JP2023067849A - 水性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】黒画用紙のような目の粗い暗色紙でも、彩度の高い筆跡が得られる水性インキ組成物を提供する。【解決手段】平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子25重量%以上35重量%以下と、HLB2以上8以下の界面活性剤と、水とより少なくともなる水性インキ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、黒画用紙のような目の粗い暗色紙でも、彩度の高い筆跡が得られる水性インキ組成物に関する。
従来、着色剤に顔料を使用した筆記具で紙面に筆記すると、インキが紙の表面で滲んだり、顔料が紙の中に浸透してしまったりして鮮明な筆跡を得ることができなかったり、紙への浸透速度が油性インキに比べて遅く、筆跡の乾燥が遅かったりした。
これに対し特許文献1では、ホスホン酸基が結合した顔料が紙に含まれるカオリン、クレー、および炭酸カルシウム等の多価金属塩からインキ中に溶出した多価金属イオンと結合することで、着色剤の分散性が低下し、嵩高い凝集体を形成する。この凝集体を形成することで顔料が紙の中に浸透することを抑え、鮮明な筆跡が得られるとされている。またシリコーン系界面活性剤やアセチレングリコール系界面活性剤を使用し紙の中への浸透を速め筆跡乾燥性の向上を図っている。
特許文献2では特定の共重合体を使用することで、インキにせん断が加わった際の粘度が従来と比べ低下し掠れを防止する。更に静置時の粘度を高く保持することが可能となり滲みにくい筆跡が得られるとされている。
特許文献3では酸化チタンや中空粒子を使用し、暗色紙に筆記しても鮮明に認識できるボールペンが記載されており、その際有機顔料や着色樹脂粒子などを併用し、高隠蔽でカラー化したインキも開示されている。
特開2020-196189号公報 特再公表2018-39343号公報 特開2009-185166号公報
しかし特許文献3のように酸化チタンや中空粒子のような顔料と有色顔料を併用すると、その筆跡はパステル調となってしまい有色顔料本来の彩度の高い筆跡は得ることはできなかった。
また特許文献1のホスホン酸基を顔料に結合する方法、特許文献2のせん断減粘性付与剤を使用する方法を施しても、黒画用紙のような目の粗い紙に筆記した場合は、顔料の浸透を抑える効果は十分ではなく、筆跡の視認性は低下してしまう。
本発明は、黒画用紙のような目の粗い暗色紙に筆記しても、彩度の高い筆跡が得られる水性インキ組成物の提供を目的とする。
本発明は、平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子25重量%以上35重量%以下と、HLB2以上8以下の界面活性剤と、水とより少なくともなる水性インキ組成物を第一の要旨とし、水溶性アクリル系樹脂を含むことを第二の要旨とし、前記水溶性アクリル系樹脂の重量平均分子量が4000以上200000以下であることを第三の要旨とし、平均粒径1μm以上5μm以下の非着色樹脂粒子を含むことを第四の要旨とし、酸化チタンを含有し、前記着色樹脂粒子:前記酸化チタンの重量比が10:1~30:1であることを第五の要旨とするものである。
本発明で使用する着色樹脂粒子は平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であり、着色樹脂粒子としては高い光散乱能を有しており、この範囲外の粒径と比べ高い隠蔽力を示す。平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子をインキ中に25重量%以上35重量%以下含むことで酸化チタンや中空粒子を使用しなくても、黒色紙で高い視認性を得ることができる。そして酸化チタンや中空粒子を主たる隠蔽材としないことで、彩度が高い筆跡が得られる。また水に溶けにくく疎水性の強いHLB2以上8以下の界面活性剤を含むことで、インキ中で前記界面活性剤が疎水性の着色樹脂粒子に吸着し、着色樹脂粒子が単分散となりゆるい凝集状態となる。HLB2以上8以下の界面活性剤と平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子のゆるい凝集状態は、筆記時にボールの回転により容易に崩れるので、スムーズに吐出され、吐出後は再び凝集状態となることで、目の粗い黒画用紙に筆記しても紙の中への浸透を抑制し高彩度筆跡が得られる。また、水溶性アクリル系樹脂を着色樹脂粒子25重量%以上35重量%以下の水性インキ組成物に含むことで、水溶性アクリル系樹脂分子が複数の着色樹脂粒子に吸着し、橋かけ凝集が起こることで、更に凝集による紙への浸透防止効果が高くなる。また水溶性アクリル系樹脂の重量平均分子量が4000以上200000以下であると、凝集構造の大きさが適切であり、見掛け粒径の増大による黒画用紙への浸透防止効果とインキ吐出のバランスがとれる。また平均粒径が1μm以上5μm以下の非着色樹脂粒子を使用すると、非着色樹脂粒子が目止め材となり着色樹脂粒子の紙への浸透を抑える効果がより高くなり、黒画用紙に筆記してもより高彩度の筆跡が得られる。
ところで、着色樹脂粒子の屈折率はおおよそ1.5~1.7、水の屈折率はおおよそ1.3、空気の屈折率はおおよそ1.0である。このため着色樹脂粒子をインキ中に25重量%以上35重量%以下添加しても、着色樹脂粒子と水の屈折率の差が小さいので、黒画用紙のような暗色紙に筆記した際、筆跡が乾燥するまで着色樹脂粒子としての隠ぺい力が小さく、それが何色なのか認識しにくい。筆跡が乾燥し水と空気が置換されると、着色樹脂粒子と空気とでは水と比べ屈折率の差が大きくなるので、着色樹脂粒子としての隠ぺい力が発現され筆跡色が認識できるようになる。そこで屈折率がおおよそ2.7の酸化チタンを添加することで、筆跡乾燥前でも筆跡色が認識しやすくなる。その比率である着色樹脂粒子:酸化チタンが、10:1~30:1であれば筆跡の彩度を大きく落とすことがなく、筆跡の乾燥前でも筆跡色が認識しやすくなる。
本発明の水性インキ組成物に使用する着色樹脂粒子は、平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下のものであれば使用できる。着色樹脂粒子の具体例としては、SW-111(レッドオレンジ、平均粒径1.0μm以下)、SW-112(グリーン、平均粒径1.0μm以下)、SW-113(レッド、平均粒径1.0μm以下)、SW-114(オレンジ 、平均粒径1.0μm以下)、SW-115(レモンイエロー 、平均粒径1.0μm以下)、SW-116(オレンジイエロー、平均粒径1.0μm以下)、SW-107(セリーズ、平均粒径1.0μm以下)、SW-117(ピンク、平均粒径1.0μm以下)、SW-127(ローズ、平均粒径1.0μm以下)、SW-137(ルビン、平均粒径1.0μm以下)、SW-147(バイオレット、平均粒径1.0μm以下)、SW-128(ブルー、平均粒径1.0μm以下)(以上、シンロイヒ株式会社)、ルミコールNKW-2101E(赤橙色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2102E(緑色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2103E(赤色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2104E(橙色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2105E(黄色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2106E(黄橙色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2107E(セリーズ、平均粒径0.4μm)、同NKW-2117E(桃色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2127E(ローズ、平均粒径0.4μm)、同NKW-2137E(ルビン、平均粒径0.4μm)、同NKW-2167E(紫色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2108E(青色、平均粒径0.4μm)、同NKW-2109E(蛍光増白、平均粒径0.4μm)、同NKW-6002E(緑色、平均粒径0.1μm)、同NKW-6013E(赤色、平均粒径0.1μm)、同NKW-6004E(橙色、平均粒径0.1μm)、同NKW-6005E(黄色、平均粒径0.1μm)、同NKW-6007E(桃色、平均粒径0.1μm)、同NKW-6047E(マゼンタ、平均粒径0.1μm)、同NKW-6077E(紫色、平均粒径0.1μm)、同NKW-6008E(空色、平均粒径0.1μm)、同NKW-6038E(青色、平均粒径0.1μm)、同NKW-6202E(緑色、平均粒径0.4μm)、同NKW-6203E(赤色、平均粒径0.4μm)、同NKW-6253E(バーガンジー、平均粒径0.4μm)、同NKW-6204E(橙色、平均粒径0.4μm)、同NKW-6205E(黄色、平均粒径0.4μm)、同NKW-6207E(桃色、平均粒径0.4μm)、同NKW-6277E(紫色、平均粒径0.4μm)、同NKW-6258E(青色、平均粒径0.4μm)、NKW-6208E(青色、平均粒径0.4μm)同NKW-6200E(黒色、平均粒径0.4μm)、同NKW-3202E(緑色、平均粒径0.1μm)、同NKW-3203E(赤色、平均粒径0.1μm)、同NKW-3204E(橙色、平均粒径0.1μm)、同NKW-3205E(黄色、平均粒径0.1μm)、同NKW-3207E(桃色、平均粒径0.1μm)、同NKW-3277E(紫色、平均粒径0.1μm)、NKW-3208E(空色、平均粒径0.1μm)(以上、日本蛍光株式会社)などが挙げられる。また非着色樹脂粒子を染料で着色し使用することもできる。これらの着色樹脂粒子は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子の使用量は、インキ組成物全量に対し25重量%以上35重量%以下であることが必要である。平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子の使用量が25重量%未満では目の粗い黒画用紙での発色が十分ではなく、35重量%を超えるとペン先でのつまりや吐出不良を起こし、さらに発色が不十分となる。本明細書における平均粒径は、株式会社島津製作所製ナノ粒子径分布測定装置、SALD-7100(レーザー回折法)にて測定した体積分布基準による平均粒径(体積平均径)である。市販されている樹脂粒子分散液を用いる場合は、樹脂粒子分散液中の固形分量を用いて、樹脂粒子の使用量を計算することができる。
HLB2以上8以下の界面活性剤は、着色樹脂粒子の凝集構造を制御するもので、具体例としては、エマルゲン102KG(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB6.3)、レオドールSP-P10(ソルビタンモノパルミテート、HLB6.7)、レオドールSP-S10V(ソルビタンモノステアレート、HLB4.7)、レオドールSP-S20(ソルビタンジステアレート、HLB4.4)、レオドールSP-S30V(ソルビタントリステアレート、HLB2.1)、レオドールAS-10V(ソルビタンモノステアレート、HLB4.7)、レオドールAO-10V(ソルビタンモノオレエート、HLB4.3)、レオドールAO-15V(ソルビタンセスキオレエート、HLB3.7)、エマゾールP-10V(ソルビタンモノパルミテート、HLB6.7)、エマゾールS-10V(ソルビタンモノステアレート、HLB4.7)、エマゾールO-10V(ソルビタンモノオレエート、HLB4.3)、レオドールMS-50(グリセロールモノステアレート、HLB2.8)、レオドールMS-60(グリセロールモノステアレート、HLB3.5)、レオドールMO-60(グリセロールモノオレエート、HLB2.8)、アミート102(ポリオキシエチレンアルキルアミン、HLB6.3)、アミート302(ポリオキシエチレンアルキルアミン、HLB5.1)、アミノーンPK-02S(アルキルアルカノールアミド、HLB5.5)、アミノーンL-02(アルキルアルカノールアミド、HLB5.8)(以上、花王株式会社製)、NIKKOL MGM(ミリスチン酸グリセリル、HLB3.5)、同MGS-AV(ステアリン酸グリセリル、HLB4.0)、同MGS-AMV(ステアリン酸グリセリル、HLB4.0)、同MGS-ASEV(ステアリン酸グリセリル、HLB6.0)、同MGIS(イソステアリン酸グリセリル、HLB4.0)、同MGO(オレイン酸グリセリル、HLB2.5)、同DGMS(モノステアリン酸ポリグリセリル、HLB5.0)、DGMO-CV(モノオレイン酸ポリグリセリル、HLB5.5)、同DGMIS(モノイソステアリン酸ポリグリセリル、HLB5.5)、同Tetraglyn 1-SV(モノステアリン酸ポリグリセリル、HLB6.0)、同Tetraglyn 1-OV(モノオレイン酸ポリグリセリル、HLB6.0)、同Hexaglyn 3-SV(トリステアリン酸ポリグリセリル、HLB2.5)、同Decaglyn 3-SV(トリステアリン酸デカグリセリル、HLB7.5)、同Decaglyn 3-OV(トリオレイン酸ポリグリセリル、HLB7.0)、Decaglyn5-ISV(ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル、HLB3.5)、同Decaglyn 5-OV(ペンタオレイン酸ポリグリセリル、HLB3.5)、同SP-10V(モノパルミチン酸ソルビタン、HLB6.7)、同SS-10V(モノステアリン酸ソルビタン、HLB4.7)、同SS-15V(セスキステアリン酸ソルビタン、HLB4.7)、同SS-30V(トリステアリン酸ソルビタン、HLB4.2)、同SI-10RV(モノイソステアリン酸ソルビタン、HLB5.0)、同SI-15RV(セスキイソステアリン酸ソルビタン、HLB4.5)、同SO-10V(モノオレイン酸ソルビタン、HLB4.3)、SO-15V(セスキオレイン酸ソルビタン、HLB3.7)、同HCO-5(ポリオキシエチレン高化ヒマシ油、HLB6.0)、同BC-2(ポリオキシエチレンセチルエーテル、HLB8.0)、同BS-2(ポリオキシエチレンステアリルエーテル、HLB8.0)、同BO-2V(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB7.5)、同DDP-2(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、HLB6.5)、同TDP-2(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、HLB7.0)、TDP-6(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、HLB8.0)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、サーフィノール104E(アセチレングリコール、HLB4.0)、同420(アセチレングリコール、HLB4.0)、同440(アセチレングリコール、HLB8.0)、同SE(アセチレングリコール、HLB6.0)、同SE-F(アセチレングリコール、HLB6.0)、同604(アセチレングリコール、HLB8.0)、同607(アセチレングリコール、HLB8.0)、同2502(アセチレングリコール、HLB8.0)、同DF110D(アセチレングリコール、HLB3.0)(以上、日信化学工業(株)製)などが挙げられる。これらは1種、または2種以上混合しても使用することができる。HLB2以上8以下の界面活性剤の使用量はインキ組成物全量に対し0.1重量%以上3.0重量%以下が好ましい。尚、これらの界面活性剤が固体の場合、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール系溶剤に溶解し使用すると効果的に着色樹脂粒子に吸着させることができる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は表面張力低下能が高く、光沢紙やマスキングテープなどインキを吸収しにくい被筆記面に筆記した場合でも、はじかず筆記できるためより好ましい。
水溶性アクリル系樹脂はひとつの分子が複数の着色樹脂粒子に吸着する橋かけ凝集により、見掛け粒径を大きくすることで、黒画用紙の様な目の粗い紙に筆記しても粒子の紙の中への浸透を防ぎ、視認性を高めるために使用するものである。水溶性アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを、アクリル系モノマーや非アクリル系モノマーと重合して作製することができる。使用できるモノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-デシル、メタクリル酸n-ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
前記モノマーを重合する際に重合開始剤が使用される。その具体例は、アゾビスイソブチルニトリル、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルイソブチレート、ターシャリーブチルパー-2-エチルへキサノエート、ラウロイルパーオキサイドなどが挙げられる。
市販の水溶性アクリル系樹脂を使用してもよい。水溶液のものとして、ジョンクリル52(重量平均分子量1700、固形分量60.0%)、同57(重量平均分子量4900、固形分量37.0%)、同60(重量平均分子量8500、固形分量34.0)、同61J(重量平均分子量12000、固形分量30.5%)、同62(重量平均分子量8500、固形分量34.0%)、同63(重量平均分子量12500、固形分量30.0)、同70(重量平均分子量16500、固形分量30.0%)、同HPD-71(重量平均分子量17250、固形分量28.0%)、HPD-96(重量平均分子量16500、固形分量34.0%)、ジョンクリル501(重量平均分子量12000、固形分量29.5%)、同354(重量平均分子量8500、固形分量33.5%)、同6610(重量平均分子量8500、固形分量33.5%)、同JDX-6500(重量平均分子量10000、固形分量29.5%)、同PDX-6102B(重量平均分子量60000)などが挙げられる。固体のものとして、ジョンクリル67(重量平均分子量12500)、同678(重量平均分子量8500)、同586(重量平均分子量4600)、同587(重量平均分子量17000)、同611(重量平均分子量8100)、同680(重量平均分子量4900)、同682(重量平均分子量1700)、同680(重量平均分子量8000)、同690(重量平均分子量16500)、同HPD-671(重量平均分子量17250)、同JDX-C3000(重量平均分子量10000)(以上、BASF社(独国)製)などが挙げられる。固体のものは、アンモニア水や水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ成分で、水溶性アクリル系樹脂のカルボキシル基を中和し、水溶化して使用する。これらの水溶性アクリル系樹脂は1種または2種以上混合して使用することができる。水溶性アクリル系樹脂の使用量はインキ組成物全量に対し0.1重量%以上5.0重量%以下が好ましい。また、水溶性アクリル系樹脂の重量平均分子量が4000以上200000以下であると、凝集構造の大きさが適切であり、見掛け粒径の増大による黒画用紙への浸透防止効果とインキ吐出のバランスがとれるので好ましい。市販されている水溶性アクリル系樹脂水溶液を用いる場合は、水溶性アクリル系樹脂水溶液中の固形分量を用いて、水溶性アクリル系樹脂の使用量を計算することができる。水溶性アクリル系樹脂水溶液の固形分量については、樹脂水溶液中の揮発成分を揮発させた後に残った不揮発分の量を固形分量とした。
平均粒径1μm以上5μm以下の非着色樹脂粒子は紙繊維の溝を埋め、着色樹脂粒子が紙の中へ浸透し、視認性低下を抑える効果をより高めるために使用するもので、具体例としては、エポスターMV1002(平均粒径2μm、アクリル系架橋物)、同MV1004(平均粒径4μm、アクリル系架橋物)、同MV2003(平均粒径3μm、アクリル-スチレン系架橋物)、同MS(平均粒径2μm、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド)、同M-30(平均粒径3μm、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物)、同S-12(平均粒径1.2μm、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物)(以上、(株)日本触媒製)、テクポリマーSBX-4(平均粒径4μm、架橋ポリスチレン)、MB-4(平均粒径4μm、架橋ポリメタクリル酸メチル)、同SSX-101(平均粒径1.5μm、架橋ポリメタクリル酸メチル)、同SSX-102(平均粒径2.5μm、架橋ポリメタクリル酸メチル)、同SSX-103(平均粒径3μm、架橋ポリメタクリル酸メチル)(以上、積水化成品工業(株)製)、MX-80H3wT(平均粒径0.8μm)、MX-150(平均粒径1.5μm)、MX180TA(平均粒径3μm)、MX-500(平均粒径5μm)(以上、綜研化学(株)製)などが挙げられる。これらは1種、または2種以上混合して使用可能である。非着色樹脂粒子の平均粒径が1μm未満の場合は、非着色樹脂粒子による着色樹脂粒子の浸透をより抑える効果が小さく、また5μmよりも大きい大粒径の非着色樹脂粒子が筆跡中にあると、非着色樹脂粒子は屈折率が低いため下地を透過する窓の役目をし、隠蔽力が小さくなり暗色紙での視認性が低下する。平均粒径1μm以上5μm以下の非着色樹脂粒子の使用量はインキ組成物全量に対し1重量%以上7重量%以下が着色樹脂粒子の浸透防止効果と筆跡の彩度、隠蔽性の点から好ましい。
酸化チタンは暗色紙に筆記した際、筆跡が乾燥する前でも、何色を筆記したのか視認しやすくなるようにするために使用するものである。具体例としては、TITONE SR-1、同R-650、同R-62N、同R-42、同R-7E、同R-21、同R-25、同R-32、同R-5N、同R-45M、同TCR-10(以上、堺化学工業(株)製)、クロノスKR-310、同KR-380、同480(以上、チタン工業(株)製)、タイピュアR-900、同R-902、同R-960、同R-931(以上、デュポン・ジャパン・リミテッド製)、TITANIX JR-301、同JR-805、同JR-806、同JR-603、同JR-800、同JR-403、同JR-701、同JRNC、同JR-605(以上、テイカ(株)製)、TIPAQUE R-820、同R-830、同R-550、同R-780、同R-780-2(以上、石原産業(株)製)、酸化チタンの分散体であるFUJI SP WHITE1193(顔料50.0重量%)、同1131(顔料32.5重量%、(酸化チタン:体質顔料=4:3))、同1142(顔料29.5重量%、(酸化チタン:体質顔料=4:3))、同1154(顔料55.0重量%)、同1184W(顔料30.0重量%、(酸化チタン:体質顔料=15:2))、同1197(顔料42.0重量%、(酸化チタン:体質顔料=9:1))(以上、富士色素(株)製)などが挙げられる。これらの酸化チタンは、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。酸化チタンの使用量は、着色樹脂粒子/酸化チタン比率が、10:1~30:1であると、筆跡の彩度と暗色紙での筆跡乾燥前の色視認の両立ができ好ましい。
その他、ペン先乾燥防止、低温時でのインキ凍結防止などの目的で水溶性有機溶剤を使用することもできる。具体例として、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-メトキシ-ペンタノールベンジルアルコール、β-フェニルエチルアルコール、α-メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリドデシルアルコール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル類、やプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いても2種以上混合して用いても良く、その使用量はインキ組成物全量に対し2重量%以上、20重量%以下が好ましい。
更にペン先乾燥防止の目的で糖アルコールを使用することもできる。具体例として、PO-10(1糖0~3%、2糖1~5%、3糖1~5%、4糖以上90~95%)、PO-20(1糖2~5%、2糖9~14%、3糖11~16%、4糖以上67~76%、70%水溶液)、PO-30(1糖3~6%、2糖13~19%、3糖14~19%、4糖以上58~66%、70%水溶液)、SOシロップ(1糖3~10%、2糖35~50%、3糖20~30%、4糖以上15~30%、70%水溶液)、PO-40(1糖1~6%、2糖45~55%、3糖15~25%、4糖以上23~30%、70%水溶液)、PO-60(1糖2~7%、2糖62~67%、3糖14~20%、4糖以上10~18%、70%水溶液)、アマミール(1糖46~49%、2糖30~40%、3糖5~13%、4糖以上4~10%、70%水溶液)、PO-300(1糖17~25%、2糖25~33%、3糖33~39%、4糖以上10~19%、70%水溶液)、PO-500(1糖34~45%、2糖26~32%、3糖14~20%、4糖以上11~18%、70%水溶液)、アマルティシロップ(1糖1~4%、2糖75~80%、3糖10~17%、4糖以上6~12%、75%水溶液)、アマルティMR(1糖0~3%、2糖88~98%、3糖2~9%、4糖以上0~4%)、レシス(2糖98%以上)、ソルビットT-70(1糖71~100%、2糖5~10%、3糖0~5%、4糖以上0~5%、70%水溶液)、ミルヘン(ラクチトール)、マリンクリスタル(D-マンニトール)、キシリット(キシリトール)、エリスリトール(以上、三菱商事ライフサイエンス(株))などが挙げられる。これらは1種、かたは2種以上混合して使用することもできる。糖アルコールの使用量はインキ組成物全量に対し0.5重量%以上5重量%以下が好ましい。また4糖以上の比率の高い方が、ペン先乾燥防止効果がより高く、その比率はインキ組成物全量に対し0.5重量%以上が好ましい。
インキ粘度を調整するために、高分子多糖類を使用することができる。具体例としては、プルラン、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、ラムザンガム、デンプン、カチオンデンプン、デキストリン、デンプングリコール酸ナトリウムなど及びそれらの誘導体、アラビアガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、グアーガム及びその誘導体、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、ゼラチン、ガゼイン、ガゼインナトリウム、グルコマンナン、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ラノリン誘導体、キトサン誘導体などが挙げられる。これら高分子多糖類は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。これら高分子多糖類のうち、特にキサンタンガムが好ましく使用できる。キサンタンガム水溶液はせん断減粘性が高く、着色樹脂粒子や酸化チタンの沈降防止と良好な筆記性の両立ができる。キサンタンガムの具体例としては、ケルザン、ケルザンS、ケルザンF、ケルザンAR、ケルザンM、ケルザンD(以上、三晶株式会社製)、コージン、コージンF、コージンT、コージンK(以上、株式会社興人製)、ノクコート(日清製油株式会社製)、イナゲルV-7、イナゲルV-7T(以上、伊那食品工業株式会社製)等が挙げられる。高分子多糖類の使用量は、インキ組成物全量に対し0.1重量%以上1.0重量%以下が好ましい。
インキ製造時の気泡の発生を抑えるために、各種消泡剤を使用することもできる。BYK-01、BYK-012、BYK-014、BYK-015、BYK-017、BYK-018、BYK019、BYK-021、BYK-022、BYK-023、BYK-024、 BYK-025、BYK-028、BYK-038、BYK-039、BYK-044、BYK-093、BYK-094、BYK-1610、BYK-1615、BYK-1640、BYK-1650、BYK-1710、BYK-1711、BYK-1730、BYK-1740、BYK-1770、 BYK-1780、BYK-1785、BYK-1798(以上、ビックケミージャパン(株)製)、KM-73,KM-73A、M-73E、KM-7751、KM-70、KM-71、KM-75、KM-7750D、KM-85、KM72、KM-72F、KM-72S、KM-72FS、KM-72GS、KM-89、KM-90、KM-98、KM-7752、KS-530、KS-531、KS-537、KS-538、KS-540、X-50-1176、KF-96、KF-96ADF、KF6701、KS-7708、X-50-1100、X-50-1244、KS-66、KS-69、KS-602A、FA-600(以上、信越化学工業(株)製)などが挙げられる。これらは1種または2種以上混合して使用することができる。消泡剤の使用量はインキ組成物全量に対し0.1~1.0重量%が好ましい。
さらに、本発明の水性インキ組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤等を適宜含有することができる。
潤滑剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステル等が挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化リチウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール等の塩基性物質や、従来公知の酸性物質等が挙げられる。
また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシル
アンモニウムナイトライト、サポニン類等、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノー
ル、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンゾイソチアゾリン、ベンズイミダゾ
ール系化合物等が挙げられる。
本発明の水性インキ組成物を製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、高剪断力を有するヘンシェルミキサー、プロペラ撹拌機、ホモジナイザー、ターボミキサー、高圧ホモジナイザー等の撹拌機で混合撹拌することにより容易に得られる。
本発明の水性インキ組成物は、インキ収容管に直接もしくはチップホルダーといった中継部材を介してボールペンチップをセットした容器に充填して使用する。インキ収容管は、金属製や合成樹脂製のものが使用可能である。透明・半透明の合成樹脂製であればインキ残量を明示できる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアリレート、エチレン-ビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂等があり、価格と視認性の面からポリプロピレンが良好に使用できる。また、染料や顔料や偏光性を有した着色材等を練り込んだインキ収容管を使用することも可能である。その内径としては1.5mmから20.0mmのものが使用可能である。インキの乾燥防止や逆流防止の目的でインキ後端にインキ逆流防止体を充填してもよい。インキ逆流防止体としては高粘度不揮発性液体や不揮発性液体をゲル化したものやスポンジ状のものなど各種公知のものが使用でき、インキ収容管の内径が大きくインキやインキ逆流防止体が流れやすい場合にはフロートを設置しても良い。
ボールペンチップの構造は、従来一般的な構造が使用可能であり、例えば、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させて形成したボール抱持部にボールを一部突出した状態で回転自在に抱持してなるボールペンチップや、金属材料をドリル等による切削加工により貫通孔を形成したボールホルダーにボールを一部突出した状態で回転自在に抱持させたボールペンチップがある。
また、非筆記時にインキのにじみ出しを防止する目的で前記ボールの後方にスプリングを配置してボールをボールホルダー内面に押し当てる構造をとる事もできる。
前記ボールの材質としては、超硬合金、ステンレス鋼、セラミック、樹脂、ゴム等が使用できる。特に十分な耐食性を持たせつつ、筆記中の回転を安定させて十分なインキ吐出を得る為には超硬合金や、炭化ケイ素・窒化ケイ素といったセラミック素材のボールが好ましい。
また、本発明のインキを十分吐出させる為にはボールとボールホルダーとの隙間を十分に確保する必要がある。前記隙間の大きさを示す寸法としてボールが軸方向に移動する範囲であるボール前後移動量があり、その量は25(μm)~180(μm)に設定するのが好ましい。尚、上記のボール移動量を設定できればボール径は限定されるものでないが、ボールが外れてしまう不具合や加工のし易さを考慮すると、ボール径は0.5(mm)~1.2(mm)とする事が好ましい。
特に好ましい例としては、ボール径を1.0(mm)としてボール移動量を70(μm)~150(μm)としたものや、ボール径を0.8(mm)としてボール移動量を60(μm)~100(μm)としたボールペンチップが本発明のインキを使用する上で好適である。また、インキの10m毎の吐出量は0.04g以上0.15g以下とすると、黒画用紙などの暗色紙に筆記した際の視認性が良くなるため好ましい。
本発明のボールペンの形態としてはキャップ式、出没式のいずれの形態であってもよく特に限定されるものではない。出没式ボールペンにした場合は単一のボールペンリフィルを軸筒内に収容し、軸筒の先端孔からチップを出没可能に構成したものでも良いし、軸筒内に複数のボールペンリフィルを収容してなる複合タイプの出没式筆記具であってもよい。また、インキ収容管内に圧縮空気を封入する等でインキに圧力を掛け、筆記する際のインキの吐出を支援するボールペンであってもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
(水性インキ組成物の作製)
下記表1~7に実施例1~37及び比較例1~6の水性インキ組成物と、後述の各種試験をした結果を示す。
実施例及び比較例の各成分のうち、界面活性剤を水溶性有機溶剤に予め溶解させた後に、残る各成分を混ぜ、プロペラ型攪拌機で3時間攪拌することにより各実施例、比較例の水性インキ組成物を得た。表1~7に記載の各成分の量の単位は重量部である。
Figure 2023067849000001
Figure 2023067849000002
Figure 2023067849000003
Figure 2023067849000004
Figure 2023067849000005
Figure 2023067849000006
Figure 2023067849000007
表1~7に記載の実施例及び比較例の各成分を以下に示す。
<着色樹脂粒子>
着色樹脂粒子1:ルミコール6004E(平均粒径0.1μm、固形分量34.0%、日本蛍光(株)製)
着色樹脂粒子2:ルミコールNKW-6204E(平均粒径0.4μm、固形分量50%、日本蛍光(株)製)
着色樹脂粒子3:
MX-80H3wT(平均粒径0.8μm、綜研化学(株)) 50.0重量部
プロピレングリコール 16.0重量部
ラウリル硫酸トリエタノールアミン 2.0重量部
C.I.Basic Yellow 40 1.0重量部
イオン交換水 30.0重量部
上記各成分を混合し80℃で6時間攪拌し、着色樹脂粒子3の分散体を得た。
着色樹脂粒子4:
上記各成分のうちMX-80H3wTをFS-101(平均粒径0.08μm、日本ペイント・インダストリアルコーティングス(株))に換えた他は着色樹脂粒子3と同様になし、着色樹脂粒子4を得た。
着色樹脂粒子5:
上記各成分のうちMX-80H3wTをエポスターS12(平均粒径1.2μm、(株)日本触媒)に換えた他は着色樹脂粒子3と同様になし、着色樹脂粒子5を得た。
<界面活性剤>
界面活性剤1:レオドールSP-S30V(ソルビタントリステアレート、HLB2.1、花王(株)製)
界面活性剤2:サーフィノール420(アセチレングリコール、HLB4.0、日信化学工業(株)製)
界面活性剤3:NIKKOL SO-10V(オレイン酸ソルビタン、HLB4.3、日光ケミカルズ(株)製)
界面活性剤3:NIKKOL BO-2V(ポリキシエチレンオレイルエーテル、HLB7.5、日光ケミカルズ(株)製)
界面活性剤4:NIKKOL MGS-F75V(ステアリン酸グリセリル、HLB1.5,日光ケミカルズ(株)製)
<水>
イオン交換水
<水溶性アクリル系樹脂>
水溶性アクリル系樹脂1~3の作製
Figure 2023067849000008

攪拌機、窒素ガス導入口、温度計、還流コンデンサーを設備した500mlの反応容器に表8の水溶性アクリル系樹脂1~3に示した物質を仕込み、窒素ガス気流中、80℃にて7時間攪拌しながら重合せしめ、透明で粘ちょう性を有するポリマー成分を得、これらを乾燥させ、水溶性アクリル系樹脂1~3を得た。表8の各成分と合計の欄の数字の単位は、g(グラム)である。なお、合成したアクリル系樹脂の重量平均分子量は、展開溶媒にテトラヒドロフラン溶液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレンを標準物質として換算した。測定用のカラムはShodex OHpakSB-804HQ(昭和電工(株)製)を用いた。
水溶性アクリル系樹脂水溶液1:
水溶性アクリル系樹脂1 20重量部
25%アンモニア水 10重量部
イソプロピルアルコール 3重量部
イオン交換水 67重量部
上記各成分をプロペラ攪拌機にて、25℃で5時間攪拌し、重量平均分子量18000
0のアクリル系樹脂水溶液1を得た。
水溶性アクリル系樹脂水溶液2:
アクリル系樹脂水溶液1のアクリル系樹脂1の代わりにアクリル系樹脂2を入れ、同様になして重量平均分子量120000アクリル系樹脂水溶液2を得た。
水溶性アクリル系樹脂水溶液3:
アクリル系樹脂水溶液1のアクリル系樹脂1の代わりにアクリル系樹脂3を入れ、同様になして重量平均分子215000アクリル系樹脂水溶液3を得た。
水溶性アクリル系樹脂水溶液4:ジョンクリル52(重量平均分子量1700,固形分量60.0%、BASF(独国)製)
水溶性アクリル系樹脂水溶液5:ジョンクリル57(重量平均分子量4900,固形分量37.0%、BASF(独国)製)
水溶性アクリル系樹脂水溶液6:PDX-6102B(重量平均分子量60000、固形分量24.5%、BASF(独国)製)
<非着色樹脂粒子>
非着色樹脂粒子1:エポスターS12(平均粒径1.2μm、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、(株)日本触媒製)
非着色樹脂粒子2:エポスターMV1002(平均粒径2.0μm、アクリル系架橋物、(株)日本触媒製)
非着色樹脂粒子3:エポスターMV1004(平均粒径4.0μm、アクリル系架橋物、(株)日本触媒製)
非着色樹脂粒子4:エポスターS6(平均粒径0.4μm、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、(株)日本触媒製)
非着色樹脂粒子5:エポスターMV1006(平均粒径6.0μm、アクリル系架橋物、(株)日本触媒製)
<酸化チタン>
酸化チタン1:FUJI SP WHITE1193(酸化チタン50重量%、冨士色素(株)製)
酸化チタン2:FUJI SP WHITE1184W(顔料30量%(酸化チタン:体質顔料=15:2)、冨士色素(株)製)
<水溶性有機溶剤>
水溶性有機溶剤1:エチレングリコール
水溶性有機溶剤2:グリセリン
<糖アルコール>
糖アルコール1:PO10(1糖0~3%、2糖1~5%、3糖1~5%、4糖以上90~95%、三菱商事ライフサイエンス(株)製)
糖アルコール2:PO-20(1糖2~5%、2糖9~14%、3糖11~16%、4糖以上67~76%、70%水溶液、三菱商事ライフサイエンス(株)製)
<高分子多糖類>
高分子多糖類1:ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製)
高分子多糖類2:ケルザンS(キサンタンガム、三晶(株)製)
<消泡剤>
消泡剤1:BYK-094(BYK-Chemie(独国)製)
消泡剤2:BYK-022(BYK-Chemie(独国)製)
<防腐剤>
防腐剤1:プロクセルGXL(S)(ロンザジャパン(株)製)
実施例及び比較例に係る水性インキ組成物を評価するため、デュアルメタリックK110(ぺんてる(株))で用いられているチップホルダー、インキ収容管、インキ逆流防止体を使用して、ボールペンチップはボール径を1.0(mm)、ボール前後移動量を90(μm)として、インキ収容管には実施例及び比較例で得た水性インキ組成物0.8gを充填した試験用ボールペンを作成した。
筆跡彩度試験
実施例及び比較例で得た水性インキ組成物を充填した試験用ボールペンを用いて、筆記角度70°、筆記速度7cm/秒、筆記荷重100gで10cmの直線を黒画用紙(ニューカラーR 8NCR-418、リンテック(株)製)に筆記し、PIAS-II(クオリティ・エンジニアリング・アソシエイツ製)で任意の3点のLab値を測定。下記式より彩度を算出し、3点の平均値をその筆跡の彩度とする。
Figure 2023067849000009
乾燥前筆跡色認識性試験
実施例及び比較例で得た水性インキ組成物を充填した試験用ボールペンを用いて、筆記角度70°、筆記速度7cm/秒、筆記荷重100gで10cmの直線を黒画用紙(ニューカラーR、8NCR-418、リンテック(株)製)に筆記し、目視で乾燥前の筆跡を観察する。
○:筆記後直ちに筆跡色が認識できる。
△:筆記10秒以内に筆跡色が認識できる。
×:筆跡色認識まで10秒以上掛かる。
なお、実施例及び比較例で得た水性インキ組成物の筆跡乾燥時間は約30秒であった。
実施例1~37の水性インキ組成物は、平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子25重量%以上35重量%以下と、HLB2以上8以下の界面活性剤とからなる混合物なので、黒画用紙の様な目の粗い暗色紙に筆記しても、彩度が高い筆跡が得られる。また実施例13~22の水性インキ組成物は、水溶性アクリル系樹脂による橋かけ凝集により、着色樹脂粒子が紙の中へ浸透していかないので水溶性アクリル系樹脂を添加していない実施例2と比べ彩度が高くなる。特に実施例15~18の水性インキ組成物は、水溶性アクリル系樹脂の重量平均分子量が4000以上200000以下なので凝集構造の大きさが適切であり、見掛け粒径の増大による黒画用紙への浸透防止効果とインキ吐出のバランスがとれ、彩度が更に高くなる。実施例23~31は平均粒径が1μm以上5μm以下の非着色樹脂粒子を含んでいるので、着色樹脂粒子の目止め効果により更に浸透防止が高くより彩度の高い筆跡が得られる。また実施例32~35ではインキ中に着色樹脂粒子:酸化チタンが10:1~30:1の比率で酸化チタンが含まれているため、その隠蔽力から筆跡が乾燥する前でも筆跡色が認識できるとともに、筆跡彩度も高く維持できる。
これに対して比較例1~2の水性インキ組成物は着色樹脂粒子の粒径が適切な範囲ではないので、それ自体の隠蔽力が低く、黒画用紙では下地の黒が透けてしまい十分な彩度が得られない。比較例3は着色樹脂粒子量が少なく、また比較例4は着色樹脂粒子が多すぎて吐出が少なくなり、比較例5では界面活性剤のHLBが低く着色樹脂同士の凝集が強固なものとなり筆記時に崩れない、どれも彩度を得るために必要な量の着色樹脂粒子が黒画用紙に吐出させることができなかった。それに対し比較例6では十分な吐出はあるが、着色樹脂粒子同士の凝集構造を組みにくく、黒画用紙の中に浸透してしまい彩度が低くなってしまうものであった。

Claims (6)

  1. 平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の着色樹脂粒子25重量%以上35重量%以下と、HLB2以上8以下の界面活性剤と、水とより少なくともなる水性インキ組成物。
  2. 水溶性アクリル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の水性インキ組成物。
  3. 前記水溶性アクリル系樹脂の重量平均分子量が4000以上200000以下でることを特徴とする請求項2に記載の水性インキ組成物。
  4. 平均粒径が1μm以上5μm以下の非着色樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の水性インキ組成物。
  5. 酸化チタンを含有し、前記着色樹脂粒子:前記酸化チタンが10:1~30:1であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の水性インキ組成物。
  6. 酸化チタンを含有し、前記着色樹脂粒子:前記酸化チタンが10:1~30:1であることを特徴とする請求項4に記載の水性インキ組成物。

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