JP2023056280A - 鉄筋コンクリートの鉄筋構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造で鉄筋とコンクリートとの定着強度や重ね継手の継手強度を高めることができる鉄筋コンクリート構造物の提供。【解決手段】この鉄筋コンクリート構造物1は、鉄筋3の長手方向に間隔をおいて鉄筋径より大径の複数の拡径支圧部5,5を備え、拡径支圧部5が鉄筋3に形成されたネジ部に螺合された複数のナット型部材6,7からなる可動拡径支圧体によって構成され、ナット型部材7が隣り合う他のナット型部材6側に締め付けられ、可動拡径支圧体が鉄筋3の所望の位置に固定されるようにしている。【選択図】図1
Description
本発明は、あき重ね継手や鉄筋定着に用いられる鉄筋コンクリートの鉄筋構造に関する。
従来の鉄筋コンクリート構造物では、コンクリート内に埋設される鉄筋間を繋ぐ継手として重ね継手が広く用いられている。
重ね継手は、繋ぎ合わせる鉄筋の所要長さ分(継手長)だけを互いに重複させ、鉄筋間の引張力をコンクリートとの付着を介してそれぞれ鉄筋に伝達されるようにしている。
この種の重ね継手では、継手長が一般に鉄筋径の30倍~35倍程度に設定されるため、鉄筋径が大きいほど継手長が長くなり、施工性が著しく低下するという問題があった。
よって、鉄筋径が大きい場合には、鉄筋間を繋ぐ継手として、機械式継手、ガス圧接継手、エンクローズ溶接等が用いられる場合が多かった。
また、重ね継手には、別の形態として鉄筋間に間隔(あき)を設け、鉄筋同士が接触しないようにしたあき重ね継手も知られている。
このあき重ね継手は、所定の基準、即ち、継手長L1に対し、間隔(あき)が0.2L1且つ150mm以下であるという基準を満たせば重ね継手と同等に扱うことができる。
一方、床版の施工においては、現在、代表的なループ継手を用いた工法の他、所定の間隔をおいて互いに突き合わせて配置されたプレキャスト床版部材の互いに対向する端面から突出した鉄筋の端部を互いに重複させ、その部分にコンクリートを打設してプレキャスト床版部材間を連結する工法が使用されている。
この種の工法では、プレキャスト床版部材の端面から突出した鉄筋の端部に鉄筋径より大径の頭部を設け、コンクリートとの付着力と頭部に作用する支圧抵抗力の複合作用により重複させる部分の長さ(継手長)を従来よりも短くした継手構造が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、コンクリート梁とコンクリート柱との接合のように、構造物を構成する構造体同士の接合部では、両構造体間の十分な接合強度を確保するため、一方の構造体に埋設された鉄筋の端部を他方の構造体に定着させる必要があり、その場合、コンクリート柱に定着させる鉄筋をL字型に屈曲させる等して十分な定着長を確保していた。
しかしながら、鉄筋の定着部においては、鉄筋を屈曲させるだけのスペースを確保し難い状況が生じる場合もあり、そのような場合には、他方の構造体に定着させる鉄筋の端部に鉄筋径より大径の頭部を設け、頭部に作用する支圧抵抗力を利用して定着長の短縮が図られている。
しかしながら、上述の如き従来の技術では、鉄筋径が大きい場合に用いる機械式継手、ガス圧接継手、エンクローズ溶接等の継手構造は、構造及び施工が大掛かりとなり、その分コストが嵩むという問題があり、また、重ね継手に比べて施工性が悪いという問題があった。
一方、床版の施工で用いられている鉄筋の端部に頭部を設けたあき重ね継手構造は、一般の重ね継手構造に比べて継手長を短くすることができるが、このような頭部を施工現場で取付けることが困難であり、事前に工場において頭部を圧着や溶接等で鉄筋端部に固定するようにしていたため、施工現場において頭部の位置を自由に設定することができず、施工中に継手長を調節したい場合が生じた際に、対応できないという問題があった。
また、構造体間の接合にあって、定着部の鉄筋に頭部を設ける際にも同様の問題が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、簡易な構造で鉄筋とコンクリートとの定着強度やあき重ね継手の継手強度を高めることができる鉄筋コンクリートの鉄筋構造の提供を目的としてなされたものである。
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、コンクリート、又はコンクリート部材間に充填されるモルタル或いはコンクリート内に埋設された鉄筋に鉄筋径より大径の拡径支圧部を備えてなる鉄筋コンクリートの鉄筋構造において、前記鉄筋の長手方向に間隔をおいて複数の拡径支圧部を備え、該複数の拡径支圧部の少なくとも一は、前記鉄筋に形成されたネジ部に螺合された複数のナット型部材からなる可動拡径支圧体によって構成され、前記複数のナット型部材の少なくとも一が隣り合う他のナット型部材に締め付けられ、前記可動拡径支圧体が前記鉄筋の所望の位置に固定されるようにしたことにある。
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、コンクリート、又はコンクリート部材間に充填されるモルタル或いはコンクリート内において長手方向に連なる鉄筋の端部が互いに所定長さ分だけ重複されてあき重ね継手が形成され、前記複数の拡径支圧部は、重複される前記鉄筋の端部に設けられたことにある。
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記複数の拡径支圧部は、鉄筋コンクリート構造物を構成する構造体間の接合部にあって、一の構造体に支持された鉄筋の他の構造体内に定着される部分に備えられていることにある。
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1~3の何れか一の構成に加え、前記複数の拡径支圧部の全てが前記可動拡径支圧体によって構成されていることにある。
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1~4の何れか一の構成に加え、前記拡径支圧部間の間隔は、前記コンクリートの最大骨材寸法以上としたことにある。
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項5の構成に加え、前記複数の拡径支圧部の間隔は、前記鉄筋径の1倍から3倍であることにある。
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項1~6の何れか一の構成に加え、前記可動拡径支圧体は、前記ナット型部材を締め付ける際のトルク強度が20Nm以上180Nm以下であることにある。
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項1~7の何れか一の構成に加え、前記鉄筋は、全体にネジ部が形成されたネジ節鉄筋であることにある。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物は、請求項1の構成を具備することによって、鉄筋の直線部に作用する付着力と拡径支圧部に作用する支圧抵抗力の複合作用によりコンクリートとの定着を高めることができるとともに、施工現場において拡径支圧部の位置を任意に定めることができ、作業性の向上を図ることができる。また、複数の拡径支圧部による支圧抵抗力により、コンクリートとの定着をより高めることができる。
また、本発明において、請求項2の構成を具備することによって、隣り合う鉄筋の拡径支圧部同士が支圧抵抗力によって支え合うことによって、従来の重ね継手よりも継手長を短くすることができる。
さらに、本発明において、請求項3の構成を具備することによって、鉄筋コンクリート構造物を構成する構造体間の接合に際し、鉄筋の定着長を従来に比べ低減することができる。
また、本発明において、請求項4の構成を具備することによって、施工現場において設計変更や微調整が必要な際に、支圧抵抗力を発揮するために効果的な位置に拡径支圧部の位置を自由に設定することができる。
また、本発明において、請求項5乃至6の構成を具備することによって、コンクリートを好適に充填することができる。
また、本発明において、請求項7の構成を具備することによって、人力でコンクリートと鉄筋の付着応力以上の抵抗力が得られるように可動拡径支圧体への締め付け力を導入することができる。
また、本発明において、請求項8の構成を具備することによって、ネジ節鉄筋の支圧面積係数、即ち、単位面積当たりの鉄筋表面の突起面積が大きい為、異形鉄筋等に比べてコンクリートに対する高い付着性能が得られる。
次に、本発明に係る鉄筋コンクリートの鉄筋構造の第一の実施態様を図1~図4に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は鉄筋コンクリート構造物である。
この鉄筋コンクリート構造物1は、コンクリート2内に鉄筋3,3が埋設され、長手方向に連なる鉄筋3,3があき重ね継手によって繋がれ、各鉄筋3,3に作用する軸方向力がコンクリート2を介して伝わる構造となっている。尚、図中符号4は鉄筋3と交差する方向に配筋されている横筋である。
あき重ね継手は、長手方向に連なる鉄筋3,3の端部を互いに鉄筋3,3間に所定の間隔(あき)を設けるとともに、長手方向の所定長さ分(継手長=L1)だけ重複させて配置し、各鉄筋3,3に作用する軸方向力がコンクリート2を介して伝わる構造となっている。
尚、この重ね継手は、鉄筋3,3間に設けた間隔(あき)が所定の基準(継手長L1に対し、間隔(あき)が0.2L1且つ150mm以下)を満たすことによって、一般的な重ね継手と同等に扱うことができるようになっている。
鉄筋3,3は、長手方向に間隔をおいて鉄筋径より大径の複数の拡径支圧部5,5を備え、隣り合う鉄筋3,3の拡径支圧部5,5の支圧抵抗力で互いに支え合う構造を成している。
鉄筋3は、少なくとも端部に雄ネジからなるネジ部が形成され、全体に渡って雄ネジが形成されたネジ節鉄筋であることが望ましい。尚、鉄筋3は、ネジ節鉄筋に限定されず、エポキシ樹脂塗装鉄筋等の一般的な鉄筋に雄ネジ部を設けたものであってもよい。
拡径支圧部5,5は、ネジ部に螺合された複数(本実施例では一対)のナット型部材6,7からなる可動拡径支圧体によって構成され、複数のナット型部材6,7の少なくとも一(本実施例ではナット型部材7)が隣り合う他のナット型部材6に締め付けられることによって鉄筋3の所定の位置に固定することができるようになっている。
拡径支圧部5,5の位置は、隣り合う鉄筋3の対応する拡径支圧部5,5同士が、圧縮応力伝達領域(圧縮ストラット)が形成される方向(鉄筋3と約45度の角度を成す方向)であって、圧縮応力伝達領域が重なる位置に配置されるように調節し、隣り合う鉄筋3,3の拡径支圧部5,5が互いに支え合えるようにしている。
尚、本実施例では、拡径支圧部5,5を2カ所とした場合について説明するが、拡径支圧部5は最大で三カ所まで設定することができる。
また、本実施例では、拡径支圧部5,5の全てが可動拡径支圧体によって構成され、鉄筋3,3に対し全ての拡径支圧部5,5を任意の位置に設定できるようになっている。
ナット型部材6,7は、一般に使用される六角ナット等によって構成され、それぞれ締め付け方向が異なるように鉄筋3に螺合され、両ナット型部材6,7を螺進させて鉄筋3,3の所望の位置に移動させ、一方のナット型部材6側に他方のナット型部材7を所定のトルク(締め付け強度)で締め付けることによって、ナット型部材6,7が雄ねじと係合し、固定されるようになっている。尚、ナット型部材6,7の態様は、6角ナットに限定されるものでは無く、円板状、小判型状、矩形状等の態様を採用することができる。
尚、ナット型部材6,7の締め付けは、互いに異なる方向に締め付け、両ナット型部材6,7にトルクを導入するようにしてもよい。
ナット型部材6,7の締め付け強度は、20Nm以上180Nm以下とし、20Nm以上のトルクを導入することにより、鉄筋3とコンクリート2との付着応力以上のナットずれ抵抗を得ることができ、180Nm以下とすることで鉄筋3に形成されたネジの破損を防止することができる。
図5(a)に可動拡径支圧体とネジ節鉄筋とのズレ抵抗力の関係を検証した実験の結果を示す。
この実験は、トルクレンチを使用してナット型部材6,7同士に20,120,180Nmのトルクを導入し、図5(b)に示す装置を用いて鉄筋3に静的な引抜き荷重Pを作用させた際の鉄筋3に対するナット部材6のずれ(ナットずれ)δを計測した。
図中符号8は、変位計であり、鉄筋3に引抜荷重Pを作用させ、鉄筋3とナット型部材6とにズレが生じると、変位計8が押し込まれその押し込まれた分の変位をナットずれδとして計測する。
尚、ナット型部材6,7には、図6に示すように、呼び径d=19mm、二面幅s=31mm、対角距離e=32.6mmの6角ナットを使用した。
導入トルクに応じて引抜荷重Pは異なり、例えば、図5(a)中の左側縦点線に示す自由端すべりが鉄筋径の0.2%時点での付着応力相当は図示している通りに換算される。
よって、図5(a)より可動拡径支圧体には、トルクを20Nm以上導入する必要があることがわかる。
また、拡径支圧部5,5間の間隔は、コンクリート2の最大骨材寸法以上とし、鉄筋径の1倍から3倍とすることが望ましい。
このように構成された鉄筋コンクリート構造物1では、あき重ね継手の互いに鉄筋3,3を重複させた部分に複数の拡径支圧部5,5を設けたことにより、鉄筋3,3自体(直線部)のコンクリート2との付着強度に加え、図3に示すように、隣り合う鉄筋3,3に取り付けられた拡径支圧部5,5に所定の方向(鉄筋に対し約45度の角度を成す方向)に圧縮応力伝達領域(圧縮ストラット)Xが形成され、拡径支圧部5,5が互いに支持し合うので、機械式継手を用いずとも継手長を一般の重ね継手に比べて1/3程度とすることができる。
また、この鉄筋コンクリート構造物1は、拡径支圧部5,5を複数のナット型部材6,7からなる可動拡径支圧体によって構成したことによって、拡径支圧部5,5が鉄筋3,3と完全に一体化せず、ナット型部材6,7の締め付けによって鉄筋3,3とコンクリート2との付着応力以上のナットずれ抵抗を得ることができる。
よって、施工現場において、鉄筋3,3に対する拡径支圧部5,5の位置を任意に設定することができ、不具合や設計変更等によって生じた変化、例えば、鉄筋3,3間の鉄筋軸方向での位置ズレや隣り合う鉄筋3,3間の幅変更等に柔軟に対応することができる。
例えば、図4(a)に示すように、図3に示す鉄筋3,3の配置と比べ、鉄筋3,3同士に配筋位置の仕様変更等によって鉄筋軸方向で位置ズレが生じた場合、隣り合う鉄筋3,3の対応する拡径支圧部5,5が圧縮応力伝達領域(圧縮ストラット)Xから外れてしまい、有効な支圧効果が発揮されないおそれがある。
しかしながら、本願発明では、図4(b)に示すように、施工現場においてナット型部材6,7を移動させ、締め付けることによって容易に位置を調節して対応することができるので、拡径支圧部5による支圧効果を常に有効な状態で発揮することができる。
次に、本発明に係る鉄筋コンクリートの鉄筋構造における鉄筋の付着性能試験の結果について述べる。
本性能試験では、普通コンクリート(50N)に試験体となる鉄筋構造を埋設し、試験体の自由端に引き抜き荷重Pを作用させ、荷重と自由端すべりS0との関係を計測した。尚、自由端すべりが同値の時で引き抜き荷重が大きいほど引き抜き抵抗(付着性能)が高いことを示している。
本試験は、異形鉄筋のみの場合、ネジ節鉄筋のみの場合、ネジ節鉄筋に一対のナット型部材からなる可動拡径支圧体を一つ設けた場合(以下、ネジ節鉄筋+ナット1という)、ネジ節鉄筋に一対のナット型部材からなる可動拡径支圧体を二つ設けた場合(以下、ネジ節鉄筋+ナット2という)、二つ設けた可動拡径支圧体間の距離が広い場合(以下、ネジ節鉄筋+ナット2´という)の5つのケースの試験体を用いて実施した。
また、本性能試験では、ネジ節鉄筋+ナット1、ネジ節鉄筋+ナット2及びネジ節鉄筋+ナット2´の各場合とネジ節鉄筋のみの場合とで所定の自由端すべりS0の時の引き抜き荷重Pを比較して可動拡径支圧体の支圧力を推定し、鉄筋の付着力と可動拡径支圧体による支圧力との荷重分担についても検討した。
図7に示すように、支圧面積係数BA(単位面積当たりの鉄筋表面の突起面積)と呼ばれる指標からも明らかなように、ネジ節鉄筋の方が異形鉄筋よりも突起面積が大きく、節間への充填がされやすいため、異形鉄筋よりもネジ節鉄筋の引抜荷重が大きいことが分かる。
次に、異形鉄筋とネジ節鉄筋+ナット1を比較すると、自由端すべりが0.02mm(鉄筋径の0.1%相当)において、引抜荷重はネジ節鉄筋+ナット1の方が1.4倍の値を示しており、可動拡径支圧体による引抜抵抗の向上が確認できる。
更に、ネジ節鉄筋+ナット2及びネジ節鉄筋+ナット2´のように可動拡径支圧体が2箇所になると、引抜荷重は異形鉄筋の1.6倍大きくなる。
但し、ネジ節鉄筋+ナット2´よりもネジ節鉄筋+ナット2の方が引抜荷重は大きく、引き抜き性能は可動拡径支圧体間の距離が狭い方が良好であった。
一方、鉄筋の付着力と可動拡径支圧体の支圧力との荷重分担については、ネジ節鉄筋+ナット1の場合、図8に示すように、初期ステップでは付着力が引抜荷重の要因であり、変位ステップが進むに従い,支圧力の効果が発揮されはじめた。これは,鉄筋の荷重端から自由端に向かって付着力が発揮されるため,初期ステップでは可動拡径支圧体まで荷重が伝達されていないためである。
一方,ネジ節鉄筋+ナット2(2´)では、初期ステップから支圧力が引張荷重全体の要因の30%を占めており初期から可動拡径支圧体の効果が発揮されていることが分かる。
即ち、可動拡径支圧体を二つ設ける場合では、荷重-変位関係の初期勾配が大きく、初期の鉄筋抜け出しが少ないことが確認された。
尚、このあき重ね継手は、図9、図10に示すように、鉄筋3が埋設された鉄筋コンクリート造のコンクリート部材20,20が間隔をおいて配置され、両コンクリート部材20,20間にコンクリート又はモルタルからなる充填材21を充填する場合にも対応する。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例では、鉄筋3の端部が互いに連結されるコンクリート部材20,20の端面より突出し、その突出した部分を互いに鉄筋3,3間に所定の間隔(あき)を設けるとともに、長手方向の所定長さ分(継手長=L1)だけ重複させて配置し、各鉄筋3,3に作用する軸方向力がコンクリート部材20,20間に充填されるコンクリート又はモルタルからなる充填材21を介して伝わる構造となっている。
尚、充填材21がコンクリートの場合には、径支圧部5,5間の間隔は、コンクリート2の最大骨材寸法以上とすることが好ましいが、充填材21にモルタルを使用する場合には、拡径支圧部5,5間の間隔は特に限定されない。
次に、本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の第二の実施形態について図9に基づいて説明する。尚、図中符号10は鉄筋コンクリート構造物である。
この鉄筋コンクリート構造物10は、鉄筋コンクリート造のコンクリート柱11(他の構造体)の側面部にコンクリート梁12(一の構造体)が接合された構造を有し、コンクリート梁12に埋設された鉄筋13,13の端部がコンクリート柱11内に定着されている。尚、図中符号14はコンクリート柱11の縦方向主筋である。
コンクリート梁12に埋設される鉄筋13,13は、端部に長手方向に間隔をおいて鉄筋径より大径の複数の拡径支圧部15,15を備え、複数の拡径支圧部15,15を含む鉄筋13の端部がコンクリート柱11に定着されている。
鉄筋13,13は、少なくとも端部に雄ネジからなるねじ部が形成され、全体に渡って雄ネジが形成されたネジ節鉄筋であることが望ましい。
拡径支圧部15,15は、ネジ部に螺合された複数のナット型部材16,17からなる可動拡径支圧体によって構成され、複数のナット型部材16,17の少なくとも一が隣り合う他のナット型部材16側に締め付けられることによって鉄筋13,13の所定の位置に固定することができるようになっている。
よって、この鉄筋コンクリート構造物10では、拡径支圧部15,15に作用する支圧抵抗力によって、高い定着力を得ることができ、図9(b)に示すL字型に屈曲させて定着長を確保していた従来の鉄筋18,18に比べて鉄筋13,13の定着長を大幅に低減することができる。
このとき、拡径支圧部15,15の位置を鉄筋13,13の任意の位置に設けることができるので、鉄筋13,13を組む際にコンクリート柱11に埋設された鉄筋14,14の位置等に合わせて拡径支圧部15,15の位置を施工現場において柔軟に調節することができる。
尚、本発明に係る態様は、上述の実施例に限定されず、例えば、プレキャストコンクリート部材間の接合部分等に適用してもよい。
1 鉄筋コンクリート構造物
2 コンクリート
3 鉄筋
4 鉄筋(横筋)
5 拡径支圧部
6,7 ナット型部材
10 鉄筋コンクリート構造物
11 コンクリート柱
12 コンクリート梁
13 鉄筋
14 鉄筋
15 拡径支圧部
16,17 ナット型部材
18 鉄筋
20 コンクリート部材
21 充填材
2 コンクリート
3 鉄筋
4 鉄筋(横筋)
5 拡径支圧部
6,7 ナット型部材
10 鉄筋コンクリート構造物
11 コンクリート柱
12 コンクリート梁
13 鉄筋
14 鉄筋
15 拡径支圧部
16,17 ナット型部材
18 鉄筋
20 コンクリート部材
21 充填材
Claims (8)
- コンクリート、又はコンクリート部材間に充填されるモルタル或いはコンクリート内に埋設された鉄筋に鉄筋径より大径の拡径支圧部を備えてなる鉄筋コンクリートの鉄筋構造において、
前記鉄筋の長手方向に間隔をおいて複数の拡径支圧部を備え、該複数の拡径支圧部の少なくとも一は、前記鉄筋に形成されたネジ部に螺合された複数のナット型部材からなる可動拡径支圧体によって構成され、前記複数のナット型部材の少なくとも一が隣り合う他のナット型部材に締め付けられ、前記可動拡径支圧体が前記鉄筋の所望の位置に固定されるようにしたことを特徴とする鉄筋コンクリートの鉄筋構造。 - コンクリート、又はコンクリート部材間に充填されるモルタル或いはコンクリート内において長手方向に連なる鉄筋の端部が互いに所定長さ分だけ重複されてあき重ね継手が形成され、
前記複数の拡径支圧部は、重複される前記鉄筋の端部に設けられた請求項1に記載の鉄筋コンクリートの鉄筋構造。 - 前記複数の拡径支圧部は、鉄筋コンクリート構造物を構成する構造体間の接合部にあって、一の構造体に支持された鉄筋の他の構造体内に定着される部分に備えられている請求項1に記載の鉄筋コンクリートの鉄筋構造。
- 前記複数の拡径支圧部の全てが前記可動拡径支圧体によって構成されている請求項1~3の何れか一に記載の鉄筋コンクリートの鉄筋構造。
- 前記拡径支圧部間の間隔は、前記コンクリートの最大骨材寸法以上とした請求項1~4の何れか一に記載の鉄筋コンクリートの鉄筋構造。
- 前記複数の拡径支圧部の間隔は、前記鉄筋径の1倍から3倍である請求項5に記載の鉄筋コンクリートの鉄筋構造。
- 前記可動拡径支圧体は、前記ナット型部材を締め付ける際のトルク強度が20Nm以上180Nm以下である請求項1~6の何れか一に記載の鉄筋コンクリートの鉄筋構造。
- 前記鉄筋は、全体にネジ部が形成されたネジ節鉄筋である請求項1~7の何れか一に記載の鉄筋コンクリートの鉄筋構造。
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