JP6844444B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関する。
従来、インクジェットヘッドに設けられている複数の微細なノズルからインクを射出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。また、このようなインクジェットヘッドにおけるインクの射出は、例えば、インクジェットヘッド内に設けられた圧力室内部に、圧電素子等によって圧力変化を生じさせることで行われる。
ところで、近年、インクジェットヘッドの小型化の要請により、多数のノズルを二次元的に高密度かつ高精度に配列したインクジェットヘッドを製造することが求められている。また、このようなインクジェットヘッドでは、圧電素子も高密度かつ高精度に二次元的に配列させて設ける必要がある。
圧電素子を高密度に二次元的に配列させて設ける方法としては、基板に圧電プレートを接着し、当該圧電プレートに対してサンドブラスト加工を施すことで形成する方法が知られている。
しかし、サンドブラスト加工により二次元的に配列された圧電素子を形成する場合、最外周に配置された圧電素子の形状精度が悪くなるという問題があった。
具体的には、図16に示すように、基板300上に二次元的に配列された圧電素子63を形成する過程において、サンドブラスト用ノズル400の位置が圧電素子63を設ける領域の外側に位置するときに、最外周に配置された圧電素子63の側面に研磨剤が吹き付けられ、当該圧電素子63の形状精度が悪化するという問題があった。
そこで、特許文献1には、サンドブラスト加工する際に、圧電素子と同形状のダミー部を、圧電素子の外周部に、圧電素子間隔と同間隔で配置することで、圧電素子の形状精度を向上させる方法が提案されている。
特開2003−48323号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法であっても、圧電素子を圧電素子の配列方向に直交する方向に対して傾斜するように並べて配置する場合や、圧電素子形状自体を平面視した際に丸形状としたような場合には、サンドブラスト加工する際に、ダミー部間の隙間から研磨剤が吹き付けられることがあり、最外周に配置された圧電素子の形状精度が悪くなるという問題を解決できない場合があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、圧電素子を高密度かつ高精度に設けることができ、各ノズルからのインクの射出のばらつきを抑えることができるインクジェットヘッドの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
インクを射出する複数のノズルと、インクが供給される複数の圧力室と、振動板と、前記複数の圧力室に供給されたインクに前記振動板を介して圧力を発生させることにより、前記ノズルからインクを射出させる複数の圧電素子と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
基板上に圧電プレートを接着する工程と、
前記圧電プレート表面にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層をパターニングすることにより、前記複数の圧電素子が二次元的に配列された圧電素子ユニットを形成するための圧電素子マスクパターンと、当該圧電素子ユニットの外周部に設けられたダミー部を形成するためのダミーマスクパターンと、を有するマスクパターンを形成する工程と、
前記マスクパターン上からサンドブラスト加工を施し、前記圧電プレートをパターニングして、前記圧電素子ユニット及び前記ダミー部を形成する工程と、
前記圧電素子ユニットの各圧電素子を前記振動板に接着する工程と、
前記基板を前記圧電素子ユニットの各圧電素子から剥離する工程と、を有し、
前記基板上において、前記圧電素子の配列方向及び当該配列方向に直交する方向のそれぞれに対し、前記圧電素子ユニットの外周部と前記ダミー部との距離が、前記圧電素子ユニットにおける圧電素子間距離よりも大きいことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記ダミー部のうち、前記サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向に交差する方向に設けられたダミー部は、少なくとも前記圧電素子ユニットの一端部から他端部までに対応する部分が覆われるように一続きで形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記ダミー部は、前記圧電素子ユニットの外周部を全て覆うように設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向が、前記圧電素子ユニットにおける前記複数の圧電素子が二次元的に配列する方向のうち、当該圧電素子の配列数の多い方向と平行であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記ダミー部の厚さが、前記圧電素子ユニットの厚さよりも厚いことを特徴とする。
本発明によれば、圧電素子を高密度かつ高精度に設けることができ、各ノズルからのインクの射出のばらつきを抑えることができるインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
インクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図 インクジェットヘッドの上側からの斜視図 インクジェットヘッドの下側からの斜視図 インクジェットヘッドの要部を示す図2AのIII-III部分で切断した断面図 図3のヘッドチップの一部を拡大した断面図 スペーサー基板と圧電素子との位置関係を示す平面図 基板上に設けられた圧電素子ユニット及びダミー部を示す平面図 基板に圧電プレートを接着した後を示す断面図 圧電プレート表面にレジスト層を形成した後を示す断面図 露光によりマスクのパターンを転写した後を示す断面図 現像によりマスクパターンを形成した後を示す断面図 サンドブラスト加工後を示す断面図 レジスト層除去後を示す断面図 圧電素子ユニット及びダミー部の変形例を示す平面図 圧電素子ユニット及びダミー部の他の変形例を示す平面図 圧電素子ユニット及びダミー部の他の変形例を示す平面図 基板上の圧電素子表面に接着剤を塗布した後を示す断面図 圧電素子を振動板に接着固定させた後を示す断面図 圧電素子から基板を剥離した後を示す断面図 スペーサー基板に接着剤を塗布した後、スペーサー基板に振動板を接着する直前を示す断面図 スペーサー基板に振動板を接着した後、両面から加圧した状態を示す断面図 スペーサー基板から接着用保持部材を剥離した後を示す断面図 スペーサー基板に接着剤を塗布し、配線基板を接着する直前を示す断面図 従来のサンドブラスト加工による圧電素子の形成を説明するための平面図 圧電素子ユニットの外周部とダミー部との距離が近い場合において、サンドブラスト加工時に、圧電素子ユニットの最外周に位置する圧電素子に研磨剤が吹き付けられることを説明するための説明図
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
[インクジェット記録装置の概略]
インクジェット記録装置100は、プラテン101、搬送ローラー102、ラインヘッド103,104,105,106等を備える(図1)。
プラテン101は、上面に記録媒体Mを支持しており、搬送ローラー102が駆動されると、記録媒体Mを搬送方向に搬送する。
ラインヘッド103,104,105,106は、記録媒体Mの搬送方向の上流側から下流側にかけて、搬送方向に直交する幅方向に並列して設けられている。そして、ラインヘッド103,104,105,106の内部には、後述するインクジェットヘッド1が少なくとも一つ設けられており、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、又は黒(K)のインクを記録媒体Mに向けて吐出する。
なお、ラインヘッドを用いた記録媒体の搬送のみで描画を行う1パス描画方式での実施形態を例にして説明したが、適宜の描画方式に適用可能であり、例えば、スキャン方式を用いた描画方式を採用しても良い。
[インクジェットヘッド]
インクジェットヘッド1は、ヘッドチップ2、共通インク室70、保持基板80、接続部材4及び駆動部5等を備えている(図2A、図2B、図3)。
以下、複数のノズルNが設けられた平面をX−Y平面とし、当該平面に沿う方向であって、互いに直交する方向をそれぞれX方向、Y方向とする。また、X−Y平面に直交する方向をZ方向とする。
ヘッドチップ2は、Z方向に複数の基板が積層されて構成されており、ヘッドチップ2の最下部に位置するノズル基板10と最上部に位置する配線基板50とは平行になるように配置されている。また、ヘッドチップ2の内部には、各ノズルNに対応して、インクが供給される圧力室21と、当該圧力室21内のインクに圧力を付与する圧力発生手段としての圧電素子63とが設けられている。圧力室21内部に貯留されたインクは、圧電素子63の変位によって加圧されると、圧力室21に連通するノズルNからインクの液滴が射出される。
共通インク室70は、ヘッドチップ2の上部に設けられたインク室形成部材70aの内部に形成され、ヘッドチップ2の内部に供給するインクを貯留している。インク室形成部材70aの上部には、共通インク室70にインクを供給するインク供給部71と、共通インク室70のインクを排出するインク排出部72とがそれぞれ設けられている(図2A)。また、共通インク室70は、下面においてヘッドチップ2の導通路51、41、31(図4参照)と連通している。
保持基板80は、ヘッドチップ2の上面に接合されており、共通インク室70を形成するインク室形成部材70aを保持している。
接続部材4は、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)等からなる配線部材であり、ヘッドチップ2のX方向の両端部で、それぞれ配線基板50の上面の配線57(図4参照)に接続されている。また、配線57と接続された接続部材4は、保持基板80のX方向両端部付近に設けられた貫通孔から保持基板80の上面に引き出されている。
駆動部5は、IC(Integrated Circuit)等で構成されており、圧電素子63に供給する駆動電流を出力する給電側の端子と、電流が流れ込む接地された接地側の端子と、を有している。駆動部5は、接続部材4に接続しており、接続部材4と配線57とを通じて、圧電素子63に電気(駆動電位)を供給し、圧電素子63を変位させる。
[ヘッドチップ]
次に、ヘッドチップ2について詳細に説明する。
ヘッドチップ2は、複数の基板が積層されて形成されており、例えば、ノズル基板10、圧力室基板20、振動板30、スペーサー基板40、及び配線基板50がZ方向に沿って下側から順に積層されている(図4)。
なお、Z方向に沿う方向のうち、ノズル基板10を基準として、インクが吐出される所定の方向を下方と記載し、その反対方向を上方と記載する。
ノズル基板10は、例えば、シリコン製の基板であり、複数のノズルNが形成されている。ノズルNは、例えば、ノズル基板10に対するドライエッチングにより形成することで、ノズルNが形成される位置や径の精度をより高精度に形成できる。また、ノズルNは、ノズルの配列方向(圧電素子の配列方向D1)に直交する方向D2に対して、複数列で設けられている。
圧力室基板20は、例えば、シリコン製の基板であり、ノズル基板10の上面に積層されている。圧力室基板20には、ノズルNに連通してインクが供給される圧力室21が形成されている。
振動板30は、例えば、シリコン製の基板であり、圧力室21の上面に設けられ、圧力室21の一面(上面)を構成する。即ち、振動板30は、圧力室21に対して、インクが吐出される所定の方向(下方)の反対側(上方)に設けられている。また、振動板30の上面には、圧力発生手段としての圧電素子63が設けられている。
スペーサー基板40は、インクの流路となる導通路41と、振動板30と配線基板50との間で、圧電素子63を格納する部分としての第1格納部42Nと、ダミー部63Dを格納する部分としての第2格納部42Dと、を有している(図4及び図5)。導通路41、第1格納部42N及び第2格納部42Dは、スペーサー基板40をZ方向に貫通している。
第1格納部42Nは、振動板30上に二次元的に配列された圧電素子63を格納する。第1格納部42Nは、圧電素子63を格納できれば形状は特に限られないが、例えば、図5に示すように、圧電素子63の配列方向D1に沿って並べられた複数の圧電素子63が全て格納できるような略直方体形状で、圧電素子の配列方向D1に直交する方向D2に対して、複数列となるように形成されている。
また、第2格納部42Dは、二次元的に配列された圧電素子63の外周部に設けられたダミー部63Dを格納する。ダミー部63Dは、二次元的に配列された圧電素子63を形成する際に同時に形成されたものであり、詳細については、後述するインクジェットヘッド1の製造方法で説明する。
また、第2格納部42Dも、ダミー部63Dが格納できれば形状は特に限られない。例えば、図5に示すように、ダミー部63Dの形状に沿って、ダミー部63Dよりもやや大きな形状となるように設けられている。
また、スペーサー基板40は、振動板30及び配線基板50と熱膨張係数の近い材料によって形成されていることが好ましい。例えば、振動板30及び配線基板50がシリコン製である場合には、スペーサー基板40は、シリコン、42アロイ、又はガラス等によって形成することが好ましい。
また、スペーサー基板40の第1格納部42N及び第2格納部42Dは、サンドブラスト加工によって形成することができる。サンドブラスト加工に適するという観点からは、スペーサー基板40はガラス製であることが好ましい。また、ガラス製の透明基板は、部材の位置合わせのしやすさの観点からも好ましい。
また、スペーサー基板40には、表面処理が施されていることが好ましい。表面処理としては、例えば、ニッケル(Ni)によるメッキ処理が施されている好ましい。表面処理は、スペーサー基板40に、導通路41や、第1格納部42N及び第2格納部42D等の形状加工が行われた後に施される。
スペーサー基板40は、表面処理により、防錆性や溶剤に対する耐性を得ることができることから、スペーサー基板40の耐久性をより向上させることができる。特に、スペーサー基板40には導通路41が設けられているので、インクに含まれている溶剤等に対する耐性を確保するため、表面処理は有効に機能する。
なお、表面処理は、ニッケル(Ni)によるメッキ処理に限らず、防錆性や溶剤に対する耐性を得られる表面処理であればよい。表面処理の他の具体例として、例えば、TEOS(Tetraethyl orthosilicate)のような珪酸エチルによる膜や、パリレン(登録商標)等のパラキシリレン系ポリマーによる膜をスペーサー基板40の表面に形成するための処理が挙げられる。当該膜を形成するための具体的な処理としては、例えば、スパッタリング等の蒸着処理を用いることができる。表面処理に係るこれらの例示はあくまで一例であり、これに限られるものでない。
圧電素子63は、例えば、振動板30を変形させるためのPZT(lead zirconium titanate)からなるアクチュエーターであり、圧力室21に供給されたインクに、振動板30を介して圧力を発生させることができる。また、圧電素子63は、圧電体60の上面に第1電極61及び下面に第2電極62が設けられている。
第1電極61は、図4に示すように、接続部90を介して、配線基板50の下面側に設けられた配線52と電気的に接続されている。接続部90は、第1電極61と配線52とをZ方向に沿って接続するよう設けられている。
接続部90は、配線基板50に形成されたバンプ91を有する。具体的には、バンプ91は、例えば、金を材料としたワイヤーボンディングにより形成される。また、バンプ91は、例えば、配線52の下面に形成される。配線52は、例えば、少なくとも下面が平坦な面となるよう設けられた導電性を有する金属(例えば、アルミニウム)製の板により構成されている。
また、バンプ91の下端側には導電性材料92が塗布されている。具体的には、導電性材料92は、例えば、導電性接着材である。導電性接着剤とは、導電性を有する金属粉末(例えば、銀粉等)が混入された接着剤であり、導電性を有する。
このように、接続部90は、配線基板50に形成されたバンプ91とバンプ91に塗布された導電性材料92を介して配線基板50と圧電素子63とを電気的に接続する。
ここで、スペーサー基板40の厚さは、圧電素子63及び接続部90のZ方向の厚さの和に対応する。より具体的には、スペーサー基板40の厚さは、例えば、50μm以上200μm以下のように薄く形成することが好ましい。このように、スペーサー基板40をより薄く設けることで、スペーサー基板40の熱膨張の度合いを最低限に抑えることができることから、基板どうしの熱膨張係数の差による基板の反りや基板間の剥離による問題の発生をより確実に防止することができる。
配線基板50は、例えば、シリコン製の基板である板状のインターポーザー53を備えている。インターポーザー53の上面及び下面には、それぞれ絶縁層54及び絶縁層55が被覆されている。また、配線基板50は、Z方向に貫通する貫通孔に設けられた貫通電極56と、絶縁層54の上面に設けられて貫通電極56の上側の端部と電気的に接続された配線57と、配線57の上面及び配線57が設けられていない絶縁層54の上面を被覆する絶縁層58と、絶縁層55の下面に設けられて貫通電極56の下側の端部と電気的に接続された配線52と、配線52のうちバンプ91が形成されない部分の下面及び絶縁層55のうち配線52が設けられていない下面を被覆する絶縁層59と、を有する。
配線52は、貫通電極56、配線57を介して、圧電素子63への電圧の印加に係る図示しない制御部に接続されている。
また、第2電極62は、振動板30に当接している。振動板30は、導電体であり、第2電極62と制御部とを電気的に接続する電極として機能している。具体的には、第2電極62は、例えば、振動板30及び振動板30に接続された図示しない配線を介して制御部に接続されている。
圧電素子63は、第1電極61が、接続部90、配線52、貫通電極56、配線57を介して制御部に接続されるとともに、第2電極62が、振動板30及び図示しない配線を介して制御部に接続されることで、制御部の制御下で動作する。
また、振動板30、スペーサー基板40及び配線基板50には、それぞれ圧力室21に連通する導通路31、41、51が設けられている。導通路31、41、51により形成されるインク流路は、圧力室21と、配線基板50の上方に設けられた共通インク室70とを接続する。
共通インク室70は、例えば、配線基板50の上方に立設するインク室形成部材70a内に設けられており、共通インク室70は図示しないインクの供給機構に接続されている。そして、当該インクの供給機構から共通インク室70に供給されたインクは、共通インク室70、導通路51、41、31を通って圧力室21に供給される。そして、圧力室21に供給されたインクは、圧電素子63の動作に応じて振動板30が振動することで圧力室21内のインクに圧力が付与され、ノズルNから射出される。
[インクジェットヘッドの製造方法]
次に、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法について説明する。
本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法は、(1)基板300上に圧電プレート302を接着する工程と、(2)圧電プレート302表面にレジスト層303を形成する工程と、(3)レジスト層303をパターニングすることによりマスクパターンを303p形成する工程と、(4)マスクパターン303p上からサンドブラスト加工を施し、圧電素子ユニット63U及びダミー部63Dを形成する工程と、(5)圧電素子ユニット63Uの各圧電素子63を振動板30に接着する工程と、(6)基板300を各圧電素子63から剥離する工程と、を有する。図6には、基板300上に形成した圧電素子ユニット63U及びダミー部63Dを示す。
また、本発明でいう「圧電素子ユニット」とは、ヘッドチップ2内に二次元的に所定間隔で配列された圧電素子63の集合体のことをいう。また、本発明では、二次元的に配列された圧電素子63の並ぶ方向のうち、より数の多くの圧電素子63が一列で並ぶ方向を「圧電素子の配列方向D1」という。
また、本発明でいう「ダミー部」とは、ノズルNからインクを射出する圧力発生手段としては使用しない圧電素子のことをいう。本実施形態におけるダミー部63Dは、圧電素子ユニット63Uの外周部に設けられており(図6)、サンドブラスト用ノズルが圧電素子ユニット63Uの外側に位置するときに、当該サンドブラスト用ノズルから吹き出される研磨剤を遮る役割を果たす。
以下、これらの工程について図7を用いて説明する。図7は、図6に示す圧電素子ユニット63U及びダミー部63DのVII−VII部分に対応する位置の各工程における断面図を示す。
まず、基板300上に、例えば剥離可能な粘着剤301を介して、圧電プレート302を接着する(図7A)。
基板300としては、例えば、後の工程で行うサンドブラスト加工する際の好適な基板であるガラス基板が用いられる。
また、剥離可能な粘着剤301としては、適宜公知の粘着剤を使用可能であり、例えば、加熱発泡剤を含有する粘着剤や、紫外線の照射処理によって粘着力が低下する粘着剤等を使用することができる。
次に、公知のフォトリソグラフィー技術により、まず圧電プレート302表面にレジスト層303を形成する(図7B)。次に、露光によりマスク304のパターンを転写した後(図7C)、現像を行うことで本実施形態に係るマスクパターン303pを形成する(図7D)。
次に、マスクパターン303p上からサンドブラスト加工を施し、圧電プレート302をパターニングして、圧電素子ユニット63Uを構成する各圧電素子63と、ダミー部63Dとを形成し(図7E)、レジスト層303(マスクパターン303p)を除去する(図7F)。
ここで、本実施形態のマスクパターン303pは、複数の圧電素子63が二次元的に配列された圧電素子ユニット63Uを形成するための圧電素子マスクパターン303nと、当該圧電素子ユニット63Uの外周部に設けられたダミー部63Dを形成するためのダミーマスクパターン303dと、を有する(図7D)。
ここで、圧電素子マスクパターン303nによって圧電素子ユニット63Uを設ける部分をマスクし、かつダミーマスクパターン303dによってダミー部63Dを設ける部分をマスクすることで、後述するサンドブラスト加工において、基板300上に圧電素子ユニット63Uとダミー部63Dとを形成することができる(図7E及び図6参照)。
また、基板300上の圧電素子ユニット63U及びダミー部63Dは、圧電素子63の配列方向D1及び当該配列方向D1に直交する方向D2のそれぞれにおいて、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A1,A2が、圧電素子ユニット63Uにおける圧電素子間距離B1,B2よりも大きくなっている(図6)。
ここで、本発明でいう「圧電素子ユニットの外周部とダミー部との距離」とは、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63から、ダミー部63Dまでの距離をいう。ここで、図6に一例を示すように、圧電素子63の配列方向D1における「圧電素子ユニットの外周部とダミー部との距離」をA1、圧電素子の配列方向D1に直交する方向D2における「圧電素子ユニットの外周部とダミー部との距離」をA2として示している。
また、本発明でいう「圧電素子間距離」とは、図6に一例を示すように、圧電素子63の配列方向D1においては、隣接する圧電素子63同士の間の距離B1を意味し、電素子の配列方向D1に直交する方向D2においては、圧電素子の配列間の距離B2を意味する。
したがって、図6に示した一例の場合、圧電素子の配列方向D1においては、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部との距離をA1が、圧電素子間距離B1よりも大きくなっている。さらに、圧電素子の配列方向D1に直交する方向D2においては、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A2が、圧電素子間距離B2よりも大きくなっている。
このような本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法では、サンドブラスト加工する際に、サンドブラスト用ノズルがダミー部63Dの外側まで走査されることとなる。ここで、当該サンドブラスト用ノズルがダミー部63Dの外側に位置するときには、ダミー部63Dが防御壁の役割を果たすこととなる。より詳細には、サンドブラスト用ノズルが圧電素子ユニット63Uの外側に位置するときに、当該サンドブラスト用ノズルから吹き出される研磨剤が、ダミー部63Dによって遮られる。したがって、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度を向上させることができる。
また、圧電素子の配列方向D1及び当該方向D1に直交する方向D2において、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A1,A2を、圧電素子間距離B1,B2より大きくすることで、サンドブラスト加工する際にサンドブラスト用ノズルを圧電素子ユニット63Uの外周部からより遠くの位置まで走査させることができる。これにより、サンドブラスト用ノズルがダミー部63Dの外側に位置するときに、サンドブラスト用ノズルから圧電素子ユニット63Uまでの距離がより遠くなり、研磨剤が圧電素子ユニット63Uに吹き付けられにくくなるので、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度を向上させることができる。
また、仮に、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A1,A2が近い場合には、図17に破線の矢印で示すように、ダミー部63Dの側面で反射した研磨剤が、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63に吹き付けられて、当該圧電素子63の形状精度が悪くなるという問題が生じる。
これに対し、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法では、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A1,A2を、圧電素子間距離B1,B2より大きくすることで、当該距離A1,A2を大きくしているので、図6に破線の矢印で示すように、ダミー部63Dの側面で反射した研磨剤が、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63に吹き付けられにくく、当該圧電素子63の形状精度を向上させることができる。
また、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A1,A2は、圧電素子間距離B1,B2よりも大きくすれば本発明の効果は得られるので、本発明の効果が得られればその上限は特に限られない。ただし、製造効率の観点からは、圧電素子ユニット63Uの外周部との距離A1,A2が、それぞれ、圧電素子間距離B1,B2の3倍よりも小さくすることが好ましく、圧電素子間距離B1,B2の2倍よりも小さくすることがより好ましい。
また、図6には、ダミー部63Dが、圧電素子ユニット63Uの外周部において、圧電素子の配列方向D1にそれぞれ1つずつ、かつ圧電素子の配列方向D1に直交する方向D2にそれぞれ1つずつ、計4つ設けた例を示しているが、これに限られない。
ダミー部63D、例えば、図8に示すように複数に分割したものとしてもよいし(図8)、圧電素子の配列方向D1については複数に分割したものとし、当該方向D1に直交する方向D2については一続きで形成したものとしてもよいし(図9)、圧電素子ユニット63Uの外周部を全て覆うように設けてもよい(図10)。
また、ダミー部63Dを複数に分割する場合は、当該ダミー部63Dと平行な位置の圧電素子ユニット63Uを8割以上覆うように設けることが、本発明の効果を得る観点から好ましい。
また、ダミー部63Dのうち、少なくともサンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向MDに交差する方向に設けられたダミー部63Dが、少なくとも圧電素子ユニット63Uの一端部から他端部までに対応する部分が覆われるように一続きで形成されていることが好ましい。
また、本発明でいう「サンドブラストの主走査方向」とは、サンドブラスト加工を複数のラインに分割して行う際に、当該ライン方向と平行な方向をいう。また、本発明では、次のラインに移動することを副走査といい、その移動方向である主走査方向と直交する方向を副走査方向という。
また、サンドブラスト加工は、基板300を固定してサンドブラスト用ノズルを移動してもよく、サンドブラスト用ノズルを固定して基板300側を移動させることとしてもよい。
また、図9には、基板300上のサンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向MD及び副走査方向SDの一例を示す。また、図9では、サンドブラストの主走査方向MDに交差する方向の1つである直交する方向(副走査方向)において、ダミー部63Dが、少なくとも圧電素子ユニット63Uの一端部から他端部まで覆うように一続きで形成したものとなっている。なお、図9に示した例では、サンドブラストの主走査方向MDと圧電素子の配列方向D1が平行となる例を示している。
サンドブラスト加工を行う際には、サンドブラストの主走査方向MDに交差する方向に設けられたダミー部63Dの外側にサンドブラスト用ノズルが留まる時間が長くなる。ここで、サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向MDに交差する方向に設けられたダミー部63Dが、圧電素子ユニット63Uの一端部から他端部までに対応する部分が覆われるように一続きで形成されていると、ダミー部63Dの外側にサンドブラスト用ノズルが留まっているときに、研磨剤が圧電素子ユニット63Uには吹き付けられにくくなる。したがって、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度をより向上させることができる。
また、本発明の効果を有効に得る観点からは、ダミー部63Dは、圧電素子ユニット63Uの外周部を全て覆うように設けられていることが好ましい(図10)。これにより、ダミー部63D間の隙間がなく、ダミー部63Dでより防御しやすくなるので、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度をより向上させることができる。
また、サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向MDが、圧電素子ユニット63Uにおける複数の圧電素子63が二次元的に配列する方向のうち、配列数の多い方向(圧電素子の配列方向D1)と平行であることが好ましい(図9)。これにより、サンドブラスト加工時に、サンドブラストの主走査方向MDに交差する方向に設けられたダミー部63Dの外側にサンドブラスト用ノズルが留まるとき、サンドブラスト用ノズルから近くに位置する圧電素子63の数が少なくなるので、圧電素子ユニット63Uの形状精度をより向上させることができる。
また、ダミー部63Dの厚さが、圧電素子ユニット63Uの厚さよりも厚いことが好ましい。これにより、ダミー部63Dの防御能力が向上するので、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度をより向上させることができる。
また、ダミー部63Dの厚さを、圧電素子ユニット63Uの厚さよりも厚くするためには、例えば、ダミー部63Dを形成する部分を厚くした圧電プレート302を用いることで製造することができる。
次に、基板300上に形成した圧電素子ユニット63Uの各圧電素子63表面に、接着剤310を塗布する(図11A)。次に、当該接着剤310が塗布された圧電素子63表面を、ノズル基板10、圧力室基板20及び振動板30が積層された基板の振動板30上に接着させ(図11B)、両面から加圧することで圧電素子63と振動板30とを密着させる。
ここで、ダミー部63Dについても、圧電素子ユニット63Uを構成する各圧電素子63と同様の方法で振動板30に接着させることができる。ただし、ダミー部63Dはインクの射出には使用しないので、ダミー部63D部分を切り取った後で、圧電素子ユニット63Uのみを振動板30に接着させてもよい。
また、図5には、ダミー部63Dも振動板30に接着する場合の、スペーサー基板40とダミー部Dの位置関係を示している。
次に、基板300を圧電素子63から剥離する(図11C)。基板300に剥離可能な粘着剤301を介して圧電素子63が接着されているので、例えば、剥離可能な粘着剤として加熱発泡剤を含有する粘着剤を用いた場合には、加熱することで、基板300を各圧電素子63から剥離することができる。
次に、圧電素子63を格納する第1格納部42Nを有するスペーサー基板40を準備する(図12)。なお、図5に示すように、ダミー部63Dも振動板30に接着する場合には、スペーサー基板40には第2格納部42Dも形成しておく必要がある。
次に、スペーサー基板40を、基板201上に剥離可能な粘着剤200を介して接着し、スペーサー基板40の表面に接着剤210を塗布する(図12)。なお、図12では、スペーサー基板40の表面に有する接着剤210のうち、スペーサー基板40の切断面の下面に有する接着剤210aと、導通路41及び第1格納部42Nの奥のスペーサー基板40の下面に有する接着剤210bとをそれぞれ別の符号を付して示している。
次に、スペーサー基板40を振動板30に接着させ、スペーサー基板40と振動板30とが密着するように加圧(例えば、両面から加圧)する(図13)。
次に、スペーサー基板40から基板201を剥離する(図14)。剥離可能な粘着剤200として加熱発泡剤を含有する粘着剤を用いた場合には、加熱することで、基板201をスペーサー基板40から剥離することができる。
次に、スペーサー基板40の上面に接着剤220を塗布し(図15)、スペーサー基板40の上面に配線基板50を接着固定し、導電性材料92によって配線基板50と圧電素子63を接続することで、本実施形態のヘッドチップ2を製造することができる(図4)。
なお、図15では、スペーサー基板40の表面に有する接着剤220のうち、スペーサー基板40の切断面の上面に有する接着剤220aと、導通路41及び第1格納部42Nの奥のスペーサー基板40の上面に有する接着剤220bとをそれぞれ別の符号を付して示している。
[本発明の技術的効果]
以上、説明した通り、本発明に係るインクジェットヘッド1は、インクを射出する複数のノズルNと、インクが供給される複数の圧力室21と、振動板30と、複数の圧力室21に供給されたインクに振動板30を介して圧力を発生させることにより、ノズルNからインクを射出させる複数の圧電素子63と、を備える。そして、本発明のインクジェットヘッド1の製造方法では、基板300上に圧電プレート302を接着する工程と、圧電プレート302表面にレジスト層303を形成する工程と、レジスト層303をパターニングすることにより、複数の圧電素子63が二次元的に配列された圧電素子ユニット63Uを形成するための圧電素子マスクパターン303nと、当該圧電素子ユニット63Uの外周部に設けられたダミー部63Dを形成するためのダミーマスクパターン303dと、を有するマスクパターン303pを形成する工程と、当該マスクパターン303p上からサンドブラスト加工を施し、圧電プレート302をパターニングして、圧電素子ユニット63U及びダミー部63Dを形成する工程と、圧電素子ユニット63Uの各圧電素子63を振動板30に接着する工程と、基板300を圧電素子ユニット63Uの各圧電素子63から剥離する工程と、を有する。また、基板300上において、圧電素子63の配列方向D1及び当該配列方向D1に直交する方向D2のそれぞれに対し、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A1,A2が、圧電素子ユニット63Uにおける圧電素子間距離B1,B2よりも大きくなっている。
このような本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法では、サンドブラスト加工する際に、サンドブラスト用ノズルがダミー部63Dの外側まで走査されることとなる。ここで、当該サンドブラスト用ノズルがダミー部63Dの外側に位置するときには、ダミー部63Dが防御壁の役割を果たすこととなる。より詳細には、サンドブラスト用ノズルが圧電素子ユニット63Uの外側に位置するときに、当該サンドブラスト用ノズルから吹き出される研磨剤が、ダミー部63Dによって遮られる。したがって、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度を向上させることができる。
また、圧電素子の配列方向D1及び当該方向D1に直交する方向D2において、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A1,A2を、圧電素子間距離B1,B2より大きくすることで、サンドブラスト加工する際にサンドブラスト用ノズルを圧電素子ユニット63Uの外周部からより遠くの位置まで走査させることができる。これにより、サンドブラスト用ノズルがダミー部63Dの外側に位置するときに、サンドブラスト用ノズルから圧電素子ユニット63Uまでの距離がより遠くなり、研磨剤が圧電素子ユニット63Uに吹き付けられにくくなるので、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度を向上させることができる。
さらに、圧電素子ユニット63Uの外周部とダミー部63Dとの距離A1,A2を、圧電素子間距離B1,B2より大きくすることで、当該距離A1,A2を大きくしているので、ダミー部63Dの側面で反射した研磨剤が、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63に吹き付けられにくく、当該圧電素子63の形状精度を向上させることができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法では、ダミー部63Dのうち、サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向MDに交差する方向に設けられたダミー部63Dは、少なくとも圧電素子ユニット63Uの一端部から他端部までに対応する部分が覆われるように一続きで形成されていることが好ましい。
サンドブラスト加工を行う場合、サンドブラストの主走査方向MDに交差する方向に設けられたダミー部63Dの外側にサンドブラスト用ノズルが留まる時間が長くなる。ここで、サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向MDに交差する方向に設けられたダミー部63Dが、圧電素子ユニット63Uの一端部から他端部までに対応する部分が覆われるように一続きで形成されていると、ダミー部63Dの外側にサンドブラスト用ノズルが留まっているときに、研磨剤が圧電素子ユニット63Uには吹き付けられにくくなる。したがって、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度をより向上させることができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法では、ダミー部63Dが、圧電素子ユニット63Uの外周部を全て覆うように設けられていることが好ましい。これにより、ダミー部63D間の隙間がなく、ダミー部63Dでより防御しやすくなるので、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度をより向上させることができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法では、サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向MDが、圧電素子ユニット63Uにおける複数の圧電素子63が二次元的に配列する方向のうち、圧電素子の配列数の多い方向D1と平行であることが好ましい。これにより、サンドブラスト加工時に、サンドブラストの主走査方向MDに交差する方向に設けられたダミー部63Dの外側にサンドブラスト用ノズルが留まるとき、サンドブラスト用ノズルから近くに位置する圧電素子63の数が少なくなるので、圧電素子ユニット63Uの形状精度をより向上させることができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法では、ダミー部63Dの厚さが、圧電素子ユニット63Uの厚さよりも厚いことが好ましい。これにより、ダミー部63Dの防御能力が向上するので、圧電素子ユニット63Uの最外周に位置する圧電素子63の形状精度をより向上させることができる。
[その他]
なお、本発明の実施の形態は、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、ヘッドチップ2の層構成としては、ノズル基板10と圧力室基板20との間に、さらに、別の基板(以下、中間基板という。)が設けられていてもよい。中間基板には、例えば、ノズルNと圧力室21とを連通する導通路を形成し、その導通路をインクが通過する経路の径を絞る形状とする等によって、インクの吐出に係りインクに加えられる運動エネルギーを調整してもよい。
また、本実施形態のヘッドチップ2では、圧力室基板20と振動板30とが個別に設けられて積層された例を示したが、これに限られず、圧力室基板20と振動板30とが一体形成されていてもよい。
1 インクジェットヘッド
2 ヘッドチップ
10 ノズル基板
20 圧力室基板
21 圧力室
30 振動板
40 スペーサー基板
42 格納部
50 配線基板
63 圧電素子
63D ダミー部
63U 圧電素子ユニット
100 インクジェット記録装置
300 基板
302 圧電プレート
303 レジスト層
303d ダミーマスクパターン
303n 圧電素子マスクパターン
303p マスクパターン
N ノズル
MD サンドブラストの主走査方向
D1 圧電素子の配列方向
A1 圧電素子ユニットの外周部とダミー部との距離(圧電素子の配列方向)
A2 圧電素子ユニットの外周部とダミー部との距離(圧電素子の配列方向に直交する方向)
B1 圧電素子ユニットにおける圧電素子間距離(圧電素子の配列方向)
B2 圧電素子ユニットにおける圧電素子間距離(圧電素子の配列方向に直交する方向)

Claims (5)

  1. インクを射出する複数のノズルと、インクが供給される複数の圧力室と、振動板と、前記複数の圧力室に供給されたインクに前記振動板を介して圧力を発生させることにより、前記ノズルからインクを射出させる複数の圧電素子と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法であって、
    基板上に圧電プレートを接着する工程と、
    前記圧電プレート表面にレジスト層を形成する工程と、
    前記レジスト層をパターニングすることにより、前記複数の圧電素子が二次元的に配列された圧電素子ユニットを形成するための圧電素子マスクパターンと、当該圧電素子ユニットの外周部に設けられたダミー部を形成するためのダミーマスクパターンと、を有するマスクパターンを形成する工程と、
    前記マスクパターン上からサンドブラスト加工を施し、前記圧電プレートをパターニングして、前記圧電素子ユニット及び前記ダミー部を形成する工程と、
    前記圧電素子ユニットの各圧電素子を前記振動板に接着する工程と、
    前記基板を前記圧電素子ユニットの各圧電素子から剥離する工程と、を有し、
    前記基板上において、前記圧電素子の配列方向及び当該配列方向に直交する方向のそれぞれに対し、前記圧電素子ユニットの外周部と前記ダミー部との距離が、前記圧電素子ユニットにおける圧電素子間距離よりも大きいことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 前記ダミー部のうち、前記サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向に交差する方向に設けられたダミー部は、少なくとも前記圧電素子ユニットの一端部から他端部までに対応する部分が覆われるように一続きで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 前記ダミー部は、前記圧電素子ユニットの外周部を全て覆うように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 前記サンドブラスト加工する際のサンドブラストの主走査方向が、前記圧電素子ユニットにおける前記複数の圧電素子が二次元的に配列する方向のうち、当該圧電素子の配列数の多い方向と平行であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 前記ダミー部の厚さが、前記圧電素子ユニットの厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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