JP2023046285A - 粘着シート、積層体、及び、電磁波を発信又は受信する装置 - Google Patents

粘着シート、積層体、及び、電磁波を発信又は受信する装置 Download PDF

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真理子 野田
Mariko Noda
徳之 内田
Noriyuki Uchida
泰志 石堂
Yasushi ISHIDO
良介 川原
Ryosuke Kawahara
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Abstract

【課題】伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用することができ、高温環境下でも被着体との界面に発泡が生じにくく、光学特性の変化も生じにくい粘着シート、並びに、該粘着シートが用いられた積層体、及び、電磁波を発信又は受信する装置を提供する。【解決手段】粘着剤層を有する粘着シートであって、前記粘着剤層は、水添スチレン系エラストマーを含有し、ゲル分率が30重量%以上であり、前記粘着シートは、周波数10GHzでの誘電正接が0.005以下、ガラスに対する90°剥離力が5N/25mm以上である粘着シート。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着シート、積層体、及び、電磁波を発信又は受信する装置に関する。
粘着テープ又はシートは多様な分野で広く用いられており、例えば、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistants、PDA)等の携帯電子機器の組み立てのために、或いは、車載用パネル等の車載用電子機器部品を車両本体に固定するために用いられている(例えば、特許文献1、2)。
特開2009-242541号公報 特開2009-258274号公報
近年、電子機器の分野ではより大容量のデータをより高速に送受信することが求められ、いわゆる第5世代移動通信システム(5G)の実用化も進められており、これに伴い、伝送信号の高周波数化が進められている。しかしながら、高周波数化により、伝送信号の減衰量(「伝送損失」という)が大きくなるという問題が生じている。
電子機器に用いられる粘着テープ又はシートとしても、このような伝送損失を抑えることができる粘着テープ又はシートが求められている。特に、例えば、小型アンテナ基地局、車載用アンテナ等のアンテナにおいては、近年、フィルム化が進みつつある。このようなアンテナフィルムの内部の部材間の貼り合わせ、アンテナフィルムと他の部材との貼り合わせ等に用いられる粘着テープ又はシートとしても、伝送損失を抑えることができ、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用できる粘着テープ又はシートが求められている。
本発明は、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用することができ、高温環境下でも被着体との界面に発泡が生じにくく、光学特性の変化も生じにくい粘着シート、並びに、該粘着シートが用いられた積層体、及び、電磁波を発信又は受信する装置を提供することを目的とする。
本開示1は、粘着剤層を有する粘着シートであって、前記粘着剤層は、水添スチレン系エラストマーを含有し、ゲル分率が30重量%以上であり、前記粘着シートは、周波数10GHzでの誘電正接が0.005以下、ガラスに対する90°剥離力が5N/25mm以上である、粘着シートである。
本開示2は、前記水添スチレン系エラストマーが、芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体である、本開示1の粘着シートである。
本開示3は、前記粘着剤層が、更に、二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)を含有する、本開示1又は2の粘着シートである。
本開示4は、前記粘着剤層が、更に、粘着付与樹脂を含み、前記粘着付与樹脂が二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)のみからなる、本開示1、2又は3の粘着シートである。
本開示5は、前記芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体が、一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体である、本開示2、3又は4の粘着シートである。
A:芳香族アルケニル重合体ブロック
B:共役ジエン重合体ブロック
C:カップリング剤に由来する成分
n:3以上の整数
本開示6は、前記水添スチレン系エラストマーが、重量平均分子量(Mw)が20万以上である、本開示1、2、3、4又は5の粘着シートである。
本開示7は、前記水添スチレン系エラストマーが、スチレン含有量が30重量%以下である、本開示1、2、3、4、5又は6の粘着シートである。
本開示8は、前記粘着剤層が、前記水添スチレン系エラストマー100重量部に対して15重量部以下のアクリル系モノマーを含有する、本開示1、2、3、4、5、6又は7の粘着シートである。
本開示9は、基材を有さない、本開示1、2、3、4、5、6、7又は8の粘着シートである。
本開示10は、周波数1GHz以上の電磁波を発信又は受信する装置に用いられる、本開示1、2、3、4、5、6、7、8又は9の粘着シートである。
本開示11は、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体の内部の部材間の貼り合わせに用いられる、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の粘着シートである。
本開示12は、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体と他の部材との貼り合わせに用いられる、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の粘着シートである。
本開示13は、粘着剤層を有する粘着シートであって、前記粘着剤層は、水添スチレン系エラストマーを含有し、ゲル分率が30重量%以上であり、前記粘着シートは、周波数10GHzでの誘電正接が0.002以下、ガラスに対する90°剥離力が5N/25mm以上であり、前記粘着剤層は、更に、粘着付与樹脂を含み、前記粘着付与樹脂は二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)のみからなり、前記水添スチレン系エラストマーは、芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体であり、前記芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体は、一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体である、粘着シートである。
A:芳香族アルケニル重合体ブロック
B:共役ジエン重合体ブロック
C:カップリング剤に由来する成分
n:3以上の整数
本開示14は、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13の粘着シートと導電パターンが形成されたフィルムとを含む、積層体である。
本開示15は、本開示14の積層体を含む、電磁波を発信又は受信する装置である。
以下、本発明を詳述する。
伝送損失は周波数に比例して大きくなるため、伝送信号が高周波数化すると、伝送損失が大きくなることは避けられない問題である。高周波数帯(例えば、1~80GHz付近)での伝送損失を抑えるためには、例えば、高周波数帯での誘電特性に優れた粘着シートを用いることが考えられる。即ち、伝送損失は、周波数に加えて、導通部分の周辺に存在する絶縁性部分の「誘電率」及び「誘電正接」にも影響されるため、高周波数帯において誘電率及び/又は誘電正接が小さい粘着シートを用いることで、伝送損失を抑えることが期待される。
本発明者らは、粘着剤層を有する粘着シートにおいて、粘着剤層を構成するベース樹脂について検討した結果、水添スチレン系エラストマーが高周波数帯での誘電特性に優れること、即ち、高周波数帯において誘電率及び誘電正接が小さいことを見出した。なお、これまでに、水添スチレン系エラストマーの高周波数帯での誘電特性についての知見はほとんど得られていなかった。
一方、例えば、小型アンテナ基地局、車載用アンテナ等のアンテナは、屋外で使用されることが多いため、アンテナフィルムの内部の部材間の貼り合わせ、アンテナフィルムと他の部材との貼り合わせ等に用いられる粘着シートは、高温(120℃程度)に晒されることになる。粘着シートを高温に晒した場合、被着体からアウトガスが発生したり、被着体との密着が不充分で被着体と粘着シートとの間に入り込んだ微小気泡が高温で大きくなったりすることで、被着体と粘着シートとの界面に発泡が生じることがあり、また、黄変等の光学特性の変化が生じることもあり、これらの結果、外観が損なわれるという問題がある。被着体と粘着シートとの界面に発泡が生じると、高周波数帯での誘電特性が変化し、信号の伝送に悪影響を及ぼすこともある。
本発明者らは、粘着剤層を有する粘着シートにおいて、粘着剤層に水添スチレン系エラストマーを用いることに加えて、粘着剤層のゲル分率、粘着シートの周波数10GHzでの誘電正接、及び、粘着シートのガラスに対する90°剥離力を特定範囲に調整することを検討した。本発明者らは、このような粘着シートであれば、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用することができ、高温環境下でも被着体との界面に発泡が生じにくく、光学特性の変化も生じにくいことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有する。
上記粘着剤層は、水添スチレン系エラストマーを含有する。上記水添スチレン系エラストマーは、例えばアクリル系ポリマー等と比べて、高周波数帯において誘電率及び誘電正接が小さい。このため、上記粘着剤層が上記水添スチレン系エラストマーを含有することで、粘着シートは、周波数10GHzでの誘電正接が後述する範囲を満たしやすくなり、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用できるものとなる。また、上記水添スチレン系エラストマーは、非水添スチレン系エラストマーに比べて二重結合(不飽和結合)の含有率が低いことから、上記粘着剤層が上記水添スチレン系エラストマーを含有することで、粘着シートは、非水添スチレン系エラストマーを含有する場合に比べて、高温環境下での光学特性の変化が生じにくくなる。
なお、水添スチレン系エラストマーとは、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位の二重結合(不飽和結合)のうち、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、更により好ましくは96%以上が水素添加により飽和結合に変換されているスチレン系エラストマーを意味する。水添スチレン系エラストマーは、部分水素添加体であってもよいし、完全水素添加体であってもよい。水素添加の比率(水素添加率)は、重水素化クロロホルムを溶媒として用い、20HzでのH-NMRスペクトルを測定して算出することができる。
上記水添スチレン系エラストマーは特に限定されないが、芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体であることが好ましい。
上記芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体は特に限定されず、室温でゴム弾性(rubber elasticity)を有し、ハードセグメント部分とソフトセグメント部分とを有するブロック共重合体の水素添加体であればよい。なお、上記芳香族アルケニル重合体ブロックがハードセグメント部分であり、上記共役ジエン重合体ブロックがソフトセグメント部分である。
上記芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体として、より具体的には例えば、一般式A-B-Aで表される構造を有するブロック共重合体の水素添加体、一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体等が挙げられる。
A:芳香族アルケニル重合体ブロック
B:共役ジエン重合体ブロック
C:カップリング剤に由来する成分
n:3以上の整数
なかでも、一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体が好ましい。上記一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体を含有することで、上記粘着剤層の粘着力が向上し、粘着シートのガラスに対する90°剥離力が後述する範囲を満たしやすくなる。また、上記一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体は、架橋が良好に進むため、上記粘着剤層のゲル分率が後述する範囲を満たしやすくなる。更に、上記粘着剤層の粘着力が向上することで粘着付与樹脂(特に、後述するような自己重合しやすい粘着付与樹脂(T2))の配合量を抑えることができることによっても、上記一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体の架橋が良好に進み、上記粘着剤層のゲル分率が後述する範囲を満たしやすくなる。このように粘着シートのガラスに対する90°剥離力が後述する範囲を満たしやすくなることと、上記粘着剤層のゲル分率が後述する範囲を満たしやすくなることとの両方により、高温環境下で被着体との界面に生じる発泡がより低減される。
上記Aで表される芳香族アルケニル重合体ブロックとは、芳香族アルケニル化合物に由来する繰り返し単位を有するブロックを意味する。
上記Aで表される芳香族アルケニル重合体ブロックは、芳香族アルケニル化合物に由来する繰り返し単位を有するブロックであればよく、エチレン、1,3-ブタジエン(水素添加によりエチレン-ブチレン構造に変換される)等の他の化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
上記芳香族アルケニル化合物としては、例えば、アルキルスチレン、ハロゲン化スチレン、ハロゲン置換アルキルスチレン、アルコキシスチレン、カルボキシアルキルスチレン、アルキルエーテルスチレン、アルキルシリルスチレン、ビニルベンジルジメトキシホスファイド、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。
上記アルキルスチレンとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、t-ブチルスチレン等が挙げられる。上記ハロゲン化スチレンとしては、例えば、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。上記ハロゲン置換アルキルスチレンとしては、例えば、クロロメチルスチレン等が挙げられる。上記アルコキシスチレンとしては、例えば、メトキシスチレン、エトキシスチレン等が挙げられる。上記カルボキシアルキルスチレンとしては、例えば、カルボキシメチルスチレン等が挙げられる。上記アルキルエーテルスチレンとしては、例えば、ビニルベンジルプロピルエーテル等が挙げられる。上記アルキルシリルスチレンとしては、例えば、トリメチルシリルスチレン等が挙げられる。
これらの芳香族アルケニル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレンが好ましく、工業的に入手しやすいことから、スチレンがより好ましい。
上記Bで表される共役ジエン重合体ブロックは、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位を有する。
上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-オクタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-シクロヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、重合反応性が高く、工業的に入手しやすいことから、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、上記共役ジエン化合物以外に利用可能なものとして、例えば、2,5-ジヒドロフラン-2,5-ジオンが挙げられる。
上記一般式A-B-Aで表される構造を有するブロック共重合体の水素添加体としては、具体的には例えば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)ブロック共重合体、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEEPS)等が挙げられる。また、上記一般式A-B-Aで表される構造を有するブロック共重合体の水素添加体には、スチレン-イソブチレン-スチレン(SIBS)ブロック共重合体も含まれる。なかでも、架橋が良好に進み、上記粘着剤層のゲル分率が後述する範囲を満たしやすくなることから、SEBSブロック共重合体が好ましい。
上記一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体は、カップリング剤に由来する成分(C)を中心にして、ハードセグメント1つとソフトセグメント1つとが結合したジブロック構造のスチレン系ブロック共重合体(A-B)が複数放射状に突出した構造を有する、分岐状スチレン系ブロック共重合体である。
nは3以上の整数であればよいが、上記粘着剤層の粘着力が向上することから、nは4以上が好ましい。nの上限は特に限定されないが、上記一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体のゲル化を抑制する観点から、通常8以下である。
上記Cで表されるカップリング剤に由来する成分の原料となるカップリング剤は、上記ジブロック構造のスチレン系ブロック共重合体(A-B)を放射状に結合させる多官能性化合物である。
上記カップリング剤としては、ハロゲン化シラン、アルコキシシラン等のシラン化合物や、ハロゲン化スズ等のスズ化合物や、ポリカルボン酸エステル、エポキシ化大豆油等のエポキシ化合物や、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリルエステルや、エポキシシラン、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物等が挙げられる。より具体例には、例えば、トリクロロシラン、トリブロモシラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラクロロスズ、ジエチルアジペート等が挙げられる。
上記一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体は、上記Aで表される芳香族アルケニル重合体ブロックの含有量が5重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。上記Aで表される芳香族アルケニル重合体ブロックの含有量が上記範囲であることで、上記粘着剤層の粘着力がより向上する。粘着力をより向上させる観点から、上記一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体における上記Aで表される芳香族アルケニル重合体ブロックの含有量のより好ましい下限は8重量%、より好ましい上限は25重量%であり、更に好ましい下限は9重量%、更に好ましい上限は20重量%である。
上記水添スチレン系エラストマーのスチレン(St)含有量は特に限定されないが、好ましい上限は30重量%である。上記スチレン含有量が30重量%以下であれば、上記粘着剤層が適度な粘着力を有するとともに、粘着シートの周波数10GHzでの誘電正接が後述する範囲を満たしやすくなる。上記スチレン含有量のより好ましい上限は20重量%である。上記スチレン含有量の下限は特に限定されないが、上記粘着剤層の凝集力を維持する観点から、好ましい下限は8重量%である。
なお、スチレン含有量は、重合前の、芳香族アルケニル化合物のモノマーの仕込み重量比に由来する。即ち、スチレン含有量は、(芳香族アルケニル化合物のモノマー重量)/(芳香族アルケニル化合物のモノマー重量+共役ジエン化合物のモノマー重量)である。
また、H-NMRにより測定される、ブロック共重合体の各ブロックのピーク面積比からスチレン含有量のモル比を算出することができる。スチレン含有量(モル比)は、上記のスチレン含有量(モノマーの仕込み重量比)とは異なるが、例えばSEBSの場合、以下の傾向がある。スチレン含有量(モノマーの仕込み重量比)10重量%の場合はスチレン含有量(モル比)は4~7.9モル%、スチレン含有量(モノマーの仕込み重量比)15重量%の場合はスチレン含有量(モル比)は8~9.9モル%。スチレン含有量(モノマーの仕込み重量比)20重量%の場合はスチレン含有量(モル比)は10~15モル%、スチレン含有量(モノマーの仕込み重量比)30重量%の場合はスチレン含有量(モル比)は15~20モル%。従って、モノマーの仕込み重量比が不明な場合には、H-NMRにより測定される各ブロックのピーク面積比から得たスチレン含有量のモル比から予測することができる。
なお、汎用品を使用する場合にはカタログにスチレン含有量が記載されているため、その値をスチレン含有量とする。
上記水添スチレン系エラストマーの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましい下限は20万、より好ましい下限は25万、更に好ましい下限は28万である。上記重量平均分子量(Mw)が20万以上であれば、上記粘着剤層の粘着力が向上するとともに、粘着シートの周波数10GHzでの誘電正接が後述する範囲を満たしやすくなる。上記重量平均分子量(Mw)の上限は特に限定されず、大きければ大きいほど上記粘着剤層の粘着力を高めることができるが、上記重量平均分子量(Mw)が大きいほど粘度が上がるため実質生産できるのは70万程度が限度である。
なお、水添スチレン系エラストマーの重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される重量平均分子量(Mw)を意味する。GPC法による重量平均分子量(Mw)の測定は、例えば、以下の方法により行うことができる。
水添スチレン系エラストマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶かした溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過してGPC検液を得る。GPCシステムとしてWaters社製「ACQUITYTM Advanced Polymer ChromatographyTM System」を、GPCカラムとしてWaters社製「HSPgelTM HR MB-M(6.0mm×150mm)」を、検出器として示差屈折率検出器を使用して、GPC測定を行う。試料注入量は20mg/mL溶液10μL、流速は0.5mL/分、カラム温度は40℃とする。解析ソフトとしては装置付属のEmpower3を使用する。標品としてポリスチレン(ピークトップ分子量:2110000、1090000、427000、190000、37900、18100、5970、2420、500)(東ソー社製)を用いる。標品としてポリスチレンを測定し、解析ソフトで溶出量をポリスチレン分子量に換算する検量線を作成して解析し、この検量線を用いてGPC溶出容量から重量平均分子量(Mw)を換算する。
上記水添スチレン系エラストマーの含有量は特に限定されないが、上記粘着剤層を構成するベース樹脂100重量部に占める割合の好ましい下限は80重量部である。上記割合が80重量部以上であれば、粘着シートの高温環境下での光学特性の変化がより生じにくくなるとともに、粘着シートの周波数10GHzでの誘電正接が後述する範囲を満たしやすくなる。上記割合のより好ましい下限は90重量部である。上記割合の上限は特に限定されず、100重量部であってもよい。即ち、上記粘着剤層を構成するベース樹脂が上記水添スチレン系エラストマーのみであってもよい。
上記粘着剤層は、更に、粘着付与樹脂を含有することが好ましい。
上記粘着付与樹脂を含有することで、上記粘着剤層の粘着力が向上し、粘着シートのガラスに対する90°剥離力が後述する範囲を満たしやすくなり、高温環境下で被着体との界面に生じる発泡がより低減される。
上記粘着付与樹脂は特に限定されず、二重結合(不飽和結合)を有さない粘着付与樹脂(T1)であってもよいし、二重結合及び芳香環からなる群より選択される少なくとも1つを有する粘着付与樹脂(T2)であってもよい。これらの粘着付与樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)を含むことが好ましく、上記粘着付与樹脂において粘着付与樹脂(T1)の比率が80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましく、粘着付与樹脂が二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)のみからなることが特に好ましい。
上記二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)は高周波数帯において誘電率及び誘電正接がより小さいことから、上記粘着剤層が上記二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)を含有することで、粘着シートの周波数10GHzでの誘電正接が後述する範囲を満たしやすくなる。また、上記二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)は、上記二重結合及び芳香環からなる群より選択される少なくとも1つを有する粘着付与樹脂(T2)と比べて、自己重合しにくい。このため、上記粘着剤層が上記二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)を含有することで、上記水添スチレン系エラストマーの架橋が良好に進むため、上記粘着剤層のゲル分率が後述する範囲を満たしやすくなり、高温環境下で被着体との界面に生じる発泡がより低減される。
上記二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)のSP値は特に限定されないが、高周波数帯において誘電率及び誘電正接が更により小さくなることから、好ましい上限が9.0であり、より好ましい上限が8.5である。上記二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)のSP値の下限は特に限定されないが、一般的な粘着付与樹脂のSP値を考慮すると、実質的な下限は7.5程度である。
本明細書中、SP値とは、Hildebrandの正則溶液の理論に基づき定められる、多成分系での各成分の活量を定めるパラメーターであって、下記式(I)によりHoyの定数を用いてSmall法により算出されるSP値を意味する。
SP値(δ)=d*(ΣG)/M (I)
(d:密度(g/ml)、G:Hoyの各官能基の分子引力定数、M:分子量(g/mol))
なお、SP値の算出方法については、以下の参考文献に記載されている。
K.L.Hoy,New values of the solubility parameters from vapor pressure data,J.Paint Techn.,Vol.42,No.541,p.76(1970);K.L.Hoy,The Hoy tables of solubilty parameters,Union Carbide Corp.,1985;K.L.Hoy,Solubility Parameters as a design parameter for water borne polymers and coatings.Preprints 14th Int.Conf.Athene,1988.;K.L.Hoy,J.Coated Fabrics,19,p.53(1989).
上記二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)として、例えば、水添C5系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、水添C9系石油樹脂、水添C9芳香族樹脂、水添αメチルスチレン樹脂、超淡色ロジンエステル等が挙げられる。
上記二重結合及び芳香環からなる群より選択される少なくとも1つを有する粘着付与樹脂(T2)として、例えば、テルペン、芳香族変性テルペン、芳香族変性水添テルペン、テルペンフェノール、水添テルペンフェノール、ロジンエステル、ロジンフェノール、スチレン共重合体粘着付与樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5脂肪族樹脂、 C9 芳香族樹脂、純C9モノマー樹脂等が挙げられる。なかでも、スチレン共重合体粘着付与樹脂と比べると上記水添スチレン系エラストマーと相溶しやすく、粘着シートのガラスに対する90°剥離力が後述する範囲を満たしやすくなることから、テルペン、芳香族変性テルペン、及び、ロジンエステルが好ましく、テルペンがより好ましい。
上記粘着付与樹脂の軟化点は特に限定されないが、好ましい下限は80℃である。上記軟化点が80℃以上であれば、上記粘着剤層の高温での粘着力が向上し、高温環境下で被着体との界面に生じる発泡がより低減される。より高温での粘着力が向上することから、上記軟化点のより好ましい下限は90℃であり、更に好ましい下限は100℃である。上記軟化点の上限は特に限定されないが、使用される温度を考慮すると140℃であることが好ましい。
なお、上記軟化点はJIS K2207に準じた方法で測定することができる。
上記粘着付与樹脂の含有量は特に限定されないが、上記水添スチレン系エラストマー100重量部に対する好ましい下限が20重量部、好ましい上限が80重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量が20重量部以上であれば、上記粘着剤層の粘着力がより向上する。上記粘着付与樹脂の含有量が80重量部以下であれば、上記粘着剤層が上記粘着付与樹脂を含有していても上記水添スチレン系エラストマーの架橋が良好に進み、上記粘着剤層のゲル分率が後述する範囲を満たしやすくなる。上記粘着付与樹脂の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は70重量部である。
上記粘着剤層は、更に、軟化剤を含有していてもよい。
上記軟化剤を含有することで、上記粘着剤層の粘着力がより向上する。上記軟化剤としては、例えば、ポリブテン、n-ブテン-イソブチレン共重合体、ポリイソプレン、パラフィン系オイル等が挙げられる。なかでも、上記水添スチレン系エラストマーとよく相溶することから、ポリブテンが好ましい。
一方で、上記軟化剤を使用すると、上記粘着剤層の高温での粘着特性が低下する。従って、使用するベース樹脂の性能、架橋度等に応じて上記軟化剤の配合量を調整する必要があり、単体でも室温の粘着力を発揮できるベース樹脂を使用する場合には、上記軟化剤の配合量は少ないほうがよい。即ち、上記軟化剤の配合量の下限は特に限定されず、0重量部であってもよい。なお、ベース樹脂とは、上記粘着剤層を構成する、上記粘着付与樹脂及び上記軟化剤以外の樹脂のうち、最も配合量の多い樹脂を指す。
上記粘着剤層は、更に、(メタ)アクリル系モノマーを含有していてもよい。
上記(メタ)アクリル系モノマーはラジカル化しやすいことから、上記粘着剤層が上記(メタ)アクリル系モノマーを含有することで、上記水添スチレン系エラストマーの架橋が良好に進み、上記粘着剤層のゲル分率が後述する範囲を満たしやすくなる。
上記(メタ)アクリル系モノマーは特に限定されず、(メタ)アクリル共重合体を構成するモノマーとして一般的に用いられる(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。上記(メタ)アクリル系モノマーの官能基数は特に限定されず、2官能、3官能、4官能、5官能、6官能等のいずれであってもよい。
上記(メタ)アクリル系モノマーとして、具体的には例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル系モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。効率的に架橋しやすい観点から、上記の(メタ)アクリル酸エステルのなかでも、メタクリル酸エステルが好ましい。なかでも、上記水添スチレン系エラストマーとの相溶性が良好であり、効率的に架橋すること、及び、誘電特性への影響が小さいことから、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
上記アクリル系モノマーの含有量は特に限定されないが、上記水添スチレン系エラストマー100重量部に対する好ましい上限が15重量部である。上記アクリル系モノマーの含有量が15重量部以下であれば、上記水添スチレン系エラストマーの架橋が良好に進み、上記粘着剤層のゲル分率が後述する範囲を満たしやすくなる。上記アクリル系モノマーの含有量のより好ましい上限は10重量部である。上記アクリル系モノマーの含有量の下限は特に限定されず、0重量部であってもよいが、好ましい下限は2重量部である。
上記粘着剤層は、ゲル分率の下限が30重量%である。
上記粘着剤層のゲル分率が30重量%以上であれば、粘着シートは、高温環境下でも被着体との界面に発泡が生じにくくなる。上記粘着剤層のゲル分率の好ましい下限は35重量%、より好ましい下限は40重量%、さらに好ましい下限は45重量%、特に好ましい下限は50重量%である。上記粘着剤層のゲル分率の上限は特に限定されないが、高すぎると粘着シートのガラスに対する90°剥離力が低下し、高温環境下で被着体との界面に発泡が生じやすくなることから、好ましい上限は70重量%である。
なお、粘着剤層のゲル分率は、例えば、次のようにして測定することができる。
粘着シートの離型フィルムを剥がし、50mm×25mmの平面長方形状に切断して試験片を作製し、試験片の重量Wを測定する。試験片をトルエン中に23℃にて24時間浸漬した後、200メッシュのステンレスメッシュを用いて試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量Wを測定し、下記式(1)によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:トルエン浸漬前の試験片の重量、W:トルエン浸漬、乾燥後の試験片の重量)
上記粘着剤層のゲル分率を上記範囲に調整する方法は特に限定されず、例えば、上記水添スチレン系エラストマー、必要に応じて配合される上記粘着付与樹脂等を架橋する方法、架橋に関わる上記水添スチレン系エラストマー、必要に応じて配合される上記粘着付与樹脂等の種類及び量を調整する方法等が挙げられる。また、架橋反応を引き起こす架橋反応開始剤、架橋を促進する架橋助剤等の種類及び量を調整する方法、架橋を促進するエネルギー源であるUV光の照射強度及び照射時間を調整する方法、電子線照射の照射強度、照射時間及び加速電圧を調整する方法、架橋阻害剤の種類及び量を調整する方法等も挙げられる。
上記架橋の方法は特に限定されず、例えば、上記水添スチレン系エラストマー、必要に応じて配合される上記粘着付与樹脂等に予め官能基を導入して化学的に架橋させる方法、上記水添スチレン系エラストマー、必要に応じて配合される上記粘着付与樹脂等にUV光を照射することにより架橋させる方法等が挙げられる。また、上記水添スチレン系エラストマー、必要に応じて配合される上記粘着付与樹脂等を電子線照射により架橋させる方法、上記水添スチレン系エラストマー、必要に応じて配合される上記粘着付与樹脂等に架橋性官能基を電子線照射によりグラフトさせた後、熱により架橋させる方法等も挙げられる。なかでも、化学的に架橋させる方法では官能基を導入する必要があり、該官能基に起因して粘着シートの周波数10GHzでの誘電正接が後述する範囲より大きくなりやすいことから、UV光を照射することにより架橋させる方法、及び、電子線照射により架橋させる方法が好ましく、電子線照射により架橋させる方法がより好ましい。
上記電子線照射により架橋させる方法における電子線照射強度は特に限定されないが、80kGy以上が好ましく、200kGy以上がより好ましく、350kGy以下が好ましい。
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は1μm、好ましい上限は300μmである。上記粘着剤層の厚みがこの範囲内であると、充分な粘着力と取り扱い性とを両立することができる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は2.5μm、より好ましい上限は200μmである。
本発明の粘着シートは、上記粘着剤層を有していれば、基材を有するサポートタイプであってもよく、基材を有さないノンサポートタイプであってもよい。なかでも、コスト、薄さ及び光学特性の観点、並びに、誘電正接をより低く抑える観点から、基材を有さないノンサポートタイプであることが好ましい。
本発明の粘着シートは、周波数10GHzでの誘電正接の上限が0.005である。これにより、本発明の粘着シートは、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用できるものとなる。上記周波数10GHzでの誘電正接の好ましい上限は0.002、より好ましい上限は0.001である。上記周波数10GHzでの誘電正接の下限は特に限定されず、低いほど好ましい。
なお、粘着シートの周波数10GHzでの誘電正接は、JIS C2565に準拠し、例えば、誘電率測定装置(例えば、エーイーティー社製、ADMS01Nc)を用いてTMモード共振器の測定モードにて測定することができる。
上記周波数10GHzでの誘電正接を上記範囲に調整する方法は特に限定されず、例えば、上記水添スチレン系エラストマーについて、含有量を上述した範囲に調整する方法、分子分極率を小さくする方法(例えばフッ素原子又は置換基を導入する方法、炭化水素基を導入する方法)、分子体積を大きくする方法(例えば脂環族構造を導入する方法)等が挙げられる。また、上記粘着剤層について、低誘電正接である物質を混ぜ込む方法(例えば空洞セル、フッ素フィラー、シリカフィラー、ガラス繊維等の充填剤を配合する方法)、分子の運動性を下げる方法(例えば結晶性ポリマーを配合する方法)、ポリマー分子量を上げる方法、吸水率又は含水率を下げる方法(例えばフッ素原子又は置換基を導入する方法、炭化水素基を導入する方法)等も挙げられる。
本発明の粘着シートは、ガラスに対する90°剥離力の下限が5N/25mmである。上記ガラスに対する90°剥離力が5N/25mm以上であれば、粘着シートは、高温環境下でアウトガスが発生しやすい被着体に対しても高い粘着力を発揮し、高温環境下でも被着体との界面に発泡が生じにくくなる。なお、高温環境下でアウトガスが発生しやすい被着として、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)(例えば、日本ゼオン社のZF16-100μm)等からなる被着体等が挙げられる。上記ガラスに対する90°剥離力の好ましい下限は6N/25mm、より好ましい下限は10N/25mm、さらに好ましい下限は12N/25mmである。上記ガラスに対する90°剥離力の上限は特に限定されないが、実質的には30N/25mm程度が限度である。
なお、粘着シートのガラスに対する90°剥離力は、25℃の環境下でJIS Z0237に準じて、剥離速度50mm/分で90°方向の引張試験を行うことで測定することができる。
上記ガラスに対する90°剥離力を上記範囲に調整する方法は特に限定されず、例えば、上記水添スチレン系エラストマー、必要に応じて配合される上記粘着付与樹脂等の種類及び量を調整する方法、上記粘着剤層のゲル分率を調整する方法、プラズマ処理法又はコロナ処理法にて上記粘着剤層の表面を改質する方法等が挙げられる。また、ガラス被着体と共有結合するカップリング剤を上記粘着剤層に配合する方法、上記水添スチレン系エラストマーのスチレン含有量を下げる方法、上記水添スチレン系エラストマーのジブロック量を増やす方法、上記粘着剤層の厚みを厚くする方法、上記粘着剤層に充填剤を配合し変形抵抗力を上げる方法等も挙げられる。
本発明の粘着シートのヘイズは特に限定されないが、5.0%以下であることが好ましく、1.0%未満であることがより好ましい。また、色調も特に限定されないが、b*(b値)が0.5%以下であることが好ましく、0.3%以下であることがより好ましい。本発明の粘着シートは、高温環境下でも黄変等の光学特性の変化が生じにくいものであり、高温に晒した後でもヘイズ及びb*(b値)が上記範囲を満たすことが好ましい。
なお、粘着シートのヘイズ及びb*(b値)は、例えば、コニカミノルタ社製のCM3700Aを用いて測定することができる。
本発明の粘着シートを製造する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、離型処理を施したフィルム上に上記水添スチレン系エラストマー、必要に応じて上記粘着付与樹脂等のその他の添加剤を配合した粘着剤溶液を塗工し、乾燥させて粘着剤層を形成し、粘着剤層上に離型処理を施したフィルムを重ね合わせることによって製造することができる。
本発明の粘着シートの用途は特に限定されないが、電磁波を発信又は受信する装置に用いられることが好ましい。上記電磁波を発信又は受信する装置は、本発明の粘着シートと導電パターンが形成されたフィルムとを含む積層体を含むものであることが好ましい。すなわち、本発明の粘着シートと導電パターンが形成されたフィルムとを含む積層体も、本発明の一つである。また、本発明の積層体を含む電磁波を発信又は受信する装置も、本発明の一つである。
本発明の粘着シートは、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用できるものであることから、周波数1GHz以上の電磁波を発信又は受信する装置に用いられることがより好ましい。より具体的には、本発明の粘着シートは、上記周波数1GHz以上の電磁波を発信又は受信する装置において、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体(例えば、アンテナフィルム、基板等)の内部の部材間の貼り合わせ、又は、該導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体と他の部材との貼り合わせに用いられることが好ましい。
上記周波数1GHz以上の電磁波を発信又は受信する装置は特に限定されず、例えば、小型アンテナ基地局、車載用アンテナ等のアンテナ、スマートフォン、タブレット端末、その他携帯電子機器、車載用電子機器、スマートグラス等が挙げられる。
図1に、本発明の粘着シートを用いて、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体の内部の部材間の貼り合わせを行った様子を模式的に示す断面図を示す。
図1においては、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体2において、本発明の粘着シート1により、内部の部材21と22とが貼り合わされている。導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体2は、本発明の粘着シート1並びに部材21及び22に加えて、更なる部材(例えば、図1に示すような部材23及び24)を有していてもよい。
図2に、本発明の粘着シートを用いて、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体と、他の部材との貼り合わせを行った様子を模式的に示す断面図を示す。
図2においては、本発明の粘着シート1により、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体2と、他の部材3とが貼り合わされている。
本発明によれば、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用することができ、高温環境下でも被着体との界面に発泡が生じにくく、光学特性の変化も生じにくい粘着シート、並びに、該粘着シートが用いられた積層体、及び、電磁波を発信又は受信する装置を提供することができる。
本発明の粘着シートを用いて、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体の内部の部材間の貼り合わせを行った様子を模式的に示す断面図である。 本発明の粘着シートを用いて、導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体と、他の部材との貼り合わせを行った様子を模式的に示す断面図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
<水添スチレン系エラストマー>
(ラジアル型水添スチレン系エラストマーB(Mw30万)の合成)
オートクレーブ中に脱気、脱水されたシクロヘキサン4000g、1,3-ブタジエンモノマー200g、n-ブチルリチウム(n-BuLi)3.0g及びテトラヒドロフラン(THF)をモル比でn-BuLi/THF=40の割合で加えた。次いで、重合開始温度の40℃にて40分重合し、スチレンモノマー100gを加えて60分重合した(芳香族アルケニル重合体ブロック(A))。次いで、1,3-ブタジエンモノマー700gを加えて150分重合した(ジブロック構造のスチレン系ブロック共重合体(A-B))。
カップリング剤としてテトラクロロシラン(SiCl)をポリマー末端に対して0.25モル量加えてジブロック構造のスチレン系ブロック共重合体(A-B)のカップリング反応を行い、スチレン含有量10重量%のスチレン系ブロック共重合体を得た。
この共重合体を精製乾燥したシクロヘキサンで希釈し、重合体濃度5重量%に調整して水素添加反応に供した。
水素添加反応では、まず、充分に乾燥した容量2Lの撹拌器付オートクレーブに共重合体溶液1000gを仕込み、減圧脱気後水素置換し、撹拌下90℃に保持した。
次に、ジ-p-トリルビス(η-シクロペンダジエニル)チタニウムを0.2ミリモル含むシクロヘキサン溶液50mlと、n-ブチルリチウム(n-BuLi)0.108ミリモルを含むシクロヘキサン溶液10mlとを0℃、2.0kg/cmの水素圧下で混合し、これをオートクレーブの中の共重合体溶液に加えた。
撹拌下で水素ガス供給圧0.7MPa-Gauge、反応温度80℃で水素添加反応を開始し、水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻し、反応容器から抜き出すことにより、ラジアル型水添スチレン系エラストマー(A-B)Cを得た。
得られたラジアル型水添スチレン系エラストマー(A-B)Cは、H-NMR分析から、ブタジエン単位の95%以上、スチレン単位の5%未満が水素添加されていた。
得られたラジアル型水添スチレン系エラストマー(A-B)Cをテトラヒドロフラン(THF)に溶かした溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過してGPC検液を得た。GPCシステムとしてWaters社製「ACQUITYTM Advanced Polymer ChromatographyTM System」を、GPCカラムとしてWaters社製「HSPgelTM HR MB-M(6.0mm×150mm)」を、検出器として示差屈折率検出器を使用して、GPC測定を行った。試料注入量は20mg/mL溶液10μL、流速は0.5mL/分、カラム温度は40℃とした。解析ソフトとしては装置付属のEmpower3を使用した。標品としてポリスチレン(ピークトップ分子量:2110000、1090000、427000、190000、37900、18100、5970、2420、500)(東ソー社製)を用いた。標品としてポリスチレンを測定し、解析ソフトで溶出量をポリスチレン分子量に換算する検量線を作成して解析し、この検量線を用いてGPC溶出容量から重量平均分子量(Mw)を換算した。
(ラジアル型水添スチレン系エラストマーA(Mw50万)の合成)
n-ブチルリチウム(n-BuLi)の配合量を変更することにより重量平均分子量(Mw)を50万としたこと以外はラジアル型水添スチレン系エラストマーB(Mw30万)の合成と同様にして、ラジアル型水添スチレン系エラストマーA(Mw50万)を得た。
以下の水添スチレン系エラストマーを用いた。
・A-B-A型水添スチレン系エラストマー「8300P」(SEBS、重量平均分子量(Mw)20万、St含有量9重量%、JSR社製)
・A-B-A型水添スチレン系エラストマー「8903P」(SEBS、重量平均分子量(Mw)20万、St含有量35重量%、JSR社製)
・A-B-A型水添スチレン系エラストマー「FG1924」(酸変性SEBS、重量平均分子量(Mw)13万、St含有量13重量%、クレイトン社製)
・A-B-A型水添スチレン系エラストマー「セプトン2063」(SEPS、重量平均分子量(Mw)20万、St含有量13重量%、クラレ社製)
・A-B-A型水添スチレン系エラストマー「SIBSTAR 102T」(SIBS、重量平均分子量(Mw)10万、St含有量15重量%、カネカ社製)
<非水添スチレン系エラストマー>
以下の非水添スチレン系エラストマーを用いた。
・(A-B)C型非水添スチレン系エラストマー「Quintac3620」(SIS、重量平均分子量(Mw)23万、St含有量14重量%、ZEON社製)
・(A-B)C型非水添スチレン系エラストマー「DX222」(SBS、重量平均分子量(Mw)20万、St含有量20重量%、クレイトン社製)
<その他のベース樹脂>
以下のその他のベース樹脂を用いた。
・ポリイソブチレン「OPPANOL N80」(重量平均分子量(Mw)55万、BASF社製)
・アクリル系ポリマー(重量平均分子量(Mw)120万)
次の操作に従ってアクリル系ポリマーを合成した。
(アクリル系ポリマーの合成)
温度計、攪拌機、冷却管、紫外線照射装置を備えた反応器に、モノマーとして2-エチルヘキシルアクリレート39.9重量部、シクロヘキシルアクリレート30重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート22重量部、ジメチルアクリルアミド8重量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド0.1重量部を投入した。該モノマー混合物に、光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン0.05重量部を投入し、窒素ガスを吹き込んで窒素置換した。次いで、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度25℃)が約4Pa・sになるまで反応器内に紫外線を照射して、モノマー混合物の一部が重合したアクリル系ポリマー前駆体を得た。
得られたアクリル系ポリマー前駆体に、架橋剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2重量部及び1,6-ヘキサンジオールジアクリレート0.05重量部、光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン0.15重量部を加えて攪拌し、アクリル系ポリマーを得た。なお、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとして信越化学工業社製、KBM-403を、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとして新中村化学工業社製、A-HD-Nを、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンとしてIGM RESINS B.V.社製、Omnirad651を用いた。
<アクリル系モノマー>
以下のアクリル系モノマーを用いた。
・アクリル系モノマー「TMP-A」(トリメチロールプロパントリアクリレート、共栄社化学社製)
<二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)>
以下の粘着付与樹脂を用いた。
・脂肪族炭化水素系粘着付与樹脂「アルコンP125」(軟化点125℃、SP値8.1、荒川化学社製)
・脂肪族炭化水素系粘着付与樹脂「アルコンP140」(軟化点140℃、SP値8.1、荒川化学社製)
・脂肪族炭化水素系粘着付与樹脂「アルコンP100」(軟化点100℃、SP値8.1、荒川化学社製)
・水添αメチルスチレン系樹脂「Regalrez1126」(軟化点126℃、SP値8.2、イーストマンケミカル社製)
・脂肪族炭化水素系粘着付与樹脂「PlastolynR1140」(軟化点140℃、SP値8.1、イーストマンケミカル社製)
<二重結合及び芳香環からなる群より選択される少なくとも1つを有する粘着付与樹脂(T2)>
以下の粘着付与樹脂を用いた。
・テルペン「PX100」(YSレジンPX100)(軟化点100℃、SP値8.3、ヤスハラケミカル社製)
・芳香族変性テルペン「TO105(YSレジンTO105)」(軟化点105℃、SP値8.7、ヤスハラケミカル社製)
・ロジンエステル「KE311」(軟化点100℃、SP値9.2、荒川化学社製)
・スチレン共重合体「FTR6100」(軟化点110℃、SP値9.3、三井化学社製)
・スチレン共重合体「FMR0150」(軟化点145℃、SP値9.3、三井化学社製)
(実施例1)
(1)粘着シートの製造
350重量部のトルエンに水添スチレン系エラストマーを100重量部、粘着付与樹脂を30重量部加えて粘着剤溶液を得た。厚み50μmの離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの離型処理面上に、得られた粘着剤溶液を、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗工した後、100℃で10分間乾燥させて粘着剤層を形成した。その後、粘着剤層の離型処理が施されたPETフィルムが積層されていない面に同様のPETフィルムを離型処理が施された面が粘着剤層側となるように積層した。更に、電子線照射装置EBC-200(NHVコーポレーション社製)を用いて粘着剤層に電子線照射を行い、粘着剤層を架橋させた。このときの加速電圧は150kV、電子線照射強度は300kGyであった。これにより、粘着シートを得た。
(2)粘着剤層のゲル分率の測定
粘着シートの離型フィルムを剥がし、50mm×25mmの平面長方形状に切断して試験片を作製し、試験片の重量Wを測定した。試験片をトルエン中に23℃にて24時間浸漬した後、200メッシュのステンレスメッシュを用いて試験片をトルエンから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量Wを測定し、下記式(1)によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:トルエン浸漬前の試験片の重量、W:トルエン浸漬、乾燥後の試験片の重量)
(3)ガラスに対する90°剥離力の測定
粘着シートを25mm×100mmの平面形状を有するように裁断した。裁断された粘着シートの一方の離型フィルムを剥離し、粘着剤層を露出させた。次いで、シクロオレフィンフィルム上に、粘着シートの露出した面を貼り合わせた。更に、粘着シートのもう一方の離型フィルムを剥離し、粘着剤層を露出させ、ガラス板上(旭硝子社のフロート板ガラスFL3)に粘着シートの露出した面を載せた。なお、ガラス板表面はエタノールで洗浄した後に乾拭きし、目視で傷がないことを確認した上で用いた。シクロオレフィンフィルム(日本ゼオン社のZF16-100μm)上に2.0kgのゴムローラを載せて、300mm/分の速度でゴムローラを一往復させることにより、ガラス板と粘着シートとを貼り合わせ、23℃で24時間放置後、試験サンプルを用意した。
得られた試験サンプルについて、25℃の環境下でJIS Z0237に準じて、剥離速度50mm/分で90°方向の引張試験を行い、ガラスに対する90°剥離力(N/25mm)を測定した。
(4)周波数10GHzでの誘電率及び誘電正接の測定
粘着シートを23℃、50%RHで72時間(3日間)以上静置した後、厚みが100μmとなるまで複数枚積層した。積層後の粘着シートの離型フィルムを剥離し、上下面に厚み50μmのPETフィルムを貼り合せた。得られたPETフィルムと粘着シートとの積層体を幅3mm、長さ80mmに裁断し、JIS C2565に準拠し、誘電率測定装置(エーイーティー社製、ADMS01Nc)を用いてTMモード共振器の測定モードにて誘電率及び誘電正接を測定した。
PETフィルムのみの誘電率及び誘電正接も上記方法で測定し、PETフィルムと粘着シートとの積層体の測定値、及び、PETフィルムのみの測定値を用いて粘着シート単独の値を求めた。
誘電正接が0.0008未満であった場合をA、0.0008以上0.0009未満であった場合をB、0.0009以上0.001未満であった場合をC、0.001以上0.002未満であった場合をD、0.002以上0.005以下であった場合をE、0.005を超えていた場合をFと判定した。
(実施例2~22、比較例1~16)
粘着剤層の配合を表1~5に示すように変更したこと及び電子線照射の条件を以下のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
電子線照射の条件は、実施例18では電子線照射強度を400kGy、比較例11では電子線照射強度を100kGy、比較例12では電子線照射強度を200kGy、比較例15では電子線照射強度を100kGy、比較例16では電子線照射を施さなかった。
<評価>
実施例、比較例で得られた粘着シートについて、以下の評価を行った。結果を表1~5に示した。
(1)高温環境下での発泡の評価(耐発泡性)
粘着シートを60mm×60mmの平面形状を有するように裁断した。裁断された粘着シートの一方の離型フィルムを剥離し、粘着剤層を露出させた。次いで、シクロオレフィンフィルム(日本ゼオン社のZF16-100μm)上に、粘着シートの露出した面を貼り合わせた。更に、粘着シートのもう一方の離型フィルムを剥離し、粘着剤層を露出させ、ガラス板上に粘着シートの露出した面を載せた。シクロオレフィンフィルム上に2.0kgのゴムローラを載せて、300mm/分の速度でゴムローラを一往復させることにより、ガラス板と粘着シートとを貼り合わせ、23℃で24時間放置し、試験サンプルを用意した。
得られた試験サンプルに120℃、60分間の熱処理を行った後、25℃まで自然冷却した。その後、試験サンプルの粘着シートとガラス板及びシクロオレフィンフィルムとの界面に垂直な方向から光学顕微鏡にて観察を行った。
粘着面積全体に占める、粘着シートとガラス板及びシクロオレフィンフィルムとの界面に存在する気泡の面積の総和の割合を画像解析によって算出した。気泡の面積の総和の割合が1%未満であった場合をA、1%以上5%未満であった場合をB、5%以上10%未満であった場合をC、10%以上であった場合をDと判定した。
(2)光学特性の評価
粘着シートについてコニカミノルタ社製のCM3700Aを用いてヘイズ及びb*(初期)を測定した。粘着シートを80℃、85%RHの高温環境下に196時間晒した後、同様にしてヘイズ及びb*(高温処理後)を測定した。
初期及び高温処理後ともにヘイズが1.0%未満であった場合を○、初期又は高温処理後の少なくともいずれかのヘイズが1.0%以上であった場合を×と判定した。
初期及び高温処理後ともにb*が0.3%以下であった場合を◎、初期又は高温処理後の少なくともいずれかのb*が0.3%を超えていたが初期及び高温処理後ともにb*が0.4%以下であった場合を〇、初期又は高温処理後の少なくともいずれかのb*が0.4%を超えていた場合を×と判定した。
Figure 2023046285000001
Figure 2023046285000002
Figure 2023046285000003
Figure 2023046285000004
Figure 2023046285000005
本発明によれば、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用することができ、高温環境下でも被着体との界面に発泡が生じにくく、光学特性の変化も生じにくい粘着シート、並びに、該粘着シートが用いられた積層体、及び、電磁波を発信又は受信する装置を提供することができる。
1 粘着シート
2 導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体
21,22,23,24 部材(内部の部材)
3 他の部材

Claims (15)

  1. 粘着剤層を有する粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、水添スチレン系エラストマーを含有し、ゲル分率が30重量%以上であり、
    前記粘着シートは、周波数10GHzでの誘電正接が0.005以下、ガラスに対する90°剥離力が5N/25mm以上である
    ことを特徴とする粘着シート。
  2. 前記水添スチレン系エラストマーは、芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体であることを特徴とする請求項1記載の粘着シート。
  3. 前記粘着剤層は、更に、二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  4. 前記粘着剤層は、更に、粘着付与樹脂を含み、前記粘着付与樹脂が二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)のみからなることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  5. 前記芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体は、一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体であることを特徴とする請求項2記載の粘着シート。
    A:芳香族アルケニル重合体ブロック
    B:共役ジエン重合体ブロック
    C:カップリング剤に由来する成分
    n:3以上の整数
  6. 前記水添スチレン系エラストマーは、重量平均分子量(Mw)が20万以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  7. 前記水添スチレン系エラストマーは、スチレン含有量が30重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  8. 前記粘着剤層は、前記水添スチレン系エラストマー100重量部に対して15重量部以下のアクリル系モノマーを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  9. 基材を有さないことを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  10. 周波数1GHz以上の電磁波を発信又は受信する装置に用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  11. 導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体の内部の部材間の貼り合わせに用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  12. 導電パターンが形成されたフィルムを含む積層体と他の部材との貼り合わせに用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着シート。
  13. 粘着剤層を有する粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、水添スチレン系エラストマーを含有し、ゲル分率が30重量%以上であり、
    前記粘着シートは、周波数10GHzでの誘電正接が0.002以下、ガラスに対する90°剥離力が5N/25mm以上であり、
    前記粘着剤層は、更に、粘着付与樹脂を含み、前記粘着付与樹脂は二重結合を有さない粘着付与樹脂(T1)のみからなり、
    前記水添スチレン系エラストマーは、芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体であり、
    前記芳香族アルケニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加体は、一般式(A-B)Cで表される構造を有するラジアル型ブロック共重合体の水素添加体であることを特徴とする粘着シート。
    A:芳香族アルケニル重合体ブロック
    B:共役ジエン重合体ブロック
    C:カップリング剤に由来する成分
    n:3以上の整数
  14. 請求項1、2又は13記載の粘着シートと導電パターンが形成されたフィルムとを含むことを特徴とする積層体。
  15. 請求項14に記載の積層体を含むことを特徴とする電磁波を発信又は受信する装置。
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