JP2023055024A - 導電性複合体粒子及びその製造方法、並びに電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材粒子を必要としない導電性複合体粒子及びその製造方法、並びにその導電性複合体粒子によって形成した電極を提供する。【解決手段】第四級アンモニウム化合物と有機溶剤を含む反応液に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、水とを含む導電性高分子水系分散液を加えることにより、前記第四級アンモニウム化合物と前記導電性複合体が有する前記ポリアニオンのアニオン基の一部とを反応させ、反応生成物を析出させる工程と、前記反応生成物を洗浄液で洗浄する工程と、洗浄した前記反応生成物を乾燥する工程と、乾燥した前記反応生成物を粉砕することにより、導電性複合体粒子を得る工程と、を含む、導電性複合体粒子の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含む導電性複合体粒子及びその製造方法、並びに電極に関する。
従来、樹脂成形品の原料組成物に充填剤(フィラー)が添加されることがある。特許文献1には、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体が基材粒子の表面に被覆されてなる導電性粒子を、原料組成物に添加する技術が開示されている。
特開2021-093377号公報
特許文献1の技術では基材粒子を必須成分とするので、基材粒子の粒子径よりも小さい導電性粒子を得ることは困難である。充填剤の用途では基材粒子は有用であるが、例えば、導電率の高い電極を形成する場合には粒子径が小さい導電性粒子の方が有利である。
本発明は、基材粒子を必要としない導電性複合体粒子及びその製造方法、並びにその導電性複合体粒子によって形成した電極を提供する。
[1] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有する導電性複合体粒子であり、前記ポリアニオンの一部のアニオン基は、第四級アンモニウム化合物との反応によって修飾されている、導電性複合体粒子。
[2] 前記第四級アンモニウム化合物の窒素原子に結合する1価の有機基の炭素数が5以上である、[1]に記載の導電性複合体粒子。
[3] 前記有機基が炭化水素基である、[2]に記載の導電性複合体粒子。
[4] 前記第四級アンモニウム化合物が有する全炭素数が40以下である、[1]~[3]の何れか一項に記載の導電性複合体粒子。
[5] 前記第四級アンモニウム化合物が、テトラブチルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、及びテトラデシルアンモニウムから任意に選択される少なくとも1種を含む、[1]~[4]の何れか一項に記載の導電性複合体粒子。
[6] 平均粒子径が500μm以下である、[1]~[5]の何れか一項に記載の導電性複合体粒子。
[7] 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含むか、又は、前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸を含む、[1]~[6]の何れか一項に記載の導電性複合体粒子。
[8] [1]~[7]の何れか一項に記載の導電性複合体粒子を含む、電極。
[9] 第四級アンモニウム化合物と有機溶剤を含む反応液に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、水とを含む導電性高分子水系分散液を加えることにより、前記第四級アンモニウム化合物と前記導電性複合体が有する前記ポリアニオンのアニオン基の一部とを反応させ、反応生成物を析出させる工程と、前記反応生成物を洗浄液で洗浄する工程と、洗浄した前記反応生成物を乾燥する工程と、乾燥した前記反応生成物を粉砕することにより、導電性複合体粒子を得る工程と、を含む、導電性複合体粒子の製造方法。
[10] 前記第四級アンモニウム化合物が第四級アンモニウムハライドを含む、[9]に記載の導電性複合体粒子の製造方法。
本発明の導電性複合体粒子にあっては、基材粒子を必要としないので、粉砕することにより所望の粒子径とすることができる。
本発明の電極にあっては、含有する導電性複合体粒子の粒子径を調整することにより、電極の導電率を調整することができる。
本発明の導電性複合体粒子の製造方法によれば、上記の優れた導電性複合体粒子を容易に製造することができる。
本発明はSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に資すると考えられる。
本明細書及び特許請求の範囲において、「~」で示す数値範囲の下限値及び上限値はその数値範囲に含まれるものとする。
≪導電性複合体粒子≫
本発明の第一態様は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有する導電性複合体粒子である。前記ポリアニオンの一部のアニオン基は、第四級アンモニウム化合物との反応によって修飾されている。
本態様の導電性複合体粒子は粒子の集合体(粉体)である。
本態様の導電性複合体粒子の平均粒子径は、単位体積中の粒子数(密度)を増加させ、粒子同士の接触面積を増加させることにより、導電率を向上させる観点から、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、150μm以下がさらに好ましい。
上記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定した粒度分布の累積度数が、体積百分率で50%となる粒子径とした。
本態様の導電性複合体粒子の導電率(単位:S/cm)は、1.0以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、5.0以上がさらに好ましい。
電気伝導度が高いほど、導電性複合体粒子の導電性が高まるので好ましい。
電気伝導度の上限値は特に制限されず、例えば100以下が目安として挙げられる。
本態様の導電性複合体粒子の導電率は、導電性複合体粒子を押し固めて得た成形体を試料として測定することができる。
本態様の導電性複合体粒子は、水を含んでもよいが、水の含有量は少ない程好ましい。
導電性複合体粒子の総質量に対する水の含有量は、例えば、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。水の含有量は、実質的に0質量%であることが最も好ましい。
上記範囲の上限値以下であると、非水系の材料、例えばバインダ成分と混合する場合に、導電性複合体粒子の凝集を抑制することができる。
前記導電性複合体粒子に含まれる水の含有量は、カールフィッシャー法により測定された値である。
[導電性複合体]
本態様の導電性複合体粒子を形成する導電性複合体は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含む。導電性複合体中のポリアニオンはπ共役系導電性高分子にドープして、導電性を有する導電性複合体を形成している。
ポリアニオンにおいては、一部のアニオン基のみがπ共役系導電性高分子にドープしており、ドープに関与しない余剰のアニオン基を有している。余剰のアニオン基は親水基であるため、この余剰のアニオン基が修飾されていない導電性複合体は水分散性を有する。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であればよく、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-エチルチオフェン)、ポリ(3-プロピルチオフェン)、ポリ(3-ブチルチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェン)、ポリ(3-ブロモチオフェン)、ポリ(3-クロロチオフェン)、ポリ(3-ヨードチオフェン)、ポリ(3-シアノチオフェン)、ポリ(3-フェニルチオフェン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェン)、ポリ(3-ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-ブトキシチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-メトキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-エトキシチオフェン)、ポリ(3-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルピロール)、ポリ(3-エチルピロール)、ポリ(3-n-プロピルピロール)、ポリ(3-ブチルピロール)、ポリ(3-オクチルピロール)、ポリ(3-デシルピロール)、ポリ(3-ドデシルピロール)、ポリ(3,4-ジメチルピロール)、ポリ(3,4-ジブチルピロール)、ポリ(3-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルピロール)、ポリ(3-ヒドロキシピロール)、ポリ(3-メトキシピロール)、ポリ(3-エトキシピロール)、ポリ(3-ブトキシピロール)、ポリ(3-ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2-メチルアニリン)、ポリ(3-イソブチルアニリン)、ポリ(2-アニリンスルホン酸)、ポリ(3-アニリンスルホン酸)が挙げられる。
これらのπ共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性に優れることから、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
(ポリアニオン)
ポリアニオンは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、スルホ基を有するポリアクリル酸エステル、スルホ基を有するポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリ(4-スルホブチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸等のスルホ基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸等のカルボキシ基を有する高分子が挙げられる。ポリアニオンは、単一のモノマーが重合した単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホ基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下が好ましく、10万以上50万以下がより好ましい。質量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィを用いて測定し、プルラン換算で求めた質量基準の平均分子量である。
ポリアニオンが有する全てのアニオン基の個数を100モル%としたとき、余剰のアニオン基は、30モル%以上90モル%以下が好ましく、45モル%以上75モル%以下がより好ましい。
本発明のポリアニオンが有するドープに関与しない余剰のアニオン基(以下、「一部のアニオン基」ともいう)は、第四級アンモニウム化合物との反応によって修飾されている。
後述する方法により本態様の導電性複合体粒子を製造することが容易であることから、第四級アンモニウム化合物は、窒素原子に結合する4つの1価の有機基を有することが好ましい。各有機基の炭素数は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上がさらに好ましい。各有機基の炭素数の上限値は特に制限されず、反応液における溶解性や反応性を考慮して、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。
また、第四級アンモニウム化合物が有する各有機基の合計の炭素数は、8~48が好ましく、12~44がより好ましく、16~40がさらに好ましい。
各有機基の炭素数の数は互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
本態様の導電性複合体粒子の導電率を高める観点から、各有機基の炭素数は4~10が特に好ましく、5~8が最も好ましい。
本発明のポリアニオンは、第四級アンモニウム化合物と一部のアニオン基との反応によって形成された下記の置換基(C)を有することが好ましい。
(置換基C)
-N11121314 ・・・(C)
[式(C)中、R11~R14はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基である。]
置換基(C)において、左端の結合手は、アニオン基の負電荷と、第四級アンモニウムカチオンの正電荷とが結合していることを表す。負に荷電し得るアニオン基として、例えば「-SO 」のように、酸素原子に活性なプロトンが結合したアニオン基が挙げられる。
化学式(C)におけるR11~R14は置換基を有していてもよい炭化水素基である。化学式(C)におけるR11~R14は第四級アンモニウム化合物に由来する置換基である。
化学式(C)における炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基の置換基としては、フェニル基、水酸基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基の置換基としては、炭素数1~5のアルキル基、水酸基等が挙げられる。
第四級アンモニウム化合物は非水溶性であることが好ましい。ここで、非水溶性であるとは、20℃の水100gに対する溶解性が1g未満であることをいう。
非水溶性第四級アンモニウム化合物は、後述する反応液においてポリアニオンに対する反応性が高いので、目的の置換基(C)を容易に形成することができる。
第四級アンモニウム化合物はテトラアルキルアンモニウムハライドであることが好ましい。ポリアニオンに対する反応性が高く、反応生成物が水系分散媒に溶解し難くなり容易に析出するからである。カウンターアニオンのハロゲンイオンとしては、臭素イオン、塩素イオンが好ましく、導電率を高める観点から塩素イオンがより好ましい。
第四級アンモニウム化合物の具体例としては、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラオクチルアンモニウム塩、テトラデシルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの第四級アンモニウム化合物を構成するアルキル基は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
アンモニウムカチオンのカウンターアニオンとしては、例えば、臭素イオン、塩素イオン等のハロゲンイオンやヒドロキシイオンが挙げられる。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下が好ましく、10質量部以上700質量部以下がより好ましく、100質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、ドープに関与しないアニオン基の量が適度に抑えられ、アニオン基に第四級アンモニウム化合物を反応させる際に疎水性に容易に変換できる。
≪導電性粒子組成物≫
本発明の第二態様は、第一態様の導電性複合体粒子と、その他の成分と、を含む導電性粒子組成物(以下、単に組成物ということがある)である。その他の成分として、例えば、バインダ成分、導電助剤、添加剤、分散媒等が挙げられる。
[バインダ成分]
バインダ成分は、前記π共役系導電性高分子及び前記ポリアニオン以外の樹脂又はその前駆体である。前駆体は硬化性のモノマー又はオリゴマーである。樹脂はそのままバインダ樹脂となり、硬化性のモノマー又はオリゴマーは硬化により形成した樹脂がバインダ樹脂となる。
本態様の組成物に含まれるバインダ成分は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
前記樹脂としては、例えば、公知のリチウムイオン二次電池の電極活物質に添加されるバインダ樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、含フッ素樹脂、ポリオレフィン、共役ジエン系重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、ラテックス類、その他の樹脂が挙げられる。
含フッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンラバー、及びこれらの変性体等が挙げられる。
共役ジエン系重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、及びその水素化物等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸エステル-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、及びアクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。
セルロース系樹脂としては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
ラテックス類としては、例えば、スチレン・ブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス、フッ素系ラテックス、シリコン系ラテックス等が挙げられる。
本態様の組成物におけるバインダ成分の含有割合は、例えば、導電性複合体粒子100質量部に対して、10質量部以上10000質量部以下が挙げられる。
[導電助剤]
導電助剤としては、例えば、公知のリチウムイオン二次電池の電極活物質に添加される導電助剤が挙げられる。具体的には、例えば、炭素材料、金属粒子等が挙げられる。
炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等が例示できる。
金属粒子としては、銀粒子、銅粒子、金粒子、アルミニウム粒子等が例示できる。
本態様に含まれる導電助剤は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
本態様の組成物中の導電助剤の含有量は、例えば、導電性複合体粒子100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下が挙げられる。
[添加剤]
添加剤としては、例えば、無機化合物(但し、炭素材料及び金属粒子を除く。)が挙げられる。無機化合物としては、例えば、シリカ、シリカ-アルミナ、ガラス、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、タルク、アルミナ、チタニア、ジルコニア、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、マイカ等が挙げられる。
本態様の組成物中の前記添加剤の含有量は、例えば、導電性複合体粒子100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下が挙げられる。
[分散媒]
本態様の組成物は、希釈用の分散媒を含んでいてもよい。分散媒は、水、有機溶剤、又は水と有機溶剤の混合液の何れであってもよい。
前記有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤(アルコール類)、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、窒素原子含有溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロパノール)、2-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
窒素原子含有溶剤としては、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
本態様の組成物に含まれる有機溶剤は、1種類でもよいし、2種以上でもよい。
本態様の組成物の総質量に対する分散媒の含有量は、例えば、10質量%以上90質量%以下が挙げられる。
≪電極≫
本発明の第三態様は、第一態様の導電性複合体粒子を含む電極である。
電極の形状は特に制限されず、例えば、板状、シート状、膜状、棒状、柱状等の公知の電極の形状が挙げられる。
板状、シート状及び膜状の電極の平均厚さは、電気抵抗の低減、電極の薄型化を両立する観点から、例えば、0.01μm以上1000μm以下が好ましく、0.1μm以上100μm以下がより好ましい。
板状、シート状及び膜状の電極の平均厚さは、電極の断面を、測定顕微鏡等の拡大観察手段を用いて観察し、無作為に選択される10箇所以上の厚さを測定した値の平均値である。
本態様の電極は、フィルム又は基板等の基材によって支持されていてもよいし、独立した電極であってもよい。
本態様の電極をリチウムイオン二次電池の電極として用いる場合、正極であってもよいし、負極であってもよい。
本態様の電極の総質量に対する導電性複合体粒子の含有量は、例えば、50質量%以上、70質量%以上、又は90質量%以上とすることができる。前記含有量の上限値は100質量%である。
本態様の電極には、第二態様で説明した導電性複合体粒子以外の成分(その他の成分)の1種以上が含まれていてもよい。
<電極の製造方法>
本態様の電極の製造方法としては、例えば、第一態様の導電性複合体粒子又は第二態様の導電性粒子組成物を所望の形状の電極に成形する方法、第二態様の導電性粒子組成物を所望の基材に塗布して乾燥し、前記基材の表面に第一態様の導電性複合体粒子を含む電極層(導電層)を形成する方法等が挙げられる。
上記の成形方法は特に制限されず、例えば、成形型を用いたプレス成形、ダイを用いた押出成形等が挙げられる。プレス成型としては、例えば、第一態様の導電性複合体粒子を型枠に充填し、押し固めることにより、型枠の形状が反映された立体形状の電極を形成する方法が挙げられる。
前記組成物を塗布する基材としては、例えば、公知のリチウムイオン二次電池の電極活物質層を支持する基材が適用できる。具体的には、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス板等の金属材が挙げられる。また、公知の樹脂フィルムや樹脂板を基材として用いてもよい。塗布方法は特に制限されず、常法を適用すればよい。
<電池>
本態様の電極を備えた電池やキャパシタを製造することもできる。
前記電池は、一次電池でもよいし、二次電池でもよい。電池の形態は特に制限されず、例えば、乾電池、電極積層型ラミネート電池、ボタン電池等の公知の電池形態が挙げられる。電池は、正極、負極及び電解質を有する。本態様の電極は、正極であってもよいし、負極であってもよい。
≪導電性複合体粒子の製造方法≫
本発明の第四態様は、反応析出工程と、洗浄工程と、乾燥工程と、粉砕工程とを含む、導電性複合体粒子の製造方法である。
反応析出工程は、第四級アンモニウム化合物と有機溶剤を含む反応液に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、水とを含む導電性高分子水系分散液を加えることにより、前記第四級アンモニウム化合物と前記導電性複合体が有する前記ポリアニオンのアニオン基の一部とを反応させ、反応生成物を析出させる工程である。
洗浄工程は、前記反応生成物を洗浄液で洗浄する工程である。
乾燥工程は、洗浄した前記反応生成物を乾燥する工程である。
粉砕工程は、乾燥した前記反応生成物を粉砕することにより、導電性複合体粒子を得る工程である。
[反応析出工程]
本工程は、導電性高分子水系分散液を第四級アンモニウム化合物が含まれる有機溶液(反応液)に加えることにより、導電性複合体と前記第四級アンモニウム化合物との反応生成物を反応液中に析出させる工程である。
前記反応液に導電性高分子水系分散液を加えると、第四級アンモニウム化合物が、導電性複合体のポリアニオンの一部のアニオン基と安定に反応する。これにより導電性複合体が疎水性になり、反応液中での安定的な分散が困難になり、析出して析出物となる。
前記反応液に含まれる有機溶剤は1種でもよく、2種以上でもよい。
前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、アリルアルコール等が挙げられる。
前記反応液中の第四級アンモニウム化合物の含有量としては、加える導電性複合体の総質量100質量部に対して、10質量部以上5000質量部以下が好ましく、100質量部以上1000質量部以下がより好ましく、150質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性複合体と第四級アンモニウム化合物との反応効率が高まり、反応生成物を容易に得られる。
上記範囲の上限値以下であると、未反応の第四級アンモニウム化合物が混入することによる導電性複合体の導電性低下を防止できる。
導電性高分子水系分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる分散液である。
ここで、水系分散媒は、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合液である。水溶性有機溶剤は水100g(20℃)に対して1g以上溶解するものをいう。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水系分散媒に含まれる水溶性有機溶剤は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
水系分散媒の総質量に対する水の含有量は、50質量%超が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。水の含有量が多いと、導電性複合体の分散性が高まり、ひいては第四級アンモニウム化合物との反応効率が高まる。さらに反応生成物が反応液中に析出し易くなる。
導電性高分子水系分散液は、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合することにより得られる。また、導電性高分子水系分散液は市販のものを使用してもよい。
前記化学酸化重合には、公知の触媒及び酸化剤を用いることができる。触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。
導電性高分子水系分散液の総質量に対する、π共役系導電性高分子及びポリアニオンの含有量としては、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.8質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。
上記好適な範囲であると、π共役系導電性高分子及びポリアニオンの分散性が高まり、第四級アンモニウム化合物との反応効率が高まる。
前記反応液の体積V1に対する、加える導電性高分子水系分散液の体積V2の体積比(V1/V2)は、0.3~3.0が好ましく、0.5~2.5がより好ましく、0.8~2.0がさらに好ましい。
上記好適な範囲であると、反応が安定に進み、反応生成物が容易に析出する。
前記反応液に導電性高分子水系分散液を加える方法は特に制限されず、所望量を一気に数秒で加えてもよいし、ゆっくりと滴下してもよい。平均粒子径が小さい導電性複合体を得て、導電性を高める観点から、ゆっくりと滴下する方法が好ましい。
前記反応液に導電性高分子水系分散液を滴下する速度としては、一定の量を滴下し続けるとして、滴下開始から滴下終了まで、1分~3時間が好ましく、10分~2時間がより好ましい。滴下中、前記反応液を穏やかに撹拌することが好ましい。
上記好適な範囲であると、反応が安定に進み、反応生成物が容易に析出する。
前記反応液に導電性高分子水系分散液を滴下する分量としては、0.1~100ml/分が好ましく、1~10ml/分がより好ましい。滴下中、前記反応液を穏やかに撹拌することが好ましい。
上記好適な範囲であると、反応が安定に進み、反応生成物が容易に析出する。
前記反応液に導電性高分子分散液を加えて穏やかに撹拌すると、数分~数時間のうちに、反応生成物が析出する。反応の終了は反応生成物の析出の終了を目視で観測して確認することができる。
前記反応液の温度は特に制限されず、例えば、5~40℃とすればよい。
前記反応生成物を析出物として回収する方法は特に制限されず、例えば、デカンテーションやろ過処理によって回収することができる。
[洗浄工程]
回収した反応生成物を洗浄することによって、反応生成物に残留する水、未反応の第四級アンモニウム化合物、導電性高分子水系分散液に含まれていた不純物等を除去することができる。
洗浄液は、反応生成物の溶解を最低限に抑えつつ洗浄可能なものが好ましい。このような洗浄液としては有機溶剤が好ましく、アルコール系溶剤がより好ましい。洗浄液に含まれる有機溶剤は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
洗浄方法としては特に制限はなく、例えば、反応生成物の上から洗浄液をかけ流してもよいし、洗浄液中で反応生成物を穏やかに攪拌してもよい。
[乾燥工程]
洗浄した反応生成物を回収して乾燥する方法は特に制限されず、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等の公知の粉体の乾燥方法を適用することができる。
乾燥後に得た反応生成物の水分量はできるだけ少ないことが好ましが、実用の観点からは、乾燥した反応生成物の総質量に対して10質量%以下の範囲で含んでもよい。
[粉砕工程]
乾燥した反応生成物を粉砕する方法は特に制限されず、例えば、乳鉢を用いてすり潰して粉砕する方法、粉砕機を用いて粉砕する方法等が挙げられる。
粉砕機としては、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミル等が挙げられる。
粉砕時間や強度を調整することにより、平均粒子径を500μm以下とすることができる。
以上の方法により、目的の導電性複合体粒子が得られる。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の製造
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で撹拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間で滴下し、この溶液を12時間撹拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000mlの溶媒を除去した。次いで、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去して、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この水洗操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)導電性高分子水系分散液の調製
14.2gの3,4-エチレンジオキシチオフェンと36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間撹拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
次いで、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を5回繰り返し、濃度1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT-PSS水分散液)溶液を得た。なお、PEDOT-PSS固形分に対するPSSの含有量は75質量%であった。
(実施例1)
テトラブチルアンモニウムクロリド2.9gをエタノール100gに溶解させた反応液に、製造例2で調製したPEDOT-PSS水分散液100gを滴下して加えて30分撹拌した。この結果、テトラブチルアンモニウムクロリドと導電性複合体の反応生成物が析出した。この析出物をろ取し、イソプロピルアルコール100gを加えて析出物を軽く懸濁しながら30分撹拌した。その後、再度析出物をろ取し、析出物を120℃で2時間乾燥し、乳鉢で粉砕することで、目的の導電性複合体粒子1.1gを得た。平均粒子径は110μmであった。
この導電性複合体粒子0.1gを市販の錠剤成型機でプレスすることで、円柱状錠剤(直径10mm、厚さ1.3mm)を得た。
(実施例2)
テトラブチルアンモニウムクロリド2.9gを、テトラブチルアンモニウムブロミド2.9gに変更した以外は、実施例1と同様にして、目的の導電性複合体粒子1.1gを得た。平均粒子径は120μmであった。
この導電性複合体粒子0.1gを用いて、実施例1と同じサイズの円柱状錠剤を得た。
(実施例3)
テトラブチルアンモニウムブロミド2.9gをエタノール200gに溶解させた反応液に、製造例2で調製したPEDOT-PSS水分散液100gを滴下して加えて30分撹拌した。この結果、テトラブチルアンモニウムブロミドと導電性複合体の反応生成物が析出した。この析出物をろ取し、イソプロピルアルコール100gを加えて析出物を軽く懸濁しながら30分撹拌した。その後、再度析出物をろ取し、析出物を120℃で2時間乾燥し、乳鉢で粉砕することで、目的の導電性複合体粒子1.1gを得た。平均粒子径は42μmであった。
この導電性複合体粒子0.1gを用いて、実施例1と同じサイズの円柱状錠剤を得た。
(実施例4)
テトラブチルアンモニウムブロミド2.9gを、テトラオクチルアンモニウムブロミド2.4gに変更した以外は、実施例3と同様にして、目的の導電性複合体粒子1.1gを得た。平均粒子径は35μmであった。
この導電性複合体粒子0.1gを用いて、実施例1と同じサイズの円柱状錠剤を得た。
(実施例5)
テトラブチルアンモニウムブロミド2.9gを、テトラデシルアンモニウムブロミド2.4gに変更した以外は、実施例3と同様にして、目的の導電性複合体粒子1.1gを得た。平均粒子径は40μmであった。
この導電性複合体粒子0.1gを用いて、実施例1と同じサイズの円柱状錠剤を得た。
(実施例6)
実施例1と同様にして導電性複合体粒子をろ取した後、乳鉢による粉砕の時間を短縮し、目的の導電性複合体粒子1.1gを得た。平均粒子径は600μmであった。
この導電性複合体粒子0.1gを用いて、実施例1と同じサイズの円柱状錠剤を得た。
(比較例1)
テトラブチルアンモニウムクロリド2.9gを、トリオクチルアミン5gに変更した以外は、実施例1と同様にして導電性複合体粒子1.1gを得た。平均粒子径は100μmであった。
この導電性複合体粒子0.1gを用いて、実施例1と同じサイズの円柱状錠剤を得た。
(比較例2)
テトラブチルアンモニウムクロリド2.9gを、トリブチルアミン5gに変更した以外は、実施例1と同様にして導電性複合体粒子1.1gを得た。平均粒子径は120μmであった。
この導電性複合体粒子0.1gを用いて、実施例1と同じサイズの円柱状錠剤を得た。
[平均粒子径の測定方法]
各例で製造した導電性複合体粒子の平均粒子径を測定するために、次の手順により測定用の試料を準備した。その手順は、粉砕した導電性複合体粒子0.1gにイソプロピルアルコール5mlを添加し、分散剤DISPERBYK-190(ビックケミー・ジャパン社製)を1滴加えた後、超音波で分散処理を行った。その後、イオン交換水を加えて20mLとし、再度超音波で分散処理を行なった。この分散液を測定用フローセルに投入し、水循環式で温度20~25℃にて測定した。測定には市販のレーザー回折粒子径分布測定装置を用いた。
[導電率の測定]
各例で作製した円柱状錠剤の導電率(単位:S/cm)を、ロレスタGX(日東精工アナリテック社製)を用い、PSPプローブで測定した。
Figure 2023055024000001
本発明に係る各実施例の導電性複合体粒子からなる電極は、いずれも良好な導電率を示した。
実施例1と実施例2を比べると、平均粒子径は同等でありながら実施例1の導電率の方が優れることから、塩素イオンを有する第四級アンモニウム化合物を用いると臭素イオンを有する第四級アンモニウム化合物を用いる場合と比べて導電率が高くなることが分かる。
実施例1,3,6を比べると、平均粒子径が小さいほど導電率が高くなることが分かる。
実施例4の導電率は特に優れていた。実施例3~5の平均粒子径は同程度に小さいので、導電率を向上させる観点から、第四級アンモニウム化合物の窒素原子に結合する各炭化水素基の炭素数が、好ましくは12以下であり、より好ましくは3~9であり、さらに好ましくは5~8であることが分かる。
比較例1、2では、第四級アンモニウム化合物ではなく三級アミンを反応させたので、導電率が劣っていた。

Claims (10)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有する導電性複合体粒子であり、前記ポリアニオンの一部のアニオン基は、第四級アンモニウム化合物との反応によって修飾されている、導電性複合体粒子。
  2. 前記第四級アンモニウム化合物の窒素原子に結合する1価の有機基の炭素数が5以上である、請求項1に記載の導電性複合体粒子。
  3. 前記有機基が炭化水素基である、請求項2に記載の導電性複合体粒子。
  4. 前記第四級アンモニウム化合物が有する全炭素数が40以下である、請求項1~3の何れか一項に記載の導電性複合体粒子。
  5. 前記第四級アンモニウム化合物が、テトラブチルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、及びテトラデシルアンモニウムから任意に選択される少なくとも1種を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の導電性複合体粒子。
  6. 平均粒子径が500μm以下である、請求項1~5の何れか一項に記載の導電性複合体粒子。
  7. 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含むか、又は、前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸を含む、請求項1~6の何れか一項に記載の導電性複合体粒子。
  8. 請求項1~7の何れか一項に記載の導電性複合体粒子を含む、電極。
  9. 第四級アンモニウム化合物と有機溶剤を含む反応液に、
    π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、水とを含む導電性高分子水系分散液を加えることにより、
    前記第四級アンモニウム化合物と前記導電性複合体が有する前記ポリアニオンのアニオン基の一部とを反応させ、反応生成物を析出させる工程と、
    前記反応生成物を洗浄液で洗浄する工程と、
    洗浄した前記反応生成物を乾燥する工程と、
    乾燥した前記反応生成物を粉砕することにより、導電性複合体粒子を得る工程と、を含む、導電性複合体粒子の製造方法。
  10. 前記第四級アンモニウム化合物が第四級アンモニウムハライドを含む、請求項9に記載の導電性複合体粒子の製造方法。
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