JP2023061369A - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Tomoyo Okumura
哲男 栗原
Tetsuo Kurihara
太智 大嶌
Taichi Oshima
仁美 岡部
Hitomi Okabe
靖久 市橋
Yasuhisa Ichihashi
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Abstract

【課題】フッ素系樹脂を含むポリアミド樹脂組成物を成形してなり、摺動特性、機械特性及び外観に優れる成形体を提供する。【解決手段】成形体は、(A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂を含有し、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)フッ素系樹脂の含有量が1質量部以上15質量部以下であるポリアミド樹脂組成物を成形してなり、前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径が1.00μm以下であり、前記(B)フッ素系樹脂の結晶化度が42J/g以上であり、且つ、前記ポリアミド樹脂組成物の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、成形体及びその製造方法に関する。
ポリアミド樹脂は、摺動特性、成形加工性、機械物性、耐薬品性に優れているため、従来から、産業資材用、自動車用、電気及び電子用、工業用等の様々な部品材料として広く用いられている。
ポリアミド樹脂の摺動特性をより向上させる手法として、フッ素系樹脂、黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を配合し、混練した組成物が一般的に知られている。近年、自動車分野、電気及び電子分野等で金属部材の樹脂化が加速してきており、特に最近は、自動車分野で燃費向上のための軽量化、コスト低減、組立工程合理化の観点から、より摺動特性に優れ、靱性及び耐衝撃性等の機械特性に優れる成形材料が要求されている。
摺動特性をさらに向上させる方法として、例えば、特許文献1には、融点の近い硬質樹脂とフッ素系樹脂を高剪断条件下で溶融混練し、フッ素系樹脂の最大分散粒子径を950nm以下に調整した樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献2には、母材樹脂に、電子線照射により変性されたフッ素系樹脂粒子を配合して、反応押出することによりフッ素系樹脂を微細化した樹脂組成物からなる動力伝達ガイド用摺動部材が提案されている。
さらに特許文献3には、ポリアミド樹脂にシロキサン化合物及びフッ素系樹脂を配合し、溶融混練することで摺動特性を改良した組成物が提案されている。
国際公開第2013/047625号 特開2011-84679号公報 特開2012-102189号公報
しかし、特許文献1に記載された方法では、フッ素系樹脂として例えばポリテトラフルオロエチレンを用いた場合、これを微分散化させるためには、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度で高剪断条件下にて溶融混練する必要があり、ポリアミド樹脂の劣化により機械強度が低下してしまうという問題がある。
また、特許文献2に記載された方法で作製された組成物は、フッ素系樹脂の電子線照射による変性を必要とし、煩雑でありコストアップの懸念がある上、フッ素系樹脂の特性が損なわれる虞がある。
さらに、特許文献3に記載された方法で作製された組成物は、シロキサン化合物とフッ素系樹脂の併用により摺動特性を改善しているが、フッ素系樹脂単独での摺動特性改善の検討はなされていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、フッ素系樹脂を含むポリアミド樹脂組成物を成形してなり、摺動特性、機械特性及び外観に優れる成形体及びその製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) (A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂を含有し、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)フッ素系樹脂の含有量が1質量部以上15質量部以下であるポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体であって、
前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径が1.00μm以下であり、
前記(B)フッ素系樹脂の結晶化度が42J/g以上であり、且つ、
前記ポリアミド樹脂組成物の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下である、成形体。
(2) 前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子間距離が3.0μm以下である、(1)に記載の成形体。
(3) 前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子のうち、数平均粒子径が1.00μm以下の粒子の個数割合が、70%以上である、(1)又は(2)に記載の成形体。
(4) 前記(B)フッ素系樹脂が、数平均1次粒子径が0.10μm以上0.80μm以下の粉体である、(1)~(3)のいずれか一つに記載の成形体。
(5) 前記(B)フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレンである、(1)~(4)のいずれか一つに記載の成形体。
(6) 前記(B)フッ素系樹脂の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下である、(1)~(5)のいずれか一つに記載の成形体。
(7) 前記(A)ポリアミド樹脂がポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド610、及びポリアミド612からなる群より選ばれる1種以上を含む、(1)~(6)のいずれか一つに記載の成形体。
(8) 前記(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度が2.0以上4.5以下である、(1)~(7)のいずれか一つに記載の成形体。
(9) (A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂を、混合及び混錬し、ポリアミド樹脂組成物を得る工程1と、
前記ポリアミド樹脂組成物を成形する工程2と、
を含む、成形体の製造方法であって、
前記(B)フッ素系樹脂の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下であり、
前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径が1.00μm以下であり、且つ、
前記(B)フッ素系樹脂の結晶化度が42J/g以上である、成形体の製造方法。
上記態様の成形体及びその製造方法によれば、フッ素系樹脂を含むポリアミド樹脂組成物を成形してなり、摺動特性、機械特性及び外観に優れる成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
≪成形体≫
本実施形態の成形体は、ポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。
ポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂を含有し、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)フッ素系樹脂の含有量が1質量部以上15質量部以下である。
本実施形態の成形体において、(A)ポリアミド樹脂中に分散する(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径が1.00μm以下であり、0.10μm以上1.00μm以下であることが好ましく、0.50μm以上0.90μm以上であることがより好ましい。
(A)ポリアミド樹脂中に分散する(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径が上記上限値以下であることで、成形体の摺動特性及び機械特性が充分に発揮される。一方で、数平均粒子径が上記下限値以上であることで、経済的に合理的な条件でのポリアミド樹脂組成物とその成形体の製造が可能である。
(A)ポリアミド樹脂中に分散する(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径は、成形体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて5,000倍で任意に3視野撮影し、観測できる粒子の面積を計測し、当該面積値を有する真円として径を換算してその分散粒径分布を得た後、得られた分散粒径分布の50%累計値として算出することができる。
また、本実施形態の成形体において、(B)フッ素系樹脂の結晶化度が42J/g以上であり、43J/g以上であることが好ましく、45J/g以上であることがより好ましい。(B)フッ素系樹脂の結晶化度が上記下限値以上であることで、当該(B)フッ素系樹脂を含むポリアミド樹脂組成物の成形体が良好な摺動性を示すことができる。一方、(B)フッ素系樹脂の結晶化度の上限値は特に限定されないが、例えば100J/g以下とすることができ、80J/g以下とすることができ、60J/g以下とすることができる。
(B)フッ素系樹脂の結晶化度は、示差走査熱量測定装置(DSC)で測定することができ、低温から高温に向けて昇温した際に得られる(B)フッ素系樹脂の融解ピークのΔH(J)の値を(B)フッ素系樹脂の含有量(質量)で除した値である。
(B)フッ素系樹脂の結晶化度は、例えば、乳化重合で重合を行うことや、樹脂組成物を調整する際に(B)フッ素系樹脂の溶融温度よりも高い温度をかけないことで高くすることができる。
また、本実施形態の成形体において、ポリアミド樹脂組成物の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下であり、20質量ppb以下であることが好ましく、10質量ppb以下であることがより好ましい。パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が上記上限値以下であることで、シルバーストリーク(銀条)等の外観不良を低減することができる。一方、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量の下限値は特に限定されないが、例えば、0質量ppb以上とすることができる。
次いで、本実施形態の成形体の原料であるポリアミド樹脂組成物の各構成成分について以下に詳細を説明する。
<(A)ポリアミド樹脂>
(A)ポリアミド樹脂としては、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω-アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(A)ポリアミド樹脂としては、上記ポリアミドを単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
(A)ポリアミド樹脂として具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα-ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリアミド2Me5T(ポリ-2-メチルペンタメチレンテレフタラミド(Meはメチル基))、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)、ポリアミドPXD12(ポリパラキシリレンドデカミド)、及びこれらポリアミドの少なくとも1種を構成単位として含む共重合ポリアミド等が挙げられる。
中でも、(A)ポリアミド樹脂としては、摺動特性の観点から、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド610、及びポリアミド612からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、耐熱性の観点から、ポリアミド66、及びポリアミドPXD12からなる群より選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、ポリアミド66を含むことがさらに好ましい。
(A)ポリアミド樹脂中のこれら好ましいポリアミドの合計含有量は、(A)ポリアミド樹脂の総質量に対して、60質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
ポリアミド樹脂組成物中の(A)ポリアミド樹脂の含有量は、ポリアミド樹脂組成物の総質量に対して、例えば、60質量%以上99.5質量%以下とすることができ、70質量%以上99質量%以下とすることができ、80質量%以上99質量%以下とすることができる。
(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は、2.0以上であることが好ましく、2.1以上であることがより好ましく、2.3以上であることがさらに好ましく、3.2以上であることが特に好ましい。一方、(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は、4.5以下であることが好ましく、4.4以下であることがより好ましく、4.3以下であることがさらに好ましい。
すなわち、(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は、2.0以上4.5以下であることが好ましく、2.1以上4.4以下であることがより好ましく、2.3以上4.4以下であることがさらに好ましく、3.2以上4.3以下であることが特に好ましい。
(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度が上記下限値以上であることで、より機械物性に優れた成形体が得られる傾向にある。一方、(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度が上記上限値以下であることで、より流動性及び加工性に優れた成形体が得られる傾向にある。
(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は、JIS-K6920に準じた方法により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
<(B)フッ素系樹脂>
(B)フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げられるが、これに限定されない。
中でも、(B)フッ素系樹脂としては、摺動特性の観点から、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
(B)フッ素系樹脂の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下であり、2質量部以上12質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、4質量部以上7質量部であることがさらに好ましい。(B)フッ素系樹脂の含有量が上記下限値以上であることで、摺動特性が効果的に発揮され、一方、上記上限値以下であることで、摩耗性及び機械特性が向上する。
本実施形態の成形体において、(A)ポリアミド樹脂中に分散する(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径は1.00μm以下であるが、(A)ポリアミド樹脂中に分散する(B)フッ素系樹脂の粒子のうち、粒子径が0.80μm以上の粒子を含み、且つ、該粒子径が0.80μm以上の粒子のうち、1次粒子の形態を保ったまま2次粒子となっている粒子の個数割合が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。一方、粒子径が0.80μm以上の粒子のうち、1次粒子の形態を保ったまま2次粒子となっている粒子の個数割合の上限は多ければ多いほど好ましく、特に限定されないが、例えば、100%以下とすることができ、99%以下とすることができ、98%以下とすることができる。
(A)ポリアミド樹脂中に分散する(B)フッ素系樹脂の粒子径が0.80μm以上の粒子の中には、一部融解接着し、肥大化した粒子も存在する場合もあるが、1次粒子の形態を保ったまま2次粒子となっている粒子の個数割合が上記下限値以上であることにより、摺動特性がより充分に発揮される傾向にある。
粒子径が0.80μm以上の粒子の形状は、成形体中の分散粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により10,000倍で任意に観察することで確認することができる。なお、このとき、1次粒子が凝集した2次粒子は、1つの粒子としてカウントする。
なお、ここでいう1次粒子とは、(B)フッ素系樹脂の粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際の最小単位の粒子である。2次粒子とは、1次粒子が複数個集合し凝集した形状の粒子である。凝集とは、小さな粒子が多数集まって集塊となることである。1次粒子の形態を保ったまま2次粒子となっている粒子とは、使用する(B)フッ素系樹脂の粉体の1次粒子が溶融等による粒子の結着を起こさずに、2次粒子として樹脂中に存在している粒子のことである。一般に、(B)フッ素系樹脂の粉体の2次粒子が解砕することにより小粒子化するが、1次粒子までは解砕せずに2次粒子として樹脂中に存在していると考えられる。これに対して、本実施形態の成形体では、(B)フッ素系樹脂の粉体の1次粒子が溶融等による粒子の結着を起こさずに、2次粒子として、(A)ポリアミド樹脂中に分散している。
本実施形態の成形体において、(A)ポリアミド樹脂中に分散する(B)フッ素系樹脂の粒子間距離は3.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以上2.5μm以下であることがより好ましい。粒子間距離が上記上限値以下であることで、摺動特性及び機械特性がより充分に発揮される傾向にある。一方、上記下限値以上であることで、経済的により合理的な条件でのポリアミド樹脂組成物とその成形体の製造が可能である。
上記粒子間距離は、成形体から表層10μmを削除後、走査型電子顕微鏡(SEM)により5,000倍で任意に3視野撮影し、観測できる粒子の重心位置を画像解析装置により求め、粒子同士の重心間距離を計測し、平均して得られる値である。
(B)フッ素系樹脂の好ましい一つの態様として、フッ素系樹脂の粉体が挙げられる。フッ素系樹脂の粉体の粒子形状は、1次粒子の形態を保ったまま2次粒子となっている粒子形状が挙げられる。この形状のフッ素系樹脂の粉体を用いて混練することにより、1次粒子の形態を保ったまま2次粒子となっている粒子割合を好適に調整することができる傾向にある。
別の好ましい態様として、フッ素系樹脂の水分散液が挙げられる。この形状であれば、凝集することがない。
フッ素系樹脂の粉体及び水分散液のうち少なくともいずれかの形状のフッ素系樹脂を用いて混練することにより、フッ素系樹脂の微分散が可能となる。
(B)フッ素系樹脂粉体の製造方法は上記粒子形状になれば、いずれの製造方法を用いてもよいが、乳化重合法で重合され、凝析、洗浄、分離、及び乾燥して得られる粉体を使用する方法、又は重合した後に水分散した乳化液とする方法が好ましい。
フッ素系樹脂の粉体の数平均1次粒子径は、0.80μm以下であることが好ましく、摺動特性の改良効果の観点から、0.10μm以上0.80μm以下であることがより好ましく、0.12μm以上0.75μm以下であることがさらに好ましく、0.15μm以上0.60μm以下であることが特に好ましい。
フッ素系樹脂粉体の数平均1次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により2次凝集粒子を10,000倍で観察し、1次粒子の50個の粒子長径(粒子の最も長い部分の径)を測定して平均した値である。
フッ素系樹脂の粉体の2次粒子径は、解砕のし易さや凝集のし易さの度合いにより、また、測定方法や分散方法により影響を受けるため一概には言えないが、粉体取扱い性の観点から、体積平均粒子径で2μm以上20μm以下であることが好ましい。なお、体積平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定機を用いて測定した平均値である。
フッ素系樹脂の粉体の見掛け密度は、0.20g/mL以上0.45g/mL以下であることが好ましく、0.23g/mL以上0.42g/mL以下であることがより好ましく、0.25g/mL以上0.40g/以下であることがさらに好ましい。見掛け密度が上記下限値以上であることで粉体の取り扱い性がより向上する傾向がみられ、一方、上記上限値以下であることで、2次粒子の解砕性及び微分散化により優れる傾向がみられる。なお、見掛け密度は、温度23℃、湿度50%の環境下で測定されるものである。
(B)フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレンの場合、重合後、凝析、洗浄、分離、及び乾燥して得られた粉体を、焼成や電子線照射による官能基付与等の処理をせずに使用することが好ましい。焼成とは重合後のポリテトラフルオロエチレンを融点以上の温度で加熱処理を行うことを意味する。これによりフッ素系樹脂による摺動特性がより充分に発揮される。
(B)フッ素系樹脂はいずれの分子量でも使用できるが、フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレンである場合は、数平均分子量600,000以下であることが好ましく、2,000以上500,000以下であることがより好ましく、3,000以上400,000以下であることがさらに好ましい。ポリテトラフルオロエチレンの数平均分子量が上記上限値以下であることで、ポリテトラフルオロエチレンのフィブリル化がより抑制できるためより微分散できる。一方、数平均分子量が上記下限値以上であることで、(B)フッ素系樹脂による摺動性の向上効果をより十分に得ることができる。
なお、ポリテトラフルオロエチレンに代表される、溶媒に不溶な樹脂の分子量測定は、S.Wuの方法(Polymer Engineering & Science,1988,Vol.28,538、同1989,Vol.29,273)に準拠する。この方法は、樹脂の溶融時の弾性率から数平均分子量、重量平均分子量及び分子量分布を算出する方法である。測定装置はレオメトリクス社製粘弾性測定機RDS-2を使用し、380℃における動的粘弾性を測定する。但し、試料を保持する治具としてパラレルプレートを用い、試料の溶融時の厚みは1.4mm以上1.5mm以下、周波数範囲は0.001rad/秒以上500rad/秒以下とする。また、溶融時の試料の変形量は、周波数が1rad/秒以上では試料の厚みに対して、円周上で0.8%以上3%以下の範囲から選択し、周波数が1rad/秒以下では2%以上10%以下の範囲から選択する。また、測定値のサンプリング頻度は対数等間隔で1桁当たり5点とする。また、2回の連続した測定において、各測定周波数(ω)における貯蔵弾性率(G’(ω))の偏差の平均が5%以下になるまで測定を繰り返す。測定により求めた周波数(ω)、貯蔵弾性率(G’(ω))用いて、S.Wuの方法(Polymer Engineering & Science,1988,Vol.28,538、同1989,Vol.29,273)に従って数平均分子量(Mn)を求める。但し、時間t=1/ω、G(t)=G’(ω)とする。
本実施形態の成形体において、(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子のうち、数平均粒子径が1.00μm以下の粒子の個数割合が、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。数平均粒子径が1.00μm以下の粒子の個数割合が上記下限値以上であることで、摺動特性及び機械特性がより充分に発揮される傾向にある。一方で、数平均粒子径が1.00μm以下の粒子の個数割合の上限値は特に限定されないが、例えば、100%以下とすることができ、95%以下とすることができ、90%以下とすることができる。
(A)ポリアミド樹脂中に分散する(B)フッ素系樹脂の1.00μm以下の個数割合は、成形体を用いて測定することができ、具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)により5,000倍で任意に3視野撮影し、観測できる粒子長径を計測してその分散粒径分布を得た後、1.00μm以下の粒子の数をカウントし、全粒子数に対する個数割合から算出して得られる値である。
(B)フッ素系樹脂において、該(B)フッ素系樹脂の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下であることが好ましく、20質量ppb以下であることがより好ましく、10質量ppb以下であることがさらに好ましい。(B)フッ素系樹脂中のパーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が上記上限値以下であることで、(B)フッ素系樹脂を含むポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体において、シルバーストリーク(銀条)等の外観不良をより低減することができる。
<(C)熱安定剤>
ポリアミド樹脂組成物は、(C)熱安定剤を更に含むことができる。
熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール化合物等のフェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、トリアジン系安定剤、イオウ系安定剤等が挙げられる。
また、(C)熱安定剤として、(C1)銅化合物及び(C2)金属のハロゲン化物からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、(C1)銅化合物及び(C2)金属のハロゲン化物を含むことがより好ましい。(C1)銅化合物及び(C2)金属のハロゲン化物を組み合わせて用いることで、熱安定性をより発揮することができる。
(C1)銅化合物及び(C2)金属のハロゲン化物を組み合わせて用いる場合に、銅に対するハロゲンのモル比(ハロゲン/銅)が2/1以上50/1以下であることが好ましく、2/1以上40/1以下であることがより好ましく、5/1以上30/1以下であることがさらに好ましい。
ハロゲン/銅のモル比が上記下限値以上であることで、銅析出及び金属腐食をより抑制することができる。一方、ハロゲン/銅のモル比が上記上限値以下であることで、靭性及び剛性等の機械物性を損なうことなく、成形機のスクリュー等の腐食をより抑制することができる。
なお、ここでいう「ハロゲン」とは、銅化合物としてハロゲン化銅を使用した場合には、ハロゲン化銅に由来するハロゲンと、金属のハロゲン化物に由来するハロゲンの合計を意味する。
[(C1)銅化合物]
(C1)銅化合物としては、ハロゲン化銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅、ステアリン酸銅などや、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤に配位した銅錯塩等が挙げられる。これら銅化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。これらの中でも、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅、又は酢酸銅が好ましく、ヨウ化銅がより好ましい。
[(C2)金属のハロゲン化物]
(C2)金属のハロゲン化物としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される金属のハロゲン化物(以下、「金属ハロゲン化物」と略する場合がある)であり、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、ヨウ化カリウムであることが好ましい。
上述した熱安定剤は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(C)熱安定剤の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上5.00質量部以下であることが好ましく、0.10質量部以上3.00質量部以下であることがより好ましく、0.15質量部以上2.00質量部以下であることがさらに好ましい。
(C)熱安定剤の含有量が上記数値範囲であることで、銅析出や腐食をより抑制できるとともに、摩擦係数や摩耗深さの低減にも効果をより発揮する。
<(D)成形性改良剤>
ポリアミド樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、(D)成形性改良剤を更に含んでもよい。
成形性改良剤としては、特に限定されないが、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、及び高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、モンタン酸等の炭素数8以上40以下の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、ステアリン酸又はモンタン酸が好ましい。
高級脂肪酸金属塩とは、上記高級脂肪酸の金属塩である。
金属塩の金属元素としては、元素周期律表の第1,2,3族元素、亜鉛、アルミニウムが好ましく、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の、第1,2族元素、又はアルミニウムがより好ましい。
高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、パルミチン酸カルシウム等が挙げられる。
これらの中でも、モンタン酸の金属塩又はステアリン酸の金属塩が好ましい。
高級脂肪酸エステルとは、上記高級脂肪酸とアルコールとのエステル化物である。
中でも、炭素数8以上40以下の脂肪族カルボン酸と炭素数8以上40以下の脂肪族アルコールとのエステルが好ましい。
脂肪族アルコールとしては、例えば、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等が挙げられる。
高級脂肪酸アミドとは、上記高級脂肪酸のアミド化合物である。
高級脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N-ステアリルステアリルアミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
これらの高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、及び高級脂肪酸アミドは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
<(E)着色剤>
ポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、着色剤を更に含んでもよい。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、ニグロシン等の染料;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料;アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、チタン等の金属粒子;マイカ製パール顔料、カラーグラファイト等のメタリック顔料等が挙げられる。
<(F)その他の樹脂>
ポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリアミド樹脂以外の(F)その他の樹脂を更に含んでもよい。
このような樹脂としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂やゴム成分等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、AS(Acrylonitorile Styrene)樹脂、ABS(Acrylonitorile Butadiene Styrene)樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲンビニル化合物系樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン-イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-ブタジエンランダム共重合体、水素添加スチレン-ブタジエンランダム共重合体、スチレン-エチレン-プロピレンランダム共重合体、スチレン-エチレン-ブチレンランダム共重合体、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)、エチレン-(1-ブテン)共重合体、エチレン-(1-ヘキセン)共重合体、エチレン-(1-オクテン)共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)や、ブタジエン-アクリロニトリル-スチレン-コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(MBS)、メチルメタクリレート-ブチルアクリレート-スチレン-コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート-ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート-ブタジエン-アクリロニトリル-スチレンコアシェルゴム(AABS)、ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(SBR)、メチルメタクリレート-ブチルアクリレートシロキサンをはじめとするシロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプ等が挙げられる。
これらのゴム成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
≪成形体の製造方法≫
本実施形態の成形体の製造方法は、特に限定されるものではなく、(A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂と、必要に応じて配合されるその他の成分とを、任意の順序で混合及び混練することによって製造したポリアミド樹脂組成物を成形することで得られる。
すなわち、本実施形態の成形体の製造方法は、以下の工程1及び工程2を含む。
(A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂を、混合及び混錬し、ポリアミド樹脂組成物を得る工程1;
前記ポリアミド樹脂組成物を成形する工程2。
本実施形態の成形体の製造方法は上記構成を有することで、摺動特性、機械特性及び外観に優れる成形体が得られる。
本実施形態の成形体の製造方法において用いられるポリアミド樹脂組成物としては、上記「成形体」において説明したものと同じものである。
次いで、本実施形態の成形体の製造方法の各工程について以下に詳細を説明する。
<工程1>
工程1では、(A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂を、混合及び混錬し、ポリアミド樹脂組成物を得る。
ポリアミド樹脂組成物を得る方法としては、単軸若しくは二軸押出機等の通常用いられる種々の押出機を用いて溶融混練する方法が好ましく、生産性、汎用性等の点から、二軸押出機を用いる方法がより好ましい。その際、溶融混練温度は、(A)ポリアミド樹脂の種類にもよるが、押出機出口から吐出された溶融樹脂の温度が(A)ポリアミド樹脂の融点以上、(B)フッ素系樹脂の融点以下となるように調整することが好ましい。溶融混練温度を上記範囲とすることにより、押出混練不良がより生じ難く、フッ素系樹脂の微分散が可能となる。
二軸押出機の場合、押出機スクリューには少なくとも二カ所以上のニーディングディスクを組み合わせたニーディングゾーンを有することが好ましい。ニーディングゾーンは、混練が効果的に行われるように、溶融樹脂の押出方向への進行を抑制しつつ高剪断を付与する領域のことである。溶融混練は、二軸押出機の最上流のフィード口より(A)ポリアミド樹脂を供給し、(A)ポリアミド樹脂は第一のニーディングゾーン(以後、溶融ゾーンと称する)で溶融し、溶融ゾーン以降に設けたサイドフィード口から(B)フッ素系樹脂の粉体を供給し、サイドフィード口以降に設けた第二のニーディングゾーン(以後、混練ゾーンと称する)により溶融した(A)ポリアミド樹脂中に非溶融の(B)フッ素系樹脂を分散する方法が好ましい。また、水分散した(B)フッ素系樹脂を溶融(液体状態)したポリアミド樹脂中に添加することがより好ましい。フッ素系樹脂を水分散液として用いることでフッ素系樹脂の凝集をより抑制することができる。
(B)フッ素系樹脂の粉体を(A)ポリアミド樹脂とともに最上流部のフィード口から供給すると、(A)ポリアミド樹脂の溶融する溶融ゾーンでの剪断発熱により設定温度より樹脂の温度は高温になるため、溶融ゾーンでは(B)フッ素系樹脂の融点以上の温度となり、フッ素系樹脂粉体が溶融し凝集するため、微分散は望めない。そのため、(B)フッ素系樹脂の粉体は、溶融ゾーン以降に設けたサイドフィード口から供給することが好ましい。
(B)フッ素系樹脂の粉体をサイドフィード口より供給するに際し、サイドフィード口の位置はできるだけ下流側に設けることが好ましい。溶融ゾーン近傍では樹脂温度が高く(B)フッ素系樹脂の粉体が溶融し、凝集する可能性があるため、サイドフィード口の位置はできるだけ下流側に設けることで、(B)フッ素系樹脂の粉体の溶融及び凝集をより抑制することができる。
(B)フッ素系樹脂を水分散液として用いる際は、溶融ゾーン以降に液添ノズルを配し、(B)フッ素系樹脂の水分散液を圧入添加することが好ましい。
(A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂が溶融混練された後の押出機出口より吐出される組成物の樹脂温度は、(A)ポリアミド樹脂の結晶化温度より高く、310℃以下となるように押出機の各条件(バレル温度、スクリュー回転数、吐出量等)を設定することが望ましい。吐出口の樹脂温度を上記上限値以下とすることにより、(B)フッ素系樹脂の溶融及び凝集がより抑制されて、(B)フッ素系樹脂をより微分散することができ、且つ、分散する(B)フッ素系樹脂の結晶化度をより高く保つことができる。一方で、上記下限値以上であることで、(A)ポリアミド樹脂の固化がより抑制されて、押出しをより容易に行うことができる。
上記樹脂温度は、例えば、押出機出口より吐出される溶融状態の樹脂に一般に市販されている熱電対式温度計の検知部を直接接触させて測定することが好ましい。
上記樹脂温度を達成するための押出機の温度設定は、溶融ゾーンまでと溶融ゾーン以降での設定温度は変えることが好ましい。溶融ゾーンまでは(A)ポリアミド樹脂の融点よりも5℃以上45℃以下高い温度に設定することが好ましく、7℃以上40℃以下高い温度に設定することがより好ましく、10℃以上30℃以下高い温度に設定することがさらに好ましい。
溶融ゾーン以降の温度設定は、ポリアミド樹脂の結晶化温度よりも10℃高い温度から290℃以下の温度に設定することが好ましく、15℃高い温度から285℃以下の温度に設定することがより好ましく、20℃高い温度から280℃以下の温度に設定することがさらに好ましい。設定温度を上記下限値以上とすることで、(A)ポリアミド樹脂の固化がより抑制されて、押出しを容易に行うことができる。一方、設定温度を上記上限値以下とすることで、(B)フッ素系樹脂の溶融及び凝集がより抑制されて、(B)フッ素系樹脂をより微分散することができ、且つ、分散する(B)フッ素系樹脂の結晶化度をより高く保つことができる。
<工程2>
工程2では、工程1で得られたポリアミド樹脂組成物を成形する。
成形方法としては、特に限定されず、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の公知の成形方法が挙げられる。
成形に用いられる成形機の設定温度は、使用する(A)ポリアミド樹脂の融点よりも5℃高い温度から310℃以下の温度に設定することが好ましく、10℃高い温度から300℃以下の温度に設定することがより好ましく、15℃高い温度から295℃以下の温度に設定することがさらに好ましい。成形機の設定温度を上記上限値以下とすることで、ポリアミド樹脂組成物の溶融時及び射出時における(B)フッ素系樹脂の溶融及び凝集をより抑制することができ、成形体中の(B)フッ素系樹脂の分散をより充分なものとすることができる。一方、成形機の設定温度を上記下限値以上とすることで、(A)ポリアミド樹脂の固化がより抑制されて、成形をより容易に行うことができる。
本実施形態の成形体は、摺動特性に優れるとともに靱性及び耐衝撃性等の機械特性のバランスに優れることから、様々な摺動部材に用いることができる。
摺動部材としては、例えば、軸受、歯車、スラストワッシャー、シールリング等が挙げられ、これらに好適に用いることができる。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例と比較例で用いた原料、及び物性試験等の測定方法は次の通りである。
<原料>
[(A)ポリアミド樹脂]
(A)-1:ポリアミド66
[製造例1]
((A)-1:ポリアミド66の製造)
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩15,000g、及び、該等モル塩に対して0.5モル%過剰のアジピン酸を蒸留水15,000gに溶解させ、原料モノマーの50質量%水溶液を得た。得られた水溶液を内容積40Lのオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した。この水溶液を、110℃以上150℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。その後、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま内部温度が270℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。その後、約1時間かけて圧力を大気圧まで減圧し、大気圧になった後、下部ノズルからストランド状に排出して、水冷、カッティングを行い、ポリアミド66のペレットを得た。得られたペレットを窒素気流中、90℃で4時間乾燥した。このペレットの98%硫酸相対粘度は2.71、融点265℃、結晶化温度220℃であった。
[(B)フッ素系樹脂]
(B)フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉体を用いた。
(B)-1:特開2003-342379号公報(参考文献1)を参考に合成した。得られたPTFE粒子は、数平均1次粒子径が0.15μm、融点が328℃、PTFE粒子の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量(以下、「PFOA含有量」と略記する場合がある)が150質量ppbであった。
(B)-2:特開2003-342379号公報を参考に合成した。得られたPTFE粒子は、数平均1次粒子径が0.20μm、融点が329℃、PFOA含有量が2000質量ppbであった。
(B)-3:国際公開第2019/156065号(参考文献2)を参考に合成した。得られたPTFE粒子は、数平均1次粒子径が0.15μm、融点が328℃、PFOA含有量が15質量ppbであった。
(B)-4:Solvay Algofon(登録商標) L203Rを使用した。数平均1次粒子径が0.20μm、融点が331℃、PFOA含有量が10質量ppb以下(検出限界以下)であった。
(B)-5:Solvay Algofon(登録商標) L206Rを使用した。数平均1次粒子径が0.20μm、融点が331℃、PFOA含有量が10質量ppb以下(検出限界以下)であった。
(B)-6:Inolub T204Fを使用した。数平均1次粒子径が0.20μm、融点が328℃、PFOA含有量が10質量ppb以下(検出限界以下)であった。
(B)-7:Inolub T1030を使用した。数平均1次粒子径が0.20μm、融点が328℃、PFOA含有量が10質量ppb以下(検出限界以下)であった。
(B)-8:特開2003-342379号公報(参考文献3)を参考に合成した。得られたPTFE粒子は、数平均1次粒子径が0.20μm、融点が328℃、PFOA含有量が6000質量ppbであった。
[(C)熱安定剤]
((C1)銅化合物)
(C1)-1:ヨウ化銅(I)、和光純薬工業社製
((C2)金属ハロゲン化物)
(C2)-1:ヨウ化カリウム、和光純薬工業社製
<物性の測定方法>
[硫酸相対粘度]
ポリアミド樹脂の25℃における硫酸相対粘度ηrを、JIS-K6920に準じて測定した。具体的には、98%硫酸を用いて、1w/v%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作製し、得られた溶解液を用いて25℃の温度条件下で硫酸相対粘度ηrを測定した。
[成形体中に分散するPTFEの粒子割合]
多目的試験片A形を液体窒素に投入し、充分に冷却したのち取出して全長中央部を折り曲げ破断した。破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて10,000倍で任意に5視野撮影し、粒子径が0.80μm以上の粒子個数をすべてカウントし、そのうち、2個以上の粒子が結着を起こさずに凝集している粒子を、「1次粒子の形態を保ったまま2次粒子となっている粒子」=「2次粒子形態の粒子」としてカウントし、「粒子径が0.80μm以上の2次粒子形態の粒子数/粒子径が0.80μm以上のすべての粒子数」を計算して、粒子径が0.80μm以上の粒子のうち1次粒子の形態を保ったまま2次粒子となっている粒子割合を求めた。0.80μm以上の粒子が観察されなかったときは、「0.80μm以上の粒子なし」と判断した。
[成形体中に分散するPTFEの結晶化度]
多目的試験片A形の中央部サンプルを示差走査熱量測定装置(DSC)(商品名「ダイヤモンドDSC」、パーキンエルマー社製)で測定した。50℃から350℃までを20℃/minで昇温した際に得られるフッ素系樹脂の融解ピークの融解熱量ΔH(J)の値をフッ素系樹脂の含有量(g)で除した値を成形体中のフッ素系樹脂の結晶化度(J/g)とした。
[成形体中に分散するPTFEの粒子間距離]
多目的試験片A形を表層から10μmの箇所までミクロトームにて削り取り、その表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて5,000倍で任意に3視野撮影し、画像解析ソフト(ソフト名「イメージJ」、フリーソフト)を用いて粒子同士の重心間距離で最少の距離をそれぞれの粒子で計測し、平均した値を粒子間距離とした。
[成形体中に分散するPTFEの数平均粒子径]
多目的試験片A形を表層から10μmの箇所までミクロトームにて削り取り、その表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて5,000倍で任意に3視野撮影し、観測できる粒子の面積を計測し、当該面積値を有する真円として、径を換算してその分散粒径分布を得た。得られた分散粒径分布の50%累計値を数平均粒子径とした。その際、1次粒子の凝集した2次粒子形状の粒子は1つの粒子としてカウントした。
[成形体中に分散するPTFEの1.0μm以下の粒子の個数割合]
多目的試験片A形を液体窒素に投入し、充分に冷却したのち取出して全長中央部を折り曲げ破断した。破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて5,000倍で任意に3視野撮影し、観測できる粒子長径を計測してその分散粒径分布を得、1.00μm以下の粒子の数をカウントし、全粒子数に対する個数割合を算出した。
[パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量]
PTFE粒子は購入した状態の試料1gを測定に用いた。ポリアミド樹脂組成物のペレットは凍結粉砕により粉体とした試料1gを測定に用いた。各試料1gにアセトン10mLを添加し、30分間超音波で抽出した。その後、遠心分離を実施し、上澄みを採取して乾燥した。その後、水とメタノールの混合溶媒に溶解し、液体クロマトグラフ-質量分析装置(LC-MS)(Waters UPLC、SynaptG2)により測定して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量を定量した。
<評価方法>
[摺動特性]
摺動特性の評価として、摩擦及び摩耗試験を行った。
相手材としてφ8mm、長さ22mm、表面粗度5μmに切削加工した構造用炭素鋼S45Cを用い、円筒を横向きに十字に配した後、摺動特性評価用試験片を上から接触し、以下の測定条件にて荷重を掛けて回転運動させることにより摩擦係数及び摩耗量を測定した。
(試験条件)
初期面圧8.6MPa、周速度0.056m/secで回転運動を与え、24時間連続運転
JIS K7218:1986に準拠し、試験機でトルクを測定して、摺動特性評価用試験片の平均半径と加圧力で割り、摩擦係数を求めた。
試験開始前の摺動特性評価用試験片の質量A(mg)を小数点第一位まで測定し、試験終了の24時間後の質量B(mg)を同様に測定して、A-Bにより摩耗量を求めた。
[機械特性]
機械特性の評価として、引張試験及びシャルピー衝撃強度の測定を行った。
(引張試験)
A形試験片を用い、ISO 527に準拠し、試験速度50mm/minで引張試験を行い、引張強度を測定した。
また、以下の式に示すように、破断したときのチャック間の変位量を試験前の初期チャック間距離に対する割合を引張伸度(%)とした。
「引張伸度(%)」=100×(破断変位量)/(初期チャック間距離)
(シャルピー衝撃強度)
多目的試験片A形を80×10×4mmに加工し、ISO 179に準拠して、ノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。
[外観]
外観の評価として、シルバーストリーク(銀条)を評価した。
10枚の外観評価用試験片の両面(合計20面)を観察し、全ての面でシルバーストリークによる白化部分が観察されないものをA、白化部分が観察される面の数が5つ以下のものをB、白化部分が観察される面が6つ以上のものをCと評価した。
<成形体の製造>
[実施例1]
1.ポリアミド樹脂組成物PA-a1の製造
スクリュー径26mmの二軸押出機(コペリオン株式会社製、商品名「ZSK26MC」)を用いて、表1に記載の配合組成に従い、(A)-1に、(C1)-1及び(C2)-1を添着した混合物をトップフィードとして供給し、ポリテトラフルオロエチレンの粉体である(B)-1をサイドフィードとして供給して、表1に記載した設定温度の押出条件で溶融混練をスクリュー回転数300rpmで実施し、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その際、(B)-1を投入するサイドフィードの位置は全12バレル中、上流から数えて7バレル目に設定した。
2.成形体の製造
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機PS-40E(日精樹脂株式会社製)を用いて、射出+保圧時間25秒、冷却時間15秒、金型温度を80℃、シリンダー温度を(ポリアミド樹脂の融点+30)℃に設定し、ISO 3167、多目的試験片A形の試験片を成形した。
また、上記成形条件にて、得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを射出成形し、外径φ25.7mm×内径φ20mm×高さ17mmの中空円筒状試験片を作製し、摺動特性評価用試験片を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機PS-40E(日精樹脂株式会社製)を用いて、金型温度を80℃、溶融樹脂温度290℃に設定し、ISO 294-3に準じてタイプD1の金型を用いて、60mm×60mm×2mmの成形片を、射出時の充填時間を1秒、保圧5秒で成形し、外観評価用試験片を得た。
[実施例2~7及び比較例1~4]
原料の組成及び配合量、押出機の設定温度、並びにフィード位置を表1~表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法を用いて各ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。次いで、実施例1と同様の方法を用いて各成形体を得た。
実施例及び比較例で得られた成形体の物性値及び評価結果を表1~表2に示す。
Figure 2023061369000001
Figure 2023061369000002
表1~表2に示すように、成形体中の(B)フッ素系樹脂の数平均粒子径が1.00μm以下であり、(B)フッ素系樹脂の結晶化度が42J/g以上であり、且つ、PFOA含有量が25質量ppb以下である成形体(実施例1~7)では、摺動特性(摩擦係数及び摩擦量)と、靭性及び耐衝撃性等の機械特性とのバランスに優れていた。また、シルバーストリークを低く抑えることができ、外観も優れていた。
一方、成形体中の(B)フッ素系樹脂の数平均粒子径が1.00μm超である成形体(比較例1)、成形体中の(B)フッ素系樹脂の数平均粒子径が1.00μm超であり、且つ、(B)フッ素系樹脂の結晶化度が42J/g未満である成形体(比較例2)、(B)フッ素系樹脂を配合していない成形体(比較例3)、及び、PFOA含有量が25質量ppb超である成形体(比較例4)では、摺動特性(摩擦係数及び摩擦量)と、靭性及び耐衝撃性等の機械特性、及び外観の全て優れるものは得られなかった。
本実施形態の成形体は、摺動特性と機械的性質に優れることから、自動車分野、電気及び電子分野、機械及び工業分野、事務機器分野、航空及び宇宙分野等において、好適に用いられる。

Claims (9)

  1. (A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂を含有し、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)フッ素系樹脂の含有量が1質量部以上15質量部以下であるポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体であって、
    前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径が1.00μm以下であり、
    前記(B)フッ素系樹脂の結晶化度が42J/g以上であり、且つ、
    前記ポリアミド樹脂組成物の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下である、成形体。
  2. 前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子間距離が3.0μm以下である、請求項1に記載の成形体。
  3. 前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子のうち、数平均粒子径が1.00μm以下の粒子の個数割合が、70%以上である、請求項1又は2に記載の成形体。
  4. 前記(B)フッ素系樹脂が、数平均1次粒子径が0.10μm以上0.80μm以下の粉体である、請求項1又は2に記載の成形体。
  5. 前記(B)フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレンである、請求項1又は2に記載の成形体。
  6. 前記(B)フッ素系樹脂の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下である、請求項1又は2に記載の成形体。
  7. 前記(A)ポリアミド樹脂がポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド610、及びポリアミド612からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1又は2に記載の成形体。
  8. 前記(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度が2.0以上4.5以下である、請求項1又は2に記載の成形体。
  9. (A)ポリアミド樹脂及び(B)フッ素系樹脂を、混合及び混錬し、ポリアミド樹脂組成物を得る工程1と、
    前記ポリアミド樹脂組成物を成形する工程2と、
    を含む、成形体の製造方法であって、
    前記(B)フッ素系樹脂の総質量に対して、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb以下であり、
    前記(A)ポリアミド樹脂中に分散する前記(B)フッ素系樹脂の粒子の数平均粒子径が1.00μm以下であり、且つ、
    前記(B)フッ素系樹脂の結晶化度が42J/g以上である、成形体の製造方法。
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