JP2008276474A - 建築物の耐震性能診断方法及び耐震性能診断プログラム - Google Patents

建築物の耐震性能診断方法及び耐震性能診断プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 耐震シミュレーションの解析結果を基にして、所定の耐震性能を得るために必要な設計変更、補強工事等の具体的態様をユーザに提示すること。
【解決手段】 通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程(S1)と、受信された形状データを基にして、解析用モデルを作成する工程(S2)と、作成された解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程(S3)と、解析結果に基づいて、必要耐力壁量および不足耐力壁量を算出する工程(S6)と、建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程(S7)と、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程(S11)とを有する。
【選択図】 図2

Description

本願発明は、建築物の耐震性能診断方法及び耐震性能診断プログラムに係り、特にユーザが作成した形状データを使用して実行される地震応答解析の結果に基づいて、所定の耐震性能を得るために追加することが必要となる耐力壁または接合金物の配置情報をユーザに対して提示する耐震性能診断方法および耐震性能診断プログラムに関する。
近年、住宅等の建築物の耐震性能についての関心が高まってきている。このため、コンピュータを用いて所定の地震動に対する建築物の地震応答解析を実行し、建築物の揺れ等の解析結果をアニメーション等を用いて表示する耐震シミュレーションシステムが開発されている。この耐震シミュレーションシステムを利用することで、新築住宅の耐震設計あるいは既存住宅の耐震補強等を実現することが可能となる。
特開2001−60214号公報には、建築物の形状データを基にして、所定の地震動に対する地震応答解析を実行する耐震シミュレーションシステムについて記載されている。地震応答解析の解析結果に基づいて、居室内の揺れや住宅全体の揺れを表すコンピュータ・グラフィックス画像をユーザに対して提示する。
特開2003−147970号公報には、診断対象の建築物について入力される構造情報、地理情報、地盤情報等を基にして、種々のレベルの地震動に対する損傷度レベルを算出する損傷度解析システムについて記載されている。損傷度レベル別に、改修後の耐震性能に応じた建築物の改修費用が算出される。この改修費用と被災時における被害額とを比較して、改修工事に係る費用対効果を表すグラフ等をユーザに対して提示する。
特開2001−60214号公報 特開2003−147970号公報
上記のような耐震性能診断システムにおいては、入力加速度データ等として与えられる地震動データを使用した地震応答解析の解析結果に基づいて、診断対象の建築物の耐震性能を定量的にユーザに対して提示している。但し、ユーザ所望の耐震性能、あるいは所定の基準を満たす耐震性能を得るために、如何なる設計変更、補強工事等を実施すべきかについての指針をユーザに与えるような機能を有してはいない。このために、特に建築分野に係る専門知識を有さないユーザは、設計変更、補強工事等について、その必要性を認識することはできても、その具体的態様を把握することができない。したがって、所定の耐震性能を得るために、設計事務所等の専門機関に新築住宅に係る設計変更、既存住宅に係る補強工事等を依頼した場合において、専門機関による見積もりや実際の施工が、ユーザが想定していたものと乖離していることがある。以上のように、従来の耐震性能診断システムは、耐震補強を望むユーザに対して必ずしも十分な利便性を提供するものではないという課題があった。
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、地震応答解析の解析結果を基にして、ユーザ所望の耐震性能あるいは所定の基準を満たす耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様をユーザに対して提示することができる耐震性能診断方法及び耐震性能診断プログラムを提供することを目的とする。
上記の技術的課題を解決するために、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程(ステップ)と、受信された形状データを基にして、解析用モデルを作成する工程(ステップ)と、作成された解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程(ステップ)と、解析結果に基づいて、必要耐力壁量および不足耐力壁量を算出する工程(ステップ)と、建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程(ステップ)と、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程(ステップ)とを有するようにしたものである。
これにより、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを受信したユーザは、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を予め把握することが可能となり、ユーザが設計事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができるとともに、依頼後のトラブルを低減することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程(ステップ)と、受信された形状データを基にして、第1の解析用モデルを作成する工程(ステップ)と、作成された第1の解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程(ステップ)と、解析結果に基づいて、必要耐力壁量および不足耐力壁量を算出する工程(ステップ)と、建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程(ステップ)と、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを作成するとともに、当該形状データに基づいて、第2の解析用モデルを作成する工程(ステップ)と、作成された第2の解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程(ステップ)と、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程(ステップ)とを有するようにしたものである。
これにより、上記の発明と同様に、設計事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができる。また、補強後の解析用モデルを使用した地震応答解析の解析結果を例えばコンピュータ・グラフィックス等を用いて確認することが可能となり、ユーザが補強後の耐震性能を明確に認識することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内の値となるまで、必要耐力壁量および不足耐力壁量を算出する上記工程(ステップ)、追加する耐力壁の配置を決定する上記工程(ステップ)、第2の解析用モデルを作成する上記工程(ステップ)および第2の解析用モデルを使用して地震応答解析を実行する上記工程(ステップ)を繰り返し実行して、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内の値となった際の追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信するようにしたものである。
これにより、所定の耐震性能を満たすまで耐力壁の追加を続行するので、ユーザが、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様をより正確に把握することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程(ステップ)と、法令で定められた必要壁量に基づいて、形状データから必要耐力壁量を算出する工程(ステップ)と、不足耐力壁量を算出する工程(ステップ)と、建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程(ステップ)と、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程(ステップ)とを有するようにしたものである。
これにより、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを受信したユーザは、法令に定められた所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を予め把握することが可能となり、ユーザが設計事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができるとともに、依頼後のトラブルを低減することができる。また、比較的簡単な演算により、補強後の形状データをユーザに送信することが可能となり、応答までに要する時間を短縮することでユーザの利便性を向上することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程(ステップ)と、法令で定められた必要壁量に基づいて、形状データから必要耐力壁量を算出する工程(ステップ)と、不足耐力壁量を算出する工程(ステップ)と、建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程(ステップ)と、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを作成するとともに、当該形状データに基づいて解析用モデルを作成する工程(ステップ)と、作成された解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程(ステップ)と、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程(ステップ)とを有するようにしたものである。
これにより、上記の発明と同様に、ユーザが設計事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができる。また、補強後の解析用モデルを使用した地震応答解析の解析結果を例えばコンピュータ・グラフィックス等を用いて確認することが可能となり、ユーザが補強後の耐震性能を明確に認識することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内の値となるまで、不足耐力壁量を算出する上記工程(ステップ)、追加する耐力壁の配置を決定する上記工程(ステップ)、解析用モデルを作成する上記工程(ステップ)および解析用モデルを使用して地震応答解析を実行する上記工程(ステップ)を繰り返し実行して、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内の値となった際の追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信するようにしたものである。
これにより、所定の耐震性能を満たすまで耐力壁の追加を続行するので、ユーザが、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様をより正確に把握することが可能となる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、耐力壁間の距離に基づいて、追加する耐力壁の配置位置の優先順位を決定する工程(ステップ)を有するようにしたものである。
これにより、建築物の構造強度を効率的に高めることが可能になるとともに、耐力壁の集中に起因する建築物のねじれ現象を防止することが可能となり、ユーザに対して設計変更、補強工事等についてより的確な指針を提供することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、追加する耐力壁の組み合わせを複数作成する工程(ステップ)と、それぞれの組み合わせ毎に、追加する耐力壁の配置情報を含む形状データを作成する工程(ステップ)と、それぞれの組み合わせ毎に、作成された形状データに基づいて解析用モデルを作成するとともに、作成された解析用モデルを使用して地震応答解析を実行する工程(ステップ)と、解析結果に基づいて、追加する耐力壁の組み合わせを選択する工程(ステップ)と、選択された組み合わせに係る追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程(ステップ)とを有するようにしたものである。
これにより、追加配置について概ね同じコストを要する耐力壁の組み合わせのなかから、最も高い構造強度を有する耐力壁の組み合わせを選択することが可能となり、ユーザに対して設計変更、補強工事等について最適な指針を提供することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程(ステップ)と、受信された形状データを基にして、解析用モデルを作成する工程(ステップ)と、作成された解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程(ステップ)と、解析結果に基づいて破断または損傷の可能性のある箇所を特定して、追加する接合金物の配置を決定する工程(ステップ)と、追加する接合金物の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程(ステップ)とを有するようにしたものである。
これにより、追加する接合金物の配置情報を含む建築物に係る形状データを受信したユーザは、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を予め把握することが可能となり、ユーザが設計事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができるとともに、依頼後のトラブルを低減することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、地震動に係る入力加速度データをユーザに選択させる工程(ステップ)を有するようにしたものである。
これにより、ユーザが発生を危惧する特定の地震に対して、所定の耐震性能を実現するために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を把握することが可能となるから、ユーザの利便性を向上することができる。
また、本願発明に係る耐震性能診断方法(耐震性能診断プログラム)は、補強前の形状データ、補強前の形状データに係る地震応答解析による解析結果、補強後の形状データおよび補強後の形状データに係る地震応答解析による解析結果を少なくとも有する解析関連データを、通信ネットワークを介してデータの読み出しが可能な共有データ記憶部に保存する工程(ステップ)を有するようにしたものである。
これにより、当該解析関連データを通信ネットワークに接続する利用者間で共有することが可能となり、当該解析関連データの公開に同意したユーザおよび他のネットワーク利用者の利便性を向上することができる。
本願発明によれば、ユーザから送信された形状データを使用する地震応答解析の解析結果、あるいは耐震性能に係る法令で定められた必要壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置または追加する接合金物の配置を決定し、追加する耐力壁の配置情報または追加する接合金物の配置情報を含む建築物に係る形状データをユーザへ送信するように構成したので、当該形状データを受信したユーザは、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を予め把握することが可能となり、建築事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができるという効果を奏する。
以下、添付の図面を参照して本願発明に係る実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、本願発明に係る耐震性能診断方法を実現するシステムの構成を示すブロック図である。図1において、1はインターネットや専用回線等として与えられる通信ネットワーク、2は通信ネットワーク1に接続されるユーザ端末、3は通信ネットワーク1に接続されてユーザ端末2との間において形状データ等に係るデータ送受信を実行するASP(Application Service Provider)サーバ、4はキーボード、5はマウス、6はディスプレイ、7は通信ネットワーク1との間における通信等を制御するネットワークインタフェース部、8はサーバ3に接続されるキーボード4、マウス5等の入力手段やディスプレイ6等の出力手段との間におけるデータの伝送等を制御する入出力インタフェース部、9はCPU等として与えられサーバ3内の構成要素を制御する制御部である。
10は補強前および補強後の形状データや地震応答解析の解析結果等の地震応答解析に関連する各種データを記憶する解析関連データ記憶部、11は各種地震に係る入力加速度データ等の地震に関連する各種データを記憶する地震関連データ記憶部、12はユーザにより公開が許可された形状データおよび解析結果等の各種データを記憶する共有データ記憶部、13は耐震シミュレーションプログラム記憶部、14は耐力壁追加プログラム記憶部、15は接合金物追加プログラム記憶部、16は耐震シミュレーションを実行する際等において演算領域として使用されるワークエリアである。ここで、形状データとは、建築物の全体構造または部分構造を特定する任意のデータを意味するものとする。形状データとしては、2次元CADを用いて作成される平面図、立面図、断面図または透視図等の図面データや、3次元CADを用いて作成される3次元モデルデータ等が挙げられる。
解析関連データ記憶部10、地震関連データ記憶部11、共有データ記憶部12、耐震シミュレーションプログラム記憶部13、耐力壁追加プログラム記憶部14、接合金物追加プログラム記憶部15は、それぞれHDD(ハードディスクドライブ)等の二次記憶装置内の所定の記憶領域として与えられる。耐震シミュレーションプログラム、耐力壁追加プログラム、接合金物追加プログラム等の種々のプログラムは、使用される際には、二次記憶装置からRAM等として与えられる主メモリへロードされる。また、ワークエリア16は、主メモリ内の所定の記憶領域や二次記憶装置内の所定の記憶領域として与えられる。なお、二次記憶装置内に、上記以外の種々のデータおよびプログラムが記憶されることが理解されよう。
図2は、この発明の実施の形態1に係る耐震性能診断方法を示すフローチャートである。サーバ3は、ユーザ端末2から、通信ネットワーク1を介して、診断対象となる建築物に係る形状データを受信する(ステップS1)。診断対象の建築物は、建築予定の(新築の)建築物であっても、既存の建築物であってもよい。建築予定の建築物を診断対象とする場合には、耐震シミュレーションを実行することで、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更に関する指針を得ることができる。また、既存の建築物を診断対象とする場合には、耐震シミュレーションを実行することで、所定の耐震性能を得るために必要となる補強工事に関する指針を得ることができる。
ユーザ端末2を使用するユーザは、例えば建築用CADシステムを用いて、診断対象の建築物に係る形状データを作成する。この建築用CADシステムを構成するアプリケーションプログラムは、基本的には耐震シミュレーションプログラムの一部としてサーバ3内の記憶装置にインストールされているのが好適である。ユーザは、ユーザ端末2のブラウザを介して、当該建築用CADシステムを利用する。但し、建築用CADシステムに係るアプリケーションプログラムは、ユーザ端末2にインストールされていてもよい。図3は、建築用CADシステムを用いて作成した平面図の一例を示す図である。例えば2階建ての住宅の耐震シミュレーションを実行する場合には、ユーザは1階の平面図および2階の平面図を作成して、作成された形状データをサーバ3へ送信する。サーバ3は、受信した形状データを解析関連データ記憶部10に保存する。
サーバ3は、ユーザから送信された形状データを基にして、耐震補強前の解析用モデルを作成する(ステップS2)。但し、ユーザは必ずしも建築分野の専門知識を有する者ばかりではないので、解析用モデルを作成するのに十分な構造情報を有する形状データを作成できない場合もある。このような場合にも適切な解析用モデルを作成できるように、対話形式により必要となる追加的な構造情報を、ユーザから取得する構成とするのが好適である。図4は、診断対象の建築物の建築時期を特定するための選択用画像の一例を示す図である。図5は、診断対象の建築物の構造仕様を特定するための選択用画像の一例を示す図である。サーバ3は、上記のような選択用画像を適宜ユーザ端末2の表示画面上に表示するとともに、当該選択用画像に対するユーザの応答に基づいて、建築時期や構造仕様等に関連して必要な構造情報を取得する。なお、選択応答のない項目、すなわちユーザが不知の項目については、デフォルト値を設定する構成としてもよい。
例えば、建築時期に係る情報から、診断対象の建築物に使用されている耐力壁の壁量を求めることが可能である。また、薄い土壁等の明らかに耐力壁が配置されていない壁部(非構造壁)を、平面図上においてユーザに特定してもらうことで、耐力壁が既に配置されている壁部を絞り込む構成としてもよい。さらに、建築時期および建築物の形態等を基準にして分類される多数の構造情報テンプレートのなかから、診断対象の建築物に最も適合する構造情報テンプレートを検出し、当該構造情報テンプレートに基づいて、耐力壁の位置等に係る種々の構造情報を特定する構成としてもよい。図6は、既存の耐力壁の位置情報を含む平面図の一例を示す図である。図6において、耐力壁が配置されている位置は、直角三角形により示される。耐力壁が配置されている壁部に付記された直角三角形の斜辺の向きにより、当該壁部に設置されている筋かいの向きを知ることができる。
必要な構造情報を有する形状データが得られれば、形状データを解析用モデルにコンバートする。図7は、解析用モデルの一例を示す図である。この実施の形態においては、解析用モデルとして3次元フレームモデルを採用する。例えば、柱および梁は、両端に節点を作成し、それらの節点を梁要素で結合してモデル化する。耐力壁は、フレームモデルとするために、せん断剛性を軸剛性に変換するブレース置換によりモデル化する。基礎は、コンクリート相当の剛性を有する梁要素としてモデル化する。サーバ3の制御部9は、作成された解析用モデルデータを解析関連データ記憶部10に保存する。なお、解析用モデルとしては、構造解析分野で周知である種々の解析用モデルを使用することが可能である。
耐震補強前の解析用モデルが得られれば、制御部9は、当該解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する(ステップS3)。制御部9は、耐震シミュレーションプログラム記憶部13内に記憶されている地震応答解析プログラムを主メモリにロードする。非線形動的解析である地震応答解析の手法として、この実施の形態においては、ニュートン法による荷重増分による解析手法を採用する。地震応答解析では、まず解析の前提となる地震動の内容に係る設定を行う。この実施の形態では、地震応答解析の前提となる地震動については、地震動に係る選択用画像をユーザ端末2の表示画面上に表示して、ユーザの選択に応じて設定する。種々の内容を有する地震動毎に、時系列に与えられる複数の入力加速度データから成る入力加速度ファイルが、地震関連データ記憶部11に格納されている。図8は、解析の前提となる地震動を特定するための選択用画像の一例を示す図である。また、診断対象の建築物が建築されている地区に係る地理情報、地盤情報等を基にして、当該地区に対応する地震動を設定する構成としてもよい。なお、解析手法としては、構造解析分野で周知である種々の解析手法を使用することが可能である。
解析の前提となる地震動が設定されれば、解析用のフレームモデルに基づいて、剛性マトリクス、減衰マトリクスおよび質量マトリクスを算出し、これらのマトリクスに係るデータをワークエリア16に展開する。そして、時間間隔Δtで逐次的に設定される時刻毎に、当該時刻における地震動の入力加速度に対応する応答変位増分ΔXを例えばCholeskey法を用いて解法する。応答変位増分ΔXが求められれば、これに基づいて、当該時刻における変位、速度、加速度等を算出する。図9は、解析結果の表示画像の一例を示す図である。解析結果の表示については、例えば最大変位が発生する際の変形を示す図等に限定されるものではなく、例えば入力加速度データが設定されている所定の期間における建築物の揺れをアニメーションにより表現するようにしてもよい。また、図10は、地震応答解析に基づく建築物に係る診断結果の一例を示す図である。補強前の建築物に係る地震応答解析が完了した時点で、ユーザ端末2の表示画面上には、図9の解析結果や図10の診断結果等が表示される。なお、上記の非線形動的解析の手法は周知であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
地震応答解析が完了すれば、建築物が設定された地震動に対して所定の耐震性能を有するか否か、すなわち解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内にあるか否かを判定する(ステップS4)。この実施の形態では、耐震性能を評価する基準として層間変形角を採用する。図11は、層間変形角を説明する図である。図11において、δは1階柱上端の層間変位の平均値を示し、Hは1階の階高を示す。1階の層間変形角θは、θ=δ/Hにより算出される。また、δは2階柱上端の層間変位の平均値を示し、Hは2階の階高を示す。2階の層間変形角θは、θ=δ/Hにより算出される。通常、木造住宅の許容層間変形角は1/120とされているから、各階の層間変形角が1/120以下であれば、所定の耐震性能を有すると判定する。なお、耐震性能を評価する基準は層間変形角に限定されるものではなく、他の種々の耐震基準を採用することができることは言うまでもない。
なお、耐震性能に係る層間変形角については、建築基準法施行令第82条の3に、「層間変位の当該各階の高さに対する割合が200分の1(地震力による構造耐力上主要な部分の変形によって建築物の部分に著しい損傷が生ずるおそれのない場合にあっては、120分の1)を超えないことを確かめること。」と記載されている。木造住宅の場合には、柱、梁等の構造部材に変形が生じても壁や床が壊れないから、著しい損傷が生ずるおそれがないと判定されるので、一般的に1/120を採用している。
ステップS4において、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内にあると判定されれば、診断対象の建築物について補強の必要がないことをユーザに通知する(ステップS5)。ステップS4において、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内にないと判定されれば、所定の耐震性能を得るために必要な耐力壁量(以下、必要耐力壁量と称する)および所定の耐震性能を得るために不足している耐力壁量(以下、不足耐力壁量と称する)を算出する(ステップS6)。なお、上記の必要耐力壁量および不足耐力壁量に係る演算は、例えば図3に示される平面図のX方向とY方向とに分けて、個別に実行する。また、耐力壁量は、以下の式(1)に示されるように、耐力壁倍率と壁部の長さとの積として与えられる。
耐力壁量(m)=耐力壁倍率*壁部の長さ(m) (1)
この実施の形態では、以下の表1に示される建築基準法施行令第46条で定められている耐力壁倍率を採用するものとする。
Figure 2008276474
必要耐力壁量を算出するには、まず各階に作用する水平力を算出する。主要な耐力壁が筋かいの場合には、式(2)に基づいて水平力を算出する。主要な耐力壁が面材の場合には、式(3)に基づいて水平力を算出する。
EQi=120*δi*EPi/Hi (2)
EQi=150*δi*EPi/Hi (3)
ここで、EQiは各階に作用する水平力(kN)を示し、δiは各階の層間変位を示し、EPiは各階の既存の耐力壁の許容耐力の総和(kN)を示し、Hiは各階の階高を示し、iは階数を示す。各階のEPiは、式(4)に基づいて算出される。
EPi=Σ(壁倍率*壁の長さ(m)*1.96(kN/m)) (4)
各階に作用する水平力が算出されれば、許容層間変形角(1/120)に係る条件を満たすのに必要な壁の許容耐力の総和EPi’を算出する。主要な耐力壁が筋かいの場合には、式(5)に基づいて許容耐力の総和を算出する。主要な耐力壁が面材の場合には、式(6)に基づいて許容耐力の総和を算出する。
EPi’=EQi (5)
EPi’=0.8*EQi (6)
必要な許容耐力の総和EPi’が算出されれば、式(7)に基づいて、必要耐力壁量を算出する。
必要耐力壁量(m)=EPi’(kN)/1.96(kN/m) (7)
必要耐力壁量が算出されれば、必要耐力壁量から既存耐力壁量を減じて、不足耐力壁量を算出する。
不足耐力壁量が算出されれば、制御部9は、耐力壁追加プログラム記憶部14に記憶されている耐力壁追加プログラムを主メモリにロードし、建築物の形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する(ステップS7)。図12は、追加する耐力壁の配置方法を示すフローチャートである。図3または図6等に示される建築物の形状データ(平面図)を基にして、診断対象となる建築物における壁部を抽出する(ステップS21)。ここで、壁部とは、建築物の外壁および間仕切りを総称する用語として用いる。図13は、建築物における壁部を示す図である。図13において、壁部は点線により示されている。
壁部が特定されれば、耐力壁を追加することができる壁部を選別する(ステップS22)。耐力壁を追加することができる壁部の選別は、ステップS21において特定された壁部から、耐力壁を施工することができない壁部を除外することにより実行する。耐力壁を施工することができない壁部としては、1)一方の側端が建築物の外周から外方へ突出している壁部(袖壁等)、2)開口を有する壁部(ドアを含む)、並びに3)壁部の長さが所定の基準を満たさない壁部が挙げられる。長さが2モジュールより大きい場合、あるいは長さが1モジュールより小さい場合には、基準を満たさないこととなる。ここで、モジュールとは、住宅の基本となる柱と柱との間のスパンを意味する。通常、1モジュールは、910mmから1000mmである。図14は、建築物において耐力壁を追加することができる壁部を示す図である。当該壁部は、点線により示されている。なお、既に耐力壁が配置されている壁部も、耐力壁を追加することができる壁部として便宜上登録しておく。この処理は、後述する優先順位を決定する処理を実行するうえで必要となる。
耐力壁を追加することができる壁部が特定されれば、それぞれの壁部について、他の壁部との間の距離に基づく評価点数を算出する(ステップS23)。評価点数は、ある耐力壁を追加することができる壁部について、両側においてそれぞれ隣接する耐力壁を追加することができる壁部との間の距離からそれぞれ求められる点数を合計することで得られる。図15は、評価点数を算出する際に使用される壁部間の距離を説明する図である。図16は、壁部間の距離と評価点数との関係を示す図である。図17は、壁部に対して算出された評価点数の例を示す図である。ある耐力壁を追加することができる壁部に係る評価点数を算出する際には、当該壁部と同じ方向(X方向またはY方向)に延びて両側においてそれぞれ隣接する耐力壁を追加することができる壁部との間の距離L1およびL2を求める。なお、当該壁部の長さ方向の範囲において他の壁部が重複する部分を有すれば、当該壁部と他の壁部とは隣接するものとみなす。
図17において、例1に係る壁部は、左側において隣接する壁部と2モジュール離隔し、右側において隣接する壁部と2モジュール離隔している。図16において、2.0モジュール以上2.5モジュール未満の点数は20点であるので、例1に係る評価点数は20点と20点とを合計した40点となる。例2に係る壁部は、上側において隣接する壁部と3モジュール離隔し、下側においては隣接する壁部を有しない。上述したように、開口を有する壁部は、耐力壁を追加することができないので、隣接する壁部とはみなされない。したがって、例2に係る評価点数は、10点と−40点とを合計した−30点となる。例3に係る壁部は、上側において隣接する壁部と5モジュール離隔し、下側においては隣接する壁部を有しない。したがって、例3に係る評価点数は、−10点と−40点とを合計した−50点となる。
耐力壁を追加することができるそれぞれの壁部について評価点数が算出されれば、評価点数等を基にした優先順位に従って、追加する耐力壁の耐力壁量の合計が不足耐力壁量を超えるまで、耐力壁を順次追加する(ステップS24)。耐力壁の追加に係る各壁部の優先順位は、以下のように設定される。
1)外壁出入隅に位置する壁部
2)評価点数が−40点以下の壁部
3)外壁に位置する上記以外の壁部
4)評価点数が0点以下の壁部
5)評価点数が40点以下の壁部
6)上記以外の壁部
なお、上記の優先順位は、耐力壁を追加することができる壁部のなかで、耐力壁が未だ配置されていない壁部について設定される。
外壁出入隅は、建築物の構造強度を高めるために必要な箇所であるので、外壁出入隅に位置する壁部の優先順位を第1位として、最初に耐力壁を配置する。図18は、建築物の外壁出入隅を示す図である。図18において、出入隅は丸印で示される。出隅とは外周において凸状の角部を意味し、入隅とは外周において凹状の角部を意味する。出入隅に位置する壁部は、図において点線で示される。次に、梁スパン(すなわち部屋の大きさ)は長くても6モジュール程度であるので、この距離範囲内に耐力壁を配置することが望ましい。両側ともに隣接する壁部との間の距離が6モジュールである場合には、評価点数は−40点となる。したがって、評価点数が−40点以下の壁部の優先順位を第2位とする。また、外壁に耐力壁を配置することは、建築物の構造強度を高めるために有効である。したがって、外壁に位置する上記以外の壁部の優先順位を第3位とする。
上記のアルゴリズムに基づいて、追加する耐力壁の配置が決定されれば、耐力壁が追加された形状データを基にして、耐震補強後の解析用モデルを作成する(ステップS8)。この解析用モデルの作成については、ステップS2と同様であるので、詳細な説明を省略する。耐震補強後の解析用モデルが作成されれば、当該解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する(ステップS9)。この地震応答解析については、ステップS3と同様であるので、詳細な説明を省略する。なお、地震応答解析が完了した時点で、図9に示されるような解析結果をユーザ端末2の表示画面上に表示するように構成してもよい。これにより、ユーザが耐震補強後の耐震性能を明確に認識することができる。地震応答解析が完了すれば、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内にあるか否かを判定する(ステップS10)。この判定については、ステップS4と同様であるので、詳細な説明を省略する。
ステップS10において、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内にないと判定されれば、耐力壁をさらに追加して所定の耐震性能を得るために、処理をステップS6に復帰する。ステップS10において、解析結果に係る物理量が許容範囲内にあると判定されれば、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワーク1を介して、ユーザ端末2に送信する(ステップS11)。図19は、追加する耐力壁の配置情報を含む平面図の一例を示す図である。ユーザ端末2の表示画面には、図19に示されるような平面図が表示される。なお、図19において、耐力壁を追加する壁部に付記される直角三角形は点線で表される楕円により囲まれており、これにより耐力壁を追加する壁部を特定することができる。
ところで、本実施の形態による耐震性能診断方法を用いて得られた形状データ等の解析関連データについては、ユーザの個人的な利用に供されるのみではなく、以下に示すように、通信ネットワーク1に接続する他の利用者と共有することで、さらに有効利用することが可能となる。ユーザにより作成された補強前の形状データ、当該形状データを基にしてサーバ3により作成された解析用モデル、解析用モデルに基づく地震応答解析の解析結果、追加する耐力壁の配置情報を含む補強後の形状データ等の解析関連データを、共有データ記憶部12に保存するように構成するのが好適である。建築物の所有者等であるユーザが、例えば匿名で上記解析関連データを公開することを許可すれば、通信ネットワーク1に接続する他の利用者もASPサーバにアクセスして上記解析関連データを利用できるようにする。これにより、例えば建築事務所等の専門機関が、当該解析関連データに基づいて、設計変更のアドバイスや補強工事の見積り額等をユーザに対して提示することが可能となる。また、他の建築物の所有者が、当該解析関連データを参照することで、自己の建築物に係る耐震補強の指針を得ることが可能となる。
特に、建築物の所有者等であるユーザが、建築分野に係る専門的知識を有さない場合には、十分な形状データを作成することが困難であるために、ASPサーバで実行される耐震シミュレーションに基づく診断結果が簡易的になることがある。このようなユーザが詳細な耐震診断を希望する場合には、解析関連データをサーバ3の共有データ記憶部12に保存して、耐震診断を適切な専門機関に依頼する。この際、ユーザの居住地、耐震補強の内容、価格等に基づいて、ASPサーバが専門機関をユーザに紹介する構成としてもよい。依頼された専門機関は、共有データ記憶部12に保存されている解析関連データを通信ネットワーク1を介して取得する(読み出す)。そして、建築物の図面または現地調査等に基づいて、取得した解析関連データを修正し、より精度の高い形状データや解析用モデルを作成して、再度地震応答解析を実行する。耐震シミュレーションが完了すれば、解析結果に基づいて、補強図面や補強工事の概算見積もり等をユーザに対して提示する。
なお、この実施の形態では、不足耐力壁量に基づいて追加する耐力壁を配置した後にも、補強後の解析用モデルを作成して地震応答解析を実行する構成としているが、解析結果について厳密な精度を要求されない場合や、ユーザへの応答時間を短縮する必要性のある場合等には、2回目以降の耐震シミュレーションを実行することなく、1回目の耐震シミュレーションにより得られた解析結果のみに基づいて、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを作成し、当該形状データをユーザ端末2に送信する構成としてもよい。
また、所定の耐震性能を得るために、追加する必要のある耐力壁の組み合わせを一意に決定する必要はなく、概ね同じコストで補強を実現することが可能である追加耐力壁の組み合わせを、候補として複数作成するようにしてもよい。それぞれの組み合わせ毎に、追加する耐力壁の配置情報を含む形状データおよび当該形状データに対応する解析用モデルを作成し、当該解析用モデルを基にして地震応答解析を実行する。すべての組み合わせについて地震応答解析が完了すれば、解析結果を比較して、最も耐震性能が高くなる組み合わせを選択する。そして、選択された組み合わせに基づいて、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データをユーザ端末2に送信する。
以上のように、この実施の形態1に係る耐震性能診断方法によれば、補強前の建築物に係る耐震シミュレーションを実行するとともに、当該耐震シミュレーションの解析結果に基づいて追加する耐力壁の配置を決定し、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを通信ネットワーク1を介してユーザに送信するように構成したので、当該形状データを受信したユーザは、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を予め把握することが可能となり、ユーザが建築事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができるとともに、依頼後のトラブルを低減することができる。
また、追加する耐力壁の配置情報を含む補強後の形状データに係る解析用モデルを作成して、当該解析用モデルを基にした地震応答解析を実行するように構成したので、ユーザが、解析結果を例えばコンピュータ・グラフィックスを用いて確認することが可能となり、補強後の耐震性能を明確に認識することができる。
また、所定の耐震性能を満たすまで、耐力壁の追加を続行するように構成したので、ユーザが、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様をより正確に把握することができる。
また、地震動に係る入力加速度データをユーザが任意に選択できるように構成したので、ユーザが発生を危惧する特定の地震に対して、所定の耐震性能を実現するために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を把握することが可能となるから、ユーザの利便性を向上することができる。
また、耐力壁間の距離に基づいて追加する耐力壁の配置位置の優先順位を決定するように構成したので、建築物の構造強度を効率的に高めることが可能になるとともに、耐力壁の集中に起因する建築物のねじれ現象を防止することが可能となり、ユーザに対して設計変更、補強工事等についてより的確な指針を提供することができる。
また、所定の耐震性能を満たすのに必要となる追加耐力壁の組み合わせを候補として複数作成し、それぞれの組み合わせ毎に解析用モデルを作成して地震応答解析を実行し、最も耐震性能が高くなる組み合わせを選択するように構成したので、概ね同じコストを要する追加耐力壁の組み合わせのなかから選択された最も高い構造強度を有する耐力壁の組み合わせに係る補強後の形状データをユーザに対して提示することが可能となり、ユーザに対して設計変更、補強工事等について最適な指針を提供することができる。
また、補強前の形状データ、補強前の形状データに係る解析結果、補強後の形状データおよび補強後の形状データに係る解析結果等の解析関連データを、通信ネットワーク1を介して読み出すことができる共有データ記憶部12に保存するように構成したので、当該解析関連データを通信ネットワーク1に接続する利用者間で共有することが可能となり、当該解析関連データの公開に同意したユーザおよび他のネットワーク利用者の利便性を向上することができる。
実施の形態2.
図20は、この発明の実施の形態2に係る耐震性能診断方法を示すフローチャートである。この実施の形態2は、実施の形態1と比較して、建築基準法等の法令で定められた必要壁量に基づいて、形状データから必要耐力壁量を算出する点で差異を有する。サーバ3は、ユーザ端末2から、通信ネットワーク1を介して、診断対象となる建築物に係る形状データを受信する(ステップS31)。形状データが受信されれば、法令で定められた必要壁量に基づいて、当該形状データから必要耐力壁量を算出する(ステップS32)。例えば建築基準法施行令第46条によれば、必要耐力壁量は式(8)に基づいて求められる。
必要耐力壁量(cm)=床面積(m)*係数 (8)
ここで、係数は、建築基準法施行令第46条により、以下の表2に示すように定められている。また、必要耐力壁量は品確法に基づいて求めることもできる。品確法による必要耐力壁量の計算方法も基本的には建築基準法施行令第46に基づく計算方法と類似しているが、床面積、係数等についての仕様が異なり、品確法のほうがより詳細に規定が定められている。
Figure 2008276474
必要耐力壁量が求められれば、必要耐力壁量から既存耐力壁量を減じて、不足耐力壁量を算出する(ステップS33)。不足耐力壁量が算出されれば、建築物の形状データおよび不足耐力壁量を基にして、追加する耐力壁の配置を決定する(ステップS34)。追加する耐力壁の配置が決定されれば、耐力壁が追加された形状データを基にして、耐震補強後の解析用モデルを作成する(ステップS35)。耐震補強後の解析用モデルが作成されれば、当該解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する(ステップS36)。なお、地震応答解析が完了した時点で、図9に示されるような解析結果をユーザ端末2の表示画面上に表示するように構成するのが好適である。地震応答解析が完了すれば、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内にあるか否かを判定する(ステップS37)。この実施の形態2においても、許容層間変形角を基準にして、上記判定を実行する構成としてもよい。
ステップS37において、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内にないと判定されれば、必要耐力壁量を算出する(ステップS38)。この場合、必要耐力壁量は、実施の形態1と同様に、式(2)から式(7)に基づいて算出する。そして、耐力壁を追加して所定の耐震性能を得るために、処理をステップS33に復帰する。また、ステップS37において、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内にあると判定されれば、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワーク1を介して、ユーザ端末2に送信する(ステップS39)。これにより、ユーザ端末2の表示画面上には、図19に示されるような平面図が表示される。上記のステップS31,S33,S34,S35,S36,S37およびS39に係る工程については、実施の形態1において同様の工程に関して詳細に説明しているので、ここではその詳細な説明を省略する。
なお、上記の実施の形態では、法令に規定されている必要耐力壁量から算出される不足耐力壁量に基づいて追加する耐力壁を配置した後に、補強後の解析用モデルを作成して地震応答解析を実行する構成としているが、解析結果について厳密な精度を要求されない場合や、ユーザへの応答時間を短縮する必要性がある場合等には、地震応答解析を実行することなく、法令に規定されている必要耐力壁量に基づいて追加することが決定された耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワーク1を介してユーザ端末2に送信する構成としてもよい。また、実施の形態1と同様に、地震動に係る入力加速度データをユーザが任意に選択する構成としてもよく、追加配置する耐力壁の組み合わせを複数作成して最適な組み合わせに係る補強後の形状データを送信する構成としてもよく、解析関連データを共有データ記憶部12に保存する構成としてもよい。
以上のように、この実施の形態2による耐震性能診断方法によれば、法令に規定されている必要耐力壁量に基づいて追加する耐力壁の配置を決定し、追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを通信ネットワーク1を介してユーザに送信するように構成したので、当該形状データを受信したユーザは、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を予め把握することが可能となり、ユーザが建築事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができる。また、比較的簡単な演算により補強後のデータをユーザに送信することが可能となり、応答までに要する時間を短縮することでユーザの利便性を向上することができる。
また、耐力壁を追加した補強後の形状データに係る解析用モデルを作成して、当該解析用モデルを基にした地震応答解析を実行するように構成したので、ユーザが、解析結果を例えばコンピュータ・グラフィックスを用いて確認することが可能となり、補強後の耐震性能を明確に認識することができる。
また、所定の耐震性能を満たすまで、耐力壁の追加を続行するように構成したので、ユーザが、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様をより正確に把握することができる。
実施の形態3
図21は、この発明の実施の形態3に係る耐震性能診断方法を示すフローチャートである。サーバ3は、ユーザ端末2から、通信ネットワーク1を介して、診断対象となる建築物に係る形状データを受信する(ステップS41)。形状データが受信されれば、当該形状データに基づいて、解析用モデルを作成する(ステップS42)。耐震補強前の解析用モデルが得られれば、当該解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する(ステップS43)。なお、上記のステップS41,S42およびS43に係る工程については、実施の形態1において同様の工程に関して詳細に説明しているので、ここではその詳細な説明を省略する。
地震応答解析が完了すれば、サーバ3の制御部9は、接合金物追加プログラム記憶部15に記憶されている接合金物追加プログラムを主メモリにロードし、解析結果に基づいて、破断または損傷の可能性のある位置を特定して、追加する接合金物の配置を決定する(ステップS44)。図22は、接合部(接合金物)の荷重変形特性を示すスケルトン曲線を示す図である。縦軸は対象とする接合部に作用する応力を示し、横軸は対象とする接合部で発生するひずみを示す。スケルトン曲線上で、降伏ひずみ(δy)を超えると、接合部に損傷が発生すると判定する。また、スケルトン曲線上で、終局ひずみ(δu)を超えると、接合部に破断が発生すると判定する。破断または損傷の可能性のある位置が特定されれば、ユーザ端末2の表示画面上に、破断または損傷の可能性のある位置を特定することができる解析結果を表示するのが好適である。図23は、破断または損傷の可能性のある位置が特定された解析結果の表示画像の一例を示す図である。
破断または損傷の可能性のある位置が特定されれば、当該接合部において発生する降伏ひずみに応じて適切な接合金物を接合金物リストから選択するとともに、当該接合金物をそれぞれ対応する位置に配置する。この接合金物としては、ホールダウン金物や引寄金物が使用される。そして、追加する接合金物の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワーク1を介して、ユーザ端末2に送信する(ステップS45)。図24は、追加する接合金物の配置情報を含む平面図の一例を示す図である。ユーザ端末2の表示画面上には、図24に示されるような平面図が示される。なお、図24において、接合金物が配置される位置は、丸印により囲まれる。
なお、この実施の形態においても、実施の形態1および実施の形態2と同様に、追加する接合金物の配置情報を含む形状データに基づいて補強後の解析用モデルを作成するとともに当該解析用モデルを使用して地震応答解析を実行し、接合金物により補強された建築物に係る解析結果をユーザ端末2の表示画面上に表示するように構成してもよい。また、地震動に係る入力加速度データをユーザが任意に選択する構成としてもよく、解析関連データを共有データ記憶部12に保存する構成としてもよい。
以上のように、この実施の形態3による耐震性能診断方法によれば、補強前の建築物に係る地震応答解析を実行し、当該地震応答解析の解析結果に基づいて追加する接合金物の配置を決定し、追加する接合金物の配置情報を含む建築物に係る形状データを通信ネットワーク1を介してユーザに送信するように構成したので、当該形状データを受信したユーザは、所定の耐震性能を得るために必要となる設計変更、補強工事等の具体的態様を予め把握することが可能となり、建築事務所等の専門機関への依頼を効率的に行うことができる。
図2、図12、図20および図21に示されるフローチャートに記載された各工程を実行するプログラムコードから成る耐震性能診断プログラムは、当該耐震性能診断プログラムが記憶されたCD−ROMやDVD−ROM等の情報記憶媒体を入手することで、あるいは当該耐震性能診断プログラムが格納された外部のサーバからダウンロードすることで、利用することが可能である。情報記憶媒体から読み出されるか、あるいは外部のサーバからダウンロードされた耐震性能診断プログラムは、サーバ3内の所定の記憶領域(耐震シミュレーションプログラム記憶部13、耐力壁追加プログラム記憶部14、接合金物追加プログラム記憶部15等)にインストールされる。所定の記憶領域にインストールされ主メモリにロードされる耐震性能診断プログラムを、サーバ3の制御部9により実行することで、実施の形態1から実施の形態3において説明した耐震性能診断方法を実現することができる。
なお、上記の実施の形態1から実施の形態3により説明される耐震性能診断方法および耐震性能診断プログラムは、本願発明を限定するものではなく、例示することを意図して開示されているものである。本願発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載により定められるものであり、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲内において種々の設計的変更が可能である。上記の実施の形態では、耐力壁の追加と接合金物の追加とをそれぞれ別個に実行する構成を採っているが、耐力壁の追加と接合金物の追加とを組み合わせて実行する構成としてもよいことは言うまでもない。
例えば、補強前の解析用モデルを使用して実行した地震応答解析の結果に基づいて破断または損傷した箇所に接合金物を配置し、接合金物が追加された補強後の解析用モデルを使用して実行した地震応答解析の結果に基づいて耐力壁の追加配置をさらに実行する構成とすることが考えられる。また、補強前の解析用モデルを使用して実行した地震応答解析の結果に基づいて追加する耐力壁を配置し、追加する耐力壁が配置された補強後の解析用モデルを使用して実行した地震応答解析の結果に基づいて破断または損傷した箇所に接合金物をさらに配置する構成とすることが考えられる。さらに、耐力壁の追加配置と接合金物の追加配置とを同時に実行することとし、補強後の解析用モデルを使用して実行した地震応答解析の結果に基づいて、所定の耐震性能を満たすまで耐力壁および接合金物の追加配置を逐次的に実行する構成とすることが考えられる。
本願発明は、新築住宅や既存住宅等の建築物の耐震性能診断に広く適用できるものである。
本願発明に係る耐震性能診断方法を実現するシステムの構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る耐震性能診断方法を示すフローチャートである。 建築用CADシステムを用いて作成した平面図の一例を示す図である。 診断対象の建築物の建築時期を特定するための選択用画像の一例を示す図である。 診断対象の建築物の構造仕様を特定するための選択用画像の一例を示す図である。 既存の耐力壁の位置情報を含む平面図の一例を示す図である。 解析用モデルの一例を示す図である。 解析の前提となる地震動を特定するための選択用画像の一例を示す図である。 解析結果の表示画像の一例を示す図である。 地震応答解析の解析結果に基づく耐震診断結果の一例を示す図である。 層間変形角を説明する図である。 追加する耐力壁の配置方法を示すフローチャートである。 建築物における壁部を示す図である。 建築物において耐力壁を追加することができる壁部を示す図である。 評価点数を算出する際に使用される壁部間の距離を説明する図である。 壁部間の距離と評価点数との関係を示す図である。 壁部に対して算出された評価点数の例を示す図である。 建築物において外壁出入隅を示す図である。 追加する耐力壁の配置情報を含む平面図の一例を示す図である。 実施の形態2に係る耐震性能診断方法を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る耐震性能診断方法を示すフローチャートである。 接合部の荷重変形特性を表すスケルトン曲線を示す図である。 破断または損傷の可能性のある位置が特定された解析結果の表示画像の一例を示す図である。 追加する接合金物の配置情報を含む平面図の一例を示す図である。
符号の説明
1 通信ネットワーク、2 ユーザ端末、3 ASPサーバ、4 キーボード、5 マウス、6 ディスプレイ、7 ネットワークインタフェース部、8 入出力インタフェース部、9 制御部、10 解析関連データ記憶部、11 地震関連データ記憶部、12 共有データ記憶部、13 耐震シミュレーションプログラム記憶部、14 耐力壁追加プログラム記憶部、15 接合金物追加プログラム記憶部、16 ワークエリア

Claims (12)

  1. 通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程と、
    受信された形状データを基にして、解析用モデルを作成する工程と、
    作成された解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程と、
    解析結果に基づいて、必要耐力壁量および不足耐力壁量を算出する工程と、
    建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程と、
    追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程とを有することを特徴とする耐震性能診断方法。
  2. 通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程と、
    受信された形状データを基にして、第1の解析用モデルを作成する工程と、
    作成された第1の解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程と、
    解析結果に基づいて、必要耐力壁量および不足耐力壁量を算出する工程と、
    建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程と、
    追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを作成するとともに、当該形状データに基づいて、第2の解析用モデルを作成する工程と、
    作成された第2の解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程と、
    追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程とを有することを特徴とする耐震性能診断方法。
  3. 解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内の値となるまで、必要耐力壁量および不足耐力壁量を算出する前記工程、追加する耐力壁の配置を決定する前記工程、第2の解析用モデルを作成する前記工程および第2の解析用モデルを使用して地震応答解析を実行する前記工程を繰り返し実行して、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内の値となった際の追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信することを特徴とする請求項2に記載の耐震性能診断方法。
  4. 通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程と、
    法令で定められた必要壁量に基づいて、形状データから必要耐力壁量を算出する工程と、
    不足耐力壁量を算出する工程と、
    建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程と、
    追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程とを有することを特徴とする耐震性能診断方法。
  5. 通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程と、
    法令で定められた必要壁量に基づいて、形状データから必要耐力壁量を算出する工程と、
    不足耐力壁量を算出する工程と、
    建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定する工程と、
    追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを作成するとともに、当該形状データに基づいて解析用モデルを作成する工程と、
    作成された解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程と、
    追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程とを有することを特徴とする耐震性能診断方法。
  6. 解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内の値となるまで、不足耐力壁量を算出する前記工程、追加する耐力壁の配置を決定する前記工程、解析用モデルを作成する前記工程および解析用モデルを使用して地震応答解析を実行する前記工程を繰り返し実行して、解析結果に係る所定の物理量が許容範囲内の値となった際の追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信することを特徴とする請求項5に記載の耐震性能診断方法。
  7. 耐力壁間の距離に基づいて、追加する耐力壁の配置位置の優先順位を決定する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の耐震性能診断方法。
  8. 追加する耐力壁の組み合わせを複数作成する工程と、
    それぞれの組み合わせ毎に、追加する耐力壁の配置情報を含む形状データを作成する工程と、
    それぞれの組み合わせ毎に、作成された形状データに基づいて解析用モデルを作成するとともに、作成された解析用モデルを使用して地震応答解析を実行する工程と、
    解析結果に基づいて、追加する耐力壁の組み合わせを選択する工程と、
    選択された組み合わせに係る追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程とを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の耐震性能診断方法。
  9. 通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信する工程と、
    受信された形状データを基にして、解析用モデルを作成する工程と、
    作成された解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行する工程と、
    解析結果に基づいて破断または損傷の可能性のある箇所を特定して、追加する接合金物の配置を決定する工程と、
    追加する接合金物の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信する工程とを有することを特徴とする耐震性能診断方法。
  10. 地震動に係る入力加速度データをユーザに選択させる工程を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の耐震性能診断方法。
  11. 補強前の形状データ、補強前の形状データに係る地震応答解析による解析結果、補強後の形状データおよび補強後の形状データに係る地震応答解析による解析結果を少なくとも有する解析関連データを、通信ネットワークを介してデータの読み出しが可能な共有データ記憶部に保存する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の耐震性能診断方法。
  12. 通信ネットワークを介して、建築物に係る形状データを受信するステップと、
    受信された形状データを基にして、解析用モデルを作成するステップと、
    作成された解析用モデルを使用して、地震応答解析を実行するステップと、
    解析結果に基づいて、必要耐力壁量および不足耐力壁量を算出するステップと、
    建築物に係る形状データおよび不足耐力壁量に基づいて、追加する耐力壁の配置を決定するステップと、
    追加する耐力壁の配置情報を含む建築物に係る形状データを、通信ネットワークを介して送信するステップとを有することを特徴とする耐震性能診断プログラム。
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