JP2023065970A - 車両用サスペンション制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サスペンション制御に用いられるばね上加速度センサの異常を速やかに検出可能とする。【解決手段】車両用サスペンション制御装置は、車両のばね下構造体とばね上構造体との間に上下方向の制御力を作用させるアクチュエータと、少なくとも4つのばね上加速度センサと、電子制御ユニットと、を備える。電子制御ユニットは、少なくとも4つのばね上加速度センサの検出加速度に基づいてアクチュエータを制御する。異常検出処理において、電子制御ユニットは、少なくとも4つのばね上加速度センサの全部より1つ少ない数のばね上加速度センサの検出加速度に基づいて、残りの1つのばね上加速度センサの位置のばね上加速度の推定加速度を算出し、算出された推定加速度と残りの1つのばね上加速度センサの検出加速度との比較に基づいて、少なくとも4つのばね上加速度センサの中に異常なばね上加速度センサが含まれているか否かを判定する。【選択図】図3

Description

本開示は、車両のばね下構造体とばね上構造体との間に上下方向の制御力を作用させるアクチュエータを備える車両用サスペンション制御装置に関する。
特許文献1は、車両のアクティブサスペンション装置を開示している。このアクティブサスペンション装置では、上下加速度センサが故障したとき、サスペンション特性制御装置が、上下加速度センサの検出信号に基づくサスペンション制御の制御ゲインをゼロになるように制御する。つまり、当該サスペンション制御が中止される。より詳細には、上記アクティブサスペンション装置における故障判定は、次のように実行される。すなわち、3つの上下加速度センサのすべてから上下加速度信号が入力されたときには、これらの上下加速度センサは正常であると判定される。一方、3つの上下加速度センサの何れかから上下加速度信号が入力されないときは、上下加速度信号が入力されない上下加速度センサが故障したと判定される。
特開平04-039108号公報
ばね上加速度センサ(上下加速度センサ)の異常の原因は、断線等の理由により信号が入力されないことだけでなく、例えば、ばね上加速度センサから出力される信号が異常であることを含む。異常が生じているばね上加速度センサからの出力を利用すると、サスペンション制御を適切に行えなくなる。このため、ばね上加速度センサの異常を速やかに検出できることが望まれる。
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、サスペンションのアクチュエータの制御に用いられるばね上加速度センサの異常を速やかに検出可能な車両用サスペンション制御装置を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る車両用サスペンション制御装置は、アクチュエータと、少なくとも4つのばね上加速度センサと、電子制御ユニットと、を備える。アクチュエータは、車両のばね下構造体とばね上構造体との間に上下方向の制御力を作用させる。少なくとも4つのばね上加速度センサは、ばね上構造体の上下加速度を検出する。電子制御ユニットは、少なくとも4つのばね上加速度センサの検出加速度に基づいてアクチュエータを制御する。電子制御ユニットは、異常検出処理を実行する。異常検出処理において、電子制御ユニットは、少なくとも4つのばね上加速度センサの全部より1つ少ない数のばね上加速度センサの検出加速度に基づいて、残りの1つのばね上加速度センサの位置のばね上加速度の推定加速度を算出し、算出された推定加速度と残りの1つのばね上加速度センサの検出加速度との比較に基づいて、少なくとも4つのばね上加速度センサの中に異常なばね上加速度センサが含まれているか否かを判定する。
本開示の他の態様に係る車両用サスペンション制御装置は、アクチュエータと、少なくとも4つのばね上加速度センサと、電子制御ユニットと、を備える。アクチュエータは、車両のばね下構造体とばね上構造体との間に上下方向の制御力を作用させる。少なくとも4つのばね上加速度センサは、ばね上構造体の上下加速度を検出する。電子制御ユニットは、少なくとも4つのばね上加速度センサの検出加速度に基づいてアクチュエータを制御する。電子制御ユニットは、センサ特定処理を実行する。センサ特定処理において、電子制御ユニットは、少なくとも4つのばね上加速度センサの全部より1つ少ない数のばね上加速度センサの検出加速度に基づいてばね上構造体の同一位置の上下変位、ロール角、又はピッチ角の関連値である特定値を算出することを、上記全部より1つ少ない数のばね上加速度センサに関する複数の異なる組み合わせのそれぞれを対象として実行し、上記複数の異なる組み合わせの間での特定値の比較に基づいて、少なくとも4つのばね上加速度センサの中から異常なばね上加速度センサを特定する。
本開示のさらに他の態様に係る車両用サスペンション制御装置は、アクチュエータと、少なくとも4つのばね上加速度センサと、ジャイロセンサと、電子制御ユニットと、を備える。アクチュエータは、車両のばね下構造体とばね上構造体との間に上下方向の制御力を作用させる。少なくとも4つのばね上加速度センサは、ばね上構造体の上下加速度を検出する。ジャイロセンサは、ばね上構造体の角速度を検出する。電子制御ユニットは、少なくとも4つのばね上加速度センサの検出加速度に基づいてアクチュエータを制御する。電子制御ユニットは、異常検出処理を実行する。異常検出処理において、電子制御ユニットは、少なくとも4つのばね上加速度センサの全部の検出加速度に基づいて、ジャイロセンサの位置のばね上構造体の第1推定角速度関連値を算出し、算出された第1推定角速度関連値とジャイロセンサの検出角速度関連値との比較に基づいて、少なくとも4つのばね上加速度センサの中に異常なばね上加速度センサが含まれているか否かを判定する。
本開示の各態様に係る車両用サスペンション制御装置によれば、ばね上加速度センサの出力信号の異常挙動の有無に基づいてセンサ異常を検出する処理を長い判定時間を用いて単独で実施する例と比べて、ばね上加速度センサの異常を速やかに検出できる。
実施の形態1に係る車両の構成の一例を概略的に示す図である。 実施の形態1に係るサスペンションの構成の一例を概略的に示す図である。 実施の形態1に係るサスペンション制御に関連する処理を示すフローチャートである。 異常検出処理(ステップS106)を説明するための補足図である。 実施の形態2に係るセンサ特定処理を説明するための補足図である。 実施の形態2に係るサスペンション制御に関連する処理を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る車両の構成の一例を概略的に示す図である。 実施の形態3に係るサスペンション制御に関連する処理を示すフローチャートである。
以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。
1.実施の形態1
1-1.車両の構成
図1は、実施の形態1に係る車両1の構成の一例を概略的に示す図である。車両1は、車輪2と、車輪2を車体6(図2参照)から懸架するサスペンション3と、を備えている。車輪2は、左前輪2FL、右前輪2FR、左後輪2RL、及び右後輪2RRを含んでいる。それら左前輪2FL、右前輪2FR、左後輪2RL、及び右後輪2RRのそれぞれに対してサスペンション3FL、3FR、3RL、及び3RRが設けられている。以下の説明では、特に区別の必要が無い場合、各車輪を車輪2と呼び、各サスペンションをサスペンション3と呼ぶ。
図2は、実施の形態1に係るサスペンション3の構成の一例を概略的に示す図である。サスペンション3は、車両1のばね下構造体4とばね上構造体5との間を連結するように設けられている。ばね下構造体4は、車輪2を含んでいる。ばね上構造体5は、車体6を含んでいる。サスペンション3は、スプリング3S、ダンパ(ショックアブソーバ)3D、及びアクチュエータ3Aを含んでいる。スプリング3S、ダンパ3D、及びアクチュエータ3Aは、ばね下構造体4とばね上構造体5との間に並列に設けられている。スプリング3Sのばね定数はKである。ダンパ3Dの減衰係数はCである。アクチュエータ3Aは、ばね下構造体4とばね上構造体5との間に上下方向の制御力Fcを作用させる。これにより、サスペンション3のストロークが制御される。
より詳細には、アクチュエータ3Aは、一例として電動式又は油圧式のアクティブアクチュエータ(いわゆる、フルアクティブサスペンションを構成するアクチュエータ)である。しかしながら、本開示に係る「アクチュエータ」は、ばね下構造体4とばね上構造体5との間に上下方向の制御力Fcを作用可能なものであれば、特に限定されない。具体的には、アクチュエータは、例えば、ダンパ3Dが発生させる減衰力を可変とするアクチュエータ、又は、アクティブスタビライザ装置のアクチュエータであってもよい。更に、アクチュエータは、例えば、サスペンションジオメトリの利用により、車輪に作用する車両前後力(駆動力及び制動力)を制御力Fcに変換可能に構成されたサスペンションを備える車両において当該車両前後力を発生させるアクチュエータ(例えば、電動機)であってもよい。当該電動機は、例えば、車輪に備えられたインホイールモータ(IWM)であってもよいし、あるいは、車両駆動軸を介して車輪を駆動可能な電動機であってもよい。
さらに、車両1は、電子制御ユニット(ECU)10を備えている。ECU10は、プロセッサ、記憶装置、及び入出力インターフェースを備えている。入出力インターフェースは、車両1に取り付けられたセンサ類12からセンサ信号を取り込むとともに、アクチュエータ3Aに対して操作信号を出力する。記憶装置には、アクチュエータ3Aを制御するための各種の制御プログラムが記憶されている。プロセッサは、制御プログラムを記憶装置から読み出して実行する。これにより、アクチュエータ3Aを利用したサスペンション制御が実現される。ECU10は複数であってもよい。
センサ類12は、例えば、ばね上構造体5の上下加速度を検出するばね上加速度センサを備える。図1に示す例では、4つのばね上加速度センサ14-i(i=1~4)が設けられている。より詳細には、ばね上加速度センサ14-1は、ばね上重心位置(ばね上構造体5の重心位置GC)から見て右前輪2FRの方の第1位置のばね上加速度を検出する。ばね上加速度センサ14-2は、ばね上重心位置GCから見て左前輪2FLの方の第2位置のばね上加速度を検出する。ばね上加速度センサ14-3は、ばね上重心位置GCから見て右後輪2RRの方の第3位置のばね上加速度を検出する。ばね上加速度センサ14-4は、ばね上重心位置GCから見て左後輪2RLの方の第4位置のばね上加速度を検出する。すなわち、記号「i」の数値1~4は、それぞれ、右前輪2FR、左前輪2FL、右後輪2RR、及び左後輪2RLに対応している。なお、ばね上重心位置GCから第1~第4位置のそれぞれまでの距離は任意である。また、センサ類12は、例えば、横加速度センサ、サスペンションストロークセンサ、車高センサ、ばね下加速度センサ、及び、車輪速センサを含む。
1-2.サスペンション制御
ECU10は、上述の4つのばね上加速度センサ14-iの検出信号に基づいてアクチュエータ3Aを制御するサスペンション制御を実行する。このサスペンション制御は、一例として、ばね上構造体5の振動を低減するためのスカイフック制御則に基づくフィードバック制御(以下、「ばね上状態量のFB制御」又は単に「FB制御」と称する)を含む。なお、本FB制御は、一例として4つの車輪2のそれぞれを対象として実行されるが、これに代え、例えば、左右前輪2Fのみ又は左右後輪2Rのみを対象として実行されてもよい。
1-2-1.ばね上状態量のFB制御の基本構成例
本FB制御において、ECU10は、ばね上構造体5の振動を低減するために要求される要求制御量Xに応じた制御力Fcを発生させるようにアクチュエータ3Aを制御する。以下に説明される一例では、ECU10は、当該要求制御量Xとして、ばね上重心位置GCの各モード振動(上下振動(ヒーブ振動)、ロール振動、及びピッチ振動)を抑えるために要求される要求制御量である上下要求制御量Fz、ロール要求制御量Mr、及びピッチ要求制御量Mpを算出する。
各ばね上加速度センサ14-i(i=1~4)によって検出されるばね上加速度の検出値は、以下「検出加速度Z''」と呼ばれる。ECU10は、4つのばね上加速度センサ14-1~14-4によってそれぞれ検出される検出加速度Z''~Z''から、ばね上重心位置GCの各モード加速度(すなわち、上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ'')を算出する。例えば、ECU10は、次の式(1)~(4)に従って、上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ''を算出する。なお、各ばね上加速度センサ14-i(i=1~4)のX方向(車両1の進行方向)の位置及びY方向(車両1の横方向)の位置は、それぞれ、L及びWである(図1参照)。ばね上重心位置GCのX方向位置及びY方向位置は、それぞれ、L及びWである。これらのパラメータ(L、W、L、及びW)は、予め取得され、ECU10の記憶装置に格納されている。
Figure 2023065970000002

Figure 2023065970000003

Figure 2023065970000004

Figure 2023065970000005
4つの位置の検出加速度Z''~Z''を用いることによって、ばね上重心位置GCの上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ''を精度良く算出することができる。
次に、ECU10は、各モード加速度(上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ'')を積分することによって、ばね上重心位置GCの各モード速度(上下速度Z'、ロール速度Φ'、及びピッチ速度Θ')を算出する。ばね上重心位置GCの上下速度Z'、ロール速度Φ'、及びピッチ速度Θ'は、それぞれ、次の式(5)~(7)により表される。
Figure 2023065970000006

Figure 2023065970000007

Figure 2023065970000008
同様に、ECU10は、各モード速度(上下速度Z'、ロール速度Φ'、及びピッチ速度Θ')を積分することによって、ばね上重心位置GCの各モード変位(上下変位Z、ロール角(ロール角度変位)Φ、及びピッチ角(ピッチ角度変位)Θ)を算出する。ばね上重心位置GCの上下変位Z(図1参照)、ロール角Φ、及びピッチ角Θは、それぞれ、次の式(8)~(10)により表される。なお、上下変位Zの符号は、上向きの場合に正であり、下向きの場合に負である。
Figure 2023065970000009

Figure 2023065970000010

Figure 2023065970000011
Figure 2023065970000012
次に、ECU10は、ばね上重心位置GCの各モード振動(上下振動、ロール振動、ピッチ振動)を抑えるための上下要求制御量F、ロール要求制御量M、及びピッチ要求制御量Mを算出する。ここで、上下要求制御量Fは、上向きの制御力が要求される場合に正であるとする。ロール要求制御量Mは、右下がり且つ左上がりの制御モーメントが要求される場合に正であるとする。ピッチ要求制御量Mは、前輪下がり且つ後輪上がりの制御モーメントが要求される場合に正であるとする。
ECU10は、これらの上下要求制御量F、ロール要求制御量M、及びピッチ要求制御量Mを、上述のように取得される各モード加速度(上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ'')、各モード速度(上下速度Z'、ロール速度Φ'、及びピッチ速度Θ')、及び各モード変位(上下変位Z、ロール角Φ、及びピッチ角Θ)を用いて算出する。例えば、上下要求制御量F、ロール要求制御量M、及びピッチ要求制御量Mは、それぞれ、次の式(11)~(13)により与えられる。
Figure 2023065970000013
Figure 2023065970000014

Figure 2023065970000015

Figure 2023065970000016
式(11)~(13)において、G1、G2、G3、G1、G2、G3、G1、G2、及びG3は制御ゲインである。以下の説明では、特に区別の必要が無い場合、各制御ゲインを制御ゲインGと呼ぶ。
式(11)~(13)によって示されるように、上下要求制御量F、ロール要求制御量M、及びピッチ要求制御量Mのそれぞれは、ばね上構造体5の変位、速度、及び加速度に関する変位項、速度項、及び加速度項を有する。
具体的には、上下要求制御量Fは、上下変位Zと制御ゲインG1との積である変位項と、上下速度Z'と制御ゲインG2との積である速度項と、上下加速度Z''と制御ゲインG3との積である加速度項と、を有する。
同様に、ロール要求制御量Mは、ロール角Φと制御ゲインG1との積である変位項と、ロール速度Φ'と制御ゲインG2との積である速度項と、ロール加速度Φ''と制御ゲインG3との積である加速度項と、を有する。
同様に、ピッチ要求制御量Mは、ピッチ角Θと制御ゲインG1との積である変位項と、ピッチ速度Θ'と制御ゲインG2との積である速度項と、ピッチ加速度Θ''と制御ゲインG3との積である加速度項と、を有する。
次に、ECU10は、ばね上重心位置GCにおける要求制御量F、M、及びMを、各車輪2(2FR、2FL、2RR、及び2RL)の位置の要求制御量に換算(変換)する。各車輪2の位置の要求制御量が、各車輪2に対応するアクチュエータ3Aの目標制御力Fctに相当する。
前輪2Fのトレッド幅はTであり、後輪2Rのトレッド幅はTである。前輪軸とばね上重心位置GCとの間の距離はlであり、後輪軸とばね上重心位置GCとの間の距離はlである。この場合、各アクチュエータ3Aの目標制御力Fct(Fctfr、Fctfl、Fctrr、及びFctrl)は、次の式(14)により表される。
Figure 2023065970000017
ECU10は、この式(14)に従って、ばね上重心位置GCにおける要求制御量F、M、及びMを、各アクチュエータ3Aの目標制御力Fctに換算することができる。あるいは、ECU10は、要求制御量F、M、及びMに基づくマップを参照することによって、各車輪2の目標制御力Fctを算出してもよい。
ECU10は、上述のように算出される要求制御量X(ここでは、F、M、及びM)に応じた制御力Fcを発生させるようにアクチュエータ3Aを制御する。具体的には、ECU10は、式(14)に従って要求制御量X(F、M、及びM)から変換された後の各車輪2の目標制御力Fct(Fctfr、Fctfl、Fctrr、及びFctrl)を各車輪2に対応するアクチュエータ3Aに指令する。
なお、上記の式(11)~(13)式に示す例では、要求制御量Xは変位項、速度項、及び加速度項の3つを有する。本FB制御を実行する場合、このような例に代え、要求制御量Xは、変位項、速度項、及び加速度項の何れか1つ又は2つの制御項のみを有していてもよい。また、式(11)~(13)式に示されるように、要求制御量Xの各制御項は、ばね上状態量Yと制御ゲインGとの積により表される。このため、制御ゲインGが大きくなると、当該制御ゲインGを有する制御項の値(制御量)、換言すると制御力Fcが大きくなり、その結果、制御効果(制振効果又は加振効果)が高くなる。
付け加えると、ばね上状態量YのFB制御における要求制御量Xは、ばね上重心位置GCの各モード振動を抑制するための要求制御量F、M、及びMに代え、例えば、各車輪2の位置のばね上状態量Y(ばね上変位Z(図2参照)、ばね上速度Z'、ばね上加速度Z'')と制御ゲインとの積であってもよい。ばね上変位Zの符号は、上向きの場合に正であり、下向きの場合に負である。また、要求制御量Xの算出に用いられるばね上状態量Yは、左右前輪2F又は左右後輪2Rの位置のばね上状態量Yの同相分又は逆相分であってもよい。
1-2-2.ばね上加速度センサに基づくサスペンション制御の課題と対策
以下の説明では、ばね上加速度センサ14-i(i=1~4)のそれぞれを特に区別の必要が無い場合、各ばね上加速度センサをばね上加速度センサ(又は、単に「加速度センサ」)14と呼ぶ。
1-2-2-1.センサ異常検出
加速度センサ14に故障等の異常が生じると、誤ったセンサ情報に基づいてサスペンション制御が実施されてしまう。その結果、車体6が大きく加振されたり、制振効果が低下したりするおそれがある。このため、加速度センサ14の異常を速やかに検出する必要がある。
加速度センサ14の異常の原因としては、センサ内部の可動部品の固着、及び、センサの回路又は信号線の断線(断続的な断線を含む)若しくはショートが例示される。ここで、加速度センサ14の出力値は、通常、車両走行中に常に変動している。より詳細には、センサ出力信号は、様々な路面入力に起因して大きく変化する。このため、例えばセンサ出力信号の波形(例えば、出力信号の大小)に基づいて、センサ出力信号が異常であることと、実際に大きく変化しているばね上加速度Z''を正常に検出していることとを正確に判別すること自体がそもそも難しい。また、このように正確に判定することが難しい加速度センサ14の異常を単に判定時間を短くしてセンサ出力信号の波形から速やかに判定しようとすると、誤判定となるおそれがある。例えば、加速度センサ14の正常であるのに異常であると誤判定をしてしまうと、過剰にサスペンション制御を止めてしまうことになり、本来得られるべき制振効果が得られなくなる。
上述の課題に鑑み、本実施形態では、ばね上加速度センサ14の検出加速度Z''に基づくサスペンション制御(例えば、上述のFB制御)に関連してECU10によって実行される処理は、次の「異常検出処理」と「センサ特定処理」とを含む。これらの処理の具体例は次の図3に示すフローチャートを用いて説明されるが、これらの処理の概要は次の通りである。
異常検出処理において、ECU10は、4つの加速度センサ14の全部より1つ少ない数(すなわち、3つ)の加速度センサ14の検出加速度Z''に基づいて、残りの1つの加速度センサ14の位置のばね上加速度の推定加速度Ziest''を算出する。そして、ECU10は、算出された推定加速度Ziest''と当該残りの1つの加速度センサ14の検出加速度Z''との比較に基づいて、4つの加速度センサ14の中に異常な加速度センサ14が含まれているか否かを判定する。
センサ特定処理は、異常な加速度センサ14が含まれていることが異常検出処理によって検出されたことを受けて実行される。センサ特定処理では、ECU10は、4つの加速度センサ14のうちで出力信号が所定の判定時間T0に渡って異常挙動を示した加速度センサを、異常な加速度センサ14であると特定(確定)する。
1-2-2-2.センサ異常検出時のサスペンション制御
本実施形態に係る異常検出処理及びセンサ特定処理のうち、例えば、異常検出処理のみがサスペンション制御に関連して実行されてもよい。そして、異常検出処理によって異常な加速度センサ14が含まれていると判定された場合には、例えば、サスペンション制御が中止されてもよい。また、異常検出処理及びセンサ特定処理の双方がサスペンション制御に関連して実行されてもよい。そして、センサ特定処理によって異常な加速度センサ14の特定まで行った後に、例えば、サスペンション制御が中止されてもよい。
そのうえで、異常検出処理及びセンサ特定処理のうちの少なくとも異常検出処理を実行してセンサ異常を検出した際に上述のようにサスペンション制御が中止されると、ばね上構造体5の状態が急変する可能性がある。そこで、本実施形態においてECU10により実行される処理は、次の「算出処理」と「異常時制御処理」とを含む。これらの処理の具体例も次の図3に示すフローチャートを用いて説明されるが、これらの処理の概要は次の通りである。
以下、説明の便宜上、センサ異常が生じている状況下で異常な加速度センサ14を除く残りの加速度センサ14を用いて算出されるばね上状態量及びこれに基づく要求制御量を、それぞれ「Ya」及び「Xa」と称する。算出処理は、センサ特定処理によって異常な加速度センサ14が特定された後、特定された異常な加速度センサ14を除く残りの加速度センサ14の検出加速度Z''に基づいてばね上状態量Yaを算出する処理である。そして、異常時制御処理は、算出処理によって算出されたばね上状態量Yaと制御ゲインGとの積である要求制御量Xaに応じた制御力Fcを発生させるようにアクチュエータ3Aを制御する処理である。
1-2-2-3.処理の具体例
図3は、実施の形態1に係るサスペンション制御に関連する処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、車両1の走行中に繰り返し実行される。
<ステップS100>
ステップS100において、ECU10は、ばね上構造体5の加速度センサ情報を取得する。具体的には、ここでいう加速度センサ情報の一例として、ECU10は、4つのばね上加速度センサ14-iのそれぞれの検出加速度Z''を取得する。
付け加えると、本開示に係る「ばね上加速度センサ」は、検出加速度Z''を取得可能なものであれば、必ずしもばね上加速度センサ14の例のようにばね上構造体5に設置されていなくてもよい。具体的には、本開示に係る「ばね上加速度センサ」は、例えば、車体6(ばね上構造体5)の上下方向変位を検出する車高センサとばね下加速度センサとの組み合わせによって構成されていてもよい。より詳細には、検出加速度Z''は、車高センサの検出値とばね下加速度センサの検出値とに基づく算出によって取得されてもよいし、あるいは、これら2つのセンサの検出値を利用するオブザーバによる推定によって取得されてもよい。なお、車高センサとばね下加速度センサの組み合わせをばね上加速度センサとして用いる例では、車高センサ及びばね下加速度センサの何れか一方又は双方の異常が上述の「ばね上加速度センサ」の異常に対応する。
<ステップS102>
次に、ステップS102において、ECU10は、3つの加速度センサ14の検出加速度Z''から、残りの1つの加速度センサ14の位置のばね上加速度の推定加速度Ziest''を算出する。換言すると、この推定加速度Ziest''は、残りの1つの加速度センサ14の推定センサ値に相当する。4つのばね上加速度センサ14-iのどれを「残りの1つの加速度センサ14」として用いるかについては任意に決定されればよい。そのうえで、下記に説明される算出例では、加速度センサ14-4(すなわち、左後輪2RLに対応する加速度センサ)が「残りの1つの加速度センサ14」として用いられている。
具体的には、ECU10は、ばね上構造体5が剛体であるという条件の下で、ステップS100にて取得された3つの加速度センサ14-1、14-2、及び14-3の検出加速度Z''、Z''、及びZ''から残りの1つの加速度センサ14-4の推定加速度Z4est''を算出する。この際、例えば、ECU10は、まず、次の式(15)~(18)に従って、検出加速度Z''、Z''、及びZ''を、ばね上重心位置GCの上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ''に変換する。次いで、ECU10は、次の(19)式に従って、上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ''から推定加速度Z4est''を算出する。
Figure 2023065970000018

Figure 2023065970000019

Figure 2023065970000020

Figure 2023065970000021

Figure 2023065970000022
<ステップS104>
次に、ステップS104において、ECU10は、ステップS102及びステップS100のそれぞれにて取得された加速度センサ14-4の推定加速度Z4est''及び検出加速度(実センサ値)Z''のそれぞれに対して、バンドパスフィルタ(BPF)を適用するフィルタリング処理を実行する。
上述のステップS102の処理によれば、3つの加速度センサ14から残りの1つの加速度センサ14のセンサ値が推定加速度Z4est''として推定される。このため、車体6の捩れ及び曲げ等の影響により、高周波成分に関して、検出加速度Z''に対する推定加速度Z4est''の乖離が生じ得る。また、センサドリフト等の影響により、低周波成分に関しても、検出加速度Z''に対する推定加速度Z4est''の乖離が生じ得る。
そこで、本ステップS104では、ECU10は、これらの影響を受けにくい周波数帯(例えば、1~5Hz)を通過周波数帯とするBPFを推定加速度Z4est''及び検出加速度Z''のそれぞれに対して適用する。これにより、両者の乖離が発生しにくい周波数帯の成分を抜き出すことができるので、次の異常検出処理をより正確に行えるようになる。
<ステップS106>
ステップS106の処理は、上述の「異常検出処理」の一例に相当する。ステップS106において、ECU10は、推定加速度Z4est''と検出加速度Z''との比較のために、ECU10は、一例として推定加速度Z4est''と検出加速度Z''との差分ΔZ(=Z4est''-Z'')の絶対値を用いる。そして、差分ΔZの絶対値が所定の閾値TH1未満であるか否かを判定する。
推定加速度Z4est''の算出に用いられた3つの加速度センサ14-1、14-2、及び14-3に異常が生じていない場合には、推定加速度Z4est''と検出加速度Z''とは、等しくなるか若しくは実質的に等しくなる。したがって、差分ΔZの絶対値は小さくなる。そこで、ΔZの絶対値が閾値TH1未満の場合(ステップS106;Yes)には、ECU10は、4つの加速度センサ14は正常である(換言すると、異常が生じている加速度センサ14は含まれていない)と判定する。
一方、ΔZの絶対値が閾値TH1以上の場合(ステップS106;No)には、ECU10は、4つの加速度センサ14の中に異常な加速度センサ14が含まれていると判定する。
ここで、次の図4を参照して、ステップS106の処理により、4つの加速度センサ14のどれを推定加速度Ziest''の算出対象とするかによらずに且つ推定加速度Ziest''と検出加速度Z''とを一度比較するだけで、4つの加速度センサ14の中に異常な加速度センサ14が含まれていることを速やかに判定可能な理由について説明する。
図4は、異常検出処理(ステップS106)を説明するための補足図である。より詳細には、ず4(A)~図4(D)は、何れも、加速度センサ14-3に異常(×)が生じており、残りの3つの加速度センサ14-1、14-2、及び14-4は正常(〇)である例を示している。
図4(A)は、推定加速度Ziest''の算出対象が加速度センサ14-3である例を示している。この例では、正常な3つの加速度センサ14-1、14-2、及び14-4を用いて算出される推定加速度Z3est''は、異常を有する加速度センサ14-3の検出加速度Z''から乖離する。また、残りの図4(B)~図4(D)に示す例の何れにおいても、推定加速度Ziest''は、異常を有する加速度センサ14の検出加速度Z''を用いて算出されるので、正常な加速度センサ14の検出加速度Z''から乖離する。
このように、ステップS106の処理によれば、任意の加速度センサ14を推定加速度Ziest''の算出対象として推定加速度Ziest''と検出加速度Z''とを一度比較するだけで、異常な加速度センサ14が含まれていることを速やかに判定できる。より詳細には、ばね上加速度センサの出力信号の異常挙動の有無に基づいてセンサ異常を検出する処理を長い判定時間(例えば、30秒)を用いて単独で実施する場合と比べて、速やかに異常を検出できる。
付け加えると、ステップS106において推定加速度Ziest''と検出加速度Z''との比較に用いる値は、両者の値の違いを判別(評価)可能な手法であれば、上述の単純な差分ΔZに限られない。具体的には、例えば、推定加速度Ziest''及び検出加速度Z''のそれぞれに重畳し得る高周波ノイズをより十分に除去したうえで両者を比較するために、両者に対してローパスフィルタ(LPF)が適用されてもよい。そして、当該LPF後の両者の値の差分の絶対値が上記比較のために用いられてもよい。あるいは、推定加速度Ziest''及び検出加速度Z''のそれぞれの移動平均値の差分の絶対値が上記比較のために用いられてもよい。更に、これらの差分の利用に代え、例えば、推定加速度Ziest''と検出加速度Z''に関する相関係数が上記比較のために用いられてもよい。
<ステップS108>
上述のように、ステップ106の判定結果がYesの場合(つまり、4つの加速度センサ14が何れも正常である場合)には、処理はステップS108に進む。ステップS108において、ECU10は、通常通りの制御ゲインG(以下、便宜上、「通常ゲインGn」と称する)を用いつつ、4つのばね上加速度センサ14の検出加速度Z''に基づくサスペンション制御の一例である本FB制御を実行する。これにより、FB制御が通常通りに継続される。
付け加えると、ここでいう通常ゲインGnとは、ばね上加速度センサ14の検出加速度Z''に基づくサスペンション制御で用いられる制御ゲインGの基本値のことである。比例項、速度項、及び加速度項の3つの制御項を有する要求制御量Xを利用する本FB制御の例では、スカイフック制御則に沿った制御項間のバランスで事前に設定された当該3つの制御項のそれぞれの制御ゲインGの基本値が、通常ゲインGnに相当する。
<ステップS110>
また、ステップ106の判定結果がNoの場合(つまり、異常な加速度センサ14が含まれている場合)には、処理はステップS110に進む。このステップS110の処理は、上述の「センサ特定処理」の一例に相当する。
センサ特定処理は、4つの加速度センサ14のそれぞれを対象として実行される。センサ特定処理では、ECU10は、4つの加速度センサ14のうちで出力信号が所定の判定時間T0に渡って「異常挙動」を示した加速度センサを、異常な加速度センサ14であると特定(確定)する。この判定時間T0は、例えば、現時点を終点とする10秒若しくは5秒程度の時間である。
センサ特定処理における判定対象のセンサ信号の「異常挙動」の一例は、加速度センサ14の固着に起因して生じる。具体的には、固着が生じている時には、加速度センサ14の出力信号(すなわち、検出加速度Z'')の変動幅が小さくなる。そこで、センサ特定処理において、ECU10は、加速度センサ14の出力信号の変動幅が所定の閾値TH2以下を維持する時間が判定時間T0を超えたか否かを判定する。この閾値TH2は、例えば、固着が生じている時に得られる変動幅の上限値相当の値として事前に決定されている。
また、センサ信号の「異常挙動」の他の例は、加速度センサ14の断線又はショートに起因して生じる。具体的には、加速度センサ14に断線が生じていると、加速度センサ14の出力信号は継続的にゼロを示す。加速度センサ14にショートが生じていると、加速度センサ14の出力信号は継続的に電源電圧と同じ値を示す。このように、加速度センサ14に断線又はショートが生じていると、加速度センサ14は、正常時のセンサ出力範囲外の出力信号を継続的に出力する。そこで、センサ特定処理において、ECU10は、加速度センサ14が正常時のセンサ出力範囲外の出力信号を継続して出力する時間が判定時間T0を超えたか否かを判定する。その結果、センサ出力範囲外の出力信号を継続して出力する時間が判定時間T0を超えた加速度センサ14は異常であると判定(特定)される。
ステップS110において、異常な加速度センサ14が特定された場合(ステップS110;Yes)には、処理はステップS112に進む。一方、異常な加速度センサ14が特定されなかった場合(ステップS110;No)には、処理は、既に説明されたステップS108に進む。
付け加えると、ステップS106においてΔZの絶対値が閾値TH1以上であるために処理がステップS110に進んだ場合には、基本的には、異常な加速度センサ14が特定される。しかしながら、ステップS106において誤判定がなされる可能性はゼロではなく、その結果、例外的であるが、処理がステップS110に進んだ後にステップS108に進む場合もある。ステップS110の処理は、このような例外的な場合におけるセンサ異常検出のダブルチェック機能としての意義も有する。すなわち、センサ特定処理を異常検出処理の誤判定抑制のために利用することができる。
<ステップS112>
ステップS112の処理は、上述の「算出処理」の一例に相当する。ステップS112において、ECU10は、異常が生じているとセンサ特定処理によって特定された加速度センサ14を除く残りの3つの加速度センサ14の検出加速度Z''に基づいてばね上状態量Yaを算出する。
具体的には、例えば、ばね上状態量Yaに基づくサスペンション制御として上記FB制御を実行している場合、ECU10は、加速度項、速度項、及び変位項のばね上状態量Yaを算出する。この算出は、例えば、次のように行うことができる。より詳細には、ECU10は、上記の式(16)~(18)を利用して、正常な3つの加速度センサ14の検出加速度Z''に基づいて、上記の式(11)~(13)のそれぞれの加速度項のばね上状態量Yaである各モード加速度(上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ'')を算出する。次いで、ECU10は、算出された各モード加速度を式(5)~(7)に従って積分することによって、速度項のばね上状態量Yaである各モード速度(上下速度Z'、ロール速度Φ'、及びピッチ速度Θ')を算出する。同様に、ECU10は、算出された各モード速度を式(8)~(10)に従ってさらに積分することによって、変位項のばね上状態量Yaである各モード変位(上下変位Z、ロール角Φ、及びピッチ角Θ)を算出する。
<ステップS114>
ステップS114及びこれに続くステップS116の処理は、上述の「異常時制御処理」の一例に相当する。まず、ステップS114において、ECU10は、通常ゲインGnと比べて小さい異常時ゲインGaを設定する。なお、通常ゲインGnに対する異常時ゲインGaの減少量は、事前に決定されている。
ここで、変位項、速度項、及び加速度項を有するFB制御の例では、FB制御の安定性に対する影響が特に大きいのは加速度項である。そこで、ステップS114では、異常時ゲインGaへの変更は、FB制御の安定性に対する影響が特に大きい加速度項に着目して行われる。具体的には、3つの制御項のうちで少なくとも加速度項の制御ゲインGが異常時ゲインGaに変更される。例えば、加速度項の制御ゲインGのみが異常時ゲインGaに変更される。あるいは、加速度項とともに、変位項及び速度項の一方又は双方の制御ゲインGも異常時ゲインGaに変更されてもよい。なお、複数の制御項の制御ゲインGが変更される場合、通常ゲインGnに対する異常時ゲインGaの減少量は、制御項毎に事前に決定されてもよい。例えば、3つの制御項のすべての制御ゲインGを小さくする場合には、加速度項の制御ゲインGの減少量は、変位項及び速度項の少なくとも一方の制御ゲインGの減少量よりも増やされてもよい。
<ステップS116>
次に、ステップS116において、ECU10は、ステップS114にて設定された異常時ゲインGaを用いつつ、正常な3つのばね上加速度センサ14の検出加速度Z''に基づくサスペンション制御の一例である本FB制御を実行する。より詳細には、ECU10は、ステップS112にて算出されたばね上状態量Yaと異常時ゲインGaの積である要求制御量Xaに応じた前記制御力Fcを発生させるようにアクチュエータ3Aを制御する。
1-3.効果
以上説明したように、実施の形態1によれば、ばね上加速度センサ14の検出加速度Z''に基づくサスペンション制御に関連する処理として、上述の異常検出処理が実行される。この異常検出処理によれば、図4を参照しつつ既に説明されたように、4つの加速度センサ14の中に異常な加速度センサ14が含まれていることを速やかに判定できる。これにより、サスペンション制御の開始に先立って異常検出処理が実行される場合には、4つの加速度センサ14が何れも正常であることを速やかに判定し、制御開始タイミングを早められる。また、サスペンション制御の実行中に異常検出処理が常時又は定期的に実行される場合には、センサ異常検出に伴う対策(異常時制御処理による制御継続、又は制御中止など)を速やかに開始できるようになる。
また、実施の形態1に係るセンサ異常検出では、異常検出処理とともに上述のセンサ特定処理が実行される。すなわち、センサ特定処理は、4つの加速度センサ14の中に異常な加速度センサ14が含まれていることが異常検出処理によって判定されている状況下で実行される。このように2段構えで判定を行うことにより、異常検出処理を行わずにセンサ特定処理のみが実行される場合と比較してセンサ特定処理で用いられる判定時間T0を短縮しつつ、異常な加速度センサ14を特定できるようになる。具体的には、例を挙げると、センサ特定処理のみの例では正確な判定のために例えば30秒の判定時間T0が必要とされるような場合、この2段構えの判定により、判定時間T0を例えば10秒又は5秒に短縮できる。以上のように、異常検出処理及びセンサ特定処理の組み合わせにより、異常な加速度センサ14の特定を速やかに行えるようなる。
さらに、実施の形態1によれば、異常な加速度センサ14がセンサ特定処理によって特定された後、上述の算出処理及び異常時制御処理が実行される。これにより、異常な加速度センサ14を除いた加速度センサ14の検出加速度Z''に基づいてばね上状態量Yaを算出(推定)してサスペンション制御を継続できるようになる。より詳細には、異常発生後に異常な加速度センサ14の検出加速度を利用し続ける場合と比べて、センサ異常に起因するばね上構造体5(車体6)の加振を防止できる。また、残された正常な加速度センサ14を利用してサスペンション制御を継続することにより、異常検出時にも車両1の快適性及びサスペンション制御の安定性を担保できる。
また、異常時制御処理によれば、4つの加速度センサ14が正常である場合に用いられる通常ゲインGnと比べて小さい異常時ゲインGaが用いられる。このように、センサ異常検出時に異常時ゲインGaを利用して要求制御量Xaを小さくすることにより、正常と比べて少ない数の加速度センサ14を利用してサスペンション制御を継続する場合に生じ得る制御の違和感を抑制できる。より詳細には、正常と比べて少ない数の加速度センサ14を利用する状況下においてサスペンション制御の安定性をより好適に維持することが可能となる。
そして、既に説明されたように、変位項、速度項、及び加速度項を有するFB制御の例では、異常時ゲインGaへの変更は、FB制御の安定性に対する影響が特に大きい加速度項に着目して行われてもよい。ここで、制御ゲインGを小さくすることは本FB制御による制振効果の低下につながり得るため、異常時ゲインGaへの変更は、FB制御の安定性を担保するうえでの必要最小限に留めたい。したがって、加速度項の制御ゲインGのみを異常時ゲインGaに変更することにより、制振効果の低下を抑えつつ制御安定性が確保されてもよい。或いは、同様の目的で、異常時ゲインGaへの変更は、3つの制御項のすべてではなく、加速度項と、変位項及び速度項の何れか一方のみとされてもよい。
1-4.変形例
上述した実施の形態1では、4つのばね上加速度センサ14を備える車両1が例示された。しかしながら、実施の形態1で説明された「異常検出処理」は、ばね上加速度センサ14を5つ以上備える車両に対して適用されてもよい。なお、5つ以上のばね上加速度センサ14を備える例では、上記4つのばね上加速度センサ14-1、14-2、14-3、及び14-4に対して追加される1つ以上のばね上加速度センサ14の配置場所は特に限定されない。
例えば5つのばね上加速度センサ14を備える例における「異常検出処理」は、次のように実行される。すなわち、上記の式(1)~(4)に従って、任意の4つのばね上加速度センサ14の検出加速度から上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ''が算出される。次いで、上記の式(19)と類似する式を利用して、残りの1つの加速度センサ14の位置の推定加速度が算出される。そのうえで、算出された推定加速度が、残りの1つの加速度センサ14の検出加速度と比較される。これにより、4つの加速度センサ14を備える例と同様に、異常な加速度センサ14が含まれていることを判定できる。
また、例えば5つのばね上加速度センサ14を備える車両における「センサ特定処理」は、上述のステップS110の処理と同様の手法(第1の手法)を用いて行うことができる。また、5つ以上のばね上加速度センサ14を備える例におけるセンサ特定処理は、例えば次のような第2の手法で実行されてもよい。
第2の手法では、例えば5つのばね上加速度センサ14を備える車両の例では、上記の式(15)~(19)を利用して、3つの加速度センサ14の検出加速度から残りの2つの加速度センサ14の何れか1つの推定加速度を算出する処理が、推定加速度に用いられる3つの加速度センサ14の組み合わせと推定加速度の算出対象となる加速度センサ14とを順に変更しながら複数回実行される。その結果、推定加速度と当該推定加速度の算出対象となる加速度センサ14の検出加速度とが等しく若しくは実質的に等しくなる場合には、その比較の対象となった4つの加速度センサ14は正常であることが分かる。したがって、このような処理を複数回実行することにより、異常な加速度センサ14を特定することが可能となる。より詳細には、図1に示す4つの加速度センサ14-1~14-4とともにばね上重心位置GCに配置された加速度センサ14-gを備える構成例では、例えば、3つの加速度センサ14-1、14-2、及び14-3に基づくばね上重心位置GCの推定加速度と加速度センサ14-gの検出加速度とが等しく若しくは実質的に等しくなる場合には、残りの加速度センサ14-4が異常であると特定できる。
付け加えると、5つ以上のばね上加速度センサ14を備える例において異常が生じていない加速度センサ14に対応する車輪2が4つ以上ある場合には、ばね上構造体5(車体6)の捩れの影響を受けにくくしつつサスペンション制御に用いられるばね上状態量Yaを算出するために次のような技術を利用できる。この技術の詳細は、特開2019-010912号公報に記載されている。当該技術の概要は次の通りである。
すなわち、上記の技術によれば、まず、上記の式(1)~(4)と同じ4つの式に従って、4つのばね上加速度センサ14の検出加速度からばね重心位置GCの各モード加速度(上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、及びピッチ加速度Θ'')が算出される。そのうえで、当該技術によれば、ばね上構造体5が剛体であるという条件の下で、ばね上重心位置GCの各モード加速度が、各車輪2の位置のばね上加速度(上下加速度)Zs1''~Zs4''に換算(変換)される。この換算は、例えば、次の式(20)を用いて行うことができる。
Figure 2023065970000023
上述の技術の利用により、捩れ振動の影響が低減された上下加速度Zsi''が得られる。捩れ振動の影響が低減された上下加速度Zsi''をサスペンション制御のためのばね上状態量Yaとして用いることによって、上記の捩れの影響を排除しない場合と比べて、サスペンション制御の安定性を高めたり、大きな制御ゲインGを用いて制振効果を高めたりすることができる。このことは、センサ異常検出に起因して正常時と比べて少ない数の加速度センサ14を利用する状況下においてサスペンション制御を好適に継続するうえで便宜である。付け加えると、ばね上構造体5(車体6)の曲げの影響を考慮して上下加速度Zsi''を算出するために十分な数の加速度センサ14がセンサ異常検出時に残っている場合には、公知の手法を利用して当該曲げの影響が低減されるように上下加速度Zsi''の算出が行われてもよい。
2.実施の形態2
実施の形態2は、センサ異常検出の手法において、上述した実施の形態1と相違している。具体的には、実施の形態2では、センサ異常検出のために、次のような「センサ特定処理」を実行する。
図5は、実施の形態2に係るセンサ特定処理を説明するための補足図である。本実施形態のセンサ特定処理では、ECU10は、車両1が備える4つのばね上加速度センサ14のうちの3つの加速度センサ14の検出加速度Z''に基づいてばね上構造体5の同一位置の上下変位(ヒーブ)Z、ロール角Φ、又はピッチ角Θの関連値である「特定値SV」を算出する。ここでいう「同一位置」は、例えば、ばね上重心位置GCであるが、ばね上重心位置GC以外のばね上構造体5上の任意の位置であってもよい。また、ここでいう上下変位Z、ロール角Φ、又はピッチ角Θの関連値は、上下変位Z、ロール角Φ、又はピッチ角Θ自体だけでなく、例えば、上下速度Z'、ロール速度Φ'、ピッチ速度Θ'、上下加速度Z''、ロール加速度Φ''、又はピッチ加速度Θ''であってもよい。
ECU10は、特定値SVの算出を、3つの加速度センサ14に関する4つの異なる組み合わせのそれぞれを対象として実行する。具体的には、4つの加速度センサ14を備える車両1の例では、図5に示すように、3つの加速度センサ14の異なる組み合わせは、組み合わせA~Dの4つである。図5(B)に示す表は、図5(A)に示される3つの加速度センサ14の4つの組み合わせA~Dの内訳を、車輪2の番号i(i=1~4)を用いて表したものである。
センサ特定処理では、ECU10は、4つの異なる組み合わせA~D間での特定値SVの比較に基づいて、4つの加速度センサ14の中から、異常な加速度センサ14を特定する。
具体的には、4つの加速度センサ14がすべて正常であれば、組み合わせA~Dのそれぞれを用いて算出された特定値SVは、等しく若しくは実質的に等しくなる。このため、組み合わせA~Dのそれぞれを用いて算出された特定値SVが何れも所定範囲Rth内に収まっている場合には、4つの加速度センサ14がすべて正常であると判定できる。
一方、4つの加速度センサ14の何れか1つに異常が生じている場合には、組み合わせA~Dの間で所定範囲Rthを超える差が特定値SVに見られるようになる。具体的には、例えば、センサ番号i=1の加速度センサ14-1に異常が生じていると、加速度センサ14-1を含む3つの組み合わせA~Cの特定値SV、SV、及びSVに対して、加速度センサ14-1を含まない組み合わせDの特定値SVが乖離することになる。したがって、例えば、特定値SVA-Cと特定値SVとの差分ΔSVの絶対値が所定の閾値TH2以上である場合に、加速度センサ14-1に異常が生じていると判定できる。なお、特定値SVA-Cと特定値SVとの比較に用いる値は、両者の値の違いを判別(評価)可能な手法であれば、上述の単純な差分ΔSVに限られない。すなわち、上述のステップS106の処理の例と同様に、例えば、LPF後の両者の値の差分の絶対値、両者のそれぞれの移動平均値の差分の絶対値、又は、両者に関する相関係数が上記比較のために用いられてもよい。
また、同様の考え方に基づき、センサ番号i=2の加速度センサ14-2に異常が生じていることは、加速度センサ14-2を含まない組み合わせCの特定値SVが残りの組み合わせA、B、及びDの特定値SV、SV、及びSVに対して乖離することに着目して判定できる。また、センサ番号i=3の加速度センサ14-3に異常が生じていることは、組み合わせBの特定値SVが他に対して乖離することに着目して判定できる。さらに、センサ番号i=4の加速度センサ14-4に異常が生じていることは、組み合わせAの特定値SVが他に対して乖離することに着目して判定できる。
以上説明したように、実施の形態2に係るセンサ特定処理によれば、4つの組み合わせA~Dのそれぞれを対象として特定値SVを算出し、組み合わせA~D間で特定値SVを比較することにより、4つの加速度センサ14が正常であるか否かを速やかに判定できるとともに、4つの加速度センサ14の中に含まれ得る1つの異常な加速度センサ14を速やかに特定できる。より詳細には、ばね上加速度センサの出力信号の異常挙動の有無に基づいてセンサ異常を検出する処理を長い判定時間(例えば、30秒)を用いて単独で実施する場合と比べて、速やかに異常を検出できる。
図6は、実施の形態2に係るサスペンション制御に関連する処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、車両1の走行中に繰り返し実行される。なお、図3に示すフローチャートに示されるステップと同じステップの処理の説明は省略又は簡略化される。
図6では、ステップS100に続くステップS200において、ECU10は、4つの組み合わせA~Dのそれぞれの特定値SV(SV~SV)を算出する。特定値SVの算出は、例えば、上記の式(15)と式(16)~(18)の何れか1つとを利用して行うことができる。
次に、センサ特定処理をより正確に行えるようにするために、ステップS202において、ECU10は、上述のステップS104と同様の考え方に基づき、ステップS200にて算出された各特定値SVに対してBPFを適用する。
次のステップS204の処理は、上述の「センサ特定処理」の一例に相当する。ステップS204において、ECU10は、既に説明されたように4つの組み合わせA~D間で特定値SVを比較することにより、異常な加速度センサ14の有無の判定と、異常な加速度センサ14がある場合における当該加速度センサ14の特定とを実行する。
その結果、4つの加速度センサ14がすべて正常である場合(ステップS204;No)には、処理はステップS108に進む。一方、異常な加速度センサ14があり、且つ当該異常な加速度センサ14が特定された場合(ステップS204;Yes)には、処理はステップS112に進む。
付け加えると、以上のように実施の形態2で説明された「センサ特定処理」は、4つの加速度センサ14の例に代え、加速度センサ14を5つ以上備える車両に対して適用されてもよい。具体的には、例えば5つの加速度センサ14を備える車両の例では、5つのうちの4つの加速度センサ14の検出加速度に基づく「特定値SV」の算出が、4つの加速度センサ14に関する5つの異なる組み合わせのそれぞれを対象として実行されてもよい。そして、上述の4つの加速度センサ14を備える車両1の例と同様の考え方に基づき、5つの異なる組み合わせ間での特定値SVの比較に基づいて、5つの加速度センサ14の中から、異常な加速度センサ14が特定されてもよい。
3.実施の形態3
実施の形態3は、センサ異常検出の手法において、上述した実施の形態1及び2のそれぞれと相違している。具体的には、実施の形態3では、センサ異常検出のために、次のような「異常検出処理」と「センサ特定処理」とを実行する。
図7は、実施の形態3に係る車両7の構成の一例を概略的に示す図である。車両7は、ジャイロセンサ8を追加的に備えている点を除き、図1に示す車両1と同様に構成されている。
ジャイロセンサ8は、ばね上構造体5(車体6)に取り付けられており、ばね上構造体5の角速度を検出する。具体的には、この角速度は、例えば、ばね上構造体5のロール速度Φ'又はピッチ速度Θ'である。
本実施形態に係る「異常検出処理」では、ECU10は、車両7が備える4つの加速度センサ14の全部の検出加速度Z''に基づいて、ジャイロセンサ8の位置のばね上構造体5の角速度の推定値である第1推定角速度ωgyest1を算出する。そして、ECU10は、算出された第1推定角速度ωgyest1とジャイロセンサ8の検出角速度ωgyとの比較に基づいて、4つの加速度センサ14の中に異常な加速度センサ14が含まれているか否かを判定する。なお、第1推定角速度ωgyest1は、本開示に係る「ジャイロセンサの位置のばね上構造体の第1推定角速度関連値」の一例である。「第1推定角速度関連値」は、例えば、ジャイロセンサ8の位置のばね上構造体5の角加速度又は角度のそれぞれの推定値である第1推定加速度又は第1推定角度であってもよい。同様に、検出角速度ωgyは、本開示に係る「ジャイロセンサの検出角速度関連値」の一例である。「検出角速度関連値」は、例えば、検出角速度ωgyの時間微分値である検出角加速度であってもよいし、検出角速度ωgyの時間積分値である検出角度であってもよい。
具体的には、4つの加速度センサ14がすべて正常であれば、これら4つの加速度センサ14の検出加速度Z''に基づく第1推定角速度ωgyest1は、ジャイロセンサ8の検出角速度ωgyと等しく若しくは実質的に等しくなる。一方、4つの加速度センサ14の何れかに異常が生じている場合には、第1推定角速度ωgyest1は検出角速度ωgyから乖離する。したがって、本異常検出処理によれば、第1推定角速度ωgyest1と検出角速度ωgyとの比較に基づいて、異常な加速度センサ14が含まれているか否かを速やかに判定できる。より詳細には、ばね上加速度センサの出力信号の異常挙動の有無に基づいてセンサ異常を検出する処理を長い判定時間(例えば、30秒)を用いて単独で実施する場合と比べて、速やかに異常を検出できる。
また、本実施形態に係る「センサ特定処理」は、次の第1及び第2の例を含む。具体的には、本センサ特定処理の第1の例は、実施の形態1で説明されたセンサ特定処理(ステップS110参照)と同じである。
次に、本センサ特定処理の第2の例について説明される。第2の例では、ECU10は、異常な加速度センサ14が含まれていることを上記の異常検出処理によって検出した後に次の処理を実行する。すなわち、ECU10は、車両7が備える4つの加速度センサ14のうちの3つの加速度センサ14の検出加速度Z''に基づいて、ジャイロセンサ8の位置のばね上構造体5の角速度の推定値である第2推定角速度ωgyest2を算出する。なお、第2推定角速度ωgyest2は、本開示に係る「ジャイロセンサの位置のばね上構造体の第2推定角速度関連値」の一例である。「第2推定角速度関連値」は、例えば、ジャイロセンサ8の位置のばね上構造体5の角加速度又は角度のそれぞれの推定値である第2推定加速度又は第2推定角度であってもよい。
そして、ECU10は、算出された第2推定角速度ωgyest2と検出角速度ωgyとが等しく若しくは実質的に等しくなるまで、3つの加速度センサ14の組み合わせを変更しつつ第2推定角速度ωgyest2の算出を必要回数繰り返し実行する。その結果、算出された第2推定角速度ωgyest2と検出角速度ωgyとが等しく若しくは実質的に等しくなる時に、ECU10は、最新回(つまり、今回)の第2推定角速度ωgyest2の算出に用いられていない残りの1つのばね上加速度センサ14が、異常な加速度センサ14であると特定(確定)する。
具体的には、第2の例では、例えば3つの加速度センサ14-1、14-2、及び14-3を用いて初回の第2推定角速度ωgyest2が算出された際、この第2推定角速度ωgyest2と検出角速度ωgyとが等しい若しくは実質的に等しい場合には、残りの加速度センサ14-4が異常であると判定される。一方、この初回の第2推定角速度ωgyest2が検出角速度ωgyから乖離する場合には、3つの加速度センサ14-1、14-2、及び14-3の何れかが異常であると判断できる。そこで、3つの加速度センサ14の組み合わせを初回のものと異ならせたうえで2回目の第2推定角速度ωgyest2が算出される。このような第2推定角速度ωgyest2の算出、及び第2推定角速度ωgyest2と検出角速度ωgyとの比較を必要回数(すなわち、必要に応じて)繰り返すことにより、異常な加速度センサ14を特定できる。
図8は、実施の形態3に係るサスペンション制御に関連する処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、車両1の走行中に繰り返し実行される。なお、図3に示すフローチャートに示されるステップと同じステップの処理の説明は省略又は簡略化される。
図8では、ステップS100に続くステップS300において、ECU10は、ジャイロセンサ8の検出角速度ωgyを取得する。
次に、ステップS302において、ECU10は、4つの加速度センサ14の全部の検出加速度Z''に基づく第1推定角速度ωgyest1を算出する。ジャイロセンサ8の角速度がロール速度Φ'である例では、第1推定角速度ωgyest1の算出は、例えば、算出対象の位置をばね上重心位置GCからジャイロセンサ8の位置に変更しつつ上記の式(1)、(3)、及び(6)を用いて行うことができる。ピッチ速度Θ'の例における第1推定角速度ωgyest1の算出は、上記の式(1)、(4)、及び(7)を用いて同様に行うことができる。
なお、ステップS300及びS302にて取得された検出角速度ωgyと第1推定角速度ωgyest1とに対して、ステップS104の処理と同様にBPFが適用されてもよい。
次のステップS304の処理は、上述の「異常検出処理」の一例に相当する。ステップS304において、ECU10は、既に説明されたように第1推定角速度ωgyest1と検出角速度ωgyとの比較に基づいて、4つの加速度センサ14の中に異常な加速度センサ14が含まれているか否かを判定する。その結果、この判定結果がNoの場合には処理はステップS108に進み、判定結果がYesの場合にはステップS306に進む。
ステップS306の処理は、上述の「センサ特定処理」の一例に相当する。既に説明されたように、センサ特定処理として上述の第1の例又は第2の例のどちらが用いられてもよい。その結果、異常な加速度センサ14が特定された場合(ステップS306;Yes)には、処理はステップS112に進む。一方、異常な加速度センサ14が特定されなかった場合(ステップS306;No)には、処理はステップS108に進む。
付け加えると、以上のように実施の形態3で説明された「異常検出処理」は、4つの加速度センサ14の例に代え、加速度センサ14を5つ以上備える車両に対して適用されてもよい。具体的には、上述の例と同様の考え方に基づき、例えば5つの加速度センサ14を備える車両の例では、5つのうちの4つの加速度センサ14の検出加速度Z''に基づいて算出される「第1推定角速度ωgyest1」と検出角速度ωgyとが、異常な加速度センサ14が含まれていることを検出するために比較されてもよい。
また、実施の形態3で説明された「センサ特定処理」の第2の例は、4つの加速度センサ14の例に代え、加速度センサ14を5つ以上備える車両に対して適用されてもよい。具体的には、上述の例と同様の考え方に基づき、例えば5つの加速度センサ14を備える車両の例では、5つのうちの4つの加速度センサ14の検出加速度Z''に基づく第2推定角速度ωgyest2と検出角速度ωgyとが、異常な加速度センサ14を特定するために比較されてもよい。
(参考例)
なお、少なくとも4つのばね上加速度センサを備える車両において、複数のばね上加速度センサに異常が生じる可能性がある。残された正常なばね上加速度センサの数が4つの例であれば、サスペンション制御(例えば、上記FB制御)に用いられるばね上状態量Yaを、例えば式(20)式を参照して説明された技術を利用してばね上構造体5(車体6)の捩れの影響を排除しつつ算出できる。また、残された正常なばね上加速度センサの数が3つの例であれば、ステップS112の処理(例えば、図3参照)によってばね上状態量Yaを算出できる。その一方で、残された正常なばね上加速度センサの数が2つ又は1つとなることも想定される。
残された正常なばね上加速度センサの数が2つ又は1つであることは、例えば、ステップS100で説明されたセンサ特定処理を単独で実行することにより判定可能である。そして、残された正常なばね上加速度センサの数が2つ又は1つの場合には、例えば、次の手法によってサスペンション制御が継続されてもよい。すなわち、例えば、残された正常な2つ又は1つのばね上加速度センサが車輪に十分に近い位置(例えば、サスペンションタワー)に取り付けられている構成例では、残された正常な加速度センサの検出加速度に基づくばね上状態量に基づくサスペンション制御(例えば、上記FB制御)が当該加速度センサに対応する車輪のみを対象として車輪単位で実行されてもよい。
一方、残された正常なばね上加速度センサの数が2つ又は1つの例においてばね上状態量の算出が困難な場合であっても、例えば車両が車高センサ又はストロークセンサを備えていれば、サスペンション制御が車輪毎に次のように継続されてもよい。すなわち、ばね上状態量に基づくFB制御に代え、車高センサ又はストロークセンサから取得されるサスペンションのストローク速度に制御ゲインを乗じて得られる要求制御量に応じた制御力Fcを発生させるようにサスペンションのアクチュエータが制御されてもよい。これにより、異常発生によりばね上加速度センサを満足に利用できない状況下において、ダンパ(ショックアブソーバ)を模擬したサスペンション制御が可能となり、車両挙動の安定性を確保できるようになる。
1、7 車両
2 車輪
3 サスペンション
3A サスペンションのアクチュエータ
4 ばね下構造体
5 ばね上上構造体
6 車体
8 ジャイロセンサ
10 電子制御ユニット(ECU)
12 センサ類
14 ばね上加速度センサ

Claims (9)

  1. 車両のばね下構造体とばね上構造体との間に上下方向の制御力を作用させるアクチュエータと、
    前記ばね上構造体の上下加速度を検出する少なくとも4つのばね上加速度センサと、
    前記少なくとも4つのばね上加速度センサの検出加速度に基づいて前記アクチュエータを制御する電子制御ユニットと、
    を備える車両用サスペンション制御装置であって、
    前記電子制御ユニットは、異常検出処理を実行し、
    前記異常検出処理において、前記電子制御ユニットは、
    前記少なくとも4つのばね上加速度センサの全部より1つ少ない数のばね上加速度センサの検出加速度に基づいて、残りの1つのばね上加速度センサの位置のばね上加速度の推定加速度を算出し、
    算出された推定加速度と前記残りの1つのばね上加速度センサの検出加速度との比較に基づいて、前記少なくとも4つのばね上加速度センサの中に異常なばね上加速度センサが含まれているか否かを判定する
    ことを特徴とする車両用サスペンション制御装置。
  2. 前記電子制御ユニットは、異常なばね上加速度センサが含まれていることを前記異常検出処理によって判定した後、前記少なくとも4つのばね上加速度センサのうちで出力信号が所定の判定時間に渡って異常挙動を示したばね上加速度センサを、前記異常なばね上加速度であると特定するセンサ特定処理を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用サスペンション制御装置。
  3. 車両のばね下構造体とばね上構造体との間に上下方向の制御力を作用させるアクチュエータと、
    前記ばね上構造体の上下加速度を検出する少なくとも4つのばね上加速度センサと、
    前記少なくとも4つのばね上加速度センサの検出加速度に基づいて前記アクチュエータを制御する電子制御ユニットと、
    を備える車両用サスペンション制御装置であって、
    前記電子制御ユニットは、センサ特定処理を実行し、
    前記センサ特定処理において、前記電子制御ユニットは、
    前記少なくとも4つのばね上加速度センサの全部より1つ少ない数のばね上加速度センサの検出加速度に基づいて前記ばね上構造体の同一位置の上下変位、ロール角、又はピッチ角の関連値である特定値を算出することを、前記全部より1つ少ない数のばね上加速度センサに関する複数の異なる組み合わせのそれぞれを対象として実行し、
    前記複数の異なる組み合わせの間での前記特定値の比較に基づいて、前記少なくとも4つのばね上加速度センサの中から異常なばね上加速度センサを特定する
    ことを特徴とする車両用サスペンション制御装置。
  4. 車両のばね下構造体とばね上構造体との間に上下方向の制御力を作用させるアクチュエータと、
    前記ばね上構造体の上下加速度を検出する少なくとも4つのばね上加速度センサと、
    前記ばね上構造体の角速度を検出するジャイロセンサと、
    前記少なくとも4つのばね上加速度センサの検出加速度に基づいて前記アクチュエータを制御する電子制御ユニットと、
    を備える車両用サスペンション制御装置であって、
    前記電子制御ユニットは、異常検出処理を実行し、
    前記異常検出処理において、前記電子制御ユニットは、
    前記少なくとも4つのばね上加速度センサの全部の検出加速度に基づいて、前記ジャイロセンサの位置の前記ばね上構造体の第1推定角速度関連値を算出し、
    算出された第1推定角速度関連値と前記ジャイロセンサの検出角速度関連値との比較に基づいて、前記少なくとも4つのばね上加速度センサの中に異常なばね上加速度センサが含まれているか否かを判定する
    ことを特徴とする車両用サスペンション制御装置。
  5. 前記電子制御ユニットは、異常なばね上加速度センサが含まれていることを前記異常検出処理によって判定した後、前記少なくとも4つのばね上加速度センサのうちで出力信号が所定の判定時間に渡って異常挙動を示したばね上加速度センサを、前記異常なばね上加速度であると特定するセンサ特定処理を実行する
    ことを特徴とする請求項4に記載の車両用サスペンション制御装置。
  6. 前記電子制御ユニットは、異常なばね上加速度センサが含まれていることを前記異常検出処理によって判定した後、センサ特定処理を実行し、
    前記センサ特定処理において、前記電子制御ユニットは、
    前記少なくとも4つのばね上加速度センサの全部より1つ少ない数のばね上加速度センサの検出加速度に基づいて前記ジャイロセンサの位置の前記ばね上構造体の第2推定角速度関連値を算出し、
    算出された前記第2推定角速度関連値と前記ジャイロセンサの検出角速度関連値とが等しく若しくは実質的に等しくなるまで、前記全部より1つ少ない数のばね上加速度センサの組み合わせを変更しつつ前記第2推定角速度関連値の算出を必要回数繰り返し実行し、
    算出された前記第2推定角速度関連値と前記ジャイロセンサの検出角速度関連値とが等しく若しくは実質的に等しくなる時に、最新回の前記第2推定角速度関連値の算出に用いられていない残りの1つのばね上加速度センサが前記異常なばね上加速度センサであると特定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の車両用サスペンション制御装置。
  7. 前記電子制御ユニットは、
    前記センサ特定処理によって前記異常なばね上加速度センサを特定した後、特定された前記異常なばね上加速度センサを除く残りのばね上加速度センサの検出加速度に基づいてばね上状態量を算出する算出処理と、
    算出された前記ばね上状態量と制御ゲインとの積である要求制御量に応じた前記制御力を発生させるように前記アクチュエータを制御する異常時制御処理と、
    を実行する
    ことを特徴とする請求項2、3、5、及び6の何れか1つに記載の車両用サスペンション制御装置。
  8. 前記異常時制御処理において、前記電子制御ユニットは、前記少なくとも4つのばね上加速度センサが何れも正常である場合と比べて前記制御ゲインを小さくする
    ことを特徴とする請求項7に記載の車両用サスペンション制御装置。
  9. 前記要求制御量は、前記ばね上構造体の振動を低減するために要求され、前記ばね上構造体の変位、速度、及び加速度に関する変位項、速度項、及び加速度項のうち、前記変位項及び前記速度項の少なくとも一方と前記加速度項とを含み、
    前記異常時制御処理において、前記電子制御ユニットは、前記加速度項の制御ゲインのみを小さくする
    ことを特徴とする請求項8に記載の車両用サスペンション制御装置。
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