JP2023042142A - 半導体装置の制御回路および半導体装置 - Google Patents

半導体装置の制御回路および半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023042142A
JP2023042142A JP2021149285A JP2021149285A JP2023042142A JP 2023042142 A JP2023042142 A JP 2023042142A JP 2021149285 A JP2021149285 A JP 2021149285A JP 2021149285 A JP2021149285 A JP 2021149285A JP 2023042142 A JP2023042142 A JP 2023042142A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
terminal
semiconductor device
switching element
emitter
control circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021149285A
Other languages
English (en)
Inventor
哲豊 紺野
Tetsutoyo Konno
彬 三間
Akira Mima
大助 川瀬
Daisuke Kawase
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Power Semiconductor Device Ltd
Original Assignee
Hitachi Power Semiconductor Device Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Power Semiconductor Device Ltd filed Critical Hitachi Power Semiconductor Device Ltd
Priority to JP2021149285A priority Critical patent/JP2023042142A/ja
Publication of JP2023042142A publication Critical patent/JP2023042142A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Power Conversion In General (AREA)
  • Electronic Switches (AREA)

Abstract

【課題】システムの稼働中であっても半導体装置の接合部の劣化を検知することのできる半導体装置の制御回路および半導体装置を提供する。【解決手段】半導体装置200の制御回路100は、スイッチング素子201のゲート端子206にゲート信号を印加して当該スイッチング素子201を駆動するゲート信号発生回路101と、第1の端子207と第2の端子208との間に接続され、スイッチング素子201がオフの期間にパルスを発生する定電流パルス発生回路103と、定電流パルス発生回路103が発生したパルスを第1の端子207と第2の端子208との間に印加し、第1の端子207と第2の端子208との間の電圧を計測する電圧計測回路104と、電圧計測回路104からの電圧降下計測結果をもとに、半導体装置200の表面電極やチップ接合導体204の接合劣化状態を判定する劣化状態判定部105と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置の制御回路および半導体装置に関する。
電気自動車や電鉄のモータ駆動等に用いられる大電流を扱うパワー半導体チップを備えた半導体装置がある。
この半導体装置は、直流電源から供給された直流電力をモータなどの誘導性負荷に供給するための交流電力に変換する機能、あるいはモータにより発電された交流電力を直流電源に供給するための直流電力に変換する機能を備えている。この変換機能を果すため、半導体装置はスイッチング機能を有するパワー半導体チップを備えており、導通動作や遮断動作を繰り返すことにより、直流電力から交流電力へあるいは交流電力から直流電力へ電力変換し、電力を制御する。
半導体装置は、一般的な構成として、放熱ベースの上に、配線パターンを形成した絶縁基板をはんだ等で接合し、その絶縁基板の配線パターンの上に、パワー半導体チップをはんだ等で搭載する。パワー半導体チップには、表裏に電極が備えられ、裏面電極は絶縁基板上の配線パターンと接続され、表面電極はワイヤ等を介して絶縁基板上の配線パターンに接続される。鉄道用などの大電力用の半導体装置では、絶縁基板上に複数のパワー半導体チップが搭載され、さらにその絶縁基板を複数搭載することで、大電流に対応できるようにしている。
半導体装置の絶縁基板上に搭載されるパワー半導体チップは、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子や、還流ダイオードが搭載される。
パワー半導体チップは、裏面に主電流が流れる裏面電極としてドレイン電極(ユニポーラ型トランジスタの場合)やコレクタ電極(バイポーラ型トランジスタの場合)やカソード電極(還流ダイオードの場合)を備える。また、パワー半導体チップは、表面に制御電流が流れるゲート電極(ユニポーラ型トランジスタやユニポーラ型トランジスタの場合)と主電流が流れる表面電極としてソース電極(ユニポーラ型トランジスタの場合)やエミッタ電極(バイポーラ型トランジスタの場合)やアノード電極(還流ダイオードの場合)を備える。
裏面電極は、従来、鉛はんだや鉛フリーはんだによって回路基板に接合されていた。また、表面電極にはアルミニウム系の材料が用いられており、従来配線としてアルミニウム系のワイヤや銅系のリードが表面電極上に接合されていた。
例えば、電気自動車のモータ駆動に用いる半導体装置は、耐圧600V以上、電流容量300A以上となる。電気鉄道の場合は耐圧3.3kV以上、電流容量1200A以上となる。これらの大電流を扱うため、パワー半導体チップあたり数百アンペアの電流を流す必要がある。このため通常、直径300μmから550μm程度の太線ワイヤを表面電極上に複数本超音波接合したり、はんだなどにより銅リードを接合したりすることが必要になっている。
近年、はんだに替えて耐熱性に優れ長寿命な焼結金属や、アルミニウムより耐熱性に優れる銅ワイヤなどに置き換わりつつある。半導体装置の電流容量向上の要求は、ますます高まっており、1チップあたりに流れる電流が増加している。このため、発熱が増加し、チップ周辺の接合部がより大きな温度変動に晒されるようになっている。
特許文献1には、直流電源間に直列接続された半導体モジュールを有する半導体装置において、直列接続された半導体素子に同時にオンパルスを与え、そのオンパルス期間での短絡電流値を検出することにより、半導体素子の劣化を検知する半導体装置の劣化検出方法が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置の劣化検出方法は、半導体パワーモジュールの上下アーム素子に、制御回路から短絡耐量を超えない極めて短時間の短絡パルスを入力し、そのときの素子に流れる電流値を基準値と比較し、基準値以外の値となったら半田接合部の劣化と検出することにより、劣化を効果的かつ正確に検出可能とする。
特許文献2には、1つのエミッタワイヤボンディングパッド2に、出力電流を出力するためのものとは別に、寿命予測ワイヤ14が接続されており、寿命予測回路17は、寿命予測ワイヤ14からエミッタワイヤボンディングパッド2とエミッタワイヤボンディングパッド2に接続された他のワイヤ(エミッタワイヤ8や制御エミッタワイヤ15)を介して、定電流回路26からの電流を基準(接地)電位に流す構成が開示されている。
特許文献2では、IGBT1が劣化していない状態では、寿命予測ワイヤ14からエミッタワイヤボンディングパッド2とエミッタワイヤボンディングパッド2に接続された他のワイヤ(エミッタワイヤ8や制御エミッタワイヤ15)を介して基準(接地)電位に至る経路の電気抵抗は略無に等しく、並列接続されている検出抵抗27を介して流れる電流も皆無であるため、寿命予測ワイヤ14から基準(接地)電位に至るまでの間に電圧降下は発生せず、寿命予測ワイヤ14の電位はゼロ(接地レベル)である。しかしながら、IGBT1を使用することによって、寿命予測ワイヤ14のボンディング部あるいはその近傍の寿命予測ワイヤ14自身にクラックが生じ、やがて、寿命予測ワイヤ14のエミッタワイヤボンディングパッド2からの剥離、または、寿命予測ワイヤ14の断線に至った場合、定電流回路26からの電流は、エミッタワイヤボンディングパッド2を介して流れることができなくなり、検出抵抗27において電圧降下が発生し、コンパレータ28の非反転入力における電位を上昇させる。これをコンパレータ28で検出基準電圧と比較することで、寿命予測を行うことができる。
特開2009-19953号公報 特開2008-4728号公報
特許文献1に記載の半導体装置の劣化検出方法は、直列接続された半導体素子に同時にオンパルスを与えるので、装置の停止や分解をしなければならないという課題がある。
また、1チップあたりに流れる電流が増加して発熱が増加し、チップ周辺の接合部がより大きな温度変動に晒されるようになっている場合であっても、熱応力の繰り返しによる接合部の劣化を、装置の停止や分解をすることなく検知することが課題となっている。
特許文献2に記載の寿命予測方法では、定電流回路26から常に電流を流す構成となっているので、消費電力が大きくなってしまうという課題がある。また、寿命予測ワイヤ14の剥離や断線しか検出することができず、寿命予測ワイヤ14以外の他のワイヤの剥離や断線については検出することができないという課題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、システムの稼働中であっても半導体装置の接合部の劣化を検知することのできる半導体装置の制御回路および半導体装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置の制御回路は、半導体装置を駆動する制御回路であって、前記半導体装置は、オン時にコレクタ電流またはドレイン電流を主電流として流すスイッチング素子と、前記スイッチング素子のエミッタまたはソースに接続された第1の端子および第2の端子と、を有し、前記制御回路は、前記スイッチング素子のゲート端子にゲート信号を印加して当該スイッチング素子を駆動するゲート信号発生回路と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、前記スイッチング素子がオフの期間にパルスを発生する定電流パルス発生回路と、前記定電流パルス発生回路が発生した前記パルスを前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加したときの前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧を計測する電圧計測回路と、前記電圧計測回路からの電圧降下計測結果をもとに、前記半導体装置の接合劣化状態を判定する劣化状態判定部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、システムの稼働中であっても半導体装置の接合部の劣化を検知することのできる半導体装置の制御回路および半導体装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態の半導体装置の制御回路およびこれを適用する半導体装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構造の一例を示す上面図である。 図2のA-A’矢視断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における、主電流および測定用の定電流パルスの流れを模式的に示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の制御回路の駆動シーケンスを示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る変形例の半導体装置の構造の一例を示す上面図である。 図6のA-A’矢視断面図である。 本発明の第2の実施形態の半導体装置の制御回路およびこれを適用する半導体装置の構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体装置のチップ接合導体としてアルミニウムワイヤを用い、端子接合層としてはんだを用いた場合の、劣化前と、アルミニウムワイヤの接合面積が20%減少した場合と、はんだ接合面積が80%減少した場合の、計測温度と検出電圧の関係を表したグラフである。 本発明の第3の実施形態の半導体装置の制御回路およびこれを適用する半導体装置の構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の半導体装置の制御回路およびこれを適用する半導体装置の構成を示す図である。本実施形態の半導体装置の制御回路は、電気自動車や電鉄のモータ駆動等に用いられる大電流を扱うパワー半導体チップを備えた半導体装置に搭載されるインバータシステムに適用可能である。
図1に示すように、半導体装置の制御回路100は、ゲート信号発生回路101と、ゲート駆動回路102と、定電流パルス発生回路103と、電圧計測回路104と、劣化状態判定部105と、警報発生部106と、を備え(詳細後記)、半導体装置200を駆動する。
半導体装置200は、オン時にコレクタ電流を主電流として流す半導体チップ201(スイッチング素子)と、半導体チップ202(ダイオード素子)と、コレクタ端子203と、チップ接合導体204と、エミッタ端子205と、ゲート端子206と、半導体チップ201(スイッチング素子)のエミッタに接続された第1のエミッタセンス端子(ES)207(第1の端子)および第2のエミッタセンス端子(ES2)208(第2の端子)と、を備える(詳細後記)。
ここでは、半導体チップ201(スイッチング素子)は、スイッチング素子としてMOSFETを用いた例を示している。これに限られず、スイッチング素子としてMOSFETを用いてもよい。スイッチング素子としてMOSFETを用いた場合、エミッタはソースに読み替え、コレクタはドレインに読み替えればよい。また、スイッチング素子としてMOSFETを用いた場合、半導体チップ202(ダイオード素子)は、MOSFETに内蔵するボディダイオードとしてもよい。
第1のエミッタセンス端子(ES)207(第1の端子)は、第1のエミッタ補助端子であり、第2のエミッタセンス端子(ES2)208(第2の端子)は、第2のエミッタ補助端子である。
第1のエミッタセンス端子(ES)207(第1の端子)は、半導体チップ(スイッチング素子)201のゲート-エミッタ電圧Vgesの電位差を精確に調整するために備えられるエミッタ補助端子である。半導体チップ201のオン/オフは、ゲート-エミッタ電圧Vgesの電位差により決定されるが、各半導体チップ201の個体差や配置等の差異がありその電位差を厳密に調整する必要がある。このため、一般的な半導体装置には、第1のエミッタセンス端子(ES)207が備えられている。この第1のエミッタセンス端子(ES)207により半導体チップ201のゲート-エミッタ電圧Vgesが厳密に調整される。
第2のエミッタセンス端子(ES2)208(第2の端子)は、半導体チップ201のオン時に、半導体チップ201とエミッタ端子205間のチップ接合導体204の電圧降下を検出し、チップ接合導体204の導通状態を把握するためのエミッタ補助端子である。第2のエミッタセンス端子(ES2)208(第2の端子)は、一般的な半導体装置には、備えられていない場合があり、この場合は、第2の端子としてエミッタ端子205を用いる。
なお、半導体チップ201(スイッチング素子)が、MOSFETの場合、第1のエミッタセンス端子(ES)207は第1のソースセンス端子(第1のソース補助端子)と呼称し、第2のエミッタセンス端子(ES2)208は第2のソースセンス端子(第2のソース補助端子)と呼称してもよい。
また、第2の端子208は、前記のようにエミッタ端子(E)205とすることも可能である。半導体チップ201(スイッチング素子)が、MOSFETの場合、エミッタ端子(E)205は、ソース端子と呼称してもよい。
<半導体装置の制御回路100>
ゲート信号発生回路101は、半導体チップ201(スイッチング素子)のゲート端子206にゲート信号S1を印加して半導体チップ201(スイッチング素子)を駆動する。
ゲート信号発生回路101は、電圧計測回路104の出力が異常な場合には正常な場合とは異なるゲート信号を発生する。ここで、正常な場合とは異なるゲート信号は、半導体チップ201(スイッチング素子)を低負荷運転モードで駆動するゲート信号である。
ゲート駆動回路102は、半導体装置200のゲート端子206と、第1のエミッタセンス端子207に接続される。ゲート駆動回路102は、ゲート端子206と第1のエミッタセンス端子207の間に+15Vの電圧を印加する。
定電流パルス発生回路103は、半導体装置200の第1のエミッタセンス端子207(第1の端子)と第2のエミッタセンス端子208(第2の端子)との間に接続され、半導体チップ201(スイッチング素子)がオフの期間にパルスを発生する。具体的には、定電流パルス発生回路103は、劣化状態判定部105からの電流on/off指令信号S2に基づき、コレクタ端子203とエミッタ端子205の間に主電流や還流電流が流れていない期間に、第1のエミッタセンス端子207から第2のエミッタセンス端子208に測定用の定電流パルスを印加する。
電圧計測回路104は、定電流パルス発生回路103が発生したパルスを第1のエミッタセンス端子207(第1の端子)と第2のエミッタセンス端子208(第2の端子)との間に印加したときの第1のエミッタセンス端子207(第1の端子)と第2のエミッタセンス端子208(第2の端子)との間の電圧を計測する。具体的には、電圧計測回路104は、測定用の定電流パルスを印加した時のチップ接合導体204の抵抗により発生する電圧降下を計測する。初期状態との比較からチップ接合体204の接合部やはんだの損傷(劣化)の状態を検知するために、電圧計測回路104は、電圧降下計測結果S3を劣化状態判定部105に出力する。
劣化状態判定部105は、電圧計測回路104からの電圧降下計測結果S3をもとに、半導体装置200の表面電極やチップ接合導体204の接合劣化状態を判定する。具体的には、劣化状態判定部105は、半導体チップ201(スイッチング素子)がオフの期間に定電流パルス発生回路103が発生したパルスを第1のエミッタセンス端子207(第1の端子)と第2のエミッタセンス端子208(第2の端子)との間に印加したときの第1のエミッタセンス端子207(第1の端子)と第2のエミッタセンス端子208(第2の端子)との間の電圧に基づき、主電流が流れるエミッタワイヤ204A(図2および図3参照)またはエミッタリード204B(図6および図7参照)の亀裂若しくはリフトオフによる、抵抗増加量に起因する電圧降下計測結果(すなわち半導体装置の接合部の劣化)を判定する。
劣化状態判定部105は、電圧計測回路104による計測結果から劣化状態を判定し、問題がなければそのままの状態を維持し、問題があれば劣化状態判定結果S4を警報発生部106に出力する。劣化状態判定部105は、劣化状態により余寿命を判定し、余寿命判定結果をネットワーク300を介して、ユーザや保守業者に伝達する。余寿命をユーザや保守業者に伝達することで、ユーザや保守業者は、適切なタイミングでメンテナンスすることが可能となる。また、劣化状態判定部105とゲート信号発生回路101が連携して、劣化具合に応じたゲート駆動により延命を図ることも可能となる。例えば、劣化状態判定部105が劣化状態と判定した場合、ゲート信号発生回路101は、正常な場合のゲート信号S1に代えて、スイッチング素子201を低負荷運転モードで駆動するゲート信号を出力する。
なお、余寿命の判定方法については、特定の判定方法に限定されるものではなく、公知の方法で余寿命を判定することができる。
警報発生部106は、電圧計測回路104の出力が異常な場合にアラームを発する。アラームは、例えば、表示部による警報表示、音声によるアナウンス、放音等である。また、ネットワーク300への通報である。警報を発することで、故障を未然に防ぐことができる。
<半導体装置200>
半導体チップ201(スイッチング素子)のゲート電極は、ゲート端子206に接続されており、コレクタ電極はコレクタ端子203に接続されている。また、半導体チップ201(スイッチング素子)のエミッタ電極は、第1のエミッタセンス端子207に接続されており、さらにチップ接合導体204を介して第2のエミッタセンス端子208およびエミッタ端子205に接続されている。
半導体チップ201(スイッチング素子)は、制御回路100のゲート駆動回路102から、ゲート端子206と第1のエミッタセンス端子207の間に+15Vの電圧が印加されると、オン状態となり、コレクタ端子203からエミッタ端子205の間に主電流が流れる。
半導体チップ201(スイッチング素子)は、ゲート端子206と第1のエミッタセンス端子207の間に-5Vの電圧が印加されると、オフ状態となり、コレクタ端子203からエミッタ端子205の間に主電流が流れない、あるいはエミッタ端子205からコレクタ端子203にモータなどの負荷からの還流電流が半導体チップ202(ダイオード素子)を介して流れることがある。
制御回路100の定電流パルス発生回路103は、コレクタ端子203とエミッタ端子205の間に主電流や還流電流が流れていない期間に、第1のエミッタセンス端子207から第2のエミッタセンス端子208に測定用の定電流パルスを流す。この時、定電流パルスによりチップ接合導体204の抵抗により電圧降下が発生する。定電流パルスのオン状態の電流をItest、チップ接合導体204の抵抗をRとすると、Vtest=R×Itestの電圧降下が発生する。電圧計測回路104は、この電圧降下を計測し、計測結果を劣化状態判定部105に出力する。
チップ接合導体204は、半導体チップ201の表面電極に接合された主電流が流れるエミッタワイヤ204Aまたはエミッタリード204B(図6および図7の変形例参照)である。エミッタワイヤ204Aの場合は、超音波接合によって半導体チップ201の表面電極に直接接合され、エミッタリード204B(図6および図7の変形例参照)の場合は、チップの表面電極にはんだで接合されるのが一般的である。
エミッタワイヤ204Aの接合部やはんだは、熱応力などが繰返し印加されることにより次第に損傷を受け、その接合面積が減少する。接合面積の減少は、チップ接合導体204の抵抗増大を引き起こす。このため、電圧計測回路104で定電流パルスによる電圧降下を測定することにより、劣化状態判定部105で初期状態との比較から損傷(接合部の劣化)の状態を検知することができる。
また、コレクタ端子203とエミッタ端子205の間に主電流や還流電流が流れていない期間に、第1のエミッタセンス端子207から第2のエミッタセンス端子208(第2の端子)に測定用の定電流パルスを流すことによって、主電流や還流電流の影響を受けずに高精度に劣化の状態を検知することができる。
[半導体装置の構造]
図2は、半導体装置200の構造の一例を示す上面図である。図3は、図2のA-A’矢視断面図である。
図2および図3に示すように、半導体装置200は、半導体チップ(スイッチング素子)201と、半導体チップ(ダイオード素子)202と、コレクタ端子203と、チップ接合導体204としてエミッタワイヤ204Aと、エミッタ端子205(図2参照)と、ゲート端子206(図2参照)と、第1のエミッタセンス端子207と、第2のエミッタセンス端子208とスイッチング素子のエミッタ表面電極211と、ダイオード素子の表面電極212と、スイッチング素子のゲート表面電極213(図2参照)と、スイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214と、スイッチング素子のゲートワイヤ215(図2参照)と、スイッチング素子の裏面電極216(図3参照)と、ダイオード素子の裏面電極217(図3参照)と、スイッチング素子の接合層218(図3参照)と、ダイオード素子の接合層219と、絶縁基板の配線層220と、絶縁基板の絶縁層221と、絶縁基板の裏面金属層222(図3参照)と、絶縁基板の接合層223(図3参照)と、放熱ベース224と、ケース225と、絶縁充填材226(図3参照)と、端子接合層227(図3参照)と、を備える。
図2および図3に示すように、放熱ベース224上には、絶縁基板の配線層220と、絶縁基板の絶縁層221と、絶縁基板の裏面金属層222とを有する絶縁基板が、絶縁基板の接合層223により接合されている。絶縁基板の配線層220上には、半導体チップ(スイッチング素子)201と、半導体チップ(ダイオード素子)202が搭載されている。半導体チップ(スイッチング素子)201および半導体チップ(ダイオード素子)202の裏面には、それぞれスイッチング素子の裏面電極216と、ダイオード素子の裏面電極217が備えられており、それぞれスイッチング素子の接合層218と、ダイオード素子の接合層219により絶縁基板の配線層220に接合されている。
半導体チップ201(スイッチング素子)および半導体チップ202(ダイオード素子)の表面にはそれぞれ、スイッチング素子のエミッタ表面電極211と、ダイオード素子の表面電極212が備えられており、スイッチング素子のエミッタ表面電極211と、ダイオード素子の表面電極212の上には、主電流が流れるエミッタ端子205に接続されるエミッタワイヤ204Aと、主電流が流れない第1のエミッタセンス端子207に接続されるスイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214が接合されている。
スイッチング素子のゲート表面電極213には、ゲート端子206に接続されるスイッチング素子のゲートワイヤ215が接合されている。第1のエミッタセンス端子207と、第2のエミッタセンス端子208は、絶縁基板の配線層220上に端子接合層227により接合されている。放熱ベース224の一部と、コレクタ端子203の一部と、エミッタ端子205の一部と、ゲート端子206の一部と、第1のエミッタセンス端子207の一部と、第2のエミッタセンス端子208の一部以外は、ケース225に内包されており、ケース225の内部には絶縁充填材226が充填されている。
第1のエミッタセンス端子207(第1の端子)と半導体チップ201(スイッチング素子)の表面電極との間は、主電流が流れないエミッタセンスワイヤ214を介して接続され、第2のエミッタセンス端子208(第2の端子)と半導体チップ201(スイッチング素子)の表面電極との間は、主電流が流れるエミッタワイヤ204Aを介して接続されている。
主電流は、コレクタ端子203から、絶縁基板の配線層220、半導体チップ201(スイッチング素子)、スイッチング素子のエミッタ表面電極211、エミッタワイヤ204Aを通ってエミッタ端子205へと流れる。還流電流は、この逆の向き、すなわちエミッタ端子205、エミッタワイヤ204Aを通って、ダイオード素子の表面電極212、半導体チップ202(ダイオード素子)、絶縁基板の配線層220、コレクタ端子203へと流れる。
測定用の定電流パルスは、第1のエミッタセンス端子207から、スイッチング素子のエミッタ表面電極211、エミッタワイヤ204Aを通って第2のエミッタセンス端子208へと流れる。
スイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214は、半導体チップ201(スイッチング素子)上のワイヤの中で半導体チップ201の中心部から最も離れた最端部に接合している。これにより、スイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214とスイッチング素子のエミッタ表面電極211の接合劣化を最も小さくすることができる。なぜならば、半導体チップ201(スイッチング素子)が発熱した際、温度が最も高くなるのは中心部であり、端部に向かうほど温度が低くなるため熱応力が低くなるからである。好ましくは、半導体チップ201(スイッチング素子)の角部にスイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214を接合するのがよい。
スイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214とスイッチング素子のエミッタ表面電極211の接合劣化を最も小さくすることにより、エミッタワイヤ204Aの接合劣化をより精確に検知できる。
[半導体装置の制御回路100の動作]
以下、上述のように構成された半導体装置の制御回路100の動作について説明する。
<原理>
図4は、半導体装置200における、主電流Icおよび測定用の定電流パルスItestの流れを模式的に示す図である。図4は、図3の断面図を簡略化して電流の流れるルートを示している。
図4の太破線矢印に示す主電流Icは、コレクタ端子203から絶縁基板の配線層220(図示せず)、半導体チップ201(スイッチング素子)、スイッチング素子のエミッタ表面電極211、エミッタワイヤ204Aを通って第2エミッタ端子204へと流れる。
図4の細破線矢印に示す測定用の定電流パルスItestは、主電流が流れない第1のエミッタセンス端子207(図示せず)に接続されるスイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214から、スイッチング素子のエミッタ表面電極211、エミッタワイヤ204Aを通って第2のエミッタセンス端子204へと流れる。
すなわち、主電流Icは、コレクタ端子203から、絶縁基板の配線層220、半導体チップ201(スイッチング素子)、スイッチング素子のエミッタ表面電極211、エミッタワイヤ204Aを通って第2エミッタ端子204へと流れるのに対し、定電流パルスItestは、スイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214から、スイッチング素子のエミッタ表面電極211を通り、エミッタワイヤ204Aを通って第2のエミッタセンス端子204へと流れる。
エミッタワイヤ204Aは、主電流用ワイヤであり、主電流Icが流れることによりワイヤ接合部が劣化する。ワイヤ接合部が劣化すると、チップ接合導体204としてエミッタワイヤ204Aの抵抗が増大し、エミッタワイヤ204Aを含むチップ接合導体204の電圧降下が増大して、エミッタワイヤ204Aの接合面等の劣化を検知することができる。
エミッタセンスワイヤ214は、センス用ワイヤであり、微弱な測定電流のみが流れる。
<駆動シーケンス>
図5は、半導体装置の制御回路100の駆動シーケンスを示す図である。
図5に示すVgesは、図1の半導体チップ(スイッチング素子)201のゲート-エミッタ電圧である。図5に示すVceは、図1の半導体チップ(スイッチング素子)201のコレクタ-エミッタ電圧である。
ゲート信号発生回路101(図1参照)からゲート駆動信号がゲートドライバ102(図1参照)に出力され、ゲートドライバ102がこのゲート駆動信号を増幅して半導体チップ(スイッチング素子)201のゲート端子206に供給されると、半導体チップ(スイッチング素子)201は、ゲート-エミッタ電圧Vgesの電位差によりオンする(図5のVges参照)。半導体チップ(スイッチング素子)201のオンによりコレクタ-エミッタ電圧Vceは電圧降下し(図5のVce参照)、コレクタ電流(主電流)Icが流れる(図5のIc参照)。なお、スイッチング素子のオンに伴いIcに過渡的なオーバーシュートが発生する場合がある。
ゲート信号発生回路101(図1参照)からのゲート駆動信号がオフされると、ゲート-エミッタ電圧Vgesの電位差がなくなり半導体チップ(スイッチング素子)201はオフする(図5のVges参照)。半導体チップ(スイッチング素子)201のオフによりコレクタ-エミッタ電圧Vceが発生し(図5のVce参照)、コレクタ電流(主電流)Icは流れない(図5のIc参照)。なお、スイッチング素子のオフに伴いVceに過渡的なオーバーシュートが発生する場合がある。
主電流Icが流れなくなることで、図5の破線で区切られたように、「スイッチング素子のオン期間」(図5の符号c参照)が終了し、「スイッチング素子のオフ期間」(図5の符号d参照)となる。
定電流パルス発生回路103(図1参照)は、主電流Icが流れていない期間(図5の「スイッチング素子のオフ期間」参照)に、第1のエミッタセンス端子207から第2のエミッタセンス端子208に測定用の定電流パルスItestを流す(図5の符号a参照)。
電圧計測回路104(図1参照)は、測定用の定電流パルスItestを印加した時のチップ接合導体204の抵抗により発生する電圧降下を計測し、検出電圧(図5の符号b参照)を測定する。
[変形例]
第1の実施形態では、チップ接合導体204としてワイヤを用いる例を示したがこれに限定するものではない。例えば、より大電流を扱う場合には、下記変形例に示す半導体装置200Aが用いられる。
図6は、変形例の半導体装置200Aの構造の一例を示す上面図である。図7は、図6のA-A’矢視断面図である。図2および図3と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
図6および図7に示すように、半導体装置200Aは、図2、図3の半導体装置200と比較すると、チップ接合導体204としてエミッタワイヤ204Aがエミッタリード204Bに変更されている点と、スイッチング素子のエミッタセンスワイヤ214がエミッタセンスリード214Bに変更されている点で異なっている。
また、図7に示すように、エミッタリード204Bとスイッチング素子のエミッタセンスリード214Bとは、エミッタリード接合層204Cで接合する。
これら以外は図2、図3の半導体装置200と同じであるため、説明を省略する。
なお、エミッタリード204Bと、図2および図3に示すエミッタセンスワイヤ214とを併用して使用するなどの構成も可能である。
[効果]
以上説明したように、本実施形態に係る半導体装置200(または200A、以下同様)を駆動する制御回路100において、半導体装置200は、オン時にコレクタ電流またはドレイン電流を主電流として流すスイッチング素子201と、スイッチング素子201のエミッタまたはソースに接続された第1の端子207および第2の端子208と、を有する。第1の端子207は、第1のエミッタセンス端子(ES)207または第1のソースセンス端子であり、第2の端子208は、第2のエミッタセンス端子(ES2)208または第2のソースセンス端子である。また、第2の端子208は、エミッタ端子(E)205またはソース端子であってもよい。
第1のエミッタセンス端子207(第1の端子)と半導体チップ201(スイッチング素子)の表面電極との間は、主電流が流れないエミッタセンスワイヤ214(図2および図3参照)またはエミッタセンスリード214B(図6および図7参照)を介して接続され、第2のエミッタセンス端子208(第2の端子)と半導体チップ201(スイッチング素子)の表面電極との間は、主電流が流れるエミッタワイヤ204A(図2および図3参照)またはエミッタリード204B(図6および図7参照)を介して接続されている。
半導体装置200の制御回路100(図1参照)は、スイッチング素子201のゲート端子206にゲート信号を印加して当該スイッチング素子201を駆動するゲート信号発生回路101と、第1の端子207と第2の端子208との間に接続され、スイッチング素子201がオフの期間にパルスを発生する定電流パルス発生回路103と、定電流パルス発生回路103が発生したパルスを第1の端子207と第2の端子208との間に印加したときの第1の端子207と第2の端子208との間の電圧を計測する電圧計測回路104と、電圧計測回路104からの電圧降下計測結果をもとに、半導体装置200の表面電極やチップ接合導体204の接合劣化状態を判定する劣化状態判定部105と、を有する。
定電流パルス発生回路103は、主電流Icが流れていない期間(図5の「スイッチング素子のオフ期間」(d)参照)に、第1のエミッタセンス端子207から第2のエミッタセンス端子208に測定用の定電流パルスItestを流す。
電圧計測回路104は、測定用の定電流パルスItestを印加した時のチップ接合導体204の抵抗により発生する電圧降下を計測し、検出電圧を測定する。
この構成により、スイッチング素子201がオフの期間(d)(図5参照)に、測定用の定電流パルスItestを流すので、スイッチング素子201がオンの期間(c)を有する場合、すなわち、システムの稼働中であっても半導体装置200の接合部の劣化を検知することができる。
特に、インバータの小型化でパワー密度が上昇し、熱サイクルによるワイヤ寿命低下のリスクが高まっている。本実施形態では、ボンディングワイヤ等の亀裂進展やリフトオフの状態を稼働中に検知することができる。ボンディングワイヤ等の劣化をリアルタイムで検知できるので、破壊予兆アラームや低負荷運転モードに切り替え寿命を延ばすことができる。
また、ボンディングワイヤの電圧降下をモニタする構成を採れば、亀裂やリフトオフによる抵抗増加量で劣化量を診断することができ、ボンディングワイヤの劣化程度や余寿命を診断できる。パワーデバイスの保守サービスへの活用が期待できる。
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態の半導体装置の制御回路およびこれを適用する半導体装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
<温度センサ209>
図8に示すように、半導体装置200Bは、図1の半導体装置200に、さらに半導体チップ(スイッチング素子)201の温度を計測する温度センサ209と、温度センサ209の出力を取り出す温度センサ端子210と、が備えられる。温度センサ209の温度計測結果S5は、温度センサ端子210を介して半導体装置の制御回路100Bの劣化状態判定部105に入力される。
<増幅回路107>
半導体装置の制御回路100Bは、図1の半導体装置の制御回路100に、さらに増幅回路107を備える。
増幅回路107は、第1のエミッタセンス端子(ES)207と第2のエミッタセンス端子(ES2)208との間のチップ接合導体204の電圧降下を増幅する。
増幅回路107は、測定用の定電流パルスによるチップ接合導体204の電圧降下を増幅し、電圧計測回路104は、増幅回路107により増幅された電圧を計測する。
半導体装置の制御回路100Bが、増幅回路107を備えることで、微小なチップ接合導体204の電圧降下を高精度に検出できる。このため、劣化検知精度を向上させることができる。
<劣化状態判定部105>
(1)
半導体装置の制御回路100Bの劣化状態判定部105は、温度センサ209からの温度計測結果、および電圧計測回路104からの電圧降下計測結果をもとに、半導体装置200Bの表面電極の接合劣化状態を判定する。
温度センサ209による温度計測結果と、電圧計測回路104による電圧降下計測結果の双方を劣化状態判定部105に入力することにより、より高精度な劣化検知が可能となる。
(2)
半導体装置の制御回路100Bの劣化状態判定部105は、温度センサ209からの温度計測結果が所定の場合において、電圧計測回路104からの電圧降下計測結果をもとに、半導体装置200Bの表面電極の接合劣化状態を判定する。
チップ接合導体204は、金属であるため温度の上昇により電気抵抗が変動するという特性がある。したがって、接合劣化による接合面積低下と共に電圧降下に影響を与える。そこで、例えば温度センサ209の温度計測結果が所定の温度の場合の電圧降下を検出する。すなわち、温度計測結果が所定の温度の場合において、その温度における電圧降下を検出する(温度変化が所定範囲にある場合に電圧降下を検出する)ことで、温度変化による影響を排除する。これにより、温度変動の影響を受けることなく、接合劣化による電圧降下の変化を検知できる。このため、劣化状態判定精度が向上する。
(3)
半導体装置200Bの温度センサ209は、スイッチング素子201の複数の温度を計測し、半導体装置の制御回路100Bの劣化状態判定部105に入力される。劣化状態判定部105は、温度センサ209が計測した複数の温度に対する電圧降下計測結果をもとに、この電圧降下と温度の関係による温度係数を導出し、導出した温度係数と、主電流が流れるエミッタワイヤ204A(図2および図3参照)またはエミッタリード204B(図6および図7参照)に用いた導電材料の温度係数とを比較して接合劣化の発生部位を判定する。
複数の温度に対する電圧降下を検出することにより、チップ接合導体204の温度係数(温度と電気抵抗の関係を決める係数で材料により異なる値を持つ)を考慮に入れることにより、劣化箇所を特定することが可能になる。
図9は、チップ接合導体204としてアルミニウムワイヤを用い、端子接合層227としてはんだを用いた場合の、計測結果V1,V2,V3を表わしたグラフである。横軸に計測温度T(℃)をとり、縦軸に検出電圧V(mV)をとる。
V1は、劣化前の計測結果を示し、V2は、端子接合層227のはんだ接合面積が80%減少した場合の計測結果を示す。V3は、チップ接合導体204のアルミニウムワイヤの接合面積が20%減少した場合の計測結果を示す。
図9に示すように、複数の計測温度と検出電圧の関係を取得した際に、取得結果が、A点、B点、C点であれば、チップ接合導体204のアルミニウムワイヤの接合部が劣化していると判断でき、D点、E点、F点であれば、エミッタセンス端子207を接合する端子接合層227のはんだの接合部が劣化していると判断できる。
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態の半導体装置の制御回路およびこれを適用する半導体装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
図10に示すように、半導体装置の制御回路100Cは、図1の半導体装置の制御回路100から、定電流パルス発生回路103と、電圧計測回路104と、を取り去る。そして、半導体装置200Cは、図1の半導体装置200に、定電流パルス発生回路103と、電圧計測回路104と、が備えられる。
第3の実施形態では、定電流パルス発生回路103と、電圧計測回路104とが半導体装置200Cに内蔵される。
半導体装置200Cは、定電流パルス発生回路103と、電圧計測回路104とを内蔵する。これにより、半導体装置200C内で、前記測定用の定電流パルス発生、および前記電圧降下の計測が行われるので、半導体装置の制御回路100Cと半導体装置200Cとを接続する信号線に重畳するノイズによるチップ接合導体204の電圧降下の誤差を低下させ、より高精度な劣化検知が可能となる。
また、半導体装置200Cが、定電流パルス発生回路103と、電圧計測回路104とを内蔵しているので、半導体装置の制御回路100C側では、定電流パルス発生回路103と、電圧計測回路104とを備える必要がなく、半導体装置の制御回路100Cを簡素な構成で実現することができる。同様な理由で、半導体装置の制御回路100Cを汎用的な制御回路装置(システム)を用いて容易に実現することができる。
なお、半導体装置200Cが、定電流パルス発生回路103と電圧計測回路104のうちのいずれか一つを内蔵する態様でもよい。
また、半導体装置200Cが、図8に示す温度センサ209および温度センサ端子210を備える態様でもよい。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。例えば、スイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いているが、これらに限らず、MOSFETなど他の種類の素子を適用することも可能である。
上記各実施形態は、例えば鉄道車両向けの主電力変換装置に適用することができるが、自動車やトラックなどの電力変換装置、船舶や航空機などの電力変換装置、工場設備を駆動する電動機の制御装置として用いられる産業用電力変換装置、家庭の太陽光発電システムや家庭の電化製品を駆動する電動機の制御装置に用いられる家庭用電力変換装置に対しても適用することができる。
本発明は、状態検知による劣化診断や余寿命予測により、パワーモジュールの破壊を防止し、安心安全なインバータシステムを提供する。
上記各実施形態は、本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100,100B,100C 制御回路
101 ゲート信号発生回路
102 ゲート駆動回路
103 定電流パルス発生回路
104 電圧計測回路
105 劣化状態判定部
106 警報発生部
107 増幅回路
200,200A,200B,200C 半導体装置
201 半導体チップ(スイッチング素子)
202 半導体チップ(ダイオード素子)
203 コレクタ端子
204 チップ接合導体
204A エミッタワイヤ
204B エミッタリード
204C エミッタリード接合層
205 エミッタ端子(第2の端子)
206 ゲート端子
207 第1のエミッタセンス端子(ES)(第1の端子)
208 第2のエミッタセンス端子(ES2)(第2の端子)
209 温度センサ
210 温度センサ端子
211 スイッチング素子のエミッタ表面電極
212 ダイオード素子の表面電極
213 スイッチング素子のゲート表面電極
214 スイッチング素子のエミッタセンスワイヤ
214B スイッチング素子のエミッタセンスリード
215 スイッチング素子のゲートワイヤ
216 スイッチング素子の裏面電極
217 ダイオード素子の裏面電極
218 スイッチング素子の接合層
219 ダイオード素子の接合層
220 絶縁基板の配線層
221 絶縁基板の絶縁層
222 絶縁基板の裏面金属層
223 絶縁基板の接合層
224 放熱ベース
225 ケース
226 絶縁充填材
227 端子接合層
300 ネットワーク

Claims (10)

  1. 半導体装置を駆動する制御回路であって、
    前記半導体装置は、
    オン時にコレクタ電流またはドレイン電流を主電流として流すスイッチング素子と、前記スイッチング素子のエミッタまたはソースに接続された第1の端子および第2の端子と、を有し、
    前記制御回路は、
    前記スイッチング素子のゲート端子にゲート信号を印加して当該スイッチング素子を駆動するゲート信号発生回路と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、前記スイッチング素子がオフの期間にパルスを発生する定電流パルス発生回路と、
    前記定電流パルス発生回路が発生した前記パルスを前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加したときの前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧を計測する電圧計測回路と、
    前記電圧計測回路からの電圧降下計測結果をもとに、前記半導体装置の接合劣化状態を判定する劣化状態判定部と、を有する
    ことを特徴とする半導体装置の制御回路。
  2. 半導体装置を駆動する制御回路であって、
    前記半導体装置は、
    オン時にコレクタ電流またはドレイン電流を主電流として流すスイッチング素子と、前記スイッチング素子のエミッタまたはソースに接続された第1の端子および第2の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、前記スイッチング素子がオフの期間にパルスを発生する定電流パルス発生回路と、
    前記定電流パルス発生回路が発生した前記パルスを前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加したときの前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧を計測する電圧計測回路と、を有し、
    前記制御回路は、
    前記スイッチング素子のゲート端子にゲート信号を印加して当該スイッチング素子を駆動するゲート信号発生回路と、
    前記電圧計測回路からの電圧降下計測結果をもとに、前記半導体装置の接合劣化状態を判定する劣化状態判定部と、を有する
    ことを特徴とする半導体装置の制御回路。
  3. 前記第1の端子は、第1のエミッタセンス端子または第1のソースセンス端子であり、
    前記第2の端子は、第2のエミッタセンス端子または第2のソースセンス端子である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の制御回路。
  4. 前記第1の端子は、第1のエミッタセンス端子または第1のソースセンス端子であり、
    前記第2の端子は、エミッタ端子またはソース端子である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の制御回路。
  5. 前記第1の端子と前記スイッチング素子の表面電極との間は、前記主電流が流れないワイヤまたはリードを介して接続され、前記第2の端子と前記スイッチング素子の表面電極との間は、前記主電流が流れるワイヤまたはリードを介して接続されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の制御回路。
  6. 前記ゲート信号発生回路は、前記電圧計測回路の出力が異常な場合には正常な場合とは異なるゲート信号を発生する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の制御回路。
  7. 前記正常な場合とは異なるゲート信号は、前記スイッチング素子を低負荷運転モードで駆動するゲート信号である
    ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の制御回路。
  8. 前記スイッチング素子の温度を計測する温度センサを備え、
    前記劣化状態判定部は、前記温度センサからの温度計測結果、および前記電圧計測回路からの電圧降下計測結果をもとに、前記半導体装置の表面電極の接合劣化状態を判定する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の制御回路。
  9. 前記電圧計測回路の出力が異常な場合にアラームを発する警報発生部を備える
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の制御回路。
  10. 請求項1または請求項2に記載の半導体装置の制御回路を備える半導体装置。
JP2021149285A 2021-09-14 2021-09-14 半導体装置の制御回路および半導体装置 Pending JP2023042142A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021149285A JP2023042142A (ja) 2021-09-14 2021-09-14 半導体装置の制御回路および半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021149285A JP2023042142A (ja) 2021-09-14 2021-09-14 半導体装置の制御回路および半導体装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023042142A true JP2023042142A (ja) 2023-03-27

Family

ID=85717395

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021149285A Pending JP2023042142A (ja) 2021-09-14 2021-09-14 半導体装置の制御回路および半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023042142A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4830993B2 (ja) 半導体装置の劣化検出方法
Motto et al. IGBT module with user accessible on-chip current and temperature sensors
US11127662B2 (en) Semiconductor device
JP6727428B2 (ja) 半導体装置
US20200049569A1 (en) Power Semiconductor Circuit and Method for Determining a Temperature of a Power Semiconductor Component
JP2017204575A (ja) パワーモジュール、電力変換装置、及びパワーモジュールの製造方法
US20210305147A1 (en) Semiconductor device
JP5245306B2 (ja) 半導体装置の劣化保護方法
Chen et al. Driver Integrated Online R ds-on Monitoring Method for SiC Power Converters
JP2012039683A (ja) パワー半導体モジュールおよびその試験方法
JP2020013955A (ja) 半導体装置、および、抵抗素子
JP2023042142A (ja) 半導体装置の制御回路および半導体装置
JP4695041B2 (ja) 半導体装置
JP4323299B2 (ja) 半導体装置
JP2013201325A (ja) 回路装置
US11929354B2 (en) Power semiconductor module
JP6827595B1 (ja) 半導体装置および電力変換装置
WO2019146258A1 (ja) 半導体装置及び電力変換装置
WO2023181498A1 (ja) 半導体装置および電力変換装置
JP2013140889A (ja) パワーモジュール
WO2021176695A1 (ja) 半導体装置および電力変換装置
JP2003234534A (ja) レーザダイオード用電源制御装置
JP2023109223A (ja) 劣化検出装置、電力変換装置及び劣化検出方法
WO2023181493A1 (ja) 半導体装置、電力変換装置
JP7241996B1 (ja) 電力変換装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240125