JP2023041418A - 木造建物の地震応答解析システム並びに木造建物の地震応答解析プログラム及び該プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

木造建物の地震応答解析システム並びに木造建物の地震応答解析プログラム及び該プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Tomomoto Furuta
方人 中尾
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猛矢 山田
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Abstract

【課題】 専門家によらずとも、単純な入力で木造建物の地震応答解析が可能なシステムを提供する。【解決手段】 本発明の木造建物の地震応答解析システムは、軽い屋根か重い屋根かを選択して入力する第1の手段と、床面積を入力する第2の手段と、前記第1及び第2の手段からの信号により質量を演算する第3の手段と、筋かいや合板などの耐力要素の数を入力する第4の手段と、前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物の初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかを演算する第5の手段と、前記第3及び前記第5の手段からの信号を受け、少なくともX,Y各方向の最大層間変位を演算する第6の手段と、を備えることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、木造建物の地震応答解析システム並びに木造建物の地震応答解析プログラム及び該プログラムを記録した記録媒体に関する。
従来より、高精度な地震応答解析を行うことのできる地震応答解析プログラムは、各種提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
例えば、従来の解析システムは、前提条件として、質点系の地震応答解析で、木造建物を、各階の質量を、串団子状のモデルに置き換える。すなわち、図5に示すように、木造建物の各階の質量(重さ)を団子に、各階の耐震要素を串にそれぞれ置き換える。
それから、まず、図6に示すように、(1)階数=質点数を入力し、各質点の要素数(耐力壁(耐力要素)の種類)を入力する。ここで、要素数を2としているのは、筋かい壁と構造用合板壁の2種類があるという意味である。他の耐震要素が増えると、この数も増える。次に、図7及び図8に示すように、階高、質量(重量)をそれぞれ入力する。
それから、串の部分の耐震要素のモデル化をする。いろいろなモデルが知られているが、図9の左側部分に示すように、例えばバイリニアモデルを使用する。そして、図9の右側部分に示すように、各耐震要素の初期バネ定数K1を入力する。続いて、図10に示すように、折れ点荷重Qyと剛性低下率K2/K1を入力する。なお、剛性低下率でなく、K2を直接入力する場合もある。
また、図11に示すように、減衰定数(塑性前(Qy前)の減衰特性の値)を入力する。この場合もいろいろな項目があるが、最もポピュラーな剛性比例型という減衰特性を入力している。これまでが、建物の性質(特性)を入力する部分である。
続いて、串団子状のモデル(質点系モデル)に入力する地震波の選定・設定になる。図12に示すように、ここでは、3種類の地震と2種類の入力レベルで計6種類の地震波を用いて解析している。汎用ソフトの出力例は、図13に示すようになる。
特開2008-276474号公報 特開2012-63365号公報 特開2018-200288号公報
一方、現在の木造住宅のほとんどは壁量計算といった簡易的な構造的検討しかなされていない実情がある。これは、現在の建築基準法では「建物が大地震に一度遭遇した場合にのみ倒壊しなければよい」というものであるためである。しかし、近年の大地震が頻発している状況をみると、これでは不十分であり、求められているのは、建物が大地震に何度か遭遇したとき、構造部材や仕上材がどのぐらいの損傷を受けて、残余耐震性能がどの程度であり、次の地震に対しても安心して建物を使用できるかどうかを正確に評価できるものである。
これを評価するには地震応答解析をしなくてはならないが、前述した解析システムは、専門家を対象とし、素人であると、使用が困難である、とされている。そこで、素人でも、条件を簡単に入力して、地震応答の解析をできるようにしたいという要求がある。
本発明は、条件入力を簡単にして、専門家でない素人でも、地震応答の解析をできる木造建物の地震応答解析プログラム、当該解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び木造建物の地震応答解析装置を提供する。
本発明の一の態様にかかる木造建物の地震応答解析システムは、木造建物の地震応答を解析するシステムであって、軽い屋根か重い屋根かを選択して入力する第1の手段と、床面積を入力する第2の手段と、前記第1及び第2の手段からの信号により質量を演算する第3の手段と、筋かいや合板などの耐力要素の数を入力する第4の手段と、前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物の初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかを演算する第5の手段と、前記第3及び前記第5の手段からの信号を受け、少なくともX,Y各方向の最大層間変位を演算する第6の手段と、を備えることを特徴とする。
このようにすれば、従来の複雑な計算などを行わずに、地震応答の解析が可能となり、専門家でない素人でも、条件を簡単に入力して地震応答の解析をできる。ここで、軽い屋根か重い屋根かの選択は、例えば瓦葺等の場合は重い屋根、スレート葺等の場合は軽い屋根など、屋根の重量が軽いか重いかにより操作者が選択する。また、第4の手段は、耐力要素の種類毎にそれぞれの合計数を入力することとしてもよく、筋かいや合板などの耐力要素の合計数を入力することとしてもよい。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、前記第6の手段からX,Y各方向の最大層間変位にかかる信号を受け、最大層間変形角を演算する第7の手段を更に備えることが望ましく、前記第7の手段により演算された最大層間変形角が所定の変形角を超えているか否かを判定する第8の手段を更に備えることがより望ましい。このようにすれば、地震応答解析の算出結果を理解しやすくなる。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、前記第8の手段により演算された最大層間変形角が所定の変形角を超えていると判定された場合に、該所定の変形角以内にするために不足している前記耐力要素の数を演算する第9の手段を更に備えることが望ましい。このようにすれば、基準を充足するための耐力要素の不足数が一目でわかる。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、建物の階高を入力する手段を更に備え、前記第4の手段が、2階建て以上の木造建物の場合、各階ごとの前記耐力要素の数を入力可能である。このようにすれば、複数階建ての木造建物にも対応可能となる。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、2階建て以上の木造建物の場合、前記第6の手段により、各階ごとのX,Y各方向の最大層間変位を演算可能である。このようにすれば、複数階建ての場合に、各階ごとの最大層間変位を算出することが可能となる。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、前記第4の手段は、耐力要素の数の入力とは別に、制震器具の数を更に入力する構成を更に有する。このようにすれば、制震器具を備える木造建物にも対応可能となる。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、前記第5の手段は、前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物を各階の質量を団子、各階の耐震要素を串とみなして、串団子状のモデル化を行うことで、初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかを演算するものである。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、前記第3の手段が、重い屋根か軽い屋根かに応じて、それぞれ予め定めた所定の質量を床面積に乗じて木造建物の質量を算出する手段である。この構成によれば、実際の木造建物の質量を複雑な計算を用いずに算出することが可能である。なお、実際の木造建物は階高によって質量が変わるが、階高による質量の増減は大きな差ではないため、このような算出が可能である。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、前記第6の手段において、木造建物の質量に、前記第3の手段で算出した質量に予め定めた1以下の所定の係数を乗じて算出された質量を用いる。ここで、予め定めた1以下の係数とは、例えば2/3や7/10などの数値である。この構成によれば、木造建物の質量に1以下の所定係数を乗じることで、骨組(耐震要素のみ)が負担する荷重を算出することができる。
また、この木造建物の地震応答解析システムは、建物の階高を入力する第9の手段を更に備えることを特徴とする。なお、階高については、建物によって大きくは変わらないため、予め定めた階高の数値を用いて解析することも可能であるが、このようにすれば、実際の建物の階高を入力することで、より正確な地震応答の解析結果を得ることができる。また、2階建て以上の木造建物の場合に、各階ごとの階高を入力可能である構成としてもよい。
本発明の一の態様にかかる木造建物の地震応答解析プログラムは、木造建物の地震応答を解析するプログラムであって、軽い屋根か重い屋根かを選択して入力する第1の手段、床面積を入力する第2の手段、前記第1及び第2の手段からの信号により質量を演算する第3の手段、筋かいや合板などの耐力要素の数を入力する第4の手段、前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物の初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかを演算する第5の手段、前記第3及び前記第5の手段からの信号を受け、少なくともX,Y各方向の最大層間変位を演算する第6の手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、前記第6の手段からX,Y各方向の最大層間変位にかかる信号を受け、最大層間変形角を演算する第7の手段としてコンピュータを機能させる。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、前記第7の手段により演算された最大層間変形角が所定の変形角を超えているか否かをコンピュータに判定させる第8の手段としてコンピュータを機能させる。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、前記第8の手段により演算された最大層間変形角が所定の変形角を超えていると判定した場合に、該所定の変形角以内にするために不足している前記耐力要素の数を演算する第9の手段としてコンピュータを機能させる。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、建物の階数を入力する手段としてコンピュータを機能させる、前記第4の手段は、2階建て以上の木造建物の場合、各階ごとの前記耐力要素の数を入力可能である。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、2階建て以上の木造建物の場合、前記第6の手段により、各階ごとのX,Y各方向の最大層間変位を演算可能である。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、前記第4の手段は、耐力要素の数の入力とは別に、制震器具の数を更に入力する構成を更に有する。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、前記第5の手段は、前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物を各階の質量を団子、各階の耐震要素を串とみなして、串団子状のモデル化を行うことで、初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかをコンピュータに演算させる。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、前記第3の手段が、重い屋根か軽い屋根かに応じて、それぞれ予め定めた所定の質量を床面積に乗じて木造建物の質量を算出する手段である。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、前記第6の手段において、木造建物の質量に、前記第3の手段で算出した質量に予め定めた1以下の所定の係数を乗じて算出された質量を用いる。
また、この木造建物の地震応答解析プログラムは、建物の階高を入力する第9の手段としてコンピュータを機能させる。また、2階建て以上の木造建物の場合に、各階ごとの階高を入力可能である構成としてもよい。
本発明の一の態様にかかる木造建物の地震応答解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、請求項13乃至24のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明は、専門家でない素人でも、条件を簡単に入力して、地震応答の解析をできる。
本発明の一実施形態に係る木造建物の地震応答解析システムの構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る木造建物の地震応答解析システムのフローを示す図である。 入力画面及び解析結果画面を示す図である。 別の解析結果画面を示す図である。 建物のモデル化の説明図である。 内部処理の説明図である。 内部処理の説明図である。 内部処理の説明図である。 内部処理の説明図である。 内部処理の説明図である。 内部処理の説明図である。 内部処理の説明図である。 内部処理上の解析結果を示す図である。 内部処理上の解析結果を示す図である。 内部処理上の解析結果を示す図である。 内部処理上の解析結果を示す図である。 内部処理上の解析結果を示す図である。 本発明の別の実施形態に係る木造建物の地震応答解析システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づき説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。なお、下記実施形態では、クライアントPCを用いた例であるが、クライアントPCに変えてスマートフォンやタブレットを用いても本発明は実施可能である。
<1.機器構成>
図1は、本発明の一実施形態にかかる地震応答解析システムの機器の構成を示すブロック図である。このシステムは、スタンドアローンとして1台のクライアントPC上で動作させることもでき、またクライアントPCからサーバにアクセスして、動作させることもできる。これらは、実行されるプログラムがクライアントPC上かサーバ上かの違いであるため、クライアントPC上で動作する場合を例に説明する。以下、クライアントPCを単に端末と称する。
地震応答解析システムをなす端末1は、その機能構成として、地震応答解析プログラムや入力されるデータ等が記憶される記憶部11と、該プログラムやデータを用いて解析結果等を演算する演算部12とを備える。そして、これらの機能は、プログラムを処理するCPU、プログラムやデータを予め記憶したROM、プログラムを実行する際にそのプログラムやデータを一時的に記憶するRAM、プログラムや多数のデータを格納するHDDなどにより実現される。また、端末1は、CPUやHDDを接続するインターフェースをさらに備え、ディスプレイやキーボード、マウスなどがインターフェースを介して接続されている。
なお、HDDは、データを記憶可能なものであればよく、不揮発性のSSDなどでもよい。また、インターフェースには、上記したディスプレイやキーボードを接続するもののほか、通信可能な機器を接続するものなどが含まれる。具体的には、USB接続用や、LAN接続用、SCSI接続用、IEEE接続用などが含まれる。そして、CPUやROM、RAM、HDD、インターフェースなどが、マザーボードを介するなどして相互に接続されている。
<2.フロー>
次に、本実施形態の地震応答解析システムのフローについて説明する。
図2、図3に示すように、端末1を操作する操作者は、本システムを起動し、ディスプレイ上に表示された入力画面で、解析する建物の階数、軽い屋根か重い屋根かの選択、床面積、階高、X方向の耐力要素の数、Y方向の耐力要素の数を入力する。例えば瓦葺等の場合は重い屋根、スレート葺等の場合は軽い屋根を選択し、床面積、階高、X方向とY方向の筋かいや面材などの耐力要素の数を入力する。
なお、図3の画面は、一例の入力画面であり、階数が1階または2階のみで、軽い屋根と重い屋根の選択と同様にラジオボタンで選択する構成となっている。また、図3上に階高の入力を行う部分はなく別画面により行っている(図示なし)。
耐力要素とは、例えば、筋かいや合板などの地震時に建物の耐力となる要素をいう。また、筋かいや、合板などのメインの耐力要素に加えて、他の耐力要素(例えば、パーティクルボード、アルミパネルなど)の数をオプションで入力させるようにすることもできる。また、制震金物などの制震器具の数を別途入力させるようにすることもできる。本実施形態では、制震器具の数を入力できるオプションを備えている(図示なし)。
最後に、操作者は、解析したい地震波の種類とレベルを入力した後(図示なし)、実行ボタンを押すことで地震応答解析の算出結果がディスプレイ上に表示される。本実施形態の地震応答解析システムにおいては、操作者が入力する情報は以上である。
すなわち、操作者が入力した、解析する建物の階数、軽い屋根か重い屋根かの選択、床面積、階高、X方向の耐力要素の数、Y方向の耐力要素の数が、データとして端末1の記憶部11に記憶され、これらのデータを取り出して演算部12が地震応答解析を算出する。そして、その結果をディスプレイに表示させる構成である。なお、本実施形態においては、この結果をプリントアウト可能な構成としている。
なお、本実施形態においては、図3に示す入力画面と同じ画面上の下方に、解析結果が表示されるシステムとなっている。図3の例では、X方向及びY方向の層間変位と建物の傾きを視覚的に表した図と、これらの制震器具の有無による比較結果が表示される構成となっている。
また、図4(a)は、図3とは別の解析結果の表示画面であり、十分な制震性能を満たしているか否かの結果と、不足の場合の耐力要素数を表示している(図4(a)の下段)。なお、図4(b)は、耐震性能が不足する場合の下段の表示例である。本実施形態においては、この結果をプリントアウト可能な構成としている。
(内部処理)
次に、操作者の上記数値等の入力により、どのように地震応答解析の算出結果が導出されるかについて説明する。図5~図11は、内部処理上の入力画面の一例を示す説明図である。
まず、本実施形態における建物のモデル化は、建物を、各階の質量をもつ団子と、耐力要素がそれらを繋ぐ串として、串団子状のモデルに置き換えて行う(図5参照)。階数(団子の数)と、各階の質量(団子)と、各階における耐力要素数(串)とで建物全体をモデル化する。
なお、各階の質量は、床面積から算出する。具体的には、例えば床面積に所定の単位面積あたりの質量を乗じて算出する。一例として、重い屋根と軽い屋根に応じて、下記に示す単位面積当たりの質量を用いてそれぞれ算出する。なお、実際の重量は、階高が高い場合は質量が増えるが、解析に影響のない範囲のため、上記の単位面積当たりの質量により算出して問題ない。言い換えれば、下記の表の数字は余裕を持った重めの数値で設定している。
Figure 2023041418000002
また、図6の入力値が、操作者の図3上の入力に対応する形で反映される。そして、これらの数値と予め設定された数値から解析結果を算出していく。
また、解析結果を算出する過程で、耐力要素(串部分)のモデル化を行う。本実施形態に用いる串部分のモデル化の方法は、一例として図9のバイリニアモデルを使用する。なお、該モデル化の方法はバイリニアモデルに限られず、多種の復元力特性モデルなど、その他の方法を用いることも可能である。
串部分のバイリニアモデルのモデル化は、各耐力要素の第1バネ定数(K1)と、折れ点荷重(Qy)と、剛性低下率(K2/K1)または第2バネ定数(K2)と、塑性前(Qy前)の減衰特性値(減衰定数C)と、を用いて行う。これらの数値は、操作者が入力した解析する建物の階数、軽い屋根か重い屋根かの選択、床面積、階高、X方向の耐力要素の数、Y方向の耐力要素の数のいずれでもないが、操作者により入力されたこれらの数値等から、予め記憶部11に保存されたデータベースより、演算部12が所定のK1,K2,Qy,Cを選択する。なお、この導出において、建物の質量は、表1に基づき単位面積当たりの質量に床面積を乗じて各階の質量を算出し、これに2/3を乗じる。2/3を乗じる理由は、建物全体のうち骨組(耐震要素のみ)が負担する荷重を算出するためである。このように、本実施形態においては、所定の数値を乗じて建物全体の質量中、耐震要素が負担する過重を定めることが可能である。
そして、上記の串団子状のモデルに、予め記憶部11に保存された地震波等のデータベースより、操作者が選択した地震波の種類とレベルに応じて、所定の地震波が建物に加わり、地震が起こった場合に建物に加わる荷重や建物の変形などを解析する。
地震波の種類としては、例えば神戸海洋気象台(JMA KOBE)NS波や熊本地震波(益城本震)EW波、日本建築センター模擬波、人工地震波などを用いる。また、これに例えば80%などの入力レベルを乗じて、複数の地震波を用いることもできる。
そして、上記で算出及び入力された質量や地震波等のデータから解析を行う。解析には、例えば、加速度法やrunge-kutta法、積分法などの応答数値解析法を用いて、地震波による変位や速度、加速度などを算出して行う。本実施形態では、一例として線形加速度法を用いる。
線形加速度法による解析は、下記式1の振動方程式がtn+1時刻で成り立つことから、下記式2の3つの基本式を用いて変位や速度、加速度などを算出する。ここで、yは変位、yの上に点1つは速度、yの上に点2つは加速度である。m、c、kは、質量、減衰係数、バネ定数である。n+1は、nからΔt後の時刻である。
(式1)
Figure 2023041418000003
(式2)
Figure 2023041418000004
そして、上記の解析から、内部にて建物の解析結果が算出される。解析結果は、本実施形態で重要な最大応答層間変位(mm)と最大応答層間変形角(rad)を含めて、種々の結果が算出される。図13~図17は、算出される解析結果の一例である。
なお、この解析で荷重や変形など多数の情報が算出され、専門家が利用する地震解析ソフトウェアなどでは、これら多数の結果が表示されるものであったが、本実施形態の解析システムでは、十分な耐震性を備えた建物か否かの判定結果が主として表示される構成である(図3,図4参照)。
耐震性を備えるか否かは、本実施形態においては、地震波が入力された場合の層間変形角Rが1/120を超えているか否かで判定している(図16における最大層間変形角(rad))。なお、1/120の数値はこれ以外の数値とすることもできる。また、本実施形態では図3,図4のような表示を想定しているが、操作者が必要に応じて、図13~図17の内部上の解析結果を表示可能な構成としてもよく、これをプリンアウト可能な構成としてもよい。
また、本実施形態の解析システムにおいては、層間変形角RがR<1/120の条件を満たさず、十分な耐震性を備えないと判定された場合、不足している耐力要素の数を表示するように構成している。なお、不足する耐力要素の数は次のように算出している。
十分な耐震性を備えないと判定された場合、演算部12が、操作者が入力したX方向の耐力要素の数、Y方向の耐力要素の数を1つずつ追加して、上記同様の解析を順次繰り返す。なお、大幅に耐力要素の数が少ない場合は、一定の数を追加していき、解析を順次繰り返してもよい。そうして、地震波が入力された場合の層間変形角Rが1/120以内となる結果が出た際のX方向の耐力要素の数、Y方向の耐力要素の数から、操作者が当初入力した数との差分を表示するものとしている。
このようにすることで、解析システムを使用する操作者は、不足している耐力要素の数が一目でわかるので、実際の建物にどのような耐力要素を追加すれば十分な耐震性を備えるかを容易に知ることができる。また、筋かいや面材など、耐力要素ごとに不足している数をそれぞれ表示してもよく、操作者が、例えば筋かいなど耐力要素を選択可能な構成とし、その耐力要素の数がいくら不足しているかを表示してもよい。また、面材は外周壁に設置することが多いため追加が困難な場合が多いので、追加する耐力要素をあらかじめ筋かいに固定して、筋かいの不足数を表示する構成とすることも可能である。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。
(1)前述した実施の形態では、第5の手段は、X方向及びY方向の筋かいあるいは合板の数を入力するものであるが、他の耐震要素(例えば、パーティクルボード、アルミパネルなど)の数や、制震器具の数を入力できるようにすることもできる。さらに、地震波の種類と入力レベルとを選べるようにすることもできる。
(2)前述した実施の形態では、ディスプレイの一番下に、X,Y方向の最大層間変位が示され、制震器具を設置した場合との比較で低減率も示されるようにしているが、それに制限されず、例えば、最大層間変位と最大層間変形角を示し、最大層間変形角が目標値(R<1/120)になっているか否かを示すようにすることもできる。
(3)前述した実施の形態では、解析結果を単に表示しているだけであるが、解析結果として、低減率が足らない(NG)となった場合には、再計算させることによって、筋かいを何本増やすとか、面材を何カ所増やすとかいったコメントを出せるようにすることもできる。
また、耐力不足の場合には、追加する耐力要素(例:筋かい、構造用合板)を操作者に選ばせて、目標値とした層間変形角R<1/120になるまで、耐力要素を一つ一つ追加して、解析を繰り返すようにすることもできる。また、耐力不足が大きい場合は、一つ一つでなく、二つずつ追加する場合もできる。
(4)また、前述の実施の形態では、本解析プログラムがインストールされた1台の端末を使用した例であるが、本解析プログラムをWEBアプリケーションとして利用することも可能であり、操作者は自身の端末からWEBアプリケーションがインストールされたサーバにアクセスして解析を行う。その場合、図18に示すような機器構成となり、操作者の端末1とサーバ2とをインターネット3を介して動作させる。そして、本プログラムはサーバ2上で動作し、その結果を操作者の端末1のディスプレイに表示する構成となる。また、本解析プログラム自体を販売等提供する場合、DLやCD等の媒体に保存して提供することができる。
1 端末
11 記憶部
12 演算部
13 送信部
14 記憶部
15 表示部
16 操作部
2 サーバ
21 記憶部
22 演算部
23 送信部
24 記憶部
25 表示部
26 操作部
3 インターネット

Claims (25)

  1. 木造建物の地震応答を解析するシステムであって、
    軽い屋根か重い屋根かを選択して入力する第1の手段と、
    床面積を入力する第2の手段と、
    前記第1及び第2の手段からの信号により質量を演算する第3の手段と、
    筋かいや合板などの耐力要素の数を入力する第4の手段と、
    前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物の初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかを演算する第5の手段と、
    前記第3及び前記第5の手段からの信号を受け、少なくともX,Y各方向の最大層間変位を演算する第6の手段と、を備えることを特徴とする、
    木造建物の地震応答解析システム。
  2. 前記第6の手段からX,Y各方向の最大層間変位にかかる信号を受け、最大層間変形角を演算する第7の手段を更に備える、
    請求項1記載の木造建物の地震応答解析システム。
  3. 前記第7の手段により演算された最大層間変形角が所定の変形角を超えているか否かを判定する第8の手段を更に備える、
    請求項2記載の木造建築の地震応答解析システム。
  4. 前記第8の手段により演算された最大層間変形角が所定の変形角を超えていると判定された場合に、該所定の変形角以内にするために不足している前記耐力要素の数を演算する第9の手段を更に備える、
    請求項3記載の木造建築の地震応答解析システム。
  5. 前記第4の手段は、2階建て以上の木造建物の場合、各階ごとの前記耐力要素の数を入力可能である、
    請求項1乃至4のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析システム。
  6. 2階建て以上の木造建物の場合、前記第6の手段により、各階ごとのX,Y各方向の最大層間変位を演算可能である、
    請求項5記載の木造建物の地震応答解析システム。
  7. 前記第4の手段は、耐力要素の数の入力とは別に、制震器具の数を更に入力する構成を更に有する、
    請求項1乃至6のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析システム。
  8. 前記第5の手段は、前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物を各階の質量を団子、各階の耐震要素を串とみなして、串団子状のモデル化を行うことで、初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかを演算する、
    請求項1乃至7のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析システム。
  9. 前記第3の手段が、重い屋根か軽い屋根かに応じて、それぞれ予め定めた所定の質量を床面積に乗じて木造建物の質量を算出する手段である、
    請求項1乃至8のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析システム。
  10. 前記第6の手段において、木造建物の質量に、前記第3の手段で算出した質量に予め定めた1以下の所定の係数を乗じて算出された質量を用いる、
    請求項1乃至9のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析システム。
  11. 建物の階高を入力する第9の手段を更に備える、
    請求項1乃至10のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析システム。
  12. 2階建て以上の木造建物の場合、各階ごとの階高を入力可能である、
    請求項11記載の木造建物の地震応答解析システム。
  13. 木造建物の地震応答を解析するプログラムであって、
    軽い屋根か重い屋根かを選択して入力する第1の手段、
    床面積を入力する第2の手段、
    前記第1及び第2の手段からの信号により質量を演算する第3の手段、
    筋かいや合板などの耐力要素の数を入力する第4の手段、
    前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物の初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかを演算する第5の手段、
    前記第3及び前記第5の手段からの信号を受け、少なくともX,Y各方向の最大層間変位を演算する第6の手段、
    としてコンピュータを機能させる木造建物の地震応答解析プログラム。
  14. 前記第6の手段からX,Y各方向の最大層間変位にかかる信号を受け、最大層間変形角を演算する第7の手段としてコンピュータを機能させる、
    請求項13記載の木造建物の地震応答解析プログラム。
  15. 前記第7の手段により演算された最大層間変形角が所定の変形角を超えているか否かをコンピュータに判定させる第8の手段としてコンピュータを機能させる、
    請求項13又は14記載の木造建築の地震応答解析プログラム。
  16. 前記第8の手段により演算された最大層間変形角が所定の変形角を超えていると判定した場合に、該所定の変形角以内にするために不足している前記耐力要素の数を演算する第9の手段としてコンピュータを機能させる、
    請求項13乃至15のいずれか1項記載の木造建築の地震応答解析プログラム。
  17. 前記第4の手段は、2階建て以上の木造建物の場合、各階ごとの前記耐力要素の数を入力可能である、
    請求項13乃至16のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析プログラム。
  18. 2階建て以上の木造建物の場合、前記第6の手段により、各階ごとのX,Y各方向の最大層間変位を演算可能である、
    請求項17記載の木造建物の地震応答解析プログラム。
  19. 前記第4の手段は、耐力要素の数の入力とは別に、制震器具の数を更に入力する構成を更に有する、
    請求項13乃至18のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析プラグラム。
  20. 前記第5の手段は、前記第4の手段よりの信号を受け、前記木造建物を各階の質量を団子、各階の耐震要素を串とみなして、串団子状のモデル化を行うことで、初期剛性、折れ点荷重、剛性低下率、減衰定数の少なくともいずれかをコンピュータに演算させる、
    請求項13乃至19のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析プログラム。
  21. 前記第3の手段が、重い屋根か軽い屋根かに応じて、それぞれ予め定めた所定の質量を床面積に乗じて木造建物の質量を算出する手段である、
    請求項13乃至20のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析プログラム。
  22. 前記第6の手段において、木造建物の質量に、前記第3の手段で算出した質量に予め定めた1以下の所定の係数を乗じて算出された質量を用いる、
    請求項13乃至21のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析プログラム。
  23. 建物の階高を入力する第9の手段としてコンピュータを機能させる、
    請求項13乃至22のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析プログラム。
  24. 2階建て以上の木造建物の場合、各階ごとの階高を入力可能である、
    請求項23記載の木造建物の地震応答解析プログラム。
  25. 請求項13乃至24のいずれか1項記載の木造建物の地震応答解析プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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