JP2023062420A - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】製缶性に優れ、製缶後の接合部の補修塗料の焼付工程を経てもフィルムが収縮したり、剥離したりしない金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】A層とB層を少なくとも含む二軸配向ポリエステルフィルムであって、(a)熱機械分析装置(TMA)で測定した、230℃におけるTD方向とMD方向の収縮応力の和が3.4MPa以下であり、(b)230℃におけるTD方向からMD方向の収縮応力を引いた値が0.5MPa以下であり、(c)200℃で15分間熱処理後の、TD方向とMD方向の熱収縮率の和が2.0%以上6.0%以下であり、(d)2枚の前記金属板ラミネート用ポリエステルフィルムのA層側同士を90℃、0.2MPa、2秒間でヒートシールしたときのシール強度が1.0N/15mm以上2.5N/15mm以下である、金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、金属板ラミネート用ポリエステルフィルムに関するものであり、特に、3ピース缶において、コーヒー飲料、清涼飲料、缶詰等の飲食料品用の金属容器の腐食防止等の目的で缶の内面に貼り合せるのに用いる金属板ラミネート用ポリエステルフィルムに関するものである。
食料品や液体内容物を缶に密封した食料缶や飲料缶は、強度、耐熱性、耐寒性に優れていることから、スチールやアルミニウム等の金属材料が用いられている。これらの金属缶を食品用途として用いる場合、金属臭が内容物である食料品や飲料に移行する、いわゆるフレーバー性不良や、内容物の変質及び金属自体の内容物による腐食を防ぐ必要がある。
従来、金属缶の内面及び外面の腐食防止には一般には塗料が塗布され、その塗料としては熱硬化性樹脂が使用されている。熱硬化性樹脂を金属缶の表面に被覆する方法では、一般的に熱硬化性樹脂を溶剤に溶解させた塗料を金属缶表面に塗布した後に、190℃以上で数分という高温・長時間の加熱が必要であり、かつ、焼き付け時に多量の有機溶剤が飛散する。このため、工程簡素化、衛生性向上、公害防止等の目的から、有機溶剤を使用せずに金属板にポリエステルフィルムを加熱、加圧接着し、そのラミネート鋼板を加工することで製缶する方法がとられている。
特許文献1には、ポリエステル系樹脂からなる上層と接着剤の機能を持たせたポリエステル系樹脂からなる下層とを有するポリエステル系積層フィルムを金属板にラミネートする方法が記載されているが、製缶加工時の缶の仕上がり性向上のための熱処理、帯状のフィルムを用いた缶の接合部分補修のための熱処理等により、ポリエステル系フィルムが収縮したり、金属板からはがれたりする問題があった。
国際公開第2016/143817号
本発明の目的は、製缶性に優れ、製缶後の接合部の補修塗料の焼付工程を経てもフィルムが収縮したり、剥離したりしない金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、熱機械分析装置TMAを使用して測定した230℃におけるフィルムの収縮応力を所定の範囲にすることにより、製缶後の接合部の補修塗料の焼付工程におけるフィルムの収縮や剥離を抑制できることを見出した。かかる知見に基づき、更なる検討と改良を重ね、下記に代表される発明を完成するに至った。
(項1) 第1の樹脂組成物から形成されるA層と第2の樹脂組成物から形成されるB層の少なくとも2層を含む二軸配向ポリエステルフィルムであって、次の(a)から(d)を満たす、金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
(a)熱機械分析装置(TMA)で測定した、230℃におけるTD方向の収縮応力とMD方向の収縮応力の和が3.4MPa以下である
(b)熱機械分析装置(TMA)で測定した、230℃におけるTD方向の収縮応力からMD方向の収縮応力を引いた値が0.5MPa以下である
(c)200℃で15分間熱処理後の、TD方向の熱収縮率とMD方向の熱収縮率の和が2.0%以上6.0%以下である
(d)2枚の前記金属板ラミネート用ポリエステルフィルムのA層側同士を90℃、0.2MPa、2秒間でヒートシールしたときのシール強度が1.0N/15mm以上2.5N/15mm以下である
(項2) 前記第1の樹脂組成物は、エチレンテレフタレート単位を80モル%以上95モル%以下の割合で含み、エチレンテレフタレート単位以外の共重合成分を5モル%以上20モル%以下の割合で含む共重合ポリエステル樹脂を含む、項1に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
(項3) 前記第2の樹脂組成物は、エチレンテレフタレート単位を95モル%以上100モル%未満の割合で含み、エチレンテレフタレート単位以外の共重合成分を5モル%以下の割合で含む共重合ポリエステル樹脂を含む、項1又は2に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
(項4) A層とB層の厚み比率が75:25~95:5である、項1~3のいずれかに記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
(項5) ヘイズが35%以上60%以下である、項1~4のいずれかに記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
(項6) B層における表面の最大高さSzが4μm以上8μm以下である、項1~5のいずれかに記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
また、本発明は、上記金属板ラミネート用ポリエステルフィルムのA層が、金属板の少なくとも一方にラミネートされてなるフィルムラミネート金属板を提供する。
さらに、本発明は、上記フィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器を提供する。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、優れた耐腐食性を有するものであり、製缶加工時に缶の仕上がり性向上のために熱処理を行ったり、缶の接合部分を補修するために熱処理等を行ったとしても、フィルムが収縮したり、金属板からフィルムがはがれたりすることがないため、飲料や食料品を貯蔵する金属容器用のフィルムとして用いるのに適している。さらに、食料品や飲料のフレーバー性に悪影響を与えるような成分を使用しないため、内容物の変性を防ぐことにおいても好適である。
本発明のポリエステルフィルムは、第1の樹脂組成物から形成されるA層と第2の樹脂組成物から形成されるB層の少なくとも2層を含む二軸配向ポリエステルフィルムである。A層は金属板にラミネートされる層であり、B層は金属容器の内側において内容物である飲食料品に接する層又は容器の外側表面になる層である。
[A層]
A層は、エチレンテレフタレートを主としたポリエステル系樹脂を含む第1の樹脂組成物から形成されている。具体的には、第1の樹脂組成物は、ポリエステルの全構成成分100モル%中、エチレンテレフタレート単位を80モル%以上、95モル%以下の割合で含み、エチレンテレフタレート単位以外の共重合成分を5モル%以上、20モル%以下の割合で含む共重合ポリエステルを含むことが好ましい。より好ましくは、ポリエステルの全構成成分100モル%中、エチレンテレフタレート単位を86モル%以上、93モル%以下の割合で含み、エチレンテレフタレート単位以外の共重合成分を7モル%以上、14モル%以下の割合で含む共重合ポリエステルである。
上記共重合ポリエステルには、テレフタル酸以外の多価カルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の多価アルコール成分が含まれる。
テレフタル酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;等が挙げられる。
エチレングリコール以外の多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族多価アルコール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール;ビスフェノール誘導体のエチレンオキサイド付加体等の芳香族多価アルコール;等が挙げられる。
第1の樹脂組成物に含まれる共重合ポリエステルは、エチレンテレフタレート単位とエチレンイソフタレート単位が含まれていることが特に好ましい。エチレンイソフタレート単位を5モル%以上20モル%以下の割合で含むことによって、フィルムのすべりや製缶時の加工性が良好となるとともに、金属板との接着性が良好になる。
第1の樹脂組成物は、1種の共重合ポリエステルを単独で含んでいてもよく、複数のポリエステル又は共重合ポリエステルとの混合物を使用してもよい。また、A層において、第1の樹脂組成物を100質量部として、滑剤粒子、酸化防止剤などの各種添加剤を5質量部以下の割合で含んでいてもよい。
好ましい態様の一つは、上記第1の樹脂組成物が、上記共重合ポリエステルを単独で含む。
別の好ましい態様は、上記第1の樹脂組成物が、上記共重合ポリエステルと、ポリブチレンテレフタレートを含む。ポリブチレンテレフタレートの含有量は、第1の樹脂組成物を100質量部として、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
上記第1の樹脂組成物の融点は、225℃以上235℃以下の範囲内に存在する事が望ましい。融解ピークが225℃以上であることにより、製缶工程における熱処理中に、鋼板にラミネートしたポリエステルフィルムが、ラミネートした位置から鋼板上を移動する現象(膜ずれ)が発生することを抑制することができる。一方、融点ピークが235℃を超えると、製缶工程における鋼板へのポリエステルフィルムの通常のラミネート条件よりも多くの熱処理が必要となり、実用上好ましくない。さらに、鋼板への接着性が悪化しやすくなるおそれがある。
上記第1の樹脂組成物の極限粘度IVは、0.50dl/g以上、0.80dl/g以下であることが好ましい。IVが0.50dl/gより高くすることにより、フィルムの製膜操業性がよく、かつ低分子量物由来の熱劣化物の発生を抑制することができる。一方、IVが0.80dl/gより低くすることにより、接着性(初期シール温度)が良好となり、金属板とのラミネート加工性が向上する。本発明のポリエステル樹脂のIVの上限は、好ましくは0.75dl/g以下であり、さらに好ましくは0.70dl/g以下である。またIVの下限は、好ましくは0.55dl/g以上であり、さらに好ましくは0.58dl/g以上である。
[B層]
B層は、エチレンテレフタレートを主としたポリエステル系樹脂を含む第2の樹脂組成物から形成されている。具体的には、第2の樹脂組成物は、ポリエステルの全構成成分100モル%中、エチレンテレフタレート単位を95モル%以上、100モル%未満の割合で含み、エチレンテレフタレート単位以外の共重合成分を5モル%以下の割合で含む共重合ポリエステルを含むことが好ましい。より好ましくは、ポリエステルの全構成成分100モル%中、エチレンテレフタレート単位を96モル%以上、98モル%以下の割合で含み、エチレンテレフタレート単位以外の共重合成分を2モル%以上4モル%以下の割合で含む共重合ポリエステルである。
上記共重合ポリエステルには、テレフタル酸以外の多価カルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の多価アルコール成分が含まれる。
テレフタル酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;等が挙げられる。
エチレングリコール以外の多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族多価アルコール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール;ビスフェノール誘導体のエチレンオキサイド付加体等の芳香族多価アルコール;等が挙げられる。
上記第2の樹脂組成物に含まれる共重合ポリエステルは、エチレンテレフタレート単位とエチレンイソフタレート単位が含まれていることが特に好ましい。エチレンイソフタレート単位を5モル%以下の割合で含むことによって、金属容器、特に3ピース缶の製缶時において、缶の接合部分を補修する補修塗料との接着性が良好になる。
上記第2の樹脂組成物は、1種の共重合ポリエステルを単独で含んでいてもよく、複数のポリエステル又は共重合ポリエステルとの混合物を使用してもよい。また、B層において、第2の樹脂組成物を100質量部として、滑剤粒子、酸化防止剤などの各種添加剤を5質量部以下の割合で含んでいてもよい。
上記第2の樹脂組成物の融点は、220℃以上230℃以下の範囲内に存在する事が望ましい。
上記第2の樹脂組成物の極限粘度IVは、上記A層を形成する第1の樹脂組成物のIVと同程度であることが好ましい。
上記第2の樹脂組成物は、微粒子を含むことが好ましい。微粒子を含むことにより、ポリエステルフィルムの滑り性に加え、金属容器成形後の金属板の隠蔽性及び耐傷つき性(耐スクラッチ性)を付与することができる。微粒子は無機微粒子及び/又は有機微粒子を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン等の金属酸化物;カオリン、ゼオライト、セリサイト、セピオライト等の複合酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩等を挙げることができ、中でも金属酸化物であることが好ましい。これらの微粒子は天然品であっても合成品であってもよい。
有機微粒子としては、架橋高分子粒子などの有機微粒子を含有していてもよい。架橋高分子粒子としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル系単量体、スチレンやアルキル置換スチレン等のスチレン系単量体等と、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメチルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメチルアクリレート等の架橋性単量体との共重合体、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系単量体の(共)重合体であることが好ましい。
上記微粒子は、粒子径や粒子径分布を調整するために、粉砕や分級等を行ってもよい。上記第2の樹脂に含まれる微粒子は、好ましくは不定形(球状及び略球状以外の形)の無機微粒子である。より好ましくは、シリカ及び炭酸カルシウムである。上記不定形の無機微粒子の平均粒径は、好ましくは0.5μm以上、5.0μm以下であり、より好ましくは0.8μm以上、4.0μm以下である。上記不定形の無機微粒子のフィルム中の含有量は、樹脂組成物100質量部に対して、0.5質量部以上、2.0質量部以下であり、好ましくは0.6質量部以上、1.5質量部以下である。
[ポリエステルフィルム]
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、8μm以上であるのが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。フィルム厚みが8μm以上であることにより金属板の被覆効果が得られる。上限は特に限定されないが、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。50μm以下で、金属板ラミネート用フィルムに求められる特性を満足することができる。
上記ポリエステルフィルムのA層とB層の厚み比率は、A層:B層=25:75~5:95であることが好ましく、より好ましくは15:85~10:90である。各層の厚み比率が前記範囲にあれば、接着層を金属板に貼り合せ、成形加工したときに要求される密着性、耐熱性等は良好である。表面層の厚み比率が95%を超える場合、すなわち、接着層の厚み比率が5%未満である場合、金属板と接着層との密着性が十分確保できないおそれがある。また、接着層の厚み比率が75%未満である場合、すなわち、表面層の厚み比率が25%を超える場合、保香性を十分に確保できないおそれがある。
本発明のポリエステルフィルムは、200℃で15分間熱処理後のTD方向の熱収縮率とMD方向の熱収縮率の和が2.0%以上、6.0%以下である。2.0%以上であることにより、熱ラミネート時にシワや帯電等の操業トラブルの発生を抑制することができる。一方6.0%を超えると、熱ラミネート時の密着力が低く、融点近傍かそれ以上の高いラミネート温度が必要となり、実用上好ましくなく、また熱成形時の寸法安定性の観点から好ましくない。上記の熱収縮率を達成する方法としては、延伸条件や熱固定処理条件の適切に設定するなどの方法が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、熱機械分析装置(TMA)で測定したときの230℃におけるTD方向の収縮応力とMD方向の収縮応力の和が3.4MPa以下である。好ましくは、フィルムのTD方向、MD方向の230℃での収縮応力が、それぞれ1.7MPa以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、熱機械分析装置(TMA)で測定したときの230℃におけるTD方向の収縮応力からMD方向の収縮応力を引いた値が、0.5MPa以下であり、より好ましくは0.4MPa以下である。3ピース缶の製缶時の接合部分補修のための熱処理の温度が230℃付近であることが多く、この温度域でのTD方向とMD方向の熱収縮応力の差をより小さくすることで熱処理時のフィルム収縮や金属板からの剥がれにくいフィルムになる。詳細には、230℃でのフィルムのTD方向の熱収縮応力とMD方向の熱収縮応力の差が小さいことにより、帯状のフィルムを用いた缶の接合部分補修時において熱処理する場合、MD方向への収縮がTD方向への収縮を緩和させることで、TD方向に収縮させにくくすることが可能となる。これにより、フィルム収縮や金属板からの剥がれることなく缶の接合部分補修の熱処理が可能となる。
収縮応力は以下の方法により求める。
フィルムの各々TD方向及びMD方向から、幅4mm×長さ10mmの寸法のサンプルを作成する。熱機械分析装置(TMA)を用い、引張モードにおいて、サンプルホルダー間隔5mm 、初期荷重54mN 、30℃より10℃/分で昇温して得た荷重曲線から、230℃での収縮を伴う応力値を求める。
230℃におけるTD方向の収縮応力とMD方向の収縮応力の和が3.4MPa以下であり、かつTD方向の収縮応力からMD方向の収縮応力を引いた値が0.5MPa以下とする方法としては、例えば、該ポリエステル系フィルムが後述の二軸延伸フィルムである場合、TD方向とMD方向の延伸倍率、熱固定温度、TD方向延伸後の熱緩和工程などにより制御することができ、それ等を組み合わせてもよい。
本発明のポリエステルフィルムのヘイズは、35%以上、60%以下であることが好ましい。この範囲にすることで、フィルムに適度な曇り性(不透明性)を付与することができ、被覆する金属板の素地の色斑を隠蔽し、フィルムラミネート金属板の美麗な外観を得ることができる。加えて、フィルムラミネート金属板の加工欠点を検知する前記欠点検知機が、金属板の素地の色斑により検知する誤作動を防止することが可能となり、高速製缶への対応が容易となるというメリットもある。
本発明のポリエステルフィルムは、B層における表面の最大高さが4μm以上、8μm以下であることが好ましい。8μm以下であることにより、製缶工程でフィルムからの粒子の脱落の発生を抑制することができ、4μm以上であることにより、フィルムに滑り性を付与し、製缶工程でフィルムの傷つきを防止することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、2枚のフィルムのA層側同士を90℃、0.2MPaで2秒間ヒートシール処理した後の、前記フィルム同士のシール強度が1.0N/15mm以上、2.5N/15mm以下である事が好適である。2.5N/15mm以下であることにより、摩擦が悪化することよるシワや帯電等の加工性の悪化を防ぐことができ、1.0N/15mm以上であることにより、フィルムと金属板の密着性を得ることができる。
[ポリエステルフィルムの製造方法]
本発明のポリエステルフィルムは、例えば、A層とB層を共押出しした未延伸フィルムをMD方向及びTD方向に延伸した後、熱固定処理して得られる。
未延伸フィルムを得るには、使用する各ポリエステル樹脂の原料チップを残留する水分率が150ppm以下になるようにホッパドライヤー、パドルドライヤ等の乾燥機、又は真空乾燥機を用いて乾燥する。乾燥したチップを押出機で250~300℃の温度でフィルム状に押出す。残留する水分率が150ppmを超えた原料チップを使用すると得られたフィルムの粘度が低下し、製造時破断等のトラブルが発生するおそれがある。また、フィルムの強度が低下し、金属板にラミネートする際にフィルムが破れる等のトラブルが発生するおそれもある。未乾燥のポリエステル樹脂原料チップをベント式押出機内で水分を除去しながら250~300℃の温度でフィルム状に押出すこともできる。押出しに際してはTダイ法、チューブラ法等、公知のどの方法を採用しても構わない。押出し後は、急冷して未延伸フィルムを得る。
次いで、上記未延伸フィルムを二軸延伸して、二軸配向フィルムを得る。二軸延伸する方法としては、逐次二軸延伸法を使用するのが好ましい。
MD方向の延伸倍率としては、好ましくは3~5倍、より好ましくは3~4.5倍であり、延伸温度としては、好ましくは70~110℃、より好ましくは80~100℃である。MD方向の延伸は、例えば、ロール延伸機で加熱ロール又は赤外線輻射熱で未延伸フィルムを加熱し、ロール間の速度差で延伸することができる。
TD方向の延伸倍率としては、好ましくは3~5倍、より好ましくは3~4.5倍であり、延伸温度としては、好ましくは90~140℃、より好ましくは100~130℃である。TD方向の延伸は、テンターを用いて行うことができる。
上記二軸延伸後、熱固定処理することが好ましい。A層/B層の二層構成であるポリエステルフィルムのB層の二軸延伸による残留収縮応力は、熱固定によって低減または除去されていることが好ましい。A層は非晶化および/又は無配向化されることが好ましい。そのため、A層を形成する樹脂組成物の融点より高い温度で熱固定処理を行うことが好ましい。熱固定処理により、A層の結晶化度が低下し、ヒートシール強度が上昇する。熱固定処理の温度は、A層を形成する樹脂組成物の融点より1℃以上高い温度であることが好ましく、5℃以上高い温度で熱固定することがより好ましい。熱固定処理の温度の上限は、A層を形成する樹脂組成物の融点+15℃以下であることが好ましく、+12℃以下であることがより好ましい。
熱固定処理を行う工程の通過時間は、2秒以上10秒以下であることが好ましい。熱固定処理工程での滞留時間が長い方が好ましく、2秒以上である事が好ましく、5秒以上である事が更に好ましい。熱固定処理工程の通過時間は、上記観点からは20秒で充分である。長すぎるとフィルムが脆くなる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、前述の方法の他、A層からなるフィルムとB層からなるフィルムを別々に作製した後に積層する方法で作製してもよい。A層からなるフィルム及びB層からなるフィルムは、上記と同様の製造方法によって作製することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、A層と金属板との密着性を良好にするため、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、などの表面処理をしてもよい。
本発明のフィルムラミネート金属板は、上記金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートして得ることができるものであって、製缶加工性に優れたものである。フィルムラミネート金属板は、上記ポリエステルフィルムのA層が、金属板の少なくとも一方の面にラミネートされてなることが好ましい。
ポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートする方法としては、公知の方法が適用でき、特に限定されないが、好ましくはサーマルラミネート法があげられ、特に好ましくは金属板を通電加熱させてサーマルラミネートする方法が挙げられる。また、上記ポリエステルフィルムは、金属板の両面にラミネートされていてもよい。上記ポリエステルフィルムを金属板の両面にラミネートする場合、同時にラミネートしても逐次にラミネートしてもよい。
上記ポリエステルフィルムのA層のバリア性や耐腐食性を向上させるためやラミネート密着性をさらに向上させるために、A層の表面に熱硬化性樹脂を主成分とした公知の接着剤を予め接着層に塗布しておくことができる。
本発明のフィルムラミネート金属板に用いられる金属板としては、特に限定されないが、例えば、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。また、その厚さは、特に限定されないが、強度の確保と経済性の点から、100~500μmが好ましい。より好ましくは150~400μmである。また、金属板は、フィルムとの接着力を充分にするためクロメート処理やアルマイト処理などの処理をすることが好ましい。
本発明の金属容器は、前記のフィルムラミネート金属板を用いて成形することによって得ることができる。金属容器の形状は特に限定されないが、例えば、缶状、瓶状、樽状などが挙げられる。本発明の金属容器が缶の場合、缶胴・缶蓋・缶底の3部分で構成されている3ピース缶と缶胴・缶蓋の2部分で構成されている2ピース缶などが挙げられる。3ピース缶の場合、缶胴の接合部の接合方法により溶接缶、半田缶、接着缶などが挙げられる。2ピース缶の場合、絞り加工缶、絞りしごき加工缶、TULC缶(引張り絞りしごき加工缶)などが挙げられる。本発明の金属容器の成形方法も特に限定されないが、例えば、絞り成形、しごき成形、絞りしごき成形、円筒成形、溶接接合、半田接合、巻締加工などの公知の方法を使用することができる。
フィルムの評価は次の測定法によって行った。
(A)ポリエステル樹脂の組成分析
試料約30mgをクロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製した。そして、核磁気共鳴(NMR)装置(Varian社製GEMINI-200)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定した。NMR測定では、所定のプロトンのピーク強度を算出して、酸成分100モル%中のテレフタル酸成分およびイソフタル酸成分の含有率(モル%)を算出した。
(B)極限粘度の測定方法
ポリエステル樹脂0.2gをフェノール/1,1,2,2-テトラクロルエタン(60/40(重量比))の混合溶媒50ml中に溶解し、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定した。単位はdl/gである。
(C)融点(Tm)の測定方法
DSC-60型示差走査熱量計(島津製作所社製)を用いて測定した。ポリエステル樹脂を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。急冷したポリエステル樹脂のうち、10mgを試料とし、20℃/分の速度で昇温していった際に現れる結晶融解に基づく吸熱ピーク温度(融点)を測定した。
フィルムのA層の融点は、ポリエステルフィルムのA層から削り取ったサンプルを用いて、上記と同様に測定した。
(D)フィルムの厚み
JIS K7130-1999 A法に準拠し、ダイアルゲージを用いて測定した。
(E)熱収縮率
幅10mm×長さ150mmの寸法で、フィルムのMD方向及びTD方向から各々5点を切り出し試験片とした。各試験片には,試験片の中央部を中心にして間隔100mm±2mmの標線を付けた。加熱前の試験片の標線の間隔を0.1mmの精度で測定した。試験片を熱風乾燥機(エスペック社製、PHH-202)内に無荷重の状態で吊り下げ、200℃、15分の加熱条件で熱処理を施した。試験片を恒温槽から取り出して室温まで冷却した後、初めに測定したときと同じ部分について長さ及び幅を測定した。各試験片の寸法変化率は、縦方向及び横方向について寸法変化の初期値に対する百分率として計算した。各方向の寸法変化率は、その方向での測定値の平均とした。
(F)収縮応力
幅4mm×長さ10mmの寸法のサンプルをフィルムのMD方向及びTD方向から各々切り出し、株熱機械分析装置TMA-60(島津製作所製)を用い、サンプルホルダー間隔5mm 、初期荷重54mN 、30℃より10℃/分で昇温して得た荷重曲線において、230℃での収縮を伴う応力値を求めた。
(G)TD方向の収縮応力とMD方向の収縮応力の和
上記(F)で求めたフィルムのMD方向及びTD方向の収縮応力値から、下記式(1)の計算式により算出した。
式(1) TD方向の収縮応力とMD方向の収縮応力の和=230℃でのTD方向の収縮応力+230℃でのMD方向の収縮応力
(H)TD方向の収縮応力とMD方向の収縮応力の差
上記(F)で求めたフィルムのMD方向及びTD方向の収縮応力値から、下記式(2)の計算式により算出した。
式(2) TD方向の収縮応力とMD方向の収縮応力の差=230℃でのTD方向の収縮応力―230℃でのMD方向の収縮応力
(I)シール強度
JIS Z1707に準拠してシール強度測定実施した。具体的には、ヒートシーラーにて、幅15mmに切り出した2枚のポリエステルフィルムのA層側表面同士を接着させる。該接着サンプルを島津製作所社製のオートグラフAGS-Xを使用して、T時剥離強度の測定を行った。この時のシール圧力は0.2MPa、シール時間は2秒、シール温度は90℃で測定引張速度は200mm/分、試験片幅は15mm幅である。単位はN/15mmで示す。
(J)ヘイズ
JIS-K-7136に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製300A)を用いて測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
(K)表面最大高さSz
得られたフィルムから縦方向10cm×横方向10cmの面積に切り出し、Zygo社製の白色レーザー干渉計(NEW VIEW8300)を使用した。
干渉計に20倍レンズを取り付けて、走査を行い、算術平均高さ(μm)と最大高さ(μm)を測定した。測定は、一方の表面のMD方向に0.82μm、幅方向に0.82μmの範囲で行い、未溶融物や埃等の異物を除く表面を対象とした。
測定箇所は10cm×10cmのサンプルの任意の箇所10点で測定し、その平均値を最大高さSzとした。
(L)フィルム各層の厚み
日立製作所社製透過型電子顕微鏡(HU-12型)を用いて、積層フィルムの超薄断面切片を観察し、フィルムの各層の厚み(μm)を測定した。
(M)金属板へのラミネート性の評価
板厚が0.19mmであるニッケルメッキ鋼板及び薄錫メッキ鋼板(LTS材)の片面に、フィルムのA層が金属板側になるように配置して、ラミネートは温度100℃、圧力1kg/cmの圧力でラミネート処理を行った。金属板に接着されたフィルムに対して、その接着部分の接着力を以下のように判定した。
判定 〇 : ラミネート可能(フィルムを金属板から指で簡単に剥離できない)。
判定 × : ラミネート不可(フィルムを金属板から指で簡単に剥離できる)。
(N)熱処理におけるポリエステルフィルムの寸法安定性の評価
金属板を180℃に加熱し、その金属板の表面にポリエステルフィルムを接触させ、かかる状態でニップロール缶を通過させ、次いで10~40℃で急冷硬化させることにより、ラミネートした。ラミネートしたフィルムの真ん中に+(プラス)印の切込みを入れた。
このフィルムラミネート金属板を、250℃に加熱したギアオーブンにて3分熱処理し、+印の切込み部分が開いた距離を測定した。この+印の切込み部分が開いた距離から、以下のように判定した。
判定 〇 : 3.0mm未満
判定 × : 3.0mm以上
実施例、比較例において、A層用として、以下の樹脂を用いた。
<樹脂C>
エチレンテレフタレート単位89.2モル%、エチレンイソフタレート単位10.8モル%の共重合ポリエステル樹脂、IV=0.63dl/g、融点226℃
<樹脂D>
エチレンテレフタレート単位92.1モル%、エチレンイソフタレート単位7.9モル%の共重合ポリエステル樹脂、IV=0.62dl/g、融点234℃
<樹脂E>
エチレンテレフタレート単位89.5モル%、エチレンイソフタレート単位10.5モル%の共重合ポリエステル樹脂、IV=0.63dl/g、融点227℃
<樹脂F>
エチレンテレフタレート単位92.4モル%、エチレンイソフタレート単位7.6モル%の共重合ポリエステル樹脂、IV=0.62dl/g、融点235℃
<樹脂G>
PBT樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ナバデュラン(登録商標)5007A)、IV=0.70dl/g、融点220℃
実施例、比較例において、B層用として、以下の樹脂を用いた。
<樹脂組成物H>
樹脂組成物Hとして、以下の樹脂I、樹脂J、樹脂Kの混合物を用いた。
樹脂I:PET樹脂、IV=0.67dl/g、融点255℃ 62質量部
樹脂J:エチレンテレフタレート単位89.8モル%、エチレンイソフタレート単位11.2モル%の共重合ポリエステル樹脂、IV=0.63dl/g、融点225℃ 18質量部
樹脂J:炭酸カルシウム粒子を樹脂100質量%中5質量%、及びシリカ粒子(平均粒径2.7μm)を樹脂100質量%中1.75質量%含有するPET樹脂、IV=0.54dl/g、融点255℃ 20質量部
(実施例1)
A層用の樹脂C及びB層用の樹脂組成物Hをそれぞれ別々のホッパーに供給し、それぞれ樹脂温度を280℃、270℃となるよう加熱した押出し機で溶融し、ダイ内で2層に合流させた後、冷却ドラムに押出し、未延伸シートを成形した。その後、上記未延伸シートを115℃で縦方向に3.5倍延伸した後、120℃で横方向に4.0倍延伸した。235℃で熱固定した後、TD方向に3%の緩和(リラックス)工程を施した。こうして、A層の厚さ1.5μm、B層の厚さ10.5μm、総厚さ12μm、A層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(実施例2)
A層用の樹脂として、樹脂Fを使用し、熱固定温度を230℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でA層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(実施例3)
A層用の樹脂として、樹脂Eを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でA層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(実施例4)
熱固定温度を230℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でA層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(実施例5)
A層用の樹脂として樹脂Dを90質量部及び樹脂G10質量部含む樹脂組成物と、B層用の樹脂組成物Hをそれぞれ別々のホッパーに供給し、それぞれ樹脂温度を280℃、270℃となるよう加熱した押出し機で溶融し、ダイ内で2層に合流させた後、冷却ドラムに押出し、未延伸シートを成形した。その後、上記未延伸シートを115℃で縦方向に3.75倍延伸した後、120℃で横方向に4.3倍延伸した。240℃で熱固定した後、TD方向に3%の緩和(リラックス)工程を施した。こうして、A層の厚さ1.5μm、B層の厚さ10.5μm、総厚さ12μm、A層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
実施例1~5で作製したポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2023062420000001
(比較例1)
A層用の樹脂として樹脂Cを95質量部及び樹脂Gを5質量部含む樹脂組成物と、B層用の樹脂組成物Hをそれぞれ別々のホッパーに供給し、それぞれ樹脂温度を280℃、270℃となるよう加熱した押出し機で溶融し、ダイ内で2層に合流させた後、冷却ドラムに押出し、未延伸シートを成形した。その後、上記未延伸シートを115℃で縦方向に3.5倍延伸した後、120℃で横方向に4.0倍延伸した。225℃で熱固定した後、TD方向に3%の緩和(リラックス)工程を施した。こうして、A層の厚さ1.5μm、B層の厚さ10.5μm、総厚さ12μm、A層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(比較例2)
A層用の樹脂として樹脂Cを90質量部及び樹脂Gを10質量部含む樹脂組成物を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法でA層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(比較例3)
A層用の樹脂として樹脂Cを27質量部、樹脂Dを63質量部及び樹脂Gを10質量部含む樹脂組成物を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法でA層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(比較例4)
A層用の樹脂として樹脂Cを48質量部及び樹脂Dを52質量部含む樹脂組成物を使用し、熱固定温度を225℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でA層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(比較例5)
A層用の樹脂として、樹脂Fを使用し、熱固定温度を225℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でA層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(比較例6)
熱固定温度を225℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でA層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
(比較例7)
A層用の樹脂C及びB層用の樹脂組成物Hをそれぞれ別々のホッパーに供給し、それぞれ樹脂温度を280℃、270℃となるよう加熱した押出し機で溶融し、ダイ内で2層に合流させた後、冷却ドラムに押出し、未延伸シートを成形した。その後、上記未延伸シートを115℃で縦方向に3.75倍延伸した後、120℃で横方向に4.3倍延伸した。235℃で熱固定した後、TD方向に3%の緩和(リラックス)工程を施した。こうして、A層の厚さ1.5μm、B層の厚さ10.5μm、総厚さ12μm、A層及びB層の2層からなるポリエステルフィルムを作製した。
比較例1~7で作製したポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 2023062420000002
Figure 2023062420000003
表1に示すとおり、実施例において作製したポリエステルフィルムは、熱処理時の寸法安定性の評価が良好であり、かつ金属板へのラミネート性の評価が良好であった。一方、比較例において作製したポリエステルフィルムは、熱処理時の寸法安定性及び金属板へのラミネート性のいずれか又は両方が劣る結果となり、金属板ラミネート用フィルムとしては好適ではなかった。

Claims (8)

  1. 第1の樹脂組成物から形成されるA層と第2の樹脂組成物から形成されるB層の少なくとも2層を含む二軸配向ポリエステルフィルムであって、次の(a)から(d)を満たす、金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
    (a)熱機械分析装置(TMA)で測定した、230℃におけるTD方向の収縮応力とMD方向の収縮応力の和が3.4MPa以下である
    (b)熱機械分析装置(TMA)で測定した、230℃におけるTD方向の収縮応力からMD方向の収縮応力を引いた値が0.5MPa以下である
    (c)200℃で15分間熱処理後の、TD方向の熱収縮率とMD方向の熱収縮率の和が2.0%以上6.0%以下である
    (d)2枚の前記金属板ラミネート用ポリエステルフィルムのA層側同士を90℃、0.2MPa、2秒間でヒートシールしたときのシール強度が1.0N/15mm以上2.5N/15mm以下である
  2. 前記第1の樹脂組成物は、エチレンテレフタレート単位を80モル%以上95モル%以下の割合で含み、エチレンテレフタレート単位以外の共重合成分を5モル%以上20モル%以下の割合で含む共重合ポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
  3. 前記第2の樹脂組成物は、エチレンテレフタレート単位を95モル%以上100モル%未満の割合で含み、エチレンテレフタレート単位以外の共重合成分を5モル%以下の割合で含む共重合ポリエステル樹脂を含む、請求項1又は2に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
  4. A層とB層の厚み比率が75:25~95:5である、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
  5. ヘイズが35%以上60%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
  6. B層における表面の最大高さSzが4μm以上8μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムのA層が、金属板の少なくとも一方にラミネートされてなるフィルムラミネート金属板。
  8. 請求項7に記載のフィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器。
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