JP2018016766A - アクリルゴム組成物及び弾性部材 - Google Patents

アクリルゴム組成物及び弾性部材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れると共に、耐寒性、難燃性等に優れる弾性部材を製造するためのアクリルゴム組成物の提供。
【解決手段】本発明のアクリルゴム組成物は、ガラス転移温度が−35℃以下であり、架橋点を有するアクリルゴム100質量部と、金属水酸化物からなる難燃剤125〜175質量部と、ポリエーテルエステル系可塑剤7〜13質量部と、架橋剤0.1〜5.0質量部と、架橋助剤0.1〜10質量部とを有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリルゴム組成物及び弾性部材に関する。
架橋剤で架橋されたアクリルゴムを主成分とし、適度な柔らかさ(弾性)を備えた弾性部材が知られている(例えば、特許文献1)。この種の弾性部材は、耐熱性を備えており、例えば、振動エネルギーを熱エネルギーとして吸収する制振性材料等として利用されている。
特開2005−187772号公報
近年、前記弾性部材に対する更なる性能の向上が求められている。具体的には、前記弾性部材の耐寒性、難燃性等の向上が求められている。しかしながら、耐熱性を維持しつつ、前記弾性部材の耐寒性、及び難燃性等を向上させることは難しく、問題となっていた。
本発明の目的は、耐熱性に優れると共に、耐寒性、難燃性等に優れる弾性部材、及び前記弾性部材を製造するためのアクリルゴム組成物を提供することである。
本発明に係るアクリルゴム組成物は、ガラス転移温度が−35℃以下であり、架橋点を有するアクリルゴム100質量部と、金属水酸化物からなる難燃剤125〜175質量部と、ポリエーテルエステル系可塑剤7〜13質量部と、架橋剤0.1〜5.0質量部と、架橋助剤0.1〜10質量部とを有する。
前記アクリルゴム組成物において、前記アクリルゴムは、前記架橋点としてカルボキシル基を含有することが好ましい。
前記アクリルゴム組成物において、前記架橋剤が、脂肪族アミン化合物からなり、前記架橋助剤が、グアニジン化合物からなることが好ましい。
前記アクリルゴム組成物において、前記難燃剤が、水酸化アルミニウムからなることが好ましい。
前記アクリルゴム組成物において、前記難燃剤の平均粒子径が、5μm〜15μmであることが好ましい。
また、本発明に係る弾性部材は、上記何れかに記載のアクリルゴム組成物の架橋物からなる。
本発明によれば、耐熱性に優れると共に、耐寒性、難燃性等に優れる弾性部材、及び前記弾性部材を製造するためのアクリルゴム組成物を得ることができる。
〔アクリルゴム組成物〕
本実施形態のアクリルゴム組成物は、主として、アクリルゴム、難燃剤、可塑剤、架橋剤、架橋助剤を含有する。
アクリルゴムとしては、ガラス転移温度が−35℃以下(好ましくは−40℃以下)のものが使用される。また、アクリルゴムとしては、架橋剤及び架橋助剤を利用して架橋される架橋点を有するものが使用される。具体的には、架橋性基(架橋点)を有するアクリルゴム(例えば、カルボキシル基を含有するアクリルゴム)が使用される。
このようなアクリルゴムは、例えば、少なくとも1種以上の(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するカルボキシル基含有モノマーと含むモノマー組成物の重合体からなる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートとアクリレートを意味する。
前記(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキル(メタ)アクリレーとしては、例えば、炭素数が1〜18(好ましくは、炭素数が1〜8、より好ましくは1〜4)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。このようなアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、i−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、i−ミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、i−ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、前記アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、アルコシキ基の炭素数が1〜4であり、アルキル基の炭素数が1〜4のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。このようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、前記カルボキシル基含有モノマーとしては、カルボキシル基を有し、前記(メタ)アクリレートと共重合可能であれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、及びそれらのモノアルキルエステル等が挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有モノマーの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー)も、カルボキシル基含有モノマーとして用いることが可能である。
前記アクリルゴムを製造するために利用される全モノマー成分のうち、前記カルボキシル基含有モノマーは、例えば、1〜20質量%(好ましくは5〜15質量%)の割合で含まれる。
前記アクリルゴムの重合は、公知の手法(例えば、乳化重合法、懸濁重合法、バルク重合法、溶液重合法)を利用することが可能であり、また、重合に利用される開始剤、溶剤等も公知のものの中から適宜、選択して使用される。
前記難燃剤は、主として、難燃性を付与するために利用されるものであり、粒子状の金属水酸化物からなる。金属水酸化物としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウムが利用される。なお、水酸化アルミニウムとしては、特に、可溶性ナトリウム量が100ppm以下である低ソーダ水酸化アルミニウムが好ましい。本明細書において、可溶性ナトリウム量とは、低ソーダ水酸化アルミニウムと水とを接触させた時に水中へ溶解するナトリウムイオン(Na)の量である。
難燃剤の平均粒径は、例えば、5μm〜15μmが好ましい。
アクリルゴム組成物における難燃剤の配合量は、アクリルゴム100質量部に対して、125〜175質量部、好ましくは130〜170質量部である。
前記可塑剤としては、ポリエーテルエステル系可塑剤が使用される。ポリエーテルエステル系可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコールブタン酸エステル、ポリエチレングリコールイソブタン酸エステル、ポリエチレングリコールジ(2−エチルブチル酸)エステル、ポリエチレングリコール(2−エチルヘキシル酸)エステル、ポリエチレングリコールデカン酸エステル、アジピン酸ジブトキシエタノール、アジピン酸ジ(ブチルジグリコール)、アジピン酸ジ(ブチルポリグリコール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシロキシエタノール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシルジグリコール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシルポリグリコール)、アジピン酸ジオクトキシエタノール、アジピン酸ジ(オクチルジグリコール)、アジピン酸ジ(オクチルポリグリコール)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて陥られてもよい。
前記可塑剤の凝固点(℃)は、例えば、−45℃以下(好ましくは、−50℃以下)のものが使用される。
アクリルゴム組成物における可塑剤の配合量は、アクリルゴム100質量部に対して、7〜13質量部、好ましくは8〜12質量部である。
架橋剤は、アクリルゴムを架橋できるのであれば、特に制限はないが、例えば、脂肪族アミン化合物が利用される。
脂肪族アミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが好ましい。
アクリルゴム組成物における架橋剤の配合量は、アクリルゴム100質量部に対して、0.1〜5.0質量部、好ましくは0.2〜3.0質量部である。
架橋助剤は、前記架橋剤と共に使用され、アクリルゴムの架橋を促進する機能等を備えている。架橋助剤としては、アクリルゴムを架橋できるのではあれば、特に制限はないが、例えば、グアニジン化合物が利用される。
グアニジン化合物としては、例えば、グアニジン、テトラメチルグアニジン、ジブチルグアニジン、1,3−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ジフェニルグアニジンが好ましい。
アクリルゴム組成物における架橋助剤の配合量は、アクリルゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
アクリルゴム組成物は、上述した成分以外に、本発明の目的を損なわない限り、その他の成分を含んでもよい。具体的な他の成分としては、フィラー、加工助剤、老化防止剤、粘着付与樹脂、防錆剤、酸化防止剤、腐食防止剤、着色剤、発泡剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等が挙げられる。
前記フィラーを構成する物質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属又はそれらの合金、マイカ、タルク、ガラス、ガラス等の無機材料、黒鉛、鉱物等があげられる。特に、フィラーとして、強度向上等の目的で、カーボンブラックを用いてもよい。
前記加工助剤としては、例えば、商品名「リポミン18D」(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)を用いることが好ましく、また、前記老化防止剤としては、例えば、商品名「ノクラックCD」(大内新興化学工業株式会社製)を用いることが好ましい。
アクリルゴム組成物は、一般的なゴム混練装置を利用して均一に混練される。
アクリルゴム組成物は、所定形状に加熱プレス成形され、更にオーブンで所定時間、加熱処理されることで、架橋反応が進行して、アクリルゴム組成物の架橋物からなる弾性部材が得られる。
なお、アクリルゴム組成物では、加熱プレス成形時に、架橋反応(一次架橋反応)が進行し、そして更に、加熱処理時に、架橋反応(二次架橋反応)が進行することで、アクリルゴム組成物の架橋物が得られる。
〔弾性部材〕
弾性部材は、耐熱性(例えば、150℃で使用可能)に優れると共に、耐寒性(例えば、−40℃で使用可能)、難燃性(UL94V規格で、V−0相当)、耐水性等に優れる。このような弾性部材は、振動エネルギーを熱エネルギーとして吸収する制振性にも優れており、制振部材として利用することができる。また、弾性部材は、加工性、耐久性、被着体に対する密着性等にも優れている。また、弾性部材は、落下時や衝突時の衝撃を吸収又は緩和可能な柔軟性(低硬度)を備えている。
弾性部材は、衝撃吸収、振動吸収等の目的で、ハンディーターミナル、LEDプリンター、プロジェクター、デジタル一眼カメラ、HDD、LCD、カーナビゲーションシステム等の様々な精密機器(家電機器、OA機器、車載機器、携帯機器等)に利用することができる。弾性部材は、例えば、保護対象物と他の物体(例えば、筐体)との間に介在する形で使用される
弾性部材は、シート状に形成されてもよいし、金型を利用して成形された成形品(インサート成形品を含む)の状態であってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(アクリル系ゴム組成物の作製)
アクリルゴムとして、アクリルゴムA(商品名「NOXTITE PA−524」、Tg=−44℃、ユニマテック株式会社製)を用意した。100質量部のアクリルゴムAに対し、水酸化アルミニウム(難燃剤、商品名「BF083」、平均粒径:8μm、日本軽金属株式会社製)150質量部、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカイザー、RS−700」、凝固点=−58℃、株式会社ADEKA製)10質量部、カーボンブラック(商品名「旭#32」、旭カーボン株式会社)10質量部、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(架橋剤、脂肪族ジアミン化合物の一例、商品名「CHEMINOX AC−6」、ユニマテック株式会社製)0.6質量部、1,3−ジフェニルグアニジン(架橋助剤、グアニジン化合物の一例、商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業株式会社製)2質量部を添加し、混練機(製品名「ラボプラストミルC150」、株式会社東洋精機製作所製)を用いてそれらを溶融混練して、実施例1の組成物を得た。なお、混練温度は70℃、スクリュー回転数は30rpm、混練時間は5分とした。
(弾性部材の作製)
次いで、前記組成物を二本ロールミル(ロール間距離:2mm)で更に3分間混練し、その後の組成物を、加熱プレス機及び金型を用いて板状に加熱プレス成形した。なお、この加熱プレス成形時に、組成物の1次架橋が行われる。成形温度は180℃、成形圧力は30MPa、成形時間は10分とした。そして更に、加熱プレス後の組成物を、オーブン内に175℃で4時間静置して2次架橋を行い、その後、オーブンから取り出して実施例1の弾性部材を得た。
〔比較例1〕
アクリルゴムAに代えて、アクリルゴムB(商品名「NOXTITE PA−521」、Tg=−17℃、ユニマテック株式会社製)100質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の組成物を得た。また、得られた組成物を利用して、実施例1と同様の方法で、比較例1の弾性部材を得た。
〔比較例2〕
アクリルゴムAに代えて、アクリルゴムC(商品名「NOXTITE PA−522F」、Tg=−31℃、ユニマテック株式会社製)100質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2の組成物を得た。また、得られた組成物を利用して、実施例1と同様の方法で、比較例2の弾性部材を得た。
〔比較例3〕
難燃剤として、水酸化アルミニウムに代えて、リン酸塩系の難燃剤(商品名「アデカスタブ FP−2200」、株式会社ADEKA製)125質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3の組成物を得た。また、得られた組成物を利用して、実施例1と同様の方法で、比較例3の弾性部材を得た。
〔比較例4〕
難燃剤として、水酸化アルミニウムに代えて、水酸化マグネシウムの表面がオレイン酸で表面処理されたものからなる表面処理型水酸化マグネシウム(商品名「マグシーズ N4」、神島化学工業株式会社製)150質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例4の組成物を得た。また、得られた組成物を利用して、実施例1と同様の方法で、比較例4の弾性部材を得た。
〔比較例5〕
可塑剤として、ポリエーテルエステル系可塑剤に代えて、アジピン酸系ポリエステル可塑剤(商品名「アデカサイザー P−200」、株式会社ADEKA製)10質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例5の組成物を得た。また、得られた組成物を利用して、実施例1と同様の方法で、比較例5の弾性部材を得た。
〔比較例6〕
可塑剤として、ポリエーテルエステル系可塑剤に代えて、アジピン酸エーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカイザー RS−107」、株式会社ADEKA製)10質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例6の組成物を得た。また、得られた組成物を利用して、実施例1と同様の方法で、比較例6の弾性部材を得た。
(90°屈曲試験)
得られた弾性部材から、所定の大きさの試験片(縦50mm、横50mm、厚み1mm)を切り出し、その試験片を、−40℃の温度条件で1時間放置した。その後、試験片を中央で2つ折りにするように90°に屈曲して、試験片1の破損の有無を目視で確認した。試験片に破損が生じなかった場合、「耐寒性あり(○)」と判断し、試験片に破損が生じた場合、「耐寒性なし(×)」と判断した。結果は、表1に示した。
(圧縮永久歪の測定)
得られた弾性部材から、所定の大きさの試験片(直径13mm、厚み3mm)を2つ切り出し、それらを2枚重ねたもの(2枚重ね試験片、厚みD)を用いて、圧縮永久歪をJIS K6262に準拠して測定した。具体的には、2枚重ね試験片を、所定の圧縮装置(圧縮治具)を利用して厚み方向に25%圧縮し(厚みD1)、その状態で150℃の環境試験機(恒温槽)の中に入れ、そこに24時間放置した。その後、環境試験機内から2枚重ね試験片を取り出し、更にその試験片を圧縮している圧縮装置を解除し、木板の上に30分間以上、常温で静置させた後、2枚重ね試験片の厚み(D2)を測定し、(D−D2)/(D−D1)×100より、圧縮永久歪(%)を算出した。圧縮永久歪(%)の値が、150℃の温度条件で、50%以下の場合、「耐熱性あり(○)」と判断し、50%を超える場合、「耐熱性なし(×)」と判断した。結果は、表1に示した。
(難燃試験)
得られた弾性部材から、所定の大きさの試験片(縦13mm、横130mm、厚み3mm)を切り出し、その試験片について、UL94V規格に準拠した垂直難燃試験を行った。厚み3mmで難燃性が「V−0」を達成した場合を「難燃性あり(○)」と判断し、達成できなかった場合を「難燃性なし(×)」と判断した。結果は、表1に示した。
(温水試験)
得られた弾性部材から、所定の大きさの試験片(縦30mm、横30mm、厚み3mm)を切り出し、その試験片を、98℃の温水中に24時間浸漬した。その結果、試験片に変化が見られなかった場合、「耐水性あり(○)」と判断し、試験片が膨潤した場合、「耐水性なし(○)」と判断した。
(硬度測定)
得られた弾性部材から、所定の大きさの試験片(縦50mm、横50mm、厚み6mm)を切り出し、その試験片について、JIS K6253に準拠して、硬度(JISA硬度)を測定した。結果は、表1に示した。
Figure 2018016766
表1中に示される各成分の数値は、配合量(質量部)を表す。表1に示されるように、実施例1の組成物より得られる弾性部材は、耐寒性、耐熱性、難燃性及び耐水性に優れることが確かめられた。
これに対し、アクリルゴムB(Tg=−17℃)及びアクリルゴムC(Tg=−31℃)を使用した比較例1,2では、共に耐寒性が得られない結果となった。これは、アクリルゴムのTgが高く、低温環境下で柔軟性が失われたためと推測される。また、リン酸塩系難燃剤を使用した比較例3では、難燃性は得られたものの、温水試験において膨潤してしまい、耐水性が得られない結果となった。これは、リン酸塩系難燃剤が温水環境下で吸水したためと推測される。
また、難燃剤として表面処理型水酸化マグネシウムを使用した比較例4では、難燃性は得られたものの、耐熱性が得られない結果となった。これは、表面処理型水酸化マグネシウムの充填量が多量であり、それによって機械的な物性(強度等)が低下して耐熱性が低下したためと推測される。
また、可塑剤としてアジピン酸系ポリエステルを使用した比較例5では、耐寒性及び耐熱性が得られない結果となった。これは、アジピン酸系ポリエステルとアクリルゴムの相溶性が悪く、機械的物性(強度等)を低下させたためと推測される。
また、アジピン酸エーテルエステル系可塑剤を使用した比較例6では、耐熱性が得られない結果となった。これは、アジピン酸エーテルエステル系可塑剤は耐寒性を向上させるものの、分子量が低いため、圧縮永久歪の低下につながったためと推測される。
〔実施例2,3及び比較例7,8〕
水酸化アルミニウムの配合量を表2に示される量(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2,3及び比較例7,8の組成物を得た。また、得られた組成物を利用して、実施例1と同様の方法で、実施例2,3及び比較例7,8の弾性部材を得た。
また、実施例2,3及び比較例7,8について、実施例1と同様の方法により、90°屈曲試験、圧縮永久歪の測定、難燃試験、温水試験及び硬度測定を行った。結果は表2に示した。
Figure 2018016766
表2中に示される各成分の数値は、配合量(質量部)を表す。表2に示されるように、実施例2,3の組成物より得られる弾性部材は、耐寒性、耐熱性、耐熱性及び耐水性に優れることが確かめられた。
これに対し、難燃剤の配合量が少ない比較例7では、難燃性が得られない結果となった。また、難燃剤の配合量が多すぎる比較例8では、耐熱性が得られない結果となった。
〔実施例4,5及び比較例9,10〕
ポリエーテルエステル系可塑剤の配合量を、表3に示される量(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4,5及び比較例9,10の組成物を得た。また、得られた組成物を利用して、実施例1と同様の方法で、実施例4,5及び比較例9,10の弾性部材を得た。
また、実施例4,5及び比較例9,10について、実施例1と同様の方法により、90°屈曲試験、圧縮永久歪の測定、難燃試験、温水試験及び硬度測定を行った。結果は表3に示した。
Figure 2018016766
表3中に示される各成分の数値は、配合量(質量部)を表す。表3に示されるように、実施例4,5の組成物より得られる弾性部材は、耐寒性、耐熱性、耐熱性及び耐水性に優れることが確かめられた。
これに対し、ポリエーテルエステル系可塑剤の配合量が各実施例よりも少ない比較例9では、90°屈曲試験において、試験片に破損が生じ、耐寒性がない結果となった。これは、ポリエーテルエステル系可塑剤の配合量が少なく、低温環境下で柔軟性が失われたためと推測される。
また、ポリエーテルエステル系可塑剤の配合量が各実施例よりも多い比較例10では、耐熱性がなく、難燃性がない結果となった。これは、ポリエーテルエステル系可塑剤の配合量が多く、高温環境下で圧縮永久歪が悪化し、更に難燃性が不足する結果になったためと推測される。

Claims (6)

  1. ガラス転移温度が−35℃以下であり、架橋点を有するアクリルゴム100質量部と、
    金属水酸化物からなる難燃剤125〜175質量部と、
    ポリエーテルエステル系可塑剤7〜13質量部と、
    架橋剤0.1〜5.0質量部と、
    架橋助剤0.1〜10質量部とを有することを特徴とするアクリルゴム組成物。
  2. 前記アクリルゴムは、前記架橋点としてカルボキシル基を含有する請求項1に記載のアクリルゴム組成物。
  3. 前記架橋剤が、脂肪族アミン化合物からなり、前記架橋助剤が、グアニジン化合物からなる請求項1又は請求項2に記載のアクリルゴム組成物。
  4. 前記難燃剤が、水酸化アルミニウムからなる請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のアクリルゴム組成物。
  5. 前記難燃剤の平均粒子径が、5μm〜15μmである請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のアクリルゴム組成物。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のアクリルゴム組成物の架橋物からなる弾性部材。
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