JP2023047589A - マイクロ繊維セルロース固形物、マイクロ繊維セルロース固形物の製造方法 - Google Patents

マイクロ繊維セルロース固形物、マイクロ繊維セルロース固形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】混練処理の生産性が改善されたマイクロ繊維セルロース固形物、マイクロ繊維セルロース固形物の製造方法を提供する。【解決手段】課題は、樹脂粉末と、平均繊維幅が0.1~19μmのマイクロ繊維セルロースを有する混合物が、圧縮して形成されたものであり、体積が6~4,000mm3、かつ嵩密度が0.3~1.0g/cm3である、ことを特徴とするマイクロ繊維セルロース固形物、その製造方法によって解決される。【選択図】図1

Description

近年、物質をナノレベルまで微細化し、物質単体が持つ性状とは異なる、新たな物性を得ることを目的としたナノテクノロジーが注目されている。セルロース系原料であるパルプから化学処理、粉砕処理等を行って製造されるマイクロ繊維セルロースは、強度、弾性等に優れている。このマイクロ繊維セルロースを加工して製造される成形体は、バイオマス由来の高強度材料として、各種用途への活用が期待されている。セルロース繊維を主成分とし、優れた強度を有する材料として、マイクロ繊維セルロース複合樹脂がある(特許文献1)。
同特許文献は、マイクロ繊維セルロースを主成分とする高強度材料(複合樹脂)を開示し、この複合樹脂の物性を特定した様々な提案を行っている。
特開2013-11026号公報
セルロース複合樹脂は通常、マイクロ繊維セルロースを主原料として混練機に投入し、混練されて射出成形して製造される。マイクロ繊維セルロースは、含有水分率が高いと混練中に水蒸気爆発してしまい生産性が低下するので、低含有水分率であることが望ましい。
しかしながら、解繊したマイクロ繊維セルロースは乾燥状態にあると嵩張るので、混練機への単位時間当たりの供給量を増加させることが困難であり、生産性が低いという課題があった。そこで、本発明が解決しようとする主たる課題は、混練処理の生産性が改善されたマイクロ繊維セルロース固形物、マイクロ繊維セルロース固形物の製造方法を提供することにある。
原料パルプを解繊してマイクロ繊維セルロースやセルロースナノファイバー等を得ることに関する技術分野では、どのように解繊するかや、どの程度まで解繊するか等の解繊手法に着目した研究開発がなされてきた。しかしながら、解繊されたセルロース繊維は、嵩張るので保管や取り扱いに特段の留意を伴うことがあった。本発明は、一旦細かく解繊したセルロース繊維をブロック化するものであり、このようにすることで上記課題の解決を図るものである。次に示す態様は、この課題を解決する一態様といえる。
(第1の態様)
樹脂粉末と、平均繊維幅が0.1~19μmのマイクロ繊維セルロースを有する混合物が、圧縮して形成されたものであり、
体積が6~4,000mm3、かつ嵩密度が0.3~1.0g/cm3である、
ことを特徴とするマイクロ繊維セルロース固形物。
従来、原料パルプを解繊して生成されたマイクロ繊維セルロースは、乾燥状態では相互に乱雑に凝集して粉末状になり、これらを一箇所に集めると嵩張ってしまい取り扱いが困難であった。これを用いて行う作業では、マイクロ繊維セルロースが飛散する等して一部をロスすることもある。混練機に供給する場合においては、例えばマイクロ繊維セルロースの粉末が過剰の水分を含むと、供給口で絡まったり、居付いたり、及びブリッジを形成したりするので、供給量を安定させるのに困難を伴うことがある。
また、嵩張りを低減するためにマイクロ繊維セルロースに圧力をかけて塊状化したとしても、脆く容易に崩れてしまうという不具合がある。これら不具合を解決したのが本発明であり、この態様であれば、取り扱い易く、絡まりや居付きが発生し難くなり、混練機への単位時間当たりの供給量を増加することができるのでマイクロ繊維セルロース複合樹脂の生産性を高めることができる。
本態様のマイクロ繊維セルロース固形物は、樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースの混合物が圧縮されて所定の体積を有するものとなっており、表現は難しいが例えば、細粉した多数の木材に圧力をかけて圧縮させて形成した木質ペレットを想像すれば、本態様の固形物を理解できるものと思われる。
しかし、木質ペレットと本態様では圧縮具合が異なり、木質ペレットの場合、細粉した木材に圧力をかけると容易に圧縮するが、これは木材に含まれるリグニンやヘミセルロース等の接着作用によるものである。マイクロ繊維セルロースは、解繊の過程でこのような接着作用を有する物質がある程度除去されてしまうので、圧力をかけて相互に圧縮させても、圧力を取り除くと圧縮状態が維持されず、容易に崩れてしまう。
この点について、本発明の発明者等は、マイクロ繊維セルロースとともに樹脂粉末を混ぜて混合物とし、この混合物に圧力をかけると圧縮状態が維持されたマイクロ繊維セルロース固形物となるとの知見を得た。圧縮状態が維持されるメカニズムは定かではないがおよそ次のように考えられる。第一にマイクロ繊維セルロースの分散化を図るためにマイクロ繊維セルロースと混合される樹脂粉末のサイズが、マイクロ繊維セルロースのサイズに対し、相対的に小さいことである。第二にマイクロ繊維セルロースと樹脂粉末それぞれが、偏らずにうまく散らばっていることである。第三に樹脂粉末が、木質ペレットの場合のリグニンやヘミセルロースと同様に接着作用を有し、圧力をかけて圧縮したときに容易に固形物化されること等によると考えられる。
本態様のマイクロ繊維セルロース固形物は、圧縮されており所定の体積を有しているので、飛散することがなく、ロスする量を減らすことができる。また、マイクロ繊維セルロース固形物は、過剰の水分を含んだとしても、混練機の供給口で相互に絡まったり、居付きやブリッジが形成したりし難い。さらに、嵩密度はマイクロ繊維セルロース固形物の方が、粉末状のマイクロ繊維セルロースよりも高く、単位時間当たりにより多くの原料を混練機に供給できるので、マイクロ繊維セルロース複合樹脂の生産性の向上が見込まれる。
マイクロ繊維セルロース固形物の体積については、圧縮するのに必要なエネルギー量や運搬、一時的な保管等の効率を考慮すると、上記範囲であれば好ましい。
なお、一般的にマイクロ繊維セルロースは乾燥すると相互に凝集する性質を有するが、この「凝集する」は、本態様の「圧縮する」とは異なる概念である。本態様における、圧縮して形成されたマイクロ繊維セルロースの「圧縮する」とは、樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースとの混合物が圧縮することを意味し、マイクロ繊維セルロースのみが相互に凝集するものとは異なる。また、マイクロ繊維セルロース固形物は、樹脂粉末と多数のマイクロ繊維セルロースを有する混合物が圧縮されて形成されたものである。
(第2の態様)
前記混合物は、平均繊維幅が0.1~19μmであり、ヒドロキシ基の全部または一部がカルバメート基で置換されているマイクロ繊維セルロースを有するものである、
第1の態様のマイクロ繊維セルロース固形物。
セルロース繊維は、自身に備わるヒドロキシ基の作用により相互に水素結合して凝集し易いものとなっているが、当該ヒドロキシ基がカルバメート基で置換されると、親水性が抑制され、かつヒドロキシ基よりも嵩高なカルバメート基の影響により相互に分散し易くなる(以下、カルバメート基で置換されたマイクロ繊維セルロースを特に、「置換型マイクロ繊維セルロース」ともいう。)。原料パルプを解繊処理した場合、マイクロ繊維セルロースがカルバメート基で置換されていないものであれば、一部、解繊が不十分なままであるのに対し、置換型マイクロ繊維セルロースだと全体的に解繊が容易になされる。全体的に解繊がなされたマイクロ繊維セルロースほど樹脂粉末に対して均一に分散するので、樹脂粉末と混ぜ合わせたときに偏りが少ない。マイクロ繊維セルロースが均一に分散された混合物は、相互の樹脂粉末間で形成される隙間にマイクロ繊維セルロースが入り込み易く、マイクロ繊維セルロースが十分に分散された状態で圧力をかけることで、マイクロ繊維セルロースの偏在が抑制されたマイクロ繊維セルロース固形物となる。
(第3の態様)
前記マイクロ繊維セルロースのカルバメート基による置換率が、0.5mmоl/g以上、2.0mmоl/g以下である、
第2の態様のマイクロ繊維セルロース固形物。
上記範囲の置換率であれば、マイクロ繊維セルロースがより疎水性を有したものとなり、疎水的である樹脂粉末との親和性が増すので、マイクロ繊維セルロースと樹脂粉末との反発が少なく、マイクロ繊維セルロース固形物におけるマイクロ繊維セルロースの偏りが小さいという効果が奏される。
(第4の態様)
前記樹脂粉末は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなるものである、
第1~第3の態様のいずれかの態様のマイクロ繊維セルロース固形物。
これらの樹脂から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなるものとマイクロ繊維セルロースとの混合物は、相溶性に優れ、相互に分散して均一化するので、圧縮して形成されたマイクロ繊維セルロース固形物が容易にその形を崩し難いものとなる。
(第5の態様)
含有水分率が20%以下である、
第1~第4の態様のいずれかの態様のマイクロ繊維セルロース固形物。
マイクロ繊維セルロース固形物は、含有水分率が高いと、膨潤しかつ重いものとなり、運搬や保管がし難くなる。また、混練する場合に、多くの水分を除去しなければならず、複合樹脂の製造に多くのエネルギーを費やすことになる。さらに混練する際に水蒸気爆発が多発するリスクもある。上記範囲のマイクロ繊維セルロース固形物であれば、嵩張らずかつ軽量であるので、運搬や保管が容易であるし、複合樹脂にする上で、多くのエネルギーを費やすこともなく、水蒸気爆発の頻度が抑制される等利点が大きい。
(第6の態様)
前記マイクロ繊維セルロースのファイン率が5%以上、80%以下である、
第1~第5の態様のいずれかの態様のマイクロ繊維セルロース固形物。
上記ファイン率であれば、繊維長が相対的に長いものの割合が小さいので、マイクロ繊維セルロースが均質であり、マイクロ繊維セルロース固形物の形状が崩れ難く、取り扱い易いという効果が奏される。
(第7の態様)
前記マイクロ繊維セルロースは、原料パルプのリグニン含有率が1%以下である、
第1~第6の態様のいずれかの態様のマイクロ繊維セルロース固形物。
マイクロ繊維セルロース固形物に含まれるリグニンが上記含有率であれば、複合樹脂化したときの強度が優れたものとなるという効果が奏される。
(第8の態様)
樹脂粉末と、平均繊維幅が0.1~19μmのマイクロ繊維セルロースを有する混合物を圧縮処理してマイクロ繊維セルロース固形物とする工程を有し、
前記圧縮処理は、マイクロ繊維セルロース固形物が体積6~4,000mm3、かつ嵩密度0.3~1.0g/cm3となるように行う、
ことを特徴とするマイクロ繊維セルロース固形物の製造方法。
第1の態様と同様の効果が奏される。
(第9の態様)
セルロース原料並びに尿素及び尿素の誘導体の少なくともいずれか一方を加熱処理してセルロースのヒドロキシル基の一部又は全部をカルバメート基で置換する工程と、
セルロース原料を平均繊維幅が0.1~19μmとなる範囲に解繊する工程と、
樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースを有する混合物を圧縮処理してマイクロ繊維セルロース固形物とする工程とを有し、
前記圧縮処理は、マイクロ繊維セルロース固形物が体積6~4,000mm3、かつ嵩密度0.3~1.0g/cm3となるように行うものである、
ことを特徴とするマイクロ繊維セルロース固形物の製造方法。
第2の態様と同様の効果が奏される。
本発明によると、混練処理の生産性が改善されたマイクロ繊維セルロース固形物、マイクロ繊維セルロース固形物の製造方法となる。
マイクロ繊維セルロース複合の製造方法の一例を表す図である。
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
本形態のマイクロ繊維セルロース固形物は、平均繊維幅が0.1~19μmのマイクロ繊維セルロース(ミクロフィブリル化セルロース)(以下、「セルロース繊維」ともいう。)を有する混合物が、圧縮して形成されたものであり、体積が6~4,000mm3、かつ嵩密度が0.3~1.0g/cm3である、ことを特徴とする。マイクロ繊維セルロースは、変性されていなくても変性されていてもよく、変性されている場合は、例えばカルバメート基で置換されたマイクロ繊維セルロースを挙げることができる。カルバメート基で置換されたマイクロ繊維セルロースは、セルロース繊維のヒドロキシ基(-OH基)の一部又は全部がカルバメート基で置換されている。
本形態のマイクロ繊維セルロース複合樹脂は、マイクロ繊維セルロースを含むマイクロ繊維セルロース固形物が混練されたものである。
(マイクロ繊維セルロース)
本形態において微細繊維であるマイクロ繊維セルロースは、平均繊維幅が0.1~19μmである。セルロースの微細繊維のカテゴリーには、マイクロ繊維セルロースのほかにも、より繊維幅の小さいセルロースナノファイバーも含まれるが、マイクロ繊維セルロースであると、樹脂の補強効果が著しく向上する。また、カルバメート化反応の後に、未反応で残留している尿素等を除去する目的で行う洗浄工程において、洗浄する繊維がセルロースナノファイバーであると脱水性が非常に悪い。マイクロ繊維セルロースは、同じく微細繊維であるセルロースナノファイバーよりもカルバメート基で変性する(カルバメート化)のが、脱水性の観点から容易である。ただし、微細化する前のセルロース原料をカルバメート化するのがより好ましい。
本形態において、マイクロ繊維セルロースは、セルロースナノファイバーよりも平均繊維幅(径)の太い繊維を意味する。具体的には、平均繊維幅が、例えば0.1~19μm、好ましくは0.5~15μm、より好ましくは1.0~10μmである。マイクロ繊維セルロースの平均繊維幅が0.1μmを下回ると(未満になると)、セルロースナノファイバーであるのと変わらなくなり、樹脂の強度(特に曲げ弾性率)向上効果が十分に得られないおそれがある。また、解繊時間が長くなり、大きなエネルギーが必要になる。さらに、脱水性が悪化する。脱水性が悪化すると、乾燥させるのに大きなエネルギーが必要になるが、大きなエネルギーはマイクロ繊維セルロースを劣化させ、強度が低下するおそれがある。他方、マイクロ繊維セルロースの平均繊維幅が19μmを上回ると(超えると)、パルプであるのと変わらなくなり、補強効果が十分でなくなるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースは、セルロース原料(以下、「原料パルプ」ともいう。)を解繊(微細化)することで得ることができる。原料パルプとしては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。なお、以上の各種原料は、例えば、セルロース系パウダーなどと言われる粉砕物(粉状物)の状態等であってもよい。
ただし、不純物の混入を可及的に避けるために、原料パルプとしては、木材パルプを使用するのが好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
広葉樹クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプであっても、広葉樹未晒クラフトパルプであっても、広葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。同様に、針葉樹クラフトパルプは、針葉樹晒クラフトパルプであっても、針葉樹未晒クラフトパルプであっても、針葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、漂白サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
マイクロ繊維セルロースは、原料パルプとして、リグニン含有率が1.0%以下のパルプを使用するのが好ましく、0.8%以下のパルプを使用するのがより好ましい。マイクロ繊維セルロースとしてカルバメート化されたものを用いる場合は、例えばカルバメート基の置換率が0.5mmol/g以上となるようにセルロース繊維を加熱処理すると着色が進みやすい。しかしながら、原料パルプのリグニン含有率を上記範囲とすれば、リグニンを原因とする着色を抑制できるので、マイクロ繊維セルロース固形物やマイクロ繊維セルロース複合樹脂とした場合の着色も抑制できる。また、セルロース原料をカルバメート化すると、セルロースと共存するリグニンに対してもカルバメート化が起こる。その後、セルロースを洗浄する際にカルバメート化されたリグニンが流出して除去され、結果として、繊維に残るセルロースへのカルバメート化率が下がるおそれがある。マイクロ繊維セルロース固形物に含まれるリグニンが上記含有率であれば、流出して繊維補強に寄与しないカルバメート化物の量を抑えられるため、複合樹脂化したときの強度が優れたものとなるという効果が奏される。
リグニン含有率は、リグニン含有率試験方法(JAPAN TAPPI No.61(2000))に準拠して測定した値である。
着色を防止する観点から、原料パルプのカッパー価は、2以下であるのが好ましく、1以下であるのがより好ましい。
カッパー価は、カッパー価試験方法(JIS P 8211(2011))に準拠して測定した値である。
リグニン含有率やカッパー価の調整は、例えば、原料パルプの選定や蒸解、漂白等によることができる。
本形態において原料パルプの白色度は、50%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、82%以上であるのが特に好ましい。原料パルプ自体の白色度が50%未満であると、樹脂ペレットとの溶融混練時に更に着色し、複合樹脂自体の白色度が低いものとなる。
白色度は、JIS P 8148:2001に準拠して測定した値である。
原料パルプは、解繊するに先立って化学的手法によって前処理することができる。化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)等を例示することができる。化学的手法による前処理としては、酵素処理を施すのが好ましく、加えて酸処理、アルカリ処理、及び酸化処理の中から選択された1又は2以上の処理を施すのがより好ましい。以下、酵素処理について詳細に説明する。
酵素処理に使用する酵素としては、セルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましく、両方を併用するのがより好ましい。これらの酵素を使用すると、セルロース原料の解繊がより容易になる。なお、セルラーゼ系酵素は、水共存下でセルロースの分解を惹き起こす。また、ヘミセルラーゼ系酵素は、水共存下でヘミセルロースの分解を惹き起こす。
セルラーゼ系酵素としては、例えば、トリコデルマ(Trichoderma、糸状菌)属、アクレモニウム(Acremonium、糸状菌)属、アスペルギルス(Aspergillus、糸状菌)属、ファネロケエテ(Phanerochaete、担子菌)属、トラメテス(Trametes、担子菌)属、フーミコラ(Humicola、糸状菌)属、バチルス(Bacillus、細菌)属、スエヒロタケ(Schizophyllum、担子菌)属、ストレプトミセス(Streptomyces、細菌)属、シュードモナス(Pseudomonas、細菌)属などが産生する酵素を使用することができる。これらのセルラーゼ系酵素は、試薬や市販品として購入可能である。市販品としては、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラ-ゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、セルラーゼ系酵素GC220(ジェネンコア社製)等を例示することができる。
また、セルラーゼ系酵素としては、EG(エンドグルカナーゼ)及びCBH(セロビオハイドロラーゼ)のいずれかもを使用することもできる。EG及びCBHは、それぞれを単体で使用しても、混合して使用してもよい。また、ヘミセルラーゼ系酵素と混合して使用してもよい。
ヘミセルラーゼ系酵素としては、例えば、キシランを分解する酵素であるキシラナーゼ(xylanase)、マンナンを分解する酵素であるマンナーゼ(mannase)、アラバンを分解する酵素であるアラバナーゼ(arabanase)等を使用することができる。また、ペクチンを分解する酵素であるペクチナーゼも使用することができる。
ヘミセルロースは、植物細胞壁のセルロースミクロフィブリル間にあるペクチン類を除いた多糖類である。ヘミセルロースは多種多様で木材の種類や細胞壁の壁層間でも異なる。針葉樹の2次壁では、グルコマンナンが主成分であり、広葉樹の2次壁では4-O-メチルグルクロノキシランが主成分である。そこで、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)から微細繊維を得る場合は、マンナーゼを使用するのが好ましい。また、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)から微細繊維を得る場合は、キシラナーゼを使用するのが好ましい。
セルロース原料に対する酵素の添加量は、例えば、酵素の種類、原料となる木材の種類(針葉樹か広葉樹か)、機械パルプの種類等によって決まる。ただし、セルロース原料に対する酵素の添加量は、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.3~2.5質量%、特に好ましくは0.5~2質量%である。酵素の添加量が0.1質量%を下回ると、酵素の添加による効果が十分に得られないおそれがある。他方、酵素の添加量が3質量%を上回ると、セルロースが糖化され、微細繊維の収率が低下するおそれがある。また、添加量の増量に見合う効果の向上を認めることができないとの問題もある。
酵素としてセルラーゼ系酵素を使用する場合、酵素処理時のpHは、酵素反応の反応性の観点から、弱酸性領域(pH=3.0~6.9)であるのが好ましい。他方、酵素としてヘミセルラーゼ系酵素を使用する場合、酵素処理時のpHは、弱アルカリ性領域(pH=7.1~10.0)であるのが好ましい。
酵素処理時の温度は、酵素としてセルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素のいずれを使用する場合においても、好ましくは30~70℃、より好ましくは35~65℃、特に好ましくは40~60℃である。酵素処理時の温度が30℃以上であれば、酵素活性が低下し難くなり、処理時間の長期化を防止することができる。他方、酵素処理時の温度が70℃以下であれば、酵素の失活を防止することができる。
酵素処理の時間は、例えば、酵素の種類、酵素処理の温度、酵素処理時のpH等によって決まる。ただし、一般的な酵素処理の時間は、0.5~24時間である。
酵素処理した後には、酵素を失活させるのが好ましい。酵素を失活させる方法としては、例えば、アルカリ水溶液(好ましくはpH10以上、より好ましくはpH11以上)を添加する方法、80~100℃の熱水を添加する方法等が存在する。
なお、酵素処理するとセルロースがオリゴ糖や単糖に分解され、これらが熱を受けるとカルメ焼きのように褐変して着色する。したがって、酵素処理後は、念入りに原料パルプを水洗するのが好ましい。
次に、アルカリ処理の方法について説明する。解繊に先立ってアルカリ処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの水酸基が一部解離し、分子がアニオン化することで分子内及び分子間水素結合が弱まり、解繊におけるセルロース原料の分散が促進される。
アルカリ処理に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の有機アルカリ等を使用することができる。ただし、製造コストの観点からは、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
解繊に先立って酵素処理や酸処理、酸化処理を施すと、マイクロ繊維セルロースの保水度を低く、結晶化度を高くすることができ、かつ均質性を高くすることができる。この点、マイクロ繊維セルロースの保水度が低いと脱水し易くなり、セルロース繊維スラリーの脱水性が向上する。
原料パルプを酵素処理や酸処理、酸化処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解される。結果、解繊のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。ただし、前処理は、マイクロ繊維セルロースのアスペクト比を低下させるため、樹脂の補強材として使用する場合には、過度の前処理を避けるのが好ましい。
原料パルプの解繊は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料パルプを叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。
マイクロ繊維セルロースの平均繊維長(単繊維の長さの平均)は、好ましくは0.10~2.0mm、より好ましくは0.12~1.5mm、特に好ましくは0.15~1.0である。平均繊維長が0.10mmを下回ると、繊維同士の三次元ネットワークを形成できず、複合樹脂の曲げ弾性率等が低下するおそれがあり、補強効果が向上しないとされる可能性がある。他方、平均繊維長が2.0mmを上回ると、原料パルプと変わらない長さのため補強効果が不十分となるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの原料となるセルロース原料の平均繊維長は、好ましくは0.50~5.00mm、より好ましくは1.00~3.00mm、特に好ましくは1.50~2.50である。セルロース原料の平均繊維長が0.50mmを下回ると、解繊処理した際の、樹脂の補強効果が十分得られない可能性がある。他方、平均繊維長が5.00mmを上回ると、解繊時の製造コストの面で不利となるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等で任意に調整可能である。
マイクロ繊維セルロースのファイン率(ファインA率)は、5%以上、80%以下であるのが好ましく、10~70%であるのがより好ましく、15~60%であるのが特に好ましい。ファイン率が5%以上であると、均質な繊維の割合が多く、複合樹脂の破壊が進行し難くなる。ただし、ファイン率が80%を超えると、曲げ弾性率が不十分になる可能性がある。また、ファイン率が80%を超えると低分子化が進行し過ぎている繊維が一部存在すると考えられ、これらの繊維は熱を受けた際に着色の原因となるオリゴ糖や単糖を生成し易い。
また、マイクロ繊維セルロースのファイン率を上記の範囲とした上で、マイクロ繊維セルロースのファインB率が、15~50%であるのが好ましく、16~40%であるのがより好ましい。同ファインB率が上記範囲であると、複合樹脂とした場合の強度がより高まる。
以上はマイクロ繊維セルロースのファイン率であるが、マイクロ繊維セルロースの原料となるセルロース原料のファイン率も所定の範囲内としておくとより好ましいものとなる。具体的には、マイクロ繊維セルロースの原料となるセルロース原料のファイン率が、1%以上であるのが好ましく、3~20%であるのがより好ましく、5~18%であるのが特に好ましい。解繊前のセルロース原料のファイン率が上記範囲内であれば、マイクロ繊維セルロースのファイン率が30%以上になるように解繊したとしても繊維のダメージが少なく、樹脂の補強効果が向上すると考えられる。
ファイン率及びファインA率の調整は、酵素処理等の前処理によって行うことができる。ただし、特に酵素処理する場合は、繊維自体がボロボロになって樹脂の補強効果が低下する可能性がある。したがって、この観点からの酵素の添加量は、2質量%以下であるのが好ましく、1質量%以下であるのがより好ましく、0.5質量%以下であるのが特に好ましい。また、酵素処理しない(添加量0質量%)のも1つの選択枠である。
本形態において「ファイン率」(「ファインA率」ともいう。)とは、パルプ繊維の全質量に対する、繊維幅が75μm以下、かつ繊維長が0.2mm以下であるパルプ繊維の合計質量の百分率をいう。「ファインB率」とは、パルプ繊維の全質量に対する、繊維幅が10μm以下、かつ繊維長が0.2mm以上であるパルプ繊維の合計質量の百分率をいう。
マイクロ繊維セルロースのアスペクト比は、好ましくは5~20,000、より好ましくは8~3,000である。アスペクト比が5を下回ると、三次元ネットワークを十分に構築することができないため、たとえ平均繊維長が0.10mm以上であるとしても、補強効果が不十分となるおそれがある。他方、アスペクト比が20,000を上回ると、マイクロ繊維セルロース同士の絡み合いが高くなり、樹脂中での分散が不十分となるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースのフィブリル化率は、好ましくは1.0~30.0%、より好ましくは1.5~20.0%、特に好ましくは2.0~15.0%である。フィブリル化率が30.0%を上回ると、水との接触面積が広くなり過ぎるため、たとえ平均繊維幅が0.1μm以上に留まる範囲で解繊したとしても、脱水が困難になる可能性がある。他方、フィブリル化率が1.0%下回ると、フィブリル同士の水素結合が少なく、強硬な三次元ネットワークを形成することができなくなるおそれがある。
本形態においてフィブリル化率とは、セルロース繊維をJIS-P-8220:2012「パルプ-離解方法」に準拠して離解し、得られた離解パルプをFiberLab.(Kajaani社)を用いて測定した値をいう。
マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上である。結晶化度が50%を下回ると、パルプやセルロースナノファイバー等の他の繊維との混合性は向上するものの、繊維自体の強度が低下するため、樹脂の強度を向上することができなくなるおそれがある。他方、マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、特に好ましくは85%以下である。結晶化度が95%を上回ると、分子内で形成される強固な水素結合の割合が多くなり、繊維自体が剛直となり、分散性が劣るようになる。
マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、例えば、原料パルプの選定、前処理、微細化処理で任意に調整可能である。
マイクロ繊維セルロースのパルプ粘度は、好ましくは2cps以上、より好ましくは4cps以上である。マイクロ繊維セルロースのパルプ粘度が2cpsを下回ると、マイクロ繊維セルロースの凝集を抑制するのが困難になるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースのフリーネスは、好ましくは500ml以下、より好ましくは300ml以下、特に好ましくは100ml以下である。マイクロ繊維セルロースのフリーネスが500mlを上回ると、樹脂の強度向上効果が十分に得られなくなるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースのゼータ電位は、好ましくは-150~20mV、より好ましくは-100~0mV、特に好ましくは-80~-10mVである。ゼータ電位が-150mVを下回ると、樹脂との相溶性が著しく低下し補強効果が不十分となるおそれがある。他方、ゼータ電位が20mVを上回ると、分散安定性が低下するおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの保水度は、好ましくは80~400%、より好ましくは90~350%、特に好ましくは100~300%である。保水度が80%を下回ると、原料パルプと変わらないため補強効果が不十分となるおそれがある。他方、保水度が400%を上回ると、脱水性が劣る傾向にあり、また、凝集し易くなる。一方、保水度が80~400%であれば、後述するマイクロ繊維セルロース固形物の含有水分率を20%以下にするのが容易になり、繊維が傷みにくくなるため、複合樹脂の強度向上に資する。なお、マイクロ繊維セルロースの保水度は、当該繊維のヒドロキシ基がカルバメート基に置換されていることで、より低くすることができ、脱水性や乾燥性を高めることができる。
マイクロ繊維セルロースの保水度は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等で任意に調整可能である。
マイクロ繊維セルロースは、カルバメート基を有していてもよいし、有していなくてもよい。マイクロ繊維セルロースのヒドロキシ基をカルバメート基に置換するタイミングは、樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースを有する混合物に圧縮処理を行う前であれば、特に限定されない。例えば、セルロース原料に対してカルバメート化反応を行い、カルバメート基を有するものとしてもよいし、マイクロ繊維セルロース(微細化されたセルロース原料)に対してしてカルバメート化反応を行い、カルバメート基を有するものとしてもよい。
なお、カルバメート基を有するとは、マイクロ繊維セルロースにカルバメート基(カルバミン酸のエステル)が導入された状態を意味する。カルバメート基は、下記の構造式(1)で示すことができ、例えば、-O-CO-NH-で表され、-O-CO-NH2、-O-CONHR、-O-CO-NR2等を例示できる。
Figure 2023047589000002
ここでnは1以上の整数を表す。Rは、それぞれ独立して、飽和直鎖状炭化水素基、飽和分岐鎖状炭化水素基、飽和環状炭化水素基、不飽和直鎖状炭化水素基、不飽和分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基の少なくともいずれかである。
飽和直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~10の直鎖状のアルキル基を挙げることができる。
飽和分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。
飽和環状炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基を挙げることができる。
不飽和直鎖状炭化水素基としては、例えば、エテニル基、プロペン-1-イル基、プロペン-3-イル基等の炭素数2~10の直鎖状のアルケニル基、エチニル基、プロピン-1-イル基、プロピン-3-イル基等の炭素数2~10の直鎖状のアルキニル基等を挙げることができる。
不飽和分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、プロペン-2-イル基、ブテン-2-イル基、ブテン-3-イル基等の炭素数3~10の分岐鎖状アルケニル基、ブチン-3-イル基等の炭素数4~10の分岐鎖状アルキニル基等を挙げることができる。
芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
誘導基としては、例えば、上記飽和直鎖状炭化水素基、飽和分岐鎖状炭化水素基、飽和環状炭化水素基、不飽和直鎖状炭化水素基、不飽和分岐鎖状炭化水素基及び芳香族基が有する1又は複数の水素原子が、置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子等。)で置換された基を挙げることができる。
カルバメート基を有する(カルバメート基が導入された)マイクロ繊維セルロースにおいては、極性の高いヒドロキシ基の一部又は全部が、相対的に極性の低いカルバメート基に置換されている。したがって、カルバメート基を有するマイクロ繊維セルロースは、親水性が低く、極性の低い樹脂等との親和性が高い。結果、カルバメート基を有するマイクロ繊維セルロースは、樹脂との均一分散性に優れる。また、カルバメート基を有するマイクロ繊維セルロースのスラリーは、粘性が低く、ハンドリング性が良い。
マイクロ繊維セルロースのヒドロキシ基に対するカルバメート基の置換率は、好ましくは0.5~2.0mmol/g、より好ましくは0.7~1.8mmol/g、特に好ましくは1.0~1.6mmol/gである。置換率が2.0mmol/gを上回ると、セルロースの持つ水酸基に起因して生じるセルロース同士の水素結合が弱まり(凝集緩和効果)、加えて水酸基よりも疎水性の高いカルバメート基の導入により、樹脂粉末との親和性が高まり(親和性向上効果)、結果、樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースが相互に絡まり合い、マイクロ繊維セルロース同士が凝集しにくく、樹脂補強の役割を確実に果たすようになるためと考える。他方、カルバメート基の置換率が高くなると、特に2.0mmol/gを超えると、複合樹脂の耐熱性が低下する。この点、セルロース繊維が熱を受けると、通常水酸基の脱離等が発生し、脱離等が発生した箇所を起点に分子鎖が短くなり得る。そして、水酸基の一部がカルバメート化等で変性されていると、水酸基の脱離がより発生し易くなる。故に、カルバメート基の置換率を上げ過ぎると分子鎖が短くなり過ぎてしまい、分解温度が下がり、耐熱性が落ちるものと考えられる。また、カルバメート基の置換率が2.0mmol/gを超えると、セルロース繊維をカルバメート化する場合においてパルプの平均繊維長が短くなり、結果としてマイクロ繊維セルロースの平均繊維長が0.1mm未満となり易く、十分な樹脂補強効果が出せなくなるおそれがある。なお、置換率が5.0mmol/gを超えると、セルロース繊維が繊維の形状を保てなくなる。
本形態においてカルバメート基の置換率(mmol/g)とは、カルバメート基を有するセルロース原料1gあたりに含まれるカルバメート基の物質量をいう。カルバメート基の置換率は、カルバメート化したパルプ内に存在するN原子をケルダール法によって測定し、単位重量当たりのカルバメート化率を算出する。また、セルロースは、無水グルコースを構造単位とする重合体であり、一構造単位当たり3つのヒドロキシ基を有する。
<カルバメート化>
カルバメート化されたマイクロ繊維セルロースを得るには、セルロース原料をカルバメート化反応を行い、微細化(解繊)してカルバメート化されたマイクロ繊維セルロースとする方法と、セルロース原料を微細化(解繊)してからカルバメート化反応を行ってカルバメート化されたマイクロ繊維セルロースとする方法とを例示できる。ここでは、先にセルロース原料の解繊について説明し、その後にカルバメート化反応(変性)について説明している。しかしながら、解繊及びカルバメート化は、どちらを先に行ってもよい。特に、先にカルバメート化反応を行い、その後に、解繊をする方が好ましい。解繊する前のセルロース原料は脱水効率が高く、また、カルバメート化反応に伴う加熱によってセルロース原料が解繊され易い状態になるためである。
マイクロ繊維セルロース等(前述したようにセルロース原料の場合もある。以下、同様。)をカルバメート化する工程は、例えば、混合処理、除去処理、及び加熱処理に、主に区分することができる。なお、混合処理及び除去処理は合わせて、加熱処理に供される混合物を調製する調整処理ということもできる。また、カルバメート化は、有機溶剤を使用せずに化学変性することができるという利点を有する。
混合処理においては、マイクロ繊維セルロース等と尿素又は尿素の誘導体(以下、単に「尿素等」ともいう。)とを分散媒中で混合する。
尿素や尿素の誘導体としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素、尿素の水素原子をアルキル基で置換した化合物等を使用することができる。これらの尿素又は尿素の誘導体は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、尿素を使用するのが好ましい。
マイクロ繊維セルロース等に対する尿素等の混合質量比(尿素等/マイクロ繊維セルロース等)は、上限が好ましくは300/100であり、より好ましくは200/100である。他方、下限が好ましくは10/100であり、より好ましくは20/100である。混合質量比を10/100以上にすることで、カルバメート化の効率が向上する。他方、混合質量比が300/100を上回っても、カルバメート化はそれ以上促進されない。
分散媒は、通常、水である。ただし、アルコール、エーテル等の他の分散媒や、水と他の分散媒との混合物を用いてもよい。
混合処理においては、例えば、水にマイクロ繊維セルロース等及び尿素等を添加しても、尿素等の水溶液にマイクロ繊維セルロース等を添加しても、マイクロ繊維セルロース等を含むスラリーに尿素等を添加してもよい。また、均一に混合するために、添加後、攪拌してもよい。さらに、マイクロ繊維セルロース等と尿素等とを含む分散液には、その他の成分が含まれていてもよい。マイクロ繊維セルロース等がシート状のセルロース原料である場合は、尿素等と分散媒の混合液に当該セルロース原料を含浸させて混合する手段を採ってもよい。セルロース原料がシート状であると、シート内で熱が伝わりやすいので加熱処理における加熱温度の低温化や加熱時間の短縮化が見込める。
除去処理においては、混合処理において得られたマイクロ繊維セルロース等及び尿素等を含む分散液から分散媒を除去する。分散媒を除去することで、これに続く加熱処理において効率的に尿素等を反応させることができる。
分散媒の除去は、加熱によって分散媒を揮発させることで行うのが好ましい。この方法によると、尿素等の成分を残したまま分散媒のみを効率的に除去することができる。
除去処理における加熱温度の下限は、分散媒が水である場合は、好ましくは50℃、より好ましくは70℃、特に好ましくは90℃である。加熱温度を50℃以上にすることで効率的に分散媒を揮発させる(除去する)ことができる。他方、加熱温度の上限は、好ましくは120℃、より好ましくは100℃である。加熱温度が120℃を上回ると、分散媒と尿素が反応し、尿素が単独分解するおそれがある。
除去処理における加熱時間は、分散液の固形分濃度等に応じて適宜調節することができる。具体的には、例えば、6~24時間である。
除去処理に続く加熱処理においては、マイクロ繊維セルロース等と尿素等との混合物を加熱処理する。この加熱処理において、マイクロ繊維セルロース等のヒドロキシ基の一部又は全部が尿素等と反応してカルバメート基に置換される。より詳細には、尿素等が加熱されると下記の反応式(1)に示すようにイソシアン酸及びアンモニアに分解される。そして、イソシアン酸はとても反応性が高く、例えば、下記の反応式(2)に示すようにセルロースの水酸基にカルバメート基が形成される。
NH2-CO-NH2 → H-N=C=O + NH3 …(1)
Cell-OH + H-N=C=O → Cell-O-CO-NH2 …(2)
加熱処理における加熱温度の下限は、好ましくは120℃、より好ましくは130℃、特に好ましくは尿素の融点(約134℃)以上、さらに好ましくは140℃、最も好ましくは150℃である。加熱温度を120℃以上にすることで、カルバメート化が効率的に行われる。加熱温度の上限は、好ましくは200℃、より好ましくは180℃、特に好ましくは170℃である。加熱温度が200℃を上回ると、マイクロ繊維セルロース等が分解し、補強効果が不十分となるおそれがある。
加熱処理における加熱時間の下限は、好ましくは1分、より好ましくは5分、特に好ましくは30分、更に好ましくは1時間、最も好ましくは2時間である。加熱時間を1分以上にすることで、カルバメート化の反応を確実に行うことができる。他方、加熱時間の上限は、好ましくは5時間、より好ましくは3時間である。加熱時間が5時間を上回ると、経済的ではなく、5時間で十分カルバメート化を行うことができる。
もっとも、加熱時間の長期化は、セルロース繊維の劣化を招く。そこで、加熱処理におけるpH条件が重要となる。pHは、好ましくはpH9以上、より好ましくはpH9~13、特に好ましくはpH10~12のアルカリ性条件である。また、次善の策として、pH7以下、好ましくはpH3~7、特に好ましくはpH4~7の酸性条件又は中性条件である。pH7~8の中性条件であると、セルロース繊維の平均繊維長が短くなり、樹脂の補強効果に劣る可能性がある。これに対し、pH9以上のアルカリ性条件であると、セルロース繊維の反応性が高まり、尿素等への反応が促進され、効率良くカルバメート化反応するため、セルロース繊維の平均繊維長を十分に確保することができる。他方、pH7以下の酸性条件であると、尿素等からイソシアン酸及びアンモニアに分解する反応が進み、セルロース繊維への反応が促進され、効率良くカルバメート化反応するため、セルロース繊維の平均繊維長を十分に確保することができる。ただし、可能であれば、アルカリ性条件で加熱処理する方が好ましい。酸性条件であるとセルロースの酸加水分解が進行するおそれがあるためである。
pHの調整は、混合物に酸性化合物(例えば、酢酸、クエン酸等。)やアルカリ性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等。)を添加すること等によって行うことができる。
加熱処理において加熱する装置としては、例えば、熱風乾燥機、抄紙機、ドライパルプマシン等を使用することができる。
加熱処理後の混合物は、洗浄してもよい。この洗浄は、水等で行えばよい。この洗浄によって未反応で残留している尿素等を除去することができる。
(スラリー)
マイクロ繊維セルロースは、必要により、水系媒体中に分散して分散液(スラリー)にする。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
スラリーの固形分濃度は、好ましくは0.1~10.0質量%、より好ましくは0.5~5.0質量%である。固形分濃度が0.1質量%を下回ると、脱水や乾燥する際に過大なエネルギーが必要となるおそれがある。他方、固形分濃度が10.0質量%を上回ると、スラリー自体の流動性が低下してしまい分散剤を使用する場合において均一に混合できなくなるおそれがある。
(樹脂粉末)
マイクロ繊維セルロースは、保管状態によっては相互に凝集することがあり、凝集化すると、再度分散させるのに手間がかかる。マイクロ繊維セルロースの凝集化を抑制したり、再分散化を容易にしたりするため、樹脂粉末をマイクロ繊維セルロースに混ぜておくとよい。マイクロ繊維セルロースと樹脂粉末を混ぜて混合物にしておくと、マイクロ繊維セルロースが分散したまま安定して、凝集しにくくなる。特にマイクロ繊維セルロースを乾燥させると、マイクロ繊維セルロースの凝集が起こりやすいので樹脂粉末を混合しておくと、凝集化を抑制できる。樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースを有する混合物における樹脂粉末は、例えばポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン系エラストマー樹脂等を使用することができ、特にポリオレフィン樹脂を使用するのが好ましい。
ポリオレフィン成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のアルケンの重合体の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、好適には、プロピレンの重合体であるポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい
混合物に含まれる樹脂粉末としては、樹脂粉末の主鎖や側鎖の一部が酸基で置換(変性)された酸変性樹脂粉末を好適に使用することができる。酸変性樹脂粉末は、酸基がマイクロ繊維セルロースのカルバメート基の一部又は全部とイオン結合する。このイオン結合により、樹脂の補強効果が向上する。
酸変性樹脂粉末としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン系エラストマー樹脂等がそれぞれ酸基で置換された樹脂、すなわち酸変性ポリオレフィン樹脂、酸変性エポキシ樹脂、酸変性スチレン系エラストマー樹脂等を使用することができる。この中でも、酸変性ポリオレフィン樹脂を使用するのが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸成分とポリオレフィン成分との共重合体である。
不飽和カルボン酸成分としては、例えば、無水マレイン酸類、無水フタル酸類、無水イタコン酸類、無水シトラコン酸類、無水クエン酸類等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、無水マレイン酸類を使用するのが好ましく、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を用いることが好適である。
マイクロ繊維セルロースと混合する樹脂粉末は、酸変性樹脂粉末と酸変性されていない樹脂粉末を混ぜて用いてもよいし、樹脂粉末の全量が酸変性樹脂粉末であってもよいし、樹脂粉末の全量が酸変性されていない樹脂粉末であってもよい。酸変性樹脂粉末と酸変性されていない樹脂粉末を混ぜて用いる場合は、酸変性されていない樹脂粉末の混合量は、酸変性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは0~200質量部、より好ましくは、1~100質量部、特に好ましくは10~70質量部である。
樹脂粉末の平均粒子径と、混合に供するマイクロ繊維セルロースの平均繊維幅の比(樹脂粉末の平均粒子径(μm)/マイクロ繊維セルロースの平均繊維幅(μm))は、12~200あるのが好ましく、25~100であるのがより好ましい。上記の比が12未満であると、マイクロ繊維セルロースに対して樹脂粉末が小さすぎるため、乾燥の過程で繊維同士が接触し、樹脂粉末の介在による凝集防止の効果が発揮できなくなるおそれがある。また、上記の比が200を超えると、マイクロ繊維セルロースに対して樹脂粉末が大きすぎるため、乾燥の過程で繊維同士の間に樹脂粉末が入り込めず、樹脂粉末の介在による凝集防止の効果が発揮できなくなるおそれがある。本形態のマイクロ繊維セルロースであれば、樹脂粉末の平均粒子径は好ましくは1~2000μm、より好ましくは10~1500μm、さらにより好ましくは100~1000μmである。この範囲であれば、乾燥させたマイクロ繊維セルロースの凝集化を抑制でき好ましい。
無水マレイン酸変性ポリプロピレンの重量平均分子量は、例えば1,000~100,000、好ましくは3,000~50,000である。
また、無水マレイン酸変性ポリプロピレンの酸価は、0.5mgKOH/g以上、100mgKOH/g以下が好ましく、1mgKOH/g以上、50mgKOH/g以下がより好ましい。
さらに、酸変性樹脂粉末のMFR(メルトフローレート)が2000g/10分(190℃/2.16kg)以下であるのが好ましく、1500g/10分以下であるのがより好ましく、500g/10分以下であるのが特に好ましい。MFRが2000g/10分を上回ると、セルロース繊維の分散性が低下する可能性がある。
なお、酸価の測定は、JIS-K2501に準拠し、水酸化カリウムで滴定する。また、MFRの測定は、JIS-K7210に準拠し、190℃で2.16kgの荷重を載せ、10分間に流れ出る試料の重量で決める。
なお、マイクロ繊維セルロースと混合して固形物を形成するのに用いる樹脂粉末と、マイクロ繊維セルロース固形物を混練するときに混合する樹脂ペレットとは平均粒子径が異なり、樹脂粉末は樹脂ペレットよりも平均粒子径が小さいものであることが好ましい。また、樹脂粉末と樹脂ペレットは同一の樹脂化合物を用いてもよいし、異なる樹脂化合物を用いてもよい。
本実施形態のマイクロ繊維セルロース固形物は、樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースとの配合比が好ましくは6:94~94:6、より好ましくは10:90~90:10である。この範囲を逸脱すると、樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースが固形物化しにくく、あるいはマイクロ繊維セルロース固形物が容易に崩壊してしまうおそれがある。
(分散剤)
本形態の樹脂粉末とセルロース繊維固形物を有する混合物は、好ましくは分散剤を含有する。分散剤としては、芳香族類にアミン基及び/又は水酸基を有する化合物、脂肪族類にアミン基及び/又は水酸基を有する化合物が好ましい。
芳香族類にアミン基及び/又は水酸基を有する化合物としては、例えば、アニリン類、トルイジン類、トリメチルアニリン類、アニシジン類、チラミン類、ヒスタミン類、トリプタミン類、フェノール類、ジブチルヒドロキシトルエン類、ビスフェノールA類、クレゾール類、オイゲノール類、没食子酸類、グアイアコール類、ピクリン酸類、フェノールフタレイン類、セロトニン類、ドーパミン類、アドレナリン類、ノルアドレナリン類、チモール類、チロシン類、サリチル酸類、サリチル酸メチル類、アニスアルコール類、サリチルアルコール類、シナピルアルコール類、ジフェニドール類、ジフェニルメタノール類、シンナミルアルコール類、スコポラミン類、トリプトフォール類、バニリルアルコール類、3-フェニル‐1-プロパノール類、フェネチルアルコール類、フェノキシエタノール類、ベラトリルアルコール類、ベンジルアルコール類、ベンゾイン類、マンデル酸類、マンデロニトリル類、安息香酸類、フタル酸類、イソフタル酸類、テレフタル酸類、メリト酸類、ケイ皮酸類などが挙げられる。
また、脂肪族類にアミン基及び/又は水酸基を有する化合物としては、例えば、カプリルアルコール類、2-エチルヘキサノール類、ペラルゴンアルコール類、カプリンアルコール類、ウンデシルアルコール類、ラウリルアルコール類、トリデシルアルコール類、ミリスチルアルコール類、ペンタデシルアルコール類、セタノール類、ステアリルアルコール類、エライジルアルコール類、オレイルアルコール類、リノレイルアルコール類、メチルアミン類、ジメチルアミン類、トリメチルアミン類、エチルアミン類、ジエチルアミン類、エチレンジアミン類、トリエタノールアミン類、N,N-ジイソプロピルエチルアミン類、テトラメチルエチレンジアミン類、ヘキサメチレンジアミン類、スペルミジン類、スペルミン類、アマンタジン類、ギ酸類、酢酸類、プロピオン酸類、酪酸類、吉草酸類、カプロン酸類、エナント酸類、カプリル酸類、ペラルゴン酸類、カプリン酸類、ラウリン酸類、ミリスチン酸類、パルミチン酸類、マルガリン酸類、ステアリン酸類、オレイン酸類、リノール酸類、リノレン酸類、アラキドン酸類、エイコサペンタエン酸類、ドコサヘキサエン酸類、ソルビン酸類などが挙げられる。
以上の分散剤は、セルロース繊維同士の水素結合を阻害する。したがって、粉末樹脂とマイクロ繊維セルロースを有する混合物に分散剤が含まれていると、当該混合物においてマイクロ繊維セルロース相互の凝集化が抑制され、マイクロ繊維セルロース固形物とした場合においても、マイクロ繊維セルロースと樹脂粉末が均一に混合された状態が維持される。
なお、マイクロ繊維セルロース及び樹脂ペレットの混練に際して、別途、相溶剤(薬剤)を添加することも考えられるが、この段階で薬剤を添加するよりも、予めマイクロ繊維セルロースと分散剤(薬剤)を混合してマイクロ繊維セルロース固形物としておく方が、マイクロ繊維セルロースに対する薬剤の纏わりつきが均一になり、樹脂との相溶性の向上効果が高くなる。
また、例えば、ポリプロピレンは融点が160℃であり、したがってマイクロ繊維セルロース及び樹脂ペレットの混練は、例えばそれよりも高温で行う。しかるに、この状態で分散剤(液)を添加すると、一瞬で乾燥してしまう。そこで、融点の低い樹脂ペレットを使用してマスターバッチ(マイクロ繊維セルロースの濃度の濃い複合樹脂)を作製し、その後に通常の樹脂ペレットを混練機に供給して、マイクロ繊維セルロースの濃度を下げる方法が存在する。しかしながら、融点の低い樹脂は一般的に強度が低い。したがって、当該方法によると、複合樹脂の強度が下がるおそれがある。
分散剤の混合量は、マイクロ繊維セルロース100質量部に対して、好ましくは0.1~1,000質量部、より好ましくは1~500質量部、特に好ましくは10~200質量部である。分散剤の混合量が0.1質量部を下回ると、樹脂強度の向上が十分ではないとされるおそれがある。他方、混合量が1,000質量部を上回ると、過剰となり樹脂強度が低下する傾向となる。
この点、前述した酸変性樹脂粉末は酸基とマイクロ繊維セルロースのカルバメート基とがイオン結合することで相溶性を向上し、もって補強効果を上げるためのものであり、分子量が大きいため樹脂とも馴染み易く、強度向上に寄与していると考えられる。一方、上記の分散剤は、マイクロ繊維セルロース同士の水酸基同士の間に介在して凝集を防ぎ、もって樹脂中での分散性を向上するものであり、また、分子量が酸変性樹脂に比べ小さいため、酸変性樹脂が入り込めないようなマイクロ繊維セルロース間の狭いスペースに入ることができ、分散性を向上して強度向上する役割を果たす。以上のような観点から、上記酸変性樹脂の分子量は、分散剤の分子量の2~2,000倍、好ましくは5~1,000倍であると好適である。
(相互作用しない粉末)
本形態のマイクロ繊維セルロース固形物には、マイクロ繊維セルロースと相互作用しない粉末を含む。マイクロ繊維セルロース固形物が相互作用しない粉末を含むことで、マイクロ繊維セルロースを樹脂の補強性を発揮できる形態とすることができる。この点、本形態においては、マイクロ繊維セルロースを樹脂ペレットと複合化する前に、含有水分率が所定の範囲になるようにマイクロ繊維セルロース固形物を乾燥させる処理を行ってもよい。しかしながら、乾燥させる際にセルロース同士が水素結合により不可逆的に凝集し、繊維としての補強効果を十分に発揮できなくなる可能性がある。そこで、マイクロ繊維セルロースと共に相互作用しない粉末が含まれていることで、マイクロ繊維セルロース固形物においてセルロース同士の水素結合が物理的に阻害される利点がある。相互作用しない粉末は、例えば、水分散系にある樹脂とマイクロ繊維セルロースを有する混合物に追加して配合し、混合物とするとよい。
ここで、相互作用しないとは、セルロースと共有結合、イオン結合、金属結合による強固な結合をしないことを意味する(つまり、水素結合、ファンデルワールス力による結合は相互作用しないという概念に含まれる。)。好ましくは、強固な結合は、結合エネルギーが100kJ/molを超える結合である。
相互作用しない粉末は、好ましくは、樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースを有する混合物中で共存した際に、セルロース繊維の持つ水酸基を水酸化物イオンへ解離させる作用の少ない無機粉末を例示できる。かかる物性を有すると、マイクロ繊維セルロース固形物とした後に樹脂ペレット等と複合化した際に、セルロース繊維と、セルロース繊維と相互作用しない粉末を樹脂等へ容易に分散することができるようになる。また、特に無機粉末であると、操業上有利である。具体的には、マイクロ繊維セルロース固形物の含有水分率調節方法としては、例えば、熱源である金属ドラムに水分散体(マイクロ繊維セルロースや樹脂粉末、相互作用しない粉末の混合液)を直接あてる方法で乾燥(例えば、ヤンキードライヤーやシリンダードライヤーによる乾燥等。)する方法と、熱源に水分散体を直接触れさせずに加温する方法、つまり空気中で乾燥(例えば、恒温乾燥機による乾燥等。)する方法とが存在する。
相互作用しない粉末の平均粒子径は、1~10,000μmが好ましく、10~5,000μmがより好ましく、100~1,000μmが特に好ましい。平均粒子径が10,000μmを超えると、スラリー状のマイクロ繊維セルロースから水系媒体を除去する際に、セルロース繊維同士の間隙に入って凝集を阻害する効果が発揮できないおそれがある。他方、平均粒子径が1μm未満であると、微細なためにマイクロ繊維セルロース同士の水素結合を阻害することができないおそれがある。
本明細書において、相互作用しない粉末の平均粒子径は、粉体をそのまま又は水分散体の状態で粒度分布測定装置(例えば株式会社堀場製作所のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を用いて測定される体積基準粒度分布から算出される中位径である。
無機粉末としては、例えば、Fe、Na、K、Cu、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、Ti、ケイ素元素等の周期律表第I族~第VIII族中の金属元素の単体、酸化物、水酸化物、炭素塩、硫酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、これらの化合物よりなる各種粘土鉱物等を例示することができる。具体的には、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、酸化亜鉛、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ほう酸アルミニウム、アルミナ、酸化鉄、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、ワラストナイト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、シリカゲル、乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪砂、硅石、石英粉、珪藻土、ホワイトカーボン、ガラスファイバー等を例示することができる。これらの無機充填剤は、複数が含有されていてもよい。また、古紙パルプに含まれるものであってもよいし、製紙スラッジ中の無機物を再生したいわゆる再生填料等であってもよい。
ただし、製紙用の填料や顔料として好適に使用される炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、クレー、焼成クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウム及び再生填料等の中から選択される少なくとも1種以上の無機粉末を使用するのが好ましく、炭酸カルシウム、タルク、クレーの中からから選択される少なくとも1種以上を使用するのがより好ましく、軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムの少なくともいずれか一方を使用するのが特に好ましい。炭酸カルシウム、タルク、クレーを使用すると、樹脂等のマトリックスとの複合化が容易である。また、汎用的な無機材料であるため、用途の制限が生じることが少ないとのメリットがある。さらに、炭酸カルシウムは下記の理由から特に好ましい。軽質炭酸カルシウムを使用する場合は、粉末のサイズや形状を一定に制御しやすくなる。このため、セルロース繊維のサイズや形状に合わせて、間隙に入り込んでセルロース繊維同士の凝集を抑制する効果を生じやすくするようにサイズや形状を調整して、ピンポイントで効果を発揮しやすくできるメリットがある。また、重質炭酸カルシウムを使用すると、重質炭酸カルシウムが不定形であることから、スラリー中に様々なサイズの繊維が存在する場合でも、水系媒体除去時に繊維が凝集する過程において、間隙に入り込んでセルロース繊維同士の凝集を抑制することができるとのメリットがある。
相互作用しない粉末の配合量は、マイクロ繊維セルロースに対して、好ましくは1~9900質量%、より好ましくは5~1900質量%、特に好ましくは10~900質量%である。当該配合量が1質量%を下回ると、セルロース繊維の間隙に入って凝集抑制する作用が不足となるおそれがある。他方、当該配合量が9900質量%を上回ると、セルロース繊維としての機能を発揮できなくなるおそれがある。なお、相互作用しない粉末は、サーマルリサイクルに支障が出ない割合で配合するのが好ましい。
(製造方法)
マイクロ繊維セルロース及び樹脂粉末を有する混合物(マイクロ繊維セルロースの分散性を調節する場合は、分散剤、相互作用しない粉末等をさらに含む混合物)は、以下で詳細に説明するように、樹脂ペレットと混練するに先立って含有水分率を20%以下に乾燥させると好ましい。この乾燥した混合物は、通常、ペレット状になる。このペレット状の混合物は、所望のマイクロ繊維セルロース固形物に加工するため、好ましくは粉砕して粉状物にする。粉状物にすると、混合物を構成する物質相互に偏りがなくなるので、マイクロ繊維セルロース固形物が樹脂ペレットとの混練時に均質に混練作用を受け、得られるマイクロ繊維セルロース複合樹脂の着色が低減される。また、樹脂ペレットとの混練に際してマイクロ繊維セルロースから水分を除去するために過度に加熱する必要がなく、熱効率が良い。さらに、当該混合物に相互作用しない粉末や、分散剤が混合されている場合は、当該混合物を乾燥したとしても、マイクロ繊維セルロースが再分散しなくなるおそれが低い。
混合物は、乾燥するに先立って必要により脱水して脱水物にする。この脱水は、例えば、ベルトプレス、スクリュープレス、フィルタープレス、ツインロール、ツインワイヤーフォーマ、バルブレスフィルタ、センターディスクフィルタ、膜処理、遠心分離機等の脱水装置の中から1種又は2種以上を選択使用して行うことができる。
混合物、あるいは脱水物の乾燥は、例えば、ロータリーキルン乾燥、円板式乾燥、気流式乾燥、媒体流動乾燥、スプレー乾燥、ドラム乾燥、スクリューコンベア乾燥、パドル式乾燥、一軸混練乾燥、多軸混練乾燥、真空乾燥、攪拌乾燥等の中から1種又は2種以上を選択使用して行うことができる。
乾燥した混合物(乾燥物)は、粉砕して粉状物にするのが好ましい。乾燥物の粉砕は、例えば、ビーズミル、ニーダー、ディスパー、ツイストミル、カットミル、ハンマーミル等の中から1種又は2種以上を選択使用して行うことができる。
粉状物の平均粒子径は、好ましくは1~2000μm、より好ましくは10~1500μm、特に好ましくは100~1000μmである。粉状物の平均粒子径が2000μmを上回ると、圧縮して形成されたマイクロ繊維セルロース固形物が外力を受けると容易に崩れる。他方、粉状物の平均粒子径が1μmを下回ると、形成されたマイクロ繊維セルロース固形物の嵩密度が小さくなり過ぎる。
粉状物の平均粒子径の制御は、粉砕の程度を制御することのほか、フィルター、サイクロン等の分級装置を使用した分級によることができる。
混合物(マイクロ繊維セルロース混合物)の含有水分率は、20%以下、好ましくは1~20%、より好ましくは2~15%である。含有水分率が20%を超えると次工程の圧縮処理が困難となる。
含有水分率は、定温乾燥機を用いて、試料を105℃で6時間以上保持し質量の変動が認められなくなった時点の質量を乾燥後質量とし、下記式にて算出した値である。
含有水分率(%)=[(乾燥前質量-乾燥後質量)÷乾燥前質量]×100
(マイクロ繊維セルロース固形物)
マイクロ繊維セルロース固形物は、樹脂とマイクロ繊維セルロースを有する混合物が圧縮して形成されたものである。圧縮処理は、当該混合物に外圧を加える処理のことをいうが、例えば、粉粒状物に外圧をかけて圧縮し、ペレット状に造粒する装置を用いて行うことができる。当該装置としては、アースエンジニアリング社のバイオマスペレット製造装置、株式会社チヨダマシナリーのプレスペレッター、アプテジャパン社の木質ペレット製造装置、新興工機株式会社のバイオマスペレット製造装置、株式会社土佐テックのペレタイザー、WELHOUSE社のブリケッター、日鉄物産株式会社のブリケットマシンを例示できる。当該混合物は、当該装置に投入されることで圧縮されてペレット状のマイクロ繊維セルロース固形物になる。
マイクロ繊維セルロース固形物は、1個当たり、体積が6~4000mm3、かつ嵩密度が0.3~1.0g/cm3であると好ましく、体積が50~3000mm3、かつ嵩密度が0.4~0.8g/cm3であるとより好ましい。マイクロ繊維セルロース固形物の体積と嵩密度は相関し、体積と嵩密度のいずれか一方が上記範囲を逸脱すると、マイクロ繊維セルロース複合樹脂の生産性が向上する効果が奏されないおそれがある。例えば、当該マイクロ繊維セルロース固形物の嵩密度が上記範囲内であっても体積が6mm3を下回ると、細かすぎて混合物を圧縮した効果が期待できない。他方、同体積が4000mm3を上回ると、マイクロ繊維セルロース固形物を多数、容器に充填したときに相対的に隙間が形成されて嵩張ったり、混練機に投入しにくくなったりする。また、マイクロ繊維セルロース固形物の体積が上記範囲内であっても同嵩密度が1.0g/cm3を上回ると、混練したときに、マイクロ繊維セルロース固形物が硬く、相互に混じり合いにくい、又は混じり合ったとしても均質に混じり合うまでに多くの時間及びエネルギーを消費する。
嵩密度は、JIS K7365に準じて測定した値である。
マイクロ繊維セルロース固形物の形状は特に限定されないが、例えば球、楕円体、円柱、角柱、立方体、直方体、錐体、多面体、ひょうたん型等の幾何学的立体形状、又はこれらに近い形状やこれらの形状の組み合わせからなる形状を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
マイクロ繊維セルロース固形物は、水分含有率が20%以下であるとよく、好ましくは0~20%、より好ましくは1~15%、さらに好ましくは2~10%であるとよい。当該水分含有率が20%を超えると、混練機で加熱する過程で水蒸気爆発が頻発するおそれがある。マイクロ繊維セルロース混合物に圧縮処理を行うと、マイクロ繊維セルロースに含まれている水分が絞り出されるので、水分含有率は、マイクロ繊維セルロース混合物よりもマイクロ繊維セルロース固形物のほうが低くなる。
なお、含有水分率が20%を超えると、溶融混練等で例えば180℃以上の高温に晒された際に、マイクロ繊維セルロースと高温水との接触が頻発し、マイクロ繊維セルロースの低分子化反応等が起こり、着色の要因となる低分子化合物が生成し、混練工程で低分子化合物による着色が進行すると考えられる。しかるに、カルバメート基の置換率が1mmol/g以上となるようにカルバメート化した場合においては、例えば、カルバメート化パルプの洗浄工程で着色原因物質が除去され、更に含有水分率を20%以下とすることで、高温水がマイクロ繊維セルロースと接触する前に蒸発させることが可能となり、着色を防止できるのである。
ちなみに、もともと存在する着色原因物質(ヘミセルロース等)が低分子化すると水溶化し、カルバメート化パルプの洗浄工程で着色原因物質を除去することが可能となる。着色原因物質がマイクロ繊維セルロースに残留すると、上記した高温水と着色原因物質とが接触して着色が顕著になるのである。
マイクロ繊維セルロース固形物について、樹脂粉末(樹脂粉末は、酸変性樹脂粉末であってもよいし、酸変性されていない樹脂粉末であってもよい。以下同様である。)の混合量は、マイクロ繊維セルロース100質量部に対して、好ましくは0.1~1000質量部、より好ましくは1~500質量部、特に好ましくは10~200質量部である。マイクロ繊維セルロース100質量部に対する樹脂粉末の混合量が0.1質量部を下回るとマイクロ繊維セルロース固形物が脆く形状を維持しにくい。他方、同混合量が1000質量部を上回ると、マイクロ繊維セルロース固形物の製造が困難になる傾向となる。
(混練)
従来、樹脂の補強材としてセルロース微細繊維を樹脂に混ぜて混練する際、前段階として原料パルプをセルロース微細繊維に解繊して、これを樹脂とともに混練機に供給する処理を行ってきた。しかしながら、解繊されて乾燥したセルロース微細繊維が、粉体の形状であるため、嵩張りが大きく、いわゆる飲み込み不良が起こり、多くの量を供給するのが困難であった。そのため、従来の粉体状試料では、例えばφ15mmの二軸押出機を用いた場合、吐出速度がおよそ0.1kg/h程度であった。また、混練機から排出されるセルロース微細繊維と樹脂を含む複合樹脂は、例えばストランド状に排出されるが、供給量を安定させることが困難な場合があり、結果、ストランドが脆かったり、安定したストランドとして排出されなかったり、或いは着色したりする場合があった。
他方、本態様は、混練機に供給する試料が樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースを含む所定の体積を有する固形物であるので、混練機への供給量が安定し、混練時の試料への熱伝導性に優れるので、混練によって形成されたストランドが安定し、従来みられた着色も少ないものとなる。
最終的に製造されるマイクロ繊維セルロース複合樹脂に含まれるマイクロ繊維セルロースの配合量を調節するために、混合処理において樹脂ペレットを追加して供給し、マイクロ繊維セルロース固形物ととともに混練することができる。混練処理に供される樹脂ペレットは、平均粒子径が好ましくは1~10mm、より好ましくは2~5mmであるとよい。当該平均粒子径が1mm未満だと軸に到達する前に溶融して壁面等に樹脂が付着し、付着した樹脂が後続の樹脂ペレットの供給を阻害する等により、定量的に混練に供されなくなるおそれがある。さらに、樹脂ペレット間の熱伝導性が良くなく溶融するまでに多くのエネルギーが消費される。当該平均粒子径が10mmを超えると樹脂ペレット間の熱伝導性が良くなく溶融するまでに多くのエネルギーが消費される、混練機に供給しづらい、熱伝導に偏りが発生し、溶融に時間を要する。
本形態における混練処理の温度は、樹脂ペレットのガラス転移点以上であり、樹脂ペレットの種類によって異なるが、100~220℃とするのが好ましく、130~210℃とするのがより好ましく、160~200℃とするのが特に好ましい。なお、混練処理では、樹脂ペレットが溶融するほか、マイクロ繊維セルロース固形物に含まれる樹脂粉末も溶融する。
本形態における混練処理は、例えばφ15mmの二軸押出機を用いた場合、好ましくは1.0~10.0kg/h、より好ましくは1.5~7.0kg/h、さらに好ましくは2.0~5.0kg/hの吐出速度になるように、マイクロ繊維セルロース固形物と樹脂を前記混練機に供給して行うものである。
混練処理には、例えば、単軸又は二軸以上の多軸混練機、多軸混錬押出機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。これらの中では、二軸以上の多軸混練機を使用することが好ましい。二軸以上の多軸混練機を2機以上、並列又は直列にして、使用しても良い。
樹脂ペレットに用いる樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、脂肪族ポリエステル樹脂や芳香族ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、メタアクリレート、アクリレート等のポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ただし、ポリオレフィン及びポリエステル樹脂の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましい。また、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレンを使用するのが好ましい。さらに、ポリエステル樹脂としては、脂肪族ポリエステル樹脂として、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等を例示することができ、芳香族ポリエステル樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等を例示することができるが、生分解性を有するポリエステル樹脂(単に「生分解性樹脂」ともいう。)を使用するのが好ましい。
生分解性樹脂としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル、カプロラクトン系脂肪族ポリエステル、二塩基酸ポリエステル等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルとしては、例えば、乳酸、リンゴ酸、グルコース酸、3-ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体や、これらのヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種を用いた共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除く上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体を使用するのが好ましく、ポリ乳酸を使用するのが特に好ましい。
この乳酸としては、例えば、L-乳酸やD-乳酸等を使用することができ、これらの乳酸を単独で使用しても、2種以上を選択して使用してもよい。
カプロラクトン系脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリカプロラクトンの単独重合体や、ポリカプロラクトン等と上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
二塩基酸ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
生分解性樹脂は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂等を使用することができる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
樹脂ペレットには、無機充填剤が、好ましくはサーマルリサイクルに支障が出ない割合で含有されていてもよい。
無機充填剤としては、例えば、Fe、Na、K、Cu、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、Ti、ケイ素元素等の周期律表第I族~第VIII族中の金属元素の単体、酸化物、水酸化物、炭素塩、硫酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、これらの化合物よりなる各種粘土鉱物等を例示することができる。
具体的には、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ほう酸アルミニウム、アルミナ、酸化鉄、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、クレーワラストナイト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、珪砂、硅石、石英粉、珪藻土、ホワイトカーボン、ガラスファイバー等を例示することができる。これらの無機充填剤は、複数が含有されていてもよい。また、古紙パルプに含まれるものであってもよい。
マイクロ繊維セルロースに対する樹脂ペレットの配合割合は、好ましくはマイクロ繊維セルロース1質量部に対して樹脂ペレットが0~10,000、より好ましくは0~100、さらに好ましくは0~40である。当該配合割合が上記範囲内であれば、樹脂組成物の強度、特に曲げ強度及び引張り弾性率の強度を著しく向上させることができる。
なお、最終的に得られるマイクロ繊維セルロース複合樹脂に含まれるマイクロ繊維セルロース及び樹脂の含有割合は、通常、マイクロ繊維セルロース及び樹脂(樹脂粉末及び樹脂ペレット)の配合割合と同じとなる。
マイクロ繊維セルロース及び樹脂の溶解パラメータ(cal/cm31/2(SP値)の差は、マイクロ繊維セルロースのSPMFC値、樹脂のSPPOL値とすると、SP値の差=SPMFC値-SPPOL値とすることができる。SP値の差は10~0.1が好ましく、8~0.5がより好ましく、5~1が特に好ましい。SP値の差が10を超えると、樹脂中でマイクロ繊維セルロースが分散せず、補強効果を得ることはできない可能性がある。他方、SP値の差が0.1未満であるとマイクロ繊維セルロースが樹脂に溶解してしまい、フィラーとして機能せず、補強効果が得られない。この点、樹脂(溶媒)のSPPOL値とマイクロ繊維セルロース(溶質)のSPMFC値の差が小さい程、補強効果が大きい。
なお、溶解パラメータ(cal/cm31/2(SP値)とは、溶媒-溶質間に作用する分子間力を表す尺度であり、SP値が近い溶媒と溶質であるほど、溶解度が増す。
(成形処理)
マイクロ繊維セルロース固形物及び樹脂の混練物は、必要により再度混練する等した後、所望の形状に成形することができる。この成形の大きさや厚さ、形状等は、特に限定されず、例えば、シート状、ペレット状、粉末状、繊維状等とすることができる。
成形処理の際の温度は、樹脂のガラス転移点以上であり、樹脂の種類によって異なるが、例えば90~260℃、好ましくは100~240℃である。
混練物の成形は、例えば、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等によることができる。また、混練物を紡糸して繊維状にし、前述した植物材料等と混繊してマット形状、ボード形状とすることもできる。混繊は、例えば、エアーレイにより同時堆積させる方法等によることができる。
混練物を成形する装置としては、例えば、射出成形機、吹込成形機、中空成形機、ブロー成形機、圧縮成形機、押出成形機、真空成形機、圧空成形機等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
以上の成形は、混練に続いて行うことも、混練物をいったん冷却し、破砕機等を使用してチップ化した後、このチップを押出成形機や射出成形機等の成形機に投入して行うこともできる。もちろん、成形は、本発明の必須の要件ではない。
(その他の組成物)
マイクロ繊維セルロースには、マイクロ繊維セルロースと共にセルロースナノファイバーが含まれていてもよい。セルロースナノファイバーは、マイクロ繊維セルロースと同様に微細繊維であり、樹脂の強度向上にとってマイクロ繊維セルロースを補完する役割を有する。ただし、可能であれば、微細繊維としてセルロースナノファイバーを含むことなくマイクロ繊維セルロースのみによる方が好ましい。なお、セルロースナノファイバーの平均繊維幅(平均繊維幅。単繊維の直径平均。)は、好ましくは4~100nm、より好ましくは10~80nmである。
また、マイクロ繊維セルロースには、パルプが含まれていてもよい。パルプは、セルロース繊維スラリーの脱水性を大幅に向上する役割を有する。ただし、パルプについてもセルロースナノファイバーの場合と同様に、配合しないのが、つまり含有率0質量%であるのが最も好ましい。
樹脂組成物には、微細繊維やパルプ等のほか、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花などの各種植物体から得られた植物材料に由来する繊維を含ませることもでき、含まれていてもよい。
樹脂組成物には、例えば、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤、ラジカル捕捉剤、発泡剤等の中から1種又は2種以上を選択して、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。これらの原料は、マイクロ繊維セルロースの分散液に添加しても、マイクロ繊維セルロース及び樹脂ペレットの混練の際に添加しても、これらの混練物に添加しても、その他の方法で添加してもよい。ただし、製造効率の面からは、マイクロ繊維セルロース及び樹脂ペレットの混練の際に添加するのが好ましい。
樹脂組成物には、ゴム成分として、エチレン-αオレフィン共重合エラストマー又はスチレン-ブタジエンブロック共重合体が含有されていてもよい。α-オレフィンの例としては、例えば、ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘキセン、メチル-ペンテン、オクテン、デセン、ドデセン等が挙げられる。
以上のようにして得たマイクロ繊維セルロース固形物(樹脂の補強材)は、樹脂ペレットと混練し、最終的にマイクロ繊維セルロース複合樹脂を得る。この混練は、例えば、ペレット状の樹脂と補強材とを混ぜ合わす方法によることのほか、樹脂ペレットをまず溶融し、この溶融物の中に補強材を添加するという方法によることもできる。なお、酸変性樹脂や分散剤等は、この段階においても追加的に添加することもできる。
(製造方法の一例)
マイクロ繊維セルロース複合樹脂の製造方法の一例を図1を参照しつつ説明する。まず、マイクロ繊維セルロース1を用意する。マイクロ繊維セルロース1は、セルロースの全部又は一部がカルバメート基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
マイクロ繊維セルロース1は混合工程s50に供される。混合工程s50では、マイクロ繊維セルロース1と樹脂2が混合器52に投入されて混ざり合い、混合物を得る工程である。混合物が均一に混合されたものとするため、混合器は直列に2台(混合器52,53)配置するとよい。
混合物は粉砕工程s60に供される。粉砕工程s60では、混合物は、粉砕機62に供給される。混合物は、粉砕機62で粉砕されて径が約1mm程度の粉体となる。
この粉体は、圧縮工程s70に供される。圧縮工程s70では、ペレタイザー72によって圧縮され、マイクロ繊維セルロース固形物に形成加工される。
マイクロ繊維セルロース固形物は、混練・ペレット化工程s80に供される。混練・ペレット化工程s80では、マイクロ繊維セルロース固形物が混練機81に供給されて混練され、マイクロ繊維セルロース複合樹脂となる。混練機81にマイクロ繊維セルロース固形物のほか、新たに樹脂ペレット82を供給して混練することもできる。樹脂ペレット82は、混練機81による混練処理の初期に供給してもよいが、混練処理がある程度進んだ段階で供給してもよい。ここで、混練処理がある程度進んだとは、例えばマイクロ繊維セルロース固形物を混練機81の試料初期供給部に供給してから、混練されてマイクロ繊維セルロース複合樹脂として同混練機81の排出部から排出されるまでに係る全時間の半分の時間ということができる。混練機81から排出されたマイクロ繊維セルロース複合樹脂は、ペレット化工程84によってペレット(マイクロ繊維セルロース複合樹脂)に加工され、包装工程91に送られ、包装されて最終生成物となる。
混練ペレット化工程s80で、混練機81にマイクロ繊維セルロース固形物のほか、新たに樹脂ペレット82を供給して混練する場合は、マイクロ繊維セルロース100質量部当たり、新たに供給するペレット樹脂82を0~10,000質量部とすると好ましく、0~1000質量部とするとより好ましい。新たに樹脂ペレット82を供給することで、マイクロ繊維セルロースの配合率を任意に調整できる効果が奏される。
混練・ペレット化工程s80は2回以上繰り返し行ってもよい。例えば1回目の混練・ペレット化工程s80を2回繰り返す場合は、1回目の混練・ペレット化工程s80では、マイクロ繊維セルロース固形物を混練機81に供給し、新たに樹脂ペレット82を供給せずに混練してマイクロ繊維セルロース複合樹脂を得る。そして、2回目の混練・ペレット化工程s80では、この得られたマイクロ繊維セルロース複合樹脂を再度混錬機81に供給し、混練過程でさらに新たに樹脂ペレット82を供給して混練し、マイクロ繊維セルロース複合樹脂(2回混練処理されたもの)を得るようにしてもよい。
(定義、測定方法等)
(平均繊維幅)
微細繊維(マイクロ繊維セルロース及びセルロースナノファイバー)の平均繊維幅の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%の微細繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維幅とする。
(アスペクト比)
アスペクト比とは、平均繊維長を平均繊維幅で除した値である。アスペクト比が大きいほど引っかかりが生じる箇所が多くなるため補強効果が上がるが、他方で引っかかりが多くなる分、樹脂の延性が低下するものと考えられる。
(保水度)
保水度は、JAPAN TAPPI No.26(2000)に準拠して測定した値である。
(繊維分析)
ファイン率(Fine率)、フィブリル化率、平均繊維長等は、バルメット社製の繊維分析計「FS5」によって測定した値である。
(結晶化度)
結晶化度は、JIS K 0131(1996)に準拠して測定した値である。
(粘度)
パルプ粘度は、TAPPI T 230に準拠して測定した値である。
(フリーネス)
フリーネスは、JIS P8121-2(2012)に準拠して測定した値である。
<評価試験1>
実施例では、樹脂とパルプシートを原料として、マイクロ繊維セルロース固形物、さらにはマイクロ繊維セルロース複合樹脂を製造し、評価試験を行った。試験操作の手順は次のとおりである。
手順(1)水分率50%のシート状針葉樹クラフトパルプ100質量部(絶乾)を、尿素50質量部と水100質量部からなる水溶液に含浸させて、含浸パルプを得た。含浸パルプを熱風乾燥機で105℃、24時間乾燥させて、水分率10%以下のパルプを得た。この水分率10%以下のパルプを1時間、熱風乾燥機による160℃の熱風に晒して、カルバメート化反応を促進させて、カルバメート化パルプを得た。カルバメート化率は表1に示すとおりである。
手順(2)カルバメート化パルプを離解機に供給して固形分濃度2%になるように水で希釈して離解し、パルプ分散液を得た。パルプ分散液に対して、脱水及び洗浄を2度繰り返して行い、スラリーを得た。スラリーをリファイナーでFineA率が所定の値になるように解繊を行い、マイクロ繊維セルロースを得た。マイクロ繊維セルロースを水に分散させ、固形分濃度が2.8質量%であるマイクロ繊維セルロース分散液とした。
手順(3)このマイクロ繊維セルロース分散液に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン粉末(MAPP)と、ポリプロピレン粉末(PP)を表1に示す配合比で添加して均質になるようにかき混ぜ、設定温度を105℃にした接触式乾燥機を用いて加熱して、水分を蒸発させ、樹脂(無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び/又はポリプロピレン)とマイクロ繊維セルロースからなる混合物を得た。当該混合物は、嵩密度が0.1g/cm3以下、含有水分率5~22%であった。なお、ポリプロピレン粉末は日本ポリプロ社のノバテックPPMA3ペレットを粉末状(500μm以下のふるい通過分、中位径123μm)に加工したものを、無水マレイン酸変性ポリプロピレン粉末はBYK社のSCONA9212FAをそれぞれ使用した。
手順(4)得られた混合物を圧縮機(土佐テック社製製品TS-55)で圧縮処理をし、樹脂とマイクロ繊維セルロースとで形成された固形物(マイクロ繊維セルロース固形物)を得た。当該マイクロ繊維セルロース固形物は、1個当たりの形状が径4.5mm、高さ25mmの円柱形状(体積およそ400mm3)であり、嵩密度、水分率が表1に示すものとなった。
手順(5)マイクロ繊維セルロース固形物を混練機(二軸混練押出機)に供給し、170℃、75rpmの条件で混練処理を行った。混練機への試料の供給は、吐出速度が表1になるように行った。その後、得られたマイクロ繊維セルロース複合樹脂をペレッターで径2mm、高さ2mmからなる円柱状に裁断した。
手順(6)マイクロ繊維セルロースの質量百分率が10%になるように、手順(5)で得られたマイクロ繊維セルロース複合樹脂と、ポリプロピレンペレットとを試料として混練機に供給し、180℃、200rpmの条件で混練処理を行った。得られたマイクロ繊維セルロース複合樹脂をペレッターで径2mm、高さ2mmからなる円柱状に裁断し、マイクロ繊維セルロースが10%含有するペレット(MFC10%配合ペレット)を得た。
手順(7)得られたマイクロ繊維セルロース複合樹脂ペレット(MFC10%配合ペレット)を材料にして、180℃で試験片に射出成形した。試験片は、長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mmからなる直方体形状であった。
以上、カルバメート化されたマイクロ繊維セルロースを含む複合樹脂の製造を説明したが、カルバメート化されていないマイクロ繊維セルロースを含む複合樹脂を製造する場合には、上記(1)の操作を行わず、(2)において、次の操作を行うとよい。針葉樹クラフトパルプを離解機に供給して固形分濃度2%になるように水で希釈して離解し、パルプ分散液を得た。パルプ分散液に対して、脱水及び洗浄を2度繰り返して行い、スラリーを得た。スラリーをリファイナーでFine率が所定の値になるように解繊を行い、マイクロ繊維セルロースを得た。マイクロ繊維セルロースを水に分散させ、固形分濃度が2.8質量%であるマイクロ繊維セルロース分散液とした。これ以降、上記(3)~(7)と同様の操作を行うことで、最終的に同様の試験片が得られる。
Figure 2023047589000003
試験片について曲げ弾性率をJIS K 7171:1994に準して測定した。表中に示す曲げ弾性率の評価は、試験片(複合樹脂の曲げ弾性率)の曲げ弾性率を樹脂自体の曲げ弾性率(1.4Gpa)で除して得られた数値が1.4倍以上であれば、「1.4倍以上」と記載し、1.4倍未満であれば、「1.4倍未満」と記載した。
<評価試験2>
次にマイクロ繊維セルロース固形物の硬さについての評価試験を行った。当該試験は乾いた固形物を試料とする乾式評価試験と、水に浸した固形物を試料とする湿式評価試験からなる。手順は次のとおりである。
<評価試験2 乾式評価試験>
上記、評価試験1手順(4)で得られたマイクロ繊維セルロース固形分を0.2g秤り取り、平らな机上に置き、当該固形分を覆うように1kg、5kg、10kg、20kg、30kgの重りのいずれかを当該固形分の上に静かに乗せ、10秒経過後に当該重りを除去し、当該固形分に崩壊が生じたかを確認した。結果を表2に示す。当該固形分は、30kgの重りでは形状に崩壊が発生したが、1~20kgの重りでは形状に崩壊が発生しなかった。当該マイクロ繊維セルロース固形分の組成は、質量比がカルバメート基で置換されたマイクロ繊維セルロース/MAPP無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂/ポリプロピレン樹脂=55/27.5/17.5となるように調整した。また、当該マイクロ繊維セルロース固形分は、円柱形であり、寸法が径4.5mm、高さ25mm以下であるものとした。
Figure 2023047589000004
<評価試験2 湿式評価試験>
上記、評価試験1手順(4)で得られたマイクロ繊維セルロース固形分を10g秤り取り、水500gとともに1Lビーカーに入れた。これを羽根付き撹拌機(アズワンセイトルネードSM104)又は家庭用ミキサーを用いて30秒間撹拌し、撹拌後静置させて、マイクロ繊維セルロース固形分に崩壊が発生したかについて確認した。攪拌は、300rpm、800rpm、10000rpmの回転数で行った。結果を表3に示す。当該固形分は、300rpm、800rpmの回転数では崩壊が確認されなかったが10000rpmの回転数では崩壊が確認された。当該マイクロ繊維セルロース固形分は、上記評価試験2 乾式評価試験で用いたものと同様の組成、形状、寸法のものを用いて行った。
Figure 2023047589000005
評価試験2に用いたマイクロ繊維セルロース固形分は、所定の容器に複数個詰めて運搬する際には崩壊が確認されず混練機に投入しやすく、かつ混錬機に投入された後は混練処理によって容易に崩壊する強度を備えたものであり、取り扱いが容易であった。
本発明は、マイクロ繊維セルロース固形物、マイクロ繊維セルロース複合樹脂、及びマイクロ繊維セルロース固形物の製造方法として利用可能である。

Claims (9)

  1. 樹脂粉末と、平均繊維幅が0.1~19μmのマイクロ繊維セルロースを有する混合物が、圧縮して形成されたものであり、
    体積が6~4,000mm3、かつ嵩密度が0.3~1.0g/cm3である、
    ことを特徴とするマイクロ繊維セルロース固形物。
  2. 前記混合物は、平均繊維幅が0.1~19μmであり、ヒドロキシ基の全部または一部がカルバメート基で置換されているマイクロ繊維セルロースを有するものである、
    請求項1に記載のマイクロ繊維セルロース固形物。
  3. 前記マイクロ繊維セルロースのカルバメート基による置換率が、0.5mmоl/g以上、2.0mmоl/g以下である、
    請求項2に記載のマイクロ繊維セルロース固形物。
  4. 前記樹脂粉末は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなるものである、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のマイクロ繊維セルロース固形物。
  5. 含有水分率が20%以下である、
    請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロ繊維セルロース固形物。
  6. 前記マイクロ繊維セルロースのファイン率が5%以上、80%以下である、
    請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロ繊維セルロース固形物。
  7. 前記マイクロ繊維セルロースは、原料パルプのリグニン含有率が1%以下である、
    請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクロ繊維セルロース固形物。
  8. 樹脂粉末と、平均繊維幅が0.1~19μmのマイクロ繊維セルロースを有する混合物を圧縮処理してマイクロ繊維セルロース固形物とする工程を有し、
    前記圧縮処理は、マイクロ繊維セルロース固形物が体積6~4,000mm3、かつ嵩密度0.3~1.0g/cm3となるように行う、
    ことを特徴とするマイクロ繊維セルロース固形物の製造方法。
  9. セルロース原料並びに尿素及び尿素の誘導体の少なくともいずれか一方を加熱処理してセルロースのヒドロキシル基の一部又は全部をカルバメート基で置換する工程と、
    セルロース原料を平均繊維幅が0.1~19μmとなる範囲に解繊する工程と、
    樹脂粉末とマイクロ繊維セルロースを有する混合物を圧縮処理してマイクロ繊維セルロース固形物とする工程とを有し、
    前記圧縮処理は、マイクロ繊維セルロース固形物が体積6~4,000mm3、かつ嵩密度0.3~1.0g/cm3となるように行うものである、
    ことを特徴とするマイクロ繊維セルロース固形物の製造方法。
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