JP2023049587A - 離型フィルム用コーティング剤の製造方法、離型フィルムの製造方法及び積層体の製造方法 - Google Patents

離型フィルム用コーティング剤の製造方法、離型フィルムの製造方法及び積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凹凸形状を容易且つ良好に形成することができる離型フィルム用コーティング剤の製造方法等を提供する。【解決手段】離型フィルム用コーティング剤の製造方法は、離型フィルム用コーティング剤の製造工程において、多官能(メタ)アクリレート、炭素数12以上のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が4000以上であり(メタ)アクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を、前記多官能(メタ)アクリレートと前記単官能(メタ)アクリレートとの質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)が1:1.0~1:3.0となるよう含有させる。【選択図】なし

Description

本発明は、離型フィルム用コーティング剤の製造方法、離型フィルムの製造方法及び積層体の製造方法に関する。
従来、離型フィルムは、粘着フィルム、粘着シート、粘着テープ等の樹脂層の保護フィルム、セラミックグリーンシートやプリント基板等の電子部品製造用の工程フィルム、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等のキャスト製膜用の工程フィルムとして広く使用されている。離型フィルムは、基材の少なくとも一方に離型層を有し、粘着面、接着面、または樹脂層を成形ないし保護する目的で使用される。
このような離型フィルムの表面に凹凸形状を設け、離型フィルムの使用対象の表面に凹凸形状を転写する技術がある。転写とは、例えば離型フィルムの凹凸形状を有する側に使用対象を積層させるなどにより、使用対象の表面に離型フィルムの凹凸形状が反映され、前記離型フィルムの凹凸が反転した凹凸形状が使用対象の表面に賦形されることをいう。例えば、粘着フィルムの表面に凹凸形状を形成することで、粘着フィルムの空気抜けや意匠性が向上される。また、樹脂成型品の表面に凹凸形状を形成することで、樹脂成型品の意匠性や視認性が向上される。
例えば、特許文献1には、相互に接続している多数の線状隆起部により構成される微細エンボスパターンを一表面に有する剥離ライナーや、当該剥離ライナーとその表面上に積層された感圧接着剤層とを含む物品が開示されている。
特許文献2には、基材上に形成された剥離剤層とを備えた合成皮革用工程紙であって、剥離剤層に不定形粒子を含有することで、工程紙の表面に凹凸形状が設けられる合成皮革用工程紙が開示されている。
特開2006-70273号公報 特開2021-11648号公報
特許文献1においては、エンボス加工により凹凸形状が形成されるため工数が増加し、また専用の金型を用意する必要があるという問題がある。特許文献2においては、粒子の脱落による被着体への汚染の発生や、均一な凹凸形状の形成が困難であるという問題がある。
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、凹凸形状を容易且つ良好に形成することができる離型フィルム用コーティング剤の製造方法等を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、離型フィルム用コーティング剤は、特定の多官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレート、パーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を含有することにより、凹凸形状を容易且つ良好に形成することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成された発明である。
すなわち、本発明の一態様に係る離型フィルム用コーティング剤の製造方法は、離型フィルム用コーティング剤の製造工程において、多官能(メタ)アクリレート、炭素数12以上のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が4000以上であり(メタ)アクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を、前記多官能(メタ)アクリレートと前記単官能(メタ)アクリレートとの質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)が1:1.0~1:3.0となるよう含有させる。
本発明の一態様に係る離型フィルムの製造方法は、多官能(メタ)アクリレート、炭素数12以上のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が4000以上であり(メタ)アクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を含有し、前記多官能(メタ)アクリレートと前記単官能(メタ)アクリレートとの含有量が、質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)で、1:1.0~1:3.0である離型フィルム用コーティング剤を基材の少なくとも一方の表面に塗布する工程と、前記離型フィルム用コーティング剤中の溶剤を除去し、活性エネルギー線を照射することにより表面に凹凸形状を有する離型層を形成する工程と、を含む。
本発明の一態様に係る積層体の製造方法は、多官能(メタ)アクリレート、炭素数12以上のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が4000以上であり(メタ)アクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を含有し、前記多官能(メタ)アクリレートと前記単官能(メタ)アクリレートとの含有量が、質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)で、1:1.0~1:3.0である離型フィルム用コーティング剤を基材の少なくとも一方の表面に塗布する工程と、前記離型フィルム用コーティング剤中の溶剤を除去し、活性エネルギー線を照射することにより表面に凹凸形状を有する離型層を形成する工程と、前記離型層の表面に樹脂層を積層し、前記樹脂層の前記離型フィルムと接する表面の形状に前記凹凸形状を転写する工程と、を含む。
本発明によれば、凹凸形状を容易且つ良好に形成することができる離型フィルム用コーティング剤の製造方法等を提供することができる。
離型層の構成を説明する説明図である。 実施例1の離型フィルムの表面形状画像である。 実施例2の離型フィルムの表面形状画像である。 実施例3の離型フィルムの表面形状画像である。 実施例4の離型フィルムの表面形状画像である。 実施例5の離型フィルムの表面形状画像である。 比較例1の離型フィルムの表面形状画像である。 比較例5の離型フィルムの表面形状画像である。 比較例6の離型フィルムの表面形状画像である。 実施例1の離型フィルムの表面形状画像である。 比較例3の離型フィルムの表面形状画像である。 比較例4の離型フィルムの表面形状画像である。 実施例6の積層体における離型層の表面形状画像である。 実施例6の積層体における樹脂層の表面形状画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の総称である。
(離型フィルム用コーティング剤)
実施形態の離型フィルム用コーティング剤は、多官能(メタ)アクリレート、炭素数12以上のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が4000以上であり(メタ)アクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を含有する。これらの共存により、離型フィルム用コーティング剤を用いてなる離型層の表面に凹凸形状を容易且つ良好に形成することができるとともに、離型フィルムの離型性(剥離性)に優れる。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤に用いる多官能(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線の照射によって重合し、架橋反応をする機能を有する。多官能(メタ)アクリレートとしては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されない。多官能(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線による硬化性の観点から、3官能以上が好ましい。多官能(メタ)アクリレートは、凹凸形状を良好に形成する観点から、分子量1000以下の単量体であることが好ましい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。多官能(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。2種以上を組み合わせる場合、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートとの組み合わせが好ましい。
市販品の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば「アロニックスM-306」(東亞合成株式会社製)が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの含有量は、離型フィルム用コーティング剤の固形分中20質量%以上45質量%以下が好ましい。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。本明細書において、「離型フィルム用コーティング剤の固形分中」とは、実施形態の離型フィルム用コーティング剤に含まれる全固形分の総量中という意味である。この場合、後述する凹凸形状を良好に形成し、離型性を高めるとともに、液安定性を向上することができる。多官能(メタ)アクリレートの含有量は、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、そして、より好ましくは40質量%以下である。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤に用いる単官能(メタ)アクリレートは、炭素数12以上のアルキル基を有する。単官能(メタ)アクリレートが炭素数12以上の長鎖アルキル基を有することにより、凹凸形状を良好に形成し、離型性を高めることができる。単官能(メタ)アクリレートのアルキル基は、入手容易性、コスト低減の観点から、好ましくは炭素数12~22、より好ましくは炭素数12~18、さらに好ましくは炭素数12である。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤は、非相溶な化合物である多官能(メタ)アクリレートと、単官能(メタ)アクリレートとを含むことにより、両者が溶剤中で分離し、凹凸形状を容易且つ良好に発現させる。単官能(メタ)アクリレートのアルキル基は、凹凸形状を良好に形成する観点から、直鎖状又は分鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。単官能(メタ)アクリレートは、凹凸形状を良好に形成する観点から、分子量500以下の単量体であることが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートが好ましい。単官能(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
市販品の単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、「ライトエステルL」(共栄社化学株式会社製)、「STA」(大阪有機化学工業株式会社製)、「ライトエステルS」(栄社化学株式会社製)、「ブレンマーVA」(日油株式会社製)等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートの含有量は、離型フィルム用コーティング剤の固形分中40質量%以上60質量%以下が好ましい。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。この場合、後述する凹凸形状を良好に形成し、離型性を高めるとともに、液安定性を向上することができる。単官能(メタ)アクリレートの含有量は、より好ましくは44質量%以上であり、そして、より好ましくは56質量%以下である。
多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの含有量は、質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)で、1:1.0~1:3.0である。質量比が上記比率の範囲内であれば、両者の共存による相乗効果を顕著に発現させ、凹凸形状を良好に形成できるとともに、液安定性を向上することができる。多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの質量比は、好ましくは1:1.0~1:2.5、より好ましくは1:1.0~1:2.0、さらに好ましくは1:1.1~1:2.0、最も好ましくは1:1.1~1:1.5である。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤に用いるパーフルオロポリエーテル化合物は、下記一般式(1)で表されるパーフルオロポリエーテル基を有する化合物である。パーフルオロポリエーテル化合物は、離型性(剥離性)を向上させる。
Figure 2023049587000001
実施形態の離型フィルム用コーティング剤に用いるパーフルオロポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、4000以上である。パーフルオロポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)が4000以上の場合、パーフルオロポリエーテル化合物と、多官能(メタ)アクリレート及び単官能(メタ)アクリレートとの共存による相乗効果を顕著に発現させ、凹凸形状を良好に形成できるとともに、離型性を向上することができる。パーフルオロポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、離型性を向上する観点から、6000以上が好ましい。パーフルオロポリエーテル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。数平均分子量(Mn)は、核磁気共鳴(NMR)法を用いて測定した値である。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤に用いるパーフルオロポリエーテル化合物は、官能基として、少なくとも一方の末端に(メタ)アクリロイル基を有する。(メタ)アクリロイル基は、離型性、硬化性及び耐熱性を向上する観点から、ウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートを有するパーフルオロポリエーテル化合物は、公知の方法で合成することが可能である。一例として、適当なウレタン化触媒の存在化、水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物に対してイソシアネート化合物を付加させて得ることができる。
市販品の水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物としては、例えば、「FLUOROLINK D-6000」(ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社製)、「FLUOROLINK ZMF-402」(ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社製)等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート、1,1-ビスアクリロイルオキシメチルエチルイソシアネート等が挙げられ、なかでも、1,1-ビスアクリロイルオキシメチルエチルイソシアネートが好ましい。
市販品のイソシアネート化合物としては、例えば、「カレンズBEI」(昭和電工株式会社製)、「カレンズAOI」(昭和電工株式会社製)等が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル化合物の含有量は、離型フィルム用コーティング剤の固形分中0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。この場合、凹凸形状を良好に形成し、離型性を向上することができる。パーフルオロポリエーテル化合物の含有量は、より好ましくは1質量%以上であり、そして、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
パーフルオロポリエーテル化合物と多官能(メタ)アクリレートとの含有量は、質量比(パーフルオロポリエーテル化合物:多官能(メタ)アクリレート)で、1:20~1:45が好ましい。質量比が上記比率の範囲内であれば、これらの共存による相乗効果を顕著に発現させ、凹凸形状を良好に形成できるとともに、離型性を向上することができる。パーフルオロポリエーテル化合物と多官能(メタ)アクリレートとの含有量は、より好ましくは1:25~1:45、さらに好ましくは1:25~1:40、最も好ましくは1:25~1:38である。
パーフルオロポリエーテル化合物と単官能(メタ)アクリレートとの含有量は、質量比(パーフルオロポリエーテル化合物:単官能(メタ)アクリレート)で、1:30~1:60が好ましい。質量比が上記比率の範囲内であれば、これらの共存による相乗効果を顕著に発現させ、凹凸形状を良好に形成できるとともに、離型性を向上することができる。パーフルオロポリエーテル化合物と単官能(メタ)アクリレートとの含有量は、より好ましくは1:30~1:55、さらに好ましくは1:35~1:55、最も好ましくは1:40~1:55である。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤は、溶剤を含む。溶剤中に上記各成分を溶解させた後、溶剤を除去することで、凹凸形状を良好に形成できる。
溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、炭化水素系溶剤(例えばベンゼン、トルエン等)、エーテル系溶剤(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、アルコール系溶剤(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)、エステル系溶剤(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート等)、フッ素系溶剤(例えばハイドロフルオロエーテル等)等が挙げられる。溶剤は、上記各成分の溶解性をより高める観点から、ケトン系溶剤が好ましく、メチルエチルケトンがより好ましい。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
溶剤の含有量は、特に限定的ではないが、例えば離型フィルム用コーティング剤中の固形分含有量が0.1質量%以上90質量%以下程度、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下程度の範囲となるように適宜調整することができる。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤は、上記数平均分子量が4000以上であるパーフルオロポリエーテル化合物よりも数平均分子量の低い重合体を含むことが好ましい。離型フィルム用コーティング剤は、異なる平均分子量を有する複数の重合体を混合して使用することにより、4000以上といった高い数平均分子量を有するパーフルオロポリエーテル化合物を、溶剤に対し良好に溶解又は分散させることができる。これにより、例えば揮発性の高いフッ素系溶剤以外の溶剤等の多様な溶剤を好適に使用することができる。数平均分子量の低い重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
数平均分子量が4000以上であるパーフルオロポリエーテル化合物(以下、高分子量パーフルオロポリエーテル化合物とも称する)よりも数平均分子量の低い重合体(以下、低分子量ポリマーとも称する)の数平均分子量(Mn)は、500以上4000未満が好ましい。低分子量ポリマーの数平均分子量が上記範囲内の場合、低分子量ポリマーと高分子量パーフルオロポリエーテル化合物との相溶性を高め、低分子量ポリマーと高分子量パーフルオロポリエーテル化合物との溶剤に対する溶解性が良好となる。
低分子量ポリマーとしては、パーフルオロポリエーテル化合物が好ましい。離型フィルム用コーティング剤は、異なる平均分子量を有する複数種類のパーフルオロポリエーテル化合物を併用することにより、溶剤に対する良好な溶解性能を有し、優れた離型性能を実現する。
低分子量ポリマーとしてのパーフルオロポリエーテル化合物は、官能基として、少なくとも一方の末端に(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、少なくとも一方の末端にウレタン骨格をもつウレタン(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましく、両端末にウレタン(メタ)アクリロイル基を有することがさらに好ましい。
このようなパーフルオロポリエーテル化合物の市販品としては、例えば「FLUOROLINK(登録商標) AD-1700」(ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社製)が挙げられる。
低分子量ポリマーの含有量は、限定的ではないが、離型フィルム用コーティング剤の固形分中1.0質量%以上3.0質量%以下が好ましい。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。この場合、溶解性を向上し、離型フィルム用コーティング剤を容易に調製することができる。低分子量ポリマーの含有量は、溶解性向上の観点から、より好ましくは1.5質量%以上であり、そして、離型性向上の観点から、より好ましくは2.5質量%以下である。
離型フィルム用コーティング剤が高分子量パーフルオロポリエーテル化合物と低分子量ポリマーとを含む場合、高分子量パーフルオロポリエーテル化合物の含有量は、固形分の全体量を基準として、高分子量パーフルオロポリエーテル化合物及び低分子量ポリマーの総量を100質量部としたとき、好ましくは10質量部以上50質量部以下、より好ましくは25質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以上45質量部以下である。高分子量パーフルオロポリエーテル化合物の含有量が上記範囲内の場合、離型フィルム用コーティング剤の離型性及び溶剤への溶解性が高まる。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生させるものであることが好ましい。光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、アミン系開始剤、アシルフォスフィンオキシド系開始剤等が挙げられる。光重合開始剤としては、重合反応を促進し、硬化性を向上する観点から、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤が好ましい。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
市販品の光重合開始剤としては、例えば、「イルガキュア184」(BASF株式会社製)、「イルガキュア907」(BASF株式会社製)等が挙げられる。
光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量は、反応性二重結合を有する成分100質量部に対し、好ましくは1質量部以上20質量部以下、より好ましくは10質量部以上20質量部以下である。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤は、上記の多官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレート、パーフルオロポリエーテル化合物、低分子量ポリマー及び光重合開始剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて、各種添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば酸化防止剤、安定剤、帯電防止剤、消泡剤等が挙げられる。各添加剤の配合量は従来技術に従い適宜選択されればよい。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤は、凹凸形状を容易且つ良好に形成することができるとともに、離型性に優れることから、離型フィルムのコーティング剤として好適に使用できる。
(離型フィルム)
実施形態の離型フィルムは、上記離型フィルム用コーティング剤を用いてなる離型層と、離型層を少なくとも一方の面に有する基材とを備える。
基材は特に制限されず、離型フィルムに一般的に用いられる基材であればよい。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン等の樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等のプラスチックフィルム、グラシン紙、上質紙等が挙げられ、樹脂フィルムが好ましい。基材の厚みは、特に限定的ではないが、好ましくは10μm以上300μm以下、より好ましくは20μm以上130μm以下である。
離型層は、上記基材の少なくとも一方の表面に、上記離型フィルム用コーティング剤を塗布し、離型フィルム用コーティング剤中の溶剤を除去し、活性エネルギー線の照射により硬化させることで形成される。離型層は、その表面に凹凸形状を有する。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤により凹凸形状が発現するメカニズムは定かではないが、以下のように推定される。離型フィルム用コーティング剤が基材上に塗布されると、離型フィルム用コーティング剤中の多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの間の非相溶性により、多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとが分離する。多官能(メタ)アクリレートよりも極性が低く、表面自由エネルギーの低い単官能(メタ)アクリレートが離型層の表面に偏析すると考えられる。また多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの間にパーフルオロポリエーテル化合物が移動する。
上述の状態で離型フィルム用コーティング剤を乾燥すると、離型フィルム用コーティング剤中の溶剤が離型層の表面から揮発する。この際、撥液性の高いパーフルオロポリエーテル化合物の界面から溶剤が揮発することで、表面に存在する単官能(メタ)アクリレート層に隙間が形成される。これにより離型層の表面に凹凸形状(海島構造)が形成されると考えられる。そして、前記離型膜に活性エネルギー線を照射し硬化させることで、基材と、表面に凹凸形状を有する離型層とを備えた離型フィルムが得られる。
図1は、離型層の構成を説明する説明図である。図1は、上述のメカニズムに従い形成される離型層及び基材を示す図である。離型層1は、基材2の表面に設けられる。図1では、基材2の片面に離型層1が設けられる例を示す。離型層1は、主成分として多官能(メタ)アクリレートを含む第1層11と、主成分としてパーフルオロポリエーテル化合物を含む第2層12と、主成分として単官能(メタ)アクリレートを含む第3層13とを備える。「主成分」とは、各層中において、最も含有量が多い成分のことである。第1層11は、基材2上に形成される。第2層12は、第1層11上に形成される。第3層13は、第2層12上に島状に形成される。第1層11及び第2層12が凹部を形成し、第3層13が凸部(島部)を形成する。
実施形態の離型フィルムは、ISO25178で規定される表面粗さSaが0.3μm以上である。このように離型フィルムは、上述の離型フィルム用コーティング剤を用いることで、良好な凹凸形状を有する。
実施形態の離型フィルムは、その硬化被膜面(離型層)にシリコーン系粘着テープを貼り付けて25mm幅にカットし、剥離角度180°、引張速度0.3m/分で測定した剥離力が3.0N/25mm未満である。このように離型フィルムは、離型層に貼付された物に対する優れた離型性を発揮することができる。
実施形態の離型フィルムは、上述のように、良好な凹凸形状を有し離型性に優れることから、例えば樹脂層の保護フィルム、合成皮革等の製造用の工程フィルム、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等のキャスト製膜用の工程フィルム等として好適に使用できる。さらに離型フィルムは、シリコーン系材料を含まないため、例えばセラミックグリーンシート、プリント基板等の電子機器の製造工程における種々の段階において好適に使用できる。
離型フィルムは、凹凸形状を有する離型層上に、例えば樹脂層を積層することで、樹脂層の表面に凹凸形状を転写することができる。本発明で示す転写とは、離型層の凹凸形状が樹脂層に反映することにより、前記離型層の凹凸が反転した凹凸形状が樹脂層に賦形されることをいう。従って、特に、このような凹凸形状の転写が求められる樹脂層の保護フィルムや合成皮革の製造用の工程フィルム等に好適に使用できる。
(積層体)
実施形態の積層体は、上記離型フィルムと、離型フィルムに積層された樹脂層とを備える。積層体は、上記離型フィルムを備えることから、離型フィルムに積層される樹脂層の離型フィルムと接している側の表面に凹凸形状を容易且つ良好に転写することができる。
実施形態の積層体は、例えば、上記離型フィルムと、樹脂層を備える粘着フィルムとを積層してなるものであってよい。粘着フィルムは、樹脂層を備えるものであればよく、公知のものを使用できる。粘着フィルムは、例えば樹脂層(粘着層)と基材とを備える。離型フィルムの離型層上に、樹脂層及び基材が順次積層されている。樹脂層は、例えば、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等、又はそれらの2種以上の混合物、共重合体等を含む。基材としては、上述の離型フィルムの基材と同様のものが挙げられる。基材の厚みは、特に限定的ではないが、通常10μm以上300μm以下とすることができる。
樹脂層は、離型フィルムに積層された側の表面に凹凸形状を有する。樹脂層の凹凸形状は、離型フィルムの離型層上に樹脂層を積層することにより、離型層の表面に形成された凹凸形状が樹脂層の表面に転写されて、形成される。このように、離型フィルムに樹脂層を積層することで、容易に樹脂層の表面に凹凸形状を形成することができる。
実施形態の積層体は、離型フィルムを容易に剥離でき、離型フィルムが剥離された樹脂層の表面に凹凸形状が良好に転写されていることから、多様な用途に広く使用できる。凹凸形状により、樹脂層を有するフィルム等における空気抜け、意匠性、防眩性、視認性が向上される。特に、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、テレビ等のディスプレイ、自動車の窓、外装等の被着体に対し積層体の粘着フィルムを好適に使用できる。
(離型フィルムを有する物品)
実施形態の物品は、上記離型フィルムを有する。物品の表面に、離型フィルムを付与(積層)する方法は、特に限定されず、物品に応じて適宜の手法を用いてよい。物品としては、例えば電子機器、医療機器、合成皮革等が挙げられる。
(離型フィルム用コーティング剤の製造方法)
実施形態の離型フィルム用コーティング剤は、多官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレート、パーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤と、必要に応じ他の任意成分とを、多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)が、1:1.0~1:3.0となるよう含有させることで得られる。離型フィルム用コーティング剤は、上記質量比の範囲内となるよう配合した上記各成分を混合することによって得られる。混合方法としては、特に限定的ではないが、例えば攪拌等の公知の方法を用いることができる。また、各成分の添加順序は特に限定されない。
実施形態の離型フィルム用コーティング剤の製造方法により、凹凸形状を容易且つ良好に発現し得る離型フィルム用コーティング剤を得ることができる。
(離型フィルムの製造方法)
実施形態の離型フィルム用の製造方法は、基材の少なくとも一方の面に上記離型フィルム用コーティング剤を塗布する塗布工程と、離型フィルム用コーティング剤中の溶剤を除去し、活性エネルギー線を照射することにより表面に凹凸形状を有する離型層を形成する工程と、を含む。具体的には、離型フィルムは、基材表面の片面又は両面に上記離型フィルム用コーティング剤を塗布した後、基材フィルムと共に乾燥して溶剤を除去し、活性エネルギー線を照射することにより離型フィルム用コーティング剤を含む離型層を硬化させることで得られる。
離型フィルム用コーティング剤の塗布方法としては、特に限定的ではないが、例えばグラビアロールコーティング、コンマコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、浸漬コーティング等の公知の方法を用いることができる。
離型フィルム用コーティング剤の乾燥は、加熱乾燥することが好ましい。離型フィルム用コーティング剤を加熱することにより、溶剤の蒸発が促進される。また、パーフルオロポリエーテル化合物、単官能(メタ)アクリレート、および多官能(メタ)アクリレートのそれぞれの成分の分子運動が促進されることで凹凸形状が良好に形成される。さらに、離型層における凹部の表面にパーフルオロポリエーテルが存在することにより、優れた離型性が発揮される。乾燥温度及び乾燥時間は、離型フィルム用コーティング剤の配合成分や成分濃度などに応じて適宜設定されてよい。
活性エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられ、紫外線が特に好ましい。上記活性エネルギー線の照射により、離型フィルム用コーティング剤中のパーフルオロポリエーテル化合物及びアルキル(メタ)アクリレート等が重合して硬化する。活性エネルギー線として電子線を用いる場合は、離型フィルム用コーティング剤に光重合開始剤を添加しなくてもよい。
離型層の厚みは、特に限定的ではないが、好ましくは0.05μm以上20μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下、さらに好ましくは0.3μm以上5μm以下である。離型層を厚くさせるために上記で説明した離型フィルムコーティング剤の塗布を数回繰り返してもよい。
実施形態の離型フィルムの製造方法は、上記離型フィルム用コーティング剤を用いることにより、通常の離型フィルムの製造工程を行うことで、容易に離型フィルムに凹凸形状を形成することができる。
(積層体の製造方法)
実施形態の積層体の製造方法は、基材の少なくとも一方の面に上記離型フィルム用コーティング剤を塗布する塗布工程と、離型フィルム用コーティング剤中の溶剤を除去し、活性エネルギー線を照射することにより表面に凹凸形状を有する離型層を形成する工程と、離型層の表面に樹脂層を積層し、樹脂層の一方の表面に凹凸形状を転写する工程と、を含む。
上記工程のうち、離型フィルム用コーティング剤を塗布する塗布工程と、離型層を形成する工程とは、上記離型フィルムの製造方法と同様である。
樹脂層を積層する方法としては、公知の手法を用いてよい。例えば、上記離型フィルム用コーティング剤の塗布方法と同様の手法を用いて、離型層の表面にアクリル系樹脂等の粘着剤を塗布し、乾燥することにより、樹脂層を積層(形成)することができる。樹脂層を離型層の表面に積層することにより、樹脂層の一方の表面に離型層の凹凸形状を転写することができる。
積層体は、さらに樹脂層上に基板が設けられてよい。樹脂層上に基板を貼り合わせることで、樹脂層及び基材を備える粘着フィルムと、離型フィルムとの積層体が得られる。
積層体は、離型フィルムの表面に、例えば樹脂層及び基材を備える市販の粘着フィルムを積層し、ゴムローラー等により圧着させながら張り合わせ、樹脂層の一方の表面に離型層の凹凸形状を転写することで製造してもよい。
実施形態の積層体の製造方法は、上記離型フィルム用コーティング剤を用いることにより、通常の積層体の製造工程を行うことで、樹脂層に離型層の凹凸形状を容易に転写することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に限定されることは意図しない。
<離型フィルム用コーティング剤の調製>
[実施例1]
下記の表1に示す各成分を、同表に示す組成(質量%で示す)となるようにそれぞれ秤取し、撹拌機中で均一になるまで混合して、実施例1の離型フィルム用コーティング剤を得た。離型フィルム用コーティング剤における多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの質量比、固形分濃度、固形分換算での単官能(メタ)アクリレート及び高分子量パーフルオロポリエーテル化合物の含有量を表1に併記する。得られた離型フィルム用コーティング剤を用いて、後述の方法で離型フィルムを作製し、評価した。
[実施例2~5、比較例1~6]
各成分の配合比率を表1~2に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2~5、比較例1~6の離型フィルム用コーティング剤を調製した。
Figure 2023049587000002
Figure 2023049587000003
表1~2に示される各成分の詳細については、以下の通りである。
成分(A):多官能アクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックスM-306」)
成分(B):単官能(メタ)アクリレート
(B-1)ラウリルメタクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトエステルL」、アルキル基は炭素数12の直鎖状)
(B-2)ステアリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「STA」、アルキル基は炭素数18の直鎖状)
(B-3)イソステアリルアクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトエステルS」、アルキル基は炭素数18の分鎖状)
(B-4)ベヘニルアクリレート(日油株式会社製「ブレンマーVA」、アルキル基は炭素数22の直鎖状)
(B-5)ブチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトエステルNB」、アルキル基は炭素数4の直鎖状)
(B-6)オクチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「NOAA」、アルキル基は炭素数8の直鎖状)
成分(C):高分子量パーフルオロポリエーテル化合物(両端末にウレタンアクリレートを有し、数平均分子量(Mn)6000)
成分(D):溶剤 メチルエチルケトン
成分(E):低分子量ポリマー(ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社製「FLUOROLINK AD-1700」、両端末に2官能ウレタンアクリレートを有するパーフルオロポリエーテル化合物、数平均分子量(Mn)1700、固形分70%の酢酸エチル-酢酸ブチル混合液)
成分(F):光重合開始剤
(F-1)BASF社製「イルガキュア184」
(F-2)BASF社製「イルガキュア907」
なお成分(C)は、両端末に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物(ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社製「FLUOROLINK D-6000」)に、イソシアネート化合物(昭和電工株式会社製「カレンズBEI」)を付加させて得たものである。
<数平均分子量(Mn)の測定>
パーフルオロポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、核磁気共鳴(NMR)法を用いて測定した。下記の測定条件で、1H-NMRを測定し、末端基と主鎖との積分値を比較することにより、数平均分子量(Mn)を得た。具体的には、(C):高分子量パーフルオロポリエーテル化合物の場合、CFCl3を内部基準物質(0ppm)として、末端基に帰属されるピーク(-80.5ppm)と、主鎖に帰属されるピーク(-51.4ppm及び-87.5ppm)との積分値の比を算出し、得られた比からパーフルオロポリエーテル化合物の重合度を算出することにより、数平均分子量(Mn)を計算した。
装置:「JNM-ECZ400S」(日本電子株式会社製)
共鳴周波数:376MHz
溶媒:ヘキサフルオロベンゼン
積算回数:64回
<離型フィルムの作製>
得られた各離型フィルム用コーティング剤(塗工液)を、乾燥後(硬化後)の膜厚が1μmになるように、離型基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製「ルミラーS10」、厚さ38μm)の片面にワイヤーバーにより均一に塗工した後、加熱乾燥させた。次いで室温、窒素雰囲気下でUV照射機にて紫外線を照射(光量:1000mJ/cm2)して、離型層を硬化させた。これにより、離型基材上に離型層が形成された離型フィルムを作製した。
比較例2の離型フィルム用コーティング剤は、基材に塗工した場合に塗膜として成立しなかった。このため、比較例2の離型フィルムは作製することができなかった。
<性能評価>
[表面形状評価]
実施例1~5、比較例1、5~6の離型フィルム用コーティング剤により作製した各離型フィルムを、基材を下側にして両面テープ(積水化学工業株式会社製「570E」)を用いてステンレス鋼板(SUS304)に固定した。離型フィルムの表面を、レーザー顕微鏡(オリンパス社製「OLE-5100」、対物レンズ「LMPLFLN50xLEXT」)を用いて、温度25℃、相対湿度50%で、表面形状を観察し、算術平均面粗さSaμmを測定した。対物レンズの倍率は50倍、測定領域は1200μm×1200μmである。算術平均面粗さSaが0.3μm以上の場合、凹凸形状が良好に形成されていると判定した。測定結果を表1~2に併記する。
レーザー顕微鏡による測定領域における表面形状画像を図2~9に示す。図2は実施例1の離型フィルムの表面形状画像、図3は実施例2の離型フィルムの表面形状画像、図4は実施例3の離型フィルムの表面形状画像、図5は実施例4の離型フィルムの表面形状画像、図6は実施例5の離型フィルムの表面形状画像、図7は比較例1の離型フィルムの表面形状画像、図8は比較例5の離型フィルムの表面形状画像、図9は比較例6の離型フィルムの表面形状画像である。
実施例1、比較例3~4の離型フィルム用コーティング剤により作製した各離型フィルムを、基材を下側にして両面テープ(積水化学工業株式会社製「570E」)を用いてステンレス鋼板(SUS304)に固定した。離型フィルムの表面を、光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、デジタルマイクロスコープ「VHX-5000」、)を用いて、温度25℃、倍率200倍で、表面形状を観察した。
得られた表面形状画像を図10~12に示す。図10は実施例1の離型フィルムの表面形状画像、図11は比較例3の離型フィルムの表面形状画像、図12は比較例4の離型フィルムの表面形状画像である。
[離型性評価]
実施例1~5、比較例1、3、5~6の離型フィルム用コーティング剤により作製した各離型フィルムに、シリコーン系粘着テープ(株式会社寺岡製作所製「No,642テープ」)を2kgのゴムローラーにて圧着させながら貼り合わせ、室温条件下で30分間静置し、積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムを25mm幅に裁断した試験片を、室温条件下、剥離角度180°、引張速度0.3m/分で剥離し、剥離に要する力を引張試験機(株式会社島津製作所製「恒温槽付きオートグラフAG-1kNXplus」)を用いて測定した。この力を剥離力とした。剥離力が3.0N/25mm未満の場合、離型性が良好と判定した。結果を表1~2に併記する。
[実施例6]
[形状転写性評価]
離型フィルムを用いて、以下の方法により実施例6の積層体を作製し、離型層及び樹脂層の形状をそれぞれ観察することにより、凹凸形状の形状転写性を評価した。
実施例1の離型フィルム用コーティング剤を用いて、上記離型フィルムの作製方法により離型フィルムを作製した。離型フィルムの離型層の表面に、アクリル系粘着剤(トーヨーケム株式会社製「BPS-5160」、不揮発成分濃度33質量%、溶媒:酢酸エチル/トルエン/イソプロピルアルコール)を、乾燥後の膜厚が塗布量25g/m2となるようにワイヤーバーにより均一に塗工した。その後100℃で2分間乾燥して樹脂層を形成した。樹脂層に粘着基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製「ルミラーS10」、厚さ38μm)を貼り合わせ、粘着フィルムを作製した。これにより、離型フィルムと粘着フィルムとの積層体を得た。
得られた積層体を、離型層と樹脂層との界面で剥離させ、それぞれの表面を上記と同様にしてレーザー顕微鏡で観察し、対応する凹凸形状が形成されているかを評価した。測定領域における表面形状画像を図13~14に示す。図13は実施例6の積層体における離型層の表面形状画像、図14は実施例6の積層体における樹脂層の表面形状画像である。
表1~2及び図2~14から明らかなように、実施例1~5の離型フィルム用コーティング剤において、表面に凹凸形状を容易且つ良好に形成でき、離型性も良好であった。表面形状画像に示されるように、実施例1~5の離型フィルムにおいては、表面に複数の凸部(島部)が形成されていた。これに対して、比較例1、3~6では、凹凸形状の形成が不良であった。比較例1、3~6の離型フィルムにおいては、表面に凸部が殆ど形成されていなかったか、または凸部の高さが十分でなかった。また、比較例2では、安定した離型層を形成することができなかった。
実施例1~5及び比較例1~2から、多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの質量比が1:1.0~1:3.0であると、凹凸形状が良好な離型層が得られることが確認できた。
実施例1~5及び比較例4~5から、離型フィルム用コーティング剤は、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートを含むことにより、凹凸形状を良好に形成できることが確認できた。炭素数12未満のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートでは、多官能アクリレートと相溶することにより、凹凸形状が良好に発現しないと推定される。
実施例1及び比較例3、6から、離型フィルム用コーティング剤は、高分子量パーフルオロポリエーテル化合物を含むことにより、凹凸形状を良好に形成し、且つ離型性に優れることが確認できた。
図13~14から明らかなように、実施例の離型フィルム用コーティング剤を用いた積層体において、離型層における凹凸形状と樹脂層における凹凸形状とがほぼ一致している。すなわち、離型層における凹凸形状をほぼ反転させた凹凸形状が、樹脂層に形成されている。従って、離型層の凹凸形状が樹脂層の表面に良好に転写されていることが確認できた。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。

Claims (4)

  1. 離型フィルム用コーティング剤の製造工程において、
    多官能(メタ)アクリレート、炭素数12以上のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が4000以上であり(メタ)アクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を、
    前記多官能(メタ)アクリレートと前記単官能(メタ)アクリレートとの質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)が1:1.0~1:3.0となるよう含有させる
    離型フィルム用コーティング剤の製造方法。
  2. 多官能(メタ)アクリレート、炭素数12以上のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が4000以上であり(メタ)アクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を含有し、前記多官能(メタ)アクリレートと前記単官能(メタ)アクリレートとの含有量が、質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)で、1:1.0~1:3.0である離型フィルム用コーティング剤を基材の少なくとも一方の表面に塗布する工程と、
    前記離型フィルム用コーティング剤中の溶剤を除去し、活性エネルギー線を照射することにより表面に凹凸形状を有する離型層を形成する工程と、を含む
    離型フィルムの製造方法。
  3. 前記離型フィルム用コーティング剤を加熱乾燥して前記離型フィルム用コーティング剤中の溶剤を除去する
    請求項2に記載の離型フィルムの製造方法。
  4. 多官能(メタ)アクリレート、炭素数12以上のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が4000以上であり(メタ)アクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、及び溶剤を含有し、前記多官能(メタ)アクリレートと前記単官能(メタ)アクリレートとの含有量が、質量比(多官能(メタ)アクリレート:単官能(メタ)アクリレート)で、1:1.0~1:3.0である離型フィルム用コーティング剤を基材の少なくとも一方の表面に塗布する工程と、
    前記離型フィルム用コーティング剤中の溶剤を除去し、活性エネルギー線を照射することにより表面に凹凸形状を有する離型層を形成する工程と、
    前記離型層の表面に樹脂層を積層し、前記樹脂層の前記離型フィルムと接する表面の形状に前記凹凸形状を転写する工程と、を含む
    積層体の製造方法。
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