JP2022134262A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Kazuoki Fuwa
慎也 中山
Shinya Nakayama
裕士 山下
Yuji Yamashita
庸泰 長友
Nobuyasu Nagatomo
甲介 佐藤
Kosuke Sato
純一 渡邊
Junichi Watanabe
由花 溝口
Yuka Mizoguchi
俊彦 杉山
Toshihiko Sugiyama
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Abstract

【課題】界面活性剤の使用量を低減しつつも、低温定着性及び高温定着性が良好であり、かつ画像形成時の点状の異常画像の発生が抑制されたトナー粒子を製造することができるトナー粒子の製造方法の提供。【解決手段】a)少なくともポリエステル樹脂とプレポリマーとを有機溶媒に溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、b)前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、水中油型分散液を得る工程と、c)前記水中油型分散液中の微粒子を凝集させる工程と、を含むトナー粒子の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、トナー粒子の製造方法に関する。
近年、トナーには環境への負荷低減が求められている。その対応として、例えばトナー自体の低温定着性向上による消費電力の低減や、トナーの製造工程で使用するエネルギーや薬剤の低減などが検討されている。
トナーの低温定着性を向上させる方法としては、樹脂のガラス転移温度や軟化点を下げたり、結晶性樹脂を添加する方法などが広く知られている。しかし、トナーの熱特性を下げると高温側の定着性が悪化することから、高温側でも定着性を維持するために高分子の樹脂を添加したり、製造時にプレポリマーを添加してトナー粒子形成後に重合させる手段などが提案されている。
また、トナーの製造方法としては粉砕法が広く使われていたが、製造で使用するエネルギーが多い上にトナー小径化の流れもあり、懸濁重合などのケミカルトナーも主流になってきている。
トナー製造時の薬剤低減の方法の一つとして、界面活性剤を低減できる転相乳化法が知られている。また、先述したように高温側の定着性を維持する方法として、製造時にプレポリマーを添加して、トナー粒子形成後に重合させる方法が知られている。
これまでに、これらの方法を組み合わせて、界面活性剤の使用量を抑えつつも定着性の良好なトナーを製造することができるトナーの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、界面活性剤の使用量を低減しつつも、低温定着性及び高温定着性が良好であり、かつ画像形成時の点状の異常画像の発生が抑制されたトナー粒子を製造することができるトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のトナー粒子の製造方法は、a)少なくともポリエステル樹脂とプレポリマーとを有機溶媒に溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、b)前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、水中油型分散液を得る工程と、c)前記水中油型分散液中の微粒子を凝集させる工程と、を含むことを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
本発明によれば、界面活性剤の使用量を低減しつつも、低温定着性及び高温定着性が良好であり、かつ画像形成時の点状の異常画像の発生が抑制されたトナー粒子を製造することができるトナー粒子の製造方法を提供することができる。
(トナー粒子の製造方法)
本発明のトナー粒子の製造方法は、a)少なくともポリエステル樹脂とプレポリマーとを有機溶媒に溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、b)前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、水中油型分散液を得る工程と、c)前記水中油型分散液中の微粒子を凝集させる工程と、を含むことを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
本発明のトナー粒子の製造方法は、少なくとも、油相作製工程(工程a)、転相乳化工程(工程b)、凝集工程(工程c)を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明のトナー粒子の製造方法は、先行技術である特許文献1(特開2000-194160号公報)に記載のトナーの製造方法では、界面活性剤の使用量を抑えつつも定着性の良好なトナーを製造することができるが、この方法で製造されたトナーを電子写真で出力すると、画像上に点状の異常画像が発生してしまうという問題を知見したことに基づくものである。
本発明者らが見出した前記問題について検討した結果、従来のトナーの製造方法では、油相中にプレポリマーを添加して転相乳化でトナーを製造する際に、プレポリマーの分散が偏ることで、プレポリマーが伸長した樹脂だけの粒子が形成してしまい、定着時にその粒子が溶け残ることにより画像上に点状の異常画像が発生することがわかった。
本発明者らは、本発明のトナー粒子の製造方法が、従来技術の前記問題を解決でき、前記課題を達成できることを見出した。
前記油相作製工程(工程a)において、プレポリマーを添加することによりトナー粒子の高温定着性を維持することができ、前記転相乳化工程(工程b)によって界面活性剤の使用量を低減した造粒が可能となり、前記凝集工程(工程c)によって、仮にプレポリマーのみの粒子が発生したとしても、それらの微粒子を凝集させることで、得られるトナー粒子としてはポリエステル樹脂やプレポリマーの偏りがないものとなり、結果として画像上の点状の異常画像も解消されるという技術的効果が得られることを見出した。また、プレポリマーが内部に分散されている構造となるため、ポリエステル樹脂の低温定着性も確保でき、トナーとしても低温定着性が良好となる。
<工程a:油相作製工程>
前記油相作製工程は、少なくともポリエステル樹脂とプレポリマー(「活性水素基含有化合物と反応可能な基を有するポリエステル樹脂」とも称する)とを有機溶媒に溶解又は分散させた油相を作製する工程である。
前記油相作製工程で使用するトナー材料(油相材料)としては、少なくともポリエステル樹脂とプレポリマーとを含み、更に必要に応じて、着色剤、帯電制御剤などのその他の材料を含む。
前記トナー材料を前記有機溶媒に溶解又は分散させる方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜公知の方法を選択することができ、例えば、ホモミキサーやビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いて溶解又は分散させることができる。例えばホモミキサーであれば、0℃~30℃、6,000rpm~12,000rpm、30分間~120分間にて撹拌することが好ましい。
-ポリエステル樹脂-
前記ポリエステル樹脂としては、ポリエステル骨格のみを有するポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂と他の骨格を有する樹脂とのブロックポリマーなどが挙げられる。電子写真における静電潜像現像用トナーとして用いる場合には、ポリエステル骨格を有する樹脂を用いることにより良好な定着性が得られる。これらの中でも、トナー粒子における均一性が高い点で、ポリエステル樹脂が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量分布で、1,000~30,000が好ましく、3,000~15,000がより好ましく、5,000~12,000が更に好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満では耐熱保存性が悪化し、30,000を超えると静電潜像現像用トナーとしては低温定着性が悪化することがある。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、35℃~80℃が好ましく、40℃~70℃がより好ましく、45℃~65℃が更に好ましい。
前記Tgが、35℃未満では得られるトナー粒子が真夏などの高温環境下に置かれたときに変形する、あるいはトナー粒子同士がくっついてしまい本来の粒子としての振る舞いができなくなる可能性がある。また前記Tgが、80℃を超えるような場合、トナー粒子を静電潜像現像用トナーとして用いる場合定着性が悪化する。
--非晶性ポリエステル樹脂--
前記非晶性ポリエステル樹脂(以下、「非晶性ポリエステル」、「非晶質ポリエステル」、「非晶質ポリエステル樹脂」、「未変性ポリエステル樹脂」と称することがある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラクトン類の開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の縮重合物、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物などが挙げられる。これらの中でも、設計の自由度の観点からポリオールとポリカルボン酸との重縮合物が好ましい。
なお、本発明において非晶性ポリエステル樹脂とは、上記のごとく、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られるものを指し、ポリエステル樹脂を変性したもの、例えば、前記プレポリマー、及びそのプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させて得られる変性ポリエステル樹脂は、本発明においては前記非晶性ポリエステル樹脂には含めず、変性ポリエステル樹脂として扱う。
前記非晶質ポリエステルは、テトラヒドロフラン(THF)に可溶なポリエステル樹脂成分である。
--ポリオール--
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のポリオールが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、ジオール単独、又はジオールと少量の3価以上のポリオールの混合物が好ましい。
前記ジオールとしては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、4,4’-ジヒドロキシビフェニル類、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル類、前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどが挙げられる。
前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
前記4,4’-ジヒドロキシビフェニル類としては、例えば、3,3’-ジフルオロ-4,4’-ジヒドロキシビフェニルなどが挙げられる。
前記ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類としては、例えば、ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1-フェニル-1,1-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2-ビス(3-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;
前記ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)エーテルなどが挙げられる。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2~12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2~12のアルキレングリコールとの併用がより好ましい。
前記3価以上のアルコールとしては、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のフェノール類、前記3価以上のフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
前記3価以上のフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
--ポリカルボン酸--
前記ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、ジカルボン酸単独、又はジカルボン酸と少量の3価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等);3-フルオロイソフタル酸、2-フルオロイソフタル酸、2-フルオロテレフタル酸、2,4,5,6-テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6-テトラフルオロテレフタル酸、5-トリフルオロメチルイソフタル酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-3,3’-ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸としては、例えば、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)などが挙げられる。
なお、ポリカルボン酸としては、上述したポリカルボン酸の酸無水物、又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ポリオールと前記ポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、2/1~1/2が好ましく、1.5/1~1/1.5がより好ましく、1.3/1~1/1.3が更に好ましい。
-プレポリマー-
前記プレポリマーは、活性水素基含有化合物と反応可能な基を有するポリエステル樹脂であり、「ポリエステルプレポリマー」、「反応性前駆体」と称することがある。
前記プレポリマーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記活性水素基と反応可能な基としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基などが挙げられる。これらの中でも、前記非晶質ポリエステル樹脂にウレタン結合又はウレア結合を導入可能な点で、イソシアネート基が好ましい。
前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物などが挙げられる。
前記活性水素基を有するポリエステル樹脂は、例えば、ジオールと、ジカルボン酸と、3価以上のポリオール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかと重縮合することにより得られる。前記3価以上のポリオール及び前記3価以上のカルボン酸は、前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂に分岐構造を付与する。
前記プレポリマーは、3価以上のポリオール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかによって付与される分岐構造を有していてもよい。
前記変性ポリエステル樹脂(「変性ポリエステル」と称することがある)は、前記プレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させて得られ、例えば、前記プレポリマーと、前記活性水素基含有化合物との反応生成物などが挙げられる。
前記変性ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)に不溶なポリエステル樹脂である。テトラヒドロフラン(THF)に不溶なポリエステル樹脂成分は、Tgや溶融粘性を低下させ、低温定着性を担保しつつ、分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造となるため、低温で変形するが流動しないというゴム的な性質を有することになる。
前記変性ポリエステル樹脂は、活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有するため、これらの部位が擬似架橋点のような挙動を示し、前記プレポリマーのゴム的性質が強くなり、耐熱保存性、耐高温オフセット性に優れたトナーを作製することができる。
--ポリオール--
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のポリオールが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、ジオール単独、又はジオールと少量の3価以上のポリオールの混合物が好ましい。
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記プレポリマーのガラス転移点を20℃以下に制御する観点から、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の炭素数3以上10以下の脂肪族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましく、樹脂中のアルコール成分の50mol%以上使用することがより好ましい。
前記プレポリマーは非晶性のポリエステル樹脂であることが好ましく、前記プレポリマーの樹脂鎖に立体障害を持たせることで定着時の溶融粘度が低下し、低温定着性がより発現しやすくなる。このため、前記脂肪族ジオールの主鎖は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2022134262000001
ただし、前記一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、nは3~9の奇数を表し、n個の繰り返し単位において、R及びRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
ここで、前記脂肪族ジオールの主鎖とは、前記脂肪族ジオールが有する二つのヒドロキシル基間を最短数で結ばれた炭素鎖のことである。前記主鎖の炭素数は奇数である場合、偶奇性により結晶性が低下する点で好ましい。また、少なくとも1つ以上の炭素数1~3のアルキル基を側鎖に有する場合、立体性により主鎖分子間の相互作用エネルギーが低下する点でより好ましい。
前記3価以上のポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3価以上の脂肪族アルコール;トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の3価以上のポリフェノール類;3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等の3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
--ポリカルボン酸--
前記ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、ジカルボン酸単独、又はジカルボン酸と少量の3価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;これらの無水物や低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物、ハロゲン化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記プレポリマーのTgを20℃以下に制御する観点から、炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、樹脂中のカルボン酸成分の50質量%以上使用することがより好ましい。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、3価以上の芳香族カルボン酸;れらの無水物や、低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物、ハロゲン化物などが挙げられる。これらの中でも、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9以上20以下の3価以上の芳香族カルボン酸が好ましい。
--ポリイソシアネート--
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のイソシアネートなどが挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3-及び/又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類;これらのイソシアネートの変性物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-及び2,6-ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5~20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-及びp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
前記3価以上のポリイソシアヌレート類としては、例えば、リジントリイソシアネート、3価以上のアルコールのジイソシアネート変性物などが挙げられる。
前記イソシアネートの変性物としては、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
-その他のトナー材料(油相材料)-
--着色剤--
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の染料及び顔料を適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、1質量部~15質量部が好ましく、3質量部~10質量部がより好ましい。
--帯電制御剤--
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
前記帯電制御剤の市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP-51、含金属アゾ染料のボントロンS-34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE-82、サリチル酸系金属錯体のE-84、フェノール系縮合物のE-89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP-302、TP-415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、LRA-901、ホウ素錯体であるLR-147(以上、日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料;スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の含有量としては、性能を発現し定着性などへの阻害がない範囲の量で用いられればよく、一義的に限定されるものではないが、前記トナー総量に対して、0.5質量%~5質量%が好ましく、0.8質量%~3質量%がより好ましい。
-有機溶媒-
前記有機溶媒としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と略記することがある)、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、有機溶媒に溶解又は分散させる樹脂がポリエステル樹脂である場合、溶解性が高い点で、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系の溶媒、又はメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系の溶媒が好ましく、溶媒除去性の高い点で、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトンがより好ましい。
<工程b:転相乳化工程>
前記転相乳化工程は、前記油相作製工程において得られた前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、水中油型分散液を得る工程である。これにより、油中水型の溶解液又は分散液である油相が水中油型分散液に転相乳化する。
また、樹脂中のカルボキシル基を解離させて、樹脂の分散性を上げるため、前記油相にアンモニア水溶液などのアルカリ性の水系媒体を添加して中和率が100%~700%となるように中和した後、水などの水系媒体を添加して転相乳化させ、水中油型分散液を得ることが好ましい。
前記転相乳化工程により、水系媒体中にトナー材料からなる微粒子が分散した水中油型分散液を得ることができる。
前記水系媒体としては、転相乳化が生じれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶媒、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。
前記水と混和可能な溶媒としては、転相乳化が生じれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類、低級ケトン類などが挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどが挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
前記水系媒体を添加する量としては、転相乳化が生じれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記油相100質量部に対し、150質量部~300質量部が好ましい。
前記油相が油中水型の溶解液又は分散液から水中油型分散液に転相乳化したことは、光学顕微鏡での観察により確認できる。
<<脱溶媒工程>>
前記脱溶媒工程は、前記水中油型分散液から前記有機溶媒を除去する工程である。
前記水中油型分散液から前記有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の脱溶媒方法を選択することができ、例えば、前記水中油型分散液全体を撹拌しながら徐々に昇温し、トナー材料からなる微粒子(液滴)中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法;トナー材料からなる微粒子を含む分散体を撹拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶媒を完全に除去する方法;トナー材料からなる微粒子を含む分散体を撹拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去する方法;などが挙げられる。後者2つの方法は、最初の方法と併用することも可能である。
トナー材料からなる微粒子が噴霧される乾燥雰囲気としては、例えば、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体などが挙げられる。これらの中でも、使用した有機溶媒の中で最高沸点を示すものの沸点以上の温度に加熱された各種気流が好ましい。
前記乾燥する手段(乾燥手段)としては、例えば、スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどが挙げられ、前記乾燥手段の短時間の処理により十分目的とする品質の微粒子の分散液を得ることができる。
<工程c:凝集工程>
前記凝集工程は、前記水中油型分散液中の微粒子を凝集させる工程であり、前記水中油型分散液中の微粒子を加熱して撹拌しながら凝集させることが好ましい。これにより、任意の粒径になるまで微粒子を凝集させた、トナー粒子(凝集粒子)を得ることができる。
前記微粒子を凝集させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の方法を選択することができ、例えば、凝集剤を添加する方法;pH調整を行う方法などが挙げられる。凝集剤を添加する場合、そのまま添加してもよいが、局所的な高濃度化を避けることができる点で、凝集剤の水溶液を添加することが好ましい。また、凝集剤は、微粒子の粒径を見ながら、徐々に添加することが好ましい。
前記凝集工程における前記水中油型分散液の温度としては、前記ポリエステル樹脂のTgに対し、(Tg-10℃)~(Tg+10℃)が好ましく、(Tg-5℃)~(Tg+5℃)が好ましい。前記温度が低すぎると凝集があまり進まないため効率が悪く、前記温度が高すぎると凝集速度が速くなり、粗大粒子が発生するなど粒径分布が悪化する。
所望の粒径に達したら、凝集を停止させる。凝集を停止させる方法としては、例えば、イオン価数の低い塩やキレート剤を添加する方法、pHを調整する方法、分散液の温度を下げる方法、水系媒体を多量に添加して濃度を薄める方法などが挙げられる。
前記凝集工程においては、離型剤としてワックスを添加したり、低温定着性のために結晶性ポリエステル樹脂を添加してもよい。その場合、ワックスを水系媒体に分散させた分散液や、同様に結晶性樹脂の分散液を用意し、前記トナー材料からなる微粒子を含む水中油型分散液と混合した上で凝集させていくことにより、微粒子表面に均一にワックスや結晶性樹脂が分散した凝集粒子を得ることができる。
以下、凝集剤、ワックス、及び結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
-凝集剤-
凝集剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の凝集剤を選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウム等の1価の金属の金属塩;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属の金属塩;鉄、アルミニウム等の3価の金属の金属塩などが挙げられる。
-ワックス-
前記ワックス(離型剤)としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、天然ワックス、合成ワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記天然ワックスとしては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックスなどが挙げられる。
前記合成ワックスとしては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル、12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド系化合物;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ-n-ステアリルメタクリレート、ポリ-n-ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n-ステアリルアクリレート-エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子などが挙げられる。
これらの中でも、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系ワックスが好ましい。
前記ワックスの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃~120℃が好ましく、60℃~90℃がより好ましい。融点が、50℃以上であれば、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えるのを防止でき、120℃以下であれば、低温での定着時にコールドオフセットを起こすという問題を有効に防止できる。50℃~120℃の低融点のワックスは、前記結晶性ポリエステル樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好となる。
前記ワックスの溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps~1,000cpsが好ましく、10cps~100cpsがより好ましい。溶融粘度が、5cps以上であれば、離型性の低下を防止でき、1,000cps以下であれば、耐ホットオフセット性、低温定着性の効果が十分発揮できる。
前記ワックスの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー総量に対して、0質量%~40質量%が好ましく、3質量%~30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%以下であれば、トナーの流動性悪化を防止することができる。
-結晶性ポリエステル樹脂-
前記結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性ポリエステル」とも称する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
なお、本発明において結晶性ポリエステル樹脂とは、上記のごとく、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られるものを指し、ポリエステル樹脂を変性したもの、例えば、前記プレポリマー、及びそのプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させて得られる樹脂は、前記結晶性ポリエステル樹脂には属さない。
--ポリオール--
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコールが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ジオールとしては、例えば、飽和脂肪族ジオールなどが挙げられる。
前記飽和脂肪族ジオールとしては、直鎖飽和脂肪族ジオール、分岐飽和脂肪族ジオールが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、結晶性を向上させ、かつ融点の低下を防ぐことができる点から、直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールがより好ましい。
前記飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンジオールなどが挙げられる。
これらの中でも、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が高く、シャープメルト性に優れる点で、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましい。
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
--ポリカルボン酸--
前記ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、更に、これらの無水物やこれらの低級(炭素数1~3)アルキルエステルも挙げられる。
前記3価以上のポリカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、及びこれらの無水物やこれらの低級(炭素数1~3)アルキルエステルなどが挙げられる。
前記ポリカルボン酸としては、前記飽和脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸が含まれていてもよい。更に、前記飽和脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸を含有してもよい。 これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数4~12の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2~12の直鎖飽和脂肪族ジオールとから構成されることが好ましい。これにより、結晶性が高く、シャープメルト性に優れるため、優れた低温定着性を発揮できる。
また、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性及び軟化点を制御する方法として、ポリエステル合成時にアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールや、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行った非線状ポリエステルなどを設計、使用するなどの方法が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができるが、簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1もしくは990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを結晶性ポリエステル樹脂として検出する方法が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、上記の分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れ、分子量が低い成分が多いと耐熱保存性が悪化するという観点から、鋭意検討した結果、o-ジクロロベンゼンの可溶分のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5~4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)が3,000~30,000、数平均分子量(Mn)が1,000~10,000、Mw/Mnが1~10であることが好ましい。
更には、前記重量平均分子量(Mw)が5,000~15,000、前記数平均分子量(Mn)が2,000~10,000、前記Mw/Mnが1~5であることがより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紙と樹脂との親和性の観点から、所望の低温定着性を達成するためには、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましい。一方、耐高温オフセット性を向上させるには、45mgKOH/g以下が好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、所望の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには、0mgKOH/g~50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g~50mgKOH/gがより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃~80℃が好ましい。前記融点が、60℃以上であると、結晶性ポリエステル樹脂が低温で溶融しやすく、トナーの耐熱保存性が低下する不具合を防止でき、80℃以下であると、定着時の加熱による結晶性ポリエステル樹脂の溶融が不十分で、低温定着性が低下するという不具合を防止できる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー総量に対して、4質量%~30質量%が好ましく、5質量%~25質量%がより好ましい。前記含有量が、4質量%以上であると、結晶性ポリエステル樹脂によるシャープメルト化が不十分なため低温定着性に劣るという不具合を防止できる。また、30質量%以下であると、高温下での凝集性や付着性が悪化するという不具合を防止できる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、前述した脱溶媒工程や、融着工程、洗浄及び乾燥工程、アニーリング工程、外添工程などが挙げられる。
<<融着工程>>
前記融着工程は、前記凝集工程において得られた前記凝集粒子を熱処理によって融着させる工程であり、前記凝集粒子の分散液を撹拌しながら加熱することが好ましい。これにより、前記凝集粒子の表面の凹凸を低減した融着粒子を得ることができる。
前記凝集粒子を熱処理する際の温度としては、前記ポリエステル樹脂のTgを超えた温度付近(Tg超、かつTg+15℃以下)が好ましい。
前記融着粒子の平均円形度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.940~0.985が好ましく、0.950~0.975がより好ましい。
<<洗浄及び乾燥工程>>
前記洗浄及び乾燥工程は、前記凝集工程において得られた前記凝集粒子乃至前記融着工程において得られた前記融着粒子を洗浄及び乾燥してトナー粒子を得る工程である。
上記の方法で得られた微粒子の分散液には、トナー材料からなる微粒子のほかに凝集塩などの副材料が含まれるため、分散液からトナー粒子のみを取り出すために洗浄及び乾燥を行うことが好ましい。
前記洗浄する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などが挙げられる。いずれの方法によってもトナー粒子のケーキ体が得られるが、一度の操作で十分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶媒に分散させてスラリーにし、上記のいずれかの方法でトナー粒子を取り出す工程を繰り返してもよい。減圧濾過法やフィルタープレス法によって洗浄を行う場合は、水系溶媒をケーキに貫通させてトナー粒子に含まれる副材料を洗い流す方法を採ってもよい。
前記洗浄に用いる水系溶媒としては、例えば、水あるいは水にメタノール、エタノールなどのアルコールを混合した混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、コストや排水処理などによる環境負荷を考えると、水が好ましい。
前記洗浄により得られたトナー粒子は、水系媒体を多く含むため、乾燥を行い、水系媒体を除去することによりトナー粒子のみを得ることができる。
前記乾燥する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などの乾燥機を使用して乾燥する方法が挙げられる。
前記乾燥は、乾燥されたトナー粒子における水分の含有量が最終的に1%未満になるまで行うことが好ましい。
また、乾燥後のトナー粒子が軟凝集をしており使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を利用して解砕を行い、軟凝集をほぐしてもよい。
<<アニーリング工程>>
前記アニーリング工程は、前記凝集工程において結晶性ポリエステル樹脂を添加した場合に、前記乾燥工程後に行う工程であり、前記トナー粒子を前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)付近の温度で10時間以上保管する工程である。これにより、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とが相分離し、定着性が向上する。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)付近の温度としては、(Tg-15℃)~(Tg+5℃)が好ましい。
<<外添工程>>
前記外添工程は、前記トナー粒子に外添剤を添加及び混合する工程である。
前記トナー粒子に前記外添剤を添加及び混合することにより、得られるトナー粒子に、流動性、帯電性、クリーニング性などを持たせることができる。
前記混合する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。
前記混合する手段としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
-外添剤-
前記外添剤としては、例えば、無機微粒子、高分子系微粒子、クリーニング助剤などが挙げられる。
--無機微粒子--
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm~2μmが好ましく、5nm~500nmがより好ましい。
前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20m/g~500m/gが好ましい。
前記無機微粒子の含有量としては、前記トナー総量に対し、0.01質量%~5質量%が好ましい。
--高分子系微粒子--
前記高分子系微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。
--流動性向上剤--
前記流動性向上剤としては、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記シリカ、前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用することが特に好ましい。
--クリーニング性向上剤--
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。
前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm~1μmのものが好適である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
<ポリエステル樹脂1の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ジオール成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物/ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3mol付加物(モル比40/60)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸/アジピン酸(モル比85/15)、全モノマー量に対して3.5mol%のトリメチロールプロパンを、水酸基とカルボン酸のモル比(OH/COOH)が1.2となるように投入した。更に、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチルを全モノマー量に対して1,000ppmを入れ、窒素気流下にて2時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。その後、5mmHg~15mmHgの減圧下にて4時間反応させ、180℃まで冷却させた後、全モノマー量に対して1.0mol%の無水トリメリット酸と、全モノマー量に対して200ppmのオルトチタン酸テトラブチルを入れ、常圧にて180℃で1時間反応させた後、更に5mmHg~20mmHgの減圧下にて3時間反応させ、DSCによる昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移点(Tg)が57℃、重量平均分子量が7,700の[ポリエステル樹脂1]を得た。
<プレポリマー1の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ジオール成分として3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸/アジピン酸(モル比55/45)、全モノマー量に対して1.0mol%のトリメチロールプロパン、全モノマー量に対して0.5mol%の無水トリメリット酸を、水酸基とカルボン酸のモル比(OH/COOH)が1.5となるように投入した。更に、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチルを全モノマー量に対して1,000ppmを入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃まで昇温し、更に2時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら3時間反応させた。その後、5mmHg~15mmHgの減圧下にて5時間反応させ、重量平均分子量が18,000の[中間体ポリエステル1]を得た。
次いで、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル1]と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を、IPDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル1]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.0となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて80℃まで昇温して5時間反応させ、[プレポリマー1]の酢酸エチル溶液を得た。
得られた[プレポリマー1]のアミン伸長物のDSCによる昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移点は-37℃であった。
[プレポリマー1]のアミン伸長物を、以下の手順により得た。まず[プレポリマー1]が20%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて調整し、撹拌しながらイソホロンジアミン(IPDA)の20%酢酸エチル溶液を、[プレポリマー1]のイソシアネート基とIPDAのアミノ基のモル比(NH/NCO)が1.1となる量を滴下し、十分に撹拌した。
得られた[プレポリマー1]のアミン伸長物の酢酸エチル溶液を、テフロン(登録商標)シャーレ上にキャストし、80℃の環境下で10時間乾燥し、更に120℃、10kPa以下の環境下で減圧乾燥し、十分に溶媒を除去し、[プレポリマー1]のアミン伸長物を得た。
<プレポリマー2の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ジオール成分として1,6ーヘキサンジオール、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸/アジピン酸(モル比55/45)、全モノマー量に対して1.0mol%のトリメチロールプロパン、全モノマー量に対して0.5mol%の無水トリメリット酸を、水酸基とカルボン酸のモル比(OH/COOH)が1.5となるように投入した。更に、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチルを全モノマー量に対して1,000ppmを入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃まで昇温し、更に2時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら3時間反応させた。その後、5mmHg~15mmHgの減圧下にて5時間反応させ、重量平均分子量が18,000の[中間体ポリエステル2]を得た。
次いで、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル2]と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を、IPDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル2]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.0となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて80℃まで昇温して5時間反応させ、[プレポリマー2]の酢酸エチル溶液を得た。
得られた[プレポリマー2]のアミン伸長物の酢酸エチル溶液を、テフロン(登録商標)シャーレ上にキャストし、80℃の環境下で10時間乾燥し、更に120℃、10kPa以下の環境下で減圧乾燥し、十分に溶媒を除去し、[プレポリマー2]のアミン伸長物を得た。
得られた[プレポリマー2]のアミン伸長物のDSCによる昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移点は-5℃であった。
<プレポリマー3の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ジオール成分として3-メチル-1,5-ペンタンジオール/ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(モル比20/80)、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸/アジピン酸(モル比60/40)、全モノマー量に対して0.5mol%の無水トリメリット酸を、水酸基とカルボン酸のモル比(OH/COOH)が1.2となるように投入した。更に、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチルを全モノマー量に対して1,000ppmを入れ、窒素気流下にて2時間かけて200℃まで昇温し、更に2時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら3時間反応させた。その後、5mmHg~15mmHgの減圧下にて5時間反応させ、重量平均分子量が18,000の[中間体ポリエステル3]を得た。
次いで、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、[中間体ポリエステル2]と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を、IPDIのイソシアネート基と[中間体ポリエステル3]の水酸基のモル比(NCO/OH)が、2.0となる量を入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて80℃まで昇温して5時間反応させ、[プレポリマー3]の酢酸エチル溶液を得た。
得られた[プレポリマー3]のアミン伸長物の酢酸エチル溶液を、テフロン(登録商標)シャーレ上にキャストし、80℃の環境下で10時間乾燥し、更に120℃、10kPa以下の環境下で減圧乾燥し、十分に溶媒を除去し、[プレポリマー3]のアミン伸長物を得た。
得られた[プレポリマー3]のアミン伸長物のDSCによる昇温1回目のDSC曲線から求められるガラス転移点は5℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液C-1aの作製>
<<結晶性ポリエステル樹脂C-1の合成>>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとセバシン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1となるように仕込んだ。仕込んだ原料の質量に対して500ppmのチタンテトライソプロポキシドとともに水を流出させながら反応させ、最終的に235℃に昇温して1時間反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下で6時間反応させた。その後、185℃に設定し、無水トリメリット酸をCOOH基とのモル比が0.053となるように添加し、撹拌しながら2時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C-1]を得た。
四つ口フラスコに、[結晶性ポリエステル樹脂C-1](55質量部)、メチルエチルケトン(35質量部)、及び2-プロピルアルコール(10質量部)を加えた。その後、[結晶性ポリエステル樹脂C-1]の融点温度で加熱しながら撹拌し、上記結晶性ポリエステル樹脂を溶解させた。その後、28質量%アンモニア水溶液を、中和率200%になるように添加した。中和率は、結晶性ポリエステル樹脂の酸価から計算した。さらに、イオン交換水(130質量部)を徐々に加えて、転相乳化を行った後、脱溶媒を行った。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度(結晶性ポリエステル樹脂の濃度)を25質量%に調整し、トナー用結着樹脂分散物である[結晶性ポリエステル樹脂の分散液C-1a]を得た。[結晶性ポリエステル樹脂の分散液C-1a]の結晶性ポリエステル樹脂の粒径は250nm、融点は65℃であった。
<WAXエマルジョン1の作製>
イオン交換水100質量部に、ワックスとしてパラフィンワックス(HNP-9、日本精蝋株式会社製)28質量部、界面活性剤としてサニゾールB50を添加した。これを90℃に加熱しながらホモジナイザーで分散処理し、[WAXエマルジョン1]を得た。固形分濃度は、30質量%であった。
(実施例1)
<トナーの作製>
<<油相作製工程、転相乳化工程>>
四つ口フラスコに、[ポリエステル樹脂1]100質量部、[プレポリマー1]10質量部、カーボンブラック(REGAL 400R、キャボット社製)10質量部に、酢酸エチル120質量部を加えてホモミキサー(プライミクス社製)を用いて10℃、8,000rpm、60分間にて撹拌し、溶解及び分散させて油相を作製した。
その後、撹拌しながら28質量%アンモニア水溶液を添加して中和率400%になるように油相を中和した。更に、イオン交換水340質量部を徐々に加えて転相乳化を行った。その後、脱溶媒を行い、[スラリー1]を得た。[スラリー1]の粒径を測定したところ、0.50μmであった。また固形分濃度を測定したところ、23.0質量%であった。
<<凝集工程、融着工程>>
[スラリー1]100質量部、[結晶性ポリエステル樹脂分散液C-1a]6.0質量部、[WAXエマルジョン1]5.0質量部、イオン交換水300質量部を容器に入れて1分間撹拌した。次に、3質量%塩化マグネシウム溶液100質量部を滴下して更に5分撹拌した後、60℃に昇温した。その後、粒径が5.0μmなったところで塩化ナトリウムを50質量部添加して凝集工程を終了し、凝集スラリー1を得た。
そのまま凝集スラリー1を撹拌しながら70℃に加熱して微粒子を融着させ、所望の円形度である0.957になったところで冷却し、[トナー分散液1]を得た。
<<洗浄及び乾燥工程、アニーリング工程>>
[トナー分散液1]を、45℃で10時間保管した後に減圧濾過し、以下のように洗浄と乾燥を行った。
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した後濾過して、[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、45℃で10時間のアニーリング処理を行い、[着色樹脂粒子1]を得た。
<<外添工程>>
[着色樹脂粒子1]100質量部に対して無機微粒子であるヒュームドシリカ(CAB-O-SIL(登録商標)TS-530、キャボット社製)を2.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーで40m/sで10分間混合処理し、実施例1のトナーを得た。
(実施例2)
実施例1の油相作製工程及び転送乳化工程において、使用する有機溶媒を酢酸エチルからメチルエチルケトン(MEK)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。
(実施例3)
実施例1において、使用する[プレポリマー1]を[プレポリマー2]に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。
(実施例4)
実施例1において、使用する[プレポリマー1]を[プレポリマー3]に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のトナーを得た。
(比較例1)
実施例1において、プレポリマーを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
(比較例2)
実施例1において、転相乳化後に得られるスラリーの粒径が5.0μmになるように有機溶媒の添加量及び撹拌条件などを調整し、凝集工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。
後述する点状の異常画像の評価を実施したところ、点状の異常画像が多数見られた。異常画像部分の中央には溶け残った粒子が存在しており、その粒子を顕微IRで分析するとプレポリマーが伸長したものから構成されていることが確認された。
(比較例3)
実施例2において、転相乳化後に得られるスラリーの粒径が5.0μmになるように有機溶媒の添加量及び撹拌条件などを調整し、凝集工程を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較例3のトナーを得た。
後述する点状の異常画像の評価を実施したところ、点状の異常画像が多数見られた。異常画像部分の中央には溶け残った粒子が存在しており、その粒子を顕微IRで分析するとプレポリマーが伸長したものから構成されていることが確認された。
<評価>
作製した実施例1~3及び比較例1~3のトナーについて、以下のように評価した。結果を表1に示す。
<<点状の異常画像>>
カラー複合機(imagio MP C4500、株式会社リコー製)を用いて、23℃、50%RHでベタ画像100枚を出力した。
画像を目視で確認し、点状の異常画像(黒ポチ)が無いか確認し、以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
◎:画像100枚中、点状の異常画像が0個
〇:画像100枚中、点状の異常画像が5個以下
×:画像100枚中、点状の異常画像が6個以上
<<高温定着性>>
カラー複合機(imagio MP C4500、株式会社リコー製)の定着ユニットを用いて、普通紙に0.6mg/cmの黒ベタ未定着画像を形成し、定着温度を変えて定着した。ホットオフセットの発生する温度を測定し、3段階で評価した。
[評価基準]
◎:ホットオフセットの発生する温度が190℃以上
○:ホットオフセットの発生する温度が170℃以上190℃未満
×:ホットオフセットの発生する温度が170℃未満
<<低温定着性>>
カラー複合機(imagio MP C4500、株式会社リコー製)の定着ユニットを用いて、普通紙に0.6mg/cmの黒ベタ未定着画像を形成し、定着温度を変えて定着した。コールドオフセットの発生する温度を測定し、3段階で評価した。
[評価基準]
◎:コールドオフセットの発生する温度が120℃未満
○:コールドオフセットの発生する温度が120℃以上130℃未満
×:コールドオフセットの発生する温度が130℃以上
Figure 2022134262000002
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> a)少なくともポリエステル樹脂とプレポリマーとを有機溶媒に溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、
b)前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、水中油型分散液を得る工程と、
c)前記水中油型分散液中の微粒子を凝集させる工程と、を含むことを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
<2> 前記有機溶媒が酢酸エチルである前記<1>に記載のトナー粒子の製造方法である。
<3> 前記有機溶媒がメチルエチルケトンである前記<1>に記載のトナー粒子の製造方法である。
<4> 前記プレポリマーのTgが0℃以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法である。
前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2000-194160号公報

Claims (4)

  1. a)少なくともポリエステル樹脂とプレポリマーとを有機溶媒に溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、
    b)前記油相に水系媒体を添加して転相乳化させ、水中油型分散液を得る工程と、
    c)前記水中油型分散液中の微粒子を凝集させる工程と、を含むことを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記有機溶媒が酢酸エチルである請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記有機溶媒がメチルエチルケトンである請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記プレポリマーのTgが0℃以下である請求項1から3のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
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