JP2023039325A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関が始動される場合において運転者に与える違和感を抑制できるハイブリッド車両の制御装置を提供する。【解決手段】電子制御装置90は、(a)エンジン12が停止状態である場合にエンジン12への燃料噴射を停止するフューエルカットを実行し、(b)エンジン12を始動する場合には、クラッチK0を係合させつつ電動機MGによりエンジン12のクランキングを実行し且つクラッチK0の同期が完了した後においてエンジン12への燃料噴射を開始し、(c)クラッチK0の同期が完了した後における燃料噴射の開始時点tstaを、燃料噴射が開始された場合に予測されるエンジントルクTeである先読みトルクTe_predが予め定められた目標トルク値Te_tgtとなる時点に設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、走行用駆動力源である内燃機関及び電動機と、それら内燃機関と電動機との間の動力伝達を断接する摩擦係合装置と、を備えたハイブリッド車両の、制御装置に関する。
走行用駆動力源である内燃機関及び電動機と、それら内燃機関と電動機との間の動力伝達を断接する摩擦係合装置と、を備えたハイブリッド車両の、制御装置であって、内燃機関が停止している間は、フューエルカット(内燃機関への燃料噴射の停止)を実行するものが知られている。例えば、特許文献1に記載のものがそれである。
特開2021-91279号公報
ところで、摩擦係合装置を係合しつつ電動機によってクランキングすることで内燃機関の始動を行う方法において、車両で発生するショックを抑制するために摩擦係合装置の回転速度の同期が完了した後に内燃機関への燃料噴射を再開する方法が知られている。
燃料の燃焼時に発生する内燃機関の出力トルクは、内燃機関の回転速度、内燃機関への吸入空気量、点火時期(例えば点火遅角量)によって変動する。特に、内燃機関が始動される場合では、車両状態に応じた内燃機関の回転量(例えば、クランク軸の回転量)によって吸入空気量が変動するため、始動開始時点における内燃機関の出力トルクにばらつきが生じやすい。この車両状態に応じた内燃機関の出力トルクのばらつきにより内燃機関が始動される毎に始動音や始動ショックなどが異なるために、運転者(ドライバー)に違和感を与えるおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、内燃機関が始動される場合において運転者に与える違和感を抑制できるハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、走行用駆動力源である内燃機関及び電動機と、前記内燃機関と前記電動機との間の動力伝達を断接する摩擦係合装置と、を備えたハイブリッド車両の、制御装置であって、(a)前記内燃機関が停止状態である場合に前記内燃機関への燃料噴射を停止するフューエルカットを実行し、(b)前記内燃機関を始動する場合には、前記摩擦係合装置を係合させつつ前記電動機により前記内燃機関のクランキングを実行し且つ前記内燃機関への前記燃料噴射の準備が完了した所定の条件が成立した後において前記内燃機関への前記燃料噴射を開始し、(c)前記所定の条件が成立した後における前記燃料噴射の開始時点を、予測される前記内燃機関の出力トルクである所定の先読みトルクが予め定められた目標トルク値となる時点に設定することにある。
第1発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、(a)前記内燃機関が停止状態である場合に前記内燃機関への燃料噴射を停止するフューエルカットが実行され、(b)前記内燃機関が始動される場合には、前記摩擦係合装置が係合されつつ前記電動機により前記内燃機関のクランキングが実行され且つ前記内燃機関への前記燃料噴射の準備が完了した所定の条件が成立した後において前記内燃機関への前記燃料噴射が開始され、(c)前記所定の条件が成立した後における前記燃料噴射の開始時点が、予測される前記内燃機関の出力トルクである所定の先読みトルクが予め定められた目標トルク値となる時点に設定される。先読みトルクが予め定められた目標トルク値となる時点に燃料噴射の開始時点が設定されることで内燃機関の始動毎に発生する始動音や始動ショックが変動することが抑制され、運転者が覚える違和感が抑制される。
第2発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、第1発明において、前記先読みトルクは、前記クランキングの開始時点から前記燃料噴射の開始時点までの前記内燃機関の回転量に基づいて算出される。クランキングの開始時点から燃料噴射の開始時点までの内燃機関の回転量に基づいて先読みトルクが算出されることで、先読みトルクの算出精度が向上する。先読みトルクの算出精度の向上により燃料噴射の開始時点の設定精度が向上することで、内燃機関の始動毎に発生する始動音や始動ショックが変動することが精度よく抑制され、運転者が覚える違和感が抑制される。
第3発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、第1発明又は第2発明において、アクセル開度が大きい場合には、前記アクセル開度が小さい場合に比較して前記目標トルク値が大きい値に補正される。運転者により加速操作が行われた場合には、アクセル開度に応じて目標トルク値が補正される。目標トルク値が大きい値に補正されると、そうでない場合に比較して先読みトルクが高い時点に燃料噴射の開始時点が設定される。したがって、アクセル開度が大きい場合には、アクセル開度が小さい場合に比較して内燃機関への燃料噴射が開始されて内燃機関から出力され始める時点の出力トルクが高くされる。これにより、内燃機関の始動毎に発生する始動音や始動ショックが変動することが抑制されつつも車両応答性が優先され、運転者が要求する走行用駆動力が早期に実現されてドライバビリティが向上する。
本発明の実施例に係る電子制御装置を備えるハイブリッド車両の概略構成図であるとともに、ハイブリッド車両における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。 図1に示す電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートの一例である。 図2のフローチャートが実行された場合におけるタイムチャートの一例である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の実施例に係るハイブリッド車両10(以下、単に「車両10」と記す。)の概略構成図であるとともに、車両10における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。
車両10は、走行用駆動力源PGであるエンジン12及び電動機MGを備えるハイブリッド車両である。走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)と駆動輪14との間が動力伝達経路PTである。車両10は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース18内の動力伝達経路PTにおいて、エンジン12側から順に、エンジン連結軸20、クラッチK0、電動機連結軸22、トルクコンバータ24、自動変速機28の入力回転部材であるAT入力軸26、自動変速機28等を備える。また、車両10は、動力伝達経路PTにおいて、自動変速機28の出力回転部材であるAT出力軸30に連結されたディファレンシャルギヤ32、ディファレンシャルギヤ32に連結された一対のドライブシャフト34等を備える。また、車両10は、インバータ52、油圧制御回路54、電動オイルポンプであるEOP56、バッテリ60、及び電子制御装置90を備える。
エンジン12は、周知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTe[Nm]が制御される。なお、本明細書では、特に区別しない場合には、トルク、駆動力、動力、及び力(パワー)は同義である。
エンジン連結軸20は、エンジン12とクラッチK0とを連結する部材であって、例えばクランク軸である。
電動機MGは、例えば電気エネルギーから機械的な動力を発生させる電動機としての機能(電動機機能)及び機械的な動力から電気エネルギーを発生させる発電機としての機能(発電機機能)を備えた所謂モータジェネレータである。本明細書では、動力は、特に区別しない場合には駆動力、トルク、及び力と同意である。電動機MGは、後述するインバータ52を介して車両10に備えられたバッテリ60に接続されている。バッテリ60は、電動機MGに対して電力を授受する蓄電装置である。電動機MGは、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、電動機MGの出力トルクである電動機トルクTmg[Nm]が制御される。なお、電動機MGは、本発明における「電動機」に相当する。
エンジン12に連結されたエンジン連結軸20と、電動機MGのロータに連結された電動機連結軸22と、の間にはクラッチK0が設けられている。クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を断接する摩擦係合装置であり、例えば湿式多板型の油圧式摩擦係合装置である。クラッチK0は、後述する油圧制御回路54からクラッチK0の断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される油圧が調圧されることにより、完全係合状態、半係合状態(スリップ状態)、及び解放状態などの断接状態が切り替えられる。例えば、本実施例では、油圧アクチュエータに供給される油圧が高くされることでクラッチK0が完全係合状態とされ、油圧アクチュエータに供給される油圧が低くされることでクラッチK0が解放状態とされる。クラッチK0が完全係合状態にされると、クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を可能とする。クラッチK0が解放状態にされると、クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を切断する。クラッチK0が半係合状態にされると、クラッチK0は、半係合状態に基づいた伝達トルク容量(クラッチK0の係合力)に応じてエンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を可能とする。なお、クラッチK0は、本発明における「摩擦係合装置」に相当する。
電動機MGは、バッテリ60に蓄えられた電力により回転駆動され、ハイブリッド車両10の走行用駆動力を出力する。また、電動機MGは、エンジン12からクラッチK0を介して入力される走行用駆動力により発電したり、駆動輪14側から入力される被駆動力を回生により電力に変換して発電したりする。それら発電された電力は、インバータ52を介してバッテリ60に充電される。
インバータ52は、電動機MGとバッテリ60との間に設けられ、電子制御装置90によって制御されることにより直流を交流に変換したり交流を直流に変換したりする電源回路である。例えば、インバータ52は、バッテリ60から供給される直流を交流に変換して電動機MGに出力して駆動したり、電動機MGで発電された交流を直流に変換してバッテリ60に出力したりする。
バッテリ60は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充放電可能な二次電池である。バッテリ60は、主に電動機MGを駆動するための電力を供給したり、回生により電動機MGで発電された電力を充電したりするのに用いられる。
トルクコンバータ24は、周知のトルクコンバータである。トルクコンバータ24は、電動機連結軸22に連結されたポンプ翼車と、AT入力軸26に連結されたタービン翼車と、ポンプ翼車とタービン翼車とを直結するロックアップクラッチ40と、を備える。トルクコンバータ24は、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)と駆動輪14との間の動力伝達経路PTに配設され、走行用駆動力源PGから出力された走行用駆動力を流体を介して電動機連結軸22からAT入力軸26へ伝達できる流体式伝動装置である。車両10は、機械式のオイルポンプであるMOP42を備える。MOP42は、ポンプ翼車に連結されており、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)により回転駆動させられて、ケース18内の各部で用いられる作動油OILを吐出する。
EOP56は、走行用駆動力源PGであるエンジン12や電動機MGの回転とは独立して、EOP駆動用モータ58の回転により駆動可能な周知のオイルポンプである。EOP駆動用モータ58は、周知の電動機であり、電子制御装置90によって不図示のインバータが制御されることにより、EOP駆動用モータ58の回転速度が制御される。EOP56は、EOP駆動用モータ58により回転駆動させられて、ケース18内の各部で用いられる作動油OILを吐出する。
自動変速機28は、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)からAT入力軸26に入力された走行用駆動力を変速してAT出力軸30に出力する周知の自動変速機であり、例えば遊星歯車式や常時噛合型平行軸式の有段変速機、或いは、ベルト式やパワーローラー式の無段変速機などである。自動変速機28は、電子制御装置90により制御される油圧制御回路54によって、異なる変速比γat(=AT入力回転速度Ni[rpm]/AT出力回転速度No[rpm])のうちから所望の変速比γatが形成されるように制御される。変速比γatは、ギヤ比ともいう。本実施例では、自動変速機28は、複数組の遊星歯車装置と、複数の変速用係合装置CBと、を備える、周知の遊星歯車式の自動変速機である。変速用係合装置CBは、各々、油圧制御回路54から変速用係合装置CBの断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される油圧が調圧されることにより、完全係合状態、半係合状態、及び解放状態などの断接状態が切り替えられる。自動変速機28は、変速用係合装置CBのうちのいずれかの係合装置の係合によって、変速比γatが異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちのいずれかのギヤ段が形成される。また、自動変速機28は、走行用駆動力源PGから出力された走行用駆動力を駆動輪14に伝達させないニュートラル状態にすることも可能である。
ディファレンシャルギヤ32は、自動変速機28のAT出力軸30から伝達された走行用駆動力を受けて、一対のドライブシャフト34に対し適宜回転速度差を許容しつつ相互に等しい駆動トルクを伝達する、周知のディファレンシャルギヤである。
油圧制御回路54は、MOP42やEOP56から吐出された作動油OILの油圧を元圧として、ケース18内の各部に必要な作動油OILを供給する。例えば、油圧制御回路54は、クラッチK0の断接制御用の油圧、自動変速機28の変速制御用の油圧、トルクコンバータ24のロックアップクラッチ40の断接制御用の油圧をそれぞれ生成し、ケース18内の各油圧アクチュエータに供給する。
エンジン12から出力される走行用駆動力は、クラッチK0が係合された場合には、エンジン連結軸20から、クラッチK0、電動機連結軸22、トルクコンバータ24、自動変速機28、ディファレンシャルギヤ32、及びドライブシャフト34等を順次介して駆動輪14へ伝達される。電動機MGから出力される走行用駆動力は、クラッチK0の断接状態にかかわらず、電動機連結軸22から、トルクコンバータ24、自動変速機28、ディファレンシャルギヤ32、及びドライブシャフト34等を順次介して駆動輪14へ伝達される。
車両10においては、BEV走行モード及びエンジン走行モードすなわちHEV走行モードのいずれかの走行モードが選択可能である。BEV走行モードは、エンジン12の運転を停止させた状態で電動機MGを力行制御することにより走行用駆動力源PGのうち電動機MGのみを駆動力源とするBEV(Battery Electric Vehicle)走行を行う走行モードである。BEV走行モードでは、クラッチK0が解放状態とされてBEV走行が行われる。なお、BEV走行モードには、車両10が走行している場合と、車両10が停止している場合すなわち停車している場合と、が含まれる。HEV走行モードは、エンジン12を運転させた状態で走行用駆動力源PGのうちの少なくともエンジン12を駆動力源とするHEV(Hybrid Electric Vehicle)走行を行う走行モードである。HEV走行モードでは、クラッチK0が完全係合状態とされてHEV走行が行われる。
車両10の走行をBEV走行モード及びHEV走行モードのいずれとするかは、例えば駆動力源切替マップにより切り替えられる。駆動力源切替マップは、例えば車速V[km/h]及び要求駆動トルクTrdem[Nm]を変数とする二次元座標で走行モードが予め定められた関係である。要求駆動トルクTrdemとは、車両10に要求される駆動トルクであって、例えば駆動輪14に要求される駆動トルクTr[Nm]である。要求駆動トルクTrdemの算出方法については、後述する。
一般的にエンジン効率が低下する、車速Vが比較的低い低車速領域且つ要求駆動トルクTrdemが比較的低い低負荷領域(=アクセル開度θacc[%]が比較的低い領域)において、BEV走行モードが選択される領域とされる。一方、車速Vが比較的高い高車速領域、或いは、要求駆動トルクTrdemが比較的高い高負荷領域(=アクセル開度θaccが比較的高い領域)において、HEV走行モードが選択される領域とされる。また、BEV走行モードは、バッテリ60の充電状態値(予め定められた満充電容量に対する実際に蓄電されている充電量の比)SOC[%]が所定のエンジン始動閾値以上の場合に適用される。言い換えると、バッテリ60の充電状態値SOCが所定のエンジン始動閾値未満の場合には、駆動力源切替マップにおいて、BEV走行モードが選択される領域が無くなり、全てHEV走行モードが選択される領域とされることと同じである。HEV走行モードでは、電動機MGの回転速度である電動機回転速度Nmg[rpm]は、エンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne[rpm]と同値である。所定のエンジン始動閾値は、エンジン12を強制的に始動してバッテリ60を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判定するための予め定められた閾値である。
電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、電動機制御用、油圧制御用等の各コンピュータを含んで構成される。なお、電子制御装置90は、本発明における「制御装置」に相当する。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、タービン回転速度センサ72、出力回転速度センサ74、電動機回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、バッテリセンサ82、エアフローメータ84など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne[rpm]、AT入力回転速度Ni[rpm]と同値であるタービン回転速度Nt[rpm]、車速Vに対応するAT出力回転速度No[rpm]、電動機MGの回転速度である電動機回転速度Nmg[rpm]、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc[%]、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth[%]、バッテリ60のバッテリ温度THbat[℃]やバッテリ充放電電流Ibat[A]やバッテリ電圧Vbat[V]、エンジン12に吸入される空気の量である吸入空気量GA[m3/sec]など)が、それぞれ入力される。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路54、EOP駆動用モータ58など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御するためのエンジン制御信号Se、電動機MGを制御するための電動機制御信号Smg、変速用係合装置CBを制御するための変速制御信号SatやクラッチK0を制御するためのK0制御信号Sk0やロックアップクラッチ40を制御するためのLU制御信号Slu、EOP56を制御するためのEOP制御信号Seopなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置90は、ハイブリッド制御部92、クラッチ制御部94、変速制御部96、及び始動制御部98を機能的に備える。
ハイブリッド制御部92は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御部92aと、インバータ52を介して電動機MGの作動を制御する電動機制御部92bと、を機能的に備え、それらの制御機能によりエンジン12及び電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行する。
ハイブリッド制御部92は、例えば要求駆動量マップに実際のアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで、運転者による車両10に対する要求駆動量(例えば要求駆動トルクTrdem)を算出する。要求駆動量マップは、アクセル開度θacc及び車速Vと要求駆動量との間の関係が実験的に或いは設計的に予め定められて記憶されたマップである。要求駆動量は、車両10に要求される駆動量であって、例えば要求駆動トルクTrdemである。要求駆動トルクTrdemは、見方を換えればそのときの車速Vにおける要求駆動パワーPrdem[W]である。要求駆動量としては、駆動輪14における要求駆動力Frdem[N]、AT出力軸30における要求出力トルク等を用いることもできる。要求駆動量の算出では、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良い。このように、要求駆動トルクTrdem、要求駆動パワーPrdem、要求駆動力Frdem、及びAT出力軸30における要求出力トルクは、車両10の要求駆動量である点では同義である。
ハイブリッド制御部92は、伝達損失、補機負荷、自動変速機28の変速比γat、バッテリ60の充電可能電力Win[W]や放電可能電力Wout[W]等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12を制御するエンジン制御信号Seと、電動機MGを制御する電動機制御信号Smgと、を出力する。エンジン制御信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度NeにおけるエンジントルクTeを出力するエンジン12のパワーであるエンジンパワーPe[W]の指令値である。電動機制御信号Smgは、例えばそのときの電動機回転速度Nmgにおける電動機トルクTmgを出力する電動機MGの消費電力Wm[W]の指令値である。
バッテリ60の充電可能電力Winは、バッテリ60の入力電力の制限を規定する入力可能な最大電力であり、バッテリ60の入力制限を示している。バッテリ60の放電可能電力Woutは、バッテリ60の出力電力の制限を規定する出力可能な最大電力であり、バッテリ60の出力制限を示している。バッテリ60の充電可能電力Winや放電可能電力Woutは、例えばバッテリ温度THbat及びバッテリ60の充電状態値SOCに基づいて電子制御装置90により算出される。
ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合には、走行モードをBEV走行モードとする。一方で、ハイブリッド制御部92は、少なくともエンジン12の出力を用いないと要求駆動トルクTrdemを賄えない場合には、走行モードをHEV走行モードとする。他方で、ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合であっても、バッテリ60の充電状態値SOCが予め定められたエンジン始動閾値未満となる場合やエンジン12等の暖機が必要な場合などには、HEV走行モードを成立させる。エンジン始動閾値は、エンジン12を強制的に始動してバッテリ60を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判定するための予め定められた閾値である。このように、ハイブリッド制御部92は、要求駆動トルクTrdem等に基づいて、HEV走行中にエンジン12を自動停止したり、BEV走行中にエンジン12を始動したり、停車中にエンジン12を自動停止したりそのエンジン停止後にエンジン12を再始動したりして、BEV走行モードとHEV走行モードとを切り替える。
エンジン制御部92aは、車両10に対する駆動要求量を実現するようにエンジントルクTeを制御する。電動機制御部92bは、車両10に対する駆動要求量を実現するように電動機トルクTmgを制御する。具体的には、BEV走行モードにおいては、電動機制御部92bは、要求駆動トルクTrdemを実現するように電動機トルクTmgを制御する。HEV走行モードにおいては、エンジン制御部92aは、要求駆動トルクTrdemの全部又は一部を実現するようにエンジントルクTeを制御し、電動機制御部92bは、要求駆動トルクTrdemに対してエンジントルクTeでは不足するトルク分を補うように電動機トルクTmgを制御する。エンジン制御部92aは、例えばBEV走行モードにおいてエンジン12がその運転が停止している停止状態にある場合に、エンジン制御装置50の燃料噴射装置にエンジン12への燃料噴射を停止させるフューエルカットを実行する。
クラッチ制御部94は、エンジン12を始動させるエンジン始動制御においてクラッチK0の断接状態を制御する。例えば、クラッチ制御部94は、後述する始動判定部98aによりエンジン12の始動要求が有ると判定された場合には、エンジン回転速度Neを引き上げるトルクであるエンジン12のクランキングに必要なクランキングトルクTcr[Nm]をエンジン12側へ伝達するために、クラッチK0を解放状態から半係合状態を経て完全係合状態になるように制御する。例えば、エンジン始動制御では、クラッチK0の係合速度(=クラッチK0の伝達トルク容量の増加速度)及び係合ショックが許容範囲内となるように、実験的に或いは設計的に予め定められたK0用タイムチャートに従ってクラッチK0の伝達トルク容量が次第に大きくなるように制御される。
変速制御部96は、例えば変速マップを用いて自動変速機28の変速判断を行い、必要に応じて変速制御を実行するための変速制御信号Satを油圧制御回路54へ出力する。変速マップは、例えば車速V及び要求駆動トルクTrdemを変数とする二次元座標上に、自動変速機28の変速が判断されるための変速線を有する予め定められた所定の関係である。変速マップでは、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良いし、又、要求駆動トルクTrdemに替えて要求駆動力Frdemやアクセル開度θaccやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。
始動制御部98は、エンジン始動制御を実行するように電動機MG及びエンジン12を制御する。始動制御部98は、始動判定部98aと、クランキング制御部98bと、同期判定部98cと、噴射開始制御部98dと、を機能的に備える。
始動判定部98aは、BEV走行モードにおいてエンジン12の始動が要求されたか否かを判定する。つまり、始動判定部98aは、エンジン12の始動要求の有無を判定する。例えば、始動判定部98aは、走行モードがBEV走行モードである場合において、(a)要求駆動トルクTrdemが電動機MGの出力のみで賄える範囲よりも増大した場合、(b)エンジン12等の暖機が必要である場合、又は、(c)バッテリ60の充電状態値SOCがエンジン始動閾値未満である場合には、エンジン12の始動要求が有ると判定する。
始動判定部98aによりエンジン12の始動が要求されたと判定された場合、クランキング制御部98b及びクラッチ制御部94は、電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12をクランキングする。このクランキングにおいて、クランキング制御部98bは、クラッチ制御部94によるクラッチK0の解放状態から完全係合状態への切り替えに合わせて、クランキングが終了するまで電動機MGがクランキングトルクTcrを出力するように制御する。クランキング制御部98bは、BEV走行モードにおけるエンジン始動制御において、BEV走行用の電動機トルクTmgつまり駆動トルクTrを生じさせる電動機トルクTmgに、クランキングトルクTcr分を加えた電動機トルクTmgを電動機MGから出力させる。また、クラッチ制御部94は、前述したようにエンジン12側へクランキングトルクTcrを伝達するために、クラッチK0を解放状態から半係合状態を経て完全係合状態になるように制御する。すなわち、エンジン12を始動する場合には、クラッチK0が係合されつつ電動機MGによりエンジン12のクランキングが実行される。また、クランキング制御部98bは、クランキングが開始されたか否かを判定する。
クランキング制御部98b及びクラッチ制御部94によりエンジン12のクランキングが開始されると、同期判定部98cは、クラッチK0の同期が完了しているか否かを判定する。クラッチK0の同期が完了しているとは、エンジン回転速度Neと電動機回転速度Nmgとが同じになっていること、すなわちクラッチK0がスリップしておらず完全係合状態になっていることと同義である。例えば、電動機回転速度Nmgとエンジン回転速度Neとの差である回転速度差ΔN(=Nmg-Ne)が予め定められた零値を含む同期判定幅ΔN_jdg[rpm]の範囲内である状態が所定の第1経過期間P1[ms]以上継続した場合に、同期が完了していると判定される。同期判定幅ΔN_jdg及び所定の第1経過期間P1は、それぞれクラッチK0の同期が完了していることを判定するために、実験的に或いは設計的に予め定められた判定幅及び期間である。クラッチK0の同期が完了しているとの条件は、エンジン12への燃料噴射の準備が完了したことを判定する条件であり、本発明における「所定の条件」に相当する。
噴射開始制御部98dは、先読みトルクTe_predを予測する。先読みトルクTe_predは、クラッチK0の同期が完了した後においてエンジン12への燃料噴射が開始されてエンジン12から出力され始める時点のエンジントルクTeの予測値である。以下、本明細書では説明を省くが、エンジン12への燃料噴射の開始と同時に、エンジン12の点火も開始される。なお、先読みトルクTe_predは、本発明における「所定の先読みトルク」に相当する。
一般的にエンジントルクTeは、エンジン回転速度Ne、吸入空気量GA[m3/sec]、及び点火時期(例えば点火遅角量θdly[deg])に応じて変化する。
エンジン始動制御でのエンジン12の始動開始時点(エンジン12への燃料噴射の開始時点tsta)におけるエンジン回転速度Neは、例えばクラッチK0の同期が完了している場合における電動機回転速度Nmgである同期回転速度Nmg_synである。この同期回転速度Nmg_synは、車速Vと自動変速機28の変速比γatとに基づいて算出可能(すなわち予測可能)である。
エンジン始動制御でのエンジン12への燃料噴射の開始時点tstaにおける点火遅角量θdlyは、車両10の状態に応じて定められる。例えば、点火遅角量θdlyは、エンジントルクTeが最大となる時期であるMBT(Minimum advance for the Best Torque)とされるが、このMBTはエンジン回転速度Neなどエンジン12の運転状態に応じて変化する。例えば、エンジン回転速度Neと、MBTとなる点火遅角量θdlyと、の関係が実験的に或いは設計的に予め定められたマップである点火遅角マップを用いて、点火遅角量θdlyが算出可能(すなわち予測可能)である。
エンジン始動制御の実行中においては、不図示のサージタンク内の空気がクランキングによりエンジン12に吸い込まれる毎に、サージタンク内の圧力が大気圧から減圧されていく。サージタンクとは、燃料噴射型のエンジン12において吸気系に吸気脈動が生じないようにインテークマニホールドとスロットル弁との間に設けられているタンクである。エンジン始動制御でのエンジン12の吸入空気量GAは、サージタンク内の圧力が大気圧から減圧されていくのに応じて減少していく。
ここで、クランキングの開始時点tcrnでのエンジン12の吸入空気量GAを所定の第1吸気量GA1とする。エンジン12への燃料噴射が停止されている場合、エンジン始動制御の実行中におけるエンジン12の吸入空気量GAは、クランキングの開始時点tcrnを起点とするエンジン12の回転量(=エンジン12が回転した回数)によって所定の第1吸気量GA1から次第に減少し、その後所定の第2吸気量GA2(<GA1)で安定状態となる。例えば、クランキングの開始時点tcrnを起点とするエンジン12の回転量と、エンジン12の吸入空気量GAと、の間の関係が実験的に或いは設計的に予め定められて記憶されたマップである吸気量マップが用いられることで、エンジン12の吸入空気量GAは算出可能(すなわち予測可能)である。なお、エンジン12の回転量は、クランキングの開始時点tcrn以降のエンジン回転速度Neを積分することで算出できる。
したがって、先読みトルクTe_predは、例えばクラッチK0の同期が完了した後においてエンジン12への燃料噴射の開始時点tstaにおいて予測されるエンジン回転速度Ne、吸入空気量GA、及び点火遅角量θdlyと、先読みトルクTe_predと、の間の関係が予め定められたマップである先読みトルクマップに基づいて算出される。このように、先読みトルクTe_predは、クランキングの開始時点tcrnから燃料噴射の開始時点tstaまでのエンジン12の回転量に基づいて算出される。算出される先読みトルクTe_predは、エンジン12の回転量が増加するのに従って次第に減少する。このように、先読みトルクTe_predは、燃料噴射の開始時点tstaが遅く設定されるのに従って、次第に減少する。
噴射開始制御部98dは、クラッチK0の同期が完了した後における先読みトルクTe_predが目標トルク値Te_tgtとなる時点を、燃料噴射の開始時点tstaとして設定する。目標トルク値Te_tgtは、エンジン12の始動毎に発生する始動音や始動ショックが変動することを抑制するために、実験的に或いは設計的に予め定められたトルク値である。ここで、燃料噴射の開始時点tstaが設定された場合において、クランキングの開始時点tcrnからクラッチK0の同期が完了した時点tsyn(以下、「同期完了時点tsyn」と記す。)までの期間を「係合期間Pcon[ms]」といい、同期完了時点tsynから燃料噴射の開始時点tstaまでの期間を「待機期間Pwait[ms]」といい、燃料噴射の開始時点tstaから実際にエンジントルクTeが出力され始める時点までの期間を「遅延期間Pdly[ms]」ということとする。言い換えると、同期完了時点tsynから待機期間Pwaitだけ経過した時点でエンジン12への燃料噴射が開始されると、燃料噴射の開始時点tstaから遅延期間Pdlyだけ経過した時点でエンジン12から出力され始めるエンジントルクTe(すなわち先読みトルクTe_pred)が目標トルク値Te_tgtとなる。エンジン12への燃料噴射を開始する時点を特定するという点では、燃料噴射の開始時点tstaを設定することと、待機期間Pwaitを設定することと、は同義である。なお、遅延期間Pdlyは、例えば実験的に或いは設計的に予め定められた一定値である。
例えば、クランキングの開始時点tcrnから同期完了時点tsynまでの期間である係合期間Pconが短いと(例えば、同期回転速度Nmg_synが低かったり、クラッチK0の係合速度が速かったりすると)、係合期間Pconが長い場合に比較して同期完了時点tsynを燃料噴射の開始時点tstaとした場合における先読みトルクTe_predが大きくなる。そのため、係合期間Pconが短い場合には、係合期間Pconが長い場合に比較して同期完了時点tsynから燃料噴射の開始時点tstaまでの期間を長くすることで、先読みトルクTe_predが目標トルク値Te_tgtとなるようにする。具体的には、同期回転速度Nmg_synが低かったり、クラッチK0の断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される油圧が高かったりする場合には、そうでない場合に比較して燃料噴射の開始時点tstaが遅くなるように設定され、同期完了時点tsynから燃料噴射の開始時点tstaまでの期間が長くされる。一方、同期回転速度Nmg_synが高かったり、クラッチK0の断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される油圧が低かったりする場合には、そうでない場合に比較して燃料噴射の開始時点tstaが早くなるように設定され、同期完了時点tsynから燃料噴射の開始時点tstaまでの期間が短くされる。
好適には、噴射開始制御部98dは、燃料噴射の開始時点tstaの設定に先立って、アクセル開度θaccに応じて目標トルク値Te_tgtを補正する。具体的には、運転者により加速操作が行われた場合においてアクセル開度θaccが大きい場合には、アクセル開度θaccが小さい場合に比較して目標トルク値Te_tgtが大きい値に補正される。目標トルク値Te_tgtが大きい値に補正されると、燃料噴射の開始時点tstaは早い時点に設定される。アクセル開度θaccが大きい場合には、アクセル開度θaccが小さい場合に比較して目標トルク値Te_tgtが大きい値に補正されることで、先読みトルクTe_predが高い時点に燃料噴射の開始時点tstaが設定される。なお、運転者により加速操作が行われた場合のアクセル開度θaccの大きさに応じてスロットル弁開度θthが変更させられるが、このスロットル弁開度θthの変更を指示を所定期間だけ遅らせることで、吸入空気量GAを精度良く予測することができ、延いては先読みトルクTe_predを精度よく予測することができる。所定期間は、吸入空気量GAを精度良く予測するために、実験的に或いは設計的に予め定められた期間である。
噴射開始制御部98dは、設定した燃料噴射の開始時点tstaになると、エンジン12への燃料噴射や点火を開始するように制御する。
図2は、図1に示す電子制御装置90の制御作動を説明するフローチャートの一例である。図2のフローチャートは、BEV走行モードにおいて繰り返し実行される。
まず、クランキング制御部98bの機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、エンジン始動制御におけるクランキングが開始されたか否かが判定される。
S10の判定が肯定された場合には、同期判定部98cの機能に対応するS20において、クラッチK0の同期が完了しているか否かが判定される。S10の判定が否定された場合には、終了となる。
S20の判定が否定された場合には、再度S20が実行される。S20の判定が肯定された場合には、噴射開始制御部98dの機能に対応するS30において、アクセル開度θaccに応じて同期完了時点tsynからフューエルカットの解除を指示する時点(すなわち、燃料噴射の開始時点tsta)までの期間である待機期間Pwaitが算出される。
S30の実行後、噴射開始制御部98dの機能に対応するS40において、同期完了時点tsynから待機期間Pwaitだけ経過したか否かが判定される。S40の判定が否定されると、S40が再度実行される。S40の判定が肯定されると、噴射開始制御部98dの機能に対応するS50において、エンジン12への燃料噴射が開始され、そして終了となる。
図3は、図2のフローチャートが実行された場合におけるタイムチャートの一例である。図3は、BEV走行モードにおいてエンジン始動制御が実行される場合の例であって、エンジン始動制御におけるアクセル開度θaccが零値の場合である。図3の横軸は、時間t[ms]である。
図3において、吸入空気量GAは、エンジン12への燃料噴射の開始がなかった場合における推移を示すものである。図3において、先読みトルクTe_predは、それぞれの時刻でエンジン12への燃料噴射が開始されたとした場合における推移を示し、実エンジントルクTe_realは、時刻t4においてエンジン12への燃料噴射が開始されたとした場合における実際のエンジントルクTeの推移を示すものである。
時刻t1において、クランキングによりエンジン12は回転を開始する。時刻t1から時刻t3(>t1)までの期間において、エンジン回転速度Neが次第に上昇し、時刻t3においてクラッチK0の同期が完了する。時刻t1から時刻t3までの期間が、係合期間Pconである。
時刻t3以降(同期完了時点tsyn以降)における電動機回転速度Nmgすなわち同期回転速度Nmg_synは、車速Vと自動変速機28の変速比γatに基づいて定められる。この同期回転速度Nmg_synは、クランキングにおけるエンジン回転速度Neの目標値である。エンジン回転速度Neの上昇速度(=エンジン回転速度Neにおける単位時間当たりの増加量)は、クラッチK0が開放状態から半係合状態を経て完全係合状態へ遷移させる前述したK0用タイムチャートに従った油圧制御に基づいて定められる。したがって、クランキングの開始時点tcrnから同期完了時点tsynまでの期間である係合期間Pconは、同期回転速度Nmg_synと、エンジン回転速度Neの上昇速度と、によって変動する。時刻t1以降におけるエンジン回転速度Neは、クラッチK0の油圧制御による伝達トルク容量や同期回転速度Nmg_synに基づいて、その推移を予測することが可能である。
時刻t1以降におけるエンジン回転速度Neの予測値に基づいてそれぞれの時刻におけるエンジン12の回転量が算出され、さらに算出されたエンジン12の回転量に基づいて吸入空気量GAが予測される。予測される吸入空気量GAは、例えば図3に示すように、時刻t2(t1<t2<t3)において大きく下降し、時刻t2以降において所定の第2吸気量GA2に向かって次第に減少する。
先読みトルクTe_predは、時刻t2以降において予測される吸入空気量GAの減少に応じて次第に減少する。先読みトルクTe_predが目標トルク値Te_tgtとなる時刻として時刻t4(>t3)が予測される。この予測された時刻t4が燃料噴射の開始時点tstaに設定される。時刻t3から時刻t4までの期間が、待機期間Pwaitである。
時刻t4において、エンジン12への燃料噴射が開始される。時刻t4から遅延期間Pdlyだけ遅れた時点である時刻t5において、エンジン12から実際のエンジントルクTeである実エンジントルクTe_realが出力され始める。時刻t5においてエンジン12から出力され始める時点の実エンジントルクTe_realは、目標トルク値Te_tgtである。
本実施例によれば、(a)エンジン12が停止状態である場合にエンジン12への燃料噴射を停止するフューエルカットが実行され、(b)エンジン12が始動される場合には、クラッチK0が係合されつつ電動機MGによりエンジン12のクランキングが実行され且つクラッチK0の同期が完了した後においてエンジン12への燃料噴射が開始され、(c)クラッチK0の同期が完了した後における燃料噴射の開始時点tstaは、先読みトルクTe_predが目標トルク値Te_tgtとなる時点に設定される。先読みトルクTe_predが目標トルク値Te_tgtとなる時点に燃料噴射の開始時点tstaが設定されることでエンジン12の始動毎に発生する始動音や始動ショックが変動することが抑制され、運転者が覚える違和感が抑制される。
本実施例によれば、先読みトルクTe_predは、クランキングの開始時点tcrnから燃料噴射の開始時点tstaまでのエンジン12の回転量に基づいて算出される。クランキングの開始時点tcrnから燃料噴射の開始時点tstaまでのエンジン12の回転量に基づいて先読みトルクTe_predが算出されることで、先読みトルクTe_predの算出精度が向上する。先読みトルクTe_predの算出精度の向上により燃料噴射の開始時点tstaの設定精度が向上することで、エンジン12の始動毎に発生する始動音や始動ショックが変動することが精度よく抑制され、運転者が覚える違和感が抑制される。
本実施例によれば、アクセル開度θaccが大きい場合には、アクセル開度θaccが小さい場合に比較して目標トルク値Te_tgtが大きい値に補正される。運転者により加速操作が行われた場合には、アクセル開度θaccに応じて目標トルク値Te_tgtが補正される。目標トルク値Te_tgtが大きい値に補正されると、そうでない場合に比較して先読みトルクTe_predが高い時点に燃料噴射の開始時点tstaが設定される。したがって、アクセル開度θaccが大きい場合には、アクセル開度θaccが小さい場合に比較してエンジン12への燃料噴射が開始されてエンジン12から出力され始める時点のエンジントルクTeが高くされる。これにより、エンジン12の始動毎に発生する始動音や始動ショックが変動することが抑制されつつも車両応答性が優先され、運転者が要求する走行用駆動力が早期に実現されてドライバビリティが向上する。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例では、走行用駆動力源PGと自動変速機28との間の動力伝達経路PTに流体式伝動装置であるトルクコンバータ24が設けられた態様であったが、本発明はこの態様に限らない。例えば、トルクコンバータ24に替えて、トルク増幅作用のないフルードカップリングなどの他の流体式伝動装置が用いられても良い。また、流体式伝動装置は、必ずしも備えられている必要はなく、例えば発進用のクラッチに置き換えられても良い。
前述の実施例では、クラッチK0は湿式の摩擦係合装置であったが、それに限らず、乾式の摩擦係合装置であっても良い。
前述の実施例では、「所定の条件」は、クラッチK0の同期が完了しているとの条件のみであったが、この態様に限らない。例えば、「所定の条件」は、クラッチK0の同期が完了しているとの条件とともに、さらにエンジン12への燃料噴射の開始時点tstaにおけるエンジントルクTeのトルク変動をクラッチK0が伝達できるように、前述のクラッチK0の同期が完了したと判定された後に予め定められた所定の第2経過期間P2[ms]が経過しているとの条件が付加されても良い。クラッチK0の同期が完了した直後は、クラッチK0の伝達トルク容量が十分でなく、エンジン12への燃料噴射の開始に起因したエンジントルクTeのトルク変動(出力され始める時点のエンジントルクTe)をクラッチK0が伝達できず、クラッチK0がスリップするおそれがある。所定の第2経過期間P2は、エンジン12への燃料噴射の開始に起因したエンジントルクTeのトルク変動によりクラッチK0がスリップしないように、実験的に或いは設計的に予め定められた期間である。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:ハイブリッド車両
12:エンジン(内燃機関)
90:電子制御装置(制御装置)
K0:クラッチ(摩擦係合装置)
MG:電動機
PG:走行用駆動力源
Te_tgt:目標トルク値
Te_pred:先読みトルク
tsta:燃料噴射の開始時点

Claims (1)

  1. 走行用駆動力源である内燃機関及び電動機と、前記内燃機関と前記電動機との間の動力伝達を断接する摩擦係合装置と、を備えたハイブリッド車両の、制御装置であって、
    前記内燃機関が停止状態である場合に前記内燃機関への燃料噴射を停止するフューエルカットを実行し、
    前記内燃機関を始動する場合には、前記摩擦係合装置を係合させつつ前記電動機により前記内燃機関のクランキングを実行し且つ前記内燃機関への前記燃料噴射の準備が完了した所定の条件が成立した後において前記内燃機関への前記燃料噴射を開始し、
    前記所定の条件が成立した後における前記燃料噴射の開始時点を、予測される前記内燃機関の出力トルクである所定の先読みトルクが予め定められた目標トルク値となる時点に設定する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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