JP2023066464A - 偏心揺動型歯車装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のクランク軸を備える偏心揺動型歯車装置において、回転要素の回転を検出可能とする技術を提供する。【解決手段】揺動歯車と、揺動歯車の中心から揺動歯車の径方向にオフセットした位置に配置される複数のクランク軸24A~24Cと、少なくとも一つのクランク軸24A~24Cに設けられ、回転が入力されるクランク軸歯車26A~26Cと、を備える偏心揺動型歯車装置であって、クランク軸歯車26A、26Bの歯部44に対向し、クランク軸歯車26A、26Bの回転を検出する回転検出器60を備える。【選択図】図2
Description
本開示は、偏心揺動型歯車装置に関する。
特許文献1は、複数のクランク軸を備える偏心揺動型歯車装置を開示する。この歯車装置は、揺動歯車と、揺動歯車の中心から揺動歯車の径方向にオフセットした位置に配置される複数のクランク軸と、少なくとも一つのクランク軸に設けられ、回転が入力されるクランク軸歯車と、を備える。
歯車装置の動作を制御するうえでは、歯車装置に用いられる回転要素の回転を検出できると望ましい。複数のクランク軸を備える偏心揺動型歯車装置において、回転要素の回転を検出するための工夫を講じたものは未だ提案されていない。
本開示の目的の1つは、複数のクランク軸を備える偏心揺動型歯車装置において、回転要素の回転を検出可能とする技術を提供することにある。
本開示の歯車装置は、揺動歯車と、前記揺動歯車の中心から前記揺動歯車の径方向にオフセットした位置に配置される複数のクランク軸と、少なくとも一つの前記クランク軸に設けられ回転が入力されるクランク軸歯車と、を備える偏心揺動型歯車装置であって、前記クランク軸歯車の歯部に対向し前記クランク軸歯車の回転を検出する回転検出器を備える。
本開示によれば、複数のクランク軸を備える偏心揺動型歯車装置において、クランク軸歯車の回転を検出できるようになる。
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
(第1実施形態)図1、図2を参照する。歯車装置10の主な特徴は、後述する回転検出器60に関連するが、先に周辺構造から説明する。
歯車装置10は、第1相手部材12と第2相手部材14を連結し、第1相手部材12に対して第2相手部材14を相対回転させることができる。本実施形態の歯車装置10は、ロボット装置の多関節アームの関節部に組み込まれる。本実施形態の第1相手部材12、第2相手部材14は、多関節アームを構成するベース部材及びアーム部材のいずれかである。ロボット装置は、例えば、産業用ロボット、サービスロボット等である。
偏心揺動型歯車装置10は、互いに噛み合う外歯歯車16及び内歯歯車18を備える。外歯歯車16及び内歯歯車18の一方は揺動歯車20となり、他方は揺動歯車20と噛み合う噛合歯車22となる。本実施形態の揺動歯車20は外歯歯車16である。外歯歯車16及び内歯歯車18は、後述するクランク軸24A~24Cの回転を減速する減速機構として機能する。
歯車装置10は、更に、揺動歯車20の中心CL1から揺動歯車20の径方向にオフセットした位置に配置される複数のクランク軸24A~24Cと、少なくとも一つのクランク軸24A~24Cに設けられるクランク軸歯車26A~26Cと、を備える。歯車装置10は、更に、複数のクランク軸24A~24C等を収容するケーシング28と、クランク軸受30を介してクランク軸24A、24B、24Cを支持するキャリヤ32A、32Bと、クランク軸24A~24Cの回転に対して減速された出力回転を減速機構から取り出す出力部材34と、を備える。
揺動歯車20(外歯歯車16)は、後述する複数の偏心体40のそれぞれに対応して個別に設けられ、偏心体軸受36を介して対応する偏心体40に相対回転自在に支持される。複数のクランク軸24A~24Cは、いずれかの揺動歯車20の中心CL1との関係でオフセットした位置に配置されていればよい。
本実施形態のクランク軸24A~24Cの個数は3つである。複数のクランク軸24A~24Cは、揺動歯車20の周方向に間隔を空けて配置される。複数のクランク軸24A~24Cは、揺動歯車20の軸方向に揺動歯車20を貫通している。
クランク軸24A~24Cは、キャリヤ32A、32Bに支持される軸体38と、軸体38と一体的に回転可能な複数の偏心体40と、を備える。偏心体40の軸芯CL2は、クランク軸24A~24Cの回転中心線CL3に対して偏心している。偏心体40は、クランク軸24A~24Cの回転中心線CL3周りに回転することで揺動歯車20を揺動させることが可能である。複数の偏心体40の偏心位相は、偏心体40の個数をM個(本実施形態では2個)とするとき、360°/Mの分だけずれている。偏心体40の個数は特に限定されず、単数及び三つ以上のいずれでもよい。
本実施形態のクランク軸歯車26A~26Cの個数は3つである。複数のクランク軸歯車26A~26Cは、複数のクランク軸24A~24Cのそれぞれに個別に設けられる。複数のクランク軸歯車26A~26Cも、複数のクランク軸24A~24Cと同様、揺動歯車20の中心CL1から揺動歯車20の径方向にオフセットした位置において、揺動歯車20の周方向に間隔を空けて配置される。
クランク軸歯車26A~26Cは、凹凸嵌合等によって、クランク軸24A~24Dと一体的に回転可能に設けられる。本実施形態のクランク軸歯車26A~26Cは、止め輪42を用いて、クランク軸24A~24Cに対して軸方向に移動不能に固定される。
クランク軸歯車26A~26Cは、平歯車である。クランク軸歯車26A~26Cは、その外周部に複数の歯部44を備える。クランク軸歯車26A~26Cは、クランク軸歯車26A~26Cに回転を入力する入力歯車46と噛み合っている。図2では、クランク軸歯車26A~26Cの外周部の外形線に関して、複数の歯部44がなすピッチ円を用いて示す。入力歯車46の外周部の外形線に関しても同様に、その複数の歯部がなすピッチ円を用いて示す。
入力歯車46は、駆動源から伝達される回転動力によって回転可能である。本実施形態の駆動源はモータ48である。この他にも駆動源は、ギヤモータ、エンジン等でもよい。本実施形態の入力歯車46は、モータ48の出力軸の先端部に設けられる。本実施形態の入力歯車46は、複数のクランク軸歯車26A~26Cのそれぞれと噛み合っており、入力歯車46の回転は、複数のクランク軸歯車26A~26Cのそれぞれに振り分けられる。これにより、複数のクランク軸歯車26A~26Cは、同一の回転速度で同一の方向に回転可能である。また、複数のクランク軸歯車26A~26Cのそれぞれによって回転する複数のクランク軸24A~24Cも、同一の回転速度で同一の方向に回転可能である。
本実施形態のケーシング28は、揺動歯車20に対して揺動歯車20の径方向に重なる位置に設けられる第1ケーシング部材50と、クランク軸歯車26A~26Cに対して揺動歯車20の径方向に重なる位置に設けられる第2ケーシング部材52とを備える。各ケーシング部材50、52は、ボルト等を用いて連結される。本実施形態において、内歯歯車18は、第1ケーシング部材50の内周部に設けられる。第2ケーシング部材52は、第1ケーシング部材50とモータ48を連結するモータアダプタとして機能する。ケーシング28には、ボルト等を用いて第1相手部材12が取り付けられる。
キャリヤ32A、32Bは、軸方向一方側(図中右側)に配置される第1キャリヤ32Aと、軸方向他方側に配置される第2キャリヤ32Bとを含む。第1キャリヤ32Aと第2キャリヤ32Bは、外歯歯車16を貫通するピン体54によって連結される。第2キャリヤ32Bには、ボルト等を用いて第2相手部材14が取り付けられる。
本実施形態の出力部材34は第2キャリヤ32Bである。出力部材34は、外歯歯車16及び内歯歯車18がなす減速機構の出力回転を第1相手部材12及び第2相手部材14の一方に出力することで、第1相手部材12に対して第2相手部材14を相対回転させることができる。
以上の歯車装置10の動作を説明する。入力歯車46が回転すると、クランク軸歯車26A~26Cを介して入力歯車46の回転が少なくとも一つのクランク軸24A~24Cに伝達されることで、クランク軸24A~24Cが回転する。クランク軸24A~24Cが回転すると、クランク軸24A~24Cの偏心体40によって揺動歯車20が揺動する。揺動歯車20が揺動すると、外歯歯車16と内歯歯車18の噛合位置が順次に周方向に変化する。この結果、外歯歯車16と内歯歯車18のいずれか一方が自転し、その自転成分が出力回転として出力部材34から取り出され、出力部材34が回転する。出力部材34が回転すると、第1相手部材12に対して第2相手部材14が相対回転する。
回転検出器60に関する説明に移る。図2、図3を参照する。以下、単に「軸方向」、「周方向」、「径方向」というとき、噛合歯車22の軸方向、周方向、径方向をいうものとする。噛合歯車22の周方向、径方向は、噛合歯車22の中心軸CL4を中心とする円の円周方向、半径方向をいう。
実施形態の複数のクランク軸24A~24Cは、周方向に隣り合う第1クランク軸24A及び第2クランク軸24Bを含む。クランク軸歯車26A~26Cは、第1クランク軸24Aに設けられる第1クランク軸歯車26Aと、第2クランク軸24Bに設けられる第2クランク軸歯車26Bとを含む。第1クランク軸歯車26Aと第2クランク軸歯車26Bも、第1クランク軸24A、第2クランク軸24Bと同様、周方向に隣り合う。
歯車装置10は、クランク軸歯車26A、26Bの歯部44にクランク軸歯車26A、26Bの径方向に対向し、クランク軸歯車26A、26Bの回転を検出する回転検出器60を備える。本実施形態の回転検出器60は磁気式エンコーダである。回転検出器60は、基板62と、基板62の主面64A、64Bに設けられる検出処理部66A、66Bと、を備える。
基板62は、基板62の板厚方向両側に個別に設けられる第1主面64A及び第2主面64Bを備える。第2主面64Bは、第1主面64Aとは基板62の板厚方向の反対側に設けられる。基板62は、軸方向から見て、周方向(噛合歯車22の中心軸CL4を中心とする円の接線方向)に対して自身の板厚方向を合わせるとともに、径方向に延びるように配置される。基板62は、クランク軸歯車26A、26Bに対して周方向にずれた位置に配置される。
回転検出器60は、歯車装置10の運転時にクランク軸歯車26A~26Cの公転成分と同期する第1キャリヤ32Aに固定される。ここでの「同期」とは、クランク軸歯車26A~26Cが公転しない場合、自転しない状態を維持することをいい、クランク軸歯車26A~26Cが公転する場合はクランク軸歯車26A~26Cの公転成分と同じ周方向成分の速度で自転することをいう。回転検出器60は、例えば、第1キャリヤ32Aの軸方向側部に固定される。第1キャリヤ32Aに対する回転検出器60の固定方法は特に限定されない。回転検出器60の基板62は、例えば、不図示の取付台を介して第1キャリヤ32Aに固定されてもよい。
軸方向から見て、複数のクランク軸歯車26A~26Cに外接する円を外接円Cとする。外接円Cは噛合歯車22の中心軸CL4を円中心とする。基板62は、軸方向から見て、第1キャリヤ32Aと軸方向に重なる位置に設けられる被固定部62aと、外接円Cよりも径方向外側まで延在する延在部62bと、を備える。基板62の被固定部62aは、前述のように第1キャリヤ32Aに固定される。
検出処理部66A、66Bは、クランク軸歯車26A、26Bの歯部44とクランク軸歯車26A、26Bの径方向に対向する。検出処理部66A、66Bは、基板62の第1主面64Aに設けられる第1検出処理部66Aと、基板62の第2主面64Bに設けられる第2検出処理部66Bとを含む。第1検出処理部66Aは、第1クランク軸歯車26Aの歯部44に第1クランク軸歯車26Aの径方向に対向する。第2検出処理部66Bは、第2クランク軸歯車26Bの歯部44に第2クランク軸歯車26Bの径方向に対向する。
歯車装置10は、回転検出器60の検出結果となる出力信号を伝送する配線68を備える。配線68は、回転検出器60と制御装置82(後述する)の間で信号を伝送する信号伝送経路の少なくとも一部となる。配線68は、信号伝送経路となる信号線を含む。この他にも、配線68は、回転検出器60に電力を供給するための電源線や、接地用のアース線等を含んでいてもよい。
配線68は、基板62に機械的に接続される。配線68を基板62に接続するうえで、基板62に実装した端子台に着脱可能に接続してもよいし、ハンダ等を用いて基板62に着脱不能に接続してもよい。制御装置82には、基板62の検出処理部66A、66Bから出力される出力信号が基板62の配線パターン及び配線68を通して伝送される。配線68は、基板62の延在部62bに接続され、その接続位置から周方向に延びるように設けられる。
図3、図4を参照する。図4は、実施形態の歯車装置10とモータ48を組み合わせたギヤモータ80の一部の機能ブロックを示すブロック図である。本明細書のブロック図に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする電子部品、回路、機械装置等で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現される。ここでは、これらの連携によって実現される機能ブロックを描く。これらの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろな態様で実現できることは、当業者に理解されるところである。
ギヤモータ80は、歯車装置10、モータ48の他に、制御装置82を備える。制御装置82は、マイクロコンピュータ等のコンピュータであり、CPU,ROM、RAM等を組み合わせて構成される。制御装置82は、回転検出器60の出力信号を用いて、モータ48を制御可能である。制御装置82の制御方法は特に限定されない。制御装置82は、例えば、クランク軸歯車26A、26Bの回転状態を示す出力信号を用いて出力部材34の回転角度を特定し、出力部材34が目標回転角度となるようにモータ48の出力を制御してもよい。
歯車装置10に用いられる回転検出器60の検出処理部66A、66Bは、例えば、エンコーダIC、ホールIC等のICである。検出処理部66A、66Bは、自身に組み込まれる検出素子84によってクランク軸歯車26A、26Bの回転を検出可能である。また、検出処理部66A、66Bは、検出素子84によって検出した検出信号を処理したうえで、検出処理部66A、66Bによる検出結果となる出力信号を制御装置82に出力可能である。
ICによって構成される検出処理部66A、66Bは、基板62の主面64A、64Bに実装されることで主面64A、64Bに設けられる。この実装方法は特に限定されない。本実施形態のように後述するバイアス磁石86を用いる場合、基板62の主面64A、64Bにバイアス磁石86を接着等によって固定し、バイアス磁石86に検出処理部66A、66Bを構成するICを接着等によって固定することで実現してもよい。この場合、検出処理部66A、66Bを構成するICの端子と基板62の配線パターンとはワイヤボンディング等を用いて導通してもよい。この他にも、検出処理部66A、66Bを構成するICの端子ピンと基板62の配線パターンのランドとをハンダ等により固定することで実装してもよい。
検出処理部66A、66Bに組み込まれる検出素子84は、例えば、磁界の変化を検出する磁気抵抗素子である。本実施形態の回転検出器60は、検出素子84にバイアス磁界を印加するバイアス磁石86を備える。図3では、バイアス磁界の一部の磁力線Laを示す。バイアス磁石86は、検出素子84による検出対象となるクランク軸歯車26A、26Bの径方向に異なる極性(N極及びS極)を並べるように配置される。本実施形態では、各検出処理部66A、66Bのバイアス磁石86の着磁方向が同じ向きとなるが、逆向きであってもよい。
クランク軸歯車26A、26Bは、バイアス磁界により磁化されるように、電磁鋼板、ケイ素鉄等の軟磁性材料によって構成される。クランク軸歯車26A、26Bの複数の歯部44がなす凸部と凹部の影響によって、クランク軸歯車26A、26Bの回転に伴い検出素子84に印加される磁界が変化する。検出素子84は、クランク軸歯車26A、26Bの回転に伴うバイアス磁界の変化を電圧の変化として検出し、検出した電圧の変化を検出信号(アナログ信号)として取得する。このとき、検出素子84は、クランク軸歯車26A、26Bが1ピッチ分回転する毎に1周期分の信号を検出信号として取得する。バイアス磁石86を用いて歯車の回転を検出するための原理そのものは公知のため、ここでの詳細な説明は省略する。
検出処理部66A、66Bは、予め定められる処理方式を用いて検出素子84の検出信号を処理することで、クランク軸歯車26A、26Bの回転状態を示す出力信号(回転角度、回転数等)を取得する。この出力信号を用いることで、クランク軸歯車26A、26Bと一体的に回転するクランク軸24A、24Bの回転状態も特定できる。
検出処理部66A、66Bの処理方式は、例えば、検出素子84の検出信号を用いて、出力信号として、クランク軸歯車26A、26Bの回転角度の絶対位置を示す絶対位置信号を取得するアブソリュート方式でもよい。アブソリュート方式を用いる場合、出力信号として、クランク軸歯車26A、26Bの1回転内での回転角度の絶対位置を示す絶対位置信号のみを取得するシングルターンアブソリュート方式でもよい。この他にも、出力信号として、クランク軸歯車26A、26Bの回転数を示す回転数信号を絶対位置信号と併せて取得するマルチターンアブソリュート方式でもよい。
検出処理部66A、66Bの処理方式は、この他にも、検出素子84の検出信号を用いて、出力信号として、クランク軸歯車26A、26Bの回転角度の相対位置を示す相対位置信号を取得するインクリメンタル方式でもよい。相対位置信号は、例えば、90°の位相差を持つA相信号、B相信号の他に、クランク軸歯車26A、26Bの原点位置を示すZ相信号が含まれてもよい。インクリメンタル方式を用いる場合、例えば、複数の検出素子84を用いて、検出信号として、90°の位相差を持つ二相のアナログ信号であるsin信号、cos信号を取得してもよい。また、この場合、出力信号として、その二相のアナログ信号をAD変換しつつ内挿分割してA相信号、B相信号となるパルス信号を取得してもよい。
インクリメンタル方式を用いる場合、検出素子84を用いてZ相信号を検出できるように構成してもよい。この具体例は特に限定されない。この一例として、これは、クランク軸歯車26A、26BにZ相信号を検出するための単数の検出用歯部を設け、その検出用歯部を検出素子84により検出することで実現してもよい。この検出用歯部は、入力歯車46と噛み合うクランク軸歯車26A、26Bの複数の歯部44に対して軸方向にずれた位置にクランク軸歯車26A、26Bに設けられる。
検出処理部66A、66Bの処理方式は、例えば、出力信号として、検出素子84を用いて得られた前述の二相のアナログ信号(sin信号及びcos信号)そのものを用いるアナログ出力方式でもよい。このsin信号とcos信号は、クランク軸歯車26A、26Bの回転角度を示す出力信号として機能する。例えば、制御装置82において、sin信号とcos信号の逆正接信号(θ=arctan(sin/cos))を演算し、クランク軸歯車26A、26Bの回転角度を示す角度信号θを用いることで、クランク軸歯車26A、26Bの回転角度を特定してもよい。
検出処理部66A、66Bは、ここまで説明した複数の処理方式のそれぞれを実行可能でもよいし、いずれか一つを実行可能でもよい。いずれの処理方式を用いる場合も、その詳細な処理手順は特に限定されない。この詳細な処理手順は、公知の処理手順を用いて実行してもよいし、同様の目的を達成できる他の処理手順を用いて実行してもよい。
第1検出処理部66Aは、検出素子84により第1クランク軸歯車26Aの回転を検出し、その検出した検出信号を処理する。第2検出処理部66Bは、検出素子84により第2クランク軸歯車26Bの回転を検出し、その検出した検出信号を処理する。
第1検出処理部66Aと第2検出処理部66Bは異なる処理方式で検出信号を処理する。例えば、第1検出処理部66Aは、シングルターンアブソリュート方式で検出信号を処理し、第2検出処理部66Bはマルチターンアブソリュート方式で検出信号を処理してもよい。この他にも、例えば、第1検出処理部66Aはアナログ出力方式で検出信号を処理し、第2検出処理部66Bはインクリメンタル方式で検出信号を処理してもよい。いずれにしても各検出処理部66A、66Bが異なる処理方式で検出信号を処理するうえで、具体的な処理方式の内容、組み合わせは特に限定されない。
本実施形態の検出処理部66A、66Bは、制御装置82に出力信号を出力するうえで、配線68を用いた有線伝送方式を用いて出力信号を伝送する。アブソリュート方式を用いる場合、出力信号の伝送方式は、シリアルインターフェース(BiSS、SSI、SPI、I2C等)、パラレルインターフェースのいずれでもよい。
なお、制御装置82には電源88及びユーザインターフェース89が電気的に接続される。電源88は、制御装置82を含む電気機器(モータ48、回転検出器60)に電力を供給するために用いられる。制御装置82以外の電気機器には、電源88から制御装置82を介して電力が供給される。ユーザインターフェース89は、制御装置82に対して情報を入力又は出力するために用いられる。ユーザインターフェース89は、例えば、キーボード、ディスプレイ等である。
以上の歯車装置10の効果を説明する。
本実施形態の歯車装置10は、クランク軸歯車26A、26Bの回転を検出する回転検出器60を備える。よって、複数のクランク軸24A~24Cを備える歯車装置10において、回転検出器60によって、クランク軸歯車26A、26Bの回転を検出できるようになる。また、回転検出器60はデッドスペースになり易いクランク軸歯車26A、26Bの歯部44に対向する箇所に配置されるため、歯車装置10の小型化を図りつつ回転検出器60を歯車装置10に組み込めるようになる。
回転検出器60は、第1クランク軸歯車26Aに対向する第1検出処理部66Aと、第2クランク軸歯車26Bに対向する第2検出処理部66Bを備える。よって、第1検出処理部66A及び第2検出処理部66Bによって、異なるクランク軸歯車26A、26Bの回転を検出できるようになる。この他にも、複数の検出処理部66A、66Bを備えることで、回転検出器60に冗長性を持たせることができる。また、異なるクランク軸歯車26A、26Bの回転を検出するうえで基板62を共用できる。よって、個別の検出処理部66A、66B毎に専用の基板62を用いるよりも部品点数を削減することができる。
第1検出処理部66Aと第2検出処理部66Bは、異なる処理方式で検出信号を処理する。よって、各検出処理部66A、66Bからクランク軸歯車26A、26Bの回転状態を示す異なる出力信号を出力できるようになる。
配線68は、外接円Cよりも径方向外側に延在する基板62の延在部62bに接続される。仮に、基板62に延在部62bを設けない場合で、第1キャリヤ32Aの回転により複数のクランク軸歯車26A~26Cが公転する場合、クランク軸歯車26A~26Cと配線68との干渉を避けるため、基板62から第1キャリヤ32Aとは軸方向反対側に配線68を延ばす必要がある。これに伴い、基板62に対して第1キャリヤ32Aと軸方向反対側にある側方部材(ここでは第2ケーシング部材52)と配線68との干渉を避けるべく、側方部材と基板62との間に余計な軸方向寸法を確保する必要が生じる。これに対して、基板62の延在部62bに配線68を接続すれば、第1キャリヤ32Aとは軸方向反対側に配線68を延ばさずに済み、側方部材と基板62との間に余計な軸方向寸法を確保せずに済む。
次に、歯車装置10の他の工夫点を説明する。
図2、図5を参照する。ケーシング28とキャリヤ32A、32Bの相対回転可能な角度範囲(以下、可動角度範囲という)は360°未満となる。この可動角度範囲は、噛合歯車22の中心軸CL4周りでの角度範囲をいう。これは、例えば、本実施形態のように、ロボット装置の多関節アームの関節部に歯車装置10を組み込む場合を想定している。これを実現するうえで、例えば、ケーシング28とキャリヤ32A、32Bの相対回転可能な角度範囲を機械的に制限したり、制御装置82によって制御的に制限してもよい。
配線68は、ケーシング28に対する位置が固定される固定部90と、配線68の固定部90と基板62との間に設けられる可動部92とを備える。固定部90は、例えば、ケーシング28に設けられる引出孔94に挿通されることで、ケーシング28に対する位置が固定される。固定部90は、引出孔94から歯車装置10の外部にある外部空間に引き出されたうえで、制御装置82に接続される。
キャリヤ32Aは、可動角度範囲の周方向一方側(図では反時計回り)にある第1角度位置Pa(図2参照)と、可動角度範囲の周方向他方側(図では時計回り)にある第2角度位置Pb(図5参照)との間で回転可能である。キャリヤ32Aは、第1回転方向(以下、便宜的に、正回転方向Daという)に回転することで、第1角度位置Paから第2角度位置Pbに回転できる。また、キャリヤ32Aは、正回転方向Daとは逆向きの第2回転方向(以下、便宜的に、逆回転方向Dbという)に回転することで、第2角度位置Pbから第1角度位置Paに回転できる。
第1角度位置Paと第2角度位置Pbとの間でキャリヤ32Aが回転するとき、複数のクランク軸歯車26A~26C及び回転検出器60は、キャリヤ32Aと同じ向き、同じ回転角度の分だけ回転する。配線68の可動部92は、第1角度位置Paと第2角度位置Pbとの間でキャリヤ32Aとともに回転検出器60が回転するときに、回転検出器60に追従して動くことができる。
配線68の可動部92は、キャリヤ32Aが第1角度位置Paにあるとき、複数のクランク軸歯車26A~26Cを取り囲むように配置される。このとき、配線68の可動部92は、前述した外接円Cよりも径方向外側に配置される。このとき、配線68の可動部92は、第1周方向範囲Raに存在するように設けられる。これに対して、配線68の可動部92は、キャリヤ32Aが第2角度位置Pbにあるとき、第1周方向範囲Raよりも狭い第2周方向範囲Rbに存在するように設けられる。
キャリヤ32Aが第1角度位置Paから第2角度位置Pbに向けて正回転方向Daに回転すると、配線68の可動部92は、回転検出器60によって周方向他方側(図の時計回り)に押される。これにより、その存在する周方向範囲を第1周方向範囲Raから第2周方向範囲Rbまで小さくする。キャリヤ32Aが第2角度位置Pbから第1角度位置Paに向けて逆回転方向Dbに回転すると、配線68の可動部92は、回転検出器60によって周方向一方側(図の反時計回り)に引っ張られる。これにより、その存在する周方向範囲を第2周方向範囲Rbから第1周方向範囲Raまで大きくする。このように、配線68の可動部92は、第1角度位置Paと第2角度位置Pbとの間でキャリヤ32Aが回転するときに、自身の存在する周方向範囲が増減するように回転検出器60に追従して動くことができる。
このように、配線68は、複数のクランク軸歯車26A~26Cを取り囲むように配置される。よって、ケーシング28に対してキャリヤ32Aが360°未満の可動角度範囲内で回転する場合に、回転検出器60の動きに追従して配線68の一部(可動部92)を動かすことができるようになる。ひいては、配線68によって回転検出器60と制御装置82を電気的に接続した状態のまま、ケーシング28に対するキャリヤ32A等の回転を許容できるようになる。
以上のように歯車装置10の運転時にキャリヤ32Aが正回転方向Daに回転する場合、キャリヤ32Aとともに回転検出器60が回転することで配線68に弛みが生じ得る。歯車装置10は、この配線68の弛み対策として、キャリヤ32Aの回転に伴う配線68の弛みによるクランク軸歯車26A~26Cと配線68との干渉を防止する干渉防止機構100を備える。本実施形態の干渉防止機構100は、配線68の可動部92に径方向内側から当たることで配線68の径方向内側への動きを制限するガイド102と、キャリヤ32Aの回転に伴い配線68の可動部92の繰り出し長さを調整可能な長さ調整機構104とを備える。
本実施形態のガイド102はキャリヤ32Aに固定されており、キャリヤ32Aと一体に回転可能である。ガイド102は、軸方向から見て、複数のクランク軸歯車26A~26Cを取り囲むように設けられる。ガイド102は、配線68の可動部92が弛もうとしたとき、その可動部92に径方向内側から当たることで、その径方向内側への動きを制限可能である。
本実施形態の長さ調整機構104はコードリールである。この長さ調整機構104は、配線68の可動部92と固定部90の間に設けられる。長さ調整機構104を構成するコードリールはケーシング28に固定される。本実施形態の配線68の可動部92と固定部90は別々の配線部材によって構成され、互いに電気的に接続される。長さ調整機構104は、図示しないものの、配線68の可動部92を構成する配線部材が巻き回されるドラムと、ドラムを巻き取り方向に付勢するぜんまいばね等の付勢部材を備える。長さ調整機構104は、キャリヤ32Aが正回転方向Daに回転したとき、付勢部材の付勢力を用いて配線68の可動部92を巻き取ることで、その弛みを防止できる。長さ調整機構104は、キャリヤ32Aが逆回転方向Dbに回転することで、配線68の可動部92が引っ張られたとき、付勢部材の付勢力に抗してドラムから配線68を繰り出すことができる。これにより、長さ調整機構104は、配線68の可動部92の繰り出し長さを調整可能となる。
キャリヤ32Aが正回転方向Daに回転しようとしたとき、ガイド102によって、配線68の可動部92の弛みによるクランク軸歯車26A~26Cに向かう配線68の動きを制限することができる。これと同時に、長さ調整機構104により配線68の可動部92を巻き取ることによって、その繰り出し長さを小さくして、配線68の弛みそのものを防止できる。
キャリヤ32Aが逆回転方向Dbに回転しようとすることで、配線68の可動部92が引っ張られようとしたとき、その可動部92は、ガイド102に径方向内側から当たってガイドされつつ引っ張られる。これと同時に、長さ調整機構104から配線68の可動部92を繰り出すことによって、その繰り出し長さを長くすることができる。
以上の干渉防止機構100によって、キャリヤ32Aの回転に伴い配線68が弛もうとしたときでも、クランク軸歯車26A~26Cと配線68との干渉を防止できるようになる。
(第2実施形態)図6を参照する。第2実施形態の歯車装置10は、ここまで説明した回転検出器60(以下、第1回転検出器60という)の他に、第1キャリヤ32Aの回転を検出可能な第2回転検出器110を備える点で相違する。第2回転検出器110はエンコーダである。第2回転検出器110は、ケーシング28の内周部に設けられる被検出部112と、被検出部112に対してケーシング28(噛合歯車22)の径方向に対向する第3検出処理部114と、を備える。
第3検出処理部114は、第1回転検出器60の基板62の外周側端部に設けられる。第3検出処理部114は、例えば、回転検出器60の検出処理部66A、66Bと同様、エンコーダIC、ホールIC等のICである。第3検出処理部114は、自身に組み込まれる検出素子(図示せず)によって被検出部112を検出することで、第1キャリヤ32Aの回転を検出可能である。第3検出処理部114の検出素子と被検出部112は、例えば、磁気抵抗素子及び磁気スケールの組み合わせ、光学センサ及び光学スケールの組み合わせ等である。
第3検出処理部114は、第1回転検出器60の検出処理部66A、66Bと同様、検出素子によって被検出部112を検出することで得た検出信号を処理することで、第1キャリヤ32Aの回転状態(回転角等)を示す出力信号を取得可能である。この第3検出処理部114による検出信号の処理方式は特に限定されず、前述の検出処理部66A、66Bと同様、アブソリュート方式、インクリメンタル方式、アナログ出力方式のうちの少なくとも一つの処理方式を用いてもよい。第3検出処理部114は、取得した出力信号を制御装置82に出力可能である。
これにより、第1キャリヤ32Aが回転する場合に、第2回転検出器110によって第1キャリヤ32Aの回転を検出できるようになる。なお、ケーシング28が回転する場合、第2回転検出器110によってケーシング28の回転を検出することもできる。
以上の構成要素の変形形態を説明する。
第1相手部材12及び第2相手部材14の具体例は特に限定されない。例えば、第1相手部材12、第2相手部材14の一方は歯車装置10を支持するベースであり、他方はコンベア、車輪、工作機械等の被動機械の一部であってもよい。
実施形態の歯車装置10の揺動歯車20は外歯歯車16である例を説明した。この他にも、揺動歯車20は内歯歯車18でもよい。
実施形態ではケーシング28に対してキャリヤ32A、32Bが回転し、キャリヤ32A、32Bが出力部材34となる例を説明した。この他にも、キャリヤ32A、32Bに対してケーシング28が回転し、ケーシング28が出力部材34となってもよい。この場合には、キャリヤ32が回転しないため、キャリヤ32の回転に伴う配線の弛み対策を不要にできる(つまり、配線の捩れを回避できる)。また、第2ケーシング部材52をキャリヤ32Aに固定するようにしてもよい。また、ケーシング28とキャリヤ32A、32Bの可動角度範囲は無制限としてもよい。
クランク軸歯車26A~26Cは、複数のクランク軸24A~24Cのうちの少なくとも一つのクランク軸24A~24Cに設けられていればよく、その個数は特に限定されない。例えば、クランク軸歯車26A~26Cは、単数でもよいし、二つ、四つ以上のいずれかでもよい。クランク軸歯車26A~26Cが単数となる場合、一つのクランク軸24A~24Cのみが入力歯車46によって駆動され、他のクランク軸24A~24Cは揺動歯車20の揺動によって駆動されてもよい。この場合も、複数のクランク軸24A~24Cが同一の回転速度で同一の方向に回転可能となる。
実施形態の回転検出器60は、磁気式エンコーダを例に説明した。回転検出器60は、その種類について特に限定されず、光学式エンコーダ、機械式エンコーダ等でもよい。
回転検出器60と制御装置82との間での出力信号の伝送方式は特に限定されない。この伝送方式は、実施形態のように有線伝送方式でもよいし、無線伝送方式でもよい。無線伝送方式を用いた場合、実施形態の配線68の弛み対策を不要にすることができる。無線伝送方式を用いる場合、制御装置82による制御のもと、遠隔測定により、回転検出器60を用いてクランク軸歯車26A、26Bの回転状態を制御装置82で取得することになる。無線伝送方式を用いる場合、回転検出器60の電力源として、回転検出器60に組み込まれる二次電池を用いてもよい。
有線伝送方式を用いた場合、歯車装置10の運転時にキャリヤ32A、32Bとともに回転検出器60が静止した状態のままとなる場合、実施形態の配線68の弛み対策を不要にすることができる。この他にも、有線伝送方式を用いる場合で、歯車装置10の運転時にキャリヤ32A、32Bとともに回転検出器60が回転する場合でも、実施形態のようにケーシング28内に配置される配線68を用いることは必須とならない。この場合、例えば、回転接続用コネクタを歯車装置10に組み込んでもよい。回転検出器60から制御装置82に至る信号伝送経路は、歯車装置10の外部にあり制御装置82に繋がる外部配線を備える。回転接続用コネクタは、この信号伝送経路の一部となり、回転検出器60と外部配線を電気的に接続する。回転接続用コネクタは、例えば、ケーシング28に一体化される。回転接続用コネクタは、外部配線に対して回転検出器60がキャリヤ32A、32Bとともに回転した場合でも、外部配線に対して回転検出器60を電気的に接続した状態を維持できる。回転接続用コネクタは、外部配線と回転検出器60を直接的に電気的に接続してもよいし、ケーシング28内に配置される配線68を介して電気的に接続されてもよい。回転接続用コネクタの具体例は特に限定されず、例えば、スリップリングとブラシを組み合わせたスリップリング機構、液体金属式ロータリーコネクタ等が用いられてもよい。
実施形態の回転検出器60は、異なるクランク軸歯車26A、26Bの歯部44に対向する第1検出処理部66A及び第2検出処理部66Bを備える例を説明した。この他にも、回転検出器60は、単数のクランク軸歯車の歯部に対向する単数の検出処理部のみを備えていてもよい。
第1検出処理部66Aと第2検出処理部66Bは同じ処理方式で検出信号を処理してもよい。
基板62は延在部62bを備えていなくともよい。この場合、配線68は、基板62の被固定部62aに接続されてもよい。
配線68は、複数のクランク軸歯車26A、26Bを取り囲むように配置されていなくともよい。これを実現するうえで、例えば、配線68が可動部92を備える場合に、単数のクランク軸歯車の径方向外側にだけ配線68の可動部92が設けられていてもよい。
歯車装置10は干渉防止機構100を備えなくともよい。干渉防止機構100の具体例は特に限定されない。干渉防止機構100は、前述したガイド102及び長さ調整機構104のいずれか一方のみによって構成されてもよい。この他にも、干渉防止機構100は、前述したガイド102及び長さ調整機構104に替えて、前述した、回転検出器60及び配線68と外部配線を電気的に接続する回転接続用コネクタを備えていてもよい。
ガイド102の具体例も特に限定されない。ガイド102は、実施形態の例では円弧状に延びる板状部材を例に説明したが、円弧状に延びる筒状部材でもよい。また、ガイド102は、単数部材によって構成される例を説明したが、複数部材によって構成されてもよい。
長さ調整機構104の具体例は限定されない。長さ調整機構104は、例えば、配線68において可動部92よりも固定部90側にある一部をUターンさせた状態で保持し、配線68の可動部92における繰り出し長さの変動に連動して、そのUターンさせた箇所の長さを変動させるUターン機構でもよい。これを用いる場合、配線68の可動部92の繰り出し長さの増加に連動してUターン箇所の長さを減少させ、その繰り出し長さの減少に連動してUターン箇所の長さが増加させることができる。Uターン機構を用いる場合、配線68の可動部92及びUターン箇所の長さが増減するものの、これを用いない場合と比べ、配線68の可動部92での弛み量を小さくできる。ひいては、これを用いない場合と比べ、クランク軸歯車26A~26Cと配線68との干渉を防止できる。
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
10…偏心揺動型歯車装置、20…揺動歯車、24A…第1クランク軸、24B…第2クランク軸、26A…第1クランク軸歯車、26B…第2クランク軸歯車、32A…キャリヤ、44…歯部、60…回転検出器、62…基板、62b…延在部、64A…第1主面、64B…第2主面、66A…第1検出処理部、66B…第2検出処理部、68…配線、100…干渉防止機構。
Claims (6)
- 揺動歯車と、
前記揺動歯車の中心から前記揺動歯車の径方向にオフセットした位置に配置される複数のクランク軸と、
少なくとも一つの前記クランク軸に設けられ、回転が入力されるクランク軸歯車と、を備える偏心揺動型歯車装置であって、
前記クランク軸歯車の歯部に対向し、前記クランク軸歯車の回転を検出する回転検出器を備える偏心揺動型歯車装置。 - 前記複数のクランク軸は、
第1クランク軸歯車が設けられた第1クランク軸と、
第2クランク軸歯車が設けられた第2クランク軸と、を含み、
前記回転検出器は、
基板と、
前記基板の第1主面に設けられ、前記第1クランク軸歯車の歯部に対向する第1検出処理部と、
前記基板の前記第1主面とは反対側の第2主面に設けられ、前記第1クランク軸歯車の歯部に対向する第2検出処理部と、を備える請求項1に記載の偏心揺動型歯車装置。 - 前記第1検出処理部は、前記第1クランク軸歯車の回転を検出し、検出した検出信号を処理し、
前記第2検出処理部は、前記第2クランク軸歯車の回転を検出し、検出した検出信号を処理し、
前記第1検出処理部と前記第2検出処理部は、異なる処理方式で検出信号を処理する請求項2に記載の偏心揺動型歯車装置。 - 複数の前記クランク軸歯車と、
前記回転検出器の検出結果を伝送する配線と、を備え、
前記回転検出器は、基板を備え、
前記基板は、軸方向から見て、前記複数のクランク軸歯車に外接する外接円よりも径方向外側まで延在する延在部を備え、
前記配線は、前記延在部に接続される請求項1から3のいずれか1項に記載の偏心揺動型歯車装置。 - 複数の前記クランク軸歯車と、
前記回転検出器の検出結果を伝送する配線と、を備え、
前記配線は、軸方向から見て、前記複数のクランク軸歯車を取り囲むように配置される請求項1から4のいずれか1項に記載の偏心揺動型歯車装置。 - 前記回転検出器の検出結果を伝送する配線と、
前記回転検出器が固定されるキャリヤと、
前記キャリヤの回転に伴う前記配線の弛みによる前記クランク軸歯車と前記配線との干渉を防止する干渉防止機構と、を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の偏心揺動型歯車装置。
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