JP2023060395A - 排ガス浄化装置 - Google Patents

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Tomoaki Sunada
義輝 矢澤
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Abstract

【課題】吹き抜けによる浄化作用の低下を抑制する排ガス浄化装置を提供する。【解決手段】排ガス浄化装置1は、内燃機関の排ガス流路100に設けられる。そして、排ガス浄化装置1は、ハニカム触媒10を備える。ハニカム触媒10は、セリア-ジルコニア固溶体を主原料として含む基材11に、触媒が担持されてなる。そして、ハニカム触媒10は、貫通孔からなる複数のセルを備えており、複数のセルには、セルの貫通方向Xの長さが互いに異なるものが含まれている。【選択図】図1

Description

本発明は、排ガス浄化装置に関する。
自動車等の内燃機関の排ガス浄化装置として、浄化作用を有する触媒を基材に担持させた触媒担持構造を有するものが広く使用されている。近年、排ガス規制の厳格化に伴って、排ガス浄化用の触媒の早期活性化が要求されているが、上記触媒担持構造においては触媒を担持する基材が浄化作用に実質的に関与しておらず、全体として熱容量が大きくなり触媒の早期活性化が阻害されている。さらに、触媒作用を高めるために触媒とともに助触媒を基材に担持させることも行われている。しかしながら、通常、助触媒及び触媒は500℃程度の比較的低温の状態で担持されるため、1000℃程度の高温の排気環境においては助触媒及び触媒が凝集して触媒の表面積が減少して浄化作用が低下することから助触媒及び触媒の担持量を予め多くしておく必要があり、コスト高である。また、排ガスと触媒との接触面積を大きくするために、基材は例えば複数のセルを有するハニカム状とすることができる。しかしながら、セル壁の表面に助触媒及び触媒が担持された状態であるため、セルの目詰まりにより圧損が上昇しやすく、浄化作用が低下しやすい。
かかる触媒担持構造の問題を解消すべく、特許文献1には、助触媒であるセリア-ジルコニア固溶体を主原料として含むハニカム構造を有する基材に触媒を担持したハニカム触媒の構成が開示されている。当該ハニカム触媒では、基材自身が助触媒を主原料として含むため、触媒作用に実質的に関与しない骨格を用いる必要がないとともに、従来のコージェライトなどに比べて軽量である。そのため、全体として熱容量を低減でき早期活性化を促すことができる。また、基材は助触媒を1100℃程度の高温で焼成した後、低温で触媒を当該基材に担持しているため、高温の排気環境においても助触媒の凝集が抑制されるとともに、これに伴って触媒の凝集も低減される。そのため、触媒の表面積の減少が抑制されて浄化作用の低下が防止される。また、助触媒及び触媒を担持させる場合に比べて、基材表面に助触媒を担持させる必要がないため、圧損の上昇が抑制されて浄化作用の低下が防止される。
特開2018-008232号公報
特許文献1に開示の構成では、ハニカム触媒はセルの貫通方向に延びる円柱状であって、両端面は当該貫通方向に垂直な面となっており、当該貫通方向におけるセルの長さはセルの位置によらず一定となっている。そして、かかるハニカム触媒を排ガス流路に配置したとき、排ガスをハニカム触媒に流入させる側の配管である入口側配管が、ハニカム触媒におけるセルの貫通方向に平行とならずに当該貫通方向に対して傾斜した状態となる場合がある。この場合、入口側配管からハニカム触媒に流入する排ガスは、ハニカム触媒の上流側端面に対して傾斜した向きでハニカム触媒に入り込むこととなる。そうすると、ハニカム触媒の上流側端面からハニカム触媒のセルを通過する排ガスの流速に偏りが生じやすい。そして、いずれのセルも貫通方向の長さは一定であるため、当該流速が速い領域では排ガスのセル内の滞在時間が短くなる。その結果、流速が速い領域では吹き抜けが生じて、排ガスと触媒との接触頻度が低下し、浄化作用が低下することとなる。一方、排ガスと触媒との接触頻度を高めるためにハニカム触媒を長くすることが考えられる。しかしながら、ハニカム触媒を単に長くするだけでは、ハニカム触媒の質量が増加することにより熱容量が増加するため、触媒の早期活性化が阻害され、浄化作用が低下する。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、吹き抜けによる浄化作用の低下を抑制する排ガス浄化装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、内燃機関の排ガス流路(100)に設けられる排ガス浄化装置(1)であって、
ハニカム構造を有するとともにセリア-ジルコニア固溶体を主原料として含む基材(11)に、触媒が担持されてなるハニカム触媒(10)を備え、
上記ハニカム触媒は、貫通孔からなる複数のセル(14)を備えており、
該複数のセルには、上記セルの貫通方向の長さが互いに異なるものが含まれている、排ガス浄化装置にある。
上記排ガス浄化装置において、ハニカム触媒に備えられる複数のセルにはセルの貫通方向の長さが互いに異なるものが含まれている。このように構成された排ガス浄化装置は、ハニカム触媒の上流側端面において、複数のセルのうち貫通方向の長さが比較的長いセルが、排ガス流路の入口側配管の軸線上に位置するように、排ガス流路に配置することで、流速の速い排ガスのセル内の滞在時間を長くすることができるようになっている。これにより、排ガスの吹き抜けを抑制して排ガスと触媒との接触頻度の低下を防ぎ、浄化作用の低下を抑制することができる。さらに、ハニカム触媒の全体を長くしてセルの貫通方向の長さを長くした場合に比べて、ハニカム触媒の質量を小さくできるため、触媒の早期活性を促して浄化作用の低下を抑制することができる。
以上のごとく、上記態様によれば、吹き抜けによる浄化作用の低下を抑制する排ガス浄化装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、排ガス浄化装置の構成を示す概念断面図。 実施形態1における、ハニカム触媒の構成を示す概念断面図。 確認試験1の試験結果を示す図。 実施形態1における、確認試験2~5に用いた排ガス浄化装置の構成を示す概念断面図。 確認試験2の試験結果を示す図。 確認試験2の他の試験結果を示す図。 確認試験3の試験結果を示す図。 確認試験4の試験結果を示す図。 確認試験5の試験結果を示す図。 変形形態1におけるハニカム触媒の構成を示す概念断面図。 (a)変形形態2におけるハニカム触媒の構成を示す概念断面図、(b)変形形態3におけるハニカム触媒の構成を示す概念断面図。 (a)変形形態4におけるハニカム触媒の構成を示す概念断面図、(b)(a)におけるXIIb-XIIb線位置でのハニカム触媒の概念断面図。
(実施形態1)
上記排ガス浄化装置の実施形態について、図1~図9を用いて説明する。
本実施形態の排ガス浄化装置1は、図1に示すように、内燃機関の排ガス流路100に設けられる。そして、排ガス浄化装置1は、ハニカム触媒10を備える。
ハニカム触媒10は、セリア-ジルコニア固溶体を主原料として含む基材11に、触媒が担持されてなる。
そして、図2に示すように、ハニカム触媒10は、貫通孔からなる複数のセル14を備えており、複数のセル14には、セル14の貫通方向Xの長さが互いに異なるものが含まれている。
以下、本実施形態の排ガス浄化装置1について、詳述する。
図1に示すように、排ガス浄化装置1は金属製のケーシング30を有する。ケーシング30は筒状をなしており、ケーシング30内にハニカム触媒10が保持されている。ケーシング30の第1端部31は開口しており、排ガス流路100の上流側X1に接続されている。そして、排ガス流路100において当該第1端部31が接続された配管を入口側配管101というものとする。一方、ケーシング30の第2端部32は開口しており、排ガス流路100の下流側X2に接続されている。そして、排ガス流路100において当該第2端部32が接続された配管を出口側配管102というものとする。排ガスF1は。入口側配管101から排ガス浄化装置1に流入し、浄化されて出口側配管から排ガスF2として排出される。ケーシング30とハニカム触媒10との間には、マット33が介在している。マット33は、ハニカム触媒10を周方向に覆うように設けられている。マット33は弾性を有する部材からなり、マット33を介してケーシング30によりハニカム触媒10が内側に押し付けられるようになっている。
図2に示すハニカム触媒10は略円柱形の外形を有している。そして、ハニカム触媒10を構成する基材11はセル部12とスキン部13とを含む。セル部12はハニカム構造を有している。ハニカム構造とは、多孔質のセル壁12aにより、排ガスの流路となる複数のセル14が区画形成された構造である。本実施形態では、各セル14における排ガス流れ方向Xの両端部は目封じされずに開放されており、各セル14は貫通方向Xに貫通した貫通孔として形成されている。貫通方向Xに直交する断面におけるセル14の形状は特に限定されず、四角形、六角形としたりすることができる。スキン部13は、セル部12の外周に設けられており、基材11の外周壁を構成している。
図2に示すように、複数のセル14には、符号14aと符号14bで示したように、貫通方向Xの長さが互いに異なるものが含まれている。本実施形態では図1、図2に示すように、ハニカム触媒10の上流側端面10aの全域がセル14の貫通方向Xに対して傾斜していることにより、貫通方向Xの長さが互いに異なるセル14が形成されるようになっている。上流側端面10aと、セル14の貫通方向Xに直行する仮想直線10dとがなす角のうちの鋭角側の角θは、0.06~35degの範囲内とすることができ、本実施形態では、5.5degとしている。
図2に示すように、ハニカム触媒10のセル14の貫通方向Xの長さ、すなわちハニカム触媒10の上流側端面10aから下流側端面10bまでの距離は限定されないが、例えば、ハニカム触媒10の上流側端面10aから下流側端面10bまでの距離の最小値L2は80~120mmの範囲内とすることができる。セル14の貫通方向Xの長さもこれと同様となっている。本実施形態1では、ハニカム触媒10の上流側端面10aから下流側端面10bまでの距離の最大値L1と最小値L2との差ΔLは、0.01~74mmとすることができ、本実施形態1では10mmとなっている。
図2に示す基材11はセリア-ジルコニア固溶体を主原料として含む。セリア-ジルコニア固溶体は、助触媒として機能する。助触媒とは、自分単独では触媒作用をもたらせないが、所定の触媒における触媒反応を補助する作用をもたらすものをいう。例えば、セル部12は、セリア-ジルコニア固溶体を主成分とする原料粒子と、該原料粒子同士を接合する無機バインダを含む材料とから構成することができる。また、基材11は、貴金属を含んでいてもよい。当該貴金属としては、触媒作用をもたらす金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウムなどを採用することができる。無機バインダとしては、γ-アルミナ、θ-アルミナ、α-アルミナなどのアルミナや他の公知のものを採用することができる。中でも無機バインダとして、γ-アルミナを採用することが好ましい。γ-アルミナは立方晶系の結晶構造を有して比表面積が高いため、触媒作用の向上に寄与する。一方、無機バインダとしてγ-アルミナ、θ-アルミナ、α-アルミナのうちのいずれかまたは全てを共存させてもよい。これにより、基材11の製造工程において、より高い焼成温度でセル部12を焼結させることができ、高温となる排ガス流路100においてセル部12のハニカム構造を維持しやすくなる。なお、基材11においてセル部12とスキン部13とは同一の組成であってよいし、異なる組成であってもよい。本実施形態では、基材11を構成するセル部12及びスキン部13は、主原料としてのセリア-ジルコニア固溶体と、無機バインダとしてのアルミナとからなるACZ基材とした。
基材11には、図示しない触媒が担持されている。本実施形態では、触媒としてPt、Pd、Rhを含む三元触媒を採用している。基材11に触媒とともにさらに助触媒を担持させてもよい。
図2に示す基材11におけるセル壁12aの厚さTは、例えば1.5~12milとすることができ、好ましくは1.5~3.5milとすることができる。また、セル部12のセル密度は、例えば200~1200cpsiとすることができ、好ましくは600~1200cpsiとすることができる。また、ハニカム触媒10における基材11の気孔率は、50%~60%とすることができる。
図1、2に示すように、本実施形態1では、排ガス流路100における入口側配管101の軸線101aと、ハニカム触媒10の軸線10cとのなす角αは20degとなっている。そして、軸線101aが上流側端面10aに交差する位置15にあるセル14の貫通方向Xの長さは、ハニカム触媒10における複数のセル14の中で比較的長くなっている。
(確認試験1)
確認試験1として、ハニカム触媒10のセル14を通過する排ガスの流速と、上流側端面10aと仮想直線10dとのなす角θとの関係について、下記のシミュレーション試験を行った。
試験例1としてθ=5.5deg、試験例2としてθ=0.28degとし、比較例1としてθ=0degとした。なお、L1とLA2との差ΔLは、試験例1では10mm、試験例2では0.5mm、比較例1では0mmである。
試験条件は、図1に示す排ガスF1を流量160g/s、温度を850℃とし、ハニカム触媒10の長さの最小値L2は100mmであって、上流側端面10aと仮想直線10dとのなす角θを適宜変更して、下流側端面10bから吹き出る排ガスの流速を導き出した。試験結果を図3に示す。なお、縦軸は、下流側端面10bにおける位置をハニカム触媒10の軸線10cから距離として表したものであって、縦軸の0は下流側端面10bにおける軸線10c上の位置を示す。
図3に示すように、θ=0degであって上流側端面10aが傾斜していない場合に比べて、上流側端面10aが傾斜してθ=0.28degである場合は、全体として流速が遅くなっているが、排ガスの流量の多い主流部において特に流速が遅くなっている。さらに、上流側端面10aが傾斜してθ=5.5degである場合は、一層流速が遅くなっている。すなわち、図2において、ハニカム触媒10を通過する排ガスの流速分布は破線Sで示され、入口側配管101の軸線101aと上流側端面10aとの交点の位置15付近から流入する排ガスが排ガス流れの主流部となっている。そして、当該主流部の流速が抑制されることにより、排ガスがハニカム触媒10内に滞在する時間が長くなる。これにより、排ガスとハニカム触媒10の触媒との接触頻度が高くなり、浄化作用が向上すると推察される。
(確認試験2)
次に、確認試験2として、ハニカム触媒10の上流側端面10aと仮想直線10dとのなす角θ及びL1とLA2との差ΔLと、浄化率との関係について、下記の試験を行った。確認試験2では、図4に示すように、ハニカム触媒10の長さL2を40mmとし、ハニカム触媒10の下流側X2に、基材がACZ基材からなるとともに長さL3が65mmの円柱形のハニカム触媒20を備える排ガス浄化装置1において、下記の表1の通り、角θを変更した試験例3~7と比較例2を用意した。
確認試験2における試験条件は、2.0Lガソリン過給直噴車両において、排ガス浄化装置をターボチャージャの後段に搭載し、シャシダイナモによる試験として欧州規制運転モードであるWLTCモードで走行させ、-7℃のコールドスタートによるBag-1フェーズにおけるHC浄化率を取得するものとした。HC浄化率は、図8に示す排ガス浄化装置1に流入する排ガスF1におけるHC(炭化水素)の濃度に対する、排ガス浄化装置1から排出された排ガスF2におけるHCの濃度の低下率である。なお、前処理として、所定温度の排ガスで50時間の耐久処理を行った。そして、確認試験2の試験結果を表1と図5、図6に示した。
Figure 2023060395000002
表1及び図5、6に示すように、試験例3~7において比較的高い浄化率が得られた。特に、表1及び図5に示すように、上流側端面10aと仮想直線10dとのなす角θが0.06~35degである試験例3~6において、比較例2よりも浄化率が向上していることが確認できた。また、表1及び図6に示すように、L1とLA2との差ΔLが0.1~74mmである試験例3~6において、比較例2よりも浄化率が向上していることが確認できた。これは、L1とLA2との差ΔLを74mm以下とすることで、ハニカム触媒10の質量が過度に大きくなることが防止されて、触媒の早期活性化が図られるためと推察される。
(確認試験3)
次に、図4に示すハニカム触媒10におけるセル壁12aの厚さTとHC浄化率との関係について、以下の確認試験3を行った。
確認試験3では、まず、試験例8として、図4に示す確認試験2で用いた排ガス浄化装置1において、上流側端面10aと仮想直線10dとのなす角θを0.28deg、ハニカム触媒10のセル密度を600cpsiとし、ハニカム触媒10におけるセル壁の厚さを1.0~15milの範囲内で変更した。
また、試験例9として、上流側X1に位置するハニカム触媒10の構成は試験例8と同様としたうえで、下流側X2に位置するハニカム触媒20における基材がコージェライトからなるものを採用し、当該基材に助触媒及び触媒を担持させた。そして、試験例9においてハニカム触媒10における上流側端面10aと仮想直線10dとのなす角θを0.28deg、セル密度を600cpsiとし、セル壁の厚さを1.0~15milの範囲内で変更した。また、試験例9においてハニカム触媒20におけるセル壁の厚さは2.5milとし、セル密度は600cpsiとした。確認試験3における試験条件は、確認試験2と同様とした。そして、確認試験3の試験結果を図7に示した。
図9に示すように、確認試験3の試験結果において、試験例8、9のいずれも、ハニカム触媒10のセル壁12aの厚さTが1.5~12milの範囲内において、HC浄化率が高い状態に維持されることが確認された。また、セル壁12aの厚さTが2.5~5.0milの範囲内において、HC浄化率が一層高い状態に維持されることが確認された。なお、試験例8、9はいずれも同等のHC浄化率を示していた。そして、セル壁12aの厚さTが1.5mil未満では、助触媒を主原料として含むセル壁12aが薄くなり助触媒が少なくなるため触媒作用が低下したものと推察される。また、セル壁12aの厚さTが12milを超える場合には、ハニカム触媒10の質量が大きくなるため早期活性化が阻害されたものと推察される。
(確認試験4)
次に、ハニカム触媒10のセル密度とHC浄化率との関係について、以下の確認試験4を行った。なお、確認試験4における試験条件は、上記確認試験3と同様である。確認試験4では、試験例10として、上記確認試験3における試験例8と同様の構成においてハニカム触媒10、20におけるセル壁12aの厚さTを3.5milとするとともに、ハニカム触媒10、20のセル密度を変更したものを用意した。また、試験例10として、上記確認試験3における試験例9と同様の構成においてハニカム触媒10におけるセル壁12aの厚さTを3.5milとし、ハニカム触媒20におけるセル壁12aの厚さTを2.5milとするとともに、ハニカム触媒10のセル密度を変更したものを用意した。そして、試験結果を図8に示した。
図10に示すように、確認試験4の試験結果において、試験例10、11のいずれにおいても、セル密度が200~1200cpsiにおいて、HC浄化率が高い状態に維持されることが確認された。そして、セル密度が200cpsi未満の場合は、触媒が不足して触媒作用が十分に得られないものと推察される。一方、セル密度が1200cpsiを超える場合は、ハニカム触媒10の質量が大きくなるため早期活性化が阻害されたものと推察される。また、試験例10は、試験例11に比べて、HC浄化率が若干高いことが確認された。これは、ハニカム触媒20における基材が助触媒を主原料として含むACZ基材であることにより軽量化が図られたため、ハニカム触媒20の早期活性化が図られたものと推察される。
(確認試験5)
次に、ハニカム触媒10の気孔率とHC浄化率との関係について確認試験5を行った。確認試験5では、なお、確認試験5における試験条件は、上記確認試験3と同様である。確認試験5では、試験例12として、上記確認試験3における試験例8と同様の構成においてハニカム触媒10、20におけるセル壁12aの厚さTを3.5milとするとともに、ハニカム触媒10、20の気孔率を変更したものを用意した。また、試験例13として、上記確認試験3における試験例9と同様の構成においてハニカム触媒10におけるセル壁12aの厚さTを3.5milとし、ハニカム触媒20におけるセル壁12aの厚さTを2.5milとするとともに、ハニカム触媒10の気孔率を変更したものを用意した。そして、確認試験5の試験結果を図9に示した。
図9に示すように、確認試験5の試験結果において、気孔率が50%より低い場合は、HC浄化率が低下していた。これは、気孔率が低くなることにより、ハニカム触媒10の基材11の表面が緻密になるため、基材11に担持された触媒の表面積の低下を招いて触媒と排ガスとの接触頻度が低下することにより、触媒活性が低下する傾向があることに起因するものと推察される。また、気孔率が60%より高い場合も、HC浄化率が低下していた。これは、気孔率が高くなると、基材11を構成する助触媒が少なくなり触媒活性が低下するためにHC浄化率が低下したものと推察される。
次に、本実施形態の排ガス浄化装置1における作用効果について、詳述する。
本実施形態の排ガス浄化装置1において、ハニカム触媒10に備えられる複数のセル14にはセル14の貫通方向Xの長さが互いに異なるものが含まれている。このように構成された排ガス浄化装置1は、ハニカム触媒10の上流側端面10aにおいて、複数のセル14のうち貫通方向Xの長さが比較的長いセルが、排ガス流路100の入口側配管101の軸線101a上に位置するように排ガス流路100に配置することで、流速の速い排ガスのセル14内の滞在時間を長くすることができるようになっている。これにより、排ガスの吹き抜けを抑制して排ガスと触媒との接触頻度の低下を防ぎ、浄化作用の低下を抑制することができる。さらに、ハニカム触媒10の全体を長くしてセル14の貫通方向の長さを長くした場合に比べて、ハニカム触媒10の質量を小さくできるため、触媒の早期活性を促して浄化作用の低下を抑制することができる。
本実施形態1では、ハニカム触媒10の上流側端面10aの全域が、セル14の貫通方向Xに対して傾斜している。これにより、上流側端面10aの全域において、ハニカム触媒10内を通過する排ガスの流速の分布に合わせて、セル14の貫通方向Xの長さを異ならせることができるため、排ガスの吹き抜けをより一層防止でき、浄化作用の低下を一層抑制することができる。また、ハニカム触媒10の成形が容易となる。
本実施形態1では、ハニカム触媒10の上流側端面10aにおけるセル14の貫通方向Xに対して傾斜している傾斜部分と、セル14の貫通方向Xに直行する仮想直線10dとがなす角のうちの鋭角側の角θは、0.06~35degの範囲内である。これにより、上流側端面10aの傾斜部分の傾斜角度を、排ガス流路100の入口側配管101の傾斜に合わせやすくなり、浄化作用の低下を一層抑制することができる。
本実施形態1では、セル14の貫通方向Xにおいて、ハニカム触媒10の上流側端面10aから下流側端面10bまでの距離の最大値L1と最小値L2との差ΔLは、0.01~74mmの範囲内である。これにより、排ガス流路100の入口側配管101の傾斜に合わせて、セル14の貫通方向Xの長さを異ならせやすくなり、浄化作用の低下を一層抑制することができる。
本実施形態1では、図1や図5に示すようにハニカム触媒10の上流側端面10aの全域を傾斜面としたが、これに替えて、図10に示す変形形態1のように、ハニカム触媒10の下流側端面10bが傾斜していてもよい。変形形態1では、下流側端面10bの傾斜の向きは本実施形態1における上流側端面10aの傾斜の向きと反対向きとすることができる。
また、図11(a)に示す変形形態2や、図11(b)に示す変形形態3のように、上流側端面10aのうち、上流側端面10aと軸線101aとが交差する位置15を含む領域のみを傾斜面としてもよい。
本実施形態1及び変形形態1~3のように、ハニカム触媒10の上流側端面10aの少なくとも一部又は下流側端面10bの少なくとも一部が、セル14の貫通方向Xに対して傾斜していることとすることができる。これにより、容易にセル14の貫通方向Xの長さを異ならせることができ、浄化作用の低下を抑制することができる。
また、図12(a)に示す変形形態4のように、ハニカム触媒10の上流側端面10aにおいて、上流側端面10aと軸線101aとが交差する位置15を含む領域のみを上流側X1に突出させた突出部16を有していてもよい。なお、図12(b)に示すように、突出部16の軸線10cに直交する断面形状の外形は半円形状ととなっている。この場合も、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
なお、上記変形形態1~4において、本実施形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
以上のごとく、実施態様1及び変形形態1~4によれば、吹き抜けによる浄化作用の低下を抑制する排ガス浄化装置を提供することができる。
本発明は上記実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
1 排ガス浄化装置
10 ハニカム触媒
10a 上流側端面
10b 下流側端面
10d 仮想直線
11 基材
12 セル部
12a セル壁
13 スキン部
14 セル
20 ハニカム触媒
100 排ガス流路
101 入口側配管
102 出口側配管

Claims (5)

  1. 内燃機関の排ガス流路(100)に設けられる排ガス浄化装置(1)であって、
    ハニカム構造を有するとともにセリア-ジルコニア固溶体を主原料として含む基材(11)に、触媒が担持されてなるハニカム触媒(10)を備え、
    上記ハニカム触媒は、貫通孔からなる複数のセル(14)を備えており、
    該複数のセルには、上記セルの貫通方向の長さが互いに異なるものが含まれている、排ガス浄化装置。
  2. 上記ハニカム触媒の上流側端面(10a)の少なくとも一部又は下流側端面(10b)の少なくとも一部が、上記セルの貫通方向に対して傾斜している、請求項1に記載の排ガス浄化装置。
  3. 上記ハニカム触媒の上流側端面(10a)の全域が、上記セルの貫通方向に対して傾斜している、請求項1に記載の排ガス浄化装置。
  4. 上記ハニカム触媒の上流側端面における上記セルの貫通方向に対して傾斜している傾斜部分と、上記セルの貫通方向に直行する仮想直線(10d)とがなす角のうちの鋭角側の角は、0.06~35degの範囲内である、請求項3に記載の排ガス浄化装置。
  5. 上記セルの貫通方向において、上記ハニカム触媒の上流側端面から下流側端面までの距離の最大値と最小値との差は、0.01~74mmの範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
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