JP2023049610A - フィルム付きプリプレグ、およびフィルム付きプリプレグの製造方法 - Google Patents

フィルム付きプリプレグ、およびフィルム付きプリプレグの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塵などの不純物混入が少なく、プリプレグを積層硬化して得られた硬化物の層間剥離を抑制可能なプリプレグを提供する。【解決手段】マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面にフェノキシ樹脂からなるフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグ。マトリクス樹脂組成物を繊維補強材に含浸してプリプレグを得る工程、成形温度で前記マトリクス樹脂に可溶なフィルムを積層する工程、を含むフィルム付きプリプレグの製造法。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム付きプリプレグ、およびフィルム付きプリプレグの製造方法に関する。
強化繊維とマトリクス樹脂とからなる繊維強化複合材料は、その優れた機械特性等から、航空機、自動車、産業用途に幅広く用いられている。UDプリプレグやシートモールディングコンパウンド(以下、SMCとも称する)などのプリプレグが成形材料として知られている。
プリプレグシートは、多くの場合、ロール状に巻き取られた状態で製造・保管される。そのため、保管中にプリプレグ同士が接着し、再びシートとして取り出すことが出来なくなることを抑制するために、離型フィルムや離型紙で挟まれた状態で製造される。
繊維強化複合材料は、軽量であり、高強度および高剛性を備えていることから、スポーツ・レジャー分野、自動車分野、航空機分野、および他の一般産業分野等に幅広く用いられている。最近では、自動車分野や航空機分野等において、特に軽量であり、高強度および高剛性を備えた繊維強化複合材料が用いられている。
プリプレグを積層して繊維強化複合材料を製造するときには、プリプレグから離型フィルムや離型紙を取り除く必要がある。これら離型フィルムや離型紙の取り除き忘れや、取り除いた後のプリプレグ表面への異物混入は、繊維強化複合材料の欠陥となることがある(特許文献1参照)。
また、繊維強化複合材料は、強化繊維における繊維軸方向に沿うようにして加えられる応力に対する強度および弾性率が極めて高いものの、繊維軸方向に対して垂直に加えられる応力に対する強度および弾性率が低い、異方性材料である。そのため、強化繊維の織物を強化繊維基材としたプリプレグを用いたり、一方向に配列した強化繊維を強化繊維基材とした複数のプリプレグを繊維軸方向が異方向に向くようにして積層したりすることによって、繊維強化複合材料における各方向に対する物性の制御が行われる。
しかしながら、プリプレグを積層して製造された繊維強化複合材料においては、積層されたプリプレグの表面近傍において、マトリックス樹脂からなる層間領域における強化繊維の分率が小さく、かつ層間領域の両側における強化繊維の配向が異なる。このため、繊維強化複合材料は層間領域に応力が集中しやすく、層間領域における破壊が衝撃後圧縮強度等に対して支配的となる。したがって、強化繊維の強度を向上させても、繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度等の抜本的な改良には結びつかないということが知られている。
例えば、特許文献2および3には、プリプレグにおける強化繊維基材同士の層間領域に高靱性なポリアミド等の微粒子を配置した繊維強化複合材料はモードII層間破壊靭性、すなわち剥離亀裂が、亀裂面に平行で、亀裂前縁に垂直な(縦せん断形)モードIIによって進展するときの層間破壊靭性が高いことが開示されている。
国際公報第2013/061682号公報 特開昭63-162732号公報 特開2009-286895号公報
本発明の目的の一つは、塵などの不純物混入が少なく、プリプレグを積層硬化して得られた硬化物の層間剥離を抑制可能なプリプレグを提供することである。
本発明は以下の形態を含む。
[1]マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面にフェノキシ樹脂からなるフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグ。
[2]前記マトリクス樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む、[1]に記載のフィルム付きプリプレグ。
[3]前記繊維補強材が、一方向に引き揃えられた繊維束からなる、[1]または[2]に記載のフィルム付きプリプレグ。
[4]前記繊維補強材が、炭素繊維からなる、[1]~[3]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[5]前記マトリクス樹脂組成物が、硬化剤を含む、[1]~[4]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[6]前記マトリクス樹脂組成物が、マトリクス樹脂組成物100質量部に対してエポキシ樹脂を50質量部以上含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[7]前記フェノキシ樹脂の数平均分子量が、8000以上である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[8]前記フェノキシ樹脂の数平均分子量が、20000以下である、[1]~[7]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[9]前記フェノキシ樹脂の重量平均分子量が、20000以上である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[10]前記フェノキシ樹脂の重量平均分子量が、80000以下である、[1]~[9]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[11]前記フィルムの厚みが5~100μmである、[1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[12]前記フィルム付きプリプレグの合計厚みが50~500μmである、[1]~[11]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[13]前記フィルム付きプリプレグの23℃、プランジャー押付圧力20kPaで測定したタック値が0.5kPa以下である、[1]~[12]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[14]前記フィルムの面積がプリプレグの面積の70%以上110%以下である、[1]~[13]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[15]前記フィルムがプリプレグの両表面に配置された、[1]~[14]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグ。
[16][1]~[15]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグを成形してなる成形品。
[17][1]~[15]のいずれか1つに記載のフィルム付きプリプレグが、全長30~300m、幅0.2~5mのシートであり、前記シートが筒状体に巻きつけられたボビン。
[18]マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面に、60℃でマトリクス樹脂に可溶なフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグ。
[19]マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面に樹脂からなるフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグであって、
前記フィルム付きプリプレグは、フィルム付きプリプレグを130℃、60分で硬化したときの硬化物の断面において、繊維補強材層と樹脂層とが存在し、前記フィルムと前記マトリクス樹脂が一体となって一つの樹脂層を形成する、
フィルム付きプリプレグ。
[20]マトリクス樹脂組成物を繊維補強材に含浸してプリプレグを得る工程、成形温度で前記マトリクス樹脂に可溶なフィルムを前記プリプレグに積層する工程、を含むフィルム付きプリプレグの製造法。
[21]マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面に下記条件(1)を満足するフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグ。
条件(1)
2cmx2cmに切り出したフィルム片を、液面高さが5cm以上となるように容器に入れた60℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量184~194g/eq、25℃粘度120~150P・s)50gにフィルム片全体が浸るように浸漬し、30分保持する。その後、容器中の混合物をステンレスメッシュ(100メッシュ)に通過させて濾過し、メッシュ上に固形物が残らない。
本発明によれば、塵などの不純物混入が少なく、プリプレグを積層硬化して得られた硬化物の層間剥離を抑制可能なプリプレグを提供することができる。プリプレグを積層硬化して得られた硬化物は、大型化や3次元的な局面形状のような複雑化に必要なモードI層間破壊靭性に優れる。
プリプレグの積層状態を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[フィルム付きプリプレグ]
フィルム付きプリプレグの形態の一つは、マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグの表面にフェノキシ樹脂からなるフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグである。他の形態は、マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面に、60℃でマトリクス樹脂に可溶なフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグである。
フィルム付きプリプレグを構成するフィルムは、成形品に加工しやすいようにプリプレグと全体または一部で接着した状態とすることができる。接着は、フィルム、プリプレグ、または両方の樹脂により接着させることもできるし、接着剤を用いてもよい。フィルムは、塵などの不純物がプリプレグに混入することを防ぐように、プリプレグの表面を覆うように配置することができる。プリプレグの一方の表面に配置され他方の表面には離型紙またはフィルムが配置されていてもよい。プリプレグの両表面にフィルムが配置されると、取り扱いやすく積層面を選ばないため効率よく成形品を製造可能になる。プリプレグをロール状に巻き取る時に、プリプレグにフィルムを重ねて一緒に巻き取ることでフィルムをプリプレグの表面に配置させることができる。保護フィルムとしての機能を有する観点で、常温ではフィルム付きプリプレグにはフィルムとプリプレグの境界が存在することが好ましい。フィルムの面積は、プリプレグの面積の70%以上110%以下とすることができる。面積は幅と全長から求めることができる。フィルム付きプリプレグの合計厚みは50~500μmとすることができる。フィルム付きプリプレグは、全長30~300m、幅0.2~5mのシートの形態とすることができ、シートが筒状体に巻きつけられたボビンの形態とすることもできる。常温でフィルム付きプリプレグを長期間保管しても、プリプレグのマトリクス樹脂が表面に染み出さないようにする観点から、フィルム付きプリプレグのプローブタック試験法による23℃、プランジャー押付圧力20kPaにおけるタック値が0.5kPa以下であることが好ましく、0.3kPa以下であることがより好ましい。0.01kPa以上とすることができる。タック値は、特許第06414315号広報に記載の方法で測定することができる。
さらにフィルム付きプリプレグの他の形態は、マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面に樹脂からなるフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグであって、フィルム付きプリプレグは、フィルム付きプリプレグを130℃、60分で硬化したときの硬化物の断面において、繊維補強材層と樹脂層とが存在し、前記フィルムと前記マトリクス樹脂が一体となって一つの樹脂層を形成するフィルム付きプリプレグである。130℃、60分の硬化条件で硬化したときにフィルムとプリプレグのマトリクス樹脂とが相溶する場合、硬化物の断面におけるフィルムとプリプレグのマトリクス樹脂の境界は観測されず1つの樹脂層となる。これによりプリプレグを型に配置するときにフィルムの剥離が不要であり、フィルム付きプリプレグを積層して硬化物を得れば、フィルムの部分が層間補強の役割を果たすこともできる。層の状態を確認する場合の硬化はフィルム付きプリプレグから切り出したものを使用することができ、硬化速度は1℃/min~3℃/minとすることができ、圧力は常圧である。
[フィルム付きプリプレグの製造方法]
フィルム付きプリプレグの製造方法の形態の一つは、マトリクス樹脂組成物を繊維補強材に含浸してプリプレグを得る含浸工程、および成形温度で前記マトリクス樹脂に可溶なフィルムをプリプレグに積層する積層工程を含む。マトリクス樹脂組成物を繊維補強材に含浸させる方法としては、例えばマトリクス樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化してから、繊維補強材の集合体に含浸させるウェット法;マトリクス樹脂組成物を加熱により低粘度化してから、繊維補強材の集合体に含浸させるホットメルト法(ドライ法)などが挙げられるが、これらに限定されない。積層工程では、成形温度で前記マトリクス樹脂に可溶なフィルムを前述のフェノキシ樹脂からなるフィルムや60℃でエポキシ樹脂に可溶なフィルムに置き換えることもできる。プリプレグ製造工程中で、プリプレグにフィルムを貼り付けることも出来るし、製造後のプリプレグが巻かれたロールからプリプレグを巻き出してフィルムを貼り付けることも可能である。ホットメルト法においてプルプレグの製造に使用するマトリクス樹脂フィルムを塗工するための離型紙の代わりにこのフィルムを用いることで、効率よくフィルム付きプリプレグを製造できる。フィルムは、例えばロールに巻かれた形態のフィルムを使用することができる。ロールに巻かれたフィルムを巻き出してからプリプレグに巻き出したフィルムを積層してもよいし、プリプレグに原料樹脂を塗工してフィルムとしてもよい。
<プリプレグ>
プリプレグとしては、SMC、UDプリプレグ、クロスプリプレグなどが挙げられる。プリプレグ中のマトリクス樹脂組成物の含有量(以下、「樹脂含有量」という)は、硬化物の強度の観点から、プリプレグの総質量に対して、15~60質量%が好ましく、20~45質量%がより好ましく、25~40質量%がさらに好ましい。プリプレグは、マトリクス樹脂組成物を繊維補強材に含浸させる含浸工程を経ることで得られる。SMCは、例えば次の方法で作製できる。マトリクス樹脂組成物を塗布したフィルムを2枚用意し、一方のフィルムのマトリクス樹脂組成物の塗布面にチョップド強化繊維束をランダムに撒き、シートにする。他方のフィルムのマトリクス樹脂組成物の塗布面をシートの上に貼り合わせ、マトリクス樹脂組成物をシートに圧着含浸させる。その後、マトリクス樹脂組成物を増粘させることでタック調整できる。UDプリプレグ、クロスプリプレグを得るための作製方法としては、ウェット法及びホットメルト法(ドライ法)が挙げられる。ウェット法は、マトリクス樹脂組成物をメチルエチルケトン又はメタノールなどの溶媒中に溶解することによってマトリクス樹脂組成物の溶液中に、繊維補強材を浸漬させる。続いてオーブンなどを使用して溶媒を蒸発させることによって溶媒が除去されたプリプレグを得る方法である。ホットメルト法としては、予め加熱され流体となったマトリクス樹脂組成物で繊維補強材を直接含浸する方法、又は離型紙などをマトリクス樹脂組成物でコーティングして樹脂フィルムとし、繊維補強材シートの片面若しくは両面の上に樹脂フィルムを配置し、加熱加圧することによりマトリクス樹脂組成物で繊維補強材を含浸する方法が挙げられる。ホットメルト法では、実質的に残留溶媒を中に含まないプリプレグが得られる。
<マトリクス樹脂組成物>
マトリクス樹脂組成物のマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、シアネートエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂等の熱可塑性樹脂、それらを組み合わせた樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂がプリプレグのマトリクス樹脂の場合には、熱により反応が進行して表面性状が変化し得ることからフィルムを表面に配置することでプリプレグ表面を効果的に保護することができる。熱硬化性樹脂としては強化繊維との接着性の観点でエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、テレフタル酸型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂などを含有してもよい。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールB型、ビスフェノールC型、ビスフェノールE型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールT型、ビスフェノールZ型、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテルもしくはこれらビスフェノールのハロゲン、アルキル置換体、水添品等を用いることができる。フェノキシ樹脂からなるフィルムと相溶しやすくする観点からは、マトリクス樹脂組成物100質量部に対してエポキシ樹脂が50質量部以上配合されることが好ましく、80質量部以上配合されることがより好ましい。
マトリクス樹脂組成物は、硬化剤を含有していてもよい。マトリクス樹脂を硬化させ得るものである限り限定されるものではないが、例えば、アミン類、グアニジン類、酸無水物類(カルボン酸無水物等)、フェノール類(ノボラック樹脂等)、メルカプタン類、ルイス酸アミン錯体類、オニウム塩類、イミダゾール類、ウレア類が挙げられる。また、その形態は、マイクロカプセル型、アダクト等の様々な形態を採用し得る。硬化剤は単独でも複数種を混合してもよい。アミン類としては、例えばジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン、脂肪族アミン、チオ尿素付加アミン、及びこれらの誘導体、異性体、変成体が挙げられる。グアニジン類としては、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。イミダゾール類としては、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。
硬化剤の配合量は、硬化促進の観点から、マトリクス樹脂組成物100質量部に対して1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。耐熱性および機械的特性の観点から、マトリクス樹脂組成物100質量部に対して30質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
マトリクス樹脂組成物は、可塑剤、無機質充填材、内部離型剤、有機顔料、無機顔料などを含有してもよい。
<繊維補強材>
繊維補強材に用いる強化繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維等が挙げられ、繊維強化複合材料の機械特性の点から、炭素繊維、ガラス繊維が好ましく、炭素繊維が特に好ましい。強化繊維は、長繊維(連続繊維)であってもよく、例えば0.01~30cmの短繊維であってもよい。繊維補強材としては、複数の繊維を一方向に揃えられた繊維束からなるUDシート(一方向シート)、長繊維を製織したクロス(織物)、チョップド強化繊維束のシート、および短繊維からなる不織布等が挙げられる。クロスの織り方としては、例えば、平織、綾織、朱子織、三軸織が挙げられる。繊維補強材の目付は、10g/m以上4000g/m以下とすることができる。強化繊維は、1000本以上60000本以下の範囲の単繊維からなる強化繊維束として使用できる。
<フィルム>
フィルムは、成形前まではプリプレグに塵等の不純物の混入を防ぐ保護フィルムの機能を有し、成形するときにはフィルムを剥がす必要がなく、成形した後にはプリプレグの層間を補強する層としての機能を有することが好ましい。フィルムの形態としては、樹脂からなるフィルム、60℃でマトリクス樹脂に可溶なフィルムが挙げられる。2cmx2cmに切り出したフィルム片を、液面高さが5cm以上となるように容器に入れた60℃のマトリクス樹脂50gにフィルム片全体が浸るように浸漬し、30分保持し、その後、容器中の混合物をステンレスメッシュ(100メッシュ)に通過させて濾過し、メッシュ上に固形物が残らなければマトリクス樹脂に可溶なフィルムであると判断できる。マトリクス樹脂50gをビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量184~194g/eq、25℃粘度120~150P・s)50gに置き換えて、エポキシ樹脂とフィルムの相溶性を確認することもできる。常温より高く、成形品を得るための成形温度100℃以上を想定した場合に100℃より十分に低い値として60℃を設定している。
フィルムを構成する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられ、機械的特性の観点からフェノキシ樹脂が好ましい。フィルムを作製する場合に使用可能なフェノキシ樹脂としては、三菱ケミカル株式会社製jER1256B40、jER1255HX30、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製YP-40ASM40、YP-50EK35、YPS-007A30等が挙げられる。フェノキシフィルムとして入手可能な物としては、Gabriel社製Phenoxy filmが挙げられる。フィルムを構成する樹脂の数平均分子量は、プリプレグとしての貯蔵安定性(マトリクス樹脂への溶解しにくさ)の観点から、5000以上が好ましく、8000以上がより好ましい。マトリクス樹脂への溶解しやすさの観点から30000以下が好ましく、20000以下がより好ましい。フィルムを構成する樹脂の重量平均分子量は、靭性の観点から、10000以上が好ましく、20000以上がより好ましい。フィルム塗工性の観点から100000以下が好ましく、80000以下がより好ましい。フィルムは、シリカ、炭酸カルシウムなどのフィラーを含有していてもよい。フィルムの厚みは取り扱い性の観点から10~500μmのものが好ましく、20~100μmのものがより好ましい。フィルムの融点またはTgは80~200℃とすることができる。
[成形品]
成形品は、プリプレグを硬化することで得られる。例えば、2枚以上のプリプレグが積層された積層体の硬化物とすることができる。成形品は、プリプレグに含まれるマトリクス樹脂組成物の硬化物と、繊維補強材とを含む。成形品は、例えば、前述のプリプレグを2枚以上積層した後、得られた積層体に圧力を付与しながら、マトリクス樹脂組成物を加熱硬化させる方法等により成形して得られる。
成形方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法、シートラップ成形法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームにエポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化し成形品を得るRTM、VaRTM、フィラメントワインディング、RFIなどが挙げられる。プレス成形法で成形品を製造する場合、プリプレグ、またはプリプレグを積層して作製したプリフォームを、予め硬化温度に調製した金型に挟んで 加熱加圧して、硬化することができる。プレス成形時の金型内の温度は、100~160℃が好ましい。また、1~15MPaの条件下で1~20分間、プリプレグを硬化させることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フィルムのエポキシ樹脂への溶解性評価>
以下に示す方法によって、フィルム1~3のエポキシ樹脂への溶解性を測定した。
2cmx2cmに切り出したフィルム片を、液面高さが5cm以上となるように容器に入れた所定の温度のjER828(三菱ケミカル)50gにフィルム片全体が浸るように浸漬し、30分保持した。その後、容器中の混合物をステンレスメッシュ(100メッシュ)に通過させて濾過し、メッシュ上に固形物が残るかどうかを目視で確認した。メッシュ上に固形物が残った場合を×、残らなかった場合を〇とした。結果を表1に示した。
Figure 2023049610000001

フィルム1:フェノキシフィルム、Gabriel製Phenoxy Film
フィルム2:PESフィルム、BASF製Ultrason E2020P SR Microをジクロロメタンに濃度20%となるように溶解させ、その溶液をキャストすることで均一なフィルムを得た。
フィルム3:PEフィルム、関西オークラ製L-LDPEフィルム
評価の結果、フィルム1は60℃以上で固形物が確認されず、フィルム2およびフィルム3は固形物が確認された。
<繊維強化複合材料からなる評価用成形板の作製>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とイミダゾールとからなるエポキシ樹脂組成物1を離型紙にコーティングしてエポキシ樹脂フィルムを得た。炭素繊維束(三菱ケミカル社製、PYROFIL(登録商標)TR50S 15L、ストランド強度:4900MPa、弾性率:240GPa、炭素繊維の繊維径:6.8μm、炭素繊維の本数:15000本)を引き揃えて炭素繊維シートとして、炭素繊維シートの両面にエポキシ樹脂フィルムを配置し、加熱加圧することによりエポキシ樹脂組成物が炭素繊維束に含浸したプリプレグ(FAW250g/m、樹脂含有量30%)を作製した。このプリプレグにフィルム1を両面に貼り付けたフィルム付きプリプレグ(実施例1)と、フィルムを貼り付けないプリプレグ(比較例1)を準備した。フィルム付きプリプレグまたはプリプレグを、強化繊維の繊維軸方向が揃うように20枚積層し、プリプレグ積層体を作製した。図1に示すように、プリプレグ積層体における10枚目のプリプレグと11枚目のプリプレグとの間に、強化繊維の繊維軸方向に対して長手方向が直角になるように厚さ50μmの離型用フッ素樹脂フィルムを挟んだ。なお、図1に示すように、フッ素樹脂フィルムは、繊維軸方向Xに垂直な一辺からの深さLが約76mmになるように、プリプレグ積層体に挟んだ。次いで、フッ素樹脂を挟んだプリプレグ積層体に隙間が形成されないようにして真空バッグを被せた。真空バックを被せたプリプレグ積層体を、オートクレーブを用いて2℃/分の昇温スピードで130℃まで加熱し、130℃の状態を30分間維持した。加熱したプリプレグを、オートクレーブ内に、3℃/minの降温スピードで50℃以下となるまで保持することにより、評価用成形板を作製した。なお、評価用成形板の作製において、加熱開始から取り出しまでの間、オートクレーブ内の圧力は0.6MPaとした。
<プリプレグへのフィルムの溶解評価>
評価用成形板から20mm角の試験片を切り出した。次いで、研磨機(リファインテック社製、REFINE-POLISHER APM-122)を用いて、試験片の断面を研磨した。デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製、VHX-5000)を用いて試験片の断面を500倍に拡大した写真を撮影した。撮影した写真から、プリプレグの層間部分のマトリクス樹脂部分にフィルムとの境界が残存しているかどうかを目視で評価した。
<GICの測定>
繊維強化複合材料からなる評価用成形板について、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、ASTM D5528に準拠してGICを測定した。結果を表2に示す。
Figure 2023049610000002
実施例1の断面観察の結果、硬化物中にフィルムとマトリクス樹脂の境界は見られず、フィルムがエポキシ樹脂中に溶解していることを確認した。またG1c測定の結果、フィルムを添付したものでG1c値の大幅に向上しており、層間補強の効果があることが確認された。

Claims (20)

  1. マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面にフェノキシ樹脂からなるフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグ。
  2. 前記マトリクス樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む、請求項1に記載のフィルム付きプリプレグ。
  3. 前記繊維補強材が、一方向に引き揃えられた繊維束からなる、請求項1または請求項2に記載のフィルム付きプリプレグ。
  4. 前記繊維補強材が、炭素繊維からなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  5. 前記マトリクス樹脂組成物が、硬化剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  6. 前記マトリクス樹脂組成物が、マトリクス樹脂組成物100質量部に対してエポキシ樹脂を50質量部以上含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  7. 前記フェノキシ樹脂の数平均分子量が、8000以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  8. 前記フェノキシ樹脂の数平均分子量が、20000以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  9. 前記フェノキシ樹脂の重量平均分子量が、20000以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  10. 前記フェノキシ樹脂の重量平均分子量が、80000以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  11. 前記フィルムの厚みが5~100μmである、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  12. 前記フィルム付きプリプレグの合計厚みが50~500μmである、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  13. 前記フィルム付きプリプレグの23℃、プランジャー押付圧力20kPaで測定したタック値が0.5kPa以下である、請求項1~12のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ
  14. 前記フィルムの面積がプリプレグの面積の70%以上110%以下である、請求項1~13のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  15. 前記フィルムがプリプレグの両表面に配置された、請求項1~14のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグ。
  16. 請求項1~15のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグを成形してなる成形品。
  17. 請求項1~15のいずれか1項に記載のフィルム付きプリプレグが、全長30~300m、幅0.2~5mのシートであり、前記シートが筒状体に巻きつけられたボビン。
  18. マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面に、60℃でマトリクス樹脂に可溶なフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグ。
  19. マトリクス樹脂組成物と繊維補強材とからなるプリプレグ表面に樹脂からなるフィルムが配置されたフィルム付きプリプレグであって、
    前記フィルム付きプリプレグは、フィルム付きプリプレグを130℃、60分で硬化したときの硬化物の断面において、繊維補強材層と樹脂層とが存在し、前記フィルムと前記マトリクス樹脂が一体となって一つの樹脂層を形成する、
    フィルム付きプリプレグ。
  20. マトリクス樹脂組成物を繊維補強材に含浸してプリプレグを得る工程、成形温度で前記マトリクス樹脂に可溶なフィルムを前記プリプレグに積層する工程、を含むフィルム付きプリプレグの製造法。
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