JP2023046123A - ドレッシング完了判定方法およびドレッシング完了判定装置 - Google Patents

ドレッシング完了判定方法およびドレッシング完了判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】煩雑な準備作業を必要とすることなく、高精度で研削砥石のドレッシング完了判定を行なうことができるドレッシング完了判定装置を提供する。【解決手段】積算強度値算出部70により、ドレッサ走査中に発生するAE信号強度の積算強度値が前記ドレッシング走査毎に算出され、ドレッシング完了判定部74により、ドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したことに基づいて、ドレッシング処理の完了が判定される。【選択図】図1

Description

本発明は、研削砥石がドレッサにより目立てされ或いは形状修正されるドレッシング加工の完了を判定することができるドレッシング完了判定方法およびドレッシング完了判定装置に関し、特にドレッサや研削砥石の種類、ドレッシング条件を変更したときの予備試験を不要とし、ドレッシングの完了についての誤判定を抑制する技術に関するものである。
研削砥石に対するドレッシング作業(目立て、形状修正)の完了を自動的に判定する装置として、AE信号(acoustic emission signal:周波数がたとえば100kHz以上の超音波領域の振動波)を検出し、そのAE信号と、予め求めて記憶させたマスター波形との差分が予め設定された閾値以内であるか否かに基づいてドレッシングの完了判定を行なう装置が提案されている。たとえば、特許文献1の砥石成形状態判定装置及び砥石成形状態判定方法がそれである。
上記特許文献1に記載の砥石成形状態判定装置及び砥石成形状態判定方法によれば、砥石の断面直径によってAE信号が変化するときでも、砥石の形状修正状態の判定を容易に行なうことができ、ドレッシングの完了判定とドレッサの摩耗検出とを同時に行なうことができると、されている。
特許第5219600号公報
ところで、上記従来のドレッシング完了判定装置では、ドレッサや砥石の種類を変更する度に、マスター波形や閾値を予め求めるための予備試験を、繰り返し行なう必要があり、準備作業が煩雑となっていた。また、AE信号とマスター波形との差分をとる場合には、時間軸上でAE信号波形とマスター波形とを用いた高精度な重ね合わせが必要となり、誤判定が生じやすいという問題があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、煩雑な準備作業を必要とすることなく、高精度で研削砥石のドレッシング完了判定を行なうことができるドレッシング完了判定方法およびドレッシング完了判定装置を、提供することにある。
本発明等者は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、ドレッシング処理においてドレッサを研削砥石のドレッシング面を横切るように移動させる走査を、一定の切込量を与える毎に繰り返し行なうとき、ドレッサが走査されるドレッシング走査中に発生するAE信号の積算強度値に着目すると、AE信号の積算強度値がドレスストローク毎に増加する点、および、ドレッシング面の目立てが完了する状態では、そのAE信号のドレッシング走査中の積算強度値の増加が飽和する点を見出した。本発明は、かかる知見に基づいて為されたものである。
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)研削砥石のドレッシング面にドレッサを摺接させつつ前記ドレッシング面を幅方向に横切るように前記ドレッサを一定の送り速度で移動させるドレッシング走査を一定の切込量を与える毎に繰り返し行なう、前記ドレッシング面のドレッシング処理の完了を、前記研削砥石とドレッサとの接触に起因して発生するAE信号に基づいて自動判定するドレッシング完了判定方法であって、(b)ドレッサ走査中に発生するAE信号強度の積算強度値を、前記ドレッシング走査毎に算出する積算強度値算出工程と、(c)前記積算強度値算出工程によりドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定するドレッシング完了判定工程とを、含むことにある。
第2発明の要旨とするところは、(a)研削砥石とドレッサとの接触に起因して発生するAE信号を検出するAEセンサを備え、前記研削砥石のドレッシング面に前記ドレッサを摺接させつつ前記ドレッシング面を幅方向に横切るように前記ドレッサを一定の送り速度で走査させるドレッシング走査を一定の切込量を与える毎に繰り返し行なう前記ドレッシング面のドレッシング処理の完了を、前記AE信号に基づいて自動判定するドレッシング完了判定装置であって、(b)前記ドレッシング走査中に発生するAE信号強度を積算した積算強度値を、前記ドレッシング走査毎に算出する積算強度値算出部と、(c)前記積算強度値算出部によりドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定するドレッシング完了判定部とを、含むことにある。
第3発明の要旨とするところは、第2発明において、(d)前記ドレッシング走査中におけるAE信号の発生に基づいて、前記ドレッサが前記研削砥石のドレッシング面に接している時間であるスパークタイムを算出するスパークタイム算出部と、(e)前記ドレッサ送り機構による前記ドレッサの送り速度と前記研削砥石のドレッシング面の幅寸法とに基づいて算出される理論スパークタイムよりも短いスパークタイム判定閾値を設定するスパークタイム判定閾値設定部と、(f)前記スパークタイム算出部によりドレッシング走査毎に算出されたスパークタイムが、前記スパークタイム判定閾値を超えたことに基づいて形状修正の完了を判定する形状修正合格判定部とを、含み、(g)前記ドレッシング完了判定部は、前記積算強度値算出部によりドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したこと、および前記形状修正合格判定部により前記形状修正の完了が判定されたことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定することにある。
第4発明の要旨とするところは、第2発明又は第3発明において、(h)前記ドレッシング完了判定部は、前記ドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度の積算強度値がそれまで繰り返されたドレッシング走査により得られたAE信号強度の積算強度の最大値以下となったことに基づいて、前記ドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したと判定することにある。
第5発明の要旨とするところは、第2発明から第4発明のいずれか1の発明において、(i)前記ドレッサを前記砥石のドレッシング面から離した非ドレッシング状態で前記AEセンサから得られるAE信号強度に基づいてAE信号判定閾値を決定するAE信号判定閾値決定部を含み、(j)前記ドレッシング走査中に前記AEセンサから出力された信号のうちの前記AE信号判定閾値を超える信号が、前記ドレッシング処理の完了の判定に用いるAE信号強度として用いられることにある。
第6発明の要旨とするところは、第5発明において、(l)前記AE信号判定閾値決定部は、前記ドレッサを前記砥石のドレッシング面から離した状態でドレッサ送り機構に前記ドレッサを走査させたときに前記AEセンサから得られるAE信号強度のうち、変動係数が所定値以下の区間の平均値又は最大値に基づいてAE信号判定閾値を決定することにある。
第7発明の要旨とするところは、第3発明において、(i)前記ドレッサを前記砥石のドレッシング面から離した非ドレッシング状態で前記AEセンサから得られるAE信号強度に基づいてAE信号判定閾値を決定するAE信号判定閾値決定部を含み、(k)前記スパークタイム算出部は、前記AE信号強度が前記AE信号判定閾値を上回った時点から前記AE信号判定閾値を下回った時点までの時間を、前記ドレッサが前記研削砥石のドレッシング面に接している時間であるスパークタイムとして算出することにある。
第8発明の要旨とするところは、第2発明から第7発明のいずれか1の発明において、前記AEセンサは、前記研削砥石が固定されるフランジのうち、前記研削砥石のドレッシング面に対応する範囲内の異なる径方向位置にそれぞれ設けられた一対のAEセンサであり、前記ドレッシング完了判定部は、前記一対のAEセンサからそれぞれ得られたAE信号強度がドレッシング走査毎にそれぞれ積算されたAE信号強度の積算強度値の増加がそれぞれ飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定することにある。
第1発明のドレッシング完了判定方法によれば、研削砥石のドレッシング面にドレッサを摺接させつつ前記ドレッシング面を幅方向に横切るように前記ドレッサを一定の送り速度で移動させるドレッシング走査を一定の切込量を与える毎に繰り返し行なう、前記ドレッシング面のドレッシング処理の完了を、前記研削砥石とドレッサとの接触に起因して発生するAE信号に基づいて自動判定するに際して、積算強度値算出工程により、ドレッサ走査中に発生するAE信号強度の積算強度値が前記ドレッシング走査毎に算出され、ドレッシング完了判定工程により、前記ドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了が判定される。これにより、煩雑な準備作業を必要とすることなく、高精度で研削砥石のドレッシング完了判定を行なうことができる。
第2発明のドレッシング完了判定装置によれば、研削砥石とドレッサとの接触に起因して発生するAE信号を検出するAEセンサを備え、前記研削砥石のドレッシング面に前記ドレッサを摺接させつつ前記ドレッシング面を幅方向に横切るように前記ドレッサを一定の送り速度で走査させるドレッシング走査を一定の切込量を与える毎に繰り返し行なう前記ドレッシング面のドレッシング処理の完了を、前記AE信号に基づいて自動判定するドレッシング完了判定装置において、積算強度値算出部により、ドレッサ走査中に発生するAE信号強度の積算強度値が前記ドレッシング走査毎に算出され、ドレッシング完了判定部により、前記ドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了が判定される。これにより、煩雑な準備作業を必要とすることなく、高精度で研削砥石のドレッシング完了判定を行なうことができる。
第3発明のドレッシング完了判定装置によれば、スパークタイム算出部により算出されたスパークタイムが、スパークタイム判定閾値設定部により設定されたスパークタイム判定閾値を超えたことに基づいて形状修正の完了が判定されると、前記ドレッシング完了判定部により、前記積算強度値算出部によりドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したこと、および前記形状修正合格判定部により前記形状修正の完了が判定されたことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了が判定される。これにより、ドレッシング処理の完了判定の精度が、一層高められる。
第4発明のドレッシング完了判定装置によれば、前記ドレッシング完了判定部は、前記ドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度の積算強度値が前回ドレッシング走査により得られたAE信号強度の積算強度値以下となったことに基づいて、前記ドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したと判定する。これにより、前記ドレッシング処理の完了が明確に判定される。
第5発明のドレッシング完了判定装置によれば、前記砥石と前記ドレッサとが接触していない非ドレッシング状態でAEセンサから出力される信号に基づいて決定されたAE信号判定閾値を超える信号が、AE信号供給部により前記ドレッシング処理の完了の判定に用いるAE信号強度として用いられる。これにより、前記ドレッシング処理の完了判定の精度が、一層高められる。
第6発明のドレッシング完了判定装置によれば、前記AE信号判定閾値決定部は、前記ドレッサを前記砥石のドレッシング面から離した状態でドレッサ送り機構に前記ドレッサを走査させたときに前記AEセンサから出力される信号のうち、変動係数が所定値以下の区間の平均値又は最大値に基づいてAE信号判定閾値を決定する。これにより、ドレッシング処理の完了判定の精度が、一層高められる。また、AE信号判定閾値は、前記信号平均値または最大値より少し大きければよく、厳密な実験値に基づいて求められる必要がないため、たとえば、前記平均値または最大値の1.1倍の様に決めればよく、容易に設定できる。
第7発明のドレッシング完了判定装置によれば、前記スパークタイム算出部は、前記AEセンサから得られるAE信号強度が前記AE信号判定閾値を上回った時点から前記AE信号判定閾値を下回った時点までの時間を、前記ドレッサが前記研削砥石のドレッシング面に接している時間であるスパークタイムとして算出する。これにより、スパークタイムが正確に算出され、ドレッシング幅が充分に得られたか、すなわち砥石形状の修正が完了したかを、高制度で判定することができる。
第8発明のドレッシング完了判定装置によれば、前記AEセンサは、前記研削砥石が固定されるフランジのうち、前記研削砥石のドレッシング面に対応する範囲内の異なる径方向位置にそれぞれ設けられた一対のAEセンサであり、前記ドレッシング完了判定部は、前記一対のAEセンサからそれぞれ得られたAE信号強度がドレッシング走査毎にそれぞれ積算されたAE信号強度の積算強度値の増加がそれぞれ飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定する。これにより、ドレッシング処理の完了判定の精度が、一層高められる。
本発明の一実施例のドレッシング完了判定装置を備えるドレッシング装置の構成を説明する図である。 図1のドレッシング装置がドレッシングを行なう平面研削砥石を用いた両頭平面研削盤の要部を簡単に説明する斜視図である。 図1の平面研削砥石の取付構造を説明する断面図である。 図3の平面研削砥石が取り付けられるフランジを詳しく説明する図である。 ドレッシング走査の繰り返し時に、外周側AEセンサおよび内周側AEセンサから得られたAE信号強度をそれぞれ示している。 図5のAE信号波形からスパークタイムSTsの算出および信号強度の積算区間を説明する図である。 ドレッシング処理において各ドレッシング走査毎に得られるAE信号の積算強度値XsおよびスパークタイムSTsを、模式的に示す図である。 図1の電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートの前半部を示す図である。 図1の電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートの後半部を示す図である。 外周側AEセンサ16aからの信号に基づくAE信号強度Xiを用いた場合および内周側AEセンサ16bからの信号に基づくAE信号強度Xiを用いた場合において、ピーク波形毎に得られるST評価値である実際のスパークタイムSTsの理論上のスパークタイムST(=Wd/Vd)に対する割合(%)と、実際のスパークタイムSTsの理論上のスパークタイムSTに対する割合が95%を超えたか否かを示す形状修正の合否判定と、ピーク波形毎に得られる強度評価値である積算強度値Xsと、積算強度値Xsが飽和したか否かのドレッシング合否判定とを、時系列で示す図表である。 外周側AEセンサ16aからの信号に基づくAE信号強度Xiを用いた場合において、ST評価値(実際のスパークタイムSTs)と強度評価値である積算強度値Xsとが、時系列で示す折線グラフである。 触針式の形状測定機により測定した砥石の表面形状の一例を、接触開始高さとツルーイング完了高さとの差ΔTH(mm)と共に示す図である。 5枚の砥石A~砥石Eについて、実験条件1と同じ実験条件を用いたドレッシングを実施し、ドレッシング完了を判定するまでのドレッシング切込量CDと、事前に触針式の形状測定機により測定した砥石の表面形状から予想されるツルーイング量ΔTHとを、示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は発明に関連する要部を説明するものであり、寸法及び形状等は必ずしも正確に描かれていない
図1において、ドレッシング装置10は、ドレッサ12を摺接させることによって平面研削砥石14のドレッシング面15の目立ておよび形状修正を行なうドレッシング処理を行なうものである。ドレッシング面15とは、平面研削砥石14の研削面のうちの研削に寄与する部分を含むドレッサ12のドレッシング(形状修正および目立て)の対象となる部分である。ドレッシング装置10は、ドレッシング処理中において研削砥石14とドレッサ12との接触時に発生する弾性波を検出してAE信号を出力するAEセンサ16a、16bと、平面研削砥石14のドレッシング面15にドレッサ12を摺接させつつドレッシング面15を幅方向に横切るようにドレッサ12を一定の送り速度で往復走査させるドレッサ走査モータ18およびドレッサ12をドレッシング面15側へ一定の切込量で走査毎に切り込むドレッサ送込モータ20を備え、平面研削砥石14のドレッシング面15にドレッサ12を摺接させつつドレッシング面15を幅方向に横切るようにドレッサ12を一定の送り速度で往復移動させるドレッシング走査を、一定の切込量を与える毎に繰り返し行なうドレッサ送り機構22と、ドレッサ送り機構22のドレッサ走査モータ18およびドレッサ送込モータ20と平面研削砥石14を回転駆動する砥石回転駆動モータ24とを、指令に従って駆動制御するドレッシング駆動制御装置26と、ドレッシング駆動制御装置26に制御指令を出力する電子制御装置28とを、備えている。
ドレッサ12は、本実施例では、1個の柱状ダイヤモンドの一端面が露出するように埋設された長手形状の単石ドレッサである。ドレッサ送り機構22は、ドレッサ12をドレッサ12の長手方向であって平面研削砥石14側へ送り込む図示しない切込み機構と、ドレッサ12を平面研削砥石14のドレッシング面15に沿って往復移動させる図示しない走査機構とを、備えている。
図2は、平面研削砥石14およびそれと同様の平面研削砥石30が適用される縦型の両頭平面研削盤32の要部を示す斜視図である。両頭平面研削盤32は、垂直な回転軸線CLまわりに相対回転させられる相対向する一対の平面研削砥石14および30と、一対の平面研削砥石14および30の間を通過するようにたとえばベアリングの内輪或いは外輪のような円形のワーク34を搬送するキャリヤ板36とを備え、ワーク34の両端面に平面研削加工を施す。
一対の平面研削砥石14および30は同様に構成されているので、平面研削砥石14を代表させて以下に説明する。平面研削砥石14は、図3に示すように、その裏面が、両頭平面研研削盤32の主軸38とともに一体的に回転する厚肉円板状のフランジ40に密着させられた状態で、平面研削砥石14に埋設された図示しないナットに螺合する図示しない締結ボルトを用いてフランジ40に固定される。平面研削砥石14の一対の端面のうちのフランジ40が密着されていない側の端面には、円環状の平坦なドレッシング面15が形成されている。本実施例では、ドレッシング面15の幅方向とは、平面研削砥石14の回転中心線CLを通る径方向のことである。
フランジ40には、平面研削砥石14側とは反対側の面に開口する電子部品収容室42が形成されている。電子部品収容室42の開口は、プラスチック製或いはセラミックス製等の電波を通過させる材料製の円形の蓋板44によりシールゴム板46を介して閉じられている。蓋板44およびシールゴム板46は、それらを貫通し且つフランジ40に螺合する締結ボルト48により固定されている。
図4に示すように、フランジ40に形成された電子部品収容室42内には、一対の外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bと、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bの出力信号を増幅する前置増幅器、前置増幅器の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、A/D変換器によりデジタル信号に変換された外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bの出力信号を送信する送信モジュールとを備える電子回路基板50と、一対の電源バッテリ52とが、配置されている。上記A/D変換器は、高分解能を有し、10μ秒(マイクロ秒)以下のサンプリング周期、好適には5μ秒以下のサンプリング周期、さらに好適には1μ秒以下のサンプリング周期で、AE信号SAEをデジタル信号に変換する。
外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bは、フランジ40の一半径方向に沿って配置されている。外周側AEセンサ16aは、フランジ40の回転軸線CLから外周側へ向かってフランジ40の半径の80%以上好適には90%の位置にあり、内周側AEセンサ16bは、フランジ40の回転軸線CLから外周側へ向かってフランジ40の半径の35%以上且つ50%以下好適には40%程度の位置にある。
図1に戻って、ドレッシング装置10は、電子回路基板50内の送信モジュールから送信されたAE信号SAEを受信するためのアンテナ54を有する受信回路56を、備えている。電子制御装置28は、CPU、ROM、RAM、インターフェースなどを含む所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って、平面研削砥石14のドレッシング面15にドレッサ12を摺接させつつドレッシング面15を幅方向に横切るようにドレッサ12を一定の送り速度で移動させるドレッシング走査を、一定の切込み量を与える毎に繰り返し行なうように、ドレッシング駆動制御装置26を作動させる。また、電子制御装置28は、ドレッシング中に受信回路56により受信されたAE信号SAEを処理し、ドレッシング面15の目立ておよび形状修正についてのドレッシング処理のドレッシング完了判定を行なうとともにドレッシング完了指令信号をドレッシング駆動制御装置26へ出力するとともに、ドレッシング面状態を表す数値、グラフ、或いは図形などを算出し、面状態表示装置58から表示させる。
電子制御装置28は、ドレッシング完了判定装置としても機能するものであり、周波数解析部60、AE信号判定閾値設定部62、スパークタイム判定閾値設定部64、スパークタイム算出部66、形状修正合格判定部68、積算強度値算出部70、ドレッシング合格判定部72および、ドレッシング完了判定部74を、機能的に備えている。
周波数解析部60は、周波数解析工程に対応しており、研削ホイール14のドレッシング中において、A/D変換されたAE信号SAEの周波数解析(FFT)を行なって、信号パワーを示す縦軸と周波数を示す横軸との二次元座標において、周波数成分の大きさを示す種々の信号パワーを周波数毎に周波数軸(横軸)上に示すパワースペクトラムを生成し、AE信号SAEのうちドレッシング処理中の平面研削砥石14の砥粒の破砕に敏感に反応する周波数帯たとえば45から75kHzの波長帯の信号成分を弁別し、その信号成分の積分値をAE信号強度Xiとして出力する。たとえば、図5は、ドレッシング走査の繰り返し時に、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bから得られたAE信号SAEに基づいて周波数解析部60ら順次出力されたAE信号強度Xiを実際のピーク波形でそれぞれ示している。図5の非ドレッシング区間R1では、ドレッサ12が研削砥石14のドレッシング面15に接触しない無負荷時AE信号強度XiNを示し、ドレッシング区間R2では、ドレッサ12が研削砥石14のドレッシング面15に接触することでドレッシング走査毎に繰り返し発生するAE信号強度Xiのピーク波形それぞれ示している。
AE信号判定閾値設定部62は、AE信号判定閾値設定工程に対応しており、ドレッサ12を研削砥石14のドレッシング面15に接触させないで、ドレッシング駆動制御装置26がドレッサ送り機構22によりドレッサ12をドレッシング走査させた非ドレッシング区間R1で、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bから得られた無負荷時AE信号強度XiNを算出し、無負荷時AE信号強度XiNに基づいて、無負荷時に発生するノイズを後工程で除くためのAE信号判定閾値Pを設定する。AE信号の大きさ(AE信号強度)XiがAE信号判定閾値Pを上回った分が、ドレッシング処理中の研削ホイール14とドレッサ12との接触に由来する信号成分であり、後述のドレッシング完了評価の対象とされる。たとえば、AE信号判定閾値設定部62は、無負荷ドレッシング中の無負荷時AE信号強度XiNの少なくとも100個のデータから無負荷時AE信号強度XiNの変動係数CVを求め、その変動係数CVが安定時たとえば「0.1」以下である区間のデータの平均値Xav又は最大値Xmaxを算出し、平均値Xav×1.1又は最大値XmaxをAE信号判定閾値Pとして設定する。
上記無負荷時AE信号強度XiNの変動係数CVは、無負荷時AE信号強度XiNの各データの標準偏差σを無負荷時AE信号強度XiNの平均値Xavで除した値である。
スパークタイム判定閾値設定部64は、スパークタイム判定閾値設定工程に対応しており、ドレッシング駆動制御装置26によるドレッサ12の一定の走査速度Vdと、研削砥石14のドレッシング面15の幅寸法Wdとから、理論上のスパークタイム(火花時間)ST(=Wd/Vd)を算出し、その理論上のスパークタイムSTに形状修正完了を判定する予め定められた割合(係数)たとえば「0.95」を乗算することで、スパークタイム判定閾値STt(sec)を設定する。
スパークタイム算出部66は、スパークタイム算出工程に対応しており、図5のドレッシング区間R2でのドレッシング処理中においてドレッサ12が研削砥石14のドレッシング面15に繰り返し接触させられるドレッシング走査において、図6に示すように、ドレッサ12の走査毎に外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bから得られたAE信号強度XiがAE信号判定閾値Pを上回った時点から下回った時点までを計数(計時)した累積時間を実際のスパークタイムSTsとして検出する。図6では、スパークタイムSTsの意味を容易に説明する目的で、AE信号強度Xiのピーク波形が台形に模式化されている。
形状修正合格判定部68は、形状修正合格判定工程に対応しており、ドレッサ12の走査毎に、スパークタイム算出部66により算出された実際のスパークタイムSTsが、スパークタイム判定閾値設定部64により設定されたスパークタイム判定閾値STt以上となったか否かを判定し、上回った場合には、形状修正が合格(完了)であると判定する。
積算強度値算出部70は、積算強度値算出工程に対応しており、図5のドレッシング区間R2のドレッシング処理においてドレッサ12が研削砥石14のドレッシング面15に繰り返し接触させられるドレッシング走査期間内において、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bからそれぞれ得られたAE信号強度Xiのそれぞれについて、AE信号強度XiのうちのAE信号判定閾値Pを上回る成分を区間STs内で積算した積算強度値Xsを、ドレッシング走査毎に算出する。図7は、ドレッシング走査毎に順次得られるAE信号強度Xiのピーク波形を矩形波形で模式化して示しており、上記積算強度値Xsはその矩形波形の面積にそれぞれ対応している。
ドレッシング合格判定部72は、ドレッシング合格判定工程に対応しており、積算強度値算出部70によってドレッシング走査毎に算出された積算強度値Xsのドレッシング処理の開始時点からの増加が、飽和したか否かを判定し、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bからそれぞれ得られたAE信号強度Xiの積算強度値Xsが共に飽和した場合には、目立てに関してドレッシング合格(目立て合格)と判定する。たとえば、ドレッシング合格判定部72は、積算強度値Xsがそれまでの最大積算強度値Xsp以下(Xs≦Xsp)となると、積算強度値Xsの増加が飽和したと判定する。この積算強度値Xsの増加の飽和は、目立て効果の飽和を示す。STs≧STt且つXs>Xspであれば、そのときのドレッシング走査時の積算強度値Xsが最大積算強度値Xspとして更新(設定)される。これにより、研削盤がNCと連動しないレトロフィット的な使い方をする場合に、AE信号強度Xiのピーク波形が断続的に発生したときに、誤判定を防止することができる。
ドレッシング完了判定部74は、形状修正合格判定部68により実際のスパークタイムSTsがスパークタイム判定閾値STtを上回ったこと、および、積算強度値算出部70によりドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度Xiの積算強度値Xsの増加が飽和したことに基づいて、ドレッシング処理の完了を判定する。すなわち、ドレッシング完了判定部74は、形状修正合格判定部68によって形状修正が合格であると判定され、且つ、ドレッシング合格判定部72によって目立てに関するドレッシングが合格(目立て合格)と判定されると、ドレッシング完了判定を行い、ドレッシング駆動制御装置26によるドレッシング動作を停止させるとともに、ドレッシングの完了に関する表示メッセージを面状態表示装置58に表示させる。
図8および図9は、電子制御装置28の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図8および図9において、ステップS1( 以下、ステップを省略する)では、予め入力されている、ドレッシング駆動制御装置26によるドレッサ12の一定の走査速度Vdと、研削砥石14のドレッシング面15の幅寸法Wdとから、理論上のスパークタイム(火花時間)ST(=Wd/Vd)が算出される。S2では、理論上のスパークタイムSTに形状修正完了を判定する予め定められた割合(係数)たとえば「0.95」が乗算されることで、スパークタイム判定閾値STt(sec)が設定される。本実施例では、S1およびS2が、スパークタイム判定閾値設定部64に対応している。
S3では、非ドレッシング区間R1において、ドレッサ12が研削砥石14のドレッシング面15に接触しないときにAEセンサ16a、16bからの信号に基づいてそれぞれ得られる無負荷時AE信号強度XiNが読み込まれる。S4では、非ドレッシング区間R1において読み込まれた無負荷時AE信号強度XiNのデータ数が100を超えたか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合は、S3以下が繰り返し実行されるが、肯定される場合は、S5において、無負荷時AE信号強度XiNの変動係数CV(=σ/Xav)が、算出される。次いで、S6では、無負荷時AE信号強度XiNの変動係数CVが「0.1」以下であるか否かが判断される。このS6の判断が否定される場合は、S3以下が繰り返し実行されるが、肯定される場合は、S7において、変動係数CVが安定時たとえば「0.1」以下である区間のデータの平均値Xav×1.1又は最大値XmaxがAE信号判定閾値Pとして設定される。本実施例では、S3~S7が、AE信号判定閾値設定部62に対応している。
次に、S8では、ドレッシング処理が開始され、平面研削砥石14のドレッシング面15にドレッサ12が摺接させられた状態でドレッシング面15を幅方向に横切るようにドレッサ12が一定の送り速度で往復走査させられるとともに、ドレッサ12がドレッサ12をドレッシング面15側へ一定の切込み量で走査毎に切り込まれる。これにより、ドレッサ12が摺接させられたドレッシング面15が平坦に形状修正されるとともに、ドレッシング面15の目立てが行なわれる。
S9では、上記ドレッシング処理中のAE信号強度Xiが読み込まれる。S10では、AE信号強度Xiの大きさがAE信号判定閾値P以上となったか否かが判断される。S10の判断が肯定された場合は、平面研削砥石14とドレッサ12との接触すなわち平面研削砥石14の砥粒の破砕が開始された状態であるので、S11において積算強度値Xs(=Xs+Xi)が算出されるとともに、S12において、平面研削砥石14とドレッサ12との接触すなわち平面研削砥石14の砥粒の破砕が開始されてからの累積時間である実際のスパークタイムSTs(=STs+Δt)が、積算周期Δtを逐次加算することで積算される。
AE信号強度Xiの大きさがAE信号判定閾値Pを下回り、S10の判断が否定された場合は、S13において、1回前のAE信号強度Xi-1がAE信号判定閾値Pを下回っていたか否かが判断される。このS13の判断が肯定される場合は、S9以下が繰り返し実行されるが、否定される場合は、S14においてスパークタイムSTsが確定されるとともに、S15においてAE信号強度Xiの積算強度値Xsが確定される。本実施例では、S9、S10、S12、S13、S14がスパークタイム算出部66に対応し、S9、S10、S11、S13、S15が積算強度値算出部70に対応している。
S16では、確定されたスパークタイムSTsがS2において設定されたスパークタイム判定閾値STt以上であるか否かが判断される。このS16の判断が否定される場合は、S17においてスパークタイムSTsの内容が初期化された後S9以下が実行される。しかし、S16の判断が肯定される場合は、S18において、スパークタイムSTsの合格フラグが立てられ、ドレッシング面15の形状修正が完了と判定される。本実施例では、S16、S18が、形状修正合格判定部68に対応している。
S19では、確定されたAE信号強度Xiの積算強度値Xsが、飽和したか否か、すなわちそれまでの最大積算強度値Xsp以下(Xs≦Xsp)であるか否かが、判断される。このS19の判断が否定される場合は、S20において最大積算強度値Xspが直前の積算強度値Xsに更新された後、S9以下が実行される。しかし、S19の判断が肯定される場合は、S21において、目立てに関してドレッシングの合格(目立て合格)フラグが立てられ、ドレッシング完了と判定される。本実施例では、S19、S21が、ドレッシング合格判定部72に対応している。
そして、ドレッシング完了判定部74に対応するS22では、スパークタイムSTsの合格フラグが立てられ、且つ、目立てに関してドレッシングの合格フラグが立てられたことに基づいて、ドレッシングの完了判定が行なわれる。
以下において、本発明者等が行なった、以下に示す実験条件1のドレッシングの実験により得られた結果を、図5、図10、図11を用いて説明する。
(実験条件1)
加工機:縦軸両頭平面研削盤
砥石仕様:83A 80 H 12
砥石の種類:585mmφの外径を有する平面研削砥石
砥石軸回転数:900rpm
研削油:NK-81P(希釈倍率50倍)
ドレッサ:1.0mm□ダイヤモンドが埋設されたLLニードドレッサ
ドレッシング切込量:0.01mm
(信号処理条件)
FFT解析のデータ長:65ms
積分解析ピッチΔt :65ms
積分周波数範囲:45~75kHz
上記ドレッシング条件にてドレッシングを実施し、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bから得られたAE信号を周波数解析して45~75kHzの範囲内の周波数成分を積分して、周波数解析毎の周期でAE信号強度Xiを得た。上記の積分以外に、バンドパスフィルタによる平均値や実行値が用いられてもよい。図5は、時間軸(横軸)上に、このときに得られたAE信号強度Xiをそれぞれ示している。図5において、AE信号強度Xiは、ドレッサのドレッシング走査時に平面研削砥石に接触している区間では山形のピーク波形が発生し、No.1からNo.20のピーク番号が付されている。
図10では、ピーク波形毎に得られるST評価値である実際のスパークタイムSTsの理論上のスパークタイムST(=Wd/Vd)に対する割合(%)と、実際のスパークタイムSTsの理論上のスパークタイムSTに対する割合が95%を連続して超えたか否かすなわち飽和したか否かを示す形状修正の合否判定と、ピーク波形毎に得られる強度評価値である積算強度値Xsと、積算強度値Xsが飽和したか否かのドレッシング(目立て)の合否判定とが、時系列で示されている。これによれば、外周側AEセンサ16aからの信号に基づくAE信号強度Xiを用いた場合は、ピーク波形No.8において形状修正の合格が判定され、ピーク波形No.18において目立てについてのドレッシングの合格が判定された。また、内周側AEセンサ16bからの信号に基づくAE信号強度Xiを用いた場合は、ピーク波形No.8において形状修正の合格が判定され、ピーク波形No.17において目立てについてのドレッシング(目立て)の合格が判定された。
図11では、外周側AEセンサ16aからの信号に基づくAE信号強度Xiを用いた場合において、ST評価値(実際のスパークタイムSTs)と強度評価値である積算強度値Xsとが、時系列で示されている。ST評価値および強度評価値は、共に、ドレッシング開始後にドレッシング走査毎に増加するが、ST評価値が、強度評価値の合格(飽和)判定よりも前に合格(飽和)判定されている。
次に、本発明者等は、形状の崩れ具合が異なる砥石A~砥石Eまでの5枚の研削砥石について、実験条件1と同じ実験条件を用いたドレッシングを実施し、ドレッシング完了を判定するまでのドレッシング切込量CDと、事前に触針式の形状測定機により測定した砥石の表面形状から予想されるツルーイング量ΔTHとを、比較した。
ドレッシング完了を判定するまでのドレッシング切込量CD(=0.01×Nsw)は、ドレッシングにおけるドレッシング切込量0.01mmと、各砥石A~砥石Eを用いたドレッシングの完了を判定するまでドレッサ12の走査回数Nswとから、算出される。
図12は、触針式の形状測定機により測定した砥石の表面形状の一例を示している。なお、本測定データは上側の平面研削砥石14の形状であるが、測定の都合上、上下に反転した状態となっている。図12の例に示した平面研削砥石14の表面形状は、外周側に対して内周側が凹形状となっており、ツルーイングを完了させるにはそれらを平坦に修正する必要がある。このとき、ツルーイングの完了に必要な切込量はドレッサと平面研削砥石14の表面とが最初に接触する接触開始高さから内周側の凹形状が最も深いツルーイング完了高さとなるため、接触開始高さとツルーイング完了高さとの差ΔTH(mm)を、予想されるツルーイング量として決定する。
図13は、上記の各砥石A~砥石E毎に、ドレッシング完了を判定するまでの実際のドレッシング切込量CDと、事前に触針式の形状測定機により測定した砥石の表面形状から予想されるツルーイング量ΔTHとを、比較して示している。図13には、予想されるツルーイング量ΔTHが多い場合には、実際のドレッシング切込量CDも多いことが、各砥石A~砥石E毎に示されている。このことから、ドレッシング完了を判定するまでの実際のドレッシング切込量CDと、事前に触針式の形状測定機により測定した砥石の表面形状から予想されるツルーイング量ΔTHとは、相関があることが確認された。予想されるツルーイング量ΔTHは、形状修正完了時点の値であるので、実際のドレッシング切込量CDは、残ダメージを取り切る必要がある分、予想されるツルーイング量ΔTHよりも多くなる。
上述のように、本実施例のドレッシング完了判定装置(電子制御装置28)のドレッシング完了判定方法によれば、平面研削砥石14のドレッシング面15にドレッサ12を摺接させつつドレッシング面15を幅方向に横切るようにドレッサ12を一定の送り速度で移動させるドレッシング走査を一定の切込量を与える毎に繰り返し行なう、ドレッシング面15のドレッシング処理の完了を、AE信号SAEに基づいて自動判定するに際して、積算強度値算出工程(積算強度値算出部70)において、ドレッサ走査中に発生するAE信号強度Xiの積算強度値Xsがドレッシング走査毎に算出され、ドレッシング完了判定工程(ドレッシング完了判定部74)において、ドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度Xiの積算強度値Xsの増加が飽和したことに基づいて、ドレッシング処理の完了が判定される。これにより、煩雑な準備作業を必要とすることなく、高精度で研削砥石のドレッシング完了判定を行なうことができる。
また、本実施例のドレッシング完了判定装置(電子制御装置28)によれば、積算強度値算出部70により、ドレッサ走査中に発生するAE信号強度Xiの積算強度値Xsが前記ドレッシング走査毎に算出され、ドレッシング完了判定部74により、ドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度Xiの積算強度値Xsの増加が飽和したことに基づいて、ドレッシング処理の完了が判定される。これにより、煩雑な準備作業を必要とすることなく、高精度で研削砥石のドレッシング完了判定を行なうことができる。
また、本実施例のドレッシング完了判定装置(電子制御装置28)によれば、形状修正合格判定部68により、スパークタイム算出部66により算出された実際のスパークタイムSTsが、スパークタイム判定閾値設定部64により設定されたスパークタイム判定閾値STtを超えたことに基づいて形状修正の完了が判定されると、ドレッシング完了判定部74により、積算強度値算出部70によりドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度Xiの積算強度値Xsの増加が飽和したこと、および形状修正合格判定部68により形状修正の合格(完了)が判定されたことに基づいて、ドレッシング処理の完了が判定される。これにより、ドレッシング処理の完了判定の精度が、一層高められる。
また、本実施例のドレッシング完了判定装置(電子制御装置28)によれば、ドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度Xiの積算強度値Xsがそれまで繰り替えされたドレッシング走査により得られたAE信号強度の積算強度値の最大値すなわち最大積算強度Xsp以下となったことに基づいて、ドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度Xiの積算強度値Xsの増加が飽和したと判定される。これにより、ドレッシング処理の完了が明確に判定される。
また、本実施例のドレッシング完了判定装置(電子制御装置28)によれば、ドレッシング走査中にAEセンサ16a、16bから出力された信号のうち、非ドレッシング区間R1でAEセンサ16a、16bから出力される信号に基づいて決定されたAE信号判定閾値Pを超える信号が、ドレッシング処理の完了の判定に用いるAE信号強度Xiとして用いられる。これにより、ドレッシング処理の完了判定の精度が、一層高められる。
また、本実施例のドレッシング完了判定装置(電子制御装置28)によれば、AE信号判定閾値決定部62は、ドレッサ12を平面研削砥石14のドレッシング面15から離した状態でドレッサ送り機構にドレッサ12を走査させた無負荷走査時にAEセンサ16a、16bから出力されるAE信号強度Xiのうち、変動係数CVが所定値以下の区間の平均値又は最大値に基づいてAE信号判定閾値Pを決定する。これにより、ドレッシング処理の完了判定の精度が、一層高められる。また、このAE信号判定閾値Pは、AE信号強度Xiの信号平均値又は最大値より少し大きければよく、厳密な実験値に基づいて決定される必要がないため、たとえば、AE信号強度Xiの信号平均値又は最大値の1.1倍程度に決めればよく、容易に設定できる。
また、本実施例のドレッシング完了判定装置(電子制御装置28)によれば、スパークタイム算出部66は、AE信号強度値XiがAE信号判定閾値Pを上回った時点から前記AE信号判定閾値Pを下回った時点までの時間を、ドレッサ12が平面研削砥石14のドレッシング面15に接している時間である実際のスパークタイムSTsとして算出する。これにより、スパークタイムSTsが正確に算出され、ドレッシング幅が充分に得られたか、すなわち砥石形状の修正(ツルーイング)が完了したかを、高い制度で判定することができる。
また、本実施例のドレッシング完了判定装置(電子制御装置28)によれば、AEセンサ16a、16bは、平面研削砥石14が固定されるフランジ40のうち、平面研削砥石14のドレッシング面15に対応する範囲内の異なる径方向位置にそれぞれ設けられた一対のAEセンサであり、ドレッシング完了判定部74は、一対のAEセンサ16a、16bからそれぞれ得られたAE信号強度Xiがドレッシング走査毎にそれぞれ積算されたAE信号強度Xiの積算強度値Xsの増加がそれぞれ飽和したことに基づいて、ドレッシング処理の完了を判定する。これにより、ドレッシング処理の完了判定の精度が、一層高められる。
以上、本発明の一実施例を図面を用いて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例の電子制御装置28には、スパークタイム判定閾値設定部64、スパークタイム算出部66、形状修正合格判定部68が備えられていた。しかし、作業の種類によっては、図10に示すように、目立てについてのドレッシング合格判定の前に形状修正合格が判定されるので、そのような場合には、それらは必ずしも設けられていなくてもよい。この場合のドレッシング完了判定部74は、ドレッシング合格判定部72の判定結果のみに基づいてドレッシング完了を判定する。
また、前述の実施例では、ドレッシング走査毎の走査AE信号強度XiのうちAE信号判定閾値Pを上回った分を積算した積算強度値Xsが飽和したか否かに基づいて、ドレッシングの完了評価が行なわれていた。しかし、AE信号判定閾値Pがドレッシングの完了判定の精度にそれほど影響しないほどの小さなものであるような場合は、AE信号判定閾値Pを用いないで、ドレッシング走査毎の走査AE信号強度Xiの積算強度値Xsが飽和したか否かに基づいて、ドレッシングの完了評価が行なわれてもよい。
また、前述の実施例において、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bが用いられていたが、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bの一方のみが用いられていてもよい。この場合のドレッシング合格判定部72は、外周側AEセンサ16aおよび内周側AEセンサ16bの一方から検出された信号のみに基づいてドレッシング合格を判定する。
また、前述の実施例では、ドレッシング面15が環状平面である平面研削砥石14がドレッシングに用いられていたが、研削面が円筒面である研削砥石が用いられていてもよい。この場合のドレッサ12は、円筒状の研削面を回転中心線に平行な方向に研削面を横切るように走査される。
また、前述の実施例の平面研削砥石14や、上記研削面が円筒面である研削砥石は、レジノイド砥石、ビトリファイド砥石等の種々のボンドで砥粒が結合されたものでもよい。
また、前述の実施例のドレッサ12は、1個の柱状ダイヤモンドが埋設された単石ドレッサであったが、複数個のダイヤモンドが外周面に埋設されたロータリドレッサや、その他のドレッシング工具が用いられてもよい。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。
10:ドレッシング装置
12:ドレッサ
14:平面研削砥石
16a:外周側AEセンサ
16b:内周側AEセンサ
28:電子制御装置(ドレッシング完了判定装置)
62:AE信号判定閾値設定部
64:スパークタイム判定閾値設定部
66:スパークタイム算出部
68:形状修正合格判定部
70:積算強度値算出部(積算強度値算出工程)
72:ドレッシング合格判定部
74:ドレッシング完了判定部(ドレッシング完了判定工程)
STs:実際のスパークタイム
STt:スパークタイム判定閾値
Xs:積算強度値

Claims (8)

  1. 研削砥石のドレッシング面にドレッサを摺接させつつ前記ドレッシング面を幅方向に横切るように前記ドレッサを一定の送り速度で移動させるドレッシング走査を一定の切込量を与える毎に繰り返し行なう、前記ドレッシング面のドレッシング処理の完了を、前記研削砥石と前記ドレッサとの接触に起因して発生するAE信号に基づいて自動判定するドレッシング完了判定方法であって、
    ドレッサ走査中に発生するAE信号強度の積算強度値を、前記ドレッシング走査毎に算出する積算強度値算出工程と、
    前記積算強度値算出工程によりドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定するドレッシング完了判定工程とを、含む
    ことを特徴とするドレッシング完了判定方法。
  2. 研削砥石と前記ドレッサとの接触に起因して発生するAE信号を検出するAEセンサを備え、前記研削砥石のドレッシング面に前記ドレッサを摺接させつつ前記ドレッシング面を幅方向に横切るように前記ドレッサを一定の送り速度で走査させるドレッシング走査を一定の切込量を与える毎に繰り返し行なう前記ドレッシング面のドレッシング処理の完了を、前記AE信号に基づいて自動判定するドレッシング完了判定装置であって、
    前記ドレッシング走査中に発生するAE信号強度を積算した積算強度値を、前記ドレッシング走査毎に算出する積算強度値算出部と、
    前記積算強度値算出部によりドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定するドレッシング完了判定部とを、含む
    ことを特徴とするドレッシング完了判定装置。
  3. 前記ドレッシング走査中におけるAE信号の発生に基づいて、前記ドレッサが前記研削砥石のドレッシング面に接している時間であるスパークタイムを算出するスパークタイム算出部と、
    前記ドレッサ送り機構による前記ドレッサの送り速度と前記研削砥石のドレッシング面の幅寸法とに基づいて算出される理論スパークタイムよりも短いスパークタイム判定閾値を設定するスパークタイム判定閾値設定部と、
    前記スパークタイム算出部によりドレッシング走査毎に算出されたスパークタイムが、前記スパークタイム判定閾値を超えたことに基づいて形状修正の完了を判定する形状修正合格判定部とを、含み、
    前記ドレッシング完了判定部は、前記積算強度値算出部によりドレッシング走査毎に算出されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したこと、および前記形状修正合格判定部により前記形状修正の完了が判定されたことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定する
    ことを特徴とする請求項2のドレッシング完了判定装置。
  4. 前記ドレッシング完了判定部は、前記ドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度の積算強度値がそれまで繰り返されたドレッシング走査により得られたAE信号強度の積算強度の最大値以下となったことに基づいて、前記ドレッシング走査毎に積算されたAE信号強度の積算強度値の増加が飽和したと判定する
    ことを特徴とする請求項2又は3のドレッシング完了判定装置。
  5. 前記ドレッサを前記砥石のドレッシング面から離した非ドレッシング状態で前記AEセンサから得られるAE信号強度に基づいてAE信号判定閾値を決定するAE信号判定閾値決定部を含み、
    前記ドレッシング走査中に前記AEセンサから出力された信号のうち、前記AE信号判定閾値を超える信号が、前記ドレッシング処理の完了の判定に用いられる
    ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1のドレッシング完了判定装置。
  6. 前記AE信号判定閾値決定部は、前記ドレッサを前記砥石のドレッシング面から離した状態でドレッサ送り機構に前記ドレッサを走査させたときに前記AEセンサから得られるAE信号強度のうち、変動係数が所定値以下の区間の平均値又は最大値に基づいてAE信号判定閾値を決定する
    ことを特徴とする請求項5のドレッシング完了判定装置。
    にある。
  7. 前記スパークタイム算出部は、前記ドレッサを前記砥石のドレッシング面から離した非ドレッシング状態で前記AEセンサから得られるAE信号強度に基づいてAE信号判定閾値を決定するAE信号判定閾値決定部を含み、前記AEセンサから得られるAE信号強度が前記AE信号判定閾値を上回った時点から前記AE信号判定閾値を下回った時点までの時間を、前記ドレッサが前記研削砥石のドレッシング面に接している時間であるスパークタイムとして算出する
    ことを特徴とする請求項3のドレッシング完了判定装置。
  8. 前記AEセンサは、前記研削砥石が固定されるフランジのうち、前記研削砥石のドレッシング面に対応する範囲内の異なる径方向位置にそれぞれ設けられた一対のAEセンサであり、前記ドレッシング完了判定部は、前記一対のAEセンサからそれぞれ得られたAE信号強度がドレッシング走査毎にそれぞれ積算されたAE信号強度の積算強度値の増加がそれぞれ飽和したことに基づいて、前記ドレッシング処理の完了を判定する
    ことを特徴とする請求項2から7のいずれか1のドレッシング完了判定装置。
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