JP2023045294A - 膜モジュール、膜モジュールの使用方法及び濾過速度低下を抑制する方法 - Google Patents

膜モジュール、膜モジュールの使用方法及び濾過速度低下を抑制する方法 Download PDF

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壽 中村
Hisashi Nakamura
翔平 姫野
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Abstract

【課題】保管中の膜モジュールの膜の濾過性能が低下することを抑制する。【解決手段】膜モジュール1は、ハウジング10と、ハウジング10内に設けられた多孔質膜11と、ハウジング10内に充填された溶液12と、を有する。多孔質膜11は基材11aを有する。基材11aはエステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されている。溶液12は金属塩を有する。【選択図】図1

Description

本出願は、膜モジュール、膜モジュールの使用方法及び膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法に関する。
ウィルス除去フィルターとして、膜モジュールが用いられている。膜モジュールは、ハウジングと、ハウジング内に設けられた中空糸膜などの多孔質膜を有している。
上述の膜モジュールの多孔質膜には、十分な濾過性能を確保するために、親水性が要求される。よって、例えば多孔質膜の基材は、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されている。
ところで、膜モジュールの出荷時や運搬時などの使用前の保管時には、膜モジュールのハウジング内に保存液として純水が充填される(特許文献1参照)。
特開2018-89614号公報
本発明は、保管による膜の濾過速度低下が抑制された膜モジュール及び膜モジュールの使用方法、膜モジュールの濾過速度の低下を抑制する方法を提供することをその目的とする。
本発明者らは、保管中に膜モジュールの多孔質膜が長時間純水に曝されると、膜の濾過性能(濾過速度)が低下するという問題点を見出した。この保管による膜の濾過速度低下に関しては、従来から解決する手段が知られていなかった。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、膜モジュールのハウジング内に充填された溶液に金属塩を含有させることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の態様は以下を含む。
(1)膜モジュールであって、前記膜モジュールは、ハウジングと、当該ハウジング内に設けられた多孔質膜と、前記ハウジング内に充填された溶液と、を有し、前記多孔質膜は基材を有し、前記基材は、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されており、前記溶液は、金属塩を有する、膜モジュール。
(2)親水化前の前記基材は、エステル結合を有さないポリマーである、(1)に記載の膜モジュール。
(3)親水化前の前記基材は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリエーテルスルホン(PES)である、(1)又は(2)に記載の膜モジュール。
(4)前記エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーは、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)又はそのポリマー、若しくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はそのポリマーである、(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の膜モジュール。
(5)前記金属塩はアルカリ金属塩である、(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の膜モジュール。
(6)前記金属塩は塩化ナトリウムである、(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の膜モジュール。
(7)前記多孔質膜はウィルス除去膜である、(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の膜モジュール。
(8)前記溶液は、金属塩を含有する水溶液であり、5重量%以下の金属塩の濃度を有する、(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の膜モジュール。
(9)膜モジュールの使用方法であって、膜モジュールは、ハウジングと、当該ハウジング内に設けられた多孔質膜と、前記ハウジング内に充填された溶液と、を有し、前記多孔質膜は基材を有し、前記基材は、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されており、前記溶液は、金属塩を有する、ものであり、当該膜モジュールを用いてタンパク質含有液を濾過する、膜モジュールの使用方法。
(10)親水化前の前記基材は、エステル結合を有さないポリマーである、(9)に記載の膜モジュールの使用方法。
(11)親水化前の前記基材は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリエーテルスルホン(PES)である、(9)又は(10)に記載の膜モジュールの使用方法。
(12)前記前記エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーは、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)又はそのポリマー、若しくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はそのポリマーである、(9)乃至(11)のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
(13)前記金属塩はアルカリ金属塩である、(9)乃至(12)のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
(14)前記金属塩は塩化ナトリウムである、(9)乃至(13)のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
(15)前記多孔質膜はウィルス除去膜である、(9)乃至(14)のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
(16)前記タンパク質含有液が、pH5以上pH9以下である、(9)乃至(15)のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
(17)前記タンパク質含有液が、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)、リン酸、ヒスチジン、酢酸、クエン酸等の中から少なくとも1つ以上選択される緩衝液を含むタンパク質含有液である、(9)乃至(16)のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
(18)前記溶液は、金属塩を含有する水溶液であり、5重量%以下の金属塩の濃度を有する、(9)乃至(17)のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
(19)膜モジュールの保存による濾過速度の低下を抑制する方法であって、前記膜モジュールは、ハウジングと、当該ハウジング内に設けられた多孔質膜と、前記ハウジング内に充填された溶液と、を有し、前記多孔質膜は基材を有し、前記基材は、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化され、前記溶液に金属塩を含有させる、膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
(20)親水化前の前記基材は、エステル結合を有さないポリマーである、(19)に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
(21)親水化前の前記基材は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリエーテルスルホン(PES)である、(19)又は(20)に記載の膜モジュールの濾過速度低下の抑制方法。
(22)前記エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーは、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)又はそのポリマー、若しくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はそのポリマーである、(19)乃至(21)のいずれか1項に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
(23)前記金属塩はアルカリ金属塩である、(19)乃至(22)のいずれか1項に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
(24)前記金属塩は塩化ナトリウムである、(19)乃至(23)のいずれか1項に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
(25)前記多孔質膜はウィルス除去膜である、(19)乃至(24)のいずれか1項に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
(26)膜モジュールの製造方法であって、前記膜モジュールは、ハウジングと、当該ハウジング内に設けられた多孔質膜と、前記ハウジング内に充填された溶液と、を有し、前記多孔質膜は基材を有し、前記基材を、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーにより親水化する工程、前記溶液に金属塩を含有させる工程を含む、膜モジュールの製造方法。
(27)親水化前の前記基材は、エステル結合を有さないポリマーである、(26)に記載の膜モジュールの製造方法。
(28)親水化前の前記基材は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリエーテルスルホン(PES)である、(26)又は(27)に記載の膜モジュールの製造方法。
(29)前記前記エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーは、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)又はそのポリマー、若しくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はそのポリマーである、(26)乃至(28)のいずれか1項に記載の膜モジュールの製造方法。
(30)前記金属塩はアルカリ金属塩である、(26)乃至(29)のいずれか1項に記載の膜モジュールの製造方法。
(31)前記金属塩は塩化ナトリウムである、(26)乃至(30)のいずれか1項に記載の膜モジュールの製造方法。
(32)前記多孔質膜はウィルス除去膜である、(26)乃至(31)のいずれか1項に記載の膜モジュールの製造方法。
本発明によれば、保管中の膜モジュールの膜の濾過速度の低下を抑制することができる。
膜モジュールの構成の一例を示す部分断面図である。 エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーの化学構造の一部の例を示す説明図である。 エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーが加水分解されるときの化学構造の一部の例を示す説明図である。 実施例1及び比較例1の結果を示す表である。 実施例2、3及び比較例2の結果を示す表である。 実施例4乃至6の結果を示す表である。 図7(a)は、実施例1と比較例1の、加速試験経過日数に対する濾過速度保持率を示すものであり、図7(b)は、実施例1と比較例1の、加速試験経過日数に対するHPA加水分解率を示すものである。 図8(a)は、実施例2と比較例2の、加速試験経過日数に対する濾過速度保持率を示すものであり、図8(b)は、実施例2と比較例2の、加速試験経過日数に対するHPA加水分解率を示すものである。 図9(a)は、実施例3と比較例2の、加速試験経過日数に対する濾過速度保持率を示すものであり、図9(b)は、実施例3と比較例2の、加速試験経過日数に対するHPA加水分解率を示すものである。 図10(a)は、実施例4乃至実施例6の、加速試験経過日数(67日)に対する濾過速度保持率を示すものであり、図10(b)は、実施例4乃至実施例6の、加速試験経過日数(67日)に対するHPA加水分解率を示すものである。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる膜モジュール1の構成の一例を示す断面図である。膜モジュール1は、ハウジング10と、ハウジング10内に設けられた多孔質膜11と、ハウジング10内に充填された溶液12を備えている。
ハウジング10は、略円筒状に形成されている。ハウジング10の長手方向の両端部には、元液(濾過前の液体)の出入口となる元液ノズル20、21が形成されている。また、ハウジング10径方向の側面には、濾液(濾過後の液体)の出入口となる2つの濾液ノズル22、23が形成されている。
多孔質膜11は、中空糸膜又は平膜が例示される。
例えば中空糸膜の場合、多数本の中空糸膜が束となっている。多孔質膜11は、ハウジング10の長手方向に沿うようにハウジング10内に収容されている。多孔質膜11は、両端部が接着剤30で固められ、この接着剤30によってハウジング10の内周面に対し固定されている。また接着剤30によって、ハウジング10内は、元液ノズル22、23側の外側領域A1とその中央側の中央領域A2に区画されている。また、多孔質膜は、例えば平膜であってもよい。
元液ノズル20、21は、外側領域A1及び、多孔質膜11の中空糸膜の内側(一次側)の領域に連通している。濾液ノズル22、23は、中央領域A2における多孔質膜11の中空糸膜の外側(二次側)の領域に連通している。多孔質膜11は、例えば元液ノズル20から膜の一次側の領域に流入した元液を元液ノズル21に向けて流し、この際に例えば膜の一次側から二次側に所定成分を通過させて、元液から所定成分を分離することができる。
元液ノズル20、21は、取り外し自在な封鎖部材であるフェルールキャップ40、内栓41等により封鎖されている。濾液ノズル22、23は、取り外し自在な封鎖部材であるフェルールキャップ50、バルーンキャップ51や内栓52等により封鎖されている。
多孔質膜11は、例えばウィルス除去膜である。多孔質膜11は、基材11aを有し、基材11aは、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されているものである。親水化前の基材11a(素材)は、疎水性高分子であれば特に限定されない。例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリケトン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、又はポリスルホン系高分子が例示される。例えばエステル結合を有さないポリマーであることがより好ましい。エステル結合を有さないポリマーしては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリケトン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン(PSF)、又はポリエーテルスルホン(PES)が例示され、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリエーテルスルホン(PES)が好ましく例示される。そして、基材11aは、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されている。
親水化は、前記多孔質膜における基材膜の製膜後、コーティング、グラフト反応、又は架橋反応等により、エステル結合を含む親水性のモノマー又はそのポリマーが基材膜に導入されることにより行われる。一態様として、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーがグラフト化された多孔質膜又はエステル結合を含むモノマー又はそのポリマーがコーティングされた多孔質膜が例示される。当該エステル結合を含むモノマーは、エステル結合を含む親水性モノマーであれば特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、又はポリエチレングリコールメタクリレートが例示され、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)又はヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)が好ましく例示される。また、エステル結合を含むポリマーは、エステル結合を含む親水性のポリマーであれば特に限定されないが、上記エステル結合を含むモノマーのホモポリマー又はコポリマーが例示され、ポリヒドロキシプロピルアクリレート(PHPA)又はポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)が好ましく例示される。よって、多孔質膜11は、図2に示すような例えばグラフト鎖HPAを有している。HPAとしては、1-ヒドロキシプロピルアクリレート(1-HPA)又は2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-HPA)が例示される。図2は2-HPAの例である。
図1に示す溶液12は、ハウジング10内に充填されている。溶液12は、キャップなどの封鎖部材で密閉されたハウジング10内に満たされている。溶液12は、金属塩を含有するものである。溶液12の一例は、純水により溶解された金属塩を含有する水溶液である。金属塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩であれば特に限定されないが、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、又はカルシウム塩が例示される。また、金属塩のカウンターの酸としては、塩酸、硫酸、又は酢酸が例示され、塩酸が好ましく例示される。金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、又は酢酸カルシウムが例示され、塩化ナトリウム又は塩化カリウムが好ましく例示され、塩化ナトリウムがより好ましく例示される。溶液12の金属塩の濃度は、金属塩が析出しない濃度であれば特に限定されないが、0.001重量%以上5重量%以下が例示される。金属塩の濃度の下限としては、0.001重量%以上、0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上が例示される。また、金属塩の濃度の上限としては、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下が例示される。
溶液12のpHは、特に限定されるものでは無いが、pHの下限としては、3.0以上、3.5以上、4.0以上、4.3以上、4.5以上、5.0以上、5.5以上、5.7以上、6.0以上、6.5以上、又は6.8以上が例示され、pHの上限としては、9.0以下、8.5以下、8.0以下、7.5以下、又は7.2以下が例示される。
次に、以上のように構成された膜モジュール1の使用方法について説明する。
先ず、膜モジュール1が製造される。この膜モジュール1は、ハウジング10と、ハウジング10内に設けられた多孔質膜11と、ハウジング10内に充填された保存液である溶液12と、を有するものである。多孔質膜11は基材を有し、当該基材はエステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されている。溶液12は金属塩を含有している。溶液12の例としては、金属塩を含有する水溶液であり、より具体的には5重量%以下の塩化ナトリウム含有水溶液が例示される。なお、溶液12が充填される前処理として、ハウジング10の多孔質膜11に水が浸漬され、その後ハウジング10がオートクレーブ処理(熱処理)され、その後ハウジング10に溶液12が保存液として充填される。ハウジング10は、フェルールキャップ40、50などの封鎖部材により密閉されている。その後、膜モジュール1をさらに高圧蒸気滅菌処理することができる。
多孔質膜11は、例えば以下のように製造することができる。例えば、中空糸膜の場合は、疎水性高分子、溶媒、非溶媒を混合溶解し、脱泡したものを製膜原液とし、芯液とともに二重管ノズル(紡口)の環状部、中心部から同時に吐出し、空走部を経て凝固浴に導いて基材膜を形成する。得られた膜を、水洗後巻取り、中空部内液抜き、熱処理、乾燥させる。その後、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーにより親水化処理させる。
その他の中空糸膜の例として、熱可塑性樹脂と可塑剤を含む組成物を該熱可塑性樹脂の結晶融点以上に加熱して均一溶解した後、中空内部に熱可塑性樹脂に対して部分的な溶解性を有する不揮発性液体を流しつつ該組成物を環状オリフィスからなる紡口より中空糸状に押し出し水浴中で冷却固化することによって中空糸膜を形成させる。続いて、可塑剤及び不揮発性液体の実質的な部分を除去する。その後、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーにより親水化処理させる。
また、平膜の場合は、例えば、疎水性高分子、溶媒、非溶媒を混合溶解し、脱泡したものを製膜原液とし、当業界では公知の典型的なプロセスによって製膜される。一つの典型的なプロセスにおいては、製膜原液を支持体上にキャストし、キャストした製膜原液を非溶媒に導入し、相分離を起して平膜を形成する。次いでその膜を、そのポリマーに対して非溶媒であるもの(例えば水、アルコール、またはそれらの混合物)の中に入れ、溶媒を除去し、膜を乾燥させることで、基材膜を得ることができる。その後、得られた基材膜をエステル結合を含むモノマー又はそのポリマーにより親水化処理する。
その他の平膜の例として、熱可塑性樹脂と可塑剤を含む組成物を該熱可塑性樹脂の結晶融点以上に加熱して均一溶解した後、該組成物をTダイ等を介してシート状に押し出し、熱可塑性樹脂に対して部分的な溶解性を有する不揮発性液体を膜の一方の表面に接触させ、他方の膜表面は冷却することによって粗大構造層と緻密構造層を形成させる。続いて、可塑剤及び不揮発性液体の実質的な部分を除去する。その後、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーにより親水化処理させる。例えば、WO2003/026779、特開2004/244501、WO2018/230397、又はWO2020/203716に記載の方法を基に適宜多孔質膜11を製造することができる。
膜モジュール1は、製造後から濾過器として用いられるまでの間保管される。この保管時に、長時間が経過すると膜の濾過速度低下が低下することがある。膜の濾過速度が低下するメカニズムとして、これに拘泥するものではないが、発明者は一つの理論として以下の通り考えている。すなわち、一般的には図3に多孔質膜11の一例として示すように、多孔質膜11のHPAのエステル結合が、徐々に加水分解され、アクリル酸とプロプレングリコール(PG)が生成され得る。しかしながら、溶液12が、純水中に金属塩(一例として塩化ナトリウム)を含むことで、HPAのエステル結合の加水分解が抑制され、多孔質膜11の多くの鎖HPAが長時間残存する。これは、塩化ナトリウムが、多孔質膜11の鎖HPAと水分子が接触することを妨げているためであると推測される。それにより、膜表面上の荷電状態が変化し、濾過対象の緩衝液成分の膜への吸着度合が変化し、濾過速度低下を抑制していると考えている。
次に、膜モジュール1が濾過器として用いられる際には、フェルールキャップ40、50などの封鎖部材が外される。また、膜モジュール1のハウジング10内の溶液12は、緩衝液に置換されることが好ましい。すなわち、膜モジュール1の使用時、当該緩衝液がハウジング10内に充填されることが好ましい。前記緩衝液としては、膜モジュール1にてろ過するタンパク質含有液に含まれる緩衝液であることが好ましい。前記緩衝液としては、例えばpH5以上pH9以下の緩衝液が例示される。また、前記緩衝液としては、pH5以上pH9以下で緩衝能を発揮するpKa4以上pKa10以下の緩衝液であることが好ましい。また、前記緩衝液としては、例えばトリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)、リン酸、ヒスチジン、酢酸、クエン酸等の中から少なくとも1つ以上選択される緩衝液が例示される。緩衝液の濃度としては、特に限定されるものではないが、一態様として1mM以上1000mM以下が例示され、別の態様として10mM以上500mM以下が例示される。
その後、膜モジュール1は、タンパク質含有液を濾過することができる。タンパク質含有液の濃度としては、特に限定されないが、一態様として0.1mg/ml以上1000mg/ml以下が例示され、別の態様として1mg/ml以上300mg/ml以下が例示される。濾過方法としては、例えばデッドエンド濾過が例示される。具体的には、タンパク質含有液は、膜モジュール1の元液ノズル20から流入し、多孔質膜11の一次側の領域を通過し、一部の成分が、多孔質膜11の一次側から二次側に通過し、その濾液は、濾液ノズル22又は23から流出する。タンパク質含有液は、例えばウィルスを含有する血液成分であり、ウィルスが多孔質膜11で除去される。
本実施の形態によれば、膜モジュール1が、ハウジング10と、ハウジング10内に設けられた多孔質膜11と、ハウジング10内に充填された溶液12と、を有し、多孔質膜11は、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化された基材11aを有し、溶液12は金属塩を有している。拘泥するものではないが、発明者は一つの理論として、溶液12の金属塩によって、多孔質膜11が有するエステル結合を含むモノマー又はそのポリマーが加水分解することが抑制され、多孔質膜の11aの親水性が維持され、保管による膜モジュール1の濾過速度低下を抑制することができるものと考えている。
多孔質膜11の基材11aが、特に限定されるものではないが、エステル結合を有さないポリマーであることが好ましい。また、多孔質11の基材11aが、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化処理されることにより多孔質膜11を形成することが好ましい。容器12に金属塩を含有させることで、保管による膜モジュール1の濾過性能が低下することを抑制することができる。
溶液12の金属塩が、塩化ナトリウムである場合、膜モジュール1を安価で安全に長期間保管することができる点で好ましい。
溶液12は、少なくとも金属塩を含む水溶液である。例えば、溶液12としては、金属塩を純水で溶解した水溶液が例示される。溶液12は、5重量%以下の金属塩の濃度を有することが好ましい。この場合、純水に対し少量の金属塩で、保管による膜モジュールの濾過性能が低下することを抑制することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上の実施の形態で記載した膜モジュール1の構造や形状は、上記実施の形態のものに限られない。また、多孔質膜11は、ウィルス除去膜に限られず、細菌等の除去、濃縮、または培地等に利用できる医用分離膜、薬液や処理水等から微粒子を除去する産業プロセス用フィルター、油水分離や液ガス分離用の分離膜、上下水の浄化を目的とする分離膜、リチウムイオン電池等のセパレーター、及びポリマー電池用の固体電解質支持体等の広範囲な用途に利用できるものであってもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例の試験方法は以下の通りである。
(1)膜モジュールの作成
膜モジュールは、国際公開(WO 2003/026779)の実施例に記載されている、多孔質膜を準備し、(特開2004/244501)の実施例に記載されている、グラフト法によって、エステル結合を含むヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)で多孔質膜を親水化し、所定の有効膜面積となるように膜モジュールを組み立てた。組み立て時には、膜モジュールの多孔質膜の一次側に通水し、二次側に水充填しその後排水し、その後、オートクレーブ処理(温度105℃~122℃、時間10分~165分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-50/平山製作所製またはハイクレーブ/HG-80/平山製作所製)を実施し、これにより多孔質膜を湿潤化した。その後、膜モジュールの内部の溶液には、純水もしくは塩化ナトリウム溶液を選択して充填した。さらに、高圧蒸気滅菌処理(温度121~122℃、時間40~110分、装置名/型式/製造者:高圧蒸気滅菌/YRD-T18SJPFZ/サクラエスアイ製またはサクラ薬液用高圧蒸気滅菌装/YRD-L15SJPCFZ/サクラエスアイ製)により滅菌した。塩化ナトリウム溶液は、塩化ナトリウムは、濃度が0.001~5重量%の範囲(より好ましくは0.005~0.5重量%の範囲)で設定可能とした。
(2)安定性試験(加速試験)
乾燥機(アルプ製SB-120HM)を55℃に設定して、膜モジュールを35~70日間保管した。55℃で35~70日間保管することにより、常温長期保管(例えば、25℃空調運転した部屋で1.5~3.0年保管)の状態を加速的に再現することができる。
(3)水の濾過速度測定
膜モジュールについて、1.0barの定圧デッドエンド濾過による25℃の純水の濾過量を測定し、濾過時間から水の濾過速度(L/hr・m2・bar)を算出した。
(4)Tris緩衝液の濾過速度測定
膜モジュールについて、1.0barの定圧デッドエンド濾過による25℃の20mMTris(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)-HCl緩衝液(pH8)の濾過量を測定し、濾過時間からTris緩衝液の濾過速度(L/hr・m2・bar)を算出した。
(5)濾過速度保持率の算出
(3)および(4)の方法で得られた各々の濾過速度から、(Tris緩衝液の濾過速度)/(水の濾過速度)(%)の割合を算出し、これを濾過速度保持率とした。
(6)HPA加水分解率の算出
多孔質膜の基材を親水化しているヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)は、加水分解するとプロピレングリコールとアクリル酸が1:1で生成される。アクリル酸は基材側に残存するが、プロピレングリコールは膜保管液中へ溶け出る。膜モジュールから膜保管液を回収し、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)によって、下記表1に示す測定条件で回収液のプロピレングリコール濃度を定量し、回収液量から回収液のプロピレングリコールのモル数を算出した。多孔質膜の親水化前後の重量変化から算出される親水化率から、親水化部分のヒドロキシプロピルアクリレートのモル数を算出した。そして、(膜保管液中のプロピレングリコールのモル数)/(親水化部分のヒドロキシプロピルアクリレートのモル数)の割合をHPA加水分解率(%)とした。
Figure 2023045294000002
(7)膜保管液の濾過速度低下の抑制効果の判定
膜モジュール内部の膜保管液によって濾過速度低下が抑制されたか否かの効果の判定基準として、67日間もしくは70日間の加速試験後に、濾過速度保持率が75%以上であれば効果あり、と判定した。
(8)膜保管液のHPA加水分解の抑制効果の判定
膜モジュール内部の膜保管液によって濾過速度低下が抑制されたか否かの効果の判定基準として、67日間もしくは70日間の加速試験後に、HPA加水分解率が0.65%未満であれば効果あり、と判定した。
(実施例1)
上記(1)の方法により作成された(オートクレーブ条件:105℃、10分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-50/平山製作所製 高圧蒸気滅菌処理条件:121℃、40分、装置名/型式/製造者:高圧蒸気滅菌/YRD-T18SJPFZ/サクラエスアイ製)、膜保管液が0.05重量%の塩化ナトリウム溶液で、有効膜面積が0.001m2の膜モジュールを、上記(2)の方法を用いて加速試験を所定期間行った。加速試験未実施品(加速試験0日)、加速試験35日経過品、加速試験70日経過品を、上記(3)、(4)、(5)、(6)の方法で、水およびTrisの濾過速度の測定、濾過速度保持率、およびHPA加水分解率を算出した。加速試験未実施品における膜保管液のpHは5.07であった。0.05重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(7)によると濾過速度低下の抑制に効果があった。また、0.05重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(8)によるとHPA加水分解の抑制に効果があった。実施例1~6及び比較例1~2の各種条件、測定結果については図4乃至図6に示す。
(実施例2)
上記(1)の方法により作成された(オートクレーブ処理条件:122℃、165分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-80/平山製作所製 高圧蒸気滅菌処理条件:122℃、110分、装置名/型式/製造者:サクラ薬液用高圧蒸気滅菌装/YRD-L15SJPCFZ/サクラエスアイ製)、膜保管液が0.05重量%の塩化ナトリウム溶液で、有効膜面積が0.1m2の膜モジュールを、上記(2)の方法を用いて加速試験を所定期間行った。加速試験未実施品(加速試験0日)、加速試験35日経過品、加速試験70日経過品を、上記(3)、(4)、(5)、(6)の方法で、水およびTrisの濾過速度の測定、濾過速度保持率、およびHPA鎖加水分解率を算出した。加速試験未実施品における膜保管液のpHは4.42であった。0.05重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(7)によると濾過速度低下の抑制に効果があった。また、0.05重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(8)によるとHPA加水分解の抑制に効果があった。
(実施例3)
上記(1)の方法により作成された(オートクレーブ処理条件:122℃、165分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-80/平山製作所製 高圧蒸気滅菌処理条件:122℃、110分、装置名/型式/製造者:サクラ薬液用高圧蒸気滅菌装/YRD-L15SJPCFZ/サクラエスアイ製)、膜保管液が0.11重量%の塩化ナトリウム溶液で、有効膜面積が0.1m2の膜モジュールを、上記(2)の方法を用いて加速試験を所定期間行った。加速試験未実施品(加速試験0日)、加速試験35日経過品、加速試験70日経過品を、上記(3)、(4)、(5)、(6)の方法で、水およびTrisの濾過速度の測定、濾過速度保持率、およびHPA加水分解率を算出した。加速試験未実施品における膜保管液のpHは4.44であった。0.11重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(7)によると濾過速度低下の抑制に効果があった。また、0.11重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(8)によるとHPA加水分解の抑制に効果があった。
(実施例4)
上記(1)の方法により作成された(オートクレーブ処理条件:105℃、10分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-50/平山製作所製 高圧蒸気滅菌処理条件:121℃、40分、装置名/型式/製造者:高圧蒸気滅菌/YRD-T18SJPFZ/サクラエスアイ製)、膜保管液が0.005重量%の塩化ナトリウム溶液で、有効膜面積が0.001m2の膜モジュールを、上記(2)の方法を用いて加速試験を所定期間行った。加速試験67日経過品を、上記(3)、(4)、(5)、(6)の方法で、水およびTrisの濾過速度の測定、濾過速度保持率、およびHPA加水分解率を算出した。0.005重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(7)によると濾過速度低下の抑制に効果があった。また、0.005重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(8)によるとHPA加水分解の抑制に効果があった。
(実施例5)
上記(1)の方法により作成された(オートクレーブ処理条件:105℃、10分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-50/平山製作所製 高圧蒸気滅菌処理条件:121℃、40分、装置名/型式/製造者:高圧蒸気滅菌/YRD-T18SJPFZ/サクラエスアイ製)、膜保管液が0.05重量%の塩化ナトリウム溶液で、有効膜面積が0.001m2の膜モジュールを、(2)の方法で加速試験を所定期間おこなった。加速試験67日経過品を、上記(3)、(4)、(5)、(6)の方法で、水およびTrisの濾過速度の測定、濾過速度保持率およびHPA加水分解率を算出した。0.05重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(7)によると濾過速度低下の抑制に効果があった。また、0.05重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(8)によるとHPA加水分解の抑制に効果があった。
(実施例6)
上記(1)の方法により作成された(オートクレーブ処理条件:105℃、10分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-50/平山製作所製 高圧蒸気滅菌処理条件:121℃、40分、装置名/型式/製造者:高圧蒸気滅菌/YRD-T18SJPFZ/サクラエスアイ製)、膜保管液が0.5重量%の塩化ナトリウム溶液で、有効膜面積が0.001m2の膜モジュールを、上記(2)の方法を用いて加速試験を所定期間行った。加速試験67日経過品を、上記(3)、(4)、(5)、(6)の方法で、水およびTrisの濾過速度の測定、濾過速度保持率、およびHPA加水分解率を算出した。0.5重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(7)によると濾過速度低下の抑制に効果があった。また、0.5重量%の塩化ナトリウム溶液は、上記(8)によるとHPA加水分解の抑制に効果があった。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に対する比較例である。上記(1)の方法により作成された(オートクレーブ処理条件:105℃、10分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-50/平山製作所製 高圧蒸気滅菌処理条件:121℃、40分、装置名/型式/製造者:高圧蒸気滅菌/YRD-T18SJPFZ/サクラエスアイ製)、膜保管液が純水で、有効膜面積が0.001m2の膜モジュールを、上記(2)の方法を用いて加速試験を所定期間行った。加速試験未実施品(加速試験0日)、加速試験35日経過品、加速試験70日経過品を、上記(3)、(4)、(5)、(6)の方法で、水およびTrisの濾過速度の測定、濾過速度保持率、およびHPA加水分解率を算出した。加速試験未実施品における膜保管液のpHは5.05であった。純水は、上記(7)によると濾過速度低下の抑制に効果がなかった。また、純水は、上記(8)によるとHPA加水分解の抑制に効果がなかった。
(比較例2)
比較例2は、実施例2、3に対する比較例である。上記(1)の方法により作成された(オートクレーブ処理条件:122℃、165分、装置名/型式/製造者:ハイクレーブ/HG-80/平山製作所製 高圧蒸気滅菌処理条件:122℃、110分、装置名/型式/製造者:サクラ薬液用高圧蒸気滅菌装/YRD-L15SJPCFZ/サクラエスアイ製)、膜保管液が純水で、有効膜面積が0.1m2の膜モジュールを、上記(2)の方法を用いて加速試験を所定期間行った。加速試験未実施品(加速試験0日)、加速試験35日経過品、加速試験70日経過品を、上記(3)、(4)、(5)、(6)の方法で、水およびTrisの濾過速度の測定、濾過速度保持率、およびHPA加水分解率を算出した。加速試験未実施品における膜保管液のpHは4.55であった。純水は、上記(7)によると濾過速度低下の抑制に効果がなかった。また、純水は、上記(8)によるとHPA加水分解の抑制に効果がなかった。
実施例1~6及び比較例1~2について、得られた(3)~(6)の測定結果を図7乃至図10に示した。図7(a)は、実施例1と比較例1の、加速試験経過日数に対する濾過速度保持率を示すものであり、図7(b)は、実施例1と比較例1の、加速試験経過日数に対するHPA加水分解率を示すものである。図8(a)は、実施例2と比較例2の、加速試験経過日数に対する濾過速度保持率を示すものであり、図8(b)は、実施例2と比較例2の、加速試験経過日数に対するHPA加水分解率を示すものである。図9(a)は、実施例3と比較例2の、加速試験経過日数に対する濾過速度保持率を示すものであり、図9(b)は、実施例3と比較例2の、加速試験経過日数に対するHPA加水分解率を示すものである。図10(a)は、実施例4乃至実施例6の、加速試験経過日数(67日)に対する濾過速度保持率を示すものであり、図10(b)は、実施例4乃至実施例6の、加速試験経過日数(67日)に対するHPA加水分解率を示すものである。実施例1~6及び比較例1~2によれば、膜保管液を塩化ナトリウム溶液とすることにより、多孔質膜の加水分解が抑制されること、また、多孔質膜の濾過速度(濾過性能)が維持されることが確認できた。
本発明は、保管中の膜モジュールの膜の濾過性能が低下することを抑制する際に有用である。
1 膜モジュール
10 ハウジング
11 多孔質膜
11a 基材
12 溶液

Claims (25)

  1. 膜モジュールであって、
    前記膜モジュールは、ハウジングと、当該ハウジング内に設けられた多孔質膜と、前記ハウジング内に充填された溶液と、を有し、
    前記多孔質膜は基材を有し、
    前記基材は、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されており、
    前記溶液は、金属塩を有する、膜モジュール。
  2. 親水化前の前記基材は、エステル結合を有さないポリマーである、請求項1に記載の膜モジュール。
  3. 親水化前の前記基材は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリエーテルスルホン(PES)である、請求項1又は2に記載の膜モジュール。
  4. 前記エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーは、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)又はそのポリマー、若しくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はそのポリマーである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の膜モジュール。
  5. 前記金属塩はアルカリ金属塩である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の膜モジュール。
  6. 前記金属塩は塩化ナトリウムである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の膜モジュール。
  7. 前記多孔質膜はウィルス除去膜である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の膜モジュール。
  8. 前記溶液は、金属塩を含有する水溶液であり、5重量%以下の金属塩の濃度を有する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の膜モジュール。
  9. 膜モジュールの使用方法であって、
    膜モジュールは、
    ハウジングと、当該ハウジング内に設けられた多孔質膜と、前記ハウジング内に充填された溶液と、を有し、
    前記多孔質膜は基材を有し、
    前記基材は、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化されており、
    前記溶液は、金属塩を有する、ものであり、
    当該膜モジュールを用いてタンパク質含有液を濾過する、膜モジュールの使用方法。
  10. 親水化前の前記基材は、エステル結合を有さないポリマーである、請求項9に記載の膜モジュールの使用方法。
  11. 親水化前の前記基材は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリエーテルスルホン(PES)である、請求項9又は10に記載の膜モジュールの使用方法。
  12. 前記前記エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーは、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)又はそのポリマー、若しくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はそのポリマーである、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
  13. 前記金属塩はアルカリ金属塩である、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
  14. 前記金属塩は塩化ナトリウムである、請求項9乃至13のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
  15. 前記多孔質膜はウィルス除去膜である、請求項9乃至14のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
  16. 前記タンパク質含有液が、pH5以上pH9以下である、請求項9乃至15のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
  17. 前記タンパク質含有液が、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)、リン酸、ヒスチジン、酢酸、クエン酸等の中から少なくとも1つ以上選択される緩衝液を含むタンパク質含有液である、請求項9乃至16のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
  18. 前記溶液は、金属塩を含有する水溶液であり、5重量%以下の金属塩の濃度を有する、請求項9乃至17のいずれか1項に記載の膜モジュールの使用方法。
  19. 膜モジュールの保存による濾過速度の低下を抑制する方法であって、
    前記膜モジュールは、ハウジングと、当該ハウジング内に設けられた多孔質膜と、前記ハウジング内に充填された溶液と、を有し、
    前記多孔質膜は基材を有し、
    前記基材は、エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーによって親水化され、
    前記溶液に金属塩を含有させる、膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
  20. 親水化前の前記基材は、エステル結合を有さないポリマーである、請求項19に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
  21. 親水化前の前記基材は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリエーテルスルホン(PES)である、請求項19又は20に記載の膜モジュールの濾過速度低下の抑制方法。
  22. 前記エステル結合を含むモノマー又はそのポリマーは、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)又はそのポリマー、若しくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はそのポリマーである、請求項19乃至21のいずれか1項に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
  23. 前記金属塩はアルカリ金属塩である、請求項19乃至22のいずれか1項に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
  24. 前記金属塩は塩化ナトリウムである、請求項19乃至23のいずれか1項に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
  25. 前記多孔質膜はウィルス除去膜である、請求項19乃至24のいずれか1項に記載の膜モジュールの濾過速度低下を抑制する方法。
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