JP2023041094A - 水性インクジェットインキ、及びインクジェット印刷物の製造方法 - Google Patents

水性インクジェットインキ、及びインクジェット印刷物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性に優れ、さらには、ラミネート加工及び熱殺菌処理を経た後も、良好な印刷画質や優れた接着力が得られる水性インクジェットインキを提供する。【解決手段】顔料(P)、顔料分散樹脂(D)、バインダー樹脂(B)、水溶性有機溶剤(S)、および、水を含む水性インクジェットインキであって、前記バインダー樹脂(B)が、酸価が20~100mgKOH/gである水溶性ウレタン樹脂であり、前記水溶性ウレタン樹脂が、構成単位として、イソシアネート(b1)由来の構造と、酸基を有するポリオール(b2)由来の構造と、水酸基を有する有機ジアミン化合物である鎖延長剤(C)由来の構造と、1分子中に酸基を有する末端停止剤(E)由来の構造と、ウレア結合とを有する樹脂である、水性インクジェットインキ。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インクジェットインキ、及びその利用に関する。
デジタル印刷は、版を必要としないため、コスト削減や短納期対応が実現可能であり、印刷の小ロット化やニーズの多様化に伴い、デジタル印刷方式の普及が急速に進んでいる。デジタル印刷方式の一種であるインクジェット印刷方式は、印刷媒体である基材に対してインクジェットヘッドからインキの微小液滴を飛翔及び着弾させて、前記印刷媒体上に画像や文字(以下総称して「印刷物」ともいう)を形成する方式である。他のデジタル印刷方式と比べて、印刷装置のサイズ及びコスト、印刷時のランニングコスト、フルカラー化の容易性などの面で優れており、近年では産業印刷用途においても利用が進んでいる。
インクジェット印刷方式に使用されるインキとしては、油系、溶剤系、活性エネルギー線硬化系、水系など多岐に渡る。これまで、産業印刷用途では、溶剤系や活性エネルギー線硬化系のインキが使用されてきた。しかし近年の、環境や人に対する有害性の配慮・対応といった点から、水系インキの需要が高まっている。
ところで、食品、医薬品、化粧品のパッケージ等に用いられる軟包装材料は、プラスチックフィルム同士、または、プラスチックフィルム(以下、単に「フィルム基材」ともいう)と、金属蒸着フィルムや金属箔とを貼り合わせた積層体となっている。一般には、あらかじめ印刷層を形成したプラスチックフィルムに対し、別個に準備した、プラスチックフィルム、金属蒸着フィルム、金属箔等の材料を貼り合わせ、軟包装材料等として利用できる積層体を得る。この加工方法は「ラミネート加工」と呼ばれている。また、積層体中に印刷層を形成するため、従来から、フィルム基材に対してグラビア印刷またはフレキソ印刷が行われている。グラビア印刷、フレキソ印刷共に、あらかじめ用意した版にインキを転移させる印刷方式であり、高速印刷及び大量生産に適している方法といえる。
一方で、軟包装材料の市場でも、消費者ニーズの変化や多様化に伴い、商品の多品種化、商品サイクルの短期化が進んでいることや、環境問題及び労働安全に対する配慮から、水性インキを用いたインクジェット方式での印刷が望まれている。
軟包装材料に用いるフィルム基材のような非浸透性の基材に対して印刷する場合は、着弾した後のインキ液滴は基材へ浸透吸収しないため、インキはフィルム基材に対する十分な密着性を有する必要がある。フィルム基材に対する密着性が不足すると、インキ膜が擦れなどにより剥がれてしまうことや、接着剤(ラミネート接着剤)を介して別のフィルムと貼り合わせた(ラミネート加工した)際、積層体を構成する層間での接着力が得られず、積層間での剥離現象(デラミネーション)を起こしてしまうことがある。
また、軟包装材料の利用においては、包材の形態にしたのち、ボイルやレトルト等の熱殺菌処理の工程を経ることも多い。そのため、この熱殺菌処理に耐え得る強靭なインキ膜が必要であり、特に、水に対する耐性が求められる。これは、熱殺菌処理時の水蒸気や、加温により包装した内容物の水分に由来する水蒸気が、プラスチックフィルムを透過し、インキ膜に直接接触してしまうためである。よって、インキ膜に耐水性が不足すると、基材への密着性、及び積層間での接着力が低下し、剥離現象や外観不良が発生してしまう。
これに対し、耐水性が良好で、強靭なインキ膜を形成可能な、水性インクジェットインキ用のウレタン樹脂粒子が検討されている(特許文献1~3参照)。しかしながら、ウレタン樹脂粒子は耐水性に優れる一方で、水への溶解性がないため、インクジェットヘッドのノズル表面で析出しやすく、吐出安定性を低下させるという問題がある。さらには、インキがノズルへ固着してしまうと、ノズルが閉塞してしまい、吐出ができなくなる。特に、1パス印刷インクジェット印刷方式(「ラインプリント方式」ともいうが、以下、「1パス印刷方式」と略す)では、1つのノズルが閉塞するだけで、大きな画像欠陥を起こしてしまう。当該方式は、固定されたインクジェットヘッドの下部に基材を一度だけ通過させる印刷方式であり、フィルム基材に印刷された水性インキの上に、再度同じインキが印刷されることがないためである。
一方で、水溶性ウレタン樹脂を用いた水性インクジェットインキの検討も行われているが(特許文献4、5)、水への親和性・溶解性が高く、十分な耐水性が得られないため、ラミネート強度が低く、積層間での剥離現象(デラミネーション)を起こしてしまうなどの問題がある。
以上のように、水性インクジェットインキ印刷方式での非浸透基材への印刷において、吐出安定性に優れ、軟包装材料に適した後加工機能を有する水性インキは、これまでに見出されていない状況であった。
特開2018-039933号公報 特開2019-038117号公報 特開2015-147919号公報 特開2018-197284号公報 特開2018-075725号公報
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、軟包装材料に用いる2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ナイロンフィルム等の非浸透性基材への印刷においても、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性に優れ、さらには、ラミネート加工及び熱殺菌処理を経た後も、良好な印刷画質や優れた接着力が維持される印刷物を得ることができる、水性インクジェットインキを提供することにある。
本発明者らが鋭意検討を進めた結果、下記構成を有する水性インクジェットインキによって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、
顔料(P)、顔料分散樹脂(D)、バインダー樹脂(B)、水溶性有機溶剤(S)、および、水を含む水性インクジェットインキであって、前記バインダー樹脂(B)が、酸価が20~100mgKOH/gである水溶性ウレタン樹脂であり、前記水溶性ウレタン樹脂が、構成単位として、イソシアネート(b1)由来の構造と、酸基を有するポリオール(b2)由来の構造と、水酸基を有する有機ジアミン化合物である鎖延長剤(C)由来の構造と、1分子中に酸基を有する末端停止剤(E)由来の構造と、ウレア結合とを有する樹脂である、水性インクジェットインキに関する。
また本発明は、前記水溶性ウレタン樹脂の酸価に占める、前記酸基を有するポリオール(b2)に由来する酸価の割合が40%より大きい、上記水性インクジェットインキに関する。
また本発明は、前記水溶性ウレタン樹脂の重量平均分子量が、8,000~35,000である、上記水性インクジェットインキに関する。
また本発明は、上記水性インクジェットインキを、1パス印刷方式のインクジェットヘッドから吐出して、非浸透性基材に付着させる工程と、前記水性インクジェットインキが付着した基材を乾燥させる工程とを含む、印刷物の製造方法に関する。
本発明により、軟包装材料に用いるOPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルムなどの非浸透性基材への印刷においても、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性に優れ、さらには、ラミネート加工及び熱殺菌処理を経た後も、良好な印刷画質や優れた接着力が維持される印刷物を得ることができる、水性インクジェットインキの提供が可能となった。
以下に、好ましい実施の形態を上げて、本発明の水性インクジェットインキについて説明する。以下、「水性インクジェットインキ」のことを、「水性インキ」「インキ」ということがある。
強靭なインキ膜を得るためには、インキ中にバインダー樹脂を添加することが一般的である。水性インクジェットインキにおけるバインダー樹脂の形態として、水溶性樹脂である場合と、非水溶性のエマルジョン樹脂粒子である場合が知られている。さらに、バインダー樹脂の重量平均分子量を大きくすることで、耐水性、耐擦過性、耐溶剤性などの各種耐性が良好になる。よって、高分子量化されたエマルジョン樹脂粒子は、優れた耐性をもつインキ膜となることが知られている。
しかしながら、バインダー樹脂としてエマルジョン樹脂粒子を使用した水性インキは、ノズル閉塞を引き起こし、インキの吐出安定性を劣化させる恐れがある。当該インキにおいて、エマルジョン樹脂粒子は乳化剤により溶媒である水中に分散しているのみで、溶解はしていないため、インクジェットヘッドのノズル表面で析出しやすいからである。また、ノズル表面で固化した強固なインキ膜は、水で洗い流すことができず、溶解性の強い溶剤を使用する必要があるが、そのような溶剤は、インクジェットヘッドやそのノズル、撥水プレートそのものを劣化させてしまう。
一方、ウレタン樹脂は、一般的に、塗膜の強度を発現するハードセグメントと、柔軟性を発現するソフトセグメントとで構成されている。ハードセグメントは、イソシアネート、アミン、及び鎖延長剤など、相対的に分子量が小さい化合物の構成単位に由来するセグメントであり、ウレタン結合が高密度に存在する。これにより、多数の水素結合による凝集力が発現し、強靭な塗膜を形成することができる。ソフトセグメントは、ポリオールなど、相対的に分子量が大きい化合物の構成単位に由来するセグメントである。分子量が大きいと、構造的に密集しにくく、ウレタン結合の密度も低い。すなわち、水素結合による凝集が少なく、分子が自由に運動できる状態にあるため、柔軟性のある塗膜を発現することができる。ウレタン樹脂は、この2つのセグメントがミクロ相分離構造をとることで、強度と柔軟性を兼ね備えた塗膜を形成することができるという特徴を有する。
このことから、ウレタン樹脂のソフトセグメントは、軟包装材料に使用されるOPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルムなどの基材に対する密着性を良好にする。一方、ハードセグメントは、ラミネート接着剤を介して別のフィルムと貼り合わせた際や、熱殺菌処理を経た後も、層間で強靭なインキ膜を維持する。この特性から、軟包装材料へのグラビア印刷用インキには、ウレタン樹脂が広く使用されている。しかしながら、これらの特性が発現するのは有機溶剤には可溶であるが、水には不溶のウレタン樹脂を用いた溶剤型グラビアインキとして使用される場合であり、水溶性のウレタン樹脂を使用した場合、耐水性の弱さからラミネート加工や熱殺菌処理後における劣化が生じるという問題があった。
本発明者らは、水溶性樹脂を用いた場合でも、水性インクジェットインキのバインダー樹脂の酸価が20~100mgKOH/gである水溶性ウレタン樹脂であり、構成単位として、特定のポリオール、末端停止剤、及び鎖延長剤に由来する構造を含み、更にウレア結合を有することで、良好なインクジェット吐出性を奏することに加え、ラミネート加工及び熱殺菌処理を経た後も優れた接着力を維持できることを見出した。詳細は定かではないが、例えば以下のメカニズムを考えている。
まず、本発明の水性インキに含まれるバインダー樹脂は、酸価が20~100mgKOH/gである水溶性ウレタン樹脂である。酸価が100mgKOH/g以下であることにより、インキ膜の耐水性の劣化を抑制することができる。また、水への溶解性が高すぎないため、僅かな水分の揮発によるインキ粘度の増加が抑えられ、インクジェット吐出装置を待機させた後に再吐出させる間欠吐出性(あるいは、待機吐出性とも言う)に優れる。また、酸価が20mgKOH/g以上であることにより、水への溶解性が高いため、インクジェットヘッドのノズル表面への固着を防ぐことができ、吐出安定性に優れる。すなわち、ウレタン樹脂の酸価により水への溶解性を制御することで、水性インキの吐出安定性を確保しながらも、インキ膜の良好な耐水性を得ることができる。
加えて、当該水溶性ウレタン樹脂は、構成単位として、酸基を有するポリオール由来の構造と、1分子中に酸基を有する末端停止剤由来の構造とを含んでいる。ウレタン樹脂は、一般に、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、1分子中に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物とを反応させることにより得られる樹脂である。酸基を有するポリオールを用いることで、酸価の制御を容易にし、水への溶解性を高めることができる。また、酸基がウレタンポリマー主鎖の繰り返し構成単位からなる分子構造の内部に位置するため、他の分子の内部における親水部と水素結合などによる親和力が働いた際に、分子の末端部のみに酸基がある場合と比較して水性インクジェットインキの凝集力がより高まり、優れた耐水性を有するインキ膜を得ることができる。
また、酸基を有する末端停止剤を用い、分子構造の末端に酸基を導入することによっても、ウレタン樹脂の水への溶解性を高めることができる。ポリオールに由来する分子内部の酸基に比べ、分子構造の両末端部における酸基は自由度が高いため、末端停止剤の使用量が少なくても効果的に水への溶解性を高くすることができる。なお、酸基を用いることで、フィルム基材への接着性や、ラミネート加工後の接着力を向上させる効果を得ることもできる。
さらに、本発明における水溶性ウレタン樹脂は、水酸基を有する有機ジアミン化合物を鎖延長剤としたウレア結合を含んでいる。ウレア結合は、ウレタン結合と比べ、結合エネルギーが高く、加水分解しないことが知られている。これにより、水溶性のウレタン樹脂であっても、柔軟性だけでなく、耐水性にも優れ、剛性の強い塗膜を形成することが可能になる。さらには、鎖延長剤として、水酸基を有する有機ジアミン化合物を用いることで、ウレタンポリマー主鎖の内部に水酸基を導入できる。この水酸基とウレタンポリマーの酸基との間に水素結合力が働くことにより、水性インクジェットインキの凝集力が高まり、ラミネート加工及び熱殺菌処理を経た後もインキが基材に強く接着した印刷物が得られる。
以上のように、本発明の効果を奏する水性インキを得るには、上記に示した構成が必須不可欠である。
続いて以下に、本発明の水性インキを構成する各成分について、詳細に説明する。
本発明の水性インキは、顔料、顔料分散樹脂、バインダー樹脂、水溶性有機溶剤、および、水を含んでいる。
<バインダー樹脂(B)>
本発明において、バインダー樹脂(B)は、酸価が20~100mgKOH/gである水溶性ウレタン樹脂であり、構成単位として、イソシアネート由来の構造と、酸基を有するポリオール由来の構造と、水酸基を有する有機ジアミン化合物である鎖延長剤(C)由来の構造と、1分子中に酸基を有する末端停止剤(E)由来の構造と、ウレア結合とを有する。
本発明における「バインダー樹脂」とは、インキ乾燥膜(以下、インキ膜ともいう)を構成する主成分であり、その主たる目的は、インキ乾燥膜を、基材、及び、ラミネート接着剤に接着させることある。後述するように、本発明に用いられる水性インキは顔料分散樹脂を含むが、顔料分散樹脂は、顔料の分散安定性向上を主たる目的として使用される樹脂である。よって、前記顔料分散樹脂とバインダー樹脂とは、顔料に対する吸着率によって区別される。すなわち、顔料と、樹脂と、水系媒体とを含む顔料分散液であって、顔料濃度を5質量%とし、水の量を前記水系媒体全量中98質量%以上とした顔料分散液において、前記顔料に対する前記樹脂の吸着率が35質量%以上である樹脂を顔料分散樹脂、35質量%未満である樹脂をバインダー樹脂と判断する。
なお、上記吸着率の測定に使用する顔料分散液は、例えば、後述する顔料分散液シアン製造例に記載した方法により、顔料濃度20質量%の高濃度顔料分散液を製造したのち、前記顔料濃度が5質量%になるまで、水で希釈することで作製できる。また上記吸着率は、例えば、前記顔料分散液に対して超遠心分離処理(例えば、30,000rpmで4時間)を行ったのち、上澄み液中に含まれる樹脂量を測定し、下記式(1)を用いて算出することができる。
式(1):吸着率(%)=(WR1-WR2)×100/WR1
ただし上式(1)において、WR1は、超遠心処理前の顔料分散液中に含まれる樹脂量を表し、WR2は、上澄み液中に含まれる樹脂量を表す。
本発明において、バインダー樹脂は、特定の水溶性のウレタン樹脂であることを特徴とする。「水溶性樹脂」とは、前述の通りエマルジョン樹脂粒子ではなく、水及び水溶性有機溶剤の混合溶液(水系媒体ともいう)に溶解しており、動的光散乱法で測定した際に粒子径を有しない状態で存在する樹脂を指す。
ウレタン樹脂は、一般に、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、1分子中に2つ以上の水酸基を有するポリオール基含有化合物とを反応させることにより得られる樹脂である。また、ジアミンなどの鎖延長剤を用いた鎖延長反応を行い、ウレア結合を導入することができる。
<ポリイソシアネート(b1)>
本発明において、ポリイソシアネート(b1)は、特に限定されるものでなく、既知のものを任意に用いることができ、芳香族、脂肪族、脂環式の2官能性イソシアネート、3官能性イソシアネート等が挙げられる。ポリイソシアネート(b1)としては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、テトラヒドロナフチレン-1,5-ジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイシシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートが挙げられる。
また、3官能イソシアネートとしては、イソシアネート化合物から得られるアダクト体、イソシアヌレート体等を使用してもよい。なお「アダクト体」とは、イソシアネート化合物とトリメチロールプロパンとの付加体であり、「イソシアヌレート体」とは、イソシアネート化合物の三量体である。ポリイソシアネートは、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
<ポリオール(b2)>
本発明において、ポリオール(b2)は、酸基を有するポリオールである。酸基を有するポリオール(b2)は、その分子中に「酸基」として、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基などを有する。酸基を有するポリオール(b2)としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールカプロン酸、酒石酸が挙げられる。中でも、吐出安定性向上の観点から、カルボキシ基を有するポリオールを選択することが好ましい。さらに好ましくは、ジメチロールプロピオン酸、または、ジメチロールブタン酸である。これらは、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
上記酸基を有するポリオール(b2)は、ウレタン樹脂合成において、相対的に分子量が小さい化合物となり、ハードセグメントを構成する一部となる。インキ膜の強度を発現するハードセグメントに酸基を有するポリオールが繰り返し構成単位として含まれることで、ハードセグメントの水への親和性が高くなる。これにより、吐出安定性の高い、水溶性ウレタン樹脂を得ることができる。
本発明における水溶性ウレタン樹脂は、上記酸基を有するポリオール(b2)の他、酸基を有しないポリオール由来の構成単位を含むことができる。酸基を有しないポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール等の高分子ポリオール(ただし、いずれも末端に水酸基を有する)や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等の低分子ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子トリオールが使用できる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、アルキレンカーボネート、ジアリルカーボネート、ジアルキルカーボネート等のカーボネート成分あるいはホスゲンと、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,9-ノナンンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブチンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの低分子ポリオール類との縮合体が挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。さらに、トリエチレングリコール、水酸基を2個以上有するグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の水酸基を3個以上有する低分子ポリオールを各種ポリマーポリオールの原料に使用することも可能である。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の多価カルボン酸、若しくはそれらのジアルキルエステルまたはそれらの混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類、若しくはそれらの混合物との反応生成物;あるいは、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類の開環重合反応物;が挙げられる。また、ポリエステルポリオールとして、ヒマシ油等の植物油、並びに、前記植物油由来の水酸基を有するポリエステル化合物を使用することもできる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られる化合物が挙げられる。
酸基を有しないポリオールとしては、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。ポリカーボネートポリオールを用いることで、カーボネート基の高い凝集力により耐水性、耐擦過性、耐溶剤性に優れた水性インクジェットインキを得ることができる。
<鎖延長剤(C)>
また、本発明では、ウレタン樹脂の合成において、ポリオールと反応せず、ウレタン結合を形成していないポリイソシアネートに由来する未反応のイソシアネート基と反応する基を2つ以上有する鎖延長剤として、水酸基を有する有機ジアミン化合物を用いる。この鎖延長剤が、ポリイソシアネートの未反応イソシアネート基と反応することによって、ウレア結合が形成される。これにより、鎖延長剤由来の構造と、ウレア結合とが、水溶性ウレタン樹脂の分子構造に導入され、ウレタンポリマーのハードセグメント同士が結ばれるため、耐水性や耐擦過性が良好な水性インクジェットインキが得られる。なお、鎖延長剤由来の構造とは、鎖延長剤の分子構造のうち、鎖延長化反応に寄与する基以外の分子構造を指す。また、鎖延長剤が水酸基を有することで、多数の分子間水素結合によって凝集力が高まり、強靭なインキ膜が得られる。好ましくは、水酸基を有する有機ジアミン化合物のアミノ基が、1級アミノ基または2級アミノ基であることである。これにより、ウレタン樹脂の重量平均分子量を大きくすることができ、更に、耐水性、耐擦過性などが良好で、ラミネート加工及び熱殺菌処理を経た後もインキが基材に強く接着した印刷物が得られる。
水酸基を有する有機ジアミン化合物として、具体的には、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-1,3-プロパンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(3-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
鎖延長剤は、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の有機ジアミン化合物を含むことができる。例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4‘-ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミンが挙げられる。
<末端停止剤(E)>
また、本発明における水溶性ウレタン樹脂は、1分子中に酸基を有する末端停止剤由来の構造を含んでいる。末端停止剤とは、ウレタン化反応及び/又は鎖延長反応を停止する反応に寄与する基を1つ有するものであり、末端停止剤由来の構造とは、末端停止剤の分子構造のうち、前記停止反応に寄与する基以外の分子構造を指す。末端停止剤は、合成する樹脂分子量の制御を容易にすることが知られているが、本発明では酸基を有する末端停止剤を用いることにより、分子量の制御を容易にするだけでなく、ウレタン樹脂の水への溶解性を向上させることができる。ウレタン樹脂末端に酸基を導入することにより、効率的に水への溶解性を向上させることができ、吐出性に優れ、かつ、強靭なインキ塗膜を発現することができる。
1分子中に酸基を有する末端停止剤として、具体的には、グリコール酸、乳酸、2-ヒドロキシマロン酸、3-ヒドロキシプロパン酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、クエン酸、リシノール酸などのヒドロキシ酸類、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、バリン、ロイシンなどのアミノ酸類等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。好ましくは、グリコール酸、乳酸、3-ヒドロキシプロパン酸である。
末端停止剤は、本発明の目的を損なわない範囲で、さらにイソシネート基、アミノ基と反応する基を1つ有する化合物を含むことができる。例えば、ジブチルアミン、n-ブチルアミン、ジエチルアミン等のアミン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられる。
本発明における水溶性ウレタン樹脂の酸価は、20~100mgKOH/gである。酸価を100mgKOH/g以下にすることで、耐水性に優れたインキ膜が得られ、ラミネート加工後の接着力、熱殺菌処理後の外観が良好となる。また、インクジェット吐出装置を待機させた後に再吐出させるための性能、即ち間欠吐出性に優れる。酸価を20mg/g以上にすることで、水への溶解性が良好になり、インクジェットヘッドのノズル表面に固着しにくく、良好な吐出性安定性が得られる。より好ましくは、30~85mgKOH/gであり、特に好ましくは、40~70mgKOH/gである。
また、水溶性ウレタン樹脂の酸価に占める、酸基を有するポリオール(b2)に由来する酸価の割合が40%より大きいことが好ましい。酸基を有するポリオール(b2)に由来する割合を40%より大きくすることで、耐水性が更に良好になり、吐出性に優れ、かつ、強靭なインキ塗膜を発現する水溶性ウレタン樹脂が得られる。酸基を有するポリオール(b2)に由来する酸基は、ウレタンポリマー主鎖の繰り返し構成単位からなる分子構造の内部に位置するため、他の分子内部の親水部と、水素結合等による親和力が働いた際に、より良好な耐水性が得られる。
なお、本明細書において「酸価」とは、1gの試料中に含まれる酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数(mgKOH/g)を意味する。樹脂の酸価は、前記樹脂を構成する各構成単位(単量体)から算出してもよいし、実験的に測定してもよい。実験的に測定する方法を例示すると、京都電子工業社製の電位差自動滴定装置AT-710Sを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液(0.1mol/L)で試料溶液を滴定する。滴定終了後、終点到達までに添加した前記エタノール溶液の量から、酸価を算出する。
本発明で用いられる水溶性ウレタン樹脂は、インクジェットヘッドのノズルでの析出や固着を抑制することで吐出安定性を向上させ、さらには、ラミネート加工及び熱殺菌処理後の接着力を高めることができるという観点から、重量平均分子量(Mw)が8,000~35,000であることが好ましく、より好ましくは10,000~30,000の範囲である。8,000以上であれば、耐水性が良好になり、ラミネート加工及び熱殺菌処理後の接着力を十分に確保でき、熱殺菌処理後の剥離現象を抑制することができるため好ましい。35,000以下であれば、インクジェットヘッドからの吐出安定性を好適な状態で維持できるため好ましい。
本発明における水溶性ウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は常法によって測定することができる。本発明においては、TSKgelカラム(東ソー社製)及びRI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)を用い、展開溶媒にTHFを用いて測定したものであり、いずれもポリスチレン換算値である。
吐出安定性とラミネート加工及び熱殺菌処理後の接着力を高める観点から、本発明の水溶性ウレタン樹脂の水性インキ組成中における含有量は、不揮発分換算で、水性インキ全質量中の1質量%以上20質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上15質量%以下である。
本発明における水性ポリウレタン樹脂は、イソシアネートに対して不活性でかつ親水性の有機溶剤を用いるアセトン法、溶剤を全く使用しない無溶剤合成法等により得ることができる。有機溶剤を使用すると反応系の粘度が低下し、合成反応を均一に円滑に行うことができるため、工業的観点からはアセトン法を用いることが好ましい。
イソシアネートに対して不活性でかつ親水性の有機溶剤としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類が挙げられる。ポリウレタンの水性化の際は通常減圧蒸留(脱溶剤)により溶剤が除去されるため、また、脱溶剤しないで使用する場合でも乾燥速度を早めるため、水より低沸点の溶剤の使用が好ましい。脱溶剤する場合には、例えば反応溶液に水及び中和剤である塩基性化合物を添加した後、温度を上げて常圧下、又は減圧下で溶剤を必要量溜去する方法で行うことができる。
ポリイソシアネートとポリオールとの反応は、50~100℃で10分~10時間行うのが好ましい。反応の終点は、粘度測定、NCOピークを対象としたIR測定、滴定によるNCO%測定等により判断される。
また、上記反応には、触媒を用いることもできる。使用できる触媒としては、公知の金属系触媒、アミン系触媒が使用できる。金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキソエート)、2-エチルヘキソエート鉛、チタン酸2-エチルヘキシル、2-エチルヘキサン錫、2-エチルヘキソエート鉄、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ-n-ブチル錫等が挙げられる。アミン系触媒としてはテトラメチルブタンジアミン等の3級アミン等が挙げられる。これらの触媒はポリオールに対して0.001~1モル%の範囲で使用される。
ポリイソシアートとポリオールの反応化合物に対し、鎖延長反応させる際は、30~80℃で10分~10時間行うのが好ましい。反応の終点は、粘度測定、NCOピークを対象としたIR測定、滴定によるアミン価測定等により判断される。
本発明の水性ポリウレタン樹脂に組み込まれたカルボキシル基を中和する塩基性化合物としては、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モルホリン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いられるが、印刷物の耐水性、残留臭気等の点から、水溶性であり、かつ熱によって容易に解離する揮発性の高いものが好ましく、特にアンモニア、ジメチルエタノールアミンが好ましい。
<顔料(P)>
本発明で使用される水性インキの顔料として、無機顔料、及び有機顔料のいずれも使用できる。これらの顔料は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。無機顔料の一例として、白色顔料として酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、アルミナホワイト等が、黒色顔料として、カーボンブラックや酸化鉄等が挙げられる。
白色顔料としては、酸化チタンが好適に用いられる。酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型のいずれも使用することができるが、印刷物の隠蔽性を上げるためにもルチル型を用いることが好ましい。また、塩素法、硫酸法等いずれの方法で製造したものでもよいが、塩素法にて製造された酸化チタンを使用した方が、白色度が高いことから好ましい。
酸化チタンは、無機化合物及び/または有機化合物により顔料表面を処理したものであることがより好ましい。無機化合物の例として、シリコン(Si)、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモン、チタンの化合物、及びこれらの水和酸化物を挙げることができる。また有機化合物の例として、多価アルコール、アルカノールアミンまたはその誘導体、高級脂肪酸またはその金属塩、有機金属化合物などを挙げることができるが、中でも多価アルコール、またはその誘導体は酸化チタン表面を高度に疎水化し、分散安定性を向上させることが可能であり、より好ましく用いられる。
なお、白色顔料として、中空樹脂粒子を使用することも好適である。中空樹脂粒子は、酸化チタン等と比較して比重(見かけ密度)が小さく、経時における沈降を抑制しやすいため、保存安定性に優れたインキが得られる。また、保存安定性と隠蔽性とが両立したホワイトインキを得るため、顔料として、中空樹脂粒子と酸化チタンとを併用してもよい。
黒色顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラック(C.I.Pigment Black 7)が好適に用いられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11~40nm、BET法による比表面積が50~400m2/g、揮発分が0.5~10質量%、pH値が2~10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品として、具体的には、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学社製);RAVEN1080、1255(以上、ビルラカーボン社製);REGAL330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット社製);Nipex90、150T、160IQ、170IQ、75、Printex85、95、90、35(以上、オリオンエンジニアドカーボンズ社製)等があり、いずれも好ましく使用することができる。
カーボンブラックのほかにも、黒色顔料として、例えば、アニリンブラック、ルモゲンブラック、アゾメチンアゾブラック等が使用できる。また、後述するシアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、ブラウン顔料、オレンジ顔料等の有彩色顔料を複数使用し、黒色顔料とすることもできる。
有機顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
具体的にカラーインデックスで例示すると、シアン顔料としてはC.I.Pigment Blue 1、2、3、15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等が挙げられる。
また、マゼンタ顔料としてはC.I.Pigment Red 5、7、12、31、48、49、52、53、57、112、120、122、146、147、149、150、168、170、184、185、188、202、209、238、242、254、255、264、269、282;C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、37、40、50等が挙げられる。
また、イエロー顔料としてはC.I.Pigment Yellow 10、11、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213等が挙げられる。
また、上述以外にも、オレンジ顔料、グリーン顔料、ブラウン顔料などの特色を使用することもできる。具体的には、C.I.Pigment Orange 16、36、38、40、43、62、63、64、71、C.I.Pigment Green 7、10、36、Pigment Brown 23、25、26などを挙げることができる。
なお、本発明に使用される水性インキでは、印刷物の色相や発色性を好適な範囲に収めるため、上記の顔料を複数混合して用いることができる。例えば、カーボンブラックを使用したブラックインキに対し、低印字率における色味を改善するため、シアン顔料、マゼンタ顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料からなる群より選択される1種以上の顔料を少量添加することができる。
これらの顔料は、ホワイトインキの場合を除き、インキ全量に対して2質量%以上20質量%以下の範囲で含まれることが好ましく、2.5質量%以上15質量%以下の範囲で含まれることがより好ましく、3質量%以上10質量%以下の範囲で含まれることが特に好ましい。また、ホワイトインキの場合、顔料の含有量は、ホワイトインキ全量に対して5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、8質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。顔料の含有率を2質量%以上(ホワイトインキの場合は5質量%以上)にすることで、1パス印刷であっても十分な発色性(ホワイトインキの場合は隠蔽性)を得ることができる。また、顔料の含有率を20質量%以下(ホワイトインキの場合は40質量%以下)とすることで、インキの粘度をインクジェット印刷に適した範囲に収めることができるとともに、インキの保存安定性も良好なまま維持でき、結果として長期の吐出安定性を確保することができる。
<顔料分散樹脂(D)>
顔料を水性インキ中で安定的に分散保持する方法として、(1)顔料表面の少なくとも一部を、水溶性、または非水溶性の顔料分散樹脂によって被覆する方法、(2)水溶性及び/または水分散性の界面活性剤を顔料表面に吸着させ分散する方法、(3)顔料表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、分散樹脂や界面活性剤なしでインキ中に分散する方法(自己分散顔料)、等を挙げることができる。
本発明の水性インクジェットインキでは、上記のうち(1)の方法、すなわち、顔料分散樹脂(D)による方法を用いる。これは、樹脂を構成する重合性単量体組成や分子量を選定・検討することにより、顔料に対する顔料分散樹脂の被覆能や前記顔料分散樹脂の電荷を容易に調整でき、微細な顔料に対しても分散安定性を付与することが可能となるためである。これにより、吐出安定性、発色性、及び色再現性に優れた印刷物が得られる。
顔料分散樹脂(D)の種類は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル系、スチレン(メタ)アクリル系、(無水)マレイン酸系、スチレン(無水)マレイン酸系、αオレフィン(無水)マレイン酸系、ウレタン系、エステル系の樹脂が挙げられる。中でも、顔料の吸着を強固にし、顔料分散体を安定化させるという観点から、αオレフィン(無水)マレイン酸系、(メタ)アクリル系、スチレン(メタ)アクリル系からなる群より選択される1種以上の樹脂を使用することが好ましい。なお本明細書において「(無水)マレイン酸」とは、マレイン酸または無水マレイン酸を表す。
また、顔料分散樹脂(D)は、芳香環構造を含有する単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。これにより、顔料分散樹脂中に含まれる芳香環構造と、ラミネート接着剤組成物に含まれるウレタン結合中の窒素原子とが形成するπ-カチオン相互作用を利用した接着力の向上、及び水性インキにおける顔料の分散安定性の確保・向上の効果が好適なものとなる。芳香環構造を含有する単量体に由来する構造単位の量は、顔料分散樹脂全量に対し、10~80質量%であることが好ましく、15~75質量%であることがより好ましく、20~70質量%であることが特に好ましい。
また、顔料分散樹脂(D)の重量平均分子量は、5,000以上100,000以下であることが好ましい。より好ましくは10,000以上50,000以下の範囲であり、更に好ましくは15,000以上30,000以下の範囲である。重量平均分子量が前記範囲であることにより、顔料が水中で安定的に分散し、また水性インキに適用した際の粘度調整などが行いやすい。特に、重量平均分子量が5,000以上であると、水性インキ中に添加されている水溶性有機溶剤に対して顔料分散樹脂が溶解しにくいために、顔料に対しての前記顔料分散樹脂の吸着が強く、分散安定性に優れる。また、重量平均分子量が100,000以下であると、水性インキの分散時の粘度が低く抑えられるとともに、インクジェットヘッドからの吐出安定性に優れ、長期にわたって安定した印刷が可能になる。
顔料分散樹脂として水溶性樹脂を用いる場合、その酸価は60~400mgKOH/gであることが好ましい。酸価を前述の範囲内とすることで顔料の分散安定性、及び、インキの保存安定性を好適なものとすることができる。また、前記酸価として、より好ましくは120~350mgKOH/gであり、更に好ましくは150~300mgKOH/gである。一方、顔料分散樹脂として非水溶性樹脂を用いる場合、その酸価は0~100mgKOH/gであることが好ましく、5~90mgKOH/gであることがより好ましく、10~80mgKOH/gであることが更に好ましい。なお、顔料分散樹脂の酸価は、バインダー樹脂の場合と同様に測定することができる。
本発明において、顔料分散樹脂の配合量は、顔料に対して1~50質量%であることが好ましい。顔料分散樹脂の配合量を、顔料に対して1~50質量%とすることで、顔料分散液の粘度を抑え、前記顔料分散液や水性インキの粘度安定性・分散安定性を良好なものにできる。顔料に対する顔料分散樹脂の配合量として、より好ましくは2~45質量%、更に好ましくは4~35質量%である。
<水溶性有機溶剤(S)>
本発明の水性インキは、水溶性有機溶剤を含む。これにより、インクジェットヘッドのノズル上でのインキ固着を抑制して吐出安定性を向上させ、さらには非浸透性基材上での乾燥性を良化させることができる。また、水性インクジェットインキの分散安定性を好適なものとすることができ、結果として、優れた吐出安定性、発色性、保存安定性を有するインキを得ることができる。
水溶性有機溶剤(S)は、特に限定されるものでなく、既知のものを任意に用いることができるが、顔料分散樹脂や、必要に応じて添加される界面活性剤等の材料成分との相溶性・親和性の観点から、グリコールエーテル系溶剤及び/またはアルキルポリオール系溶剤を含有することが好ましい。特に、水溶性有機溶剤の1気圧下での沸点が、100℃以上240℃未満であることが好ましい。100℃以上にすることで、水性インキの分散安定性、吐出安定性、保湿性が良好になるうえ、240℃未満にすることで、水性インキの乾燥性、印刷物の耐擦過性、ラミネート加工後の十分な接着力が得られる。
なお、上記の1気圧下での沸点は、DSC(示差走査熱量分析)等の熱分析装置を用いることにより測定することができる。
水溶性有機溶剤(S)の総量は、水性インキ全量に対し、3質量%以上40質量%以下であることが好ましい。更に、インクジェットヘッドからの吐出安定性、並びに、ラミネート加工後に十分な接着力が確保できるという観点から、5質量%以上35質量%であることがより好ましく、8質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。水溶性有機溶剤の総量を3質量%以上にすることで、保湿性、吐出安定性が優れた水性インキとなり、ラミネート加工後の接着力が良好となる。また、水溶性有機溶剤の含有量の合計を40質量%以下にすることで、水性インキの乾燥性が良好となり、かつ、耐擦過性が良好な印刷物が得られる。
水溶性有機溶剤(S)として好適に用いられるアルキルポリオール系溶剤として、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールを挙げることができる。
水溶性有機溶剤(S)として好適に用いられるグリコールエーテル系溶剤として、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、などのグリコールジアルキルエーテル類を挙げることができる。
中でも、優れた吐出安定性、保湿性、乾燥性と、ラミネート加工及び熱殺菌処理後の接着性を両立することができる点で、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及び、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上の水溶性有機溶剤を選択することが好ましい。
<界面活性剤>
本発明の水性インキは、その表面張力を調整し、フィルム基材上の濡れ性を確保し、印刷画質を向上させる目的で、界面活性剤を使用することが好ましい。一方で、表面張力が低すぎると、インクジェットヘッドのノズル面が水性インキで濡れてしまい、吐出安定性を損なうことから、界面活性剤の種類と量の選択は重要である。最適な濡れ性の確保と、吐出安定の実現という観点から、シロキサン系、アセチレン系、アクリル系、フッ素系、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系等の界面活性剤を使用することが好ましく、シロキサン系及び/またはアセチレン系界面活性剤を使用することが特に好ましい。界面活性剤の添加量としては、水性インキ全量に対して、0.05質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。0.05質量%以上とすることで界面活性剤の機能を十分に発揮することができ、また、5.0質量%以下とすることで、水性インキの保存安定性及び吐出安定性を好適なレベルに維持できる。
<その他の成分>
また、上記の成分の他に、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤などの添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、水性インキの全質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好適である。
<インキの調製方法>
本発明のインキの調製方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明のインキの調製方法は、これらに限定されるものではない。
まず、少なくとも顔料分散樹脂と、水とが混合された水性化溶液に顔料を添加し、混合撹拌(プレミキシング)した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って顔料分散液を得る。次に、前記顔料分散液に、バインダー樹脂と、水溶性有機溶剤と、水と、必要に応じて上記で挙げたような任意成分とを適宜加え、よく撹拌・混合した後で濾過し、本発明のインキとすることができる。
また、顔料の分散処理に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられ、中でもビーズミルが好ましく使用される。ビーズミルとしては、例えばスーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(いずれも商品名)が挙げられる。
本発明のインキはインクジェット用であるので、ノズルの耐目詰り性等の観点から、顔料として、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくする方法、粉砕メディアの充填率を大きくする方法、処理時間を長くする方法、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級する方法、及びこれらの方法の組み合わせ等が挙げられる。なお、インキの粒度分布は、例えば日機装社製マイクロトラックUPAEX150を用いて測定することができる。
<インキセット>
本発明のインキは単色で使用してもよいが、用途に合わせて複数の色を組み合わせたインキセットとして使用することもできる。組み合わせは特に限定されないが、シアン、イエロー、マゼンタの3色を使用することでフルカラーの画像を得ることができる。また、ブラックインキを追加することで黒色感を向上させ、文字等の視認性を上げることができる。更にオレンジ、グリーン、バイオレット等の色を追加することで色再現性を向上させることも可能である。また、ホワイトインキを併用することで、白色以外のフィルム基材へ印刷を行う際には、鮮明な画像を得ることができるとともに、内容物に対して隠蔽性の高い軟包装材料を得ることができる。なお、本発明のインキから顔料を除外した、実質的に着色剤成分を含まないインキ(クリアインキ)を含んでもよい。
本発明の水性インキは、凝集剤を含む前処理液と組み合わせ、インキ-前処理液セットの形態で使用することもできる。凝集剤を含む前処理液は、記録媒体である基材上にインキ中に含まれる固体成分を意図的に凝集させる層(インキ凝集層)を形成することができる。そして、前記インキ凝集層上に本発明の水性インキを着弾させることで、インキ液滴間の滲みや色ムラを防止し、印刷画質を著しく向上させることができる。更に、前処理液に使用する材料によっては、印刷物の密着性、ラミネート適性もまた向上できる。
本発明における「凝集剤」とは、水性インキに含まれる、顔料の分散状態を破壊し凝集させる、及び/または、バインダー樹脂を不溶化し前記水性インキを増粘させることができる成分を意味する。本発明の水性インキと組み合わせる前処理液に使用する凝集剤としては、印刷画質を向上できる観点から、金属塩及びカチオン性高分子化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。中でも、金属塩を使用することが好ましく、Ca2+、Mg2+、Zn2+、および、Al3+からなる群から選択される1種以上の多価金属イオンの塩を含むことが特に好ましい。なお、凝集剤として金属塩を使用する場合、その含有量は、前処理液全量に対し、2~25質量%であることが好ましく、3~20質量%であることが特に好ましい。
その他前処理液には、水溶性有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、増粘剤、防
腐剤などを適宜に添加することができる。
<印刷方式>
本発明の水性インキは、インクジェット印刷方式によって、フィルム基材上に印刷される。その際、1パス印刷方式(ラインプリント方式とも言う)により印刷されることが好適である。1パス印刷方式は、インクジェットヘッドを複数回走査するマルチパス方式に比べて走査回数が少なく、印刷速度を上げることができることから、印刷速度が要求される産業用途に好適である。また、600dpi以上の高い記録解像度において印刷画質の高い印刷物が得られることからも、好適である。なお「記録解像度」はdpi(DotsPerInch)の単位で表されるものであり、1インチあたりに印刷される水性インクジェットインキ液滴の数を表す。また本明細書中における「記録解像度」は、基材の搬送方向における記録解像度、及び前記基材面内で搬送方向に対し垂直方向(以下、記録幅方向とする)における記録解像度の両方を指すものとする。
水性インキを1パス印刷方式で印刷する際、水性インキのドロップボリュームは、インクジェットヘッドの性能によるところが大きいが、印刷画質に優れ、接着力に優れた印刷物を得るため、0.6~60pLの範囲であることが好ましい。より好ましくは1~50pLであり、特に好ましくは1.4~40pLである。また、高品質の画像を得るために、ドロップボリュームを変化させることができる階調仕様のインクジェットヘッドを使用することが特に好ましい。
<基材>
本発明のインキを印刷する基材は、特に限定されるものではなく、既知のものを任意に使用できる。中でも、熱殺菌処理耐性の観点から、非浸透性基材または難浸透性基材が好適であり、特に非浸透性基材に対して好適に使用できる。なお本明細書では、記録媒体の浸透性は、動的走査吸液計によって測定される吸水量によって判断するものとする。具体的には、下記方法によって測定される、接触時間100msecにおける純水の吸水量が、1g/m未満である記録媒体を「非浸透性基材」とし、1~10g/mである記録媒体を「難浸透性基材」とする。
記録媒体の吸水量は、例えば以下の条件で測定できる。動的走査吸液計として、熊谷理機工業社製KM500winを使用し、23℃・50%RHの条件下、15~20cm角程度にした記録媒体を用いて、以下に示す条件で、純水の転移量を測定する。
・測定方法:螺旋走査(Spiral Method)
・測定開始半径:20mm
・測定終了半径:60mm
・接触時間:10~1,000msec
・サンプリング点数:19(接触時間の平方根に対してほぼ等間隔になるよう測定)
・走査間隔:7mm
・回転テーブルの速度切替角度:86.3度
・ヘッドボックス条件:幅5mm、スリット幅1mm
非浸透性基材または難浸透性基材の例として、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコールの様なプラスチック基材、コート紙、アート紙、キャスト紙のような塗工紙基材、アルミニウム、鉄、ステンレス、チタンの様な金属基材、ガラス基材などが挙げられる。本発明のインキを印刷する基材としては、非浸透性基材であるポリエチレンテレフタレート又はナイロンが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートのエステル結合又はナイロンのアミド結合と、水溶性ウレタン樹脂の酸基とが水素結合することにより、ラミネート加工及び熱殺菌処理を経た後も、良好な接着力が維持される。
上記の基材は印刷媒体の表面が滑らかであっても、凹凸のついたものであってもよいし、透明、半透明、不透明のいずれであってもよい。また、これらの記録媒体の2種以上を互いに張り合わせたものでもよい。更に印字面の反対側に剥離粘着層などを設けてもよく、また印字後、印字面に粘着層などを設けてもよい。また本発明のインクジェット記録方法で使用される記録媒体の形状は、ロール状でも枚葉状でもよい。
なお、本発明の水性インクジェットインキの濡れ性を向上し、画像品質や乾燥性を向上させ、また、印刷物表面が均一化するため耐擦過性や密着性もまた向上できるため、上記に例示した非浸透性基材または難浸透性基材に対し、コロナ処理やプラズマ処理といった表面改質方法を施すことも好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、以下の記載において、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
<水溶性ウレタン樹脂UR1の合成例>
温度計、還流冷却管、撹拌装置、滴下漏斗、およびガス導入管を備えた反応容器に、窒素ガスを導入しながら、クラレ社製ポリカーボネートポリオールC-2090を113部、ジメチロールブタン酸23部、イソホロンジイソシアネート61部、メチルエチルケトン150部を仕込み、75℃まで昇温した。撹拌下、2-エチルヘキサン酸錫0.02部を加え、さらに80℃まで昇温した。80℃に到達の後、3時間反応させて末端イソシアネートのウレタンポリマーとし、しかるのち40℃まで冷却してから、さらにメチルエチルケトンを40部加えた。次に、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン3部、メチルエチルケトン50部を1時間かけて滴下し、さらに1時間熟成させた。次に、グリコール酸2部、メタノール40部を加え、1時間反応させて、ウレタンポリマー溶液を得た。次に、28%アンモニア水9部、イオン交換水400部を上記ウレタンポリマー溶液に1時間かけて滴下して中和することにより水溶化し、さらに減圧下、50℃にてメチルエチルケトン全量と未反応のメタノールとを蒸留した後、再度、イオン交換水を加え、酸価50.2mgKOH/g、重量平均分子量16,000の水溶性ウレタン樹脂1の25%水溶液を得た。なお、水溶性ウレタン樹脂の酸価に占める、酸基を有するポリオール(b2)に由来する酸価の割合は85.9%である。
<水溶性ウレタン樹脂UR2~21、41~46の合成例>
表1に記載の材料を使用した以外は、水溶性ウレタン樹脂UR1と同様の操作にて、水溶性ウレタン樹脂UR2~21、41~46の25%水溶液を得た。
Figure 2023041094000001
なお、表1に記載された略語は、以下の通りである。
C-2090:クラレ社製 1,6-ヘキサンジオールと3-メチル-1,5-ペンタンジオール由来、平均分子量約2,000のポリカーボネートポリオール
C-1090:クラレ社製 1,6-ヘキサンジオールと3-メチル-1,5-ペンタンジオール由来、平均分子量約1,000のポリカーボネートポリオール
HS2H-201AP:豊国製油社製 1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸由来、平均分子量約2,000のポリエステルポリオール
PEG2000:ポリエチレングリコール 平均分子量約2,000
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
DMBA:ジメチロールブタン酸
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
AEA:N-(2-アミノエチル)エタノールアミン
IPDA:イソホロンジアミン
EDA:エチレンジアミン
DBA:ジブチルアミン
<顔料分散樹脂の合成例>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール95部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱し、重合性単量体としてスチレン35部、アクリル酸35部、ベへニルアクリレート30部、および重合開始剤であるV-601(富士フィルム和光純薬社製)6部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、更に110℃で3時間反応させた後、V-601を0.6部添加し、更に110℃で1時間反応を続けて、顔料分散樹脂の溶液を得た。更に、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノールを添加して完全に中和したのち、水を100部添加し、水性化した。その後、100℃以上に加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタノールを留去し、固形分濃度が30%になるように調整した。これより、顔料分散樹脂の固形分濃度30%の水性化溶液を得た。顔料分散樹脂の重量平均分子量は28,000、酸価は、273mgKOH/gであった。
<顔料分散液シアンの製造例>
トーヨーカラー社製Lionol Blue 7358G(C.I.Pigment Blue 15:3)を20部、顔料分散樹脂の水性化溶液(固形分濃度30%)を15部、水65部を混合し、ディスパーで予備分散した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ1,800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて本分散を行い、顔料分散液シアンを得た。
<顔料分散液ブラックの製造例>
顔料としてC.I.Pigment Black 7(オリオンエンジニアドカーボンズ社製Printex85)を使用した以外は、上記シアンと同様の方法により、顔料分散液(ブラック)を得た。
<顔料分散液マゼンタの製造例>
顔料としてC.I.Pigment Red 122(DIC社製FASTGEN SUPER MAGENTA RGT)を使用した以外は、上記シアンと同様の方法により、顔料分散液(マゼンタ)を得た。
<顔料分散液イエローの製造例>
顔料としてC.I.Pigment Yellow14(トーヨーカラー社製Lionol Yellow TT-1405G)を使用した以外は、上記シアンと同様の方法により、顔料分散液(イエロー)を得た。
<顔料分散液ホワイトの製造例>
石原産業社製CR-90-2(酸化チタン)を40部、顔料分散樹脂の水性化溶液(固形分濃度30%)を30部、水30部を混合し、顔料分散液シアンと同様の方法にて分散を行い、顔料分散液ホワイトを得た。
<実施例1のインキ1C製造例>
顔料分散液シアンを25部、水溶性ウレタン樹脂UR1の25%水溶液を22部、1,2-プロパンジオールを25部、TegoWet280(エボニック社製シロキサン系界面活性剤)を1部、および、サーフィノール465(信越化学工業社製アセチレンジオール系界面活性剤)を1部、混合容器に順次投入したのち、インキ全体で100部になるようにイオン交換水を加えて調整し、ディスパーで十分に均一になるまで攪拌した。その後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過を行い、ヘッドつまりの原因となる粗大粒子を除去し、インキ1Cを作製した。
<実施例2~25、比較例41~51のインキ製造例>
表2に記載の材料を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2~25、比較例41~51のインキの作製を行った。
Figure 2023041094000002
<実施例1~25、比較例41~51の評価>
印刷基材を搬送できるコンベヤの上部にインクジェットヘッドKJ4B-1200(京セラ社製、解像度1200dpi、最大駆動周波数64kHz)を設置し、上記で作製した水性インクジェットインキを充填した。次いで、前記コンベア上に、フィルム基材を固定したのち、前記コンベヤを50m/分で駆動させ、前記インクジェットヘッドの設置部を通過する際に、水性インクジェットインキを吐出し、以下に示した印刷を行った。なお、印刷時のドロップボリュームは2.5pLとし、印刷物は70℃のエアオーブンに投入し3分間乾燥させた。
ノズルチェックパターンを印刷し、全てのノズルから正常にインキが吐出されていることを確認してから、25℃の環境下で1分間放置した後、周波数40kHz、1200×1200dpiの印字条件で印字率100%のベタ印刷を行った。得られた評価結果は表3に示した。
<評価1:初期吐出性>
印字率100%ベタ印刷の打ち始めの部分が印刷されているか、目視及びルーペで確認を行うことで、初期吐出性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、◎、〇評価を実使用可能領域とした。なお、フィルム基材としてフタムラ化学社製のPETフィルム(FE2001、厚さ12μm)を用いた。
◎:目視及びルーペで確認しても、打ち始めの部分に、欠けが確認されなかった
〇:目視では欠けが見られないが、ルーペで確認すると1mm未満の欠けが確認された
△:目視で打ち始めに1mm以上5mm未満の欠けが確認された
×:目視で打ち始めに5mm以上に欠けが確認された
<評価2:間欠吐出性>
印字率100%のベタ印刷後に25℃の環境下で一定時間インクジェット吐出装置を待機させ、その後にノズルチェックパターンの印刷を行い、ノズル抜けが起こっているか目視確認することで、間欠吐出性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、◎、〇評価を実使用可能領域とした。
◎:2時間待機させた後に印刷してもノズル抜けが全くなかった
〇:1時間待機させた後に印刷してもノズル抜けが全くなかったが、2時間待機させた後に印刷するとノズル抜けが発生した
△:1時間待機させた後に印刷するとノズル抜けが1~9本発生していた
×:1時間待機させた後に印刷するとノズル抜けが10本以上発生していた
<評価3:ラミネート加工後の接着力(ラミネート強度)>
テストコーターを用い、フィルム基材に印字率100%のベタ印刷した印刷物の印刷面に、ラミネート接着剤(東洋モートン社製TM-265L/CAT-RT37)を、温度60℃、塗工速度50m/分の条件にて塗布した。なお、ラミネート接着剤に溶剤成分を含むため、塗布後に溶剤成分を乾燥させ、乾燥後の塗布量を2.5g/mとなるように塗布した。さらに、ラミネート接着剤の塗工面にシーラントフィルムを重ね合わせたのち、40℃の環境下にて、2日間エージングすることで、ラミネート接着剤組成物を硬化させ、ラミネート加工した積層体を作製した。
なお、用いたフィルム基材とシーラントフィルムは、以下の通りである。
<フィルム基材>
・フタムラ化学社製のPETフィルム「FE2001」
(厚さ12μm、表3では「PET」と記載)
・ユニチカ社製ナイロンフィルム「エンブレムON」
(厚さ15μm、表3では「NY」と記載)
<シーラントフィルム>
・フタムラ化学社製無延伸ポリプロピレンフィルム「FHK2」
(厚さ25μm、表3では「CPP」と記載)
・三井化学東セロ社製直鎖状低密度ポリエチレンフィルム「TUX-FC-D」
(厚さ40μm、表3では「LLDPE」と記載)
上記ラミネート加工した積層体を、長さ300mm、幅15mmの大きさに切り取り、テストピースとした。インストロン型引張試験機を使用し、25℃の環境下にて、300mm/分の剥離速度で引張り、フィルム基材/シーラントフィルム間のT型剥離強度(N)を測定した。この試験を5回行い、その平均値を求めることで、接着力の評価を行った。評価基準は以下の通りとし、◎、〇評価を実使用上可能領域とした。
◎:接着力1.5N以上
〇:接着力0.6N以上、1.5N未満
△:接着力0.3N以上、0.6N未満
×:接着力0.3N未満
<評価4:熱殺菌処理後の接着力>
ラミネート加工した積層体2枚を、シーラントフィルムが内側になるように重ね合わせ、ヒートシーラーを用い、150℃、2kg/cm、1秒の条件にてシールして風袋を作製した。これに対し、日坂製作所製の高温高圧調理殺菌試験機「RCS-40RTGN」により95℃、30分間の条件で熱水殺菌処理を行った。処理後、前記ラミネート強度と同様の方法にて評価を行った。
<評価5:外観の評価>
熱殺菌処理後の接着力評価で用いた積層体試験片について、フィルム基材側から目視で観察することで、外観の評価を行った。評価基準は以下の通りとし、◎、〇評価を実使用可能領域とした。
◎:積層体にデラミネーションおよび起泡が無いか、3%未満の面積でデラミネーションおよび起泡がある
〇:積層体に3%以上、20%未満の面積でデラミネーションおよび起泡がある
△:積層体に20%以上、50%未満の面積でデラミネーションおよび起泡がある
×:積層体に50%以上の面積でデラミネーションおよび起泡がある
Figure 2023041094000003
実施例1~25は、好適なバインダー樹脂を用いた系であり、水溶性有機溶剤の組み合わせからなり、インクジェットヘッドのノズルからの吐出性に優れ、ラミネート加工及び熱細菌処理後においても良好な接着力を維持し、全てが実使用可能領域であった。
比較例41は、ウレタン樹脂が酸基を有するポリオールを含んでいないため、ウレタン樹脂の水への溶解性が低く、インクジェットインキの吐出性に劣り、また、分子構造内の親水部同士で水素結合しないため凝集力が小さく、熱殺菌処理後の外観不良が発生する結果となった。比較例42、48~51は、酸基を有する末端停止剤由来の構造を含んでいないため、水への溶解性が低く、インクジェットインキの間欠吐出性が劣る結果となった。比較例43は、バインダー樹脂の水溶性ウレタン樹脂の酸価が20mgKOH/g未満であり、インクジェットインキの間欠吐出性が劣る結果となった。比較例44は、好適な酸価範囲を超えており、インクジェットインキの間欠吐出性に加え、ラミネート加工後の接着力、熱殺菌処理後の接着力や外観が劣る結果となった。比較例45、46は、水酸基を有する有機ジアミン化合物である鎖延長剤由来の構造を含んでいないため、熱殺菌処理後の接着力、外観が劣る結果となった。比較例47は、水溶性有機溶剤を含んでいないため、インクジェットインキの吐出性が劣る結果となった。

Claims (4)

  1. 顔料(P)、顔料分散樹脂(D)、バインダー樹脂(B)、水溶性有機溶剤(S)、および、水を含む水性インクジェットインキであって、
    前記バインダー樹脂(B)が、酸価が20~100mgKOH/gである水溶性ウレタン樹脂であり、
    前記水溶性ウレタン樹脂が、構成単位として、
    イソシアネート(b1)由来の構造と、
    酸基を有するポリオール(b2)由来の構造と、
    水酸基を有する有機ジアミン化合物である鎖延長剤(C)由来の構造と、
    1分子中に酸基を有する末端停止剤(E)由来の構造と、
    ウレア結合とを有する樹脂である、水性インクジェットインキ。
  2. 前記水溶性ウレタン樹脂の酸価に占める、前記酸基を有するポリオール(b2)に由来する酸価の割合が40%より大きい、請求項1に記載の水性インクジェットインキ。
  3. 前記水溶性ウレタン樹脂の重量平均分子量が、8,000~35,000である、請求項1または2に記載の水性インクジェットインキ。
  4. 請求項1~3いずれかに記載の水性インクジェットインキを、1パス印刷方式のインクジェットヘッドから吐出して、非浸透性基材に付着させる工程と、前記水性インクジェットインキが付着した基材を乾燥させる工程とを含む、印刷物の製造方法。
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