JP2023015817A - ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法 - Google Patents

ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法 Download PDF

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Hideaki Taira
仁 中山
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Abstract

【課題】アクチュエータプレートと接合部材との剥離を抑制し、耐久性を向上できるヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法を提供する。【解決手段】本開示の一態様に係るヘッドチップ50は、チャネル61,62が並んで設けられたアクチュエータプレート52と、アクチュエータプレート52のうち、チャネル61,62が開口する開口面を覆うように、開口面に接着層110を介して接合された接合部材と、を備えている。アクチュエータプレート52と接合部材とが接合されている接合領域Q2の一部には、吐出チャネル61内に充填されたインクが、接合領域Q2上を広がるのを抑制するブロック部120が設けられている。【選択図】図7

Description

本開示は、ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法に関する。
インクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッドは、被記録媒体に向けてインクを吐出するヘッドチップを備えている。ヘッドチップは、吐出チャネル及び非吐出チャネルが形成されたアクチュエータプレートを備えている。吐出チャネル及び非吐出チャネルは、駆動壁を隔てて交互に配列されている。アクチュエータプレートには、カバープレートやノズルプレートが接着層を介して接合される(例えば、下記特許文献1参照)。カバープレートには、吐出チャネルに対して上流側で連通するインク室が形成されている。ノズルプレートには、吐出チャネルに対して下流側で連通するノズル孔が形成されている。
ヘッドチップにおいて、インクを吐出させるには、駆動壁に形成された電極間に電圧を印加する。すると、駆動壁が厚み滑り変形することで、吐出チャネル内の容積が拡大及び縮小する。これにより、吐出チャネル内のインクがノズル孔を通じて吐出される。
特開2019-127021号公報
しかしながら、カバープレートやノズルプレート等の接合部材と、アクチュエータプレートと、の間には、意図しない微小隙間が形成される場合がある。仮に、吐出チャネル内のインクが微小隙間を通じてアクチュエータプレートと接合部材との間(アクチュエータプレートと接着層との界面や、接合部材と接着層との界面)に進入すると、インクによって接着層が剥離する可能性がある。そのため、従来のヘッドチップでは、耐久性を向上させる点で未だ改善の余地があった。
本開示は、アクチュエータプレートと接合部材との剥離を抑制し、耐久性を向上できるヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及びヘッドチップの製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係るヘッドチップは、第1方向に延びるチャネルが前記第1方向に交差する第2方向に並んで設けられたアクチュエータプレートと、前記アクチュエータプレートのうち、前記チャネルが開口する開口面を覆うように、前記開口面に接着層を介して接合された接合部材と、を備え、前記アクチュエータプレートと前記接合部材とが接合されている接合領域の一部には、複数の前記チャネルのうち一の前記チャネル内に充填された液体が、前記接合領域上を広がるのを抑制するブロック部が設けられている。
本態様によれば、仮に噴射チャネル内の液体が接合領域に形成された意図しない微小隙間に進入したとしても、接合領域において液体が広がるのを抑制できる。これにより、接着層の接着力が液体によって低下するのを抑制し、接合領域での剥離を抑制できる。その結果、ヘッドチップの耐久性を向上できる。
(2)上記(1)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記ブロック部は、前記接合領域において、前記接着層及び前記アクチュエータプレート間の第1界面、及び前記接着層及び前記接合部材間の第2界面の少なくとも一方の界面を分断していることが好ましい。
本態様によれば、ブロック部によって界面を分断することで、噴射チャネル内に充填された液体が、接合領域において各界面を伝って広がるのを抑制できる。
(3)上記(2)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記ブロック部は、前記接合領域において、前記接着層を通じて前記第1界面及び前記第2界面を貫いていることが好ましい。
本態様によれば、ブロック部が接着層を通じて各界面を貫くことで、ブロック部の幅を抑えた上でブロック部の体積を確保し易い。そのため、接着層による接合面積を確保しつつ、ブロック部によって移動を抑制できる液体の容量を確保し易い。
(4)上記(2)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記接着層は、前記接合領域の全域に亘って設けられ、前記ブロック部は、前記接合領域において、前記アクチュエータプレートの前記開口面、及び前記接合部材のうち前記開口面に向かい合う対向面の少なくとも一方の面に対して窪んでいることが好ましい。
本態様によれば、噴射チャネル内の液体が、接合領域において広がるのを抑制できる。特に、接着層を接合領域の全域に設けた上で、ブロック部を形成することができるので、接着層による接合面積を確保し易い。
(5)上記(3)又は(4)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記ブロック部は、前記接合部材を貫通して外部に開放されていることが好ましい。
本態様によれば噴射チャネル内の液体が仮にブロック部まで到達したとしても、ブロック部を通じて接合部材の外面まで導かれる。そのため、ブロック部まで到達した液体をヘッドチップの外部に排出できる。その結果、ブロック部によって多くの液体の移動を抑制できる。
(6)上記(2)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記ブロック部は、前記接合領域において、前記アクチュエータプレートと前記接合部材の積層方向で前記接着層のみを貫いていることが好ましい。
本態様によれば、噴射チャネル内の液体が、接合部材及び接着層間の界面等を通じて接合領域で広がるのを抑制できる。特に、ブロック部が接着層のみを貫いているため、接合部材等に対してブロック部の加工を施す場合に比べ、ヘッドチップを簡単に製造できる。
(7)上記(1)から(6)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、少なくとも前記チャネルの内面に設けられた電極と、前記アクチュエータプレートの前記開口面、及び前記開口面を挟んで前記第2方向で隣り合う前記チャネルの内面に亘って設けられ、前記電極を覆う保護膜と、を備え、前記ブロック部は、前記接合領域のうち、前記保護膜と重なる部分に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、保護膜の不良箇所(ピンホール等)を通じて噴射チャネルの内面と保護膜との間に液体が進入した場合であっても、液体が接合領域を通じて非噴射チャネルに到達するのを抑制できる。これにより、第1電極及び第2電極が液体を介して架け渡されるのを抑制し、第1電極及び第2電極の短絡や腐食等を抑制できる。
(8)上記(1)から(7)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記ブロック部は、前記接合領域に設けられた空間であることが好ましい。
本態様によれば、接合領域に進入した液体がブロック部である空間に溜まることで、接合領域において液体が広がるのを抑制できる。
(9)上記(1)から(7)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記ブロック部は、前記接合領域に設けられた吸液材を含むことが好ましい。
本態様によれば、接合領域に進入した液体がブロック部に吸収される。これにより、接合領域において液体が広がるのを抑制できる。
(10)上記(1)から(7)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記ブロック部は、前記接合領域に設けられた撥液材を含むことが好ましい。
本態様によれば、ブロック部として撥液材を用いることで、接合領域に進入した液体が接合領域において広がるのを抑制できる。
(11)上記(1)から(10)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記ブロック部は、前記アクチュエータプレートと前記接合部材の積層方向から見て前記チャネルの周囲を取り囲んでいることが好ましい。
本態様によれば、噴射チャネルから接合領域に進入した液体が、接合領域において広がるのをより確実に抑制できる。
(12)本開示の一態様に係る液体噴射ヘッドは、上記(1)から(11)の何れかの態様に係るヘッドチップを備えている。
本態様によれば、信頼性に優れた商品を提供できる。
(13)本開示の一態様に係る液体噴射記録装置は、上記(12)の態様に係る液体噴射ヘッドを備えている。
本態様によれば、信頼性に優れた商品を提供できる。
(14)本開示の一態様に係るヘッドチップの製造方法は、第1方向に延びるチャネルが前記第1方向に交差する第2方向に並んで設けられたアクチュエータプレートのうち、前記チャネルが開口する開口面に接着層を介して接合部材を積層する積層工程と、前記アクチュエータプレートと前記接合部材との接合領域の一部に、複数の前記チャネルのうち一の前記チャネル内に充填された液体が、前記接合領域上を広がるのを抑制するブロック部を形成するブロック部形成工程と、を備えている。
本態様によれば、仮に噴射チャネル内の液体が接合領域に形成された意図しない微小隙間に進入したとしても、接合領域において液体が広がるのを抑制できる。これにより、接着層の接着力が液体によって低下するのを抑制し、接合領域での剥離を抑制できる。その結果、ヘッドチップの耐久性を向上できる。
(15)上記(14)の態様に係るヘッドチップの製造方法において、前記積層工程に先立って、前記アクチュエータプレートの前記開口面上に前記接着層を形成する接着層形成工程を備え、前記ブロック部形成工程は、前記接着層形成工程の後、少なくとも前記接着層を前記アクチュエータプレートと前記接合部材との積層方向に貫くことで前記ブロック部を形成することが好ましい。
本態様によれば、接着層形成工程後、アクチュエータプレート及び接着層の第1界面、又は接着剤及び接合部材間の第2界面を貫くようにブロック部を形成することで、各部材にそれぞれブロック部を形成する場合に比べ、各部材に対して簡単にブロック部を形成することができる。
(16)上記(15)の態様に係るヘッドチップの製造方法において、前記ブロック部形成工程では、前記積層工程の後、前記接合領域の一部を、前記アクチュエータプレート、前記接着層及び前記接合部材の積層方向に貫くことで前記ブロック部を形成することが好ましい。
本態様によれば、積層工程後、接合領域を貫くようにブロック部を形成することで、各部材にそれぞれブロック部を形成する場合に比べ、各部材に対して簡単にブロック部を形成することができる。
(17)上記(14)の態様のヘッドチップの製造方法において、前記ブロック部形成工程は、前記積層工程に先立って行われ、前記ブロック部形成工程では、前記接合部材における前記開口面と向かい合う対向面及び前記開口面のうち、一方の面に対して前記ブロック部の形成領域に位置する部分を回避して前記接着層を選択的に形成し、前記積層工程は、前記一方の面に形成された前記接着層を介して前記アクチュエータプレートと前記接合部材とを接合することが好ましい。
本態様によれば、パターニング等によってアクチュエータプレートに対して接着層を選択的に形成しておくことで、ブロック部形成工程を別途設けることなく、ブロック部を形成することができる。
本開示の一態様によれば、接着層の剥離を抑制し、耐久性を向上できる。
第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 第1実施形態に係るインクジェットヘッド及びインク循環機構の概略構成図である。 第1実施形態に係るヘッドチップの分解斜視図である。 図6のIV-IV線に対応する断面図である。 図6のV-V線に対応する断面図である。 図3のVI矢視図である。 図6のVII-VII線に対応する断面図である。 第1実施形態に係るヘッドチップの製造方法を示す説明図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 図7に対応する断面図であって、ヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図6に対応する底面図である。 第2実施形態に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 第3実施形態に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 第4実施形態に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 第5実施形態に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 第5実施形態に係るヘッドチップであって、アクチュエータプレートの平面図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図7に対応する断面図である。 第6実施形態に係るヘッドチップの断面図である。 第6実施形態に係るヘッドチップの断面図である。 図25のXXVII-XXVII線に対応する断面図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図27に対応する断面図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図27に対応する断面図である。 変形例に係るヘッドチップであって、図27に対応する断面図である。
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。以下の実施形態では、インク(液体)を利用して被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
[プリンタ1]
図1はプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ(液体噴射記録装置)1は、一対の搬送機構2,3と、インクタンク4と、インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)5と、インク循環機構6と、走査機構7と、を備えている。
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。この場合、X方向は被記録媒体P(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)に一致している。Y方向は走査機構7の走査方向(主走査方向)に一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。本実施形態において、+Z側は重力方向の上方に相当し、-Z側は重力方向の下方に相当する。
搬送機構2,3は、被記録媒体Pを+X側に搬送する。搬送機構2,3は、例えばY方向に延びる一対のローラ11,12をそれぞれ含んでいる。
インクタンク4は、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが各別に収容されている。各インクジェットヘッド5は、接続されたインクタンク4に応じてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクをそれぞれ吐出可能に構成されている。なお、インクタンク4に収容されるインクは、溶剤に水を使用した水性インク(導電性インク)を用いることも可能である。
図2は、インクジェットヘッド5及びインク循環機構6の概略構成図である。
図1、図2に示すように、インク循環機構6は、インクタンク4とインクジェットヘッド5との間でインクを循環させる。具体的に、インク循環機構6は、インク供給管21及びインク排出管22を有する循環流路23と、インク供給管21に接続された加圧ポンプ24と、インク排出管22に接続された吸引ポンプ25と、を備えている。
加圧ポンプ24は、インク供給管21内を加圧し、インク供給管21を通してインクジェットヘッド5にインクを送り出している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク供給管21側は正圧になる。
吸引ポンプ25は、インク排出管22内を減圧し、インク排出管22内を通してインクジェットヘッド5からインクを吸引している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク排出管22側は負圧になる。インクは、加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25の駆動により、インクジェットヘッド5とインクタンク4との間を、循環流路23を通して循環可能となっている。
走査機構7は、インクジェットヘッド5をY方向に往復走査させる。走査機構7は、Y方向に延びるガイドレール28と、ガイドレール28に移動可能に支持されたキャリッジ29と、を備えている。
<インクジェットヘッド5>
図1に示すように、インクジェットヘッド5は、キャリッジ29に搭載されている。図示の例では、複数のインクジェットヘッド5が、一つのキャリッジ29にY方向に並んで搭載されている。インクジェットヘッド5は、ヘッドチップ50(図3参照)と、インク循環機構6及びヘッドチップ50間を接続するインク供給部(不図示)と、ヘッドチップ50に駆動電圧を印加する制御部(不図示)と、を備えている。
<ヘッドチップ50>
図3は、ヘッドチップ50の分解斜視図である。
図3に示すヘッドチップ50は、後述する吐出チャネル61における延在方向(Y方向)の中央部からインクを吐出する、いわゆる循環式サイドシュートタイプのヘッドチップ50である。ヘッドチップ50は、ノズルプレート51(接合部材)と、アクチュエータプレート52と、カバープレート(接合部材)53と、を備えている。ヘッドチップ50は、ノズルプレート51、アクチュエータプレート52及びカバープレート53が、この順番にZ方向に積層された構成である。
アクチュエータプレート52は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で形成されている。アクチュエータプレート52は、例えば分極方向がZ方向の全域で一方向な、いわゆるモノポール基板である。但し、アクチュエータプレート52は、分極方向がZ方向の+側と-側とで異なる、いわゆるシェブロン基板であってもよい。本実施形態では、アクチュエータプレート52が単一の基板で構成された例について説明するが、この構成に限られない。アクチュエータプレート52は、複数枚(例えば、2枚)の圧電板が接合されて構成されていてもよい。
アクチュエータプレート52には、チャネル列60が形成されている。チャネル列60は、インクが充填される吐出チャネル(噴射チャネル)61、及びインクが充填されない非吐出チャネル(非噴射チャネル)62を有している。各チャネル61,62は、アクチュエータプレート52において、X方向(第2方向)に間隔をあけた状態で交互に配列されている。本実施形態では、チャネル延在方向(第1方向)がY方向に一致する構成について説明するが、チャネル延在方向がY方向に交差していてもよい。
図4は、図6のIV-IV線に対応する断面図である。
図4に示すように、吐出チャネル61は、X方向から見て下方に向けて凸の円弧状に形成されている。吐出チャネル61は、Y方向の中央部において、アクチュエータプレート52をZ方向に貫通している。吐出チャネル61は、Y方向の両端部において、Y方向の外側に向かうに従い深さが漸次浅くなっている。
図5は、図6のV-V線に対応する断面図である。
図5に示すように、非吐出チャネル62は、アクチュエータプレート52をZ方向に貫通した状態で、Y方向に直線状に延びている。図3に示すように、アクチュエータプレート52のうち、吐出チャネル61及び非吐出チャネル62間に位置する部分は、それぞれ駆動壁65を構成している。したがって、チャネル61,62は、一対の駆動壁65によってX方向の両側が囲まれている。本実施形態では、チャネル列60が一列のヘッドチップ50を例にして説明しているが、チャネル列60は、Y方向に複数列設けられていてもよい。この場合、隣り合うチャネル列60を構成する吐出チャネル61同士は、チャネル列60の個数をnとすると、一のチャネル列60における吐出チャネル61の配列ピッチに対して1/nピッチ毎にずれて配列されていることが好ましい。
図6は、図3のVI矢視図である。
図4~図6に示すように、アクチュエータプレート52には、共通配線(第1電極)71及び個別配線(第2電極)72が形成されている。図4、図6に示すように、共通配線71は、共通電極75と、取出部76と、共通端子77と、を備えている。
共通電極75は、吐出チャネル61の内面のうち、X方向で向かい合う内側面に形成されている。図示の例において、共通電極75は、アクチュエータプレート52の下面からZ方向の半分程度の深さに形成されている。
取出部76は、アクチュエータプレート52の下面において、吐出チャネル61の下端開口部を取り囲んでいる。取出部76は、吐出チャネル61の下端開口縁において共通電極75に連なっている。
共通端子77は、アクチュエータプレート52のうち、吐出チャネル61に対して-Y側に位置する部分(以下、尾部80という。)に形成されている。共通端子77は、尾部80の下面において、各吐出チャネル61に対応して設けられている。各共通端子77は、対応する吐出チャネル61に対してY方向に直線状に延びている。共通端子77における+Y側端部は、取出部76を介して共通電極75に連なっている。共通配線71は、取出部76を備えない構成(共通電極75と共通端子77とが直接連なる構成)であってもよい。
図5、図6に示すように、個別配線72は、個別電極78と、個別端子79と、を備えている。
個別電極78は、各非吐出チャネル62の内面のうち、X方向で向かい合う内側面に形成されている。図示の例において、個別電極78は、アクチュエータプレート52の下面側からZ方向の半分程度の深さに形成されている。
個別端子79は、尾部80の下面において、共通端子77よりも-Y側に位置する部分に形成されている。個別端子79は、X方向に延びる帯状とされている。個別端子79は、吐出チャネル61を間に挟んでX方向で向かい合う非吐出チャネル62の下端開口縁において、吐出チャネル61を間に挟んでX方向で向かい合う個別電極78同士を接続している。尾部80において、共通端子77と個別端子79との間に位置する部分には、区画溝81が形成されている。区画溝81は、尾部80において、X方向に延びている。区画溝81は、共通端子77と個別端子79とを分離している。
尾部80の下面には、フレキシブルプリント基板82が圧着されている。フレキシブルプリント基板82は、尾部80の下面において、共通端子77と個別端子79に接続されている。フレキシブルプリント基板82は、アクチュエータプレート52の外側を通って+Z側に引き出されている。
図7は、図6のVII-VII線に対応する断面図である。
図6、図7に示すように、ヘッドチップ50は、配線71,72を保護する保護膜90を備えている。本実施形態において、保護膜90は、例えばパラキシリレン系樹脂材料(例えば、パリレン(登録商標))等の有機絶縁材料を含んでいる。保護膜90は、酸化タンタル(Ta)、窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)、酸化シリコン(SiO)又はダイヤモンドライクカーボン(Diamond-like carbon)等により構成されていてもよく、これらの少なくともいずれか一つを含んでいてもよい。
保護膜90は、アクチュエータプレート52及びカバープレート53に亘って設けられている。具体的に、保護膜90は、吐出チャネル保護部91と、非吐出チャネル保護部92と、接続部93と、を備えている。
吐出チャネル保護部91は、吐出チャネル61の内面全体、及びカバープレート53の下面のうち吐出チャネル61内に露出している部分に亘って形成されている。吐出チャネル保護部91は、共通電極75を覆っている。
非吐出チャネル保護部92は、非吐出チャネル62の内面全体、及びカバープレート53の下面のうち非吐出チャネル62内に露出している部分に亘って形成されている。非吐出チャネル保護部92は、個別電極78を覆っている。吐出チャネル保護部91及び非吐出チャネル保護部92は、少なくとも配線71,72を覆っていればよい。
接続部93は、アクチュエータプレート52の下面において、ノズルプレート51と向かい合う部分の全域を覆っている。接続部93は、吐出チャネル61の下端開口縁において吐出チャネル保護部91に連なり、非吐出チャネル62の下端開口縁において非吐出チャネル保護部92に連なっている。したがって、接続部93は、アクチュエータプレート52の下面上において、各チャネル61,62の周囲を取り囲み、吐出チャネル保護部91及び非吐出チャネル保護部92と一体に形成されている。
<カバープレート53>
図7に示すように、カバープレート53は、各チャネル61,62の上端開口部を覆うように、アクチュエータプレート52の上面(開口面)に重ね合わされている。カバープレート53は、アクチュエータプレート52の上面に第1接着層95を介して接合されている。第1接着層95は、アクチュエータプレート52の上面のうち、カバープレート53の下面(対向面)に向かい合う部分の全域に亘って設けられている。以下の説明において、カバープレート53とアクチュエータプレート52との間において、第1接着層95が介在している領域を第1接合領域(接合領域)Q1とする。
図4に示すように、カバープレート53において、チャネル列60の-Y側端部と平面視で重なり合う位置には、入口共通インク室100が形成されている。入口共通インク室100は、例えばチャネル列60を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート53の上面で開口している。
入口共通インク室100において、吐出チャネル61と平面視で重なり合う位置には、入口スリット101が形成されている。入口スリット101は、各吐出チャネル61の-Y側端部と、入口共通インク室100内と、の間を各別に連通している。
カバープレート53において、チャネル列60の+Y側端部と平面視で重なり合う位置には、出口共通インク室105が形成されている。出口共通インク室105は、例えばチャネル列60を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート53の上面で開口している。
出口共通インク室105において、吐出チャネル62と平面視で重なり合う位置には、出口スリット106が形成されている。出口スリット106は、各吐出チャネル61の+Y側端部と、出口共通インク室105内と、の間を各別に連通している。したがって、入口スリット101及び出口スリット106は、それぞれ各吐出チャネル61に連通する一方、非吐出チャネル62には連通していない。
<ノズルプレート51>
図7に示すように、ノズルプレート51は、アクチュエータプレート52の下面(開口面)に第2接着層110を介して接合されている。第2接着層110は、アクチュエータプレート52の下面のうち、ノズルプレート51の上面(対向面)に向かい合う部分の全域に亘って設けられている。以下の説明において、ノズルプレート51とアクチュエータプレート52との間において、第2接着層110が介在している領域を第2接合領域Q2とする。本実施形態において、ノズルプレート51は、ポリイミド等の樹脂材料により厚さが50μm程度に形成されている。但し、ノズルプレート51は、樹脂材料の他、金属材料(SUSやNi-Pd等)、ガラス、シリコン等による単層構造、又は積層構造であってもよい。
ノズルプレート51には、ノズルプレート51をZ方向に貫通する複数のノズル孔111が形成されている。各ノズル孔111は、それぞれX方向に間隔をあけて配置されている。ノズル孔111は、吐出チャネル61のうちY方向の中央部に各別に連通している。したがって、各非吐出チャネル62は、ノズル孔111には連通しておらず、ノズルプレート51により下方から覆われている。各ノズル孔111は、例えば上方から下方に向かうに従い内径が漸次縮小するテーパ状に形成されている。
ここで、第2接合領域Q2には、吐出チャネル61内のインクが、第2接合領域Q2上を広がるのを抑制するブロック部120が設けられている。本実施形態において、ブロック部120は、第2接合領域Q2に設けられた空間(空気層)である。図6に示す平面視において、ブロック部120は、共通端子77を避けた状態で、吐出チャネル61の周囲を各別に取り囲んでいる。したがって、ブロック部120のうち、吐出チャネル61に対してX方向の両側に位置する部分は、駆動壁65に沿ってY方向に直線状に延び、隣り合うチャネル61,62同士の間を仕切っている。ブロック部120は、各吐出チャネル61に対応して独立して複数設けられている。すなわち、複数のブロック部120は、互いに接続されていない。
図7に示すY方向に直交する断面視において、ブロック部120は、接着層110及び接続部93を貫通するとともに、アクチュエータプレート52の下面に対して窪んで設けられている。したがって、ブロック部120は、第2接合領域Q2において、アクチュエータプレート52と保護膜90との界面、保護膜90と第2接着層110との界面、及び第2接着層110とノズルプレート51との界面を分断している。
ブロック部120のうち、駆動壁65上に位置する部分は、駆動壁65におけるX方向の中央部に設けられている。ブロック部120におけるX方向の幅は、駆動壁65の幅よりも狭くなっている。図示の例において、ブロック部120の幅は、駆動壁65の幅に対して1/3未満になっている。本実施形態において、ブロック部120の幅は、ブロック部120におけるZ方向の深さに対しても狭くなっている。
[プリンタ1の動作方法]
次に、プリンタ1を利用して、被記録媒体Pに文字や図形等を記録する場合について以下に説明する。
プリンタ1は、初期状態として、各インクタンク4にそれぞれ異なる色のインクが十分に充填されているものとする。インクジェットヘッド5には、インクタンク4内のインクがインク循環機構6を介して充填された状態となっている。
このような初期状態のもと、プリンタ1を作動させると、被記録媒体Pが搬送機構2,3のローラ11,12に挟み込まれながら+X側に搬送される。被記録媒体Pの搬送と同時にキャリッジ29がY方向に移動することで、キャリッジ29に搭載されたインクジェットヘッド5がY方向に往復移動する。
インクジェットヘッド5が往復移動する間に、各インクジェットヘッド5よりインクを被記録媒体Pに適宜吐出させる。これにより、被記録媒体Pに対して文字や画像等の記録を行うことができる。
ここで、各インクジェットヘッド5の動きについて、以下に詳細に説明する。
本実施形態のような循環式サイドシュートタイプのインクジェットヘッド5では、まず図2に示す加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25を作動させることで、循環流路23内にインクを流通させる。この場合、インク供給管21を流通するインクは、図4に示すように、入口共通インク室100及び入口スリット101を通して各吐出チャネル61内に供給される。各吐出チャネル61内に供給されたインクは、各吐出チャネル61をY方向に流通する。その後、インクは、出口スリット106を通じて出口共通インク室105に排出された後、インク排出管22を通してインクタンク4に戻される。これにより、インクジェットヘッド5とインクタンク4との間でインクを循環させることができる。
キャリッジ29(図1参照)の移動によってインクジェットヘッド5の往復移動が開始されると、フレキシブルプリント基板82を介して共通電極75及び個別電極78間に駆動電圧が印加される。この際、個別電極78を駆動電位Vddとし、共通電極75を基準電位GNDとして各電極75,78間に駆動電圧を印加する。すると、各駆動壁65がZ方向の中間部分を中心にしてV字状に屈曲変形する。すなわち、駆動壁65は吐出チャネル61の容積が拡大するように変形する。
各吐出チャネル61の容積を増大させた後、共通電極75及び個別電極78間に印加した電圧をゼロにする。すると、駆動壁65が復元し、一旦増大した吐出チャネル61の容積が元の容積に戻る。これにより、吐出チャネル61の内部の圧力が増加し、インクが加圧される。その結果、インクがノズル孔111を通じて液滴状に吐出される。ノズル孔111から吐出されたインクが被記録媒体P上に着弾することで、被記録媒体Pに文字や画像等を記録することができる。
以上説明したように、本実施形態では、アクチュエータプレート52とノズルプレート51とが接合されている第2接合領域Q2の一部にブロック部120が形成されている構成とした。
この構成によれば、仮に吐出チャネル61内のインクが第2接合領域Q2に形成された意図しない微小隙間に進入したとしても、第2接合領域Q2においてインクが広がるのを抑制できる。これにより、第2接着層110の接着力がインクによって低下するのを抑制し、第2接合領域Q2での剥離を抑制できる。その結果、ヘッドチップ50の耐久性を向上できる。
本実施形態では、ブロック部120が第2接合領域Q2において、アクチュエータプレート52と保護膜90との界面、保護膜90と第2接着層110との界面、及び第2接着層110とノズルプレート51との界面(第2界面)を分断している構成とした。
この構成によれば、ブロック部120によって界面を分断することで、吐出チャネル61内に充填されたインクが、第2接合領域Q2において各界面を伝って広がるのを抑制できる。
本実施形態では、ブロック部120が、アクチュエータプレート52と保護膜90との界面、保護膜90と第2接着層110との界面、及び第2接着層110とノズルプレート51との界面を、保護膜90及び第2接着層110を通じて貫いている構成とした。
この構成によれば、ブロック部120が保護膜90及び第2接着層110を通じて各界面を貫くことで、ブロック部120の幅を抑えた上でブロック部120の体積を確保し易い。そのため、第2接着層110による接合面積を確保しつつ、ブロック部120によって移動を抑制できるインクの容量を確保し易い。
本実施形態では、ブロック部120が、アクチュエータプレート52の下面及びノズルプレート51の上面に対して窪んでいる構成とした。
この構成によれば、吐出チャネル61内のインクが、第2接合領域Q2において広がるのを抑制できる。特に、第2接着層110を第2接合領域Q2の全域に設けた上で、ブロック部120を形成することができるので、第2接着層110による接合面積を確保し易い。
本実施形態では、ブロック部120が第2接合領域Q2のうち保護膜90と重なる部分に設けられている構成とした。
この構成によれば、保護膜90の不良箇所(ピンホール等)を通じて吐出チャネル61の内面と保護膜90との間にインクが進入した場合であっても、インクが第2接合領域Q2を通じて非吐出チャネル62に到達するのを抑制できる。これにより、共通電極75及び個別電極78がインクを介して架け渡されるのを抑制し、共通電極75及び個別電極78の短絡や腐食等を抑制できる。
本実施形態において、ブロック部120が第2接合領域Q2に設けられた空間である構成とした。
この構成によれば、第2接合領域Q2に進入したインクがブロック部120である空間に溜まることで、第2接合領域Q2においてインクが広がるのを抑制できる。
本実施形態において、ブロック部120は、平面視において吐出チャネル61の周囲を取り囲んでいる構成とした。
この構成によれば、吐出チャネル61から第2接合領域Q2に進入したインクが、第2接合領域Q2において広がるのをより確実に抑制できる。
本実施形態のインクジェットヘッド5やプリンタ1は、上述したヘッドチップ50を備えているため、信頼性に優れた商品を提供できる。
[ヘッドチップ50の製造方法]
次に、ヘッドチップ50の製造方法について説明する。図8は、ヘッドチップ50の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明では、便宜上、ヘッドチップ50をチップレベルで製造する場合を例にして説明する。
図8に示すように、ヘッドチップ50の製造方法は、アクチュエータプレート加工工程と、第1接着層形成工程と、カバープレート積層工程(積層工程)と、グラインド工程と、配線形成工程と、保護膜形成工程と、第2接着層形成工程と、ブロック部形成工程と、ノズルプレート積層工程(積層工程)と、を備えている。
図9に示すように、アクチュエータプレート加工工程では、アクチュエータプレート52のうち、吐出チャネル61及び非吐出チャネル62の形成領域に対してアクチュエータプレート52の上方からダイサーを進入させる。この際、ダイサーの進入量は、後のグラインド工程でのアクチュエータプレート52の仕上がり厚さよりも浅く設定する。これにより、アクチュエータプレート52には、後に吐出チャネル61となる吐出チャネル用凹部130と、後に非吐出チャネル62となる非吐出チャネル用凹部131と、が形成される。
図10に示すように、第1接着層形成工程では、アクチュエータプレート52の上面のうち、第1接合領域Q1に対応する部分に対して第1接着層95を形成する。
カバープレート積層工程では、アクチュエータプレート52の上面に対し、第1接着層95を介してカバープレート53を貼り付ける。これにより、アクチュエータプレート52及びカバープレート53が積層された積層体135が形成される。
図11に示すように、グラインド工程では、アクチュエータプレート52の下面に対してグラインド加工を施す。この際、吐出チャネル用凹部130及び非吐出チャネル用凹部131がアクチュエータプレート52の下面で開口するまでアクチュエータプレート52をグラインドする(図10の鎖線参照)。これにより、アクチュエータプレート52に吐出チャネル61及び非吐出チャネル62が形成される。
配線形成工程では、アクチュエータプレート52の下方から電極材料を成膜することで、配線71,72を形成する。配線形成工程は、例えばマスクパターンを通じて斜め蒸着等を行う。これにより、アクチュエータプレート52の下面やチャネル61,62の内面の所望の位置に電極材料が選択的に形成される。電極材料の成膜後、リフトオフ等によってマスクパターンを除去する。
図12に示すように、保護膜形成工程では、アクチュエータプレート52の下面及び各チャネル61,62の内面に対して保護膜90を形成する。保護膜90としてパラキシリレン系樹脂材料を採用する場合には、例えば化学蒸着法(CVD)等を用いて保護膜90を形成することができる。
図13に示すように、第2接着層形成工程(接着層形成工程)では、アクチュエータプレート52の下面(接続部93の下面)のうち、第2接合領域Q2に対応する部分に対して第2接着層110を形成する。第2接着層形成工程では、例えば第2接着層110の形成領域以外の領域が非接着領域となった転写板をアクチュエータプレート52の下面に貼り付ける。その後、転写板を剥がすことで、アクチュエータプレート52の下面のうち、第2接着層110の形成領域に第2接着層110が形成される。
ブロック部形成工程では、アクチュエータプレート52の下面上において、吐出チャネル61の周囲に位置する部分にブロック部120を形成する。本実施形態において、ブロック部120は、レーザ加工により形成される。すなわち、ブロック部120の形成領域に対してレーザ光を照射することで、ブロック部120に対応する部分の第2接着層110、保護膜90及びアクチュエータプレート52を除去する。これにより、吐出チャネル61の周囲に、第2接着層110及び接続部93を貫通するとともに、アクチュエータプレート52の下面に対して窪んだブロック部120が形成される。
ブロック形成工程において、第2接着層110の形成後にブロック部120を形成する方法としては、レーザ加工の他にダイサー等による切削加工や、カッター加工であってもよい。このような加工方法を採用することで、接着層形成工程までの既存の製造方法を行った後、後加工としてブロック部120を一括して形成することができる。
ノズルプレート積層工程では、ノズル孔111と吐出チャネル61とを位置合わせした状態で、アクチュエータプレート52の下面に第2接着層110を介してノズルプレート51を貼り付ける。この際、ノズルプレート積層工程において、ノズルプレート51及びアクチュエータプレート52間に作用する押圧力は、第2接着層110が押し潰されない程度に設定することが好ましい。これにより、第2接合領域Q2において、アクチュエータプレート52と保護膜90との界面、保護膜90と第2接着層110との界面、及び第2接着層110とノズルプレート51との界面がブロック部120によって分断された状態で、アクチュエータプレート52及びノズルプレート51が貼り付けられる。
以上により、ヘッドチップ50が製造される。
本実施形態では、第2接着層形成工程後、第2接着層110及び保護膜90を貫くようにブロック部120を形成することで、各部材にそれぞれブロック部120を形成する場合に比べ、各部材に対して簡単にブロック部120を形成することができる。
(変形例)
上述した実施形態では、ブロック部120が空間のみで構成されている場合を例にして説明したが、この構成に限られない。ブロック部120は、第2接合領域Q2に形成された凹部に固体を含んでいてもよい。
例えば図14に示すヘッドチップ50のように、ブロック部120が第2接着層110により構成されていてもよい。すなわち、ブロック部120は、ノズルプレート積層工程において、ブロック部形成工程で形成された凹部内の少なくとも一部に第2接着層110が流れ込むことで形成されていてもよい。
このような構成においても、第2接合領域Q2のうち、アクチュエータプレート52と保護膜90との界面及び保護膜90と第2接着層110との界面がブロック部120(第2接着層110)により分断される。よって、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、本明細書において、「分断」とは、各部材間の界面が同一平面上において不連続になっていることをいい、例えばブロック部120によって界面に対して膨出したり窪んだりする箇所を設けることで実現可能となる。すなわち、ブロック部120は、界面と同一平面上で不連続となる部分が形成されていれば、同一材料であるか、異種材料であるかを問わない。
特に、本変形例のように、第2接着層110によってブロック部120を形成する場合には、インクとの親和性が低い成分が含まれている第2接着層110を採用することが好ましい。このような第2接着層110として、インクに水性インクを用いる場合には、第2接着層110としてフッ素系接着層やフッ素系シランカップリング剤(HMDS(ヘキサメチルジシラザン)等)を用いることが考えられる。
図15に示すように、ブロック部120として、ブロック部形成工程により形成された凹部に対して吸液材や撥液材が別途設けられていてもよい。
吸液材としては、例えばシリカゲル等を用いることが考えられる。ブロック部120として吸液材を用いることで、第2接合領域Q2に進入したインクがブロック部120に吸収される。これにより、第2接合領域Q2においてインクが広がるのを抑制できる。
撥液材としては、例えばフッ素系樹脂等を用いることが考えられる。ブロック部120として撥液材を用いることで、第2接合領域Q2に進入したインクが第2接合領域Q2において広がるのを抑制できる。
上述した実施形態では、ブロック部120が各吐出チャネル61の周囲を各別に取り囲む構成について説明したが、この構成に限られない。ブロック部120は、例えば図16に示すように、平面視において、格子状に形成されていてもよい。この場合、ブロック部120は、非吐出チャネル62をX方向に横断していてもよい。ブロック部120は、隣り合う吐出チャネル61及び非吐出チャネル62間に位置する部分に少なくとも形成されていれば、その他形成範囲や寸法等は適宜変更が可能である。ブロック部120は、隣り合う吐出チャネル61及び非吐出チャネル62間に位置する部分に複数列形成されていてもよい。
(第2実施形態)
図17に示すヘッドチップ50において、ブロック部120は、ノズルプレート51、第2接着層110及び接続部93を貫通するとともに、アクチュエータプレート52の下面に対して窪んで設けられている。すなわち、ブロック部120は、ノズルプレート51の下面上で開口して、ヘッドチップ50の外部に開放されている。本実施形態のブロック部120は、ノズルプレート積層工程の後にブロック部形成工程を行うことで形成される。すなわち、ブロック部120は、ノズルプレート51、第2接着層110、接続部93及びアクチュエータプレート52に対して一括して加工を施すことで形成できる。なお、ブロック部120の全体がノズルプレート51を貫通している必要はなく、ブロック部120の一部のみがノズルプレート51を貫通する構成であってもよい。
本実施形態によれば、吐出チャネル61内のインクが仮にブロック部120まで到達したとしても、ブロック部120を通じてノズルプレート51の下面まで導かれる。そのため、ブロック部120まで到達したインクをヘッドチップ50の外部に排出できる。その結果、ブロック部120によって多くのインクの移動を抑制できる。
本実施形態では、ノズルプレート積層工程の後、第2接合領域Q2についてノズルプレート51、第2接着層110、接続部93及びアクチュエータプレート52を貫くようにブロック部120を形成する。これにより、各部材にそれぞれブロック部120を形成する場合に比べ、各部材に対して簡単にブロック部120を形成することができる。
(第3実施形態)
図18に示すヘッドチップ50において、ブロック部120は、第2接着層110のみに設けられた空間である。具体的に、ブロック部120は、第2接着層110をZ方向に貫通している。これにより、ブロック部120は、ノズルプレート51と第2接着層110との界面、及び第2接着層110と保護膜90との界面をそれぞれ分断している。
本実施形態のブロック部120は、ノズルプレート積層工程(積層工程)に先立って行われる接着層形成工程(ブロック部形成工程)において、一括して形成することができる。例えば接着層形成工程において、予めブロック部120の形成領域が非接着領域となった転写板をアクチュエータプレート52の下面に貼り付ける。その後、転写板を剥がすことで、アクチュエータプレート52の下面のうち、ブロック部120の形成領域が開口した第2接着層110が形成される。
第2接着層110に対してブロック部120を形成する方法としては、転写以外に以下の方法等も採用できる。
<マスク>
例えば、アクチュエータプレート52の下面に対し、ブロック部120の形成領域が覆われたマスクを配置する。この状態で、第2接着層110を塗布等することで、ブロック部120の形成領域以外の箇所に第2接着層110が形成される。その後、マスクを取り外すことで、ブロック部120の形成領域が開口した第2接着層110が形成される。
<フォトリソグラフィ技術(エッチング)>
例えば、アクチュエータプレート52の下面上に第2接着層110を形成した後、第2接着層110上にマスク材料(例えば、レジスト膜)を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いてマスク材料をパターニングする。この際、マスク材料のうち、少なくともブロック部120の形成領域が開口するマスクパターンを形成する。この状態で、第2接着層110に対してエッチングを行うことで、マスクパターンの開口を通じてブロック部120の形成領域に位置する第2接着層110が除去される。その後、マスクパターンを除去することで、ブロック部120の形成領域が開口した第2接着層110が形成される。
<リフトオフ>
例えば、アクチュエータプレート52の下面上にマスク材料(例えば、レジスト膜)を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてマスク材料をパターニングする。この際、マスク材料のうち、少なくともブロック部120の形成領域が覆われたマスクパターンを形成する。この状態で、第2接着層110を塗布等することで、ブロック部120の形成領域以外の箇所に第2接着層110が形成される。その後、マスクパターンを除去することで、ブロック部120の形成領域が開口した第2接着層110が形成される。
接着層形成工程の後、アクチュエータプレート52の下面に第2接着層110を介してノズルプレート51を貼り付ける。この際、ノズルプレート51及びアクチュエータプレート52間に作用する押圧力は、ブロック部120が押し潰されない程度に設定することが好ましい。
本実施形態によれば、吐出チャネル61内のインクが、ノズルプレート51及び第2接着層110間の界面、並びに第2接着層110及び保護膜90間の界面を通じて第2接合領域Q2で広がるのを抑制できる。特に、ブロック部120が第2接着層110のみを貫いているため、ノズルプレート51等に対してブロック部120の加工を施す場合に比べ、ヘッドチップ50を簡単に製造できる。
本実施形態では、パターニング等によってアクチュエータプレート52の下面に対して第2接着層110を選択的に形成しておくことで、ブロック部形成工程を別途設けることなく、ブロック部120を形成することができる。ブロック部120は、ブロック部120の形成領域を含めて第2接着層110を形成した後、上述した第1実施形態と同様に、レーザ加工等の後加工によって第2接着層110に対してブロック部120を形成してもよい。
(第4実施形態)
図19に示すヘッドチップ50において、ブロック部120は、保護膜90のみに設けられた空間である。具体的に、ブロック部120は、保護膜90のうち接続部93をZ方向に貫通している。これにより、ブロック部120は、アクチュエータプレート52と保護膜90との界面、及び保護膜90と第2接着層110との界面をそれぞれ分断している。
本実施形態のブロック部120は、保護膜形成工程において、マスクを介して保護膜90を形成することで、ブロック部120の形成領域が開口した状態で保護膜90が形成される。保護膜90は、リフトオフ等によって形成してもよい。
本実施形態によれば、吐出チャネル61内のインクが第2接合領域Q2において、アクチュエータプレート52と保護膜90との界面、及び保護膜90と第2接着層110との界面を通じて第2接合領域Q2においてインクが広がるのを抑制できる。特に、ブロック部120が保護膜90のみを貫いているため、ノズルプレート51等に対してブロック部120の加工を施す場合に比べ、ヘッドチップ50を簡単に製造できる。
(第5実施形態)
本実施形態では、アクチュエータプレート52とカバープレート53との第1接合領域Q1にブロック部120が形成されている点で、第1実施形態~第4実施形態と相違している。
図20に示すように、ブロック部120は、第1接合領域Q1において、第1接着層95を貫通して設けられている。ブロック部120は、第1接合領域Q1において、アクチュエータプレート52と第1接着層95との界面(第1界面)、及び第1接着層95とカバープレート53との界面(第2界面)を分断している。
図21に示すように、ブロック部120は、第1接合領域Q1に設けられた空間(空気層)である。平面視において、ブロック部120は、吐出チャネル61の周囲を各別に取り囲んでいる。したがって、複数のブロック部120は、互いに接続されていない。ブロック部120は、平面視において、格子状に形成する等、形成範囲や寸法等を適宜変更できる。
本実施形態のヘッドチップ50を製造するにあたって、ブロック部120は、第1接着層形成工程(接着層形成工程)において、第1接着層95の形成と同時に形成されてもよい。具体的に、第1接着層形成工程において、第3実施形態と同様の方法により、アクチュエータプレート52の上面のうち、ブロック部120の形成領域以外の箇所に第1接着層95を選択的に形成する。これにより、アクチュエータプレート52の上面に、ブロック部120の形成領域が開口した第1接着層95が形成される。
その後、上述した第1実施形態と同様に、カバープレート積層工程やグラインド工程、保護膜形成工程等を経てヘッドチップ50が製造される。
本実施形態によれば、仮に吐出チャネル61内のインクが保護膜90の不良箇所等を通じて第1接合領域Q1内に進入したとしても、第1接合領域Q1においてインクが広がるのを抑制できる。これにより、第1接着層95の接着力がインクによって低下するのを抑制し、第1接合領域Q1での剥離を抑制できる。
(変形例)
図22に示すヘッドチップ50において、ブロック部120は、カバープレート53、第1接着層95を貫通するとともに、アクチュエータプレート52の上面に対して窪んで設けられている。ブロック部120は、カバープレート53の上面上で開口して、ヘッドチップ50の外部に開放されている。本実施形態のブロック部120は、カバープレート積層工程後の何れかのタイミングでカバープレート53、第1接着層95及びアクチュエータプレート52に対してレーザ加工等を施すことで、ヘッドチップ50に対して一括してブロック部120を形成することができる。
図23に示すヘッドチップ50において、ブロック部120は、第1接着層95を貫通するとともに、アクチュエータプレート52の上面及びカバープレート53の下面に対して窪んで設けられている。
図23に示す変形例において、ブロック部120を形成するには、まずアクチュエータプレート52の上面に対して第1接着層95を形成した後、ブロック部120の形成領域に対してレーザ加工等を施す。これにより、第1接着層95を貫通するとともに、アクチュエータプレート52の上面に対して窪んだ凹部を形成する。一方、カバープレート53の下面のうち、ブロック部120の形成領域に対してレーザ加工等を施す。これにより、カバープレート53の下面に対して窪んだ凹部を形成する。その後、カバープレート積層工程において、凹部同士を位置合わせした状態で、アクチュエータプレート52とカバープレート53とを第1接着層95を介して貼り合わせる。これにより、本変形例に係るヘッドチップ50が製造される。なお、アクチュエータプレート52の凹部とカバープレート53の凹部は、平面視において重なり合わない構成であってもよい。
図24示すヘッドチップ50において、ブロック部120は、アクチュエータプレート52の上面及びカバープレート53の下面に対して窪んで設けられている。これにより、アクチュエータプレート52と第1接着層95との界面、及びカバープレート53と第1接着層95との界面がブロック部120によって分断される。
なお、第1実施形態から第4実施形態では、アクチュエータプレート52とノズルプレート51との間のみにブロック部120が形成された構成について説明し、第5実施形態では、アクチュエータプレート52とカバープレート53との間のみにブロック部120が形成された構成について説明したが、この構成に限られない。ブロック部120は、アクチュエータプレート52とノズルプレート51との間、及びアクチュエータプレート52とカバープレート53との間の双方に形成してもよい。この場合、ブロック部120は、上述した種々の構造等を適宜採用できる。
上述した実施形態では、サイドシュートのヘッドチップ50について説明したが、これに限られない。例えば、吐出チャネルにおける延在方向の端部からインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのヘッドチップに上述した実施形態を適宜採用してもよい。
(第6実施形態)
本実施形態では、エッジシュートタイプのヘッドチップ600として、アクチュエータプレート601の両側に、カバープレート602及びバックプレート603がそれぞれ設けられた構成を例にして説明する。各プレート601~603は、Y方向を厚さ方向として積層されている。したがって、以下の説明において、+Y側を表面側とし、-Y側を裏面側とする場合がある。
図25に示すヘッドチップ600において、アクチュエータプレート601の表面(開口面)には、カバープレート602の裏面(対向面)が接着層607を介して接合されている。アクチュエータプレート601の裏面(開口面)には、バックプレート603の表面(対向面)が接着層608を介して接合されている。各プレート601~603は、アクチュエータプレート601の上端部がカバープレート602及びバックプレート603から突出した状態で重ね合わされている。
図25、図26に示すように、アクチュエータプレート601には、吐出チャネル610及び非吐出チャネル620が形成されている。各チャネル610,620は、アクチュエータプレート601をY方向に貫通するとともに、アクチュエータプレート601の裏面がバックプレート603により閉塞されることで、Z方向に延びる溝状に形成されている。
吐出チャネル610は、アクチュエータプレート601の下端面(開口面)上で開口するとともに、Z方向に延びている。非吐出チャネル620は、アクチュエータプレート52をZ方向に貫通している。
アクチュエータプレート601には、共通配線630及び個別配線633が形成されている。図25に示すように、共通配線630は、共通電極(電極)631と、共通端子632と、を備えている。
共通電極631は、吐出チャネル610の内面にそれぞれ形成されている。
共通端子632は、アクチュエータプレート601の裏面上に形成されている。共通端子632の下端部は、アクチュエータプレート601とバックプレート603との間を通じて共通電極631に連なっている。共通端子632の上端部は、アクチュエータプレート601のうちバックプレート603よりも上方に突出した部分(以下、尾部601aという。)まで引き出されている。
図26に示すように、個別配線633は、個別電極(電極)635と、個別端子636と、を備えている。
個別電極635は、非吐出チャネル620の内側面において、Z方向の全域に亘って形成されている。
個別端子636は、尾部601aの裏面において、共通端子632よりも上方に位置する部分に形成されている。個別端子636は、尾部601aの裏面において、吐出チャネル610を間に挟んでX方向で向かい合う非吐出チャネル620の個別電極635同士を接続している。吐出チャネル61の内面や非吐出チャネル62の内面、アクチュエータプレート601の裏面等には、配線630,631を覆う保護膜90が設けられていてもよい。
図25、図26に示すように、カバープレート602は、尾部601aの表面を露出させた状態で各チャネル610,620の表面側開口部を閉塞している。カバープレート602において、吐出チャネル610の上端部とY方向から見て重なり合う位置には、共通インク室651が形成されている。共通インク室651は、例えば各チャネル61,62を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート602の表面上で開口している。
共通インク室651において、吐出チャネル610とY方向から見て重なり合う位置には、スリット652が形成されている。スリット652は、各吐出チャネル610の上端部と、共通インク室651内と、の間を各別に連通している。スリット652は、それぞれ各吐出チャネル610に連通する一方、各非吐出チャネル620には連通していない。
ノズルプレート660は、アクチュエータプレート601の下端面に接着等によって固定されている。ノズルプレート660には、ノズル孔661が形成されている。ノズル孔661は、ノズルプレート660のうち、吐出チャネル610にZ方向で向かい合う位置に各別に形成されている。
図27は、図25のXXVII-XXVII線に対応する断面図である。
図27に示すように、アクチュエータプレート601とバックプレート(接合部材)603とが接合された接合領域Q3には、ブロック部120が設けられている。図示の例において、ブロック部120は、接着層608に設けられた空間である。ブロック部120は、接合領域Q3において、接着層608を貫通して設けられている。ブロック部120は、接合領域Q3において、アクチュエータプレート601と接着層608との界面(第1界面)、及び接着層608とバックプレート603との界面(第2界面)を分断している。
本実施形態によれば、仮に吐出チャネル610内のインクが接合領域Q3内に進入したとしても、接合領域Q3においてインクが広がるのをブロック部120により抑制できる。これにより、接着層608の接着力がインクによって低下するのを抑制し、接合領域Q3での剥離を抑制できる。
(変形例)
図28に示すヘッドチップ600のように、ブロック部120は、接着層608を貫通するとともに、アクチュエータプレート601の裏面及びバックプレート603の表面に対して窪んで設けられていてもよい。
また、図29に示すヘッドチップ600のように、ブロック部120は、接着層608を貫通していなくてもよい。
図30に示すヘッドチップ600のように、ブロック部120は、接着層608及びバックプレート603を貫通していてもよい。この場合、ブロック部120は、バックプレート603の裏面上において、ヘッドチップ600の外部に開放される。
上述した第6実施形態及び変形例では、エッジシュートタイプのヘッドチップにおいて、アクチュエータプレート601とバックプレート603との間にブロック部120が形成された構成について説明したが、この構成に限られない。エッジシュートタイプのヘッドチップ600であっても、アクチュエータプレート601とカバープレート602とが接合された接合領域Q4にブロック部が設けられていてもよい。また、各プレート601~603と、ノズルプレート660との間にブロック部が設けられていてもよい。
なお、本開示の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、液体噴射記録装置の一例として、インクジェットプリンタ1を例に挙げて説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であってもよい。
上述した実施形態では、被記録媒体Pが紙の場合について説明したが、この構成に限られない。被記録媒体Pは、紙に限らず、金属材料や樹脂材料であってもよく、食品等であってもよい。
上述した実施形態では、ヘッドチップ及び液体噴射ヘッドが液体噴射記録装置に用いられる構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、ヘッドチップや液体噴射ヘッドから噴射される液体は、被記録媒体に着弾させるものに限らず、例えば調剤中に配合する薬液や、食品に添加する調味料や香料等の食品添加物、空気中に噴射する芳香剤等であってもよい。
上述した実施形態では、ヘッドチップとして、サイドシュートタイプやエッジシュートタイプを例にして説明したが、この構成に限られない。ヘッドチップは、インクに加わる圧力の方向と、インクの吐出方向と、を同一方向とした、いわゆるルーフシュートタイプであってもよい。
上述した実施形態では、アクチュエータプレート52が吐出チャネル61と非吐出チャネル62とを備える構成について説明したが、この構成に限られない。アクチュエータプレート52は、吐出チャネル61のみを備える構成であってもよい。
上述した実施形態では、電極が保護膜90で覆われる構成について説明したが、保護膜90は必須の構成ではない。また、チャネルの内面のみに保護膜が設けられていてもよい。
上述した実施形態では、Z方向が重力方向に一致する構成について説明したが、この構成のみに限らず、Z方向を水平方向に沿わせてもよい。
上述した実施形態では、ブロック部120が隣り合うチャネル同士の間の中央部に設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。ブロック部120は、隣り合うチャネル同士の間において、一方のチャネル寄りに設けられていてもよい。また、ブロック部120は、隣り合うチャネル同士の間において、複数本設けられていてもよい。
上述した実施形態では、アクチュエータプレートに接合される接合部材として、カバープレートやノズルプレート、バックプレートを例にして説明したが、この構成に限られない。接合部材としては、例えばアクチュエータプレートとノズルプレートとの間に配置され、吐出チャネルとノズル孔とを連通させる連通孔を有する中間プレート等であってもよい。
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…インクジェットプリンタ(液体噴射記録装置)
5…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
50:ヘッドチップ
51:ノズルプレート(接合部材)
52:アクチュエータプレート
53:カバープレート(接合部材)
61:吐出チャネル(噴射チャネル)
62:非吐出チャネル(非噴射チャネル)
75:共通電極(電極)
78:個別電極(電極)
90:保護膜
95:第1接着層(接着層)
110:第2接着層(接着層)
120:ブロック部
600:ヘッドチップ
601:アクチュエータプレート
602:カバープレート(接合部材)
603:バックプレート(接合部材)
607:接着層
608:接着層
610:吐出チャネル(噴射チャネル)
620:非吐出チャネル(非噴射チャネル)
631:共通電極(電極)
635:個別電極(電極)
Q1:第1接合領域(接合領域)
Q2:第2接合領域(接合領域)
Q3:接合領域
Q4:接合領域

Claims (17)

  1. 第1方向に延びるチャネルが前記第1方向に交差する第2方向に並んで設けられたアクチュエータプレートと、
    前記アクチュエータプレートのうち、前記チャネルが開口する開口面を覆うように、前記開口面に接着層を介して接合された接合部材と、を備え、
    前記アクチュエータプレートと前記接合部材とが接合されている接合領域の一部には、複数の前記チャネルのうち一の前記チャネル内に充填された液体が、前記接合領域上を広がるのを抑制するブロック部が設けられているヘッドチップ。
  2. 前記ブロック部は、前記接合領域において、前記接着層及び前記アクチュエータプレート間の第1界面、及び前記接着層及び前記接合部材間の第2界面の少なくとも一方の界面を分断している請求項1に記載のヘッドチップ。
  3. 前記ブロック部は、前記接合領域において、前記接着層を通じて前記第1界面及び前記第2界面を貫いている請求項2に記載のヘッドチップ。
  4. 前記接着層は、前記接合領域の全域に亘って設けられ、
    前記ブロック部は、前記接合領域において、前記アクチュエータプレートの前記開口面、及び前記接合部材のうち前記開口面に向かい合う対向面の少なくとも一方の面に対して窪んでいる請求項2に記載のヘッドチップ。
  5. 前記ブロック部は、前記接合部材を貫通して外部に開放されている請求項3又は請求項4に記載のヘッドチップ。
  6. 前記ブロック部は、前記接合領域において、前記アクチュエータプレートと前記接合部材の積層方向で前記接着層のみを貫いている請求項2に記載のヘッドチップ。
  7. 少なくとも前記チャネルの内面に設けられた電極と、
    前記アクチュエータプレートの前記開口面、及び前記開口面を挟んで前記第2方向で隣り合う前記チャネルの内面に亘って設けられ、前記電極を覆う保護膜と、を備え、
    前記ブロック部は、前記接合領域のうち、前記保護膜と重なる部分に設けられている請求項1から請求項6の何れか1項に記載のヘッドチップ。
  8. 前記ブロック部は、前記接合領域に設けられた空間である請求項1から請求項7の何れか1項に記載のヘッドチップ。
  9. 前記ブロック部は、前記接合領域に設けられた吸液材を含む請求項1から請求項7の何れか1項に記載のヘッドチップ。
  10. 前記ブロック部は、前記接合領域に設けられた撥液材を含む請求項1から請求項7の何れか1項に記載のヘッドチップ。
  11. 前記ブロック部は、前記アクチュエータプレートと前記接合部材の積層方向から見て前記チャネルの周囲を取り囲んでいる請求項1から請求項10の何れか1項に記載のヘッドチップ。
  12. 請求項1から請求項11の何れか1項に記載のヘッドチップを備えている液体噴射ヘッド。
  13. 請求項12に記載の液体噴射ヘッドを備えている液体噴射記録装置。
  14. 第1方向に延びるチャネルが前記第1方向に交差する第2方向に並んで設けられたアクチュエータプレートのうち、前記チャネルが開口する開口面に接着層を介して接合部材を積層する積層工程と、
    前記アクチュエータプレートと前記接合部材との接合領域の一部に、複数の前記チャネルのうち一の前記チャネル内に充填された液体が、前記接合領域上を広がるのを抑制するブロック部を形成するブロック部形成工程と、を備えているヘッドチップの製造方法。
  15. 前記積層工程に先立って、前記アクチュエータプレートの前記開口面上に前記接着層を形成する接着層形成工程を備え、
    前記ブロック部形成工程は、前記接着層形成工程の後、少なくとも前記接着層を前記アクチュエータプレートと前記接合部材との積層方向に貫くことで前記ブロック部を形成する請求項14に記載のヘッドチップの製造方法。
  16. 前記ブロック部形成工程では、前記積層工程の後、前記接合領域の一部を、前記アクチュエータプレート、前記接着層及び前記接合部材の積層方向に貫くことで前記ブロック部を形成する請求項15に記載のヘッドチップの製造方法。
  17. 前記ブロック部形成工程は、前記積層工程に先立って行われ、
    前記ブロック部形成工程では、前記接合部材における前記開口面と向かい合う対向面及び前記開口面のうち、一方の面に対して前記ブロック部の形成領域に位置する部分を回避して前記接着層を選択的に形成し、
    前記積層工程は、前記一方の面に形成された前記接着層を介して前記アクチュエータプレートと前記接合部材とを接合する請求項14に記載のヘッドチップの製造方法。
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