JP2023044865A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性が高く、長期使用における解像度低下を抑制でき、かつ耐画像メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供する。【解決手段】導電性支持体101上に感光層103と保護層104とを順次積層してなる電子写真感光体であって、保護層が、下記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、電荷輸送性化合物と、メラミン樹脂を含む粒子と、を含有する組成物の硬化物を含む。一般式(A1)、(A2)において、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3は炭素数1~3のアルキル基を、x及びyは0~2の整数を、nは1~3の整数を表す。TIFF2023044865000018.tif63165【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真感光体及び画像形成装置に関し、特に、耐摩耗性が高く、長期使用における解像度低下を抑制でき、かつ耐画像メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体の耐摩耗性と電荷輸送性を両立させるために、感光層上にラジカル重合性基を有する電荷輸送性化合物を硬化反応させた保護層を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。また、電子写真感光体の感光層上に形成される保護層を、ラジカル重合性基を有する電荷輸送性化合物と特定構造のラジカル重合性モノマーとアクリル粒子やメラミン粒子のような有機粒子を含む組成物を硬化反応させることにより形成して、耐摩耗性とクリーニング性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
しかしながら、このような電子写真感光体では、耐摩耗性の向上に伴い、長期の使用で電荷輸送性化合物が酸化劣化することに起因する解像度の低下が生じることがある。重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を使用して形成された保護層では、保護層中における電荷輸送構造の含有比率を高くすることが可能なため、その影響は大きくなりやすい。
電荷輸送性化合物の酸化劣化を抑制するためには、一般的に、酸化防止剤の添加や、酸化電位の高い電荷輸送性化合物の選択が有効であると考えられるが、それらの対策は、電子写真感光体の電気特性の悪化を伴いやすく、近年の高画質化の要求に対しては不十分である。
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、耐摩耗性が高く、長期使用における解像度低下を抑制でき、かつ耐画像メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、電子写真感光体の保護層が、特定構造の重合性官能基を有する電荷輸送性化合物及びメラミン樹脂を含む粒子を含む組成物の硬化物を含むことにより、耐摩耗性が高く、長期使用における解像度低下を抑制でき、かつ耐画像メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1. 導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体であって、
前記保護層が、下記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と、メラミン樹脂を含む粒子と、を含有する組成物の硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
前記保護層が、下記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と、メラミン樹脂を含む粒子と、を含有する組成物の硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
一般式(A1)において、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基を表す。x及びyはそれぞれ独立して0~2の整数を表す。nは1~3の整数を表す。R2が複数存在する場合、複数のR2は同一であっても異なってもよい。R3が複数存在する場合、複数のR3は同一であっても異なってもよい。
一般式(A2)において、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。R2は炭素数1~3のアルキル基を表す。xは0~2の整数を表す。nはそれぞれ独立して1~3の整数を表す。R2が複数存在する場合、複数のR2は同一であっても異なってもよい。
一般式(A2)において、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。R2は炭素数1~3のアルキル基を表す。xは0~2の整数を表す。nはそれぞれ独立して1~3の整数を表す。R2が複数存在する場合、複数のR2は同一であっても異なってもよい。
2. 前記組成物が、さらに3官能以上の重合性モノマーを含有することを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
3. 前記組成物が、さらに金属酸化物粒子を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真感光体。
4. 前記金属酸化物粒子が、表面に反応性有機基を有することを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
5. 第1項から第4項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明の上記手段により、耐摩耗性が高く、長期使用における解像度低下を抑制でき、かつ耐画像メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供することができる。本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)の感光層は、例えば、電荷発生層と電荷輸送層の2層からなる。感光層は導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の順に形成され、保護層は、感光層の電荷輸送層の上に形成される。
上記のとおり、保護層の電荷輸送性化合物の酸化劣化抑制には、電荷輸送性化合物の酸化電位を高くすることが有効であると考えられる。しかし、保護層の電荷輸送性化合物の酸化電位が高いと、隣接する電荷輸送層から保護層への電荷の注入が不十分となり、電荷輸送層と保護層との界面に電荷が蓄積し、感光体周期による画像濃度差、いわゆる画像メモリーが発生し易い。
本発明の電子写真感光体は、保護層を上記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物(以下、「電荷輸送性化合物(A)」ともいう。)と、メラミン樹脂を含む粒子(以下、「メラミン樹脂粒子」ともいう。)を含む組成物の硬化物を含む構成とすることで、耐摩耗性が高く、長期使用における解像度低下を抑制でき、かつ耐画像メモリー性に優れた電子写真感光体とするものである。
電荷輸送性化合物(A)は、トリフェニルアミン化合物において、フェニル基の1つがビフェニル基であること(構造的特徴(a-1))、及び電荷輸送性化合物(A)は、重合性官能基が、ビフェニル基ではなく、2つのフェニル基の少なくとも1つに結合する構造であること(構造的特徴(a-2)を特徴とする。電荷輸送性化合物(A)は、上記構造的特徴(a-1)により、ビフェニル基を有しないトリフェニルアミン化合物と比較して酸化電位が低い傾向にある。そのため、本発明の電荷輸送性化合物は酸化電位が適度に低く、感光層における電荷輸送層と保護層との界面の電荷蓄積による画像メモリーを抑制できる。
一方で、電荷輸送性化合物(A)を用いて形成された保護層を長期間使用すると電荷輸送性化合物(A)由来の電荷輸送能を有する部分が酸化劣化し、解像度の低下を生じやすい。解像度低下の原因は、主に帯電器などから発生するNOx等の酸性物質によるものであり、この対策には、アミン系酸化防止剤が効果的であることが知られている。この抑制要因は塩基性のアミン部位による酸性物質の中和効果であると考えられる.しかしながら、アミン系化合物は電荷のトラップサイトとなりやすく、感度低下や残留電位上昇といった電子写真特性への副作用を引き起こすことがある。
メラミン樹脂は高い窒素原子密度を持つ構造であり、この窒素原子の有する塩基性が酸性物質の中和に寄与すると考えられる。本発明では、メラミン樹脂を粒子として保護層に添加するため、保護層中で電荷のトラップサイトとなりにくい。そのため、酸化電位の低い電荷輸送性化合物(A)を使用した場合においても、電子写真特性への副作用を引き起こすことなく、解像度の低下を抑制することができると考えられる。
また、電荷輸送性化合物(A)とメラミン樹脂粒子を含む組成物を用いて保護層を形成させるためには、典型的には、組成物に溶剤を添加した保護層形成用塗布液を用いる。保護層形成用塗布液におけるメラミン樹脂粒子の分散安定性の観点から、溶剤として炭素数4以下のアルコール系溶剤を含有することが好ましい。ここで、電荷輸送性化合物(A)は、構造的特徴(a-2)を有することにより、炭素数4以下のアルコール系溶剤を含有する保護層形成用塗布液にも均一に溶解させることができ、均一な保護層の形成が可能となる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体であって、前記保護層が、上記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と、メラミン樹脂を含む粒子と、を含有する組成物の硬化物を含むことを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記組成物が、さらに3官能以上の重合性モノマーを含有することが好ましい。上記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される化合物と当該3官能以上の重合性モノマーが、それぞれ、又は一体となって反応することにより、保護層のマトリックスに3次元の網目構造が導入され、架橋密度が高く、高硬度、かつ、高弾性な保護層が得られ、より高い耐摩耗性及び耐傷性を達成することができる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点、特に耐摩耗性をより向上できる観点から、前記組成物が、さらに金属酸化物粒子を含有することが好ましい。さらに、分散性及び感光体の耐摩耗性の観点から、前記金属酸化物粒子が、表面に反応性有機基を有することが好ましい。
本発明の画像形成装置は、本発明の電子写真感光体を備えることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[電子写真感光体の概要]
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体であって、前記保護層が、上記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と、メラミン樹脂を含む粒子と、を含有する組成物の硬化物を含むことを特徴とする。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体であって、前記保護層が、上記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と、メラミン樹脂を含む粒子と、を含有する組成物の硬化物を含むことを特徴とする。
本発明の感光体において、感光層は、光を吸収して電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能の両方を有する。当該感光層は、例えば、電荷発生層及び電荷輸送層の2層で構成される。その場合、導電性支持体側から電荷発生層及び電荷輸送層の順とする。本発明の感光体は、さらに、必要に応じて、導電性支持体と感光層の間に中間層を有してもよい。
本発明の感光体としては、具体的には、以下の(1)又は(2)に示す層構成を有する感光体が挙げられる。
(1)導電性支持体上に、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層とからなる感光層及び上記保護層が順次積層された層構成
(2)導電性支持体上に、中間層、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層とからなる感光層及び上記保護層が順次積層された層構成
(2)導電性支持体上に、中間層、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層とからなる感光層及び上記保護層が順次積層された層構成
本発明の感光体は、上記(1)又は(2)の層構成のいずれのものでもよく、これらの中でも、上記(2)の導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び保護層を順次設けて作製された層構成のものが特に好ましい。
なお、本発明の感光体は、有機感光体であり、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物によって発現される電子写真感光体を意味する。具体的には、公知の有機電荷発生剤又は有機電荷輸送剤を含有する感光層を有する感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とを高分子錯体で構成した感光層を有する感光体などを含むものとする。
図1は、本発明の感光体の層構成の一例を示す断面図である。具体的には、上記(2)の層構成を示す。感光体1は、導電性支持体101上に、感光層103が中間層102を介して積層され、この感光層103上に、保護層104が積層されている。感光層103は、中間層102上に積層される電荷発生層103aと、この電荷発生層103a上に積層される電荷輸送層103bとにより構成される。
保護層104は、マトリックス104aにメラミン樹脂粒子104bが分散された形態である。マトリックス104aは、上記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物(以下、「電荷輸送性化合物(A)」ともいう。)を含む重合性化合物が重合し硬化して得られる、連続相で構成される。感光体1において、保護層104は、電荷輸送性化合物(A)とメラミン樹脂粒子を含有する組成物(以下、「保護層形成用組成物」ともいう。)の硬化物からなる。
なお、本明細書において、組成物の硬化物とは、組成物中の硬化性成分が硬化してマトリックスを形成して得られる硬化物であって、組成物中に粒子等の固形分が含まれる場合には、得られる硬化物はマトリックスと当該固形分から構成される。組成物が含有する固形分が、例えば、表面に、硬化性成分が有する官能基と反応性を有する反応性基を有する粒子等である場合、硬化性成分が硬化してマトリックスを形成する際に、当該粒子表面の反応性基が硬化性成分と反応し、得られる硬化物においてマトリックス中に存在する粒子がその表面でマトリックスに強固に結合した構成となる。
以下、本発明の感光体の層構成が上記(2)の層構成である場合を例にして、図1を参照して説明するが、本発明の感光体はこれに限定されない。
〔保護層〕
本発明の感光体が有する保護層は、電荷輸送性化合物(A)とメラミン樹脂粒子を含有する組成物の硬化物を含む。保護層は、当該硬化物を層状に形成した形態で含むことが好ましい。保護層は、図1に示す保護層104のように、保護層形成用組成物の硬化物からなってもよく、必要に応じて、さらに、保護層形成用組成物の硬化物とは異なる層等を有していてもよい。保護層は、層状に形成された保護層形成用組成物の硬化物からなることが好ましい。以下、保護層形成用組成物の硬化物からなる保護層について説明する。
本発明の感光体が有する保護層は、電荷輸送性化合物(A)とメラミン樹脂粒子を含有する組成物の硬化物を含む。保護層は、当該硬化物を層状に形成した形態で含むことが好ましい。保護層は、図1に示す保護層104のように、保護層形成用組成物の硬化物からなってもよく、必要に応じて、さらに、保護層形成用組成物の硬化物とは異なる層等を有していてもよい。保護層は、層状に形成された保護層形成用組成物の硬化物からなることが好ましい。以下、保護層形成用組成物の硬化物からなる保護層について説明する。
保護層形成用組成物の硬化物からなる保護層は、例えば、図1に示す保護層104のように、マトリックス104aにメラミン樹脂粒子104bが分散された形態である。マトリックス104aは、電荷輸送性化合物(A)を含む重合性化合物が重合し硬化して得られる。保護層形成用組成物は、マトリックス104aを形成するための重合性化合物(電荷輸送性化合物(A)を含む)と、メラミン樹脂粒子を含有する。重合性化合物は、電荷輸送性化合物(A)のみからなってもよく、電荷輸送性化合物(A)以外のその他の重合性化合物、例えば、3官能以上の重合性モノマーを含んでもよい。保護層形成用組成物は、さらに、これらの重合性化合物の重合反応を開始させるための重合開始剤を含有することができる。
保護層形成用組成物が含有するメラミン樹脂粒子は、固形分であっって、得られる保護層にそのまま形態で含有される。保護層形成用組成物は、必要に応じて、メラミン樹脂粒子以外の固形分、例えば、金属酸化物粒子を含有してもよい。保護層形成用組成物が金属酸化物粒子を含有する場合、金属酸化物粒子は、得られる保護層において、メラミン樹脂粒子104bと同様にマトリックス104aに分散した状態であることが好ましい。保護層形成用組成物は、さらに、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記各成分以外の成分を含有してもよい。以下、保護層形成用組成物が含有する各成分について説明する。
(電荷輸送性化合物(A))
電荷輸送性化合物(A)は、下記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物である。一般式(A1)で構造が表される電荷輸送性化合物を電荷輸送性化合物(A1)又は単に化合物(A1)ともいう。一般式(A2)で構造が表される電荷輸送性化合物を電荷輸送性化合物(A2)又は単に化合物(A2)ともいう。電荷輸送性化合物(A)は、1種からなってもよく2種以上からなってもよい。また、電荷輸送性化合物(A)は、化合物(A1)のみからなってもよく、化合物(A2)からなってもよく、化合物(A1)及び化合物(A2)の組合せからなってもよい。
電荷輸送性化合物(A)は、下記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物である。一般式(A1)で構造が表される電荷輸送性化合物を電荷輸送性化合物(A1)又は単に化合物(A1)ともいう。一般式(A2)で構造が表される電荷輸送性化合物を電荷輸送性化合物(A2)又は単に化合物(A2)ともいう。電荷輸送性化合物(A)は、1種からなってもよく2種以上からなってもよい。また、電荷輸送性化合物(A)は、化合物(A1)のみからなってもよく、化合物(A2)からなってもよく、化合物(A1)及び化合物(A2)の組合せからなってもよい。
一般式(A1)において、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基を表す。x及びyはそれぞれ独立して0~2の整数を表す。nは1~3の整数を表す。R2が複数存在する場合、複数のR2は同一であっても異なってもよい。R3が複数存在する場合、複数のR3は同一であっても異なってもよい。
一般式(A2)において、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。R2は炭素数1~3のアルキル基を表す。xは0~2の整数を表す。nはそれぞれ独立して1~3の整数を表す。R2が複数存在する場合、複数のR2は同一であっても異なってもよい。
化合物(A1)及び化合物(A2)は共に、構造的特徴(a-1);トリフェニルアミン化合物において、フェニル基の1つがビフェニル基であること、及び構造的特徴(a-2);重合性官能基が、ビフェニル基ではなく、2つのフェニル基の少なくとも1つに結合する構造であること、を有する。化合物(A1)及び化合物(A2)が有する重合性官能基は、(メタ)アクリロイルオキシ基である。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイルオキシ基」は、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の総称である。同様に、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
化合物(A1)及び化合物(A2)において、ビフェニル基は、窒素原子に結合するフェニル基の4位に、炭素数1~3のアルキル基(式(A1)、(A2)中、R2で表される。)で置換されてもよいフェニル基が結合した構造を有する。xで表されるR2の数は0~2である。窒素原子から遠いフェニル基におけるR2の結合位置は、xが1の場合、窒素原子に結合するフェニル基との結合位置に対してパラ位、メタ位、オルト位のいずれであってもよく、パラ位、メタ位等が好ましい。xが2の場合、R2の結合位置は、パラ位、2箇所のメタ位、2箇所のオルト位から選ばれるいずれの2つの組合せであってもよく、パラ位とメタ位の組合せが好ましい。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、メチル基、エチル基及びプロピル基が好ましい。xが2の場合、2個のR2は同一であっても異なってもよい。
化合物(A1)は、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有し、当該(メタ)アクリロイルオキシ基が、窒素原子に結合する2個のフェニル基のうちのいずれか1個の4位の位置(パラ位)に、アルキレン基(ただし、炭素数3以下、以下「アルキレン(C1-3)基」とも記す。)を介して、結合した構造を有する。(メタ)アクリロイルオキシ基-アルキレン(C1-3)基が結合したフェニル基は、(メタ)アクリロイルオキシ基-アルキレン(C1-3)基を1個有する以外、その他の置換基を有しない。すなわち、当該フェニル基に結合する残りの4個の水素原子は非置換である。アルキレン(C1-3)基は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)、プロピレン基(-CH2CH2CH2-)又は1,2-プロピレン基(-CH(CH3)CH2-)であり、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)、及びプロピレン基(-CH2CH2CH2-)が好ましい。
化合物(A1)において窒素原子に結合する2個のフェニル基のうち(メタ)アクリロイルオキシ基-アルキレン(C1-3)基が結合していないフェニル基は、窒素原子に結合する位置以外の5個の水素原子のうち1個又は2個が、炭素数1~3のアルキル基(式(A1)中、R3で表される。)で置換されてもよい。すなわち、yで表されるR3の数は0~2である。当該フェニル基におけるR3の位置は、yが1の場合、窒素原子との結合位置に対してパラ位、メタ位等が好ましい。yが2の場合、R2の結合位置はパラ位とメタ位の組合せが好ましい。R3は、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、メチル基が好ましい。yが2の場合、2個のR3は同一であっても異なってもよい。
化合物(A2)は、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個有し、当該(メタ)アクリロイルオキシ基が窒素原子に結合する2個のフェニル基のそれぞれの4位の位置(パラ位)に、アルキレン(C1-3)基を介して、結合した構造を有する。(メタ)アクリロイルオキシ基-アルキレン(C1-3)基が結合したそれぞれのフェニル基は、(メタ)アクリロイルオキシ基-アルキレン(C1-3)基を1個有する以外、その他の置換基を有しない。すなわち、各フェニル基に結合する残りの4個の水素原子は非置換である。アルキレン(C1-3)基は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)、及びプロピレン基(-CH2CH2CH2-)が好ましい。2個のフェニル基にそれぞれ結合する(メタ)アクリロイルオキシ基-アルキレン(C1-3)基は同じであっても異なってもよい。
化合物(A1)として、具体的には、以下のT-1~T-35に構造を示す化合物(化合物T-1~化合物T-35)が挙げられる。化合物(A2)として、具体的には、以下のT-36~T-55に構造を示す化合物(化合物T-36~化合物T-55)が挙げられる。
化合物(A1)及び化合物(A2)は、公知の方法を利用して合成することが可能である。具体的には、それぞれ、下記反応式(F1)及び反応式(F2)に示すように、ヒドロキシ基を含有するN,N-ジフェニル-N-ビフェニルアミン誘導体(化合物(A1)については(b1)、化合物(A2)については(b2))と、(メタ)アクリル酸クロリド(c1)とのエステル化反応により得られる。
上記反応式(F1)におけるR1、R2、R3、x、y及びnは、一般式(A1)におけるR1、R2、R3、x、y及びnと同じ意味である。また、上記反応式(F2)におけるR1、R2、x及びnは、一般式(A2)におけるR1、R2、x、及びnと同じ意味である。
保護層形成用組成物における電荷輸送性化合物(A)の含有割合は、保護層形成用組成物全量に対し、10~90質量%が好ましく、20~80質量%であることがより好ましい。上記含有割合が、10質量%未満では電荷輸送能力不足により十分な耐メモリー性が得られないことがあり、90質量%を超えると保護層の架橋密度が不足し、十分な耐摩耗性向上が得られないことがある。
保護層が電荷輸送性化合物(A)を含む組成物の硬化物を含むことは、保護層をアルカリ加水分解して得られたアルカリ加水分解物を、NMR、IR、質量分析等、公知の機器分析に供することにより確認することが可能である。
(メラミン樹脂を含む粒子)
メラミン樹脂粒子は、メラミン系化合物由来の構成単位を含むメラミン樹脂を含む粒子である。メラミン樹脂粒子は、メラミン樹脂を主体として構成され、必要に応じて、メラミン樹脂以外の成分を含んでもよい。
メラミン樹脂粒子は、メラミン系化合物由来の構成単位を含むメラミン樹脂を含む粒子である。メラミン樹脂粒子は、メラミン樹脂を主体として構成され、必要に応じて、メラミン樹脂以外の成分を含んでもよい。
メラミン樹脂の構成単位の原料であるメラミン系化合物としては、メラミン化合物及びグアナミン化合物が挙げられる。メラミン化合物は、1つのトリアジン環に結合する3つのアミノ基又はその誘導基を有する。グアナミン化合物は、1つのトリアジン環に結合する2つのアミノ基又はその誘導基を有する。
メラミン化合物及びグアナミン化合物におけるアミノ基の誘導基としては、-NH2における水素原子の一方又は両方が、-CH2-OH、-CH2-O-R(Rは、炭素数1~5の直鎖でも分岐鎖でもよいアルキル基を示す。)で置換された基が挙げられる。グアナミン化合物は、トリアジン環を構成する炭素原子に結合する水素原子が一価有機基で置換されていてもよい。当該一価有機基として、炭素数1~10の直鎖でも分岐鎖でもよいアルキル基、炭素数6~10の置換あるいは無置換のフェニル基が挙げられる。グアナミン化合物としては、当該一価有機基が無置換のフェニル基であるベンゾグアナミン化合物が好ましい。
メラミン化合物としては、メラミン、メチロールメラミン等が挙げられる。グアナミン化合物としては、ベンゾグアナミン、メチロールベンゾグアナミン等が挙げられる。
メラミン樹脂としては、例えば、メラミン化合物及び/又はグアナミン化合物とホルムアルデヒドとの重縮合物が好ましい。具体的には、メラミン化合物とホルムアルデヒドとの重縮合物、グアナミン化合物とホルムアルデヒドとの重縮合物、メラミン化合物とグアナミン化合物とホルムアルデヒドとの共重縮合物が挙げられる。
メラミン樹脂粒子の数平均一次粒径は、0.01~3.00μmが好ましく、0.1~2.0μmであることがより好ましい。粒子の数平均一次粒径が上記範囲内であることにより、保護層中に均一に分散され、電荷輸送性化合物(A)由来の電荷輸送能を有する部分が酸化劣化するのを層全体として抑制する効果が得られる。また、保護層表面への露出を均一なものとすることができ、解像度の低下を効率的に抑制することができる。
本発明において、保護層が含有するメラミン樹脂粒子の数平均一次粒径は、次のようにして測定される。まず、測定サンプルとして感光体表面から保護層をナイフ等で切り出し、切り出された保護層(測定サンプル)を切断面が上向きになるよう任意のホルダに貼り付ける。
次いで、測定サンプルを走査型電子顕微鏡により、観察、撮影された写真画像より算出する。顕微鏡の倍率を、例えば、3万倍に設定して写真撮影を行い、写真画像上よりランダムに100個の粒子を抽出して算出する。具体的には、自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)により、写真画像を2値化処理し、100個の粒子の水平方向フェレ径を測定し平均値を算出し、これを数平均一次粒径とするものである。
メラミン樹脂粒子は、保護層形成用組成物全量に対して、3~30質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは5~20質量%である。
メラミン樹脂粒子の含有割合が上記範囲内であることにより、電荷輸送性化合物(A)由来の電荷輸送能を有する部分が酸化劣化するのを抑制する効果が得られやすい。また、上記数平均一次粒径との関係でメラミン樹脂粒子が感光体表面に露出されることとなり、解像度の低下を効率的に抑制する効果が得られやすい。
メラミン樹脂粒子の含有割合が過大である場合においては、光透過性の低下により所望の潜像形成ができなくなるおそれがある。一方、メラミン樹脂粒子の含有割合が過小である場合においては、電荷輸送性化合物(A)由来の電荷輸送能を有する部分が酸化劣化するのを抑制する効果が得られにくい。また、長期使用により解像度が低下するおそれがある。
以上のようなメラミン樹脂粒子としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、メラミンホルムアルデヒド縮合物粒子「エポスターS」(平均粒子径0.2μm)、「エポスターS6」(平均粒子径0.4μm)、「エポスターS12」(平均粒子径1.2μm)、メラミンベンゾグアナミンホルムアルデヒド縮合物粒子「エポスターM30」(平均粒子径3μm)、(以上、日本触媒社製)等が挙げられる。
(3官能以上の重合性モノマー)
保護層形成用組成物は、3官能以上の重合性モノマー(以下、「重合性モノマー(B)」ともいう。)を含むことが好ましい。「重合性モノマー」とは、重合性基を有し、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により、又は加熱等のエネルギーの付加により、重合(硬化)する化合物を表す。保護層形成用組成物が重合性モノマー(B)を含有する場合、例えば、図1に示す保護層104においてはマトリックス104aが、電荷輸送性化合物(A)と重合性モノマー(B)を含む重合性化合物の重合・硬化により得られるものである。
保護層形成用組成物は、3官能以上の重合性モノマー(以下、「重合性モノマー(B)」ともいう。)を含むことが好ましい。「重合性モノマー」とは、重合性基を有し、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により、又は加熱等のエネルギーの付加により、重合(硬化)する化合物を表す。保護層形成用組成物が重合性モノマー(B)を含有する場合、例えば、図1に示す保護層104においてはマトリックス104aが、電荷輸送性化合物(A)と重合性モノマー(B)を含む重合性化合物の重合・硬化により得られるものである。
重合性モノマー(B)は、重合性モノマー(B)の分子同士のみで重合し硬化して保護層のマトリックスに3次元の網目構造を導入する化合物であってもよい。また、重合性基がラジカル重合性基であることで、電荷輸送性化合物(A)と一体となって反応することにより、保護層のマトリックスに3次元の網目構造を導入する化合物であってもよい。これにより、保護層のマトリックスの架橋密度が高くなり、高硬度、かつ、高弾性な保護層が得られ、より高い耐摩耗性及び耐傷性を達成することができる。
重合性モノマー(B)が有する重合性基としては、炭素-炭素二重結合を有し、ラジカル重合可能な基であることが好ましい。具体的にはビニル基、アリール基、スチリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。中でも、少ない光量又は短い時間での硬化が可能であることから、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO-)又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO-)であることが特に好ましい。
重合性モノマー(B)における重合性基以外の部分は、電荷輸送能を有しないことが好ましい。すなわち、重合性モノマー(B)は電荷輸送能を有しないことが好ましい。このような観点から、重合性モノマー(B)における重合性基以外の部分は、典型的には、炭素原子間に酸素原子を有してもよい脂肪族炭化水素基、イソシアヌル環等が好ましい。
重合性モノマー(B)の含有割合は、保護層形成用組成物全量に対して、20~80質量%の範囲内が好ましく、30~70質量%の範囲内であることがより好ましい。重合性モノマー(B)の含有割合が20質量%以上であると、得られる保護層のマトリックスは十分な架橋密度を有する構成となり、保護層の耐摩耗性が十分に向上する。重合性モノマー(B)の含有割合が80質量%以下であると、電荷輸送性化合物(A)の含有量が低下することなく、保護層の電荷輸送能力が十分となり、耐メモリー性に優れる。
重合性モノマー(B)として、具体的には、以下のM1~M11に構造を示す化合物(化合物M1~化合物M11)が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の各式中、Rはアクリロイル基(CH2=CHCO-)を表し、R’はメタクリロイル基(CH2=C(CH3)CO-)を表す。
重合性モノマー(B)は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。また、重合性モノマー(B)は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
(重合開始剤)
重合開始剤は、保護層形成用組成物が含有する必須成分としての電荷輸送性化合物(A)及び任意成分である重合性モノマー(B)等の重合性化合物を重合させる際に使用されるものである。図1に示す保護層104を例にすれば、保護層形成用組成物中の重合性化合物が重合し硬化することでマトリックス104aを形成し、マトリックス104a中にメラミン樹脂粒子104bが分散された保護層104が形成される。
重合開始剤は、保護層形成用組成物が含有する必須成分としての電荷輸送性化合物(A)及び任意成分である重合性モノマー(B)等の重合性化合物を重合させる際に使用されるものである。図1に示す保護層104を例にすれば、保護層形成用組成物中の重合性化合物が重合し硬化することでマトリックス104aを形成し、マトリックス104a中にメラミン樹脂粒子104bが分散された保護層104が形成される。
重合開始剤は、電荷輸送性化合物(A)を含む重合性化合物の種類に応じて適宜選択される。本発明において、重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。特にラジカル重合開始剤であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、α-アミノアルキルフェノン構造又はアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、Omnirad819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)(IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。重合開始剤は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤は、保護層形成用組成物中に、例えば、電荷輸送性化合物(A)を必須に含有し、任意に重合性モノマー(B)等を含有する重合性化合物の合計量100質量部に対して0.1~20質量部の範囲内で含有されることが好ましく、より好ましくは0.5~10質量部の範囲内である。
(金属酸化物粒子)
保護層形成用組成物は、金属酸化物粒子を含むことが好ましい。金属酸化物粒子を含むことにより、保護層の耐摩耗性をさらに向上できる。保護層形成用組成物が金属酸化物粒子を含有する場合、例えば、図1に示す保護層104を例にすれば、メラミン樹脂粒子104bと共に金属酸化物粒子が、マトリックス104a中に分散して存在する保護層が得られる。
保護層形成用組成物は、金属酸化物粒子を含むことが好ましい。金属酸化物粒子を含むことにより、保護層の耐摩耗性をさらに向上できる。保護層形成用組成物が金属酸化物粒子を含有する場合、例えば、図1に示す保護層104を例にすれば、メラミン樹脂粒子104bと共に金属酸化物粒子が、マトリックス104a中に分散して存在する保護層が得られる。
金属酸化物粒子としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の金属酸化物からなる粒子が例示される。中でも、硬度、保護層の光透過性の観点から、シリカ粒子、酸化スズ粒子、が好ましい。
上記金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、例えば、1~300nmの範囲内であることが好ましく、3~100nmの範囲内であることが特に好ましい。金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、メラミン樹脂粒子と同様の方法で測定される。
また、保護層形成用組成物における金属酸化物粒子の含有割合は、電荷輸送性化合物(A)及び重合性モノマー(B)を含む重合性化合物の合計量100質量部に対して1~100質量部の範囲内であることが好ましく、5~80質量部の範囲内であることがより好ましい。金属酸化物粒子の含有割合が上記範囲内であることにより、硬度、及び保護層の光透過性を十分に満たすことが可能となる。金属酸化物粒子の含有割合が、1質量部以上であると、保護層の硬度向上によりさらなる耐摩耗性が得られる。100質量部以下であると、光透過性の低下による潜像形成への影響や、金属酸化物粒子の凝集に伴う画像欠陥が発生しにくくなる。
<表面修飾>
本発明において、金属酸化物粒子は、表面に反応性有機基を有することが好ましい。すなわち、分散性及び感光体の耐摩耗性の観点から、表面修飾剤により、反応性有機基を有する表面が得られるように表面修飾された金属酸化物粒子であることが好ましい。
本発明において、金属酸化物粒子は、表面に反応性有機基を有することが好ましい。すなわち、分散性及び感光体の耐摩耗性の観点から、表面修飾剤により、反応性有機基を有する表面が得られるように表面修飾された金属酸化物粒子であることが好ましい。
表面修飾剤としては、例えば、表面修飾前の金属酸化物粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応する表面修飾剤を用いることができる。このような表面修飾剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
また、本発明においては、保護層の硬度をさらに高める目的で、表面修飾前の金属酸化物粒子表面のヒドロキシ基と反応する官能基と、表面修飾後に金属酸化物粒子表面の反応性有機基となる反応性有機基を有する表面修飾剤を用いることが好ましく、反応性有機基がラジカル重合性官能基であるものを用いることがより好ましい。金属酸化物粒子表面のヒドロキシ基と反応する官能基と、ラジカル重合性官能基を有する表面修飾剤で表面修飾された金属酸化物粒子を用いることにより、保護層の形成に際して、保護層形成用組成物が必須成分として含有する電荷輸送性化合物(A)及び、任意成分として含有する重合性モノマー(B)と、金属酸化物粒子の表面が反応するために、金属酸化物粒子がマトリックスに固定され、より強固な保護層を形成することができる。
金属酸化物粒子表面のヒドロキシ基と反応する官能基と、ラジカル重合性官能基を有する表面修飾剤としては、加水分解性シリル基と、ビニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、このような表面修飾剤としては、以下のS-1~S-20に記すような公知の化合物(化合物S-1~化合物S-20)が例示される。
S-1:CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2
S-2:CH2=CHSi(OCH3)3
S-3:CH2=CHSi(OC2H5)3
S-4:CH2=CHCH2Si(OCH3)3
S-5:CH2=CHCH2Si(OC2H5)3
S-6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S-7:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S-8:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S-9:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OC2H5)3
S-10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S-11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S-12:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S-13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S-14:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S-15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S-16:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S-17:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S-18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S-19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S-20:CH2=C(CH3)COO(CH2)8Si(OCH3)3
S-2:CH2=CHSi(OCH3)3
S-3:CH2=CHSi(OC2H5)3
S-4:CH2=CHCH2Si(OCH3)3
S-5:CH2=CHCH2Si(OC2H5)3
S-6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S-7:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S-8:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S-9:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OC2H5)3
S-10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S-11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S-12:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S-13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S-14:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S-15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S-16:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S-17:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S-18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S-19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S-20:CH2=C(CH3)COO(CH2)8Si(OCH3)3
表面修飾剤としては、化合物S-1~化合物S-20以外にも、ラジカル重合反応を行うことができる反応性有機基を有するシラン化合物を用いることができる。これらの表面修飾剤は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、表面修飾剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、修飾前の金属酸化物粒子100質量部に対して、0.1~100質量部の範囲内であることが好ましい。
<金属酸化物粒子の表面修飾方法>
金属酸化物粒子の表面修飾は、具体的には、修飾前の金属酸化物粒子と表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物粒子を微細化すると同時に粒子の表面修飾を進行させ、その後、溶剤を除去して粉体化することによって行うことができる。
金属酸化物粒子の表面修飾は、具体的には、修飾前の金属酸化物粒子と表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物粒子を微細化すると同時に粒子の表面修飾を進行させ、その後、溶剤を除去して粉体化することによって行うことができる。
スラリーは、修飾前の金属酸化物粒子100質量部に対し、表面修飾剤0.1~100質量部、溶剤50~5000質量部の割合で混合されたものであることが好ましい。
また、スラリーの湿式粉砕に用いる装置としては、湿式メディア分散型装置が挙げられる。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、金属酸化物粒子に表面修飾を行う際に金属酸化物粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式等、種々の様式のものを用いることができる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等を使用することができる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力等によって微粉砕及び分散が行われる。
湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、例えば、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石等を原材料としたボールを用いることができるが、特にジルコニア製やジルコン製のものを用いることが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1~2mm程度のものを使用するが、本発明では、例えば、0.1~1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、例えば、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製等種々の素材のものを使用することができるが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明に係る保護層形成用組成物は、必須成分である、電荷輸送性化合物(A)及びメラミン樹脂粒子及び、上に説明した重合性モノマー(B)、重合開始剤、金属酸化物粒子等の任意の成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、電荷輸送性化合物(A)以外の電荷輸送剤、酸化防止剤、安定剤、シリコーンオイル、滑剤粒子等が挙げられる。電荷輸送性化合物(A)以外の電荷輸送剤については後述する公知のものが使用できる。酸化防止剤については特開2000-305291号公報等に開示されているものが好ましい。
本発明に係る保護層形成用組成物は、必須成分である、電荷輸送性化合物(A)及びメラミン樹脂粒子及び、上に説明した重合性モノマー(B)、重合開始剤、金属酸化物粒子等の任意の成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、電荷輸送性化合物(A)以外の電荷輸送剤、酸化防止剤、安定剤、シリコーンオイル、滑剤粒子等が挙げられる。電荷輸送性化合物(A)以外の電荷輸送剤については後述する公知のものが使用できる。酸化防止剤については特開2000-305291号公報等に開示されているものが好ましい。
電荷輸送性化合物(A)以外の電荷輸送剤、酸化防止剤、安定剤、シリコーンオイルについては、それぞれ、電荷輸送性化合物(A)を必須に含有し、任意に重合性モノマー(B)等を含有する重合性化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01~50質量部、より好ましくは0.01~40質量部の割合で用いることができる。これらの含有量は、上記重合性化合物の合計量100質量部に対して合計で30質量部以下が好ましい。
滑剤粒子としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましい。特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。保護層形成用組成物中の滑剤粒子の割合は、上記重合性化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは5~70質量部、より好ましくは10~60質量部である。滑剤粒子の粒径は、個数平均一次粒径が0.01~1μmのものが好ましい。特に好ましくは、0.05~0.5μmのものである。
保護層は、例えば、保護層形成用組成物を硬化させることで得られる。具体的な方法は、後述の「感光体の製造」に記載されたとおりである。
保護層の厚さは、0.2~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~6μmである。
〔導電性支持体〕
本発明の実施形態に係る感光体1を構成する導電性支持体101は、導電性を有する支持体であればよい。導電性支持体101としては、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属をドラム又はシート状に成形したものが挙げられる。また、アルミニウム又は銅等の金属からなる金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム又は酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
本発明の実施形態に係る感光体1を構成する導電性支持体101は、導電性を有する支持体であればよい。導電性支持体101としては、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属をドラム又はシート状に成形したものが挙げられる。また、アルミニウム又は銅等の金属からなる金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム又は酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
〔中間層〕
感光体1が導電性支持体101と感光層103の間に有する中間層102は、導電性支持体101と感光層103の間のバリアー性又は接着性を高める機能を有する。本発明の感光体において中間層は必須の構成ではないが種々の故障防止等を考慮すると、中間層を設けることが好ましい。
感光体1が導電性支持体101と感光層103の間に有する中間層102は、導電性支持体101と感光層103の間のバリアー性又は接着性を高める機能を有する。本発明の感光体において中間層は必須の構成ではないが種々の故障防止等を考慮すると、中間層を設けることが好ましい。
このような中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)及び必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
中間層用バインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン-アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチン等が挙げられる。これらのなかでもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子又は金属酸化物粒子を含有させることができる。金属酸化物粒子としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム等の各種金属酸化物粒子を用いることができる。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズのように複合金属酸化物の粒子を用いてもよい。
このような金属酸化物粒子の個数平均一次粒径は、10~300nmであることが好ましく、より好ましくは20~100nmである。
導電性粒子又は金属酸化物粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体又は融着の形をとってもよい。
導電性粒子又は金属酸化物粒子の含有割合は、バインダー樹脂100質量部に対して20~400質量部であることが好ましく、より好ましくは50~350質量部である。
中間層の厚さは、0.1~15μmであることが好ましく、より好ましくは0.3~10μmである。
〔電荷発生層〕
感光体1が有する感光層103における電荷発生層103aは、電荷発生剤及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
感光体1が有する感光層103における電荷発生層103aは、電荷発生剤及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷発生剤としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルー等のアゾ顔料、ピレンキノン、アントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレン等の多環キノン顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。これらの電荷発生剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ-ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生剤の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1~600質量部であることが好ましく、より好ましくは50~500質量部である。
電荷発生層の厚さは、電荷発生剤の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合等により異なるが、0.01~5μmであることが好ましく、より好ましくは0.05~3μmである。
〔電荷輸送層〕
感光体1が有する感光層103における電荷輸送層103bは、電荷輸送剤及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
感光体1が有する感光層103における電荷輸送層103bは、電荷輸送剤及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷輸送層の電荷輸送剤としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、ポリ-9-ビニルアントラセン及びトリフェニルアミン誘導体等を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電荷輸送層用バインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらにはBPA(ビスフェノールA)型、BPZ(ビスフェノールZ)型、ジメチルBPA型、BPA-ジメチルBPA共重合体型のポリカーボネート樹脂等が耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送剤の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10~500質量部であることが好ましく、より好ましくは20~250質量部である。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送剤の特性、電荷輸送層用バインダー樹脂の特性及び含有割合等によって異なるが、5~40μmであることが好ましく、よりに好ましくは10~30μmである。
電荷輸送層中には、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイル等を添加してもよい。酸化防止剤については特開2000-305291号公報、電子導電剤は特開昭50-137543号公報、同58-76483号公報等に開示されているものが好ましい。
〔感光体の製造〕
本発明の電子写真感光体は、例えば、導電性支持体上に、感光体を構成する各層を順次形成することで製造できる。各層の形成は、各層を構成する固形分(又はその原料成分)と溶剤を含む塗布液からなる塗膜を形成する工程と、当該塗膜を硬化させる工程により行われる。本発明の感光体の具体的な製造方法について、図1に示す感光体1の製造方法を例にして、以下に説明する。
本発明の電子写真感光体は、例えば、導電性支持体上に、感光体を構成する各層を順次形成することで製造できる。各層の形成は、各層を構成する固形分(又はその原料成分)と溶剤を含む塗布液からなる塗膜を形成する工程と、当該塗膜を硬化させる工程により行われる。本発明の感光体の具体的な製造方法について、図1に示す感光体1の製造方法を例にして、以下に説明する。
感光体1は、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(1):導電性支持体101の表面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層102を形成する工程。
工程(2):導電性支持体101上に形成された中間層102の表面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層103aを形成する工程。
工程(3):中間層102上に形成された電荷発生層103aの表面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層103bを形成する工程。
工程(4):電荷発生層103a上に形成された電荷輸送層103bの表面に、保護層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることにより、保護層104を形成する工程。
工程(1):導電性支持体101の表面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層102を形成する工程。
工程(2):導電性支持体101上に形成された中間層102の表面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層103aを形成する工程。
工程(3):中間層102上に形成された電荷発生層103aの表面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層103bを形成する工程。
工程(4):電荷発生層103a上に形成された電荷輸送層103bの表面に、保護層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることにより、保護層104を形成する工程。
〔工程(1):中間層の形成〕
中間層102は、溶剤中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子又は金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体101上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層102は、溶剤中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子又は金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体101上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液中に導電性粒子又は金属酸化物粒子を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。なお、円形スライドホッパー法は、円筒状又は円柱状の物品の外周面を被塗布面とする塗布に用いられる方法である。円形スライドホッパー法は、ドラム状の導電性支持体の外周面に中間層形成用塗布液を塗布する方法として用いることができる。
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層102の形成工程において使用する溶剤としては、導電性粒子又は金属酸化物粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂を溶解するものであればよい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール等の炭素数1~4のアルコール系溶剤が、バインダー樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶剤と併用でき、好ましい効果を得られる助溶剤としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
中間層形成用塗布液中の中間層用バインダー樹脂の濃度は、中間層102の厚さや生産速度に合わせて適宜選択される。
〔工程(2):電荷発生層の形成〕
電荷発生層103aは、溶剤中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生剤を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層102上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層103aは、溶剤中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生剤を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層102上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液中に電荷発生剤を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層103aの形成に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t-ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
〔工程(3):電荷輸送層の形成〕
電荷輸送層103bは、溶剤中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送剤を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層103a上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層103bは、溶剤中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送剤を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層103a上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層103bの形成に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
〔工程(4):保護層の形成〕
保護層104の形成には、典型的には、保護層形成用組成物に溶剤を添加した塗布液(「保護層形成用塗布液」ともいう。)を用いる。なお、保護層形成用組成物が、所定の層上に塗布可能な粘度を有する液状組成物である場合は、溶剤を用いる必要はなく、保護層形成用組成物自体を保護層形成用塗布液として用いる。保護層形成用塗布液は、保護層形成用組成物における必須成分である電荷輸送性化合物(A)及びメラミン樹脂粒子、及び重合性モノマー(B)、重合開始剤、金属酸化物粒子等の任意成分、並びに必要に応じて添加されるこれら以外のその他の成分を公知の溶剤に添加して調製される。
保護層104の形成には、典型的には、保護層形成用組成物に溶剤を添加した塗布液(「保護層形成用塗布液」ともいう。)を用いる。なお、保護層形成用組成物が、所定の層上に塗布可能な粘度を有する液状組成物である場合は、溶剤を用いる必要はなく、保護層形成用組成物自体を保護層形成用塗布液として用いる。保護層形成用塗布液は、保護層形成用組成物における必須成分である電荷輸送性化合物(A)及びメラミン樹脂粒子、及び重合性モノマー(B)、重合開始剤、金属酸化物粒子等の任意成分、並びに必要に応じて添加されるこれら以外のその他の成分を公知の溶剤に添加して調製される。
次いで、得られた保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層103bの表面に塗布して塗膜を形成する。その後、塗膜中の反応成分を反応させて塗膜を硬化することにより、重合性化合物が重合・硬化したマトリックス104a中にメラミン樹脂粒子104bが分散された保護層104を形成することができる。なお、反応成分には、重合性化合物の他に、表面に反応性有機基を有する金属酸化物粒子のような成分も含まれる。保護層形成用組成物が表面に反応性有機基を有する金属酸化物粒子を含有する場合、重合性化合物と金属酸化物粒子表面の反応性有機基が反応し、マトリックスと金属酸化物粒子の界面に強固な結合が形成される。また、塗膜の硬化の前に塗膜を加熱等により乾燥させてもよい。
保護層形成用塗布液の調製は、上記各成分を溶剤に溶解又は分散させることで行う。上記成分のうち表面修飾金属酸化物粒子は溶剤に分散して用いられる。表面修飾金属酸化物粒子を溶剤に分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
保護層の形成に用いられる溶剤としては、上記各成分を溶解又は分散させることができればいずれのものも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール等の炭素数1~4のアルコール系溶剤が、メラミン樹脂粒子の分散性及び電荷輸送性化合物(A)の溶解性、さらには、塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶剤と併用でき、好ましい効果を得られる助溶剤としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
保護層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。ドラム状の感光体を製造する場合において、被塗布面に保護層形成用塗布液を塗布する方法としては、円形スライドホッパー法が好ましい。
円形スライドホッパー法による塗布は、円形スライドホッパー塗布装置を用いて行うことができる。円形スライドホッパー塗布装置では、装置のスライド面に塗布液が共有され、スライド面終端から塗布液が被塗布面に向かって帯状に流下することで塗布が行われる。
円形スライドホッパー塗布装置を用いる塗布方法では、スライド面終端と被塗布面は、ある間隙を持って配置されているため被塗布面を傷つけることなく塗布できる。感光体1の製造において、中間層102、電荷発生層103a、電荷輸送層103b及び保護層104を積層形成するように、性質が異なり同一溶剤に溶解する層を多層形成させる際の2層目以降の塗布方法として、円形スライドホッパー法は、浸漬コーティング方法と比べて溶剤中に存在する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へ殆ど溶出せず、塗布槽にも溶出することなく塗布できるので、好ましい。
塗膜に対しては、乾燥させることなく硬化処理を行ってもよいが、自然乾燥又は熱乾燥を行った後、硬化処理を行うことが好ましい。
乾燥の条件は、溶剤の種類、膜厚等によって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温(25℃)~180℃の範囲内であり、特に好ましくは80~140℃の範囲内である。乾燥時間は、好ましくは1~200分間であり、特に好ましくは5~100分間である。
塗膜を硬化させるための硬化処理においては、塗膜に紫外線を照射してラジカルを発生させ、電荷輸送性化合物(A)を重合反応させる。あるいは、保護層形成用組成物が重合性モノマー(B)を含有する場合には、電荷輸送性化合物(A)を重合性モノマー(B)とともに重合反応させる。保護層形成用組成物が重合性モノマー(B)を含有する場合には、架橋反応による架橋結合を形成させて硬化させることにより、得られる保護層のマトリックスに3次元の網目構造が導入され、架橋密度が高く、高硬度、かつ、高弾性な保護層が得られる。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、例えば、紫外線の照射量は、通常5~500mJ/cm2の範囲内、好ましくは5~100mJ/cm2の範囲内である。ランプの電力は、好ましくは0.1~5kWの範囲内であり、特に好ましくは0.5~3kWの範囲内である。必要な紫外線の照射量を得るための照射時間としては、例えば、0.1秒間~10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間~5分間がより好ましい。
保護層の形成の工程においては、紫外線を照射する前後、及び紫外線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置は、上記した電子写真感光体を備えて構成される。本発明の画像形成装置は、さらに、例えば、当該電子写真感光体の表面を帯電させる第1帯電手段と、当該電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材(画像を担持する画像支持体であり、例えば普通紙、透明シート等)に転写する転写手段と、転写材にトナー像を転写した後に電子写真感光体の表面を帯電させる第2帯電手段と、当該電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えるものが好ましい。
本発明の画像形成装置は、上記した電子写真感光体を備えて構成される。本発明の画像形成装置は、さらに、例えば、当該電子写真感光体の表面を帯電させる第1帯電手段と、当該電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材(画像を担持する画像支持体であり、例えば普通紙、透明シート等)に転写する転写手段と、転写材にトナー像を転写した後に電子写真感光体の表面を帯電させる第2帯電手段と、当該電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えるものが好ましい。
図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bk、中間転写体ユニット7、給紙手段21、定着手段24等を備えている。画像形成装置100の装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bk、中間転写体ユニット7、給紙手段21、定着手段24等を備えている。画像形成装置100の装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1Mの周囲に感光体1Mの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写ローラー5M、第2帯電手段9M及びクリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1Cの周囲に感光体1Cの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写ローラー5C、第2帯電手段9C及びクリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、ドラム状の感光体1Bkの周囲に感光体1Bkの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写ローラー5Bk、第2帯電手段9Bk及びクリーニング手段6Bkを有する。感光体1Y、1M、1C、1Bkとしては、上記した本発明の電子写真感光体を用いる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成するトナー像の色が異なるのみで、同様に構成される。したがって、画像形成ユニット10Yを例にとって詳細に説明し、画像形成ユニット10M、10C、10Bkの説明を省略する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本実施形態においては、画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、第1帯電手段2Y、現像手段4Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yが一体化されて設けられている。
第1帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、例えば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
露光手段3Yは、第1帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。露光手段3Yとしては、例えば、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又はレーザー光学系が用いられる。
現像手段4Yは、例えば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ及び感光体1Yとこの現像スリーブとの間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段である。一次転写ローラー5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。
第2帯電手段9Yは、中間転写体70にトナー像を転写した後に感光体1Yの表面を帯電(除電)させる除電手段であり、プレクリーニング部材として設けられている。第2帯電手段9Yとしては、例えば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
本発明の画像形成装置100によれば、本発明の電子写真感光体を備えることに加え、第2帯電手段9Yが設けられていることにより、十分な感光体の長寿命及び高画質を得ることができる。また、画像形成装置100は本発明の電子写真感光体を備えていることにより、第2帯電手段9Yが設けられていない、又は第2帯電手段9Yを使用しない画像形成条件においても、十分な感光体の長寿命及び高画質を得ることができる。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
中間転写体ユニット7は、複数のローラー71、72、73、74により巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状の中間転写体70を有する。中間転写体ユニット7には、中間転写体70上にトナーを除去するクリーニング手段6bが配置されている。
また、上記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、中間転写体ユニット7とにより筐体8が構成されている。筐体8は、装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
画像形成装置100は、中間転写体70上に形成されたカラー画像を転写材Pに転写する二次転写ローラー5bを備える。給紙手段21は、二次転写ローラー5bに転写材Pを供給するための手段である。給紙手段21は、転写材Pを収容する給紙カセット20と、転写材Pを二次転写ローラー5bに搬送するための複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を備える。
定着手段24は、転写材Pに転写されたカラー画像を転写材Pに定着させる手段であり、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。画像形成装置100は、画像形成された転写材Pを取り出すための排紙トレイ26を有し、定着手段24の下流に、定着処理された転写材Pを、排紙トレイ26に搬送する排紙ローラー25を備える。
なお、上記した実施形態においては、画像形成装置100が、カラーのレーザープリンターであるものとしたが、モノクロのレーザープリンター、コピー機、複合機等であっても良い。また、露光光源は、レーザー以外の光源、例えばLED光源等であってもよい。
[画像形成方法]
画像形成方法は、本発明の電子写真感光体を用いて行うことが好ましい。
具体的には、本発明の電子写真感光体を備える上記画像形成装置100を用いて以下のようにして行うことができる。
画像形成方法は、本発明の電子写真感光体を用いて行うことが好ましい。
具体的には、本発明の電子写真感光体を備える上記画像形成装置100を用いて以下のようにして行うことができる。
すなわち、まず、第1帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に放電して負に帯電させる。次いで、露光手段3Y、3M、3C、3Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。次いで、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー像を形成する。
次いで、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体70上に逐次転写(一次転写)させて、中間転写体70上にカラー画像を形成する。
そして、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を第2帯電手段9Y、9M、9C、9Bkによって除電する。その後、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナーを、クリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkで除去する。そして、次の画像形成プロセスに備えて、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkを負に帯電させる。
一方、給紙カセット20から給紙手段21により転写材Pを給紙し、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラー23を経て二次転写ローラー5bに搬送する。そして、二次転写ローラー5bにより、転写材P上にカラー画像を転写(二次転写)する。
このようにしてカラー画像が転写された転写材Pを、定着手段24で定着処理した後、排紙ローラー25で挟持して装置外に排紙し、排紙トレイ26上に載置する。また、転写材Pが中間転写体70から分離された後、クリーニング手段6bにより中間転写体70上の残存トナーを除去する。
以上のようにして、転写材P上に画像を形成することができる。
以上のようにして、転写材P上に画像を形成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
[電子写真感光体の作製]
以下の方法で図1に示す感光体の層構成と同様の層構成の感光体1~20を製造した。感光体1~16が実施例の感光体であり、感光体17~20が比較例の感光体である。
以下の方法で図1に示す感光体の層構成と同様の層構成の感光体1~20を製造した。感光体1~16が実施例の感光体であり、感光体17~20が比較例の感光体である。
感光体1~21において、保護層形成用の組成物については、以下の材料を用いた。
(I)重合性電荷輸送性化合物
・実施例については、重合性電荷輸送性化合物として、電荷輸送性化合物(A)である上記化合物T-1~化合物T-55のいずれかを用いた。
・比較例用の重合性電荷輸送性化合物として、電荷輸送性化合物(A)の範囲外である、以下のC-1~C-3に構造を示す化合物C-1~化合物C3を準備し、用いた。
(I)重合性電荷輸送性化合物
・実施例については、重合性電荷輸送性化合物として、電荷輸送性化合物(A)である上記化合物T-1~化合物T-55のいずれかを用いた。
・比較例用の重合性電荷輸送性化合物として、電荷輸送性化合物(A)の範囲外である、以下のC-1~C-3に構造を示す化合物C-1~化合物C3を準備し、用いた。
(II)重合性モノマー(B)
上記M1~化合物M11のいずれかを用いた。
上記M1~化合物M11のいずれかを用いた。
(III)メラミン樹脂粒子
メラミン粒子1;「エポスターS」(メラミンホルムアルデヒド縮合物粒子、平均粒子径0.2μm、日本触媒社製)
メラミン粒子2;「エポスターS6」(メラミンホルムアルデヒド縮合物粒子、平均粒子径0.4μm、日本触媒社製)
メラミン粒子3;「エポスターS12」(メラミンホルムアルデヒド縮合物粒子、平均粒子径1.2μm、日本触媒社製)
メラミン粒子1;「エポスターS」(メラミンホルムアルデヒド縮合物粒子、平均粒子径0.2μm、日本触媒社製)
メラミン粒子2;「エポスターS6」(メラミンホルムアルデヒド縮合物粒子、平均粒子径0.4μm、日本触媒社製)
メラミン粒子3;「エポスターS12」(メラミンホルムアルデヒド縮合物粒子、平均粒子径1.2μm、日本触媒社製)
(IV)金属酸化物粒子
以下の方法で作製した表面修飾酸化スズ粒子及び表面修飾シリカ粒子を準備し、用いた。
以下の方法で作製した表面修飾酸化スズ粒子及び表面修飾シリカ粒子を準備し、用いた。
(表面修飾酸化スズ粒子の作製)
酸化スズ粒子(平均粒子径:20nm、CIKナノテック社製)100質量部、上記表面修飾剤S-16(CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3)6質量部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶剤300部を混合した。当該混合物を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ、約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌した。さらに、撹拌後の混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、表面修飾酸化スズ粒子を得た
酸化スズ粒子(平均粒子径:20nm、CIKナノテック社製)100質量部、上記表面修飾剤S-16(CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3)6質量部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶剤300部を混合した。当該混合物を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ、約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌した。さらに、撹拌後の混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、表面修飾酸化スズ粒子を得た
(表面修飾シリカ粒子の作製)
シリカ粒子としてアエロジル50(平均粒子径:30nm、アエロジル社製)100質量部、上記表面修飾剤S-16(CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3)30質量部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶剤300部を混合した。当該混合物を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ、約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌した。さらに、撹拌後の混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、表面修飾シリカ粒子を得た。
シリカ粒子としてアエロジル50(平均粒子径:30nm、アエロジル社製)100質量部、上記表面修飾剤S-16(CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3)30質量部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶剤300部を混合した。当該混合物を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ、約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌した。さらに、撹拌後の混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、表面修飾シリカ粒子を得た。
<感光体1の作製>
(1)導電性支持体の準備
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体〔1〕を準備した。
(1)導電性支持体の準備
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体〔1〕を準備した。
(2)中間層の形成
(中間層形成用塗布液の組成)
ポリアミド樹脂X1010(ダイセルデグサ社製) 10質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 11質量部
エタノール 200質量部
(中間層形成用塗布液の組成)
ポリアミド樹脂X1010(ダイセルデグサ社製) 10質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 11質量部
エタノール 200質量部
上記組成における各成分を混合し、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行い、中間層形成用塗布液を得た。導電性支持体〔1〕上に、110℃で20分乾燥後の層厚が2μmとなるよう上記中間層形成用塗布液を浸漬塗布法で塗布した。得られた塗膜を110℃で20分間乾燥して中間層〔1〕を形成した。
(3)電荷発生層の形成
(電荷発生層形成用組成物の組成)
電荷発生物質(Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニン及び(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶) 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL-1(積水化学社製)」 12質量部
3-メチル-2-ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400質量部
(電荷発生層形成用組成物の組成)
電荷発生物質(Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニン及び(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶) 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL-1(積水化学社製)」 12質量部
3-メチル-2-ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400質量部
上記組成における各成分を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP(株式会社日本精機製作所製)」を19.5kHz,600Wにて循環流量40L/Hで0.5時間にわたって分散することにより、電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗布液を浸漬塗布法によって中間層〔1〕上に塗布して、乾燥後の層厚が0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(4)電荷輸送層の形成
(電荷輸送層形成用塗布液の組成)
電荷輸送剤:下記CTM-(1) 60質量部
ポリカーボネート樹脂「Z300(三菱ガス化学社製)」 100質量部
酸化防止剤「Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)」
4質量部
(電荷輸送層形成用塗布液の組成)
電荷輸送剤:下記CTM-(1) 60質量部
ポリカーボネート樹脂「Z300(三菱ガス化学社製)」 100質量部
酸化防止剤「Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)」
4質量部
上記組成における各成分を混合し、溶解させることにより電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法によって電荷発生層〔1〕上に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、乾燥後の層厚が24μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
(5)保護層の形成
(保護層形成用塗布液の組成)
電荷輸送性化合物(A):化合物T-3 60質量部
重合性モノマー(B):化合物M1 40質量部
メラミン粒子1 10質量部
光重合開始剤:Omnirad819(IGM Resins B.V.社製)
5質量部
2-ブタノール 150質量部
テトラヒドロフラン 50質量部
(保護層形成用塗布液の組成)
電荷輸送性化合物(A):化合物T-3 60質量部
重合性モノマー(B):化合物M1 40質量部
メラミン粒子1 10質量部
光重合開始剤:Omnirad819(IGM Resins B.V.社製)
5質量部
2-ブタノール 150質量部
テトラヒドロフラン 50質量部
上記組成における各成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層形成用塗布液を調製した。調製した保護層形成用塗布液を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射した後、110℃で70分間乾燥を行った。これにより、乾燥後の層厚が4.0μmの保護層〔1〕を形成した。表Iに保護層形成用塗布液から溶剤を除いた保護層形成用組成物の組成(質量部)を示す。
<感光体2~14の作製>
上記感光体1の保護層の形成において、電荷輸送性化合物(A)、重合性モノマー(B)及びメラミン粒子の種類及びそれらの添加量を下記表Iに記載のとおりにそれぞれ変更した以外は同様にして、感光体2~14を作製した。
上記感光体1の保護層の形成において、電荷輸送性化合物(A)、重合性モノマー(B)及びメラミン粒子の種類及びそれらの添加量を下記表Iに記載のとおりにそれぞれ変更した以外は同様にして、感光体2~14を作製した。
<感光体15、16の作製>
上記感光体1の保護層の形成において、電荷輸送性化合物(A)、重合性モノマー(B)及びメラミン粒子の種類及びそれらの添加量を下記表Iに記載のとおりにそれぞれ変更し、さらに表面修飾酸化スズ粒子(感光体15)又は表面修飾シリカ粒子(感光体16)を下記表Iに記載の量添加した保護層形成用塗布液を用いた以外は同様にして、感光体15及び感光体16を作製した。
上記感光体1の保護層の形成において、電荷輸送性化合物(A)、重合性モノマー(B)及びメラミン粒子の種類及びそれらの添加量を下記表Iに記載のとおりにそれぞれ変更し、さらに表面修飾酸化スズ粒子(感光体15)又は表面修飾シリカ粒子(感光体16)を下記表Iに記載の量添加した保護層形成用塗布液を用いた以外は同様にして、感光体15及び感光体16を作製した。
<感光体17の作製>
上記感光体4の保護層の形成において、メラミン粒子1を使用しなかった以外は同様にして、感光体17を作製した。
上記感光体4の保護層の形成において、メラミン粒子1を使用しなかった以外は同様にして、感光体17を作製した。
<感光体18~20の作製>
上記感光体4の保護層の形成において、重合性電荷輸送性化合物を下記表Iに記載のとおりにそれぞれ変更した以外は同様にして、感光体18~20を作製した。なお、感光体19については、重合性電荷輸送性化合物C-2が塗布液中で析出し、均一な保護層が得られなかったため、後述する評価は実施しなかった。
上記感光体4の保護層の形成において、重合性電荷輸送性化合物を下記表Iに記載のとおりにそれぞれ変更した以外は同様にして、感光体18~20を作製した。なお、感光体19については、重合性電荷輸送性化合物C-2が塗布液中で析出し、均一な保護層が得られなかったため、後述する評価は実施しなかった。
[電子写真感光体の評価]
上記で得られた感光体1~20(感光体19は除く)について、以下の耐摩耗性、画像メモリー、解像度の評価を行った。結果を表Iに示す。
上記で得られた感光体1~20(感光体19は除く)について、以下の耐摩耗性、画像メモリー、解像度の評価を行った。結果を表Iに示す。
<耐摩耗性>
評価機として、コニカミノルタ社製「bizhub PRESS C1070」を用い当該評価機に上記作製した各感光体をそれぞれ搭載した。
評価機として、コニカミノルタ社製「bizhub PRESS C1070」を用い当該評価機に上記作製した各感光体をそれぞれ搭載した。
温度20℃・湿度50%の低温低湿環境下で、画像面積比率5%の横帯チャートをA4横送りで、各10万枚片面面連続でプリントを行う耐久試験を行った。上記耐久試験前後における感光体の感光層の層厚を測定し、層厚の減耗量を算出した。感光層の層厚は、幅方向に、一方の端10mm位置から他方の端10mm位置の間を10mm間隔ごとに測定し、その平均値を感光層の層厚とした。層厚測定は、渦電流方式の膜厚測定器(膜厚計FMP30、フィッシャー社)を用いて行った。以下のように評価基準を設定し、A~Cを合格とした。
(評価基準)
A: 減耗量 ≦ 0.2μm
B: 0.2μm < 減耗量 ≦ 0.3μm
C: 0.3μm < 減耗量 ≦ 0.5μm
D: 0.5μm < 減耗量
A: 減耗量 ≦ 0.2μm
B: 0.2μm < 減耗量 ≦ 0.3μm
C: 0.3μm < 減耗量 ≦ 0.5μm
D: 0.5μm < 減耗量
<画像メモリー>
前記耐久試験前に、温度10℃、湿度15%RHの環境下において、感光体1回転目にベタパターン、感光体2回転目にハーフトーンパターンが出力される印刷テスト用画像(図3参照)を、A3版中性紙上に印刷し、得られたテスト画像の2回転目のハーフトーンパターンにおける1回転目のベタパターンの履歴の発生、すなわちメモリーの発生を目視で観察し、評価結果がA及びBの場合を合格と判定した。
前記耐久試験前に、温度10℃、湿度15%RHの環境下において、感光体1回転目にベタパターン、感光体2回転目にハーフトーンパターンが出力される印刷テスト用画像(図3参照)を、A3版中性紙上に印刷し、得られたテスト画像の2回転目のハーフトーンパターンにおける1回転目のベタパターンの履歴の発生、すなわちメモリーの発生を目視で観察し、評価結果がA及びBの場合を合格と判定した。
(評価基準)
A;メモリーが観察されない(合格)
B:軽微なメモリーが観察される(合格)
C:はっきりしたメモリーが観察される(不合格)
A;メモリーが観察されない(合格)
B:軽微なメモリーが観察される(合格)
C:はっきりしたメモリーが観察される(不合格)
<解像度>
前記耐久試験の後、NO濃度40ppm/NO2濃度10ppm環境下に24時間放置した後、1200dpiのハーフトーン画像を印刷し、1000枚目の画像でドット再現性をルーペで拡大して目視で判定して評価した。
前記耐久試験の後、NO濃度40ppm/NO2濃度10ppm環境下に24時間放置した後、1200dpiのハーフトーン画像を印刷し、1000枚目の画像でドット再現性をルーペで拡大して目視で判定して評価した。
(評価基準)
A:独立して再現されているドットの割合が100%(合格)
B:独立して再現されているドットの割合が90%以上100%未満(合格)
C:独立して再現されているドットの割合が80%以上90%未満(合格)
D:独立して再現されているドットの割合が80%未満(不合格)
A:独立して再現されているドットの割合が100%(合格)
B:独立して再現されているドットの割合が90%以上100%未満(合格)
C:独立して再現されているドットの割合が80%以上90%未満(合格)
D:独立して再現されているドットの割合が80%未満(不合格)
101:導電性支持体
102:中間層
103:感光層
103a:電荷発生層
103b:電荷輸送層
104:保護層
104a:マトリックス(硬化性化合物の硬化物)
104b:メラミン樹脂粒子
100:画像形成装置
1、1Y、1M、1C、1Bk:感光体
2Y、2M、2C、2Bk:第1帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk:露光手段
4Y、4M、4C、4Bk:現像手段
5Y、5M、5C、5Bk:一次転写ローラー
5b:二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b:クリーニング手段
7:中間転写体ユニット
8:筐体
9Y、9M、9C、9Bk:第2帯電手段
10Y、10M、10C、10Bk:画像形成ユニット
21:給紙手段
20:給紙カセット
22A、22B、22C、22D:中間ローラー
23:レジストローラー
24:定着手段
25:排紙ローラー
26:排紙トレイ
70:中間転写体
71、72、73、74:ローラー
82L、82R:支持レール
P:転写材
102:中間層
103:感光層
103a:電荷発生層
103b:電荷輸送層
104:保護層
104a:マトリックス(硬化性化合物の硬化物)
104b:メラミン樹脂粒子
100:画像形成装置
1、1Y、1M、1C、1Bk:感光体
2Y、2M、2C、2Bk:第1帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk:露光手段
4Y、4M、4C、4Bk:現像手段
5Y、5M、5C、5Bk:一次転写ローラー
5b:二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b:クリーニング手段
7:中間転写体ユニット
8:筐体
9Y、9M、9C、9Bk:第2帯電手段
10Y、10M、10C、10Bk:画像形成ユニット
21:給紙手段
20:給紙カセット
22A、22B、22C、22D:中間ローラー
23:レジストローラー
24:定着手段
25:排紙ローラー
26:排紙トレイ
70:中間転写体
71、72、73、74:ローラー
82L、82R:支持レール
P:転写材
Claims (5)
- 導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体であって、
前記保護層が、下記一般式(A1)又は(A2)で構造が表される、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と、メラミン樹脂を含む粒子と、を含有する組成物の硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
一般式(A2)において、R1はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。R2は炭素数1~3のアルキル基を表す。xは0~2の整数を表す。nはそれぞれ独立して1~3の整数を表す。R2が複数存在する場合、複数のR2は同一であっても異なってもよい。 - 前記組成物が、さらに3官能以上の重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記組成物が、さらに金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物粒子が、表面に反応性有機基を有することを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
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