1透明電極層を貫通し前記第1透明支持層を貫通しない深さを有してもよい。
上記調光シートによれば、第1電極要素と第2電極要素との一方のみに電圧信号を印加する、あるいは、第1電極要素と第2電極要素とに互いに異なる電圧信号を印加することによって、調光シートにおける第1電極要素が位置する領域と第2電極要素が位置する領域との光透過率を変えることができる。したがって、第1電極要素と第2電極要素との両方に電圧信号を印加せず、これらの電極要素の位置する領域の光透過率に差がない状態と、上述のように各電極要素の位置する領域の光透過率に差がある状態との切替が可能となるため、調光シートの意匠性の向上が可能である。そして、溝は、第1透明電極層を貫通し第1透明電極層を貫通しない深さを有するため、第1透明支持層の中で支持面とは反対側の面では溝による光の散乱が抑えられる。結果として、少なくとも上記の反対側の面と対向する位置から調光シートを第1透明電極層側からみたときに溝を目立たなくすることができる。このため、調光シートの美観を向上することができる。
上記調光シートにおいて、前記第1透明支持層は、前記第1透明電極層を支持する支持面を含み、前記第1透明電極層は、第1電極要素と第2電極要素とを含み、前記第1電極要素と前記第2電極要素とは、前記支持面に沿って並ぶ別々の層状体であり、かつ、前記支持面に沿って延びる溝によって相互に電気的に絶縁され、前記第1電極要素は、前記溝に挟まれた狭窄部を備え、前記狭窄部の幅は、1mm以上であってもよい。
上記調光シートによれば、第1電極要素と第2電極要素との一方のみに電圧信号を印加する、あるいは、第1電極要素と第2電極要素とに互いに異なる電圧信号を印加することによって、調光シートにおける第1電極要素が位置する領域と第2電極要素が位置する領域との光透過率を変えることができる。このため、それらの領域に対する電圧信号の印加状態を変更することにより、調光シートに図柄を浮かび上がらせることが可能であるため、調光シートの意匠性が向上する。また、第1電極要素に設けられた狭窄部の幅は、1mm以上であるため、溝の形成工程または溝の形成後において、第1透明電極層または第1透明支持層の剥離などが生じにくい。また、狭窄部において同一の電極要素内における導通性を確保することができる。このため、狭窄部における抵抗増大に起因する導通不良を抑制し、第1電極要素および第2電極要素の光の透過率を適切に制御することができる。よって、調光シートに図柄を明瞭に表示させることができるため、調光シートの意匠性を高めることができる。
本発明によれば、調光シートでのウイルスの増殖を抑えることができる。
[第1実施形態]
図1および図2を参照して、調光シートの第1実施形態を説明する。
図1および図2を参照して、調光シートの第1実施形態を説明する。
[調光装置]
図1を参照して、調光シートを備える調光装置を説明する。
図1が示すように、調光装置10は、リバース型の調光シート21を含む調光ユニット11と、駆動部12とを備えている。
図1を参照して、調光シートを備える調光装置を説明する。
図1が示すように、調光装置10は、リバース型の調光シート21を含む調光ユニット11と、駆動部12とを備えている。
調光シート21は、調光層31、第1配向層32、第2配向層33、第1透明電極層34、および、第2透明電極層35を備えている。調光シート21では、調光層31の厚さ方向において、第1配向層32と第2配向層33とが調光層31を挟んでいる。調光層31の厚さ方向において、第1透明電極層34と第2透明電極層35とが、一対の配向層32,33を挟んでいる。調光シート21は、さらに、第1透明電極層34を支持する第1透明基材36、および、第2透明電極層35を支持する第2透明基材37を備えている。第1透明基材36は、第1透明支持層の一例である。
調光ユニット11は、第1透明電極層34の一部に取り付けられた第1電極22Aと、第2透明電極層35の一部に取り付けられた第2電極22Bとを備えている。調光ユニット11はさらに、第1電極22Aに接続された第1配線23Aと、第2電極22Bに接続された第2配線23Bとを備えている。第1電極22Aは第1配線23Aによって駆動部12に接続され、第2電極22Bは第2配線23Bによって駆動部12に接続されている。
調光層31は、透明な樹脂層と液晶組成物とを備えている。樹脂層は、液晶組成物が充填される空隙を有している。液晶組成物は、樹脂層が有する空隙に充填されている。液晶組成物は液晶分子を含む。液晶分子は、誘電異方性が負であるネガ型の液晶分子である。液晶分子の一例は、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、および、ジオキサン系から構成される群から選択されるいずれかである。
液晶組成物の保持型式は、高分子ネットワーク型、高分子分散型、および、カプセル型から構成される群から選択されるいずれか1つである。高分子ネットワーク型は、3次元の網目状を有した透明な高分子ネットワークを備え、相互に連通した網目の空隙のなかに液晶組成物を保持する。高分子ネットワークは、樹脂層の一例である。高分子分散型は、孤立した多数の空隙を樹脂層のなかに備え、高分子層に分散した空隙のなかに液晶組成物を保持する。カプセル型は、カプセル状を有した液晶組成物を樹脂層のなかに保持する。なお、液晶組成物は、上述した液晶分子以外に、樹脂層を形成するためのモノマー、および、二色性色素などを含んでもよい。
第1配向層32、および、第2配向層33を形成するための材料は、有機化合物、無機化合物、および、これらの混合物である。有機化合物は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、および、シアン化化合物などである。無機化合物は、シリコン酸化物、および、酸化ジルコニウムなどである。なお、配向層32,33を形成するための材料は、シリコーンであってもよい。シリコーンは、無機性の部分と有機性の部分とを有する化合物である。各配向層32,33の厚さは、例えば0.02μm以上0.5μm以下である。
第1配向層32、および、第2配向層33は、例えば、垂直配向層である。垂直配向層は、第1透明電極層34に接する面とは反対側の面、および、第2透明電極層35に接する面とは反対側の面に対して垂直であるように、液晶分子の長軸方向を配向させる。
第1透明電極層34、および、第2透明電極層35は、可視光を透過する光透過性を有する。第1透明電極層34の光透過性は、調光シート21を通した物体の視覚認識を可能にする。第2透明電極層35の光透過性は、第1透明電極層34の光透過性と同様、調光シート21を通した物体の視覚認識を可能にする。各透明電極層34,35の厚さは、例えば0.005μm以上0.1μm以下であってよい。これにより、調光シート21の適切な駆動を担保しつつ可撓時におけるクラックを低減させることが可能である。
各透明電極層34,35を形成するための材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、および、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)から構成される群から選択されるいずれか1つであってよい。
各透明基材36,37を形成する材料は、合成樹脂、または、無機化合物であってよい。合成樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、および、ポリオレフィンなどである。ポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどである。ポリアクリレートは、例えばポリメチルメタクリレートなどである。無機化合物は、例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および、窒化ケイ素などである。各透明基材36,37の厚さは、例えば16μm以上250μm以下である。透明基材36,37の厚さが16μm以上であることによって、調光シート21の加工や施工が難しくなることが抑えられる。透明基材36,37の厚さが250μm以下であることによって、ロールツーロール方式による調光シート21の製造が困難になることが抑えられる。
各電極22A,22Bは、例えばフレキシブルプリント基板(FPC : Flexible Printed Circuit)である。FPCは、支持層、導体部、および、保護層を備えている。導体部が、支持層と保護層とに挟まれている。支持層および保護層は、絶縁性の合成樹脂によって形成されている。支持層および保護層は、例えばポリイミドによって形成される。導体部は、例えば金属薄膜によって形成されている。金属薄膜を形成する材料は、例えば銅であってよい。各電極22A,22Bは、FPCに限らず、例えば金属製のテープであってもよい。
なお、各電極22A,22Bは、図示されない導電性接着層によって、各透明電極層34,35に取り付けられている。各電極22A,22Bのうち、導電性接着層に接続される部分では、導体部が保護層または支持層から露出している。
導電性接着層は、例えば、異方性導電フィルム(ACF : Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP : Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電フィルム(ICF : Isotropic Conductive Film)、および、等方性導電ペースト(ICP : Isotropic Conductive Paste)などによって形成されてよい。調光装置10の製造工程における取り扱い性の観点から、導電性接着層は、異方性導電フィルムであることが好ましい。
各配線23A,23Bは、例えば、金属製のワイヤーと、金属製のワイヤーを覆う絶縁層とによって形成されている。ワイヤーは、例えば銅などによって形成されている。
駆動部12は、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に交流電圧を印加する。駆動部12は、矩形波状を有した交流電圧を一対の透明電極層34,35間に印加することが好ましい。なお、駆動部12は、矩形波状以外の形状を有した交流電圧を一対の透明電極層34,35間に印加してもよい。例えば、駆動部12は、正弦波状を有した交流電圧を一対の透明電極層34,35間に印加してもよい。
調光層31は、2つの透明電極層34,35の間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向を変える。液晶分子における配向の変化は、調光層31に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、および、透過度合いを変える。リバース型の調光シート21は、調光シート21の通電時に、すなわち、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電位差が生じているときに、相対的に高いヘイズを有する。リバース型の調光シート21は、調光シート21の非通電時に、すなわち、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電位差が生じていないときに、相対的に低いヘイズを有する。例えば、リバース型の調光シート21は、調光シート21の通電時に不透明状態を有し、調光シート21の非通電時に透明状態を有する。
調光シート21は、例えば、車両および航空機などの移動体が備える窓に取り付けられる。また、調光シート21は、例えば、住宅、駅、空港などの各種の建物が備える窓、オフィス、医療機関、介護施設などに設置されたパーティション、店舗に設置されたショーウインドウ、および、映像を投影するスクリーンなどに取り付けられる。調光シート21の形状は、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。
調光シート21は、第1抗ウイルスフィルム41と、第2抗ウイルスフィルム42とをさらに備えている。第1抗ウイルスフィルム41は、第1透明基材36のうち、第1透明電極層34が位置する面とは反対側の面に位置している。第2抗ウイルスフィルム42は、第2透明基材37のうち、第2透明電極層35が位置する面とは反対側の面に位置している。
なお、図1が示す例では、調光シート21が第1抗ウイルスフィルム41と第2抗ウイルスフィルム42とを備えているが、調光シート21は、第1抗ウイルスフィルム41および第2抗ウイルスフィルム42のいずれか一方のみを備えてもよい。なお、調光シート21が第1抗ウイルスフィルム41および第2抗ウイルスフィルム42を備える場合には、調光シート21がウイルスを低減する効果を高めること、および、調光シート21の表裏における外観の差を抑えることができる。
図2は、第1抗ウイルスフィルム41の断面構造を示している。なお、第2抗ウイルスフィルム42は、第1抗ウイルスフィルム41が貼り付けられる対象とは異なる対象に貼り付けられる一方で、第1抗ウイルスフィルム41と共通する断面構造を有している。そのため以下では、第1抗ウイルスフィルム41の断面構造を説明する一方で、第2抗ウイルスフィルム42の断面構造の説明を省略する。
図2が示すように、第1抗ウイルスフィルム41は、基材層41A、抗ウイルス層41B、および、粘着層41Cを備えている。基材層41Aにおいて対向する一対の面において、一方の面に抗ウイルス層41Bが位置し、かつ、他方の面に粘着層41Cが位置している。基材層41Aは、例えば、ポリエチレンフタレートまたはポリオレフィンから形成される。基材層41Aは、例えば80μm以上120μm以下の厚さを有する。
粘着層41Cは、貼付対象に対する粘着性が高い一方で、貼付対象からの剥離ができない、あるいは、剥離が可能であっても再度貼り付けることができなくてもよい。または、粘着層41Cは、貼付対象に対する粘着性が低い一方で、貼付対象からの剥離と貼付対象に対する貼り付けとを繰り返すことが可能であってもよい。高い粘着性を有する粘着層41Cは、例えばオレフィン系粘着剤から形成される。低い粘着性を有する粘着層41Cは、例えば、ポリエチレンテレフタレート系粘着剤、または、オレフィン系粘着剤から形成される。粘着層41Cは、例えば数μmの厚さを有する。抗ウイルスフィルム41は、粘着層41Cによって、貼付対象である第1透明基材36に貼り付けられる。
抗ウイルス層41Bは、合成樹脂と抗ウイルス剤とを含んでいる。抗ウイルス層41Bが含む抗ウイルス剤によって、調光シート21においてウイルスが増殖することが抑えられる。そのため、調光シート21は、調光シート21によって画定される空間の安全性を高めることに寄与することが可能である。
合成樹脂は、例えばメラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂などであってよい。合成樹脂は、紫外線硬化性樹脂であってよい。抗ウイルス剤は、例えば有機系抗ウイルス剤であってよい。有機系抗ウイルス剤は、例えば、ビス(2‐ピリジルチオ)亜鉛1,1’‐ジオキサイド、2‐(4‐チアゾリル)ベンゾイミダゾール、有機窒素硫黄ハロゲン系化合物であってよい。
また、抗ウイルス剤は、例えば、多孔物質と多孔物質に担持された金属イオンとから構成されてよい。多孔物質は、例えば、ゼオライト、アパタイト、ジルコニアなどであってよい。金属イオンは、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンなどであってよい。なお、抗ウイルス剤は、抗ウイルス機能に加えて、抗菌機能を有してもよい。
多孔物質に担持された金属イオンは、正の電荷を有する。そのため、一対の透明電極層34,35間に対する交流電圧の印加によって、金属イオンが、第1抗ウイルスフィルム41の厚さ方向に沿って移動する場合がある。
上述したように、抗ウイルス剤を含む抗ウイルス層41Bは、基材層41Aおよび粘着層41Cによって透明基材36,37から隔てられる。そのため、抗ウイルスフィルム41,42外であって、かつ、調光シート21における抗ウイルスフィルム41,42よりも内側に、金属イオンが、交流電圧の印加に応じて移動することが抑えられる。
なお、調光シート21が抗ウイルスフィルム41,42を備える場合には、透明基材36,37が抗ウイルス剤を含む場合に比べて、調光シート21における静電容量の上昇が抑えられる。また、抗ウイルスフィルム41,42の抗ウイルス層41Bが抗ウイルス剤を含むから、粘着層が抗ウイルス剤を含む場合に比べて、抗ウイルス剤が抗ウイルスフィルム41,42よりも調光シート21の内側に移動することが抑えられる。さらには、調光シート21が抗ウイルスフィルム41,42を備える場合には、調光層31が抗ウイルス剤を含む場合に比べて、調光層31内での金属イオンの偏在が抑えられ、これによって、調光層31の劣化が抑えられる。なお、抗ウイルス剤が有機系抗ウイルス剤である場合にも、抗ウイルスフィルム41,42によれば、調光層31に含まれる液晶分子LCMと抗ウイルス剤との反応が抑えられるから、調光層31の劣化が抑えられる。
抗ウイルス層41Bを形成する際には、例えば、上述した合成樹脂、抗ウイルス剤、および、溶媒を含む塗液を準備する。基材層41Aにおける一方の面に、塗液を塗布した後、塗液を硬化させることによって、抗ウイルス層41Bを形成する。
プライバシーを保護する機能を調光シート21においてさらに高める観点では、抗ウイルスフィルム41,42は、30%以上のヘイズを有することが好ましい。調光シート21において、電圧が印加されていない状態での透明性をさらに高める観点では、抗ウイルスフィルム41,42は、30%未満のヘイズを有することが好ましい。
以上説明したように、調光シートの第1実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1‐1)抗ウイルス層41Bが含む抗ウイルス剤によって、調光シート21においてウイルスが増殖することが抑えられる。そのため、調光シート21は、調光シート21によって画定される空間の安全性を高めることに寄与することが可能である。
(1‐1)抗ウイルス層41Bが含む抗ウイルス剤によって、調光シート21においてウイルスが増殖することが抑えられる。そのため、調光シート21は、調光シート21によって画定される空間の安全性を高めることに寄与することが可能である。
(1‐2)調光シート21が第1抗ウイルスフィルム41と第2抗ウイルスフィルム42とを備えることによって、調光シート21がウイルスを低減する効果を高めること、および、調光シート21の表裏における外観の差を抑えることができる。
(1‐3)抗ウイルスフィルム41において、抗ウイルス層41Bは、基材層41Aおよび粘着層41Cによって透明基材36,37から隔てられる。そのため、抗ウイルス層41Bが金属イオンを含む場合であっても、金属イオンが交流電圧の印加に応じて、抗ウイルスフィルム41,42よりも内側に金属イオンが移動することが抑えられる。
[第1実施形態の変更例]
なお、上述した第1実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[抗ウイルスフィルム]
・調光シート21は、上述した抗ウイルスフィルム41,42のうち、抗ウイルス層のみを備えてもよい。すなわち、調光シート21は、各透明基材36,37に位置する抗ウイルス層を備えてもよい。または、調光シート21は、第1透明基材36および第2透明基材37のいずれか一方のみに抗ウイルス層を備えてもよい。抗ウイルス層は、各透明基材36,37に上述した塗液を塗布することによって形成される。
なお、上述した第1実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[抗ウイルスフィルム]
・調光シート21は、上述した抗ウイルスフィルム41,42のうち、抗ウイルス層のみを備えてもよい。すなわち、調光シート21は、各透明基材36,37に位置する抗ウイルス層を備えてもよい。または、調光シート21は、第1透明基材36および第2透明基材37のいずれか一方のみに抗ウイルス層を備えてもよい。抗ウイルス層は、各透明基材36,37に上述した塗液を塗布することによって形成される。
この場合には、調光シート21が抗ウイルスフィルム41,42を備える場合に比べて、抗ウイルス性を有した調光シート21を薄膜化し、かつ、軽量化することが可能である。また、透明基材36,37外に位置する層が1層のみであるから、光透過率およびヘイズなどの光学特性を高めることも可能である。
・調光シート21は、透明基材36,37に位置する抗ウイルス層に加えて、上述した抗ウイルスフィルム41,42をさらに備えてもよい。この場合には、調光シート21が、抗ウイルスフィルム41,42と抗ウイルス層との両方を備える分、調光シート21の抗ウイルス性を高めることが可能である。
なお、調光シート21は、一対の抗ウイルス層と一対の抗ウイルスフィルムを備えてもよいし、抗ウイルス層と抗ウイルスフィルムをそれぞれ1つのみ備えてもよい。調光シート21が、抗ウイルス層と抗ウイルスフィルムとをそれぞれ1つのみ備える場合には、第1透明基材36および第2透明基材37の一方に抗ウイルス層が位置し、他方に抗ウイルスフィルムが位置してもよい。あるいは、調光シート21が、抗ウイルス層と抗ウイルスフィルムとをそれぞれ1つのみ備える場合には、第1透明基材36および第2透明基材37のいずれか一方に抗ウイルス層が位置し、かつ、抗ウイルス層上に抗ウイルスフィルムが位置してもよい。
また、調光シート21は、一対の抗ウイルス層と1つの抗ウイルスフィルムとを備えてもよい。あるいは、調光シート21は、1つの抗ウイルス層と一対の抗ウイルスフィルムとを備えてもよい。
・上述した調光シート21に限らず、調光体が、抗ウイルスフィルム41,42を備えてもよい。調光体は、調光シート21と、調光シート21を支持する透明支持体とを備えている。調光体は、透明支持体を1つのみ備えてもよいし、2つ備えてもよい。調光体が1つの透明支持体を備える場合には、透明支持体は、調光シート21における第1透明基材36または第2透明基材37に、透明接着層によって接着される。調光体が2つの透明支持体を備える場合には、一方の透明支持体が第1透明基材36に透明接着層によって接着され、かつ、他方の透明支持体が第2透明基材37に透明接着層によって接着される。調光体は、調光体の厚さ方向において対向する一対の面の両方に抗ウイルスフィルムを有してもよいし、一対の面における一方のみに抗ウイルスフィルムを有してもよい。
・調光体は、抗ウイルスフィルム41,42のうち、抗ウイルス層のみを備えてもよい。すなわち、調光体は、調光体の厚さ方向において対向する一対の面のうち、少なくとも一方に位置する抗ウイルス層を備えてもよい。
・調光体は、抗ウイルス層と抗ウイルスフィルムとの両方を備えてもよい。この場合には、調光体は、一対の抗ウイルス層と一対の抗ウイルスフィルムとを備えてもよいし、抗ウイルス層と抗ウイルスフィルムとをそれぞれ1つのみ備えてもよい。調光体が、抗ウイルス層と抗ウイルスフィルムとをそれぞれ1つのみ備える場合には、調光体の厚さ方向において対向する一対の面のうち、一方に抗ウイルス層が位置し、かつ、他方に抗ウイルスフィルムが位置してもよい。あるいは、調光体の厚さ方向において対向する一対の面のうち、一方に抗ウイルス層が位置し、かつ、抗ウイルス層上に抗ウイルスフィルムが位置してもよい。
また、調光体は、一対の抗ウイルス層と1つの抗ウイルスフィルムとを備えてもよい。あるいは、調光体は、1つの抗ウイルス層と一対の抗ウイルスフィルムとを備えてもよい。
・調光体が備える透明支持体は、接着層によって調光シート21に貼り合わせられる面に、抗ウイルス層を備えてもよい。
[調光シート]
・調光シートの型式は、ノーマル型であってもよい。この場合には、調光シートは、配向層32,33を備えておらず、かつ、調光層31は、誘電異方性が正であるポジ型の液晶分子を含む。ノーマル型の調光シートは、調光シートの通電時に、相対的に低いヘイズを有し、かつ、調光シートの非通電時に、相対的に高いヘイズを有する。例えば、ノーマル型の調光シートは、調光シートの通電時に透明状態を有し、かつ、調光シートの非通電時に不透明状態を有する。
・調光シートの型式は、ノーマル型であってもよい。この場合には、調光シートは、配向層32,33を備えておらず、かつ、調光層31は、誘電異方性が正であるポジ型の液晶分子を含む。ノーマル型の調光シートは、調光シートの通電時に、相対的に低いヘイズを有し、かつ、調光シートの非通電時に、相対的に高いヘイズを有する。例えば、ノーマル型の調光シートは、調光シートの通電時に透明状態を有し、かつ、調光シートの非通電時に不透明状態を有する。
・調光シートの形態は、液晶分子の配向制御によって透明と不透明とを切り換える方式に限らず、調光シートに印加される電場の大きさに応じて可逆的に酸化還元反応を進めるとともに、その酸化還元反応の進行に伴って光の吸収率を変えるエレクトロクロミック方式であってもよい。
[第2実施形態]
図3から図18を参照して、調光シートの第2実施形態を説明する。第2実施形態の調光シートでは、第1実施形態の調光シートと比べて、調光層の構造が異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、第2実施形態の調光シートのうち、第1実施形態の調光シートとの共通点についての詳しい説明を省略する。また以下では、調光装置、調光シート、および、実施例を順に説明する。
図3から図18を参照して、調光シートの第2実施形態を説明する。第2実施形態の調光シートでは、第1実施形態の調光シートと比べて、調光層の構造が異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、第2実施形態の調光シートのうち、第1実施形態の調光シートとの共通点についての詳しい説明を省略する。また以下では、調光装置、調光シート、および、実施例を順に説明する。
[調光装置]
図3を参照して調光装置を説明する。なお、図3では、図示の便宜上、調光装置が備える抗ウイルスフィルムの図示が省略されている。第2実施形態の調光シートは、第1実施形態の調光シートが備える抗ウイルスフィルム、および、第1実施形態の変更例に記載の抗ウイルスフィルムまたは抗ウイルス層を備えることが可能である。
図3を参照して調光装置を説明する。なお、図3では、図示の便宜上、調光装置が備える抗ウイルスフィルムの図示が省略されている。第2実施形態の調光シートは、第1実施形態の調光シートが備える抗ウイルスフィルム、および、第1実施形態の変更例に記載の抗ウイルスフィルムまたは抗ウイルス層を備えることが可能である。
図3が示すように、調光装置10は、第1実施形態の調光装置10と同様に、リバース型の調光シート21を含む調光ユニット11と、駆動部12とを備えている。調光層31は、透明な樹脂層と液晶組成物とを備えている。樹脂層は、液晶組成物が充填される空隙を有している。液晶組成物は、樹脂層が有する空隙に充填されている。液晶組成物は液晶分子を含む。液晶分子には、第1実施形態において列挙された液晶分子のいずれかを用いることが可能である。
調光層31の厚さは、空隙の大きさにおける最小値の2倍以上10μm以下、例えば、2μm以上10μm未満であることが好ましい。また、調光層31の厚さは、3.0μm以上8.0μm以下であることがより好ましい。なお、調光層31の厚さが空隙の大きさに対する2倍以上であることによって、調光層31内において後述する相対的に密度が異なる少なくとも2つの領域が生成されやすい。また、調光層31の厚さが10μm以下であることによって、調光シート21の製造時において液晶分子を含む塗液を露光した場合に、液晶分子と透明な樹脂層とが適切に分離されやすくなる。
[調光シート]
図4および図5を参照して、調光シート21の構造をより詳しく説明する。
図4および図5は、調光シート21の断面構造を模式的に示している。なお、図4および図5では、図示の便宜上、透明基材36,37の図示が省略されている。また、図4および図5では、調光層31の構造を説明する便宜上、各配向層32,33の厚さ、および、各透明電極層34,35の厚さに対する調光層31の厚さの比が、実際の比よりも大きい。また、図4および図5では、一対の透明電極層34,35間に電位差が生じていない状態での調光層31の状態が示されている。
図4および図5を参照して、調光シート21の構造をより詳しく説明する。
図4および図5は、調光シート21の断面構造を模式的に示している。なお、図4および図5では、図示の便宜上、透明基材36,37の図示が省略されている。また、図4および図5では、調光層31の構造を説明する便宜上、各配向層32,33の厚さ、および、各透明電極層34,35の厚さに対する調光層31の厚さの比が、実際の比よりも大きい。また、図4および図5では、一対の透明電極層34,35間に電位差が生じていない状態での調光層31の状態が示されている。
図4が示すように、調光シート21は、電圧が印加される第1透明電極層34、第2透明電極層35、調光層31、および、第1配向層32を備えている。調光層31は、樹脂層31Pおよび液晶組成物31LCを備えている。樹脂層31Pは、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に位置し、樹脂層31Pにおいて空隙31Dが分散している。液晶組成物31LCは、液晶分子LCMを含み空隙31Dを埋めている。第1配向層32は、第1透明電極層34と調光層31とに挟まれている。第1配向層32は、電圧の印加によって調光層31のヘイズを高めるように構成されている。調光層31は、単位厚さあたりの液晶組成物31LCの密度が高い第1高密度部31H1と、単位厚さあたりの液晶組成物31LCの密度が低い低密度部31Lとを備えている。第1高密度部31H1が、第1配向層32に接している。
言い換えれば、調光層31では、調光層31の厚さ方向における中間で液晶組成物31LCの密度が最も低い。なお、調光層31の厚さ方向における中間とは、調光層31の厚さ方向において対向する一対の面よりも調光層31の中央寄りの部分である。なお、調光層31の各部における単位厚さ当たりの液晶組成物31LCの密度は、各部が含む液晶組成物31LCの体積を各部の厚さで除算することによって算出される。また、調光層31では、調光層31の厚さ方向における中央を含む部分で液晶組成物31LCの密度が最も低いことが好ましい。なお、調光層31は非常に薄いことから、調光層31が含む液晶組成物31LCの体積を求めることは実際には困難である。そのため、本開示では、調光層31の断面を撮像したSEM画像から求められる液晶組成物31LCの面積、および、調光層31の面積を用いて、各密度を算出している。
なお、第1配向層32は例えば垂直配向層であり、第1配向層32は典型的には液晶分子LCMの長軸が第1透明電極層34に対して直交するように液晶分子LCMを配向させる。ただし、第1配向層32は、液晶分子LCMの長軸が第1透明電極層34に対して実質的に垂直であると判断される範囲において、長軸が垂直に対して数度傾くように液晶分子LCMを配向させてもよい。また、第1高密度部31H1における液晶組成物31LCの密度は、低密度部31Lにおける液晶組成物31LCの密度よりも高い。
第1配向層32からの距離が小さい領域における液晶組成物31LCの密度が高いため、複数の液晶分子LCMにおいて第1配向層32の配向規制力によって配向される液晶分子LCMの量を増やすことが可能である。そのため、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電位差が生じていない状態において、調光シート21の透明さを高めることができる。
なお、調光シート21の透明さは、調光シート21が有する可視光の透過率によって表すことが可能である。また、調光シート21の透明さは、調光シート21が有するヘイズによって表すことが可能である。ヘイズは、JIS K 7136:2000に準拠した方法によって算出される。調光シート21において、ヘイズの値が低いほど調光シート21の透明さが高く、ヘイズの値が高いほど調光シート21の透明さが低い。
上述したように、調光シート21は、調光層31の厚さ方向において調光層31と第2透明電極層35との間に位置する第2配向層33をさらに備えている。調光層31は、第2高密度部31H2をさらに備えている。第2高密度部31H2は、第2配向層33に接し、かつ、低密度部31Lにおける液晶組成物31LCの密度よりも高い液晶組成物31LCの密度を有している。低密度部31Lは、調光層31の厚さ方向に沿う断面において、第1高密度部31H1と第2高密度部31H2とに挟まれている。
調光層31では、調光層31の厚さ方向において対向する一対の面の近傍において、配向層32,33の配向規制力に従って液晶分子LCMが配向する。そのため、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電位差が生じていない状態において、調光シート21の光透過性をさらに高めることができる。すなわち、調光シート21のヘイズを低めることができる。
調光層31は、第1高密度部31H1、第2高密度部31H2、および、低密度部31Lから構成されている。調光層31の厚さ方向に沿う断面において、空隙31Dの面積を調光層31の厚さで除算した値が、単位厚さ当たりの空隙31Dの密度である。単位厚さ当たりにおける第1高密度部31H1での空隙31Dの密度、および、単位厚さ当たりにおける第2高密度部31H2での空隙31Dの密度が、単位厚さ当たりにおける低密度部31Lでの空隙31Dの密度よりも高い。
そのため、第1高密度部31H1での液晶組成物31LCの密度、および、第2高密度部31H2での液晶組成物31LCの密度を、低密度部31Lでの液晶組成物31LCの密度よりも高くすることが可能である。
なお、単位厚さ当たりにおける空隙31Dの密度は、各部に含まれる各空隙31Dの面積の総和を各部の厚さで除算することによって算出される。
なお、単位厚さ当たりにおける空隙31Dの密度は、各部に含まれる各空隙31Dの面積の総和を各部の厚さで除算することによって算出される。
調光層31において、例えば、第1高密度部31H1の厚さTH1、第2高密度部31H2の厚さTH2、および、低密度部31Lの厚さTLは、互いにほぼ等しい。すなわち、第1高密度部31H1の厚さTH1、第2高密度部31H2の厚さTH2、および、低密度部31Lの厚さTLは、調光層31の厚さT31の約1/3である。なお、低密度部31Lの厚さTLは、各高密度部31H1,31H2の厚さTH1,TH2よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。また、第1高密度部31H1の厚さTH1は、第2高密度部31H2の厚さと互いに等しくてもよいし、互いに異なってもよい。
調光層31の厚さ方向に沿う断面において、低密度部31Lの面積(SL)に対する、低密度部31Lに含まれる各空隙31Dの面積の総和(SD)の百分率([SD/SL]×100)が10%以下であることが好ましい。これにより、低密度部31Lの空隙31Dによって保持される液晶組成物31LCの割合を小さくすることが可能であるから、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電位差が生じていない状態において、低密度部31Lに含まれる液晶分子LCMが調光シート21の不透明さを高めることが抑えられる。
さらには、低密度部31Lは、空隙31Dを有しないことが好ましい。言い換えれば、低密度部31Lには、液晶組成物31LCが含まれないことが好ましい。これにより、調光層31に含まれる全ての液晶分子LCMが、配向層32,33の配向規制力に従って配向しやすくなるため、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電圧差が生じていない状態での調光シート21のヘイズをさらに低めることができる。
このように、低密度部31Lにおいて、低密度部31Lの面積SLに対する各空隙31Dの面積の総和SDは、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、0%であることが最も好ましい。
また、空隙31Dは、調光層31の厚さ方向に沿う断面において、第1配向層32から3.0μm以下の範囲に位置し、かつ、第2配向層33から3.0μm以下の範囲に位置することができる。言い換えれば、第1高密度部31H1の厚さTH1が3.0μm以下であり、かつ、第2高密度部31H2の厚さTH2が3.0μm以下であることができる。
なお、第1配向層32を基準とした空隙31Dの位置する範囲は、調光層31の厚さ方向に沿う断面において、調光層31の中央部よりも第1配向層32寄りに位置する空隙31Dと、第1配向層32のうちで調光層31に接する面との間の距離における最大値である。また、第2配向層33を基準とした空隙31Dの位置する範囲は、調光層31の厚さ方向に沿う断面において、調光層31の中央部よりも第2配向層33寄りに位置する空隙31Dと、第2配向層33のうちで調光層31に接する面との間の距離における最大値である。
調光層31の厚さ方向に沿う断面において、各配向層32,33から3.0μm以下の範囲に空隙31Dが位置するため、各空隙31Dに保持された液晶分子LCMが、配向規制力に従って配向する確実性を高めることが可能である。
第1高密度部31H1に含まれる各空隙31Dは、第1配向層32に接していることが好ましい。また、第2高密度部31H2に含まれる各空隙31Dは、第2配向層33に接していることが好ましい。言い換えれば、調光層31が備える複数の空隙31Dは、第1配向層32と調光層31との界面に沿う1層の空隙層と、第2配向層33と調光層31との界面に沿う1層の空隙層とのみから構成されることが好ましい。
第1高密度部31H1に含まれる各空隙31D、および、第2高密度部31H2に含まれる各空隙31Dは、配向層32,33に接する液晶組成物31LCを保持することが可能であるため、各空隙31Dに保持される液晶組成物31LCの全体に配向層32,33の配向規制力が作用しやすくなる。これにより、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電位差が生じていない状態において、調光シート21が有する透明さをさらに高めることができる。
一方で、本開示の調光シート21は、調光層31の厚さと、空隙31Dの大きさとによって定義することも可能である。すなわち、調光シート21において、調光層31の厚さT31が、3.0μm以上8.0μm以下であり、かつ、空隙31Dの大きさが、1.0μm以上2.5μm以下である。
調光層31の厚さが3.0μm以上8.0μm以下であるから、調光層31の厚さ方向において対向する一対の面から離れた位置に空隙31Dが形成されることが抑えられる。さらに、空隙31Dの大きさが1.0μm以上2.5μm以下であるから、配向層32,33の近傍に液晶組成物31LCが保持される。そのため、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電圧差が生じていない状態での調光シート21の透明さを高めることが可能である。
なお、調光シート21が有する散乱特性の観点では、空隙31Dの大きさは、0.38μm以上3.0μm以下であることが好ましい。空隙31Dの大きさが0.38μm以上3.0μm以下の範囲に含まれることによって、調光シート21において生じる散乱を好適な程度とすることが可能である。空隙31Dの大きさが0.38μm以上であることによって、散乱特性、特に可視域での散乱特性が十分に担保される。空隙31Dの大きさが3.0μm以下であることによって、液晶による光学作用、すなわち散乱を受ける光の成分よりも空隙を透過してしまう光の成分の方が大きくなることが抑えられ、これによって適切な調光効果を奏しやすくなる。
なお、調光シート21の厚さ方向に沿う断面において、空隙31Dが円形状を有する場合、空隙31Dの大きさは、空隙31Dの直径である。調光シート21の厚さ方向に沿う断面において、空隙31Dが楕円形状を有する場合、空隙31Dの大きさは、空隙31Dの長径である。調光シート21の厚さ方向に断面において、空隙31Dが不定形を有する場合、空隙31Dの大きさは、空隙31Dに外接する円の直径である。
調光層31の厚さ方向に沿う断面において、各配向層32,33からの距離が小さい位置に保持された液晶分子LCMほど、配向層32,33が有する配向規制力に従って配向しやすくなる。上述したように空隙31Dの大きさが2.5μm以下である場合には、高密度部31H1,31H2に位置する各空隙31Dに保持された液晶分子LCMが配向規制力に従って配向しやすい。
調光シート21を形成する際には、まず、透明電極層34,35が形成された透明基材36,37が準備される。そして、各透明電極層34,35上に配向層32,33が形成される。次いで、一対の配向層32,33間に塗液が塗布される。塗液は、樹脂層31Pを形成するための重合性組成物、および、液晶分子LCMを含む。重合性組成物は、紫外線の照射により重合可能なモノマー、または、オリゴマーである。その後、透明電極層34,35を通して塗液に紫外線が照射され、これによって、空隙31Dを有した樹脂層31Pが形成され、かつ、空隙31D内に液晶分子LCMが保持される。
塗液が硬化する際には、まず、液晶分子LCMを含む液晶組成物31LCが重合性組成物から分離され、重合性組成物内における複数の場所に液晶組成物31LCが位置する。次いで、重合性組成物が硬化される前に、液晶組成物31LCが各配向層32,33に向けて移動する。その後、重合性組成物が硬化されることによって、液晶組成物31LCを取り囲む空隙31Dを有した樹脂層31Pが形成される。樹脂層31Pが形成されるまでの間は、互いに離間した液晶組成物31LCが集合することによって、樹脂層31Pに形成される空隙31Dが拡張し続ける。この点で、空隙31Dの大きさが1.0μm以上であれば、各空隙31Dが配向層32,33の近傍にまで移動する前に重合性組成物が硬化される可能性を低くすることが可能である。結果として、調光層31の低密度部31Lにおける空隙31Dの数を減らすことが可能である。
なお、図4を参照して先に説明した調光層31の構造は、調光層31が取り得る構造のうちの一例である。調光層31は、図5が示す断面構造を有してもよい。
図5が示すように、調光層31は、第1配向層32に接する複数の空隙31Dによって形成された一層の空隙層と、第2配向層33に接する複数の空隙31Dによって形成された一層の空隙層とを備えている。各空隙層では、単一の空隙31Dが、各配向層32,33と調光層31との界面に沿って並んでいる。
図5が示すように、調光層31は、第1配向層32に接する複数の空隙31Dによって形成された一層の空隙層と、第2配向層33に接する複数の空隙31Dによって形成された一層の空隙層とを備えている。各空隙層では、単一の空隙31Dが、各配向層32,33と調光層31との界面に沿って並んでいる。
第1配向層32に接する空隙層は、第2配向層33に接する空隙層のいずれかの空隙31Dに接する空隙31Dを少なくとも1つ含んでいる。第1配向層32に接する空隙層に含まれる全ての空隙31Dは、第2配向層33に接する空隙層に含まれる空隙31Dのいずれかに接していてもよい。
第1配向層32に接する空隙層において、第1配向層32に接する面が第1面であり、第1面とは反対側の面が第2面である。なお、第2面は、空隙層に含まれる空隙31Dのうちで、第1配向層32からの距離が最も大きい部分が含まれる平面である。第2配向層33に接する空隙層において、第2配向層33に接する面が第1面であり、第1面とは反対側の面が第2面である。なお、第2面は、空隙層に含まれる空隙31Dのうちで、第2配向層33からの距離が最も大きい部分が含まれる平面である。第1配向層32に接する空隙層の第2面と、第2配向層33に接する空隙層の第2面とは、同一の面であることが好ましい。
調光シート21は、第1高密度部31H1、第2高密度部31H2、および、低密度部31Lを備えている。調光層31の厚さ方向において、低密度部31Lは、第1高密度部31H1と第2高密度部31H2とに挟まれている。低密度部31Lは、第1配向層32に接する空隙層において空隙31Dが位置しない部分を含み、かつ、第2配向層33に接する空隙層において空隙31Dが位置しない部分を含む。そのため、低密度部31Lにおける液晶組成物31LCの密度は、第1高密度部31H1における液晶組成物31LCの密度、および、第2高密度部31H2における液晶組成物31LCの密度よりも小さい。
また、図5が示す例においても、調光層31では、調光層31の厚さ方向における中間で液晶組成物31LCの密度が最も低い。
[試験例]
図6から図18を参照して試験例を説明する。
以下に説明する製造方法によって、試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートを得た。
[試験例1‐1]
ITO膜が形成されたPET基材を一対準備した。ITO膜の厚さは30nmであり、PET基材の厚さは125μmであった。各ITO膜上に、バーコーターを用いて100nmの厚さを有した垂直配向層を形成した。次いで、一方の垂直配向層上に重合性組成物と液晶分子とを含む塗液を塗布した。そして、他方の垂直配向層を塗膜上に配置することによって、一対の垂直配向層によって塗膜を挟んだ。塗膜の厚さ方向における両側から、PET基材、ITO膜、および、垂直配向層を通して、塗膜に紫外線を照射した。
図6から図18を参照して試験例を説明する。
以下に説明する製造方法によって、試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートを得た。
[試験例1‐1]
ITO膜が形成されたPET基材を一対準備した。ITO膜の厚さは30nmであり、PET基材の厚さは125μmであった。各ITO膜上に、バーコーターを用いて100nmの厚さを有した垂直配向層を形成した。次いで、一方の垂直配向層上に重合性組成物と液晶分子とを含む塗液を塗布した。そして、他方の垂直配向層を塗膜上に配置することによって、一対の垂直配向層によって塗膜を挟んだ。塗膜の厚さ方向における両側から、PET基材、ITO膜、および、垂直配向層を通して、塗膜に紫外線を照射した。
調光シートの品質を左右する一因として、調光シートを製造する際の塗膜、すなわち調光層への露光工程が挙げられる。より詳しくは、露光工程において、塗液が含む材料や塗膜の厚さなどの諸条件に鑑みて最適な露光量、換言すれば最適な積算光量が定められる。ここで、積算光量は、照射される紫外線の照度に紫外線の照射時間を乗じることによって求められる。以下に説明する各試験例は、最適な積算光量を得るため、照度や照射時間を適宜変化させることによって得られた調光シートを説明している。なお、各試験例に示す調光シートはいずれも調光層の厚みが7.0μmに設定されている。
試験例1‐1では、紫外線の照度を10mW/cm2に設定し、積算光量が600mJ/cm2となるように、塗膜に紫外線を照射した。
[試験例1‐2]
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を15mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐2の調光シートを得た。
[試験例1‐2]
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を15mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐2の調光シートを得た。
[試験例1‐3]
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を20mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例3の調光シートを得た。
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を20mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例3の調光シートを得た。
[試験例1‐4]
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を25mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐4の調光シートを得た。
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を25mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐4の調光シートを得た。
[試験例1‐5]
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を30mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐5の調光シートを得た。
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を30mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐5の調光シートを得た。
[試験例1‐6]
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を35mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐6の調光シートを得た。
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を35mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐6の調光シートを得た。
[試験例1‐7]
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を40mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐7の調光シートを得た。
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を40mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐7の調光シートを得た。
[試験例1‐8]
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を200mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐8の調光シートを得た。
試験例1‐1において、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を200mW/cm2に変更した以外は、試験例1‐1と同様の方法によって、試験例1‐8の調光シートを得た。
[評価方法]
[空隙の大きさ]
走査型電子顕微鏡を用いて樹脂層の断面を観察することによって、空隙の大きさを求めた。空隙の大きさを求める際には、まず、樹脂層から液晶分子を含む液晶組成物を取り除いた。試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの各々から、一辺の長さが10cmである正方形状を有した試験片を切り出した。そして、各試験片をイソプロピルアルコールに浸すことによって、樹脂層から液晶組成物を取り除いた。なお、液晶組成物を溶解し、かつ、樹脂層を溶解しない有機溶媒に試験片を浸すことによって、試験片から液晶組成物を取り除くことが可能である。
[空隙の大きさ]
走査型電子顕微鏡を用いて樹脂層の断面を観察することによって、空隙の大きさを求めた。空隙の大きさを求める際には、まず、樹脂層から液晶分子を含む液晶組成物を取り除いた。試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの各々から、一辺の長さが10cmである正方形状を有した試験片を切り出した。そして、各試験片をイソプロピルアルコールに浸すことによって、樹脂層から液晶組成物を取り除いた。なお、液晶組成物を溶解し、かつ、樹脂層を溶解しない有機溶媒に試験片を浸すことによって、試験片から液晶組成物を取り除くことが可能である。
そして、走査型電子顕微鏡を用いて液晶組成物を取り除いた試験片の断面を撮像した。この際に、試験片の断面に対して30箇所の矩形領域を任意に設定した。そして、各領域について、拡大倍率が1000倍であるように、走査型電子顕微鏡を用いて画像を得た。なお、互いに隣り合う矩形領域の間の距離が1mm以上であるように、30箇所の矩形領域を設定した。
各画像において10個の空隙を任意に選択し、各空隙の大きさを測定した。10個の空隙における大きさの最大値と最小値とをその画像での空隙の大きさにおける最大値と最小値とに設定した。各画像において空隙の大きさにおける最大値と最小値とを算出した。30箇所の画像において求められた最大値のうちの最大値を試験片での空隙の大きさにおける最大値に設置した。また、30箇所の画像において求められた最小値のうちの最小値を試験片での空隙の大きさにおける最小値に設定した。
なお、画像に含まれる空隙のうち、円形状を有した空隙では、空隙の直径を空隙の大きさに設定した。また、画像に含まれる空隙のうち、楕円形状を有した空隙では、当該空隙の長径を空隙の大きさに設定した。また、画像に含まれる空隙のうち、不定形状を有した空隙では、当該空隙に外接する円の直径を空隙の大きさに設定した。
[形成範囲]
空隙の大きさを算出するために用いた画像の各々において、第1配向層と調光層との境界を基準として、調光層の厚さ方向において空隙が位置する範囲である形成範囲を算出した。30箇所の画像において求められた形成範囲のうちの最大値を、その試験片における空隙の形成範囲に設定した。
空隙の大きさを算出するために用いた画像の各々において、第1配向層と調光層との境界を基準として、調光層の厚さ方向において空隙が位置する範囲である形成範囲を算出した。30箇所の画像において求められた形成範囲のうちの最大値を、その試験片における空隙の形成範囲に設定した。
[低密度部の面積SLに対する空隙の面積の百分率]
空隙の大きさを算出するために用いた画像の各々において、低密度部の面積SLと、各空隙の面積とを算出した。そして、各画像について、低密度部の面積SLに対する空隙の面積における総和SDの百分率([SD/SL]×100)を算出した。そして、30箇所の画像において、低密度部の面積に対する空隙の面積における総和の百分率の平均値を算出した。当該平均値を各試験片における低密度部の面積に対する空隙の面積における総和の百分率に設定した。なお、各空隙の面積は、各画像において、その空隙によって区画される領域内に位置する画素の個数に基づいて算出した。
空隙の大きさを算出するために用いた画像の各々において、低密度部の面積SLと、各空隙の面積とを算出した。そして、各画像について、低密度部の面積SLに対する空隙の面積における総和SDの百分率([SD/SL]×100)を算出した。そして、30箇所の画像において、低密度部の面積に対する空隙の面積における総和の百分率の平均値を算出した。当該平均値を各試験片における低密度部の面積に対する空隙の面積における総和の百分率に設定した。なお、各空隙の面積は、各画像において、その空隙によって区画される領域内に位置する画素の個数に基づいて算出した。
[ヘイズ]
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの各々について、不透明時のヘイズと、透明時のヘイズとを算出した。ヘイズの算出には、JIS K 7136:2000に準拠する方法を用いた。各調光シートにおいて、一対の透明電極層間に電位差が生じていない状態、すなわち、一対の透明電極間に交流電圧を印加していない状態を透明時に設定した。また、一対の透明電極層間に交流電圧を印加し、かつ、調光シートのヘイズが飽和している状態を不透明時に設定した。
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの各々について、不透明時のヘイズと、透明時のヘイズとを算出した。ヘイズの算出には、JIS K 7136:2000に準拠する方法を用いた。各調光シートにおいて、一対の透明電極層間に電位差が生じていない状態、すなわち、一対の透明電極間に交流電圧を印加していない状態を透明時に設定した。また、一対の透明電極層間に交流電圧を印加し、かつ、調光シートのヘイズが飽和している状態を不透明時に設定した。
[クラリティ]
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの各々について、不透明時のクラリティを算出した。クラリティは、調光層31を透過した光のなかで、調光層31に入射した平行光LPの光軸に沿って直進する直進光の光量を光量LCとし、平行光LPの光軸に対する角度が±2.5°以内である狭角散乱光の光量を光量LRとするときに、以下の式(1)によって算出される。なお、ヘイズの算出時と同様、一対の透明電極層間に交流電圧を印加し、かつ、調光シートのヘイズが飽和している状態を不透明時に設定した。
100×(LC-LR)/(LC+LR) … 式(1)
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの各々について、不透明時のクラリティを算出した。クラリティは、調光層31を透過した光のなかで、調光層31に入射した平行光LPの光軸に沿って直進する直進光の光量を光量LCとし、平行光LPの光軸に対する角度が±2.5°以内である狭角散乱光の光量を光量LRとするときに、以下の式(1)によって算出される。なお、ヘイズの算出時と同様、一対の透明電極層間に交流電圧を印加し、かつ、調光シートのヘイズが飽和している状態を不透明時に設定した。
100×(LC-LR)/(LC+LR) … 式(1)
[直線透過率]
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの各々について、不透明時の直線透過率と、透明時の直線透過率とを算出した。各調光シートにおいて、一対の透明電極層間に電位差が生じていない状態、すなわち、一対の透明電極間に交流電圧を印加していない状態を透明時に設定した。また、一対の透明電極層間に交流電圧を印加し、かつ、調光シートのヘイズが飽和している状態を不透明時に設定した。
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの各々について、不透明時の直線透過率と、透明時の直線透過率とを算出した。各調光シートにおいて、一対の透明電極層間に電位差が生じていない状態、すなわち、一対の透明電極間に交流電圧を印加していない状態を透明時に設定した。また、一対の透明電極層間に交流電圧を印加し、かつ、調光シートのヘイズが飽和している状態を不透明時に設定した。
[評価結果]
各試験片の断面を撮像した結果は、図6から図13に示す通りであった。また、各評価結果は、以下の表1および表2が示す通りであった。なお、図6から図13は、試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートにおける断面を撮像したSEM画像を順に示している。
各試験片の断面を撮像した結果は、図6から図13に示す通りであった。また、各評価結果は、以下の表1および表2が示す通りであった。なお、図6から図13は、試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートにおける断面を撮像したSEM画像を順に示している。
図13が示すように、試験例1‐8の調光シートでは、調光シートの厚さ方向における全体においてほぼ均一に空隙が形成されていることが認められた。すなわち、調光シートは、液晶分子の密度が相対的に高い高密度部と、液晶分子の密度が相対的に低い低密度部とを有しないことが認められた。
これに対して、図6から図12が示すように、試験例1‐1から試験例1‐7の調光シートでは、各配向層に接する部分に高密度部が形成され、かつ、調光シートの厚さ方向において、2つの高密度部の間に低密度部が形成されていることが認められた。特に、試験例1‐7の調光シートは低密度部にも空隙を有する一方で、試験例1‐1から1‐6の調光シートは低密度部には空隙を有しないことが認められた。
試験例1‐1から試験例1‐7の調光シートにおける透明時でのヘイズの値は、試験例1‐8の調光シートにおける透明時でのヘイズの値に比べて大幅に小さいことが認められた。そのため、調光シートが高密度部と低密度部とを有することによって、透明時でのヘイズの値が低められた、すなわち、透明時での調光シート21の透明さが高められたと言える。
表1および表2が示すように、低密度部の面積SLに対する空隙の面積における総和SDの百分率は、試験例1‐1において0%であり、試験例1‐2において0%であり、試験例1‐3において0%であることが認められた。また、低密度部の面積SLに対する空隙の面積における総和SDの百分率は、試験例1‐4において0%であり、試験例1‐5において0%であり、試験例1‐6において0%であり、試験例1‐7において8%であることが認められた。これに対して、低密度部の面積SLに対する空隙の面積における総和の百分率は、試験例1‐8において11%であることが認められた。
試験施例1‐1から試験例1‐6の調光シートにおける透明時でのヘイズの値は、試験例1‐7の調光シートにおける透明時でのヘイズの値よりもさらに改善されている。そのため、低密度部の面積SLに対する空隙の面積における総和SDの百分率が10%以下であることによって、透明時でのヘイズの値がさらに改善されたと言える。
また、試験例1‐1から試験例1‐7の調光シートにおいて、空隙の大きさにおける最小値が1.1μm以上1.4μm以下であって、1.0μm以上であることが認められた。これに対して、試験例1‐8の調光シートにおいて、空隙の大きさにおける最小値が0.8μmであって、1.0μm未満であることが認められた。一方で、試験例1‐2から試験例1‐8の調光シートにおいて、空隙の大きさにおける最大値が1.5μm以上2.4μm以下であって、2.5μm以下であることが認められた。これに対して、試験例1‐1の調光シートにおいて、空隙の大きさにおける最大値が2.7μmであって、2.5μmを超えることが認められた。
試験例1‐1から試験例1‐7の調光シートでは、空隙の大きさにおける最小値が1.0μm以上であることから、空隙の大きさにおける最小値が1.0μm未満である試験例1‐8の調光シートに比べて、透明時でのヘイズの値が低められたと言える。一方で、試験例1‐2から試験例1‐5の調光シートでは、空隙の大きさにおける最大値が2.5μm以下であることから、空隙の大きさにおける最大値が2.5μmよりも大きい試験例1‐1の調光シートに比べて、透明時でのヘイズの値がさらに低められたと言える。
また、試験例1‐1から試験例1‐5では、配向層に対して3.0μm以内の範囲に空隙が形成されることが認められた。一方で、試験例1‐6、試験例1‐7、および、試験例1‐8では、配向層に対して3.0μmを超える範囲に空隙が形成されていることが認められた。試験例1‐1から試験例1‐5では、試験例1‐6および試験例1‐7に対して透明時におけるヘイズの値が低いことから試験例1‐1から試験例1‐5では、配向膜から3.0μm以内の範囲に空隙が形成されることが、透明時におけるヘイズの値を低める一因であると言える。
試験例1‐1から試験例1‐8では、調光層の厚さを一定に設定し、かつ、露光条件を変更することによる相違を評価した。以下に説明する試験例1‐9から試験例1‐13では、露光条件を一定に設定し、かつ、調光層の厚さを変更することによる相違を評価した。
[試験例1‐9]
試験例1‐9では、試験例1‐1よりも垂直配向層上に塗布する塗液の量を減らすことによって、3.0μmの厚さを有した調光層を形成した。なお、以下に説明するいずれの例においても、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を20mW/cm2、積算光量を600mJ/cm2に設定した。
試験例1‐9では、試験例1‐1よりも垂直配向層上に塗布する塗液の量を減らすことによって、3.0μmの厚さを有した調光層を形成した。なお、以下に説明するいずれの例においても、塗膜に対して紫外線を照射する際の照度を20mW/cm2、積算光量を600mJ/cm2に設定した。
[試験例1‐10]
試験例1‐10では、垂直配向層上に塗布する塗液の量を増やすことによって、7.0μmの厚さを有した調光層を得た以外は、試験例1‐9と同様の方法によって試験例1‐10の調光シートを作製した。
試験例1‐10では、垂直配向層上に塗布する塗液の量を増やすことによって、7.0μmの厚さを有した調光層を得た以外は、試験例1‐9と同様の方法によって試験例1‐10の調光シートを作製した。
[試験例1‐11]
試験例1‐11では、垂直配向層上に塗布する塗液の量を増やすことによって、8.0μmの厚さを有した調光層を得た以外は、試験例1‐9と同様の方法によって試験例1‐11の調光シートを作製した。
試験例1‐11では、垂直配向層上に塗布する塗液の量を増やすことによって、8.0μmの厚さを有した調光層を得た以外は、試験例1‐9と同様の方法によって試験例1‐11の調光シートを作製した。
[試験例1‐12]
試験例1‐12では、垂直配向層上に塗布する塗液の量を増やすことによって、10.0μmの厚さを有した調光層を得た以外は、試験例1‐9と同様の方法によって試験例1‐12の調光シートを作製した。
試験例1‐12では、垂直配向層上に塗布する塗液の量を増やすことによって、10.0μmの厚さを有した調光層を得た以外は、試験例1‐9と同様の方法によって試験例1‐12の調光シートを作製した。
[試験例1‐13]
試験例1‐13では、垂直配向層上に塗布する塗液の量を増やすことによって、16.0μmの厚さを有した調光層を得た以外は、試験例1‐9と同様の方法によって試験例1‐13の調光シートを作製した。
試験例1‐13では、垂直配向層上に塗布する塗液の量を増やすことによって、16.0μmの厚さを有した調光層を得た以外は、試験例1‐9と同様の方法によって試験例1‐13の調光シートを作製した。
[評価方法]
[画像]
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの断面を撮像した場合と同様の方法を用いて、試験例1‐9から試験例1‐13の調光シートにおける断面を撮像した。
[画像]
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートの断面を撮像した場合と同様の方法を用いて、試験例1‐9から試験例1‐13の調光シートにおける断面を撮像した。
[空隙の大きさ]
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートにおいて空隙の大きさを算出した方法と同様の方法を用いて、試験例1‐9から試験例1‐13の調光シートにおいて、空隙の大きさを算出した。これにより、各調光シートにおいて、空隙の大きさにおける最小値および最大値を算出した。
試験例1‐1から試験例1‐8の調光シートにおいて空隙の大きさを算出した方法と同様の方法を用いて、試験例1‐9から試験例1‐13の調光シートにおいて、空隙の大きさを算出した。これにより、各調光シートにおいて、空隙の大きさにおける最小値および最大値を算出した。
[評価結果]
試験例1‐9から試験例1‐13の調光シートにおける断面を撮像した結果は、図14から図18に示す通りであった。なお、図14から図18は、試験例1‐9から試験例1‐13の調光シートにおける断面を撮像したSEM画像を順に示している。
試験例1‐9から試験例1‐13の調光シートにおける断面を撮像した結果は、図14から図18に示す通りであった。なお、図14から図18は、試験例1‐9から試験例1‐13の調光シートにおける断面を撮像したSEM画像を順に示している。
図14から図16が示すように、調光層の厚さが3.0μm以上8.0μm以下である場合には、複数の空隙が、各配向層と調光シートとの境界に並ぶように形成されることが認められた。一方で、調光層の厚さが3.0μm以上8.0μm以下である場合には、調光層の厚さ方向における中央部には、空隙が形成されていないことが認められた。
これに対して、図17が示すように、調光層の厚さが10.0μmである場合には、調光層の全体において、複数の空隙が不規則に形成されることが認められた。すなわち、調光層の厚さが10μmである場合には、調光層が高密度部および低密度部を有しないことが認められた。また、図18が示すように、調光層の厚さが16.0μmである場合には、調光層の厚さ方向における中央部に、各配向層と調光シートとの境界における空隙の密度と同程度の密度で複数の空隙が形成されていることが認められた。また、調光層の厚さ方向において、中央部に位置する空隙と、配向層と調光層との境界に位置する空隙との間にも、複数の空隙が形成されていることが認められた。
なお、各調光シートにおいて空隙の大きさにおける最小値および最大値は、1.0μm以上2.5μm以下の範囲に含まれることが認められた。
以上説明したように、調光シートの第2実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
以上説明したように、調光シートの第2実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(2‐1)配向層32,33からの距離が小さい領域における液晶組成物31LCの密度が高いため、複数の液晶分子LCMにおいて配向層32,33の配向規制力によって配向される液晶分子LCMの量を増やすことが可能である。そのため、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電位差が生じていない状態において、調光シート21の透明さを高めることができる。
(2‐2)調光層31の厚さT31が3.0μm以上8.0μm以下であるから、調光層31の厚さ方向において対向する一対の面から離れた位置に空隙31Dが形成されることが抑えられる。さらに、空隙31Dの大きさが1.0μm以上2.5μm以下であるから、配向層32,33の近傍に液晶組成物31LCが保持される。そのため、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電圧差が生じていない状態での調光シート21の透明さを高めることが可能である。
(2‐3)調光層31では、調光層31の厚さ方向において対向する一対の面の近傍において、配向層32,33の配向規制力に従って液晶分子LCMが配向する。そのため、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電位差が生じていない状態において、調光シート21の透明さをさらに高めることができる。
(2‐4)各高密度部31H1,31H2での空隙31Dの密度が、低密度部31Lでの空隙31Dの密度よりも高いから、各高密度部31H1,31H2での液晶組成物31LCの密度を、低密度部31Lでの液晶組成物31LCの密度よりも高くすることが可能である。
(2‐5)第1高密度部31H1に含まれる各空隙31D、および、第2高密度部31H2に含まれる各空隙31Dは、配向層32,33の近傍に液晶組成物31LCを保持することが可能であるため、各空隙31Dに保持される液晶組成物31LCの全体に配向層32,33の配向規制力が作用しやすくなる。
(2‐6)低密度部31Lの面積SLに対する、低密度部31Lに含まれる各空隙31Dの面積の総和SDの百分率が10%以下であるから、低密度部31Lの空隙31Dによって保持される液晶組成物31LCの割合を小さくすることが可能である。
(2‐7)低密度部31Lが空隙31Dを有しない場合には、調光層31に含まれる液晶分子LCMのうちで、配向層32,33の配向規制力に従って配向する液晶分子LCMの割合が高められるため、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電圧差が生じていない状態での調光シート21の透明さをさらに高めることができる。
(2‐8)調光層31の厚さ方向に沿う断面において、各配向層32,33から3.0μm以下の範囲に空隙31Dが位置するため、各空隙31Dに保持された液晶分子LCMが、配向規制力に従って配向する確実性を高めることが可能である。
[第2実施形態の変更例]
なお、上述した第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[配向層]
・調光シート21は、第1配向層32を備える一方で、第2配向層33を備えなくてもよい。この場合には、調光層31が、第1高密度部31H1と、低密度部31Lとを備えることによって、上述した(2‐1)に準じた効果を得ることはできる。
なお、上述した第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[配向層]
・調光シート21は、第1配向層32を備える一方で、第2配向層33を備えなくてもよい。この場合には、調光層31が、第1高密度部31H1と、低密度部31Lとを備えることによって、上述した(2‐1)に準じた効果を得ることはできる。
・調光シート21が第1配向層32を備える一方で、第2配向層33を備えていない場合には、第1高密度部31H1での空隙31Dの密度が低密度部31Lでの空隙31Dの密度よりも高いことによって、上述した(2‐5)のうち、第1高密度部31H1に関わる効果を得ることはできる。
[調光層]
・調光層31では、調光層31の厚さ方向における中間で液晶組成物31LCの密度が最も低い一方で、配向層32,33に接する高密度部31H1,31H2を有しなくてもよい。すなわち、調光層31において、調光層31の厚さ方向における中間よりも配向層32,33寄りの部分であって、かつ、配向層32,33から離れた位置に、高密度部が位置してもよい。この場合であっても、調光層31の厚さ方向における中間で液晶組成物31LCの密度が最も低いことによって、上述した(2‐1)に準じた効果を得ることはできる。
・調光層31では、調光層31の厚さ方向における中間で液晶組成物31LCの密度が最も低い一方で、配向層32,33に接する高密度部31H1,31H2を有しなくてもよい。すなわち、調光層31において、調光層31の厚さ方向における中間よりも配向層32,33寄りの部分であって、かつ、配向層32,33から離れた位置に、高密度部が位置してもよい。この場合であっても、調光層31の厚さ方向における中間で液晶組成物31LCの密度が最も低いことによって、上述した(2‐1)に準じた効果を得ることはできる。
・調光層31の厚さ方向における中間で液晶組成物31LCの密度が最も低く、かつ、配向層32,33に接する高密度部31H1,31H2を有しない場合に、空隙31Dが、調光層31の厚さ方向に沿う断面において、配向層32,33から3.0μm以下の範囲に位置してもよい。この場合には、上述した(2‐1)および(2‐8)に準じた効果を得ることはできる。
・高密度部31H1,31H2と低密度部31Lとを有した調光層31を備える調光シート21において、調光層31の厚さが空隙31Dの大きさにおける最小値の2倍以上10μm未満、かつ、空隙31Dの大きさが0.38μm以上3.0μm以下であってもよい。この場合には、上述した(2‐1)および(2‐2)に準じた効果を得ることはできる。
・調光層31の厚さ方向における中間で液晶組成物31LCの密度が最も低い調光層31を備える調光シート21において、調光層31の厚さが空隙31Dの大きさにおける最小値の2倍以上10μm未満、かつ、空隙31Dの大きさが0.38μm以上3.0μm以下であってもよい。この場合には、上述した(2‐1)および(2‐2)に準じた効果を得ることはできる。
[第3実施形態]
図19から図28を参照して、調光シートの第3実施形態を説明する。
[調光シート]
図19が示すように、調光シート110は、第1面111Fと、第1面111Fとは反対側の面である第2面111Rとを有する。第1面111Fと対向する位置から見て、調光シート110は、駆動領域120と、非駆動領域121と、接続領域124とを有する。
図19から図28を参照して、調光シートの第3実施形態を説明する。
[調光シート]
図19が示すように、調光シート110は、第1面111Fと、第1面111Fとは反対側の面である第2面111Rとを有する。第1面111Fと対向する位置から見て、調光シート110は、駆動領域120と、非駆動領域121と、接続領域124とを有する。
駆動領域120は、調光シート110の駆動時に電圧信号が印加される電極要素である駆動電極要素130が位置する領域である。駆動電極要素130への電圧信号の印加状態に応じて、駆動領域120の光透過率は変わる。駆動電極要素130は、第1電極要素の一例である。
非駆動領域121は、調光シート110の駆動時に電圧信号が印加されない電極要素である浮遊電極要素131が位置する領域である浮遊領域122と、浮遊領域122を囲む境界領域123とを含む。浮遊電極要素131は、第2電極要素の一例である。境界領域123は、駆動領域120と浮遊領域122との間に位置し、浮遊領域122を囲む閉じた枠線状を有する。境界領域123には、電極要素は位置しない。なお、図面においては、理解を容易にするために境界領域123の幅を誇張して示している。非駆動領域121の光透過率は、調光シート110の駆動時と非駆動時とで変化しない。
浮遊領域122は、図柄を構成しており、浮遊領域122の顕在化によって調光シート110に図柄を表示させる。図柄は、例えば、文字、数字、記号、図形、絵柄、および、模様の1つまたはそれらの組み合わせである。調光シート110は、互いに離れた複数の浮遊領域122を有していてもよく、すなわち、互いに離れた複数の非駆動領域121を有していてもよい。
接続領域124は、駆動領域120に電圧信号を印加するための配線が接続される領域である。接続領域124は、第1接続領域124Aと第2接続領域124Bとを含む。第1接続領域124Aには第1端子部135Aが設けられ、第2接続領域124Bには第2端子部135Bが設けられている。各接続領域124A,124Bは、駆動領域120に隣接し、例えば、調光シート110の端部に位置する。
図20は、図19におけるI‐I線に沿った断面図であり、すなわち、駆動領域120および接続領域124での調光シート110の断面構造を示す。なお、図20では、図示の便宜上、調光シート110が備える抗ウイルスフィルムの図示が省略されている。第3実施形態の調光シート110は、第1実施形態の調光シートが備える抗ウイルスフィルム、および、第1実施形態の変更例に記載の抗ウイルスフィルムまたは抗ウイルス層を備えることが可能である。
図20が示すように、調光シート110は、調光層140、第1透明電極層141A、第2透明電極層141B、第1透明支持層142A、第2透明支持層142B、および、被覆層145を有する。調光層140は、第1透明電極層141Aと第2透明電極層141Bとに挟まれ、これらの透明電極層141A,141Bに接している。第1透明支持層142Aは、第1透明電極層141Aに対して調光層140と反対側で第1透明電極層141Aを支持し、第2透明支持層142Bは、第2透明電極層141Bに対して調光層140と反対側で第2透明電極層141Bを支持する。
上述した駆動電極要素130および浮遊電極要素131は、第1透明電極層141Aに含まれる。第1透明電極層141Aのなかで、駆動領域120に位置する部分は、駆動電極要素130である。また、第1透明支持層142Aが有する2つの面のうち、第1透明電極層141Aに接して第1透明電極層141Aを支持する面が支持面146Sであり、支持面146Sと反対側の面が被保護面146Pである。
被覆層145は、第1透明支持層142Aに対して第1透明電極層141Aと反対側に位置する。被覆層145は、粘着層143と保護層144とを含む。粘着層143は、第1透明支持層142Aの被保護面146Pに接している。保護層144は、粘着層143に対して第1透明支持層142Aとは反対側で粘着層143に接している。なお、調光シート110が抗ウイルスフィルムを備える場合には、調光シート110は、被覆層145に代えて抗ウイルスフィルムを備えてもよい。あるいは、調光シート110は、被覆層145上に抗ウイルスフィルムを備えてもよい。この場合には、抗ウイルスフィルムの粘着層が被覆層145に接する。
調光シート110の第1面111Fは、被覆層145が有する面であり、具体的には、保護層144における粘着層143に接する面とは反対側の面である。調光シート110の第2面111Rは、第2透明支持層142Bにおける第2透明電極層141Bに接する面とは反対側の面である。第2面111Rは、粘着層を介して、ガラスや樹脂などからなる透明板に貼り付けられる。透明板は、例えば、住宅、駅、空港などの各種の建物が備える窓ガラス、オフィス、医療機関、介護施設に設置されたパーティション、店舗に設置されたショーウインドウ、車両や航空機などの移動体が備える窓ガラスやウインドシールドである。透明板の表面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。なお、調光シート110が抗ウイルスフィルムを備える場合には、抗ウイルスフィルムの粘着層が調光シート110の第2面111R上に位置し、かつ、抗ウイルスフィルムが透明板に貼り付けられる。
第1接続領域124Aには、駆動領域120から第1透明支持層142Aに支持された第1透明電極層141Aが延びており、第1接続領域124Aにて、第1透明電極層141Aは調光層140から露出している。この露出した第1透明電極層141Aに、第1端子部135Aが接続されている。言い換えれば、駆動領域120から第1接続領域124Aへは、駆動電極要素130が延びており、第1接続領域124Aでは、駆動電極要素130に第1端子部135Aが接続されている。
第2接続領域124Bには、駆動領域120から第2透明電極層141Bと第2透明支持層142Bとが延びており、第2接続領域124Bにて、第2透明電極層141Bは調光層140から露出している。この露出した第2透明電極層141Bに、第2端子部135Bが接続されている。
第1端子部135Aからは第1配線部150Aが延び、第2端子部135Bからは第2配線部150Bが延びている。これらの配線部150A,150Bは、制御部151に接続されている。制御部151は、第1配線部150Aおよび第1端子部135Aを通じて、第1透明電極層141Aの駆動電極要素130に電圧信号を印加し、第2配線部150Bおよび第2端子部135Bを通じて、第2透明電極層141Bに電圧信号を印加する。これにより、制御部151は、駆動領域120における第1透明電極層141Aと第2透明電極層141Bとの間の電位差を制御する。第2透明電極層141Bは、例えば、グランド電位に制御される。調光シート110と制御部151とから、調光装置が構成される。
調光層140は、透明高分子層と液晶組成物とを備えている。透明高分子層は、空隙を有しており、当該空隙に液晶組成物が充填されている。液晶組成物は液晶分子を含む。液晶分子には、第1実施形態において列挙された液晶分子のいずれかを用いることが可能である。
調光層140における液晶組成物の保持型式は、第1実施形態において列挙された保持型式のいずれかであってよい。なお、液晶組成物は、第1実施形態の液晶組成物と同様に、上述した液晶分子以外に、透明高分子層を形成するためのモノマーや二色性色素などを含んでもよい。
第1透明電極層141A、および、第2透明電極層141Bの各々は、導電性を有し、可視領域の光に対して透明である。透明電極層141A、141Bの材料には、透明電極層141A、141Bの材料は、第1実施形態において列挙された材料のいずれかであってよい。
第1透明支持層142A、および、第2透明支持層142Bの各々は、可視領域の光に対して透明な基材である。透明支持層142A,142Bの材料は、第1実施形態において列挙された材料のいずれかであってよい。
粘着層143は、可視領域の光に対して透明な層であり、粘着性および絶縁性を有する樹脂からなる。粘着層143は、光学用透明粘着剤(OCA : Optical Clear Adhesive)からなる。
保護層144は、可視領域の光に対して透明な層である。保護層144の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン、トリアセチルセルロースなどの合成樹脂である。保護層144は、反射防止機能を有していてもよい。
第1端子部135A、および、第2端子部135Bの各々は、例えば、導電性接着層と、配線基板とを備える。導電性接着層は、第1実施形態において列挙された接着層のいずれかであってよい。配線基板は、第1実施形態の配線基板と同様に、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC : Flexible Printed Circuits)である。
あるいは、第1端子部135A、および、第2端子部135Bの各々は、導電性テープなどの導電性材料と導線とがはんだ付けによって接合された構造を有していてもよい。
駆動領域120において、調光層140は、2つの透明電極層141A、141Bの間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向を変える。液晶分子における配向の変化は、調光層140に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、および、透過度合いを変える。
駆動領域120において、調光層140は、2つの透明電極層141A、141Bの間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向を変える。液晶分子における配向の変化は、調光層140に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、および、透過度合いを変える。
具体的には、透明電極層141A、141Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則である。そのため、調光層140に入射した光の散乱度合いは大きくなり、駆動領域120は濁って見える。すなわち、調光層140に駆動電圧が印加されていないとき、駆動領域120は不透明である。一方、透明電極層141A、141Bに電圧信号が印加され、第1透明電極層141Aと第2透明電極層141Bとの間に所定値以上の電位差が生じると、液晶分子が配向され、液晶分子の長軸方向が透明電極層141A,141B間の電界方向に沿った向きとなる。その結果、調光層140を光が透過しやすくなり、駆動領域120は透明となる。
図21は、図19におけるII‐II線に沿った断面図であり、すなわち、境界領域123と、境界領域123を挟む駆動領域120および浮遊領域122での調光シート110の断面構造を示す。
図21が示すように、第1透明電極層141Aにおいて、駆動領域120には、駆動電極要素130が位置し、浮遊領域122には、浮遊電極要素131が位置する。言い換えれば、駆動電極要素130と浮遊電極要素131とは、支持面146Sに沿って並ぶ別々の層状体である。
駆動電極要素130と浮遊電極要素131とは、溝132によって分離されている。溝132の深さ方向は、第1透明電極層141Aの厚さ方向であり、溝132は、第1透明支持層142Aと第1透明電極層141Aとを深さ方向に貫通している。溝132で分離されることによって、駆動電極要素130と浮遊電極要素131とは互いに絶縁されている。
調光シート110の第1面111Fと対向する位置から見て、溝132の位置する領域が、境界領域123である。上述したように、境界領域123は、浮遊領域122を囲む閉じた枠線状を有しており、すなわち、溝132は、支持面146Sに沿った方向に延び、第1面111Fと対向する位置から見て、浮遊電極要素131の全周を囲む閉じた枠線状を有する。浮遊電極要素131には、電圧信号の印加のための配線は接続されていないため、浮遊電極要素131は電気的に浮遊状態となる。
したがって、浮遊領域122においては、調光層140に入射した光の散乱度合いが常に大きい。また、境界領域123には、第1透明電極層141Aにて電極要素が位置しないため、境界領域123でも、調光層140に入射した光の散乱度合いは常に大きい。それゆえ、非駆動領域121は、常に濁って見える。
溝132は、第1透明支持層142Aの被保護面146Pに開口部133を有している。そして、開口部133は被覆層145の粘着層143で覆われている。さらに、溝132の内部には、粘着層143から連続する粘着部147が延びており、溝132内は粘着部147によって埋められている。粘着部147は、粘着層143と同一の材料からなる。粘着部147は、充填部の一例である。
溝132内が絶縁性を有する粘着部147で充填されていることにより、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との絶縁の信頼性が高められる。また、粘着層143および粘着部147を構成する粘着剤は、製造時の流動性や柔軟性を確保しやすい材料であるため、溝132内を的確に埋めることができる。さらに、粘着層143に保護層144が積層されているため、粘着層143が露出している場合と比較して、調光シート110の第1面111Fへのごみの付着が抑えられ、また、調光シート110の取り扱いが容易になる。
また、溝132内が粘着部147で充填されていることにより、調光シート110の第1面111Fと対向する位置から見て、溝132が目立つこと、すなわち、境界領域123が目立つことが抑えられる。さらに、溝132の開口部133が粘着層143および保護層144で覆われることにより、溝132が目立つことが一層抑えられる。
溝132が目立つことをより好適に抑えるためには、第1透明電極層141A、第1透明支持層142A、粘着層143および粘着部147、および、保護層144の屈折率が互いに近いことが好ましい。これらの屈折率差が小さいほど、溝132の付近での光の反射や屈折が抑えられるため、溝132が視認されにくくなる。
例えば、第1透明電極層141Aとして広く用いられる酸化インジウムスズの屈折率は、2.1から2.2程度であり、第1透明支持層142Aとして広く用いられるポリエチレンテレフタレートやアクリル系樹脂の屈折率は、1.4から1.5程度である。したがって、粘着層143および粘着部147を構成する粘着剤の屈折率は、1.4以上1.5以下であることが好ましく、保護層144の屈折率は1.4以上1.6以下であることが好ましい。
なお、溝132は、深さ方向において、調光層140の内部まで延びていてもよい。例えば、図22が示すように、溝132は、調光層140を貫通していてもよいし、あるいは、溝132の底部は、調光層140の内部に位置していてもよい。また例えば、図23が示すように、溝132は、調光層140および第2透明電極層141Bを貫通していてもよい。
溝132が調光層140の内部まで延びる形態であれば、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との絶縁の確実性を高めることができる。
また、溝132が第2透明電極層141Bを貫通している形態では、第2透明電極層141Bにおける浮遊領域122に位置する部分は周囲から絶縁され、この部分には電圧信号が印加されない。そのため、駆動領域120での第2透明電極層141Bの電位に関わらず、浮遊領域122にて、第1透明電極層141Aと第2透明電極層141Bとの間に電位差が形成されることが抑えられる。言い換えれば、駆動領域120の第2透明電極層141Bに印加される電圧信号の大きさやその変動の状況に関わらず、浮遊領域122での調光層140の液晶分子の配向状態は変化しない。したがって、駆動領域120での第2透明電極層141Bの電位の制御についての自由度が高められる。
また、溝132が第2透明電極層141Bを貫通している形態では、第2透明電極層141Bにおける浮遊領域122に位置する部分は周囲から絶縁され、この部分には電圧信号が印加されない。そのため、駆動領域120での第2透明電極層141Bの電位に関わらず、浮遊領域122にて、第1透明電極層141Aと第2透明電極層141Bとの間に電位差が形成されることが抑えられる。言い換えれば、駆動領域120の第2透明電極層141Bに印加される電圧信号の大きさやその変動の状況に関わらず、浮遊領域122での調光層140の液晶分子の配向状態は変化しない。したがって、駆動領域120での第2透明電極層141Bの電位の制御についての自由度が高められる。
なお、深さ方向において、溝132の幅は一定であってもよいし、一定でなくてもよい。例えば、溝132の幅は、溝の底部に向けて小さくなってもよい。言い換えれば、溝132は、断面V字状を有していてもよい。溝132が断面V字状を有する形態であれば、溝132内に粘着剤を流入させて溝132内を充填することが容易である。
調光シート110の第1面111Fと対向する位置から見て、溝132が目立つことを抑えるためには、開口部133における溝132の幅は1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
[調光シートの製造方法]
図24から図27を参照して、調光シート110の製造方法を説明する。
図24が示すように、まず、第1透明支持層142Aに支持された第1透明電極層141Aと第2透明支持層142Bに支持された第2透明電極層141Bとの間に調光層140を形成することにより、調光層140、透明電極層141A,141B、透明支持層142A,142Bからなる積層体160を形成する。この時点においては、第1透明電極層141Aは、駆動電極要素130と浮遊電極要素131とに分割されていない一様な層である。
図24から図27を参照して、調光シート110の製造方法を説明する。
図24が示すように、まず、第1透明支持層142Aに支持された第1透明電極層141Aと第2透明支持層142Bに支持された第2透明電極層141Bとの間に調光層140を形成することにより、調光層140、透明電極層141A,141B、透明支持層142A,142Bからなる積層体160を形成する。この時点においては、第1透明電極層141Aは、駆動電極要素130と浮遊電極要素131とに分割されていない一様な層である。
続いて、図25が示すように、積層体160の外側から、積層体160に対して溝132を形成する。詳細には、調光層140に対して第1透明支持層142Aの位置する側から、積層体160に切り込みを入れることにより、溝132が形成される。溝132の形成には、例えばカッティングプロッターやレーザーカッターなどのカッティング装置が用いられる。
続いて、図26が示すように、積層体160における第1透明支持層142A上に粘着剤が配置されることによって粘着層143および粘着部147が形成される。粘着部147の形成によって溝132内は埋められる。そして、図27が示すように、粘着層143に保護層144が貼り付けられる。
粘着層143および粘着部147は、OCAフィルムなどのフィルム状の粘着剤が積層体160に貼り付けられることによって形成されてもよいし、流動性を有する粘着剤が積層体160に塗布されることによって形成されてもよい。粘着剤がフィルム状の場合であっても、この粘着剤からなるフィルムは柔軟性を有しているため、粘着剤による溝132の充填は可能である。また、粘着層143および粘着部147の形成や、保護層144の積層に際して、加熱や加圧が行われてもよい。
また、積層体160に対する粘着剤の配置に代えて、保護層144の表面に粘着剤が配置されることにより粘着層143が形成され、保護層144と粘着層143とが積層体160に貼り合わせられてもよい。
接続領域124は、積層体160からその構成層の一部を切り取ることにより形成される。接続領域124の形成は、溝132の形成と同一の工程にて行われてもよいし、積層体160への粘着層143および保護層144の積層後に行われてもよい。接続領域124の形成が溝132の形成と同一の工程で行われれば、調光シート110の製造に要する工程数や時間の削減が可能である。
なお、調光層140に比べて第1透明電極層141Aは非常に薄いため、溝132が第1透明電極層141Aを貫通しかつ調光層140内に入り込まないように溝132を形成することと比較して、溝132の底部が調光層140内に位置するように溝132を形成する方が、溝132の深さの制御に要する負担が小さい。したがって、溝132の底部が調光層140内に位置する形態であれば、製造に要する負荷の増大を抑えつつ駆動電極要素130と浮遊電極要素131との絶縁の確実性を高めることができる。
以上のように、本実施形態では、駆動電極要素130と浮遊電極要素131とを絶縁するための溝132が、透明電極層141A,141Bおよび透明支持層142A,142Bと調光層140との積層後に、これらの層からなる積層体160に外側から切り込みを入れることによって形成される。したがって、積層体160の形成前にエッチングなどを利用して電極要素を分割することと比較して、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との分離に要する工程数および時間の削減や装置の簡素化が可能である。また、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との形状の自由度も高くなり、さらに、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との形状の設計変更への対応も容易に可能である。
[作用]
図28は、調光シート110の非駆動時、すなわち、透明電極層141A、141Bに電圧信号が印加されていないときの調光シート110の透明度合いを模式的に示す。
図28は、調光シート110の非駆動時、すなわち、透明電極層141A、141Bに電圧信号が印加されていないときの調光シート110の透明度合いを模式的に示す。
図28が示すように、調光シート110の非駆動時において、駆動領域120と浮遊領域122とは、いずれも不透明である。それゆえ、調光シート110の全面が、例えば白っぽく、濁って見え、浮遊領域122が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。
これに対し、調光シート110の駆動時、すなわち、透明電極層141A、141Bに電圧信号が印加されているときには、駆動領域120が透明になる一方、浮遊領域122は不透明である。それゆえ、先の図19に示したように、浮遊領域122のみが、例えば白っぽく、濁って見え、浮遊領域122が構成する文字や絵柄などの像が視認可能となる。
このように、本実施形態の調光シート110によれば、調光シート110の面内に、光透過率の互いに異なる領域が形成され、かつ、これらの領域の光透過率の差は、調光シート110の駆動時にのみ現れる。したがって、調光シート110の駆動時には、浮遊領域122が構成する文字や絵柄などの像が視認されることで、調光シート110が配設されている空間の装飾が可能であり、さらに、調光シート110の駆動と非駆動との切り換えによって、上記像の出現の有無を切り換えることができるため、空間の装飾状態を動的に変化させることができる。それゆえ、調光シート110の意匠性の向上が可能である。
なお、境界領域123に調光層140が存在する場合、境界領域123は常に不透明である。それゆえ、調光シート110の非駆動時には、駆動領域120および非駆動領域121はいずれも不透明に見え、調光シート110の駆動時には、非駆動領域121が一体となって不透明に見える。一方、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との分離のための溝132が調光層140を貫通し、境界領域123に調光層140が存在しない場合、境界領域123は常に透明である。それゆえ、調光シート110の非駆動時には、駆動領域120および浮遊領域122が不透明である一方で、境界領域123は透明となるが、境界領域123は細線状であるため目立ちにくく、浮遊領域122が構成する文字や絵柄などの像は視認されにくい。調光シート110の駆動時には、境界領域123は駆動領域120と一体となって透明に見える。
調光シート110の非駆動時に境界領域123が目立つことを抑えるためには、溝132が調光層140を貫通せず、境界領域123に、厚さ方向において調光層140の少なくとも一部が存在することが好ましい。あるいは、調光シート110の意匠の一環として、調光シート110の非駆動時に枠線状の境界領域123が視認されるように、境界領域123を目立たせてもよい。この場合、境界領域123に調光層140は存在しなくてよいし、境界領域123の幅が大きくされてもよい。
以上説明したように、調光シートの第3実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(3‐1)駆動電極要素130と浮遊電極要素131とへの電圧信号の印加の制御によって、駆動領域120と浮遊領域122との光透過率の差の有無を変えることが可能であり、これによって、浮遊領域122からなる像の視認性を変えることができる。したがって、調光シート110による空間の装飾状態を動的に変化させることが可能であり、調光シート110の意匠性の向上が可能である。
(3‐1)駆動電極要素130と浮遊電極要素131とへの電圧信号の印加の制御によって、駆動領域120と浮遊領域122との光透過率の差の有無を変えることが可能であり、これによって、浮遊領域122からなる像の視認性を変えることができる。したがって、調光シート110による空間の装飾状態を動的に変化させることが可能であり、調光シート110の意匠性の向上が可能である。
(3‐2)駆動電極要素130と浮遊電極要素131とを絶縁するための溝132が、第1透明支持層142Aと第1透明電極層141Aとを貫通して延びる。こうした構造は、透明電極層141A,141Bおよび透明支持層142A,142Bと調光層140との積層後に、第1透明支持層142Aの表面から第1透明支持層142Aと第1透明電極層141Aとに切り込みを入れることによって形成できる。したがって、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との分離が容易である。また、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との形状の自由度も高くなり、さらに、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との形状の設計変更への対応も容易に可能である。
(3‐3)溝132の開口部133が被覆層145で覆われているため、溝132に導電性物質が入り込んで駆動電極要素130と浮遊電極要素131とが導通することが抑えられる。また、調光シート110の第1面111Fから見て溝132が目立つことが抑えられる。
(3‐4)溝132内が、被覆層145から連続して延びる充填部によって埋められているため、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との絶縁の信頼性が高められる。さらに、被覆層145が、粘着層143と保護層144とを含み、充填部が粘着層143から延びる粘着部147である。すなわち、柔軟性や流動性を有する粘着剤によって溝132内が埋められるため、溝132の充填が容易に可能である。そして、粘着層143に保護層144が積層されていることにより、粘着層143へのごみなどの付着が抑えられ、また、調光シート110の取り扱いが容易になる。
(3‐5)被覆層145に含まれる層の屈折率が1.4以上1.6以下であると、被覆層145の屈折率が空気よりも大きいことから、第1透明支持層142Aと被覆層145との屈折率差が小さくなりやすい。そのため、溝132が空気中に露出している場合と比較して、溝132付近の界面における屈折率差が小さくなり、光の反射や屈折が抑えられるため、溝132が目立ちにくくなる。
(3‐6)溝132の深さ方向において、溝132が調光層140の内部まで延びている形態であれば、駆動電極要素130と浮遊電極要素131との絶縁の確実性が高められる。
(3‐7)溝132の深さ方向において、溝132が調光層140および第2透明電極層141Bを貫通している形態では、駆動電極要素130と浮遊電極要素131とに対応して第2透明電極層141Bも互いに絶縁された複数の部分に分割される。したがって、第1透明電極層141Aと第2透明電極層141Bとの間の電位差を、分割された領域ごとに的確に制御することができる。それゆえ、各電極要素130,131の位置する領域の光透過率を的確に制御することができる。
(3‐8)第1面111Fと対向する位置から見て、溝132は、浮遊電極要素131を囲む閉じた枠線状を有する。これにより、浮遊領域122が、文字、数字、記号、図形、絵柄などを構成するように駆動電極要素130と浮遊電極要素131とを絶縁することが容易であり、浮遊電極要素131の配置や形状の自由度も高められる。したがって、調光シート110に現れる像の構成についての自由度が高められる。
(3‐9)駆動電極要素130と浮遊電極要素131とのうち、駆動電極要素130のみが端子部135A,135Bに接続されている。これにより、駆動電極要素130への電圧信号の印加の有無によって、駆動領域120と浮遊領域122との光透過率に差がない状態と、駆動領域120と浮遊領域122との光透過率に差がある状態との切替が可能である。したがって、簡易な構成で、調光シートの意匠性の向上が可能である。
[第3実施形態の変更例]
上述した第3実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の変更例を互いに組み合わせて実施してもよい。
上述した第3実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の変更例を互いに組み合わせて実施してもよい。
・図29が示すように、調光シート110は、第1配向層148A、および、第2配向層148Bを備えていてもよい。第1配向層148Aは、調光層140と第1透明電極層141Aとの間に位置し、これらの層と接する。第2配向層148Bは、調光層140と第2透明電極層141Bとの間に位置し、これらの層と接する。
第1配向層148A、および、第2配向層148Bの各々は、例えば、垂直配向膜である。垂直配向膜は、調光層140の厚さ方向に沿って、液晶分子の長軸方向を配向させる。第1配向層148A、および、第2配向層148Bの各々の材料は、第1実施形態において列挙された材料のいずれかであってよい。
調光シート110が配向層148A,148Bを備える場合、駆動領域120において、透明電極層141A,141Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは調光層140の厚さ方向に沿った向きとなる。したがって、駆動領域120は透明である。一方、駆動領域120において、透明電極層141A,141Bに電圧信号が印加されているとき、液晶分子の長軸方向の向きは調光層140の厚さ方向と交差する向きとなる。したがって、駆動領域120は濁って見え、不透明となる。
調光シート110が配向層148A,148Bを備える場合、浮遊領域122では、液晶分子の長軸方向の向きが常に調光層140の厚さ方向に沿った向きとなるため、浮遊領域122は、常に透明である。
それゆえ、調光シート110の非駆動時において、駆動領域120と浮遊領域122とは、いずれも透明であり、浮遊領域122が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。一方、調光シート110の駆動時には、駆動領域120が不透明になる一方、浮遊領域122は、透明であるため、浮遊領域122が構成する文字や絵柄などの像が視認可能となる。
駆動電極要素130と浮遊電極要素131との分離のための溝132は、上記実施形態と同様、少なくとも第1透明支持層142Aおよび第1透明電極層141Aを貫通していればよい。溝132は、さらに、第1配向層148A、調光層140、第2配向層148B、および、第2透明電極層141Bの一部または全部を貫通していてもよい。
溝132が第1配向層148Aを貫通していない場合、あるいは、溝132が調光層140を貫通している場合、境界領域123は、常に透明であり、浮遊領域122と一体となって見える。それゆえ、調光シート110の非駆動時に境界領域123が目立つことを抑えるためには、溝132が、第1配向層148Aを貫通しない、もしくは、調光層140を貫通する位置まで延びていることが好ましい。
以上のように、調光シート110が配向層148A,148Bを備える場合であっても、調光シート110の面内に、調光シート110の駆動時にのみ光透過率の差が現れる領域である駆動領域120と浮遊領域122とが存在する。したがって、調光シート110の意匠性の向上が可能である。
・保護層144は、第1透明支持層142Aよりも光透過率の低い層であってもよい。例えば、保護層144は、ハーフミラーフィルム、あるいは、スモークフィルムなどの有色のフィルムであってもよい。保護層144の光透過率が第1透明支持層142Aよりも低い場合、調光シート110の背後の光源の強さに応じて、調光シート110の外観が変化する。例えば、保護層144がハーフミラーフィルムである場合、調光シート110の背後の光源が弱いとき、調光シート110の第1面111Fが鏡面のように見える。また、保護層144がスモークフィルムである場合、調光シート110の背後の光源が弱いとき、調光シート110は黒色などの暗色に見える。したがって、調光シート110による空間の装飾状態をより多様に変化させることができるため、調光シート110の意匠性の更なる向上が可能である。
・被覆層145が含む層の数や材料は特に限定されない。被覆層145は、粘着層143と保護層144とのうちの一方のみを備えていてもよいし、粘着層143および保護層144とは異なる層を備えていてもよい。被覆層145が、溝132の開口部133を覆っていれば、溝132に導電性物質が入り込むことを抑える効果は得られる。
また、溝132を埋める充填部は、粘着剤とは異なる材料から構成されていてもよい。例えば、ハードコート材として利用される熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が、溝132が形成された第1透明支持層142A上に塗布され、塗布された樹脂が熱や光によって硬化されることにより、充填部と被覆層145とが形成されてもよい。この場合、充填部と被覆層145とは、硬化性樹脂から構成され、充填部は被覆層145から連続して溝132内に延びる。
充填部および被覆層145の材料が上記実施形態と異なる場合であっても、溝132が目立つことを抑えるためには、充填部および被覆層145が含む層の屈折率は、1.4以上1.6以下であることが好ましい。
なお、溝132の開口部133が被覆層145で覆われていれば、溝132内の一部あるいは全部が充填部で埋まっていなくてもよい。
なお、溝132の開口部133が被覆層145で覆われていれば、溝132内の一部あるいは全部が充填部で埋まっていなくてもよい。
・被覆層145が、紫外線吸収性を有する層を含んで入れもよい。例えば、粘着層143および保護層144の少なくとも一方が紫外線吸収性を有していてもよい。こうした構成によれば、調光シート110に照射された太陽光などに含まれる紫外線が被覆層145にて吸収されて調光層140に到達し難くなる。したがって、液晶組成物の機能の低下が抑えられる。
・境界領域123に位置する溝132は、第1透明支持層142Aの支持面146Sに沿う方向に延びていれば、浮遊電極要素131を囲む閉じた枠線状を有していなくてもよい。例えば、図30が示すように、第1面111Fと対向する位置から見て、境界領域123および溝132は、調光シート110の端部110Eに位置する始点から、浮遊領域122および浮遊電極要素131の外周を通り、調光シート110の端部110Eに位置する終点まで延びていてもよい。この場合、浮遊領域122および浮遊電極要素131の端部は、調光シート110の端部110Eに位置する。なお、図30では矩形状の調光シート110のうち図30中下側の辺を端部110Eとしているが、境界領域123および溝132の始点および終点が位置する端部110Eは、上側の辺、左辺、および、右辺のいずれであってもよく、これらの辺のうちの複数であってもよい。
・上記実施形態では、第1電極要素である駆動電極要素130に電圧信号が印加され、第2電極要素である浮遊電極要素131には電圧信号が印加されない。これに代えて、第1電極要素と第2電極要素とに別々に電圧信号が印加されてもよい。第2電極要素の端部には、第2電極要素に電圧信号を印加するための配線が端子部を通じて接続される。第1電極要素に接続される端子部と、第2電極要素に接続される端子部とは、電圧信号ごとの別々の端子部である。上述のように、第2電極要素が調光シート110の端部に位置する形態であれば、第2電極要素への配線の接続が容易である。
例えば、第1電極要素の位置する第1領域は、第1電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、透明と不透明とに切り替えられる。そして、第2電極要素の位置する第2領域は、第2電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、第1領域とは独立して、透明と不透明とに切り替えられる。こうした構成によれば、第1領域と第2領域とが共に不透明な状態、第1領域が不透明で第2領域が透明な状態、第1領域が透明で第2領域が不透明な状態、第1領域と第2領域とが共に不透明な状態、の4つの状態の切り替えが可能である。したがって、調光シート110による空間の装飾状態をより多様に変化させることができるため、調光シート110の意匠性の更なる向上が可能である。
また例えば、第1領域と第2領域との少なくとも一方の光透過率が、透明と不透明との間に対応する光透過率に制御されてもよい。液晶組成物を含む調光層140を備える調光シート110においては、透明電極層141A,141B間の電位差が所定の範囲内である場合に、電位差の変化に伴って調光シート110の光透過率が徐々に変化する。そのため、第1領域あるいは第2領域において、透明電極層141A,141B間の電位差を、当該領域が透明となる電位差と当該領域が不透明となる電位差との間の値に制御することによって、当該領域を透明と不透明との間の光透過率を有する半透明に制御することができる。
具体的には、例えば、第1領域は、第1電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、透明と不透明とに切り替えられ、第2領域は、第2電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、半透明と不透明とに切り替えられる。第1領域が透明であるときには、第2領域は半透明に制御される。こうした構成によれば、第1領域と第2領域とが共に不透明な状態と、第1領域が不透明で第2領域が半透明な状態との切り替えが可能である。これによっても、調光シート110の意匠性の向上が可能である。
なお、上記実施形態では、駆動領域120が第1領域であり、浮遊領域122が第2領域である。
なお、上記実施形態では、駆動領域120が第1領域であり、浮遊領域122が第2領域である。
[第4実施形態]
図31から図37を参照して、調光シートの第4実施形態を説明する。本実施形態の調光シートにおける型式は、ノーマル型である。ノーマル型の調光シートは、調光シートに電圧信号が印加されていないときに駆動対象とする領域の入射光を散乱させて透光性を低下させ、調光シートに電圧信号が印加されたときに透光性を上昇させる。
図31から図37を参照して、調光シートの第4実施形態を説明する。本実施形態の調光シートにおける型式は、ノーマル型である。ノーマル型の調光シートは、調光シートに電圧信号が印加されていないときに駆動対象とする領域の入射光を散乱させて透光性を低下させ、調光シートに電圧信号が印加されたときに透光性を上昇させる。
[調光シート]
図31が示すように、調光シート210は、第1面211Fと、第1面211Fとは反対側の面である第2面211Rとを有する。調光シート210は、駆動領域220と、非駆動領域221とを有する。
図31が示すように、調光シート210は、第1面211Fと、第1面211Fとは反対側の面である第2面211Rとを有する。調光シート210は、駆動領域220と、非駆動領域221とを有する。
駆動領域220は、調光シート210の駆動時に電圧信号が印加される電極要素である駆動電極要素230が位置する領域である。駆動電極要素230への電圧信号の印加状態に応じて、駆動領域220の光透過率は変わる。駆動電極要素230は、第1電極要素の一例である。
非駆動領域221は、浮遊領域222と、浮遊領域222を囲む境界領域223とを含む。浮遊領域222は、調光シート210の駆動時に電圧信号が印加されない電極要素である浮遊電極要素231が位置する領域である。浮遊電極要素231は、第2電極要素の一例である。境界領域223は、駆動領域220と浮遊領域222との間に位置し、浮遊領域222を囲む閉じた枠線状を有する。境界領域223には、電極要素は位置しない。なお、図面においては、理解を容易にするために境界領域223の幅を誇張して示している。非駆動領域221の光透過率は、調光シート210の駆動時と非駆動時とで変化しない。
非駆動領域221は、調光シート210に図柄を表示させる。図柄は、例えば、文字、数字、記号、図形、絵柄、模様などの1つまたはそれらの組み合わせである。なお、図31が示す調光シート210は、非駆動領域221として1つの星型の図形を有しているが、互いに離れた複数の非駆動領域221を有していてもよい。つまり、調光シート210は、閉じた領域を形成する境界領域223を複数備えていてもよい。
接続領域224は、駆動領域220に電圧信号を印加するための領域であり、外部配線225が接続される。接続領域224と駆動領域220とは互いに隣り合う。接続領域224が設けられる位置は特に限定されない。接続領域224は、例えば、調光シート210の隅部に位置する。
図32は、図31におけるIII‐III線に沿った断面図であり、すなわち、駆動領域220および接続領域224での調光シート210の断面構造を示す。なお、図32における各層の厚さの比は、説明のため便宜的に示すものであり、図32に示す厚さの比に限定されない。また、図32では、図示の便宜上、調光シート210が備える抗ウイルスフィルムの図示が省略されている。第4実施形態の調光シート210は、第1実施形態の調光シートが備える抗ウイルスフィルム、および、第1実施形態の変更例に記載の抗ウイルスフィルムまたは抗ウイルス層を備えることが可能である。
図32が示すように、調光シート210は、調光層211、第1透明電極層212A、第2透明電極層212B、第1透明支持層213A、および、第2透明支持層213Bを有する。調光層211は、第1透明電極層212Aと第2透明電極層212Bとに挟まれている。第1透明支持層213Aは、第1透明電極層212Aに対して調光層211と反対側の支持面2130で第1透明電極層212Aを支持し、第2透明支持層213Bは、第2透明電極層212Bに対して調光層211と反対側で第2透明電極層212Bを支持する。なお、調光層211は、単層構造でもよいし多層構造でもよい。多層構造の調光層211は、調光機能を有する機能層と、機能層と第1透明電極層212Aとの間、機能層と第2透明電極層212Bとの間の密着性を高める薄層とを備えていてもよい。
さらに、調光シート210は、保護層244を備えている。保護層244は、第1透明支持層213Aに対して第1透明電極層212Aと反対側に位置する。保護層244は、図示しない粘着層を介して第1透明支持層213Aに固定されている。なお、調光シート210が抗ウイルスフィルムを備える場合には、調光シート210は、保護層244および粘着層に代えて抗ウイルスフィルムを備えてもよい。あるいは、調光シート210は、保護層244上に抗ウイルスフィルムを備えてもよい。この場合には、抗ウイルスフィルムの粘着層が保護層244に接する。
調光シート210の第1面211Fは、保護層244における第1透明支持層213Aに向かい合う面とは反対側の面である。調光シート210の第2面211Rは、第2透明支持層213Bにおける第2透明電極層212Bに向かい合う面とは反対側の面である。第2面211Rは、図示しない粘着層を介して、ガラスや樹脂などからなる透明板に貼り付けられる。透明板は、例えば、住宅、店舗、駅、空港などの各種の建物が備える窓ガラス、オフィス、医療機関、介護施設に設置されたパーティション、店舗に設置されたショーウインドウ、車両や航空機などの移動体が備える窓ガラスやウインドシールドである。透明板の表面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。なお、調光シート210が抗ウイルスフィルムを備える場合には、抗ウイルスフィルムの粘着層が調光シート210の第2面211R上に位置し、かつ、抗ウイルスフィルムが透明板に貼り付けられる。
接続領域224は、第1透明電極層212Aに電圧信号を印加するための外部配線225が接続される第1接続領域224Aと、第2透明電極層212Bに電圧信号を印加するための外部配線225が接続される第2接続領域224Bとを含む。
第1接続領域224Aには、調光層211、第2透明電極層212B、および、第2透明支持層213Bが位置せず、これによって、第1透明電極層212Aの一部が露出した領域である。第1接続領域224Aにおいて露出した第1透明電極層212Aの一部に、第1端子部250Aが接続されている。すなわち、駆動領域220から第1接続領域224Aへは、駆動電極要素230が延びており、第1接続領域224Aでは、駆動電極要素230に第1端子部250Aが接続されている。
第2接続領域224Bには、調光層211、第1透明電極層212A、および、第1透明支持層213A、および、保護層244が位置せず、これによって、第2透明電極層212Bの一部が露出した領域である。第2接続領域224Bにおいて露出した第2透明電極層212Bの一部に、第2端子部250Bが接続されている。すなわち、駆動領域220から第2接続領域224Bへは、駆動電極要素230が延びており、第2接続領域224Bでは、駆動電極要素230に第2端子部250Bが接続されている。
第1端子部250Aと第2端子部250Bとの各々からは外部配線225が延び、これらの外部配線225は、制御部250に接続されている。制御部250は、第1端子部250Aを通じて、第1透明電極層212Aの駆動電極要素230に電圧信号を印加し、第2端子部250Bを通じて、第2透明電極層212Bに電圧信号を印加する。これにより、制御部250は、駆動領域220における第1透明電極層212Aと第2透明電極層212Bとの間の電位差を制御する。第2透明電極層212Bは、例えば、グランド電位に制御される。調光シート210と制御部250とから、調光装置が構成される。
調光層211は、透明高分子層と液晶組成物とを備えている。透明高分子層は、液晶組成物が充填される空隙を有している。液晶組成物は、透明高分子層が有する空隙に充填されている。液晶組成物は液晶分子を含む。液晶分子は、第1実施形態において列挙されたいずれかの液晶分子であってよい。なお、調光層211が単層構造である場合、調光層211は透明高分子層と液晶組成物とを備える機能層のみからなる。
液晶組成物の保持型式は、第1実施形態において列挙された保持型式のいずれかであってよい。なお、液晶組成物は、第1実施形態の液晶組成物と同様に、上述した液晶分子以外に、透明高分子層を形成するためのモノマー、および、二色性色素などを含んでもよい。
第1透明電極層212A、および、第2透明電極層212Bの各々は、導電性を有し、可視領域の光に対して透明である。第1透明電極層212A、第2透明電極層212Bを形成するための材料は、第1実施形態において列挙された材料のいずれかであってよい。
第1透明支持層213Aおよび第2透明支持層213Bの各々は、可視領域の光に対して透明な基材である。第1透明支持層213Aおよび第2透明支持層213Bを形成するための材料は、第1実施形態において列挙されたいずれかであってよい。
第1端子部250A、および、第2端子部250Bの各々は、例えば、導電性接着層と、配線基板とを備える。導電性接着層は、第1実施形態において列挙された接着層のいずれかであってよい。配線基板は、第1実施形態と同様に、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)である。
あるいは、第1端子部250A、および、第2端子部250Bの各々は、第1実施形態と同様に、導電性テープなどの導電性材料と外部配線225とがはんだ付けなどによって接合された構造を有していてもよい。
駆動領域220において、調光層211は、2つの透明電極層212A,212Bの間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向を変える。液晶分子における配向の変化は、調光層211に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、および、透過度合いを変える。具体的には、駆動領域220の第1透明電極層212Aおよび第2透明電極層212Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則である。そのため、調光層211に入射した光の散乱度合いは大きくなり、駆動領域220は濁って見える。すなわち、調光層211に電圧信号が印加されていないとき、駆動領域220は不透明である。一方、透明電極層212A,212Bに電圧信号が印加され、第1透明電極層212Aと第2透明電極層212Bとの間に所定値以上の電位差が生じると、液晶分子が配向され、液晶分子の長軸方向が透明電極層212A,212B間の電界方向に沿った向きとなる。その結果、調光層211を光が透過しやすくなり、駆動領域220は透明となる。
図33は、図31におけるIV‐IV線に沿った断面図であり、境界領域223と、境界領域223を挟む駆動領域220および浮遊領域222での調光シート210の断面構造を示す。
図33が示すように、調光層211は、複数のスペーサー215を備える。スペーサー215は、第1透明電極層212Aおよび第2透明電極層212Bの間の距離をほぼ一定に保つ。また、第1透明電極層212Aにおいて、駆動領域220には、駆動電極要素230が位置し、浮遊領域222には、浮遊電極要素231が位置する。言い換えれば、駆動電極要素230と浮遊電極要素231とは、第1透明支持層213Aの支持面2130に沿って並ぶ別々の層状体である。
駆動電極要素230と浮遊電極要素231とは、溝2120によって分離されている。溝2120の深さ方向は、第1透明電極層212Aの厚さ方向である。本実施形態において、溝2120は、第1透明電極層212Aの調光層211側に開口部2122を有し、第1透明電極層212Aを貫通し、第1透明支持層213Aの厚さ方向の途中まで延びている。溝2120で分離されることによって、駆動電極要素230と浮遊電極要素231とは互いに絶縁されている。この溝2120の位置する領域が、境界領域223である。
図34は、図33の溝2120およびその周辺の断面構造を拡大した図である。第1透明支持層213Aの厚さT1および第1透明電極層212Aの厚さT2の和である厚さT3は、20μm以上200μm以下である。第1透明電極層212Aの厚さT2は数十nmである。また、調光層211の厚さは、0.5μm以上460μm以下である。調光シート210全体の厚さは、45μm以上500μm以下である。なお、第2透明支持層213Bの厚さは第1透明支持層213Aの厚さと同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、第2透明電極層212Bの厚さは、第1透明電極層212Aの厚さと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
溝2120の深さを「D1」とするとき、溝2120の深さは、「T2<D1<T3」を満たす。上述したように、溝2120は、第1透明電極層212Aを貫通する一方、第1透明支持層213Aを貫通しない深さを有している。
溝2120の幅W1は、スペーサー215の直径φ1よりも小さい(幅W1<直径φ1)。なお、スペーサー215の粒径にばらつきがある場合、スペーサー215の直径φ1は、最も小さい粒径のスペーサー215の直径φ1である。スペーサー215の直径φ1が溝2120の幅W1よりも大きいため、スペーサー215は溝2120に入りにくい。
図35は、溝2120を含む断面構造のSEM写真である。SEM写真の中央に示す溝2120は調光層211側で開口しているため、溝2120には、調光層211の透明高分子層と液晶組成物からなる調光材2110が充填されている。溝2120に調光材2110が充填されない場合、第1透明支持層213Aを透過して溝2120の内側に入射した光は、溝2120の側面に反射する。この場合には、調光シート210の外側からみて溝2120が目立つ。一方、第1透明支持層213Aを構成する材料の屈折率は空気の屈折率に比べて調光材2110の屈折率に近いため、本実施形態のように溝2120に調光材2110が充填されると、溝2120の側面における反射率が小さくなり、調光シート210の外側からみて溝2120が視認されにくくなる。また、溝2120に僅かな空隙2121(図34参照)が残っていても、溝2120の容積の多くが調光材2110によって充填されていれば溝2120は目立たなくなる。溝2120を外部から視認されにくくする効果を得るためには、溝2120の容積に対する調光材2110の充填率が80%以上であることが好ましい。
また、上述したように溝2120の幅W1は、スペーサー215の直径φ1よりも小さいため、スペーサー215が溝2120へ入り込むことを抑え、これによって溝2120への調光材2110の充填を妨げないようにすることができる。さらに、調光層211の厚さが0.5μm以上であることにより、80%以上の充填率で調光材2110が充填されやすい。その理由は未だ明らかではないが、調光層211の厚さを大きくすることで、開口部2122周辺に十分な量の調光材2110が確保されるため、調光層211を第1透明電極層212Aおよび第2透明電極層212Bで挟んで所定の圧力を加えたときに調光材2110が溝2120に充填されやすくなるためと考えられる。
さらに、第1透明電極層212Aは、溝2120の開口部2122の周辺に形成されたバリ2123を有する。バリ2123は、第1透明電極層212Aに溝2120を形成する際に生じるものであり、開口部2122の周辺から調光層211側に突出している。溝2120を形成する際は、バリ2123の高さH1が調光層211の厚さT4よりも低くなるように調整する(H1<T4)。バリ2123の高さH1が調光層211の厚さT4を超えると、第1透明電極層212Aが、調光層211を介して第2透明電極層212Bに接触してしまい、第1透明電極層212Aおよび第2透明電極層212B間で短絡が生じる。また、バリ2123の高さH1を、調光層211の厚さT4の0.8倍以下としてもよい。このようにすると、調光シート210が曲面に貼り付けられたり、調光シート210が意図せずに押圧されたりした場合などに、第1透明電極層212Aおよび第2透明電極層212Bの距離が縮んだとしても、第1透明電極層212Aと第2透明電極層212Bとの間の短絡を十分に抑えることができる。なお、溝2120の深さD1は、第1透明電極層212Aの調光層211側の面から、第1透明電極層212Aの厚さ方向に延びる長さであり、バリ2123の高さを含まない。
[調光シートの製造方法]
次に、図36を参照して、調光シート210の製造方法について説明する。
まず、第1透明電極層212Aおよび第1透明支持層213Aを備えたフィルム251A、および、第2透明電極層212Bおよび第2透明支持層213Bを備えたフィルム251Bを準備する。このうち、第1透明電極層212Aおよび第1透明支持層213Aを備えたフィルム251Aに対し、第1透明電極層212A側からカッティングプロッターを用いて溝2120を形成する。カッティングプロッターに接続された制御装置は、予め入力された図柄に沿ってカッティングプロッターを動作させ溝2120を形成する。
次に、図36を参照して、調光シート210の製造方法について説明する。
まず、第1透明電極層212Aおよび第1透明支持層213Aを備えたフィルム251A、および、第2透明電極層212Bおよび第2透明支持層213Bを備えたフィルム251Bを準備する。このうち、第1透明電極層212Aおよび第1透明支持層213Aを備えたフィルム251Aに対し、第1透明電極層212A側からカッティングプロッターを用いて溝2120を形成する。カッティングプロッターに接続された制御装置は、予め入力された図柄に沿ってカッティングプロッターを動作させ溝2120を形成する。
なお、カッティングプロッター以外の装置を用いて溝2120を形成してもよい。例えば、カッティングプロッター以外の刃物や、レーザー切断装置を用いて、第1透明電極層212Aに溝2120を形成してもよい。レーザー切断装置としては、例えばCO2レーザーを備えたレーザーカッターなどを用いることができる。
次に、ジビニルベンゼンなどを主材料とするスペーサー215と、スペーサー215を分散させるための分散媒とを含む液状体を、それらのフィルム251A,251Bのうち第1透明電極層212A側および第2透明電極層212B側の面に塗布する。さらに、スペーサー215を散布したフィルムを加熱し、分散媒を除去する。このとき、いずれか一方のフィルムのみにスペーサー215を散布するようにしてもよい。
そして、溝2120が形成されたフィルム251Aの第1透明電極層212Aと、溝2120が形成されていないフィルム251Bの第2透明電極層212Bに、透明高分子材料および液晶組成物を含む調光材を塗布する。このとき、図36に示すように、溝2120に調光材が充填されなくてもよい。さらに、それらのフィルム251A,251Bに対し、窒素雰囲気下で紫外線照射を行って調光層211A,211Bを形成する。こうして得られた1対のフィルムを積層し、所定の大きさの圧力をかけながら貼合する。これにより、溝2120に調光材が充填される。
調光シート210は、上流側のロールから搬送したフィルムに対して各種の工程を行い下流側のロールに巻き取るロールツーロール方式、所定の大きさに切断したフィルムに対して各種の工程を行う枚葉式の製造工程のいずれであってもよい。いずれの場合も、溝2120を形成する工程は、第1透明電極層212Aおよび第1透明支持層213Aからなるフィルム、第2透明電極層212Bおよび第2透明支持層213Bからなるフィルムを、調光層211を介して貼り付ける前に行われる。
次に、所定の大きさの調光シート210の第2面211Rの隅部に切り込みを入れ、第2透明支持層213Bおよび第2透明電極層212Bを剥離する。さらに、調光層211を除去し、第1透明電極層212Aを露出させて接続領域224を形成する。同様にして、第1面211Fの隅部にも、接続領域224を形成する。そして、第1端子部250Aおよび第2端子部250Bを形成して、外部配線225を接続領域224に接続する。さらに接続領域224をエポキシ樹脂などにより封止する。また、第1透明支持層213Aに保護層244を貼り合わせる工程は、1対のフィルムを貼り合わせた後に行われてもよい。
このように第1透明電極層212Aおよび第1透明支持層213Aに切り込みを入れて溝2120を形成することで、例えばパターニングに要するレジストマスクの形成、露光、現像、エッチング、レジストマスクの除去、および、洗浄といった工程を含む製造方法に比べ、溝2120を簡便に形成することができる。
[作用]
次に、図37を参照して、本実施形態の作用について説明する。図37は、調光シート210の非駆動時、すなわち、第1透明電極層212Aおよび第2透明電極層212Bに電圧信号が印加されていないときの調光シート210の透明度合いを模式的に示す。調光シート210の非駆動時において、駆動領域220と非駆動領域221とは、いずれも不透明である。それゆえ、調光シート210の全面が、例えば白っぽく、濁って見え、非駆動領域221が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。
次に、図37を参照して、本実施形態の作用について説明する。図37は、調光シート210の非駆動時、すなわち、第1透明電極層212Aおよび第2透明電極層212Bに電圧信号が印加されていないときの調光シート210の透明度合いを模式的に示す。調光シート210の非駆動時において、駆動領域220と非駆動領域221とは、いずれも不透明である。それゆえ、調光シート210の全面が、例えば白っぽく、濁って見え、非駆動領域221が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。
また、溝2120は、第1透明電極層212Aを貫通し、かつ、第1透明支持層213Aを貫通しない深さを有するため、調光シート210の第1面211Fおよび第2面211Rのいずれからみても溝2120が目立たない。加えて、溝2120に調光材が充填されることにより、溝2120をさらに視認されにくくすることができる。これにより、図柄を表示するときの調光シート210の美観が高められる。
図31が示すように、調光シート210の駆動時には、駆動領域220が透明になる一方、非駆動領域221は、不透明である。それゆえ、非駆動領域221のみが、例えば白っぽく、濁って見え、非駆動領域221が構成する文字や絵柄などの図柄の像が視認可能となる。
このように、本実施形態の調光シート210によれば、調光シート210の面内に、光透過率の互いに異なる領域が形成され、かつ、これらの領域の光透過率の差は、調光シート210の駆動時にのみ現れる。したがって、調光シート210の駆動時には、非駆動領域221が構成する文字や絵柄などの像が視認されることで、調光シート210が配設されている空間の装飾が可能であり、さらに、調光シート210の駆動と非駆動との切り換えによって、上記像の出現の有無を切り換えることができるため、空間の装飾状態を動的に変化させることができる。それゆえ、調光シート210の意匠性の向上が可能である。
以上説明したように、調光シートの第4実施形態によれば以下に列挙する効果を得ることができる。
(4‐1)駆動電極要素230と浮遊電極要素231との一方のみに電圧信号を印加する、あるいは、駆動電極要素230と浮遊電極要素231とに互いに異なる電圧信号を印加することによって、調光シート210における駆動電極要素230が位置する領域と浮遊電極要素231が位置する領域との光透過率を変えることができる。したがって、駆動電極要素230と浮遊電極要素231との両方に電圧信号を印加せず、これらの電極要素の位置する領域の光透過率に差がない状態と、上述のように各電極要素の位置する領域の光透過率に差がある状態との切替が可能となるため、調光シート210の意匠性の向上が可能である。そして、溝2120は、第1透明電極層212Aを貫通し第1透明電極層212Aを貫通しない深さを有するため、調光シート210を第1透明電極層212A側からみたときに溝2120を目立たなくすることができる。このため、調光シート210の美観を向上することができる。さらに、例えば、溝2120を、第1透明電極層212Aのエッチングなどにより除去する工程を含む方法で形成するよりも簡便に形成することができる。
(4‐1)駆動電極要素230と浮遊電極要素231との一方のみに電圧信号を印加する、あるいは、駆動電極要素230と浮遊電極要素231とに互いに異なる電圧信号を印加することによって、調光シート210における駆動電極要素230が位置する領域と浮遊電極要素231が位置する領域との光透過率を変えることができる。したがって、駆動電極要素230と浮遊電極要素231との両方に電圧信号を印加せず、これらの電極要素の位置する領域の光透過率に差がない状態と、上述のように各電極要素の位置する領域の光透過率に差がある状態との切替が可能となるため、調光シート210の意匠性の向上が可能である。そして、溝2120は、第1透明電極層212Aを貫通し第1透明電極層212Aを貫通しない深さを有するため、調光シート210を第1透明電極層212A側からみたときに溝2120を目立たなくすることができる。このため、調光シート210の美観を向上することができる。さらに、例えば、溝2120を、第1透明電極層212Aのエッチングなどにより除去する工程を含む方法で形成するよりも簡便に形成することができる。
(4‐2)溝2120の少なくとも一部に調光層211の一部が充填されることにより、調光シート210を第1透明支持層213A側または第2透明支持層213B側から見たときに、溝2120を視認しにくくすることができる。
(4‐3)溝2120への調光材の充填率を80%以上とすることにより、溝2120をより視認しにくくすることができる。
(4‐4)溝2120の開口部2122の内径をスペーサー215の直径よりも小さくすることにより、溝2120部にスペーサー215が入り込むことを抑制することができる。このため、溝2120への調光層211の充填が、溝2120部に入ったスペーサー215により妨げられにくい。
(4‐4)溝2120の開口部2122の内径をスペーサー215の直径よりも小さくすることにより、溝2120部にスペーサー215が入り込むことを抑制することができる。このため、溝2120への調光層211の充填が、溝2120部に入ったスペーサー215により妨げられにくい。
(4‐5)溝2120の開口部2122の周りに存在するバリ2123の高さが、調光層211の厚さよりも小さいため、第1透明電極層212Aに形成されたバリ2123の先端が、調光層211を介して第2透明電極層212Bに接触するのを防ぐことができる。このため、第1透明電極層212Aおよび第2透明電極層212Bの間で短絡が発生することを抑制することができる。
(4‐6)溝2120は浮遊電極要素231を囲む閉じた枠線状の形状を有する。よって、閉じた枠線状であれば浮遊電極要素231を区画することができるため、浮遊電極要素231のレイアウトの制約を少なくすることができる。
[第4実施形態の変更例]
上述した第4実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の各変形例は、組み合わせて実施してもよい。
上述した第4実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の各変形例は、組み合わせて実施してもよい。
・上記実施形態では、溝2120は、浮遊電極要素231を囲む閉じた枠線状の形状を有するものとした。これに代えて、溝2120は、第1透明支持層213Aの支持面2130に沿って延びていれば、浮遊電極要素231を囲む閉じた枠線状を有していなくてもよい。例えば、図38が示すように、第1面211Fと対向する位置から見て、境界領域223および溝2120は、調光シート210の端部210Eに位置する始点から、浮遊領域222および浮遊電極要素231の外周を通り、調光シート210の端部210Eに位置する終点まで延びていてもよい。この場合、浮遊領域222および浮遊電極要素231の端部は、調光シート210の端部210Eに位置する。なお、図38では矩形状の調光シート210のうち図38中下側の辺を端部210Eとしているが、境界領域223および溝2120の始点および終点となる端部210Eは、上側の辺、左辺、および、右辺のいずれであってもよく、各辺のいずれか複数であってもよい。
・上記実施形態では、調光シート210の型式はノーマル型であるが、リバース型でもよい。リバース型の調光シート210は、電圧信号が印加されていないときに入射光を透過させて透光性を上昇させ、電圧信号が印加されたときに入射光を散乱させて透光性を低下させる。
図39はリバース型の調光シート210の一例を示す。図39が示すように、リバース型の調光シート210が備える調光層211は、多層構造であり、透明高分子層と液晶組成物とを備える機能層2111と、第1配向層2112、および、第2配向層2113を備える。機能層2111、第1配向層2112、および、第2配向層2113は、調光層211を構成する。第1配向層2112は、機能層2111と第1透明電極層212Aとの間に位置し、これらの層と接する。第2配向層2113は、機能層2111と第2透明電極層212Bとの間に位置し、これらの層と接する。
第1配向層2112、および、第2配向層2113の各々は、例えば垂直配向膜である。垂直配向膜は、調光層211の厚さ方向に沿って、液晶分子の長軸方向を配向させる。第1配向層2112、および、第2配向層2113の各々を形成するための材料は、第1次子形態において列挙された材料のいずれかであってよい。
溝2120は、第1配向層2112のうち調光層211側に開口部2122を有し、第1配向層2112および第1透明電極層212Aを貫通し、第1透明支持層213Aは貫通しない。つまり、溝2120の深さは、第1配向層2112の厚さ、第1透明電極層212Aの厚さおよび第1透明支持層213Aの厚さの和よりも小さい。溝2120には調光層211の一部が充填される。
調光シート210が第1配向層2112および第2配向層2113を備える場合、駆動領域220において、透明電極層212A,212Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは調光層211の厚さ方向に沿った向きとなる。したがって、駆動領域220は透明である。一方、駆動領域220において、透明電極層212A,212Bに電圧信号が印加されているとき、液晶分子の長軸方向の向きは調光層211の厚さ方向と交差する向きとなる。したがって、駆動領域220は濁って見え、不透明となる。調光シート210が第1配向層2112および第2配向層2113を備える場合、浮遊領域222および境界領域223では、液晶分子の長軸方向の向きが常に調光層211の厚さ方向に沿った向きとなるため、非駆動領域221は、常に透明である。
それゆえ、調光シート210の非駆動時において、駆動領域220と非駆動領域221とは、いずれも透明であり、非駆動領域221が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。一方、調光シート210の駆動時には、駆動領域220が不透明になる一方、非駆動領域221は、透明であるため、非駆動領域221が構成する文字や絵柄などの像が視認可能となる。
このように、調光シート210が第1配向層2112および第2配向層2113を備える場合であっても、調光シート210の面内に、光透過率の互いに異なる領域が形成され、かつ、これらの領域の光透過率の差は、調光シート210の駆動時にのみ現れる。したがって、調光シート210の意匠性の向上が可能である。
また、上記の態様では、溝2120は第1配向層2112を貫通するものしたが、第1透明電極層212Aおよび第1透明支持層213Aからなる積層体に溝2120を形成した後、第1配向層2112を形成するようにしてもよい。この場合には、溝2120の底面および側面に沿うように第1配向層2112が形成される。このようにしても溝2120を外側からみて目立ち難くすることができる。
・上記実施形態では、第1電極要素である駆動電極要素230に電圧信号が印加され、第2電極要素である浮遊電極要素231には電圧信号が印加されない。これに代えて、第1電極要素と第2電極要素とに別々に電圧信号が印加されてもよい。この場合、第2電極要素の端部には、第2電極要素に電圧信号を印加するための配線が接続される。第1電極要素に接続される端子部と、第2電極要素に接続される端子部とは、電圧信号ごとの別々の端子部である。上述のように、第2電極要素が調光シート210の端部に位置する形態であれば、第2電極要素への配線の接続が容易である。
例えば、第1電極要素の位置する第1領域は、第1電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、透明と不透明とに切り替えられる。そして、第2電極要素の位置する第2領域は、第2電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、第1領域とは独立して、透明と不透明とに切り替えられる。こうした構成によれば、第1領域と第2領域とが共に不透明な状態、第1領域が不透明で第2領域が透明な状態、第1領域が透明で第2領域が不透明な状態、第1領域と第2領域とが共に不透明な状態、の4つの状態の切り替えが可能である。したがって、調光シート210による空間の装飾状態をより多様に変化させることができるため、調光シート210の意匠性の更なる向上が可能である。
・第1領域と第2領域との少なくとも一方の光透過率が、透明と不透明との間に対応する光透過率に制御されてもよい。液晶組成物を含む調光層211を備える調光シート210においては、透明電極層212A,212B間の電位差が所定の範囲内である場合に、電位差の変化に伴って調光シート210の光透過率が徐々に変化する。そのため、第1領域あるいは第2領域において、透明電極層212A,212B間の電位差を、当該領域が透明となる電位差と当該領域が不透明となる電位差との間の値に制御することによって、当該領域を透明と不透明との間の光透過率を有する半透明に制御することができる。
具体的には、例えば、第1領域は、第1電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、透明と不透明とに切り替えられ、第2領域は、第2電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、半透明と不透明とに切り替えられる。第1領域が透明であるときには、第2領域は半透明に制御される。こうした構成によれば、第1領域と第2領域とが共に不透明な状態と、第1領域が不透明で第2領域が半透明な状態との切り替えが可能である。これによっても、調光シート210の意匠性の向上が可能である。
[第5実施形態]
図40から図47を参照して、調光シートの第5実施形態を説明する。本実施形態の調光シート310の型式は、ノーマル型である。ノーマル型の調光シート310は、調光シート310に電圧信号が印加されていないときに駆動対象の領域における入射光を散乱性を上昇させ、調光シート310に電圧信号が印加されたときに散乱性を低下させる。
図40から図47を参照して、調光シートの第5実施形態を説明する。本実施形態の調光シート310の型式は、ノーマル型である。ノーマル型の調光シート310は、調光シート310に電圧信号が印加されていないときに駆動対象の領域における入射光を散乱性を上昇させ、調光シート310に電圧信号が印加されたときに散乱性を低下させる。
[調光シート]
図40を参照して調光シート310の平面構造を説明する。
図40が示すように、調光シート310は、第1面311Fと、第1面311Fとは反対側の面である第2面311Rとを有する。調光シート310は、駆動領域320と、非駆動領域321とを有する。
図40を参照して調光シート310の平面構造を説明する。
図40が示すように、調光シート310は、第1面311Fと、第1面311Fとは反対側の面である第2面311Rとを有する。調光シート310は、駆動領域320と、非駆動領域321とを有する。
調光シート310は積層構造を有する。駆動領域320は、駆動電極要素330を積層構造の一部として含む領域である。駆動電極要素330は、調光シート310の駆動時に電圧信号が印加される電極要素である。駆動電極要素330への電圧信号の印加状態に応じて、駆動領域320の拡散透過率が変わる。駆動電極要素330は、第1電極要素の一例である。非駆動領域321は、浮遊電極要素331を積層構造の一部として含む領域である。浮遊電極要素331は、調光シート310の駆動時に電圧信号が印加されない電極要素である。浮遊電極要素331は、第2電極要素の一例である。調光シート310への電圧信号の印加状態に応じて駆動領域320の拡散透過率が変わる一方、調光シート310への電圧信号の印加状態に応じて非駆動領域321の拡散透過率は変化しない。図40が示す例では、非駆動領域321は、図柄に沿って設けられている。図柄は、例えば、文字、数字、記号、図形、絵柄、模様などのうちの1つまたは2つ以上の組み合わせである。
図40が示す非駆動領域321は、細長い線のような形状を有する。非駆動領域321は、第1端部321Aと第2端部321Bとの間における複数の箇所において屈曲している。非駆動領域321は、駆動領域320を、所定の図柄の形状を有する第2駆動領域320Bと、第2駆動領域320B外に位置する第1駆動領域320Aとに画定している。また、非駆動領域321では、第1端部321Aと第2端部321Bとの間において、非駆動領域321の一部と他の一部とが接触したり交差したりすることがなく、非駆動領域321の全体において、非駆動領域321の一部と他の一部との間に所定距離以上の間隔が保たれている。図40が示す例では、非駆動領域321の一部が他の一部に近接した領域3101においても、非駆動領域321の一部と他の一部との間に間隔が保たれている。
非駆動領域321によって画定された各駆動領域320A,320Bは、溝3120(図42参照)に挟まれた、すなわち、溝3120の第1の部分と第2の部分との間に位置する狭窄部330Aを介して電気的に導通されている。狭窄部330Aは、溝間領域の一例である。換言すると、駆動電極要素330は、導通部326に含まれる狭窄部330Aを備える。導通部326は、溝3120および浮遊電極要素331を含む非駆動領域321における第1の部分と第2の部分とに挟まれ、かつ、第1駆動領域320Aに第2駆動領域320Bを接続している。導通部326の幅、すなわち狭窄部330Aの幅は、駆動領域320A,320Bの幅に比べて狭い。非駆動領域321および導通部326は、第2駆動領域320Bを囲んでいる。第1駆動領域320Aは外側領域の一例であり、第2駆動領域320Bは内側領域の一例である。
調光シート310は、2つの接続領域324を備えている。接続領域324は、駆動領域320に電圧信号を印加するための領域である。接続領域324には、外部配線325が接続される。接続領域324と駆動領域320とは互いに隣り合い、これによって、駆動領域320は接続領域324に接続されている。
一方の接続領域324は、第1接続領域324Aであり、他方の接続領域324は第2接続領域324Bである。第2接続領域324Bは、調光シート310の第1面311Fと対向する視点から見て、調光シート310の外部に露出している。第1接続領域324Aは、調光シート310の第2面311Rと対向する視点から見て、調光シート310の外部に露出している。第1接続領域324Aと第2接続領域324Bとは、調光シート310の縁に沿って並んでいる。第1接続領域324Aと第2接続領域324Bとが並ぶ方向が、第1方向である。
接続領域324を介して調光シート310に電圧信号が印加されると、調光シート310に電圧信号が印加されていない状態に比べて、駆動領域320A,320Bの拡散透過率が低くなる。一方、調光シート310に電圧信号が印加されても、非駆動領域321の拡散透過率は変化しない。このため、調光シート310に、線状の非駆動領域321によって画定される図柄3100が浮かび上がる。このとき、非駆動領域321によって囲まれた第2駆動領域320Bでは拡散透過率が低められるため、いわゆる「白抜き」の図柄3100が表示される。なお、図40が示す調光シート310は、非駆動領域321によって1つの図柄を表示するものであるが、複数の図柄を表示してもよい。つまり、調光シート310は、それぞれ接続せずに独立した非駆動領域321を複数備えていてもよい。
図41および図42を参照して調光シート310の積層構造を説明する。図41は、図40におけるV‐V線に沿った断面図であり、駆動領域320の一部および接続領域324での調光シート310の断面構造を示す。なお、図41における各層の厚さの比は、説明のため便宜的に示すものであり、各層の厚さの比は図に示す厚さの比に限定されない。また、図41では、図示の便宜上、調光シート310が備える抗ウイルスフィルムの図示が省略されている。第5実施形態の調光シート310は、第1実施形態の調光シートが備える抗ウイルスフィルム、および、第1実施形態の変更例に記載の抗ウイルスフィルムまたは抗ウイルス層を備えることが可能である。
図41が示すように、調光シート310は、調光層311、第1透明電極層312A、第2透明電極層312B、第1透明支持層313A、および、第2透明支持層313Bを有する。調光層311は、第1透明電極層312Aと第2透明電極層312Bとに挟まれている。第1透明支持層313Aは、第1透明電極層312Aのうち、調光層311に接する面とは反対側の面を単一の連続面である支持面3130で支持している。第2透明支持層313Bは、第2透明電極層312Bのうち、調光層311に接する面とは反対側の面を支持している。なお、調光層311は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。多層構造の調光層311は、例えば、調光機能を有する機能層と、機能層と第1透明電極層312Aとの間、機能層と第2透明電極層312Bとの間の密着性を高める機能層とを備えていてもよい。
さらに、調光シート310は、保護層344を備えている。保護層344は、第1透明支持層313Aに対して第1透明電極層312Aとは反対側に位置する。保護層344は、図示しない粘着層を介して第1透明支持層313Aに固定されていてもよい。なお、調光シート310が抗ウイルスフィルムを備える場合には、調光シート310は、保護層344および粘着層に代えて抗ウイルスフィルムを備えてもよい。あるいは、調光シート310は、保護層344上に抗ウイルスフィルムを備えてもよい。この場合には、抗ウイルスフィルムの粘着層が保護層344に接する。
調光シート310の第1面311Fは、保護層344における第1透明支持層313Aに向かい合う面とは反対側の面である。調光シート310の第2面311Rは、第2透明支持層313Bにおける第2透明電極層312Bに向かい合う面とは反対側の面である。第2面311Rは、図示しない粘着層を介して、ガラスや樹脂などからなる透明板に貼り付けられる。透明板は、例えば、住宅、店舗、駅、空港などの各種の建物が備える窓ガラス、オフィス、医療機関、介護施設に設置されたパーティション、店舗に設置されたショーウインドウ、または車両や航空機などの移動体が備える窓ガラスやウインドシールドである。透明板の各表面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。なお、調光シート310が抗ウイルスフィルムを備える場合には、抗ウイルスフィルムの粘着層が調光シート310の第2面311R上に位置し、かつ、抗ウイルスフィルムが透明板に貼り付けられる。
接続領域324は、上述したように、第1接続領域324Aと第2接続領域324Bとを含む。第1接続領域324Aには、第1透明電極層312Aに電圧信号を印加するための外部配線325が接続される。第2接続領域324Bには、第2透明電極層312Bに電圧信号を印加するための外部配線325が接続される。
第1接続領域324Aには、調光層311、第2透明電極層312B、および、第2透明支持層313Bが位置せず、これにより、第1透明電極層312Aの一部が外部に露出している。第1接続領域324Aにおいて露出した第1透明電極層312Aの一部に、第1端子部350Aが接続されている。すなわち、駆動電極要素330は、駆動領域320から第1接続領域324Aまで延び、かつ、第1接続領域324Aにおいて、駆動電極要素330に第1端子部350Aが接続されている。すなわち、第1透明電極層312Aは、駆動電極要素330を含み、かつ、駆動領域320が駆動電極要素330の一部を含み、第1接続領域324Aが駆動電極要素330の他の一部を含んでいる。
第2接続領域324Bには、調光層311、第1透明電極層312A、第1透明支持層313A、および、保護層344が位置せず、これにより、第2透明電極層312Bの一部が露出している。第2接続領域324Bにおいて露出した第2透明電極層312Bの一部に、第2端子部350Bが接続されている。
第1端子部350Aと第2端子部350Bとの各々には、外部配線325が接続されている。各外部配線325は、制御部350に接続されている。制御部350は、第1端子部350Aを通じて、第1透明電極層312Aの駆動電極要素330に電圧信号を印加し、第2端子部350Bを通じて、第2透明電極層312Bに電圧信号を印加する。これにより、制御部350は、駆動領域320における第1透明電極層312Aと第2透明電極層312Bとの間の電位差を制御する。第2透明電極層312Bは、例えば、グランド電位に制御される。調光シート310と制御部350とから、調光装置が構成される。
調光層311は、透明高分子層と液晶組成物とを備えている。透明高分子層は、液晶組成物が充填される空隙を有している。液晶組成物は、透明高分子層が有する空隙に充填されている。液晶組成物は液晶分子を含む。液晶分子は、第1実施形態において列挙された液晶分子のいずれかであってよい。なお、調光層311が単層構造である場合には、調光層311は透明高分子層と液晶組成物とを備える機能層のみからなる。
液晶組成物の保持型式は、第1実施形態において列挙された保持型式のいずれかであってよい。なお、液晶組成物は、第1実施形態と同様に、上述した液晶分子以外に、透明高分子層を形成するためのモノマー、および、二色性色素などを含んでもよい。なお、図41が示す例では、調光層311は、スペーサー315を含んでいる。スペーサー315は、調光層311の厚さを一定の範囲内に保持する。
第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bの各々は、導電性を有し、可視領域の光に対して透明である。第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bを形成するための材料は、第1実施形態において列挙された材料のいずれかであってよい。
第1透明支持層313Aおよび第2透明支持層313Bの各々は、可視領域の光に対して透明な基材である。第1透明支持層313Aおよび第2透明支持層313Bを形成するための材料は、第1実施形態において列挙された材料のいずれかであってよい。
第1端子部350A、および、第2端子部350Bの各々は、例えば、導電性接着層と、配線基板とを備える。導電性接着層は、第1実施形態において列挙された接着層のいずれかであってよい。配線基板は、第1実施形態と同様に、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)である。あるいは、第1端子部350A、および、第2端子部350Bの各々は、第1実施形態と同様に、導電性テープなどの導電性材料であってよい。第1端子部350Aおよび第2端子部350Bが導電性テープである場合には、第1端子部350Aおよび第2端子部350Bに対して外部配線325がはんだ付けされてよい。
駆動領域320において、調光層311のうち駆動領域320に含まれる部分では、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bの間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向が変わる。液晶分子における配向の変化は、調光層311に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、および、透過度合いを変える。具体的には、駆動領域320の第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則である。そのため、調光層311に入射した光の散乱度合いは大きくなり、駆動領域320は濁って見える。すなわち、調光層311に電圧信号が印加されていないとき、駆動領域320は不透明である。一方、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bに電圧信号が印加され、第1透明電極層312Aと第2透明電極層312Bとの間に所定値以上の電位差が生じると、液晶分子が配向され、液晶分子の長軸方向が第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312B間の電界方向に沿う。結果として、調光層311を光が透過しやすくなり、すなわち調光層311での拡散が抑えられるから、駆動領域320は透明を呈する。
図42は、図40におけるVI‐VI線に沿った断面構造を示している。当該断面構造は、非駆動領域321の断面構造を含む。
図42が示すように、駆動領域320は、第1透明電極層312Aの一部である駆動電極要素330を含む。また、非駆動領域321は、浮遊電極要素331が位置する浮遊領域322と、溝3120が位置する境界領域323とを含む。溝3120は、浮遊電極要素331の外縁を取り囲んでいる。境界領域323には、駆動電極要素330および浮遊電極要素331が含まれない。浮遊領域322は、溝3120からなる境界領域323によって画定されている。また、駆動電極要素330と浮遊電極要素331とは、第1透明支持層313Aの支持面3130に沿って並ぶ別々の層状体である。第1透明電極層312Aにおいて、溝3120と浮遊電極要素331とが、非駆動要素を構成している。駆動電極要素330のうち、第1駆動領域320Aに含まれる部分が、第1駆動電極要素であり、第2駆動領域320Bに含まれる部分が、第2駆動電極要素である。
図42が示すように、駆動領域320は、第1透明電極層312Aの一部である駆動電極要素330を含む。また、非駆動領域321は、浮遊電極要素331が位置する浮遊領域322と、溝3120が位置する境界領域323とを含む。溝3120は、浮遊電極要素331の外縁を取り囲んでいる。境界領域323には、駆動電極要素330および浮遊電極要素331が含まれない。浮遊領域322は、溝3120からなる境界領域323によって画定されている。また、駆動電極要素330と浮遊電極要素331とは、第1透明支持層313Aの支持面3130に沿って並ぶ別々の層状体である。第1透明電極層312Aにおいて、溝3120と浮遊電極要素331とが、非駆動要素を構成している。駆動電極要素330のうち、第1駆動領域320Aに含まれる部分が、第1駆動電極要素であり、第2駆動領域320Bに含まれる部分が、第2駆動電極要素である。
駆動電極要素330と浮遊電極要素331とは、溝3120によって分離されている。本実施形態において、溝3120は、第1透明電極層312Aにおいて調光層311に接する面に開口部3122を有している。溝3120は、第1透明電極層312Aを貫通し、かつ、第1透明支持層313Aの厚さ方向における途中まで延びている。駆動電極要素330と浮遊電極要素331とは、溝3120で分離されることによって互いに絶縁されている。
溝3120の幅L2は、スペーサー315の直径よりも小さくてもよい。これにより、溝3120にスペーサー315が入り込むことが抑制される。また、溝3120には、液晶組成物が充填されている。液晶組成物は溝3120の一部に充填されていればよく、溝3120全体に充填されていなくてもよい。溝3120に液晶組成物が充填されることにより、調光シート310の非駆動時において、第1面311Fと対向する視点から、または第2面311Rと対向する視点から調光シート310が視認された場合に、溝3120が目立ち難い。すなわち、溝3120内に液晶組成物が位置するから、透明電極層312A,312B間に電圧が印加されていない場合に、調光シート310において、溝3120と溝3120以外の部分における拡散透過率の差を抑えることが可能である。これにより、溝3120が視認されることが抑えられる。
図43および図44を参照して、非駆動領域321について説明する。図43は、図40における領域3101を拡大した図である。
図43が示すように、狭窄部330Aを含む導通部326は、非駆動領域321の第1の部分と第2の部分とを接続するように位置してもよい。あるいは、導通部326は、第1端部321Aと第2端部321Bとの間に設けられてもよい。非駆動領域321外の第1駆動領域320Aと、非駆動領域321内の第2駆動領域320Bとの導通性を確保する観点では、導通部326が含む狭窄部330Aの幅L1は、1mm以上であってよい。
図43が示すように、狭窄部330Aを含む導通部326は、非駆動領域321の第1の部分と第2の部分とを接続するように位置してもよい。あるいは、導通部326は、第1端部321Aと第2端部321Bとの間に設けられてもよい。非駆動領域321外の第1駆動領域320Aと、非駆動領域321内の第2駆動領域320Bとの導通性を確保する観点では、導通部326が含む狭窄部330Aの幅L1は、1mm以上であってよい。
図43が示す例では、非駆動領域321の第1端部321Aと、非駆動領域321のうち、第1端部321Aからの距離が最も小さい対向部とが並ぶ方向において、第1端部321Aと対向部との間の幅L1が1mm以上であってよい。すなわち、非駆動領域321において、第1の部分と第2の部分とは、駆動領域320の一部によって互いから隔てられている。駆動領域320のうち、非駆動領域321の第1の部分と第2の部分とを隔てる部分が、狭窄部330Aを含む導通部326である。狭窄部330Aは、第1の部分が含む浮遊電極要素331の一部を囲む溝3120の一部と、第2の部分が含む浮遊電極要素331の一部を囲む溝3120の一部との間に位置している。
狭窄部330Aの幅L1が1mm以上であることによって、狭窄部330Aの抵抗値が上昇することが抑えられ、これによって、駆動電圧が印加された場合に、駆動領域320A,320Bにおける拡散透過率が等しくならないことが抑えられる。例えば、駆動電圧が印加されても、第2駆動領域320Bが不透明な状態から透明な状態に変化しないことが抑えられる。また、図40が示すような白抜きの図柄3100を調光シート310に表示する場合、意匠性を高める観点では、狭窄部330Aの幅L1は30mm以下であってよい。狭窄部330Aの幅L1が30mm以下であることによって、所望の図柄が表示されやすい。
狭窄部330Aは、溝間領域の一例であり、第1透明電極層312Aのなかで狭窄部330Aを画定する溝3120によって括れた部分である。狭窄部330Aと第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が、0.01N以上であってよい。剥離強度は、JIS A 5759:2016「建築窓ガラス用フィルム」の6.9.3 a)180度引き剥がし試験に準じて測定された値である。狭窄部330Aと第2透明電極層312Bとの間における剥離強度が0.01N以上であるから、調光シート310のうち、狭窄部330Aを含む部分での剥離を抑えることが可能である。これにより、第1透明電極層312Aに溝3120に挟まれた狭窄部330Aが形成されるように、第1透明電極層312Aのパターニングを行った場合でも、剥離に起因した導通の不良を抑えることができ、これによって、調光シート310の意匠性を高めることが可能である。
狭窄部330Aの幅が2mm以上である場合には、狭窄部330Aの幅方向での単位長さ当たりにおける狭窄部330Aと第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が、0.1N/10mmであってよい。このように、単位長さ当たりにおける狭窄部330Aと第2透明電極層312Bとの間ので剥離強度が0.1N/10mm以上であるから、調光シート310が2mm以上の幅を有した狭窄部330Aを有する場合に、狭窄部330Aを含む部分での剥離が抑えられる。
なお、溝間領域と第2透明電極層との間の剥離強度は、例えば、調光層311が含む透明高分子層の機械的な強度を変えることによって変わる。調光シート310は、透明高分子層の機械的な強度が高いほど剥離強度が高い傾向を有する。透明高分子層の機械的な強度は、調光層311を形成する際の調光材において、液晶の質量に対する重合性組成物の質量の比を大きくすることによって、透明高分子層の機械的な強度を高めることが可能である。また、調光シート310は、透明高分子層と透明電極層を含む透明フィルムとの間の密着性が高いほど剥離強度が高い傾向を有する。
また、非駆動領域321は、図柄3100に応じて屈曲部3102を有する。屈曲部3102は、湾曲したり折れ曲がったりした部分である。図43が示すように、非駆動領域321の屈曲部3102が湾曲している場合、屈曲部3102のうち、第1接線3105と第2接線3106とが形成する第1角度θ1の最小値は、10度以上であってよい。なお、第1接線3105は、屈曲部3102の外側において屈曲部3102における第1の部分に接する接線であり、第2接線3106は、屈曲部3102の外側において屈曲部3102における第2の部分に接する接線である。第1の部分と第2の部分とは、屈曲部3102が含む屈曲点を挟むように、屈曲部に設定される。また、第1の部分と第2の部分とは、第1の部分と第2の部分との間に駆動領域320の一部を挟まないように設定される。
図44が示すように、非駆動領域321は、屈曲点を挟む2つの直線状の部分によって構成される屈曲部3102を含んでもよい。2つの直線上の部分は、第1直線部と第2直線部である。当該屈曲部3102において、第1直線部と第2直線部との間には、駆動領域320の一部が挟まれている。第1直線部と第2直線部とが形成する第2角度θ2の最小値は、10度以上であってよい。なお、第2角度θ2は、第1直線部が含む溝3120の一部と、第2直線部が含む溝3120の一部とが、屈曲部3102の内側において形成する角度である。
第1角度θ1および第2角度θ2が10度未満であると、溝3120を形成する工程または形成した後に、第1透明支持層313Aおよび第1透明電極層312Aがこれらと隣り合う層から剥離する可能性がある。これに対して、第1角度θ1および第2角度θ2が10度以上である場合には、第1透明支持層313Aおよび第1透明電極層312Aの剥離を抑制し、また、非駆動領域321によって描かれる図柄を明瞭にすることができる。
図44が示す屈曲部3102に囲まれる領域において、溝3120は、溝屈曲部120GBを備えている。溝屈曲部120GBは、溝3120のうち、第1溝部GB1と第2溝部GB2とが屈曲点GB3で折り返された部分である。溝屈曲部120GBは、溝屈曲部120GBの幅、すなわち溝間領域の幅が1mm以上である部分を含んでよい。
溝間領域の幅は、以下のように定義される。図44が示す例によるように、第1溝部GB1と第2溝部GB2とが直線状を有する場合には、まず、第1溝部GB1に沿う第1仮想線と、第2溝部GB2の沿う第2仮想線とを定める。第1仮想線と第2仮想線とによって形成される三角形の頂角を二等分する二等分線と直交する方向における第1仮想線と第2仮想線との間の距離が、溝間領域の幅である。
これに対して、第1溝部GB1および第2溝部GB2の少なくとも一方が曲線状を有する場合には、曲線状を有した溝部の法線方向に延びる直線上における第1溝部GB1と第2溝部GB2との間の距離が、溝間領域の幅である。
溝屈曲部120GBにおいて、狭窄部330Aと同様に、溝間領域と第2透明電極層312Bとの間における剥離強度が、0.01N以上であってよい。溝間領域と第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が0.01N以上であることによって、調光シート310のうち、溝屈曲部120GBによって挟まれた溝間領域を含む部分において生じる剥離を抑えることが可能である。
また、溝間領域は、溝間領域の幅が2mm以上である部分を含んでよい。当該部分では、溝間領域の幅方向での単位長さ当たりにおける溝間領域と第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が、0.1N/10mmであってよい。調光シート310のうち、溝間領域を含む部分の少なくとも一部において溝間領域と第2透明電極層312Bとの間での剥離が抑えられる。これにより、調光シート310のうち、溝間領域を含む部分の少なくとも一部では、透明電極層312A,312B間への電圧の印加の有無により、光学特性が変わるから、調光シート310の意匠性を高めることが可能である。
一方で、第1透明電極層312Aは、溝3120と溝間領域に加えて、導電領域を備えている。導電領域は、溝間領域よりも広い領域である。すなわち、導電領域は、溝間領域の幅よりも小さい幅を有した部分を含まない領域である。図44が示す例では、第1透明電極層312Aのうち、第1駆動領域320Aに含まれる部分が、導電領域である。導電領域と第2透明電極層312Bとの間における剥離強度は、0.38N/25mm以上であってよい。
導電領域と第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が0.38N/25mmであるから、導電領域よりも幅の狭い溝間領域においても、第2透明電極層312Bとの間での剥離が抑えられる。これにより、調光シートのうち、剥離に起因した導通の不良が抑えられるから、調光シートの意匠性を高めることが可能である。
図45は、調光シート310における第1接続領域324Aと、非駆動領域321の一部とを含む領域を拡大して示している。
図45が示すように、第1接続領域324Aは、第1透明電極層312Aに電圧を印加する第1端子部350Aを含んでいる。第1接続領域324Aは、第1透明電極層312Aのなかで、調光層311から露出する部分に縁取られている。なお、第2接続領域324Bも、第1接続領域324Aと同様に、第2透明電極層312Bに電圧を印加する第2端子部350Bを含んでいる(図41参照)。第2接続領域324Bは、第1接続領域324Aと同様に、第2透明電極層312Bのなかで調光層311から露出する部分に縁取られている。
図45が示すように、第1接続領域324Aは、第1透明電極層312Aに電圧を印加する第1端子部350Aを含んでいる。第1接続領域324Aは、第1透明電極層312Aのなかで、調光層311から露出する部分に縁取られている。なお、第2接続領域324Bも、第1接続領域324Aと同様に、第2透明電極層312Bに電圧を印加する第2端子部350Bを含んでいる(図41参照)。第2接続領域324Bは、第1接続領域324Aと同様に、第2透明電極層312Bのなかで調光層311から露出する部分に縁取られている。
第1接続領域324Aと第2接続領域324Bとが並ぶ第1方向に沿って延び、かつ、第1接続領域324Aを通る直線が第1直線SL1である。第1方向に沿って溝を通る直線が第2直線SL2である。第1直線SL1と第2直線SL2との間における最短距離Dは、5mm以上50mm以下であってよい。
第1接続領域を通る第1直線SL1と、溝3120を通る第2直線SL2との間における最短距離Dが5mm以上である。そのため、最短距離Dが50mm以下である第1接続領域324Aの近傍に浮遊電極要素331を配置した場合であっても、駆動電極要素330のうち、第1接続領域324Aと浮遊電極要素331との間に位置する部分での抵抗値の上昇が抑えられる。これにより、駆動電極要素330のうち、第1接続領域324Aからの距離が浮遊電極要素331よりも大きい部分に対して印加される実効電圧が小さくなることが抑えられる。これにより、透明電極層312A,312B間への電圧の印加の有無によって、調光シート310の全体における光学特性の変更が可能であるから、調光シート310の意匠性を高めることが可能である。
第1透明電極層312Aにおいて、第1接続領域324Aと隣り合う領域が、単位領域である。単位領域は、第1方向に沿って延び、かつ、第1接続領域324Aを通る第1直線SL1によって第1接続領域324Aから区切られる。第1方向における単位領域の長さが100mmであり、かつ、第1方向に直交する第2方向における単位領域の長さが100mmである。単位領域において、駆動電極要素330の面積(A1)と浮遊電極要素331の面積(A2)との総和(A1+A2)に対する、浮遊電極要素331の面積の百分率{100×A2/(A1+A2)}が30%以上であってよい。これにより、第1接続領域324Aを通る第1直線SL1と、溝3120を通る第2直線SL2との間における最短距離Dが5mm以上であることの実効性を高めることが可能である。
[調光シートの製造方法]
図46を参照して、調光シート310の製造方法の一例について説明する。
まず、第1フィルム351Aと第2フィルム351Bとを準備する。第1フィルム351Aは、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aを備えている。第2フィルム351Bは、第2透明電極層312Bおよび第2透明支持層313Bを備えている。
図46を参照して、調光シート310の製造方法の一例について説明する。
まず、第1フィルム351Aと第2フィルム351Bとを準備する。第1フィルム351Aは、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aを備えている。第2フィルム351Bは、第2透明電極層312Bおよび第2透明支持層313Bを備えている。
このうち、第1フィルム351Aに対し、第1透明電極層312Aにおいて、第1透明支持層313Aに接する面とは反対側の面から、カッティングプロッターを用いて溝3120を形成する。カッティングプロッターに接続された制御装置は、予め制御装置に入力された図柄に沿ってカッティングプロッターを動作させ、これによって、第1透明電極層312Aを貫通し、かつ、第1透明支持層313Aにおける厚さ方向の途中まで延びる溝3120を形成する。
なお、カッティングプロッター以外の装置を用いて溝3120を形成してもよい。例えば、カッティングプロッター以外の刃物、あるいは、レーザー切断装置を用いて、第1透明電極層312Aに溝3120を形成してもよい。レーザー切断装置は、例えばCO2レーザーを備えたレーザーなどであってよい。レーザ切断装置を用いる場合には、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aのうち、レーザ光を照射した箇所を直接的に破壊し、これによって、溝3120を形成することができる。
次に、ジビニルベンゼンなどを主材料とするスペーサー315と、スペーサー315を分散させるための分散媒とを含む液状体を準備する。そして、第1フィルム351Aにおける第1透明電極層312Aと、第2フィルム351Bにおける第2透明電極層312Bとに液状体を塗布する。これによって、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bにスペーサー315を散布する。さらに、スペーサー315を散布したフィルム351A,351Bを加熱し、これによって液状体中の分散媒を除去する。なお、第1フィルム351Aおよび第2フィルム351Bのいずれかのみにスペーサー315を散布してもよい。
そして、第1透明電極層312Aと第2透明電極層312Bとに、液晶組成物および透明高分子層を形成するための重合性組成物を含む調光材を塗布する。さらに、フィルム351A,351Bに対し、窒素雰囲気下で紫外線照射を行い、これによって、調光層311A,311Bを形成する。次いで、調光層311A,311Bが互いに接するように第1フィルム351Aに第2フィルム351Bを積層して得られる積層体に所定の大きさの圧力をかけながら、第1フィルム351Aに第2フィルムを351Bを貼合する。これにより、溝3120に少なくとも液晶組成物の一部が充填される。溝3120には、透明高分子層の一部と液晶組成物の一部との両方が充填されてもよい。
調光シート310の製造方法は、ロールツーロール方式でもよいし、枚葉方式でもよい。ロールツーロール方式では、上流側のロールから引き出したフィルムを搬送している間に、フィルムに対して各種の処理を行った後に、処理後のフィルムを下流側のロールに巻き取る。枚葉方式では、所定の大きさに切断したフィルムに対して各種の処理を行う。いずれの場合も、第1フィルム351Aに溝3120を形成する工程は、調光層311を介して第1フィルム351Aに第2フィルム351Bを貼り付ける工程よりも前に行われる。
次に、所定の大きさを有した調光シート310に対して、第2面311Rの隅部に切り込みを入れることによって、第2透明支持層313Bの一部および第2透明電極層312Bの一部を剥離する。これによって、調光層311の一部が外部に露出する。さらに、調光層311のうち、外部に露出した部分を除去し、第1透明電極層312Aの一部を露出させ、これによって第1接続領域324Aを形成する。同様にして、第1面311Fの隅部にも、第2接続領域324Bを形成する。そして、第1端子部350Aを第1接続領域324Aに形成し、かつ、第2端子部350Bを第2接続領域324Bに形成する。次いで、外部配線325を各端子部350A,350Bに接続する。さらに、接続領域324をエポキシ樹脂などにより封止する。なお、第1透明支持層313Aに保護層344を貼り合わせる工程は、1対のフィルム351A,351Bを貼り合わせた後に行われてもよいし、フィルム351A,351Bの貼り合わせ前に行われてもよい。
このように、溝3120は、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aを切断することによって形成される。そのため、例えば、パターニングに要するレジストマスクの形成、エッチング、レジストマスクの除去、および、洗浄などの工程を含む製造方法に比べ、溝3120を簡便に形成することができる。
[作用]
図40および図47を参照して、本実施形態の作用について説明する。図47は、調光シート310の非駆動時、すなわち、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bに電圧信号が印加されていないときの調光シート310の透明度合いを模式的に示す。
図40および図47を参照して、本実施形態の作用について説明する。図47は、調光シート310の非駆動時、すなわち、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bに電圧信号が印加されていないときの調光シート310の透明度合いを模式的に示す。
図47が示すように、調光シート310の非駆動時において、駆動領域320と非駆動領域321とは、いずれも不透明である。それゆえに、調光シート310の全面が、例えば白っぽく濁って見えるから、非駆動領域321が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。
また、溝3120は、第1透明電極層312Aを貫通し、かつ、第1透明支持層313Aを貫通しない深さを有するため、調光シート310が第1面311Fおよび第2面311Rのいずれから視認されても、溝3120が目立たない。加えて、溝3120に調光材のうち、少なくとも液晶組成物が充填されることにより、調光シート310の非駆動時において、溝3120をさらに視認されにくくすることができる。これにより、図柄を表示していない状態での調光シート310の美観が高められる。
図40が示すように、調光シート310の駆動時には、駆動領域320が透明を呈する一方、非駆動領域321は、不透明を呈する。それゆえ、非駆動領域321のみが、例えば白っぽく濁って見えるから、非駆動領域321が構成する文字や絵柄などの図柄の像が視認可能である。このとき、非駆動領域321によって囲まれる第2駆動領域320Bと、非駆動領域321外の第1駆動領域320Aとに電圧信号が印加され、これによって、駆動領域320A,320Bが透明を呈する。
このように、本実施形態の調光シート310によれば、調光シート310の面内に、拡散透過率の互いに異なる領域が形成され、かつ、これらの領域における拡散透過率の差は、調光シート310の駆動時にのみ現れる。したがって、調光シート310の駆動時には、非駆動領域321が構成する文字や絵柄などの像が視認される。それゆえ、調光シート310の意匠性の向上が可能である。
また、調光シート310が表示する像によって、調光シート310が配設されている空間の装飾が可能である。さらに、調光シート310の駆動と非駆動との切り換えによって、上記像の出現の有無を切り換えることができるため、空間の装飾状態を動的に変化させることができる。
以上説明したように、調光シートの第5実施形態によれば以下に列挙する効果を得ることができる。
(5‐1)溝間領域と第2透明電極層312Bとの間における剥離強度が0.01N以上であるから、調光シート310のうち、溝間領域を含む部分での剥離を抑えることが可能である。
(5‐1)溝間領域と第2透明電極層312Bとの間における剥離強度が0.01N以上であるから、調光シート310のうち、溝間領域を含む部分での剥離を抑えることが可能である。
(5‐2)単位長さ当たりにおける狭窄部330Aと第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が0.1N/10mm以上であるから、調光シート310が2mm以上の幅を有した狭窄部330Aを有する場合に、狭窄部330Aを含む部分での剥離が抑えられる。
(5‐3)調光シート310のうち、溝屈曲部120GBによって挟まれた溝間領域を含む部分において生じる剥離を抑えることが可能である。
(5‐4)溝屈曲部120GBによって画定される溝間領域を含む部分の少なくとも一部において溝間領域と第2透明電極層312Bとの間での剥離が抑えられる。
(5‐4)溝屈曲部120GBによって画定される溝間領域を含む部分の少なくとも一部において溝間領域と第2透明電極層312Bとの間での剥離が抑えられる。
(5‐5)導電領域と第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が0.38N/25mmであるから、導電領域よりも幅の狭い溝間領域においても、第2透明電極層312Bとの間での剥離が抑えられる。
(5‐6)第1接続領域324Aの近傍に浮遊電極要素331を配置した場合であっても、駆動電極要素330のうち、第1接続領域324Aと浮遊電極要素331との間に位置する部分での抵抗値の上昇が抑えられる。これにより、駆動電極要素330のうち、第1接続領域324Aからの距離が浮遊電極要素331よりも大きい部分に対して印加される実効電圧が小さくなることが抑えられる。
(5‐7)駆動電極要素330に設けられた狭窄部330Aの幅が1mm以上であるため、溝3120の形成工程または溝3120の形成後において、第1透明電極層312Aまたは第1透明支持層313Aの剥離などが生じにくい。
(5‐8)狭窄部330Aの幅が1mm以上であるから、狭窄部330Aにおける抵抗の増大に起因する導通不良を抑制し、これによって、第1駆動領域320Aおよび第2駆動領域320Bの拡散透過率を適切に制御することができる。したがって、調光シート310に図柄を明瞭に表示させることができるため、調光シート310の意匠性を高めることができる。
(5‐9)第1駆動領域320Aと、非駆動領域321によって囲まれた第2駆動領域320Bが狭窄部330Aを含む導通部326によって導通されるため、駆動電極要素330に対する電圧信号の印加状態によって、駆動領域320A,320Bの拡散透過率の変化を同期させることができる。
(5‐10)非駆動領域321の屈曲部3102の角度または屈曲部3102の接線3105,3106同士がなす角度が10度以上である。そのため、溝3120の形成工程において、第1透明電極層312Aまたは第1透明支持層313Aの剥離などが生じにくく、これによって、駆動電極要素330および浮遊電極要素331を所望の形状に形成することが容易になる。このため、調光シート310に図柄を明瞭に表示させることができる。
(5‐11)駆動領域320および非駆動領域321を区画する溝3120は、第1透明電極層312Aを貫通し、かつ、第1透明電極層312Aを貫通しない深さを有する。そのため、第1透明支持層313Aの中で支持面3130とは反対側の面では溝3120による光の散乱が抑えられる。結果として、少なくとも支持面3130とは反対側の面と対向する位置から調光シート310を第1透明電極層312A側から見たときに溝3120を目立たなくすることができる。このため、調光シート310の美観を向上することができる。
[第6実施形態]
図48を参照して、調光シートの第6実施形態を説明する。なお、第6実施形態では、調光シート310の積層構造が第5実施形態の調光シート310と相違する。以下、第5実施形態と同様の部分については同一符号を付すことによって、その詳細な説明を省略する。なお、第6実施形態の調光シートも、第5実施形態の調光シート310と同様に、第1実施形態の調光シートが備える抗ウイルスフィルム、および、第1実施形態の変更例に記載の抗ウイルスフィルムまたは抗ウイルス層を備えることができる。
図48を参照して、調光シートの第6実施形態を説明する。なお、第6実施形態では、調光シート310の積層構造が第5実施形態の調光シート310と相違する。以下、第5実施形態と同様の部分については同一符号を付すことによって、その詳細な説明を省略する。なお、第6実施形態の調光シートも、第5実施形態の調光シート310と同様に、第1実施形態の調光シートが備える抗ウイルスフィルム、および、第1実施形態の変更例に記載の抗ウイルスフィルムまたは抗ウイルス層を備えることができる。
図48は、調光シート310の断面構造を示している。
図48が示すように、第1透明電極層312Aが含む駆動電極要素330と浮遊電極要素331とは、溝3120によって分離されている。溝3120は、第1透明電極層312Aの厚さ方向に沿って延びている。本実施形態において、溝3120は、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aを貫通している。溝3120は、第1透明電極層312Aにおいて調光層311に接する面に位置する開口部3122と、第1透明支持層313Aのうち、第1透明電極層312Aに接する面とは反対側の面に位置する開口部3124とを有している。駆動電極要素330と浮遊電極要素331とは、溝3120で分離されることによって互いに絶縁されている。
図48が示すように、第1透明電極層312Aが含む駆動電極要素330と浮遊電極要素331とは、溝3120によって分離されている。溝3120は、第1透明電極層312Aの厚さ方向に沿って延びている。本実施形態において、溝3120は、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aを貫通している。溝3120は、第1透明電極層312Aにおいて調光層311に接する面に位置する開口部3122と、第1透明支持層313Aのうち、第1透明電極層312Aに接する面とは反対側の面に位置する開口部3124とを有している。駆動電極要素330と浮遊電極要素331とは、溝3120で分離されることによって互いに絶縁されている。
調光シート310は、粘着層345と保護層344とをさらに備えている。溝3120内には、粘着層345の一部が充填されている。粘着層345は、保護層344と第1透明支持層313Aとを接合可能であって、透光性を有する材料から形成されていればよい。例えば、粘着層345は、透明性接着フィルム(Optical Clear Adhesive Film)であり、第1透明支持層313Aと保護層344とを接合する。なお、調光シート310が抗ウイルスフィルムを備える場合には、粘着層345および保護層344に代えて抗ウイルスフィルムを備えてもよい。あるいは、調光シート310は、保護層344上に位置する抗ウイルスフィルムを備えてもよい。この場合には、抗ウイルスフィルムの粘着層が、保護層344に接する。
本実施形態の調光シート310においても、第5実施形態における調光シート310と同様に、狭窄部330Aと第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が、0.01N以上であってよい。また、狭窄部330Aの幅が2mm以上である場合には、狭窄部330Aの幅方向での単位長さ当たりにおける狭窄部330Aと第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が、0.1N/10mmであってよい。また、溝屈曲部120GBの溝間領域と第2透明電極層312Bとの間における剥離強度が、0.01N以上であってよい。また、溝間領域は、溝間領域の幅が2mm以上である部分を含んでよい。当該部分では、溝間領域の幅方向での単位長さ当たりにおける溝間領域と第2透明電極層312Bとの間での剥離強度が、0.1N/10mmであってよい。
[調光シートの製造方法]
調光シート310の製造方法の一例について説明する。
第5実施形態と同様に、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aを備えた第1フィルム351Aと、第2透明電極層312Bおよび第2透明支持層313Bを備えた第2フィルム351Bとを準備する。さらに、各フィルム351A,351Bにスペーサー315を散布し、次いで、重合性組成物および液晶組成物を含む調光材を塗布する。調光材から調光層311A,311Bを形成した後、1対のフィルム351A,351Bを積層した状態で、一対のフィルム351A,351Bに所定の大きさの圧力をかけながら、第1フィルム351Aに第2フィルム351Bを貼合する。
調光シート310の製造方法の一例について説明する。
第5実施形態と同様に、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aを備えた第1フィルム351Aと、第2透明電極層312Bおよび第2透明支持層313Bを備えた第2フィルム351Bとを準備する。さらに、各フィルム351A,351Bにスペーサー315を散布し、次いで、重合性組成物および液晶組成物を含む調光材を塗布する。調光材から調光層311A,311Bを形成した後、1対のフィルム351A,351Bを積層した状態で、一対のフィルム351A,351Bに所定の大きさの圧力をかけながら、第1フィルム351Aに第2フィルム351Bを貼合する。
こうして形成された積層体のうち、第1透明支持層313Aの支持面3130とは反対側の表面3131(図48参照)から調光層311に達するまで切り込みを入れる。これによって、第1透明支持層313Aと第1透明電極層312Aとを貫通する溝3120を形成する。なお、第1実施形態と同様の方法によって、溝3120を形成することが可能である。その後、第1透明支持層313Aの表面3131に、粘着層345および保護層344を重ねる。
このように、第1透明電極層312A、第2透明電極層312B、調光層311、および、第1透明支持層313Aを備える調光シート310を形成した後に、調光シート310に対して溝3120が形成される場合には、調光シート310が以下を満たしてもよい。すなわち、調光シート310が、2mm以上の幅を有した溝間領域が形成されるための調光シートであって、調光シート310における剥離強度が、0.38N/25mm以上であってよい。溝間領域は、上述したように、狭窄部330Aでもよいし、溝屈曲部120GBに囲まれる領域でもよい。
この場合には、調光シート310が備える第1透明電極層312Aが、溝間領域を有するようにパターニングされても、調光シート310のうち、溝間領域を含む部分において剥離が生じることが抑えられる。これにより、剥離に起因した導通の不良を抑えることが可能であるから、調光シート310の意匠性を高めることが可能である。
なお、溝3120は、フィルム351A,351Bで調光層311を挟んだ積層体を形成した後に形成しなくてもよい。例えば、溝3120は、積層体を形成する工程のうち、以下のいずれかの工程間において形成されてもよい。すなわち、第1フィルム351Aにスペーサー315を散布する工程の前、スペーサー315を散布する工程と調光材を塗布する工程との間、調光層311Aを形成する工程とフィルム351A,351Bを積層する工程との間などにおいて溝3120が形成されてよい。
第6実施形態によれば、上述した(5‐1)から(5‐10)の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(6‐1)調光シート310が備える第1透明電極層312Aが、溝間領域を有するようにパターニングされても、調光シート310のうち、溝間領域を含む部分において剥離が生じることが抑えられる。
(6‐1)調光シート310が備える第1透明電極層312Aが、溝間領域を有するようにパターニングされても、調光シート310のうち、溝間領域を含む部分において剥離が生じることが抑えられる。
(6‐2)溝3120は第1透明支持層313Aおよび第1透明電極層312Aを貫通する深さを有するため、第1透明支持層313A、第1透明電極層312A、調光層311、第2透明電極層312B、および、第2透明支持層313Bを積層した後に、溝3120を形成することが可能である。また、各層を形成する工程間において溝3120を形成することも可能である。このため、調光シート310の製造工程における自由度を高めることができる。
[第5実施形態および第6実施形態の変更例]
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の各変形例は、組み合わせて実施してもよい。
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の各変形例は、組み合わせて実施してもよい。
[非駆動領域の数]
・各実施形態では、1つの線状を有した非駆動領域321で囲まれた第2駆動領域320Bと、非駆動領域321の外側に位置する第1駆動領域320Aとを、狭窄部330Aを含む導通部326で接続しているが、調光シート310が備える非駆動領域321の数は、1つに限定されない。
・各実施形態では、1つの線状を有した非駆動領域321で囲まれた第2駆動領域320Bと、非駆動領域321の外側に位置する第1駆動領域320Aとを、狭窄部330Aを含む導通部326で接続しているが、調光シート310が備える非駆動領域321の数は、1つに限定されない。
図49は、複数の非駆動領域321が設けられた調光シート310の一例を示す。
図49が示すように、非駆動領域321は、浮遊領域322と境界領域323とを備えている。境界領域323は枠状を有している。境界領域323は、閉じた領域である浮遊領域322を画定している。図49が示す例では、調光シート310が備える境界領域323は、星型を有する浮遊領域322を囲んでいる。言い換えれば、中空の星型を有する境界領域323によって、浮遊領域322が画定されている。
図49が示すように、非駆動領域321は、浮遊領域322と境界領域323とを備えている。境界領域323は枠状を有している。境界領域323は、閉じた領域である浮遊領域322を画定している。図49が示す例では、調光シート310が備える境界領域323は、星型を有する浮遊領域322を囲んでいる。言い換えれば、中空の星型を有する境界領域323によって、浮遊領域322が画定されている。
調光シート310は、互いに独立した異なる非駆動領域321を2つ備えている。2つの非駆動領域321の間には、互いに異なる2つの溝3120に挟まれた狭窄部330Aが位置している。狭窄部330Aは、第1透明電極層312Aにおいて、互いに異なる2つの溝3120同士が近接することで、幅が狭められた部分である。調光シート310において、狭窄部330Aを含む部分が導通部327であり、導通部327は、導通部327の周辺に位置する駆動領域320を導通させる。
狭窄部330Aの幅L3は、1mm以上であってよい。つまり、互いに異なる2つの非駆動領域321の間における距離は、1mm以上であってよい。狭窄部330Aの幅L3が1mm以上であることによって、狭窄部330Aにおける導通性の低下が抑えられ、これによって、狭窄部330Aを介して接続する駆動領域320における拡散透過率が等しくなりやすい。なお、図49に示す調光シート310は2つの非駆動領域321を有しているが、調光シート310は、3つ以上の非駆動領域321を有していてもよい。
・各実施形態において、溝3120は、浮遊電極要素331を囲む閉じた枠線状を有する。これに代えて、溝3120は、第1透明支持層313Aの支持面3130に沿って延び、かつ、以下を満たす場合に、浮遊電極要素331を囲む閉じた枠線状を有していなくてもよい。例えば、溝3120は、矩形状を有した調光シート310が備える四辺のうち、一つの辺における第1の端部に位置する始点から、浮遊領域322の外周を通り、第2の端部に位置する終点まで延びていてもよい。第2の端部は、調光シート310が備える四辺のうち、第1の端部と同じ辺に位置していてもよく、異なる辺に位置していてもよい。また、調光シート310が矩形状ではない場合でも、溝3120の始点および終点が調光シート310の端部に位置し、かつ、溝3120が延びる途中において、浮遊領域322の外周を通っていればよい。
[調光シートの型式]
・調光シート310の型式は、リバース型でもよい。リバース型の調光シート310では、透明電極層312A,312B間に電圧信号が印加されていないときに、入射光を透過させ、これによって拡散透過率を低め、かつ、電圧信号が印加されたときに、入射光を散乱させ、これによって拡散透過率を高める。
・調光シート310の型式は、リバース型でもよい。リバース型の調光シート310では、透明電極層312A,312B間に電圧信号が印加されていないときに、入射光を透過させ、これによって拡散透過率を低め、かつ、電圧信号が印加されたときに、入射光を散乱させ、これによって拡散透過率を高める。
図50は、リバース型の調光シート310における一例を示す。
図50が示すように、リバース型の調光シート310は、透明高分子層と液晶組成物とを備える機能層3111、第1配向層3112、および、第2配向層3113を備える。機能層3111、第1配向層3112および第2配向層3113は、調光層311を構成する。第1配向層3112は、機能層3111と第1透明電極層312Aとの間に位置し、かつ、これらの層と接する。第2配向層3113は、機能層3111と第2透明電極層312Bとの間に位置し、かつ、これらの層と接する。
図50が示すように、リバース型の調光シート310は、透明高分子層と液晶組成物とを備える機能層3111、第1配向層3112、および、第2配向層3113を備える。機能層3111、第1配向層3112および第2配向層3113は、調光層311を構成する。第1配向層3112は、機能層3111と第1透明電極層312Aとの間に位置し、かつ、これらの層と接する。第2配向層3113は、機能層3111と第2透明電極層312Bとの間に位置し、かつ、これらの層と接する。
第1配向層3112、および、第2配向層3113の各々は、例えば、垂直配向膜である。垂直配向膜は、調光層311の厚さ方向に沿って、液晶分子の長軸方向を配向させる。このように、第1配向層3112および第2配向層3113は、調光層311が含む複数の液晶分子における配向を規制する。第1配向層3112、および、第2配向層3113の各々を形成するための材料は、第1実施形態において列挙された材料のいずれかであってよい。
溝3120は、第1配向層3112のうち、調光層311に接する面に開口部3122を有し、かつ、第1配向層3112および第1透明電極層312Aを貫通する一方で、第1透明支持層313Aは貫通しない。つまり、溝3120の深さは、第1配向層3112の厚さ、第1透明電極層312Aの厚さおよび第1透明支持層313Aの厚さの和よりも小さい。溝3120には、調光層311の一部が充填される。また、溝3120は、第6実施形態の調光シート310が備える溝3120と同様に、第1透明支持層313Aを貫通していてもよい。
調光シート310が第1配向層3112および第2配向層3113を備える場合、駆動領域320において、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは調光層311の厚さ方向に沿う。したがって、駆動領域320は透明である。一方、駆動領域320において、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312Bに電圧信号が印加されているとき、液晶分子の長軸方向の向きは調光層311の厚さ方向と交差する。したがって、駆動領域320は、濁って見える、言い換えれば不透明を呈する。調光シート310が第1配向層3112および第2配向層3113を備える場合、浮遊領域322および境界領域323では、液晶分子における長軸方向の向きが常に調光層311の厚さ方向に沿うため、非駆動領域321は、常に透明である。
それゆえ、調光シート310の非駆動時において、駆動領域320は、いずれも透明であり、非駆動領域321が構成する文字や絵柄などの像は視認されない。一方、調光シート310の駆動時には、駆動領域320が不透明になる一方、非駆動領域321は透明であるため、非駆動領域321が構成する文字や絵柄などの像が視認可能となる。
このように、調光シート310が第1配向層3112および第2配向層3113を備える場合であっても、調光シート310の面内に、拡散透過率の互いに異なる領域が形成され、かつ、これらの領域の拡散透過率の差は、調光シート310の駆動時にのみ現れる。したがって、調光シート310の意匠性の向上が可能である。
また、図50が示す例では、溝3120は第1配向層3112を貫通するが、第1透明電極層312Aおよび第1透明支持層313Aからなる積層体に溝3120を形成した後、第1配向層3112を形成してもよい。この場合には、溝3120の底面および側面に沿うように第1配向層3112が形成される。この場合であっても、調光シートの第1面311Fまたは第2面311Rと対向する視点から調光シート310が視認された際に、溝3120を目立ち難くすることができる。
[溝の位置]
・図49が示すように、調光シート310が複数の溝3120を備える場合には、それらの溝3120は、調光シート310を構成する各層の積層方向、すなわち調光シート310の厚さ方向において、同じ深さに位置してよい。これに代えて、複数の溝3120は、積層方向における互いに異なる深さに位置してもよい。図51から図53にその例を列挙するが、それらの例の各々において、溝3120の形成方法は、上述した各実施形態の方法を用いることができる。また、以下ではノーマル型の調光シート310について説明しているが、以下に示す例は、リバース型の調光シート310に適用されてもよい。さらに、図51から図53が示す例では、溝3120に調光材が充填されていないが、溝3120の少なくとも一部には調光材が充填されていてもよい。
・図49が示すように、調光シート310が複数の溝3120を備える場合には、それらの溝3120は、調光シート310を構成する各層の積層方向、すなわち調光シート310の厚さ方向において、同じ深さに位置してよい。これに代えて、複数の溝3120は、積層方向における互いに異なる深さに位置してもよい。図51から図53にその例を列挙するが、それらの例の各々において、溝3120の形成方法は、上述した各実施形態の方法を用いることができる。また、以下ではノーマル型の調光シート310について説明しているが、以下に示す例は、リバース型の調光シート310に適用されてもよい。さらに、図51から図53が示す例では、溝3120に調光材が充填されていないが、溝3120の少なくとも一部には調光材が充填されていてもよい。
図51が示すように、第1溝3120Aは、第1透明支持層313Aおよび第1透明電極層312Aを貫通している。これに対して、第2溝3120Bは、第2透明電極層312Bのみを貫通している。第2溝3120Bは、第2透明支持層313Bを介して第2透明電極層312Bに形成されてもよい。この場合には、例えばレーザー切断装置を用いて第2溝3120Bを形成してよい。
図52が示すように、複数の溝3120は、第1透明支持層313Aから、少なくとも第1透明支持層313Aおよび第1透明電極層312Aに切り込みを入れることにより形成されている。第1溝3120Aは、第1透明支持層313Aおよび第1透明電極層312Aを貫通している。第2溝3120Bは、第1透明支持層313Aおよび第1透明電極層312Aに加え、調光層311および第2透明電極層312Bを貫通している。
図53が示すように、第1溝3120Aは、第1透明支持層313Aおよび第1透明電極層312Aを貫通している。第2溝3120Bは、第2透明支持層313Bおよび第2透明電極層312Bを貫通している。
・図51から図53が示す例の各々では、調光シート310の第1面311Fと対向する平面視において、第1溝3120Aに対して第2溝3120Bが重なっていない。各溝3120A,3120Bが位置する領域は、境界領域323である。また、第1溝3120Aおよび第2溝3120Bが、調光シート310の積層方向における同一の位置において、互いに接近するように形成された場合には、溝3120A,3120Bに挟まれた領域やその付近の強度が低下しやすい。この点、上述したように、溝3120A,3120Bの各々を積層方向における異なる位置に形成することにより、溝3120A,3120Bが互いに接近するように形成されても、調光シート310の強度の低下を抑えることができる。
[浮遊電極要素]
・各実施形態では、第1電極要素である駆動電極要素330に電圧信号が印加され、第2電極要素である浮遊電極要素331には電圧信号が印加されない。これに代えて、第1電極要素と第2電極要素とに別々に電圧信号が印加されてもよい。この場合、第2電極要素の端部には、第2電極要素に電圧信号を印加するための配線が接続される。第1電極要素に接続される端子部と、第2電極要素に接続される端子部とは、電圧信号ごとの別々の端子部である。
・各実施形態では、第1電極要素である駆動電極要素330に電圧信号が印加され、第2電極要素である浮遊電極要素331には電圧信号が印加されない。これに代えて、第1電極要素と第2電極要素とに別々に電圧信号が印加されてもよい。この場合、第2電極要素の端部には、第2電極要素に電圧信号を印加するための配線が接続される。第1電極要素に接続される端子部と、第2電極要素に接続される端子部とは、電圧信号ごとの別々の端子部である。
上述したように、第2電極要素が調光シート310の端部に位置する場合には、第2電極要素への配線の接続が容易である。例えば、第1電極要素の位置する第1領域は、第1電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、透明と不透明との間で切り替えられる。そして、第2電極要素の位置する第2領域は、第2電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、第1領域とは独立して、透明と不透明との間で切り替えられる。
この場合には、調光シート310が有する状態を、以下の4つの状態の間において切り替えることが可能である。すなわち、第1領域と第2領域とが共に不透明な第1状態、第1領域が不透明で第2領域が透明な第2状態、第1領域が透明で第2領域が不透明な第3状態、および第1領域と第2領域とが共に不透明な第4状態の間において、調光シート310の状態を切り替えることが可能である。したがって、調光シート310による空間の装飾状態をより多様に変化させることができるため、調光シート310の意匠性の更なる向上が可能である。
・第1領域と第2領域との少なくとも一方における拡散透過率が、透明と不透明との間に対応する拡散透過率に制御されてもよい。液晶組成物を含む調光層311を備える調光シート310においては、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312B間の電位差が所定の範囲内である場合に、電位差の変化に伴って調光シート310の拡散透過率が徐々に変化する。そのため、第1領域あるいは第2領域において、第1透明電極層312Aおよび第2透明電極層312B間の電位差を、各領域が透明となる電位差と各領域が不透明となる電位差との間の値に制御することによって、各領域を透明と不透明との間の拡散透過率を有する状態である半透明に制御することができる。
具体的には、例えば、第1領域は、第1電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、透明と不透明との間で切り替えられる一方で、第2領域は、第2電極要素への電圧信号の印加状態の切り換えによって、半透明と不透明との間で切り替えられる。また例えば、第1領域が透明であるときには、第2領域は半透明に制御される。これにより、第1領域と第2領域とが共に不透明な状態と、第1領域が不透明であり、かつ、第2領域が半透明である状態との間での切り替えが可能である。これによっても、調光シート310の意匠性の向上が可能である。
[狭窄部の数]
・第5実施形態では、非駆動領域321によって画定された駆動領域320A,320Bは、1つの狭窄部330Aを介して互いに電気的に導通する。これに代えて、非駆動領域321によって画定された駆動領域320A,320Bは、複数の狭窄部330Aを介して互いに電気的に導通してもよい。言い換えれば、調光シート310は、非駆動領域321に挟まれた導通部326を複数備えてもよい。各狭窄部330Aは、第5実施形態における狭窄部330Aと同様の構成を有する。例えば、図54が示すように、駆動領域320A,320Bは、2つの狭窄部330Aを介して互いに電気的に導通してもよい。各狭窄部330Aの幅は、例えば1mm以上であってよい。この場合には、調光シート310は、2つの非駆動領域321を備え、かつ、各非駆動領域321が第1端部321Aと第2端部321Bとを備えている。図54が示す例では、一方の狭窄部330Aが、第1の非駆動領域321の第2端部321Bと、第2の非駆動領域321の第1端部321Aとの間に位置している。
・第5実施形態では、非駆動領域321によって画定された駆動領域320A,320Bは、1つの狭窄部330Aを介して互いに電気的に導通する。これに代えて、非駆動領域321によって画定された駆動領域320A,320Bは、複数の狭窄部330Aを介して互いに電気的に導通してもよい。言い換えれば、調光シート310は、非駆動領域321に挟まれた導通部326を複数備えてもよい。各狭窄部330Aは、第5実施形態における狭窄部330Aと同様の構成を有する。例えば、図54が示すように、駆動領域320A,320Bは、2つの狭窄部330Aを介して互いに電気的に導通してもよい。各狭窄部330Aの幅は、例えば1mm以上であってよい。この場合には、調光シート310は、2つの非駆動領域321を備え、かつ、各非駆動領域321が第1端部321Aと第2端部321Bとを備えている。図54が示す例では、一方の狭窄部330Aが、第1の非駆動領域321の第2端部321Bと、第2の非駆動領域321の第1端部321Aとの間に位置している。
[狭窄部の幅]
・狭窄部330Aの幅L1は、1mm未満であってもよい。この場合であっても、狭窄部330Aの幅L1が1mm以上である場合に比べて、透明電極層312A,312B間に印加される電圧を高くすることによって、狭窄部330Aを含む導通部326によって接続された第1駆動領域320Aと第2駆動領域320Bとの間における拡散透過率の差を抑えることが可能である。あるいは、狭窄部330Aの幅が1mm以上である場合に比べて、狭窄部330Aを含む導通部326の接続先である第2駆動領域320Bの面積を小さくすることによって、第1駆動領域320Aと第2駆動領域320Bとの間における拡散透過率の差を抑えることが可能である。
・狭窄部330Aの幅L1は、1mm未満であってもよい。この場合であっても、狭窄部330Aの幅L1が1mm以上である場合に比べて、透明電極層312A,312B間に印加される電圧を高くすることによって、狭窄部330Aを含む導通部326によって接続された第1駆動領域320Aと第2駆動領域320Bとの間における拡散透過率の差を抑えることが可能である。あるいは、狭窄部330Aの幅が1mm以上である場合に比べて、狭窄部330Aを含む導通部326の接続先である第2駆動領域320Bの面積を小さくすることによって、第1駆動領域320Aと第2駆動領域320Bとの間における拡散透過率の差を抑えることが可能である。
[非駆動領域]
・調光シート310は、第1電極要素および溝3120Cを備える一方で、第2電極要素を備えていなくてもよい。溝3120Cは、調光シート310の第1面311Fと対向する視点から調光シート310が視認された場合に、溝3120Cの形状を観察者が認識できる程度に広い幅を有している。図55が示す例では、調光シート310は、第1電極要素および溝3120Cを備える一方で、溝3120Cによって第1電極要素から絶縁された第2電極要素を備えていない。調光シート310のうち、第1電極要素を含む部分は、電圧信号の印加状態に応じて拡散透過率を変える。溝3120Cは、調光シート310を貫通しない凹部であってよい。
・調光シート310は、第1電極要素および溝3120Cを備える一方で、第2電極要素を備えていなくてもよい。溝3120Cは、調光シート310の第1面311Fと対向する視点から調光シート310が視認された場合に、溝3120Cの形状を観察者が認識できる程度に広い幅を有している。図55が示す例では、調光シート310は、第1電極要素および溝3120Cを備える一方で、溝3120Cによって第1電極要素から絶縁された第2電極要素を備えていない。調光シート310のうち、第1電極要素を含む部分は、電圧信号の印加状態に応じて拡散透過率を変える。溝3120Cは、調光シート310を貫通しない凹部であってよい。
図55が示す例では、溝3120Cは、C字状を有している。調光シート310において、溝3120Cが形成された領域は、電極要素を含まない。溝3120Cには、透明高分子層および液晶組成物の少なくとも一方が充填されている。または、溝3120Cには、透明高分子層および液晶組成物以外の物質が充填されていてもよく、あるいは、溝3120Cは、物質が充填されない領域である空隙であってもよい。
なお、溝3120Cに液晶組成物および透明高分子層の少なくとも一方が充填される場合には、溝3120Cは散乱性を有する。この場合には、調光シート310の非駆動時において、溝3120Cが形成されていない駆動領域320と溝3120Cとは、いずれも不透明である。一方、調光シート310の駆動時には、駆動領域320が透明を呈する一方、溝3120Cは、不透明を呈した状態を維持する。それゆえに、溝3120Cのみが、例えば白っぽく、言い換えれば濁って見え、これにより、溝3120Cが形成する文字や絵柄などの図柄の像が視認可能である。図55が示す例では、「C」の文字が視認可能となる。
これに対して、例えば、透明高分子および液晶組成物以外の物質であって、液晶組成物および透明高分子層よりも散乱性が低い物質が溝3120Cに充填される場合には、また、溝3120Cが空隙である場合にも、溝3120は透明を呈する。この場合には、調光シート310の駆動時において、溝3120Cが形成されていない駆動領域320と溝3120Cとは、いずれも透明である。一方、調光シート310の非駆動時には、駆動領域320が不透明を呈する一方、溝3120Cは、透明を呈した状態を維持する。それゆえに、溝3120Cが形成する文字や絵柄などの図型の像が視認可能である。
また、調光シート310が複数の溝3120Cを有する場合、複数の溝3120Cによって画定される狭窄部330Aの幅L30は、1mm以上であってよい。また、一つの溝3120Cが形成する狭窄部330Aの幅L10は、1mm以上であってよい。第1透明電極層312Aのうち、溝3120Cによって囲まれた領域が第2駆動電極要素であり、溝3120C外に位置し、第2駆動電極要素に接続された領域が、第1駆動電極要素である。
[試験例]
図56から図60を参照して、試験例を説明する。
[抵抗値]
[試験例2‐1]
図56が示すように、透明電極層3140と透明支持層3141とを有する基材に、矩形状の抵抗値測定領域3143を形成した。抵抗値測定領域3143は、50mm×25mmの大きさとした。また、幅L4が50mm、長さL5が100mmの狭窄部3144(導通部)を介して二つの抵抗値測定領域3143を接続し、これによって測定サンプルを作製した。この際に、各抵抗値測定領域3143の長辺を狭窄部3144によって接続するように、測定サンプルを作製した。さらに、2つの抵抗値測定領域3143にテスターをつなげ抵抗値を測定した。
図56から図60を参照して、試験例を説明する。
[抵抗値]
[試験例2‐1]
図56が示すように、透明電極層3140と透明支持層3141とを有する基材に、矩形状の抵抗値測定領域3143を形成した。抵抗値測定領域3143は、50mm×25mmの大きさとした。また、幅L4が50mm、長さL5が100mmの狭窄部3144(導通部)を介して二つの抵抗値測定領域3143を接続し、これによって測定サンプルを作製した。この際に、各抵抗値測定領域3143の長辺を狭窄部3144によって接続するように、測定サンプルを作製した。さらに、2つの抵抗値測定領域3143にテスターをつなげ抵抗値を測定した。
[試験例2‐2]
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を20mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐2の測定サンプルを作製した。
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を20mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐2の測定サンプルを作製した。
[試験例2‐3]
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を10mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐3の測定サンプルを作製した。
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を10mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐3の測定サンプルを作製した。
[試験例2‐4]
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を5mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐4の測定サンプルを作製した。
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を5mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐4の測定サンプルを作製した。
[試験例2‐5]
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を2mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐5の測定サンプルを作製した。
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を2mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐5の測定サンプルを作製した。
[試験例2‐6]
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を1mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐6の測定サンプルを作製した。
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を1mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐6の測定サンプルを作製した。
[試験例2‐7]
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を0.5mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐7の測定サンプルを作製した。
試験例2‐1において狭窄部3144の幅L4を0.5mmとした以外は、試験例2‐1と同様の方法で試験例2‐7の測定サンプルを作製した。
[測定方法および評価結果]
各測定サンプルにおける抵抗値の測定には、デジタルマルチメータ(横河計測株式会社製、TY530)を用いた。
各測定サンプルにおける抵抗値の測定には、デジタルマルチメータ(横河計測株式会社製、TY530)を用いた。
図57が示すように、試験例2‐1から2‐6の測定サンプルにおける抵抗値(Ω)は、順に494Ω、719Ω、1,225Ω、2,259Ω、5,220Ω、10,900Ωであり、狭窄部3144の幅L4が小さくなるにつれて上昇することが認められた。試験例2‐7の測定サンプルでは、抵抗値が26,800Ωであり、試験2‐1から2‐6に比べて飛躍的に大きくなることが認められた。
[実効電圧]
次に、1対の基材の間に調光層を挟んだ調光シートにおいて実効電圧を測定した。
[試験例2‐8]
図41が示す調光シート310と同様の積層構造を有する調光シートを準備した。また、50mm×25mmの矩形状の特性測定領域を互いに離れた二箇所に確保し、これらの特性測定領域を狭窄部を含む導通部で接続した。導通部および狭窄部の幅を50mmに設定し、狭窄部の長さを100mmに設定した。
次に、1対の基材の間に調光層を挟んだ調光シートにおいて実効電圧を測定した。
[試験例2‐8]
図41が示す調光シート310と同様の積層構造を有する調光シートを準備した。また、50mm×25mmの矩形状の特性測定領域を互いに離れた二箇所に確保し、これらの特性測定領域を狭窄部を含む導通部で接続した。導通部および狭窄部の幅を50mmに設定し、狭窄部の長さを100mmに設定した。
さらに、図41が示す調光シート310に接続領域を形成する方法と同様の方法で、各特性測定領域に2つの接続領域を形成した。すなわち、各特性測定領域について、一方の面である第2面の隅部に切り込みを入れ、透明支持層および透明電極層を剥離した後、液晶を除去して接続領域を形成した。同様に、他方の面である第1面の隅部に切り込みを入れ、透明支持層および透明電極層を剥離した後、液晶を除去して接続領域を形成した。そして、これらの接続領域に外部配線を接続した。これにより、一方の特性測定領域に印加される電圧の制御を可能とし、かつ、他方の特性測定領域に対する実効電圧の測定器の接続を可能とした。
[試験例2‐9]
狭窄部の幅を20mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例2‐10]
狭窄部の幅を10mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
狭窄部の幅を20mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例2‐10]
狭窄部の幅を10mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例2‐11]
狭窄部の幅を5mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例2‐12]
狭窄部の幅を2mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
狭窄部の幅を5mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例2‐12]
狭窄部の幅を2mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例2‐13]
狭窄部の幅を1mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例2‐14]
狭窄部の幅を0.5mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
狭窄部の幅を1mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[試験例2‐14]
狭窄部の幅を0.5mmとした以外は、試験例1‐8と同様に測定サンプルを作製した。
[測定方法および評価結果]
一方の特性測定領域に、電源装置(凸版印刷株式会社製、LP1-RS232)を接続した。そして、電源装置を用いて、40Hzの周波数を有し、かつ、矩形波状を有した80Vの電圧を印加した。そして、他方の特性測定領域に上述したデジタルマルチメータを接続し、デジタルマルメーターを用いて、実効電圧を測定した。
一方の特性測定領域に、電源装置(凸版印刷株式会社製、LP1-RS232)を接続した。そして、電源装置を用いて、40Hzの周波数を有し、かつ、矩形波状を有した80Vの電圧を印加した。そして、他方の特性測定領域に上述したデジタルマルチメータを接続し、デジタルマルメーターを用いて、実効電圧を測定した。
図58に示すように、導通部の幅が1.0mm以上である試験例2‐8から試験例2‐13では、実効電圧が79.7V以上81.4V以下であることが認められた。試験例2‐8から試験例2‐13では、導通部が含む狭窄部の幅が狭くなるにつれて実効電圧が小さくなったものの、実効電圧に大きな変化が無いことが認められた。これに対して、導通部が含む狭窄部の幅が0.5mmである試験例2‐14では、実効電圧が7.9Vであることが認められた。すなわち、狭窄部の幅が1mm未満である場合に、実効電圧が大幅に低下することが認められた。また、試験例2‐14では、電圧の印加の開始と停止とを繰り返すことによって、導通不良が生じることが認められた。
[剥離強度]
[試験例3‐1]
酸化インジウムスズ製の透明電極層と、透明電極層を支持する透明支持層であって、ポリエチレンテレフタレートから形成される透明支持層とを含む第1透明フィルムおよび第2透明フィルムを準備した。次いで、アクリル系モノマーと液晶とを含む塗液を準備した。透明電極層に対して透明支持層が外側に位置するように、第1透明フィルムと第2透明フィルムとを対向させ、かつ、第1透明フィルムと第2透明フィルムとの間に塗液を挟んだ。そして、第1透明フィルムおよび第2透明フィルムを通じて塗液に紫外線を照射することによって、液晶と透明樹脂層とを相分離することによって、調光層を形成した。これにより、試験例3‐1の調光シートを得た。
[試験例3‐1]
酸化インジウムスズ製の透明電極層と、透明電極層を支持する透明支持層であって、ポリエチレンテレフタレートから形成される透明支持層とを含む第1透明フィルムおよび第2透明フィルムを準備した。次いで、アクリル系モノマーと液晶とを含む塗液を準備した。透明電極層に対して透明支持層が外側に位置するように、第1透明フィルムと第2透明フィルムとを対向させ、かつ、第1透明フィルムと第2透明フィルムとの間に塗液を挟んだ。そして、第1透明フィルムおよび第2透明フィルムを通じて塗液に紫外線を照射することによって、液晶と透明樹脂層とを相分離することによって、調光層を形成した。これにより、試験例3‐1の調光シートを得た。
[試験例3‐2]
試験例3‐1において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例3‐1と同様の方法によって、試験例3‐2の調光シートを得た。
試験例3‐1において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例3‐1と同様の方法によって、試験例3‐2の調光シートを得た。
[試験例3‐3]
試験例3‐2において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例3‐2と同様の方法によって、試験例3‐3の調光シートを得た。
試験例3‐2において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例3‐2と同様の方法によって、試験例3‐3の調光シートを得た。
[試験例3‐4]
試験例3‐1において、塗液が含むアクリル系モノマーを各透明フィルムに対する密着性がより低いアクリル系モノマーに変更した以外は、試験例3‐1と同様の方法によって、試験例3‐4の調光シートを得た。
試験例3‐1において、塗液が含むアクリル系モノマーを各透明フィルムに対する密着性がより低いアクリル系モノマーに変更した以外は、試験例3‐1と同様の方法によって、試験例3‐4の調光シートを得た。
[試験例3‐5]
試験例3‐3において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例3‐3と同様の方法によって、試験例3‐5の調光シートを得た。
試験例3‐3において、塗液における液晶の質量に対するモノマーの質量の比を小さくした以外は、試験例3‐3と同様の方法によって、試験例3‐5の調光シートを得た。
[試験例3‐6]
試験例3‐1において、塗液に紫外線を照射する時間を短くした以外は、試験例3‐1と同様の方法によって、試験例3‐6の調光シートを得た。
試験例3‐1において、塗液に紫外線を照射する時間を短くした以外は、試験例3‐1と同様の方法によって、試験例3‐6の調光シートを得た。
[試験例3‐7]
試験例3‐5において、塗液が含むアクリル系モノマーを各透明フィルムに対する密着性がより低いアクリル系モノマーに変更した以外は、試験例3‐5と同様の方法によって、試験例3‐7の調光シートを得た。
試験例3‐5において、塗液が含むアクリル系モノマーを各透明フィルムに対する密着性がより低いアクリル系モノマーに変更した以外は、試験例3‐5と同様の方法によって、試験例3‐7の調光シートを得た。
[試験例3‐8]
試験例3‐6において、塗液に紫外線を照射する時間を短くした以外は、試験例3‐6と同様の方法によって、試験例3‐8の調光シートを得た。
試験例3‐6において、塗液に紫外線を照射する時間を短くした以外は、試験例3‐6と同様の方法によって、試験例3‐8の調光シートを得た。
[測定方法および評価結果]
各試験例の調光シートから、2mmの幅を有する第1試験片、5mmの幅を有する試験片、10mmの幅を有する試験片、15mmの幅を有する試験片、20mmの幅を有する試験片、および、25mmの幅を有する試験片を切り出した。そして、JIS A 5759:2016「建築窓ガラス用フィルム」の6.9.3 a)180度引き剥がし試験に準じた方法によって、各試験例の剥離強度を測定した。剥離強度の評価結果は、図59に示す通りであった。なお、剥離強度の測定には、小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、EZ‐LX)を用いた。
各試験例の調光シートから、2mmの幅を有する第1試験片、5mmの幅を有する試験片、10mmの幅を有する試験片、15mmの幅を有する試験片、20mmの幅を有する試験片、および、25mmの幅を有する試験片を切り出した。そして、JIS A 5759:2016「建築窓ガラス用フィルム」の6.9.3 a)180度引き剥がし試験に準じた方法によって、各試験例の剥離強度を測定した。剥離強度の評価結果は、図59に示す通りであった。なお、剥離強度の測定には、小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、EZ‐LX)を用いた。
各試験例と同一の方法で調光シートを作製した後に、第1透明フィルムにおいて、調光層に対向する面とは反対側の面から、カッティングプロッターを用いて、透明電極層を貫通する溝を形成した。これにより、以下の幅を有する狭窄部を1つずつ形成した。すなわち、第1透明フィルムが備える透明電極層に対して、2mmの幅を有する狭窄部、5mmの幅を有する狭窄部、10mmの幅を有する狭窄部、15mmの幅を有する狭窄部、20mmの幅を有する狭窄部、および、25mmの幅を有する狭窄部を形成した。これにより、調光シートに対して、接続領域と隣り合う1つの第1駆動領域と、狭窄部を含む導通部と、導通部ごとに1つの第2駆動領域とを形成した。なお、第2駆動領域は、その第2駆動領域が接続される導通部を通じて第1駆動領域に接続される一方で、調光シートにおけるそれ以外の領域には、電気的に接続されていない。
図59が示すように、各試験例において、試験片の幅が大きいほど試験片における剥離強度が大きいことが認められた。試験例3‐1では、剥離強度が0.022N以上0.616N以下の範囲内に含まれ、試験例3‐2では、剥離強度が0.025N以上0.610N以下の範囲内に含まれることが認められた。試験例3‐3では、剥離強度が0.021N以上0.530N以下の範囲内に含まれ、試験例3‐4では、剥離強度が0.019N以上0.469N以下の範囲内に含まれることが認められた。試験例3‐5では、剥離強度が0.014N以上0.400N以下の範囲内に含まれ、試験例3‐6では、剥離強度が0.015N以上0.380N以下であることが認められた。試験例3‐7では、剥離強度が0.007N以上0.200N以下の範囲内に含まれ、試験例3‐8では、剥離強度が0.002N以上0.060N以下の範囲内に含まれることが認められた。
狭窄部が形成された調光シートのそれぞれに対して、第1透明フィルムが備える透明電極層と、第2透明フィルムが備える透明電極層との間に電圧を印加することによって、第2駆動領域の拡散透過率が変化するか否かを評価した。試験例3‐1から試験例3‐6の調光シートでは、第1駆動領域を第2駆動領域に接続する導通部が含む狭窄部の幅に関わらず、透明電極層間に電圧が印加されている状態と印加されていない状態との間において、全ての第2駆動領域において拡散透過率が変化することが認められた。
これに対して、試験例3‐7の調光シートでは、狭窄部の幅が5mm以上25mm以下の範囲では、第2駆動領域において拡散透過率が変化することが認められる一方で、狭窄部の幅が2mmである場合には、第2駆動領域において拡散透過率が変化しないことが認められた。また、試験例3‐8の調光シートでは、狭窄部の幅が10mm以上25mm以下の範囲では、第2駆動領域において拡散透過率が変化することが認められる一方で、狭窄部の幅が5mm以下である場合には、第2駆動領域において拡散透過率が変化しないことが認められた。
試験例3‐7および試験例3‐8において、導通部の断面構造を確認したところ、試験例3‐7では、狭窄部の幅が2mmである場合に、導通部において剥離が生じていることが認められた。また、試験例3‐8では、狭窄部の幅が2mmである場合、および、狭窄部の幅が5mmである場合に、導通部において剥離が生じていることが認められた。そのため、第2駆動領域の拡散透過率が変化しないことは、狭窄部を含む部分での剥離によって生じたといえる。すなわち、調光シートにおいて、第1透明電極層が含む狭窄部と第2透明電極層との間に剥離強度が0.01N以上であることによって、狭窄部での剥離を抑え、これによって、剥離に起因する導通の不良を抑えることが可能であるといえる。
また、剥離強度の測定結果から明らかなように、調光シートの剥離強度が0.380N/mm以上であれば、2mmの幅を有した狭窄部を形成する場合であっても、狭窄部の剥離が生じないといえる。
図60は、各試験例において10mmの幅を有する試験片での剥離強度と、その試験例において5mmの幅を有する試験片の剥離強度との関係、および、各試験例において10mmの幅を有する試験片での剥離強度と、その試験例において2mmの幅を有する試験片での剥離強度との関係を示している。
図60が示すように、また上述したように、狭窄部の幅に関わらず、狭窄部と第2透明電極層との間における剥離強度が0.01N以上であることによって、狭窄部を含む部分における剥離を抑えることが可能であることが認められた。さらには、単位長さである10mm当たりにおける剥離強度が0.100N以上であれば、2mmの幅を有した狭窄部を形成する場合であっても、狭窄部における剥離を抑えることが可能であることが認められた。
21…調光シート
31…調光層
34…第1透明電極層
35…第2透明電極層
41…第1抗ウイルスフィルム
41A…基材層
41B…抗ウイルス層
41C…粘着層
42…第2抗ウイルスフィルム
31…調光層
34…第1透明電極層
35…第2透明電極層
41…第1抗ウイルスフィルム
41A…基材層
41B…抗ウイルス層
41C…粘着層
42…第2抗ウイルスフィルム
Claims (5)
- 第1透明電極層と、
第2透明電極層と、
前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、
前記第1透明電極層に対して前記調光層とは反対側に位置する第1透明支持層と、
前記第1透明支持層に対して前記第1透明電極層とは反対側に位置し、抗ウイルス剤を含む抗ウイルス層と、を備える
調光シート。 - 前記第1透明電極層と前記調光層とに挟まれた配向層であって、前記第1透明電極層に対する電圧の印加によって前記調光層のヘイズを高めるように構成された第1配向層をさらに備え、
前記調光層は、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置して空隙が分散している樹脂層、および、液晶分子を含み前記空隙を埋める液晶組成物を備え、かつ、
単位厚さあたりの前記液晶組成物の密度が高い第1高密度部と、
単位厚さあたりの前記液晶組成物の密度が前記第1高密度部よりも低い低密度部と、を備え、
前記第1高密度部が、前記第1配向層に接している
請求項1に記載の調光シート。 - 前記第1透明支持層と前記抗ウイルス層との間に位置する被覆層と、をさらに備え、
前記第1透明支持層は、前記第1透明電極層を支持する支持面と、前記支持面とは反対側の面である被保護面とを含み、
前記第1透明電極層は、第1電極要素と第2電極要素とを含み、
前記第1電極要素と前記第2電極要素とは、前記支持面に沿って並ぶ別々の層状体であり、かつ、前記支持面に沿った方向に延びる溝によって相互に電気的に絶縁され、
前記第1透明電極層の厚さ方向が前記溝の深さ方向であって、前記溝は、前記第1透明支持層と前記第1透明電極層とを前記深さ方向に貫通し、かつ、前記被保護面に開口部を有し、
前記開口部は、前記被覆層で覆われている
請求項1または2に記載の調光シート。 - 前記第1透明支持層は、前記第1透明電極層を支持する支持面を含み、
前記第1透明電極層は、第1電極要素と第2電極要素とを含み、
前記第1電極要素と前記第2電極要素とは、前記支持面に沿って並ぶ別々の層状体であり、かつ、前記支持面に沿って延びる溝によって相互に電気的に絶縁され、
前記溝の深さ方向は、前記第1透明電極層の厚さ方向であり、
前記溝は、前記第1透明電極層を貫通し前記第1透明支持層を貫通しない深さを有する
請求項1または2に記載の調光シート。 - 前記第1透明支持層は、前記第1透明電極層を支持する支持面を含み、
前記第1透明電極層は、第1電極要素と第2電極要素とを含み、
前記第1電極要素と前記第2電極要素とは、前記支持面に沿って並ぶ別々の層状体であり、かつ、前記支持面に沿って延びる溝によって相互に電気的に絶縁され、
前記第1電極要素は、前記溝に挟まれた狭窄部を備え、
前記狭窄部の幅は、1mm以上である
請求項1または2に記載の調光シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022005878A JP2023104717A (ja) | 2022-01-18 | 2022-01-18 | 調光シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022005878A JP2023104717A (ja) | 2022-01-18 | 2022-01-18 | 調光シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023104717A true JP2023104717A (ja) | 2023-07-28 |
Family
ID=87379524
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022005878A Pending JP2023104717A (ja) | 2022-01-18 | 2022-01-18 | 調光シート |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023104717A (ja) |
-
2022
- 2022-01-18 JP JP2022005878A patent/JP2023104717A/ja active Pending
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