JP2023070950A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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俊彦 杉山
Toshihiko Sugiyama
裕士 山下
Yuji Yamashita
一興 不破
Kazuoki Fuwa
純一 渡邊
Junichi Watanabe
由花 溝口
Yuka Mizoguchi
庸泰 長友
Nobuyasu Nagatomo
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Abstract

【課題】環境負荷を低減しつつ、優れた、着色度及帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができるトナー粒子の製造方法を提供する。【解決手段】着色剤と、結着樹脂と、前記ワックスとを含むトナー粒子の製造方法であって、前記結着樹脂は、1種以上の樹脂を含み、少なくとも前記着色剤と、1種以上の前記樹脂と、ワックスとを含むトナー用マスターバッチを作製する工程と、有機溶媒に前記トナー用マスターバッチを溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、前記油相の微粒子が分散した水中油型分散液を得る工程と、前記水中油型分散液に凝集剤を添加し、前記微粒子を凝集させる工程とを含み、前記着色剤は、C.I.Pigment Yellow 185であり、前記凝集剤は、金属塩である。【選択図】なし

Description

本発明は、トナー粒子の製造方法に関する。
近年、トナーには環境への負荷低減が求められている。その対応として、例えばトナーの製造工程で使用するエネルギーや薬剤の低減などが検討されている。このようなトナーの製造方法として、乳化重合法や懸濁重合法等の湿式造粒法が知られている。
例えば、特許文献1では、トナー用マスターバッチ及び結着樹脂を水系媒体中に分散し乳化してなる樹脂乳化液を得る工程、及び得られた樹脂乳化液を凝集、合一させる工程を有する電子写真用トナーの製造方法が開示されている。
しかしながら、乳化重合法や懸濁重合法等の湿式造粒法において、顔料マスターバッチを有機溶媒中に溶解させると顔料分散体の効果は小さくなり、トナー化される過程で顔料がトナーの表面に偏在し、結果として、十分な着色度や帯電安定性が得られない可能性がある。
本発明の一態様は、環境負荷を低減しつつ、優れた、着色度及び帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができるトナー粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、着色剤と、結着樹脂と、ワックスとを含むトナー粒子の製造方法であって、前記結着樹脂は、1種以上の樹脂を含み、少なくとも前記着色剤と、1種以上の前記樹脂と、前記ワックスとを含むトナー用マスターバッチを作製する工程と、有機溶媒に前記トナー用マスターバッチを溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、前記油相の微粒子が分散した水中油型分散液を得る工程と、前記水中油型分散液に凝集剤を添加し、前記微粒子を凝集させる工程とを含み、前記着色剤は、C.I.Pigment Yellow 185であり、前記凝集剤は、金属塩である。
本発明の一態様は、環境負荷を低減しつつ、優れた、着色度及帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができるトナー粒子の製造方法を提供することができる。
本実施形態のトナー粒子の製造方法は、着色剤と、結着樹脂と、ワックスとを含むトナー粒子の製造方法であって、結着樹脂は、1種以上の樹脂を含み、少なくとも着色剤と、1種以上の樹脂と、ワックスとを含むトナー用マスターバッチを作製する工程と、有機溶媒にトナー用マスターバッチを溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、油相の微粒子が分散した水中油型分散液を得る工程と、水中油型分散液に凝集剤を添加し、微粒子を凝集させる工程とを含む。
また、本実施形態のトナー粒子の製造方法で使用する着色剤は、C.I.Pigment Yellow 185であり、凝集剤は、金属塩である。
以上の構成により、本実施形態のトナー粒子の製造方法では、環境負荷を低減しつつ、優れた、着色度及帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができる。
<トナー用マスターバッチ作製工程>
トナー用マスターバッチ作製工程は、少なくとも着色剤と、1種以上の樹脂と、ワックスとを含むトナー用マスターバッチを作製する工程である。また、本工程で使用する着色剤は、C.I.Pigment Yellow 185である。
少なくとも着色剤としてのC.I.Pigment Yellow 185と、1種以上の樹脂と、ワックスとを高せん断力をかけて混合し、混錬する。混練に用いられる混練機は、例えば、二軸押出混練機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般の混練機を使用できる。
トナー用マスターバッチ作製工程で使用する樹脂は、結着樹脂に含まれる1種以上の樹脂全てであってもよい。結着樹脂に含まれる樹脂が複数種である場合、トナー用マスターバッチ作製工程で使用する樹脂は、複数種の樹脂のうち、1種又は2種等、一部の樹脂であってもよい。
また、混練の際に内添剤を添加してもよい。混練の際には加熱することが好ましく、加熱条件は、適宜設定できる。
トナー用マスターバッチ作製工程により、次の油相作製工程において、有機溶媒にトナー用マスターバッチを溶解又は分散させる際、着色剤(C.I.Pigment Yellow 185)の油相分散時におけるショックを和らげ、着色剤の凝集を防ぐことができる。
よって、着色剤の分散性を向上させることができ、優れた着色度を有するトナー粒子(イエロートナー)を製造することができる。また、着色剤がトナー粒子表面に偏在することを抑制することができるため、トナー粒子に内在される樹脂の抵抗値のばらつきを抑制することができ、優れた帯電安定性を有するトナー粒子(イエロートナー)を製造することができる。
[着色剤]
本実施形態のトナー粒子の製造方法で使用する着色剤は、イソインドリン系顔であるC.I.Pigment Yellow 185(以下、「PY185」という)である。イソインドリン系顔料はその骨格からアゾ系顔料の中でも耐候性に優れる。
また、PY185は、顔料単体での透明性が高く、鮮やかなイエロー色を示し、着色力も強い。PY185は、500~700nmの長波長側の可視域での透過性が高いため、二次色の発色性も良好である。PY185は、ジクロロベンジジンを含有しない安全性の高い顔料である。
PY185の含有量は、トナーに対して1~15重量%が好ましく、3~10重量%がより好ましい。PY185の含有量がトナーに対して1~15重量%の範囲内であることにより、より優れた、着色度及び帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができる。
[結着樹脂]
本実施形態のトナー粒子の製造方法で使用する結着樹脂は、有機溶媒に可溶で、かつ水に不溶または殆ど溶解しないポリマーであればよい。例えば、ポリスチレン、スチレンアクリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂が好ましい。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂としては、ポリエステル骨格のみを有するポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂と他の骨格を有する樹脂とのブロックポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル骨格のみを有するポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル骨格のみを有するポリエステル樹脂としては、ラクトン類の開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の縮重合物、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物などが挙げられる。これらの中でも、設計の自由度の観点から、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物が好ましい。
また、ポリエステル樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂が挙げられるが、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。ポリエステル樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂であることにより、得られるトナー粒子におけるポリエステル樹脂の均一性を高めることができる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、通常1000~30000、好ましくは3000~15000、さらに好ましくは5000~12000である。ポリエステル樹脂の重量平均分子量が1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると静電潜像現像用トナーとしては低温定着性が悪化する。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、35~80℃、好ましくは40~70℃、より好ましくは45~65℃である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度が35℃未満では得られる着色樹脂粒子が真夏などの高温環境下に置かれたときに変形する、あるいは着色樹脂粒子同士がくっついてしまい本来の粒子としての振る舞いができなくなる可能性がある。また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が80℃を超えると、着色樹脂粒子を静電潜像現像用トナーとして用いる場合定着性が悪化する。
(非晶性ポリエステル樹脂)
非晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、ラクトン類の開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の縮重合物、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物などが挙げられる。これらの中でも、設計の自由度の観点からポリオールとポリカルボン酸との重縮合物が好ましい。
なお、本実施形態において非晶性ポリエステル樹脂とは、上記のごとく、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られるものを指す。ポリエステル樹脂を変性したもの、例えば、プレポリマー、及びそのプレポリマーを少なくとも架橋又は伸長反応させて得られる変性ポリエステル樹脂は、本実施形態においては非晶性ポリエステル樹脂には含めず、変性ポリエステル樹脂として扱う。
また、非晶性ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)に可溶なポリエステル樹脂成分である。
(結晶性ポリエステル樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
なお、本実施形態において結晶性ポリエステル樹脂とは、上記のごとく、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られるものを指す。ポリエステル樹脂を変性したもの、例えば、プレポリマー、及びそのプレポリマーを少なくとも架橋又は伸長反応させて得られる樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂には属さない。
結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数4~12の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2~12の直鎖飽和脂肪族ジオールとから構成されることが好ましい。これにより、結晶性が高く、シャープメルト性に優れるため、優れた低温定着性を発揮できる。
また、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性及び軟化点を制御する方法として、ポリエステル合成時にアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールや、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行った非線状ポリエステルなどを設計、使用するなどの方法が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができるが、簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1もしくは990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを結晶性ポリエステル樹脂として検出する方法が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れ、分子量が低い成分が多いと耐熱保存性が悪化するという観点から、o-ジクロロベンゼンの可溶分のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5~4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)が3,000~30,000、数平均分子量(Mn)が1,000~10,000、Mw/Mnが1~10であることが好ましい。
更には、重量平均分子量(Mw)が5,000~15,000、数平均分子量(Mn)が2,000~10,000、Mw/Mnが1~5であることがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紙と樹脂との親和性の観点から、所望の低温定着性を達成するためには、5mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。一方、耐高温オフセット性を向上させるには、45mgKOH/g以下が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。所望の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには、結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、0mgKOH/g~50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g~50mgKOH/gがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃~80℃が好ましい。融点が、60℃以上であると、結晶性ポリエステル樹脂が低温で溶融しやすく、トナーの耐熱保存性が低下する不具合を防止でき、80℃以下であると、定着時の加熱による結晶性ポリエステル樹脂の溶融が不十分で、低温定着性が低下するという不具合を防止できる。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー総量に対して、4質量%~30質量%が好ましく、5質量%~25質量%がより好ましい。含有量が、4質量%以上であると、結晶性ポリエステル樹脂によるシャープメルト化が不十分なため低温定着性に劣るという不具合を防止できる。また、30質量%以下であると、高温下での凝集性や付着性が悪化するという不具合を防止できる。
-ポリオール-
ポリエステル樹脂に使用するポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のポリオールが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、ジオール単独、又はジオールと少量の3価以上のポリオールの混合物が好ましい。
ジオールとしては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、ビスフェノール類、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、4,4'-ジヒドロキシビフェニル類、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどが挙げられる。
アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ビスフェノール類としては、ビスフェノーA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
4,4'-ジヒドロキシビフェニル類としては、例えば、3,3'-ジフルオロ-4,4'-ジヒドロキシビフェニルなどが挙げられる。
ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類としては、例えば、ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1-フェニル-1,1-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2-ビス(3-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル類としては、例えば、ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)エーテルなどが挙げられる。
脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、又はビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2~12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2~12のアルキレングリコールとの併用がより好ましい。
3価以上のアルコールとしては、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のフェノール類、3価以上のフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビートなどが挙げられる。
3価以上のフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
-ポリカルボン酸-
ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、ジカルボン酸単独、又はジカルボン酸と少量の3価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。
ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等);3-フルオロイソフタル酸、2-フルオロイソフタル酸、2-フルオロテレフタル酸、2,4,5,6-テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6-テトラフルオロテレフタル酸、5-トリフルオロメチルイソフタル酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジカルボン酸、3,3'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジカルボン酸、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-3,3'-ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のポリカルボン酸としては、例えば、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)などが挙げられる。
なお、ポリカルボン酸としては、上述したポリカルボン酸の酸無水物、又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[-OH]とカルボキシル基[-COOH]の当量比[-OH]/[-COOH]として、2/1~1/2が好ましく、1.5/1~1/1.5がより好ましく、1.3/1~1/1.3が更に好ましい。
(変性ポリエステル樹脂)
変性ポリエステル樹脂は、プレポリマーを少なくとも架橋又は伸長反応させて得られ、例えば、プレポリマーと、活性水素基含有化合物との反応生成物などが挙げられる。
変性ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)に不溶なポリエステル樹脂である。テトラヒドロフラン(THF)に不溶なポリエステル樹脂成分は、Tgや溶融粘性を低下させ、低温定着性を担保しつつ、分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造となるため、低温で変形するが流動しないというゴム的な性質を有することになる。
変性ポリエステル樹脂は、活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有するため、これらの部位が擬似架橋点のような挙動を示し、プレポリマーのゴム的性質が強くなり、耐熱保存性、耐高温オフセット性に優れたトナーを作製することができる。
結着樹脂がポリエステル樹脂を含むことにより、結着樹脂との架橋密度を確保することができ、着色剤の分散性を向上させることができ、優れた、着色度を有するトナー粒子を製造することができる。また、着色剤がトナー粒子表面に偏在することを抑制することができるため、トナー粒子に内在される樹脂の抵抗値のばらつきを抑制することができ、優れた帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができる。
トナー中に内包される着色剤の分散性は、結着樹脂の粘度に依存する。水中油型分散液に凝集剤を添加し、微粒子を凝集させる工程において、結着樹脂の粘度は、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基に対する金属塩の割合に比例しており、カルボキシル基に対する金属塩の割合が高いと、結着樹脂の粘度(粘弾性)が高くなり顔料の分散性は増加する。これは、カルボキシル基が金属イオンとキレートし金属架橋を形成し、架橋密度が増加することが原因として考えられる。
また、結着樹脂がポリエステル樹脂であることにより、良好な定着性を得られる。特に、電子写真における静電潜像現像用トナーとして用いる場合には、ポリエステル樹脂を用いることにより良好な定着性が得られる。
また、本実施形態のトナー粒子の製造方法で使用する結着樹脂は、プレポリマーと、そのプレポリマーを少なくとも架橋又は伸長反応させて得られる樹脂とを含むことが好ましい。
(プレポリマー)
プレポリマーは、活性水素基含有化合物と反応可能な基を有するポリエステル樹脂であることが好ましい。プレポリマーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
活性水素基と反応可能な基としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基などが挙げられる。これらの中でも、非晶性ポリエステル樹脂にウレタン結合又はウレア結合を導入可能な点で、イソシアネート基が好ましい。ウレア結合は、極性基を有する為、顔料に対して吸着し易くなり、顔料の高度な分散を可能にする。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物などが挙げられる。
活性水素基を有するポリエステル樹脂は、例えば、ジオールと、ジカルボン酸と、3価以上のポリオール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかと重縮合することにより得られる。3価以上のポリオール及び3価以上のカルボン酸は、イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂に分岐構造を付与する。
プレポリマーは、3価以上のポリオール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかによって付与される分岐構造を有していてもよい。
本実施形態のトナー粒子の製造方法で使用する結着樹脂は、プレポリマーと、当該プレポリマーを少なくとも架橋又は伸長反応させて得られる樹脂とを含むことにより、着色剤の分散性をより向上させることができ、より優れた、着色度を有するトナー粒子を製造することができる。
また、着色剤がトナー粒子表面に偏在することをより抑制することができるため、トナー粒子に内在される樹脂の抵抗値のばらつきをより抑制することができ、より優れた帯電安定性を有するトナー粒子(イエロートナー)を製造することができる。
-ポリオール-
プレポリマーに使用するポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のポリオールが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、プレポリマーのガラス転移点を20℃以下に制御する観点から、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の炭素数3以上10以下の脂肪族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましい。プレポリマーは、樹脂中のアルコール成分の50mol%以上使用することがより好ましい。
プレポリマーは非晶性のポリエステル樹脂であることが好ましく、プレポリマーの樹脂鎖に立体障害を持たせることで定着時の溶融粘度が低下し、低温定着性がより発現しやすくなる。このため、脂肪族ジオールの主鎖は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2023070950000001
ただし、前記一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、nは3~9の奇数を表し、n個の繰り返し単位において、R及びRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
ここで、脂肪族ジオールの主鎖とは、脂肪族ジオールが有する二つのヒドロキシル基間を最短数で結ばれた炭素鎖のことである。主鎖の炭素数は奇数である場合、偶奇性により結晶性が低下する点で好ましい。また、少なくとも1つ以上の炭素数1~3のアルキル基を側鎖に有する場合、立体性により主鎖分子間の相互作用エネルギーが低下する点でより好ましい。
3価以上のポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3価以上の脂肪族アルコール;トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の3価以上のポリフェノール類;3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等の3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
-ポリカルボン酸-
プレポリマーに使用するポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、ジカルボン酸単独、又はジカルボン酸と少量の3価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;これらの無水物や低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物、ハロゲン化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、プレポリマーのTgを20℃以下に制御する観点から、炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、樹脂中のカルボン酸成分の50質量%以上使用することがより好ましい。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、3価以上の芳香族カルボン酸;れらの無水物や、低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物、ハロゲン化物などが挙げられる。これらの中でも、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9以上20以下の3価以上の芳香族カルボン酸が好ましい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3-及び/又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4'-及び/又は4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアヌレート類;これらのイソシアネートの変性物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-及び2,6-ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5~20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4',4"-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-及びp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
3価以上のポリイソシアヌレート類としては、例えば、リジントリイソシアネート、3価以上のアルコールのジイソシアネート変性物などが挙げられる。
イソシアネートの変性物としては、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
[ワックス]
ワックス(離型剤)としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、天然ワックス、合成ワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
天然ワックスとしては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックスなどが挙げられる。
合成ワックスとしては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル、12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド系化合物;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ-n-ステアリルメタクリレート、ポリ-n-ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n-ステアリルアクリレート-エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子などが挙げられる。
これらの中でも、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系ワックスが好ましい。
ワックスの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃~120℃が好ましく、60℃~90℃がより好ましい。融点が、50℃以上であれば、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えるのを防止でき、120℃以下であれば、低温での定着時にコールドオフセットを起こすという問題を有効に防止できる。
50℃~120℃の低融点のワックスは、結晶性ポリエステル樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好となる。
ワックスの溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps~1,000cpsが好ましく、10cps~100cpsがより好ましい。溶融粘度が、5cps以上であれば、離型性の低下を防止でき、1,000cps以下であれば、耐ホットオフセット性、低温定着性の効果が十分発揮できる。
ワックスの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー総量に対して、0質量%~40質量%が好ましく、3質量%~30質量%がより好ましい。含有量が、40質量%以下であれば、トナーの流動性悪化を防止することができる。
<油相作製工程>
油相作製工程は、有機溶媒にトナー用マスターバッチを溶解又は分散させ、有機溶媒中に、少なくともPY185、1種以上の樹脂、ワックスを溶解又は分散させた油相を作製する工程である。油相作製工程において、有機溶媒に溶解又は分散させる材料としては、少なくともトナー用マスターバッチを含み、更に必要に応じて、帯電制御剤、結着樹脂に含まれる1種以上の樹脂などその他の材料を含んでもよい。
PY185は、顔料単体で用いる場合、凝集しやすいことがあるが、本実施形態では、トナー用マスターバッチ作製工程及び油相作製工程を有することにより、PY185の分散性をより向上させることができ、優れた着色度を有するトナー粒子を製造することができる。
油相作製工程において、有機溶媒に溶解又は分散さる1種以上の樹脂としては、上述の結着樹脂と同様の樹脂を適用することができ、例えば、ポリエステル樹脂、プレポリマー等が挙げられる。油相作製工程において、有機溶媒にトナー用マスターバッチに加えて、プレポリマーと、当該プレポリマーを少なくとも架橋又は伸長反応させて得られる樹脂を溶解又は分散させることが好ましい。
これにより、着色剤の分散性をより向上させることができ、優れた着色度を有するトナー粒子を製造することができる。また、着色剤がトナー粒子表面に偏在することを抑制することができるため、トナー粒子に内在される樹脂の抵抗値のばらつきを抑制することができ、優れた帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができる。
トナー用マスターバッチを有機溶媒に溶解又は分散させる方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜公知の方法を選択することができ、例えば、ディスクミル、ホモミキサー、ビーズミルなどの分散機を用いて溶解又は分散させることができる。例えば、ホモミキサーであれば、0℃~30℃、6,000rpm~12,000rpm、30分間~120分間にて撹拌することが好ましい。
(有機溶媒)
有機溶媒としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と略記することがある)、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、有機溶媒に溶解又は分散させる樹脂がポリエステル樹脂である場合、溶解性が高い点で、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系の溶媒、又はメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系の溶媒が好ましく、溶媒除去性の高い点で、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトンがより好ましい。
<転相乳化工程>
転相乳化工程は、油相作製工程で得られた油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、油相の微粒子が分散した水中油型分散液を得る工程である。これにより、油中水型の溶解液又は分散液である油相が水中油型分散液に転相乳化する。
また、樹脂中のカルボキシル基を解離させて、樹脂の分散性を上げるため、油相にアンモニア水溶液などのアルカリ性の水系媒体を添加して中和率が100%~700%となるように中和した後、水などの水系媒体を添加して転相乳化させ、水中油型分散液を得ることが好ましい。
転相乳化工程により、水系媒体中に、少なくともトナー用マスターバッチに含まれる材料、即ちPY185、1種以上の樹脂、ワックスを含む微粒子が分散した水中油型分散液を得ることができる。
水系媒体としては、転相乳化が生じれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶媒、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。
水と混和可能な溶媒としては、転相乳化が生じれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類、低級ケトン類などが挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどが挙げられる。低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
水系媒体を添加する量としては、転相乳化が生じれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、油相100質量部に対し、150質量部~300質量部が好ましい。
油相が油中水型の溶解液又は分散液から水中油型分散液に転相乳化したことは、光学顕微鏡での観察により確認できる。
<脱溶媒工程>
脱溶媒工程は、水中油型分散液から有機溶媒を除去する工程である。水中油型分散液から有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の脱溶媒方法を選択することができる。
例えば、水中油型分散液全体を撹拌しながら徐々に昇温し、トナー材料からなる微粒子(液滴)中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法;トナー材料からなる微粒子を含む分散体を撹拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶媒を完全に除去する方法;トナー材料からなる微粒子を含む分散体を撹拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去する方法;などが挙げられる。後者2つの方法は、最初の方法と併用することも可能である。
トナー材料からなる微粒子が噴霧される乾燥雰囲気としては、例えば、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体などが挙げられる。これらの中でも、使用した有機溶媒の中で最高沸点を示すものの沸点以上の温度に加熱された各種気流が好ましい。
乾燥する手段(乾燥手段)としては、例えば、スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどが挙げられ、乾燥手段の短時間の処理により十分目的とする品質の微粒子の分散液を得ることができる。
<凝集工程>
凝集工程は、水中油型分散液に凝集剤を添加し、微粒子を凝集させる工程である。また凝集剤は、金属塩である。
凝集工程は、水中油型分散液中の微粒子を加熱して撹拌しながら凝集させることが好ましい。これにより、任意の粒径になるまで微粒子を凝集させた、トナー粒子(凝集粒子)を得ることができる。
微粒子を凝集させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の方法を選択することができ、例えば、凝集剤を添加する方法;pH調整を行う方法などが挙げられる。凝集剤を添加する場合、そのまま添加してもよいが、局所的な高濃度化を避けることができる点で、凝集剤の水溶液を添加することが好ましい。また、凝集剤は、微粒子の粒径を見ながら、徐々に添加することが好ましい。
凝集工程における水中油型分散液の温度としては、ポリエステル樹脂等の樹脂のTgに対し、(Tg-10℃)~(Tg+10℃)が好ましく、(Tg-5℃)~(Tg+5℃)が好ましい。温度が低すぎると凝集があまり進まないため効率が悪く、温度が高すぎると凝集速度が速くなり、粗大粒子が発生するなど粒径分布が悪化する。
所望の粒径に達したら、凝集を停止させる。凝集を停止させる方法としては、例えば、イオン価数の低い塩やキレート剤を添加する方法、pHを調整する方法、分散液の温度を下げる方法、水系媒体を多量に添加して濃度を薄める方法などが挙げられる。
凝集工程においては、離型剤としてワックスを添加したり、低温定着性のために結晶性ポリエステル樹脂を添加してもよい。その場合、ワックスを水系媒体に分散させた分散液や、同様に結晶性ポリエステル樹脂の分散液を用意し、トナー材料からなる微粒子を含む水中油型分散液と混合した上で凝集させていくことにより、微粒子表面に均一にワックスや結晶性ポリエステル樹脂が分散した凝集粒子を得ることができる。
結晶性ポリエステル樹脂としては、上述の結晶性ポリエステル樹脂と同様の材料を使用することができる。
(凝集剤)
凝集剤としては、1価以上の金属の塩であればよく、2価以上の金属の塩であることが好ましく、3価以上の金属の塩であることがより好ましい。
着色剤の分散性は、凝集工程で添加する凝集剤としての金属塩の種類と着色剤の導入方法で制御することができる。トナー中に内包される着色剤の分散性は、結着樹脂の粘度に依存する。結着樹脂の粘度は、転相乳化工程で得られた水中油型分散液中の微粒子に含まれる結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基に対する金属塩の割合に比例する。
カルボキシル基に対する金属塩の割合が高いと、結着樹脂の粘度(粘弾性)が高くなり顔料の分散性は増加する。これは、カルボキシル基が金属イオンとキレートし金属架橋を形成し、架橋密度が増加することが原因として考えられる。
凝集剤が、1価以上の金属の塩を含有することにより、結着樹脂との架橋密度を十分に確保することができ、着色剤の分散性を向上させることができ、優れた、着色度を有するトナー粒子を製造することができる。また、着色剤がトナー粒子表面に偏在することを抑制することができるため、トナー粒子に内在される樹脂の抵抗値のばらつきを抑制することができ、優れた帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができる。
凝集剤が、2価以上の金属の塩であることにより、結着樹脂との架橋密度をより一層確保することができ、着色剤の分散性をより向上させることができ、より優れた、着色度を有するトナー粒子を製造することができる。
また、着色剤がトナー粒子表面に偏在することをより抑制することができるため、トナー粒子に内在される樹脂の抵抗値のばらつきをより抑制することができ、より優れた帯電安定性を有するトナー粒子を製造することができる。
金属塩としては、公知ものが使用でき、例えば、ナトリウム、カリウム等の1価の金属の金属塩や、カルシウム、マグネシウム等の2価の金属の金属塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属の金属塩などが挙げられる。
その他の工程としては、例えば、前述した脱溶媒工程や、融着工程、洗浄及び乾燥工程、アニーリング工程、外添工程などが挙げられる。
<融着工程>
融着工程は、凝集工程において得られた凝集粒子を熱処理によって融着させる工程であり、凝集粒子の分散液を撹拌しながら加熱することが好ましい。これにより、凝集粒子の表面の凹凸を低減した融着粒子を得ることができる。
凝集粒子を熱処理する際の温度としては、結着樹脂のTgを超えた温度付近(Tgを超え、かつTg+15℃以下)が好ましい。
融着粒子の平均円形度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.940~0.985が好ましく、0.950~0.975がより好ましい。
<洗浄及び乾燥工程>
洗浄及び乾燥工程は、凝集工程において得られた凝集粒子乃至融着工程において得られた融着粒子を洗浄及び乾燥してトナー粒子を得る工程である。
融着工程で得られた融着粒子の分散液には、トナー材料からなる微粒子のほかに凝集塩などの副生成物が含まれるため、分散液からトナー粒子のみを取り出すために洗浄及び乾燥を行うことが好ましい。
洗浄する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などが挙げられる。いずれの方法によってもトナー粒子のケーキ体が得られるが、一度の操作で十分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶媒に分散させてスラリーにし、上記のいずれかの方法でトナー粒子を取り出す工程を繰り返してもよい。
減圧濾過法やフィルタープレス法によって洗浄を行う場合は、水系溶媒をケーキに貫通させてトナー粒子に含まれる副材料を洗い流す方法を採ってもよい。
洗浄に用いる水系溶媒としては、例えば、水あるいは水にメタノール、エタノールなどのアルコールを混合した混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、コストや排水処理などによる環境負荷を考えると、水が好ましい。
洗浄により得られたトナー粒子は、水系媒体を多く含むため、乾燥を行い、水系媒体を除去することによりトナー粒子のみを得ることができる。
乾燥する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などの乾燥機を使用して乾燥する方法が挙げられる。
乾燥は、乾燥されたトナー粒子における水分の含有量が最終的に1%未満になるまで行うことが好ましい。
また、乾燥後のトナー粒子が軟凝集をしており使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を利用して解砕を行い、軟凝集をほぐしてもよい。
<アニーリング工程>
アニーリング工程は、凝集工程において結晶性ポリエステル樹脂を添加した場合に、乾燥工程後に行う工程であり、トナー粒子をポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)付近の温度で10時間以上保管することが好ましい。これにより、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂を用いた場合、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とが相分離し、定着性が向上する。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)付近の温度としては、(Tg-15℃)~(Tg+5℃)が好ましい。
<外添工程>
外添工程は、トナー粒子に外添剤を添加及び混合する工程である。
トナー粒子に外添剤を添加及び混合することにより、得られるトナー粒子に、流動性、帯電性、クリーニング性などを持たせることができる。
混合する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。
混合する手段としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
[外添剤]
外添剤としては、例えば、無機微粒子、高分子系微粒子、流動性向上剤、クリーニング助剤などが挙げられる。
(無機微粒子)
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
無機微粒子の平均一次粒子径としては、5nm~2μmが好ましく、5nm~500nmがより好ましい。ここで、平均一次粒子径とは、無機微粒子をイソプロピルアルコールに分散させた液滴を測定試料台に滴下し、乾燥後、その試料台上の微粒子を10万倍の走査型電子顕微鏡撮影像の任意の粒子500個について、日立テクノロジー(株)製「S-4800」を使用してその粒径を実測して求められるものの平均値を意味する。
無機微粒子のBET法による比表面積としては、20m/g~500m/gが好ましい。
無機微粒子の含有量としては、トナー総量に対し、0.01質量%~5質量%が好ましい。
(高分子系微粒子)
高分子系微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。
(流動性向上剤)
流動性向上剤としては、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
シリカ、酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用することが特に好ましい。
(クリーニング助剤)
クリーニング助剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。
ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm~1μmのものが好適である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、「部」は、質量を基準とする。
<ポリエステル樹脂1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ジオール成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物/ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3mol付加物(モル比40/60)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸/アジピン酸(モル比85/15)、全モノマー量に対して3.5mol%のトリメチロールプロパンを、水酸基とカルボン酸のモル比(-OH/-COOH)が1.2となるように投入した。
更に、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチルを全モノマー量に対して1000ppm入れ、窒素気流下にて2時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。
その後、5mmHg~15mmHgの減圧下にて4時間反応させ、180℃まで冷却させた後、全モノマー量に対して1.0mol%の無水トリメリット酸と、全モノマー量に対して200ppmのオルトチタン酸テトラブチルを入れ、常圧にて180℃で1時間反応させた後、更に5mmHg~20mmHgの減圧下にて3時間反応させ、[ポリエステル樹脂1]を得た。
<トナー用マスターバッチ1の作製>
ポリエステル樹脂とPY185を質量比が1対1の割合で、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM30)を用いて130℃の温度で溶融、混練した。 得られた混練物はローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm~300μmに粗粉砕し、[トナー用マスターバッチ1]を得た。
<プレポリマー1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部、及びジブチルチンオキサイド2部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。
次いで、10mmHg~15mmHgの減圧下で、5時間反応させて、[中間体ポリエステル樹脂1]を合成した。次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル樹脂1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、及び酢酸エチル500部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、[プレポリマー1]を得た。
<ワックスエマルジョン1の作製>
イオン交換水100部に、ワックスとしてHNP-9(日本精蝋製)28部、界面活性剤としてサニゾール(登録商標)B50を添加した。これを90℃に加熱しながらホモジナイザーで分散処理し、[ワックスエマルジョン1]を得た。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液C1の作製>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとセバシン酸とを、OH基とCOOH基との比率(-OH/-COOH)が1.1となるように仕込んだ。仕込んだ原料の質量に対して500ppmのチタンテトライソプロポキシドとともに水を流出させながら反応させ、最終的に235℃に昇温して1時間反応させた。
その後、10mmHg以下の減圧下で6時間反応させた。その後、185℃に設定し、無水トリメリット酸をCOOH基とのモル比が0.053となるように添加し、攪拌しながら2時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C]を得た。
四つ口フラスコに、[結晶性ポリエステル樹脂C]55部、メチルエチルケトン40部、及び2-プロピルアルコール5部を加えた。その後、[結晶性ポリエステル樹脂C]の融点温度で加熱しながら撹拌し、上記[結晶性ポリエステル樹脂C]を溶解させた。その後、28質量%アンモニア水溶液を、中和率400%になるように添加した。中和率は、結晶性ポリエステル樹脂の酸価から計算した。
さらに、イオン交換水130部を徐々に加えて、転相乳化を行った後、脱溶媒を行った。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度(結晶性ポリエステル樹脂の濃度)を25質量%に調整し、トナー用結着樹脂分散物である[結晶性ポリエステル樹脂分散液C1]を得た。
<ケチミン化合物1の合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、45℃で5時間半反応させて、[ケチミン化合物1]を得た。
<トナーの作製>
(実施例1)
<油相作製工程、転相乳化工程>
四つ口フラスコに、[ポリエステル樹脂1]100部、[プレポリマー1]10部、[トナー用マスターバッチ1]10部に、酢酸エチル120部を加えて撹拌し、溶解・分散させた。その後、攪拌しながら28質量%アンモニア水溶液5部を添加して中和率400%になるようにして油相を作製した。イオン交換水340部を徐々に加えて転相乳化を行った。その後脱溶媒を行い、[スラリー1]を得た。
[スラリー1]の粒径を測定したところ、0.50μmであった。また固形分濃度を測定したところ、23.0%であった。
<凝集工程、融着工程>
[スラリー1]100部、[結晶性ポリエステル樹脂分散液C1]5.0部、[ワックスエマルジョン1]5.0部、イオン交換水300部を容器に入れて1分間攪拌した。次に、5%硫酸アルミニウム溶液を固形分に対して20部を滴下して更に5分攪拌した後、60℃に昇温した。その後、粒径が5.0μmなったところで塩化ナトリウムを40部添加して凝集を行った後、攪拌しながら70℃に加熱して、所望の円形度である0.96になったところで冷却し、[トナー分散液1]を得た。
<洗浄及び乾燥工程、アニーリング工程>
[トナー分散液1]を、45℃で10時間保管した後に減圧濾過し、以下のように洗浄と乾燥を行った。
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した後濾過して、[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で72時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[着色樹脂粒子1]を得た。
<外添工程>
[着色樹脂粒子1]100部に対して無機微粒子であるキャボジル社製TS530を2.5部添加し、ヘンシェルミキサーで40m/sで10分間混合処理し、[トナー1]を得た。
(実施例2)
凝集・融着工程において、使用する金属塩溶液を5%硫酸アルミニウム溶液から5%塩化マグネシウム溶液に変更した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。
(実施例3)
ポリエステル樹脂1の代わりに、比重1.05のスチレンアクリル共重合樹脂(三菱レーヨン社製BR-83)を使用した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。
(実施例4)
凝集・融着工程において、使用する金属塩溶液を5%硫酸アルミニウム溶液から5%塩化カリウム溶液に変更した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例4のトナーを得た。
(実施例5)
プレポリマーを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のトナーを得た。
(比較例1)
トナー用マスターバッチ1の代わりにPY185を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
(比較例2)
PY185の代わりにC.I.Pigment Yellow 139を添加したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。
(比較例3)
ポリエステル樹脂の代わりに、比重1.05のスチレンアクリル共重合樹脂(三菱レーヨン社製BR-83)を使用し、プレポリマーを添加しないこと以外は、全て比較例1と同様にして、比較例3のトナーを得た。
(比較例4)
下記の[トナー分散液2]を使用した点以外は、実施例1と同様にして、比較例4のトナーを得た。
<水相の調製>
水963部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノール(登録商標)MON-7、三洋化成工業社製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の[水相1]を得た。
<油相の作製>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、パラフィンワックス(融点90℃)120部、[結晶性ポリエステル樹脂分散液C1]を446部、酢酸エチル1894部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に顔料PY185 250部、酢酸エチル1000部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液]を得た。 [原料溶解液]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、5パスの条件で、顔料、ワックスの分散を行い、[顔料・ワックス分散液1]を得た。
<乳化工程、脱溶剤工程>
[顔料・ワックス分散液1]375部、[プレポリマー1]500部、[ケチミン化合物1]15部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて5000rpmで5分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーを用いて、回転数10000rpmで1.5時間混合し、[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、[トナー分散液2]を得た。
<評価>
作製した実施例1~5及び比較例1~4のトナーについて、以下のように評価した。結
果を表1に示す。
[着色度]
各二成分現像剤を用いてアルミ基板上にカスケード現像にてトナー付着量0.3mg/cm2となるように現像した後、アルミ基板から特菱アート両面紙へ静電転写し、ベルト定着機(線速282mm/sec、ニップ時間40.1msec、ニップ圧37N/cm2)にて、定着温度180℃で定着した画像を作成した。
画像について、着色度(X-Rite社製Model938にてID測定)を測定した。
(評価基準)
該当色のIDが1.55以上を超良好(A)、1.50以上1.55未満を良好(B)、1.45以上1.50未満を普通(C)1.45未満を不良(D)とした。A、B、Cは、実用可能レベルとし、Dは実用可能レベルでないとして、評価結果を表1に示す。
[帯電安定性]
市販のデジタルフルカラープリンター(リコー社製imagio Neo C455)改造機に現像剤をセットし、単色モードで50%画像面積の画像チャートについて30万枚のランニング評価を行った。
そして、このランニングを終えたキャリアの帯電量変化量により帯電安定性を判断した。 ここで帯電量変化量とは、次の通りのものである。
即ち、気温23℃、相対湿度50%の環境下(M/M環境)で30分間以上、開封系で調湿し、初期のキャリア6.000gとトナー0.452gをステンレス製容器へ加えた後、密封し、YS-LD(ヤヨイ社製の振とう機)を用いて目盛150で5分間運転し、約1,100回の振とうにより摩擦帯電させたサンプルについて、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル社製:TB-200)で測定した帯電量をQ1とし、ランニング後の現像剤中のトナーをブローオフ装置により除去して得たキャリアについて、同様の方法で測定した帯電量をQ2としたときの、|Q1-Q2|をいう。
以下の評価基準に基づき評価を行った。A、B、Cは、実用可能レベルとし、Dは実用可能レベルでないとして、評価結果を表1に示す。
(評価基準)
A:帯電量変化量が10μc/g未満
B:帯電量変化量が10μc/g以上、15μc/g未満
C:帯電量変化量が15μc/g以上、20μc/g未満
D:帯電量変化量が20μc/g以上
表1より、実施例1~5においては、着色度、帯電安定性のいずれも実用可能レベルであった。これに対して、比較例1~4においては、着色度、帯電安定性の少なくとも1つが実用可能レベルを満たしていなかった。
Figure 2023070950000002
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
特開2008-70466号公報

Claims (5)

  1. 着色剤と、結着樹脂と、ワックスとを含むトナー粒子の製造方法であって、
    前記結着樹脂は、1種以上の樹脂を含み、
    少なくとも前記着色剤と、1種以上の前記樹脂と、前記ワックスとを含むトナー用マスターバッチを作製する工程と、
    有機溶媒に前記トナー用マスターバッチを溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、
    前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、前記油相の微粒子が分散した水中油型分散液を得る工程と、
    前記水中油型分散液に凝集剤を添加し、前記微粒子を凝集させる工程とを含み、
    前記着色剤は、C.I.Pigment Yellow 185であり、
    前記凝集剤は、金属塩であることを特徴とする、トナー粒子の製造方法。
  2. 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記金属塩が、2価以上の金属の塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記結着樹脂が、プレポリマーと、前記プレポリマーを少なくとも架橋又は伸長反応させて得られる樹脂とを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 前記油相を作製する工程において、前記有機溶媒にプレポリマーと、前記プレポリマーを少なくとも架橋又は伸長反応させて得られる樹脂とを添加することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
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