JP2023048699A - 車両用内装材及び車両用内装材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不快臭やVOCを効率良く除去できる車両用内装材及び車両用内装材の製造方法を提供することにある。【解決手段】本発明の車両用内装材は、内装基材と、上記内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備え、上記ホットメルトフィルムに、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられ、上記内装基材及び上記繊維状活性炭シートは、上記ホットメルトフィルムの融着により一体化されたことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用内装材及び車両用内装材の製造方法に関する。
従来から、車両の室内等では、シートパッド等の内装樹脂部品などから発生する材料臭をはじめ、排気ガス臭、燃料臭、タバコ臭、人体臭、食品かすの腐敗臭などの不快臭への対策が求められている。また、インスツルメントパネル、ドアトリム等の塗装部品などから発生するVOC(Volatile Organic Compounds)への対策も求められている。
不快臭やVOCへの対策として、車両用内装材に活性炭シート等の吸着剤を用いる方法が知られている。車両用内装材に活性炭シートを用いる従来の方法では、車両用内装材の基材の成形後に、基材に対し、活性炭シートを縫製やマジックテープによる貼り付け等の手段で取り付けており、成形後の加工が必要であった。また、従来の活性炭シートは、粉末活性炭を不織布等に含侵させた仕様となっており、追従性がないために、基材と一体成形することは困難であった。
これらの問題に対処すべく、例えば、特許文献1に記載された乗物用脱臭内装材のように、活性炭シートとして柔軟性のある繊維状活性炭シートを用い、基材の表面上に接着層を介して活性炭シートを積層することで得られる積層体を一体成形した車両用内装材が知られている。このような車両用内装材は、カーペットやヘッドライニング等の各車両用内装材の成形工程に使用する固有の成形型や既存設備を流用することで製造できるので追加の設備投資が発生せず、縫製や貼り付け等の成形後の後加工も不要である。このため、不快臭やVOCへの対策を低コストで実現できる。
基材の表面上に接着剤を介して活性炭シートを積層することで得られる積層体を一体成形した従来の車両用内装材では、活性炭シートの接着面が接着層に覆われているために通気性が低下する。この結果、不快臭やVOCが活性炭シートにより効率良く吸収されないおそれがある。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不快臭やVOCを効率良く除去できる車両用内装材及び車両用内装材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明の車両用内装材は、内装基材と、上記内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備え、上記ホットメルトフィルムに、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられ、上記内装基材及び上記繊維状活性炭シートは、上記ホットメルトフィルムの融着により一体化されたことを特徴とする。
また、本発明の車両用内装材の製造方法は、内装基材及び繊維状活性炭シートが一体化された車両用内装材の製造方法であって、内装基材の表面上に、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられたホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得る積層工程と、上記積層体をプレス成形することにより、上記積層体の上記内装基材及び上記繊維状活性炭シートを上記ホットメルトフィルムの融着により一体化する一体化工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、不快臭やVOCを効率良く除去できる。
以下、本発明の車両用内装材及び車両用内装材の製造方法に係る実施形態について説明する。
最初に、実施形態に係る車両用内装材及び車両用内装材の製造方法の概略について、第1に係る車両用内装材及びその製造方法を例示して説明する。
(第1実施形態に係る車両用内装材)
図1(a)は、第1実施形態に係る車両用内装材を示す概略断面図であり、図1(b)は、第1実施形態に係る車両用内装材において内装基材の外側表面に融着しているホットメルトフィルムを示す概略平面図である。
図1(a)は、第1実施形態に係る車両用内装材を示す概略断面図であり、図1(b)は、第1実施形態に係る車両用内装材において内装基材の外側表面に融着しているホットメルトフィルムを示す概略平面図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、第1実施形態に係る車両用内装材10は、フロアカーペットであって、内装基材2と、内装基材2の外側表面2sにホットメルトフィルム4を介して積層された繊維状活性炭シート6とを備えている。内装基材2の外側表面2sは凹部及び凸部を有している。ホットメルトフィルム4には、外縁4eに切り欠き4nが設けられ、内側に貫通孔4hが設けられている。ホットメルトフィルム4は、内装基材2の外側表面2sの凸部の上面2sa及び側面2sbに融着している。ホットメルトフィルム4は、繊維状活性炭シート6の内側表面6rに融着している。内装基材2及び繊維状活性炭シート6は、ホットメルトフィルム4の融着により一体化されている。
第1実施形態に係る車両用内装材10では、内装基材2及び繊維状活性炭シート6を融着しているホットメルトフィルム4に切り欠き4n及び貫通孔4hが設けられている。このため、内装基材2及び繊維状活性炭シート6の間の通気性をホットメルトフィルム4の切り欠き4n及び貫通孔4hにより確保できる。これにより、内装基材2で発生する不快臭やVOCの他、外部から内装基材2を介しホットメルトフィルム4まで到達する不快臭やVOCなどを繊維状活性炭シート6により効率良く吸収できる。よって、不快臭やVOCなどを効率良く除去できる。
(第1実施形態に係る車両用内装材の製造方法)
図2(a)~図2(f)は、第1実施形態に係る車両用内装材の製造方法を示す概略工程断面図である。図3(a)は、第1実施形態に係る車両用内装材の製造方法の積層工程で得る積層体の繊維状活性炭シート及びホットメルトフィルムを、ホットメルトフィルム側から平面視した概略平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA-A線に沿う積層体の概略断面図である。
図2(a)~図2(f)は、第1実施形態に係る車両用内装材の製造方法を示す概略工程断面図である。図3(a)は、第1実施形態に係る車両用内装材の製造方法の積層工程で得る積層体の繊維状活性炭シート及びホットメルトフィルムを、ホットメルトフィルム側から平面視した概略平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA-A線に沿う積層体の概略断面図である。
第1実施形態に係る車両用内装材の製造方法では、まず、図2(a)に示すように、内装基材2をロールRから巻き出すことで準備する(準備工程)。さらに、内装基材2と一体化される予定の繊維状活性炭シート6と、両者の一体化に用いるホットメルトフィルム4とを準備する。次に、図2(b)に示すように、内装基材2の外側表面2sにホットメルトフィルム4を介して繊維状活性炭シート6を積層することで積層体10pを得る(積層工程)。
図3(a)及び図3(b)に示すように、ホットメルトフィルム4は、内側融着層4a、耐熱層4b、及び外側融着層4cがこの順に積層された多層構造のものである。積層体10pでは、内側融着層4aの内側表面4ar(ホットメルトフィルム4の内側表面4r)が内装基材2の外側表面2sに接しており、外側融着層4cの外側表面4cs(ホットメルトフィルム4の外側表面4s)が繊維状活性炭シート6の内側表面6rに接している。図3(a)に示すように、積層体10pの繊維状活性炭シート6及びホットメルトフィルム4をホットメルトフィルム側から平面視すると、繊維状活性炭シート6の外縁6eは矩形となっており、ホットメルトフィルム4の外縁4eは切り欠き4nの部分を除いて繊維状活性炭シート6の外縁6eと重なっている。ホットメルトフィルム4には、外縁4eに多数の部分円形状の切り欠き4nが並ぶように設けられ、内側に多数の円形の貫通孔4hが縦方向及び横方向に並ぶように設けられている。
次に、図2(c)及び図3(b)に示すように、積層体10pを加熱炉に投入した上で、加熱炉において、ホットメルトフィルム4の内側融着層4a及び外側融着層4cが融解して接着力を発現する温度まで加熱され、かつホットメルトフィルム4の耐熱層4bが融解して接着力を発現する温度まで到達しないように積層体10pを加熱する(加熱工程)。
次に、図2(d)に示すように、加熱された積層体10pを、成形型の上型及び下型の間に配置し、成形型によりプレス成形する(成形工程)。これにより、積層体10pの内装基材2を型面形状に賦形し、内装基材2の外側表面2s及び内側表面2rを凹部及び凸部を有する形状にする。同時に、繊維状活性炭シート6及びホットメルトフィルム4を成形型の上型及び内装基材2の間で圧縮し内装基材2の外側表面2sの凸部に沿う形状に変形する。そして、ホットメルトフィルム4の内側融着層4a(図3(b)に図示)及び外側融着層4c(図3(b)に図示)を、内装基材2の外側表面2sの凸部及び繊維状活性炭シート6の内側表面6rにそれぞれ融着させる。なお、この際、内側融着層4a及び外側融着層4cは、その間にある耐熱層4b(図3(b)に図示)にも融着する。このようにして、積層体10pの内装基材2及び繊維状活性炭シート6をホットメルトフィルム4の融着により一体化する(一体化工程)。
次に、図2(e)に示すように、一体化された積層体10pを、ピアス型の上型及び下型の間に配置し、ピアス型により、積層方向から平面視した場合の外縁が所望の形状になるように裁断する(裁断工程)。これにより、図2(f)に示すように、車両用内装材10を製造する。なお、図2(f)に示す車両用内装材10は、図1に示す車両用内装材10と同一のものであるが、必要に応じて、図2(f)に示すように、車両用内装材10の外表面側に吸音材20を配置した上で車両に設置する。
第1実施形態に係る車両用内装材の製造方法では、積層体10pの内装基材2及び繊維状活性炭シート6の間に介在させるホットメルトフィルム4に切り欠き4n及び貫通孔4hが設けられている。このため、加熱された積層体10pをプレス成形することにより、繊維状活性炭シート6及びホットメルトフィルム4を成形型の上型及び内装基材2の間で圧縮し内装基材2の外側表面2sの凸部に沿う形状に変形する際に、ホットメルトフィルム4の追従性を向上でき、ホットメルトフィルム4のシワや融着ムラの形成を抑制できる。さらに、不快臭やVOCを効率良く除去可能な車両用内装材10を製造できる。
(変形例)
図4(a)は、第1実施形態の変形例に係る車両用内装材の製造方法の積層工程で得る積層体の繊維状活性炭シート及びホットメルトフィルムを、ホットメルトフィルム側から平面視した概略平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A線に沿う積層体の概略断面図である。
図4(a)は、第1実施形態の変形例に係る車両用内装材の製造方法の積層工程で得る積層体の繊維状活性炭シート及びホットメルトフィルムを、ホットメルトフィルム側から平面視した概略平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A線に沿う積層体の概略断面図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、変形例に係る積層工程で得る積層体10pにおいて、ホットメルトフィルム4は、単一の融着層からなる単層構造のものである。積層体10pでは、ホットメルトフィルム4の内側表面4rが内装基材2の外側表面2sに接しており、ホットメルトフィルム4の外側表面4sが繊維状活性炭シート6の内側表面6rに接している。図4(a)に示すように、繊維状活性炭シート6及びホットメルトフィルム4をホットメルトフィルム側から平面視すると、繊維状活性炭シート6の外縁6eは矩形となっており、ホットメルトフィルム4の外縁4eは切り欠き4nの部分を除いて繊維状活性炭シート6の外縁6eと重なっている。ホットメルトフィルム4には、角部4gに切り欠き4nが設けられ、内側に十字形状の切れ目4dが設けられている。この図4に示す積層体10pは、ホットメルトフィルム4を除いて、図3に示す積層体10pと同様のものである。
第1実施形態の変形例では、図4に示す積層体10pを得て、加熱、プレス成形する点を除いて第1実施形態と同様に車両用内装材を製造する。よって、ホットメルトフィルム4に切り欠き4n及び切れ目4dが設けられているため、加熱された積層体10pをプレス成形する際に、第1実施形態と同様に、ホットメルトフィルム4の追従性を向上でき、ホットメルトフィルム4のシワや融着ムラの形成を抑制できる。さらに、内装基材2及び繊維状活性炭シート6の間の通気性をホットメルトフィルム4の切り欠き4n及び切れ目4dにより確保できる車両用内装材を製造できる。
(作用効果)
従って、実施形態に係る車両用内装材によれば、第1実施形態のように、不快臭やVOCを効率良く除去できる。また、実施形態に係る車両用内装材の製造方法によれば、第1実施形態及びその変形例のように、不快臭やVOCを効率良く除去可能な車両用内装材を製造できる。さらに、ホットメルトフィルムの貫通孔又は切れ目の形状、サイズ、配置位置等の条件を好適な条件とすることにより、一体化工程において、加熱された積層体をプレス成形することで繊維状活性炭シート及びホットメルトフィルムを内装基材の表面の凹部や凸部等に沿った形状に変形させる際に、ホットメルトフィルムの追従性を向上でき、ホットメルトフィルムのシワや融着ムラの形成を抑制できる。
従って、実施形態に係る車両用内装材によれば、第1実施形態のように、不快臭やVOCを効率良く除去できる。また、実施形態に係る車両用内装材の製造方法によれば、第1実施形態及びその変形例のように、不快臭やVOCを効率良く除去可能な車両用内装材を製造できる。さらに、ホットメルトフィルムの貫通孔又は切れ目の形状、サイズ、配置位置等の条件を好適な条件とすることにより、一体化工程において、加熱された積層体をプレス成形することで繊維状活性炭シート及びホットメルトフィルムを内装基材の表面の凹部や凸部等に沿った形状に変形させる際に、ホットメルトフィルムの追従性を向上でき、ホットメルトフィルムのシワや融着ムラの形成を抑制できる。
さらに、実施形態によれば、従来の車両用内装材の量産工程でのプレス成形より、内装基材及び繊維状炭素シートを一体化できるため、活性炭シートを備える車両用内装材を量産するために従来の量産工程を変更する必要がなく、追加の設備投資等ための新たな費用が発生しない。よって、最低限の追加費用で量産が可能となる。また、実施形態によれば、内装基材の表面の凹部や凸部等を含むいかなる形状の部分にでも繊維状炭素シートを一体化できるため、不快臭やVOCの十分な除去に必要となる繊維状炭素シートの設置面積を確保できる。さらに、実施形態によれば、内装基材の表面上に繊維状炭素シートを積層する際に繊維状炭素シートの面積を変更可能であるため、車両用内装材の設置場所や成形部品等の制約を緩和できる。
以下では、実施形態に係る車両用内装材及び車両用内装材の製造方法の各構成の詳細について、説明する。
1.車両用内装材
車両用内装材は、内装基材と、上記内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備え、上記ホットメルトフィルムに、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられ、上記内装基材及び上記繊維状活性炭シートは、上記ホットメルトフィルムの融着により一体化されている。
車両用内装材は、内装基材と、上記内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備え、上記ホットメルトフィルムに、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられ、上記内装基材及び上記繊維状活性炭シートは、上記ホットメルトフィルムの融着により一体化されている。
(1)ホットメルトフィルム
ホットメルトフィルムは、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられたものであれば特に限定されず、図2(b)に示すように貫通孔及び切れ目の一方のみが設けられたものでもよく、それらの両方が設けられたものでもよい。ホットメルトフィルムの貫通孔及び切れ目については、実施形態に係る製造方法の積層工程で内装基材及び繊維状活性炭シートの間に介在させるホットメルトフィルムの融着後の貫通孔及び切れ目に相当するものであるため、ここでの説明は省略する。
ホットメルトフィルムは、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられたものであれば特に限定されず、図2(b)に示すように貫通孔及び切れ目の一方のみが設けられたものでもよく、それらの両方が設けられたものでもよい。ホットメルトフィルムの貫通孔及び切れ目については、実施形態に係る製造方法の積層工程で内装基材及び繊維状活性炭シートの間に介在させるホットメルトフィルムの融着後の貫通孔及び切れ目に相当するものであるため、ここでの説明は省略する。
ホットメルトフィルムは、内装基材及び繊維状活性炭シートに融着されたものであれば特に限定されないが、例えば、後述する図4に示すホットメルトフィルムが加熱により内装基材及び繊維状活性炭シートに融着されたもののように、単層構造のものであって、単一の融着層が加熱により内装基材及び繊維状活性炭シートに融着されたものでもよい。また、例えば、図3に示すホットメルトフィルムが加熱により内装基材及び繊維状活性炭シートに融着されたもののように、少なくとも積層方向の両端が融着層からなる多層構造のものであって、積層方向の両端の融着層が加熱により内装基材及び繊維状活性炭シートにそれぞれ融着されたものでもよい。
多層構造のホットメルトフィルムとしては、例えば、第1実施形態に係る車両用内装材におけるホットメルトフィルムのように、積層方向の両端の融着層の間に耐熱層が配置されたものが好ましい。製造時に追従性の向上やシワや融着ムラの形成の抑制といった効果が確実に得られるからである。
融着層の成分としては、加熱により融解して接着力を発現可能な成分であれば特に限定されないが、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。耐熱層の成分としては、融着層を融解可能な温度で融解しない成分であれば特に限定されないが、例えば、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
ホットメルトフィルムの厚さとしては、特に限定されないが、例えば、ホットメルトフィルムが融着層からなる単層構造のものである場合には、30μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。フィルムの厚さがこの範囲の下限以上であることにより、フィルム自体の十分な強度が得られるからであり、フィルムの厚さがこの範囲の上限以下であることにより、十分な追従性が得られるからである。また、ホットメルトフィルムが積層方向の両端の融着層の間に耐熱層が配置されたものである場合には、融着層の厚さが10μm以上50μm以下の範囲内となり、耐熱層の厚さが10μm以上50μm以下の範囲内となるものが好ましい。融着層の厚さがこの範囲の下限以上であることにより、フィルム自体の十分な強度が得られるからであり、融着層の厚さがこの範囲の上限以下であることにより、十分な追従性が得られるからである。耐熱層の厚さがこの範囲の下限以上であることにより、フィルム自体の十分な強度が得られ、形状保持が十分に可能となるからであり、耐熱層の厚さがこの範囲の上限以下であることにより、十分な追従性が得られるからである。
(2)繊維状活性炭シート
繊維状活性炭シートは、繊維状活性炭(活性炭繊維)を主な成分とし、シート状に成形されたものであれば、特に限定されないが、例えば、繊維状活性炭に一定量の熱可塑性合成繊維を乾式又は湿式方法で混合してシート状に成形されたもの、又はこのシートの複数枚を積層させ、加熱処理して一体化したもの等が挙げられる。
繊維状活性炭シートは、繊維状活性炭(活性炭繊維)を主な成分とし、シート状に成形されたものであれば、特に限定されないが、例えば、繊維状活性炭に一定量の熱可塑性合成繊維を乾式又は湿式方法で混合してシート状に成形されたもの、又はこのシートの複数枚を積層させ、加熱処理して一体化したもの等が挙げられる。
繊維状活性炭の素材としては、特に限定されないが、ピッチ系、フェノール系、セルロース系、アクリル系等が挙げられる。熱可塑性合成繊維としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等からなるバインダー繊維を用いることができるが、特にユニチカ株式会社からメルティーの商標で市販されているポリエステル系バインダー繊維が好ましい。
繊維状活性炭シートの厚さとしては、特に限定されないが、例えば、600μm以上1600μm以下の範囲内が好ましい。厚さがこの範囲の下限以上であることにより、十分な強度が得られるからであり、厚さがこの範囲の上限以下であることにより、十分な柔軟性及び追従性が得られるからである。
(3)内装基材
内装基材は、特に限定されず、車両用内装材に一般的に用いられる基材を用いることができるが、例えば、繊維状物質に熱可塑性樹脂を混合して板状に成形された基材等が挙げられる。
内装基材は、特に限定されず、車両用内装材に一般的に用いられる基材を用いることができるが、例えば、繊維状物質に熱可塑性樹脂を混合して板状に成形された基材等が挙げられる。
繊維状物質としては、例えば、綿、麻、ケナフ繊維、竹繊維、ウール、絹、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等、これらの混合繊維などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(PA)、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリレート-スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等が挙げられる。
内装基材の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、100μm以上8000μm以下の範囲内が好ましい。厚さがこの範囲の下限以上であることにより、十分な強度が得られるからであり、厚さがこの範囲の上限以下であることにより、コストを十分に抑制できるからである。
(4)車両用内装材
図5(a)~図5(d)は、実施形態に係る車両用内装材の他の例を示す写真である。車両用内装材としては、図5(a)に示すように、フロアカーペットであって、カーペットシート(内装基材)と、カーペットシートの内側表面のフロントシートの対向領域にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備えるものでもよい。さらに、車両用内装材としては、図5(b)~図5(d)に示すように、ヘッドライニング、ドアトリム、ダッシュサイレンサ等であって、内装基材と、内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備えるものでもよい。
図5(a)~図5(d)は、実施形態に係る車両用内装材の他の例を示す写真である。車両用内装材としては、図5(a)に示すように、フロアカーペットであって、カーペットシート(内装基材)と、カーペットシートの内側表面のフロントシートの対向領域にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備えるものでもよい。さらに、車両用内装材としては、図5(b)~図5(d)に示すように、ヘッドライニング、ドアトリム、ダッシュサイレンサ等であって、内装基材と、内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備えるものでもよい。
車両用内装材としては、内装基材と、内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状炭素シートとを備えるものであれば、特に限定されず、内装基材の表面に、直接、ホットメルトフィルムを介して繊維状炭素シートが積層されたものでもよいし、内装基材の表面に設けられた所定の機能を担う他の機能層をさらに備え、他の機能層の表面にホットメルトフィルムを介して繊維状炭素シートが積層されたものでもよい。また、車両用内装材は、通常、実施形態に係る製造方法により製造される。
2.車両用内装材の製造方法
車両用内装材の製造方法は、内装基材及び繊維状活性炭シートが一体化された車両用内装材の製造方法であって、内装基材の表面上に、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられたホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得る積層工程と、上記積層体をプレス成形することにより、上記積層体の上記内装基材及び上記繊維状活性炭シートを上記ホットメルトフィルムの融着により一体化する一体化工程と、を備える。
車両用内装材の製造方法は、内装基材及び繊維状活性炭シートが一体化された車両用内装材の製造方法であって、内装基材の表面上に、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられたホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得る積層工程と、上記積層体をプレス成形することにより、上記積層体の上記内装基材及び上記繊維状活性炭シートを上記ホットメルトフィルムの融着により一体化する一体化工程と、を備える。
(1)積層工程
積層工程で内装基材及び繊維状活性炭シートの間に介在させるホットメルトフィルムは、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられたものであれば特に限定されず、図3(a)に示すように貫通孔及び切れ目の一方のみが設けられたものでもよく、図4(a)に示すようにそれらの両方が設けられたものでもよい。なお、「貫通孔」とは、ホットメルトフィルムを積層方向に貫通する孔又は切り欠きを指す。また、「切れ目」とは、ホットメルトフィルムを積層方向に貫通し、かつ積層方向から平面視して直線状の切り込みを指す。
積層工程で内装基材及び繊維状活性炭シートの間に介在させるホットメルトフィルムは、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられたものであれば特に限定されず、図3(a)に示すように貫通孔及び切れ目の一方のみが設けられたものでもよく、図4(a)に示すようにそれらの両方が設けられたものでもよい。なお、「貫通孔」とは、ホットメルトフィルムを積層方向に貫通する孔又は切り欠きを指す。また、「切れ目」とは、ホットメルトフィルムを積層方向に貫通し、かつ積層方向から平面視して直線状の切り込みを指す。
図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係るホットメルトフィルムの他の例を示す写真である。ホットメルトフィルムとしては、図3(a)及び図6(a)に示すように、パンチングにより貫通孔が設けられたものでもよいし、図6(b)に示すように、ハニカム加工により貫通孔が設けられたものでもよい。図7(a)~図7(c)は、実施形態に係るホットメルトフィルムの他の例の貫通孔を示す写真である。ホットメルトフィルムの貫通孔の配列型としては、特に限定されないが、図1(b)、図7(a)、及び図7(b)に示すような丸孔並列型、図6(a)及び図7(c)に示すような丸孔千鳥型、図6(b)に示すようなハニカム構造型等が挙げられる。ホットメルトフィルムの貫通孔の形状としては、例えば、丸孔等が好ましい。生産時の加工し易さ、設備制約の観点からである。ホットメルトフィルムの平面視における貫通孔のサイズとしては、例えば、円相当径で1mm以上10mm以下の範囲内が好ましい。サイズがこの範囲の下限以上であることにより、十分な通気性が得られるからであり、サイズがこの範囲の上限以下であることにより、孔の抜き打ち時に形状を保持できなくなることを十分に抑制できるからである。ホットメルトフィルムの平面視における貫通孔の面積率としては、例えば、3%以上20%以下の範囲内が好ましい。貫通孔の面積率がこの範囲の下限以上であることにより、十分な通気性が得られるからであり、貫通孔の面積率がこの範囲の上限以下であることにより、孔の抜き打ち時に形状を保持できなくなることを十分に抑制できるからである。
ホットメルトフィルムは、一体化工程での加熱により融解して内装基材及び繊維状活性炭シートとの接着力を発現するフィルムあれば、特に限定されず、例えば、図4に示すように、一体化工程での加熱により融解して接着力を発現する融着層からなる単層構造のものでもよいし、例えば、図3に示すように、少なくとも積層方向の両端が、それぞれ一体化工程での加熱により融解して接着力を発現する融着層からなる多層構造のものでもよい。
多層構造のホットメルトフィルムとしては、例えば、第1実施形態に係る製造方法に用いるホットメルトフィルムのように、積層方向の両端の融着層の間に、一体化工程での加熱により融解しない耐熱層が配置されたものが好ましい。一体化工程において、積層体をプレス成形することでホットメルトフィルムを融着させる際に、耐熱層を融解させずに融着層のみを融解できるため、ホットメルトフィルムの貫通孔や切れ目を当初の状態に保持できる結果、追従性の向上やシワや融着ムラの形成の抑制といった効果が確実に得られるからである。このようなホットメルトフィルムとしては、例えば、愛知プラスチックス工業株式会社製有孔三層ホットメルトフィルム等が挙げられる。
融着層の成分については、上記「1.車両用内装材 (1)ホットメルトフィルム」の項目で説明した融着層の成分と同様であるため、ここでの説明は省略する。耐熱層の成分については、上記「1.車両用内装材 (1)ホットメルトフィルム」の項目で説明した耐熱層の成分と同様であるため、ここでの説明は省略する。
ホットメルトフィルムの厚さとしては、特に限定されないが、例えば、ホットメルトフィルムが融着層からなる単層構造のものである場合には、30μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。フィルムの厚さがこの範囲の下限以上であることにより、フィルム自体の十分な強度が得られるからであり、フィルムの厚さがこの範囲の上限以下であることにより、十分な追従性が得られるからである。また、ホットメルトフィルムが積層方向の両端の融着層の間に耐熱層が配置されたものである場合には、融着層の厚さが10μm以上50μm以下の範囲内となり、耐熱層の厚さが10μm以上50μm以下の範囲内となるものが好ましい。融着層の厚さがこの範囲の下限以上であることにより、フィルム自体の十分な強度が得られるからであり、融着層の厚さがこの範囲の上限以下であることにより、十分な追従性が得られるからである。耐熱層の厚さがこの範囲の下限以上であることにより、フィルム自体の十分な強度が得られ、形状保持が十分に可能となるからであり、耐熱層の厚さがこの範囲の上限以下であることにより、十分な追従性が得られるからである。
積層工程で用いる繊維状活性炭シートについては、上記「1.車両用内装材 (2)繊維状活性炭シート」の項目で説明した繊維状活性炭シートと同様であるため、ここでの説明は省略する。
積層工程で用いる内装基材については、上記「1.車両用内装材 (3)内装基材」の項目で説明した内装基材と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)一体化工程
一体化工程としては、積層体をプレス成形することにより、積層体の内装基材及び繊維状活性炭シートをホットメルトフィルムの融着により一体化する工程であれば特に限定されないが、例えば、第1実施形態のように、積層体を加熱する加熱工程と、加熱された積層体をプレス成形する成形工程と、を有するものでもよい。また、一体化工程としては、加熱した成形型により積層体をプレス成形する工程でもよい。このような一体化工程では、プレス成形時において、積層体を成形型で加熱することにより、ホットメルトフィルムを加熱、融解し、内装基材及び繊維状活性炭シートに融着させることができる。
一体化工程としては、積層体をプレス成形することにより、積層体の内装基材及び繊維状活性炭シートをホットメルトフィルムの融着により一体化する工程であれば特に限定されないが、例えば、第1実施形態のように、積層体を加熱する加熱工程と、加熱された積層体をプレス成形する成形工程と、を有するものでもよい。また、一体化工程としては、加熱した成形型により積層体をプレス成形する工程でもよい。このような一体化工程では、プレス成形時において、積層体を成形型で加熱することにより、ホットメルトフィルムを加熱、融解し、内装基材及び繊維状活性炭シートに融着させることができる。
ホットメルトフィルムの加熱温度としては、融着層が融解して接着力を発現する温度であれば特に限定されないが、融着層の成分等に応じて設定され、例えば、110℃以上160℃以下の範囲内が好ましい。また、ホットメルトフィルムが、特に、積層方向の両端の融着層の間に耐熱層が配置されたものである場合には、ホットメルトフィルムの加熱温度としては、融着層が融解して接着力を発現する温度以上、耐熱層が融解する温度未満の範囲内が好ましく、例えば、110℃以上200℃以下の範囲内が好ましい。
(3)車両用内装材の製造方法
車両用内装材の製造方法としては、積層工程と、一体化工程と、を備えるものであれば特に限定されず、積層工程において、内装基材の表面に、直接、ホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得て、一体化工程において、当該積層体をプレス成形する方法でもよいし、積層工程において、内装基材の表面に設けられた所定の機能を担う他の機能層の表面にホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得て、一体化工程において、当該積層体をプレス成形する方法でもよい。
車両用内装材の製造方法としては、積層工程と、一体化工程と、を備えるものであれば特に限定されず、積層工程において、内装基材の表面に、直接、ホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得て、一体化工程において、当該積層体をプレス成形する方法でもよいし、積層工程において、内装基材の表面に設けられた所定の機能を担う他の機能層の表面にホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得て、一体化工程において、当該積層体をプレス成形する方法でもよい。
以下、実施例及び参考例を挙げて、本発明に係る車両用内装材及び車両用内装材の製造方法をさらに具体的に説明する。
[実施例]
本発明に係る車両用内装材として、パッケージトレイを作製した。以下、具体的に説明する。
本発明に係る車両用内装材として、パッケージトレイを作製した。以下、具体的に説明する。
まず、内装基材と、繊維状活性炭シートと、ホットメルトフィルムとして、下記のものを準備した(準備工程)。
(内装基材)
製品:株式会社タケヒロ社製パッケージトレイ用内装基材
構成:ポリアミド及びポリエチレンから構成された基材
厚さ:5000μm
製品:株式会社タケヒロ社製パッケージトレイ用内装基材
構成:ポリアミド及びポリエチレンから構成された基材
厚さ:5000μm
(繊維状活性炭シート)
製品名:ユニチカ株式会社製繊維状活性炭シートFMS-AC112T6
厚さ:1080μm
製品名:ユニチカ株式会社製繊維状活性炭シートFMS-AC112T6
厚さ:1080μm
(ホットメルトフィルム)
製品名:愛知プラスチックス工業株式会社製有孔三層ホットメルトフィルム
外縁の形状及び寸法:切り欠きの部分を除いて繊維状活性炭シートの形状及び寸法と同一
厚さ:50μm(耐熱層の厚さ:12μm、融着層の厚さ:19μm)
平面視における貫通孔の形状及び配列:丸孔並列配列
平面視における貫通孔の円相当径:2.5mm
平面視における貫通孔の面積率:9%
製品名:愛知プラスチックス工業株式会社製有孔三層ホットメルトフィルム
外縁の形状及び寸法:切り欠きの部分を除いて繊維状活性炭シートの形状及び寸法と同一
厚さ:50μm(耐熱層の厚さ:12μm、融着層の厚さ:19μm)
平面視における貫通孔の形状及び配列:丸孔並列配列
平面視における貫通孔の円相当径:2.5mm
平面視における貫通孔の面積率:9%
次に、内装基材の片側表面にホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得た(積層工程)。この際には、ホットメルトフィルムの外縁が切り欠きの部分を除いて繊維状活性炭シートの外縁と重なるようにした。
次に、積層体を加熱炉に投入した上で、加熱炉において、積層体を加熱した(加熱工程)。この際には、積層体の繊維状活性炭シートの表面温度を120℃に20秒間保持することで積層体を加熱した。
次に、加熱された積層体を、成形型の上型及び下型の間に配置し、成形型によりプレス成形した(成形工程)。これにより、積層体の内装基材を型面形状に賦形し、内装基材の片側表面を凹部及び凸部を有する形状にした。同時に、繊維状活性炭シート及びホットメルトフィルムを成形型の上型及び内装基材の間で圧縮し内装基材の片側表面の凹部及び凸部に沿う形状に変形した。そして、ホットメルトフィルムの積層方向の両端の融着層を、内装基材の片側表面の凹部及び凸部及び繊維状活性炭シートの表面にそれぞれ融着させた。このようにして、積層体の内装基材及び繊維状活性炭シートをホットメルトフィルムの融着により一体化した(一体化工程)。
次に、一体化された積層体を、ピアス型の上型及び下型の間に配置し、ピアス型により、積層方向から平面視した場合の外縁が所望の形状になるように裁断した(裁断工程)。これにより、パッケージトレイ(車両用内装材)を製造した。
[外観観察]
図8(a)は、実施例で製造されたパッケージトレイの繊維状活性炭シート側の外観を撮影した写真である。図8(a)に示すように、実施例で製造されたパッケージトレイでは、繊維状活性炭シートの外観からはシワや融着ムラを確認できない。ホットメルトフィルムのシワや融着ムラの形成を抑制できたと考えられる。なお、図8(a)において、パッケージトレイの背後に写っているのは内装基材である。
図8(a)は、実施例で製造されたパッケージトレイの繊維状活性炭シート側の外観を撮影した写真である。図8(a)に示すように、実施例で製造されたパッケージトレイでは、繊維状活性炭シートの外観からはシワや融着ムラを確認できない。ホットメルトフィルムのシワや融着ムラの形成を抑制できたと考えられる。なお、図8(a)において、パッケージトレイの背後に写っているのは内装基材である。
[脱臭性能の官能試験]
官能試験により、実施例で製造されたパッケージトレイの脱臭性能を評価した。具体的には、実施例で製造されたパッケージトレイの臭いの臭気強度及び快・不快度について、複数人の試験者が下記基準で評価を行った。また、そのパッケージトレイの個別の臭い(溶剤臭、アミン臭、苦い、酸っぱい、刺激性、及び生臭い)の臭気強度についても、複数人の試験者が下記基準で評価を行った。さらに、比較対象として、実施例で用いた内装基材についても同様に評価を行った。そして、実施例(活性炭有り)のパッケージトレイ及び比較対象(活性炭無し)の内装基材の臭気強度及び快・不快度並びに個別の臭いの臭気強度について、全ての試験者の評価結果の平均を求めた。
官能試験により、実施例で製造されたパッケージトレイの脱臭性能を評価した。具体的には、実施例で製造されたパッケージトレイの臭いの臭気強度及び快・不快度について、複数人の試験者が下記基準で評価を行った。また、そのパッケージトレイの個別の臭い(溶剤臭、アミン臭、苦い、酸っぱい、刺激性、及び生臭い)の臭気強度についても、複数人の試験者が下記基準で評価を行った。さらに、比較対象として、実施例で用いた内装基材についても同様に評価を行った。そして、実施例(活性炭有り)のパッケージトレイ及び比較対象(活性炭無し)の内装基材の臭気強度及び快・不快度並びに個別の臭いの臭気強度について、全ての試験者の評価結果の平均を求めた。
(臭気強度)
4.0:強い臭いである
3.0:楽に感知できる臭いである
2.0:弱い臭いである
1.0:何とか分かる臭いである
0.0:無臭である
(快・不快度)
0.0:快でも不快でもない
-1.0:やや不快である
-2.0:不快である
-3.0:非常に不快である
(個別の臭いの臭気強度)
4.0:強い臭いである
3.0:楽に感知できる臭いである
2.0:弱い臭いである
1.0:何とか分かる臭いである
0.0:無臭である
4.0:強い臭いである
3.0:楽に感知できる臭いである
2.0:弱い臭いである
1.0:何とか分かる臭いである
0.0:無臭である
(快・不快度)
0.0:快でも不快でもない
-1.0:やや不快である
-2.0:不快である
-3.0:非常に不快である
(個別の臭いの臭気強度)
4.0:強い臭いである
3.0:楽に感知できる臭いである
2.0:弱い臭いである
1.0:何とか分かる臭いである
0.0:無臭である
図8(b)は、実施例(活性炭有り)のパッケージトレイ及び比較対象(活性炭無し)の内装基材の臭気強度及び快・不快度並びに個別の臭いの臭気強度の評価結果の平均を示すグラフである。図8(b)に示すように、実施例(活性炭有り)の臭気強度及び快・不快度並びに個別の臭いの臭気強度の評価結果の平均は、比較対象(活性炭無し)よりも低くなった。
[参考例]
参考例の車両用内装材として、内装基材と、内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状炭素シートとを備え、内装基材及び繊維状炭素シートが、ホットメルトフィルムの融着により一体化されたフロアカーペット(以下、活性炭一体型フロアカーペットと略すことがある)を準備した。そして、参考例の活性炭一体型フロアカーペットについて、脱臭性能の官能試験及び脱VOC性能の官能試験を行った。
参考例の車両用内装材として、内装基材と、内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状炭素シートとを備え、内装基材及び繊維状炭素シートが、ホットメルトフィルムの融着により一体化されたフロアカーペット(以下、活性炭一体型フロアカーペットと略すことがある)を準備した。そして、参考例の活性炭一体型フロアカーペットについて、脱臭性能の官能試験及び脱VOC性能の官能試験を行った。
[脱臭性能の官能試験]
官能試験により、参考例の活性炭一体型フロアカーペットの脱臭性能を評価した。具体的には、参考例の活性炭一体型フロアカーペットの個別の臭い(溶剤臭、アミン臭、及び酸っぱい)の臭気強度について、複数人の試験者が下記基準で評価を行った。さらに、比較対象として、参考例の活性炭一体型フロアカーペットに用いた内装基材からなり、活性炭シートを備えない通常のフロアカーペットについても同様に評価を行った。そして、参考例の活性炭一体型フロアカーペット及び比較対象の通常のフロアカーペットの個別の臭いの臭気強度について、全ての試験者の評価結果の平均を求めた。
官能試験により、参考例の活性炭一体型フロアカーペットの脱臭性能を評価した。具体的には、参考例の活性炭一体型フロアカーペットの個別の臭い(溶剤臭、アミン臭、及び酸っぱい)の臭気強度について、複数人の試験者が下記基準で評価を行った。さらに、比較対象として、参考例の活性炭一体型フロアカーペットに用いた内装基材からなり、活性炭シートを備えない通常のフロアカーペットについても同様に評価を行った。そして、参考例の活性炭一体型フロアカーペット及び比較対象の通常のフロアカーペットの個別の臭いの臭気強度について、全ての試験者の評価結果の平均を求めた。
(個別の臭いの臭気強度)
4.0:強い臭いである
3.0:楽に感知できる臭いである
2.0:弱い臭いである
1.0:何とか分かる臭いである
0.0:無臭である
4.0:強い臭いである
3.0:楽に感知できる臭いである
2.0:弱い臭いである
1.0:何とか分かる臭いである
0.0:無臭である
図9(a)は、参考例の活性炭一体型フロアカーペット及び比較対象の通常のフロアカーペットの個別の臭いの臭気強度の評価結果の平均を示すグラフである。図9(a)に示すように、参考例の活性炭一体型フロアカーペットの個別の臭いの臭気強度の評価結果の平均は、いずれも比較対象の通常のフロアカーペットと比べ大きく低減した。
[脱VOC性能の官能試験]
参考例の活性炭一体型フロアカーペットの脱VOC性能を評価した。具体的には、活性炭一体型フロアカーペットを積層方向に裁断し採取した複数個の試験片を、容積300リットルのガスバッグ内に純空気250リットルと一緒に投入し、65℃で2時間加熱した。次いで、ガスバッグ内の試験片1個当たりのVOCの量[μg/個]を、JASO-M902法に準拠し、アルデヒド類はDNPHカートリッジへ捕集し、その他の炭化水素類はTenax管へ捕集した上で、高速液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフ質量分析計を使用して測定した。さらに、比較対象として、参考例で用いた内装基材からなり、活性炭シートを備えない通常のフロアカーペットついても、同様に脱VOC性能を評価した。
参考例の活性炭一体型フロアカーペットの脱VOC性能を評価した。具体的には、活性炭一体型フロアカーペットを積層方向に裁断し採取した複数個の試験片を、容積300リットルのガスバッグ内に純空気250リットルと一緒に投入し、65℃で2時間加熱した。次いで、ガスバッグ内の試験片1個当たりのVOCの量[μg/個]を、JASO-M902法に準拠し、アルデヒド類はDNPHカートリッジへ捕集し、その他の炭化水素類はTenax管へ捕集した上で、高速液体クロマトグラフ及びガスクロマトグラフ質量分析計を使用して測定した。さらに、比較対象として、参考例で用いた内装基材からなり、活性炭シートを備えない通常のフロアカーペットついても、同様に脱VOC性能を評価した。
図9(b)は、参考例の活性炭一体型フロアカーペット及び比較対象の通常のフロアカーペットについて測定されたガスバッグ内の試験片1個当たりのアルデヒド類の量を示すグラフであり、図9(c)は、参考例の活性炭一体型フロアカーペット及び比較対象の通常のフロアカーペットについて測定されたガスバッグ内の試験片1個当たりのその他の炭化水素類の量を示すグラフである。
図9(b)に示すように、参考例の活性炭一体型フロアカーペットについて測定されたガスバッグ内の試験片1個当たりのアルデヒド類のVOCの量は、いずれも比較対象の通常のフロアカーペットと比べ大きく低減した。また、図9(c)に示すように、参考例の活性炭一体型フロアカーペットについて測定されたガスバッグ内の試験片1個当たりのその他の炭化水素類のVOCの量も、いずれも比較対象の通常のフロアカーペットと比べ大きく低減した。
以上、本発明の車両用内装材及び車両用内装材の製造方法に係る実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
2 内装基材
2s 外側表面
2sa 表面の凸部における上面
2sb 表面の凸部における側面
4 ホットメルトフィルム
4h 貫通孔
4n 切り欠き
4d 切れ目
6 繊維状活性炭シート
10 車両用内装材
10p 積層体
2s 外側表面
2sa 表面の凸部における上面
2sb 表面の凸部における側面
4 ホットメルトフィルム
4h 貫通孔
4n 切り欠き
4d 切れ目
6 繊維状活性炭シート
10 車両用内装材
10p 積層体
Claims (2)
- 内装基材と、前記内装基材の表面上にホットメルトフィルムを介して積層された繊維状活性炭シートとを備え、
前記ホットメルトフィルムに、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられ、
前記内装基材及び前記繊維状活性炭シートは、前記ホットメルトフィルムの融着により一体化されたことを特徴とする車両用内装材。 - 内装基材及び繊維状活性炭シートが一体化された車両用内装材の製造方法であって、
内装基材の表面上に、貫通孔及び切れ目の少なくとも一方が設けられたホットメルトフィルムを介して繊維状活性炭シートを積層することで積層体を得る積層工程と、
前記積層体をプレス成形することにより、前記積層体の前記内装基材及び前記繊維状活性炭シートを前記ホットメルトフィルムの融着により一体化する一体化工程と、を備えることを特徴とする車両用内装材の製造方法。
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