JP2023064953A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動力を適切に制御することによって、走行性能の低下を抑制しつつ、乗員が乗り物酔いすることを抑制することができる車両の駆動力制御装置を提供する。【解決手段】乗員の頭部の加速度に基づいて乗員の乗り物酔いの進行の度合いを指標化した評価指標値を用いて車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方を制御する車両の駆動力制御装置において、駆動力と制動力との少なくともいずれか一方を制御するコントローラを備え、コントローラは、乗員の乗り物酔いのしやすさを指標化した個体差指標値と、評価指標値とを比較し(ステップS3)、評価指標値が個体差指標値よりも大きい場合に、車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方の変化率の上限値を低下させる(ステップS5、ステップS6)。【選択図】図3

Description

この発明は、乗員の乗り物酔いの程度を指標化した指標値に基づいて駆動力や制動力を制御する車両の駆動力制御装置に関するものである。
特許文献1には、乗員の頭部の動きをセンサで検出することによって、乗員の乗り物酔いの程度を推定し、その推定値が予め定めた所定値以上である場合には、乗員の乗り物酔いを低減するために、トランスミッションの通常のシフトスケジュールよりも高めのギヤを使用して、加速時に生じる加速度の大きさを抑制するように構成された制御装置が記載されている。
特開2007-236644号公報
特許文献1に記載された制御装置は、乗員の頭部の挙動に基づいて乗員の乗り物酔いの程度を推定している。一方、乗り物に酔いやすい体質と、酔いにくい体質など個人差があるため、乗員の頭部の挙動に基づいて乗り物酔いの程度を推定すると、実際には乗り物酔いに至っていない場合であっても、車両の駆動力が制限されることになり、走行性能が低下する可能性がある。
また、特許文献1に記載された制御装置は、乗員が乗り物酔いに至った程度まで、乗員の乗り物酔いの程度を推定する推定値が上昇した時点で、駆動力を制限するようにトランスミッションのシフトスケジュールが変更される。すなわち、乗員が乗り物酔いに至る以前に駆動力を制限することができない。したがって、乗員が乗り物に酔わない駆動力の制御を行うことができない可能性がある。または、駆動力を制限する閾値を低く設定するとすれば、車両の駆動力を過剰に制限するなど走行性能が低下する可能性がある。
この発明は、上記のような技術的課題に着目して考え出されたものであり、駆動力を適切に制御することによって、走行性能の低下を抑制しつつ、乗員が乗り物酔いすることを抑制することができる車両の駆動力制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、車両の乗員の頭部の加速度を検出し、前記頭部の加速度に基づいて前記乗員の乗り物酔いの進行の度合いを指標化した評価指標値を用いて前記車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方を制御する車両の駆動力制御装置において、前記駆動力と前記制動力との少なくともいずれか一方を制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記乗員の乗り物酔いのしやすさを指標化した個体差指標値と、前記評価指標値とを比較し、前記評価指標値が前記個体差指標値よりも大きい場合に、前記車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方の変化率の上限値を低下させることを特徴とするものである。
また、この発明では、前記乗員の後頭部と背中との少なくともいずれか一方を支持する支持部材を備え、前記コントローラは、前記乗員に作用する慣性力が前記支持部材から前記乗員が離隔する方向となる前記車両の加速度の変化率を低下させるように、前記駆動力と前記制動力とのいずれか一方の変化率の上限値を低下させてよい。
また、この発明では、前記コントローラは、前記車両の制動力の変化率の上限値を低下させてよい。
また、この発明では、前記個体差指標値は、前記乗員の心電、呼吸、表情、体温の少なくともいずれか一つを含む生体データに基づいて定められた指標値であってよい。
また、この発明では、前記コントローラは、前記一方の変化率の上限値が、前記一方の変化率について予め定められた下限値まで低下した後に、前記他方の変化率の上限値を低下させてよい。
そして、この発明では、前記個体差指標値は、前記乗員の酔いが回復する速度を含み、前記評価指標値は、前記乗員の乗り物酔いの進行速度を含み、前記乗員の乗り物酔いの進行速度が、前記乗員の酔いが回復する速度よりも速い場合に、前記車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方の変化率の上限値を低下させてよい。
この発明の車両の駆動力制御装置は、乗員の頭部の加速度に基づいて乗員の乗り物酔いの進行の度合いを指標化した評価指標値が、乗員の乗り物酔いのしやすさを指標化した個体差指標値よりも大きい場合に、車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方の変化率の上限値を低下させる。すなわち、乗員の乗り物酔いの耐性に応じて駆動力や制動力を変化させることができる。その結果、乗員の乗り物酔いが進行しない程度に駆動力や制動力を変化させることができる。また、乗員の乗り物酔いの耐性を基準として駆動力や制動力の変化率の上限値を低下させるように構成されているため、過剰に駆動力や制動力の変化率を制限することがなく、走行性能が低下することを抑制できる。
この発明の実施形態における車両の一例を説明するための模式図である。 この発明の実施形態における駆動力制御装置の一例を説明するためのブロック図である。 この発明の実施形態における駆動力制御装置により実行される制御例の一例を説明するためのフローチャートである。 MSDVを算出する際に用いる補正値の一例を示す図である。 加速時と減速時とでの被験者の頭部の挙動の違いを検証した実験結果を示す図であり、(a)は、アクセル操作の仕方を示し、(b)は、頭部の加速度を示す図である。 乗り物酔いに対する加速側トルクレートおよび減速側トルクレートの影響度合いを検証した実験結果を示す図である。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
この発明の実施形態における車両の一例を図1に示してある。図1に示す車両Veは、従来の車両と同様に、車両Veの前方と後方とのそれぞれに座席が設けられている。具体的には、車両Veの前方には、車両Veの幅方向に並んで運転席と助手席とが設けられ、車両Veの後方には、車両Veの幅方向に並んで後部座席が三つ設けられている。
それらの各座席は、乗員1が着座するシート2と、乗員1の背中を車両Veの後方側から支持するシートバック3と、乗員1の後頭部を車両Veの後方側から支持するヘッドレスト4とが設けられている。なお、シート2の高さや、シートバック3の傾斜角、あるいはヘッドレスト4の高さなどを適宜変更できるように構成されている。上記シートバック3やヘッドレスト4が、この発明の実施形態における「支持部材」に相当する。
上記の車両Veは、運転者によって操作されるアクセルペダルおよびブレーキペダルを備えていて、それらのペダルの操作量に応じて駆動力や制動力が制御される。具体的には、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル開度センサ5や、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ6が設けられていて、それらのセンサ5,6に、この発明の実施形態における「コントローラ」に相当する電子制御装置(以下、ECUと記す)7が電気的に接続されている。
このECU7は、従来の車両に設けられたECUと同様にマイクロコンピュータを主体に構成されていて、上記のセンサ5,6に加えて、車速を検出するセンサ、前方車両との車間距離を検出するセンサ、車両Veの車速を自動でコントロールすることを乗員1が要求する場合に操作されるクルーズコントロールスイッチなどの種々のセンサから信号が入力されるように構成されている。
また、この発明の実施形態における車両Veには、乗員1を特定するための乗員特定装置、乗員1の心電、呼吸、表情、体温などの乗り物酔いに関連する生体データを検出する生体データ検出装置、乗員1の頭部の挙動を検出するための頭部挙動検出装置などが設けられ、それらの装置がECU7に接続されている。
乗員1を特定するための乗員特定装置は、ECU7や車両Veの外部に設けられたサーバなどに記憶されているIDから、車両Veに乗車している者に対応したIDを検索するための装置であって、例えば、車両Veに乗車した時点で乗員1がカードキーを読み込ますなどによって乗員1を特定してもよく、あるいは図1に示すように各座席の前方に車載カメラ8を設置し、その車載カメラ8で撮影された画像データを用いて、ECU7あるいはサーバなどに予め記憶されている人工知能(AI)を用いて乗員1を特定してもよい。
乗員1の生体データを検出する生体データ検出装置は、例えば、図1に示すように車載カメラ8によって撮影された画像データを用いて呼吸や表情などを検出してもよく、シート2、シートバック3、あるいはヘッドレスト4にセンサ9を設け、そのセンサ9によって心電や体温などを検出してもよい。
乗員1の頭部の挙動を検出する頭部挙動検出装置は、車両Veの前後方向における乗員1の頭部の加速度を検出するものであって、図1に示すように車載カメラ(具体的には、体動計測用ステレオカメラ)8によって撮影された画像データを用いて乗員1の頭部の加速度を検出してもよく、乗員1の頭部に慣性計測装置(Inertial Measurement Unit:IMU)を取り付け、そのIMUによって乗員1の頭部の加速度を検出してもよい。
ECU7は、上述した種々のセンサから信号が入力され、その信号に基づいて目標駆動力や目標制動力を求める。具体的には、アクセル開度センサ5やブレーキセンサ6から入力される信号と、車速センサから入力される信号と、予めECU7に記憶されている駆動力マップとに基づいて、目標駆動力や目標制動力を定める。あるいは、クルーズコントロールスイッチが操作されている場合には、設定された目標車速と実際の車速との差や車間距離などに基づいて目標駆動力や目標制動力を定める。
図2には、目標駆動力や目標制動力に向けて駆動力や制動力を変更する場合の制御例を説明するためのブロック図を示してある。図2に示す制御ブロックは、各要件に基づいて設定される減速トルクレート(制動トルクの変化率)および加速トルクレート(駆動トルクの変化率)の上限値を読み込むデータ取得部10と、採用する減速トルクレートおよび加速トルクレートを選択するトルクレート選択部11と、出力トルクを算出するトルク算出部12と、算出されたトルク値を決定するトルク決定部13とを備えている。
データ取得部10は、減速時における要求される走行性能を発揮するための減速トルクレートの上限値(ドラビリ要件:減速トルクレート上限)、パワートレーンの構成部品などを保護するための減速トルクレートの上限値(部品保護要件:減速トルクレート上限)、乗り物酔いを抑制するための減速トルクレートの上限値(酔い抑制要件:減速トルクレート上限)、加速時における要求される走行性能を発揮するための加速トルクレートの上限値(ドラビリ要件:加速トルクレート上限)、パワートレーンの構成部品などを保護するための加速トルクレートの上限値(部品保護要件:加速トルクレート上限)、乗り物酔いを抑制するための加速トルクレートの上限値(酔い抑制要件:加速トルクレート上限)をECU7から読み込む。
上記の走行性能を発揮するための減速トルクレートや加速トルクレートの上限値、および部品を保護するための減速トルクレートや加速トルクレートの上限値は、従来の駆動力制御装置と同様にアクセルペダルやブレーキペダルの操作速度や、目標駆動力および目標制動力の大きさなどに基づいて定められている。なお、乗り物酔いを抑制するための減速トルクレートや加速トルクレートは、後述する制御例に基づいて定められる。
トルクレート選択部11は、データ取得部10によって読み込まれた各減速トルクレートが入力され、各減速トルクレートの上限値のうちの最小のトルクレートを選択し、同様に、データ取得部10によって読み込まれた各加速トルクレートが入力され、各加速トルクレートの上限値のうちの最小のトルクレートを選択する。
トルク算出部12には、トルクレート選択部11によって選択された減速トルクレートと、加速トルクレートとが入力され、加速過渡期あるいは減速過渡期における前回定められたトルク値と、加速中か減速中かの判定フラグの信号が入力される。そして、それらの入力信号からトルクを算出する。具体的には、まず、判定フラグの信号に基づいて、減速トルクレートと加速トルクレートとのいずれを採用するかを選択し、その選択されたトルクレートを、前回定められたトルク値に乗算することによって、今回の出力トルクを算出する。
そして、トルク算出部12によって算出された出力トルクの信号が、トルク決定部13に入力されることにより、出力トルクが決定される。
上記の乗り物酔いを抑制するための減速トルクレートや加速トルクレートを定める制御例を説明するためのフローチャートを図3に示してある。図3に示す制御例では、まず、乗員1が乗り物酔いしやすいか否かを評価するために、乗員1の酔い回復速度を読み込む(ステップS1)。これは、乗り物酔いしやすさと、酔いの回復速度とに相関関係があると考えられるためであって、乗り物酔いのしやすさを数値化して指標化するために酔い回復速度を読み込んでいる。
この酔い回復速度は、乗員1が酔いを体感し始める後述する動揺病発生率の評価指標値(Motion Sickness Dose Value:MSDV)の変化速度と同一となるように、乗員1の生体データの変化の仕方から定められている。具体的には、乗員1が乗車している時点での車両Veの加速度やジャークに応じて乗員1のMSDVを計測する。そして、乗員1の生体データから酔いを体感し始めるMSDVの変化速度を求める。続いて、車両Veが停車している時における生体データを入力データとし、上記MSDVの変化速度と同一の値となる酔い回復速度を出力データとして、ニューラルネットワークによる機械学習を行うことにより、酔い回復速度を定める。すなわち、酔い回復速度は、乗員1の乗り物酔いが進行しているか否かを判断するために、後述するMSDVの変化速度と関連付けた指標値として定められている。したがって、酔い回復速度が遅い程、乗り物酔いしやすい乗員1となる。
この酔い回復速度は、個人差があるため、乗員1毎に区分けしてECU7やサーバに記憶されていて、ステップS1では、まず、乗員特定装置(例えば、車載カメラ8)によって乗員1を特定する。ついで、乗員1に対応したIDを検索し、その検索されたIDに関連して記憶された酔い回復速度を読み込む。なお、酔い回復速度が、この発明の実施形態における「個体差指標値」に相当する。
ステップS1に続いて、乗員1の頭部の加速度aを用いてMSDVを求める(ステップS2)。具体的には、まず、頭部挙動検出装置(例えば、車載カメラ8)によって乗員1の頭部の加速度を検出する。続いて、以下の式に基づいてMSDVを求める。
Figure 2023064953000002
ここで、上式におけるa(t)は、頭部の加速度であり、W(f)は、振動数fに応じた頭部の加速度a(t)の補正値であり、Tは、頭部振動継続時間である。すなわち、MSDVは、乗員1の乗り物酔いの進行の度合いを指標化したものであって、その値が大きくなるに連れて、乗員1が乗り物酔いしやすい。なお、補正値W(f)は、図4に示すように、所定の振動数までの間は、振動数が増加するに連れて大きな値を採り、所定の振動数以上の場合には、振動数が増加するに連れて小さな値を採るように定められている。
続いて、ステップS2で求められたMSDVの変化速度が、ステップS1で抽出された酔い回復速度よりも速いか否かを判断する(ステップS3)。このステップS3は、乗員1の酔いが進行しているか否かを判断するためのステップである。すなわち、ステップS2で求められたMSDVの変化速度が速いほど、乗員1の乗り物酔いの進行速度が速いと判断することができる。したがって、MSDVの変化速度が、ステップS1で抽出された酔い回復速度よりも速い場合には、乗員1の酔いが進行していると判断することができる。なお、MSDVの変化速度は、この発明の実施形態における「乗り物酔いの進行速度」に相当するものであって、ステップS2で求められたMSDVを時間微分することによって求めてもよく、前回のルーチンで求められたMSDVとの差を、ルーチンの要する時間で除算して求めてもよい。
MSDVの変化速度が酔い回復速度よりも遅いことによりステップS3で否定的に判断された場合は、そのままこのルーチンを一旦終了する。それとは反対に、MSDVの変化速度が酔い回復速度よりも速いことによりステップS3で肯定的に判断された場合は、乗員1の乗り物酔いが進行していることになる。そのため、乗員1の乗り物酔いが進行することを抑制するために、MSDVの変化速度を低下させる。
図5には、加速時と減速時とでの被験者の頭部の挙動の違いを検証するための実験結果を示してある。図5に示す走行実験では、図5(a)に示すようにアクセル開度を0から最大値まで増加させ、その後、アクセル開度を最大値のまま所定時間維持し、さらに、その後、アクセル開度を0まで低下させる操作を繰り返し行い、その走行時における被験者の頭部の加速度を検出した。なお、アクセル開度を0から最大値まで増加させる加速時の駆動力(駆動輪に伝達される駆動トルク)と、アクセル開度を最大値から0まで減少させる減速時の制動力(駆動輪に伝達される制動トルク)との変化率(以下、トルクレートと記す)は、予め定められた所定値に設定されている。
図5(b)に示すように、減速時における頭部の加速度(正の値)は、加速時における頭部の加速度(負の値)よりも大きくなっている。これは、加速時には、身体に車両後方側に向けた慣性力が作用するものの、シートバックやヘッドレストによって身体が車両後方側から支持されていることにより、頭部が後方側に移動することを抑制できるのに対して、減速時には、身体に車両前方に向けた慣性力が作用し、かつ身体を車両前方側から支持することができないことにより、頭部が前方側に移動することを抑制できないためと考えられる。
そのため、本発明者は、加速時におけるトルクレートと減速時におけるトルクレートとを変更して、体感する酔いの程度を検証した。なお、アクセル操作の仕方は、上記図5(a)と同様である。その検証結果を図6に示してあり、横軸に、走行距離を採り、縦軸に、酔いレベルを採っている。その酔いレベルは、全く酔いを体感していない状態を、酔いレベル「0」、違和感がある状態を、酔いレベル「1」、酔っているが我慢できる程度の状態を、酔いレベル「2」、限界近くまで酔った状態を、酔いレベル「3」、限界まで酔った状態を、酔いレベル「4」としている。
また、加速時および減速時のトルクレートを、図5に示す検証時と同様に設定した検証結果を実線で示し、図5に示す検証時の約3分の1に設定した検証結果を破線で示し、減速時におけるトルクレートのみを図5に示す検証時の約3分の1に設定した検証結果を一点鎖線で示し、加速時におけるトルクレートのみを図5に示す検証時の約3分の1に設定した検証結果を二点鎖線で示してある。図6に示すように減速時のトルクレートを減少させることによって、酔いレベルの増加を抑制できることが分かる。すなわち、減速時のトルクレートを減少させることによって、MSDVの変化速度を低下させることができる。
したがって、ステップS3で肯定的に判断された場合は、減速側のトルクレートが規制値以下であるか否かを判断する(ステップS4)。このステップS4は、減速側のトルクレートの低下を許容できるか否かを判断するためのステップであり、したがって、規制値は、法規などで予め定められた下限値である。
減速側のトルクレートが規制値以下でないことによりステップS4で否定的に判断された場合は、減速側トルクレートの上限値を予め定められた所定値低下させて(ステップS5)、ステップS2にリターンする。それとは反対に、減速側トルクレートが規制値以下であることによりステップS4で肯定的に判断された場合は、加速側トルクレートの上限値を所定値低下させて(ステップS6)、ステップS2にリターンする。すなわち、ステップS3で肯定的に判断された場合は、減速側トルクレートの上限値を、加速側トルクレートの上限値に優先して低下させる。
なお、図3に示す制御例は、複数の乗員1がいる場合には、それぞれの乗員1についてステップS1ないしステップS3を実行し、少なくとも一人の乗員1についてのMSDVの変化速度が、その乗員1の酔い回復速度よりも速いことによりステップS3で肯定的に判断された場合には、ステップS4に移行するように構成してもよい。
また、上記の制御例における減速側のトルクレートは、アクセルペダルの開度を所定開度未満にすることによる制動トルクを制御する場合に限ってもよい。これは、ブレーキペダルを踏み込んだ減速走行時には、走行性能などについての要求よりも減速または停車することが優先される場合があるためである。
上述したようにMSDVの変化速度が、乗員1の酔い回復速度よりも速い場合に、減速側トルクレートと加速側トルクレートとの少なくともいずれか一方の上限値を低下させることによって、乗員1の乗り物酔いの耐性に応じて駆動力や制動力を変化させることができる。具体的には、乗員1の乗り物酔いが進行しない程度に駆動力や制動力を変化させることができる。また、乗員1の乗り物酔いの耐性を基準として減速側トルクレートや加速側トルクレートの上限値を低下させるように構成されているため、過剰に駆動力や制動力の変化率を制限することがなく、走行性能が低下することを抑制できる。
また、上記のように減速側トルクレートの上限値を加速側トルクレートの上限値よりも優先して低下させることによって、駆動力や制動力の変化率の制限量に対する乗り物酔いを抑制する効果を大きくすることができる。すなわち、走行性能を過度に制限することを抑制することができる。
なお、この発明の実施形態における車両は、運転者がアクセルペダルやブレーキペダルを操作して走行する車両に限らず、車両に設けられた種々のセンサによって車両の周辺の状況を検出しながら、運転者がアクセルペダルやブレーキペダルを操作することなく走行する、いわゆる自動運転車両であってもよい。
また、車両の前方を向いて乗員がシートに着座するように構成された車両に限らず、車両の後方を向いて乗員がシートに着座するように構成された車両であってもよい。その場合には、シートバックやヘッドレストは、車両の前後方向における前方側から乗員の背中や後頭部を支持するように配置される。したがって、車両が減速した場合には、乗員に作用する慣性力をシートバックやヘッドレストによって支持できるのに対して、車両が加速した場合には、乗員に作用する慣性力をシートバックやヘッドレストによって支持することができない。そのため、車両の後方を向いて乗員が着座するように構成された車両の場合には、図3に示す制御例における加速側トルクレートを減速側トルクレートと読み替え、減速側トルクレートを加速側トルクレートと読み替えて制御するように構成してもよい。
さらに、車両の前方を向いて着座する乗員と、車両の後方を向いて着座する乗員とが含まれる場合には、図3に示す制御例におけるステップS3で肯定的に判断される乗員が、車両の前方を向いて着座しているか、後方を向いて着座しているかに応じて、減速側トルクレートの上限値を優先して低下させるか、加速側トルクレートの上限値を優先して低下させるかを判断してもよい。
すなわち、この発明の実施形態における駆動力制御装置は、加速側トルクレートと減速側トルクレートのうち、乗員に作用する慣性力がシートバックやヘッドレストから乗員が離隔する方向となる加速度の変化率を低下させる方向のトルクレートの上限値を低下させるように構成すればよい。
1 乗員
2 シート
3 シートバック
4 ヘッドレスト
5 アクセル開度センサ
6 ブレーキセンサ
7 電子制御装置(ECU)
8 車載カメラ
9 センサ
10 データ取得部
11 トルクレート選択部
12 トルク算出部
13 トルク決定部
Ve 車両

Claims (6)

  1. 車両の乗員の頭部の加速度を検出し、前記頭部の加速度に基づいて前記乗員の乗り物酔いの進行の度合いを指標化した評価指標値を用いて前記車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方を制御する車両の駆動力制御装置において、
    前記駆動力と前記制動力との少なくともいずれか一方を制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、
    前記乗員の乗り物酔いのしやすさを指標化した個体差指標値と、前記評価指標値とを比較し、
    前記評価指標値が前記個体差指標値よりも大きい場合に、前記車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方の変化率の上限値を低下させる
    ことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記乗員の後頭部と背中との少なくともいずれか一方を支持する支持部材を備え、
    前記コントローラは、
    前記乗員に作用する慣性力が前記支持部材から前記乗員が離隔する方向となる前記車両の加速度の変化率を低下させるように、前記駆動力と前記制動力とのいずれか一方の変化率の上限値を低下させる
    ことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記コントローラは、前記車両の制動力の変化率の上限値を低下させる
    ことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記個体差指標値は、前記乗員の心電、呼吸、表情、体温の少なくともいずれか一つを含む生体データに基づいて定められた指標値である
    ことを特徴とする駆動力制御装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記一方の変化率の上限値が、前記一方の変化率について予め定められた下限値まで低下した後に、前記他方の変化率の上限値を低下させる
    ことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記個体差指標値は、前記乗員の酔いが回復する速度を含み、
    前記評価指標値は、前記乗員の乗り物酔いの進行速度を含み、
    前記乗員の乗り物酔いの進行速度が、前記乗員の酔いが回復する速度よりも速い場合に、前記車両の駆動力と制動力との少なくともいずれか一方の変化率の上限値を低下させる
    ことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
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