JP2023047930A - 被覆窒化ジルコニウム粒子および黒色紫外線硬化型有機組成物 - Google Patents

被覆窒化ジルコニウム粒子および黒色紫外線硬化型有機組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】大気中で長期間保存しても可視光の遮蔽性が低下しにくい窒化ジルコニウム粒子を提供する。【解決手段】窒化ジルコニウム粒子と、前記窒化ジルコニウム粒子の表面の少なくとも一部を被覆する酸化物層と、表面及び内部の少なくとも一方に点在する炭素微粒子とを有し、表面付着炭素の含有率が、0.10質量%以上5.0質量%以下の範囲内にある被覆窒化ジルコニウム粒子。【選択図】図1

Description

本発明は、被覆窒化ジルコニウム粒子および黒色紫外線硬化型有機組成物に関する。
絶縁性黒色顔料は、例えば、ディスプレイ用のカラーフィルターのブラックマトリックスやCMOSカメラモジュール内の遮光材を構成する黒色パターンの材料として利用されている。黒色パターンを形成する方法としては、紫外線硬化型樹脂と絶縁性黒色顔料とを含む黒色紫外線硬化型有機組成物を用いたフォトリソグラフィー法が知られている。フォトリソグラフィー法では、黒色紫外線硬化型有機組成物を基板に塗布してフォトレジスト膜を成膜する。次いで、このフォトレジスト膜に紫外線をパターン状に露光することにより、露光されて硬化した硬化部分と露光されていない未硬化部分とからなるパターンを作成する。そして、未硬化部分を除去して黒色パターンを形成する。このフォトリソグラフィー法により黒色パターンを形成する際に用いる絶縁性黒色顔料は、フォトレジスト膜を硬化させる紫外線を透過すること、すなわち紫外線透過性を有することが必要となる。
紫外線透過性を有する絶縁性黒色顔料としては、窒化ジルコニウム粒子が知られている(特許文献1)。特許文献1には、窒化ジルコニウム粒子の製造方法として、二酸化ジルコニウム粉末又はシリカがコーティングされた二酸化ジルコニウム粉末と、金属マグネシウム粉末と、窒化マグネシウム粉末とを含む混合物を、窒素ガス単独、又は窒素ガスと水素ガスの混合ガス、又は窒素ガスとアンモニアガスの混合ガスの雰囲気下、650~900℃の温度で焼成する方法が記載されている。
特開2017-222559号公報
黒色紫外線硬化型有機組成物用の絶縁性黒色顔料として用いられる窒化ジルコニウム粒子は、保存安定性が高いことが望ましい。しかしながら、窒化ジルコニウム粒子を大気中で長期間保存すると、窒化ジルコニウム粒子の可視光の遮蔽性が低下することがある。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、大気中で長期間保存しても可視光の遮蔽性が低下しにくい窒化ジルコニウム粒子を提供することを目的とする。本発明の目的はまた、大気中で長期間保存しても紫外線に対する感度が高く、かつ可視光の遮蔽性が高い黒色紫外線硬化型有機組成物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の被覆窒化ジルコニウム粒子は、窒化ジルコニウム粒子と、前記窒化ジルコニウム粒子の表面の少なくとも一部を被覆する酸化物層と、前記酸化物層の表面及び内部の少なくとも一方に点在する炭素微粒子とを有し、表面付着炭素の含有率が、0.10質量%以上5.0質量%以下の範囲内にある。
上記の構成の被覆窒化ジルコニウム粒子は、窒化ジルコニウム粒子の表面の少なくとも一部が酸化物層で被覆されていて、酸化物層は、表面及び内部の少なくとも一方に炭素微粒子が点在する。酸化物は、窒化物と比較して水分に対する安定性が高い。また、炭素微粒子は、酸化物と比較して撥水性が高い。そして、表面付着炭素の含有率が、0.10質量%以上5.0質量%以下の範囲内にあるので、炭素微粒子によって酸化物層の撥水性が向上する。このため、窒化ジルコニウム粒子は、大気中の水分と接触しにくくなり、大気中で長期間保存しても水分による変質が起こりにくくなる。よって、上記の構成の被覆窒化ジルコニウム粒子によれば、大気中で長期間保存しても紫外線の透過性と可視光の遮蔽性が高い状態で維持される。
ここで、本発明の被覆窒化ジルコニウム粒子において、前記酸化物層の厚さは5nm以上40nm以下の範囲内にある構成とされていてもよい。
この場合、酸化物層の厚さが5nm以上40nm以下の範囲内にあるので、窒化ジルコニウム粒子に水分がより侵入しにくくなり、水分による窒化ジルコニウム粒子の変質がさらに起こりにくくなる。よって、大気中で長期間保存しても紫外線の透過性と可視光の遮蔽性がより高い状態で維持される。
また、本発明の被覆窒化ジルコニウム粒子は、下記の方法によって測定される波長600nmの光の透過率に対する波長365nmの光の透過率の比が3.0以上である構成とされていてもよい。
(測定方法)
被覆窒化ジルコニウム粒子を、温度が30℃で、相対湿度が90%RHの環境下で72時間静置する。静置後の被覆窒化ジルコニウム粒子を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に分散させて濃度50質量ppmの分散液を調製する。調製した分散液の波長600nmの光の透過率に対する波長365nmの光の透過率の比を測定する。
この場合、上記の方法によって測定される波長600nmの光の透過率に対する波長365nmの光の透過率の比が3.0以上となるように酸化物層で被覆されているので、水分による窒化ジルコニウム粒子の変質がさらに起こりにくい。よって、この被覆窒化ジルコニウム粒子は、大気中で長期間保存しても紫外線の透過性と可視光の遮蔽性がさらに高い状態で維持される。
本発明の黒色紫外線硬化型有機組成物は、紫外線硬化型有機物と、前記紫外線硬化型有機物に分散された黒色顔料とを含む黒色紫外線硬化型有機組成物であって、前記黒色顔料が、上述の被覆窒化ジルコニウム粒子である。
上記の構成の黒色紫外線硬化型有機組成物で使用されている被覆窒化ジルコニウム粒子は、水分による窒化ジルコニウム粒子の変質が起こりにくいので、大気中で長期間保存しても紫外線の透過性と可視光の遮蔽性とが低下しにくい。このため、上記の構成の黒色紫外線硬化型有機組成物によれば、大気中で長期間保存しても紫外線に対する感度が高く、かつ可視光の遮蔽性が高い。
ここで、本発明の黒色紫外線硬化型有機組成物において、前記紫外線硬化型有機物は、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、エポキシモノマー、エポキシオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも一種の有機物である構成とされていてもよい。
この場合、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、エポキシモノマー、エポキシオリゴマーは紫外線による反応性が高いので、黒色紫外線硬化型有機組成物の紫外線に対する感度がより高くなる。
本発明によれば、大気中で長期間保存しても可視光の遮蔽性が低下しにくい窒化ジルコニウム粒子を提供することが可能となる。また、本発明によれば、大気中で長期間保存しても紫外線に対する感度が高く、かつ可視光の遮蔽性が高い黒色紫外線硬化型有機組成物を提供することも可能となる。
本発明の一実施形態に係る被覆窒化ジルコニウム粒子の断面図である。 本発明例1で得られた被覆窒化ジルコニウム粒子のSTEM写真と元素分布像である。
以下に、本発明の一実施形態に係る被覆窒化ジルコニウム粒子および黒色紫外線硬化型有機組成物について、添付した図面を参照して説明する。
(被覆窒化ジルコニウム粒子)
図1は、本発明の一実施形態に係る被覆窒化ジルコニウム粒子の断面図である。図1に示すように、本実施形態の被覆窒化ジルコニウム粒子10は、窒化ジルコニウム粒子11と、窒化ジルコニウム粒子11の表面の少なくとも一部を被覆する酸化物層12と、酸化物層12の表面に点在する炭素微粒子13とを有する。炭素微粒子13は、酸化物層12の内部に点在していてもよい。
被覆窒化ジルコニウム粒子10の平均一次粒子径は、20nm以上270nm以下の範囲内にあってもよい。被覆窒化ジルコニウム粒子10の平均一次粒子径は、40nm以上250nm以下の範囲内にあることがより好ましく、40nm以上150nm以下の範囲内にあることが特に好ましい。被覆窒化ジルコニウム粒子10の平均一次粒子径は、100個の粒子をSTEM(走査型透過電子顕微鏡)にて観察して測定したフェレー径の平均値である。ここで、被覆窒化ジルコニウム粒子のフェレー径の測定は以下のように実施した。まず、トルエン99.4質量部中に被覆窒化ジルコニウム粒子を0.5質量部、アミン系分散剤を0.1質量部の割合で混合して混合液を得る。次いで、この混合液を、0.5mm径のジルコニアビーズを用いたビーズミルにて分散処理して、被覆窒化ジルコニウム粒子の分散液とする。次いで、この分散液を銅メッシュ上に滴下し、乾燥することで、STEM観察用のサンプルを得る。得られたサンプルを、STEMにて観察してフェレー径を測定する。
被覆窒化ジルコニウム粒子10は、主成分元素としてジルコニウムと窒素および酸素を含む。被覆窒化ジルコニウム粒子10は、窒素とジルコニウムおよび酸素以外の元素として、マグネシウム、塩素、ハフニウムを含んでいてもよい。マグネシウムの含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下の範囲内にあってもよい。塩素の含有率は、1質量ppm以上5000質量ppm以下の範囲内にあってもよい。ハフニウムの含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下の範囲内にあってもよい。
窒化ジルコニウム粒子11は、酸化物層12と比較して、ジルコニウムと窒素の含有量が相対的に多い。窒化ジルコニウム粒子11は、例えば、ジルコニウムと窒素とをそれぞれ15atm%以上含有し、かつ酸素(O)と窒素(N)の原子数濃度比(O/N比)が1.0以下である。
酸化物層12は、窒化ジルコニウム粒子11と比較して、酸素の含有量が相対的に多い。酸化物層12は、例えば、O/N比が1.0よりも大きい。酸化物層12は、ジルコニウム酸化物(ZrO、ZrOおよびZrなど)、ジルコニウム酸窒化物(ZrON)を含んでいてもよい。酸化物層12の厚さは、5nm以上40nm以下の範囲内にあってもよいし、10nm以上40nm以下の範囲内にあってもよい。酸化物層12の厚さは、STEM(走査型透過型顕微鏡)による粒子形状の観察と、EDS(エネルギー分散型X線分光器)による元素分析により求めることができる。具体的には、STEM写真で得られた粒子形状と、粒子中心部から外周方向へ引いた任意の線上におけるEDSによる元素分析とから、ジルコニウムと窒素がそれぞれ15atm%以上検出され、かつO/N比が1.0以下である領域を窒化ジルコニウム粒子11とし、ジルコニウムが5atm%以上検出され、O/N比が1.0より大きい領域を酸化物層12として、1個の粒子について任意の10箇所の酸化物層12の厚さを計測する。この酸化物層12の厚さの計測を10個の粒子について行い、その厚さの平均を酸化物層12の厚さとする。また、被覆窒化ジルコニウム粒子10の平均一次粒子径に対する酸化物層12の厚さを2倍した値の比(酸化物層の厚さの2倍値/平均一次粒子径)は、0.1以上0.7以下の範囲内にあってもよいし、0.3以上0.7以下の範囲内にあってもよい。この酸化物層の厚さの2倍値/平均一次粒子径は、被覆窒化ジルコニウム粒子10中の酸化物層12の比率を示す指標となる。
被覆窒化ジルコニウム粒子中の表面付着炭素の含有率は、例えば、燃焼-赤外吸収法によって測定できる。被覆窒化ジルコニウム粒子は、炭酸塩を実質的に含まない。このため、表面付着炭素の含有率は、実質的には、炭素微粒子13の含有率である。
被覆窒化ジルコニウム粒子10は、下記の方法によって測定される波長600nmの光の透過率(T600nm)に対する波長365nmの光の透過率(T365nm)の比(T365nm/T600nm)が3.0以上とされていてもよい。T365nm/T600nmは、8.0以下であってもよい。
(測定方法)
被覆窒化ジルコニウム粒子を、温度が65℃で、相対湿度が90%RHの環境下で72時間静置する。静置後の被覆窒化ジルコニウム粒子を、PGMEAに分散させて濃度50質量ppmの分散液を調製する。調製した分散液を光路長10mmの石英セルに入れ、分光光度計を用いて透過率スペクトルを取得し、得られた透過率スペクトルの波長600nmの光の透過率に対する波長365nmの光の透過率の比を測定する。
上記の測定方法によって得られる波長600nmの光の透過率(T600nm)は、可視光の透過性を指標する。したがって、T600nmは低い方が好ましい。T600nmは、10%以下が好ましく、5%以下がさらに好ましい。T600nmは、1%以上であってもよい。また、波長365nmの光の透過率(T365nm)は、紫外線の透過性を指標する。したがって、T365nmは高い方が好ましい。T365nmは、例えば、10%以上であってもよい。T365nmは、50%以下であってもよい。
温度が65℃で、相対湿度が90%RHの環境下で静置する前の被覆窒化ジルコニウム粒子は、上記の方法によって測定される波長600nmの光の透過率(T600nm)に対する波長365nmの光の透過率(T365nm)の比(T365nm/T600nm)が2.0以上であってもよい。
本実施形態の被覆窒化ジルコニウム粒子10は、例えば、窒化ジルコニウム粒子11とカーボン微粒子とを含む混合物を大気中で、例えば、100℃以上300℃以下の温度で加熱することによって製造することができる。カーボン微粒子としては、カーボンブラックや黒鉛を用いることができる。窒化ジルコニウム粒子11とカーボン微粒子とを含む混合物を大気中でこの温度で加熱することによって、窒化ジルコニウム粒子11の表面の窒化ジルコニウムが酸化されて、ジルコニウム酸化物やジルコニウム酸窒化物を含む酸化物層12が形成されると共に、酸化物層12の表面もしくは内部にカーボン微粒子が取り込まれて、炭素微粒子13が生成する。なお、カーボン微粒子の代わりに炭素を主成分とする樹脂微粒子を代わりに用いてもよい。 樹脂微粒子としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等を粒子化したものが挙げられる。
本実施形態の被覆窒化ジルコニウム粒子10はまた、次のようにして製造することができる。
二酸化ジルコニウム粉末と、金属マグネシウム粉末と、酸化マグネシウム粉末と、カーボン微粒子とを含む原料混合物を耐熱性容器に入れて、加熱炉に投入し、窒素含有ガス雰囲気下にて焼成することによって、窒化ジルコニウム粒子11と炭素微粒子13とを含む混合物を生成させる。加熱炉としては電気炉を用いることができる。二酸化ジルコニウム粉末としては、シリカでコーティングされた二酸化ジルコニウム粉末を用いてもよい。原料混合物は、二酸化ジルコニウム粉末の含有量を1モルとして、金属マグネシウム粉末の含有量が2.0モル以上6.0モル以下の範囲内で、窒化マグネシウム粉末の含有量が0.3以上3.0モル以下の範囲内であってもよい。窒素含有ガスとしては、例えば、窒素ガス単独、窒素ガスと水素ガスの混合ガス、窒素ガスとアンモニアガスの混合ガスを用いることができる。焼成温度は、例えば、650℃以上900℃以下の範囲内である。このとき、耐熱性容器としてカーボン製るつぼを用いると、炭素微粒子13の炭素源として、原料混合物中のカーボン微粒子の他に、カーボン製るつぼ中のカーボンも取り込まれる。また、二酸化ジルコニウムと金属マグネシウムとの反応は瞬間的かつ局所的に激しい発熱を伴うため、カーボン微粒子やカーボンるつぼは部分的に熱分解し、微粒子化する。この微粒子化したカーボンもまた、炭素微粒子13の炭素源として取り込まれる。焼成後は、室温まで放冷してもよい。この放冷の際に、焼成によって生成した窒化ジルコニウム粒子11を加熱炉内温度が100℃以上300℃以下の範囲内にあるときに加熱炉内を大気に解放してもよい。これによって、窒化ジルコニウム粒子11の表面の窒化ジルコニウムが酸化されて酸化物層12が形成されると共に、酸化物層12の表面もしくは内部にカーボンが取り込まれて炭素微粒子13が生成する。なお、ここでもカーボン微粒子の代わりにエポキシ樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等を粒子化したものを用いてもよい。
以上のような構成とされた本実施形態の被覆窒化ジルコニウム粒子10は、窒化ジルコニウム粒子11の表面の少なくとも一部が酸化物層12で被覆されていて、酸化物層12は、表面及び内部の少なくとも一方に炭素微粒子13が点在する。酸化物は、窒化物と比較して水分に対する安定性が高い。また、炭素微粒子13は、酸化物と比較して撥水性が高い。そして、表面付着炭素の含有率が、0.1質量%以上5.0質量%以下の範囲内にあるので、炭素微粒子によって酸化物層の撥水性が向上する。このため、本実施形態の被覆窒化ジルコニウム粒子10によれば、窒化ジルコニウム粒子11は水分と接触しにくくなり、大気中で長期間保存しても水分による変質が起こりにくくなる。よって、大気中で長期間保存しても紫外線の透過性と可視光の遮蔽性が高い状態で維持される。
また、本発明の被覆窒化ジルコニウム粒子10において、酸化物層12の厚さが5nm以上40nm以下の範囲内にある場合は、窒化ジルコニウム粒子11に水分がより侵入しにくくなり、水分による窒化ジルコニウム粒子11の変質がさらに起こりにくくなる。よって、大気中で長期間保存しても紫外線の透過性と可視光の遮蔽性がより高い状態維持される。
また、本実施形態の被覆窒化ジルコニウム粒子10において、上記の方法によって測定される波長600nmの光の透過率(T600nm)に対する波長365nmの光の透過率(T365nm)の比(T365nm/T600nm)が3.0以上となるように酸化物層12で被覆されている場合は、水分による窒化ジルコニウム粒子11の変質がさらに起こりにくい。よって、大気中で長期間保存しても紫外線の透過性と可視光の遮蔽性がさらに高い状態で維持される。
(黒色紫外線硬化型有機組成物)
黒色紫外線硬化型有機組成物は、紫外線硬化型有機物と、この紫外線硬化型有機物に分散された黒色顔料とを含む組成物である。黒色顔料としては、上述の被覆窒化ジルコニウム粒子が用いられる。
紫外線硬化型有機物としては、紫外線が照射されることによって重合してポリマーを生成するモノマーあるいはオリゴマーを用いることができる。紫外線硬化型有機物の例としては、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、エポキシモノマー、エポキシオリゴマーを挙げることができる。これらの有機物は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
アクリルモノマーは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーである。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基とメタアクリロイル基を含む。アクリルモノマーは、1つ分子中に(メタ)アクリル基を1つ有する単官能アクリルモノマーであってもよいし、1つの分子中に(メタ)アクリル基を2つ以上有する多官能アクリルモノマーであってもよい。単官能(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミルアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。二官能(メタ)アクリルモノマーとしては、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリルオリゴマーは、アクリルモノマーが重合した低分子量の重合体であり、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。アクリルオリゴマーの分子量は、例えば、数平均分子量で1000以上10000以下の範囲内にあってもよい。これらの(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーは1種を単独あるいは2種以上を併用して使用できる。また、(メタ)アクリルモノマーおよびオリゴマーは上記に記載されるものに限定されるものではなく、一般的に流通している(メタ)アクリルモノマーおよびオリゴマーを使用することができる。
エポキシモノマーは、エポキシ基を有するものである。エポキシモノマーは、1つの分子中にエポキシ基を1つ有する単官能エポキシモノマーであってもよいし、1つの分子中にエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシモノマーであってもよい。エポキシモノマーとしては、グリシジルエーテル、脂環式エポキシなどが挙げられる。
エポキシオリゴマーは、エポキシモノマーが重合した低分子量の重合体である。エポキシオリゴマーの分子量は、例えば、数平均分子量で1000以上10000以下の範囲内にあってもよい。
黒色紫外線硬化型有機組成物は、他の紫外線硬化型有機物を含んでいてもよい。他の紫外線硬化型有機物としては、例えば、スチレン系モノマー、ビニル系モノマー、カチオン硬化性モノマーなどを用いることができる。スチレン系モノマーの例としては、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンを挙げることができる。ビニル系モノマーの例としては、塩化ビニル、酢酸ビニルを挙げることができる。カチオン硬化性モノマーの例としては、オキセタンを挙げることができる。
黒色紫外線硬化型有機組成物は、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤の例としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪族-塩基性エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤を用いることができる。リン酸エステル系可塑剤の例としては、リン酸トリブチル、リン酸2-エチルヘキシルを挙げることができる。フタル酸エステル系可塑剤の例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチルを挙げることができる。脂肪族-塩基性エステル系可塑剤の例としては、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステルを挙げることができる。脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤の例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシルを挙げることができる。二価アルコールエステル系可塑剤の例としては、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチラートを挙げることができる。オキシ酸エステル系可塑剤の例としては、アセチルリシノール酸メチル、アセチルクエン酸トリブチルを挙げることができる。
黒色紫外線硬化型有機組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤は、紫外線、具体的には100~400nmの波長の光を吸収し、重合反応を開始できる化合物が好ましい。光重合開始剤は、例えば、ラジカル発生剤であってもよいし、光酸発生剤であってもよい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系、トリアジン化合物、ホスフィンオキシド系化合物、スルホニウム系化合物、有機過酸化物を用いることができる。アセトフェノン系化合物の例としては、アセトフェノン、ジメチルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンを挙げることができる。ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノンを挙げることができる。ホスフィンオキシド系化合物の例としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを挙げることができる。スルホニウム系化合物の例としては、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等を挙げることができる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化クメンを挙げることができる。
黒色紫外線硬化型有機組成物の光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化型有機物100質量部に対して、0.5質量部以上15質量部以下の範囲内にあることが好ましい。
黒色紫外線硬化型有機組成物の紫外線硬化型有機物の含有量は、黒色紫外線硬化型有機組成物の固形分に対して、50質量%以上90質量%以下の範囲内にあることが好ましい。紫外線硬化型有機物の含有量がこの範囲内にあることによって、得られる黒色パターンの遮蔽性が向上する傾向がある。紫外線硬化型樹脂の含有量は、55質量%以上85質量%以下の範囲内にあることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下の範囲内にあることが特に好ましい。黒色紫外線硬化型有機組成物の被覆窒化ジルコニウム粒子の含有量は、黒色紫外線硬化型有機組成物の固形分に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲内にあることが好ましい。被覆窒化ジルコニウム粒子の含有量がこの範囲内にあることによって、可視光の遮蔽性と紫外線の透過性とをバランスよく向上させることができる。被覆窒化ジルコニウム粒子の含有量は、5質量%以上45質量%以下の範囲内にあることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下の範囲内にあることが特に好ましい。
黒色紫外線硬化型有機組成物は、溶媒を含有していてもよい。溶媒の例としては、例えば、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、α-テルピネオール、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、n-プロパノール、イソプロパノール、メタノール、エタノール、トルエン、水などを挙げることができる。溶媒の含有量は、黒色紫外線硬化型有機組成物に対して、0質量%以上60質量%以下の範囲内にあることが好ましい。溶媒の含有がこの範囲内にあることによって、黒色紫外線硬化型有機組成物の塗布性が向上し、基板の上に形成されるフォトレジスト膜の膜厚が均一となる傾向がある。溶媒の含有量は、5質量%以上50質量%以下の範囲内にあることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下の範囲内にあることが特に好ましい。
以上のような構成とされた本実施形態の黒色紫外線硬化型有機組成物で使用されている被覆窒化ジルコニウム粒子10は、水分による窒化ジルコニウム粒子11の変質が起こりにくいので、大気中で長期間保存しても紫外線の透過性と可視光の遮蔽性が高い。このため、本実施形態の黒色紫外線硬化型有機組成物によれば、大気中で長期間保存しても紫外線に対する感度が高く、かつ可視光の遮蔽性が高い。
本実施形態の黒色紫外線硬化型有機組成物において、紫外線硬化型有機物がアクリルモノマー、アクリルオリゴマー、エポキシモノマー、エポキシオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも一種の有機物である場合は、これらの有機物は紫外線による反応性が高いので、黒色紫外線硬化型有機組成物の紫外線に対する感度がより高くなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
[本発明例1]
平均一次粒子径が53nmである酸化ジルコニウム(ZrO)粉末9.5g、Mg粉末5.83g、MgO粉末3.39gおよびカーボンブラック粉末(平均粒子径:50nm)0.05gをそれぞれ秤量し、窒素ガス雰囲気下で混合して、原料混合物を得た。なお、酸化ジルコニウムならびにカーボンブラックの平均一次粒子径は後述する被覆窒化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径と同様にして測定した。得られた原料混合物をカーボン製るつぼに入れて、電気炉に投入した。次いで、電気炉内に窒素ガスを供給しながら、炉内温度700℃の条件で、1時間加熱して、原料混合物を還元・窒化反応させて、窒化ジルコニウム粒子を生成させた。その後、電気炉を放冷し、炉内温度が110℃となった時点で、窒素ガスの供給を止め、電気炉の扉を開いて、電気炉内を大気開放して被覆窒化ジルコニウム粒子を生成させた。電気炉の炉内温度が室温付近(30℃)となるまで電気炉内を大気開放した後、電気炉から被覆窒化ジルコニウム粒子を回収した。回収した被覆窒化ジルコニウム粒子を、濃度5%塩酸水溶液300gに分散させて、不純物を溶解除去した。次いで、塩酸水溶液をアンモニア水溶液で中和し、デカンテーションにより上澄みを除去した後、水を加える操作を数回行なって、被覆窒化ジルコニウム粒子スラリーを得た。得られた被覆窒化ジルコニウム粒子スラリーをろ過し、回収した被覆窒化ジルコニウム粒子を純水で洗浄した後、乾燥して、被覆窒化ジルコニウム(ZrN)粉末を得た。得られた被覆窒化ジルコニウム粉末は、温度25℃、相対湿度20%RH以下の環境下で密封して保存した。
得られた被覆窒化ジルコニウム粒子について、平均一次粒子径、炭素微粒子の有無、酸化物層の厚さ、表面付着炭素の含有率、保存前と保存後の光学特性を、下記のようにして測定した。その結果を下記の表1に示す。
(平均一次粒子径)
トルエン99.4質量部中に被覆窒化ジルコニウム粒子を0.5質量部、アミン系分散剤を0.1質量部の割合で投入し、混合して混合液を得た。次いで、得られた混合液を、0.5mm径のジルコニアビーズを用いたビーズミルにて分散処理して解砕し、被覆窒化ジルコニウム粒子のトルエン分散液とした。次いで、この分散液を銅メッシュ上に滴下し、乾燥して、STEM観察用のサンプルを得た。得られたサンプルを、STEM(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Titan G2 ChemiSTEM)を用いて加速電圧200kVの条件で観察して、100個の粒子のフェレー径を測定し、その平均を算出した。
(炭素微粒子の有無、酸化物層の厚さ)
得られた窒化ジルコニウム粒子について、STEMによる粒子形状の観察と、EDS(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Velox)による元素分析を行なった。その結果を、図2に示す。図2(a)は、STEM写真(HAADF像)であり、図2(b)は、ジルコニウム(Zr)の元素分布像であり、図2(c)は、窒素(N)の元素分布像であり、図2(d)は、酸素(O)の元素分布像であり、図2(e)は、炭素(C)の元素分布像である。図2の結果から、被覆窒化ジルコニウム粒子の表面に酸素と炭素が層状に分布していることがわかる。この結果から、被覆窒化ジルコニウム粒子は、窒化ジルコニウム粒子の表面に酸化物層が形成された粒子であること、酸化物層の少なくとも表面に炭素微粒子が点在していることが確認された。1個の被覆窒化ジルコニウム粒子について任意の10箇所の酸化物層の厚さを計測した。この酸化物層12の厚さの計測を10個の粒子について行い、その厚さの平均を酸化物層の厚さとした。さらに、被覆窒化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径に対する酸化物層の厚さの2倍値の比(酸化物層の厚さの2倍値/平均一次粒子径)を算出した。
(表面付着炭素の含有率)
得られた窒化ジルコニウム粒子について、炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製、EMIA-810W)を用いた酸素気流中における燃焼-赤外線吸収法により、窒化ジルコニウム粒子中の表面付着炭素含有率を求めた。測定条件は、試料量0.2g、燃焼温度1100℃、測定時間80秒とした。
(保存前の光学特性)
得られた被覆窒化ジルコニウム粒子10質量部と、アミン系分散剤1質量部と、PGMEA29質量部とを混合し、得られた混合物をビーズミルにて分散処理した。分散処理後の混合物にPGMEAを添加し、撹拌混合して、分散液を希釈することにより、濃度50質量ppmの分散液を調製した。得られた分散液を、光路長10mmの石英セルに注液して、光透過率を分光光度計(日立ハイテクフィールディング社製 UH-4150)を用い、波長240nmから1300nmの範囲で測定して分光曲線を得た。得られた分光曲線から、波長365nmの光の透過率(T365nm)と波長600nmの光の透過率(T600nm)とを読み取り、波長600nmの光の透過率に対する波長365nmの光の透過率の比(T365nm/T600nm)を算出した。その結果、T365nmは14.5%、T600nmは3.1%であり、T365nm/T600nmは4.7であった。
(保存後の光学特性)
得られた被覆窒化ジルコニウム粒子10gをシャーレに入れて、恒温恒湿槽に投入し、温度が65℃で、相対湿度が90%RHの条件下で72時間静置して保存した。保存後の被覆窒化ジルコニウム粒子を用いて、上記と同様にして濃度50質量ppmの分散液を調製し、分光曲線を得て、T365nmとT600nmとを読み取り、T365nm/T600nmを算出した。その結果、T365nmは20.1%、T600nmは4.9%であり、T365nm/T600nmは4.1であった。
[本発明例2~14、比較例1、2]
原料である酸化ジルコニウム粉末について、平均一次粒子径が下記の表1に記載の径である粉末を用いたこと、ならびにカーボンブラックの配合量と、電気炉で窒化ジルコニウム粒子を生成させた後、放冷中に電気炉内を大気開放する大気開放温度を、同じく下記の表1に記載の値としたこと以外は本発明例1と同様にして、被覆窒化ジルコニウム粒子を得た。得られた窒化ジルコニウム粒子について、本発明例1と同様に、平均一次粒子径と酸化物層の厚さを測定して、酸化物層の厚さの2倍値/平均一次粒子径を算出し、さらに炭素微粒子の有無、表面付着炭素の含有率、保存前と保存後の光学特性を測定した。その結果を、表1に示す。
Figure 2023047930000002
表1の結果から、酸化物層と、酸化物層の表面又は内部に点在する炭素微粒子とを有し、表面付着炭素の含有率が本発明の範囲内にある本発明例1~10で得られた被覆窒化ジルコニウム粒子は、保存前と保存後のいずれにおいてもT365nm/T600nmが3.5以上の値を示しており、大気中での保存安定性に優れることがわかる。これは、酸化物層の表面及び内部の少なくとも一方に炭素微粒子が点在することによって、酸化物層の撥水性が向上することによって、窒化ジルコニウム粒子が大気中の水分と接触しにくくなったためである。これに対して、表面付着炭素の含有率が0.06質量%である比較例1で得られた被覆窒化ジルコニウム粒子は、保存前のT365nm/T600nmは4.7であったが、保存後のT365nm/T600nmは3.0にまで低下した。これは、保存中に、窒化ジルコニウム粒子の表面が水分によって局所的に加水分解し、粒子深部まで酸化が進行したことで可視光の遮蔽性が低下して、T600nmが高くなったためである。また、炭素含有率が5.2質量%である比較例2で得られた被覆窒化ジルコニウム粒子は、保存前において、T365nmが10%未満であり、T365nm/T600nmが3.4であった。これは、酸化物層の炭素微粒子の含有量が多くなりすぎて、酸化物層の紫外線の吸光度が増加したためである。
本実施形態の黒色紫外線硬化型有機組成物は、本実施形態の被覆窒化ジルコニウム粒子を含む。このため、本実施形態の黒色紫外線硬化型有機組成物は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイで利用される画像形成素子のブラックマトリックスやCMOSセンサなどのイメージセンサ内の遮光材として用いられる黒色パターン形成用材料として用いることができる。また、本実施形態の黒色紫外線硬化型有機組成物は、光学部材用遮光材、遮光フィルター、IRカットフィルター、カバーレイフィルムの材料として用いることができる。
10 被覆窒化ジルコニウム粒子
11 窒化ジルコニウム粒子
12 酸化物層
13 炭素微粒子

Claims (5)

  1. 窒化ジルコニウム粒子と、前記窒化ジルコニウム粒子の表面の少なくとも一部を被覆する酸化物層と、前記酸化物層の表面又は内部に点在する炭素微粒子とを有し、
    表面付着炭素の含有率が、0.10質量%以上5.0質量%以下の範囲内にある被覆窒化ジルコニウム粒子。
  2. 前記酸化物層の厚さが5nm以上40nm以下の範囲内にある請求項1に記載の被覆窒化ジルコニウム粒子。
  3. 下記の方法によって測定される波長600nmの光の透過率に対する波長365nmの光の透過率の比が3.0以上である請求項1または2に記載の被覆窒化ジルコニウム粒子。
    (測定方法)
    被覆窒化ジルコニウム粒子を、温度が30℃で、相対湿度が90%RHの環境下で72時間静置する。静置後の被覆窒化ジルコニウム粒子を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに分散させて濃度50質量ppmの分散液を調製する。調製した分散液の波長600nmの光の透過率に対する波長365nmの光の透過率の比を測定する。
  4. 紫外線硬化型有機物と、前記紫外線硬化型有機物に分散された黒色顔料とを含む黒色紫外線硬化型有機組成物であって、
    前記黒色顔料が、請求項1~3のいずれか1項に記載の被覆窒化ジルコニウム粒子である黒色紫外線硬化型有機組成物。
  5. 前記紫外線硬化型有機物が、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、エポキシモノマー、エポキシオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも一種の有機物である請求項4に記載の黒色紫外線硬化型有機組成物。
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