JP2023055613A - アルカリ剥離性ラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、SUSなどの金属容器に対してもアルカリ剥離処理によって容易に剥離しやすいラベルを提供する。【解決手段】樹脂基材と、粘着剤層と、を含む、アルカリ剥離性ラベルであって、前記粘着剤層は、アクリル系共重合体および酸価が30mgKOH/g以上である化合物を含み、前記アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを0.5質量%を超える量で含有する単量体混合物を共重合して得られる、アルカリ剥離性ラベル。【選択図】なし

Description

本発明は、アルカリ剥離性ラベルに関する。
近年、環境への配慮から、空き容器のリユースが注目を集めている。容器をリユースする際には、容器に貼付されたラベルを剥がす洗浄工程が必要となる。ラベルを剥がす洗浄工程としては、アルカリ水に容器を浸漬してラベルを剥がすことが行われている(例えば、特許文献1)。アルカリ水により被着体から剥がれる性質を有するラベルは、アルカリ剥離性ラベルとも称される。
アルカリ剥離性ラベルは、通常、基材に粘着剤層を積層させた形態が用いられる。アルカリ剥離性ラベルとしては、樹脂基材が多く用いられてきている。
このようなアクリル剥離性ラベルにおいて、粘着剤層の検討はこれまでにも種々なされてきている。例えば、特許文献1では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エーテル結合を有する(メタ)アクリル酸エステル、およびカルボキシル基及び/又はヒドロキシ基を含有する不飽和モノマーを含有する共重合物に、金属キレートを配合せしめたアルカリ可溶性粘着剤組成物が開示されている。当該構成において、エーテル結合を有する(メタ)アクリル酸エステルは粘着剤組成物に親水性を付与し、また、カルボキシル基及び/又はヒドロキシ基を含有する不飽和モノマーは、アルカリ水溶液溶解性を高めるとともに、架橋剤である金属キレート化合物による架橋点となるとしている。
特許文献2では、特許文献1の粘着剤は、アルカリに可溶性であり、アルカリ水を汚染する可能性があることに鑑み、アルカリ水溶液中で粘着剤層と、ガラス容器などの被着面との間で界面剥離する、特定のモノマー組成を有するアルカリ剥離性の粘着剤組成物が開示されている。
特開平6-184508号公報 特開2012-153789号公報
近年、環境意識の更なる高まりから、ビール瓶や酒瓶などのガラス容器だけではなく、SUSなどの金属容器などのリユースも行われている。ガラス面は平滑性が高いため貼付されたラベルの剥離が起きやすいが、ガラスと比較すると、金属容器などの被着体に対するアルカリ剥離処理は容易ではない。
そこで、本発明は、SUSなどの金属容器に対してもアルカリ剥離処理によって容易に剥離しやすいラベルを提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
1.樹脂基材と、粘着剤層と、を含む、アルカリ剥離性ラベルであって、粘着剤層は、アクリル系共重合体および酸価が30mgKOH/g以上である化合物を含み、アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを0.5質量%超える量で含有する単量体混合物を共重合して得られる、アルカリ剥離性ラベル。
2.前記化合物が、粘着付与剤、アニオン性界面活性剤およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、1.に記載のアルカリ剥離性ラベル。
3.前記アクリル系共重合体は、エマルション系重合体である、1.または2.に記載のアルカリ剥離性ラベル。
4.前記アニオン性界面活性剤が、高分子型界面活性剤である、2.または3.に記載のアルカリ剥離性ラベル。
5.前記粘着剤層を形成するための粘着剤組成物が、粘着付与剤のエマルションおよび/または水性ポリエステル系樹脂を含む、2.~4.のいずれかに記載のアルカリ剥離性ラベル。
6.前記アクリル系共重合体中の酸基は架橋剤によって封鎖されない、1.~5.のいずれかに記載のアルカリ剥離性ラベル。
7.前記化合物の含有量は、前記アクリル系共重合体100質量部に対して1~50質量部である、1.~6.のいずれかに記載のアルカリ剥離性ラベル。
8.前記単量体混合物が、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを50質量%以上含有する、1.~7.のいずれかに記載のアルカリ剥離性ラベル。
9.前記酸価が30mgKOH/g以上である化合物中の酸基は中和剤によって封鎖されない、1.~8.のいずれかに記載のアルカリ剥離性ラベル。
10.1.~9.のいずれかに記載のアルカリ剥離性ラベルが貼付された被着体をアルカリ水に接触させることを有する、被着体からのラベルの剥離方法。
本発明によれば、アルカリ水による洗浄工程において、SUSなどの金属容器に対してもアルカリ剥離処理によって容易に剥離しやすいラベルを提供することができる。
本発明のアルカリ剥離性ラベルの一実施形態を示す断面模式図である。
本発明の一態様は、樹脂基材と、粘着剤層と、を含む、アルカリ剥離性ラベルであって、粘着剤層は、アクリル系共重合体および酸価が30mgKOH/g以上である化合物を含み、アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを0.5質量%超える量で含有する単量体混合物を共重合して得られる、アルカリ剥離性ラベルである。
当該構成とすることで、アルカリ水に浸漬させると、SUSなどの金属容器に対してもラベルを容易に剥離することができる。本発明では、アクリル系共重合体を構成する酸基含有ビニルモノマーが一定量以上含まれること、および特定の酸価を有する化合物を添加することの2つの構成要件を要する。これらのうち、一つの条件でも欠けると、アルカリ水に浸漬しても、アルカリ剥離性ラベルが被着体(例えば、SUS被着体)から剥がれにくくなる(後述の比較例参照)。
本発明の構成により本発明の効果を奏するメカニズムは以下のように推定される。
本実施形態においては、粘着剤組成物に含まれるアクリル系共重合体を形成する際の全単量体中、酸基含有ビニルモノマーを0.5質量%を超えて含有する。このようにアクリル系共重合体中に酸基が一定以上存在することで、アルカリ水に浸漬した際には酸基が中和され、粘着剤層の親水性が向上し、ラベルが被着体から剥がれやすくなると考えられる。しかしながら、酸基含有ビニルモノマーの量を増やすと、分散液の安定性が低下したり、粘着物性が低下したりする場合がある。このため、本願では、酸価が高い化合物をアクリル系共重合体と組み合わせて用いることで、アルカリ水に浸漬した際には、酸価が高い化合物中の酸基が中和され、親水性がさらに向上し、ラベルが被着体から容易に剥がれやすくなる。
なお、上記推定は、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
以下、本発明の詳細を説明する。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸またはメタクリル酸」を指し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」を指す。
なお、ラベルの概念には、テープ、シート、フィルム等と称されるものが包含される。
また、アルカリ剥離性とは、例えば、60℃のアルカリ水(pH13の水酸化ナトリウム水溶液)に10分浸漬すると被着体から少なくとも一部が剥がれる性質を有するものを指す。さらにアルカリ剥離性ラベルは、通常、アルカリに接触させることで、ラベルを被着体から剥離する用途で用いられる。
図1は、本発明のアルカリ剥離性ラベルの一実施形態を示す断面模式図である。なお、図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。図1において、アルカリ剥離性ラベル10は、樹脂基材11、粘着剤層12、剥離ライナー13から構成される。剥離ライナー13は、粘着剤層12を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離ライナー13は、被着体に貼付する際にアルカリ剥離性ラベルから剥離される。よって、剥離ライナー13を有していないアルカリ剥離性ラベルも本発明の技術的範囲内である。また、アルカリ剥離性ラベル10は、印刷部14を有する。印刷部14は任意であり、印刷部14を有していないアルカリ剥離性ラベルも本発明の技術的範囲内である。
図1の形態では、アルカリ剥離性ラベル10は、印刷部14、樹脂基材11、粘着剤層12、剥離ライナー13から構成されるが、樹脂基材11、粘着剤層12、剥離ライナー13がこの順に配置される限り、各層間および各層上には、その他の機能層(例えば、樹脂基材-粘着剤層間に密着性向上のためのプライマー層、樹脂基材-印刷部間に印刷受理層)が存在していてもよい。
アルカリ剥離性ラベルの被着体への粘着力としては、4.0N/25mm以上であることが好ましく、6.0N/25mm以上であることがより好ましい。被着体の粘着力が上記下限以上であることで、通常使用時の粘着性が担保される。また、アルカリ剥離性ラベルの被着体への粘着力としては、20.0N/25mm以下であることが好ましく、18.0N/25mm以下であることがより好ましい。上記上限以下であることで、アルカリ水に浸漬した際にラベルが剥がれやすくなる。なお、被着体への粘着力は、後述の実施例に記載の方法より測定することができる。
以下、アルカリ剥離性ラベルを構成する各部材について説明する。
[樹脂基材]
樹脂基材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、アクリルウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ABS樹脂、アイオノマー樹脂、各種熱可塑性エラストマーなどから選ばれる少なくとも一種の樹脂からなるフィルム、またはそれらから選ばれる単一種又は複数種の積層フィルム等を使用することができる。
樹脂基材には、必要に応じて、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、軟化剤、金属粉、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等を適宜に含有していてもよい。安定剤としては、例えば、Ba-Zn系、Cd-Ba系、Sn系等のものが用いられ、或いはこれらがエポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等と併用されていてもよい。また、軟化剤としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体やエチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素共重合体等が用いられていてもよい。
樹脂基材は、一軸延伸フィルムや二軸延伸フィルムなどの延伸フィルムであってもよいし、無延伸フィルムであってもよく、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものであってもよい。
樹脂基材の厚さは、適宜設定すればよいが、アルカリ剥離性やラベルの機械的強度を考慮すると、10~500μmであることが好ましく、20~100μmであることがより好ましい。
[粘着剤層]
粘着剤層は、アクリル系共重合体を含む粘着剤組成物から形成されてなる。
(粘着剤組成物)
<アクリル系共重合体>
粘着剤組成物は、アクリル系共重合体を含む。また、アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを0.5質量%超える量で含有する単量体混合物を共重合して得られる。
単量体混合物においては、(メタ)アクリル酸アルキルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)が用いられる。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上であることを指し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。
(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基のいずれであってもよい。アルキル基は炭素数1~24のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~18のアルキル基であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、(メタ)アクリル酸アルキルとしては、アルカリ水での剥離を考慮すると、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを用いることが好ましく、アルカリ水での剥離時間を短縮することが可能であることから、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを用いることがより好ましく、アクリル酸2-エチルヘキシルを用いることがさらにより好ましい。好適な一形態は、単量体混合物が、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル(好ましくは、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、より好ましくはアクリル酸2-エチルヘキシル)を50質量%以上含有し、さらには、単量体混合物が、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル(好ましくは、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、より好ましくはアクリル酸2-エチルヘキシル)を、好ましい順に、50~99.5質量%、70~97質量%、80~95質量%含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを用いる場合、(メタ)アクリル酸アルキルおよび酸基含有ビニルポリマー合計量に対して、50~99.5質量%であることが好ましく、70~97質量%であることがより好ましく、80~95質量%であることがさらに好ましい。
また、粘着性の観点から、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルと組み合わせて、(メタ)アクリル酸メチルを用いることが好ましく、メタクリル酸メチルを組み合わせることがより好ましい。(メタ)アクリル酸メチルの含有量は、単量体全量に対して、0.5~20質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、1~15質量%であることがさらに好ましく、5~15質量%であることがさらにより好ましい。
本実施形態においては、アルカリ水での剥離を容易にするために、酸基含有ビニルモノマーを用いる。酸基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、およびオレイン酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマー(エチレン性二重結合およびカルボキシル基とを、同一分子内に持つ化合物);マレイン酸無水物、イタコン酸無水物などのカルボン酸無水物基含有ビニルモノマー(エチレン性二重結合およびカルボン酸無水物基とを、同一分子内に持つ化合物);2-メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスファート(メタ)アクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスファート(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスファート(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するアクリルモノマー;スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2-スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を有するアクリルモノマーなどが挙げられる。
中でも、アルカリ水での剥離が効果的に行われることから、酸基含有ビニルモノマーはカルボキシル基含有ビニルモノマーであることが好ましく、(メタ)アクリル酸であることがより好ましく、アクリル酸であることがさらに好ましい。
酸基含有ビニルモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
酸基含有ビニルモノマーの全単量体中の含有量は、0.5質量%を超える。酸基含有ビニルモノマーの含有量が0.5質量%以下であると、アルカリ水に浸漬しても被着体から剥がれにくい。酸基含有ビニルモノマーの全単量体中の含有量は、好ましくは、1.0質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、さらにより好ましくは3.0質量%以上である。酸基含有ビニルモノマーの全単量体中の含有量の上限は、製造の観点から、通常、全単量体中10質量%以下であり、5質量%未満であってもよく、4.0質量%以下であってもよい。
また、単量体混合物は、(メタ)アクリル酸アルキルに共重合可能な他の共重合性単量体を含んでいてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルに共重合可能な共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;酢酸ビニルなどのビニルエステル類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の共重合性単量体を用いる場合、全単量体中5質量%以下(下限0質量%)であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらにより好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。ここで、実質的に含まないとは、不純物程度の含有は許容するものであり、具体的には、0.01質量%以下であり、さらには0質量%である。
アクリル系共重合体のガラス転移温度は、室温での表示ラベルとしての性能(簡単に剥がれない)を考慮して、-55~-20℃であることが好ましい。ガラス転移温度は、アクリル系共重合体を構成する単量体種、およびその含有量によって調整することができる。
アクリル系共重合体のガラス転移温度は、以下のフォックス式に従って、共重合体を構成する各構成ポリマーのTgnから計算したものを採用する。
フォックス式:1/Tg=Σ(Wn/Tgn)
Tg:重合体の計算Tg(K)
Wn:モノマーnの重量分率
Tgn:モノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(K)
モノマーnのホモポリマーのTg値(Tgn)は、例えば、株式会社日本触媒、三菱ケミカル株式会社、東亞合成株式会社などのモノマーメーカーの技術資料や高分子データハンドブック(培風館発行、高分子学会編(基礎編)、昭和61年1月初版)、Polymer Handbook 4th edition(J.Brandrup, E.H.Immergut, E.A.Grulke, 1999年発行、Wiley-Interscience)に記載されている。
アクリル系共重合体の粘着剤組成物中の含有量は、50~99質量%であることが好ましく、60~99質量%であることがより好ましい。
アクリル系共重合体の製造方法は、特に制限されず、重合開始剤を使用する溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法など従来公知の方法を用いることができる。また、重合開始剤により重合を開始させる方法の他に、放射線、電子線、紫外線等を照射して重合を開始させる方法を採用することもできる。中でも本発明の効果が一層奏されることから、乳化重合法を用いることが好ましい。すなわち、本発明の好適な実施形態は、アクリル系共重合体がエマルション系重合体である。
アクリル系共重合体がエマルション系重合体である場合、アクリル系共重合体中の酸基は架橋剤によって封鎖されないことが好ましい。エマルション系重合体は、高分子量の重合体を得られやすく、架橋剤を用いなくとも粘着性が発揮され、また、酸基を架橋剤で封鎖しないことで、アルカリ水による被着体からの剥離性が向上するため好ましい。
乳化重合法としては、例えば、上述の単量体を含む単量体混合物に、乳化剤および重合開始剤を添加し、乳化重合する方法が挙げられる。
なお、乳化重合において、重合安定性の観点から、単量体混合物は、乳化剤(または乳化剤の一部)を、単量体混合物に溶解しておくか、または、予めO/W型の乳化液の状態としておくことが好ましい。
乳化重合を行う際の手順としては、例えば、以下の(1)~(3)の方法が挙げられる。
(1)単量体混合物、乳化剤、水等の全量を仕込み、昇温し、水に溶かした重合開始剤を全量滴下または分割添加して、重合する。
(2)反応容器内に水、乳化剤、単量体混合物の一部を仕込み、昇温した後、水に溶かした重合開始剤を滴下または分割添加して重合反応を進行させた後、残りの単量体混合物を全量滴下または分割添加して重合を継続する。
(3)反応容器内に水に溶かした重合開始剤を仕込んでおき昇温した後、単量体混合物、乳化剤、および水からなる乳化液を全量滴下または分割添加して重合する。
乳化剤としては、特に制限は無いが、エマルション系重合体の分散安定性を向上させる観点から、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましく、アニオン系乳化剤がより好ましい。
アニオン系乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、アリルアルキルスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化剤の添加量としては、乳化重合反応の安定性の観点、および、未反応の乳化剤が残存することによる物性低下を防ぐ観点から、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.5~12質量部、より好ましくは0.5~8質量部、更に好ましくは0.7~6質量部である。
なお、乳化剤は、単量体混合物に水を加えた溶液に直接添加してもよく、予め重合容器に添加しておいてもよく、またはそれらを併用してもよい。
重合開始剤としては、水溶性、油溶性のいずれであってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ系化合物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物等が挙げられ、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせや、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ等からなるレドックス開始剤を用いてもよい。重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、重合安定性に優れているという観点から、過硫酸塩またはレドックス開始剤が好ましい。
重合開始剤の添加量としては、重合速度を速める観点から、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.01~6質量部、より好ましくは0.03~4質量部、さらに好ましくは0.1~2質量部である。
なお、重合開始剤は、予め反応容器内に加えておいてもよく、重合開始直前に加えてもよく、重合開始後に複数回に分けて加えてもよく、単量体混合物中に予め加えておいてもよく、該単量体混合物からなる乳化液を調製後、当該乳化液に加えてもよい。
また、乳化重合時に、公知の連鎖移動剤やpH緩衝剤をさらに添加してもよい。
乳化重合に際し、用いる水としては、イオン交換水が好ましい。水の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは30~400質量部、より好ましくは35~200質量部、更に好ましくは40~150質量部である。
乳化重合により得られたエマルション系重合体分散液に対して、さらに、アンモニア水、各種水溶性アミン、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加して、pH5~9(好ましくはpH6~8.5)に調整することが好ましい。
エマルション系重合体分散液の固形分濃度は、好ましくは10~80質量%、より好ましくは25~70質量%、更に好ましくは45~65質量%である。
エマルション系重合体分散液の25℃における粘度は、好ましくは50~12000mPa・s、より好ましくは100~10000mPa・s、更に好ましくは200~9000mPa・sである。本明細書において、粘度は、B型回転粘度計を用いて測定される値である。
エマルション系重合体は、エマルション系重合体が分散しているエマルション形状(粒子形状)を有する。この際、エマルション系重合体の平均粒子径は、耐水性が向上することから、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは300nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下である。また、エマルション系重合体の平均粒子径は、通常50nm以上であり、100nm以上であることがより好ましい。ここで、エマルション系重合体の平均粒子径は、レーザー回折分散法により測定される体積基準のメジアン径である。
<酸価が30mgKOH/g以上である化合物(以下、酸価が30mgKOH/g以上である化合物を化合物Aとも称する)>
化合物Aの酸価は、30mgKOH/g以上であるが、50mgKOH/g以上であることが好ましく、100mgKOH/g以上であってもよく、150mgKOH/g以上であってもよく、200mgKOH/g以上であってもよい。特に、化合物Aが粘着付与剤および/またはアニオン性界面活性剤である場合、さらには、化合物Aが粘着付与剤である場合、アルカリ水での剥がれがより早くなることから、100mgKOH/g以上であることが好ましく、150mgKOH/g以上であることがより好ましく、200mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。化合物Aの酸価の上限は、非極性の被着体に対しても高い粘着力を得られること、塗工前のエマルション系重合体を安定的に保存できることから、700mgKOH/g以下であることが好ましく、650mgKOH/g以下であることがより好ましく、600mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
なお、化合物Aは、アルカリ水と接触したときに酸基が中和されて親水性を発揮することで効果が得られるので、アルカリ水と接触する前の粘着剤層においては、例えば、中和剤によって酸基が(全て)封鎖されないことが好ましい。
酸価は、化合物固形分1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数として定義され、JIS K 0070:1992に記載の電位差滴定法に準拠し測定される値である。
化合物Aの粘着剤組成物中の添加量は、添加される化合物Aの種類によって適宜設定される。化合物Aの粘着剤組成物中の添加量は、アクリル系共重合体に対して、例えば、1~50質量%である。
化合物Aは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
酸価が30mgKOH/g以上である化合物は、分子量(質量平均分子量)が、100~50,000であることが好ましい。分子量がこの範囲であることで、耐熱性ならびに高い粘着力を得られる。分子量(質量平均分子量)の上限は、20,000以下、15,000以下、10,000以下の順に好ましい。高分子の分子量(質量平均分子量)の下限は、例えば、100以上、300以上、500以上の順で好ましい。このような範囲であれば、アルカリ剥離性をより向上させることができる。質量平均分子量はGPC法によって測定した値を採用することができる。
化合物Aは、粘着付与剤、アニオン性界面活性剤およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。化合物Aは、粘着付与剤および/またはアニオン性界面活性剤であってもよい。化合物Aが粘着付与剤および/またはポリエステル系樹脂であることで、粘着力をより向上させることが可能であることから、化合物Aは粘着付与剤および/またはポリエステル系樹脂であることがより好ましく、粘着付与剤であることが特に好ましい。
(粘着付与剤)
酸価が30mgKOH/g以上である粘着付与剤としては、ロジン樹脂などが挙げられる。したがって、本発明の一態様は、粘着剤層が、酸化が30mgKOH/g以上である、ロジン系樹脂、アニオン性界面活性剤およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む。また、さらに本発明の他の一態様は、酸化が30mgKOH/g以上である、ロジン系樹脂、アニオン性高分子型界面活性剤およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む。ロジン樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、及びトール油ロジン等の未変性ロジン;未変性ロジンを水添化、不均化、重合、及び化学修飾等から選択される1種以上の処理により変性した変性ロジン;各種ロジン誘導体等が挙げられる。ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンまたは変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンエステル類;未変性ロジンまたは変性ロジンを不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン、不飽和脂肪酸変性ロジン類、又は不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシ基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;未変性ロジン又は変性ロジンを、アクリル酸、フマル酸、またはマレイン酸等の酸類で変性した酸変性ロジン類;ロジンエステル類を、アクリル酸、フマル酸、又はマレイン酸等の酸類で変性した酸変性ロジンエステル類、これらを水添した重合水添ロジン類等が挙げられる。
化合物Aが粘着付与剤である場合、化合物Aの粘着剤組成物中の添加量は、アルカリ剥離性の点から、アクリル系共重合体100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらにより好ましく、15質量部以上であることが特に好ましい。また、化合物Aが粘着付与剤である場合、耐水性や透明性の観点からは、アクリル系共重合体100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部未満であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらにより好ましい。
アクリル系共重合体がエマルション系重合体である場合の粘着付与剤の添加方法としては、粘着付与剤をアクリル単量体中に溶解させて重合してもよいし、粘着付与剤のみをエマルション化し、アクリル単量体を重合したエマルション系重合体と混合してもよい。前記添加方法のうち、粘着付与剤のみをエマルション化し、アクリル単量体を重合したエマルションと混合する方が、高い凝集力の粘着剤層を得られるため好ましい。すなわち、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物が、粘着付与剤のエマルションを含むことが好ましい。粘着付与剤の乳化には、従来公知の乳化法を適用することが可能である。例えば、溶剤型乳化法、無溶剤型乳化法、または転相乳化法等が適用される。粘着付与剤を乳化させる乳化剤としては、従来公知の乳化剤を用いることができ、例えば、アニオン系、ノニオン系、およびカチオン系の乳化剤並びに合成高分子乳化剤の1種以上を用いることができる。中でも、乳化性の観点から、アニオン系乳化剤を用いることが好ましい。アニオン系乳化剤の具体例は、アクリル系共重合体の欄で記載したものを挙げることができる。乳化剤の使用量は、粘着付与剤100質量部に対して、例えば、1~10質量部である。
(アニオン性界面活性剤)
化合物Aとして用いられうるアニオン性界面活性剤としては、本発明の効果が一層得られることから、分子内に炭素数が12以上であるアルキル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物と、分子内にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基とラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物と、を含み、さらに必要によりその他のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物を含んでもよい単量体成分を共重合して得られる高分子型界面活性剤であることが好ましい。ここで、高分子型界面活性剤とは、質量平均分子量が1,000以上であるものを指し、好ましくは3,000以上である。
分子内に炭素数が12以上であるアルキル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数が12以上のアルキル(メタ)アクリレート化合物、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン、1-オクタコセン、1-トリアコンテン等の炭素数が14以上であるα-オレフィン等をあげることができる。炭素数が12以上であるアルキル基における炭素数の上限値はとくに限定されないが、通常炭素数30程度である。
また、分子内に酸基とラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル化合物、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル化合物、シトラコン酸、シトラコン酸のモノアルキルエステル化合物等のカルボキシル基含有不飽和単量体、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン基含有不飽和単量体、アシッドホスホニル(メタ)アクリレート、アシッドホスホニルエチル(メタ)アクリレート等のリン酸基含有不飽和単量体などをあげることができる。
その他のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の分子内に炭素数が11以下であるアルキル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体化合物、アクリルアミド系単量体化合物等をあげることができる。
上記の化合物からなる単量体成分において、分子内に炭素数が12以上であるアルキル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量としては5質量%以上であることが好ましく、その上限は好ましくは60質量%程度である。
また、アニオン性界面活性剤の酸基の一部は塩として存在していてもよい。しかしながら、全てが中和されると、アルカリ水浸漬時の効果が得られにくいことから、部分中和であることが好ましい。塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、およびリチウム塩が挙げられる。以下、単に酸基を表記する際には、その塩も含むものとする。(例えば、スルホン酸基と記載する場合には、スルホン酸(塩)基も含む)。
高分子型のアニオン性界面活性剤としては具体的には以下のものが挙げられる。ポリスチレンスルホン酸、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、2-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸/(メタ)アクリル酸共重合体、2-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸/(メタ)アクリル酸/アクリルアミド共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ジメチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物などのスルホン酸基を有する高分子型界面活性剤;ポリ{2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート硫酸エステル}、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート硫酸エステル共重合体、ポリ{2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}の硫酸エステル化物などの硫酸エステル基を有する高分子型界面活性剤;ポリ{(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸}、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸共重合体、ナフタレンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物などのホスホン酸(塩)基を有する高分子型界面活性剤;ポリ{2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートリン酸エステル}、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートリン酸エステル共重合体、ポリ{2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}のリン酸エステル化物などのリン酸エステル基を有する高分子型界面活性剤;ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸-マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸-イタコン酸共重合体、(メタ)アクリル酸-フマル酸共重合体、(メタ)アクリル酸/酢酸ビニル共重合体及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ{2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}のカルボキシメチル化物、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、安息香酸ホルムアルデヒド縮合物、安息香酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体などのカルボン酸基を有する高分子型界面活性剤などが挙げられる。これらの高分子型界面活性剤は1種または2種以上併用してもよい。
これらの中でも、本発明の効果の点から、カルボン酸(塩)基を有する高分子型界面活性剤であることが好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)であることが特に好ましい。
化合物Aがアニオン型界面活性剤である場合、化合物Aの粘着剤組成物中の添加量は、アルカリ剥離性の点から、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部であることが好ましい。また、化合物Aがアニオン型界面活性剤である場合、粘着性の観点からは、アクリル系共重合体100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
(ポリエステル系樹脂)
ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる共重合体、及び当該共重合体の変性物等が挙げられる。
当該共重合体の変性物としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる共重合体の末端に有するヒドロキシル基とポリイソシアナート化合物とが反応して得られるポリウレタン変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。本発明においては、このようなポリエステル樹脂の変性物も「ポリエステル系樹脂」に含まれる。
アルコール成分としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを使用することができる。
具体的なアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、3-メチル-4,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル等のグリコール類;これらのグリコール類にε-カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のポリエステルジオール類;1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、スピログリコール、ジヒドロキシメチルトリシクロデカン等の二価環式アルコール;ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等の三価以上の多価アルコールが挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸成分としては、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸を使用することができる。
具体的なカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4'-ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、テトラクロロヘキセントリカルボン酸等のトリカルボン酸及びこれらの無水物;1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸等のテトラカルボン酸及びその無水物等が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体がエマルション系重合体である場合のポリエステル系樹脂の添加方法としては、ポリエステル系樹脂をアクリル単量体中に溶解させて重合してもよいし、水性ポリエステル系樹脂をアクリル単量体を重合したエマルション系重合体と混合してもよい。前記添加方法のうち、水性ポリエステル系樹脂をアクリル単量体を重合したエマルションと混合する方が、高い凝集力の粘着剤層を得られるため好ましい。すなわち、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物が、水性ポリエステル系樹脂を含むことが好ましい。
「水性ポリエステル系樹脂」は、水性溶媒に溶解して水溶液の形態をとり得るポリエステル系樹脂、もしくは、水性溶媒中にエマルションとして分散した水分散体の形態をとり得るポリエステル系樹脂を意味する。このような「水性」のポリエステル系樹脂を用いることで、塗工時の揮発性有機化合物排出量の削減が可能である。ここで、水性溶媒とは水を60質量%以上(上限100質量%)含有されたものを指し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上であり、最も好ましくは水系溶媒が95質量%以上である。
水性溶媒中に含まれる水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができる。水に溶解する有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテルなどが挙げられる。
なお、本発明の一態様において、水中で水性ポリエステル系樹脂のエマルションとして分散した水分散体とするために、本発明の効果を損なわない範囲において、少量の乳化剤や界面活性剤等を用いてもよい。
ただし、乳化剤や界面活性剤等の低分子量成分は、粘着剤層中で局在化することで、接着性が低下し、層間密着性の低下の原因となる場合がある。当該現象を抑制する観点から、本発明の一態様において、水性ポリエステル系樹脂は、自己乳化型の水性ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
自己乳化型の水性ポリエステル系樹脂であれば、層間密着性の低下の原因となる乳化剤や界面活性剤等の低分子量成分を使用せずにエマルションを形成することもできるため、得られる粘着シートの層間密着力をより向上させることができる。なお、「自己乳化型」とは、樹脂骨格に何らかの親水性基を化学的に導入し、乳化剤や界面活性剤の添加を必要とせず、樹脂自体が乳化能を有することを意味する。
本発明の一態様で用いる水性ポリエステル系樹脂は、酸価を上記範囲に調整する観点から、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸に由来する構成単位を有することが好ましく、トリカルボン酸又はトリカルボン酸の無水物に由来する構成単位を有することがより好ましい。
また、本発明の一態様で用いる水性ポリエステル系樹脂は、カルボキシル基を含有する水性ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
水性ポリエステル系樹脂の数平均分子量(Mn)としては、水への溶解性又は分散性を良好とし、基材及び/又は粘着剤層との層間密着性を向上させる観点から、好ましくは1,000~15,000、より好ましくは1,500~10,000、更に好ましくは2,000~5,000である。水性ポリエステル系樹脂のMnが比較的低分子であるこのような範囲であれば、水への溶解性や分散性が十分に高くなり、塗工液を長期間安定的に保存可能であるため好ましい。
水性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、例えば、10~70℃であってもよく、30~65℃であってもよい。
なお、本発明において、数平均分子量(Mn)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には以下に記載の方法に基づいて測定した値である。
(1)数平均分子量(Mn)
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー社製、製品名「HLC-8320GPC」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いる。
・カラム:「TSK guard column super H-H」「TSK gel super HM-H(×2)」「TSK gel super HM-H」(いずれも東ソー社製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
なお、本発明において、ガラス転移温度(Tg)の値は、具体的には以下に記載の方法に基づいて測定することができる。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121:2012に準拠し、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、製品名「DSC Q2000」)を用いて、昇温速度20℃/分にて測定する。
化合物Aがポリエステル系樹脂である場合、化合物Aの粘着剤組成物中の添加量は、アルカリ剥離性の点から、アクリル系共重合体100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。また、化合物Aがポリエステル系樹脂である場合、耐水性や透明性の観点からは、アクリル系共重合体100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、12質量部未満であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
<その他成分>
粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、公知の架橋剤が使用できる。例えば、以下に制限されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤などが挙げられる。中でも、反応性の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。なお、特にアクリル系共重合体がエマルション系重合体であるとき、粘着剤組成物が架橋剤を実質的に含まない形態も好適である。ここで、実質的に含まないとは、不純物程度の含有は許容するものであり、具体的には、アクリル系共重合体100質量部に対し0.01質量部以下であり、さらには0質量部である。
架橋剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
架橋剤を添加する場合、架橋剤の添加量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
粘着剤組成物は、従来公知のその他の添加剤をさらに含みうる。かような添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。充填剤としては、例えば、亜鉛華、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
<形成方法>
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、基材上に粘着剤組成物(例えば、アクリル系共重合体エマルションと、粘着付与剤(化合物A)エマルションとの混合物、アクリル系共重合体エマルションと、アニオン性界面活性剤(化合物A)との混合物、またはアクリル系共重合体エマルションと、水性ポリエステル系樹脂(化合物A)との混合物)を直接塗工して粘着剤層を形成してもよく、また、剥離ライナー上に粘着剤層を形成した後、これを基材と貼合してもよい。具体的には、剥離ライナー上に粘着剤組成物を塗布・乾燥し、粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材に転写する方法が挙げられる。
粘着剤組成物の基材または剥離ライナーへの塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。乾燥条件としては特に限定されず、通常60~150℃にて10~60秒の条件で行われる。
粘着剤層の厚み(乾燥後膜厚)は、通常5~100μm、好ましくは10~50μmである。
[剥離ライナー]
剥離ライナーとしては、特に限定されるものではないが、上質紙、グラシン紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;などが挙げられる。
剥離ライナーの厚みは、通常10~400μm程度である。また、剥離ライナーの表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01~5μm程度である。
[印刷部]
印刷部は、どのように形成されるか特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等によって形成され、これらは、一定の図柄等を大量に作製するのに適する。一方、熱転写方式、インクジェット方式、電子写真(静電)方式等は、例えばシリアル番号のような可変情報を印すのに適する。
印刷部を形成するのに用いるインクは、特に限定されず、例えば、油性インク、水性インク、光硬化型インク(紫外線硬化型インク、電子線硬化型インク)等が挙げられる。
印刷部は、全面に設けられていてもよいし、表面の一部にのみ設けられていてもよい。
(用途)
本態様のアルカリ剥離性ラベルは、アルカリ水によってラベルが剥離されるものである。したがって、本発明は、上記アルカリ剥離性ラベルが貼付された被着体をアルカリ水に接触させることを有する、被着体からのラベルの剥離方法をも提供する。
本態様のアルカリ剥離性ラベルを貼付する被着体としては、特に限定されず、ビール瓶、酒瓶などのガラス容器;ボディソープ容器、シャンプーボトル容器、食器用洗剤容器などの樹脂容器(樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PP)、ポリプロピレン(PP)など);調味料用容器などのステンレス容器;などが挙げられる。本発明のアルカリ剥離性ラベルは、ステンレス容器などの剥離しにくい被着体であっても、アルカリ剥離が容易である。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
1.粘着剤層の形成
<粘着剤組成物の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを有する反応容器に、原料モノマーとしてアクリル酸2-エチルへキシル(2EHA)90質量部、メタクリル酸メチル(MMA)6.5質量部、アクリル酸(AA)3.5質量部と、乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(花王社製「ラテムル(登録商標)PD-104」)を4.0質量部(固形分換算で0.8質量部)、脱気済みのイオン交換水35質量部を投入し、撹拌して乳化物を調製した。
別途、撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを有する反応容器に、脱気済みのイオン交換水40質量部を投入し、温度を80℃まで昇温させた。次に、前記乳化物を滴下ロートに移し、4時間かけて滴下した。これと併行して重合開始剤溶液として濃度3.0質量%の過硫酸カリウム水溶液4.0質量部を滴下し、反応温度80℃で乳化重合を行った。滴下終了後、80℃のままで2時間熟成して乳化重合組成物を得た。その後、室温まで冷却し、25質量%のアンモニア水と25質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpHが7.0になるように調整し、アクリル系共重合体の水分散液を得た。当該水分散液のエマルション平均粒子径は、150nmであった。
ロジン系粘着付与剤として荒川化学工業社製「KR-120」(酸価320mgKOH/g)100質量部を、180℃にて約1時間溶融した後、140℃まで冷却した。次いで乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(第一工業製薬社製「モノゲンY-100」)を5.0質量部添加し、加圧条件下で120℃、90分混練りを行った。更にイオン交換水105質量部を添加し10分間攪拌することにより、固形分濃度50質量%の粘着付与剤のエマルションを得た。
得られたアクリル系共重合体の水分散液に、調製した粘着付与剤のエマルションをアクリル系共重合体100質量部(固形分)に対して20質量部(固形分)添加して、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を剥離ライナーにナイフコーターを用いて乾燥後膜厚が20μmとなるように塗工した。粘着剤層面を樹脂基材(OPPフィルム、50μm)上に転写して、23℃で1週間静置し、アルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例2)
実施例1において、原料モノマーを、2EHA/MMA/AA=90/8.0/2.0(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例3)
ロジン系粘着付与剤の添加量を10質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例4)
ロジン系粘着付与剤の添加量を40質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例5)
ロジン系粘着付与剤として荒川化学工業社製「KR-610」(酸価170mgKOH/g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例6)
アクリル系共重合体重合時の乳化剤の添加量を2.0質量部(固形分換算で0.4質量部)に変更し、エマルション平均粒子径が320nmであるアクリル系共重合体の水分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例7)
ロジン系粘着付与剤20質量部の代わりに、ポリカルボン酸のアンモニウム塩であるアニオン性界面活性剤(サンノプコ社製「SNディスパーサント5468」、酸価500mgKOH/g)3質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(実施例8)
ロジン系粘着付与剤20質量部の代わりに、水性ポリエステル系樹脂(酸価50mgKOH/g、固形分25質量%、数平均分子量3,000、ガラス転移温度46℃)6質量部(固形分換算)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(比較例1)
ロジン系粘着付与剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(比較例2)
ロジン系粘着付与剤として荒川化学工業社製「KE-311」(酸価5mgKOH/g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
(比較例3)
実施例1において、原料モノマーを、2EHA/MMA/AA=90/9.5/0.5(質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ剥離性ラベルを作製した。
[評価方法1:デラベル試験(アルカリ水)]
実施例および比較例で得たアルカリ剥離性ラベル(5cm×5cm)を被着体であるSUS板に貼付し、23℃50%RH環境下で24時間養生させた。その後、pH13.0、60℃の水酸化ナトリウム水に浸漬・300rpmで撹拌し、ラベルが剥がれるまでの時間を測定した(最大15分)。結果を表1に示す。
[評価方法2:粘着力試験]
実施例および比較例で得たアルカリ剥離性ラベルを1日標準環境下(23℃50%RH)に静置し、剥離ライナーを剥がしてSUS板に粘着剤層面を貼付し、1日標準環境下に静置した後、粘着力を測定した。具体的には、引張試験機により、180°方向に試験速度300mm/分でアルカリ剥離性ラベルを引き剥がし、粘着力を測定した。数値は、ラベル幅25mm当たりの引き剥がし力に換算したもの(N/25mm)である。結果を表1に示す。
[評価方法3:耐水性試験]
実施例および比較例で得たアルカリ剥離性ラベル(5cm×5cm)をガラス板に貼付し、23℃50%RH環境下で24時間養生させた。その後、水中に24時間浸漬し、糊面の白化を以下の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:変化なし
○:ごくわずかな白化がみられる
△:若干の白化がみられるが、実使用上問題ない。
[評価方法4:透明性試験]
実施例および比較例で得たアルカリ剥離性ラベル(5cm×5cm)をガラス板に貼付し、23℃50%RH環境下で24時間養生させた。その後、糊面の透明性を5段階で評価した。数値が大きいほど透明であり、小さいほど白濁していることを表す。3以上であれば実使用上問題ない。結果を表1に示す。
Figure 2023055613000001
以上の結果より、実施例のアクリル剥離性ラベルは、被着体がSUSであっても60℃のアルカリ水浸漬によって容易にラベル剥がれが生じた。酸価が30mgKOH/g以上である化合物を添加していない比較例1、酸価が30mgKOH/g未満である化合物を添加した比較例2は、60℃のアルカリ水浸漬によってラベル剥がれが生ずるまでに時間を要した。また、酸基含有ビニルモノマーが0.5質量%以下の比較例3は、15分経過後であってもラベル剥がれが生じなかった。また、いずれの実施例も、耐水性、ラベル透明性に優れるものであった。なお、いずれの実施例、比較例も粘着力は同程度であった。
10 アルカリ剥離性ラベル、
11 樹脂基材、
12 粘着剤層、
13 剥離ライナー、
14 印刷部。

Claims (10)

  1. 樹脂基材と、粘着剤層と、を含む、アルカリ剥離性ラベルであって、
    前記粘着剤層は、アクリル系共重合体および酸価が30mgKOH/g以上である化合物を含み、
    前記アクリル系共重合体は、酸基含有ビニルモノマーを0.5質量%を超える量で含有する単量体混合物を共重合して得られる、アルカリ剥離性ラベル。
  2. 前記化合物が、粘着付与剤、アニオン性界面活性剤およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  3. 前記アクリル系共重合体は、エマルション系重合体である、請求項1または2に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  4. 前記アニオン性界面活性剤が、高分子型界面活性剤である、請求項2に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  5. 前記粘着剤層を形成するための粘着剤組成物が、粘着付与剤のエマルションおよび/または水性ポリエステル系樹脂を含む、請求項3に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  6. 前記アクリル系共重合体中の酸基は架橋剤によって封鎖されない、請求項1または2に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  7. 前記化合物の含有量は、前記アクリル系共重合体100質量部に対して1~50質量部である、請求項1または2に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  8. 前記単量体混合物が、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを50質量%以上含有する、請求項1または2に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  9. 前記酸価が30mgKOH/g以上である化合物中の酸基は中和剤によって封鎖されない、請求項1または2に記載のアルカリ剥離性ラベル。
  10. 請求項1または2に記載のアルカリ剥離性ラベルが貼付された被着体をアルカリ水に接触させることを有する、被着体からのラベルの剥離方法。
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