JP2023063887A - セラミック電子部品 - Google Patents

セラミック電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2023063887A
JP2023063887A JP2021173947A JP2021173947A JP2023063887A JP 2023063887 A JP2023063887 A JP 2023063887A JP 2021173947 A JP2021173947 A JP 2021173947A JP 2021173947 A JP2021173947 A JP 2021173947A JP 2023063887 A JP2023063887 A JP 2023063887A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
specific metal
region
molar concentration
ceramic
electronic component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021173947A
Other languages
English (en)
Inventor
秀俊 増田
Hidetoshi Masuda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Yuden Co Ltd filed Critical Taiyo Yuden Co Ltd
Priority to JP2021173947A priority Critical patent/JP2023063887A/ja
Priority to US17/944,567 priority patent/US20230128407A1/en
Priority to CN202211326253.9A priority patent/CN116031068A/zh
Publication of JP2023063887A publication Critical patent/JP2023063887A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/30Stacked capacitors
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/002Details
    • H01G4/005Electrodes
    • H01G4/008Selection of materials
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/002Details
    • H01G4/005Electrodes
    • H01G4/008Selection of materials
    • H01G4/0085Fried electrodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/002Details
    • H01G4/018Dielectrics
    • H01G4/06Solid dielectrics
    • H01G4/08Inorganic dielectrics
    • H01G4/12Ceramic dielectrics
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/002Details
    • H01G4/018Dielectrics
    • H01G4/06Solid dielectrics
    • H01G4/08Inorganic dielectrics
    • H01G4/12Ceramic dielectrics
    • H01G4/1209Ceramic dielectrics characterised by the ceramic dielectric material
    • H01G4/1218Ceramic dielectrics characterised by the ceramic dielectric material based on titanium oxides or titanates
    • H01G4/1227Ceramic dielectrics characterised by the ceramic dielectric material based on titanium oxides or titanates based on alkaline earth titanates
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/002Details
    • H01G4/018Dielectrics
    • H01G4/06Solid dielectrics
    • H01G4/08Inorganic dielectrics
    • H01G4/12Ceramic dielectrics
    • H01G4/1209Ceramic dielectrics characterised by the ceramic dielectric material
    • H01G4/1236Ceramic dielectrics characterised by the ceramic dielectric material based on zirconium oxides or zirconates
    • H01G4/1245Ceramic dielectrics characterised by the ceramic dielectric material based on zirconium oxides or zirconates containing also titanates

Abstract

【課題】 外周層を均一に緻密化することができるセラミック電子部品を提供する。【解決手段】 誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層部分を含み、積層された複数の内部電極層が、対向する2端面に交互に露出するように形成された積層構造と、ペロブスカイト構造を有するセラミックを主成分とするカバー層と、を備え、積層構造は、積層された複数の内部電極層が2端面以外の2側面に延びた端部を覆うように設けられ、かつペロブスカイト構造を有するセラミックを主成分とするサイドマージンを備え、カバー層およびサイドマージンのうち、少なくともいずれかの領域において、Ag、As、Au、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、Ge、In、Ir、Mo、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Se、Sn、Te、WおよびZnの少なくとも1種以上の特定金属の濃度が、積層部分側から外側に向かって漸減する。【選択図】 図5

Description

本発明は、セラミック電子部品に関する。
電子機器の小型化に伴い、電子機器に搭載される積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品についても、さらなる小型化が求められている。基本特性である容量値を大きくするためには、容量に寄与しないカバー層およびサイドマージン(以下、外周層)を薄くすることが有効な手段である。一方、外周層は、容量領域を外部環境から隔離する機能も持たされている。例えば、大気中の水分等が容量領域に直接触れると、コンデンサの絶縁性が劣化して故障に至る。薄い外周層で外部環境からの水分の浸入を効率よく防ぐには、外周層はクラックやポアなどが無い緻密な状態とし、水分の経路を無くしておくことが求められる。
特開2007-258646号公報
しかしながら、外周層を均一に緻密化するのは困難である。例えば、内部電極層の主成分金属が焼成時の熱の影響によって外周層内に拡散した場合、内部電極層に近い領域と外周層の外側の領域とで拡散量に差が現れるため、外周層内で焼結状態に分布が発生してしまう。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、外周層を均一に緻密化することができるセラミック電子部品を提供することを目的とする。
本発明に係るセラミック電子部品は、ペロブスカイト構造を有するセラミックを主成分とする誘電体層と、Niを主成分とする内部電極層と、が交互に積層された積層部分を含み、略直方体形状を有し、積層された複数の前記内部電極層が、対向する2端面に交互に露出するように形成された積層構造と、前記積層構造の積層方向の上面および下面の少なくともいずれか一方に設けられ、ペロブスカイト構造を有するセラミックを主成分とするカバー層と、を備え、前記積層構造は、積層された複数の前記内部電極層が前記2端面以外の2側面に延びた端部を覆うように設けられ、かつペロブスカイト構造を有するセラミックを主成分とするサイドマージンを備え、前記カバー層および前記サイドマージンのうち、少なくともいずれかの領域において、Ag、As、Au、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、Ge、In、Ir、Mo、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Se、Sn、Te、W、よびZnの少なくとも1種以上の特定金属の濃度が、前記積層部分側から外側に向かって、漸減することを特徴とする。
上記セラミック電子部品において、前記特定金属がAu、Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合に、前記特定金属のモル濃度が0.00001at%以上、0.1at%以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記特定金属がAu、Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、同じ測定点における前記特定金属のモル濃度/Niのモル濃度の比が、0.0001以上1以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記特定金属がCr、Ag、およびCuの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合に、前記特定金属のモル濃度が、0.0001at%以上、1at%以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記特定金属がCr、Ag、およびCuの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、同じ測定点における前記特定金属のモル濃度/Niのモル濃度の比が、0.0005以上5以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記特定金属がFe、Ge、Sn、およびCoの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合に、前記特定金属の濃度が、0.001at%以上、20at%以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記特定金属がFe、Ge、Sn、およびCoの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、同じ測定点における前記特定金属のモル濃度/Niのモル濃度の比が、0.05以上50以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記特定金属がIn、As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合に、前記特定金属の濃度が、0.01at%以上、5at%以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記特定金属がIn、As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、同じ測定点における前記特定金属のモル濃度/Niのモル濃度の比が、0.01以上100以下であってもよい。
上記セラミック電子部品の前記領域において、前記特定金属のモル濃度の上限/下限の比が、1以上、100000以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記領域の厚みは、10μm以上、50μm以下であってもよい。
上記セラミック電子部品において、前記領域の主成分セラミックは、チタン酸バリウムであってもよい。
本発明によれば、外周層を均一に緻密化することができるセラミック電子部品を提供することができる。
積層セラミックコンデンサの部分断面斜視図である。 図1のA-A線断面図である。 図1のB-B線断面図である。 カバー層にポアが形成された場合を例示する図である。 (a)~(d)は特定金属の濃度分布を例示する図である。 (a)~(d)、外周層における特定金属のモル濃度A/モル濃度Bを例示している。 積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを例示する図である。 (a)および(b)は積層工程を例示する図である。 積層工程を例示する図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100の部分断面斜視図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3は、図1のB-B線断面図である。図1~図3で例示するように、積層セラミックコンデンサ100は、略直方体形状を有する積層チップ10と、積層チップ10のいずれかの対向する2端面に設けられた外部電極20a,20bとを備える。なお、積層チップ10の当該2端面以外の4面のうち、積層方向の上面および下面以外の2面を側面と称する。外部電極20a,20bは、積層チップ10の積層方向の上面、下面および2側面に延在している。ただし、外部電極20a,20bは、互いに離間している。
積層チップ10は、積層構造とカバー層13とを備えている。積層構造は、誘電体層11と内部電極層12とが交互に積層された積層部分を含み、略直方体形状を有し、積層された複数の内部電極層12が、2端面に交互に露出するように形成された構造を有している。それにより、各内部電極層12は、外部電極20aと外部電極20bとに、交互に導通している。その結果、積層セラミックコンデンサ100は、複数の誘電体層11が内部電極層12を介して積層された構成を有する。また、誘電体層11と内部電極層12との積層構造において、積層方向の最外層には内部電極層12が配置され、当該積層構造の上面および下面は、カバー層13によって覆われている。カバー層13は、セラミック材料を主成分とする。例えば、カバー層13の材料は、誘電体層11とセラミック材料の主成分が同じであっても構わない。
積層セラミックコンデンサ100のサイズは、例えば、長さ0.25mm、幅0.125mm、高さ0.125mmであり、または長さ0.4mm、幅0.2mm、高さ0.2mm、または長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであり、または長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.110mmであり、または長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmであり、または長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.1mmであり、または長さ3.2mm、幅1.6mm、高さ1.6mmであり、または長さ4.5mm、幅3.2mm、高さ2.5mmであるが、これらのサイズに限定されるものではない。
誘電体層11は、例えば、一般式ABOで表されるペロブスカイト構造を有するセラミック材料を主相とする。なお、当該ペロブスカイト構造は、化学量論組成から外れたABO3-αを含む。例えば、当該セラミック材料として、BaTiO(チタン酸バリウム),CaZrO(ジルコン酸カルシウム),CaTiO(チタン酸カルシウム),SrTiO(チタン酸ストロンチウム),MgTiO(チタン酸マグネシウム),ペロブスカイト構造を形成するBa1-x-yCaSrTi1-zZr(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1)等のうち少なくとも1つから選択して用いることができる。Ba1-x-yCaSrTi1-zZrは、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムカルシウム、ジルコン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸カルシウムおよびチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウムなどである。
本実施形態において、例えば、1層あたりの誘電体層11の厚みは、0.05μm以上5μm以下であり、または0.1μm以上3μm以下であり、または0.2μm以上1μm以下である。誘電体層11の厚みは、積層セラミックコンデンサ100の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、異なる10層の誘電体層11についてそれぞれ10点ずつ厚みを測定し、全測定点の平均値を導出することによって測定することができる。
内部電極層12は、Niを主成分とする。内部電極層12の厚さは、例えば、10nm以上、1000nm以下であり、20nm以上、500nm以下であり、50nm以上、300nm以下である。内部電極層12の厚さは、積層セラミックコンデンサ100の断面をSEMで観察し、異なる10層の内部電極層12についてそれぞれ10点ずつ厚みを測定し、全測定点の平均値を導出することによって測定することができる。
図2で例示するように、外部電極20aに接続された内部電極層12と外部電極20bに接続された内部電極層12とが対向する領域は、積層セラミックコンデンサ100において電気容量を生じる領域である。そこで、当該電気容量を生じる領域を、容量領域14と称する。すなわち、容量領域14は、異なる外部電極に接続された隣接する内部電極層12同士が対向する領域である。
外部電極20aに接続された内部電極層12同士が、外部電極20bに接続された内部電極層12を介さずに対向する領域を、エンドマージン15と称する。また、外部電極20bに接続された内部電極層12同士が、外部電極20aに接続された内部電極層12を介さずに対向する領域も、エンドマージン15である。すなわち、エンドマージン15は、同じ外部電極に接続された内部電極層12が異なる外部電極に接続された内部電極層12を介さずに対向する領域である。エンドマージン15は、電気容量を生じない領域である。
図3で例示するように、積層チップ10において、積層チップ10の2側面から内部電極層12に至るまでの領域をサイドマージン16と称する。すなわち、サイドマージン16は、上記積層構造において積層された複数の内部電極層12が2側面側に延びた端部を覆うように設けられた領域である。サイドマージン16も、電気容量を生じない領域である。なお、上述した積層チップ10に含まれる積層構造は、容量領域14とサイドマージン16とが相当する。
カバー層13とサイドマージン16とで容量領域14の外周を覆うことになるため、以下では、カバー層13およびサイドマージン16のことを外周層60と総称する。
大気中の水分等が容量領域14に直接触れると、積層セラミックコンデンサ100の絶縁性が劣化して故障に至るおそれがある。外周層60を設けておくことで、容量領域14が外部環境から隔離され、絶縁性が得られている。一方で、積層セラミックコンデンサ100を小型大容量型化するためには、容量に寄与しない外周層60を薄くすることが有効である。そこで、薄い外周層60で外部環境からの水分の浸入を効率よく防ぐには、外周層60をクラックやポアなどが無い緻密な状態とし、水分の経路を無くしておくことが求められる。
積層チップ10内の各部は、焼成によって粉末材料を焼結させることによって得られている。容量領域14においては、内部電極層12を焼成するためのNi粉末の影響により誘電体層11でも焼結が早まる。これに対して、外周層60には内部電極層12に相当する部分が無いため、容量領域14と比較すると焼結が遅くなる。これにより、外周層60ではポアが多くなるおそれがある。また、内部電極層12の主成分金属であるNiが焼成時の熱の影響によって外周層60内に拡散した場合、内部電極層12に近い領域と外周層60の外側の領域とでNiの拡散量に差が現れるため,外周層60内で焼結状態に分布が発生するおそれがある。
図4は、カバー層13にポア17が形成された場合を例示する図である。図4では、カバー層13のハッチを省略してある。図4の例では、カバー層13に複数のポア17が分散して形成されている。このようにカバー層13にポア17が形成されると、十分な絶縁性が得られないおそれがある。また、容量領域14に近い側ではポアが少なく、外側ではポアが多くなっており、外周層60内で焼結状態に分布が発生するおそれがある。なお、焼成温度を高めれば外周層60の焼結を十分に進めることができるが、焼成温度を高めれば内部電極層12において過焼結が生じ、内部電極層12の連続率が低下し、容量特性が劣化するおそれがある。
そこで、本実施形態においては、外周層60の少なくともいずれかの領域は、内部電極層12の連続率低下を抑制しつつ、均一に緻密化することができる構成を有している。具体的には、外周層60の少なくともいずれかの領域は、ペロブスカイト構造を有する主成分セラミックに加えて特定金属を含んでいる。特定金属とは、Ag、As、Au、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、Ge、In、Ir、Mo、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Se、Sn、Te、W、およびZnの少なくとも1種以上のことである。これらの特定金属が外周層60に含まれていると、焼成時に外周層60の焼結が早まる。それにより、外周層60においてポア17の形成を抑制することができる。なお、特定金属が外周層60に含まれることで外周層60の焼結が早まるのは、特定金属の方がNiよりも焼結を早めることと、特定金属の方がNiよりも遠方まで焼結を早める効果を発揮しやすいこととの少なくともいずれかが要因であると考えられる。
また、外周層60の少なくともいずれかの領域において、特定金属の濃度が容量領域14側から外周(表面)側にかけて徐々に低下するような濃度勾配が形成されている。この構成により、容量領域14に近い側から外側に向けて焼結が進行するため、外側が緻密化されて閉じる前に、内側からの成分(バインダなどの有機成分)を効率よく排除することができる。それにより、外周層60においてポア17の形成が抑制され、外周層60を均一に緻密化することができるようになる。その結果、積層セラミックコンデンサ100の耐湿信頼性が向上する。
図5(a)~図5(d)は、内部電極層12に主成分金属としてNiを用い、誘電体層11および外周層60の主成分セラミックとしてチタン酸バリウムを用い、外周層60に特定金属の濃度勾配を形成した場合の、当該特定金属の濃度分布を例示する図である。各測定点の特定金属の濃度は、LA-ICP(レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析)を用いて測定することができる。測定点の間隔は、例えば、1000nmである。外周層60の厚みは、一例として60μmとしてある。ノイズを減らすために、隣り合う複数点(例えば9点)で平均化して平滑化してもよい。
図5(a)~図5(d)において、横軸は外周層60内における内部電極層12からの距離(容量領域14からの距離)を表しており、縦軸は外周層60の主成分セラミックのBサイト元素(チタン酸バリウムではTi)を100at%とした場合の特定金属のモル濃度A(at%)を対数で表している。内部電極層12からの距離は、カバー層13においては積層方向における容量領域14からの離間距離を表しており、サイドマージン16においては内部電極層12の幅方向における容量領域14からの離間距離を表している。
図5(a)では、特定金属としてAuを用いてある。図5(b)では、特定金属としてCrを用いてある。図5(c)では、特定金属としてFeを用いてある。図5(d)では、特定金属としてInを用いてある。
図5(a)~図5(d)で例示するように、特定金属のモル濃度Aは、容量領域14から離れるにつれて徐々に減少(漸減)するような、短調減少の傾斜を有している。特定金属についてこのような濃度勾配を形成することにより、外周層60を均一に緻密化することができるようになるのである。なお、ここでいう「徐々に減少」とは、連続的に減少することを含むとともに、容量領域14から外部に向かって複数のサンプル点で濃度を測定した場合に上下を繰り返しつつ全体として減少することを含む。
図5(a)~図5(d)のいずれにおいても、Niの濃度分布も併せてプロットしてある。図5(a)~図5(d)で例示するように、Niのモル濃度Bは、容量領域14から離れるにつれて徐々に減少(漸減)するような、短調減少の傾斜を有している。外周層60にNiが含まれるのは、焼成の過程で内部電極層12からNiが拡散してくるからである。ここでも、「徐々に減少」とは、連続的に減少することを含むとともに、容量領域14から外部に向かって複数のサンプル点で濃度を測定した場合に上下を繰り返しつつ全体として減少することを含む。
図6(a)~図6(d)は、外周層60における特定金属のモル濃度A/モル濃度B(以下、A/B比)を例示している。横軸は外周層60内における内部電極層12からの距離(容量領域14からの距離)を表しており、縦軸はA/B比を対数で表している。A/B比は、同じ測定点におけるモル濃度Aとモル濃度Bとの比のことである。図6(a)で例示するように、特定金属としてAuを用いた場合には、A/B比は、容量領域14から離れるにつれて徐々に増加(漸増)するような、単調増加の傾斜を有している。図6(b)で例示するように、特定金属としてCrを用いた場合には、A/B比は、容量領域14から離れるにつれて徐々に増加(漸増)するような、単調増加の傾斜を有している。図6(c)で例示するように、特定金属としてFeを用いた場合には、A/B比は、容量領域14からの距離にかかわらず、所定範囲を維持するような、増減無しの傾向を有している。図6(d)で例示するように、特定金属としてInを用いた場合には、A/B比は、容量領域14から離れるにつれて徐々に増加(漸増)するような、単調増加の傾斜を有している。
図5(a)~図5(d)および図6(a)~図6(d)の結果を表1に示す。表1は、外周層60における特定金属のモル濃度Aの下限(at%)、上限(at%)、および濃度勾配の形状、外周層60におけるNiのモル濃度Bの下限(at%)、上限(at%)、および濃度勾配の形状、外周層60におけるA/B比の下限、上限、および勾配の形状を含んでいる。Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuは、外周層60に対する焼結させ易さと外周層60への拡散のし易さのバランス点が近しい理由から、Auと同様の挙動を示すと考えられる。Ag、およびCuは、外周層60に対する焼結させ易さと外周層60への拡散のし易さのバランス点が近しい理由から、Crと同様の挙動を示すと考えられる。Ge、SnおよびCoは、外周層60に対する焼結させ易さと外周層60への拡散のし易さのバランス点が近しい理由から、Feと同様の挙動と示すと考えられる。As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnは、外周層60に対する焼結させ易さと外周層60への拡散のし易さのバランス点が近しい理由から、Inと同様の挙動を示すと考えられる。
Figure 2023063887000002
外周層60内で、特定金属のモル濃度Aが低すぎると、外周層60の焼結を十分に早めることができないおそれがある。そこで、外周層60において、特定金属のモル濃度Aに下限を設けることが好ましい。例えば、特定金属がAu、Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuの少なくともいずれかである場合には、外周層60における特定金属のモル濃度Aは、0.00001at%以上であることが好ましく、0.00005at%以上であることがより好ましく、0.0001at%以上であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がCr、Ag、およびCuの少なくともいずれかである場合には、外周層60における特定金属のモル濃度Aは、0.0001at%以上であることが好ましく、0.0005at%以上であることがより好ましく、0.001at%以上であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がFe、Ge、Sn、およびCoの少なくともいずれかである場合には、外周層60における特定金属のモル濃度Aは、0.001at%以上であることが好ましく、0.005at%以上であることがより好ましく、0.01at%以上であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がIn、As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnの少なくともいずれかである場合には、外周層60における特定金属のモル濃度Aは、0.01at%以上であることが好ましく、0.05at%以上であることがより好ましく、0.1at%以上であることがさらに好ましい。
外周層60内で、特定金属のモル濃度が高すぎると、絶縁性を劣化させるのおそれがある。そこで、外周層60において、特定金属のモル濃度に上限を設けることが好ましい。例えば、特定金属がAu、Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuの少なくともいずれかである場合には、外周層60における特定金属のモル濃度Aは、0.1at%以下であることが好ましく、0.05at%以下であることがより好ましく、0.01at%以下であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がCr、Ag、およびCuの少なくともいずれかである場合には、外周層60における特定金属のモル濃度Aは、1at%以下であることが好ましく、0.5at%以下であることがより好ましく、0.1at%以下であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がFe、Ge、Sn、およびCoの少なくともいずれかである場合には、外周層60における特定金属のモル濃度Aは、20at%以下であることが好ましく、10at%以下であることがより好ましく、2at%以下であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がIn、As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnの少なくともいずれかである場合には、外周層60における特定金属のモル濃度Aは、5at%以下であることが好ましく、1at%以下であることがより好ましく、0.5at%以下であることがさらに好ましい。
外周層60内で、特定金属のモル濃度Aに十分な勾配を形成するためには、外周層60におけるモル濃度Aの上限/下限の比に下限を設けることが好ましい。例えば、外周層60におけるモル濃度Aの上限/下限の比は、1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。一方で、外周層60内における特定金属のモル濃度Aに設ける勾配が大きすぎると、最外周の焼結が間に合わなくなるおそれがある。そこで、外周層60におけるモル濃度Aの上限/下限の比に上限を設けることが好ましい。例えば、外周層60におけるモル濃度Aの上限/下限の比は、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましく、10000以下であることがさらに好ましい。外周層60において、モル濃度Aが容量領域14側から外側に向かって漸減するため、モル濃度Aの上限/下限の比は、外周層60において、最も容量領域14側のモル濃度Aと、最も外側のモル濃度Aとの比に相当する。
外周層60内で、A/B比が低すぎると、焼結が十分に進行しないおそれがある。そこで、外周層60において、A/B比に下限を設けることが好ましい。例えば、特定金属がAu、Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuの少なくともいずれかである場合には、外周層60におけるA/B比は、0.001以上であることが好ましく、0.0005以上であることがより好ましく、0.001以上であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がCr、Ag、およびCuの少なくともいずれかである場合には、外周層60におけるA/B比は、0.0005以上であることが好ましく、0.001以上であることがより好ましく、0.005以上であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がFe、Ge、Sn、およびCoの少なくともいずれかである場合には、外周層60におけるA/B比は、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がIn、As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnの少なくともいずれかである場合には、外周層60におけるA/B比は、0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。
外周層60内で、A/B比が高すぎると、絶縁性を劣化させるおそれがある。そこで、外周層60において、A/B比に上限を設けることが好ましい。例えば、特定金属がAu、Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuの少なくともいずれかである場合には、外周層60におけるA/B比は、1以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がCr、Ag、およびCuの少なくともいずれかである場合には、外周層60におけるA/B比は、5以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がFe、Ge、Sn、およびCoの少なくともいずれかである場合には、外周層60におけるA/B比は、50以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。例えば、特定金属がIn、As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnの少なくともいずれかである場合には、外周層60におけるA/B比は、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
外周層60が薄すぎると、外部環境の水分の侵入を十分に抑制できないおそれがある。そこで、外周層60の厚みに下限を設けることが好ましい。例えば、外周層60の厚みは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。一方、外周層60が厚すぎると、容量を生じない領域が大きくなってしまう。そこで、外周層60の厚みに上限を設けることが好ましい。例えば、外周層60の厚みは、50μm以下であることが好ましく、45μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがさらに好ましい。なお、外周層60の厚みとは、カバー層13については積層方向の厚みであり、サイドマージン16については内部電極層12の幅方向の厚みである。また、カバー層13およびサイドマージン16の厚みは、積層セラミックコンデンサ100の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、カバー層13およびサイドマージン16のそれぞれについて、異なる10点の厚みを測定して平均値を導出することによって測定することができる。
なお、特定金属のモル濃度Aとは、金属種類が複数である場合には、それら複数の金属のモル濃度の合計値のことである。
続いて、積層セラミックコンデンサ100の製造方法について説明する。図7は、積層セラミックコンデンサ100の製造方法のフローを例示する図である。
(原料粉末作製工程)
まず、誘電体層11、カバー層13、およびサイドマージン16を形成するための原料粉末を用意する。誘電体層11、カバー層13、およびサイドマージン16に含まれるAサイト元素およびBサイト元素は、通常はABOの粒子の焼結体の形で含まれる。例えば、BaTiOは、ペロブスカイト構造を有する正方晶化合物であって、高い誘電率を示す。このBaTiOは、一般的に、二酸化チタンなどのチタン原料と炭酸バリウムなどのバリウム原料とを反応させてチタン酸バリウムを合成することで得ることができる。誘電体層11、カバー層13、およびサイドマージン16の主成分セラミックの合成方法としては、従来種々の方法が知られており、例えば固相法、ゾル-ゲル法、水熱法等が知られている。本実施形態においては、これらのいずれも採用することができる。
得られたセラミック粉末に、目的に応じて所定の添加化合物を添加する。添加化合物としては、Mg、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、Cr、希土類元素(Y、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)およびイッテルビウム(Yb))の酸化物、または、Co、Ni、リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)もしくはケイ素(Si)を含む酸化物、または、コバルト、ニッケル、リチウム、ホウ素、ナトリウム、カリウムもしくはケイ素を含むガラスが挙げられる。
例えば、セラミック原料粉末に添加化合物を含む化合物を湿式混合し、乾燥および粉砕してセラミック材料を調製する。例えば、上記のようにして得られたセラミック材料について、必要に応じて粉砕処理して粒径を調節し、あるいは分級処理と組み合わせることで粒径を整えてもよい。以上の工程により、原料粉末が得られる。
(積層工程)
次に、原料粉末作製工程で作製された原料粉末に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合する。得られたスラリを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材51上に誘電体グリーンシート52を塗工して乾燥させる。基材51は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムである。
次に、図8(a)で例示するように、誘電体グリーンシート52上に、内部電極パターン53を成膜する。図8(a)では、一例として、誘電体グリーンシート52上に4層の内部電極パターン53が所定の間隔を空けて成膜されている。内部電極パターン53が成膜された誘電体グリーンシート52を、積層単位とする。
次に、誘電体グリーンシート52を基材51から剥がしつつ、図8(b)で例示するように、積層単位を積層する。
次に、積層単位が積層されることで得られた積層体の上下にカバーシート54を所定数だけ積層して熱圧着させ、所定チップ寸法(例えば1.0mm×0.5mm)にカットする。図8(b)の例では、点線に沿ってカットする。カバーシート54は、誘電体グリーンシート52と同様に、原料粉末作製工程で作製された原料粉末に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合し、得られたスラリを使用して、ダイコータ法やドクターブレード法により、基材51上に塗工して乾燥させることで得ることができる。
各カバーシート54には、Ag、As、Au、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、Ge、In、Ir、Mo、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Se、Sn、Te、W、およびZnの少なくとも1種以上の特定金属を添加する。その際に、各カバーシート54に対する特定金属の添加量を異ならせる。積層単位の積層体に最も近いカバーシート54については特定金属の濃度を最も高くし、積層単位の積層体から離れるにつれて特定金属の濃度を徐々に低くする。このようにすることで、特定金属の濃度に勾配を形成することができる。
サイドマージン16に対応する領域は、上記積層単位の積層体の側面に貼り付けまたは塗布してもよい。具体的には、図9で例示するように、誘電体グリーンシート52と、当該誘電体グリーンシート52と同じ幅の内部電極パターン53とを交互に積層することで、積層体を得る。次に、積層体の側面に、複数のサイドマージンシート55を貼り付ければよい。サイドマージンシート55は、誘電体グリーンシート52と同様に、原料粉末作製工程で作製された原料粉末に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合し、得られたスラリを使用して、ダイコータ法やドクターブレード法により、基材51上に塗工して乾燥させることで得ることができる。
各サイドマージンシート55には、特定金属を添加する。各サイドマージンシート55に対する特定金属の添加量を異ならせる。積層単位の積層体に最も近いサイドマージンシート55については特定金属の濃度を最も高くし、積層単位の積層体から離れるにつれて特定金属の濃度を徐々に低くする。このようにすることで、特定金属の濃度に勾配を形成することができる。
(焼成工程)
このようにして得られたセラミック積層体を、N雰囲気で脱バインダ処理した後に外部電極20a,20bの下地層となる金属ペーストをディップ法で塗布し、酸素分圧10-5~10-8atmの還元雰囲気中で1100~1300℃で10分~2時間焼成する。このようにして、積層セラミックコンデンサ100が得られる。
(再酸化処理工程)
その後、Nガス雰囲気中で600℃~1000℃で再酸化処理を行ってもよい。
(めっき処理工程)
その後、めっき処理により、外部電極20a,20bに、Cu,Ni,Sn等の金属コーティングを行ってもよい。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100の製造方法によれば、各カバーシート54の特定金属の濃度を異ならせることによって、カバー層13において、特定金属の濃度が容量領域14側から外周(表面)側にかけて徐々に低下するような濃度勾配を形成することができる。また、各サイドマージンシート55の特定金属の濃度を異ならせることによって、サイドマージン16において、特定金属の濃度が容量領域14側から外周(表面)側にかけて徐々に低下するような濃度勾配を形成することができる。
なお、上記各実施形態においては、セラミック電子部品の一例として積層セラミックコンデンサについて説明したが、それに限られない。例えば、バリスタやサーミスタなどの、他の電子部品を用いてもよい。
以下、実施形態に係る積層セラミックコンデンサを作製し、特性について調べた。
(比較例1)
チタン酸バリウムをセラミック成分の主成分として含む誘電体グリーンシートを準備し、その表面にNiペーストを内部電極パターンとして印刷した。内部電極パターンが形成された誘電体グリーンシートを、あらかじめ準備したカバーシートの上に13層積層した。カバーシートには、特定金属を添加しなかった。引き続き圧着、カット、外電電極用の金属ペーストの塗布、焼成を行い、積層セラミックコンデンサ素子を得た。
(実施例1)
所定厚さの1/10の厚さのカバーシートを10枚準備し、所望の傾斜組成となるように、シートごとに量の異なるFeを添加した。この10枚を順に積層した。積層時に最も内部電極に近くなるカバーシートのFe添加量が最も多く、徐々にFe添加量が少なくなるように、各カバーシートを積層した。積層した10枚のカバーシートを、1枚のカバーシートとした。当該カバーシートの表面に、内部電極パターンが印刷された誘電体グリーンシートを13層積層した。その他の工程は、比較例1と同じとした。
(実施例2)
所定厚さの1/10の厚さのカバーシートを10枚準備し、所望の傾斜組成となるように、シートごとに量の異なるAuを添加した。この10枚を順に積層した。積層時に最も内部電極に近くなるカバーシートのAu添加量が最も多く、徐々にAu添加量が少なくなるように、各カバーシートを積層した。積層した10枚のカバーシートを、1枚のカバーシートとした。当該カバーシートの表面に、内部電極パターンが印刷された誘電体グリーンシートを13層積層した。その他の工程は、比較例1と同じとした。
(実施例3)
所定厚さの1/10の厚さのカバーシートを10枚準備し、所望の傾斜組成となるように、シートごとに量の異なるCrを添加した。この10枚を順に積層した。積層時に最も内部電極に近くなるカバーシートのCr添加量が最も多く、徐々にCr添加量が少なくなるように、各カバーシートを積層した。積層した10枚のカバーシートを、1枚のカバーシートとした。当該カバーシートの表面に、内部電極パターンが印刷された誘電体グリーンシートを13層積層した。その他の工程は、比較例1と同じとした。
(実施例4)
所定厚さの1/10の厚さのカバーシートを10枚準備し、所望の傾斜組成となるように、シートごとに量の異なるInを添加した。この10枚を順に積層した。積層時に最も内部電極に近くなるカバーシートのIn添加量が最も多く、徐々にIn添加量が少なくなるように、各カバーシートを積層した。積層した10枚のカバーシートを、1枚のカバーシートとした。当該カバーシートの表面に、内部電極パターンが印刷された誘電体グリーンシートを13層積層した。その他の工程は、比較例1と同じとした。
(比較例2)
所定厚さの1/10の厚さのカバーシートを10枚準備し、傾斜組成とならないように、シートごとの量を同じにしたFeを添加した。この10枚を順に積層し、1枚のカバーシートとした。当該カバーシートの表面に、内部電極パターンが印刷された誘電体グリーンシートを13層積層した。各カバーシートにおけるFeの添加量を実施例1よりも多くした。その他の工程は、比較例1と同じとした。
(比較例3)
所定厚さの1/10の厚さのカバーシートを10枚準備し、傾斜組成とならないように、シートごとの量が同じにしたCrを添加した。この10枚を順に積層し、1枚のカバーシートとした。当該カバーシートの表面に、内部電極パターンが印刷された誘電体グリーンシートを13層積層した。各カバーシートにおけるCrの添加量を実施例3よりも多くした。その他の工程は、比較例1と同じとした。
実施例1~4および比較例2,3のそれぞれについて、カバー層における特定金属のモル濃度AおよびNiのモル濃度Bを、LA-ICPを用いて測定した。測定点の間隔は、1000nmとした。比較例1については、カバーシートに特定金属を添加しなかったため、モル濃度Aおよびモル濃度Bのいずれについても測定しなかった。実施例1~4および比較例2,3のいずれにおいても、カバー層において、容量領域から離れるにつれて特定金属の濃度が徐々に低下した。
実施例1では、特定金属のモル濃度Aの最小値は0.01at%であり、モル濃度Aの最大値は2at%であり、A/B比の最小値は0.8であり、A/B比の最大値は3であった。実施例2では、特定金属のモル濃度Aの最小値は0.0001at%であり、モル濃度Aの最大値は0.004at%であり、A/B比の最小値は0.001であり、A/B比の最大値は0.1であった。実施例3では、特定金属のモル濃度Aの最小値は0.002at%であり、モル濃度Aの最大値は0.03at%であり、A/B比の最小値は0.005であり、A/B比の最大値は0.2であった。実施例4では、特定金属のモル濃度Aの最小値は0.2at%であり、モル濃度Aの最大値は0.3at%であり、A/B比の最小値は0.1であり、A/B比の最大値は10であった。比較例2では、特定金属のモル濃度Aは外周層の全域で0.3at%であり、A/B比の最小値は0.06であり、A/B比の最大値は300であった。比較例3では、特定金属のモル濃度Aは外周層の全域で0.2at%であり、A/B比の最小値は0.04であり、A/B比の最大値は200であった。結果を表2に示す。
Figure 2023063887000003
実施例1~4および比較例1~3のそれぞれについて、耐湿信頼性を調べた。具体的には、耐湿負荷試験を行なった。500時間の試験時間をクリアすれば、耐湿信頼性が良好「〇」であると判定した。500時間の試験時間以前に故障に至れば、耐湿信頼性が不良「×」であると判定した。実施例1~4のいずれにおいても耐湿信頼性が良好「〇」であると判定された。これは、特定金属の濃度が、外周層において容量領域側から外側に向かって漸減する構成が得られたからであると考えられる。比較例1では、耐湿信頼性が不良「×」であると判定された。これは、外周層に特定金属を添加しなかったからであると考えられる。
実施例1~4および比較例1~3のそれぞれについて、容量特性を調べた。具体的には、LCRメータを用いた容量測定を行なった。設計容量となっていれば、容量特性が良好「〇」であると判定した。設計容量に満たなければ、容量特性が不良「×」であると判定した。実施例1~4のいずれにおいても容量特性が良好「〇」と判定された。これは、実施例1~4において、モル濃度Aが適切な範囲にある構成が得られたからであると考えられる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 積層チップ
11 誘電体層
12 内部電極層
13 カバー層
14 容量領域
15 エンドマージン
16 サイドマージン
17 ポア
20a,20b 外部電極
51 基材
52 誘電体グリーンシート
53 内部電極パターン
60 外周層
100 積層セラミックコンデンサ

Claims (12)

  1. ペロブスカイト構造を有するセラミックを主成分とする誘電体層と、Niを主成分とする内部電極層と、が交互に積層された積層部分を含み、略直方体形状を有し、積層された複数の前記内部電極層が、対向する2端面に交互に露出するように形成された積層構造と、
    前記積層構造の積層方向の上面および下面の少なくともいずれか一方に設けられ、ペロブスカイト構造を有するセラミックを主成分とするカバー層と、を備え、
    前記積層構造は、積層された複数の前記内部電極層が前記2端面以外の2側面に延びた端部を覆うように設けられ、かつペロブスカイト構造を有するセラミックを主成分とするサイドマージンを備え、
    前記カバー層および前記サイドマージンのうち、少なくともいずれかの領域において、Ag、As、Au、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、Ge、In、Ir、Mo、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Se、Sn、Te、WおよびZnの少なくとも1種以上の特定金属の濃度が、前記積層部分側から外側に向かって、漸減することを特徴とするセラミック電子部品。
  2. 前記特定金属がAu、Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合に、前記特定金属のモル濃度が0.00001at%以上、0.1at%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  3. 前記特定金属がAu、Bi、Ir、Os、Pd、Pt、Rh、およびRuの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、同じ測定点における前記特定金属のモル濃度/Niのモル濃度の比が、0.0001以上、1以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  4. 前記特定金属がCr、Ag、およびCuの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合に、前記特定金属のモル濃度が、0.0001at%以上、1at%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  5. 前記特定金属がCr、Ag、およびCuの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、同じ測定点における前記特定金属のモル濃度/Niのモル濃度の比が、0.0005以上、5以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  6. 前記特定金属がFe、Ge、Sn、およびCoの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合に、前記特定金属の濃度が、0.001at%以上、20at%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  7. 前記特定金属がFe、Ge、Sn、およびCoの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、同じ測定点における前記特定金属のモル濃度/Niのモル濃度の比が、0.05以上50以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  8. 前記特定金属がIn、As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合に、前記特定金属の濃度が、0.01at%以上、5at%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  9. 前記特定金属がIn、As、Mo、Re、Se、Te、W、およびZnの少なくともいずれかである場合には、前記領域において、同じ測定点における前記特定金属のモル濃度/Niのモル濃度の比が、0.01以上100以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  10. 前記領域において、前記特定金属のモル濃度の上限/下限の比が、1以上、100000以下であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
  11. 前記領域の厚みは、10μm以上、50μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
  12. 前記領域の主成分セラミックは、チタン酸バリウムであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
JP2021173947A 2021-10-25 2021-10-25 セラミック電子部品 Pending JP2023063887A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021173947A JP2023063887A (ja) 2021-10-25 2021-10-25 セラミック電子部品
US17/944,567 US20230128407A1 (en) 2021-10-25 2022-09-14 Ceramic electronic device
CN202211326253.9A CN116031068A (zh) 2021-10-25 2022-10-25 陶瓷电子器件

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021173947A JP2023063887A (ja) 2021-10-25 2021-10-25 セラミック電子部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023063887A true JP2023063887A (ja) 2023-05-10

Family

ID=86056588

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021173947A Pending JP2023063887A (ja) 2021-10-25 2021-10-25 セラミック電子部品

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20230128407A1 (ja)
JP (1) JP2023063887A (ja)
CN (1) CN116031068A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022183751A (ja) * 2021-05-31 2022-12-13 太陽誘電株式会社 セラミック電子部品

Also Published As

Publication number Publication date
US20230128407A1 (en) 2023-04-27
CN116031068A (zh) 2023-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7290914B2 (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法
JP7348890B2 (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
JP2019029422A (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP7131955B2 (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP7274372B2 (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
JP7186014B2 (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2018195672A (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2012169620A (ja) 積層セラミック電子部品及びその製造方法
JP2018041814A (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP5838968B2 (ja) 誘電体セラミック、積層セラミック電子部品、およびこれらの製造方法
JP2022157148A (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
TW202318452A (zh) 陶瓷電子零件及其製造方法
WO2012023406A1 (ja) 積層セラミック電子部品
US20080226927A1 (en) Dielectric ceramics and multilayer ceramic capacitor
JP7037945B2 (ja) セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2018139253A (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2023063887A (ja) セラミック電子部品
US11557432B2 (en) Ceramic electronic device, circuit substrate and manufacturing method of ceramic electronic device
JP7427460B2 (ja) セラミック電子部品、回路基板、およびセラミック電子部品の製造方法
JP2022088409A (ja) セラミックコンデンサ
JP2007258477A (ja) 積層型電子部品およびその製造方法
JP7169069B2 (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2022154959A (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
JP2021136375A (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
JP2021082644A (ja) セラミック電子部品の製造方法