JP2023065108A - 水耕栽培用シート及び栽培装置 - Google Patents

水耕栽培用シート及び栽培装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023065108A
JP2023065108A JP2021175725A JP2021175725A JP2023065108A JP 2023065108 A JP2023065108 A JP 2023065108A JP 2021175725 A JP2021175725 A JP 2021175725A JP 2021175725 A JP2021175725 A JP 2021175725A JP 2023065108 A JP2023065108 A JP 2023065108A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
cultivation
plants
pool
hydroponic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021175725A
Other languages
English (en)
Inventor
暁恵 池永
Akie Ikenaga
和也 藤岡
Kazuya Fujioka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2021175725A priority Critical patent/JP2023065108A/ja
Publication of JP2023065108A publication Critical patent/JP2023065108A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P60/00Technologies relating to agriculture, livestock or agroalimentary industries
    • Y02P60/20Reduction of greenhouse gas [GHG] emissions in agriculture, e.g. CO2
    • Y02P60/21Dinitrogen oxide [N2O], e.g. using aquaponics, hydroponics or efficiency measures

Landscapes

  • Hydroponics (AREA)

Abstract

【課題】栽培装置において植物育成に適した環境を維持するために必要な作業を減らし、植物を育成するために必要な空間を削減すること。【解決手段】1つ以上の軸方向に対して伸縮性を有する弾性材料により構成されるシート状部材(栽培シート10)を利用して栽培する植物を支持する。栽培する植物を配置可能な1つ以上の定植孔11を栽培シート10に形成する。栽培シート10の周縁部の複数箇所を栽培プールの周縁部などに固定する際に、張力を付与して平面形状を維持する。取り付け時の張力により栽培シート10が水平面内で伸縮するので、栽培シート10の大きさが変化し、定植孔11の間隔も変化する。【選択図】図1

Description

本発明は、栽培装置において植物を栽培するために利用可能な水耕栽培用シート、及び栽培装置に関する。
一般に、水耕栽培により植物を生産する植物工場等の栽培装置においては、植物の育成に必要な養分や水分を含む養液を満たした栽培プールの上方に栽培パネルを配置し、栽培パネルに植物の苗などを一定の間隔で配置して、植物を栽培する(例えば、特許文献1参照。)。
したがって、栽培中の多数の植物はそれらの間隔が一定であり、各植物の成長に伴って隣接する植物同士の隙間が減少し成長の妨げになる。そこで、移植作業により、植物同士の間隔を大きくして、隣接する植物が互いに干渉することなく余裕を持って成長できるように環境作りを行う必要がある。
特開平2-222625号公報
特許文献1の水耕栽培法においては、栽培槽を仕切り壁で長手方向に仕切って、互いに連通する往路及び復路を形成し、移動可能な定植パネルを、往路端から順次敷設し、仕切壁に沿って移動させ、復路の終端において植物を収穫する。また、この定植パネルは、隣接する角柱状植物支持体同士を柔らかい遮光フィルムで連結し、かつ、複数の角柱状植物支持体の端部を支持する枠体が伸縮可能に構成される。この構成により、隣接する植物同士の間隔を移動可能な方向に調整することが可能である。
しかしながら、特許文献1の技術では移動可能な方向に対しては植物同士の間隔を調整できるが、幅方向の間隔は調整できない。したがって、植物の移植作業を行わずに植物を栽培することを前提とする場合には、幅方向の植物の間隔を最初から十分に大きく空けておかないと、成長に伴って植物同士の隙間が小さくなり成長に悪影響が生じることが予想される。
したがって、苗のようにそれぞれの植物が小さい時期であっても、植物を配置する密度を高めることができず、植物同士の大きすぎる隙間が栽培装置の中で広い空間を占有することになる。そのため、栽培装置の生産効率向上の妨げになる。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、栽培装置等において植物の育成に適した環境を維持するために必要な作業を容易化し、植物を育成するために必要な空間を削減することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る水耕栽培用シート及び栽培装置は、下記(1)~(12)を特徴としている。
(1) 弾性材料により構成され、少なくとも一方向に伸縮性を有するシート状部材と、
前記シート状部材に形成され、栽培する植物を配置可能な1つ以上の開口部と、
を備える水耕栽培用シート。
(2) 前記シート状部材の周縁部の複数箇所に形成されたシート支持部を備える、
上記(1)に記載の水耕栽培用シート。
(3) 前記シート支持部は、複数の固定具を有する、
上記(2)に記載の水耕栽培用シート。
(4) 前記シート支持部は、前記シート状部材の周縁部に形成された係合用開口部を有する、
上記(2)に記載の水耕栽培用シート。
(5) 前記シート支持部は、前記弾性材料に比べて強度が大きく伸縮性を有する補強材を含み、前記補強材は前記シート状部材の周縁部の少なくとも一部分に厚み方向に重なる状態で配置される、
上記(2)に記載の水耕栽培用シート。
(6) 前記シート状部材は、前記弾性材料としてゴムを含む、
上記(1)から(5)のいずれかに記載の水耕栽培用シート。
(7) 前記開口部が、前記少なくとも一方向に互いに間隔を空けた状態で複数形成されている、
上記(1)から(5)のいずれかに記載の水耕栽培用シート。
(8) 栽培する植物を収容可能な1つ以上の栽培用ポットを備え、
前記栽培用ポットが前記開口部に配置される、
上記(1)から(7)のいずれかに記載の水耕栽培用シート。
(9) 前記栽培用ポットは、互いに連結及び分離が可能な上部品及び下部品を含み、
前記栽培用ポットは、互いに連結された前記上部品及び下部品の間に前記シート状部材を挟んだ状態で、前記シート状部材に支持される、
上記(8)に記載の水耕栽培用シート。
(10) 前記シート状部材の前記開口部に、前記栽培用ポットを支持可能な固定枠が前記シート状部材を挟み込む状態で配置され、
前記固定枠は、前記弾性材料に比べて変形しにくい材料で構成されている、
上記(8)に記載の水耕栽培用シート。
(11) 前記シート状部材は定常状態における平面形状が矩形に形成され、
前記シート状部材の平面上の縦方向及び横方向のそれぞれに沿って、複数の前記開口部が互いに間隔を空けて形成されている、
上記(1)から(10)のいずれかに記載の水耕栽培用シート。
(12) 上記(1)から(11)のいずれかに記載の水耕栽培用シートと、
前記水耕栽培用シートが配置され、内部に養液を収容可能な栽培プールと、を備えた、
栽培装置。
上記(1)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記シート状部材が弾性材料により構成されるので、栽培する植物を水耕栽培用プール上に配置するために必要な構造が単純化され部品数が大幅に削減される。しかも、前記シート状部材を構成する弾性材料が伸縮性を有するので、部品の交換や植物の移植作業を個別に行わなくても、植物の成長に合わせて隣接する植物同士の間隔を適切に調整できる。
上記(2)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記シート支持部を水耕栽培用プール上に固定するだけで、前記シート状部材の平面形状維持に必要な張力を付与することができる。これにより、各植物を安定した状態で水耕栽培用プール上に支持できる。また、水耕栽培用シートがシート支持部を有することにより、シート状部材を引き伸ばした状態で水耕栽培用プール上に固定することができる。
上記(3)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記複数の固定具を用いて、前記シート状部材の周縁部を水耕栽培用プールの周縁部に固定することができる。これにより、前記シート状部材に張力を与え、所定の平面形状を維持できる。したがって、各植物を安定した状態で水耕栽培用プール上に配置できる。また、必要に応じて幅や長さが異なる水耕栽培用プールに前記シート状部材を取り付けることができるので、植物間の間隔を調整するための移植作業が容易になる。
上記(4)の構成の水耕栽培用シートによれば、フックを用いて前記係合用開口部と、水耕栽培用プールの周縁部とを連結できるので、前記シート状部材の周縁部を水耕栽培用プールの周縁部に固定する作業が容易になる。また、前記フックにより前記シート状部材に張力を与え、所定の平面形状を維持できる。したがって、各植物を安定した状態で水耕栽培用プール上に配置できる。また、必要に応じて幅や長さが異なる水耕栽培用プールに前記シート状部材を取り付けることができるので、植物間の間隔を調整するための移植作業が容易になる。
上記(5)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記補強材により前記シート状部材の耐久性を高めることができる。また、前記シート状部材の周縁部に張力を与えて引き伸ばす際に、広い範囲に亘り均一に伸ばすことが容易になる。
上記(6)の構成の水耕栽培用シートによれば、ゴムを素材として利用し前記シート状部材を構成するので、植物を栽培する場合に必要とされる十分な伸縮性を得ることができる。この水耕栽培用シートによれば、隣接して配置される植物間の間隔を例えば2倍程度まで拡張できる。したがって、栽培装置で多数の植物を水耕栽培する場合に、植物の移植作業が容易になる。
上記(7)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記開口部が複数形成されているので、それぞれの開口部に1株ずつ植物を配置することで、複数の植物を並べた状態でまとめて水耕栽培用プール上に配置することができる。
上記(8)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記栽培用ポットにより栽培する植物を前記シート状部材の各開口部に安定した状態で支持できる。
上記(9)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記上部品と前記下部品の間に前記シート状部材を挟み込んだ状態で前記上部品と前記下部品とを連結することで、これらをしっかりと固定できる。例えば、前記シート状部材に力が加わって変形する場合でも、前記栽培用ポットが前記シート状部材から脱落するような状況が発生するのを防止できる。
上記(10)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記固定枠を介して前記栽培用ポットを前記シート状部材上に配置することで、植物を安定した状態で支持できる。例えば、前記シート状部材に力が加わって変形する場合でも、前記栽培用ポットが前記シート状部材から脱落するような状況が発生するのを防止できる。
上記(11)の構成の水耕栽培用シートによれば、前記複数の開口部の箇所にそれぞれ植物を配置することで、縦方向及び横方向に多数の植物を並べて配置できる。また、前記シート状部材の形状が矩形であるため、水耕栽培用プールの平面形状が矩形である場合に、安定した状態で前記シート状部材を取り付けることが可能である。
上記(12)の構成の栽培装置によれば、前記シート状部材が弾性材料により構成されるので、栽培する植物を水耕栽培用プール上に配置するために必要な構造が単純化され部品数が大幅に削減される。しかも、前記シート状部材を構成する弾性材料が伸縮性を有するので、部品の交換や植物の移植作業を個別に行わなくても、植物の成長に合わせて隣接する植物同士の間隔を適切に調整できる。
本発明によれば、栽培装置において植物の育成に適した環境を維持するために必要な移植作業が容易になる。また、植物を育成するために必要な空間も削減できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1(a)及び図1(b)は、本発明の実施形態における水耕栽培用シートの外観を示す平面図であり、図1(a)は張力を加えない状態、図1(b)は張力を加えて引き伸ばした状態をそれぞれ表す。 図2は、栽培用ポットを取り付けた状態の栽培シートの外観を示す平面図である。 図3は、栽培用ポットの外観を示す斜視図である。 図4(a)及び図4(b)は、それぞれ栽培シートの使用例1を示す縦断面図及び斜視図である。 図5は、栽培シートの使用例2に用いるラックの斜視図である。 図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、それぞれ栽培シートの使用例2を示す平面図である。 図7(a)は栽培シートの一部分を示す拡大図、図7(b)は栽培シートと栽培プールの連結状態の例を示す平面図である。 図8(a)、図8(b)、及び図8(c)は、それぞれ栽培プールの容器周縁部と栽培シートとの連結の例を説明するための斜視図である。 図9(a)は栽培プールの容器周縁部にフックを固定した状態を説明するための斜視図、図9(b)は、栽培プール側のフックと栽培シートの連結状態の例を説明するための斜視図である。 図10(a)、図10(b)、図10(c)、及び図10(d)は、それぞれ栽培シートの固定に利用可能な部品の例を示す斜視図である。 図11は、固定治具にネジ止めしたタープフックと栽培シートの連結状態の例を示す斜視図である。 図12は、栽培シートに取り付けた状態の栽培用ポットの例を示す斜視図である。 図13は、変形例における栽培用ポットを示す斜視図である。 図14は、固定枠を取り付けた栽培シートの一部分を示す拡大図である。
本発明に関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<水耕栽培用シートの外観>
本発明の実施形態における水耕栽培用シートの本体である栽培シート10の外観を図1(a)及び図1(b)に示す。図1(a)は張力を加えない状態、図1(b)は張力を加えて引き伸ばした状態をそれぞれ表している。
図1(a)及び図1(b)に示した栽培シート10は、例えば栽培装置において、栽培する多数株の植物の苗を養液プール上の空間にほぼ等間隔で並べて配置する用途で利用できる。
図1(a)及び図1(b)に示した例では、栽培シート10はX軸、及びY軸のそれぞれの方向に対して伸縮可能なシート状の弾性体を用いて構成してある。栽培シート10は、弾性材料としてのゴムを主要な素材として用いることで、栽培シート10として利用可能な機能を実現できる。ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、及びスチレンゴム等が挙げられる。
すなわち、栽培シート10は弾性材料により構成され、伸縮性を有するため、栽培シート10に張力を加えることで、例えばX軸、及びY軸のそれぞれの方向に対して2倍程度の長さまで引き伸ばすことが可能である。例えば、栽培シート10に張力を加える前、すなわち例えば平面上に静置した場合は図1(a)の状態であり、X軸及びY軸のそれぞれの方向に対して張力を加えることで図1(b)に示した状態のように栽培シート10のシート長Lおよびシート幅Wを引き伸ばすことができる。
張力を加えない状態における栽培シート10の寸法は、例えばシート長Lが60cm、シート幅Wが30cmである。張力を加えることにより、例えばシート長Lを120cmに引き伸ばすことができる。なお、栽培シートの寸法はこれに限られるものではない。また、栽培シートは、X軸方向及びY軸方向の少なくともいずれか一方向に引き伸ばすことができるものであればよく、その長さは2倍程度に限られるものではない。
また、天然ゴム、イソプレンゴム、及びスチレンゴムのそれぞれの素材は、引っ張り強さ、引き裂き強度、及び破断伸びが良好であり、遮光性も有しているので栽培装置における水耕栽培の用途で栽培シート10に必要とされる物理特性を有している。なお、栽培シートを構成する弾性材料は、上述した必要な物理特性を満たすものであれば、これに限られるものではない。
また、栽培シート10は遮光性の材料で構成し、植物栽培のために上方から照射される光が栽培シート10の下方側の養液21(図4(a)、図4(b)参照)に届かないように材料が選定されることが好ましい。これにより、養液内に藻が生えるのを防止できる。また、栽培シート10の上面は光反射特性を有することが望ましい。これにより、光源からの光を効率よく植物に照射し、エネルギー効率を改善することが可能になる。
なお、本実施形態ではX軸、及びY軸のそれぞれの方向に対して引き伸ばすことが可能な栽培シート10を想定しているが、単一方向にのみ伸縮性を有するシートであっても栽培シート10として利用可能である。
図1(a)、図1(b)に示すように、栽培シート10はほぼ等間隔で配置された多数の定植孔11を有している。それぞれの定植孔11は、栽培シート10をその厚み方向に貫通する開口部であり、栽培する植物の苗を定植する部位として利用される。実際には、後述する栽培用ポット15を介して、例えばレタスといった植物の苗が各定植孔11の箇所に定植される。
栽培シート10は、栽培する多数の植物を安定した状態で支持するために十分な強度が得られる厚みを有していることが好ましい。
栽培シート10上に定植される植物の苗は、最初は小さいが成長に伴って大きくなる。したがって、定植した直後は狭い空間に多数の苗を配置することが可能であるが、植物の成長に伴って隣接する植物間の隙間がなくなり、それ以降の成長の妨げになる。そのため、通常の栽培装置では植物の成長に伴って植え替え作業を実施して、植物間の間隔を大きくする必要がある。
しかし、図1(a)、図1(b)に示した栽培シート10を利用する場合には栽培シート10自体が伸縮性を有しているので、図1(a)に示す栽培シート10に、栽培シート10を引き伸ばすのに必要な張力を加えるだけで、図1(b)のように定植孔11の間隔を大きくし、植物の間隔を大きくすることができる。そのため、植物の植え替え作業が非常に簡単になる。
図1(a)、図1(b)に示した栽培シート10においては、後述する栽培プール20に栽培シート10を固定するために利用可能な多数の支持用開口部12が、シート周縁部10a、10b、10c、及び10dに沿った領域に形成されている。なお、これらの支持用開口部12がなくても後述するように栽培シート10を栽培プール20に固定可能である。
<栽培用ポットの説明>
栽培用ポット15を取り付けた状態の栽培シート10の外観を図2に示す。また、栽培用ポット15の外観を図3に示す。
図2に示すように、それぞれの定植孔11の箇所に栽培用ポット15を配置することができる。また、栽培シート10に張力を加え引き伸ばした状態で固定すれば、図2のように隣接する栽培用ポット15の間隔を十分に大きくすることができる。
図3に示すように、栽培用ポット15は上下方向(Z軸方向)に栽培用ポット15を貫通する状態で形成された植物収容部15aを有している。この植物収容部15aは、その内部で植物の苗を安定した状態で支持できるように、上側が大きく開き下側に向かって徐々に小さく絞り込まれるような形状の空間を形成している。
したがって、それぞれの栽培用ポット15の植物収容部15aに上側から植物の苗を挿入して動かないように配置することができる。
栽培用ポット15の下方に配置されているポット底部15bは円筒形状に形成され、ポット底部15bの内側には植物収容部15aと連通する空間が形成されている。したがって、植物収容部15aに配置された植物の根の部位が、ポット底部15bの内側の空間を貫通し栽培用ポット15の下方に突出するように、植物を配置することができる。
図3に示すように、栽培用ポット15の中間部および上部に、それぞれ円環状の中間フランジ部15cおよび上部フランジ部15dが栽培用ポット15の外側に突出する状態で形成されている。
栽培用ポット15において、中間フランジ部15cよりも下側の部位の外形形状は下側に向かって細くなる円筒に近い形状であり、その外径は定植孔11の直径よりも僅かに大きい程度の寸法になっている。また、円筒の外側の複数箇所に小さい突起15eを有している。
したがって、栽培用ポット15を栽培シート10の各定植孔11の位置に上側から差し込めば、その栽培用ポット15を栽培シート10の弾力により固定することができる。すなわち、中間フランジ部15cが定植孔11の外側に部位の上方に載置されて支持される。また、中間フランジ部15cの下方に突起15eがあるので、取り付けた栽培用ポット15は栽培シート10の定植孔11から外れにくくなる。
また、上部フランジ部15dは常に栽培シート10の上側及び円周の外側に突出した状態になっている。したがって、作業者が栽培用ポット15を栽培シート10に取り付けるときや取り外す際に、上部フランジ部15dの部位を把持することで、その作業を容易に行うことができる。
<栽培シートの使用例1>
栽培シート10の使用例1を図4(a)及び図4(b)に示す。
すなわち、栽培装置で多数の植物を栽培する際には、栽培シート10は図4(a)及び図4(b)のように栽培プール20の上方にほぼ水平な状態で配置され固定される。
図4(a)及び図4(b)に示した例では、栽培プール20の平面形状はほぼ矩形であり、X軸方向の長さ(プール長L1)がY軸方向の幅よりも大きい細長い形状になっている。また、内部空間に養液21を収容できるように、栽培プール20の容器(水槽)は中空の箱形に近い形状に形成され、上面は開放されている。
栽培シート10は、栽培プール20内の養液21の上方に水平に配置され、栽培シート10の平面形状を維持するのに必要な張力を加えた状態で固定される。例えば、シート周縁部10c及び10dのそれぞれの箇所が、容器周縁部20a及び20bの上部の箇所で連結され栽培シート10に張力を加えた状態で固定される。なお、このとき栽培シート10は必ずしも平面形状が維持される必要はなく、栽培用ポット15を保持できればたわみがあってもよい。
なお、図4(a)に示した例では、栽培プール20の中央部に底部から起立した状態で衝立20eが形成されている。この衝立20eは、栽培プール20に必須の構成ではないが、衝立20eを設けることで、栽培シート10を中間部で下方から支持し取り付け状態の安定度を高めることができる。
また、実際に植物を栽培する場合には、植物の成長に伴って隣接する植物同士の隙間が減少し、その後の植物の成長に悪影響を及ぼすので移植が必要になる。ここで、本実施形態の栽培シート10を利用している場合には、栽培シート10のシート長L及びシート幅Wを引き伸ばすことができるので、栽培シート10の交換や、植物毎の配置場所の変更を個別に行うことなくそのまま移植の作業を実施できる。すなわち、比較的小さい栽培プール20から比較的大きい別の栽培プールに栽培シート10、栽培用ポット15、及び植物をそのまま移動し、栽培シート10に加える張力を大きくして寸法を引き伸ばすだけで移植を完了できる。
また、同じ栽培プール20上で、栽培シート10を取り付ける位置を変更するだけで移植を完了することも可能である。例えば、最初は、比較的小さい栽培シート10を、図4(a)に示した衝立20eと容器周縁部20aとの間に固定する。そして、移植の際にはシート周縁部10dが容器周縁部20bの位置となるように栽培シート10を引き伸ばして固定し直すことで、プール長L1に合わせて植物の配置間隔を大きくすることができる。
なお、栽培プール20内の養液21を植物の栽培に適した状態に維持するためには、養液21が循環できるように養液21の流路を形成する必要がある。したがって、例えば衝立20eは養液21の循環を妨げないように、養液21の通路として利用可能な開口部を有する。
<栽培シートの使用例2>
栽培シート10の使用例2を図5及び図6に示す。
使用例2では、図5に示すように、上下方向に並んで配置された複数の棚板36を有するラック35を、栽培装置として利用して、立体的な空間内に植物を高密度で配置可能にする。
図5の例では、ラック35のX軸方向の長さが120cmであり、Y軸方向の長さが180cmである。栽培プール20Aは、図5及び図6(a)に示すようにX軸方向の長さが60cmであり、各段の棚板36上に、栽培プール20AをX軸方向に2つ並べて配置することができる。栽培プール20Aは、図5に示すようにY軸方向の長さが180cmである。栽培プール20Aは、X軸方向及びY軸方向の長さ以外は、栽培プール20と同様に構成される。尚、栽培プール20Aにおいて、衝立20eは設けなくてもよい。
このラック35で多数の植物を栽培する際には、栽培シート10は栽培プール20Aの上方にほぼ水平な状態で、Y軸方向に複数枚、図6(a)の例では6枚並べて配置され、固定される。栽培シート10の栽培プール20Aへの固定は、使用例1と同様に、栽培プール20A内の養液の上方に水平に配置され、張力を加えた状態で行われる。
使用例2においても、植物の成長に伴って移植が必要になった場合、図6(b)又は図6(c)に示すように栽培シート10を引き伸ばすことにより、栽培シート10の交換や、植物毎の配置場所の変更を個別に行うことなく、栽培シート10毎、移植の作業を実施できる。
図6(b)の例では、栽培プール20Aから別の栽培プール20Bに、栽培シート10、栽培用ポット15、及び植物をそのまま移動し、栽培シート10に加える張力を大きくして寸法を引き伸ばすだけで移植を完了できる。栽培プール20Bは、栽培プール20Aと比較して、Y軸方向の長さが同じであり、X軸方向の長さが2倍である。よって、栽培シート10をX軸方向及びY軸方向のそれぞれにおいて2倍に引き延ばすことで、栽培プール20BのY軸方向に伸張された栽培シート10を3枚、並べて配置できる。
また、図6(c)の例では、栽培プール20Aとこれと同一構成の栽培プール20A-1とがX軸方向において隣接配置されている。この場合、栽培プール20Aに配置されていた栽培シート10を、X軸方向に引き延ばして栽培プール20A-1に固定し直し、Y軸方向に引き延ばして同一の栽培プール20Aに取り付け位置を変更して固定し直す。
このように、使用例2においても、栽培シート10を引き伸ばして固定し直すことで、植物の配置間隔を大きくすることができる。
<栽培シートと栽培プールの連結構造>
-<構成例-1>
栽培シート10の一部分を拡大した状態を図7(a)に示す。また、栽培シート10と栽培プール20の連結状態の例を図7(b)に示す。
本実施形態では、栽培シート10のシート周縁部10a等に支持用開口部12が存在する場合を想定している。したがって、図7(a)、図7(b)に示すようにS字フック22を用いて各支持用開口部12と、栽培プール20の周縁部にある容器開口部20cとの間を連結することができる。図7(b)に示すように、栽培プール20の周縁部に容器開口部20cを設け、S字フック22を用いて栽培シート10を栽培プール20に連結する構成によれば、簡単な操作で栽培シート10を取り付けられ、栽培シート10が外れにくい。
S字フック22で支持用開口部12と容器開口部20cを連結することで、栽培シート10に水平方向(X、Y方向)に張力を加えることができ、栽培プール20の大きさに合わせて栽培シート10を引き伸ばすこともできる。また、これにより栽培シート10上の定植孔11の間隔を拡張し、植物間の隙間を拡げることが可能になる。
なお、栽培シート10を大きく引き伸ばす場合には、栽培シート10を構成する素材の強度が不足したり変形が生じやすくなる。そこで、本実施形態では各シート周縁部10a、10b、10c、及び10dの辺に沿った領域に細長い形状の板状(又はシート状)の補強芯13を重ねるように組み込んである。この補強芯13は、少なくとも長手方向に伸縮性を有しており、栽培シート10のサイズ変化に伴って2軸(X、Y)方向に栽培シート10と共に伸縮する。栽培シート10のサイズによるが、栽培シート10が1軸方向に伸縮する場合、及び2軸方向に伸縮する場合のいずれにおいても、支持用開口部12は、栽培シート10の四隅のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられればよい。尚、栽培シート10がX軸方向にのみ伸縮する場合であれば、伸縮するX軸方向に垂直なY軸方向に沿って、複数の支持用開口部12を設けることができる。また、栽培シート10がX軸方向及びY軸方向の2方向に伸縮する場合には、栽培シート10の周縁、すなわち四辺のそれぞれにおいて、複数の支持用開口部12を設けてもよい。
支持用開口部12に、図7(a)又は図7(b)に示すS字フック22や、後述する図9(a)又は図9(b)に示すフック31、31Aを用いる場合には、栽培シート10を繰り返し使用することにより、栽培シート10における支持用開口部12の周囲が裂けるおそれがある。そこで、栽培シート10のシート周縁部10a~10dに補強芯13を組み込むことにより、栽培シート10の裂けを防止できる。また、栽培シート10のシート周縁部10a~10dに補強芯13を組み込むことで、栽培シート10の引っ張りに対する耐久性が向上し、栽培シート10を引っ張る際に均一に伸ばすことが容易になる。
-<構成例-2>
図8(a)、図8(b)、及び図8(c)を参照して、栽培プール20の容器周縁部20aと栽培シート10のシート周縁部10a~10d(以下、シート周縁部10a等ともいう。)との連結の例を説明する。構成例2では、栽培プール20の容器周縁部20a等と固定治具(固定部材23、25、27)との間に、栽培シート10のシート周縁部10a等を直接挟み込んで固定する例を示す。
図8(a)に示した例では、栽培プール20の容器周縁部20aの上側に固定部材23を配置して、これらの間に栽培シート10を挟み込み、ネジ24で固定する。
また、図8(b)に示した例では、栽培プール20の容器周縁部20aの上側に固定部材25を配置して、これらの間に栽培シート10を挟み込み、ネジ26で固定する。
また、図8(c)に示した例では、栽培プール20の容器周縁部20aの上側に固定部材27を配置して、これらの間に栽培シート10を挟み込み、ネジ28で固定する。
したがって、図8(a)、図8(b)、及び図8(c)のいずれの構成においても、ねじ24、26、28を外すことで栽培シート10を取り外し可能である。また、図8(a)、図8(b)、又は図8(c)の構成によれば、栽培プール20の容器周縁部20aにネジ止め用の穴を設け、固定治具との間に栽培シート10をネジ止めすることにより、栽培シート10が固定治具と容器周縁部20aとの間に挟み込まれて固定される。よって、栽培シート10が外れにくく、栽培シート10へのダメージが少ない。尚、図8(a)、図8(b)、及び図8(c)のいずれの構成においても、栽培シート10を固定するためのフックは不要であり、支持用開口部12も不要である。
-<構成例-3>
図9(a)を参照して、栽培プール20の容器周縁部20aにフック31を固定した状態の例を説明する。また、図9(b)を参照して、栽培プール20側のフック31Aと栽培シート10の連結状態の例を説明する。構成例3では、栽培プール20の容器周縁部20a等にフック31、31Aをそれぞれ固定し、固定された各フック31、31Aに栽培シ-ト10を引っ掛けて取り付ける例を示す。
図9(a)に示す例では、栽培プール20の容器周縁部20aの上面にフック31がネジ止めしてある。図9(b)に示す例では、容器周縁部20aの上部内側(養液側)の側面にフック31Aが複数のネジ32で固定される。栽培シート10のシート周縁部10a等には支持用開口部12が存在するので、図9(b)に示すようにフック31Aの突起部分を支持用開口部12に挿入することで、両者を係合し固定することができる。図9(a)の例においても同様に、フック31の突起部分を支持用開口部12に挿入することで、栽培シート10を栽培プール20の容器周縁部20a等に固定することができる。このように、栽培プール20の容器周縁部20aに予めフック31、31Aをネジ止めしておくことで、簡単な操作で栽培シート10を取り付けられ、栽培シート10が外れにくい。
尚、図8(a)に示した固定部材23を容器周縁部20a等に固定しておき、この固定部材23にフック31、31Aを取り付け、栽培シート10をフック31、31Aに引っ掛けて固定してもよい。フック31、31Aを、固定部材23を介して容器周縁部20a等に固定することで、栽培プール20の設計変更を行うことなく栽培シート10を引っ掛けて固定することができる。
-<構成例-4>
栽培シート10の固定に利用可能な部品の例を図10(a)、図10(b)、及び図10(c)、図10(d)にそれぞれ示す。構成例4では、栽培プール20の容器周縁部20a等に把持部材をそれぞれ固定し、固定された把持部材で栽培シ-ト10を把持して固定する例を示す。
図10(a)に示したチャック41、及び図10(b)に示したチャック42は、一般的なフォースゲージのアタッチメントとして用いられている部品である。図10(c)に示したタープフック43は、テントを固定するために利用可能な部品である。図10(d)に示したスプリングクランプ44は、内蔵するスプリングの力によって板状部材等を挟み付けて固定可能な部品である。
図10(a)~図10(d)のチャック41、42、タープフック43、及びスプリングクランプ44のいずれかを、挿通孔41a、42a、43a、及び44aのいずれかに、挿通したねじ等の締結部材により、栽培プール20の容器周縁部20a側に固定する。容器周縁部20a側に固定されたチャック41、42、タープフック43、又はスプリングクランプ44で、栽培シート10のシート周縁部10a~10dのいずれかを挟み込み把持する。このようにして、栽培プール20の容器周縁部20aと栽培シート10のシート周縁部10a~10dのいずれかとを連結することができる。容器周縁部20aに固定された把持部材で栽培シート10を把持して固定することにより、簡単な操作で栽培シート10を取り付けられ、栽培シート10が外れにくい。また、栽培シート10へのダメージが少ない。尚、栽培シート10を引き伸ばすために必要な張力を加えた状態で栽培シート10を把持部材で把持し固定する場合、栽培シート10に加えられる張力に応じた把持力を有する把持部材を使用することで、栽培シート10が外れることを防止できる。
また、逆にチャック41、42、タープフック43、及びスプリングクランプ44のいずれかを栽培シート10のシート周縁部10a~10dのいずれかに固定し、チャック41、42、タープフック43、又はスプリングクランプ44で栽培プール20の容器周縁部20aを挟み込み把持してもよい。このようにして、両者を連結することも可能である。
さらに、図11に示すように、図8(a)に示した固定部材23を容器周縁部20a等に固定しておき、この固定部材23にタープフック43をねじ43bにより締結固定し、栽培シート10を把持して固定してもよい。もちろん、タープフック43に代えて、チャック41、42、及びスプリングクランプ44等の把持部材を固定部材23にネジ止めしてもよい。把持部材を、固定部材23を介して容器周縁部20a等に固定することで、栽培プール20の設計変更を行うことなく栽培シート10を把持して固定することができる。尚、図11に示す、固定部材23とタープフック43等の把持部材とを予め一体化した治具を、容器周縁部20aに固定して、栽培シート10を把持して固定してもよい。
<栽培用ポット15の取り付け構造>
-<単一の部品で栽培用ポット15を構成する場合>
栽培シート10に取り付けた状態の栽培用ポット15の例を図12に示す。
図12に示した例では、図3に示した栽培用ポット15をそのまま栽培シート10の定植孔11に取り付ける場合を想定している。したがって、中間フランジ部15cの箇所が定植孔11の周囲に載った状態で栽培用ポット15が栽培シート10に固定されている。
しかし、図12に示した構成の場合には、栽培シート10の伸縮に伴う変形により栽培用ポット15が定植孔11から脱落してしまう可能性がある。そこで、定植孔11の内径は、栽培シート10に張力を加えて栽培プール20に固定した状態で、栽培用ポット15が脱落しない大きさとされることが好ましく、具体的には、栽培用ポット15における中間フランジ部15cよりも下側部分の外径よりも小さく形成されていることが好ましい。定植孔11の内径を小さめにしておくことで栽培用ポット15が定植孔11から脱落しにくくなる。
-<複数の部品で栽培用ポット15を構成する場合>
変形例における栽培用ポット15Aについて図13を参照して説明する。
図13に示した構成例では、栽培用ポット15Aは上下に配置された上側部材15Aa及び下側部材15Abを連結して一体化することにより構成される。また、上側部材15Aa及び下側部材15Abは互いに着脱自在に構成されている。
また、上側部材15Aaと下側部材15Abとを連結する際に、それらの間に栽培シート10を挟み込むことができる。つまり、図13に示すように、栽培シート10の上下に上側部材15Aa及び下側部材15Abを配置してこれらを連結することで、栽培用ポット15Aで栽培シート10を挟み込みこれらを一体化するように固定することが可能になる。
図13に示した構成の場合には、栽培シート10の伸縮に伴って定植孔11が変形しようとする場合でも、栽培用ポット15Aは定植孔11から脱落しにくい状態になる。また、図13に示した構成においても、定植孔11の内径を小さめにしておくことで栽培用ポット15が定植孔11から脱落しにくくなる。
-<固定枠を用いる場合>
固定枠16を取り付けた栽培シート10の一部分を拡大した状態を図14に示す。
図14に示した例では、円環状の固定枠16、すなわちハトメが栽培シート10の定植孔11に固定されている。固定枠16は樹脂又は金属により構成され、形状が変化しないように十分な強度を有している。固定枠16は、定植孔11の周囲にしっかりと固定されている。
固定枠16の中央部に栽培シート10の定植孔11と同等の貫通孔が形成されているので、固定枠16の中に栽培用ポット15を通して固定枠16で栽培用ポット15を支持するように固定することができる。
固定枠16を用いる場合には、栽培シート10が伸縮する際に、栽培用ポット15を支持する定植孔11の形状が変化しないように固定枠16で補強することができる。これにより、栽培用ポット15が定植孔11及び固定枠16から脱落するのを防止できる。また、固定枠16を用いることにより、栽培シート10における定植孔11の周囲が裂けることを防止できる。
<栽培シート10の利点>
前述した特開平2-222625号公報に記載の技術では、定植パネルが、角柱状植物支持体同士を柔らかい遮光フィルムで連結して構成されることから、水面上に安定して浮かせるために、スライド枠体又はステーを使用して、パネルの形状を維持している。このため、栽培装置で使用する部品の数が多くなり、作業工程も複雑になる傾向がある。したがって、作業性があまり良くなく、かつ、栽培装置の部品コストやランニングコストを削減することが困難であった。
これに対し、上述の栽培シート10は、張力を加えた状態で支持することで、水平方向に伸縮することが可能である。したがって、栽培シート10を装着する栽培プール20の大きさや、栽培プール20の容器周縁部20aと栽培シート10のシート周縁部10a~10dとの連結位置を変更することで、定植孔11の間隔を必要に応じて変更できる。つまり、栽培装置等で栽培している植物の成長に伴い植物間の隙間を大きくしたい場合に、栽培シート10を引き伸ばして隣接する定植孔11間の間隔を大きくするだけで、植物の移植と同等の作業工程を実現できる。よって、それぞれの植物や栽培用ポット15の取り外し作業や取り付け作業を削減できる。また、栽培シート10は必要な部品数が少ないので、部品コストの削減が容易である。
また、特開平2-222625号公報に記載の技術では、長さが26mの大型の栽培槽を用いていることから、水面に浮かんだ定植パネルを移動させたり、ステーを着脱して定植パネルを伸縮させたりする作業が、比較的容易に行える。しかし、例えば幅が1m程度の小型のラックの棚板の上で植物を栽培するような場合には、大型の水槽は利用できず、特開平2-222625号公報の技術は適用が困難である。したがって、隣接する植物同士の間隔を、植物の成長に合わせて変更するためには、作業者が、成長した植物を1株ずつ取り出して、別の場所の水槽などの設備まで持ち運んで移植することとなる。そのため、栽培する植物の数が多いと移植作業の手間が増えるのは避けられない。
この点、上述の栽培シート10は、栽培シート10に加える張力を調整することにより、隣接する定植孔11同士の間隔を必要に応じて拡張できる。よって、植物を栽培する初期においては、高密度で植物の苗を栽培シート10上に配置し、植物の成長に合わせて、隣接する植物同士の間隔を容易に変更できる。そのため、比較的狭い空間でも大量の植物を生産することが可能になり、栽培装置における空間の利用効率を上げることが容易になる。また、栽培シート10は弾性材料により構成されているので、同じ栽培シート10を何回でも繰り返し利用できる。
<補足説明>
ここで、上述した本発明に係る水耕栽培用シート及び栽培装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[12]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 弾性材料により構成され、少なくとも一方向に伸縮性を有するシート状部材(栽培シート10)と、
前記シート状部材に形成され、栽培する植物を配置可能な1つ以上の開口部(定植孔11)と、
を備える水耕栽培用シート。
[2] 前記シート状部材の周縁部の複数箇所に形成されたシート支持部(シート周縁部10a~10d、支持用開口部12、S字フック22等)を備える、
上記[1]に記載の水耕栽培用シート。
[3] 前記シート支持部は、複数の固定具(S字フック22、固定部材23、25、27、フック31、31A、チャック41等)を有する、
上記[2]に記載の水耕栽培用シート。
[4] 前記シート支持部は、前記シート状部材の周縁部に形成された開口部(支持用開口部12)を有する、
上記[2]に記載の水耕栽培用シート。
[5] 前記シート支持部は、前記弾性材料に比べて強度が大きく伸縮性を有する補強材(補強芯13)を含み、前記補強材は前記シート状部材の周縁部の少なくとも一部分に厚み方向に重なる状態で配置される、
上記[2]に記載の水耕栽培用シート。
[6] 前記シート状部材は、前記弾性材料としてゴムを含む、
上記[1]から[5]のいずれかに記載の水耕栽培用シート。
[7] 前記開口部(定植孔11)が、前記少なくとも一方向に互いに間隔を空けた状態で複数形成されている(図1参照)、
上記[1]から[3]のいずれかに記載の水耕栽培用シート。
[8] 栽培する植物を収容可能な1つ以上の栽培用ポット(15、15A)を備え、
前記栽培用ポットが前記開口部(定植孔11)に配置される、
上記[1]から[5]のいずれかに記載の水耕栽培用シート。
[9] 前記栽培用ポット(15A)は、互いに連結及び分離が可能な上部品(上側部材15Aa)及び下部品(下側部材15Ab)を含み、
前記栽培用ポットは、互いに連結された前記上部品及び下部品の間に前記シート状部材を挟んだ状態で、前記シート状部材に支持される、
上記[8]に記載の水耕栽培用シート。
[10] 前記シート状部材の前記開口部に、前記栽培用ポットを支持可能な固定枠(16)が前記シート状部材を挟み込む状態で配置され(図12参照)、
前記固定枠は、前記弾性材料に比べて変形しにくい材料で構成されている、
上記[8]に記載の水耕栽培用シート。
[11] 前記シート状部材(栽培シート10)は定常状態における平面形状が矩形に形成され、
前記シート状部材の平面上の縦方向及び横方向のそれぞれに沿って、複数の前記開口部(定植孔11)が一定の間隔で形成されている(図1参照)、
上記[1]から[10]のいずれかに記載の水耕栽培用シート。
[12] 上記[1]から[11]のいずれかに記載の水耕栽培用シートと、
前記水耕栽培用シートが配置され、内部に養液を収容可能な栽培プール(20、20A、20A-1、20B)と、を備えた、
栽培装置(ラック35)。
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
10 栽培シート
10a,10b,10c,10d シート周縁部
11 定植孔
12 支持用開口部
13 補強芯
15 栽培用ポット
15a 植物収容部
15b ポット底部
15c 中間フランジ部
15d 上部フランジ部
15A 栽培用ポット
15Aa 上側部材
15Ab 下側部材
16 固定枠
20 栽培プール
20a,20b 容器周縁部
20c 容器開口部
21 養液
22 S字フック
23,25,27 固定部材
24,26,28,32 ネジ
31 フック
41,42 チャック
43 タープフック
44 スプリングクランプ
L シート長
L1 プール長
W シート幅

Claims (12)

  1. 弾性材料により構成され、少なくとも一方向に伸縮性を有するシート状部材と、
    前記シート状部材に形成され、栽培する植物を配置可能な1つ以上の開口部と、
    を備える水耕栽培用シート。
  2. 前記シート状部材の周縁部の複数箇所に形成されたシート支持部を備える、
    請求項1に記載の水耕栽培用シート。
  3. 前記シート支持部は、複数の固定具を有する、
    請求項2に記載の水耕栽培用シート。
  4. 前記シート支持部は、前記シート状部材の周縁部に形成された係合用開口部を有する、
    請求項2に記載の水耕栽培用シート。
  5. 前記シート支持部は、前記弾性材料に比べて強度が大きく伸縮性を有する補強材を含み、前記補強材は前記シート状部材の周縁部の少なくとも一部分に厚み方向に重なる状態で配置される、
    請求項2に記載の水耕栽培用シート。
  6. 前記シート状部材は、前記弾性材料としてゴムを含む、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水耕栽培用シート。
  7. 前記開口部が、前記少なくとも一方向に互いに間隔を空けた状態で複数形成されている、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水耕栽培用シート。
  8. 栽培する植物を収容可能な1つ以上の栽培用ポットを備え、
    前記栽培用ポットが前記開口部に配置される、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の水耕栽培用シート。
  9. 前記栽培用ポットは、互いに連結及び分離が可能な上部品及び下部品を含み、
    前記栽培用ポットは、互いに連結された前記上部品及び下部品の間に前記シート状部材を挟んだ状態で、前記シート状部材に支持される、
    請求項8に記載の水耕栽培用シート。
  10. 前記シート状部材の前記開口部に、前記栽培用ポットを支持可能な固定枠が前記シート状部材を挟み込む状態で配置され、
    前記固定枠は、前記弾性材料に比べて変形しにくい材料で構成されている、
    請求項8に記載の水耕栽培用シート。
  11. 前記シート状部材は定常状態における平面形状が矩形に形成され、
    前記シート状部材の平面上の縦方向及び横方向のそれぞれに沿って、複数の前記開口部が互いに間隔を空けて形成されている、
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の水耕栽培用シート。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の水耕栽培用シートと、
    前記水耕栽培用シートが配置され、内部に養液を収容可能な栽培プールと、を備えた、
    栽培装置。
JP2021175725A 2021-10-27 2021-10-27 水耕栽培用シート及び栽培装置 Pending JP2023065108A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021175725A JP2023065108A (ja) 2021-10-27 2021-10-27 水耕栽培用シート及び栽培装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021175725A JP2023065108A (ja) 2021-10-27 2021-10-27 水耕栽培用シート及び栽培装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023065108A true JP2023065108A (ja) 2023-05-12

Family

ID=86281744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021175725A Pending JP2023065108A (ja) 2021-10-27 2021-10-27 水耕栽培用シート及び栽培装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023065108A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN206165123U (zh) 一种用于种子和苗木催芽育苗水培的培育盒
KR101898590B1 (ko) 수경재배용 배드 조립체
WO2019198726A1 (ja) 植物又は菌類の生育装置および生育方法
JP6206802B2 (ja) 水耕栽培装置
KR20170069059A (ko) 확장이 용이한 다단 육묘 포트
JPH09248083A (ja) 植物の栽培方法及び植物栽培装置
JP2023065108A (ja) 水耕栽培用シート及び栽培装置
JP2006254744A (ja) イチゴの栽培方法及びその高設栽培装置
WO2022239662A1 (ja) 水耕栽培用パネル
WO2022244823A1 (ja) 管状栽培容器および植物栽培方法
JP5259330B2 (ja) 育苗箱ホルダー
JP4507444B2 (ja) 植物水耕栽培装置
CN103270906B (zh) 一种伸缩育苗穴盘
JP4372598B2 (ja) 高設栽培装置の果実支持体張架器具
KR20090122036A (ko) 재배관을 이용한 입상식 농작물 재배장치
JP6924498B2 (ja) 収容箱
JP2019170386A5 (ja)
JP5805502B2 (ja) トマトの一段密植栽培方法及び装置
JP2019080529A (ja) 植物栽培装置
CN216931048U (zh) 一种林业工程苗木培育装置
CN214546081U (zh) 一种用于花卉种苗培育的育苗床
JPH071963Y2 (ja) 水耕栽培用株元固定器
KR20110101545A (ko) 시설양묘용 용기받침대
KR20240079031A (ko) 작물 이식을 위한 장치
JP2018068254A (ja) 植物栽培装置