JP2023035866A - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物 Download PDF

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Mayuko Yamashita
俊貴 児島
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Abstract

【課題】環状オレフィン樹脂との密着性に優れ、耐擦傷性及び耐折り曲げ性に優れる硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【解決手段】活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)、溶剤(B)及び光重合開始剤(C)を含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記溶剤(B)が溶解パラメーター(SP値)7.1~8.5(cal/cm1/2の非環式構造の溶剤(B1)及び/又はSP値7.5~9.4(cal/cm1/2の環式非芳香族構造の溶剤(B2)であって、前記溶剤(B)の重量割合が前記活性エネルギー線硬化性組成物を基準として10~60重量%である活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
従来、光学用の透明材料として、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース等が使用されている。しかしながら、これら材料は、複屈折が大きいことや吸水、透水性が高い等の問題点があった。
近年、上記のような問題点を解決するために、環状オレフィン樹脂が使用されるようになってきた。例えば、日本ゼオン株式会社より、環状オレフィン樹脂である「ゼオネックス」や「ゼオノア」が上市されている。また、JSR株式会社より、分子内に極性基を有する環状オレフィン樹脂「アートン」が、三井化学株式会社より環状オレフィンコポリマー「アペル」が上市されている。
しかしながら、これら樹脂は、表面硬度が低く傷つきやすい欠点があるが、難接着性のため表面にコーティングを行いにくいという課題がある。
従来、密着性を実現するために環状オレフィン樹脂表面をコロナ処理したり、コーティング材にトルエン等の溶剤を使用したりしていた。コーティング材には、環状オレフィン樹脂との高い密着性と耐擦傷性及び耐折り曲げ性とを両立できることが求められていた。
特許第6531969号公報 特開2019-142164号公報
本発明の課題は、環状オレフィン樹脂との密着性に優れ、耐擦傷性及び耐折り曲げ性に優れる硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)、溶剤(B)及び光重合開始剤(C)を含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記溶剤(B)が溶解パラメーター(SP値)7.1~8.5(cal/cm1/2の非環式構造の溶剤(B1)及び/又はSP値7.5~9.4(cal/cm1/2の環式非芳香族構造の溶剤(B2)であって、前記溶剤(B)の重量割合が前記活性エネルギー線硬化性組成物を基準として10~60重量%である活性エネルギー線硬化性組成物である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、環状オレフィン樹脂との密着性に優れ、耐擦傷性及び耐折り曲げ性に優れるという効果を奏する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)、溶剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有する。
活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)としては、(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記(メタ)アクリレートとしては、単官能(メタ)アクリレート(A1)、多官能(メタ)アクリレート(A2)が挙げられる。これらは、1種でも2種以上用いてもいい。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」の表記は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」の表記は、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」の表記は、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。
単官能(メタ)アクリレート(A1)としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチルアクリレート、2-エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、4-ブロモブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2-テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5-テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4-クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクトン及び3-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリジノン等が挙げられる。
前記の単官能(メタ)アクリレート(A1)の内、基材への密着性の観点から好ましくはイソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
本発明において、多官能(メタ)アクリレート(A2)は、分子中の(メタ)アクリロイル基の数が2~6個である多官能(メタ)アクリレートであり、2官能(メタ)アクリレート(A21)、3官能(メタ)アクリレート(A22)、4官能(メタ)アクリレート(A23)、5官能(メタ)アクリレート(A24)、6官能(メタ)アクリレート(A25)及びこれらの混合物が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレート(A21)は、下記一般式(1)で表される。
CH=CX-COO-(R‐O)-COCX=CH (1)
[一般式(1)中、Rは炭素数1~6のアルキレン基を表し、nは1~4の整数であり、nが2~4の整数の場合、複数個あるRは同一でも異なっていてもよい。Xは各々独立に水素原子又はメチル基である。]
一般式(1)におけるRは炭素数1~6のアルキレン基を表し、具体的にはメチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基及びtert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、sec-ペンチレン基、tert-ペンチレン基、3-メチルペンチレン基、n-ヘキシレン基、イソヘキシレン基、sec-ヘキシレン基、tert-ヘキシレン基及びネオヘキシレン基等が挙げられる。耐擦傷性及び密着性の観点から好ましいのは炭素数2~5のアルキレン基である。
一般式(1)におけるnは1~4の整数であり、粘度の観点から好ましいのは1~3である。
前記nが2~4の場合、複数個あるRは同一でも異なっていてもよい。
一般式(1)で表される2官能(メタ)アクリレート(A21)の具体例としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート(1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等)、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのプロピレンオキシド(以下、プロピレンオキシドをPOと記載することがある)付加物のジ(メタ)アクリレート化物、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールのエチレンオキシド(以下、エチレンオキシドをEOと記載することがある)付加物のジ(メタ)アクリレート化物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、一般式(1)で表される以外の2官能(メタ)アクリレート(A21)としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-エチル-2-ブチル-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-エチル-2-ブチル-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#200ジ(メタ)アクリレート(#200は数平均分子量200を意味する。以下も同様。)、ポリエチレングリコール#300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#600ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコール#700ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの2官能(メタ)アクリレート(A21)のうち、耐擦傷性と密着性の観点から好ましくはジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのPO付加物のジ(メタ)アクリレート化物、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びヘキサンジオールのEO付加物のジ(メタ)アクリレート化物であり、更に好ましくはジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのPO付加物のジ(メタ)アクリレート化物及び1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートである。
3官能(メタ)アクリレート(A22)としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのアルキレンオキシド[アルキレン基の炭素数2~4、具体的にはEO、PO及びブチレンオキシド(以下、BOと記載)等、以下のアルキレンオキシドについても同様]付加物のトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート及びジトリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの炭素数3~4のアルキレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールの炭素数3~4のアルキレンオキシド1~30モル付加物のトリ(メタ)アクリレート及びエトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4官能(メタ)アクリレート(A23)としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加物のテトラ(メタ)アクリレート〔ペンタエリスリトールEO2モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのEO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールのPO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート等〕、ジペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加物のテトラ(メタ)アクリレート〔ジペンタエリスリトールのEO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート等〕及びジトリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のテトラ(メタ)アクリレート〔ジトリメチロールプロパンのEO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート等〕、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート及びプロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能(メタ)アクリレート(A24)としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加物のペンタ(メタ)アクリレート〔ジペンタエリスリトールのEO2モル付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのEO4モル付加物のペンタ(メタ)アクリレート等〕並びにソルビトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
6官能(メタ)アクリレート(A25)としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加物のヘキサ(メタ)アクリレート〔ジペンタエリスリトールのEO2モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのEO4モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのEO12モル付加物のヘキサ(メタ)アクリレート等〕、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート並びにカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能(メタ)アクリレート(A22)のうち、耐擦傷性の観点から好ましくはペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン及びこれらに水酸基1モルあたり0.2~2モルのアルキレンオキシドが付加した化合物からなる群より選ばれる多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである。
4官能(メタ)アクリレート(A23)のうち、耐擦傷性の観点から好ましくは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン及びこれらに水酸基1モルあたり0.2~2モルのアルキレンオキシドが付加した化合物からなる群より選ばれる多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである。
5官能(メタ)アクリレート(A24)及び6官能(メタ)アクリレート(A25)のうち、耐擦傷性の観点から好ましくはジペンタエリスリトール及びこれらに水酸基1モルあたり0.2~2モルのアルキレンオキシドが付加した化合物からなる群より選ばれる多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである。
本発明において、これらの多官能アクリレート(A2)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)のうち、耐擦傷性の観点から、好ましくは多官能(メタ)アクリレート(A2)であり、更に好ましくは(A23)、(A24)及び(A25)である。また、多官能(メタ)アクリレート(A2)の重量割合は、耐擦傷性の観点から、活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)の重量に基づいて、好ましくは25重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは60重量%以上である。
本発明において、溶剤(B)とは、溶解パラメーター(SP値)7.1~8.5(cal/cm1/2の非環式構造の溶剤(B1)及び/又はSP値7.5~9.4(cal/cm1/2の環式非芳香族構造の溶剤(B2)である。
非環式構造の溶剤(B1)のSP値が7.1(cal/cm1/2未満であると溶解性又は耐折り曲げ性が不十分であり、8.5(cal/cm1/2を超えると密着性が不十分である。
環式非芳香族構造の溶剤(B2)のSP値が7.5(cal/cm1/2未満であると溶解性又は耐折り曲げ性が不十分であり、9.4(cal/cm1/2を超えると密着性が不十分である。
溶剤のSP値はFedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENFINEERING AND SCIENCE,February,1974,Vol.14,No.2,Robert F. Fedors(147~154頁)」
溶解パラメーター(SP値)7.1~8.5(cal/cm1/2の非環式構造の溶剤(B1)としては、ヘキサン(SP値=7.3)、ジイソブチルケトン(SP値=8.5)、酢酸イソプロピル(SP値=8.5)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値=7.9)、1,2-ジエトキシエタン(SP値=7.9)、1,2-ジメトキシエタン(SP値=7.6)、ジエチルエーテル(SP値=7.3)等が挙げられる(以下、単位を省略する場合がある)。
SP値7.5~9.4(cal/cm1/2の環式非芳香族構造の溶剤(B2)としては、メチルシクロヘキサン(SP値=7.9)、シクロヘキサン(SP値=8.1)、メチルシクロヘキサノン(SP値=9.4)、ジオキサン(SP値=8.6)、テトラヒドロフラン(SP値=8.3)等が挙げられる。
本発明において、光重合開始剤(C)としては、活性エネルギー線の照射によってラジカル及びイオン等を発生してモノマーの重合反応を起こすものであれば制限はなく、活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生する光重合開始剤を好ましく用いることができる。
光重合開始剤(C)としては、アシルホスフィンオキサイド化合物(C1)、α-ヒドロキシアルキルフェノン化合物(C2)、α-アミノアルキルフェノン化合物(C3)、ケタール化合物(C4)、ベンゾイルホルメート化合物(C5)、チオキサントン化合物(C6)、ベンゾフェノン化合物(C7)及びオキシムエステル化合物(C8)等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物(C1)としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド及びジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)オキシド等が挙げられる。
α-ヒドロキシアルキルフェノン化合物(C2)としては1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等が挙げられる。
αアミノアルキルフェノン化合物(C3)としては2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-ブタン-1-オン及び2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-ブタン-1-オン等が挙げられる。
ケタール化合物(C4)としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾイルホルメート化合物(C5)としては、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
チオキサントン化合物(C6)としては、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン及び2-クロロチオキサントン等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物(C7)としては、ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド及び4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
オキシムエステル化合物(C8)としては、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)及び1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
本発明において、これらの光重合開始剤(C)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの光重合開始剤(C)のうち、硬化性及び硬化物の着色の観点から、好ましくは、アシルホスフィンオキサイド化合物(C1)及びα-ヒドロキシアルキルフェノン化合物(C2)であり、更に好ましくはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキシド及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、更に溶剤(B)以外の溶剤(D)を含むことができる。
本発明において溶剤(D)としては、メチルエチルケトン(SP値=9.0)、ジエチルケトン(SP値=8.9)、アセトン(SP値=9.1)、メチルイソプロピルケトン(SP値=8.7)、メチルイソブチルケトン(SP値=8.7)、シクロヘキサノン(SP値=9.8)及び2-ヘプタノン(SP値=8.8)等のケトン溶剤、
プロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値=11.3)等のエーテル溶剤、
酢酸メチル(SP値=8.8)、酢酸エチル(SP値=8.7)、酢酸n-プロピル(SP値=8.7)、酢酸n-ブチル(SP値=8.7)、酢酸シクロヘキシル(SP値=9.6)、乳酸エチル(SP値=11.9)及びコハク酸ジメチル(SP値=9.9)等のエステル溶剤、メタノール(SP値=13.8)、エタノール(SP値=12.6)、n-プロパノール(SP値=11.8)、イソプロパノール(SP値=11.6)、n-ブタノール(SP値=11.3)及びイソブタノール(SP値=11.1)等のアルコール溶剤、
エチレングリコールモノメチルアセテート(SP値=9.0)、エチレングリコールモノエチルアセテート(SP値=8.9)、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)(SP値=8.7)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=8.7)、3-メトキシブチルアセテート(SP値=8.7)及びエトキシエチルプロピオネート(SP値=8.9)等のエーテルエステル溶剤、並びにトルエン(SP値=9.1)等の芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤(D)のうち、溶解性の観点から、好ましくはメチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート及びエトキシエチルプロピオネートであり、更に好ましくはメチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及び2-ヘプタノンであり、特に好ましくはメチルエチルケトンである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、更にBET法による粒子径が1~500nmの範囲内であるシリカ微粒子(E)を含むことができる。なお、ここでのBET法による粒子径はBET法にて測定される比表面積から、粒子が球形であると仮定した場合に計算される粒子径である。
本発明において、シリカ微粒子(E)としては、公知のものを使用することができる。その形状は、粒子状になるものであって、球状でも不定形のものでもよく、中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、前記シリカ粒子としては、その表面が有機基で表面修飾されたものであっても表面修飾されていないものであってもよいが、表面に不飽和基を有する有機基で変性されたシリカ微粒子(不飽和基を有する変性シリカ微粒子)が好ましい。ここで変性とは、シリカ微粒子表面に、有機化合物又は有機基を物理的又は化学的(好ましくは、化学的)に導入した複合体の形態となることを意味する。
不飽和基を有する変性シリカ微粒子とは、ラジカル重合しうる不飽和基を有するシリカ微粒子であり、活性エネルギー線硬化性組成物(A)と反応するものである。ラジカル重合しうる不飽和基としては、炭素-炭素間二重結合をもつ官能基であり(重合性二重結合ともいう)、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、アリル基等を挙げることができる。これらのうち、密着性、耐擦傷性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましい。
不飽和基を有する変性シリカ微粒子としては、MEK-AC-2140Z(粒子径12nm)、MEK-AC-4130Y(粒子径45nm)、MEK-AC-5140Z(粒子径80nm)、PGM-AC-2140Y(粒子径12nm)、PGM-AC-4130Y(粒子径45nm)、MIBK-AC-2140Z(粒子径12nm)、MIBK-SD-L(粒子径45nm)、等が挙げられる。
シリカ微粒子(E)のBET法による粒子径は1~500nmであり、好ましくは1~100nmであり、更に好ましくは1~80nmである。シリカ微粒子(E)粒子の平均粒子径が1nm未満であると、硬化膜の硬度が低下するおそれがあり、500nmを超えると硬化膜の全光線透過率が低下する恐れがある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物の全光線透過率としては、85%以上が好ましく、87%以上が更に好ましく、90%以上が特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、前記の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)以外にも、その他の添加剤を含有していても良い。
その他の添加剤としては、界面活性剤(F)及び重合禁止剤(G)等が挙げられる。
界面活性剤(F)としては、表面張力を低下させ基材との濡れ性を向上させる観点から、含有しても良く、シリコン界面活性剤、フッ素界面活性剤及びポリオキシエチレン付加物等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
重合禁止剤(G)としては、フェノール化合物[ヒドロキノン、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,2-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等]、硫黄化合物(ジラウリルチオジプロピオネート等)、リン化合物(トリフェニルフォスファイト等)及びアミン化合物(フェノチアジン等)等が挙げられる。
重合禁止剤(G)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明における活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)の重量割合は、耐擦傷性及び密着性の観点から、硬化性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて、好ましくは10~50重量%であり、更に好ましくは10~45重量%であり、特に好ましくは15~40重量%である。
本発明における前記の溶剤(B)の重量割合は、活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて、10~60重量%である。溶剤(B)の重量割合が10重量%未満の場合には、密着性が不良となる場合があり、60重量%を超えると耐折り曲げ性が悪化するという問題がある。溶剤(B)の重量割合は、活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて、好ましくは15~50重量%であり、更に好ましくは20~40重量%である。
本発明における光重合開始剤(C)の重量割合は、硬化性の観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて、好ましくは2~10重量%であり、更に好ましくは3~10重量%であり、特に好ましくは3~8重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物が溶剤(D)を含有する場合、溶剤(D)の重量割合は、溶解性及び密着性の観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて、0.01~50重量%であり、好ましくは0.1~40重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物がシリカ微粒子(E)を含有する場合、シリカ微粒子(E)の重量割合は、密着性及び耐擦傷性の観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて、0.01~20重量%であり、好ましくは0.1~15重量%である。
本発明のスリップ剤(F)の重量割合は、活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて、好ましくは0.01~5重量%であり、更に好ましくは0.1~3重量%である。
本発明の重合禁止剤(G)の重量割合は、硬化性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて、好ましくは0.01~5重量%であり、更に好ましくは0.05~3重量%である。
本発明を使用し硬化被膜を形成するための基材となる環状オレフィン樹脂基材としては、環状オレフィン樹脂フィルムが挙げられ、環状オレフィンを重合したものであれば、特に制限なく用いることができる。環状オレフィン樹脂フィルムの市販品としては、例えば、日本ゼオン株式会社製の「ゼオネックス」や「ゼオノア」、JSR株式会社製の「アートン」、三井化学社製の「アペル」等が挙げられる。
環状オレフィン樹脂フィルムの表面は、活性エネルギー線硬化性組成物との密着性向上のため、電気的処理(コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理)、オゾン・紫外線・電子線照射処理等の易接着処理がされることがあるが、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、表面未処理の環状オレフィン樹脂フィルムに対して高い密着性を有する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法は、特に限定はされない。
例えば、前記活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)、溶剤(B)及び光重合開始剤(C)と、必要に応じて、溶剤(D)、シリカ微粒子(E)及びその他の添加剤とを、20~80℃の温度範囲で、公知の機械的混合方法(メカニカルスターラー及びマグネティックスターラー等を用いる方法)を用いることによって均一混合することで、製造することができる。
本発明の硬化物は、前記の活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発分が硬化したものである。すなわち、前記の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線により硬化されて硬化物となる。前記の活性エネルギー線としては、紫外線及び電子線等が挙げられる。
前記の紫外線を照射する場合、高圧水銀灯及びメタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。紫外線の照射量は、硬化性及び黄変劣化抑制の観点から好ましくは10~10,000mJ/cmであり、更に好ましくは100~5,000mJ/cmである。
前記の電子線を照射する場合、公知の電子線照射装置を使用することができる。電子線の照射量は、硬化性及び硬化物の劣化抑制の観点から好ましくは1~10Mradである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発分の硬化物は、硬化性、密着性、耐擦傷性及び透過率に優れるため、ディスプレイ用の材料として、有用である。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1~17及び比較例1~10
表1に示す配合組成(重量部)を60℃で均一混合して、実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
なお、シリカ微粒子(E-1)、(E-2)及び(E-3)について、溶剤分散液であるので、固形分をシリカ微粒子(E)として記載し、分散媒であるメチルエチルケトンは溶剤(D)の中に含めた。
Figure 2023035866000001
なお、表1における記号が示す内容は以下の通りである。
(A1-1):イソボルニルアクリレート[商品名「ライトアクリレートIBXA」、共栄社化学(株)製]
(A1-2):4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート[商品名「TBCHA」、KJケミカルズ(株)製]
(A1-3):2-エチルヘキシルアクリレート[商品名「アクリル酸2-エチルヘキシル」、東亜合成(株)製]
(A22-1):グリセリントリアクリレート[商品名:アロニックス MT-3547、東亜合成(株)製]
(A22-2):グリセリンPO3モル付加物のトリアクリレート[商品名:EM2384、長興材料工業(株)製]
(A22-3):ペンタエリスリトールトリアクリレート[商品名:ライトアクリレートPE-3A、共栄社化学(株)製]
(A22-4):トリメチロールプロパントリアクリレート[商品名:NKエステルA-TMPT、新中村化学(株)製]
(A23-1):ペンタエリスリトールEO4モル付加物のテトラアクリレート[商品名:ATM-4EL、新中村化学(株)製]
(A23-2):ペンタエリスリトールテトラアクリレート[商品名:ライトアクリレートPE-4A、共栄社化学(株)製]
(A23-3):ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート[商品名:MIRAMER M410、美源スペシャリティケミカル(株)製]
(A25-1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[商品名:ネオマー DA-600、三洋化成工業(株)製]
(C-1):2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキシド[商品名:Omnirad TPO、IGM Resins B.V.社製]
(C-2):1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名:Omnirad184、IGM Resins B.V.社製]
(D-2):プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)
(E-1):MEK-AC-2140Z[アクリロイル基を有する変性シリカ微粒子、固形分40重量%、分散媒:メチルエチルケトン、粒子径12nm、日産化学(株)製]
(E-2):MEK-AC-4130Y[アクリロイル基を有する変性シリカ微粒子、固形分30重量%、分散媒:メチルエチルケトン、粒子径45nm、日産化学(株)製]
(E-3):MEK-AC-5140Z[アクリロイル基を有する変性シリカ微粒子、固形分40重量%、分散媒:メチルエチルケトン、粒子径80nm、日産化学(株)製]
(F-1):アルキレンオキシド変性ポリジメチルシロキサン[商品名:BYK-333、ビックケミー・ジャパン(株)製]
(G-1):4-メトキシフェノール[商品名:MQ-F、川口化学工業(株)製]
実施例1~17及び比較例1~10の活性エネルギー線硬化性組成物について、活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発分を硬化させてなる各硬化物の室温(25℃)での硬化性、密着性、耐擦傷性、透過率及び耐折り曲げ性を、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
<試験片の作製>
基材フィルムとして厚み50μmのシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン株式会社製「ZF14」)を用いて、当該フィルム上に、実施例1~17及び比較例で得た各活性エネルギー線硬化性組成物を、活性エネルギー線硬化性組成物を乾燥後の厚みが3μmとなるようバーコーターにより塗布して未硬化組成物層を形成した。得られた未硬化組成物層を80℃で3分間乾燥させた後、紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、窒素雰囲気下で紫外線を300mJ/cm照射し、活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発分の硬化物で被覆されたシクロオレフィンポリマーフィルムを得た。各シクロオレフィンポリマーフィルムを試験片として以下の試験に用いた。
<硬化性評価>
各試験片の表面を指触することにより、タックの有無で評価した。
[評価基準]
○:タック無し
×:タック有り
<密着性評価>
各試験片を室温下で基材上の硬化塗膜を1mm×1mmの碁盤目(100個)にクロスカットし、この上にセロハン粘着テープを張り付けて、90度剥離を行い、基材からの硬化物の剥離状態(剥離しなかったものの数)を目視で観察し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
〇:90/100~100/100
△:50/100~89/100
×:0/100~49/100
<耐擦傷性試験(スチールウール試験)>
各試験片について、スチールウール[商品名(番手):ボンスター#0000、日本スチールウール(株)製]に120g/cmとなるように荷重(7cmの面積に対して850gの荷重)をかけ、硬化膜表面を10回往復摩擦することにより試験した。試験後の硬化物表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
◎:傷なし
〇:傷1~20本
△:傷21~50本
×:傷51本以上
<全光線透過率の評価>
JIS K 7375:2008に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze-garddual」、BYK gardner(株)製]を用いて各試験片の全光線透過率(%)を測定した。本発明において全光線透過率としては、85%以上が好ましく、87%以上が更に好ましく、90%以上が特に好ましい。
<耐折り曲げ性の評価>
各試験片をユアサシステム機器製面状無負荷U字伸縮試験治具DMX-FSを用いて曲率半径1mmで10回折り曲げ試験実施し、基材の割れ有無について評価した。
[評価基準]
〇:割れ無し
×:割れ有り
表1の結果から、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は硬化性、密着性、耐擦傷性、透過率及び耐折り曲げ性に優れることが分かる。一方で、比較例の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、密着性、耐擦傷性及び耐折り曲げ性の少なくとも1つが劣ることがわかる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、硬化性、密着性、耐擦傷性、透過率及び耐折り曲げ性に優れるため、ディスプレイ用の材料として、有用である。

Claims (4)

  1. 活性エネルギー線硬化性有機化合物(A)、溶剤(B)及び光重合開始剤(C)を含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記溶剤(B)が溶解パラメーター(SP値)7.1~8.5(cal/cm1/2の非環式構造の溶剤(B1)及び/又はSP値7.5~9.4(cal/cm1/2の環式非芳香族構造の溶剤(B2)であって、前記溶剤(B)の重量割合が前記活性エネルギー線硬化性組成物を基準として10~60重量%である活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 更にメチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート及びエトキシエチルプロピオネートからなる群から選ばれる少なくとも1つの溶剤(D)を含有する請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 更にBET法による粒子径が1~500nmの範囲内であるシリカ微粒子(E)を含有する請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 前記シリカ微粒子(E)が不飽和基を有する変性シリカ微粒子である請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
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