JP2023072853A - 化学機械研磨用の添加剤及びその製造方法、並びに、研磨液組成物 - Google Patents

化学機械研磨用の添加剤及びその製造方法、並びに、研磨液組成物 Download PDF

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晃嗣 柴田
Koji Shibata
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Teruhiro Goto
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Shinya Kanbe
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Abstract

【課題】研磨対象の凹凸表面において、凸部(酸化膜)の研磨速度が十分に早く、かつディッシングを大幅に低減可能な化学機械研磨用の添加剤、研磨液組成物、並びに、研磨液添加剤用水溶性重合体の製造方法を提供する。【解決手段】共重合体(P)を含む化学機械研磨用の添加剤であって、前記共重合体(P)は、下記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の75~99質量%であり、CH2=CR1-C(=O)O-(LO)n-R2…(1)(ただし、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基であり、Lは炭素数4以下のアルキレン基であり、nは3~150の整数である。)かつ、下記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の1~25質量%であることを特徴とする、添加剤を使用する。CH2=CR1-C(=O)OR3…(2)(ただし、式(2)中、R1は水素原子又はメチル基である。R3は炭素数1~6の炭化水素基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、化学機械研磨用の添加剤及びその製造方法、並びに、研磨液組成物に関し、詳しくは、半導体デバイス等の製造工程で重要な化学機械研磨(CMP)用の添加剤及びその製造方法、並びに、研磨液組成物に関するものである。
半導体デバイスは情報通信機器や家電製品等、身近にある電子機器の殆ど全てに用いられており、現代の生活に必要不可欠なものとなっている。近年、IoTの普及やクラウドの活用等によって半導体デバイスが担う役割は更に大きくなっている。これまでに半導体チップの高集積化、大容量化は著しい速度で達成されてきたが、高性能化への要求は留まることなく、微細加工技術の重要性はますます高まっている。特に化学機械研磨(CMP)技術は、高精度の多層配線形成を実現する上で極めて重要であり、絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線形成等、半導体デバイスの製造工程の各段階で頻繁に利用されている。
CMPでは、研磨速度と加工精度の向上のため研磨液が用いられる。研磨液には一般に砥粒、研磨促進剤、水溶性重合体、界面活性剤等が含まれる。これらの内、水溶性重合体や界面活性剤等は、研磨対象の平坦性の向上や表面欠陥の抑制を目的として研磨液に添加され、研磨膜の表面に吸着することで表面を保護し、過剰な研磨作用の抑制にも寄与する効果を持つ。しかし、研磨膜に対する吸着性が強すぎると、十分な研磨速度が得られないという課題がある。
特開2000‐017195号公報 特開2007‐318072号公報 国際公開第2009/104334号
特許文献1では、アクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸メチルとの共重合体及び酸化セリウム粒子を含む研磨液組成物が開示されている。この研磨液組成物を用いると、アクリル系共重合体を含まない研磨液を用いる場合よりも、研磨表面の平坦性が向上するとされている。しかし、その平坦性については十分ではない。例えば、上記の研磨液組成物を凹凸面がある研磨膜の研磨に用いた場合、凸部に加えて凹部も同時に研磨されるため、研磨表面の中の特に凹部に対応する箇所が皿状にたわむ現象が発生する。この現象をディッシングといい、凹凸面を平面視した時に見える凹部の総面積の割合が大きい場合に発生しやすいという課題がある。
上記のようなディッシングを抑えて平坦性の高い研磨表面を得るために、特許文献2では、セリア粒子を含む研磨液組成物としてジヒドロキシエチルグリシン、および、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを添加剤として含む研磨液組成物が提案されている。二つの化合物がそれぞれ砥粒と研磨膜へ吸着し、研磨膜の凹部を保護することにより過剰な研磨を防ぎ、平坦な表面を得られるとの提案であるが、界面活性剤は分子量が小さいため研磨膜への吸着が弱く、保護効果は十分ではない。
特許文献3では、銅のディッシング低減剤として幹ポリマーにアニオン性官能基、枝にポリアルキレングリコールを含むグラフトポリマーが提案されている。幹のアニオン性官能基が銅表面に吸着し、研磨速度が調整される結果、平滑な表面が得られるという提案であるが、研磨速度を低下させるため生産性が落ちてしまうという課題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、研磨対象の凹凸表面において、凸部(酸化膜)の研磨速度が十分に早く、かつディッシングを大幅に低減可能な化学機械研磨用の添加剤及びその製造方法、並びに、研磨液組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造単位を有する共重合体を含む添加剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、当該知見に基づいて完成したものである。本明細書によれば以下の手段を提供する。
〔1〕共重合体(P)を含む化学機械研磨用の添加剤であって、
前記共重合体(P)は、下記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の75~99質量%であり、
CH2=CR1-C(=O)O-(LO)n-R2 …(1)
(ただし、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基であり、Lは炭素数4以下のアルキレン基であり、nは3~150の整数である。)
かつ、下記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の1~25質量%であることを特徴とする、添加剤。
CH2=CR1-C(=O)OR3 …(2)
(ただし、式(2)中、R1は水素原子又はメチル基である。R3は炭素数1~6の炭化水素基である。)
〔2〕前記重合体(P)の数平均分子量(Mn)が1,000~100,000である、前記〔1〕に記載の添加剤。
〔3〕前記共重合体(P)に含まれる構造単位の内、官能基としてカルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルホン酸基、及び/又は、これらの塩を含む単量体に由来する構造単位の含有量が合計で、前記共重合体(P)全体の0~0.6質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の添加剤。
〔4〕前記式(2)で表されるビニル単量体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、及び/又は、アクリル酸n-ブチルである、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一つに記載の添加剤。
〔5〕前記共重合体(P)の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwとの比で表される分子量分散度(Mw/Mn)が2.0以下である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一つに記載の添加剤。
〔6〕前記重合体(P)がブロック重合体である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一つに記載の添加剤。
〔7〕前記共重合体(P)は、重合体ブロックAと重合体ブロックBとを含有し、
前記重合体ブロックAは、前記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位UAを有し、
前記重合体ブロックBは、前記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位UBを有する、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一つに記載の添加剤。
〔8〕前記共重合体(P)の前記重合体ブロックAと前記重合体ブロックBとの比率(A/B)が、質量比で80/20~99/1である、前記〔7〕に記載の添加剤。
〔9〕絶縁層及び配線層のうち少なくともいずれかの表面平坦化に用いられる化学機械研磨用の研磨液組成物であって、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一つに記載の添加剤と、酸化セリウム及び/又はシリカとを含有する、研磨液組成物。
〔10〕共重合体を含む化学機械研磨液用添加剤の製造方法であって、
前記共重合体は、下記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が共重合体全体の75~99質量%であり、
CH2=CR1-C(=O)O-(LO)n-R2 …(1)
(ただし、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基であり、Lは炭素数4以下のアルキレン基であり、nは3~150の整数である。)
かつ、下記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が共重合体全体の1~25質量%である、共重合体を、リビングラジカル重合法により製造する工程を経ることを特徴とする製造方法。
CH2=CR1-C(=O)OR3 …(2)
(ただし、式(2)中、R1は水素原子又はメチル基である。R3は炭素数1~6の炭化水素基である。)
本発明によれば、研磨対象の凹凸表面において、凸部(酸化膜)の研磨速度が十分に早く、かつ、ディッシングを大幅に低減可能な化学機械研磨用の添加剤を提供することができる。また、前記添加剤と酸化セリウム及び/又はシリカとを含有する研磨液組成物を提供することができる。さらに、共重合体を含む化学機械研磨液用添加剤の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
本発明によれば、研磨対象の凹凸表面において、凸部(酸化膜)の研磨速度が十分に早く、かつディッシングを大幅に低減可能な化学機械研磨用の添加剤、および、前記添加剤と酸化セリウム及び/又はシリカとを含有する研磨液組成物が提供される。さらに、共重合体を含む化学機械研磨液用添加剤の製造方法が提供される。
以下に、本発明で提供される化学機械研磨用の添加剤、研磨液組成物、並びに、共重合体を含む化学機械研磨液用添加剤の製造方法について詳細に説明する。
≪化学機械研磨用の添加剤≫
本発明で提供される化学機械研磨用の添加剤は、共重合体(P)を含む化学機械研磨用の添加剤であって、
前記共重合体(P)は、下記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の75~99質量%であり、
CH2=CR1-C(=O)O-(LO)n-R2 …(1)
(ただし、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基であり、Lは炭素数4以下のアルキレン基であり、nは3~150の整数である。)
かつ、下記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の1~25質量%であることを特徴とする、添加剤である。
CH2=CR1-C(=O)OR3 …(2)
(ただし、式(2)中、R1は水素原子又はメチル基である。R3は炭素数1~6の炭化水素基である。)
<共重合体(P)>
本発明で使用される共重合体(P)は、前記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の75~99質量%であり、かつ、前記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の1~25質量%であることを特徴とする、共重合体である。
前記式(1)におけるLとしては、メチレン基、エチレン基、-CHMe-基、n-プロピレン基、-CHEt-基、-CHMeCH2-基、-CH2CHMe-基、n-ブチレン基、-CH(n-Pr)-基、-CH(i-Pr)-基、-CHEtCH2-基、-CH2CHEt-基、-CHMeCH2CH2-基、-CH2CHMeCH2-基、-CH2CH2CHMe-基等が例示され、これらの内の2種以上の基が混合されたものであっても良い。工業的な原料入手の容易性、および、前記重合体(P)の水への溶解性を考慮すると、エチレン基、-CHMeCH2-基、又は、-CH2CHMe-基が好ましく、エチレン基がより好適である。
前記式(1)におけるnは、3~150の任意の整数である。前記共重合体(P)が含有する-(LO)n-R基が、酸化膜への吸着と酸化膜の保護や研磨圧変化への高い応答性によりディッシングの低減に関与する点を考慮すると、nの上限は、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、一層好ましくは30以下、より一層好ましくは15以下である。nの下限は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、一層好ましくは6以上、より一層好ましくは7以上である。nの好ましい範囲は、上記の上限と下限で例示した数値を任意に組み合わせて示すことができる。
なお、前記Lが1種の基のみで構成される場合、nは上記範囲に含まれるの任意の整数である。一方、前記Lが2種の基で構成される場合、-(LO)n-R基は、-(L1O)n1-(L2O)n2-R基と表すことができる。この場合、n1とn2との合計値が上記範囲に含まれる任意の整数となる。前記Lが3種以上の基で構成される場合も同様に考えることができる。
前記式(1)におけるR2は、水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基である。炭素数1~4の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が例示される。工業原料の入手容易性及び前記共重合体(P)の水への溶解性を考慮すると、前記式(1)におけるR2としては、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好適である。
前記共重合体(P)の製造方法の詳細は後述するが、例えば、前記式(1)で表される単量体と前記式(2)で表される単量体を重合することにより、前記共重合体(P)を製造することができる。
本発明で使用することができる前記式(1)で表される単量体の具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノエトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノn-プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノi-プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノn-ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノt-ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を例示することができる。これらの中でも、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、ポリエチレングリコールモノアクリレート、モノメトキシポリエチレングリコールモノアクリレートがより好ましく、モノメトキシポリエチレングリコールモノアクリレートがさらに好適である。これらの単量体は一種類を用いても良く、複数種類を併用しても良い。
なお、市販品としては、日油株式会社製のブレンマーAEシリーズ、AMEシリーズ、APシリーズ、PEシリーズ、PMEシリーズ、PPシリーズ、50PEPシリーズ、新中村化学工業株式会社製のAMシリーズ、並びに、共栄社化学株式会社のライトアクリレートMTG-A、ライトアクリレート130A等を例示することができる。
前記式(2)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルブチル等が挙げられる。これらの単量体は一種類を用いてもよく、複数種類を併用しても良い。
これらの中では、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチルが特に好適である。
前記共重合体(P)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分散度(PDI)は、2.0以下であることが好ましい。砥粒の分散機能を有する重合体においては、分子量の大小は研磨対象への吸脱着速度に影響を与えると考えられ、一般に重合体の分子量が小さいほど、研磨対象への吸脱着速度が高いと考えられる。また、分子量の大きい重合体は、せん断力による砥粒の凝集構造を形成しやすいと考えられる。そのため、砥粒の分散機能を有する重合体は、分子量分布が狭い方が好ましい。こうした観点から、前記重合体(P)のPDIは、より好ましくは1.8以下であり、一層好ましくは1.5以下であり、より一層好ましくは1.3以下であり、さらにより一層好ましくは1.2以下である。PDIの下限値は、通常1.0である。なお、本明細書において、重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。分子量測定の詳細は、実施例の項で説明する。
前記共重合体(P)の数平均分子量(Mn)は、1,000~100,000であることが好ましい。Mnが1,000以上であると、研磨対象物の表面の濡れ性を十分に確保しつつ、研磨速度の低下を抑制することができる点で好ましい。また、Mnが100,000以下であると、せん断力による砥粒の凝集を十分に抑制でき、研磨時にスクラッチ等の欠陥が発生することを十分に抑制できる点で好ましい。こうした観点から、前記共重合体(P)のMnは、1,500以上がより好ましく、2,000以上がさらに好ましく、2,500以上が一層好ましい。前記重合体(P)のMnの上限については、60,000以下がより好ましく、30,000以下がさらに好ましく、10,000以下が一層好ましく、6,000以下がより一層好ましい。数平均分子量の好ましい範囲は、上記の上限と下限で例示した数値を任意に組み合わせて示すことができる。
前記共重合体(P)全体に対する、前記式(1)で表される単量体に由来する構造単位の含有量は、75質量%以上である。より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは88質量%以上、一層好ましくは90質量%以上、より一層好ましくは93質量%以上である。また、上限は、100質量%であり、好ましくは99質量%以下、さらに好ましくは98質量%以下、一層好ましくは97質量%以下、より一層好ましくは96質量%以下である。好ましい範囲は、上記の上限と下限で例示した数値を任意に組み合わせて示すことができる。
前記式(1)で表される単量体に由来する構造単位の含有量が上記範囲であると、研磨圧変化への応答性が高く、酸化膜が凸部である場合(研磨圧が高い状態)には吸着せず研磨速度を低下しないが、研磨が進み窒化膜が露出し研磨対象が凹部となった場合(研磨圧が低い状態)には酸化膜界面に吸着し、過剰研磨を抑制する傾向がある。これらの効果により、研磨速度を低下させず、ディッシングを低減した良好な研磨面が得られやすくなる。
前記共重合体(P)全体に対する、前記式(2)で表される単量体に由来する構造単位の含有量は1質量%以上である。好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、一層好ましくは4質量%以上、より一層好ましくは5質量%以上である。また、上限は25質量%以下であることが好ましい。より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、一層好ましくは10質量%以下、より一層好ましくは7質量%以下である。好ましい範囲は、上記の下限と上限を任意に組み合わせて表すことができる。
前記共重合体(P)全体に対する、前記式(2)で表される単量体に由来する構成単位の含有量が上記範囲に含まれる場合、ディッシングを低減した良好な研磨面が得られやすくなる。
アニオン性の(共)重合体は、通常正電荷を帯びている窒化膜表面に吸着し、凸部の酸化膜との研磨選択性が高まり平坦な表面が得られる。しかし、窒化膜が露出し、研磨終了に近づいた際には酸化膜の研磨速度が大きくなり、ディッシングが生じる原因となってしまう場合がある。また、アニオン性添加剤ではpH変化により研磨液組成物の安定性が変化し、砥粒の粗大化により研磨傷が生じる原因となってしまう場合がある。これらの点を考慮すると、前記共重合体(P)全体に対する、官能基としてカルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルホン酸基、及び/又は、これらの塩を含む単量体に由来する構造単位の含有量が合計で0~0.6質量%であることが好ましい。より好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0~0.4質量%、一層好ましくは0~0.3質量%、より一層好ましくは0~0.2質量%である。
前記共重合体(P)は、前記式(1)又は前記式(2)で表される単量体以外に、その他の共重合可能な単量体を構造単位として含んでも良い。
これらの具体例としては、(メタ)アクリルアミド、tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル](メタ)アクリルアミド、1-[(メタ)アクリロイルアミノ]-3,6,9,12,15,18,21-ヘプタオキサドコサン等の(メタ)アクリルアミド誘導体、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソブチルアミド等のN-ビニルアミド系単量体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、nヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-オクチルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、及びn-デシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;ビニルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルアルコール類;スチレン、ビニルトルエン、及びビニルキシレン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン類をそれぞれ挙げることができる。その他の共重合可能な単量体としては、これらの内の1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記共重合体(P)全体に対する、前記その他の共重合可能な単量体に由来する構造単位の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。8質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、1質量%以下であっても良い。
前記共重合体(P)の分子構造はブロック共重合体であることが好ましい。
ブロック共重合体の中でも、前記共重合体(P)は、前記式(1)で表される単量体に由来する構造単位UAを有する重合体ブロックAと、前記式(2)で表される単量体に由来する構造単位UBを有する重合体ブロックBを含む、ブロック共重合体であることが好ましい。
従来、化学機械研磨(CMP)用添加剤に用いられる水溶性重合体としては、単独重合体又はランダム型の共重合体が使用されてきた。しかし、基板表面に吸着する官能基が重合体構造全体に配置された構造の重合体は、吸着部位がまとまって配置されていないため研磨対象の表面の保護性が弱く、研磨圧が高い状態では過剰研磨が起きてしまう場合がある。一方、ブロック共重合体の場合は、基板表面に吸着する官能基がまとまった構造のため十分な吸着性を発揮し、研磨対象の過剰研磨を防ぐことができると考えられる。
<ブロック共重合体>
本発明で好適に使用することができるブロック共重合体は、重合体ブロックAおよび重合体ブロックBを含むブロック共重合体である。
・重合体ブロックA
重合体ブロックAは、前記式(1)で表される単量体に由来する構造単位UAを有する。前記重合体ブロックAは、前記式(1)で表される単量体の単独重合体であっても良く、前記式(1)で表される単量体を複数種類用いた重合体であっても良い。また、本発明の効果を損なわない限り、前記重合体ブロックAが、前記式(1)で表される単量体と、前記式(2)で表される単量体よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体、及び/又は、前記その他の共重合可能な単量体との共重合体であっても良い。
前記重合体ブロックA全体に対する、前記式(1)で表される単量体に由来する構造単位UAの含有量は、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上である。また、95質量%以上であっても良く、97質量%以上であっても良く、99質量%以上であっても良い。上限は100質量%以下である。
前記式(1)で表される単量体に由来する構成単位の含有量が上記範囲であると、研磨圧変化への応答性が高く、酸化膜が凸部である場合(研磨圧が高い状態)には吸着せず研磨速度を低下しないが、研磨が進み窒化膜が露出し研磨対象が凹部となった場合(研磨圧が低い状態)には酸化膜界面に吸着し、過剰研磨を抑制する傾向がある。これらの効果により、研磨速度を低下させず、ディッシングを低減した良好な研磨面が得られやすくなる。
前記重合体ブロックAの重量平均分子量は500以上であることが好ましく、より好ましくは900以上であり、さらに好ましくは1,500以上であり、一層好ましくは2,100以上であり、より一層好ましくは2,700以上である。重量平均分子量の上限は、好ましくは100,000以下であり、より好ましくは60,000以下であり、さらに好ましくは30,000以下であり、一層好ましくは10,000以下であり、より一層好ましくは6,000以下である。好ましい範囲は、これらの下限と上限を任意に組み合わせて表すことができる。
前記重合体ブロックAの重量平均分子量が上記範囲であると、研磨対象物の表面の濡れ性を十分に確保しつつ、研磨速度の低下を抑制することができる点で好ましい。また、せん断力による砥粒の凝集を十分に抑制でき、研磨時にスクラッチ等の欠陥が発生することを十分に抑制できる点で好ましい。
・重合体ブロックB
重合体ブロックBは、前記式(2)で表される単量体に由来する構造単位UBを有する。前記重合体ブロックBは、前記式(2)で表される単量体の単独重合体であっても良く、前記式(2)で表される単量体を複数種類用いた重合体であっても良い。また、本発明の効果を損なわない限り、前記重合体ブロックBが、前記式(2)で表される単量体と、前記式(1)で表される単量体、及び/又は、前記その他の共重合可能な単量体との共重合体であっても良い。
前記重合体ブロックB全体に対する、前記式(2)で表される単量体に由来する構造単位UBの含有量は、40質量%以上であることが好ましく、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。また、55質量%以上であってもよく、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であっても良い。上限は100質量%である。
前記重合体ブロックBの重量平均分子量は、100以上が好ましく、より好ましくは120以上であり、さらに好ましくは130以上であり、一層好ましくは140以上であり、より一層好ましくは150以上である。重量平均分子量の上限は、50,000以下が好ましく、より好ましくは10,000以下であり、さらに好ましくは5,000以下であり、一層好ましくは1,000以下であり、より一層好ましくは500以下である。好ましい範囲は、上記の下限と上限を任意に組み合わせて表すことができる。
本発明で好適に使用することができるブロック共重合体は、前記重合体ブロックA及び前記重合体ブロックBを各々1つ以上有していれば良く、例えば前記重合体ブロックA及び前記重合体ブロックBからなるABジブロック共重合体、前記重合体ブロックA/前記重合体ブロックB/前記重合体ブロックAからなるABAトリブロック共重合体又はBABトリブロック共重合体等が挙げられる。また、前記ブロック共重合体は、重合体ブロックを4個以上有するマルチブロック共重合体であってもよく、前記重合体ブロックA及び前記重合体ブロックB以外の重合体ブロックCを含む、ABC又はABCA等の構造を有するブロック共重合体であっても良い。中でも、前記ブロック共重合体は、ABC構造等に比べ製造工程が少ないことから各種不純物の混入の可能性が小さくなり、高純度な製品が製造できる観点から、AB構造を有することが好ましい。
前記ブロック共重合体における前記重合体ブロックAと前記重合体ブロックBとの質量比は、75/25~99/1であることが好ましく、より好ましくは、85/15~99/1であり、さらに好ましくは、90/10~98/2であり、一層好ましくは、93/7~98/2である。質量比がこの範囲内であれば、酸化膜に吸着し、保護作用を示す傾向がある。また、研磨圧変化への応答性が高く、酸化膜が凸部である場合(研磨圧が高い状態)には吸着せず研磨速度を低下しないが、研磨が進み窒化膜が露出し研磨対象が凹部となった場合(研磨圧が低い状態)には酸化膜界面に吸着し、過剰研磨を抑制する傾向がある。これらの効果により、研磨速度を低下させず、ディッシングを低減した良好な研磨面が得られやすくなると考えられる。
また、前記ブロック共重合体が、前記重合体ブロックA及び前記重合体ブロックB以外の重合体ブロックCを含む場合、前記ブロック共重合体全体に対する、前記重合体ブロックA及び前記重合体ブロックBの合計質量比は、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、一層好ましくは95質量%以上であり、より一層好ましくは97質量%以上である。
本発明で提供される化学機械研磨用の添加剤は、共重合体(P)を含む化学機械研磨用の添加剤であって、前記共重合体(P)は、前記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の75~99質量%であり、かつ、前記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の1~25質量%であることを特徴とする、添加剤であれば良い。したがって、本発明で提供される化学機械研磨用の添加剤は、前記共重合体(P)のみを含有する単一成分からなる形態であっても良いし、前記共重合体(P)と共に、前記共重合体(P)とは異なる成分(以下「その他の成分」ともいう)を含む形態であっても良い。
本発明で提供される化学機械研磨用の添加剤は、その他の成分として溶媒を含むものとすることができる。溶媒としては、例えば水、有機溶媒、及び水と有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。これらの内、前記重合体(P)を溶解可能な溶媒が好ましく、水、又は、水と水に溶解可能な有機溶媒との混合溶媒がより好ましく、水であることが特に好ましい。水と共に使用される有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール等のアルコール類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル等のエステル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で提供される化学機械研磨用の添加剤が前記共重合体(P)と溶媒とを含有する場合、研磨対象物及び研磨パッドの表面と前記共重合体(P)との接触を十分に行わせる観点から、前記共重合体(P)と溶媒との合計質量に対し、前記共重合体(P)の含有量が、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。また、前記共重合体(P)の含有量の上限については、粘度が高くなりすぎることにより取扱い性が低下することを抑制する観点から、前記共重合体(P)と溶媒との合計質量に対して、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。好ましい範囲は、これらの下限と上限を任意に組み合わせて表すことができる。
≪研磨液添加剤用重合体の製造方法≫
研磨液添加剤用重合体、すなわち、本発明で好適に使用することができる前記共重合体(P)の製造方法は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されるものではない。例えば、溶液重合法、塊状重合等の公知のラジカル重合方法を採用して、前述した単量体を重合することにより製造することができる。溶液重合法による場合、例えば、溶剤及び単量体を反応器に仕込み、重合開始剤を添加して、加熱重合することにより目的とする重合体を得ることができる。
上記のように製造した前記共重合体(P)を再沈殿法や多孔質材料を用いる方法などの公知の重合体精製法に供することで、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分散度(PDI)が2.0以下となるように精製しても良い。
前記共重合体(P)の好適な製造方法としては、リビングラジカル重合やリビングアニオン重合等の各種制御重合法を挙げることができる。これらの中でも、分子量分散度(PDI)の制御性が高く、砥粒の分散安定性に優れた重合体を製造できる点、及び操作が簡便であってかつ広い範囲の単量体に対して適用可能な点で、リビングラジカル重合法が好ましい。リビングラジカル重合法を採用する場合、重合形式は特に限定されず、バルク重合、溶液重合、乳化重合、ミニエマルジョン重合、懸濁重合等の各種態様により行うことができる。
例えば、リビングラジカル重合法を採用して、溶液重合により前記共重合体(P)を製造する場合、溶媒及び単量体を反応器に仕込み、ラジカル重合開始剤を添加し、好ましくは加熱して重合を行うことにより、目的とする共重合体(P)を得ることができる。重合は、バッチプロセス、セミバッチプロセス、乾式連続重合プロセス、連続攪拌槽型プロセス(CSTR)等のいずれのプロセスを採用しても良い。
前記共重合体(P)の製造に際し、リビングラジカル重合法としては、公知の重合法を採用することができる。用いるリビングラジカル重合法の具体例としては、交換連鎖機構のリビングラジカル重合法、結合-解離機構のリビングラジカル重合法、原子移動機構のリビングラジカル重合法等が挙げられる。これらの具体例としては、交換連鎖機構のリビングラジカル重合として、可逆的付加-開裂連鎖移動重合法(RAFT法)、ヨウ素移動重合法、有機テルル化合物を用いる重合法(TERP法)、有機アンチモン化合物を用いる重合法(SBRP法)、有機ビスマス化合物を用いる重合法(BIRP法)等を;結合-解離機構のリビングラジカル重合として、ニトロキシラジカル法(NMP法)等を;原子移動機構として、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)等を、それぞれ挙げることができる。これらの中でも、最も広範囲なビニル単量体に適用でき、かつ重合の制御性に優れている点で、交換連鎖機構のリビングラジカル重合法が好ましく、金属又は半金属化合物の混入による研磨対象物の汚染を避けることができる点で、RAFT法又はNMP法が好ましく、高温を必要としない水系での合成が容易である観点から、RAFT法が特に好ましい。
RAFT法では、重合制御剤(RAFT剤)及びラジカル重合開始剤の存在下、可逆的な連鎖移動反応を介して重合が進行する。RAFT剤としては、ジチオエステル化合物、ザンテート化合物、トリチオカーボネート化合物及びジチオカーバメート化合物等、公知の各種RAFT剤を使用することができる。これらのうち、分子量分散度がより小さい重合体を得ることができる点で、トリチオカーボネート化合物及びジチオカーバメート化合物が好ましい。また、RAFT剤は、活性点を1箇所のみ有する単官能型の化合物を用いてもよいし、活性点を2箇所以上有する多官能型の化合物を用いてもよい。RAFT剤の使用量は、用いる単量体及びRAFT剤の種類等により適宜調整される。
RAFT法による重合の際に用いる重合開始剤としては、アゾ化合物、有機過酸化物及び過硫酸塩等の公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。これらの中でも、安全上取り扱いやすく、ラジカル重合時の副反応が起こりにくい点で、アゾ化合物が好ましい。アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、1種類のみ使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、分子量分散度がより小さい重合体を得る点から、RAFT剤1モルに対して、0.5モル以下とすることが好ましく、0.2モル以下とすることがより好ましい。また、重合反応を安定的に行う観点から、ラジカル重合開始剤の使用量の下限については、RAFT剤1モルに対して、0.01モル以上とすることが好ましく、0.05モル以上とすることがより好ましい。RAFT剤1モルに対するラジカル重合開始剤の使用量は、0.01~0.5モルが好ましく、0.05~0.2モルがより好ましい。
リビングラジカル重合において溶媒を用いる場合、重合溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びアニソール等の芳香族化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチル等のエステル化合物;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン化合物;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アルコール、水等が挙げられる。重合溶媒としては、これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
RAFT法による重合反応において、反応温度は、好ましくは40℃以上100℃以下であり、より好ましくは45℃以上90℃以下であり、更に好ましくは50℃以上80以下である。反応温度が40℃以上であると、重合反応を円滑に進めることができる点で好ましく、反応温度が100℃以下であると、副反応を抑制できるとともに、使用できる開始剤や溶剤に関する制限が緩和される点で好ましい。また、反応時間は、使用する単量体等に応じて適宜設定され得るが、1時間以上48時間以下であることが好ましく、3時間以上24以下であることがより好ましい。重合は必要に応じて、連鎖移動剤(例えば、炭素数2~20のアルキルチオール化合物等)の存在下で実施してもよい。製造工程において、特に酸性基を有するモノマーを使用する状況で、反応器の腐食等に起因して金属が混入することが懸念される場合、表面がフッ素系樹脂等でコーティングされた設備を用いて製造することが好ましい。またこの場合、製品等の保管容器について、耐腐食性を有する樹脂製の容器等とすることが好ましい。樹脂製の容器を使用する場合、該容器は、フィラー等の溶解による金属混入が抑制された材質とすることが好ましい。
≪研磨液組成物≫
本発明で提供される研磨液組成物は、少なくとも、前記共重合体(P)および砥粒を含有する。砥粒としては、公知の無機粒子、有機粒子、および、有機無機複合粒子からなる群より選択される少なくとも一種以上の粒子を用いることができる。
無機粒子の具体例としては、酸化セリウム(セリア)、ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、ヒュームドチタニア、コロイダルシリカ等が例示され、有機粒子の具体例としては、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系共重合体、ポリスチレン及びポリスチレン系共重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン及びポリオレフィン系共重合体、フェノキシ樹脂等が例示される。有機無機複合粒子としては、有機成分の官能基と無機成分の官能基が化学的に結合したもの等、研磨液組成物として使用される条件下で分解しない程度に結合又は複合化したものであれば良い。
これらの中でも、アルミナ等に比べて硬度が低く、研磨表面の欠陥発生を抑制できるという利点があるため、酸化セリウムおよび/又はシリカが好ましい。特に、酸化セリウムは、シリカやアルミナ等に比べて高い研磨速度で研磨表面を研磨することができるためより好適である。
前記砥粒の平均粒子径は特に限定されないが、一般に1nm~500nmである。該平均粒子径は、高い研磨速度を確保する観点から、好ましくは2nm以上であり、より好ましくは3nm以上である。平均粒子径の上限については、研磨対象物の表面におけるスクラッチの発生を抑制する観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。なお、本明細書において、砥粒の平均粒子径は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積(m2/g)を用いて算出された一次粒子径である。
前記研磨液組成物における前記砥粒の含有量は、高い研磨速度を実現する観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。前記砥粒の含有量の上限については、研磨対象物の平滑性を良好にする観点から、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。好ましい範囲は、これらの下限と上限を任意に組み合わせて表すことができる。
前記研磨液組成物は、溶剤を含んでいても良い。溶剤は、水系溶剤であることが好ましく、水、又は水とその他の溶剤との混合溶剤等が挙げられる。前記その他の溶剤としては、水と相溶する溶剤が好ましく、例えばエタノール等のアルコールが挙げられる。また、前記研磨液組成物はさらに、本発明の効果を損なわない範囲において、例えば研磨促進剤、pH調整剤、界面活性剤、キレート剤、防食剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
前記共重合体(P)の含有量は、前記共重合体(P)の固形分濃度が、前記研磨液組成物の全量に対して0.001質量%以上となる量とすることが好ましく、1質量%以上となる量とすることがより好ましい。前記共重合体(P)の含有量の上限については、前記共重合体(P)の固形分濃度が、前記研磨液組成物の全量に対して10質量%以下となる量とすることが好ましく、5質量%以下となる量とすることがより好ましい。好ましい範囲は、これらの下限と上限を任意に組み合わせて表すことができる。
前記研磨液組成物は、各成分を公知の方法で混合することにより、通常、スラリー状の混合物として調製される。前記研磨液組成物の25℃における粘度は、研磨対象物や研磨時のせん断速度等に応じて適宜選択することができるが、0.1~10mPa・sの範囲であることが好ましく、0.5~5mPa・sの範囲であることがより好ましい。
前記研磨液組成物は、添加剤として前記共重合体(P)を含有するため、研磨対象の凹凸表面において、凸部(酸化膜)の研磨速度が十分に早く、かつ、ディッシングを大幅に低減することが可能である。
したがって、本発明で提供される研磨液組成物は、半導体素子の製造工程において絶縁膜及び金属配線の少なくともいずれかの表面を平坦化する用途、具体的には、例えばシャロートレンチ分離(STI)作成時の酸化膜(シリコン酸化膜等)の平坦化、銅や銅合金、アルミニウム合金等からなる金属配線の表面の平坦化、層間絶縁膜(酸化膜)の表面の平坦化等の際の研磨液として用いることにより、欠陥の発生が低減され、表面平滑性に優れた絶縁膜及び金属配線を得ることができる点で好適である。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。
実施例及び比較例で使用した重合体の分析方法および製造方法について以下に記載する。
<分子量測定>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(型式名「HLC-8220」、東ソー社製)を用いて、下記の条件よりポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
○測定条件
カラム:東ソー社製TSKgel SuperMultiporeHxL-M×4本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
流速:0.6mL/min
<重合体の質量組成比>
得られた重合体の質量組成比は1H-NMR測定またはガスクロマトグラフィー(GC)より算出したモノマーの反応率をもとに算出した。
1H-NMR測定装置にはBRUKER社製AscendTM400核磁気共鳴測定装置を用い、25℃で、テトラメチルシランを標準物質、重クロロホルムを溶媒として測定を行った。
また、GCには装置としてAgilent 7820A(Agilent Technologies社製)、カラムにVARIAN CP-SIL 5CB(30m×0.32mm、d.f.=3.0μm)、キャリアガスに窒素、検出にFIDを用いて測定を行った。
1. 重合体の合成
<合成例1>
攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた1Lの4つ口ナス型フラスコに、純水150g、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(日油製、以下、「AME-400」ともいう)300g、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(富士フイルム和光純薬工業製、以下、「V-501」ともいう)0.48g、RAFT剤として3-((((1-カルボキシエチル)チオ)カルボノチオイル)チオ)プロパン酸(BORON MOLECULAR社製、以下、「BM1429」ともいう)26.8gを仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、水冷し重合を停止した。AME-400の重合率を1H-NMR測定から決定したところ、95%であった。続いて、アクリル酸エチル(以下、「EA」ともいう)15.6gを加え、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、水冷し重合を停止した。EAの重合率をGC測定から決定したところ、99%であった。得られた水溶性ブロック共重合体(これを「重合体A」とする)の分子量は、GPC測定により、Mn3,030、Mw3,430であり、PDIは1.1であった。
<合成例2~10,12~16,比較合成例2>
仕込み原料を表1~2に示すとおりに変更した以外は合成例1と同様の操作を行い、水溶性ブロック共重合体(重合体B~J、L~P、T)をそれぞれ得た。重合体B~J、L~P、Tの分子量をGPC測定より求めた結果を表1~2に示す。
<合成例11>
攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた1Lの4つ口ナス型フラスコに、純水150g、AME-400を285g、EAを15g、V-501を0.48g、BM1429を25.4g仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。5時間後、水冷し重合を停止した。AME-400の重合率を1H-NMR測定から、EAの重合率をGC測定からそれぞれ決定したところ、99%、99%であった。得られた水溶性共重合体(これを「重合体K」とする)の分子量は、GPC測定により、Mn3,050、Mw3,360であり、PDIは1.1であった。
<合成例17>
攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた1Lの4つ口ナス型フラスコに、純水150g、AME400を300g、V-501を0.48g、BM1429を26.8g仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、水冷し重合を停止した。AME-400の重合率をNMR測定したところ、95%であった。続いて、EA7.8gを加え、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、水冷し重合を停止した。EAの反応率をGCで測定したところ95%であった。続いて、N-tert-ブチルアクリルアミド(以下、「TBAM」ともいう)を7.8g加え、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、水冷し重合を停止した。TBAMの重合率をGC測定から決定したところ、90%であった。得られた水溶性ブロック共重合体(これを「重合体Q」とする)の分子量は、GPC測定により、Mn3,120、Mw3,490であり、PDIは1.1であった。
<合成例18>
攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた1Lの4つ口ナス型フラスコにアセトニトリル100gを加え、75℃に保ち撹拌した。そこにアセトニトリル7.2gに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(富士フイルム和光純薬工業製、以下、「V-65」ともいう)0.10gを溶解させた開始剤溶液を加えた。AME-400 410gとEA22gのモノマー混合液と、3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル(以下、「MPMB」とも言う)50gをアセトニトリル64gに溶解してなる連鎖移動剤溶液を、それぞれフラスコへ3時間かけて供給した。モノマー混合液、連鎖移動剤溶液と同時に、V-65 0.40gをアセトニトリル40gに溶解してなる開始剤溶液をフラスコへ5時間かけて供給した。開始剤溶液の供給終了後、さらに1.5時間加熱撹拌した。その後水冷し重合を停止した。その後、エバポレーターで脱溶剤した。AME-400の重合率を1H-NMR測定から決定したところ、99%であった。得られた水溶性重合体(これを「重合体R」とする)の分子量は、GPC測定により、Mn2,700、Mw5,940であり、PDIは2.2であった。
<比較合成例1>
仕込み原料を表2に示すとおりに変更した以外は合成例11と同様の操作を行い、水溶性重合体Sを得た。重合体Sの分子量をGPC測定より求めた結果を表2に示す。
Figure 2023072853000001
Figure 2023072853000002
表1~4の詳細は以下のとおりである。
AME-400:メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(n=9)(日油製、商品名:ブレンマーAME-400)
PME-400:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=9)(日油製、商品名:ブレンマーPME-400)
MTG-A:メトキシトリエチレングリコールアクリレート(共栄社化学製、商品名:ライトアクリレートMTG-A)
AM-230G:メトキシポリエチレングリコールアクリレート(n=23)(新中村化学工業製、商品名:NKエステルAM-230G)
AE-400:ポリアルキレングリコールモノアクリレート(n=10)(日油製、商品名:ブレンマーAE-400)
EA:アクリル酸エチル
ACMO:N-アクリロイルモルホリン
AA:アクリル酸
V-501:4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(富士フイルム和光純薬工業製)
V-65:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(富士フイルム和光純薬工業製)
BM1429:3-((((1-カルボキシエチル)チオ)カルボノチオイル)チオ)プロパン酸(BORON MOLECULAR製)
MPMB:3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル
BA:アクリル酸n-ブチル
MA:アクリル酸メチル
HexA:アクリル酸n-ヘキシル
TBAM:N-tert-ブチルアクリルアミド
XL-80:ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(第一工業製薬製、商品名:ノイゲンXL-80)
2.測定及び評価
<実施例1>
重合体Aを固形分濃度0.5質量%で含む重合体水溶液500部を調製した。つぎに、コロイダルセリアの水分散液(NYACOL製、商品名: NYACOL80/10、 粒子濃度10%、平均粒子径80nm)500部を撹拌しながら、先に調製した重合体水溶液を加え、研磨液組成物を得た。
<実施例2~18、比較例3~5>
重合体Aを表3~4に示した重合体に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、研磨液組成物を得た。
<実施例19>
重合体Aを固形分濃度0.5質量%で含む重合体水溶液500部を調製した。つぎに、コロイダルシリカの水分散液(扶桑化学工業製、商品名:クォートロンPL-7、 粒子濃度23%、平均粒子径75nm)500部を撹拌しながら、先に調製した重合体水溶液加えた後、28%アンモニア水でpH9に調整し研磨液組成物を得た。
<比較例1>
コロイダルセリアの水分散液(NYACOL製、商品名: NYACOL80/10、 粒子濃度10%、平均粒子径80nm)500部を撹拌しながら、純水500部を加え、研磨液組成物を得た。
<比較例2>
コロイダルシリカの水分散液(扶桑化学工業製、商品名:クォートロンPL-7、 粒子濃度23%、平均粒子径75nm)500部を撹拌しながら、純水500部を加えた後、28%アンモニア水でpH9に調整し研磨液組成物を得た。
上記の方法で調製した各研磨液組成物を用い、以下の条件で研磨試験を実施した。
<研磨条件>
研磨試験機:ケメットジャパン製、商品名:MAT-ARW-CMS
研磨パッド:ロデール・ニッタ製、商品名:IC-1000/Sub400
プラテン回転数:60rpm キ ャリア回転数:61rpm
研磨液供給量:150(g/min)
研磨圧:1、3、5 (psi)
<RR測定/評価方法>
ブランケットウエハ被研磨材として4インチシリコン基板上に1.4μmの酸化ケイ素をCVD成膜したもの(ブランケットウエハ)を用いて、上記研磨条件で1分間研磨し、研磨前後の残存膜厚差から研磨速度(RR)(nm/min)を求めた。なお残存膜厚の測定は光干渉式膜厚計を用いた。
各研磨液組成物のRRについて、実施例1~18及び比較例3~5の研磨液組成物のRRは比較例1の研磨液組成物のRRとの比、実施例19の研磨液組成物のRRは比較例2の研磨液組成物のRRとの比(それぞれ3psiのとき)で評価した。RRの評価基準は以下の通りとした。(比較例1~2のRRをRRa、実施例1~19及び比較例3~5の研磨液組成物のRRをRRbとし、RRb/RRaの計算値を表3~4に示した。)なお、比較例1~2の研磨液組成物はRRb/RRa=1.00とした。続いて、ディッシング低減性能について、1psiのRR(RR1)と3psiのRR(RR3)、RR1と5psiのRR(RR5)の比(RR3/RR1、RR5/RR1)を以下の基準により評価した。RR、ディッシング低減性能の両基準△以上を満たした場合、合格とした。
<RRの評価基準>
◎:RRb/RRa≧0.85
○:0.85>RRb/RRa≧0.70
△:0.70>RRb/RRa≧0.50
×:RRb/RRa<0.50
<ディッシング低減性能の評価基準>
◎:RR3/RR1≧4.0、かつRR5/RR1≧7.0
○:4.0>RR3/RR1>3.5、又は7.0>RR5/RR1>6.5
△:3.5≧RR3/RR1>2.8、又は6.5≧RR5/RR1>5.0
×:RR3/RR1≦2.8、かつRR5/RR1≦5.0
<評価結果>
各実施例の研磨液組成物を用いて行ったブランケットウエハの研磨において、各研磨圧でのRR(RR1、RR3、RR5)、RRの評価指標であるRRb/RRa値、ディッシング低減性能の評価指標であるRR3/RR1、RR5/RR1の値を表3~4に示す。
低研磨圧時はRRが抑制され、高研磨圧時は高いRRを示す性質のある研磨液組成物は、RRを低下させずパターンウエハのディッシングを低減した良好な研磨面を得ることができる。
実施例の各研磨液組成は、ともに、低研磨圧時のRRは抑制され、高研磨圧時には高いRRを示しており、RR3/RR1、RR5/RR1は大きくなった。また、RR3の低下が小さいためRRb/RRaも大きくなった。これに対し、比較例1、2の添加剤を加えない場合は、研磨圧にほぼ比例したRRとなった。比較例3では高研磨圧時に高いRRを示したものの、低研磨圧時のRRの抑制が小さいためディッシング低減性能としては不十分であった。比較例4、5では全研磨圧でRRが大きく抑制され、RR・ディッシング低減性能ともに合格基準を満たさなかった。
Figure 2023072853000003
Figure 2023072853000004

Claims (10)

  1. 共重合体(P)を含む化学機械研磨用の添加剤であって、
    前記共重合体(P)は、下記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の75~99質量%であり、
    CH2=CR1-C(=O)O-(LO)n-R2 …(1)
    (ただし、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基であり、Lは炭素数4以下のアルキレン基であり、nは3~150の整数である。)
    かつ、下記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が前記共重合体(P)全体の1~25質量%であることを特徴とする、添加剤。
    CH2=CR1-C(=O)OR3 …(2)
    (ただし、式(2)中、R1は水素原子又はメチル基である。R3は炭素数1~6の炭化水素基である。)
  2. 前記共重合体(P)の重量平均分子量が1,000~100,000である、請求項1に記載の添加剤。
  3. 前記共重合体(P)に含まれる構造単位の内、官能基としてカルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルホン酸基、及び/又は、これらの塩を含む単量体に由来する構造単位の含有量が合計で、前記共重合体(P)全体の0~0.6質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の添加剤。
  4. 前記式(2)で表されるビニル単量体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、及び/又は、アクリル酸n-ブチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の添加剤。
  5. 前記共重合体(P)の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwとの比で表される分子量分散度(Mw/Mn)が2.0以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の添加剤。
  6. 前記重合体(P)がブロック重合体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の添加剤。
  7. 前記共重合体(P)は、重合体ブロックAと重合体ブロックBとを含有し、
    前記重合体ブロックAは、前記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位UAを有し、
    前記重合体ブロックBは、前記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位UBを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の添加剤。
  8. 前記共重合体(P)の前記重合体ブロックAと前記重合体ブロックBとの比率(A/B)が、質量比で80/20~99/1である、請求項7に記載の添加剤。
  9. 絶縁層及び配線層のうち少なくともいずれかの表面平坦化に用いられる化学機械研磨用の研磨液組成物であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の添加剤と、酸化セリウム及び/又はシリカとを含有する、研磨液組成物。
  10. 共重合体を含む化学機械研磨液用添加剤の製造方法であって、
    前記共重合体は、下記式(1)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が共重合体全体の75~99質量%であり、
    CH2=CR1-C(=O)O-(LO)n-R2 …(1)
    (ただし、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基であり、Lは炭素数4以下のアルキレン基であり、nは3~150の整数である。)
    かつ、下記式(2)で表されるビニル単量体に由来する構造単位の含有量が共重合体全体の1~25質量%である、共重合体を、リビングラジカル重合法により製造する工程を経ることを特徴とする製造方法。
    CH2=CR1-C(=O)OR3 …(2)
    (ただし、式(2)中、R1は水素原子又はメチル基である。R3は炭素数1~6の炭化水素基である。)
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