JP2023073667A - ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法 - Google Patents

ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】チャネルの内面上に保護膜を安定して形成でき、耐久性や信頼性に優れたヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法を提供する。【解決手段】本開示の一態様に係るヘッドチップは、第1方向に延びる吐出チャネルが第1方向に交差する第2方向に複数配列されたアクチュエータプレートと、吐出チャネルの内面上に設けられた電極と、絶縁性を有し、吐出チャネルの内面上において電極を覆うように設けられた保護膜と、を備えている。吐出チャネルの内面上において、電極と保護膜との間の少なくとも一部には、保護膜に接着された結合膜が設けられている。結合膜は、絶縁性を有するとともに、保護膜及び電極間での接着性に比べ、保護膜との接着性が高い材料を含んでいる。【選択図】図7

Description

本開示は、ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法に関する。
インクジェットプリンタに搭載されるヘッドチップは、複数のチャネルを有するアクチュエータプレートに対し、カバープレートやノズルプレートが接合されて構成されている。カバープレートには、各チャネルに向けてインクを流す流路が形成されている。ノズルプレートには、各チャネル内のインクを吐出させるノズル孔が形成されている。
ヘッドチップにおいて、インクを吐出させるには、チャネルの内面に形成された電極間に電圧を印加する。すると、アクチュエータプレートが厚み滑り変形することで、チャネル内の容積が拡大及び縮小する。その結果、チャネル内のインクがノズル孔を通じて吐出される。
ここで、下記特許文献1には、チャネルの内面上において電極の表面に、絶縁性を有する保護膜が形成された構成が開示されている。この構成によれば、電極が保護膜に覆われることで、導電性インクを用いる場合であっても電極の不具合(腐食や短絡等)を抑制できると考えられる。
特開2003-19797号公報
上述した保護膜は、アクチュエータプレートに対してカバープレートを接合した後に形成される。この場合、チャネルの内面上において電極の表面には、カバープレートとアクチュエータプレートとの接合時にカバープレートとアクチュエータプレートとの界面から漏れ出た接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)が付着している可能性がある。保護膜は、接着剤に対しての接着性が低い。そのため、上述した従来技術にあっては、チャネルの内面上において保護膜を安定して形成する点で未だ改善の余地があった。
チャネルの内面上において、保護膜の結合が不十分な箇所が存在すると、保護膜の浮きや剥離に繋がる可能性がある。保護膜のうち、浮きや剥離が生じている部分(以下、結合不良部分という。)がチャネル内の圧力変動によって変位すると、吐出性能の低下を招く要因になる。また、結合不良部分とチャネル内面との隙間を通じてインクが電極まで到達することで、上述したように電極の不具合を引き起こす可能性がある。
本開示は、チャネルの内面上に保護膜を安定して形成でき、耐久性や信頼性に優れたヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係るヘッドチップは、第1方向に延びる噴射チャネルが前記第1方向に交差する第2方向に複数配列されたアクチュエータプレートと、前記噴射チャネルの内面上に設けられた電極と、絶縁性を有し、前記噴射チャネルの内面上において前記電極を覆うように設けられた保護膜と、を備え、前記噴射チャネルの内面上において、前記電極と前記保護膜との間の少なくとも一部には、前記保護膜に接着された結合膜が設けられ、前記結合膜は、絶縁性を有するとともに、前記保護膜及び前記電極間での接着性に比べ、前記保護膜との接着性が高い材料を含んでいる。
本態様によれば、電極上に結合膜を介して保護膜を形成することで、噴射チャネルの内面上に保護膜を安定して設けることができる。これにより、保護膜の浮きや剥離等を抑制し、電極を保護することができる。その結果、導電性の液体等を用いる場合であっても、噴射チャネル内において液体を介して電極に不具合が生じることを抑制できる。
また、保護膜の浮きや剥離を抑制することで、保護膜の結合不良部分が噴射チャネル内で変位することを抑制できる。その結果、保護膜の浮きや剥離等に伴う噴射性能の低下を抑制できる。
(2)上記(1)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記アクチュエータプレートは、酸化物を含む圧電材料により形成され、前記結合膜は、酸化物を含む材料により形成されていることが好ましい。
本態様によれば、アクチュエータプレートと結合膜との双方が酸化物を含んでいるので、噴射チャネルの内面上において、保護膜が形成される下地部分に酸化物の領域を確保し易い。その結果、下地部分に対して保護膜が化学的に接着し易くなり、噴射チャネルの内面上の全体に保護膜が安定して形成され易い。
(3)上記(1)又は(2)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記アクチュエータプレートに接着剤を介して接合された接合部材を備え、前記結合膜は、前記アクチュエータプレートと前記接合部材の間から前記噴射チャネル内に漏れ出した前記接着剤の一部から形成されていることが好ましい。
本態様によれば、接着剤の一部を結合膜として用いることができるので、接着剤形成工程と結合膜形成工程とを別々に設ける必要がない。また、保護膜を形成するにあたって、噴射チャネル内に漏れ出た接着剤を保護膜の形成工程前に除去する必要がない。その結果、製造効率の向上を図ることができる。
(4)上記(3)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記第1方向から見て前記第2方向に交差する方向を第3方向とすると、前記噴射チャネルは、前記アクチュエータプレートの外表面において前記第3方向の一方を向く接合面上で開口し、前記接合部材は、前記アクチュエータプレートの前記接合面上に、前記噴射チャネルを覆うように設けられていることが好ましい。
本態様によれば、接合部材がアクチュエータプレートの接合面上に噴射チャネルを覆うように設けられることで、接着剤の一部からなる結合膜が噴射チャネルの内面上において第1方向に亘って形成されることになる。その結果、第1方向に延びる噴射チャネルであっても、第1方向の全域に亘って結合膜を形成し易い。
(5)上記(4)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記接合部材は、前記噴射チャネル内に連通する液体流路を有するとともに、前記アクチュエータプレートの前記接合面上に設けられたカバープレートであることが好ましい。
本態様によれば、噴射チャネルの内面上において、第1方向の全域に亘って結合膜を形成し易い。
(6)上記(1)から(5)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記アクチュエータプレートに接着剤を介して接合された接合部材を備え、前記結合膜は、前記接着剤とは別材料により形成されるとともに、前記電極と前記保護膜との間で前記電極を覆うように設けられていることが好ましい。
本態様によれば、接着剤とは別に結合膜を形成することで、所望の領域に結合膜を形成し易くなる。その結果、噴射チャネルの内面上に保護膜をより安定して設けることができる。
(7)上記(6)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記結合膜は、前記接着剤のうち、前記アクチュエータプレートと前記接合部材の間から前記噴射チャネル内に漏れ出た部分を覆っていることが好ましい。
本態様によれば、エポキシ系の接着剤等を用いた場合であっても、保護膜の下地部分に接着剤が露呈することを抑制できる。その結果、噴射チャネルの内面上に保護膜をより安定して設けることができる。
(8)上記(3)から(7)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記結合膜は、前記アクチュエータプレートと前記接合部材との界面上にも設けられ、前記保護膜は、前記界面上において前記結合膜に接着されていることが好ましい。
本態様によれば、界面での保護膜の剥がれを抑制して、耐久性を向上させることができる。
(9)上記(3)から(8)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記接合部材は、複数の前記噴射チャネル内に各別に連通する連通孔を有し、前記アクチュエータプレートの外表面のうち、前記噴射チャネルが開口する開口面上に設けられた中間プレートと、前記連通孔を通じて前記噴射チャネル内に各別に連通する噴射孔を有し、前記中間プレートに対して前記アクチュエータプレートとは反対側に設けられた噴射孔プレートと、を備え、前記保護膜は、前記中間プレートの少なくとも一部を覆っていることが好ましい。
本態様によれば、絶縁性を有する結合膜及び保護膜の何れかが噴射孔プレートに近接した位置まで形成されるので、噴射孔プレートを金属材料で形成した場合であっても、アクチュエータプレート及び噴射孔プレート間での静電誘導を抑えることができる。その結果、ノイズを抑制して、良好な噴出性能を発揮できる。
(10)本態様に係る液体噴射ヘッドは、上記(1)から(9)何れかの態様に係るヘッドチップを備えている。
本態様によれば、上記態様のヘッドチップを備えているので、耐久性や信頼性に優れた液体噴射ヘッドを提供できる。
(11)本態様に係る液体噴射記録装置は、上記(10)の態様に係る液体噴射ヘッドを備えている。
本態様によれば、上記態様の液体噴射ヘッドを備えているので、耐久性や信頼性に優れた液体噴射記録装置を提供できる。
(12)本態様に係るヘッドチップの製造方法は、第1方向に延びる噴射チャネルが前記第1方向に交差する第2方向に複数配列されたアクチュエータプレートと、前記噴射チャネルの内面上に形成された電極と、を備えたヘッドチップの製造方法であって、前記噴射チャネルの内面上において、前記電極の少なくとも一部を覆う結合膜を形成する結合膜形成工程と、前記結合膜を含む前記電極上に絶縁性を有する保護膜を形成する保護膜形成工程と、を備え、前記結合膜は、絶縁性を有するとともに、前記保護膜及び前記電極間での接着性に比べ、前記保護膜との接着性が高い。
本態様によれば、チャネルの内面上に保護膜を安定して形成でき、耐久性や信頼性に優れたヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法を提供できる。
第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 第1実施形態に係るインクジェットヘッド及びインク循環機構の概略構成図である。 第1実施形態に係るヘッドチップの分解斜視図である。 図6のIV-IV線に対応する断面図である。 図6のV-V線に対応する断面図である。 図3のVI矢視図である。 図6のVII-VII線に対応する断面図である。 図7の拡大図である。 第1実施形態に係るヘッドチップの製造方法を示すフローチャートである。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 第2実施形態に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 第3実施形態に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 第3実施形態に係るヘッドチップの製造方法を示すフローチャートである。 第4実施形態に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 第5実施形態に係るヘッドチップの断面図である。 第5実施形態に係るヘッドチップの断面図である。 第5実施形態に係るヘッドチップの断面図である。 第6実施形態に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。以下の実施形態では、インク(液体)を利用して被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
[プリンタ1]
図1はプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ(液体噴射記録装置)1は、一対の搬送機構2,3と、インクタンク4と、インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)5と、インク循環機構6と、走査機構7と、を備えている。
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。この場合、X方向は被記録媒体P(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)に一致している。Y方向は走査機構7の走査方向(主走査方向)に一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。本実施形態において、+Z側は重力方向の上方に相当し、-Z側は重力方向の下方に相当する。
搬送機構2,3は、被記録媒体Pを+X側に搬送する。搬送機構2,3は、例えばY方向に延びる一対のローラ11,12をそれぞれ含んでいる。
インクタンク4は、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが各別に収容されている。各インクジェットヘッド5は、接続されたインクタンク4に応じてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクをそれぞれ吐出可能に構成されている。なお、インクタンク4に収容されるインクは、溶剤に水を使用した水性インク(導電性インク)を用いることが可能である。
図2は、インクジェットヘッド5及びインク循環機構6の概略構成図である。
図1、図2に示すように、インク循環機構6は、インクタンク4とインクジェットヘッド5との間でインクを循環させる。具体的に、インク循環機構6は、インク供給管21及びインク排出管22を有する循環流路23と、インク供給管21に接続された加圧ポンプ24と、インク排出管22に接続された吸引ポンプ25と、を備えている。
加圧ポンプ24は、インク供給管21内を加圧し、インク供給管21を通してインクジェットヘッド5にインクを送り出している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク供給管21側は正圧になる。
吸引ポンプ25は、インク排出管22内を減圧し、インク排出管22内を通してインクジェットヘッド5からインクを吸引している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク排出管22側は負圧になる。インクは、加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25の駆動により、インクジェットヘッド5とインクタンク4との間を、循環流路23を通して循環可能となっている。
走査機構7は、インクジェットヘッド5をY方向に往復走査させる。走査機構7は、Y方向に延びるガイドレール28と、ガイドレール28に移動可能に支持されたキャリッジ29と、を備えている。
<インクジェットヘッド5>
図1に示すように、インクジェットヘッド5は、キャリッジ29に搭載されている。図示の例では、複数のインクジェットヘッド5が、一つのキャリッジ29にY方向に並んで搭載されている。インクジェットヘッド5は、ヘッドチップ50(図3参照)と、インク循環機構6及びヘッドチップ50間を接続するインク供給部(不図示)と、ヘッドチップ50に駆動電圧を印加する制御部(不図示)と、を備えている。
<ヘッドチップ50>
図3は、ヘッドチップ50の分解斜視図である。
図3に示すヘッドチップ50は、後述する吐出チャネル61における延在方向(Y方向)の中央部からインクを吐出する、いわゆる循環式サイドシュートタイプのヘッドチップ50である。ヘッドチップ50は、ノズルプレート51(接合部材)と、アクチュエータプレート52と、カバープレート(接合部材)53と、を備えている。ヘッドチップ50は、ノズルプレート51、アクチュエータプレート52及びカバープレート53が、この順番にZ方向(第3方向)に積層された構成である。
アクチュエータプレート52は、酸化物を含む圧電材料により形成されている。本実施形態において、アクチュエータプレート52は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等により形成されている。アクチュエータプレート52は、例えば分極方向がZ方向の+側と-側とで異なる、いわゆるシェブロン基板である。但し、アクチュエータプレート52は、分極方向がZ方向の全域で一方向な、いわゆるモノポール基板であってもよい。
アクチュエータプレート52には、チャネル列60が形成されている。チャネル列60は、インクが充填される吐出チャネル(噴射チャネル)61、及びインクが充填されない非吐出チャネル(非噴射チャネル)62を有している。各チャネル61,62は、アクチュエータプレート52において、X方向(第2方向)に間隔をあけた状態で交互に配列されている。本実施形態では、チャネル延在方向(第1方向)がY方向に一致する構成について説明するが、チャネル延在方向がY方向に交差していてもよい。
図4は、図6のIV-IV線に対応する断面図である。
図4に示すように、吐出チャネル61は、X方向から見て下方に向けて凸の円弧状に形成されている。吐出チャネル61は、Y方向の中央部において、アクチュエータプレート52をZ方向に貫通している。すなわち、吐出チャネル61は、アクチュエータプレート52の上面(+Z側を向く面)及び下面(-Z側を向く面)上でそれぞれ開口している。吐出チャネル61は、Y方向の両端部において、Y方向の外側に向かうに従い深さが漸次浅くなっている。
図5は、図6のV-V線に対応する断面図である。
図5に示すように、非吐出チャネル62は、アクチュエータプレート52をZ方向に貫通した状態で、Y方向に直線状に延びている。図3に示すように、アクチュエータプレート52のうち、吐出チャネル61及び非吐出チャネル62間に位置する部分は、それぞれ駆動壁65を構成している。したがって、チャネル61,62は、一対の駆動壁65によってX方向の両側が囲まれている。本実施形態では、チャネル列60が一列のヘッドチップ50を例にして説明しているが、チャネル列60は、Y方向に複数列設けられていてもよい。この場合、隣り合うチャネル列60を構成する吐出チャネル61同士は、チャネル列60の個数をnとすると、一のチャネル列60における吐出チャネル61の配列ピッチに対して1/nピッチ毎にずれて配列されていることが好ましい。
図6は、図3のVI矢視図である。
図4~図6に示すように、アクチュエータプレート52には、共通配線71及び個別配線72が形成されている。本実施形態において、共通配線71や個別配線72は、例えば蒸着法等により形成されている。したがって、共通配線71や個別配線72の表層部分には、微細な凹凸が存在している。
図4、図6に示すように、共通配線71は、共通電極(電極)75と、共通端子76と、を備えている。
共通電極75は、吐出チャネル61の内面のうち、X方向で向かい合う内側面に形成されている。図示の例において、共通電極75は、吐出チャネル61の内面において、Z方向の全域に亘って形成されている。
共通端子76は、アクチュエータプレート52のうち、吐出チャネル61に対して-Y側に位置する部分(以下、尾部80という。)に形成されている。共通端子76は、尾部80の下面において、各吐出チャネル61に対応して設けられている。各共通端子76は、対応する吐出チャネル61に対してY方向に直線状に延びている。共通端子76における+Y側端部は、吐出チャネル61の下端開口縁において共通電極75に連なっている。
図5、図6に示すように、個別配線72は、個別電極78と、個別端子79と、を備えている。
個別電極78は、各非吐出チャネル62の内面のうち、X方向で向かい合う内側面に形成されている。図示の例において、個別電極78は、非吐出チャネル62の内面において、Z方向の全域に亘って形成されている。
個別端子79は、尾部80の下面において、共通端子76よりも-Y側に位置する部分に形成されている。個別端子79は、X方向に延びる帯状とされている。個別端子79は、吐出チャネル61を間に挟んでX方向で向かい合う非吐出チャネル62の下端開口縁において、吐出チャネル61を間に挟んでX方向で向かい合う個別電極78同士を接続している。尾部80において、共通端子76と個別端子79との間に位置する部分には、区画溝81が形成されている。区画溝81は、尾部80において、X方向に延びている。区画溝81は、共通端子76と個別端子79とを分離している。
尾部80の下面には、フレキシブルプリント基板82が圧着されている。フレキシブルプリント基板82は、尾部80の下面において、共通端子76と個別端子79に接続されている。フレキシブルプリント基板82は、アクチュエータプレート52の外側を通って上方に引き出されている。
図7は、図6のVII-VII線に対応する断面図である。
図7に示すように、カバープレート53は、各チャネル61,62の上端開口部を覆うように、アクチュエータプレート52の上面(外表面、接合面)に重ね合わされている。カバープレート53は、アクチュエータプレート52の上面に接着剤95を介して接合されている。アクチュエータプレート52の上面のうち、カバープレート53の下面に向かい合う部分の全域に亘って設けられている。なお、接着剤95としては、例えばエポキシ系接着剤が用いられている。
図4に示すように、カバープレート53において、チャネル列60の-Y側端部と平面視で重なり合う位置には、入口共通インク室100が形成されている。入口共通インク室100は、例えばチャネル列60を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート53の上面で開口している。
入口共通インク室100において、吐出チャネル61と平面視で重なり合う位置には、入口スリット101が形成されている。入口スリット101は、各吐出チャネル61の-Y側端部と、入口共通インク室100内と、の間を各別に連通している。
カバープレート53において、チャネル列60の+Y側端部と平面視で重なり合う位置には、出口共通インク室105が形成されている。出口共通インク室105は、例えばチャネル列60を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート53の上面で開口している。
出口共通インク室105において、非吐出チャネル62と平面視で重なり合う位置には、出口スリット106が形成されている。出口スリット106は、各吐出チャネル61の+Y側端部と、出口共通インク室105内と、の間を各別に連通している。したがって、入口スリット101及び出口スリット106は、それぞれ各吐出チャネル61に連通する一方、非吐出チャネル62には連通していない。
ここで、ヘッドチップ50は、結合膜110と、保護膜120と、を備えている。
結合膜110は、保護膜120の下地部分として機能する層である。結合膜110は、絶縁性を有し、かつ保護膜120及び電極75,78間での接着性に比べ、保護膜120との接着性が高い材料により形成されている。このような材料としては、SiO等の酸化物を含んだ金属酸化物であることが好ましい。金属酸化物としては、SiOの他、AlやTiO,ZrO、SnO等であってもよい。
結合膜110は、アクチュエータプレート52及びカバープレート53に亘って設けられている。具体的に、結合膜110は、吐出チャネル下地部111と、非吐出チャネル下地部112と、接続下地部113と、を備えている。
吐出チャネル下地部111は、吐出チャネル61の内面全体、及びカバープレート53の下面のうち吐出チャネル61内に露出している部分に亘って形成されている。吐出チャネル下地部111は、吐出チャネル61の内面上において、駆動壁65及び共通電極75を覆っている。
非吐出チャネル下地部112は、非吐出チャネル62の内面全体、及びカバープレート53の下面のうち非吐出チャネル62内に露出している部分に亘って形成されている。非吐出チャネル下地部112は、非吐出チャネル62の内面上において、駆動壁65及び個別電極78を覆っている。吐出チャネル下地部111及び非吐出チャネル下地部112は、対応する電極75,78の少なくとも一部をそれぞれ覆っていればよい。
図8は、図7の拡大図である。
なお、図8に示すように、アクチュエータプレート52とカバープレート53との接合時において、接着剤95の一部(以下、漏れ出し部分95aという。)が吐出チャネル61の内面や非吐出チャネル62の内面上において、電極75,78に付着していてもよい。このような場合であっても、吐出チャネル下地部111や非吐出チャネル下地部112は、各チャネル61,62内において、漏れ出し部分95aを含めて電極75,78を被覆している。但し、漏れ出し部分95aは、アッシング等で除去してもよい。漏れ出し部分95aを除去した上で結合膜110(吐出チャネル下地部111や非吐出チャネル下地部112等)を形成することで、電極75,78の表層での物理的結合(アンカー効果)に起因する接着力によって結合膜110が安定して形成され易くなる。
図4、図5、図7に示すように、接続下地部113は、アクチュエータプレート52の下面において、ノズルプレート51と向かい合う部分(ノズルプレート51との界面)の全域を覆っている。したがって、共通端子76及び個別端子79のうち、ノズルプレート51に対して+Y側に突出する部分は、結合膜110(接続下地部113)により覆われていない。接続下地部113は、吐出チャネル61の下端開口縁において吐出チャネル下地部111に連なり、非吐出チャネル62の下端開口縁において非吐出チャネル下地部112に連なっている。したがって、接続下地部113は、アクチュエータプレート52の下面上において、各チャネル61,62の周囲を取り囲み、吐出チャネル下地部111及び非吐出チャネル下地部112と一体に形成されている。
保護膜120は、インクと電極(主に共通電極75)との間に介在して、電極を保護する。保護膜120は、アクチュエータプレート52及びカバープレート53において、結合膜110上に設けられている。具体的に、保護膜120は、吐出チャネル保護部121と、非吐出チャネル保護部122と、接続保護部123と、を備えている。
吐出チャネル保護部121は、吐出チャネル61の内面全体、及びカバープレート53の下面において、吐出チャネル下地部111を覆っている。すなわち、吐出チャネル61の内面及び共通電極75は、吐出チャネル下地部111を介して吐出チャネル保護部121により覆われている。
非吐出チャネル保護部122は、非吐出チャネル62の内面全体、及びカバープレート53の下面において、非吐出チャネル下地部112を覆っている。すなわち、非吐出チャネル62の内面及び個別電極78は、非吐出チャネル保護部122により覆われている。なお、吐出チャネル保護部121及び非吐出チャネル保護部122は、少なくとも対応する電極75,78をそれぞれ覆っていればよい。
接続保護部123は、アクチュエータプレート52の下面のうち、ノズルプレート51と向かい合う部分において、接続下地部113を覆っている。したがって、共通端子76及び個別端子79のうち、少なくともカバープレート53よりも突出した部分は、保護膜120(接続保護部123)により覆われていない。接続保護部123は、吐出チャネル61の下端開口縁において吐出チャネル保護部121に連なり、非吐出チャネル62の下端開口縁において非吐出チャネル保護部122に連なっている。したがって、接続保護部123は、アクチュエータプレート52の下面上において、各チャネル61,62の周囲を取り囲み、吐出チャネル保護部121及び非吐出チャネル保護部122と一体に形成されている。
本実施形態において、保護膜120は、処理層と、絶縁層と、を含んでいる。処理層は、保護膜120の下地部分(結合膜110)に対してシランカップリング処理等の表面処理を施した層である。処理層は、結合膜110やアクチュエータプレート52等の酸化物と、有機材料である絶縁層と、の化学的結合力に起因する接着力を向上させる機能を有する。処理層は、絶縁層の下地部分となる結合膜110やアクチュエータプレート52上に強固な接着力を発揮した状態で成膜されている。
絶縁層は、例えばパラキシリレン系樹脂材料(例えば、パリレン(登録商標))等の有機絶縁材料により形成されている。絶縁層は、処理層との間の化学的結合によって結合膜110上に成膜されている。
なお、本実施形態では、保護膜120として、シランカップリング処理が施された処理層に対して絶縁層が形成された構成について説明したが、この構成に限られない。保護膜120は、パラキシリレン系樹脂材料等の有機絶縁材料にシランカップリング剤が含有された構成であってもよい。また、保護膜120は、酸化タンタル(Ta)、窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)、酸化シリコン(SiO)又はダイヤモンドライクカーボン(Diamond-like carbon)等により構成されていてもよく、これらの少なくともいずれか一つを含んでいてもよい。
図7に示すように、ノズルプレート51は、アクチュエータプレート52の下面(開口面)に接着剤125を介して接合されている。接着剤125は、アクチュエータプレート52の下面のうち、ノズルプレート51の上面に向かい合う部分の全域に亘って設けられている。なお、接着剤125としては、例えばエポキシ系接着剤が用いられている。
ノズルプレート51は、金属材料(SUSやNi-Pd等)により厚さが50μm程度に形成されている。但し、ノズルプレート51は、金属材料の他、樹脂材料(ポリイミド等)、ガラス、シリコン等による単層構造、又は積層構造であってもよい。
ノズルプレート51には、ノズルプレート51をZ方向に貫通する複数のノズル孔126が形成されている。各ノズル孔126は、それぞれX方向に間隔をあけて配置されている。ノズル孔126は、吐出チャネル61のうちY方向の中央部に各別に連通している。したがって、各非吐出チャネル62は、ノズル孔126には連通しておらず、ノズルプレート51により下方から覆われている。各ノズル孔126は、例えば上方から下方に向かうに従い内径が漸次縮小するテーパ状に形成されている。
[プリンタ1の動作方法]
次に、プリンタ1を利用して、被記録媒体Pに文字や図形等を記録する場合について以下に説明する。
プリンタ1は、初期状態として、各インクタンク4にそれぞれ異なる色のインクが十分に充填されているものとする。インクジェットヘッド5には、インクタンク4内のインクがインク循環機構6を介して充填された状態となっている。
このような初期状態のもと、プリンタ1を作動させると、被記録媒体Pが搬送機構2,3のローラ11,12に挟み込まれながら+X側に搬送される。被記録媒体Pの搬送と同時にキャリッジ29がY方向に移動することで、キャリッジ29に搭載されたインクジェットヘッド5がY方向に往復移動する。
インクジェットヘッド5が往復移動する間に、各インクジェットヘッド5よりインクを被記録媒体Pに適宜吐出させる。これにより、被記録媒体Pに対して文字や画像等の記録を行うことができる。
ここで、各インクジェットヘッド5の動きについて、以下に詳細に説明する。
本実施形態のような循環式サイドシュートタイプのインクジェットヘッド5では、まず図2に示す加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25を作動させることで、循環流路23内にインクを流通させる。この場合、インク供給管21を流通するインクは、図4に示すように、入口共通インク室100及び入口スリット101を通して各吐出チャネル61内に供給される。各吐出チャネル61内に供給されたインクは、各吐出チャネル61をY方向に流通する。その後、インクは、出口スリット106を通じて出口共通インク室105に排出された後、インク排出管22を通してインクタンク4に戻される。これにより、インクジェットヘッド5とインクタンク4との間でインクを循環させることができる。
キャリッジ29(図1参照)の移動によってインクジェットヘッド5の往復移動が開始されると、フレキシブルプリント基板82を介して共通電極75及び個別電極78間に駆動電圧が印加される。この際、個別電極78を駆動電位Vddとし、共通電極75を基準電位GNDとして各電極75,78間に駆動電圧を印加する。すると、各駆動壁65がZ方向の中間部分を中心にしてV字状に屈曲変形する。すなわち、駆動壁65は吐出チャネル61の容積が拡大するように変形する。
各吐出チャネル61の容積を増大させた後、共通電極75及び個別電極78間に印加した電圧をゼロにする。すると、駆動壁65が復元し、一旦増大した吐出チャネル61の容積が元の容積に戻る。これにより、吐出チャネル61の内部の圧力が増加し、インクが加圧される。その結果、インクがノズル孔126を通じて液滴状に吐出される。ノズル孔126から吐出されたインクが被記録媒体P上に着弾することで、被記録媒体Pに文字や画像等を記録することができる。
[ヘッドチップ50の製造方法]
次に、ヘッドチップ50の製造方法について説明する。図9は、ヘッドチップ50の製造方法を示すフローチャートである。図10~図16は、図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。以下の説明では、便宜上、ヘッドチップ50をチップレベルで製造する場合を例にして説明する。
図9に示すように、ヘッドチップ50の製造方法は、アクチュエータプレート加工工程と、第1配線形成工程と、カバープレート接合工程と、グラインド工程と、第2配線形成工程と、結合膜形成工程と、保護膜形成工程と、ノズルプレート接合工程と、を備えている。
図10に示すように、アクチュエータプレート加工工程では、アクチュエータプレート52のうち、吐出チャネル61及び非吐出チャネル62の形成領域に対してアクチュエータプレート52の上方からダイサーを進入させる。この際、ダイサーの進入量は、後のグラインド工程でのアクチュエータプレート52の仕上がり厚さよりも浅く設定する。これにより、アクチュエータプレート52には、後に吐出チャネル61となる吐出チャネル用凹部130と、後に非吐出チャネル62となる非吐出チャネル用凹部131と、が形成される。
図11に示すように、第1配線形成工程では、アクチュエータプレート52の上方から電極材料を成膜することで、配線71,72の一部を形成する。第1配線形成工程では、例えば不図示のマスクパターンを通じて電極材料を斜め蒸着する。これにより、主にチャネル用凹部130,131における内面の所望の位置に電極材料が選択的に形成される。なお、第1配線形成工程の終了後、リフトオフ等によってマスクパターンを除去する。
図12に示すように、カバープレート接合工程では、アクチュエータプレート52の上面に対し、接着剤95を介してカバープレート53を貼り付ける。これにより、アクチュエータプレート52及びカバープレート53が積層された積層体135が形成される。
図13に示すように、グラインド工程では、アクチュエータプレート52の下面に対してグラインド加工を施す。この際、吐出チャネル用凹部130及び非吐出チャネル用凹部131がアクチュエータプレート52の下面で開口するまでアクチュエータプレート52をグラインドする(図12の鎖線参照)。これにより、アクチュエータプレート52に吐出チャネル61及び非吐出チャネル62が形成される。
図14に示すように、第2配線形成工程では、アクチュエータプレート52の下方から電極材料を成膜することで、配線71,72の一部を形成する。第2配線形成工程では、例えばマスクパターンを通じて電極材料を斜め蒸着する。これにより、アクチュエータプレート52の下面やチャネル61,62の内面の所望の位置に電極材料が選択的に形成される。なお、第2配線形成工程の終了後、リフトオフ等によってマスクパターンを除去する。
図15に示すように、結合膜形成工程では、アクチュエータプレート52の下面や各チャネル61,62の内面等に対して結合膜110を形成する。結合膜110は、例えば積層体135をガラスコーティング剤に浸ける(ディップ)こと等により行う。結合膜110をディップにより形成することで、所望の膜厚(例えば、数μm程度)を確保し易い。但し、結合膜110は、スパッタリングやレーザアブレーション(PLD)、化学気相蒸着、原子層堆積(ALD)等によって結合膜110の形成材料を成膜してもよい。
図16に示すように、保護膜形成工程では、結合膜110上に保護膜120として、処理層と、絶縁層と、を順次形成する。処理層は、積層体135をシランカップリング剤に浸けること等により行う。絶縁層としてパラキシリレン系樹脂材料を採用する場合には、例えば化学蒸着法(CVD)等を用いて絶縁層を形成することができる。これにより、処理層を介して結合膜110上に絶縁層が成膜される。なお、保護膜形成工程の終了後、保護膜120と接着剤125との接着性を向上させるために、保護膜120(主に接続保護部123)を表面処理する。保護膜120の表面処理は、例えばOプラズマやUV処理、コロナ放電等を用いることができる。
ノズルプレート接合工程では、ノズル孔126と吐出チャネル61とを位置合わせした状態で、アクチュエータプレート52の下面に接着剤125を介してノズルプレート51を貼り付ける。
以上により、ヘッドチップ50が製造される。
このように、本実施形態のヘッドチップ50は、吐出チャネル61の内面上において、共通電極75と保護膜120との間の少なくとも一部には、保護膜120に接着された結合膜110が設けられている構成とした。結合膜110は、絶縁性を有するとともに、保護膜120及び共通電極75間での接着性に比べ、保護膜120との接着性が高い材料を含んでいる構成とした。
この構成によれば、共通電極75上に結合膜110を介して保護膜120を形成することで、吐出チャネル61の内面上に保護膜120を安定して設けることができる。これにより、保護膜120の浮きや剥離等を抑制し、共通電極75を保護することができる。その結果、導電性のインク等を用いる場合であっても、吐出チャネル61内においてインクを介して電極に不具合が生じることを抑制できる。
また、保護膜120の浮きや剥離を抑制することで、保護膜120の結合不良部分が吐出チャネル61内で変位することを抑制できる。その結果、保護膜120の浮きや剥離等に伴う吐出性能の低下を抑制できる。
本実施形態において、アクチュエータプレート52は酸化物を含む圧電材料により形成され、結合膜110は酸化物を含む材料により形成されている構成とした。
この構成によれば、アクチュエータプレート52と結合膜110との双方が酸化物を含んでいるので、吐出チャネル61の内面上において、保護膜120が形成される下地部分に酸化物の領域を確保し易い。その結果、下地部分に対して保護膜120が化学的に接着し易くなり、吐出チャネル61の内面上の全体に保護膜120が安定して形成され易い。
本実施形態において、結合膜110は、接着剤95とは別材料により形成されるとともに、共通電極75と保護膜120との間で共通電極75を覆うように設けられている構成とした。
この構成によれば、接着剤95とは別に結合膜110を形成することで、所望の領域に結合膜110を形成し易くなる。その結果、吐出チャネル61の内面上に保護膜120をより安定して設けることができる。
本実施形態において、結合膜110は、接着剤95のうち、アクチュエータプレート52とカバープレート53の間から吐出チャネル61内に漏れ出た漏れ出し部分95aを覆っている構成とした。
この構成によれば、カバープレート接合工程において、接着剤95の一部が吐出チャネル61の内面上に漏れ出たとしても、漏れ出し部分95aをまとめて結合膜110により覆うことができる。これにより、エポキシ系の接着剤等、保護膜120との接着性が低い材料を接着剤95として用いた場合であっても、保護膜120の下地部分に接着剤95が露出することを抑制できる。その結果、吐出チャネル61の内面上に保護膜120をより安定して設けることができる。
本実施形態において、結合膜110(接続下地部113)がアクチュエータプレート52とノズルプレート51との界面上にも設けられ、保護膜120(接続保護部123)が界面上において結合膜110に接着されている構成とした。
この構成によれば、界面での保護膜120の剥がれを抑制して、耐久性を向上させることができる。また、アクチュエータプレート52とノズルプレート51との間に、絶縁性を有する結合膜110及び保護膜120が設けられることで、ノズルプレート51を金属材料で形成した場合であっても、アクチュエータプレート52及びノズルプレート51間での静電誘導を抑えることができる。その結果、ノイズを抑制して、良好な吐出性能を発揮できる。
本実施形態のインクジェットヘッド5及びプリンタ1によれば、上述したヘッドチップ50を備えているので、耐久性や信頼性に優れたインクジェットヘッド5及びプリンタ1を提供できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、ノズルプレート51とアクチュエータプレート52との間に中間プレート200が設けられている点で、上述した第1実施形態と相違している。
図17に示すヘッドチップ50において、中間プレート200は、アクチュエータプレート52の下面に接着剤201を介して接着される一方、ノズルプレート51の上面に接着剤202を介して接着されている。中間プレート200は、アクチュエータプレート52と同様にPZT等の圧電材料により形成されている。なお、中間プレート200は、圧電材料以外の材料(例えば、ポリイミドやアルミナ等の非導電材)で形成されていてもよい。
中間プレート200のうち、平面視でノズル孔126と重なり合う位置には、連通孔200aが形成されている。連通孔200aは、中間プレート200をZ方向に貫通している。連通孔200aは、複数の吐出チャネル61及び複数のノズル孔126のうち、対応する吐出チャネル61及びノズル孔126同士を各別に連通させている。すなわち、連通孔200aは、吐出チャネル61の下側開口部を通じて吐出チャネル61内に連通している。一方、連通孔200は、ノズル孔126の上側開口部を通じてノズル孔126内に連通している。したがって、各非吐出チャネル62は、ノズル孔126には連通しておらず、中間プレート200により閉塞されている。なお、連通孔200aにおけるX方向の寸法は、ノズル孔126の最大内径部(上側開口部)より大きいことが好ましい。但し、連通孔200aにおけるX方向の寸法は、吐出チャネル61におけるX方向の寸法以下に設定されていてもよい。
本実施形態では、連通孔200aにおけるX方向の寸法をノズル孔126の最大内径部より大きく形成した上で、連通孔200aを通じて吐出チャネル61とノズル孔126とを連通させる構成とした。
この構成によれば、吐出チャネル61とノズル孔126とを直接連通させる場合に比べ、吐出チャネル61とノズル孔126との位置ずれの許容代を大きくできる。その結果、吐出チャネルの微細化、狭ピッチ化に対応し、文字や画像等の高精細化を図ることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、保護膜120がアクチュエータプレート52及び中間プレート200をまとめて覆っている点で第2実施形態と相違している。
図18に示すヘッドチップ50において、結合膜110には、例えばSiO系接着剤が用いられている。結合膜110のうち接続下地部113は、アクチュエータプレート52の下面と中間プレート200の上面との間に設けられている。接続下地部113は、アクチュエータプレート52と中間プレート200とを接合する機能も有している。
保護膜120は、吐出チャネル保護部121と、非吐出チャネル保護部122と、接続保護部123と、中間プレート保護部300と、を備えている。
非吐出チャネル保護部122は、非吐出チャネル62の内面、並びにカバープレート53及び中間プレート200のうち非吐出チャネル62内に露出する部分に形成されている。
接続保護部123は、アクチュエータプレート52の下面のうち、連通孔200aを通じて露出する部分に形成されている。
中間プレート保護部300は、中間プレート200の下面及び連通孔200aの内面に亘って形成されている。中間プレート保護部300は、連通孔200aの内面において、接続保護部123に連なっている。なお、非吐出チャネル保護部122や中間プレート保護部300のように、中間プレート200に対して直接保護膜120を形成する場合、中間プレート200は、結合膜110と同様に酸化剤を含む材料により形成されていることが好ましい。このような構成として、本実施形態の中間プレート200は、例えばPZTにより形成されている。これにより、保護膜120の下地部分となる中間プレート200と、処理層と、の接着性を確保し易い。
中間プレート200の下面には、中間プレート保護部300を介して接着剤303が設けられている。接着剤303には、例えばエポキシ系接着剤等が用いられている。
ノズルプレート51は、中間プレート保護部300及び接着剤303を介して中間プレート200の下面に設けられている。すなわち、中間プレート保護部300は、アクチュエータプレート52とノズルプレート51との界面上に設けられている。
なお、本実施形態のヘッドチップ50を製造するにあたっては、図19に示すように、上述した結合膜形成工程の後、アクチュエータプレート52に対して中間プレート200を接合する中間プレート接合工程を行う。その後、上述した第1実施形態と同様に、中間プレート200を含めた積層体に対して保護膜形成工程及びノズルプレート接合工程を順に行うことで、ヘッドチップ50が製造される。
本実施形態では、絶縁性を有する保護膜120(中間プレート保護部300)がノズルプレート51に近接した位置まで形成されるので、ノズルプレート51を金属材料で形成した場合であっても、アクチュエータプレート52及びノズルプレート51間での静電誘導を抑えることができる。その結果、ノイズを抑制して、良好な吐出性能を発揮できる。
(第4実施形態)
本実施形態では、結合膜110及び保護膜120の双方がアクチュエータプレート52及び中間プレート200をまとめて覆っている点で第3実施形態と相違している。
図20に示すヘッドチップ50において、アクチュエータプレート52と中間プレート200とは、例えばエポキシ系接着剤等の接着剤401を介して接合されている。
結合膜110は、吐出チャネル下地部111と、非吐出チャネル下地部112と、接続下地部113と、中間プレート下地部405と、を備えている。
非吐出チャネル下地部112は、非吐出チャネル62の内面、並びにカバープレート53及び中間プレート200のうち非吐出チャネル62内に露出する部分に形成されている。
接続下地部113は、アクチュエータプレート52の下面のうち、連通孔200aを通じて露出する部分に形成されている。
中間プレート下地部405は、中間プレート200の下面及び連通孔200aの内面に亘って形成されている。中間プレート下地部405は、連通孔200aの内面において、接続下地部113に連なっている。
保護膜120は、第3実施形態と同様に、吐出チャネル保護部121、非吐出チャネル保護部122、接続保護部123及び中間プレート保護部300を備えている。保護膜120は、結合膜110を下地部分として形成されている。保護膜120のうち非吐出チャネル保護部122は、個別電極78や非吐出チャネル62の内面(駆動壁65)を下地部分として形成されている。
本実施形態では、保護膜120の形成領域全体に対して下地部分としての結合膜110が形成されるので、保護膜120の浮きや剥離等を抑制できる。また、絶縁性を有する結合膜110及び保護膜120の双方が中間プレート200とノズルプレート51との間に設けられるので、アクチュエータプレート52及びノズルプレート51間での静電誘導をより効果的に抑えることができる。
なお、上述した各実施形態では、サイドシュートタイプのヘッドチップ50を例にして説明したが、これに限られない。例えば、吐出チャネルにおける延在方向の端部からインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのヘッドチップに上述した各実施形態を適宜採用してもよい。
(第5実施形態)
本実施形態では、接着剤の漏れ出し部分を結合膜として利用する点において、上述した各実施形態と相違している。なお、本実施形態では、エッジシュートタイプのヘッドチップ500を例にして説明する。
図21、図22に示すヘッドチップ500は、アクチュエータプレート501と、カバープレート502と、ノズルプレート503と、を備えている。
アクチュエータプレート501は、Y方向を厚さ方向として配置されている。以下の説明において、+Y側を表面側とし、-Y側を裏面側とする場合がある。
アクチュエータプレート501には、吐出チャネル510及び非吐出チャネル511が形成されている。吐出チャネル510及び非吐出チャネル511は、駆動壁512を隔ててX方向に交互に並んで形成されている。
図21に示すように、吐出チャネル510は、アクチュエータプレート501の下端面(開口面)上で開口するとともに、Z方向に延びている。吐出チャネル510の上端部は、上方に向かうに従い吐出チャネル510の深さが漸次浅くなる円弧状に形成されている。図21に示すように、非吐出チャネル511は、アクチュエータプレート501をZ方向に貫通している。非吐出チャネル511の深さは、Z方向の全域で一様になっている。
アクチュエータプレート501には、共通配線520(図21参照)及び個別配線521が形成されている。図21に示すように、共通配線520は、共通電極525と、共通端子526と、を備えている。
共通電極525は、吐出チャネル510の内面にそれぞれ形成されている。
共通端子526は、アクチュエータプレート501の表面上において、吐出チャネル510の上方に位置する部分に形成されている。共通端子526の下端部は、吐出チャネル510における表面側開口縁において、共通電極525に接続されている。
図22に示すように、個別配線521は、個別電極527と、個別端子528と、を備えている。
個別電極527は、非吐出チャネル511の内面に形成されている。
個別端子528は、アクチュエータプレート501の表面上において、共通端子526よりも上方に位置する部分に形成されている。個別端子528は、吐出チャネル510を間に挟んでX方向で向かい合う非吐出チャネル511の個別電極527同士を接続している。
カバープレート(接合部材)502は、アクチュエータプレート501の表面(外表面、接合面)に接着剤530を介して接合されている。カバープレート502は、アクチュエータプレート501の上端部(以下、尾部501aという。)を突出させた状態で、各チャネル510,511の表面側開口部を閉塞している。
ここで、図23に示すように、接着剤530は、酸化物を含む材料により形成されている。本実施形態において、接着剤530は、SiO系接着剤が好適に用いられている。
接着剤530は、アクチュエータプレート501とカバープレート502との間に介在する接着層530aと、各チャネル510,511の内面に付着した結合膜(第1結合膜530b及び第2結合膜530c)と、を備えている。
接着層530aは、アクチュエータプレート501の表面のうち、カバープレート502の裏面に向かい合う部分の全域に亘って設けられている。
第1結合膜530bは、アクチュエータプレート501とカバープレート502との接合時において、接着剤530の一部が吐出チャネル510内に漏れ出て形成された層である。第1結合膜530bは、例えば毛細管現象等によって吐出チャネル510の内面上をY方向に延び、吐出チャネル510の内面又は共通電極525上に接着されている。すなわち、本実施形態では、カバープレート接合工程が本開示に係る結合膜形成工程に相当する。第1結合膜530bは、吐出チャネル510の内面上において、共通電極525の全体を覆っている。なお、第1結合膜530bは、共通電極525の少なくとも一部を覆っていればよく、例えば共通電極525の一部を覆っていてもよい。
第1結合膜530bにおける表面側端部は、接着層530aに連なっている。但し、接着層530aと第1結合膜530bとは分断されていてもよい。
第1結合膜530bは、吐出チャネル510の内面上において、Z方向の全域に亘って連続している。但し、第1結合膜530bは、吐出チャネル510の内面上において、Z方向で不連続に形成されていてもよい。
第1結合膜530bは、吐出チャネル510の内面上において、吐出チャネル510の内面自体とともに、保護膜550の下地部分としての機能を有する。すなわち、吐出チャネル510の内面上において、保護膜550の下地部分は、アクチュエータプレート501及び第1結合膜530bを構成する酸化物により形成されている。
第2結合膜530cは、アクチュエータプレート501とカバープレート502との接合時において、接着剤530の一部が非吐出チャネル511内に漏れ出て形成された層である。第2結合膜530cは、例えば毛細管現象等によって非吐出チャネル511の内面上をY方向に延び、非吐出チャネル511の内面又は個別電極527上に接着されている。第2結合膜530cは、非吐出チャネル511の内面上において、個別電極527の全体を覆っている。なお、第2結合膜530cは、個別電極527の少なくとも一部を覆っていればよく、例えば個別電極527の全体を覆っていてもよい。また、接着層530aと第2結合膜530cとは分断されていてもよい。
第2結合膜530cは、非吐出チャネル511の内面上において、Z方向の全域に亘って連続している。但し、第2結合膜530cは、非吐出チャネル511の内面上において、Z方向で不連続に形成されていてもよい。
第2結合膜530cは、非吐出チャネル511の内面上において、非吐出チャネル511の内面自体とともに、保護膜550の下地部分としての機能を有する。すなわち、非吐出チャネル511の内面上において、保護膜550の下地部分は、アクチュエータプレート501及び第2結合膜530cを構成する酸化物により形成されている。
カバープレート502において、吐出チャネル510の上端部とY方向から見て重なり合う位置には、共通インク室502aが形成されている。共通インク室502aは、例えば各チャネル510,511を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート502の表面上で開口している。
共通インク室502aにおいて、吐出チャネル510とY方向から見て重なり合う位置には、スリット(液体流路)502bが形成されている。スリット502bは、各吐出チャネル510の上端部と、共通インク室502b内と、の間を各別に連通している。スリット502bは、それぞれ各吐出チャネル510に連通する一方、各非吐出チャネル511には連通していない。
保護膜550は、アクチュエータプレート501及びカバープレート502に亘って設けられている。本実施形態において、保護膜550は、上述した各実施形態と同様に処理層と、絶縁層と、を含んでいる。具体的に、保護膜550は、吐出チャネル保護部551と、非吐出チャネル保護部552と、を備えている。
吐出チャネル保護部551は、吐出チャネル510の内面全体、及びカバープレート502の裏面のうち吐出チャネル510内に露出している部分に亘って形成されている。吐出チャネル保護部551は、吐出チャネル510の内面上において、第1結合膜530b及び共通電極525を覆っている。
非吐出チャネル保護部552は、非吐出チャネル511の内面全体、及びカバープレート502の裏面のうち非吐出チャネル511内に露出している部分に亘って形成されている。非吐出チャネル保護部552は、非吐出チャネル511の内面上において、第2結合膜530c及び個別電極527を覆っている。吐出チャネル保護部551及び非吐出チャネル保護部552は、少なくとも対応する電極525,527をそれぞれ覆っていればよい。
なお、吐出チャネル510の内面上や非吐出チャネル511の内面上において、電極525,527の一部が結合膜530b,530cから露出していてもよい。この場合には、電極525,527の表層が結合膜530b,530c等とともに保護膜550の下地部分として機能する。すなわち、電極525,527の表層には微細な凹凸が存在している。したがって、電極525,527を下地部分として保護膜550が形成される場合には、電極525,527の表層での物理的結合(アンカー効果)に起因する接着力によって保護膜550が接着される。
図21、図22に示すように、ノズルプレート503は、アクチュエータプレート501の下端面に接着剤555を介して接合されている。ノズルプレート503には、ノズル孔503aが形成されている。ノズル孔503aは、ノズルプレート503のうち、吐出チャネル510にZ方向で向かい合う位置に各別に形成されている。
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、接着剤530の一部を結合膜530b,530cとして用いることができるので、接着剤形成工程と結合膜形成工程とを別々に設ける必要がない。また、保護膜550を形成するにあたって、チャネル510,511内に漏れ出た接着剤を保護膜550の形成工程前に除去する必要がない。その結果、製造効率の向上を図ることができる。
本実施形態では、カバープレート502がアクチュエータプレート52の上面にチャネル510,511を覆うように設けられることで、接着剤530の一部からなる結合膜530b,530cがチャネル510,511の内面上においてZ方向に亘って形成されることになる。その結果、Z方向に延びるチャネル510,511であっても、Z方向の全域に亘って結合膜530b,530cを形成し易い。特に、カバープレート502がチャネル510,511におけるZ方向の全域を覆うことで、チャネル510,511の内面上において、Z方向の全域に亘って結合膜530b,530cを形成し易い。
(第6実施形態)
上述した第5実施形態では、接着剤の一部を結合膜とする構成について、エッジシュートのヘッドチップ500を例にして説明したが、これに限られない。サイドシュートタイプのヘッドチップ50についても第5実施形態と同様の構成を適宜採用してもよい。
図24に示すヘッドチップ50において、カバープレート53は、酸化物を含む接着剤600によってアクチュエータプレート52に接合されている。接着剤600は、アクチュエータプレート52とカバープレート53との間に介在する接着層600aと、各チャネル61,62の内面に付着した結合膜(第1結合膜600b及び第2結合膜600c)と、を備えている。
接着層600aは、アクチュエータプレート52の上面のうち、カバープレート53の下面に向かい合う部分の全域に亘って設けられている。
第1結合膜600bは、アクチュエータプレート52とカバープレート53との接合時において、接着剤600の一部が吐出チャネル61内に漏れ出て形成された層である。第1結合膜600bは、吐出チャネル61の内面上をZ方向に延びている。第1結合膜600bは、吐出チャネル61の内面上において、共通電極75の少なくとも上部を覆っている。
第2結合膜600cは、アクチュエータプレート52とカバープレート53との接合時において、接着剤600の一部が非吐出チャネル62内に漏れ出て形成された層である。第2結合膜600cは、非吐出チャネル62の内面上をZ方向に延びている。第2結合膜600cは、非吐出チャネル62の内面上において、個別電極78の上部を覆っている。
中間プレート(接合部材)200は、酸化物を含む接着剤610によってアクチュエータプレート52の下面(外表面、接合面)に接合されている。中間プレート200は、各チャネル61,62の下端開口部を覆っている。
接着剤610は、アクチュエータプレート52と中間プレート200との間に介在する接着層610aと、各チャネル61,62の内面に付着した結合膜(第3結合膜610b及び第4結合膜610c)と、を備えている。
接着層610aは、アクチュエータプレート52の下面のうち、中間プレート200の上面に向かい合う部分の全域に亘って設けられている。
第3結合膜610bは、アクチュエータプレート52と中間プレート200との接合時において、接着剤610の一部が吐出チャネル61内に漏れ出て形成された層である。第3結合膜610bは、吐出チャネル61の内面上をZ方向に延びている。第3結合膜610bは、吐出チャネル61の内面上において、共通電極75の少なくとも下部を覆っている。第3結合膜610bの上部は、吐出チャネル61の内面上において第1結合膜600bと重なり合っていることが好ましい。これにより、第1結合膜600b及び第3結合膜610bによって共通電極75の全体を覆うことができる。但し、第1結合膜600b及び第3結合膜610bは、重なり合っていなくてもよい。
第4結合膜610cは、アクチュエータプレート52と中間プレート200との接合時において、接着剤610の一部が非吐出チャネル62内に漏れ出て形成された層である。第4結合膜610cは、非吐出チャネル62の内面上をZ方向に延びている。第4結合膜610cの上部は、非吐出チャネル62の内面上において第4結合膜610cと重なり合っていることが好ましい。これにより、第2結合膜600c及び第4結合膜610cによって個別電極78の全体を覆うことができる。但し、第2結合膜600c及び第4結合膜610cは、重なり合っていなくてもよい。
このように、本実施形態では、第1結合膜600b及び第3結合膜610bが吐出チャネル61の内面上において、保護膜120(吐出チャネル保護部121)の下地部分として機能する。一方、第2結合膜600c及び第4結合膜610cが、非吐出チャネル62の内面上において、保護膜120(非吐出チャネル保護部122)の下地部分として機能する。これにより、各チャネル61,62の内面上に保護膜120を安定して形成することができる。
(その他の変形例)
なお、本開示の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、液体噴射記録装置の一例として、インクジェットプリンタ1を例に挙げて説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であってもよい。
上述した実施形態では、被記録媒体Pが紙の場合について説明したが、この構成に限られない。被記録媒体Pは、紙に限らず、金属材料や樹脂材料であってもよく、食品等であってもよい。
上述した実施形態では、ヘッドチップ及び液体噴射ヘッドが液体噴射記録装置に用いられる構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、ヘッドチップや液体噴射ヘッドから噴射される液体は、被記録媒体に着弾させるものに限らず、例えば調剤中に配合する薬液や、食品に添加する調味料や香料等の食品添加物、空気中に噴射する芳香剤等であってもよい。
上述した実施形態では、ヘッドチップとして、サイドシュートタイプやエッジシュートタイプを例にして説明したが、この構成に限られない。ヘッドチップは、インクに加わる圧力の方向と、インクの吐出方向と、を同一方向とした、いわゆるルーフシュートタイプであってもよい。
上述した実施形態では、Z方向が重力方向に一致する構成について説明したが、この構成のみに限らず、Z方向を水平方向に沿わせてもよい。
上述した実施形態では、結合膜として金属酸化物を用いる構成について説明したが、この構成に限られない。無機金属化合物としては、絶縁性を有する材料であれば、金属酸化物や金属水酸化物、金属窒化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物等であってもよい。上記金属としては、Al、Ti、Zr、Mg及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する金属が挙げられる。
上述した実施形態では、電極上に結合膜が形成された構成について説明したが、この構成に限られない。結合膜は、少なくとも保護膜に接着された構成であればよく、電極と結合膜との間に別の部材(例えば、接着剤等)が介在していてもよい。
上述した実施形態では、吐出チャネル及び非吐出チャネルが交互に並んだ構成について説明したが、この構成に限らず、吐出チャネルのみが並んだ構成であってもよい。
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
1:プリンタ(液体噴射記録装置)
5:インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
50:ヘッドチップ
51:ノズルプレート(接合部材)
52:アクチュエータプレート
53:カバープレート(接合部材)
61:吐出チャネル(噴射チャネル)
75:共通電極(電極)
95:接着剤
101:入口スリット(液体流路)
106:出口スリット(液体流路)
110:結合膜
120:保護膜
125:接着剤
126:ノズル孔
200:中間プレート(接合部材)
200a:連通孔
500:ヘッドチップ
501:アクチュエータプレート
502:カバープレート(接合部材)
502b:スリット(液体流路)
503:ノズルプレート(接合部材)
503a:ノズル孔(噴射孔)
510:吐出チャネル(噴射チャネル)
525:共通電極(電極)
530b:第1結合膜(結合膜)
530c:第2結合膜(結合膜)
550:保護膜
600:接着剤
600b:第1結合膜(結合膜)
600c:第2結合膜(結合膜)
610:接着剤
610b:第3結合膜(結合膜)
610c:第4結合膜(結合膜)

Claims (12)

  1. 第1方向に延びる噴射チャネルが前記第1方向に交差する第2方向に複数配列されたアクチュエータプレートと、
    前記噴射チャネルの内面上に設けられた電極と、
    絶縁性を有し、前記噴射チャネルの内面上において前記電極を覆うように設けられた保護膜と、を備え、
    前記噴射チャネルの内面上において、前記電極と前記保護膜との間の少なくとも一部には、前記保護膜に接着された結合膜が設けられ、
    前記結合膜は、絶縁性を有するとともに、前記保護膜及び前記電極間での接着性に比べ、前記保護膜との接着性が高い材料を含んでいるヘッドチップ。
  2. 前記アクチュエータプレートは、酸化物を含む圧電材料により形成され、
    前記結合膜は、酸化物を含む材料により形成されている請求項1に記載のヘッドチップ。
  3. 前記アクチュエータプレートに接着剤を介して接合された接合部材を備え、
    前記結合膜は、前記アクチュエータプレートと前記接合部材の間から前記噴射チャネル内に漏れ出した前記接着剤の一部から形成されている請求項1又は請求項2に記載のヘッドチップ。
  4. 前記第1方向から見て前記第2方向に交差する方向を第3方向とすると、
    前記噴射チャネルは、前記アクチュエータプレートの外表面において前記第3方向の一方を向く接合面上で開口し、
    前記接合部材は、前記アクチュエータプレートの前記接合面上に、前記噴射チャネルを覆うように設けられている請求項3に記載のヘッドチップ。
  5. 前記接合部材は、前記噴射チャネル内に連通する液体流路を有するとともに、前記アクチュエータプレートの前記接合面上に設けられたカバープレートである請求項4に記載のヘッドチップ。
  6. 前記アクチュエータプレートに接着剤を介して接合された接合部材を備え、
    前記結合膜は、前記接着剤とは別材料により形成されるとともに、前記電極と前記保護膜との間で前記電極を覆うように設けられている請求項1から請求項5の何れか1項に記載のヘッドチップ。
  7. 前記結合膜は、前記接着剤のうち、前記アクチュエータプレートと前記接合部材の間から前記噴射チャネル内に漏れ出た部分を覆っている請求項6に記載のヘッドチップ。
  8. 前記結合膜は、前記アクチュエータプレートと前記接合部材との界面上にも設けられ、
    前記保護膜は、前記界面上において前記結合膜に接着されている請求項3から請求項7の何れか1項に記載のヘッドチップ。
  9. 前記接合部材は、
    複数の前記噴射チャネル内に各別に連通する連通孔を有し、前記アクチュエータプレートの外表面のうち、前記噴射チャネルが開口する開口面上に設けられた中間プレートと、
    前記連通孔を通じて前記噴射チャネル内に各別に連通する噴射孔を有し、前記中間プレートに対して前記アクチュエータプレートとは反対側に設けられた噴射孔プレートと、を備え、
    前記保護膜は、前記中間プレートの少なくとも一部を覆っている請求項3から請求項8の何れか1項に記載のヘッドチップ。
  10. 請求項1から請求項9の何れか1項に記載のヘッドチップを備えている液体噴射ヘッド。
  11. 請求項10に記載の液体噴射ヘッドを備えている液体噴射記録装置。
  12. 第1方向に延びる噴射チャネルが前記第1方向に交差する第2方向に複数配列されたアクチュエータプレートと、
    前記噴射チャネルの内面上に形成された電極と、を備えたヘッドチップの製造方法であって、
    前記噴射チャネルの内面上において、前記電極の少なくとも一部を覆う結合膜を形成する結合膜形成工程と、
    前記結合膜を含む前記電極上に絶縁性を有する保護膜を形成する保護膜形成工程と、を備え、
    前記結合膜は、絶縁性を有するとともに、前記保護膜及び前記電極間での接着性に比べ、前記保護膜との接着性が高いヘッドチップの製造方法。
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