JP2023072955A - 電池の劣化診断装置、及び電池の劣化診断方法 - Google Patents

電池の劣化診断装置、及び電池の劣化診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放電終了電圧を適切な大きさに設定して、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定する。【解決手段】電池の劣化診断装置が、放電部と、推定部とを含む。放電部は、組電池に含まれる複数のセルの各々の電圧を測定しながら各セルの放電を実行する。推定部は、組電池に含まれる各セルの放電開始電圧から所定の放電終了電圧までの電圧の推移を示す電圧データを用いて、組電池に含まれる各セルの劣化度合いを推定する。放電部は、組電池に含まれる全てのセルの電圧が放電終了電圧に達した場合に放電を終了させる。放電終了電圧は、放電に伴うセル電圧の下降中に単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが急激に上昇し始めるセル電圧である。【選択図】図3

Description

本開示は、電池の劣化診断装置、及び電池の劣化診断方法に関する。
組電池は、互いに電気的に接続された複数の二次電池を含む。複数の二次電池を組み合わせることで、大容量の組電池が得られる。しかし、二次電池の満充電容量(満充電時に二次電池に蓄えられている電気量)は、二次電池の劣化に伴って低下する。たとえば、特開2013-110906号公報(特許文献1)には、組電池の電圧(端子間電圧)が所定の放電終了電圧に達するまで放電を実行し、組電池の放電開始電圧から放電終了電圧までの電圧の推移を示すデータ(放電カーブ)を用いて組電池の劣化度合いを推定する電池の劣化診断方法が開示されている。
特開2013-110906号公報
上記特許文献1に記載された電池の劣化診断方法では、放電中に組電池の端子間電圧が放電終了電圧に達したタイミングで放電を終了させる。こうした方法では、放電終了時において組電池に含まれる一部の二次電池が放電終了電圧に達しないため、組電池に含まれる二次電池ごとの劣化度合いを推定することは困難である。以下では、組電池に含まれる各二次電池を、「セル」と称する。
そこで、組電池に含まれる全てのセルが放電終了電圧に達したタイミングで放電を終了させる電池の劣化診断方法が考えられる。しかしながら、こうした方法では、放電終了電圧が適切な大きさに設定されることが求められる。放電終了電圧が低過ぎると、放電中に、組電池に含まれる一部のセルが過放電になる可能性がある。セルの過放電は、セルの劣化を促進する。また、放電終了電圧が高過ぎると、放電中に十分なデータが得られず、セルの劣化度合い(たとえば、満充電容量)の推定精度が低下する可能性がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、放電終了電圧を適切な大きさに設定して、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することである。
本開示の第1の観点に係る電池の劣化診断装置は、放電部と、推定部とを含む。放電部は、組電池に含まれる複数のセルの各々の電圧を測定しながら各セルの放電を実行するように構成される。推定部は、組電池に含まれる各セルの放電開始電圧から所定の放電終了電圧までの電圧の推移を示す電圧データを用いて、組電池に含まれる各セルの劣化度合いを推定するように構成される。放電部は、組電池に含まれる全てのセルの電圧が放電終了電圧に達した場合に放電を終了させるように構成される。放電終了電圧は、放電に伴うセル電圧の下降中に単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが急激に上昇し始めるセル電圧である。
上記組電池の劣化診断装置では、組電池に含まれる全てのセルの電圧が放電終了電圧に達するまで放電が継続されるため、組電池に含まれる各セルの放電開始電圧から放電終了電圧までの電圧の推移を示す電圧データを用いて、組電池に含まれる各セルの劣化度合いを推定することができる。また、上記組電池の劣化診断装置では、以下に説明するように、放電終了電圧が適切な大きさに設定される。以下では、単位放電量あたりのセル電圧の変化度合い(絶対値)を、「|ΔV/ΔQ|」と表記する。放電量は、放電電流の時間積分値に相当する。セルは、組電池を構成する二次電池である。組電池は、互いに電気的に接続された複数のセルによって構成される。
セルの放電中にはセル電圧が下降する。放電初期においては、|ΔV/ΔQ|は概ね一定である。放電末期になると、反応抵抗の増加により|ΔV/ΔQ|が急激に上昇する。具体的には、セルの放電中にセル電圧が所定電圧(以下、「変化点の電圧」とも称する)に達した直後に|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始める。基本的には、セルの放電を継続する時間が長くなるほど、劣化診断の精度は向上し、セルは劣化しやすくなる。|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始める前においては、セルの放電を継続することによってセルが劣化しやすくなるデメリットよりも診断精度が向上するメリットのほうが大きい。一方、|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めた後においては、セルの放電を継続することによって診断精度が向上するメリットよりもセルが劣化しやすくなるデメリットのほうが大きくなる。そこで、放電に伴うセル電圧の下降中に単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが急激に上昇し始めるセル電圧を放電終了電圧として設定することで、十分な診断精度の確保とセルの劣化抑制との両立を図ることができる。このように、上記構成によれば、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。
上記変化点の電圧は、放電中において単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが最も少なくなるセル電圧であってもよい。セルの放電末期においては、|ΔV/ΔQ|がいったん下がってから急激に上昇し始める傾向がある。放電終了電圧は、変化点の電圧又はその近傍(たとえば、変化点の電圧よりも少し低い電圧)であってもよい。
組電池に含まれる複数のセルの各々はリチウムイオン二次電池であってもよい。放電終了電圧は、リチウムイオン二次電池の正極活物質中のリチウムサイトが全て占有される電圧よりも高くてもよい。
リチウムイオン二次電池においては、正極活物質中にリチウムサイトが存在する。サイトは、結晶学的に等価な格子位置である。その格子位置に原子が存在することを、サイトが占有されるという。リチウムサイトは、リチウムによって占有されたサイトである。以下、リチウムイオン二次電池の正極活物質中のリチウムサイトが全て占有される電圧を、「リチウム占有電圧」とも称する。一般式LiNiCoMn(1-x-z)で表わされる層状型結晶構造の正極を持つリチウムイオン二次電池(以下、「三元系LIB」とも称する)において、リチウム占有電圧は3.0Vである。
複数の三元系LIBを含む組電池において1つの三元系LIBの劣化度合いのみを推定する場合には、組電池に含まれる少なくとも1つの三元系LIBの電圧が放電終了電圧に達したタイミングで組電池の放電を終了させればよい。こうした電池の劣化診断装置においては、放電終了電圧を3.0Vにすることで、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。
これに対し、上記電池の劣化診断装置で複数の三元系LIBを含む組電池を診断する場合には、複数の三元系LIBを含む組電池において各三元系LIBの劣化度合いを推定するため、組電池に含まれる全ての三元系LIBの電圧が放電終了電圧に達するまで組電池の放電が継続される。こうした電池の劣化診断装置において、3.0Vは放電終了電圧として低過ぎる。そこで、上記構成では、放電終了電圧をリチウム占有電圧よりも高くしている。具体的には、組電池に含まれる複数のセルの各々が、一般式LiNiCoMn(1-x-z)で表わされる層状型結晶構造の正極を持つリチウムイオン二次電池である形態では、放電終了電圧は3.1V以上3.5V以下であってもよい。こうした構成によれば、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。組電池に含まれる複数のセルの各々が三元系LIBである形態において、放電終了電圧は3.3V以上3.4V以下であってもよい。また、組電池に含まれる複数のセルの各々が、一般式LiFePOで表わされるオリビン型結晶構造の正極を持つリチウムイオン二次電池である形態では、放電終了電圧は2.0V以上3.2V以下であってもよい。こうした構成によっても、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。
放電終了電圧は、放電に伴うセル電圧の下降中に単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが所定値以上になるセル電圧であってもよい。放電部は、組電池に含まれる各セルの放電に伴うセル電圧の下降中に、単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが所定値以上になったか否かを判断するように構成されてもよい。そして、放電部は、組電池に含まれる全てのセルの単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが所定値以上になったと判断されたときに放電を終了させるように構成されてもよい。
上記放電部は、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が所定値以上になったか否かに基づいて、|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めたか否かを判断することができる。上記構成によれば、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めたときにセルの放電を終了させやすくなる。なお、上記所定値は、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が所定値以上になるセル電圧が、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めるセル電圧になるように設定される。
組電池は、車両に搭載されてもよい。放電部は、車両の使用履歴を用いて組電池の劣化度合いを推定し、推定された組電池の劣化度合いが大きいほど放電終了電圧が高くなるように放電終了電圧を変更するように構成されてもよい。
放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めるセル電圧は、電池の劣化に伴って徐々に上昇する傾向がある。上記構成によれば、|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めるセル電圧の変化に合わせて放電終了電圧を微調整することが可能になる。放電部は、たとえば0.1V以内の変化幅で放電終了電圧を微調整してもよい。車両の使用履歴を示すパラメータの例としては、車両の積算走行距離、組電池の入出力電力量(積算値)、組電池の充放電回数、組電池の使用時間(たとえば、使用開始からの経過時間)が挙げられる。放電部は、車両の使用履歴情報を用いることで、大まかな組電池の劣化度合い(たとえば、劣化大/劣化中/劣化小)を判定することができる。
組電池に含まれる全てのセルは直列に接続されてもよい。放電部は、複数のセルの各々の放電中の電流値を一定に保つように構成されてもよい。
上記構成によれば、組電池に含まれる各セルの放電中の電流値を一致させやすくなる。これにより、高い精度で組電池の劣化度合いを推定しやすくなる。
組電池は、車載電力負荷に電力を供給するように構成されてもよい。放電部は、車載電力負荷を制御することにより放電を実行するように構成されてもよい。
上記構成によれば、車両用の組電池の劣化診断を容易かつ適切に行なうことが可能になる。放電部によって放電中に制御される上記車載電力負荷は、空調設備とシートヒータと照明装置との少なくとも1つを含んでもよい。
本開示の第2の観点に係る電池の劣化診断装置は、管理部と、データ取得部とを備える。管理部は、電池の劣化度合いを推定するためのデータを取得するために実行される電池の放電を終了するタイミングを示す放電終了電圧を管理するように構成される。データ取得部は、電池の放電開始後、電池の単位放電量あたりの電圧の変化度合いが所定値以上になったときの電池の電圧を、放電終了電圧として管理部に記憶させるように構成される。
上記構成によれば、適切な放電終了電圧を管理することが可能になる。上記電池の劣化診断装置は、電池の劣化度合いを推定するためのデータを取得するために電池の放電を実行する装置(放電装置)に対して適切な放電終了電圧を提供できる。あるいは、上記電池の劣化診断装置は、電池の劣化度合いを推定するためのデータを取得するために電池の放電を自ら実行してもよい。適切な放電終了電圧に基づいて電池の放電が実行されることで、放電中の電池の劣化を抑制しつつ、電池の劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。より詳しくは、組電池に含まれる全てのセルの電圧が上記放電終了電圧に達した場合に組電池の放電を終了させることで、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。管理部は、放電終了電圧を電池の種類と紐付けて管理してもよい。電池の種類は、電池メーカ、型番、及び製造番号の少なくとも1つを用いて区別されてもよい。
本開示の第3の観点に係る電池の劣化診断方法は、組電池に含まれる複数のセルの各々の電圧を測定しながら各セルの放電を実行し、組電池に含まれる全てのセルの電圧が所定の放電終了電圧に達した場合に放電を終了させることと、組電池に含まれる各セルの放電開始電圧から放電終了電圧までの電圧の推移を示す電圧データを用いて、組電池に含まれる各セルの劣化度合いを推定することとを含む。放電終了電圧は、放電に伴うセル電圧の下降中に、単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが急激に上昇し始めるセル電圧である。
上記組電池の劣化診断方法によっても、前述した劣化診断装置と同様、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。
組電池は、車両に搭載された状態で劣化診断されてもよい。車両は、内燃機関と、内燃機関の始動処理を行なうモータ(以下、「第1モータ」とも称する)とを備えてもよい。劣化診断される組電池は、車両に搭載され、第1モータに電力を供給するように構成されてもよい。以下、車両に搭載された内燃機関を、「エンジン」と称する場合がある。エンジンは、走行駆動力を発生させるように構成されてもよい。車両は、第1モータとは別に、組電池から電力の供給を受けて走行駆動力を発生させる第2モータをさらに備えてもよい。第1モータは、エンジンから出力される動力を利用して発電を行ない、発電された電力を組電池へ供給するように構成されてもよい。内燃機関の始動処理は、内燃機関を始動させるための処理である。内燃機関は、モータからのアシストを受けて始動可能になる。始動処理はクランキングであってもよい。クランキングは、内燃機関のクランクシャフトを回転させて内燃機関を始動させることである。
組電池の初期状態の満充電容量は5kWh以下であってもよい。組電池の容量が5kWh以下であれば、上述の放電による劣化診断方法によって十分なスループットの診断が可能である。診断される組電池の初期状態の満充電容量は、0.1kWh以上5kWh以下であってもよいし、0.3kWh以上3kWh以下であってもよい。診断される組電池は、HEV(ハイブリッド車)に搭載される駆動用電池であってもよい。
本開示の実施の形態に係る車両の構成を示す図である。 本開示の実施の形態に係る電池の劣化診断装置の構成を示す図である。 本開示の実施の形態に係る電池の劣化診断方法を示すフローチャートである。 図2に示した組電池に含まれるセルの放電特性の一例を示すグラフである。 放電終了電圧として放電下限電圧を設定した場合に生じ得る課題について説明するための図である。 放電終了電圧を引き上げることのメリットについて説明するための図である。 放電終了電圧を引き上げることのデメリットについて説明するための図である。 本開示の実施の形態における放電終了電圧の決め方について説明するためのグラフである。 リチウムイオン二次電池(三元系LIB)の放電特性を示すグラフである。 放電終了電圧とカバー率との関係を示すグラフである。 本開示の実施の形態の変形例に係る放電終了電圧の設定方法を示すフローチャートである。 図3に示した処理の変形例を示すフローチャートである。 図12に示した処理において使用される閾値(Th)の設定方法について説明するための図である。 図2に示したサービスツールの変形例を示す図である。 図14に示したサービスツールによって実行されるデータ取得に係る処理を示すフローチャートである。 図15に示した処理によって取得されたデータに基づく放電終了電圧の設定方法について説明するためのフローチャートである。 図2に示した車両制御装置の変形例を示す図である。 図2に示した組電池の変形例を示す図である。
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)を「ECU」とも称する。
図1は、この実施の形態に係る車両の構成を示す図である。図1を参照して、車両100はHEV(ハイブリッド車)である。この実施の形態では、前輪駆動の4輪自動車(より特定的には、HEV)を想定しているが、車輪の数及び駆動方式は適宜変更可能である。たとえば、駆動方式は4輪駆動であってもよい。
車両100は、駆動バッテリ11と、電圧センサ12aと、電流センサ12bと、温度センサ12cと、SMR(System Main Relay)14と、第1モータジェネレータ21a(以下、「MG21a」と表記する)と、第2モータジェネレータ21b(以下、「MG21b」と表記する)と、PCU(Power Control Unit)24と、エンジン31とを備える。
駆動バッテリ11は、再充電可能な二次電池を含む。駆動バッテリ11は、PCU24(ひいては、MG21a,21b)に電力を供給するように構成される。この実施の形態では、電気的に接続された複数の二次電池を含む組電池を、駆動バッテリ11として採用する。駆動バッテリ11の初期状態の満充電容量は、たとえば1.5kWh程度である。駆動バッテリ11に含まれる二次電池は、所定数ごとにモジュール化されてもよい。組電池は、複数のモジュールを組み合わせて構成されてもよい。駆動バッテリ11に含まれる二次電池の数は、10個以上100個未満であってもよいし、100個以上であってもよい。この実施の形態では、駆動バッテリ11に含まれる二次電池の数を50個程度とする。駆動バッテリ11は、電池パックの形態で、たとえば車両100のフロアパネルに組み付けられる。この実施の形態では、駆動バッテリ11を収容する電池ケースに付属部品(電圧センサ12a、電流センサ12b、温度センサ12c、電池ECU13、及びSMR14等)を取り付けることによって、電池パックが形成される。
組電池に含まれる各二次電池は、「セル」と称される。この実施の形態では、組電池に含まれる全てのセルが直列に接続されている(たとえば、後述する図2参照)。この実施の形態では、一般式LiNiCoMn(1-x-z)で表わされる層状型結晶構造の正極(三元系正極)を持つリチウムイオン二次電池(三元系LIB)を、セルとして採用する。ただし、セルは、リチウムイオン二次電池に限られず、他の二次電池(たとえば、ニッケル水素電池)であってもよい。また、セルとして全固体二次電池を採用してもよい。車両100に駆動バッテリ11を組み付ける形態は、電池パックに限られず、パックレスの形態であってもよい。
電圧センサ12aは、駆動バッテリ11のセル毎の電圧を検出する。電流センサ12bは、駆動バッテリ11に流れる電流を検出する。温度センサ12cは、駆動バッテリ11のセル毎の温度を検出する。各センサは、その検出結果を電池ECU13へ出力する。電池ECU13は、各センサの検出結果を用いて、セルごとのSOCを算出するとともに、駆動バッテリ11のSOCを算出する。SOC(State Of Charge)は、蓄電残量を示し、たとえば、満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。電流センサ12bは、駆動バッテリ11の電流経路に設けられる。この実施の形態では、電圧センサ12a及び温度センサ12cの各々が、1つのセル毎に1つずつ設けられる。
SMR14は、PCU24と駆動バッテリ11とを結ぶ電路の接続/遮断を切り替えるように構成される。SMR14としては、たとえば電磁式のメカニカルリレーを採用できる。SMR14が閉状態(接続状態)であるときには、駆動バッテリ11とPCU24との間で電力の授受を行なうことが可能になる。他方、SMR14が開状態(遮断状態)であるときには、駆動バッテリ11とPCU24とを結ぶ電路が遮断される。SMR14は、HVECU50によって制御される。SMR14は、たとえば車両100の走行時に閉状態にされる。
MG21a及び21bの各々は、駆動電力が供給されることによりトルクを出力するモータとしての機能と、トルクが与えられることにより発電電力を発生する発電機としての機能との両方を兼ね備えるモータジェネレータである。MG21a及び21bの各々としては、交流モータ(たとえば、永久磁石式同期モータ又は誘導モータ)が用いられる。MG21a及び21bの各々は、PCU24を介して駆動バッテリ11に電気的に接続されている。MG21a、MG21bはそれぞれロータ軸43a、43bを有する。ロータ軸43a、43bはそれぞれMG21a、MG21bの回転軸に相当する。
車両100は、シングルピニオン型のプラネタリギヤ431をさらに備える。エンジン31の出力軸41はプラネタリギヤ431に連結されている。エンジン31としては任意の内燃機関を採用可能であるが、この実施の形態では、複数の気筒(たとえば、4つの気筒)を含む火花点火式内燃機関を、エンジン31として採用する。エンジン31は、各気筒内で燃料(たとえば、ガソリン)を燃焼させることによって動力を生成し、生成された動力によって全ての気筒に共通のクランクシャフト(図示せず)を回転させる。エンジン31のクランクシャフトは、図示しないトーショナルダンパを介して、出力軸41に接続されている。クランクシャフトが回転することによって出力軸41も回転する。なお、エンジン31は、ガソリンエンジンに限られず、ディーゼルエンジンであってもよいし、水素エンジンであってもよい。
エンジン31の出力軸41は、プラネタリギヤ431の入力軸42に連結されている。プラネタリギヤ431は、3つの回転要素、すなわち入力要素、出力要素、及び反力要素を有する。より具体的には、プラネタリギヤ431は、サンギヤと、サンギヤと同軸に配置されたリングギヤと、サンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤと、ピニオンギヤを自転及び公転可能に保持するキャリヤとを有する。キャリヤが入力要素に、リングギヤが出力要素に、サンギヤが反力要素に相当する。プラネタリギヤ431の入力軸42は、キャリヤに連結されている。
MG21aのロータ軸43aは、プラネタリギヤ431のサンギヤに連結されている。プラネタリギヤ431のキャリヤには、エンジン31からトルクが入力される。エンジン31が出力するトルクをプラネタリギヤ431がサンギヤ(ひいては、MG21a)とリングギヤとに分割して伝達するように構成される。エンジン31が出力するトルクがリングギヤへ出力されるときには、MG21aによる反力トルクがサンギヤに作用する。
プラネタリギヤ431及びMG21bは、プラネタリギヤ431から出力される動力(すなわち、リングギヤに出力される動力)とMG21bから出力される動力(すなわち、ロータ軸43bに出力される動力)とが合わさって駆動輪45a,45bに伝達されるように構成される。より具体的には、プラネタリギヤ431のリングギヤには、ドリブンギヤ432に噛み合う出力ギヤ(図示せず)が取り付けられている。また、MG21bのロータ軸43bに取り付けられたドライブギヤ(図示せず)も、ドリブンギヤ432に噛み合っている。ドリブンギヤ432は、MG21bがロータ軸43bに出力するトルクと、プラネタリギヤ431のリングギヤから出力されるトルクとを合成するように作用する。このように合成された駆動トルクは、デファレンシャルギヤ44に伝達され、さらに、デファレンシャルギヤ44から左右に延びたドライブシャフト44a,44bを介して駆動輪45a,45bに伝達される。
プラネタリギヤ431の下流側(たとえば、ドリブンギヤ432とデファレンシャルギヤ44との間)に変速機構(図示せず)が設けられてもよい。変速機構は、クラッチ及びブレーキを含み、クラッチ及びブレーキの状態(係合/解放)に応じて変速比(すなわち、変速機構の入力軸の回転速度と変速機構の出力軸の回転速度との比)を変更するように構成される。車両100は、変速機構に含まれるクラッチ及びブレーキの各々に油圧を供給する油圧回路(図示せず)をさらに備えてもよい。HVECU50は、油圧回路を制御することにより、変速機構に含まれるクラッチ及びブレーキの各々の状態(係合/解放)を切り替えてもよい。なお、変速機構は、動力分割機構(プラネタリギヤ431)の上流側(たとえば、エンジン31とプラネタリギヤ431との間)に位置してもよい。
車両100は、シフトレバー101及びPポジションスイッチ102をさらに備える。シフトレバー101及びPポジションスイッチ102の各々は、ユーザのシフト操作に応じて複数のシフトレンジを切り替え可能に構成される。ユーザは、シフトレバー101を所定の位置に動かすことによってN(ニュートラル)レンジ、R(リバース)レンジ、D(ドライブ)レンジ、及びB(ブレーキ)レンジのいずれかを選択できる。また、ユーザは、車両100を停車させ、Pポジションスイッチ102を押すことによって、P(パーキング)レンジを選択できる。HVECU50は、車両100のシフトレンジを、ユーザによって選択されたレンジに切り替える。HVECU50は、たとえばシフトレンジに応じて上記油圧回路を制御する。
車両100は、電池ECU13、モータECU23、エンジンECU33、及びHVECU50をさらに備える。この実施の形態では、電池ECU13、モータECU23、エンジンECU33、及びHVECU50の各々として、コンピュータ(たとえば、マイクロコンピュータ)を採用する。各ECUは、ECU間でCAN通信可能な態様で接続されている。
HVECU50は、プロセッサ51と、RAM(Random Access Memory)52と、記憶装置53とを含む。プロセッサ51としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。RAM52は、プロセッサ51によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置53は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置53には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。記憶装置53に記憶されているプログラムをプロセッサ51が実行することで、HVECU50における各種処理が実行される。
図1には、HVECU50のみの詳細構成を示しているが、他のECUも、プロセッサ、RAM、及び記憶装置を備える。各ECUが備えるプロセッサの数は任意であり、いずれかのECUが複数のプロセッサを備えてもよい。また、各ECUにおける各種処理は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)によって実行されてもよい。
MG21a、21bには、それぞれMG21a、21bの状態(たとえば、電流、電圧、温度、及び回転速度)を検出するモータセンサ22a、22bが設けられている。モータセンサ22a及び22bの各々は、その検出結果をモータECU23へ出力する。エンジン31には、エンジン31の状態(たとえば、吸気量、吸気圧、吸気温度、排気圧、排気温度、触媒温度、エンジン冷却水温、及び回転速度)を検出するエンジンセンサ32が設けられている。エンジンセンサ32は、その検出結果をエンジンECU33へ出力する。HVECU50は、必要に応じて、モータECU23及びエンジンECU33からモータセンサ22a、22b及びエンジンセンサ32の検出値を受信する。また、HVECU50は、必要に応じて、電池ECU13から駆動バッテリ11の状態(たとえば、セル電圧、電流、温度、及びSOC)を受信する。
車両100は、後述する補機バッテリ80の状態を検出する監視ユニット80aを備える。監視ユニット80aは、補機バッテリ80の状態(たとえば、温度、電流、電圧)を検出する各種センサを含み、検出結果をHVECU50へ出力する。HVECU50は、監視ユニット80aの出力に基づいて、補機バッテリ80の状態(たとえば、温度、電流、電圧、及びSOC)を取得できる。また、図示は省略しているが、車両100の状況を示す他のセンサ(たとえば、車速センサ、燃料計、オドメータ、アクセル開度センサ、及び大気圧センサ)も、車両100には搭載されている。HVECU50は、車両100に搭載された各種センサ(車載センサ)の出力に基づいて、車両100の情報を把握することができる。
HVECU50は、エンジン31を制御するための指令(制御指令)をエンジンECU33へ出力するように構成される。エンジンECU33は、HVECU50からの指令に従ってエンジン31の各種アクチュエータ(たとえば、図示しないスロットル弁、点火装置、及びインジェクタ)を制御するように構成される。HVECU50はエンジンECU33を通じてエンジン制御を行なうことができる。
HVECU50は、MG21a及びMG21bの各々を制御するための指令(制御指令)をモータECU23へ出力するように構成される。モータECU23は、HVECU50からの指令に従って、MG21a及びMG21bの各々の目標トルクに対応した電流信号(たとえば、電流の大きさ及び周波数を示す信号)を生成し、生成した電流信号をPCU24へ出力するように構成される。HVECU50はモータECU23を通じてモータ制御を行なうことができる。
PCU24は、たとえば、MG21a,21bに対応して設けられる2つのインバータと、各インバータと駆動バッテリ11との間に配置されたコンバータと(いずれも図示せず)を含んで構成される。PCU24は、駆動バッテリ11に蓄積された電力をMG21a及びMG21bの各々に供給するとともに、MG21a及びMG21bの各々により発電された電力を駆動バッテリ11に供給するように構成される。PCU24は、MG21a及びMG21bの状態を別々に制御可能に構成され、たとえば、MG21aを発電状態にしつつ、MG21bを力行状態にすることができる。
MG21aは、エンジン31の始動処理を行なうように構成される。具体的には、エンジン31の始動時には、駆動バッテリ11から電力の供給を受けるMG21aがエンジン31のクランキングを実行する。
MG21aは、エンジン31から出力される動力を利用した発電(すなわち、エンジン発電)を行なうように構成される。HVECU50は、車両100の走行中において駆動バッテリ11のSOCが過剰に低くならないように、エンジン発電によって生成される電力で駆動バッテリ11を充電する。また、MG21bによる回生ブレーキで発電される電力によっても駆動バッテリ11は充電される。
車両100は、HV走行とEV走行とを行なうように構成される。HV走行は、エンジン31で走行駆動力を発生させながらエンジン31及びMG21bによって行なわれる走行である。EV走行は、エンジン31が停止した状態でMG21bによって行なわれる走行である。エンジン31が停止した状態では、各気筒における燃焼が行なわれなくなる。各気筒における燃焼が停止すると、エンジン31で燃焼エネルギー(ひいては、走行駆動力)が発生しなくなる。
車両100は、補機バッテリ80と、DC/DCコンバータ81及び82と、補機リレー83と、高圧負荷91と、低圧負荷92とをさらに備える。補機バッテリ80の満充電容量は、駆動バッテリ11の満充電容量よりも小さい。バッテリの満充電容量は、満充電状態のバッテリに蓄えられる電気量であり、バッテリの劣化に伴って低下する。補機バッテリ80としては、たとえば鉛バッテリを採用できる。ただし、鉛バッテリ以外の二次電池(たとえば、ニッケル水素電池)を補機バッテリ80として採用してもよい。DC/DCコンバータ81,82、補機リレー83、高圧負荷91、及び低圧負荷92は、HVECU50によって制御される。HVECU50は、電池ECU13を通じて、これらを制御してもよい。
高圧負荷91は、高電圧系の補機類である。低圧負荷92は、低電圧系の補機類である。低圧負荷92の駆動電圧は、高圧負荷91の駆動電圧よりも低い。補機バッテリ80は、低電圧系(たとえば、12V系)の車載バッテリであり、低圧負荷92に電力を供給するように構成される。この実施の形態では、高圧負荷91が空調設備を含み、低圧負荷92が照明装置を含む。空調設備は、車両100の車室内の暖房及び冷房を行なうように構成される。照明装置は、車内を照らす照明装置と、車外を照らす照明装置(たとえば、ヘッドライト)とを含む。高圧負荷91及び低圧負荷92の少なくとも一方は、車両100のシートを加熱するシートヒータをさらに含んでもよい。
DC/DCコンバータ81は、駆動バッテリ11と高圧負荷91との間に設けられ、駆動バッテリ11から供給される電力を降圧して高圧負荷91へ出力する。DC/DCコンバータ82は、駆動バッテリ11から供給される電力を降圧して補機バッテリ80及び低圧負荷92の各々へ出力する。SMR14が開状態(遮断状態)であるときには、高圧負荷91、低圧負荷92、及び補機バッテリ80の各々に駆動バッテリ11の電力が供給されなくなる。DC/DCコンバータ82と低圧負荷92とをつなぐ電路には補機リレー83が配置されている。補機リレー83が開状態(遮断状態)であるときには、低圧負荷92に電力が供給されなくなる。
SMR14が閉状態(接続状態)であるときには、駆動バッテリ11からDC/DCコンバータ82を通じて補機バッテリ80へ電力を供給することが可能になる。たとえば、補機バッテリ80のSOCが所定値よりも低くなると、HVECU50は、駆動バッテリ11の電力によって補機バッテリ80を充電する。また、HVECU50は、後述する組電池の劣化診断(図3のS16参照)において、サービスツール200(図2)からの指示に従い、駆動バッテリ11の電力によって高圧負荷91及び低圧負荷92を駆動する。この際、HVECU50は、駆動バッテリ11の電力が高圧負荷91及び低圧負荷92の各々に供給されるように、SMR14、DC/DCコンバータ81,82、及び補機リレー83を制御する。
HVECU50は、駆動バッテリ11についてSOC制限制御を実行するように構成される。SOC制限制御は、駆動バッテリ11のSOCを所定のSOC範囲内に制限する制御である。HVECU50は、駆動バッテリ11のSOCが上記SOC範囲から出ないように、駆動バッテリ11の入出力を制限する。具体的には、HVECU50は、駆動バッテリ11のSOCが上記SOC範囲内に入るように、MG21a,21b、エンジン31、及びDC/DCコンバータ81,82を制御する。上記SOC範囲は、車両100の状態に応じて可変設定される。HVECU50は、たとえば記憶装置53に記憶されたマップを用いて、駆動バッテリ11及びその周辺の部品を保護するためのSOC範囲を設定してもよい。
車両100は、パワースイッチ103をさらに備える。パワースイッチ103は、車両システム(HVECU50など)の起動/停止を切り替えるためのスイッチである。パワースイッチ103は、ユーザによって操作される。
車両100は、報知装置104をさらに備える。報知装置104は、HVECU50からの要求に応じて、車両100のユーザに対して報知を行なうように構成される。報知装置104の例としては、メータパネル、ヘッドアップディスプレイ、ナビゲーションディスプレイ、警告灯、又はスピーカが挙げられる。報知装置104は、ユーザからの入力を受け付ける入力装置として機能してもよい。報知装置104は、タッチパネルディスプレイを含んでもよいし、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。報知装置104は、タブレット端末、スマートフォン、又はウェアラブルデバイスのような携帯機器(すなわち、ユーザによって携帯可能な電子機器)に搭載されてもよい。
図2は、この実施の形態に係る電池の劣化診断装置の構成を示す図である。図1とともに図2を参照して、この実施の形態では、サービスツール200が電池の劣化診断装置として機能する。サービスツール200は、プロセッサ201とRAM202と記憶装置203とを備えるコンピュータを含む。記憶装置203には、診断プログラムが記憶されている。この実施の形態に係る電池の劣化診断方法(後述する図3参照)は、記憶装置203に記憶されている診断プログラムをプロセッサ201が実行することによって実行される。
サービスツール200は、HMI(Human Machine Interface)204をさらに含む。HMI204は入力装置及び表示装置を含む。HMI204は、タッチパネルディスプレイであってもよい。HMI204は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。
HVECU50は、DLC(Data Link Connector)55aと、DLC55aのインターフェース55bとをさらに備える。DLC55aは、サービスツール200のコネクタ250に接続可能なコネクタであり、たとえば車両100の運転席周辺に配置される。サービスツール200は、たとえば整備工場において作業者(たとえば、整備士)が車両の状態を把握するために使用する外部診断機である。サービスツール200の例としては、GST(General Scan Tool)が挙げられる。サービスツール200のコネクタ250をDLC55aに接続することによって、記憶装置53に蓄積された車両データをサービスツール200が読み取り可能になる。
この実施の形態に係る電池の劣化診断方法では、サービスツール200が、駆動バッテリ11(組電池)に含まれる各セルの電圧を測定しながら各セルの放電を実行する。そして、サービスツール200は、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの電圧が所定の放電終了電圧(以下、「Vend」と表記する)に達した場合に放電を終了させる。放電終了後、サービスツール200は、駆動バッテリ11に含まれる各セルの放電開始電圧からVendまでの電圧の推移を示す電圧データを用いて、駆動バッテリ11に含まれる各セルの劣化度合いを推定する。
しかしながら、Vendが低過ぎると、組電池の放電中に、組電池に含まれる一部のセルが過放電になる可能性がある。逆にVendが高過ぎると、組電池の放電中に十分なデータが得られず、セルの劣化度合い(たとえば、満充電容量)の推定精度が低下する可能性がある。そこで、この実施の形態に係る電池の劣化診断方法では、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|(すなわち、単位放電量あたりのセル電圧の変化度合い)が急激に上昇し始めるセル電圧を、Vendとして設定している。Vendの決め方及びその技術的意義については後述する(後述する図5~図10参照)。
この実施の形態に係るサービスツール200は、放電部211と推定部212とを含む。放電部211は、車両100に搭載された駆動バッテリ11に含まれる各セルの電圧を測定しながら各セルの放電を実行し、組電池に含まれる全てのセルの電圧が上記Vendに達した場合に放電を終了させるように構成される。推定部212は、組電池に含まれる各セルの放電開始電圧からVendまでの電圧の推移を示す電圧データを用いて、組電池に含まれる各セルの劣化度合いを推定するように構成される。
図3は、この実施の形態に係る電池の劣化診断方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば駐車状態の車両100のDLC55aにサービスツール200のコネクタ250が接続された後、ユーザから所定の指示がHMI204に入力されると、実行される。ただしこれに限られず、図3に示す処理の開始条件は任意に設定できる。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。図3のS10~S18は、サービスツール200の放電部211がHVECU50に制御指令を送信することにより実行される。
図1及び図2とともに図3を参照して、S10では、サービスツール200が、SOC制限制御に係るSOC範囲を解除する。これにより、駆動バッテリ11のSOC制限(SOC制限制御)が無効になる。
続くS11では、サービスツール200が、エンジン31を駆動して、エンジン発電によって生成される電力で駆動バッテリ11を充電する。S11の処理により、エンジン31から出力される動力を用いてMG21aが生成した電力がPCU24及びSMR14を経て駆動バッテリ11に入力される。
S12では、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルが所定の開始電圧(以下、「Vstart」と表記する)以上になったか否かを、サービスツール200が判断する。駆動バッテリ11に含まれる各セルの電圧は、電圧センサ12aによって測定される。Vstartは、セルが満充電状態になったことを示すセル電圧であってもよいし、セルの充電上限電圧であってもよい。充電上限電圧は、推奨電圧範囲の上限値に相当し、充電上限電圧を超えるまでセルの充電を継続するとセルが過充電になり得る。過充電はセルの劣化を促進する。Vstartは、3.6V以上3.9V以下であってもよく、3.6V程度であってもよい。また、サービスツール200は、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルがVstart以上になったか否かを、駆動バッテリ11のSOCに基づいて判断してもよい。たとえば、駆動バッテリ11のSOCが所定SOC値(たとえば、70%)以上になったときに、サービスツール200は、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルがVstart以上になったと判断してもよい。
駆動バッテリ11に含まれる全てのセルがVstart以上になるまでは(S12にてNO)、S11及びS12の処理が繰り返される。全てのセルがVstart以上になると(S12にてYES)、サービスツール200が、S13においてエンジン31を停止する。その後、S14において、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの電圧が安定したか否かを、サービスツール200が判断する。駆動バッテリ11に含まれる各セルの電圧が安定するまでS14で待機し、駆動バッテリ11に含まれる各セルの電圧が安定すると(S14にてYES)、処理がS15に進む。
S15では、サービスツール200が、駆動バッテリ11に含まれる各セルの状態(電圧、電流、及び温度)を測定し、測定結果を記憶装置203に記録する。続けて、S16では、サービスツール200が車両100の電力負荷を制御することにより駆動バッテリ11の放電を実行する。駆動バッテリ11は、車両100に搭載された電力負荷に電力を供給するように構成される。
具体的には、サービスツール200は、S16において、駆動バッテリ11に含まれる各セルの放電電流が所定値(以下、「Vd」と表記する)になるように、サービスツール200が車両100の電力負荷(たとえば、高圧負荷91及び低圧負荷92の少なくとも一方)を制御する。この実施の形態では、駆動バッテリ11から供給される電力によって空調設備(高圧負荷91)及び照明装置(低圧負荷92)が駆動される。サービスツール200は、駆動バッテリ11から高圧負荷91、低圧負荷92へ供給される電力を、それぞれDC/DCコンバータ81、82によって調整する。そして、サービスツール200は、駆動バッテリ11に含まれる各セルの放電中の電流値を一定に保つ。Vdは、1A以上10A以下であってもよいし、5A程度であってもよい。この実施の形態では、各セルの放電中の電流値がVdに保たれる。この実施の形態では、Vdを固定値(たとえば、5A)とするが、Vdは状況に応じて可変であってもよい。
S17では、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの電圧が所定の放電終了電圧(Vend)に達したか否かを、サービスツール200が判断する。
図4は、駆動バッテリ11に含まれるセルの放電特性の一例を示すグラフである。図4中の線L1~L3の各々は、図3のS10~S16が実行され、放電(S16)が所定時間継続されたときの駆動バッテリ11(組電池)の電流及び電圧の推移の一例を示している。線L1は、駆動バッテリ11の電流の推移を示している。線L2、L3はそれぞれ、駆動バッテリ11に含まれる第1セル、第2セルの放電特性(より特定的には、放電中のセル電圧の推移)を示している。第1セルの満充電容量は、第2セルの満充電容量よりも大きい。
図4を参照して、第1セルの電圧の推移(線L2)と第2セルの電圧の推移(線L3)とを比較すると、第2セルの電圧は、より早く低下し始めて、より低い電圧まで低下している。このように、満充電容量が小さいセルほど放電中にセル電圧が低下しやすい傾向がある。セルの放電によってセルの電圧が低下し過ぎると、セルの劣化が促進される。セルの電圧が低下し過ぎるまでセルの放電が継続されることは、「過放電」と称される。
以下、図5~図9を用いて、放電終了電圧(Vend)の決め方について説明する。
図5は、Vendとして放電下限電圧を設定した場合に生じ得る課題について説明するための図である。図5において、線L11は、第1組電池に含まれる全てのセルの電圧分布(以下、「第1セル電圧分布」と称する)を示している。線L12は、第2組電池に含まれる全てのセルの電圧分布(以下、「第2セル電圧分布」と称する)を示している。第1セル電圧分布(線L11)よりも第2セル電圧分布(線L12)のほうがセル電圧のばらつきが大きい。第1セル電圧分布、第2セル電圧分布は、それぞれ第1組電池、第2組電池に含まれる全てのセルの電圧が放電下限電圧(Vend)に達するまで放電を継続したときの分布である。
図5において、放電下限電圧は、推奨電圧範囲の下限値に相当する。放電下限電圧を下回るまでセルの放電を継続するとセルの劣化が促進され得る。セルの劣化が促進され得るまでセルの放電が継続されることは、前述の「過放電」に相当する。放電禁止電圧は、放電可能限界値に相当する。放電禁止電圧を下回るまでセルの放電を継続するとセルに異常(たとえば、動作不良又は故障)が発生し得る。この実施の形態に係る車両100では、HVECU50が、記憶装置53内にOBD(自己診断)用のウォーニングフラグを保有し、駆動バッテリ11に含まれるいずれかのセルの電圧が放電禁止電圧を下回ると、ウォーニングフラグを立てる(たとえば、フラグの値を「0」から「1」に変える)ように構成される。この実施の形態に係る駆動バッテリ11に含まれる各セルの放電下限電圧、放電禁止電圧は、それぞれ3.0V、1.6Vである。
図5を参照して、Vendとして放電下限電圧が設定された組電池の劣化診断装置では、セル電圧のばらつきが大きい場合に(たとえば、線L12参照)、組電池に含まれる一部のセルの劣化が過剰に進行し、組電池の寿命を短くする可能性がある。また、組電池が供給する電力によってエンジンクランキングが行なわれるときには、線L13で示すように、組電池全体の電圧が低下する。これにより、組電池に含まれる一部のセルの電圧が放電禁止電圧を下回り、ウォーニングフラグが立つ可能性がある。
図6は、Vendを引き上げることのメリットについて説明するための図である。図6中の線L12は、図5中の線L12と同じである。図6中の線L14は、Vendが放電下限電圧よりも高い電圧に設定された形態における放電終了時の第2セル電圧分布を示している。
図6を参照して、Vendを放電下限電圧よりも高い電圧に引き上げることで(たとえば、線L14参照)、放電禁止電圧に対するマージンが大きくなり、ウォーニングフラグが立ちにくくなる。また、過放電状態になるセルの数が低減する。このため、組電池の短命化が抑制されるとともに、エンジンクランキング時における組電池の電圧不足が抑制される。また、放電時間が長くなるほどセル電圧のばらつき幅が拡大する傾向があるため、Vendを引き上げることによってセル電圧のばらつき幅が縮小される。
図7は、Vendを引き上げることのデメリットについて説明するための図である。図7中の線L21は、駆動バッテリ11に含まれるセルの放電中の電圧の推移の一例を示している。放電中の電圧の推移はセルごとに若干異なるが、傾向は概ね同じである。
図7を参照して、セルの放電が開始されると、セル電圧は徐々に低下する。セル電圧(縦軸)を放電量(横軸)で微分した値であるΔV/ΔQ(グラフの傾きに相当)は、放電開始直後は概ね一定であるが、しばらく放電を継続すると負側に大きくなる。この実施の形態に係る組電池の劣化診断方法では、放電期間(放電開始から放電終了までの期間)において組電池に含まれる各セルの電圧データ(すなわち、セル電圧の推移を示すデータ)が取得され、この電圧データに基づいて各セルの劣化度合いが推定される。図7中の「Qend」は、Vendに対応する放電量(放電終了時の放電量)を示す。Vendが引き上げられると、放電終了タイミングが早くなり、放電期間が短くなる。放電期間が短くなると、組電池の劣化診断のための電圧データの数が減り、セルの劣化度合いの推定精度が低下する。
図8は、Vendの決め方について説明するためのグラフである。グラフの縦軸は-ΔV/ΔQを示し、横軸は放電量を示す。放電量が増えるほどセル電圧は低下するため、ΔV/ΔQは負の値になり、-ΔV/ΔQは正の値になる。-ΔV/ΔQは、単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いを示す。-ΔV/ΔQは、|ΔV/ΔQ|と同じ値になる。図8中の線L22は、駆動バッテリ11に含まれるセルの放電中の-ΔV/ΔQの推移の一例を示している。放電中の-ΔV/ΔQの推移はセルごとに若干異なるが、傾向は概ね同じである。
図8を参照して、セルの放電初期においては、-ΔV/ΔQは概ね一定である。その後、放電末期になると、反応抵抗の増加により、-ΔV/ΔQが急激に上昇する。セルの放電末期において、-ΔV/ΔQはいったん下がり、放電中において-ΔV/ΔQが最も少なくなるセル電圧(変化点の電圧)を経て、急激に-ΔV/ΔQが上昇し始める。-ΔV/ΔQが大きくなるほど、Vend引上げに伴う放電期間の短縮幅(より特定的には、引き上げた電圧あたりの放電期間の短縮幅)が大きくなる。|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始める前においては、Vendを引き上げることのデメリットよりも、Vendを引き上げることのメリットのほうが大きい。|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めた後においては、Vendを引き上げることのメリットよりも、Vendを引き上げることのデメリットのほうが大きくなる。この実施の形態に係る電池の劣化診断方法では、放電に伴うセル電圧の下降中に-ΔV/ΔQ(すなわち、単位放電量あたりのセル電圧の変化度合い)が急激に上昇し始めるセル電圧を、Vendとする。こうしたVendは、予め実験又はシミュレーションによって求めてもよい。なお、図7及び図8に示す例では、放電期間の長さが放電量で表わされるが、放電期間の長さは時間で表わされてもよい。
図9は、リチウムイオン二次電池の放電特性を示すグラフである。図9中の線L31、L32、L33は、それぞれ第1リチウムイオン二次電池(以下、「第1LIB」と表記する)、第2リチウムイオン二次電池(以下、「第2LIB」と表記する)、第3リチウムイオン二次電池(以下、「第3LIB」と表記する)の放電中の電圧の推移を示している。第1~第3LIBは、互いに劣化度合いの異なるリチウムイオン二次電池(より特定的には、三元系LIB)であり、劣化度合いの大きいほうから、第3LIB(劣化度合い:大)、第2LIB(劣化度合い:中)、第1LIB(劣化度合い:小)の順である。
図9を参照して、この実施の形態において駆動バッテリ11の各セルとして採用されるリチウムイオン二次電池を放電した場合には、リチウムイオン二次電池の電圧が3.4Vになったときに|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始める。このため、この実施の形態に係る電池の劣化診断方法では、3.4VをVendとする。このリチウムイオン二次電池において、正極活物質中のリチウムサイトが全て占有される電圧は3.0Vである。すなわち、Vendは、リチウムイオン二次電池(セル)の正極活物質中のリチウムサイトが全て占有される電圧よりも高い電圧に設定される。これにより、正極活物質中のリチウムサイトが全て占有される前に放電は終了する。
リチウムイオン二次電池の劣化に伴ってリチウムイオン二次電池の放電特性は変化する(線L31~L33参照)。しかし、リチウムイオン二次電池の放電中に|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始める電池電圧(リチウムイオン二次電池の電圧)は、リチウムイオン二次電池の劣化が進行しても大きくは変化しない。図9に示す例では、その変化幅は0.1V以内である。
上述のように、この実施の形態ではVendとして3.4Vが設定される。再び図1及び図2とともに図3を参照して、駆動バッテリ11に含まれるいずれかのセルの電圧がVendよりも高い間は(S17にてNO)、S15~S17の処理が繰り返され、駆動バッテリ11の放電が継続される。そして、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの電圧がVend以下になると(S17にてYES)、サービスツール200は、S18において駆動バッテリ11の放電を終了させる。
サービスツール200は、S18において、駆動バッテリ11の放電を終了させた後、SOC制限制御を再開させる。これにより、再び駆動バッテリ11のSOCが所定のSOC範囲内に制限されるようになる。
上述したS15~S17の処理が繰り返されることにより、駆動バッテリ11の状態(特に、劣化度合い)を示すデータが、サービスツール200の記憶装置203に記録される。S18で放電を終了した後、続くS19では、サービスツール200の推定部212が、記録された駆動バッテリ11のデータを用いて、駆動バッテリ11に含まれる各セルの劣化度合いを推定する。
具体的には、サービスツール200は、S15で取得されたデータ(放電開始電圧から放電終了電圧までのセル電圧の推移を示す電圧データを含む)を用いて、各セルの放電開始電圧からVend(放電終了電圧)までの区間放電量(Ah)を取得する。放電量は、放電電流(A)の時間積分値に相当する。区間内で放電電流が変動する場合には、単位時間ごとの放電電流を時間で積分することによって区間放電量が得られる。区間内で放電電流が一定である場合には、放電電流(A)と放電時間(h)との乗算値が放電量に相当する。
サービスツール200は、上記のようにセルの区間放電量(すなわち、放電開始電圧からVendまでの区間放電量)を算出し、所定のマップを用いて区間放電量を満充電容量を変換する。セルの満充電容量を求めるために、セルの温度と区間放電量と満充電容量との関係を示すマップが使用されてもよい。セルの温度及び区間放電量を上記マップに与えると、上記マップからセルの満充電容量が出力される。使用されるセルの温度は、放電中の平均温度であってもよいし、放電開始時の温度であってもよい。上記マップは、予め記憶装置203に記憶されてもよい。上記マップは、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルに共通のマップであってもよい。サービスツール200は、外部サーバ(たとえば、各種電池に関する情報を管理するサーバ)から上記マップを取得してもよいし、車両100から上記マップを取得してもよい。
上記のようにして、サービスツール200の推定部212は、S19において、駆動バッテリ11に含まれる各セルの満充電容量を推定する。セルの満充電容量(満充電時にセルに蓄えられている電気量)はセルの劣化度合いを示す。セルの満充電容量が小さいほどセルの劣化度合いは大きい。S19の処理が実行されると、図3に示す一連の処理は終了する。
上記図3に示した処理の後、サービスツール200が、診断結果(すなわち、駆動バッテリ11に含まれる各セルの満充電容量を示す情報)を車両100へ送信してもよい。車両100が受信した診断結果は、HVECU50の記憶装置53に記憶されてもよい。ユーザからの要求に応じて報知装置104が診断結果を報知してもよい。
上記図3に示した処理の後、HVECU50が、前述のクランキングによりエンジン31を始動して、エンジン発電によって生成される電力で駆動バッテリ11を充電してもよい。HVECU50は、駆動バッテリ11のSOCを診断前のSOC値に戻してもよい。あるいは、HVECU50は、車両100がEV走行可能な状態になるまで駆動バッテリ11を充電してもよい。
以上説明したように、この実施の形態に係る電池の劣化診断方法は、図3に示した一連の処理を含む。
図3に示した処理では、組電池(駆動バッテリ11)に含まれる複数のセルの各々の電圧を測定しながら各セルの放電を実行し、組電池に含まれる全てのセルの電圧が所定の放電終了電圧(Vend)に達した場合に放電を終了させる(S15~S18)。放電終了電圧(Vend)は、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|(すなわち、単位放電量あたりのセル電圧の変化度合い)が急激に上昇し始めるセル電圧(たとえば、3.4V)である(図7及び図8参照)。図3に示した処理では、組電池(駆動バッテリ11)に含まれる各セルの放電開始電圧から放電終了電圧(Vend)までの電圧の推移を示す電圧データを用いて、組電池に含まれる各セルの劣化度合いを推定する(S19)。
図10は、放電終了電圧(Vend)とカバー率との関係を示すグラフである。図10中の線L41、L42、L43は、それぞれ前述した第1LIB、第2LIB、第3LIBについて、図3に示した処理により劣化診断を行なった場合のカバー率を示している。具体的には、放電終了電圧(Vend)を3.0Vから3.5Vまでの範囲で変更しながらカバー率を測定した。カバー率は、満充電容量に対する区間放電量の割合に相当する。カバー率は、図3のS19において算出される区間放電量を満充電容量で除算することにより得られる。カバー率は百分率で表わすことができる。電池の劣化度合いは、大きいほうから、第3LIB(劣化度合い:大)、第2LIB(劣化度合い:中)、第1LIB(劣化度合い:小)の順である。
図10を参照して、Vendを3.4Vよりも高い電圧に引き上げると、カバー率が急激に低下する(線L41~L43参照)。Vendが3.4Vである劣化診断方法では、カバー率が約70%になり、セル(三元系LIB)の劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。また、Vendを3.4Vまで引き上げることで、放電中のセル(三元系LIB)の劣化は抑制される(図6参照)。このように、上記実施の形態に係る電池の劣化診断方法によれば、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。
上記電池の劣化診断方法によれば、組電池(駆動バッテリ11)に含まれる各セルの満充電容量が取得される。このため、組電池のうち劣化度合いが大きいセルのみを交換して組電池をリビルドすることが可能になる。ただしこれに限られず、駆動バッテリ11は電池パックごと交換されてもよい。組電池の交換の要否は、最小容量セル(組電池において最も満充電容量が小さいセル)の満充電容量に基づいて判定されてもよい。
上記実施の形態では、放電終了電圧(Vend)として3.4Vを設定した。しかしこれに限られず、放電終了電圧は適宜変更可能である。たとえば、組電池(駆動バッテリ11)に含まれる複数のセルの各々が、一般式LiFePOで表わされるオリビン型結晶構造の正極(コバルトフリーのリン酸鉄正極)を持つリチウムイオン二次電池(LFPセル)である形態では、2.0V以上3.2V以下の範囲から選ばれた電圧が、放電終了電圧として設定されてもよい。こうした放電終了電圧によっても、放電中のセルの劣化を抑制しつつ、組電池に含まれるセルごとの劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。また、上記実施の形態に係る電池の劣化診断方法では、放電終了電圧(Vend)が固定値(3.4V)である。しかしこれに限られず、放電部211は、車両100の使用履歴を用いて駆動バッテリ11の劣化度合いを推定し、推定された駆動バッテリ11の劣化度合いが大きいほどVendが高くなるようにVendを変更するように構成されてもよい。
図11は、変形例に係る放電終了電圧の設定方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、図3に示した処理が開始される前に実行される。たとえば駐車状態の車両100のDLC55aにサービスツール200のコネクタ250が接続された後、ユーザから所定の指示がHMI204に入力されると、図11に示す処理が実行される。そして、後述するS38の処理により、図3に示した処理が開始される。
図1及び図2とともに図11を参照して、S31では、HVECU50がサービスツール200へ車両履歴情報(すなわち、車両100の使用履歴を示す情報)を送信する。車両履歴情報は、ユーザが車両100を使用しているときに車両100に搭載された各種センサによって逐次取得され、記憶装置53に格納される。一例では、S31において送信される車両履歴情報が車両100の積算走行距離を含む。
S32では、サービスツール200が上記車両履歴情報を受信する。その後、サービスツール200の放電部211が、以下に説明するS33~S38の処理を実行する。
S33では、サービスツール200が、上記車両履歴情報を用いて駆動バッテリ11の劣化度合いを推定する。具体的には、車両100の積算走行距離が長いほど、駆動バッテリ11の劣化度合いが大きいと推定する。続くS34では、サービスツール200が、駆動バッテリ11の劣化度合いが大/中/小のいずれであるかを判定する。
推定された駆動バッテリ11の劣化度合いが小さい場合には(S34にて「小」)、S35において、サービスツール200が放電終了電圧(Vend)として3.40Vを設定する。推定された駆動バッテリ11の劣化度合いが中程度である場合には(S34にて「中」)、S36において、サービスツール200が放電終了電圧(Vend)として3.42Vを設定する。推定された駆動バッテリ11の劣化度合いが大きい場合には(S34にて「大」)、S37において、サービスツール200が放電終了電圧(Vend)として3.44Vを設定する。
上記S35~S37のいずれかの処理が実行されると、S38において、サービスツール200が、組電池の劣化診断のための放電制御の開始トリガを発生させる。これにより、図3に示した処理が開始される。
このように、上記図11に示した処理によれば、推定された駆動バッテリ11の劣化度合いが大きいほどVendが高くなるようにVendが変更される。こうした形態によれば、駆動バッテリ11の劣化度合いに応じて変化する、|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めるセル電圧(図9及び図10参照)に合わせて、放電終了電圧(Vend)を微調整することが可能になる。
図3に示した処理は適宜変更されてもよい。たとえば、放電終了電圧(Vend)は、放電に伴うセル電圧の下降中に単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが所定値以上になるセル電圧であってもよい。そして、放電部211が、組電池に含まれる各セルの放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が上記所定値以上になったか否かを判断し、組電池に含まれる全てのセルの|ΔV/ΔQ|が上記所定値以上になったと判断されたときに放電を終了させるように構成されてもよい。
図12は、図3に示した処理の変形例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、S17(図3)に代えてS17A及びS17Bが採用されたこと以外は、図3に示した処理に準ずる。以下、図3に示した処理との相違点を中心に、図12に示す処理について説明する。
図1及び図2とともに図12を参照して、S17Aでは、サービスツール200が、各セルの放電中にマッピング(プロット)された電圧の推移においてセル電圧を放電量で微分することにより、各セルの|ΔV/ΔQ|を算出する。S17Bでは、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの|ΔV/ΔQ|が所定値(以下、「Th」と表記する)以上になったか否かを判断する。
図13は、Thの設定方法について説明するための図である。図13中の線L22は、図8中の線L22と同じである。図13に示すように、Thは、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|がTh以上になるセル電圧が、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めるセル電圧になるように設定される。
駆動バッテリ11に含まれるいずれかのセルの|ΔV/ΔQ|がTh未満である間は、図12のS17BにおいてNOと判断され、S15~S17Bの処理が繰り返され、駆動バッテリ11の放電が継続される。そして、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの|ΔV/ΔQ|がTh以上になると(S17BにてYES)、サービスツール200は、S18において駆動バッテリ11の放電を終了させる。
上記のように、放電部211は、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が所定値以上になったか否かに基づいて、|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めたか否かを判断することができる。上記図12に示した処理によれば、放電に伴うセル電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めたか否かを容易に判断することができる。そして、|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始めたときに、放電部211がセルの放電を終了させることができる。
図14は、図2に示したサービスツール200の変形例を示す図である。図14を参照して、サービスツール200Aは、放電部211及び推定部212に加えて、管理部213とデータ取得部214とをさらに含む。管理部213は、Vendを管理するように構成される。Vendは、電池の劣化度合いを推定するためのデータを取得するために実行される電池の放電を終了するタイミングを示す放電終了電圧に相当する。データ取得部214は、電池の放電開始後、|ΔV/ΔQ|(電池の単位放電量あたりの電圧の変化度合い)が所定値(Th)以上になったときの電池の電圧を、放電終了電圧として管理部213に記憶させる。サービスツール200Aにおける管理部213は、記憶装置203Aによって具現化される。サービスツール200Aにおけるデータ取得部214は、プロセッサ201と、記憶装置203Aに記憶された診断プログラムとによって具現化される。
図15は、図14に示したサービスツール200Aによって実行されるデータ取得に係る処理を示すフローチャートである。図15のS41~S47は、未使用状態(たとえば、出荷前)の車両100とサービスツール200Aとが接続された状態で、サービスツール200Aのデータ取得部214がHVECU50に制御指令を送信することにより実行される。
図14とともに図15を参照して、S41では、サービスツール200Aが、駆動バッテリ11の放電準備を行なう。サービスツール200Aは、S41において、前述した図3のS10~S14の処理を実行してもよい。
続くS42では、サービスツール200Aが駆動バッテリ11の放電を実行する。S42の処理は、図3のS16に準ずる処理であってもよい。
続くS43では、サービスツール200Aが、駆動バッテリ11に含まれる各セルの状態(電圧、電流、及び温度)を測定し、測定結果を記憶装置203Aに記録する。S43の処理は、図3のS15に準ずる処理であってもよい。
続くS44では、サービスツール200Aが、駆動バッテリ11に含まれる各セルの放電中の電圧の推移においてセル電圧を放電量で微分することにより、各セルの|ΔV/ΔQ|を算出する。そして、S45では、サービスツール200Aが、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの|ΔV/ΔQ|がTh以上になったか否かを判断する。S44、S45の処理は、それぞれ図12のS17A、S17Bに準ずる処理であってもよい。
駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの|ΔV/ΔQ|がTh以上になると(S45にてYES)、サービスツール200Aは、S46において、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの|ΔV/ΔQ|がTh以上になったときの放電量(Qend)から、放電に伴う電池電圧の下降中に|ΔV/ΔQ|が急激に上昇し始める電池電圧を特定する。そして、サービスツール200Aは、特定された電池電圧を、Vendとして決定する。Vendは、駆動バッテリ11に含まれる全てのセルの|ΔV/ΔQ|がTh以上になったときの駆動バッテリ11の電圧(たとえば、平均セル電圧)であってもよい。
続くS47では、サービスツール200Aが駆動バッテリ11の放電を終了させる。S47の処理は、図3のS18に準ずる処理であってもよい。
続くS48では、サービスツール200Aのデータ取得部214が、駆動バッテリ11を構成する電池の種類を示す情報と紐付けて放電終了電圧(Vend)を管理部213に記憶させる。サービスツール200Aは、電池の種類を示す情報を車両100から取得してもよい。電池の種類を示す情報は、予め記憶装置53に記憶されてもよい。一例では、電池の種類を示す情報が、電池メーカ及び型番を含む。サービスツール200Aは、電池メーカ及び型番に基づいて、駆動バッテリ11を構成する電池の種類(たとえば、リチウムイオン二次電池/ニッケル水素二次電池など)を判別できる。車両100以外の車両に搭載された電池についても、図15に示す一連の処理が実行されることにより、放電終了電圧(Vend)が管理部213に記憶される。管理部213は、複数種の電池の放電終了電圧(Vend)を管理する。管理部213は、各電池について、電池の種類を示す情報と紐付けて放電終了電圧(Vend)を管理する。S48の処理が実行されると、図15に示す一連の処理は終了する。
図16は、図15に示した処理によって取得されたデータに基づく放電終了電圧の設定方法について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、図3に示した処理が開始される前に実行される。たとえば、使用された車両100にサービスツール200Aが接続された後、ユーザから所定の指示がHMI204に入力されると、図16に示す処理が実行される。そして、後述するS54の処理により、図3に示した処理が開始される。
図14とともに図16を参照して、S51では、HVECU50が、駆動バッテリ11を構成する電池の種類を示す情報(たとえば、駆動バッテリ11を構成する電池の電池メーカ及び型番)をサービスツール200Aへ送信する。
S52では、サービスツール200Aが、上記電池の種類を示す情報を受信する。その後、サービスツール200Aの放電部211が、以下に説明するS53及びS54の処理を実行する。
S53では、サービスツール200Aが、上記電池の種類を示す情報を用いて、駆動バッテリ11を構成する電池の種類に対応する放電終了電圧(Vend)を、管理部213から取得して設定する。その後、サービスツール200Aは、S54において、組電池の劣化診断のための放電制御の開始トリガを発生させる。これにより、図3に示した処理が開始される。図3に示した処理では、車両に搭載された電池の種類に対応する適切な放電終了電圧(すなわち、S53で設定されたVend)に基づいて電池の放電が実行される。これにより、放電中の電池の劣化を抑制しつつ、電池の劣化度合いを十分な精度で推定することが可能になる。
放電部211及び推定部212の機能は、車両100に実装されてもよい。図17は、図2に示したHVECU50の変形例を示す図である。図17を参照して、車両100に搭載されたHVECU50Aが、放電部211及び推定部212を含んでもよい。こうした形態では、車両100に搭載されたHVECU50Aが、図3に示した処理を実行する。HVECU50Aにおける放電部211及び推定部212は、プロセッサ51と、プロセッサ51により実行されるプログラム(たとえば、記憶装置53Aに記憶された診断プログラム)とによって具現化されてもよい。ただし、上述した放電部211、推定部212、及びデータ取得部214の各々は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
上記実施の形態では、プラグイン用のインレットを備えないHEVに搭載された組電池を、劣化診断の対象としている。しかしこれに限られず、プラグイン用のインレットを備えるPHEV(プラグインハイブリッド車)に搭載された組電池を、劣化診断の対象としてもよい。また、他のxEV(BEV、FCEV、レンジエクステンダーEVなど)に搭載された組電池を、劣化診断の対象としてもよい。xEVは、電力を動力源の全て又は一部として利用する車両である。
上述したいずれかの方法によって劣化診断される組電池において全てのセルが直列に接続されていること(図2参照)は必須ではない。劣化診断される組電池の構造は任意である。図18は、図2に示した組電池の変形例を示す図である。たとえば、図18に示される組電池500を劣化診断の対象としてもよい。組電池500は、N個の並列セルブロック(すなわち、並列セルブロックCB-1~CB-N)を含む。並列セルブロックCB-1~CB-Nの各々は、並列接続された複数のセルを含む。各並列セルブロックにおいて並列に接続されるセルの数は任意であるが、図18に示す例では3個である。並列セルブロックCB-1~CB-Nは、電力線を介して直列に接続されている。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 駆動バッテリ、12a 電圧センサ、12b 電流センサ、12c 温度センサ、31 エンジン、50,50A HVECU、80 補機バッテリ、81,82 DC/DCコンバータ、91 高圧負荷、92 低圧負荷、100 車両、200,200A サービスツール、211 放電部、212 推定部、213 管理部、214 データ取得部、500 組電池。

Claims (10)

  1. 組電池に含まれる複数のセルの各々の電圧を測定しながら各セルの放電を実行する放電部と、
    前記組電池に含まれる各セルの放電開始電圧から所定の放電終了電圧までの電圧の推移を示す電圧データを用いて、前記組電池に含まれる各セルの劣化度合いを推定する推定部と、
    を含み、
    前記放電部は、前記組電池に含まれる全てのセルの電圧が前記放電終了電圧に達した場合に放電を終了させ、
    前記放電終了電圧は、放電に伴うセル電圧の下降中に単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが急激に上昇し始めるセル電圧である、電池の劣化診断装置。
  2. 前記組電池に含まれる前記複数のセルの各々はリチウムイオン二次電池であり、
    前記放電終了電圧は、前記リチウムイオン二次電池の正極活物質中のリチウムサイトが全て占有される電圧よりも高い、請求項1に記載の電池の劣化診断装置。
  3. 前記組電池に含まれる前記複数のセルの各々は、一般式LiNiCoMn(1-x-z)で表わされる層状型結晶構造の正極を持つリチウムイオン二次電池であり、
    前記放電終了電圧は3.1V以上3.5V以下である、請求項1又は2に記載の電池の劣化診断装置。
  4. 前記組電池に含まれる前記複数のセルの各々は、一般式LiFePOで表わされるオリビン型結晶構造の正極を持つリチウムイオン二次電池であり、
    前記放電終了電圧は2.0V以上3.2V以下である、請求項1又は2に記載の電池の劣化診断装置。
  5. 前記放電終了電圧は、放電に伴うセル電圧の下降中に単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが所定値以上になるセル電圧であり、
    前記放電部は、前記組電池に含まれる各セルの放電に伴うセル電圧の下降中に、単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが前記所定値以上になったか否かを判断し、前記組電池に含まれる全てのセルの単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが前記所定値以上になったと判断されたときに放電を終了させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池の劣化診断装置。
  6. 前記組電池は、車両に搭載されており、
    前記放電部は、前記車両の使用履歴を用いて前記組電池の劣化度合いを推定し、推定された前記組電池の劣化度合いが大きいほど前記放電終了電圧が高くなるように前記放電終了電圧を変更する、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池の劣化診断装置。
  7. 前記組電池に含まれる全てのセルは直列に接続されており、
    前記放電部は、前記複数のセルの各々の放電中の電流値を一定に保つ、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池の劣化診断装置。
  8. 前記組電池は、車載電力負荷に電力を供給するように構成され、
    前記放電部は、前記車載電力負荷を制御することにより前記放電を実行する、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池の劣化診断装置。
  9. 電池の劣化度合いを推定するためのデータを取得するために実行される前記電池の放電を終了するタイミングを示す放電終了電圧を管理する管理部と、
    前記電池の放電開始後、前記電池の単位放電量あたりの電圧の変化度合いが所定値以上になったときの前記電池の電圧を、前記放電終了電圧として前記管理部に記憶させるデータ取得部とを備える、電池の劣化診断装置。
  10. 組電池に含まれる複数のセルの各々の電圧を測定しながら各セルの放電を実行し、前記組電池に含まれる全てのセルの電圧が所定の放電終了電圧に達した場合に放電を終了させることと、
    前記組電池に含まれる各セルの放電開始電圧から前記放電終了電圧までの電圧の推移を示す電圧データを用いて、前記組電池に含まれる各セルの劣化度合いを推定することと、
    を含み、
    前記放電終了電圧は、放電に伴うセル電圧の下降中に単位放電量あたりのセル電圧の変化度合いが急激に上昇し始めるセル電圧である、電池の劣化診断方法。
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