JP2023051426A - 薄膜キャパシタ、電源モジュールおよび電子機器 - Google Patents

薄膜キャパシタ、電源モジュールおよび電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】高密着性および高耐電圧である薄膜キャパシタ等を提供する。【解決手段】第1電極、第1誘電体膜、第2誘電体膜、および、第2電極が、この順番で積層されてなる積層構造を有する薄膜キャパシタである。第2誘電体膜と第2電極とが接する。第1誘電体膜は、ペロブスカイト型化合物を含む。第2誘電体膜は、ペロブスカイト型化合物またはMの酸化物を含む。第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX1とする。第2誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX2aとし、Mの平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX2bとする。X2a<X1かつX2a≦1000kJ/molであるか、X2b<X1かつX2b≦1000kJ/molである。【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜キャパシタ、電源モジュールおよび電子機器に関する。
電子機器に用いられる電源モジュールの小型化に伴い、電源モジュールに使用されるキャパシタ等の電子部品の小型化の要求が高まっている。
電源モジュールの小型化は電源のスイッチング周波数の増加により達成される。しかし、スイッチング周波数が高い場合には、配線から生じる寄生インダクタンスや搭載部品そのものの寄生インダクタンスが電源回路の電圧の揺らぎを引き起こしやすくなる。電圧の揺らぎは想定外の高電圧異常(例えばサージ電圧、リンギング)を発生させてスイッチング素子を破壊してしまう場合がある。スイッチング素子を破壊しなくても損失が高くなる場合やノイズが発生する場合がある。そのため、高電圧異常の影響を受けにくい電源回路を構成する必要性や高電圧異常の影響を受けにくい部品を選択する必要が生じてしまう。そのため、電圧の揺らぎを抑制することが望まれている。
電圧の揺らぎを抑制するためにスイッチング素子の周辺にスナバキャパシタを含むスナバ回路を形成することがある。スナバ回路を形成することにより高電圧異常を抑制することができる。また、寄生インダクタンスを低減する試みもなされている。薄膜キャパシタは寄生インダクタンスが小さいことから、薄膜キャパシタを電源モジュールに用いる研究が進められている。
薄膜キャパシタは、LSIの近傍に配置されるデカップリングキャパシタとて用いられる場合がある。この場合には薄膜キャパシタは比較的低電圧での駆動となるため、高耐電圧はあまり要求されない。
これに対し、スイッチング素子近傍の電源回路に用いられる薄膜キャパシタは比較的高電圧での駆動となるため、高耐電圧が要求される。一般的に、誘電率と耐電圧とは反比例の関係がある。高耐電圧の薄膜キャパシタを得るためには誘電率の低い誘電体膜を用いることが必要である。しかし、そのような誘電体膜を用いて薄膜キャパシタを作製する場合には、誘電体膜と電極との密着性が低下することがある。
特許文献1には、半導体装置に関する発明が記載されており、過剰酸素領域を有する絶縁体から導電体への過剰酸素の拡散を抑制する第2の絶縁体が記載されている。しかし、第2の絶縁体が、絶縁体と導電体との密着性にどの程度、寄与しているかは不明である。
特許文献2には、電子部品に関する発明が記載されている。電極膜と誘電体膜との密着性を確保するために、密着金属層を主導電層と誘電体膜との間に設けている。しかし、密着金属層に含まれるCr、Ti、Ta等の金属が主導電層と誘電体膜との接触により酸化して酸化物となり拡散する懸念がある。その場合には誘電体膜の特性に悪影響を与える懸念がある。
特許文献3には、セラミック電子部品に関する発明が記載されている。誘電体薄膜が互いに配向性が異なる2層の薄膜部を形成することでリークを少なくして耐電圧を向上させている。しかし、誘電体薄膜と電極との密着性については何ら記載がない。
国際公開第2020/188392号 特開2007-173437号公報 特開平7-29768号公報
本発明は、高密着性および高耐電圧である薄膜キャパシタ等を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る薄膜キャパシタは
第1電極、第1誘電体膜、第2誘電体膜、および、第2電極が、この順番で積層されてなる積層構造を有する薄膜キャパシタであって、
前記第2誘電体膜と前記第2電極とが接し、
前記第1誘電体膜および前記第2誘電体膜は、ペロブスカイト型化合物を含み、
前記第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX1とし、
前記第2誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX2aとして、
X2a<X1かつX2a≦1000kJ/molである。
本発明の第2の観点に係る薄膜キャパシタは
第1電極、第1誘電体膜、第2誘電体膜、および、第2電極が、この順番で積層されてなる積層構造を有する薄膜キャパシタであって、
前記第2誘電体膜と前記第2電極とが接し、
前記第1誘電体膜はペロブスカイト型化合物を含み、前記第2誘電体膜はMの酸化物を含み、
前記第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX1とし、
前記第2誘電体膜に含まれるMの平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX2bとして、
X2b<X1かつX2b≦1000kJ/molである。
前記第1誘電体膜の比誘電率をε、前記第1誘電体膜の膜厚をd、前記第2誘電体膜の比誘電率をε、前記第2誘電体膜の膜厚をd、εとεとの合成誘電率をεとして、ε≧0.8×ε×((d+d)/d)を満たしてもよい。
前記第1誘電体膜の耐電圧が0.30kV/um以上であってもよい。
本発明の電源モジュールは上記の薄膜キャパシタを有する。
本発明の電子機器は上記の電源モジュールを有する。
本発明に係る薄膜キャパシタの模式図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、以下の順番で詳細に説明する。
1.薄膜キャパシタ
1.1.薄膜キャパシタの全体構成
1.2.誘電体膜
1.3.基板
1.4.第1電極
1.5.第2電極
2.薄膜キャパシタの製造方法
(1.薄膜キャパシタ)
まず、本発明の第1実施形態に係る薄膜キャパシタについて説明する。
(1.1.薄膜キャパシタの全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る誘電体素子の一例としての薄膜キャパシタ100は、基板10と、第1電極30と、誘電体膜40と、第2電極50とがこの順番で積層された構成を有している。第1電極30および第2電極50が外部回路に接続されて電圧が印加されると、誘電体膜40が所定の静電容量を示し、キャパシタとしての機能を発揮することができる。各構成要素についての詳細な説明は後述する。
なお、薄膜キャパシタの形状に特に制限はないが、通常、直方体形状とされる。またその寸法にも特に制限はなく、厚みおよび長さは用途に応じて適当な寸法とすればよい。
(1.2.誘電体膜)
本実施形態では、誘電体膜40が第1誘電体膜41および第2誘電体膜42を含む。そして、図1に示すように、薄膜キャパシタ100は、第1電極30、第1誘電体膜41、第2誘電体膜42、および、第2電極50が、この順番で積層されてなる積層構造60を有する。さらに、第2誘電体膜42と第2電極50とが接する。
第1電極30と第1誘電体膜41とが接していてもよい。第1誘電体膜41と第2誘電体膜42とが接していてもよい。
第1電極30と第1誘電体膜41との間、または、第1誘電体膜41と第2誘電体膜42との間にその他の誘電体膜を含んでもよい。その他の誘電体膜を含む場合におけるその他の誘電体膜の組成および厚みについては特に制限はなく、高密着性および高耐電圧の実現を阻害しなければよい。
第1誘電体膜41および第2誘電体膜42は、ペロブスカイト型化合物を含む。本実施形態に係るペロブスカイト型化合物は、一般式ABOで表されるペロブスカイト型酸化物である。AはAサイト構成陽イオン元素、BはBサイト構成陽イオン元素である。
また、第1誘電体膜41および第2誘電体膜42において、高密着性および高耐電圧の実現を阻害しない範囲でペロブスカイト型化合物以外の化合物を含んでもよい。例えば、第1誘電体膜41において、ペロブスカイト型化合物以外の化合物は50mol%未満、含んでもよい。例えば、第2誘電体膜42において、ペロブスカイト型化合物以外の化合物は50mol%未満、含んでもよい。
第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物においても、第2誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物においても、Aの種類には特に限定はない。一般的なペロブスカイト化合物においてAサイトに入る陽イオン元素であればよい。例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、および、バリウム(Ba)から選択される1種以上である。
第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物においても、第2誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物においても、Bの種類には特に限定はない。一般的なペロブスカイト化合物においてBサイトに入る陽イオン元素であればよい。例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、錫(Sn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、および、ニッケル(Ni)から選択される1種以上である。Ti、Zr、Mg、および、Taから選択される1種以上であってもよい。ただし、第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物において、Bサイトに入る陽イオン元素に対するTiの割合は小さいことが好ましい。具体的には、第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物において、Bサイトに入る陽イオン元素100mol部に対するTiの割合が50mol部以下であることが好ましい。Bサイトに入る陽イオン元素に占めるTiの割合が大きい場合には、耐電圧が低くなる傾向にある。
本実施形態では、第1誘電体膜41に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX1とし、第2誘電体膜42に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX2aとして、X2a<X1かつX2a≦1000kJ/molである。
X2aが小さい第2誘電体膜42が誘電体膜40に含まれることにより、誘電体膜40と第2電極50との間の密着性を向上させることができる。以下、密着性が向上する理由を説明する。
電極と誘電体膜との間の密着性を向上させるためには、電極と誘電体膜との界面において、電極と誘電体膜とを強固に接合させる必要がある。電極と誘電体膜との接合を強固にするためには、電極に含まれる原子の結合状態と誘電体膜に含まれる原子の結合状態とを近づける必要がある。
一般的に、電極に含まれる原子は金属-金属間結合により結合している。これに対し、一般的に、誘電体膜に含まれる原子は共有結合により結合している。したがって、電極と誘電体膜との間の密着性は低くなりやすい。
ここで、誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値が小さい場合には、当該誘電体膜が酸化しやすく還元しやすい。すなわち、当該誘電体膜は、電極に接する界面の原子層レベルにおいて、酸化しやすく還元しやすい。そのため、誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値が小さい場合には、誘電体膜側の界面における原子の結合状態が金属-金属間結合に近い。したがって、誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値が小さい場合には、電極と誘電体膜との間の密着性が向上する。また、上記のメカニズムで電極と誘電体膜との間の密着性を向上させるためには、電極が卑金属を含むことが好ましい。
各元素の酸化物生成エネルギーは、標準温度298.15K、標準圧力1.01325×10Paにおける各元素の酸化物の標準生成ギブズエネルギーから各元素の標準生成ギブズエネルギーを引くことで求められる。標準温度および標準圧力における各元素の標準生成ギブズエネルギーは公知である。また、標準温度および標準圧力における各元素の酸化物の標準生成ギブズエネルギーも公知である。各元素の酸化物生成エネルギーを各元素の含有割合(mol分率)に応じて加重平均することで平均酸化物生成エネルギーを算出することができる。
第1誘電体膜41に含まれるペロブスカイト型化合物の組成については、特に制限はない。
ペロブスカイト型化合物の組成は一般式xAO-yB´O-zB´´(原子数比)と表すことができる。Aサイト構成陽イオン元素をAとし、Aは、例えばCa、Sr、Baから選択される1種以上とする。Bサイト構成陽イオン元素をB´とB´´とに区分する。B´は、例えばMg、Zn、Niから選択される1種以上とする。B´´は、例えばTi、Nb、Zr、Taから選択される1種以上とする。
第1誘電体膜41に含まれるペロブスカイト型化合物の組成については、例えばx、y、zが下記の範囲内であってもよい。
x+y+z=1.000
0.375≦x≦0.563
0.250≦y≦0.500
x/3≦z≦x/3+1/9
第2誘電体膜42に含まれるペロブスカイト型化合物の組成については、特に制限はない。
第1誘電体膜41の比誘電率をε、第1誘電体膜41の膜厚をd、第2誘電体膜42の比誘電率をε、第2誘電体膜42の膜厚をd、εとεとの合成誘電率をεとして、ε≧0.8×ε×((d+d)/d)を満たしてもよい。
誘電体膜40が第1誘電体膜41を含み第2誘電体膜42を含まない場合と、誘電体膜40が第1誘電体膜41および第2誘電体膜42を含む場合と、を比較する。誘電体膜40の厚みが同一であれば、誘電体膜40が第1誘電体膜41を含み第2誘電体膜42を含まない場合と比較して、誘電体膜40が第1誘電体膜41および第2誘電体膜42を含む場合の耐電圧が低下する。誘電体膜40の厚みを厚くすれば誘電体膜40の耐電圧が上昇するが、薄膜キャパシタ100の容量が低下する。ε≧0.8×ε×((d+d)/d)を満たす場合には、耐電圧を変化させずに誘電体膜40の厚みを厚くする場合における薄膜キャパシタ100の容量の低下割合が20%以下となる。
以下、εの算出方法について説明する。薄膜キャパシタ100の電極面積をSとし、V=Sd、V=Sd、α:β=V/(V+ V):V/(V+ V)、α+β=1として、下記の式が成り立つ。下記の式に沿ってlogεが算出でき、logεからεが算出できる。なお、下記の式のlogは全て底が10である。
logε=αlogε+βlogε=(dlogε+dlogε)/(d+d
第1誘電体膜41の耐電圧には特に制限はない。0.10kV/um以上であってもよく、0.30kV/um以上であってもよく、0.50kV/um以上であってもよい。
誘電体膜40の耐電圧には特に制限はない。0.10kV/um以上であってもよく、0.30kV/um以上であってもよく、0.50kV/um以上であってもよい。
誘電体膜40の膜厚には特に制限はない。好ましくは1.0um~6.0umである。dには特に制限はない。好ましくは0.5um~5.5umである。dには特に制限はない。好ましくは0.1um~0.5umである。
誘電体膜40の厚みは、誘電体膜40を含む薄膜キャパシタを、FIB(集束イオンビーム)加工装置で加工し、得られた断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して測定することができる。dおよびdについても同様の方法で測定することができる。なお、第1誘電体膜41と第2誘電体膜42とがSEMで区別できない場合には、透過型電子顕微鏡(TEM)による結晶方位観察、電子線後方散乱回折(EBSD)による結晶方位観察などを用いて区別してもよい。
(1.3.基板)
基板10の種類には特に限定はない。基板10は、化学的、熱的に安定な材料であり、かつ、基板10に応力が生じにくく基板10の表面の平滑性を保つことができる材料で構成されていればよい。たとえば、Si単結晶、サファイア単結晶、SrTiO単結晶、MgO単結晶等から構成される単結晶基板;アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、フォルステライト(2MgO・SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)、ムライト(3Al・2SiO)、ベリリア(BeO)、ジルコニア(ZrO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)等から構成されるセラミック多結晶基板;1000℃以下で焼成して得たアルミナ(結晶相)と酸化ケイ素(ガラス相)等からなるガラスセラミックス基板(LTCC基板);石英ガラス等のガラス基板;Fe-Ni合金等から構成される金属基板が挙げられる。また、ニッケル(Ni)もしくは銅(Cu)からなる金属箔でも良い。
金属箔は、基板10と第1電極30とを兼ねることができる。金属箔が基板10と第1電極30とを兼ねる場合には後述する絶縁層20は形成されない。金属箔が基板10と第1電極30とを兼ねる場合には、薄膜キャパシタ100を電子回路基板に実装することが容易となる。したがって、基板10として金属箔を用いることで薄膜キャパシタ100の更なる薄膜化、フレキシブル性の向上および基板コストの削減に寄与できる。金属箔が基板10と第1電極30とを兼ねる場合の金属箔の厚みには特に制限はない。例えば1um以上1000um以下であってもよい。
以下、特に記載がなければ、基板10と第1電極30とを金属箔が兼ねていない場合について説明する。
基板10の厚みには特に制限はない。10um~5000umであってもよい。
基板10は、用いる材料によって抵抗率が異なる。抵抗率が低い材料で基板10を構成する場合には、薄膜キャパシタ100の作動時に積層構造60から基板10への電流のリークが生じることがある。その結果、薄膜キャパシタ100の電気特性に影響を及ぼすことがある。そのため、基板10の電気抵抗率が低い場合には、基板10の積層構造60側の表面に絶縁処理を施し、薄膜キャパシタ100の作動時に生じる電流が基板10へ流れにくくすることが好ましい。
たとえば、基板10がSi単結晶基板である場合には、基板10の表面に絶縁層20が形成されていることが好ましい。絶縁層20を構成する材料には特に限定はなく、基板10と積層構造60との間の絶縁が十分に確保される材料であればよい。例えば、SiO、Al、Si等が挙げられる。また、絶縁層20の厚みには特に制限はない。0.01um以上1um以下であってもよい。
(1.4.第1電極)
図1に示すように、基板10の上には、絶縁層20を介して、第1電極30が形成されている。第1電極30は薄膜形状であってもよい。すなわち、第1電極30は電極膜であってもよい。第1電極30は、第2電極50とともに誘電体膜40を挟み、薄膜キャパシタ100をキャパシタとして機能させるための電極である。第1電極30は、導電性を有する材料で構成されていればよい。導電性を有する材料としては、例えば、Au、Pt、Ag、Ir、Ru、Co、Ni、Fe、Cu、Al等の金属の単体;上記の金属からなる合金;Si、GaAs、GaP、InP、SiC等の半導体;ITO、ZnO、SnO等の導電性金属酸化物が挙げられる。導電性を有する材料として卑金属を含む材料を用いることが好ましい。卑金属を含む材料として、Niの単体、Cuの単体、またはNi-Cu合金を用いることが特に好ましい。
第1電極30の厚みには特に制限はない。第1電極30の厚みは電極として機能する厚みであればよい。第1電極30の厚みは0.01um以上1um以下であってもよい。
基板10と第1電極30との密着性を向上させるために、第1電極30を形成する前に、基板10上に密着層を形成してもよい。密着層を形成するための材料は、基板10と第1電極30との密着性が向上する材料であれば、特に限定されない。例えば、チタン酸化物、クロム酸化物が例示される。なお、絶縁層20が形成される場合には、上記の基板10は絶縁層20と読み替える。
(1.5.第2電極)
図1に示すように、誘電体膜40の表面には、第2電極50が形成されている。第2電極50は薄膜形状であってもよい。すなわち、第2電極50は電極膜であってもよい。第2電極50は、上述した第1電極30とともに、誘電体膜40を挟み、薄膜キャパシタ100をキャパシタとして機能させるための電極である。したがって、第2電極50は、第1電極30とは異なる極性を有している。
第2電極50は、第1電極30と同様に、導電性を有する材料で構成されていればよい。導電性を有する材料としては、例えば、Au、Pt、Ag、Ir、Ru、Co、Ni、Fe、Cu、Al等の金属の単体;上記の金属からなる合金;Si、GaAs、GaP、InP、SiC等の半導体;ITO、ZnO、SnO等の導電性金属酸化物が挙げられる。導電性を有する材料として卑金属を含む材料を用いることが好ましい。卑金属を含む材料として、Niの単体、Cuの単体、またはNi-Cu合金を用いることが特に好ましい。特に第2誘電体層42と接する第2電極50において卑金属を含む材料を用いる場合に密着性が向上しやすいためである。
第2電極50の厚みには特に制限はない。第2電極50の厚みは電極として機能する厚みであればよい。第2電極50の厚みは0.01um以上100um以下であってもよい。
(2.薄膜キャパシタの製造方法)
次に、図1に示す薄膜キャパシタ100の製造方法の一例について以下に説明する。
まず、基板10を準備する。基板10としてSi単結晶基板を準備する場合には、必要に応じて、Si単結晶基板の一方の主面に絶縁層20を形成する。絶縁層20の形成方法には特に制限はない。例えば、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の成膜法を用いて形成すればよい。
続いて、必要に応じて、形成された絶縁層20上(絶縁層20を形成しない場合には基板10上)に、公知の成膜法を用いて密着層を形成する。
続いて、公知の成膜法を用いて、基板10上、絶縁層20上、または密着層上に第1電極30を形成する。
なお、金属箔が基板10と第1電極30とを兼ねる場合には、基板10と第1電極30とを兼ねる金属箔を準備する。
続いて、第1電極30上に、誘電体膜40を形成する。具体的には、第1誘電体膜41を形成したのちに、第1誘電体膜41上に第2誘電体膜42を形成する。第1誘電体膜41および第2誘電体膜42を形成する方法には特に制限はない。公知の成膜法により、各誘電体膜を構成する材料を薄膜状に堆積させた堆積膜としての各誘電体膜を形成する。
公知の成膜法としては、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、PLD(パルスレーザー蒸着法)、MO-CVD(有機金属化学気相成長法)、MOD(有機金属分解法)、ゾルゲル法、CSD(化学溶液堆積法)が例示される。
各誘電体膜の成膜時に使用する原料(蒸着材料、各種ターゲット材料、有機金属材料等)には微量の不純物、副成分等が含まれている場合があるが、高密着性および高耐電圧の実現を阻害しなければよい。
次に、形成した誘電体膜40上に、公知の成膜法を用いて第2電極50を形成する。
第2電極50を形成する前または形成した後に、アニール処理を行ってもよい。アニール処理条件には特に制限はない。例えば、アニール温度300℃~1000℃、アニール時間30分~120分で電極が酸化しない雰囲気にてアニール処理を行えばよい。アニール処理を行うことにより、各誘電体膜に含まれる成分を確実にペロブスカイト型化合物とすることができる。電極が酸化しない雰囲気とは、酸素含有量が1%以下の雰囲気を意味する。具体的には、水素、窒素、水蒸気からなる混合ガスで作製できる雰囲気、および、一酸化炭素と二酸化炭素の酸素の解離を利用して作製できる雰囲気が挙げられる。電極が酸化しない雰囲気が100Pa以下の真空雰囲気であってもよい。
また、必要に応じてパッシベージョン層(保護層)を形成してもよい。パッシベーション層の材料としては、SiO、Al等の無機材料、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の有機材料を用いることができる。
以上の工程を経て、図1に示すように、基板10上に、積層構造60(第1電極30、誘電体膜40および第2電極50)が形成された薄膜キャパシタ100が得られる。なお、誘電体膜40を保護する保護膜70は、少なくとも誘電体膜40が外部に露出している部分を覆うように公知の成膜法により形成すればよい。保護膜70の材料にも特に制限はなく、誘電体膜を保護する保護膜として公知の材料であればよい。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。特に記載しない内容については、第1実施形態と同様である。
本実施形態では、第1誘電体膜41は、ペロブスカイト型化合物を含む。本実施形態に係るペロブスカイト型化合物は、一般式ABOで表されるペロブスカイト型酸化物である。AはAサイト構成陽イオン元素、BはBサイト構成陽イオン元素である。
第2誘電体膜42は、Mの酸化物を含む。Mの種類には特に制限はない。例えば、Si、Ti、Zn、Al、Fe、Hf、Ta、Nb、Zrが挙げられる。Mの酸化物は単一元素の酸化物であってもよい。単一元素の酸化物とは、酸素以外の元素から選択される1種の元素と酸素との化合物のことである。
また、第1誘電体膜41において、高密着性および高耐電圧の実現を阻害しない範囲でペロブスカイト型化合物以外の化合物を含んでもよい。第2誘電体膜42において、高密着性および高耐電圧の実現を阻害しない範囲でMの酸化物以外の化合物を含んでもよい。例えば、第1誘電体膜41において、ペロブスカイト型化合物以外の化合物は50mol%未満、含んでもよい。例えば、第2誘電体膜42において、Mの酸化物以外の化合物は50mol%未満、含んでもよい。
本実施形態では、第1誘電体膜41に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX1とし、第2誘電体膜42に含まれるMの酸化物におけるMの平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX2bとして、X2b<X1かつX2b≦1000kJ/molである。
X2bが小さい第2誘電体膜42が誘電体膜40に含まれることにより、誘電体膜40と第2電極50との間の密着性を向上させることができる。以下、密着性が向上する理由を説明する。
電極と誘電体膜との間の密着性を向上させるためには、電極と誘電体膜との界面において、電極と誘電体膜とを強固に接合させる必要がある。電極と誘電体膜との接合を強固にするためには、電極に含まれる原子の結合状態と誘電体膜に含まれる原子の結合状態とを近づける必要がある。
一般的に、電極に含まれる原子は金属-金属間結合により結合している。これに対し、一般的に、誘電体膜に含まれる原子は共有結合により結合している。したがって、電極と誘電体膜との間の密着性は低くなりやすい。
ここで、誘電体膜に含まれるMの酸化物におけるMの平均酸化物生成エネルギーの絶対値が小さい場合には、当該誘電体膜が酸化しやすく還元しやすい。すなわち、当該誘電体膜は、電極に接する界面の原子層レベルにおいて、酸化しやすく還元しやすい。そのため、誘電体膜に含まれるMの酸化物におけるMの平均酸化物生成エネルギーの絶対値が小さい場合には、誘電体膜側の界面における原子の結合状態が金属-金属間結合に近い。したがって、誘電体膜に含まれるMの酸化物に含まれるMの平均酸化物生成エネルギーの絶対値が小さい場合には、電極と誘電体膜との間の密着性が向上する。
以上、第1実施形態および第2実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
各実施形態の薄膜キャパシタの用途には特に制限はない。例えば、DC-DCコンバータ、AC-ACコンバータ、DC-ACインバータ等に用いられるスナバキャパシタが挙げられる。また、薄膜キャパシタが搭載される電源モジュールが挙げられる。さらに、当該電源モジュールを含む電子機器、例えばデジタルテレビ、サーバー、車載機器等が挙げられる。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
まず、第1誘電体膜および第2誘電体膜を形成するためのターゲットを以下のようにして作製した。
ターゲットの原料粉末として、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸バリウム(BaCO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タンタル(Ta)の各粉末を準備した。表1、表2に示す各誘電体膜の組成となるように、これらの粉末を秤量した。
ボールミル中で水を溶媒として、秤量したターゲットの原料粉末の湿式混合を20時間行った。得られた混合粉末スラリーを100℃で乾燥させ、混合粉末を得た。得られた混合粉末を、プレス機によるプレス成形して成形体を得た。成形条件は、圧力を100Pa、温度を25℃、プレス時間を3分とした。
その後、得られた成形体を焼成して焼結体を得た。焼成条件は、保持温度1300~1400℃、保持時間2~5時間、雰囲気は空気中とした。
得られた焼結体を、平面研削盤と円筒研磨機により直径200mm、厚さ6mmに加工して、各誘電体膜を形成するためのターゲットを得た。
続いて、基板と第1電極とを兼ねる金属箔として、Ni箔およびCu箔を準備した。金属箔の寸法は100mm×100mm×0.05mmとした。
続いて、第1誘電体膜を形成するためのターゲットを用いて、スパッタリング法により金属箔上に表1、表2に示す厚みdとなるように第1誘電体膜を形成した。
続いて、第2誘電体膜を形成するためのターゲットを用いて、スパッタリング法により第1誘電体膜上に表1、表2に示す厚みdとなるように第2誘電体膜を形成した。
各誘電体膜の成膜条件は、基板温度を400℃、成膜圧力を0.1Paとした。
次いで、第2電極を形成した前に、600℃で還元焼成を行った。その後、第2誘電体膜上に、スパッタリング法により第2電極として、表1、表2に示す金属元素の薄膜を形成することで、表1、表2に示す薄膜キャパシタ試料を得た。
第1誘電体膜の組成および第2誘電体膜の組成は、すべての試料について、XRF(蛍光X線元素分析)を用いて分析を行い、表1、表2に記載の組成と一致していることを確認した。また、第1誘電体膜の厚みおよび第2誘電体膜の厚みは、薄膜キャパシタ試料をFIBで加工し、得られた断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して測定した値とした。
得られた全ての薄膜キャパシタについて、比誘電率、耐電圧および密着強度を下記に示す方法により測定した。
比誘電率は、薄膜キャパシタ試料に対し、インピーダンスアナライザ(E4980A)を用いて、室温25℃、測定周波数1kHz(1Vrms)の条件で測定された静電容量と、薄膜キャパシタ試料の電極寸法および電極間距離と、から算出した。
第1誘電体膜の比誘電率εは、第2誘電体膜を形成しない点以外は同条件で作製した薄膜キャパシタ試料の比誘電率とした。結果を表1、表2に示す。
第2誘電体膜の比誘電率εは、第1誘電体膜を形成しない点以外は同条件で作製した薄膜キャパシタ試料の比誘電率とした。結果を表1、表2に示す。
合成誘電率εは、上記の方法により算出した。結果を表1、表2に示す。また、各薄膜キャパシタの比誘電率を実測し、合成誘電率εと略一致することを確認した。
耐電圧は、昇圧速度1V/sで直流電流を印加し、50mAを超える電流が流れた時点での電圧を測定した。また、耐電圧については、各試料の耐電圧、および、各試料について第2誘電体膜を形成しない点以外は同条件で作製した薄膜キャパシタ試料の耐電圧(第1誘電体膜の耐電圧)を測定した。結果を表1、表2に示す。第1誘電体膜の耐電圧については、0.10kV/um以上である場合が良好であり、0.30kV/um以上である場合がさらに良好であり、0.50kV/um以上である場合がさらに良好であるとした。各試料の耐電圧については、0.10kV/um以上である場合が良好であり、0.30kV/um以上である場合がさらに良好であり、0.50kV/um以上である場合がさらに良好であるとした。
密着強度は、Al製のスタッドピンを貼り付け、引っ張ることで測定した。以下、密着強度の測定方法を説明する。
Al製のスタッドピンとしては、Quad Group先端2.7mmΦのエポキシ接着剤付きAl製スタッドピン(Quad Group社製)を準備した。次に、Al製スタッドピンを評価サンプルの第2電極層に接着させた。具体的には、Al製スタッドピンのエポキシ接着剤が付着している面を第2電極層に押し付け、150℃で1時間、加熱した。その後、スタッドピンが接着している部分の周囲の第2電極層に切り込みを入れた。
別途、クランプをデジタルフォースゲージRZ-50(アイコーエンジニアリング製)に取り付けた。
そして、評価サンプルを固定し、クランプでスタッドピンを挟んだ。その後、15mm/minの速度で鉛直上方にスタッドピンを引き上げた。スタッドピンを引き上げたときの引っ張り応力の最大値を測定し、密着強度とした。
密着強度が10.0N/mm以上である場合が良好であるとした。密着強度が10.0N/mm以上であり、かつ、第2誘電体膜を形成しない場合の密着強度よりも1.0N/mm以上、高い場合がさらに良好であるとした。
Figure 2023051426000002
Figure 2023051426000003
表1、表2より、X2a<X1かつX2a≦1000kJ/molを満たす実施例は密着強度および耐電圧が良好であった。これに対し、X2aが大きすぎる比較例は密着強度が低下した。また、第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物において、Bサイトに入る陽イオン元素100mol部に対するTiの割合が50mol部以下である実施例は第2誘電体膜がない点以外は同条件で実施した場合との比較で密着強度が大きく向上した。さらに、Bサイトに入る陽イオン元素100mol部に対するTiの割合が50mol部以下である実施例は耐電圧も高くなった。
(実験例2)
実験例2は実験例1とは第2誘電体膜が異なる。以下、第2誘電体膜を形成する方法について説明する。
第2誘電体膜を形成するためのターゲットの原料粉末として、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)の各粉末を準備した。表3、表4に示す第2誘電体膜の組成となるように、これらの粉末を秤量した。
ボールミル中で水を溶媒として、秤量したターゲットの原料粉末の湿式混合を20時間行った。得られた混合粉末スラリーを100℃で乾燥させ、混合粉末を得た。得られた混合粉末を、プレス機によるプレス成形して成形体を得た。成形条件は、圧力を100Pa、温度を25℃、プレス時間を3分とした。
その後、得られた成形体を焼成して焼結体を得た。焼成条件は、保持温度1300~1400℃、保持時間2~5時間、雰囲気は空気中とした。
得られた焼結体を、平面研削盤と円筒研磨機により直径200mm、厚さ6mmに加工して、第2誘電体膜を形成するためのターゲットを得た。
その他の点については、実験例1と同条件で実施した。結果を表3、表4に示す。
Figure 2023051426000004
Figure 2023051426000005
表3、表4より、X2b<X1かつX2b≦1000kJ/molを満たす実施例は密着強度および耐電圧が良好であった。これに対し、X2bが大きすぎる比較例は密着強度が低下した。また、第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物において、Bサイトに入る陽イオン元素100mol部に対するTiの割合が50mol部以下である実施例は第2誘電体膜がない点以外は同条件で実施した場合との比較で密着強度が大きく向上した。さらに、Bサイトに入る陽イオン元素100mol部に対するTiの割合が50mol部以下である実施例は耐電圧も高くなった。
参考として、上記の実施例でX1、X2a、X2bの算出に用いた各元素の酸化物生成エネルギーを表5に示す。
Figure 2023051426000006
100… 薄膜キャパシタ
10… 基板
20… 絶縁層
30… 第1電極
40… 誘電体膜
41… 第1誘電体膜
42… 第2誘電体膜
50… 第2電極
60… 積層構造
70… 保護膜

Claims (6)

  1. 第1電極、第1誘電体膜、第2誘電体膜、および、第2電極が、この順番で積層されてなる積層構造を有する薄膜キャパシタであって、
    前記第2誘電体膜と前記第2電極とが接し、
    前記第1誘電体膜および前記第2誘電体膜は、ペロブスカイト型化合物を含み、
    前記第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX1とし、
    前記第2誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX2aとして、
    X2a<X1かつX2a≦1000kJ/molである薄膜キャパシタ。
  2. 第1電極、第1誘電体膜、第2誘電体膜、および、第2電極が、この順番で積層されてなる積層構造を有する薄膜キャパシタであって、
    前記第2誘電体膜と前記第2電極とが接し、
    前記第1誘電体膜はペロブスカイト型化合物を含み、前記第2誘電体膜はMの酸化物を含み、
    前記第1誘電体膜に含まれるペロブスカイト型化合物におけるBサイトに含まれる陽イオン元素の平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX1とし、
    前記第2誘電体膜に含まれるMの平均酸化物生成エネルギーの絶対値をX2bとして、
    X2b<X1かつX2b≦1000kJ/molである薄膜キャパシタ。
  3. 前記第1誘電体膜の比誘電率をε、前記第1誘電体膜の膜厚をd、前記第2誘電体膜の比誘電率をε、前記第2誘電体膜の膜厚をd、εとεとの合成誘電率をεとして、ε≧0.8×ε×((d+d)/d)を満たす請求項1または2に記載の薄膜キャパシタ。
  4. 前記第1誘電体膜の耐電圧が0.30kV/um以上である請求項1~3のいずれかに記載の薄膜キャパシタ。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の薄膜キャパシタを有する電源モジュール。
  6. 請求項5に記載の電源モジュールを有する電子機器。
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