JP2023072541A - 固定構造 - Google Patents

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達也 内田
Tatsuya Uchida
達哉 中村
Tatsuya Nakamura
▲テツ▼銘 許
Tesming Xu
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Abstract

【課題】防振性に優れる樹脂製の取付具を提供する。【解決手段】第1取付孔が設けられた電子基板と内側にめねじ構造を有する第2取付孔が設けられた基体と樹脂製の取付具とを備え、前記取付具は頭部と前記頭部から延設されて前記第2取付孔に圧入される脚部と前記脚部から延設された弾性ひれとを有し、前記脚部は550Nの力で前記第2取付孔から引き抜くことができる固定構造。【選択図】図1

Description

本発明は、防振性に優れた固定構造に関するものである。
近年、電子機器の機能向上に伴い、電子機器内に搭載される電子基板には、より高精度な精密部品が多数搭載されるようになっている。そうした電子機器の製造には、品質の安定性や滞りなく供給することが求められており、製造工程の一つとして、電子基板を基体に固定する工程では、金属製のネジやビス等を用いることが一般的であった(例えば、特許文献1)。
特許第5936313号公報
しかし、金属製のネジやビス等を用いた従来の固定構造では、外部から加えられた衝撃や振動のエネルギーが減衰されることなく、あるいは場合により増幅されて電子基板に伝達してしまい、製造時や製品使用時に不具合が発生してしまう等の問題があった。電子基板を基体に固定する工程では、金属製のネジやビス等の取付具を用いた確実な固定方法が用いられてきたが、外部から加えられる衝撃や振動への対策は行われていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、外部から加えられる衝撃や振動のエネルギーを抑制し、電子基板に伝達しない固定構造を提供することにある。
前記課題を解決した本発明の固定構造は、少なくとも1つ以上の第1取付孔が設けられた電子基板と、内側にめねじ構造を有する少なくとも1つ以上の第2取付孔が設けられた基体と、前記電子基板を前記基体に固定するための樹脂製の取付具とを備える。前記取付具は、少なくとも第1取付孔の内径よりも大きな外径を有する頭部と、前記頭部から一方向に延設されて前記第2取付孔に圧入可能な軸状の脚部とを有し、前記脚部には軸表面を起点とした延設方向と前記脚部の圧入方向とのなす角が鈍角となる複数の弾性ひれが形成される。前記脚部は、前記弾性ひれが弾性変形することにより前記第2取付孔へ圧入することができ、前記弾性変形の復元により前記弾性ひれが前記めねじ構造に引っかかることで前記第2取付孔に固定することができる。また、本発明の固定構造は、前記頭部を550Nの力で引っ張ることで、固定されている前記脚部を前記第2取付孔から離脱可能に構成される。
なお本発明は、更に以下のような構成あるいは特性を備えていてもよい。
前記電子基板と前記基体との間に配置され、前記脚部が貫通可能な第3取付孔を有するエラストマー部材が備えられていてもよい。前記エラストマー部材は円筒形状をしており、前記第3取付孔の直径は、3~9mmであり、前記エラストマー部材の外径は、5~20mmであり、前記エラストマー部材の円筒軸方向の厚みは、1~6mmであってもよい。前記取付具はポリアミド樹脂からなり、前記エラストマー部材は、スチレン系エラストマーまたはアクリル系エラストマーと、パラフィン系プロセスオイルと、オレフィン系樹脂と、有機過酸化物からなる架橋剤と、架橋助剤と、酸化防止剤と、高級脂肪酸で処理された水酸化マグネシウムとを備え、前記スチレン系エラストマーまたは前記アクリル系エラストマー100質量部に対し、前記パラフィン系プロセスオイルを400~485質量部と、前記オレフィン系樹脂を9~13質量部と、前記架橋剤を5~7質量部と、前記架橋助剤を13~16.9質量部と、前記酸化防止剤を3~4質量部と、前記水酸化マグネシウムを15~25質量部とをそれぞれ配合し、前記エラストマー部材のJIS A硬度が、前記スチレン系エラストマーを配合した場合は0~37であり、前記アクリルエラストマーを配合した場合は32~64であってもよい。前記エラストマー部材は、前記電子基板と前記取付具の頭部との間にも配置されていてもよい。
本発明は、取付具の脚部を電子基板の第1取付孔および基体の第2取付孔に対してそれぞれ貫通および圧入することにより、電子基板を基体に固定することができる構造である。軸状の取付具の脚部が第1取付孔を貫通して第2取付孔に圧入される際、脚部の軸表面を起点として延設される方向と脚部の圧入方向とのなす角が鈍角となるように形成された複数の弾性ひれは、その先端が前記軸表面に近づくように弾性変形する。それにより、取付具の脚部を第1取付孔および第2取付孔に対してそれぞれ貫通および圧入することができる。また、第1取付孔および第2取付孔への貫通および圧入後には、弾性変形した弾性ひれは、貫通および圧入前の形状に復元しようとする。この形状復元により、弾性ひれの先端が第2取付孔の内側のめねじ構造に引っかかる。そのため、取付具が強い力で引っ張られない限り、取付具が第1取付孔および第2取付孔から引き抜かれることはなく、電子基板が基体に取り付けられた状態を維持することが可能となる。この一連の弾性変形および復元による固定方法は、取付具を電子基板および基体の各取付孔に対して圧入するだけで容易に、かつ安定的に行うことができる。
本発明の固定構造は、上述のような取付具を用いているので、金属製のネジやビス等を用いた従来の固定構造とは異なり、第2取付孔のめねじ構造に対し、取付具の脚部の弾性ひれが引っかかることで固定されている。そのため、取付具を強い力で引っ張ることにより、電子基板および基体に取り付けられている取付具を抜き取ることもできる。
本発明の固定構造では、金属製のネジやビス等を用いた従来の固定構造と比較して、第2取付孔の内壁と取付具の脚部あるいは弾性ひれとの間隙が大きく存在している。詳細は不明だが、外部から衝撃や振動が加えられた際には、この間隙内で取付具の脚部あるいは弾性ひれが揺動し、取付具と第2取付孔の内壁との接触箇所では摩擦が発生すると考えられる。本発明の固定構造においては、このような取付具の揺動や摩擦が、防振効果に対して良好な影響を与えているのではないかと考えられる。
実施形態1における、取付具、電子基板、基体およびエラストマー部材の状態を示す断面模式図である。 図2Aは第2取付孔のめねじ構造を示す図である。図2Bは取付具の構造を示す図である。 実施形態1と、実施形態1の取付具を従来の金属製の物(金属ねじ)にした場合との防振効果を比較したグラフである。 実施形態1における、エラストマー部材の厚みを変えた振動試験結果を比較したグラフである。 実施形態2における、取付具、電子基板および基体の状態を示す断面模式図である。 実施形態2と、実施形態2の取付具を金属製の取付具(金属ねじ)にした場合との振動試験結果を比較したグラフである。 変形例1における、取付具、電子基板、基体およびエラストマー部材の状態を示す断面模式図である。 変形例2における、取付具、電子基板および基体の状態を示す断面模式図である。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1における、取付具、電子基板、基体およびエラストマー部材の状態を示す断面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の固定構造1は、電子基板3と、基体5と、エラストマー部材7と、取付具9とを備える。電子基板3は第1取付孔31を有し、基体5は第2取付孔51を有する。第2取付孔51は、その内側にめねじ構造を有する。エラストマー部材7は、電子基板3と基体5との間に配置され、第3取付孔71を有する。取付具9は、脚部91と頭部93とを有し、脚部91の軸表面には弾性ひれ91Aが形成されている。
本発明で使用されるエラストマー部材の基材の1つとして選択されるスチレン系エラストマーは、例えば、ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレンブロックコポリマー(SEEPS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)-ポリスチレンブロックコポリマー(SEPS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)-ポリスチレンブロックコポリマー(SEBS)、ポリスチレン-ポリブタジエンブロックコポリマー(SBC)、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンブロックコポリマー(SIS)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用されても良い。
上市されているスチレン系エラストマー(例えば、SEEPS)としては、商品名「セプトン4055」(株式会社クラレ製)、商品名「セプトン4077」(株式会社クラレ製)、商品名「セプトン4099」(株式会社クラレ製)等が挙げられる。
本発明で使用されるエラストマー部材の基材の1つとして選択されるアクリル系エラストマーは、1種又は2種以上の(メタ)アクリレートを重合してなるアクリル系重合体と、1種又は2種以上の(メタ)アクリレートとを少なくとも含む組成物である。(メタ)アクリレートは、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、i-ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレート、i-デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、i-ミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、i-ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アクリル系エラストマーは、アクリル系重合体と共に、モノマーとしての(メタ)アクリレートも含んでいる。また、モノマーとしての(メタ)アクリレートを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用されても良い。
上市されているアクリル系エラストマーとしては、商品名「アクリキュアー(登録商標)」(株式会社日本触媒製;HD-Aシリーズ)等が挙げられる。
本発明で使用されるパラフィン系プロセスオイルは、エラストマー部材を構成する主材料の1つであり、エラストマー部材に柔軟性等を付与する。パラフィン系プロセスオイルとしては、例えば、動粘度(40℃)が300~400mm/sのものが使用される。
本発明で使用されるオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類の単独重合体もしくは共重合体、又はこれらのオレフィン類と共重合可能な単量体成分との共重合体からなる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用されても良い。
本発明で使用されるオレフィン系樹脂は、エラストマー部材100質量部に対して、9~13質量部の割合で配合される。オレフィン系樹脂の配合量が多すぎると、混錬性(離型性)等が失われる虞がある。また、オレフィン系樹脂の配合量が少なすぎると、耐熱性等の特性が失われる虞がある。
本発明で使用される架橋剤は、有機過酸化物からなり、所定の温度以上に加熱されるとラジカルを発生してエラストマー同士を部分的に架橋させるものである。架橋剤としては、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α-ビス(t-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキシン-3、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゼン、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエイト等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用されても良い。
架橋剤は、エラストマー部材100質量部に対して、5~7質量部の割合で配合される。架橋剤の配合量が多すぎると、エラストマー部材が硬くなりすぎて成形することができない虞がある。また、架橋剤の配合量が少なすぎると、耐熱性等の特性が失われる虞がある。
本発明で使用される架橋助剤は、架橋剤と併用され、エラストマー部材同士の架橋を促す等の機能を備える。架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N‘-m-フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5-トリス(2,3,3-トリフルオロ-2-プロペニル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン)、トリス(ジアリルアミン)-S-トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N-ジアリルアクリルアミド、1,6-ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’-テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’-テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6-トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5-ノルボルネン-2-メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイト等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用されても良い。
架橋助剤は、エラストマー部材100質量部に対して、13~15質量部の割合で配合される。架橋助剤の配合量が多すぎると、成形性等が損なわれる虞がある。また、架橋助剤の配合量が少なすぎると、耐熱性等の特性が損なわれる虞がある。
本発明で使用される酸化防止剤は、架橋剤等と併用され、エラストマー部材の酸化を抑制する機能を備える。また、酸化防止剤は、エラストマー部材の架橋量を調節等の機能を備える。酸化防止剤としては、例えば、構造中にフェノール系水酸基を含有するフェノール系酸化防止剤を使用することができ、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤は、エラストマー部材100質量部に対して、3~4質量部の割合で配合される。酸化防止剤の配合量が多すぎると、エラストマー部材の架橋が十分に形成されず、耐熱性等が損なわれる虞がある。また、酸化防止剤の配合量が少なすぎると、エラストマー部材にオイルブリード等の不具合が発生する虞がある。
本発明で使用される水酸化マグネシウムは、高級脂肪酸で表面処理(コーティング処理)されたものからなる。水酸化マグネシウムをコーティングしている高級脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。また、水酸化マグネシウムの粒径については、レーザー回折法等で求められる中央値(D50)で0.5~1.5μmが好ましい。
水酸化マグネシウムは、エラストマー部材100質量部に対して、15~25質量部の割合で配合される。水酸化マグネシウムの配合量が多すぎると、エラストマー部材の圧縮永久歪値が高くなり、硬度も高くなってしまう。また、水酸化マグネシウムの配合量が少なすぎると、エラストマー部材にオイルブリード等の不具合が発生する虞がある。
エラストマー部材は、本発明の目的を損なわない限り、他の成分が配合されていても良い。他の成分として、例えば、着色剤(顔料、染料)、カーボンブラック、導電性フィラー、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、防腐剤、溶剤等が挙げられる。
本発明で使用されるエラストマー部材のJIS A硬度は、スチレン系エラストマーを基材とした場合は0~37、アクリル系エラストマーを基材とした場合は32~64の範囲にあることが好ましい。JIS A硬度がこのような値であると、エラストマー部材は変形して取付具の脚部の隙間に入り込みやすく、より好適な防振効果を得ることができる。
[JIS A硬度の測定]
本発明で使用されるエラストマー部材について、JIS A硬度を測定するために、シート状の試験サンプルを用意した。その試験サンプルに対し、23±3℃の条件下で、アスカーゴム硬度計A型(高分子計器株式会社製)を用いて、JIS K 6253-3に準拠したJIS A硬度の測定を行った。
図2Aおよび図2Bは、各部の寸法名称を示す概念図である。
本発明においては、図2Aに示すように、めねじ構造の狭くなっている径を「内径」とし、広くなっている径を「谷の径」と規定する。また、図2Bに示すように、取付具9の脚部91の径を「外径」と規定する。
取付具9の脚部91を第2取付孔51に圧入および固定する際には、弾性ひれ91Aが機能する。圧入前の脚部91の外径は、第2取付孔51よりも大きくなっているが、脚部91を第2取付孔51に押し込むことで、弾性ひれ91Aが弾性変形し、脚部91の外径が圧入可能になるまで縮小する。また、脚部91が第2取付孔51に圧入された後には、弾性変形していた弾性ひれ91Aが元の形状に復元しようとする。その形状復元により、弾性ひれ91Aが第2取付孔51の内壁に加圧接触して引っかかるため、脚部91は第2取付孔51に固定される。
[引張圧縮試験]
取付具9の脚部91が電子基板3の第1取付孔31を貫通し、第2取付孔51に圧入および固定された本発明の実施形態1の固定構造1に対し、引張圧縮試験機(ミネベアミツミ株式会社製;TCM-50)を用いて、圧入および固定された取付具9の頭部93を引っ張り、脚部91を第2取付孔51から抜き取ることができる力(離脱力)を測定した。なお、測定時の条件は、室温25℃、湿度45%RH、引張速度10mm/minであった。
引張圧縮試験の結果、取付具9は458~541Nの力で頭部93を引っ張ることにより、脚部91を第2取付孔51から完全に抜き取ることができた。なお、取付具9の替わりとして、従来の金属製の取付具を用いた固定構造に対しても同様の試験を行ったが、458~541Nの力では、金属製の取付具の脚部を第2取付孔51から抜き取ることはできなかった。すなわち、取付具9は金属製の取付具よりも弱い力で固定されていることがわかった。
[振動試験(防振効果の測定)]
取付具9の防振効果は、全自動振動試験機(エミック株式会社製;F-300BM/A)を用いて測定した。より具体的には、基体5を全自動振動試験機の加振装置とし、電子基板3を加振装置に取り付ける取付板とし、加振装置に対して取付板を取付具9により固定した。取付板の加振装置とは反対側の面上には加速度計が設置され、加振装置により加えられた振動が、周波数に対して取付板にどれだけ伝達するかという振動伝達係数を測定することができる。なお、取付板は600gの物を使用した。
振動伝達係数とは、加振装置により加えられる振動を1としたとき、取付板に伝達する振動の比を表したものである。振動伝達係数が1を超える場合は、加振装置により加えられた振動が増幅されて取付板に伝達されることを示す。逆に、振動伝達係数が1未満である場合は、伝達途中でエネルギー損失が起こり、加振装置により加えられた振動が抑制されて取付板に伝達されることを示す。
図3は、本発明の実施形態1と、実施形態1の取付具を従来の金属製の取付具(金属ねじ)にした場合との振動試験の結果を比較したグラフである。
図3に示す振動試験は、電子基板3と基体5とに挟まれるエラストマー部材7の厚さを5mmにして行った。図3に示すように、実施形態1は、従来の金属ねじを用いた場合と比較して、共振周波数(振動伝達率が1を大きく超えるピークの周波数)が低周波側にシフトすることがわかった。
振動対策が必要となる周波数帯域は電子機器やその使用状況によって様々だが、その周波数帯域において、電子機器に与えられた衝撃や振動のエネルギーが増幅することは避ける必要がある。その点で、図3に示すように、従来の金属ねじを用いた場合は約300~400Hzの周波数帯域で発生するピークの振動伝達係数が1以上となり、加えられた振動エネルギーが増幅してしまうことがわかる。それに対し、固定構造1では、約90Hz以上の周波数帯域において、特定周波数帯域でのエネルギーの増幅もなく、振動伝達係数を1以下に抑制できるため、幅広い周波数帯域の様々な電子機器に対して安定的な防振効果を得ることができる。なお、取付板の質量を変更して測定した結果、2kg以下の取付板であれば所期の防振効果を得ることができた。
図4は、本発明の実施形態1における、エラストマー部材の厚みを変えた振動試験結果を比較したグラフである。
図4に示すように、電子基板3と基体5との間に配置されるエラストマー部材7は、厚いほど防振効果は高くなる傾向があるとわかった。
実施形態1では、エラストマー部材の厚みを5mmにした場合までしか実験を行っていないが、図4で示されるように、ある程度までエラストマー部材が分厚いほど良好な防振効果が得られると予想できる。ただし、例えばエラストマー部材の厚みが4mmの場合と、エラストマー部材の厚みが5mmの場合とを比較しても、それらの防振効果には大きな違いは見られない。そのため、エラストマー部材は無制限に分厚ければ良いというわけではなく、本発明の固定構造では、エラストマー部材の厚みが8mm程度まで、より好ましくは6mmまでであれば、良好な防振効果を得ることができると予想される。
[実施形態2]
図5は、本発明の実施形態2における、取付具、電子基板および基体の状態を示す断面模式図である。
図5は、電子基板3と基体5との間にエラストマー部材を配置せず、電子基板3と基体5とが接した状態の固定構造を示している。図5に示す実施形態2は、エラストマー部材7が配置されていないことだけが実施形態1と異なる。
図6は、本発明の実施形態2と、実施形態2の取付具を金属製の取付具(金属ねじ)にした場合との振動試験結果を比較したグラフである。
図6は、本発明の固定構造においては、実施形態1よりは防振効果(振動伝達係数の値)が小さいものの、エラストマー部材を配置せず、取付具9だけを使用した固定構造であっても、防振効果は得られることを示す。
本発明の実施形態1および2は、金属ねじを用いた固定構造と比較すると、取付具9の脚部91と第2取付孔51の内壁との間の間隙が大きく存在している。また、本発明の実施形態1および2においては、脚部91の各弾性はね91Aの先端が第2取付孔51の内壁と接していると考えられる。そのため、取付具9に対して衝撃や振動が加わった際には、前記弾性はね91Aの先端と第2取付孔51の内壁とが擦れ、主にはその摩擦力により防振効果が得られていると考えられる。本発明の固定構造は、金属ねじを用いた固定構造と比較して、摩擦力が大きくなりやすい構造であるため、より高い防振効果が得られると考えられる。
エラストマー部材7は、そのJIS A硬度が、スチレン系エラストマーを基材とした場合は0~37、アクリル系エラストマーを基材とした場合は32~64であり、柔軟性の高い物質である。そのため、取付具9の脚部91が第3取付孔71を貫通する際には、前記脚部91が有する複数の弾性ひれ91Aの間に存在する隙間に対し、前記エラストマー部材7の一端が変形して入り込むと考えられる。このような構造の場合、衝撃や振動が伝達される部材に対して前記エラストマー部材7の接触面積が増加するため、より好適な防振効果を得ることができる。
図7は、本発明の変形例1における、取付具、電子基板、基体およびエラストマー部材の状態を示す断面模式図である。
図7は、エラストマー部材を電子基板3と基体5との間に配置するだけでなく、取付具9の頭部93と電子基板3との間にも配置した状態の固定構造を示す。図7の電子基板3よりも上側に配置されるエラストマー部材を上部エラストマー7A、下側に配置されるエラストマー部材を下部エラストマー7Bとして、電子基板3に対し、上下面からの防振効果を期待することができる。また上部エラストマー7Aの厚さと、下部エラストマー7Bの厚さとを適宜調整することにより、より様々な周波数帯域での防振効果を期待することができる。
図8は、本発明の変形例2における取付具、電子基板および固定部材の状態を示す断面模式図である。
図8は、電子基板3に設けられる第1取付孔31に、めねじ構造をもつ金属カラー33が埋め込まれた状態での固定構造を示す。図8に示す構造の場合、取付具9は、第2取付孔51に加え、第1取付孔31に埋め込まれた金属カラー33のめねじ構造でも脚部91が固定される。そのため、取付具9により、エラストマー部材7を配置しない場合でも、電子基板3と基体5とを接しさせることなく固定することが可能になる。
以上では、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。また、例えば、上記実施形態における各構成要素の形状、材料、配置、寸法などは、本発明の具体的な使用態様によって適宜変更され得る。
1…固定構造、3…電子基板、5…基体、7…エラストマー部材、7A…上部エラストマー、7B…下部エラストマー、9…取付具、31…第1取付孔、33…金属カラー、51…第2取付孔、71…第3取付孔、91…脚部、91A…弾性ひれ、93…頭部。

Claims (5)

  1. 少なくとも1つ以上の第1取付孔が設けられた電子基板と、
    内側にめねじ構造を有する少なくとも1つ以上の第2取付孔が設けられた基体と、
    前記電子基板を前記基体に固定するための樹脂製の取付具と
    を備え、
    前記取付具は、
    少なくとも第1取付孔の内径よりも大きな外径を有する頭部と、
    前記頭部から一方向に延設されて前記第2取付孔に圧入可能な軸状の脚部と
    を有し、
    前記脚部には軸表面を起点とした延設方向と前記脚部の圧入方向とのなす角が鈍角となる複数の弾性ひれが形成され、
    前記脚部は、前記弾性ひれが弾性変形することにより前記第2取付孔に圧入することができ、前記弾性変形の復元で前記弾性ひれが前記めねじ構造に引っかかることにより前記第2取付孔に固定することができ、
    前記頭部を550Nの力で引っ張ることで、固定されている前記脚部を前記第2取付孔から離脱可能に構成される固定構造。
  2. 前記電子基板と前記基体との間に配置され、前記脚部が貫通可能な第3取付孔を有するエラストマー部材を備える請求項1に記載の固定構造。
  3. 前記エラストマー部材は円筒形状をしており、
    前記第3取付孔の直径は、3~9mmであり、
    前記エラストマー部材の外径は、5~20mmであり、
    前記エラストマー部材の円筒軸方向の厚みは、1~6mmである請求項2に記載の固定構造。
  4. 前記取付具は、ポリアミド樹脂からなり、
    前記エラストマー部材は、スチレン系エラストマーまたはアクリル系エラストマーと、パラフィン系プロセスオイルと、オレフィン系樹脂と、有機過酸化物からなる架橋剤と、架橋助剤と、酸化防止剤と、高級脂肪酸で表面処理された水酸化マグネシウムとを備え、
    前記スチレン系エラストマーまたはアクリル系エラストマー100質量部に対し、
    前記パラフィン系プロセスオイル400~485質量部と、
    前記オレフィン系樹脂9~13質量部と
    前記架橋剤5~7質量部と、
    前記架橋助剤13~16.9質量部と、
    前記酸化防止剤3~4質量部と、
    前記水酸化マグネシウム15~25質量部とをそれぞれ配合し、
    前記エラストマー部材のJIS A硬度が、スチレン系エラストマーを配合した場合は0~37であり、アクリル系エラストマーを配合した場合は32~64である請求項2又は請求項3に記載の固定構造。
  5. 前記エラストマー部材が、前記電子基板と前記取付具の頭部との間にも配置される請求項2~4のいずれか一項に記載の固定構造。
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