JP2023048394A - 車両プラットフォーム、自動運転システム、及び車両制御インターフェースボックス - Google Patents
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Abstract
【課題】自動運転システムが搭載された車両プラットフォームにおいて、自動運転システムから車両プラットフォームの電源モードを制御可能とする。【解決手段】VP120は、ベース車両100と、VCIB111とを備える。VCIB111は、VP120とADS202との間のインターフェースを行なう。VCIB111は、VP120の電源モードの制御を要求する電源モード指令をADS202から受信するように構成される。電源モードは、車両電源がオフの状態であるスリープモードと、VCIB111が起動している状態であるウェイクモードと、車両がイグニッションオン状態であるイグニッションオンモードと、車両電源がオンの状態であるドライブモードとを含む。【選択図】図1
Description
本開示は、自動運転システムを搭載可能に構成された車両プラットフォーム、車両プラットフォームに搭載可能に構成された自動運転システム、及び車両プラットフォームと車両プラットフォームに搭載される自動運転システムとの間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックスに関する。
特開2018-132015号公報(特許文献1)は、自動運転システムを搭載した車両を開示する。この車両は、動力システムと、電源システムと、自動運転システムとを搭載している。動力システムは、車両の動力を統括的に管理する。電源システムは、車両に搭載されるバッテリの充放電電力や各種車載器の電力供給等を統括的に管理する。自動運転システムは、車両の自動運転制御を統括的に実行する。動力システムのエンジンECU、電源システムの電源ECU、及び自動運転システムの自動運転ECUは、車載ネットワークを通じて通信可能に接続されている(特許文献1参照)。
自動運転システムの事業者が開発した自動運転システムを車両に外付けすることが考えられる。この場合、外付けされた自動運転システムからの指令に従って車両制御が実行されることで自動運転が実現される。
このような車両においては、外付けされる自動運転システムと車両との間でやり取りされる各種指令及び信号のインターフェースが重要である。そして、外付けされた自動運転システムによって自動運転が行なわれる場合、自動運転システムから車両側の電源をどのように制御するかも重要である。このような点について、上記の特許文献1では特に検討されていない。
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、自動運転システムが搭載された車両プラットフォームにおいて、自動運転システムから車両プラットフォームの電源モードを制御可能とすることである。
また、本開示の他の目的は、車両プラットフォームに搭載された自動運転システムにおいて、自動運転システムから車両プラットフォームの電源モードを制御可能とすることである。
また、本開示の他の目的は、車両プラットフォームと車両プラットフォームに搭載される自動運転システムとの間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックスにおいて、自動運転システムから車両プラットフォームの電源モードを制御可能とすることである。
本開示の車両プラットフォームは、自動運転システム(ADS、ADK)を搭載可能に構成された車両プラットフォーム(VP)であって、車両と、車両と自動運転システムとの間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックス(VCIB)とを備える。車両制御インターフェースボックスは、車両プラットフォームの電源モードの制御を要求する電源モード指令を自動運転システムから受信するように構成される。電源モードは、車両電源がオフの状態であるスリープモード(Sleep)と、車両制御インターフェースボックスが起動している状態であるウェイクモード(Wake)と、車両がイグニッションオン状態であるイグニッションオンモード(Ignition ON)と、車両電源がオンの状態であるドライブモード(Drive)とを含む。
この車両プラットフォームにおいては、スリープモード、ウェイクモード、イグニッションオンモード、及びドライブモードの4つの電源モードがあり、車両制御インターフェースボックスは、電源モードの制御を要求する電源モード指令を自動運転システムから受信する。したがって、この車両プラットフォームによれば、自動運転システムから車両制御インターフェースボックスを通じて、車両プラットフォームの4つの電源モードを制御することができる。
車両は、主機バッテリと、補機バッテリとを含んでもよい。ウェイクモードは、主機バッテリからの給電を受けずに補機バッテリからの給電によって車両制御インターフェースボックスが起動しているモードであってもよい。
この車両プラットフォームによれば、主機バッテリからの給電を受けずに補機バッテリからの給電によって車両制御インターフェースボックスが起動している状態のウェイクモードを、自動運転システムから車両制御インターフェースボックスを通じて設定することができる。
車両は、複数の電子制御ユニットをさらに含んでもよい。イグニッションオンモードは、主機バッテリからの給電を受けずに補機バッテリからの給電によって、複数の電子制御ユニットのうちウェイクモードよりも多くの電子制御ユニットが起動しているモードであってもよい。
この車両プラットフォームによれば、主機バッテリからの給電を受けずに補機バッテリからの給電によってウェイクモードよりも多くの電子制御ユニットが起動している状態のイグニッションオンモードを、自動運転システムから車両制御インターフェースボックスを通じて設定することができる。
電源モードは、スリープモードからは、ウェイクモードへ遷移可能であり、ウェイクモードからは、スリープモード、イグニッションオンモード、及びドライブモードのいずれかへ遷移可能であり、イグニッションオンモードからは、スリープモード、ウェイクモード、及びドライブモードのいずれかへ遷移可能であり、ドライブモードからは、スリープモード、及びウェイクモードのいずれかへ遷移可能であってもよい。
車両制御インターフェースボックスは、ドライブモードからイグニッションオンモードへの遷移の要求を無視するように構成されてもよい。
上記のような構成とすることにより、ドライブモードへの移行前にウェイクモードを経由するため、車両と自動運転システムとの間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックスが起動していない状態で車両電源がオン状態となることはない。したがって、車両と自動運転システムとの間のインターフェースが行なわれない状態で車両が走行可能状態となるのを防止することができる。
車両制御インターフェースボックスは、さらに、車両プラットフォームの電源モードの状態を示す電源モード状態を自動運転システムへ送信するように構成されてもよい。
このような構成により、自動運転システムは、車両プラットフォームの電源モードの状態を認識することができ、各モードに応じて適切な制御を実行することができる。
また、本開示の自動運転システムは、車両プラットフォーム(VP)に搭載可能に構成された自動運転システム(ADS、ADK)である。車両プラットフォームは、車両と、車両と自動運転システムとの間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックス(VCIB)とを含む。自動運転システムは、コンピュータと、車両制御インターフェースボックスとの通信を行なう通信モジュールとを備える。コンピュータは、車両プラットフォームの電源モードの制御を要求する電源モード指令を、通信モジュールを通じて車両制御インターフェースボックスへ送信するようにプログラムされる。電源モードは、車両電源がオフの状態であるスリープモード(Sleep)と、車両制御インターフェースボックスが起動している状態であるウェイクモード(Wake)と、車両がイグニッションオン状態であるイグニッションオンモード(Ignition ON)と、車両電源がオンの状態であるドライブモード(Drive)とを含む。
この自動運転システムによれば、自動運転システムから車両制御インターフェースボックスを通じて、車両プラットフォームの4つの電源モードを制御することができる。
コンピュータは、さらに、車両プラットフォームの電源モードの状態を示す電源モード状態を、通信モジュールを通じて車両制御インターフェースボックスから受信するようにプログラムされてもよい。
この自動運転システムによれば、車両プラットフォームの電源モードの状態を認識することができ、各モードに応じて適切な制御を実行することができる。
また、本開示の車両制御インターフェースボックスは、車両プラットフォーム(VP)と車両プラットフォームに搭載される自動運転システム(ADS、ADK)との間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックス(VCIB)であって、プロセッサと、プロセッサによって実行されるプログラムを記憶するメモリとを備える。プロセッサは、プログラムに従って、車両プラットフォームの電源モードの制御を要求する電源モード指令を自動運転システムから受信する。電源モードは、車両電源がオフの状態であるスリープモード(Sleep)と、車両制御インターフェースボックスが起動している状態であるウェイクモード(Wake)と、車両がイグニッションオン状態であるイグニッションオンモード(Ignition ON)と、車両電源がオンの状態であるドライブモード(Drive)とを含む。
この車両制御インターフェースボックスによれば、自動運転システムから車両制御インターフェースボックスを通じて、車両プラットフォームの4つの電源モードを制御することができる。
プロセッサは、ドライブモードからイグニッションオンモードへの遷移の要求を無視してもよい。
これにより、ドライブモードへの移行前にウェイクモードを経由するため、車両制御インターフェースボックスが起動していない状態で車両電源がオン状態となることはない。したがって、車両と自動運転システムとの間のインターフェースが行なわれない状態で車両が走行可能状態となるのを防止することができる。
プロセッサは、さらに、車両プラットフォームの電源モードの状態を示す電源モード状態を自動運転システムへ送信してもよい。
この車両制御インターフェースボックスによれば、自動運転システムにおいて車両プラットフォームの電源モードの状態を認識することができ、各モードに応じて適切な制御を実行することができる。
本開示によれば、自動運転システムから車両プラットフォームの電源モードを制御することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本開示の実施の形態に従う車両10の概要を示す図である。図1を参照して、車両10は、自動運転キット(以下、「ADK(Autonomous Driving Kit)」と表記する。)200と、車両プラットフォーム(以下、「VP(Vehicle Platform)」と表記する。)120とを備える。ADK200は、VP120に取付可能(搭載可能)に構成されている。ADK200とVP120とは、VP120に搭載される車両制御インターフェースボックス111(後述)を通じて相互に通信可能に構成されている。
VP120は、ADK200からの制御要求(指令)に従って自動運転を行なうことができる。なお、図1では、VP120とADK200とが離れた位置に示されているが、ADK200は、実際にはVP120を構成するベース車両100(後述)のルーフトップ等に取り付けられる。ADK200は、VP120から取り外すことも可能である。ADK200が取り外されている場合には、VP120は、ユーザの運転により走行することができる。この場合、VP120は、マニュアルモードによる走行制御(ユーザ操作に応じた走行制御)を実行する。
ADK200は、車両10の自動運転を行なうための自動運転システム(以下、「ADS(Autonomous Driving System)」と表記する。)202を含む。ADS202は、例えば、車両10の走行計画を作成する。そして、ADS202は、作成された走行計画に従って車両10を走行させるための各種指令(制御要求)を、指令毎に定義されたAPI(Application Program Interface)に従ってVP120へ出力する。また、ADS202は、VP120の状態(車両状態)を示す各種信号を、信号毎に定義されたAPIに従ってVP120から受信する。そして、ADS202は、受信した車両状態を走行計画の作成に反映する。ADS202の詳細な構成については、後ほど説明する。
VP120は、ベース車両100と、車両制御インターフェースボックス(以下、「VCIB(Vehicle Control Interface Box)」と表記する。)111とを含む。
ベース車両100は、ADK200(ADS202)からの制御要求に従って各種車両制御を実行する。ベース車両100は、車両を制御するための各種システム及び各種センサを含む。具体的には、ベース車両100は、統合制御マネージャ115と、ブレーキシステム121と、ステアリングシステム122と、パワートレーンシステム123と、アクティブセーフティシステム125と、ボディシステム126と、車輪速センサ127A,127Bと、ピニオン角センサ128と、カメラ129Aと、レーダセンサ129B,129Cとを含む。
統合制御マネージャ115は、プロセッサ及びメモリを含み、車両の動作に関わる上記各システム(ブレーキシステム121、ステアリングシステム122、パワートレーンシステム123、アクティブセーフティシステム125、ボディシステム126)を統合して制御する。
ブレーキシステム121は、各車輪に設けられる制動装置を制御するように構成される。制動装置は、例えば、アクチュエータによって調整される油圧を用いて動作するディスクブレーキシステム(図示せず)を含む。
ブレーキシステム121には、車輪速センサ127A,127Bが接続される。車輪速センサ127Aは、前輪の回転速度を検出し、その検出値をブレーキシステム121へ出力する。車輪速センサ127Bは、後輪の回転速度を検出し、その検出値をブレーキシステム121へ出力する。
また、ブレーキシステム121は、ADK200からVCIB111及び統合制御マネージャ115を介して出力される所定の制御要求に従って、制動装置に対する制動指令を生成する。そして、ブレーキシステム121は、生成された制動指令を用いて制動装置を制御する。なお、統合制御マネージャ115は、各車輪の回転速度に基づいて車両の速度(車速)を算出することができる。
ステアリングシステム122は、車両の操舵輪の操舵角を、操舵装置を用いて制御するように構成される。操舵装置は、例えば、アクチュエータにより操舵角の調整が可能なラック&ピニオン式の電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)を含む。
ステアリングシステム122には、ピニオン角センサ128が接続される。ピニオン角センサ128は、操舵装置を構成するアクチュエータの回転軸に連結されたピニオンギヤの回転角(ピニオン角)を検出し、その検出値をステアリングシステム122へ出力する。
また、ステアリングシステム122は、ADK200からVCIB111及び統合制御マネージャ115を介して出力される所定の制御要求に従って、操舵装置に対する操舵指令を生成する。そして、ステアリングシステム122は、生成された操舵指令を用いて操舵装置を制御する。
パワートレーンシステム123は、複数の車輪の少なくとも1つに設けられる電動パーキングブレーキ(EPB:Electric Parking Brake)システムと、ベース車両100のトランスミッションに設けられるパーキングロック(P-Lock)システムと、シフトレンジを選択するためのシフト装置を含む推進システムとを制御する。パワートレーンシステム123の詳細な構成については、後ほど図2にて説明する。
アクティブセーフティシステム125は、カメラ129A及びレーダセンサ129B,129Cを用いて車両前方又は後方の障害物(歩行者、自転車、駐車車両、電柱等)を検出する。アクティブセーフティシステム125は、車両10と障害物との間の距離、及び車両10の移動方向に基づいて、車両10が障害物と衝突する可能性があるかどうかを判定する。そして、アクティブセーフティシステム125は、衝突の可能性があると判定する場合、車両の制動力が増加するように、統合制御マネージャ115を介してブレーキシステム121へ制動指令を出力する。
ボディシステム126は、例えば、車両10の走行状態又は環境等に応じて、方向指示器、ホーン、ワイパー等の部品(いずれも図示せず)を制御するように構成される。ボディシステム126は、ADK200からVCIB111及び統合制御マネージャ115を介して出力される所定の制御要求に従って、上記の各部品を制御する。
VCIB111は、CAN(Controller Area Network)等を通じてADK200のADS202と通信可能に構成される。VCIB111は、通信される信号毎に定義された所定のAPIを実行することにより、ADS202から各種制御要求を受信し、また、VP120の状態をADS202へ出力する。VCIB111は、ADS202から制御要求を受信すると、その制御要求に対応する制御指令を、統合制御マネージャ115を介して制御指令に対応するシステムへ出力する。また、VCIB111は、ベース車両100の各種情報を各システムから統合制御マネージャ115を介して取得し、ベース車両100の状態を車両状態としてADS202へ出力する。
なお、車両10は、MaaS(Mobility as a Service)システムの構成の一つとして採用され得る。MaaSシステムは、車両10に加えて、例えば、データサーバと、モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF:Mobility Service Platform)とをさらに備える(いずれも図示せず)。
MSPFとは、各種モビリティサービスが接続される統一プラットフォームである。MSPFには、自動運転関連のモビリティサービスが接続される。MSPFには、自動運転関連のモビリティサービス以外にも、ライドシェア事業者、カーシェア事業者、レンタカー事業者、タクシー事業者、保険会社等により提供されるモビリティサービスが接続され得る。モビリティサービスを含む各種モビリティサービスは、MSPF上で公開されたAPIを用いて、MSPFが提供する様々な機能をサービス内容に応じて利用することができる。
VP120は、MaaSシステムのデータサーバと無線通信するための通信I/F(インターフェース)としてDCM(Data Communication Module)をさらに備えている(図示せず)。DCMは、例えば、速度、位置、自動運転状態のような各種車両情報をデータサーバへ出力する。また、DCMは、例えば、自動運転関連のモビリティサービスにおいて車両10を含む自動運転車両の走行を管理するための各種データを、モビリティサービスからMSPF及びデータサーバを通じて受信する。
MSPFにおいては、ADKの開発に必要な車両状態及び車両制御の各種データを利用するためのAPIが公開されている。各種モビリティサービスは、MSPF上で公開されたAPIを用いて、MSPFが提供する様々な機能をサービス内容に応じて利用することができる。例えば、自動運転関連のモビリティサービスは、MSPF上で公開されたAPIを用いて、データサーバと通信を行なう自動運転車両の運転制御データや、データサーバに蓄えられた情報等をMSPFから取得することができる。また、自動運転関連のモビリティサービスは、上記APIを用いて、車両10を含む自動運転車両を管理するためのデータ等をMSPFへ送信することができる。
図2は、図1に示したADK200(ADS202)及びVP120の構成をより詳細に示す図である。図2を参照して、ADK200のADS202は、コンピュータ210と、HMI(Human Machine Interface)230と、認識用センサ260と、姿勢用センサ270と、センサクリーナ290とを含む。
コンピュータ210は、通信モジュール210A,210Bを含む。通信モジュール210A,210Bは、VCIB111と通信可能に構成される。コンピュータ210は、車両10の自動運転時に、各種センサ(後述)を用いて、車両周辺の環境、並びに車両10の姿勢、挙動及び位置を取得するとともに、VP120からVCIB111を経由して車両状態を取得し、車両10の次の動作(加速、減速、曲がる等)を設定する。そして、コンピュータ210は、設定された次の動作を実現するための各種指令をVP120のVCIB111へ出力する。
HMI230は、自動運転時、ユーザの操作を要する運転時、自動運転とユーザの操作を要する運転との間での移行時等に、ユーザへの情報の提示やユーザ操作の受け付けを行なう。HMI230は、例えば、VP120に設けられるタッチパネルディスプレイ等の入出力装置(図示せず)と接続可能に構成される。
認識用センサ260は、車両周辺の環境を認識するためのセンサである。認識用センサ260は、例えば、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、ミリ波レーダ、及びカメラのうちの少なくとも1つを含んで構成される。
LIDARは、レーザ光(赤外線)をパルス状に照射し、対象物に反射して戻ってくるまでの時間によって距離を計測するための距離計測装置である。ミリ波レーダは、波長の短い電波を対象物に照射し、対象物から戻ってきた電波を検出して、対象物までの距離や方向を計測する距離計測装置である。カメラは、例えば、車室内のルームミラーの裏側に配置されており、車両10の前方の撮影に用いられる。カメラによって撮影された画像や映像に対する人工知能(AI)や画像処理用プロセッサを用いた画像処理によって、車両10の前方にある他の車両、障害物、人等が認識可能となる。認識用センサ260によって取得された情報は、コンピュータ210へ出力される。
姿勢用センサ270は、車両10の姿勢、挙動、位置を検出するためのセンサである。姿勢用センサ270は、例えば、IMU(Inertial Measurement Unit)と、GPS(Global Positioning System)とを含んで構成される。
IMUは、例えば、車両10の前後方向、左右方向及び上下方向の加速度と、車両10のロール方向、ピッチ方向及びヨー方向の角速度とを検出する。GPSは、地球の軌道上を周回する複数のGPS衛星から受信する情報を用いて車両10の位置を検出する。姿勢用センサ270によって取得された情報は、コンピュータ210へ出力される。
センサクリーナ290は、各種センサに付着した汚れを除去するように構成される。センサクリーナ290は、例えば、カメラのレンズや、レーザ又は電波の照射部等に付着した汚れを、洗浄液やワイパー等を用いて除去する。
VCIB111は、VCIB111Aと、VCIB111Bとを含む。VCIB111A,111Bの各々は、ECU(Electronic Control Unit)によって構成される。ECUは、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))とを含んで構成される。ROMは、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶する。プロセッサは、ROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。
VCIB111A,111Bは、それぞれADS202の通信モジュール210A,210Bと相互に通信可能に接続されている。また、VCIB111AとVCIB111Bとも、相互に通信可能に接続されている。VCIB111Bは、VCIB111Aと比較して同等の機能を有しているが、VP120を構成する複数のシステムに対する接続先が一部異なる。
VCIB111A,111Bの各々は、ADS202とVP120との間で制御要求及び車両状態を中継する。より具体的には、VCIB111Aについて代表的に説明すると、VCIB111Aは、ADS202から出力される各種制御要求を、制御要求毎に定義されたAPIに従って受信する。そして、VCIB111Aは、受信した制御要求に対応する指令を生成し、制御要求に対応するベース車両100のシステムへ出力する。本実施の形態では、ADS202から受信される制御要求(制御指令)は、VP120の電源モード(後述)の制御を要求する電源モード指令(Power mode command)を含む。
また、VCIB111Aは、VP120の各システムから出力される車両情報を受け、VP120の車両状態を示す情報を、車両状態毎に定義されたAPIに従ってADS202へ送信する。ADS202へ送信される、車両状態を示す情報は、VP120の各システムから出力される車両情報と同一の情報であってもよいし、ADS202で実行される処理に用いられる情報が上記の車両情報から抽出されたものであってもよい。本実施の形態では、ADS202へ送信される車両状態は、VP120の電源モードの状態を示す電源モード状態(Power mode status)を含む。
一部のシステム(例えば、ブレーキや操舵)の動作に関して同等の機能を有するVCIB111A及びVCIB111Bが備えられることにより、ADS202とVP120との間の制御系統が冗長化されている。これにより、システムの一部に何らかの障害が発生した場合に、適宜制御系統を切り替えたり、障害が発生した制御系統を遮断したりすることによって、VP120の機能(曲がる、止まる等)を維持することができる。
ブレーキシステム121は、ブレーキシステム121A,121Bを含む。ステアリングシステム122は、ステアリングシステム122A,122Bを含む。パワートレーンシステム123は、EPBシステム123Aと、P-Lockシステム123Bと、推進システム124と含む。
VCIB111Aと、ブレーキシステム121A、ステアリングシステム122A、EPBシステム123A、P-Lockシステム123B、推進システム124、及びボディシステム126とは、通信バスを介して相互に通信可能に接続される。また、VCIB111Bと、ブレーキシステム121B、ステアリングシステム122B、及びP-Lock123とは、通信バスを介して相互に通信可能に接続される。
ブレーキシステム121A,121Bは、各車輪に設けられる複数の制動装置を制御可能に構成される。ブレーキシステム121Bは、ブレーキシステム121Aと同等の機能を有するようにしてもよいし、或いは、一方は、各車輪の車両走行時の制動力を独立して制御可能に構成され、他方は、車両走行時に各車輪において同じ制動力が発生するように制御可能に構成されてもよい。
ブレーキシステム121A,121Bは、ADS202からVCIB111を介して受ける制御要求に従って、制動装置に対する制動指令を生成する。ブレーキシステム121A,121Bは、例えば、一方のブレーキシステムにおいて生成された制動指令を用いて制動装置を制御し、そのブレーキシステムに異常が発生する場合に、他方のブレーキシステムにおいて生成された制動指令を用いて制動装置を制御する。
ステアリングシステム122A,122Bは、車両10の操舵輪の操舵角を、操舵装置を用いて制御可能に構成される。ステアリングシステム122Bは、ステアリングシステム122Aと比較して同様の機能を有する。
ステアリングシステム122A,122Bは、ADS202からVCIB111を介して受ける制御要求に従って、操舵装置に対する操舵指令を生成する。ステアリングシステム122A,122Bは、例えば、一方のステアリングシステムにおいて生成された操舵指令を用いて操舵装置を制御し、そのステアリングシステムに異常が発生する場合に、他方のステアリングシステムにおいて生成された操舵指令を用いて操舵装置を制御する。
EPBシステム123Aは、EPBを制御可能に構成される。EPBは、制動装置とは別に設けられ、アクチュエータの動作によって車輪を固定する。EPBは、例えば、複数の車輪の一部に設けられるパーキングブレーキ用のドラムブレーキをアクチュエータにより作動させて車輪を固定したり、ブレーキシステム121A,121Bとは別に制動装置に供給される油圧を調整可能とするアクチュエータを用いて制動装置を作動させて車輪を固定したりする。
EPBシステム123Aは、ADS202からVCIB111を介して受ける制御要求に従ってEPBを制御する。
P-Lockシステム123Bは、P-Lock装置を制御可能に構成される。P-Lock装置は、ベース車両100のトランスミッション内の回転要素に連結して設けられる歯車(ロックギヤ)の歯部に対して、アクチュエータにより位置が調整されるパーキングロックポールの先端に設けられた突起部を嵌合させる。これにより、トランスミッションの出力軸の回転が固定され、車輪が固定される。
P-Lockシステム123Bは、ADS202からVCIB111を介して受ける制御要求に従ってP-Lock装置を制御する。P-Lockシステム123Bは、ADS202からの制御要求がシフトレンジをパーキングレンジ(Pレンジ)にする要求を含む場合にP-Lock装置を作動させ、制御要求がシフトレンジをPレンジ以外にする要求を含む場合にP-Lock装置の作動を解除する。
推進システム124は、シフト装置を用いたシフトレンジの切り替えが可能であり、かつ、駆動源を用いた車両10の移動方向に対する車両10の駆動力を制御可能に構成される。切り替え可能なシフトレンジとしては、例えば、Pレンジと、ニュートラルレンジ(Nレンジ)と、前進走行レンジ(Dレンジ)と、後進走行レンジ(Rレンジ)とを含む。駆動源は、例えば、モータジェネレータやエンジン等を含む。
推進システム124は、ADS202からVCIB111を介して受ける制御要求に従って、シフト装置と駆動源とを制御する。
アクティブセーフティシステム125は、ブレーキシステム121Aと通信可能に接続されている。アクティブセーフティシステム125は、上述のとおり、カメラ129A及びレーダセンサ129Bを用いて車両前方の障害物等(障害物や人)を検出し、障害物等との距離によって衝突の可能性があると判定する場合、制動力が増加するようにブレーキシステム121Aに制動指令を出力する。
ボディシステム126は、ADS202からVCIB111を介して受ける制御要求に従って、方向指示器、ホーン又はワイパー等の部品を制御する。
上記の構成を有する車両10において、例えば、ユーザのHMI230に対する操作等によって自律ステートとして自律モードが選択されると、自動運転が実施される。上述のように、ADS202は、自動運転中においては、まず、走行計画を作成する。走行計画の例としては、例えば、直進を継続する計画、予め定められた走行経路中の所定の交差点で左折/右折する計画、走行車線を変更する計画等が挙げられる。
ADS202は、作成された走行計画に従って車両10が動作するために必要な制御的な物理量(加速度、減速度、タイヤ切れ角等)を算出する。ADS202は、APIの実行周期毎の物理量を分割する。ADS202は、APIを用いて、分割された物理量を表す制御要求をVCIB111へ出力する。さらに、ADS202は、VP120から車両状態(車両の実際の移動方向、車両の固定化の状態等)を取得し、取得された車両状態を反映した走行計画を再作成する。このようにして、ADS202は、車両10の自動運転を可能とする。
図3は、VP120の電源構成を説明する図である。なお、この図3は、図2をベースに記載されている。図3を参照して、VP120は、図2で説明した各システム及び各センサの他、主機バッテリ150と、DC/DCコンバータ152と、補機バッテリ154と、スイッチングDC/DCコンバータ156と、二次バッテリ158とをさらに含む。
主機バッテリ150は、複数のセル(たとえば数百セル)を含んで構成される。各セルは、例えば、リチウムイオン電池或いはニッケル水素電池等の二次電池である。主機バッテリ150は、VP120(ベース車両100)の駆動力を発生させるための電力を車両駆動システム(図示せず)へ出力する。主機バッテリ150の電圧は、たとえば数百Vである。なお、主機バッテリ150に代えて、電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を用いてもよい。
DC/DCコンバータ152は、主機バッテリ150と電力線PL1との間に電気的に接続されている。DC/DCコンバータ152は、図示しないECUからの指令に従って、主機バッテリ150から供給される電力を、主機バッテリ150の電圧よりも低い補機電圧(たとえば、十数V或いは数十V)に降圧して電力線PL1へ出力する。DC/DCコンバータ152は、例えば、トランスを備えた絶縁型のDC/DCコンバータによって構成される。
補機バッテリ154は、電力線PL1に電気的に接続されている。補機バッテリ154は、充放電可能な二次電池であり、例えば鉛蓄電池によって構成される。補機バッテリ154は、DC/DCコンバータ152から電力線PL1へ出力される電力を蓄えることができる。また、補機バッテリ154は、蓄えられた電力を、電力線PL1に電気的に接続された各システムへ給電することができる。
スイッチングDC/DCコンバータ156は、電力線PL1と電力線PL2との間に電気的に接続されている。スイッチングDC/DCコンバータ156は、図示しないECUからの指令に従って、電力線PL1から電力線PL2へ電力を供給する。また、スイッチングDC/DCコンバータ156は、ECUからシャットダウン指令を受けると、シャットダウンすることにより電力線PL2(二次バッテリ158)を電力線PL1から電気的に切り離す。スイッチングDC/DCコンバータ156は、例えば、半導体スイッチング素子により通電/遮断を切替可能なチョッパ型のDC/DCコンバータによって構成される。
二次バッテリ158は、電力線PL2に電気的に接続されている。二次バッテリ158は、充放電可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池によって構成される。二次バッテリ158は、スイッチングDC/DCコンバータ156から電力線PL2へ出力される電力を蓄えることができる。また、二次バッテリ158は、蓄えられた電力を、電力線PL2に電気的に接続された各システムへ供給することができる。
DC/DCコンバータ152及び補機バッテリ154は、VP120の一次電源系を構成する。そして、一次電源系の電源ラインである電力線PL1には、ブレーキシステム121A、ステアリングシステム122A、EPBシステム123A、推進システム124、アクティブセーフティシステム125、ボディシステム126、及びVCIB111Aが電気的に接続されており、これらの各システムは、一次電源系から電力の供給を受ける。
スイッチングDC/DCコンバータ156及び二次バッテリ158は、VP120の二次電源系を構成する。そして、二次電源系の電源ラインである電力線PL2には、ブレーキシステム121B、ステアリングシステム122B、P-Lockシステム123B、及びVCIB111Bが電気的に接続されており、これらの各システムは、二次電源系から電力の供給を受ける。
スイッチングDC/DCコンバータ156及び二次バッテリ158から成る二次電源系は、DC/DCコンバータ152及び補機バッテリ154から成る一次電源系の冗長電源として機能する。そして、一次電源系の給電機能の失陥によって、電力線PL1に接続された各システムへの給電が不可となった場合に、VP120の機能が直ちに完全に失われないように、二次電源系は、少なくとも一定の時間、電力線PL2に接続されている上記各システムへ給電を継続する。
<電源モードの説明>
本実施の形態に従う車両10は、VP120の電源状態を示す電源モードとして、スリープモード(Sleep)と、ウェイクモード(Wake)と、イグニッションオンモード(Ignition ON)と、ドライブモード(Drive)との4つの電源モードを有する。
本実施の形態に従う車両10は、VP120の電源状態を示す電源モードとして、スリープモード(Sleep)と、ウェイクモード(Wake)と、イグニッションオンモード(Ignition ON)と、ドライブモード(Drive)との4つの電源モードを有する。
図4は、VP120の電源モードを説明する図である。図4とともに図3を参照して、スリープモード(Sleep)は、VP120の電源がオフである状態である。スリープモードでは、主機バッテリ150から各システムへの給電はなく、VCIB111(VCIB111A,111B)及びベース車両100の各システム(ECU)は起動していない。
ウェイクモード(Wake)は、補機バッテリ154からの給電によってVCIB111が起動している状態である。ウェイクモードでは、主機バッテリ150からの給電はなく、ボディシステム126の一部のボディ系ECU(例えば、スマートキーの照合等を行なう照合ECUや、ドアのロック/アンロック等を制御するボディECU等)を除いて、VCIB111以外のECUは起動していない。
このウェイクモードでは、VCIB111により、例えば、ADK200との通信確立、ADK200が登録されたデバイスであるか否かの認証を行なうデバイス認証、上記の一部のボディ系ECUの起動、これらのECUに関するAPIの実行等の各処理が行なわれる。
スリープモードの場合に、所定のAPIに従って、ウェイクモードへの遷移を指示する電源モード指令をVCIB111がADS202から受信すると、電源モードがスリープモードからウェイクモードに遷移する。
イグニッションオンモード(Ignition ON)は、いわゆる車両の「イグニッションオン」状態に相当する。イグニッションオンモードでは、ウェイクモードに比べて起動されるシステム(ECU)が多く、基本的には、補機バッテリ154から給電を受ける低圧系のシステム(VCIB111も含む。)が起動する。他方、このイグニッションオンモードでは、主機バッテリ150からの給電が行なわれず、VP120は、走行可能な状態ではない。
ウェイクモードの場合に、所定のAPIに従って、イグニッションオンモードへの遷移を指示する電源モード指令をVCIB111がADS202から受信すると、電源モードがウェイクモードからイグニッションオンモードに遷移する。
ドライブモード(Drive)は、VP120の電源がオンである状態である。ドライブモードでは、主機バッテリ150からの給電が行なわれ、VCIB111及びベース車両100の各システムが起動し、VP120は、走行可能な状態となる。
ウェイクモード又はイグニッションオンモードの場合に、所定のAPIに従って、ドライブモードへの遷移を指示する電源モード指令をVCIB111がADS202から受信すると、電源モードがドライブモードに遷移する。
また、ドライブモードの場合に、所定のAPIに従って、スリープモード又はウェイクモードへの遷移を指示する電源モード指令をVCIB111がADS202から受信すると、電源モードがドライブモードからスリープモード又はウェイクモードに遷移する。
なお、ドライブモードの場合に、イグニッションオンモードへの遷移を指示する電源モード指令をVCIB111がADS202から受信しても、電源モードはイグニッションオンモードに遷移しない。例えば、VCIB111は、イグニッションオンモードへの遷移を指示する電源モード指令をADS202から受信した場合に、VP120の電源モードがドライブモードであるときは、電源モード指令によるイグニッションオンモードへの遷移の要求を無視してもよい。
これにより、電源モードが一旦ドライブモード以外のモードになった場合に、ドライブモードへの移行前にウェイクモードを経由するため、VP120とADS202との間のインターフェースを行なうVCIB111が起動していない状態で電源モードがドライブモードになることはない。したがって、VP120とADS202との間のインターフェースが行なわれない状態でVP120が走行可能状態となるのを防止することができる。
また、イグニッションオンモードの場合に、所定のAPIに従って、スリープモード又はウェイクモードへの遷移を指示する電源モード指令をVCIB111がADS202から受信すると、電源モードは、イグニッションオンモードからスリープモード又はウェイクモードに遷移する。また、ウェイクモードの場合にスリープモードへの遷移を指示する電源モード指令をVCIB111がADS202から受信したときは、電源モードがスリープモードに遷移する。
図5は、VCIB111がADS202から受信する電源モード指令を示す図である。図5を参照して、この車両10では、所定のAPIに従ってADS202からVCIB111へ電源モード指令を送信することにより、ADS202からVP120の電源モードを制御することができる。
電源モード指令は、引数に値0~6のいずれかをとり得る。値0は、ADS202からVP120の電源モードの要求を行なわない場合に設定される。値0が設定された電源モード指令をVCIB111が受信した場合、VP120は、そのときの電源モードを維持する。
値1は、ADS202からスリープモード(Sleep)を要求する場合に設定される。すなわち、値1が設定された電源モード指令は、VP120の停止を要求する。値1が設定された電源モード指令をVCIB111が受信すると、VP120の電源モードがスリープモードに遷移し、VP120は電源がオフの状態となる。
値2は、ADS202からウェイクモード(Wake)を要求する場合に設定される。すなわち、値2が設定された電源モード指令は、VCIB111の起動を要求する。値2が設定された電源モード指令をVCIB111が受信すると、VP120の電源モードがウェイクモードに遷移し、補機バッテリから給電を受けてVCIB111が起動する。
値5は、ADS202からイグニッションオンモード(Ignition ON)を要求する場合に設定される。すなわち、値5が設定された電源モード指令は、VP120(ベース車両100)が「イグニッションオン」状態となることを要求する。値5が設定された電源モード指令をVCIB111が受信すると、VP120の電源モードがイグニッションオンモードに遷移し、補機バッテリ154から給電を受ける低圧系のシステム(VCIB111も含む。)が起動する。
値6は、ADS202からドライブモード(Drive)を要求する場合に設定される。すなわち、値6が設定された電源モード指令は、VP120の起動を要求する。値6が設定された電源モード指令をVCIB111が受信すると、VP120の電源モードがドライブモードに遷移し、VP120は電源がオンの状態となる。なお、値3,4は、現時点では未使用であり、将来の拡張のために予約された値である。
図6は、VCIB111がADS202へ出力する電源モード状態信号を示す図である。図6を参照して、この車両10では、所定のAPIに従ってVCIB111からADS202へ電源モードの状態を示す信号を送信することにより、VP120の電源モードの状態がADS202に通知される。
ADS202へ送信される電源モード状態信号は、引数に値0~7のいずれかをとり得る。値1,2,5,6は、それぞれ電源モードがスリープモード(Sleep)、ウェイクモード(Wake)、イグニッションオンモード(Ignition ON)、ドライブモード(Drive)である場合に設定される。値7は、VP120の電源において何らかの不健全な状況が生じている場合に設定される。なお、値0,3,4は、現時点では未使用であり、予備である。
なお、スリープモードへの切替が要求された場合(ADS202からの電源モード指令による場合)、VCIB111は、VP120の電源をオフにするスリープ処理が実行された後、所定時間(3000ms)の間、電源モード状態信号に値1(スリープモード)を設定してADS202へ出力し、その後シャットダウンする。スリープモード中は、VCIB111もシャットダウンするため、VCIB111からADS202へ電源モード状態を通知できなくなるところ、上記の構成とすることにより、電源モードがスリープモードに遷移することをVCIB111からADS202へ通知することができる。なお、VCIB111が電源モード状態信号に値1(スリープモード)を設定して所定時間の間ADS202へ出力している間に、ADS202は、VCIB111への各種指令の送信を停止する。
図7は、ADS202からの電源モード指令に従ってVP120が起動するときのVCIB111の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、値2(ウェイクモード)が設定された電源モード指令をVCIB111がADS202から受信すると開始される。
図7を参照して、VCIB111は、値2(ウェイクモード)が設定された電源モード指令をADS202から受信すると起動する(ステップS10)。そして、VCIB111は、一部のボディ系ECU(照合ECUやボディECU等)へ起動指令を出力するとともに、これらのECUに関するAPIを起動する(ステップS15)。
次いで、VCIB111は、ADS202との通信を確立し、通信確立後、ADS202のデバイス認証処理を実行する(ステップS20)。ADS202のデバイス認証処理が完了すると(ステップS25においてYES)、VCIB111は、電源モード状態信号に値2(ウェイクモード)を設定してADS202へ出力する(ステップS30)。
次いで、VCIB111は、値5(イグニッションオンモード)が設定された電源モード指令をADS202から受信したか否かを判定する(ステップS35)。VCIB111は、値5が設定された電源モード指令をADS202から受信していないときは(ステップS35においてNO)、後述のステップS50へ処理を移行する。
ステップS35において、値5が設定された電源モード指令が受信されると(ステップS35においてYES)、VCIB111は、ベース車両100へイグニッションオン状態への移行を指示する(ステップS40)。これにより、ウェイクモードに比べて多くのシステム(ECU)が起動され、基本的には、補機バッテリ154から給電を受ける低圧系のシステムが起動する。そして、VCIB111は、電源モード状態信号に値5(イグニッションオンモード)を設定してADS202へ出力する(ステップS45)。
次いで、VCIB111は、値6(ドライブモード)が設定された電源モード指令をADS202から受信したか否かを判定する(ステップS50)。VCIB111は、値6が設定された電源モード指令をADS202から受信していないときは(ステップS50においてNO)、ステップS35へ処理を戻す。
ステップS50において、値6が設定された電源モード指令が受信されると(ステップS50においてYES)、VCIB111は、ベース車両100へ車両電源のオンを指示する(ステップS55)。これにより、ベース車両100において、DC/DCコンバータ152(図3)が始動し、主機バッテリ150からの給電が開始されるとともに、各システムが起動する。そして、VCIB111は、電源モード状態信号に値6(ドライブモード)を設定してADS202へ出力する(ステップS60)。
図8は、ADS202からの電源モード指令に従ってVP120が停止するときのVCIB111の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、値1(スリープモード)が設定された電源モード指令をVCIB111がADS202から受信すると開始される。
図8を参照して、VCIB111は、値1(スリープモード)が設定された電源モード指令をADS202から受信すると、スリープ処理を実行する(ステップS110)。具体的には、VCIB111は、ベース車両100へ車両電源のオフを指示する。
ベース車両100の電源がオフになり、スリープ処理が完了すると(ステップS120においてYES)、VCIB111は、電源モード状態信号に値1(スリープモード)を設定してADS202へ出力する(ステップS130)。
次いで、VCIB111は、値1が設定された電源モード状態信号をADS202へ出力してから所定時間(3000ms)が経過したか否かを判定する(ステップS140)。なお、この間、VCIB111は、自身のシャットダウンの準備を行なう。
そして、所定時間が経過すると(ステップS140においてYES)、VCIB111は、ADS202との通信を停止し、自身をシャットダウンする(ステップS150)。
以上のように、この実施の形態においては、スリープモード(Sleep)、ウェイクモード(Wake)、イグニッションオンモード(Ignition ON)、及びドライブモード(Drive)の4つの電源モードがあり、VCIB111は、電源モードの制御を要求する電源モード指令をADS202から受信する。したがって、この実施の形態によれば、ADS202からVCIB111を通じて、VP120の4つの電源モードを制御することができる。
また、この実施の形態においては、VCIB111は、VP120の電源モードの状態を示す電源モード状態信号をADS202へ送信する。これにより、ADS202は、VP120の電源モードの状態を認識することができ、各モードに応じて適切な制御を実行することができる。
また、この実施の形態においては、VCIB111は、スリープモードの要求に従ってスリープ処理が実行された後、所定時間(3000ms)の間、電源モード状態信号に値1(スリープモード)を設定してADS202へ送信し、その後シャットダウンする。これにより、電源モードがスリープモードに遷移することをVCIB111からADS202へ通知することができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
10 車両、100 ベース車両、111,111A,111B 車両制御インターフェースボックス(VCIB)、115 統合制御マネージャ、120 車両プラットフォーム(VP)、121,121A,121B ブレーキシステム、122,122A,122B ステアリングシステム、123 パワートレーンシステム、123A EPBシステム、123B P-Lockシステム、124 推進システム、125 アクティブセーフティシステム、126 ボディシステム、127A,127B 車輪速センサ、128 ピニオン角センサ、129A カメラ、129B,129C レーダセンサ、150 主機バッテリ、152 DC/DCコンバータ、154 補機バッテリ、156 スイッチングDC/DCコンバータ、158 二次バッテリ、200 自動運転キット(ADK)、202 自動運転システム(ADS)、210 コンピュータ、210A,210B 通信モジュール、230 HMI、260 認識用センサ、270 姿勢用センサ、290 センサクリーナ。
Claims (17)
- 自動運転システムを搭載可能に構成された車両プラットフォームであって、
車両と、
前記車両と前記自動運転システムとの間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックスとを備え、
前記車両制御インターフェースボックスは、前記車両プラットフォームの電源モードの制御を要求する電源モード指令を前記自動運転システムから受信するように構成され、
前記電源モードは、
車両電源がオフの状態であるスリープモードと、
前記車両制御インターフェースボックスが起動している状態であるウェイクモードと、
前記車両がイグニッションオン状態であるイグニッションオンモードと、
前記車両電源がオンの状態であるドライブモードとを含む、車両プラットフォーム。 - 前記車両は、
主機バッテリと、
補機バッテリとを含み、
前記ウェイクモードは、前記主機バッテリからの給電を受けずに前記補機バッテリからの給電によって前記車両制御インターフェースボックスが起動しているモードである、請求項1に記載の車両プラットフォーム。 - 前記車両は、複数の電子制御ユニットをさらに含み、
前記イグニッションオンモードは、前記主機バッテリからの給電を受けずに前記補機バッテリからの給電によって、前記複数の電子制御ユニットのうち前記ウェイクモードよりも多くの電子制御ユニットが起動しているモードである、請求項2に記載の車両プラットフォーム。 - 前記電源モードは、
前記スリープモードからは、前記ウェイクモードへ遷移可能であり、
前記ウェイクモードからは、前記スリープモード、前記イグニッションオンモード、及び前記ドライブモードのいずれかへ遷移可能であり、
前記イグニッションオンモードからは、前記スリープモード、前記ウェイクモード、及び前記ドライブモードのいずれかへ遷移可能であり、
前記ドライブモードからは、前記スリープモード、及び前記ウェイクモードのいずれかへ遷移可能である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両プラットフォーム。 - 前記車両制御インターフェースボックスは、前記ドライブモードから前記イグニッションオンモードへの遷移の要求を無視するように構成される、請求項4に記載の車両プラットフォーム。
- 前記車両制御インターフェースボックスは、さらに、前記車両プラットフォームの前記電源モードの状態を示す電源モード状態を前記自動運転システムへ送信するように構成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両プラットフォーム。
- 車両プラットフォームに搭載可能に構成された自動運転システムであって、
前記車両プラットフォームは、
車両と、
前記車両と前記自動運転システムとの間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックスとを含み、
前記自動運転システムは、
コンピュータと、
前記車両制御インターフェースボックスとの通信を行なう通信モジュールとを備え、
前記コンピュータは、前記車両プラットフォームの電源モードの制御を要求する電源モード指令を、前記通信モジュールを通じて前記車両制御インターフェースボックスへ送信するようにプログラムされ、
前記電源モードは、
車両電源がオフの状態であるスリープモードと、
前記車両制御インターフェースボックスが起動している状態であるウェイクモードと、
前記車両がイグニッションオン状態であるイグニッションオンモードと、
前記車両電源がオンの状態であるドライブモードとを含む、自動運転システム。 - 前記車両は、
主機バッテリと、
補機バッテリとを含み、
前記ウェイクモードは、前記主機バッテリからの給電を受けずに前記補機バッテリからの給電によって前記車両制御インターフェースボックスが起動しているモードである、請求項7に記載の自動運転システム。 - 前記車両は、複数の電子制御ユニットをさらに含み、
前記イグニッションオンモードは、前記主機バッテリからの給電を受けずに前記補機バッテリからの給電によって、前記複数の電子制御ユニットのうち前記ウェイクモードよりも多くの電子制御ユニットが起動しているモードである、請求項8に記載の自動運転システム。 - 前記電源モードは、
前記スリープモードからは、前記ウェイクモードへ遷移可能であり、
前記ウェイクモードからは、前記スリープモード、前記イグニッションオンモード、及び前記ドライブモードのいずれかへ遷移可能であり、
前記イグニッションオンモードからは、前記スリープモード、前記ウェイクモード、及び前記ドライブモードのいずれかへ遷移可能であり、
前記ドライブモードからは、前記スリープモード、及び前記ウェイクモードのいずれかへ遷移可能である、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の自動運転システム。 - 前記コンピュータは、さらに、前記車両プラットフォームの前記電源モードの状態を示す電源モード状態を、前記通信モジュールを通じて前記車両制御インターフェースボックスから受信するようにプログラムされる、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の自動運転システム。
- 車両プラットフォームと前記車両プラットフォームに搭載される自動運転システムとの間のインターフェースを行なう車両制御インターフェースボックスであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されるプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記プロセッサは、前記プログラムに従って、前記車両プラットフォームの電源モードの制御を要求する電源モード指令を前記自動運転システムから受信し、
前記電源モードは、
車両電源がオフの状態であるスリープモードと、
前記車両制御インターフェースボックスが起動している状態であるウェイクモードと、
車両がイグニッションオン状態であるイグニッションオンモードと、
前記車両電源がオンの状態であるドライブモードとを含む、車両制御インターフェースボックス。 - 前記車両は、
主機バッテリと、
補機バッテリとを含み、
前記ウェイクモードは、前記主機バッテリからの給電を受けずに前記補機バッテリからの給電によって前記車両制御インターフェースボックスが起動しているモードである、請求項12に記載の車両制御インターフェースボックス。 - 前記車両は、複数の電子制御ユニットをさらに含み、
前記イグニッションオンモードは、前記主機バッテリからの給電を受けずに前記補機バッテリからの給電によって、前記複数の電子制御ユニットのうち前記ウェイクモードよりも多くの電子制御ユニットが起動しているモードである、請求項13に記載の車両制御インターフェースボックス。 - 前記電源モードは、
前記スリープモードからは、前記ウェイクモードへ遷移可能であり、
前記ウェイクモードからは、前記スリープモード、前記イグニッションオンモード、及び前記ドライブモードのいずれかへ遷移可能であり、
前記イグニッションオンモードからは、前記スリープモード、前記ウェイクモード、及び前記ドライブモードのいずれかへ遷移可能であり、
前記ドライブモードからは、前記スリープモード、及び前記ウェイクモードのいずれかへ遷移可能である、請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の車両制御インターフェースボックス。 - 前記プロセッサは、前記ドライブモードから前記イグニッションオンモードへの遷移の要求を無視する、請求項15に記載の車両制御インターフェースボックス。
- 前記プロセッサは、さらに、前記車両プラットフォームの前記電源モードの状態を示す電源モード状態を前記自動運転システムへ送信する、請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の車両制御インターフェースボックス。
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