JP2023062580A - ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物及び熱伝導性フィラーを含有する組成物 - Google Patents

ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物及び熱伝導性フィラーを含有する組成物 Download PDF

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Yuki Nakamura
直樹 古川
Naoki Furukawa
望 松原
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Abstract

【課題】低粘度の組成物であって、高破断強度の硬化物を得ることが可能な組成物を提供すること。【解決手段】下記式(1)で表される化合物を含む重合性成分と、熱伝導性フィラーと、を含有し、TIFF2023062580000026.tif32149[式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R13はポリオキシアルキレン鎖を有する2価の基を表す。]熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤が化学吸着している、組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物及び熱伝導性フィラーを含有する組成物に関する。
プロセッサ、パワーモジュール等の電子部品、電気自動車用のバッテリー等においては、使用中に発熱を伴う。このような部品を熱から保護するためには、生じた熱を効率よく放熱する手段が必要である。サーマルインターフェースマテリアル(TIM)と呼ばれる熱伝導性材料(放熱材と呼ばれることもある)は、熱源と、ヒートシンク等の放熱部材との間に設けられる材料であり、熱源及び放熱部材間の熱抵抗を低減し、熱源からの熱伝導を促す。熱源から生じた熱はTIMを介して冷却部材へ効率よく伝導するため、放熱部材から放熱されやすくなる。
熱伝導性材料には、用途(適用対象)等に応じて様々な特性が要求されることがあり、様々な材料の開発が進められている。例えば、特許文献1には、ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を二つ有する特定の化合物を含有する硬化性組成物の硬化物が伸びに優れること、及び当該硬化性組成物が熱伝導性フィラーを含有することにより、熱伝導性材料として好適に用いられることが記載されている。
国際公開第2021/107001号
本発明者らの検討によれば、重合性成分と熱伝導性フィラーとを含む組成物には、組成物が低粘度で取扱い性に優れるとともに、当該組成物の硬化物が破断強度に優れることが求められる場合がある。
そこで、本発明は、低粘度の組成物であって、高破断強度の硬化物を得ることが可能な組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を二つ有する特定の化合物と共に、カップリング剤により表面処理をした熱伝導性フィラーを用いることにより、低粘度の組成物であって、高破断強度の硬化物を得ることが可能な組成物が得られることを見出した。本発明は、いくつかの側面において、下記の[1]~[17]を提供する。
[1] 下記式(1)で表される化合物を含む重合性成分と、熱伝導性フィラーと、を含有し、
Figure 2023062580000001

[式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R13はポリオキシアルキレン鎖を有する2価の基を表す。]
熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤が化学吸着している、組成物。
[2] カップリング剤がシランカップリング剤を含む、[1]に記載の組成物。
[3] シランカップリング剤が(メタ)アクリロイル基を有する、[2]に記載の組成物。
[4] 熱伝導性フィラーが酸化アルミニウムを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] ポリオキシアルキレン鎖がオキシプロピレン基を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[7] ポリオキシアルキレン鎖が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む共重合鎖である、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[8] 共重合鎖がランダム共重合鎖である、[7]に記載の組成物。
[9] 式(1)で表される化合物の重量平均分子量が5000以上である、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数が100以上である、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 式(1)で表される化合物の25℃における粘度が1000Pa・s以下である、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] 組成物に含まれる鉄の含有量が、熱伝導性フィラー及びカップリング剤を除く組成物中の不揮発分全量を基準として80質量ppm以下である、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13] 重合性成分が、下記式(2)で表される化合物を更に含有する、[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
Figure 2023062580000002

[式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。R23は水素原子又はメチル基を表す。]
[14] 重合性成分が、下記式(3)で表される化合物を更に含有する、[1]~[13]のいずれかに記載の組成物。
Figure 2023062580000003

[式(3)中、R31及びR32はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R33はポリ(メタ)アクリレート鎖を有する2価の基を表す。]
[15] 熱伝導性フィラーをカップリング剤により処理する工程と、
処理後の熱伝導性フィラーと、下記式(1)で表される化合物を含む重合性成分とを混合する工程と、を備える、組成物の製造方法。
Figure 2023062580000004

[式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R13はポリオキシアルキレン鎖を有する2価の基を表す。]
[16] [1]~[14]のいずれかに記載の組成物の硬化物。
[17] 熱源と、熱源に熱的に接触している[16]に記載の硬化物と、を備える物品。
本発明によれば、低粘度の組成物であって、高破断強度の硬化物を得ることが可能な組成物を提供することができる。
物品の一実施形態を示す模式断面図である。 物品の他の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
本明細書における、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル」等の類似表現においても同様である。
本明細書における重量平均分子量(Mw)及び重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定され、ポリスチレンを標準物質として決定される値を意味する。
・測定機器:HLC-8320GPC(製品名、東ソー(株)製)
・分析カラム:TSKgel SuperMultipore HZ-H(3本連結)(製品名、東ソー(株)製)
・ガードカラム:TSKguardcolumn SuperMP(HZ)-H(製品名、東ソー(株)製)
・溶離液:THF
・測定温度:25℃
[組成物]
本発明の一実施形態に係る組成物は、下記式(1)で表される化合物を含む重合性成分を含有する。
Figure 2023062580000005

式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R13はポリオキシアルキレン鎖を有する2価の基を表す。
一実施形態において、R11及びR12の一方が水素原子であり、かつ他方がメチル基であってよく、他の一実施形態において、R11及びR12の両方が水素原子であってよく、他の一実施形態において、R11及びR12の両方がメチル基であってよい。
一実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖は、下記式(1a)で表される構造単位を含む。これにより、組成物の粘度の上昇を更に抑制しつつ、硬化物の強度(例えば、破断強度)を更に高めることができる。
Figure 2023062580000006
この場合、R13はポリオキシエチレン鎖を有する2価の基であってよく、式(1)で表される化合物は、好ましくは下記式(1-2)で表される化合物(ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート)である。
Figure 2023062580000007

式(1-2)中、R11及びR12は式(1)におけるR11及びR12とそれぞれ同義であり、mは2以上の整数である。
他の一実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖は、下記式(1b)で表される構造単位を含む。これにより、組成物の取扱いを更に容易にすることができる。
Figure 2023062580000008
この場合、R13はポリオキシプロピレン鎖を有する2価の基であってよく、式(1)で表される化合物は、好ましくは下記式(1-3)で表される化合物(ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート)である。
Figure 2023062580000009

式(1-3)中、R11及びR12は式(1)におけるR11及びR12とそれぞれ同義であり、nは2以上の整数である。
他の一実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖は、硬化物の強度と、組成物の取扱い性を両立させやすくする観点から、好ましくは、上述した、式(1a)で表される構造単位、及び式(1b)で表される構造単位を含む共重合鎖である。共重合鎖は、交互共重合鎖、ブロック共重合鎖、又はランダム共重合鎖のいずれであってもよい。共重合鎖は、式(1)で表される化合物の結晶性を更に低くし、組成物の取扱いを更に容易にできる観点から、好ましくはランダム共重合鎖である。
上述した各実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖は、式(1a)で表される構造単位及び式(1b)で表される構造単位以外に、オキシテトラメチレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基等の、炭素数4~5のオキシアルキレン基を構造単位として有していてもよい。
13は、上述したポリオキシアルキレン鎖に加えて、その他の有機基を更に有する2価の基であってもよい。その他の有機基は、ポリオキシアルキレン鎖以外の鎖状の基であってよく、例えば、メチレン鎖(-CH-を構造単位とする鎖)、ポリエステル鎖(-COO-を構造単位中に含む鎖)、ポリウレタン鎖(-OCON-を構造単位中に含む鎖)等であってよい。
例えば、式(1)で表される化合物は、下記式(1-4)で表される化合物であってもよい。
Figure 2023062580000010

式(1-4)中、R11及びR12は式(1)におけるR11及びR12とそれぞれ同義であり、R14及びR15は、それぞれ独立に炭素数2~5のアルキレン基であり、k1、k2及びk3はそれぞれ独立に2以上の整数である。k2は、例えば16以下の整数であってよい。
複数存在するR14及びR15は、それぞれ、互いに同一であってよく、互いに異なっていてもよい。複数存在するR14及びR15は、それぞれ、好ましくは、エチレン基及びプロピレン基を含む。すなわち、(R14O)k1で表されるポリオキシアルキレン鎖、及び(R15O)k3で表されるポリオキシアルキレン鎖は、それぞれ、好ましくは、オキシエチレン基(上記式(1a)で表される構造単位)、及びオキシプロピレン基(上記式(1b)で表される構造単位)を含む共重合鎖である。
上述した各実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数は、好ましくは100以上である。ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数が100以上であると、式(1)で表される化合物の主鎖が長くなることにより、硬化物の伸びが優れ、硬化物の強度を更に高めることができる。オキシアルキレン基の数は、式(1-2)におけるm、式(1-3)におけるn、式(1-4)におけるk1及びk3のそれぞれに相当する。
ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数は、より好ましくは、130以上、180以上、200以上、220以上、250以上、270以上、300以上、又は320以上である。ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数は、600以下、570以下、又は530以下であってよい。
式(1)で表される化合物の重量平均分子量は、硬化物がより低弾性で伸びに優れる観点から、好ましくは、5000以上、6000以上、7000以上、8000以上、9000以上、10000以上、11000以上、12000以上、13000以上、14000以上、又は15000以上である。式(1)で表される化合物の重量平均分子量は、組成物の粘度を調整しやすくする観点から、好ましくは、100000以下、80000以下、60000以下、34000以下、31000以下、又は28000以下である。
式(1)で表される化合物は、25℃で液状であってよい。この場合、式(1)で表される化合物の25℃における粘度は、組成物を塗布面に対して塗布しやすくする観点、硬化物の塗布面に対する密着性を高める観点から、好ましくは、1000Pa・s以下、800Pa・s以下、600Pa・s以下、500Pa・s以下、350Pa・s以下、300Pa・s以下、又は200Pa・s以下である。式(1)で表される化合物の25℃における粘度は、0.1Pa・s以上、0.2Pa・s以上、0.3Pa・s以上、1Pa・s以上、2Pa・s以上、又は3Pa・s以上であってよい。
式(1)で表される化合物は、25℃で固体状であってもよい。この場合、組成物の取扱い性を向上させる観点から、式(1)で表される化合物は、好ましくは、50℃で液状である。また、この場合、式(1)で表される化合物の50℃における粘度は、組成物の取扱い性を更に向上させる観点から、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下、更に好ましくは30Pa・s以下、特に好ましくは20Pa・s以下である。式(1)で表される化合物の50℃における粘度は、0.1Pa・s以上、0.2Pa・s以上、又は0.3Pa・s以上であってよい。
本明細書において、粘度は、JIS Z8803に基づいて測定された値を意味し、具体的には、E型粘度計(例えば、東機産業(株)製、PE-80L)により測定された値を意味する。なお、粘度計の校正は、JIS Z8809-JS14000に基づいて行うことができる。式(1)で表される化合物の粘度は、当該化合物の重量平均分子量を調整することにより調整することができる。
式(1)で表される化合物の含有量は、硬化物がより伸びに優れる観点から、組成物全量を基準として、好ましくは、1質量%以上、1.3質量%以上、1.5質量%以上、又は1.7質量%以上であり、例えば、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、又は2質量%以下であってよい。
重合性成分は、重合性化合物として、式(1)で表される化合物に加えて、式(2)で表される化合物を更に含んでいてもよく、式(3)で表される化合物を更に含んでいてもよく、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物及び式(3)で表される化合物以外の他の重合性化合物を更に含んでいてもよい(詳細は後述する)。式(1)で表される化合物の含有量は、硬化物がより伸びに優れる観点から、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、式(3)で表される化合物及び他の重合性化合物の合計(以下、「重合性成分の含有量の合計」という)100質量部に対して、好ましくは、5質量部以上、7質量部以上、10質量部以上、又は12質量部以上であり、例えば、60質量部以下、55質量部以下、50質量部以下、45質量部以下、又は40質量部以下であってよい。
重合性成分は、下記式(2)で表される化合物を更に含んでいてもよい。この場合、硬化物の耐熱性が向上する。
Figure 2023062580000011

式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。R23は、水素原子又はメチル基を表す。
一実施形態において、R21及びR22の一方が水素原子であり、かつ他方が1価の有機基であってよく、他の一実施形態において、R21及びR22の両方が水素原子であってよく、他の一実施形態において、R21及びR22の両方が、互いに結合して環を形成していてもよい1価の有機基であってよい。
21及びR22が互いに結合して環を形成していない場合、1価の有機基は、例えば、1価の炭化水素基であってよく、アルキル基であってよい。1価の炭化水素基(アルキル基)の炭素数は、例えば、1以上であってよく、6以下であってよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。R21及びR22が互いに結合して環を形成していない場合の式(2)で表される化合物の例としては、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、及びジイソプロピルアクリルアミドが挙げられる。
21及びR22は、好ましくは、互いに結合して環を形成している。この場合、当該環は、例えば、5員環、6員環、又は7員環であってよく、好ましくは6員環である。当該環は、窒素原子とR21及びR22で表される基とで形成されており、当該窒素原子以外に、炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子等を含んでいてよく、好ましくは、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみを含んでいる。すなわち、R21及びR22で表される基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子等を含む基であってよく、好ましくは、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみを含む基であってよい。R21及びR22が互いに結合して環を形成している場合の式(2)で表される化合物の例としては、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルチオモルホリン、N-アクリロイルオキサゾリン、N-アクリロイルチアゾリジン、N-アクリロイルイミダゾリジン、N-(メタ)アクリロイルピペラジン、N-ビニルピロリドン、及びN-ビニルカプロラクタムが挙げられる。
式(2)で表される化合物の含有量は、硬化物がより耐熱性に優れる観点から、組成物全量を基準として、好ましくは、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、又は1質量%以上であり、例えば、2質量%以下、1.5質量%以下、1.3質量%以下、又は1質量%以下であってよい。
式(2)で表される化合物の含有量は、硬化物がより耐熱性に優れる観点から、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、好ましくは、1質量部以上、2質量部以上、又は3質量部以上であり、例えば、30質量部以下、25質量部以下、20質量部以下、15質量部以下、10質量部以下、又は5質量部以下であってよい。
重合性成分は、下記式(3)で表される化合物を更に含んでいてもよい。この場合、硬化物の耐熱性が向上する。
Figure 2023062580000012

式(3)中、R31及びR32はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R33はポリ(メタ)アクリレート鎖を有する2価の基を表す。
一実施形態において、R31及びR32の一方が水素原子であり、かつ他方がメチル基であってよく、他の一実施形態において、R31及びR32の両方が水素原子であってよく、他の一実施形態において、R31及びR32の両方がメチル基であってよい。
ポリ(メタ)アクリレート鎖は、下記式(3a)で表される構造単位を含む。
Figure 2023062580000013

式(3a)中、R34は水素原子又は1価の有機基を表し、R35は水素原子又はメチル基を表す。
34で表される1価の有機基は、例えば、炭化水素基であってよく、酸素原子、窒素原子等を有する有機基であってもよい。炭化水素基は、鎖状であってよく、環(例えば芳香族環)を有していてもよい。炭化水素基の炭素数は、例えば、1以上であってよく、18以下であってよい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルへプチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、フェニル基、トルイル基、及びベンジル基が挙げられる。
酸素原子を有する有機基としては、アルコキシ基を有する基、ヒドロキシル基を有する基、カルボキシル基を有する基、及びグリシジル基を有する基が挙げられる。酸素原子を有する有機基としては、例えば、2-メトキシエチル基、3-メトキシブチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、4―ヒドロキシブチル基、カルボキシル基、グリシジル基が挙げられる。窒素原子を有する有機基としては、例えばアミノ基、ニトリル基を有する基が挙げられる。窒素原子を有する有機基としては、例えば2-アミノエチル基、ニトリル基が挙げられる。R24で表される1価の有機基は、一実施形態において、極性基を有する基であってよく、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する基であってよい。
例えば、式(3)で表される化合物は、下記式(3-2)で表される化合物であってもよい。
Figure 2023062580000014

式(3-2)中、R31及びR32は式(3)におけるR31及びR32とそれぞれ同義であり、R34及びR35は式(3a)におけるR34及びR35と同義であり、aは2以上の整数である。
式(3)で表される化合物の重量平均分子量は、好ましくは、3000以上、4000以上、5000以上、6000以上、7000以上、8000以上、9000以上、10000以上、11000以上、12000以上、又は13000以上である。式(3)で表される化合物の重量平均分子量は、組成物の粘度を調整しやすくする観点から、好ましくは、100000以下、80000以下、60000以下、34000以下、31000以下、又は28000以下である。式(3a)中のaは、式(3)で表される化合物の重量平均分子量が上記のような範囲となるような整数であってよい。
式(3)で表される化合物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは、1.4以下又は1.2以下である。
式(3)で表される化合物は、23℃で液状であってよい。この場合、式(3)で表される化合物の23℃における粘度は、組成物を塗布面に対して塗布しやすくする観点、硬化物の塗布面に対する密着性を高める観点から、1000Pa・s以下、800Pa・s以下、700Pa・s以下、600Pa・s以下、又は550Pa・s以下である。式(3)で表される化合物の25℃における粘度は、5Pa・s以上、10Pa・s以上、15Pa・s以上、20Pa・s以上、25Pa・s以上、30Pa・s以上、又は35Pa・s以上であってよい。
式(3)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は、0℃以下、-10℃以下、又は-30℃以下であってよく、-60℃以上、-50℃以上、又は-40℃以上であってよい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定により測定された値を意味する。
式(3)で表される化合物の含有量は、硬化物がより耐熱性に優れる観点から、組成物全量を基準として、好ましくは、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、又は0.7質量%以上であり、例えば、3質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下であってよい。
式(3)で表される化合物の含有量は、硬化物がより耐熱性に優れる観点から、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、好ましくは、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、又は7質量部以上であり、例えば、40質量部以下、20質量部以下、又は10質量部以下であってよい。
式(3)で表される化合物の含有量に対する式(1)で表される化合物の含有量の質量比(式(1)で表される化合物の含有量(質量)/式(3)で表される化合物の含有量(質量))は、硬化物がより伸びに優れる観点から、好ましくは、1以上、1.2以上、1.4以上、1.8以上、又は2.2以上であり、硬化物がより耐熱性に優れる観点から、好ましくは、6以下、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下、2.8以下、又は2.4以下である。
重合性成分は、組成物の物性を調整すること等を目的として、上述した式(1)で表される化合物と共重合可能な、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物及び式(3)で表される化合物以外の他の重合性化合物を更に含有してもよい。
他の重合性化合物は、例えば、式(2)で表される化合物以外の(メタ)アクリロイル基を一つ有する化合物であってもよい。当該化合物は、例えば、アルキル(メタ)アクリレートであってよい。他の重合性化合物は、一つの(メタ)アクリロイル基に加えて、芳香族炭化水素基、ポリオキシアルキレン鎖を含む基、ヘテロ環を含む基、アルコキシ基、フェノキシ基、シラン基を含む基、シロキサン結合を含む基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はエポキシ基を有する化合物であってもよい。特に、組成物がアルキル(メタ)アクリレートを含有することにより、組成物の粘度を調整することができる。また、組成物が、(メタ)アクリロイル基に加えて、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はエポキシ基を有する化合物を含有することにより、組成物及びその硬化物の部材に対する密着性を更に向上できる。
アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基((メタ)アクリロイル基以外のアルキル基部分)は、直鎖状であっても分岐状であっても脂環式であってもよい。アルキル基の炭素数は、例えば、1~30であってよい。アルキル基の炭素数は、1~11、1~8、1~6、又は1~4であってよく、12~30、12~28、12~24、12~22、12~18、又は12~14であってもよい。
直鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、又はウンデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1~11の直鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート(セチル(メタ)アクリレート)、オクタデシル(メタ)アクリレート(ステアリル(メタ)アクリレート)、ドコシル(メタ)アクリレート(ベヘニル(メタ)アクリレート)、テトラコシル(メタ)アクリレート、ヘキサコシル(メタ)アクリレート、オクタコシル(メタ)アクリレート等の炭素数12~30の直鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
分岐状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1~11の分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、デシルテトラデカニル(メタ)アクリレート等の炭素数12~30の分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂環式であるアルキル基(シクロアルキル基)を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テルペン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及び芳香族炭化水素基を有する化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基、及びポリオキシアルキレン鎖を含む基を有する化合物としては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基、及びヘテロ環を含む基を有する化合物としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及びアルコキシ基を有する化合物としては、2-メトキシエチルアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及びフェノキシ基を有する化合物としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基、及びシラン基を含む基を有する化合物としては、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基、及びシロキサン結合を含む基を有する化合物としては、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及びハロゲン原子を有する化合物としては、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロトリデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロテトラデシルメチル(メタ)アクリレート、2-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロエチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロプロピル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロペンチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘプチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロノニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロトリデシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロテトラデシル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及びヒドロキシル基を有する化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(例えば、東亞合成(株)製「アロニックスM5400」)、及び2-アクリロイルオキシエチルサクシネート(例えば、新中村化学株式会社製「NKエステル A-SA」)等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物としては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α-n-プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α-n-ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸-4,5-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、α-エチル(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸-4-メチル-4,5-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-5-メチル-5,6-エポキシヘキシル、(メタ)アクリル酸-β-メチルグリシジル、α-エチル(メタ)アクリル酸-β-メチルグリシジル等が挙げられる。
他の重合性化合物の含有量は、組成物の粘度を調整しやすくする観点、又は組成物の密着性をより高める観点から、組成物全量を基準として、好ましくは、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上であり、例えば、10質量%以下、8質量%以下、又は6質量%以下であってよい。
他の重合性化合物の含有量は、組成物の粘度を調整しやすくする観点、又は組成物の密着性をより高める観点から、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、好ましくは、30質量部以上、40質量部以上、50質量部以上、55質量部以上、又は60質量部以上であり、例えば、90質量部以下、80質量部以下、又は70質量部以下であってよい。
組成物は、重合開始剤を更に含有してもよい。重合開始剤は、例えば、熱によりラジカルを発生させる熱重合開始剤、光によりラジカルを発生させる光重合開始剤等であってよい。重合開始剤は、好ましくは熱重合開始剤である。
組成物が熱重合開始剤を含有する場合、組成物に熱を加えることにより、組成物の硬化物を得ることができる。この場合、組成物は、好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは115℃以上での加熱によって硬化させる組成物であってよく、例えば、200℃以下、190℃以下、又は180℃以下での加熱によって硬化させる組成物であってもよい。組成物を加熱する際の加熱時間は、組成物が好適に硬化するように、組成物の組成に応じて適宜選択されてよい。
熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン-1-カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-へキシルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物などが挙げられる。熱重合開始剤は、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
組成物が光重合開始剤を含有する場合、例えば、光(例えば200~400nmの少なくとも一部の波長を含む光(紫外光))を組成物に照射することにより、組成物の硬化物を得ることができる。光照射の条件は、光重合開始剤の種類により適宜設定されてよい。
光重合開始剤は、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等であってよい。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(例えば、BASF社製「イルガキュア651」)、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、BASF社製「イルガキュア184」)、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(例えば、BASF社製「イルガキュア2959」)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(例えば、BASF社製「イルガキュア1173」)、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。
α-ケトール系光重合開始剤としては、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンゾイン等が挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、ベンジル等が挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
アシルフォスフィン系光重合開始剤としては、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-n-ブチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-t-ブチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキサイド、ビス(2-メトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2-メトキシベンゾイル)(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジエトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジエトキシベンゾイル)(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジブトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,4-ジメトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)(2,4-ジペントキシフェニル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルプロピルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルエチルホスフィンオキサイド、2,6-ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキサイド、2,6-ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジイソプロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2-メチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-4-メチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジエチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,3,5,6-テトラメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジ-n-ブトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキサイド、2,6-ジメチトキシベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル-n-ブチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジブトキシフェニルホスフィンオキサイド、1,10-ビス[ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド]デカン、トリ(2-メチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
上述した光重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
重合開始剤の含有量は、重合を好適に進行させる観点から、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、特に好ましくは0.5質量部以上である。重合開始剤の含有量は、組成物の硬化物における重合体の分子量が好適な範囲になると共に、分解生成物を抑制する観点から、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
一実施形態において、組成物は、熱伝導性フィラーを含有する。熱伝導性フィラーは、熱伝導率が10W/m・K以上のフィラーである。熱伝導性フィラーは、絶縁性であってよく、導電性であってもよく、好ましくは絶縁性のフィラーである。絶縁性の熱伝導性フィラーを構成する材料としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。導電性の熱伝導性フィラーを構成する材料としては、アルミニウム、銀、銅等が挙げられる。熱伝導性フィラーは、好ましくは酸化アルミニウム(アルミナ)を含む。熱伝導性フィラーの形状は、球状であってよく、多面体であってもよい。
熱伝導性フィラーの平均粒径は、組成物の硬化物を薄く配置できる観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下であり、0.05μm以上、0.1μm以上、又は0.3μm以上であってよい。熱伝導性フィラーの平均粒径は、体積累積粒度分布が50%となる粒子径(D50)を意味し、レーザ回折式粒子径分布測定装置(例えばSALD-2300((株)島津製作所製)を用いて測定される。
熱伝導性フィラーの含有量は、組成物の熱伝導性を高める観点から、組成物全量を基準として、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上であり、97質量%以下、95質量%以下、又は93質量%以下であってよい。
熱伝導性フィラーの含有量は、組成物の熱伝導性を高める観点から、組成物の全体積を基準として、好ましくは65体積%以上であり、より好ましくは70体積%以上であり、更に好ましくは75体積%以上であり、90体積%以下、88体積%以下、又は85体積%以下であってよい。
本実施形態に係る組成物において、熱伝導性フィラーの表面には、カップリング剤が化学吸着している。つまり、本実施形態に係る組成物は、熱伝導性フィラーの表面に化学吸着したカップリング剤を含有する。熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤が化学吸着していることは、熱伝導性フィラーのIR測定(拡散反射法)により確認することができる。具体的には、まず、組成物に溶剤(例えばメチルエチルケトン)を加え、重合性成分等の熱伝導性フィラー以外の成分を溶解した後、ろ過により熱伝導性フィラーを回収し、真空乾燥させる。このとき、熱伝導性フィラーの表面に化学吸着していない未反応のカップリング剤が反応することを防ぐため、100℃未満で乾燥させる。次に、乾燥させた熱伝導性フィラーを過剰のメチルエチルケトン(組成物に含まれる熱伝導性フィラーの40質量倍以上)に添加して攪拌し、12時間以上室温(20~30℃)で静置し、熱伝導性フィラーを沈降させた後、上澄み液(添加したメチルエチルケトンの90質量%以上)を取り除く。これにより、熱伝導性フィラーの表面に化学吸着していないカップリング剤は除去される。そして、熱伝導性フィラーを100℃のオーブンで乾燥させた後、熱伝導性フィラーのIR測定(拡散反射法)を行う。熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤が化学吸着している場合は、2800~3000cm-1の範囲にカップリング剤由来のメトキシ基、メチル基、メチレン鎖のピークが観測される。
カップリング剤は、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等であってよい。カップリング剤は、好ましくはシランカップリング剤である。シランカップリング剤は、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基等のアルコキシシリル基を有する化合物であってよい。シランカップリング剤は、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イミダゾール基等の有機官能基;炭素数1~10のアルキル基等を有していてよい。シランカップリング剤は、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する。上述したカップリング剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カップリング剤の含有量は、組成物の粘度を更に低減し、硬化物の破断強度を更に高める観点から、熱伝導性フィラーの含有量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、0.02質量部以上、又は0.025質量部以上である。また、カップリング剤の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは2質量部以下、1.5質量部以下、又は1質量部以下である。カップリング剤の含有量が多すぎると、カップリング剤が自己縮合しやすく、その結果硬化物の破断強度の過度な上昇、引張弾性率の上昇、及び破断伸び率の低下が引き起こされる可能性があるためである。
組成物は、可塑剤を更に含有することができる。組成物が可塑剤を含有することにより、組成物の密着性、及び硬化物の伸びを更に高めることができる。可塑剤としては、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、アクリル樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等のタッキファイヤー、又はポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
可塑剤の含有量は、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以上、又は3質量部以上であってよく、20質量部以下、15質量部以下、12質量部以下、又は10質量部以下であってよい。
組成物は、組成物の硬化物の熱的信頼性を向上させる観点から、酸化防止剤を更に含有してもよい。酸化防止剤は、例えば、フェノール系酸化防止剤、ベンゾフェノン系酸化防止剤、ベンゾエート系酸化防止剤、ヒンダートアミン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤等であってよく、好ましくはフェノール系酸化防止剤である。
フェノール系酸化防止剤は、例えばヒンダードフェノール構造(ヒンダードフェノール環)を有している。ヒンダードフェノール構造(ヒンダードフェノール環)は、例えば、フェノール環における水酸基に対してオルト位の位置の一方又は両方にt-ブチル基が結合した構造であってよい。フェノール系酸化防止剤は、このようなヒンダードフェノール環を1個以上有しており、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上有している。
酸化防止剤の含有量は、組成物全量基準で、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよく、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、又は7質量%以下であってよい。
組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、表面処理剤(熱伝導性フィラーの表面に化学吸着しているカップリング剤を除く)、分散剤、硬化促進剤、着色剤、結晶核剤、熱安定剤、発泡剤、難燃剤、制振剤、脱水剤、難燃助剤(例えば金属酸化物)等が挙げられる。その他の添加剤の含有量は、組成物全量基準で、0.1質量%以上であってよく、30質量%以下であってよい。
硬化物の耐熱性を更に向上させる観点から、組成物に含まれる鉄の量は少ないことが好ましい。鉄は、例えば、熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤を化学吸着させる際に混入し得る。組成物に含まれる鉄の量は、熱伝導性フィラー及び熱伝導性フィラーの表面に化学吸着したカップリング剤を除く組成物中の不揮発分全量を基準として、好ましくは、80質量ppm以下、50質量ppm以下、又は30質量ppm以下である。重合性成分が上記式(2)で表される化合物及び上記式(3)で表される化合物を含まない場合、組成物に含まれる鉄の量は、熱伝導性フィラー及び熱伝導性フィラーの表面に化学吸着したカップリング剤を除く組成物中の不揮発分全量を基準として、好ましくは、35質量ppm以下、30質量ppm以下、又は25質量ppm以下である。なお、「不揮発分」とは、溶剤等の揮発する物質以外の成分であり、組成物を乾燥させた際に揮発せずに残る成分を意味する。
組成物に含まれる鉄の量は、ICP-OES法により、例えばAgilent 5100(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて測定される。具体的には、まず、メタノール/塩酸/純水=50/29.7/20.3(質量%)の配合比でメタノール/塩酸混合溶液を調製する。次に、スクリュー管に組成物を5g、メタノール/塩酸混合溶液を5g秤量し、マグネット攪拌子をいれる。その後、ウォーターバスを用いて50℃で1時間加熱攪拌して、組成物に含まれる鉄を溶かす。その後、3ml程度の上澄み液をシリンジで吸い出し、目開き0.2μmのフィルターでろ過し、ろ液に含まれる鉄の含有量をICP-OES法にて定量する。なお、上記と同様の方法により、組成物の硬化物に含まれる鉄の量も測定することができる。硬化物の場合は、硬化物をすりつぶして粉末状にした後、メタノール/塩酸混合溶液に鉄を溶解させればよい。
[組成物の製造方法]
組成物は、例えば、熱伝導性フィラーをカップリング剤により処理する工程(フィラー処理工程)と、フィラー処理工程により得られた処理後の熱伝導性フィラーと、上述した式(1)で表される化合物を含む重合性成分とを混合する工程(混合工程)と、を備える、組成物の製造方法により製造することができる。本発明の他の一実施形態は、このような組成物の製造方法である。
フィラー処理工程では、熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤を化学吸着させる。具体的には、例えば、まず、カップリング剤を加水分解させた液(加水分解処理液)を作製し、当該加水分解処理液を熱伝導性フィラーに加え、攪拌した後、熱伝導性フィラーを乾燥させ、必要に応じて粉砕し、分級することにより、処理後の熱伝導性フィラーを得る。なお、2種以上の熱伝導性フィラーを合わせて用いる場合には、加水分解処理液を加える前に、熱伝導性フィラーを均一に混合しておく。この工程によれば、熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤を化学吸着させることができる。
上述したとおり、熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤を化学吸着させる際に鉄が混入し得るため、フィラー処理工程において、組成物に含まれる鉄の量を調整する(低減させる)ことが好ましい。具体的には、例えば、フィラー処理工程において、プラネタリミキサー等の少ない回転数(例えば150rpm~500rpm)で攪拌可能なミキサーを使用すること、攪拌時間(特に、加水分解処理液を加えた後の攪拌時間)をできる限り短くすること、加水分解処理液の量をできる限り少なくすること等により機材の摩耗による鉄の混入量を低減すること;ミキサー、粉砕機等の機材を樹脂等によりコートし、機材が摩耗しても鉄が混入しにくいようにすること等が挙げられる。
フィラー処理工程における攪拌時間は、均一な攪拌ができる範囲で、できるだけ短くすることが好ましい。特に熱伝導性フィラーに加水分解処理液を加えた後は、熱伝導性フィラーが機材に付着しやすく、機材の摩耗による鉄の混入量が多くなるため、攪拌時間を短くすることが好ましい。2種以上の熱伝導性フィラーを混合する際の攪拌時間は、好ましくは7.5分~20分であり、より好ましくは7.5分~12.5分である。また、熱伝導性フィラーに加水分解処理液を加えた後の攪拌時間は、好ましくは7.5分~12.5分である。
フィラー処理工程で用いる加水分解処理液の量は、熱伝導性フィラーの量に対して少なすぎると、加水分解処理液が熱伝導性フィラー全体に均一に行き渡らず、また、熱伝導性フィラーの量に対して多すぎると、ダマが生じやすく、機材の摩耗による鉄の混入量が多くなるため、これらのバランスを取って調整することが好ましい。加水分解処理液の量は、熱伝導性フィラー100質量部に対して、好ましくは0.4質量部~0.8質量部である。
混合工程において、処理後の熱伝導性フィラーの添加量は、組成物における熱伝導性フィラーの含有量が、上述した組成物の全量又は全体積を基準とした含有量の範囲と同様となるように調整する。また、重合性成分における式(1)で表される化合物の含有量は、上述した重合性成分の含有量の合計を基準とした式(1)で表される化合物の含有量の範囲と同様であってよい。
重合性成分は、式(1)で表される化合物に加えて、上述した式(2)で表される化合物を含んでいてもよく、上述した式(3)で表される化合物を含んでいてもよく、上述した他の重合性化合物を含んでいてもよい。重合性成分の含有量の合計を基準としたこれらの成分の含有量は、上述したとおりであってよい。
混合工程は、処理後の熱伝導性フィラーと、式(1)で表される化合物を含む重合性成分に加えて、上述した重合開始剤、可塑剤、酸化防止剤、及びその他の添加剤からなる群より選択される1種以上を更に用いて混合する工程であってもよい。これらの成分の添加量は、上述した組成物全量を基準としたこれらの成分の含有量と同様であってよく、組成物における重合性成分の含有量の合計を基準としたこれらの成分の含有量と同様であってよい。
[組成物セット]
上述した組成物は、複数液型の組成物(組成物セット)の状態であってもよい。一実施形態に係る組成物セットは、酸化剤を含有する第一液と、還元剤を含有する第二液とを備える組成物セットである。第一液及び第二液の少なくとも一方は、上述した式(1)で表される化合物を含有する。また、第一液及び第二液の少なくとも一方は、上述した熱伝導性フィラーを含有する。上述したとおり、熱伝導性フィラーの表面には、カップリング剤が化学吸着している。第一液と第二液を混合することにより、酸化剤及び還元剤が反応して遊離ラジカルが発生し、式(1)で表される化合物を含む重合性成分の重合が進行する。本実施形態に係る組成物セットによれば、第一液と第二液を混合することにより、直ちに第一液と第二液との混合物の硬化物が得られる。すなわち、組成物セットによれば、速い速度で組成物の硬化物が得られる。
組成物セットにおいては、好ましくは、第一液が、酸化剤、式(1)で表される化合物及び熱伝導性フィラーを含有し、第二液が、還元剤、式(1)で表される化合物及び熱伝導性フィラーを含有する。
組成物セットを構成する液全量(例えば、二液型の組成物セットであれば、第一液及び第二液の合計量)を基準とした、式(1)で表される化合物の含有量は、上述した組成物の全量を基準とした式(1)で表される化合物の含有量の範囲と同様であってよい。組成物セットに含まれる熱伝導性フィラーの含有量は、上述した組成物の全量又は全体積を基準とした熱伝導性フィラーの含有量の範囲と同様であってよい。
第一液に含まれる酸化剤は、重合開始剤(ラジカル重合開始剤)としての役割を有する。酸化剤は、例えば、有機過酸化物又はアゾ化合物であってよい。有機過酸化物は、例えば、ハイドロパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド等であってよい。アゾ化合物は、AIBN(2、2’-アゾビスイソブチロニトリル)、V-65(アゾビスジメチルバレロニトリル)等であってよい。酸化剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルへキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロへキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-へキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルへキサノネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1-シクロへキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-へキシルパーオキシ-2-エチルへキサノネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルへキサノネート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロへキサン、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルへキサノネート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(m-トルオイルパーオキシ)へキサン、t-へキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、1,1-ビス(t-へキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロへキサン、1,1-ビス(t-へキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロへキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)へキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルへキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニツクパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
酸化剤は、貯蔵安定性の観点から、好ましくは過酸化物であり、より好ましくはハイドロパーオキサイドであり、更に好ましくはクメンハイドロパーオキサイドである。
酸化剤の含有量は、組成物セットを構成する液全量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上であってよく、10質量%以下、5質量%以下、又は3質量%以下であってよい。
第二液に含まれる還元剤は、例えば、第3級アミン、チオ尿素誘導体、遷移金属塩等であってよい。第3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。チオ尿素誘導体としては、2-メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素等が挙げられる。遷移金属塩としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、バナジルアセチルアセトネート等が挙げられる。還元剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
還元剤は、硬化速度に優れる観点から、好ましくは、チオ尿素誘導体又は遷移金属塩である。チオ尿素誘導体は、例えば、エチレンチオ尿素であってよい。同様の観点から、遷移金属塩は、好ましくはバナジルアセチルアセトネートである。
還元剤の含有量は、組成物セットを構成する液全量を基準として、0.05質量%以上、0.1質量%以上、又は0.3質量%以上であってよく、5質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下であってよい。
組成物セットは、上述した組成物に用いられ得る式(2)で表される化合物、式(3)で表される化合物、他の重合性化合物、及び添加剤を更に含有してもよい。これらの成分は、第一液及び第二液の一方又は両方に含まれていてもよく、第一液及び第二液とは異なる第三液に含まれていてもよい。組成物セットを構成する液全量を基準としたこれらの成分の含有量は、上述した組成物の全量を基準としたこれらの成分の含有量の範囲と同様であってよい。
硬化物の耐熱性を更に向上させる観点から、組成物セットに含まれる鉄の量は少ないことが好ましい。組成物セットに含まれる鉄の量は、上述した組成物における重合性成分の含有量の合計を基準とした鉄の含有量の範囲と同様であってよい。
上述した組成物及び組成物セットは低粘度であり、その硬化物は熱伝導性を有しており、高破断強度であるため、パワーモジュール、CPU、ECU等の電子部品、バッテリー、LED照明、LEDバックライトなどにおいて、熱伝導性材料(放熱材とも呼ばれる)として好適に用いられる。同様に、上述した組成物の硬化物、及び組成物セットの混合物の硬化物は、熱伝導性を有しており、高破断強度であるため、上記の各用途に好適である。組成物及び組成物セットが式(2)で表される化合物及び/又は式(3)で表される化合物を含む場合、その硬化物は高耐熱性であるため、上記の各用途に特に好適である。また、組成物及び組成物セットに含まれる鉄含有量が少ない場合は、その硬化物は高耐熱性であるため、上記の各用途に特に好適である。
[物品]
続いて、上述した組成物又は組成物セットの硬化物(以下、単に「硬化物」ともいう)を備える物品について説明する。一実施形態に係る物品は、熱源と、熱源に熱的に接触している硬化物と、を備える。以下、当該物品のより具体的な例として電子部品を例に挙げて説明する。図1は、硬化物を備える電子部品の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す電子部品1Aは、熱源としての半導体チップ21と、放熱部としてのヒートシンク22を備える。
電子部品1Aは、半導体チップ21とヒートシンク22との間に設けられた、硬化物11を備える。硬化物11は、上述した組成物の硬化物、又は組成物セットの混合物の硬化物である。
硬化物11は熱伝導性を有するため、電子部品1Aにおいて硬化物11が熱伝導性材料(サーマルインターフェースマテリアル)として働き、半導体チップ21からヒートシンク22へ熱が伝導する。そして、ヒートシンク22から熱が外部へ放熱される。
硬化物11は耐熱性に優れるため、熱による劣化が抑制される。したがって、半導体チップ21から生じる熱を効果的にヒートシンク22へ伝導させることができる。
硬化物11は、液状の組成物(組成物セット)を半導体チップ21及びヒートシンク22間に配置して、その後硬化することにより得ることもできる。そのため、液だれ及びポンプアウト現象によるボイドの発生を抑制することができ、結果として、硬化物11の密着性(半導体チップ21及びヒートシンク22の表面に対する密着性)を優れたものとすることができる。なお、組成物の硬化手段及び硬化条件は、組成物の組成、又は重合開始剤の種類により調整すればよい。
図1で説明した電子部品1Aでは、硬化物11が半導体チップ21とヒートシンク22に直接接するように配置されているが、硬化物11は熱源に熱的に接触していればよく、他の一実施形態では、他の部材を介して熱源(半導体チップ)に接するように配置されてもよい。
図2は、硬化物を備える電子部品の他の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示す電子部品1Bは、基板23の一面上に、アンダーフィル24を介して配置された熱源としての半導体チップ21と、放熱部としてのヒートシンク22と、半導体チップ21及びヒートシンク22の間に設けられたヒートスプレッダ25とを備えるプロセッサである。半導体チップ21及びヒートスプレッダ25の間には、半導体チップ21に接するように設けられた第1の硬化物11が設けられている。ヒートスプレッダ25及びヒートシンク22の間には、第2の硬化物11が設けられている。
基板23、アンダーフィル24、ヒートスプレッダ25は、当該技術分野において一般的に用いられる材料で形成されていてよい。例えば、基板23はラミネート基板等であってよく、アンダーフィル24はエポキシ樹脂等の樹脂などで形成されていてよく、ヒートスプレッダ25は金属板等であってよい。
第1の硬化物11及び第2の硬化物11は、上述した硬化性組成物の硬化物、又は上述した硬化性組成物セットの混合物の硬化物である。第1の硬化物11は熱源である半導体チップ21に直接接しているが、第2の硬化物11は、第1の硬化物11及びヒートスプレッダ25を介して、熱源である半導体チップ21に熱的に接している。
第1の硬化物11及び第2の硬化物11は熱伝導性を有するため、電子部品1Bにおいて熱伝導性材料(サーマルインターフェースマテリアル)として働く。すなわち、第1の硬化物11は、半導体チップ21からヒートスプレッダ25への熱伝導を促進する。また、第2の硬化物11は、ヒートスプレッダ25からヒートシンク22へ熱伝導を促進する。そして、ヒートシンク22から熱が外部へ放熱される。
第1の硬化物11及び第2の硬化物11も、耐熱性に優れるため、第1の硬化物11及び第2の硬化物11は、熱による劣化が抑制される。したがって、半導体チップ21から生じる熱を、より効果的にヒートスプレッダ25へ伝導させることができ、更には、ヒートシンク22へその熱をより効果的に伝導させることができる。
第1の硬化物11及び第2の硬化物11は、液状の組成物(組成物セット)を、半導体チップ21及びヒートスプレッダ25間、又はヒートスプレッダ25及びヒートシンク22間に配置して、その後硬化することにより得ることもできる。そのため、電子部品1Bにおいても、組成物(組成物セット)の液だれ及びポンプアウト現象によるボイドの発生を抑制することができ、結果として、第1の硬化物11及び第2の硬化物11の密着性(半導体チップ21、ヒートスプレッダ25及び/又はヒートシンク22の表面に対する密着性)を優れたものとすることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例では以下の各成分を用いた。
<重合性成分>
(A-1)下記に示す手順で合成された下記式(1-5)で表される化合物(重量平均分子量:16000、式(1-5)中のmが概ね246±5、nが概ね105±5の整数である混合物、25℃における粘度:55Pa・s)
Figure 2023062580000015

式(1-5)中、-r-はランダム共重合を表す符号である。
(A-2)下記式(2-2)で表されるN-アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ(株)製「ACMO」)
Figure 2023062580000016
(A-3)下記式(3-3)で表される化合物((株)カネカ製「RC200C」、重量平均分子量:18000、式(3-3)中のR31及びR32が水素原子又はメチル基であり、R34が極性基を有する基である化合物、23℃における粘度:530Pa・s、Tg:-39℃)
Figure 2023062580000017

(A-4)イソデシルアクリレート(日立化成(株)製「FA111A」)
(A-5)4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
(A-6)2-アクリロイルオキシエチルサクシネート(新中村工業(株)製「NKエステル A-SA」)
<熱伝導性フィラー>
熱伝導性フィラーとして、下記(b-1)~(b-4)を、質量比が(b-1):(b-2):(b-3):(b-4)=33:33:24:10となるように混合したもの(熱伝導性フィラー(b)と呼ぶ)を用いた。
(b-1)アルミナ製フィラー(昭和電工(株)製「アルミナビーズ CB-A30S」)
(b-2)アルミナ製フィラー(住友化学(株)製「アドバンストアルミナ AA-18」)
(b-3)アルミナ製フィラー(住友化学(株)製「アドバンストアルミナ AA-3」)
(b-4)アルミナ製フィラー(住友化学(株)製「アドバンストアルミナ AA-04」)
<カップリング剤>
(C-1)下記式(4-1)で表されるシランカップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-5803」)
Figure 2023062580000018

(C-2)下記式(4-2)で表されるシランカップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM3103C」)
Figure 2023062580000019
<その他の成分>
(D-1)可塑剤(荒川化学工業(株)製「タッキファイヤーKE311」)
(D-2)可塑剤(荒川化学工業(株)製「タッキファイヤーPE590」)
(E)フェノール系酸化防止剤(BASFジャパン(株)製「Irganox1010」)
(F)熱重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド)
[式(1-5)で表される化合物の合成]
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、排出管及び加熱ジャケットから構成された500mLフラスコを反応器とし、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(分子量16000)240g、トルエン300gを反応器に加え、45℃、撹拌回転数250回/分で撹拌し、窒素を100mL/分で流し、30分撹拌した。その後、25℃に降温し、降温完了後、塩化アクリロイル2.9gを反応器に滴下し、30分撹拌した。その後、トリエチルアミン3.8gを滴下し、2時間撹拌した。その後、45℃に昇温し、2時間反応させた。反応液を濾過し、濾液を脱溶し、式(1-5)で表される化合物を得た。
[組成物及び硬化物の作製]
<比較例1、2>
上記熱伝導性フィラー(b)及び表1に示す量(熱伝導性フィラー100質量部に対する質量部)のカップリング剤(合計で79体積%(92.35質量%))と、表1に示す配合比の各成分(合計で7.65質量%)とを混合し、比較例1、2の組成物を得た。次に、組成物をそれぞれ10cm×10cm×0.2mmの型枠(SUS板製)に充填し、SUS板で上蓋をした後に135℃の条件で15分間加熱して硬化させることにより、厚さ0.2mmの組成物の硬化物を得た。
<実施例1~15>
まず、上記熱伝導性フィラー(b)と、表1、表2に示す種類及び量(熱伝導性フィラー100質量部に対する質量部)のカップリング剤を用いて、熱伝導性フィラー(b)の表面処理を行った。すなわち、実施例では、カップリング剤を重合性成分等と共に組成物に配合するのではなく、組成物を調製する前に、熱伝導性フィラー(b)の表面に予めカップリング剤を化学吸着させた。なお、表1、表2中の「カップリング剤の量」及び「加水分解処理液量」は、熱伝導性フィラー100質量部に対する量(質量部)を表す。
具体的には、10Lプラネタリミキサー(内壁、攪拌羽はステンレス製)に上記熱伝導性フィラー(b)を投入し、回転数200rpm~500rpmで10分間攪拌した後、後述する方法により調製したカップリング剤の加水分解処理液を表1、2に記載の量(熱伝導性フィラー100質量部に対する質量部)で投入し、回転数200rpm~500rpmで表1、表2に記載の時間(加水分解処理液を加えた後の攪拌時間)攪拌した。その後、バットに移し、オーブンにより120℃で8時間乾燥し、必要に応じて粉砕し(表1、表2の「粉砕工程の有無」の欄を参照)、分級することにより、表面処理後の熱伝導性フィラー(熱伝導性フィラー(B)と呼ぶ)を得た。なお、加水分解処理液の量、加水分解処理液を加えた後の攪拌時間、及び粉砕工程の有無が異なると、得られる組成物に含まれる鉄の量(熱伝導性フィラー及び熱伝導性フィラーの表面に化学吸着したカップリング剤を除く組成物中の不揮発分全量を基準とした量)も異なる。
0.1mol/Lの酢酸水/メタノール/カップリング剤(C-1)を38/56/6の質量比でビーカーに配合し、50℃で1時間攪拌混合した。得られた混合液を冷却した後、加水分解処理液量が表1、表2に記載の量となる量のメタノールと、カップリング剤(C-2)を用いる場合はカップリング剤(C-2)とを更に配合し、25℃で10分間攪拌混合して、加水分解処理液を作製した。カップリング剤の加水分解処理液は、作製後30分以内に熱伝導性フィラー(b)に添加した。
次に、得られた熱伝導性フィラー(B)79体積%(92.35質量%)と、表1及び表2に示す配合比の各成分(合計で7.65質量%)とを混合し、実施例1~15の各組成物を得た。得られた組成物をそれぞれ10cm×10cm×0.2mmの型枠(SUS板製)に充填し、SUS板で上蓋をした後に135℃の条件で15分間加熱して硬化させることにより、厚さ0.2mmの組成物の硬化物を得た。
[粘度]
JIS Z8803に基づき、E型粘度計(東機産業(株)製、PE-80L)を用いて各組成物の25℃における粘度を測定した。なお、測定に当たり、JIS Z8809-JS14000に基づいて粘度計の校正を行った。
[破断強度、引張弾性率及び破断伸び率の測定]
引っ張り試験機((株)島津製作所製「Autograph EZ-TEST EZ-S」)を用いて、硬化物の25℃における破断強度、引張弾性率及び破断伸び率を測定した。測定においては、0.2mm(厚さ)×5mm(幅)×30mm(長さ)の形状の硬化物について、チャック間距離20mm、引張速度5mm/分の条件で、JIS K7161に基づき測定した。
[耐熱性の評価]
上記で得られた硬化物を3cm×3cmに切断し、重量(初期重量)を測定した後、175℃の恒温槽に入れ、177時間後に取り出し、再度重量(177時間後重量)を測定した。下記式により重量減少量を求めた。
重量減少量(%)=(177時間後重量/初期重量)×100
比較例1~2及び実施例1~15の組成物について、各物性の測定結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023062580000020
Figure 2023062580000021
1A、1B…電子部品、11…組成物の硬化物、21…半導体チップ(熱源)、22…ヒートシンク、23…基板、24…アンダーフィル、25…ヒートスプレッダ。

Claims (17)

  1. 下記式(1)で表される化合物を含む重合性成分と、熱伝導性フィラーと、を含有し、
    Figure 2023062580000022

    [式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R13はポリオキシアルキレン鎖を有する2価の基を表す。]
    前記熱伝導性フィラーの表面にカップリング剤が化学吸着している、組成物。
  2. 前記カップリング剤がシランカップリング剤を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記シランカップリング剤が(メタ)アクリロイル基を有する、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記熱伝導性フィラーが酸化アルミニウムを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記ポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記ポリオキシアルキレン鎖がオキシプロピレン基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記ポリオキシアルキレン鎖が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む共重合鎖である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記共重合鎖がランダム共重合鎖である、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記式(1)で表される化合物の重量平均分子量が5000以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数が100以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記式(1)で表される化合物の25℃における粘度が1000Pa・s以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 前記組成物に含まれる鉄の量が、前記熱伝導性フィラー及び前記カップリング剤を除く前記組成物中の不揮発分全量を基準として80質量ppm以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 前記重合性成分が、下記式(2)で表される化合物を更に含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
    Figure 2023062580000023

    [式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。R23は水素原子又はメチル基を表す。]
  14. 前記重合性成分が、下記式(3)で表される化合物を更に含有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
    Figure 2023062580000024

    [式(3)中、R31及びR32はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R33はポリ(メタ)アクリレート鎖を有する2価の基を表す。]
  15. 熱伝導性フィラーをカップリング剤により処理する工程と、
    前記処理後の熱伝導性フィラーと、下記式(1)で表される化合物を含む重合性成分とを混合する工程と、を備える、組成物の製造方法。
    Figure 2023062580000025

    [式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R13はポリオキシアルキレン鎖を有する2価の基を表す。]
  16. 請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物の硬化物。
  17. 熱源と、
    前記熱源に熱的に接触している請求項16に記載の硬化物と、を備える物品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023223978A1 (ja) * 2022-05-19 2023-11-23 株式会社レゾナック ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物及びエステル系チキソ付与剤を含有する組成物

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