JP2023044825A - 紫外線硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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航太郎 舘野
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Abstract

【課題】端部止まり性の改善と面状態の平坦性、および素子信頼性を両立することのできる紫外線硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】重合性化合物(A)および重合開始剤(B)を含有する紫外線硬化性樹脂組成物であって、重合性化合物(A)が、ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)を含む、紫外線硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化性樹脂組成物に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、消費電力が少ないことから、ディスプレイや照明装置などに用いられつつある。有機EL素子は、大気中の水分や酸素によって劣化しやすいことから、シール部材で封止されて使用することが検討されている。このような封止材は、通常インクジェット印刷等の方法で形成されることが多い。
さらに近年では、ディスプレイの薄型化やベゼルレス化(ディスプレイの外側の額物が取り払われていること)に伴い、封止材形成の際の印刷の精密性向上が望まれている。
このようなシール部材として、熱硬化型のエポキシ系材料を用いた封止剤の他、アクリル系材料を用いた封止剤も提案されている。たとえば、特許文献1(国際公開第2019/82996号)においては、非環式の炭素数6以上のアルカンジオールジ(メタ)アクリレートと、特定の環状モノマーと、光重合開始剤を含有する有機EL表示素子用封止剤が提案されている。
国際公開第2019/82996号
しかしながら、上述の特許文献1に記載の封止剤について本発明者が検討したところ、外部からの水分や酸素などが封止剤を介して素子内部に徐々に浸透して、ダークスポットが発生し、拡大することがあるという懸念がある点で改善の余地があった。
また、本発明者らが検討したところ、封止材をたとえばインクジェット印刷にて形成する場合、外見上、外観が良好であっても、細部を見てみると、端部がわずかに広がってしまうなどの課題があり、ディスプレイの外観をより精密なものとしつつ、製造安定性を良好なものとする場合には、歩留まりが低下することが懸念された。また、端部を良好に留めようとすると、封止材に用いる組成物、たとえば液の収縮性の増加に伴い、封止材を硬化させた後の面の平坦性の低下が生じたり、ピンホールが発生してしまうというトレードオフの問題があるという点で、改善の余地があることが明らかになった。
本発明は、有機EL素子等の封止材をインクジェット印刷した場合の、端部止まり性と面状態の平坦性、および素子信頼性を両立することのできる紫外線硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明によれば、以下に示す紫外線硬化性樹脂組成物が提供される。
[1] 重合性化合物(A)および重合開始剤(B)を含有する紫外線硬化性樹脂組成物であって、
前記重合性化合物(A)が、ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)を含む、紫外線硬化性樹脂組成物。
[2] E型粘度計によって25℃、20rpmの条件で測定される粘度が4mPa・s以上50mPa・s以下である、
[1]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[3] 当該紫外線硬化性樹脂組成物中の前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)の含有量は、当該紫外線硬化性樹脂組成物の重合性化合物(A)100質量部に対して、20質量部以下である、
[1]または[2]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[4] 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)は、2官能以上の(メタ)アクリレートである、
[1]から[3]いずれか1つに記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[5] 前記重合性化合物(A)は前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)以外の(メタ)アクリレート(A2)をさらに含む、[1]から[4]いずれか1つに記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[6] 前記(メタ)アクリレート(A2)は、2官能(メタ)アクリレートを含む、[5]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[7] 前記(メタ)アクリレート(A2)は、2官能アクリレートおよび2官能メタクリレートをいずれも含む、[5]または[6]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[8] 前記(メタ)アクリレート(A2)は、脂環式2官能(メタ)アクリレートおよび直鎖2官能(メタ)アクリレートをいずれも含有する、[5]から[7]いずれか1つに記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[9] 前記(メタ)アクリレート(A2)は、単官能(メタ)アクリレートをさらに含む、[6]から[8]いずれか1つに記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[10]
前記重合開始剤(B)は、光ラジカル重合開始剤を含有する、[1]から[9]いずれか1つに記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[11] 前記光ラジカル重合開始剤は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(TPO)を含有する、[10]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[12] インクジェット法による塗布に用いられる、[1]から[11]いずれか1つに記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[13] 表示素子用である、[1]から[12]いずれか1つに記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[14] 前記表示素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子である、[13]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
たとえば、本発明によれば、前記本発明における紫外線硬化性樹脂組成物からなる封止剤およびその硬化物を提供することもできる。
また、たとえば、本発明によれば、基板と、前記基板上に配置された表示素子と、前記表示素子を被覆する封止層と、を含み、前記封止層が、前記本発明における紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されている、表示装置を提供することもできる。
本発明によれば、インクジェット印刷した封止材の、端部止まり性と面状態の平坦性、および素子信頼性を両立することのできる紫外線硬化性樹脂組成物を提供することができる。
実施形態における有機EL表示装置の構成例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、本実施形態において、各成分について、それぞれ、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、数値範囲を表す「~」は、以上、以下を表し、上限値および下限値をいずれも含む。
(紫外線硬化性樹脂組成物)
本実施形態において、紫外線硬化性樹脂組成物(以下、適宜単に「樹脂組成物」とも呼ぶ。)は、重合性化合物(A)および重合開始剤(B)を含み、重合性化合物(A)は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)を含む。
樹脂組成物は、素子へのダメージを低減する観点から、好ましくは表示素子用であり、表示素子は、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子である。
また、樹脂組成物は、具体的には、素子の封止に好適に用いられ、また、封止材料として好適に用いられる。
樹脂組成物の性状は限定されず、樹脂膜の硬化物のフレキシブル性および耐プラズマ性を向上させる観点、および、インクジェット法等の塗布法による硬化材料の形成に好適であるという観点から、樹脂組成物は好ましくは液状である。
また、樹脂膜等の材料を安定的に形成する観点から、樹脂組成物は、好ましくは塗布に用いられ、より好ましくはインクジェット法による塗布に用いられる。
E型粘度計を用いて25℃、20rpmにて測定される樹脂組成物の粘度は、端部止まり性および面状態の平坦性を両立する観点から、好ましくは4mPa・s以上であり、より好ましくは15mPa・s以上であり、さらにより好ましくは17mPa・s以上であり、よりいっそう好ましくは20mPa・s以上であり、また、好ましくは50mPa・s以下であり、より好ましくは40mPa・s以下であり、さらに好ましくは30mPa・s以下である。
次に、樹脂組成物の構成成分について具体例を挙げて説明する。
(成分(A))
成分(A)は、重合性化合物である。成分(A)は、重合性の官能基を有する化合物であればよく、好ましくはラジカル重合性の官能基を有する化合物である。ラジカル重合性官能基の具体例として、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
ここで、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基のうちの少なくとも一方を意味する。(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルのうちの少なくとも一方を意味する。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートのうちの少なくとも一方を意味する。
成分(A)は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)を含む。ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート、すなわち成分(A1)は、具体的には、以下の式(1)で表されるポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格および(メタ)アクリロイル基をそれぞれ1つまたは2つ以上含む。
また、成分(A1)がポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を2つ以上含む場合、複数のポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を連続せずに含む場合も含む。
Figure 2023044825000001
また、成分(A1)は分子構造中に、以下の式(2)で表されるウレタン結合をさらに含んでもよい。
Figure 2023044825000002
成分(A1)に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は、1以上つであり、好ましくは2つ以上である。すなわち成分(A1)は、好ましくは2官能以上の(メタ)アクリレートである。
また、成分(A1)は、好ましくは、以下の一般式(X)で表される化合物である。
これにより、封止材の端部止まり性の改善、および面状態の平坦性のバランスをより安定的に向上することができる。
Figure 2023044825000003
一般式(X)中、nは平均値であり、1以上1000以下の数を示す。nは好ましくは2以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上であり、また、好ましくは100以下であり、より好ましくは50以下、さらに好ましくは20以下、さらにより好ましくは15以下、よりいっそう好ましくは12以下である。
また、一般式(X)中、RはHまたはCHである。
(A1)すなわち成分(A1)を含むことで、本実施形態の樹脂組成物をインクジェット印刷した場合の、封止材の端部止まり性を非常に良好なものとすることができ、かつ、硬化した封止材表面の面状態を平坦なものとすることができる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を有する(メタ)アクリレートすなわち成分(A1)の分子量は、好ましくは200以上であり、より好ましくは300以上、さらに好ましくは400以上、さらにより好ましくは500以上である。分子量が小さすぎると樹脂組成物がインクジェットヘッドノズル先端で揮発してしまい、ノズル詰まりが発生しやすくなる。また、成分(A1)の分子量は、たとえば100000以下であり、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、さらに好ましくは3000以下、さらにより好ましくは2000以下、よりいっそう好ましくは1000以下である。
樹脂組成物中の成分(A1)の含有量は、封止材の端部止まり性の改善、および面状態の平坦性の効果をさらに発揮させる観点から、樹脂組成物の重合性化合物(A)100質量部に対し、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上である。
また、端部直線性と面状態の平坦性および素子信頼性を両立する観点から、樹脂組成物中の成分(A1)の含有量は、樹脂組成物の重合性化合物(A)100質量部に対し、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下であり、さらにより好ましくは10質量部以下である。
(成分(A2))
成分(A)は、好ましくは、成分(A1)とは別に、硬化性を向上させる観点から、成分(A1)以外の(メタ)アクリレート(A2)をさらに含む。成分(A1)以外の(メタ)アクリレート(A2)の具体例として、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
樹脂組成物により得られる樹脂材料の強度向上の観点から、好ましくは成分(A1)以外の(メタ)アクリレートすなわち成分(A2)が2官能(メタ)アクリレートを含み、より好ましくは成分(A2)が2官能(メタ)アクリレートである。
同様の観点から、成分(A2)は、好ましくは2官能アクリレートおよび2官能メタクリレートをいずれも含む。
(2官能(メタ)アクリレート)
2官能(メタ)アクリレートとして、具体的には、脂環式2官能(メタ)アクリレートおよび直鎖2官能(メタ)アクリレートが挙げられる。素子へのダメージの抑制効果を高める観点から、成分(A2)は、好ましくは脂環式2官能(メタ)アクリレートおよび直鎖2官能(メタ)アクリレートをいずれも含有する。
脂環式2官能(メタ)アクリレートは、分子構造中に脂環式炭化水素構造を有する2官能(メタ)アクリレートである。脂環式炭化水素構造における炭素数は、耐熱性向上および素子信頼性向上の観点から、好ましくは4以上であり、より好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上であり、また、好ましくは14以下であり、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
脂環式炭化水素構造は、飽和炭化水素構造であってよいし不飽和炭化水素構造であってもよい。耐熱性向上の観点から、脂環式炭化水素構造は、好ましくは飽和炭化水素構造である。
また、脂環式炭化水素構造は、単環式炭化水素構造であってもよいし、縮合環式炭化水素構造や橋架環式炭化水素構造の多環式炭化水素構造であってもよい。脂環式2官能(メタ)アクリレートは、分子構造中にこれらの脂環式炭化水素構造を含む基を含んでもよく、好ましくは脂環式炭化水素構造を含む2価の基を含む。
単環式炭化水素基の具体例として、シクロヘキシレン基、シクロヘキシル基等のシクロアルカン構造を有する基;シクロデカトリエンジイル基、シクロデカトリエン基等のシクロアルケン骨格を有する基が挙げられる。
多環式炭化水素基の具体例として、トリシクロデカンジイル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基等のジシクロペンタジエン骨格を有する基;ノルボルナンジイル基、イソボルナンジイル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等のノルボルナン骨格を有する基;アダマンタンジイル基、アダマンチル基等のアダマンタン骨格を有する基などが挙げられる。
脂環式2官能(メタ)アクリレートにおける環式炭化水素基は、耐プラズマ性向上の観点および低透湿性の観点から、好ましくはジシクロペンタジエン骨格を有する基である。
また、脂環式2官能(メタ)アクリレートは、耐プラズマ性向上の観点および低透湿性の観点から、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートを含み、より好ましくはトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートである。
紫外線硬化性樹脂組成物中の脂環式2官能(メタ)アクリレートの含有量は、耐熱性向上および素子信頼性向上の観点から、重合性化合物すなわち成分(A)100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上であり、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは5質量部以上であり、さらにより好ましくは10質量部以上であり、よりいっそう好ましくは13質量部以上である。
また、端部止まり性改善および面状態の平坦性をより好ましいものとする観点から、紫外線硬化性樹脂組成物中の脂環式2官能(メタ)アクリレートの含有量は、成分(A)100質量部に対し、好ましくは60質量部以下であり、より好ましくは55質量部以下であり、さらに好ましくは50質量部以下であり、さらにより好ましくは45質量部以下である。
直鎖2官能(メタ)アクリレートは、分子構造中に直鎖構造を有するとともに、(メタ)アクリロイル基を2個有する(メタ)アクリレートである。
直鎖構造は、端部止まり性改善および面状態の平坦性をより好ましいものとする観点から、好ましくは2価の直鎖炭化水素基を含む。2価の直鎖炭化水素基の炭素数は、モノマー入手容易性の観点から、たとえば1以上であり、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上である。また、耐熱性向上および素子信頼性向上の観点から、2価の直鎖炭化水素基の炭素数は、好ましくは20以下であり、より好ましくは14以下である。
直鎖2官能(メタ)アクリレートの具体例として、アルカンジオールのジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
直鎖2官能(メタ)アクリレートとして、さらに具体的には、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(たとえばA-HD-N、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(たとえばA-NOD-N、新中村化学工業社製;ライトアクリレート1,9ND-A、共栄社化学社製)、1,10-デカンジオールジアクリレート(たとえばA-DOD-N、新中村化学工業社製)、エチレングリコールジアクリレート(たとえばSR206NS、アルケマ社製)、トリエチレングリコールジアクリレート(たとえばSR272、アルケマ社製)、ポリエチレングリコールジアクリレート(たとえばA-400、新中村化学工業社製)、1,3-ブタンジオールジメタクリレート(たとえばBG、新中村化学工業社製)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(たとえばBD、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(たとえばHD-N、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジメタクリレート(たとえばNOD-N、新中村化学工業社製;ライトアクリレート1,9-ND-M、共栄社化学社製)、1,10-デカンジオールジメタクリレート(たとえばDOD-N、新中村化学工業社製)、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(たとえばSR262、アルケマ社製)が挙げられる。
端部止まり性改善および面状態の平坦性のバランスを向上しつつ、さらに素子信頼性を高める観点から、直鎖2官能(メタ)アクリレートは、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートおよび1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される1または2以上の(メタ)アクリレートである。
樹脂組成物中の直鎖2官能(メタ)アクリレートの含有量は、端部止まり性改善および面状態の平坦性のバランスをさらに向上させる観点から、成分(A)100質量部に対し、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上であり、さらに好ましくは20質量部以上であり、さらにより好ましくは25質量部以上である。
また、素子へのダメージの抑制効果を高める観点から、樹脂組成物中の直鎖2官能(メタ)アクリレートの含有量は、成分(A)100質量部に対し、好ましくは99.5質量部以下であり、より好ましくは95質量部以下であり、さらに好ましくは85質量部以下、さらにより好ましくは60質量部以下である。
(単官能(メタ)アクリレート)
樹脂組成物により得られる樹脂材料の強度向上の観点から、好ましくは成分(A2)が単官能(メタ)アクリレートをさらに含む。
単官能の(メタ)アクリレートとして、芳香環単官能(メタ)アクリレート;脂環式単官能(メタ)アクリレート;直鎖単官能(メタ)アクリレート、分岐鎖を有する単官能(メタ)アクリレート等の鎖式単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能の(メタ)アクリレートとして、さらに具体的には、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ターシャルブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート(たとえばFA-511AS、日立化成社製)、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジキシルエチル(メタ)アクリレート、エチルジグリコール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノ(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エトキシ化コハク酸(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート(たとえばS-1800A、新中村化学工業社製)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート(たとえばLA、大阪有機化学工業社製)、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド付加物、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド付加物、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3-(メタ)アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、エトキシ化-o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート(たとえばA-LEN-10、新中村化学工業社製)等が挙げられる。
樹脂組成物中の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、端部止まり性改善および面状態の平坦性の両立の観点から、成分(A)100質量部に対し、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは17質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下である。
また、樹脂組成物中の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、成分(A)100質量部に対し、たとえば0.1質量部以上であってもよい。
樹脂組成物中の成分(A)の含有量は、硬化物の強度を向上する観点から、樹脂組成物の全組成に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上であり、さらにより好ましくは90質量%以上であり、よりいっそう好ましくは93質量%以上である。
また、封止材料の耐候性を向上する観点から、樹脂組成物中の成分(A)の含有量は、樹脂組成物の全組成に対し、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは99.5質量%以下であり、さらに好ましくは99質量%以下であり、よりいっそう好ましくは98質量%以下である。
(成分(B))
成分(B)は重合開始剤である。低温で安定的に硬化物を形成する観点から、成分(B)は、好ましくは、紫外線または可視光線の照射によりラジカルを発生する化合物である光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系開始剤、ベンゾイルギ酸系開始剤およびヒドロキシフェニルケトン系開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-4'-イソプロピルプロピオフェノン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4'-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4'-トリ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(t-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'-ジ(メトキシカルボニル)-4,4'-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4'-ジ(メトキシカルボニル)-4,3'-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'-ジ(メトキシカルボニル)-3,3'-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2-(4'-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3',4'-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2',4'-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2'-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4'-ペンチルオキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-[p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)]-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(2'-クロロフェニル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(4'-メトキシフェニル)-s-トリアジン、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、3,3'-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、2-(o-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、3-(2-メチル-2-ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6-ビス(2-メチル-2-モルフォリノプロピオニル)-9-n-ドデシルカルバゾール、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-1-プロパノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジル-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステル、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)]、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン-1-(O-アセチルオキシム)などを挙げることができる。
これらの中でも、硬化性を向上させる観点から、光重合開始剤は、好ましくは、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-1-プロパノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(TPO)および2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステルからなる群から選択される1または2以上の化合物である。
光重合開始剤の市販品としては、Irgacure184、Irgacure651、Irgacure127、Irgacure1173、Irgacure500、Irgacure2959、Irgacure754、IrgacureMBF、IrgacureTPO(以上、BASF製)、Omnirad TPO H(IGM Resins社製)などが好ましい。
樹脂組成物中の成分(B)の含有量は、硬化性を向上させる観点から、樹脂組成物の全組成に対し、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、さらにより好ましくは2質量%以上である。
また、樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点から、樹脂組成物中の成分(B)の含有量は、樹脂組成物の全組成に対し、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下であり、さらにより好ましくは5質量%以下である。
(その他成分)
本実施形態において、樹脂組成物は、成分(A)および成分(B)から構成されてもよいし、これら以外の成分を含んでもよい。他の成分の具体例として、充填剤、硬化促進剤、可塑剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、シランカップリング剤および紫外線吸収剤からなる群から選択される1または2以上の添加剤が挙げられる。
また、加熱時のブリードアウト耐性向上の観点から、樹脂組成物は好ましくは界面活性剤を含まない。また、素子に浸透し、素子信頼性を低化させることを抑制する観点から、樹脂組成物は好ましくはレベリング剤を含まない。
次に、樹脂組成物の製造方法を説明する。
樹脂組成物の製造方法は限定されず、たとえば、成分(A)および成分(B)、および、適宜その他の成分、たとえば必要に応じて添加する各種添加剤を混合することを含む。各成分を混合する方法として、たとえば、遊星式撹拌装置、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種混練機を単独または併用して、常温下または加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下または不活性ガス気流下等の条件下で均一に混練する方法が挙げられる。
また、得られた樹脂組成物を用いて樹脂膜を形成することもできる。たとえば、樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥してもよい。塗布には、インクジェット法、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等の公知の手法を用いることができる。また、乾燥は、たとえば成分(A)が重合しない温度に加熱すること等によりおこなうことができる。得られる樹脂膜の形状に制限はなく、たとえば膜状または層状とすることができる。
また、得られる樹脂膜は、たとえば封止材料として好適に用いられる。封止材料は、たとえば本実施形態における樹脂組成物を硬化してなる硬化物であり、さらに具体的には樹脂組成物の光硬化物である。
樹脂組成物を光硬化させる方法としては、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LEDランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等の光源を使用して光照射して硬化させる方法が挙げられる。
本実施形態においては、樹脂組成物が成分(A)および成分(B)を含むため、これを用いることにより、有機EL素子等の表示素子へのダメージを低減することができる。また、本実施形態によれば、たとえば、樹脂組成物から得られる樹脂層を封止材料として用いることにより、信頼性に優れる表示装置を得ることも可能となる。
表示装置として有機EL表示装置を例に挙げると、有機EL表示装置は、樹脂組成物の硬化物により構成された層、たとえば封止層を有する。
また、本実施形態において得られる樹脂組成物は、たとえば表示素子用であり、好ましくは有機EL表示素子の封止用に好適に用いられる。本実施形態の樹脂組成物を用いることにより、有機EL表示素子の封止材における、端部止まり性を改善し、面状態の平坦性を良好とするとともに、素子発光時のダークスポットの発生を効果的に抑制することにより有機EL素子の素子信頼性を向上することが可能となる。すなわち、有機EL表示素子の封止材をインクジェット印刷した際の印刷性と、有機EL素子の素子信頼性を両立することができる。
以下、有機EL表示装置を例に、表示装置の構成例を挙げる。
(有機EL表示装置)
本実施形態において、有機EL表示装置は、封止剤の硬化物により構成された層を有する。有機EL素子を、本実施形態の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂層で保護することにより、有機EL素子内への水分の浸入を充分に防止して有機EL素子の性能および耐久性を高く維持することができる。
有機EL表示装置は、トップエミッション構造であっても、ボトムエミッション構造であってもよい。
有機EL素子は、基板上に配置され、本実施形態における紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂層により保護される前に、上記有機EL素子を含む領域を覆うように予め無機材料膜で被覆されていることが好ましい。
図1は、本実施形態における有機EL表示装置の構成例を示す断面図である。図1に示した表示装置100は、有機EL表示装置であって、基板(基材層50)と、基材層50上に配置された有機EL素子(発光素子10)と、発光素子10を被覆する封止層22(オーバーコート層22またはバリア性層22であってもよい)と、を含む。そして、たとえば封止層22が、本実施形態における紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されている。
また、図1においては、表示装置100が、発光素子10よりも観察側に位置する層として、バリア性層21(タッチパネル層21または表面保護層21であってもよい)、封止層22(オーバーコート層22またはバリア性層22であってもよい)、平坦化層23(封止層23であってもよい)、バリア性層24を有している。平坦化層23は、発光素子10を覆うように基材層50上に設けられており、バリア性層24は、平坦化層23の表面に設けられている。封止層22は、平坦化層23およびバリア性層24を覆うように基材層50上に設けられている。また、封止層22上にバリア性層21が設けられている。
基材層50の材料は限定されず、たとえば、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板等種々のものを用いることができる。基板上に複数のTFT(薄膜トランジスタ)および平坦化層を備えたTFT基板を用いることもできる。
バリア性層24すなわち前述の無機材料膜を構成する無機材料としては、たとえば、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。無機材料膜は、1層でもよく、複数種の層の積層体でもよい。
無機材料膜によって発光素子10を被覆する方法は、たとえば上記無機材料膜が窒化珪素や酸化珪素からなる場合には、スパッタリング法や電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマCVD法等が挙げられる。
このうち、スパッタリング法は、たとえば、キャリアガスとしてアルゴンや窒素等の単独または混合ガスを用い、室温、電力50~1000W、圧力0.001~0.1Torrの条件でおこなうことができる。
また、ECRプラズマCVD法は、たとえば、SiHとOとの混合ガス又はSiHとNとの混合ガスを用い、温度30℃~100℃、圧力10mTorr~1Torr、周波数2.45GHz、電力10~1000Wの条件でおこなうことができる。
発光素子10を、本実施形態の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂層、たとえば封止層22により保護する方法としては、たとえば、発光素子10上に封止剤を塗工し硬化する方法等が挙げられる。塗工する方法としては、インクジェット法を用いることが好ましい。
樹脂層の厚さは限定されないが、封止性能とフレキシブル性能を向上させる観点から、たとえば0.1~50μmであり、好ましくは1~20μmである。
また、表示装置100においては、発光素子10を大気中の水分や酸素から保護する効果を高くするため、上述の樹脂層上にさらに無機材料膜(バリア性層24)を積層することが好ましい。樹脂層上に積層される無機材料膜を構成する無機材料や形成方法としては、上述した発光素子10を被覆する無機材料膜と同様である。
上記樹脂層上に形成される無機材料膜の厚さは限定されないが、封止性能を向上させる観点から、たとえば0.01~10μmであり、好ましくは0.1~5μmである。
表示装置100においては、発光素子10よりも観察側に位置する層に、バリア性層24および封止層22が設けられており、封止層22が本実施形態における紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂層により構成されているため、封止層22の端部止まり性および面状態が良好であることにより、ディスプレイの外観を精密なものとする場合にも製造安定性に優れ、かつ、素子信頼性に優れた表示装置100を得ることができる。具体的には、封止層22の上部にバリア性層24を形成する際にプラズマ処理工程をおこなう際にも、バリア性層24へのダメージを抑制することができ、また、たとえばSiN膜であるバリア性層24へのピンホールの発生を抑制することができる。このため、たとえば85℃程度の温度帯で保存した際にアウトガスを発生しにくいため、発光素子10へのダメージを抑制することができる。また、封止層22を構成する樹脂層自体がプラズマ処理で劣化しにくいため、発光素子10へのダメージを抑制することができる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
はじめに、以下の例において用いた材料を示す。
・ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)
上述した一般式(X)で表される二官能ポリテトラメチレングリコールアクリレート1:PTMG-65(化合物名:ポリテトラメチレングリコール#650ジアクリレート、CAS.No.:52277-33-5)、新中村化学工業社製
・(メタ)アクリレート(A2)
二官能直鎖メタクリレート1:SR-262(1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、CAS.No.72829-09-5)、アルケマ社製
単官能直鎖アクリレート1:LA(ラウリルアクリレート、CAS.No.2156-97-0)、大阪有機化学工業社製
二官能脂環式メタクリレート1:DCP(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、CAS.No.43048-08-4)、新中村化学工業社製
二官能脂環式アクリレート1:A-DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、CAS.No.42594-17-2)、新中村化学工業社製
二官能直鎖アクリレート1:A-NOD-N(1,9-ノナンジオールジアクリレート、CAS.No.107481-28-7)、新中村化学工業社製
二官能直鎖メタクリレート2:NOD-N(1,9-ノナンジオールジメタクリレート、CAS.No.65833-30-9)、新中村化学工業社製
単官能分岐アクリレート1:S-1800A(イソステアリルアクリレート、CAS.No.93841-48-6)、新中村化学工業社製
二官能直鎖アクリレート2:SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート)、巴工業社製
二官能直鎖アクリレート3:SR306H(トリプロピレングリコールジアクリレート)、巴工業社製
・重合開始剤(B)
重合開始剤1:Omnirad TPO H(CAS.No.75980-60-8)、IGM Resins社製
・シランカップリング剤
シランカップリング剤1:KBM5103(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、CAS.No.4369-14-6)、信越化学工業社製
・レベリング剤
レベリング剤1:ポリフローNo.90(アクリル系共重合物)、共栄社製
(実施例1~6、比較例1~7)
表1に示した配合組成となるように各成分を配合して、液状の紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
各例で得られた樹脂組成物またはその硬化物の特性を以下の方法で測定した。測定結果を表1にあわせて示す。
(粘度)
各例で得られた樹脂組成物の粘度を、E型粘度計(LV-DV-II+ Pro、BROOKFIELD社製)を用いて25℃、20rpmにて測定した。
(評価用試料の製造)
ピンホール、端部直線性、端部幅の評価用試料については、以下の手順で評価用試料として用いる硬化物を形成した。すなわち、各例で得られた樹脂組成物を、インクジェットヘッド(KM1024IMHE、コニカミノルタ社製)に導入した。吐出状態の調整を行った後、表面を真空プラズマ処理した無アルカリガラス上に硬化後の厚みが10μmとなるように、幅30mm×長さ30mmのサイズで塗布し、塗膜を得た。得られた塗膜を3分間、窒素パージしながら室温(25℃)で放置した後、波長395nmのUV-LEDで照度100mW/cm、積算光量1500mJ/cmで硬化させ、硬化物を得た。
(ピンホール)
各例で得られた硬化物について、面状態の平坦性の指標として、硬化物表面のピンホールを目視にて評価した。また、走査型白色干渉計(VertScan 三菱ケミカルシステム株式会社製)にて、ピンホール内部の異物の有無を確認し、異物のないピンホールをカウントした。
評価基準を以下に示す。
A:ピンホールが発生していない
B:ピンホールが部分的に発生している
C:ピンホールが全面に発生している
(端部直線性)
各例で得られた硬化物について、硬化物端部の直線性を目視にて評価した。
評価基準を以下に示す。
A:端部が直線的になっている
B:端部に一部乱れが見られる
C:端部が波上に大きく乱れている
(端部幅)
端部止まり性の指標として、以下のとおり端部幅を評価した。
各例で得られた硬化物について、触針式の段差計(Alpha-Step、KLA-Techore社製)を用いて、端部と垂直方向に走査し、硬化物の面が立ち上がりはじめる箇所と面の立ち上がりが終わる箇所の間の幅を硬化物の幅(μm)として測定した。硬化物の幅(μm)から狙った幅(μm)を引いた幅を端部広がり幅(μm)として算出し、以下の基準で端部広がり性を評価した。
A:端部広がり幅が600μm以下である
B:端部広がり幅が700μm~900μmである
C:端部広がり幅が1000μm以上である
(素子信頼性(OLEDダメージ))
EL素子ダメージの指標として、以下の方法で有機EL表示素子の信頼性を評価した。
ITO電極を製膜したガラス基板に対し、上記基板をUV-オゾン処理装置(セン特殊光源社製、PL21-200(S)/UVE-200J)にて処理を行った後、アルカリ水溶液、純水、アセトン、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄を行い、最後にアセトンにて10分間超音波洗浄を行った。
次に、この基板を真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にDipyrazino[2,3-f:2',3'-h]quinoxaline-2,3,6,7,10,11,hexacarbonitrile(HAT-CN)を200mg、別の素焼き坩堝に9-Phenyl-3,6-bis(9-phenyl-9Hcarbazol-3-yl)-9H-carbazole(Tris-PCz)を200mg入れ、真空チャンバー内を1×10-4Paまで減圧した。その後、HAT-CNの入った坩堝を加熱し、HAT-CNを蒸着速度0.4Å/sで基板に堆積させ、膜厚100nmを製膜した。
続いて、Tris-PCzの入った坩堝を加熱し、蒸着速度1.0Å/sで基板に堆積させ、膜厚400nmを製膜した。次に、別の素焼き坩堝にTris(8-hydroxyquinolinato)aluminium(Alq3)を200mg入れ、真空チャンバー内を、再び1×10Paまで減圧した。次いでAlq3の入った坩堝を加熱し、蒸着速度0.5Å/sで厚膜700nmを製膜した。その後、タングステン製抵抗加熱ボートにフッ化リチウム200mgを入れ、真空チャンバーを1×10-4Paまで減圧し、フッ化リチウムを0.03Å/sの蒸着速度で5nm製膜した。
最後に、タングステン製抵抗加熱ボートにマグネシウムを1g、銀を200mg入れ、真空チャンバーを1×10-4Paまで減圧し、マグネシムを0.9Å/s、銀を0.1Å/sの蒸着速度でマグネシウム/銀=1/9の比率となるよう150nm製膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し、8mm×8mm有機発光材料層を有する積層体が配置された基板を取り出した。
この有機発光材料層を有する積層体に対し、窒素雰囲気下で、封止材となる各例で得られた樹脂組成物を30mg滴下し、ガラスを被せ、UV照射装置にて波長395nmの光を400mWで4秒間照射し、封止材を硬化させ、有機EL表示素子を得た。
得られた有機EL表示素子を、温度85℃の環境下で500時間暴露した後、3Vの電圧を印加し、有機EL表示素子の発光状態を目視にて確認した。
評価基準を以下に示す。
A:素子発光時にダークスポットが全く発生していない
B:素子発光時にダークスポットが一部発生している
C:素子発光時にダークスポットがほとんどの面に発生している
(ブリードアウト)
高温条件下におけるブリードアウトの有無を以下の手順で評価した。
1.各例で得られた樹脂組成物を50mm×50mmの無アルカリガラスにスピンコーターを用いて、平均膜厚8μmに塗布した。
2.窒素パージボックスへ封入し、窒素を3分間流した。
3.1500mW5600mJ(UVA2)を照射し、硬化させた。
4.110℃の恒温恒湿槽へ投入し、1000時間後、取り出した。
5.得られた硬化膜表面について、以下の基準で、ブリードアウトの有無を評価した。
評価基準:
A:表面にブリードアウトが発生していない
B:表面にブリードアウトが発生している
Figure 2023044825000004
表1より、各実施例で得られた樹脂組成物は、端部止まり性の改善と面状態の平坦性、および素子信頼性のバランスに優れるものであった。
10 発光素子
21 バリア性層、タッチパネル層または表面保護層
22 封止層、オーバーコート層、またはバリア性層
23 平坦化層または封止層
24 バリア性層
50 基材層
100 表示装置

Claims (14)

  1. 重合性化合物(A)および重合開始剤(B)を含有する紫外線硬化性樹脂組成物であって、
    前記重合性化合物(A)が、ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)を含む、紫外線硬化性樹脂組成物。
  2. E型粘度計によって25℃、20rpmの条件で測定される粘度が4mPa・s以上50mPa・s以下である、
    請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  3. 当該紫外線硬化性樹脂組成物中の前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)の含有量は、当該紫外線硬化性樹脂組成物の重合性化合物(A)100質量部に対して、20質量部以下である、
    請求項1または2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  4. 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)は、2官能以上の(メタ)アクリレートである、
    請求項1から3いずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  5. 前記重合性化合物(A)は前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール骨格を含有する(メタ)アクリレート(A1)以外の(メタ)アクリレート(A2)をさらに含む、請求項1から4いずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(メタ)アクリレート(A2)は、2官能(メタ)アクリレートを含む、請求項5に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  7. 前記(メタ)アクリレート(A2)は、2官能アクリレートおよび2官能メタクリレートをいずれも含む、請求項5または6に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  8. 前記(メタ)アクリレート(A2)は、脂環式2官能(メタ)アクリレートおよび直鎖2官能(メタ)アクリレートをいずれも含有する、請求項5から7いずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  9. 前記(メタ)アクリレート(A2)は、単官能(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項6から8いずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  10. 前記重合開始剤(B)は、光ラジカル重合開始剤を含有する、請求項1から9いずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  11. 前記光ラジカル重合開始剤は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(TPO)を含有する、請求項10に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  12. インクジェット法による塗布に用いられる、請求項1から11いずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  13. 表示素子用である、請求項1から12いずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  14. 前記表示素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子である、請求項13に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
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