JP2023035710A - 容器詰め果汁飲料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、さらに該泡が、容器内を上から下に向かって波模様を形成して流れるような動態(カスケード泡の形成)が持続する果汁飲料、およびその製造方法の提供。【解決手段】容器に詰められた果汁飲料において、アルコール濃度を2~30体積%、エキス分を3.5度以上、不活性気体内圧を0.2MPa以上、二酸化炭素内圧を0.1MPa未満に調整する。【選択図】図1

Description

本発明は、きめ細かい波状の泡を発生する容器詰め果汁飲料およびその製造方法に関する。
従来技術
消費者のニーズの多様化に伴い、従来、多種多様な飲料が開発され、市場に流通している。発泡性飲料では、発生する泡が飲料の味や香り、口当たりに大きく影響するため、発生する泡の状態や持続時間が、飲料の売れ行きに大きく影響する重要な特性の一つである。例えば、きめ細かい泡は、発泡性飲料の炭酸ガスや香りが逃げるのを抑制したり、苦みを抑制したり、口当たりを軽くしたりすることが一般的に知られている。したがって、発泡性飲料にこのような付加価値を与え得るために、発泡性飲料においてきめ細かい泡を発生させ、かつ維持する研究が行われている。
しかしながら、このようなきめ細かい泡を発生させ、かつ維持する技術の研究は、従来、ビールの製造分野において行われているものの(例えば、特許文献1)、ビール以外の発泡性飲料の製造分野においてはほとんど行われていないというのが現状である。
また、発泡性飲料を容器に注ぐ際に発生する泡全体の動き(泡の動態)は、飲料の外観に大きく影響するため、発泡性飲料に付加価値を与え得る特性の一つである。特に、発泡性飲料をグラス等の透明容器に注ぐ場合には、様々な方向から泡の動態を視認することができるため、飲料の外観に特に大きく影響する。
しかしながら、このような泡の動態に関する技術は、従来ほとんど研究が行われておらず、発泡性飲料において泡の動態を制御するという試みもほとんどなされていないというのが現状である。
特開昭62-135156号公報
本発明者らは、容器に詰められた果汁飲料において、アルコール含有量、エキス分、不活性気体内圧および二酸化炭素内圧をそれぞれ特定の範囲に調整することにより、果汁飲料を詰めた容器を開封し、果汁飲料を別の容器に注いだ場合に、きめ細かい泡が発生すること、さらに該泡が、容器内を上から下に向かって波模様を形成して流れるような動態(カスケード泡の形成)を持続的に示すことを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、容器に詰められた果汁飲料であって、別の容器に注いだ場合にきめ細かい泡を発生し、さらに該泡が、容器内を上から下に向かって波模様を形成して流れるような動態(カスケード泡の形成)を持続的に示す果汁飲料およびその製造方法を提供する。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]容器に詰められた、アルコールを2~30体積%含む果汁飲料であって、エキス分が3.5度以上であり、不活性気体内圧が0.2MPa以上であり、二酸化炭素内圧が0.1MPa未満である、果汁飲料。
[2]果実酒である、[1]に記載の果汁飲料。
[3]前記果実酒がワインである、[2]に記載の果汁飲料。
[4]前記二酸化炭素内圧が0.06MPa以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の果汁飲料。
[5]前記不活性気体が窒素およびアルゴンの少なくとも一種の気体を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の果汁飲料。
[6]前記容器が、密封されたパッケージ容器であって、該パッケージ容器の開封時に気体が前記果汁飲料中に放出される装置を備える、[1]~[5]のいずれかに記載の果汁飲料。
[7]前記装置が、前記二酸化炭素および不活性気体の少なくとも一種の一部または全部を保持する、[6]に記載の果汁飲料。
[8]容器に詰められた果汁飲料を製造する方法であって、
前記果汁飲料におけるアルコール濃度を2~30体積%に調整する工程、
前記果汁飲料におけるエキス分を3.5度以上に調整する工程、
前記果汁飲料における不活性気体内圧を0.2MPa以上に調整する工程、および
前記果汁飲料における二酸化炭素内圧を0.1MPa未満に調整する工程
を含む、方法。
[9]前記果汁飲料が果実酒である、[8]に記載の方法。
[10]前記果実酒がワインである、[9]に記載の方法。
[11]前記二酸化炭素内圧が0.06MPa以下である、[8]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記不活性気体が窒素およびアルゴンの少なくとも一種の気体を含む、[8]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]前記容器が、密封されたパッケージ容器であって、該パッケージ容器の開封時に気体が前記果汁飲料中に放出される装置を備える、[8]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14]前記装置が、前記二酸化炭素および不活性気体の少なくとも一種の一部または全部を保持する、[13]に記載の方法。
本発明によれば、容器に詰められた果汁飲料において、別の容器に注いだ場合にきめ細かい泡を発生させ、さらに該泡が、容器内を上から下に向かって波模様を形成して流れるような動態(カスケード泡の形成)を持続させることができる。
図1は、本発明の果汁飲料を評価用グラスに注いだ場合に発生する、評価グラス内を上から下に向かって波模様を形成して流れるような泡の動態(カスケード泡)の写真である。 図2は、果汁飲料を容器に注いだ場合に発生する泡がカスケード泡として持続する時間を計測するための評価用グラスの模式図である。図2中、斜線で示す面は「傾斜面」である。
[果汁飲料]
本発明の一つの態様によれば、容器に詰められた果汁飲料であって、アルコール含有量、エキス分、不活性気体内圧および二酸化炭素内圧がそれぞれ特定の範囲に調整された果汁飲料(以下、「本発明の果汁飲料」ともいう)が提供される。本発明の果汁飲料は、容器に注いだ場合にきめ細かい泡を発生し、さらに該泡が、容器内を上から下に向かって波模様を形成して流れるような動態(カスケード泡の形成)を持続的に示す。
本発明の果汁飲料において、果汁飲料から発生する泡についての「きめ細かい」とは、発生した泡(気泡)が比較的小さい径を有することをいう。果汁飲料から発生する泡がきめ細かいことによって、泡が発生した状態の果汁飲料を口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が感じられる。
以下、本発明の果汁飲料について説明する。
本発明の果汁飲料は、果汁または果汁の加工物を含む。果汁の加工物としては、飲料に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、果汁の発酵物、抽出物、凍結乾燥物、濃縮物、粉末等が挙げられる。これらは一種を単独で含んでいてもよく、二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
本発明の果汁飲料においては、アルコール(エタノール)の含有量が2~30体積%の範囲に調整される。果汁飲料におけるアルコールの含有量を上記の範囲とすることにより、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、容器内においてカスケード泡の形成を持続させることができる。このようなきめ細かい泡の発生、およびカスケード泡の形成の持続性の観点から、果汁飲料におけるアルコールの含有量は、好ましくは3~30体積%、より好ましくは5~25体積%、より一層好ましくは6~20体積%である。
果汁飲料におけるアルコールの含有量は、エタノールそのもの(例えば、原料アルコール)を果汁飲料に添加することによって調整してもよく、また、果汁飲料において、エタノールを含有する原料、果汁飲料の製造過程においてエタノールを生成する原料等の含有量を増減させることによって調整してもよい。エタノールを含有する原料としては、特に限定されないが、例えば、上述した果汁の発酵物等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の果汁飲料はいわゆるアルコール飲料であり、酒税法により「アルコール分一度以上の飲料」と定義され、かつ食品衛生法上の食品として扱われ、当該法律の適用を受けるものである。本発明の果汁飲料は、穀物や果実等の原料(アルコール原料)に含まれる糖類をアルコール発酵させて得られる発酵物であってもよく、またはそのような発酵物を主な成分として含む飲料であってもよい。なお、酒税法に定義されている通り、「アルコール分」とは、温度15℃における原容量百分中に含有されるエタノールの容量をいう。また、「アルコール度数」とは、果汁飲料に対するエタノールの体積濃度を百分率(%)で表した割合である。
果汁飲料におけるアルコールの含有量は、日本国国税庁が定める方法(日本国国税庁が発行する「国税庁所定分析方法」)に従って、ガスクロマトグラフ法を用いて測定される。
本発明の果汁飲料においては、エキス分が3.5度以上に調整される。果汁飲料におけるエキス分を上記の範囲とすることにより、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、容器内においてカスケード泡の形成を持続させることができる。このようなきめ細かい泡の発生、およびカスケード泡の形成の持続性の観点から、果汁飲料におけるエキス分は大きいほどよく、好ましくは3.9度以上である。一方、エキス分の上限値は、特に限定されないが、果汁飲料の飲みやすさ等の観点から、例えば、50度である。
果汁飲料におけるエキス分は、上述した「国税庁所定分析方法」に従って、以下の方法により算出される。すなわち、必要に応じて果汁飲料から気体を除去し、果汁飲料の密度から換算した果汁飲料の比重をS(15/4℃)とし、「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」に基づいてアルコール分の測定値から換算した比重(比重換算値)をA(15/15℃)とし、下記式によりE(エキス分(度))として算出される。
E=(S-A)×260+0.21
なお、上記の計算の途中においては小数点以下5桁を四捨五入し、E値においては小数点以下2桁を切り捨てる。
果汁飲料におけるエキス分は、果汁飲料において、エキス分を増大させる原料、果汁飲料の製造過程においてエキス分を増大させる物質を生成する原料等の含有量を増減させることによって調整することができる。エキス分を増大させる原料としては、特に限定されないが、例えば、上述した果汁、果汁加工物、糖類(果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、グラニュー糖、多糖類、オリゴ糖類等)、食物繊維、デンプン類、野菜汁等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の果汁飲料においては、不活性気体内圧が0.2MPa以上に調整される。果汁飲料における不活性気体内圧を上記の範囲とすることにより、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、容器内においてカスケード泡の形成を持続させることができる。このようなきめ細かい泡の発生、およびカスケード泡の形成の持続性の観点から、果汁飲料における不活性気体内圧は大きいほどよく、好ましくは0.25MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、より一層好ましくは0.4MPa以上である。一方、不活性気体内圧の上限値は、特に限定されないが、果汁飲料を充填する容器の耐圧性等の観点から、例えば、0.6MPaである。
果汁飲料について、「不活性気体内圧」とは、容器に詰められて密封された20℃の状態の果汁飲料について測定される不活性気体の内圧(不活性気体分圧)をいう。すなわち、「不活性気体内圧が0.2MPa以上」とは、容器に詰められて密封された20℃の状態の果汁飲料において、不活性気体が0.2MPa以上の内圧を有することを意味する。
容器に詰められて密封された状態の果汁飲料の不活性気体の内圧は、果汁飲料中の気体の全内圧(全圧)を測定し、得られた測定値から、後述する方法により測定される二酸化炭素濃度に基づいて算出される二酸化炭素の内圧(二酸化炭素分圧)を差し引いた値として算出することができる。なお、二酸化炭素の内圧の測定は、後述する方法により行うことができる。
果汁飲料中の気体の全圧は、例えば、株式会社クローネ製のデジタル圧力計(KDM-30)を用いて測定することができる。具体的には、上記デジタル圧力計に穿孔針を取り付けた後、穿孔針を果汁飲料が詰められた容器に刺し込み、測定部を果汁飲料の液中に浸し、所定の手順に従って測定することができる。なお、果汁飲料中の気体の全圧は上記の方法により測定することができるが、上記の方法による測定が適切でない場合や困難である等の場合には、例外的に、以下に述べるような方法により果汁飲料中の気体の全圧を予測して決定することができる。まず、例えば、上記デジタル圧力計を用いて測定された全圧と、触圧式の内圧検査機を用いて測定された全圧との関係を示す検量線を準備する。なお、触圧式の内圧検査機としては、例えば、英弘精機株式会社製のテクスチャーアナライザー(TA.XT ExpressC テクスチャーエクスプレス)、プローブp5、ロードセル5kg、荷重5kgを用いることができる。次いで、果汁飲料について、触圧式の内圧検査機を用いて全圧を測定し、得られる測定値から、上記の検量線に基づいて果汁飲料の実際の全圧の予測値を算出する。好ましい実施形態において、果汁飲料について、上記全圧の予測値の算出は、予測精度が5%以内であることを確認した上で行われる。
不活性気体の種類としては、食品衛生上使用することができるものであって、反応性が無いか、または反応性が極めて低い気体あれば特に限定されず、例えば、窒素、貴ガス(希ガス)等が挙げられる。貴ガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましい実施形態において、不活性気体としては、窒素またはアルゴンが単独で用いられる。別の好ましい実施形態において、不活性気体としては、窒素またはアルゴンと他の不活性気体とを組み合わせた混合気体が用いられる。なお、不活性気体として、二種以上の不活性気体を組み合わせた混合気体が用いられる場合、上述した「不活性気体内圧」とは、混合気体の合計内圧を意味する。
果汁飲料における不活性気体内圧は、不活性気体そのものを果汁飲料に添加することによって調整してもよく、また、果汁飲料の製造過程において不活性気体内圧を増大させる(例えば、不活性気体を放出する、不活性気体を生成する)原料等の含有量を増減させることによって調整してもよい。果汁飲料における不活性気体内圧の調整において不活性気体内圧を増大させる原料が用いられる場合、そのような原料は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。一つの好ましい実施形態において、不活性気体として窒素が用いられ、気体状態の窒素および/または液体状態の窒素を果汁飲料に添加することによって、果汁飲料の窒素内圧が調整される。窒素は小さい径を有する微細な気泡を形成しやすいことから、不活性気体として窒素が用いられることにより、本発明の果汁飲料の容器の開封時に微細な泡が発生しやすくなる。
本発明の果汁飲料においては、二酸化炭素内圧が0.1MPa未満に調整される。二酸化炭素は比較的大きい径を有する気泡を形成しやすいことから、果汁飲料における二酸化炭素内圧を上記の範囲とすることにより、果汁飲料を容器に注いだ場合に大きい径を有する泡が発生しにくくすることができる。その結果、果汁飲料を容器に注いだ場合に発生する泡をきめ細かいものとすることができ、また、容器内においてカスケード泡を持続させることができる。このようなきめ細かい泡の発生およびカスケード泡の持続性の観点から、果汁飲料における二酸化炭素内圧は小さいほどよく、好ましくは0.06MPa以下、より好ましくは0.04MPa以下、より一層好ましくは0.01MPa以下である。一方、果汁飲料における二酸化炭素内圧の下限値は特に限定されず、最も好ましくは0MPaである。
果汁飲料について、「二酸化炭素内圧」とは、容器に詰められて密封された状態の20℃の果汁飲料について測定された二酸化炭素の内圧(分圧)をいう。すなわち、「二酸化炭素内圧が0.1MPa未満」とは、容器に詰められて密封された状態の果汁飲料において、二酸化炭素が0.1MPa未満の内圧を有することを意味する。
容器に詰められて密封された状態の果汁飲料の二酸化炭素の内圧は、株式会社アントンパール製の飲料分析システム(PBA-S)を用いて測定した二酸化炭素濃度、および上述した方法により測定された果汁飲料中の気体の全圧から算出することができる。
上述した通り、きめ細かい泡の発生およびカスケード泡の持続性の観点から、果汁飲料における二酸化炭素内圧は小さいほどよいが、必要に応じて上述した範囲内で二酸化炭素内圧を調整することができる。果汁飲料における二酸化炭素内圧は、二酸化炭素そのもの(例えば、気体二酸化炭素(炭酸ガス)、液体二酸化炭素、固体二酸化炭素(ドライアイス)等)、炭酸水等を果汁飲料に添加することによって調整してもよく、また、果汁飲料の製造過程において二酸化炭素内圧を増大させる(例えば、二酸化炭素を放出する、二酸化炭素を生成する)原料等の含有量を増減させることによって調整してもよい。果汁飲料における二酸化炭素内圧を増大させる原料としては、特に限定されないが、例えば、果汁等の発酵物、炭酸塩等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
容器に詰められて密封された果汁飲料中の気体の全内圧(全圧)は、特に限定されないが、果汁飲料を充填する容器の耐久性、製造時の安全性等の観点から、例えば、0.6MPa以下である。
一つの好ましい実施形態において、本発明の容器詰め果汁飲料は、その容器を開封した場合に気体を発生し、その結果、果汁飲料中に50~150μmの径を有する気泡が発生する。特に好ましい実施形態において、本発明の容器詰め果汁飲料は、上記の径を有する気泡が、カスケード泡として発生する。容器開封後の果汁飲料中に発生する気泡径(バブル径)は、例えば、以下の方法によって測定される。すなわち、図2に示すような形状のグラス(すなわち、一つの側面に傾斜面を有する形状のグラス)に、容器詰めされた果汁飲料を注ぎ、発生したカスケード泡をグラスの傾斜面の正面から画像撮影する。撮影された画像からカスケード泡の気泡の円相当径を測定し、得られた測定値に基づいて気泡径を算出する。画像撮影の条件、気泡径の算出方法等については、実施例に記載の条件、方法等を用いることができる。
本発明の果汁飲料は、果汁飲料の製造に用いられる他の成分をさらに含んでもよい。このような他の成分としては、例えば、甘味料(例えば、糖アルコール、高甘味度甘味料、ハチミツ等)、酸味料(例えば、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、フマル酸、酢酸、これらの塩類等)、着色料、香料、食品添加剤(例えば、起泡・泡持ち向上剤、苦味料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤等)等が挙げられる。
本発明の果汁飲料は、果汁または果汁の加工物を含み、上述したアルコール含有量、エキス分、不活性気体内圧および二酸化炭素内圧を満たす限り、どのような種類の飲料であってもよい。本発明の果汁飲料の種類としては、例えば、醸造酒、蒸留酒、混成酒等が挙げられる。
醸造酒とは、蒸留等の工程を経ることなく、酵母による原料のアルコール発酵のみで製造される酒類の総称である。酒税法においては、醸造酒は、清酒、果実酒およびその他の醸造酒に分類されている。
醸造酒の具体例としては、原料中の糖類をそのまま発酵させて得られる単発酵酒(例えば、ワイン(ブドウ酒)、シードル(リンゴ酒)、馬乳酒等)、および原料中のデンプン等の糖類をブドウ糖に分解(糖化)し、そのブドウ糖を発酵させて得られる複発酵酒(例えば、日本酒等)が挙げられる。
蒸留酒とは、醸造酒を蒸留することにより製造される酒類の総称である。酒税法においては、蒸留酒は、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツに分類されている。また、蒸留酒には、蒸留したアルコールに加水したもの、または蒸留したアルコールを木製の樽等で熟成したもの等も含まれる。
蒸留酒の具体例としては、例えば、スピリッツ、ジン、ウォッカ、スピリタス、泡盛、焼酎、ソジュ(韓国焼酎)、白酒(例えば、パイチュウ、高粱酒等)、メスカル(例えば、テキーラ等)、ウイスキー、ブランデー(例えば、コニャック、アルマニャック、カルヴァドス、グラッパ、シンガニ、ピスコ等)、カシャッサ(ピンガ)、ラム酒、アラック(例えば、アクアビット、アルヒ、ラク等)、コルン、キルシュヴァッサー等が挙げられる。
混成酒とは、酒類の内、上述した醸造酒および蒸留酒そのものではない酒類(例えば、チューハイ、RTD、RTS、浸漬酒、リキュール等)の総称であり、酒税法上の「混成酒類」が含まれる。
好ましい実施形態において、本発明の果汁飲料は醸造酒であり、具体的には果実酒(例えば、ワイン、シードル等)、甘味果実酒(例えば、ポートワイン、シェリー、マデイラ、マルサラ、ベルモット等)等である。また、別の好ましい実施形態において、本発明の果汁飲料は混成酒であり、具体的にはチューハイ、RTD、RTS、梅酒、あんず酒、杏仁酒、アマレット、リキュール等である。特に好ましい実施形態において、本発明の果汁飲料はワインであり、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインのいずれも包含される。
本発明の果汁飲料において、果汁飲料を詰める容器は、果汁飲料を詰めて密封することができるパッケージ容器である限り、どのような容器であってもよい。容器としては、例えば、缶、ビン、ペットボトル等が挙げられる。好ましい実施形態において、容器としては、缶、ビンが用いられる。
一つの実施形態において、容器は、気体を保持する装置であって、保持された気体が容器の開封時に放出される装置(「ウィジェット」等ともいう)を備える。容器がこのような装置を有することにより、容器を開封した後に果汁飲料を別の容器に注いだ場合にきめ細かい泡を発生させ、さらにカスケード泡をより一層持続させることができる。装置は容器に固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。
一つの実施形態において、果汁飲料に含まれる二酸化炭素および/または不活性気体は、その一部または全部が上記装置に保持される。一つの好ましい実施形態において、果汁飲料に含まれる二酸化炭素および不活性気体のうち、不活性気体のみが上記装置に保持される。特に、窒素は径が小さい微細な気泡を形成しやすいことから、上記装置が窒素を保持することにより、容器の開封時に装置から放出される気体が微細な泡を形成しやすくなる。したがって、一つの好ましい実施形態において、果汁飲料は不活性気体として窒素を含み、窒素のみが上記装置に保持される。
二酸化炭素および不活性気体の他に、容器の開封時に装置から放出される気体としては、特に限定されず、食品衛生上使用することができるものを適宜選択して使用することができる。
[果汁飲料の製造方法]
本発明の別の態様によれば、容器に詰められた果汁飲料であって、果汁飲料におけるアルコール濃度、エキス分、不活性気体内圧および二酸化炭素内圧が特定の範囲に調整された果汁飲料の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)が提供される。以下、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、容器に詰められた果汁飲料のアルコール濃度を2~30体積%に調整する工程、容器に詰められた果汁飲料におけるエキス分を3.5度以上に調整する工程、容器に詰められた果汁飲料における不活性気体内圧を0.2MPa以上に調整する工程、および容器に詰められた果汁飲料における二酸化炭素内圧を0.1MPa未満に調整する工程を含む。本発明の製造方法において、容器に詰められた果汁飲料におけるアルコール濃度、エキス分、不活性気体内圧および二酸化炭素内圧を調整する方法は、上述した本発明の果汁飲料について説明したのと同様の方法を用いることができる。また、上述したアルコール濃度、エキス分、不活性気体内圧および二酸化炭素内圧の好ましい数値範囲も、上述した本発明の果汁飲料について説明したのと同様の数値範囲とすることができる。
本発明の製造方法に用いられる容器としては、上述した本発明の果汁飲料について説明したのと同様の容器を用いることができる。一つの実施形態において、容器は、気体を保持する装置であって、保持された気体が容器の開封時に放出される装置を備える。上記装置および装置に保持される気体の種類としては、上述した本発明の果汁飲料について説明したのと同様とすることができる。
本発明の製造方法により製造される果汁飲料の種類は、上述した本発明の果汁飲料ついて説明したのと同様の種類とすることができる。すなわち、本発明の製造方法により製造される果汁飲料は、果汁または果汁の加工物を含み、上述したアルコール含有量、エキス分、不活性気体内圧および二酸化炭素内圧を満たす限り、どのような飲料であってもよい。本発明の果汁飲料としては、例えば、醸造酒、混成酒等が挙げられる。
好ましい実施形態において、本発明の製造方法により製造される果汁飲料は醸造酒であり、具体的には果実酒(例えば、ワイン、シードル等)、甘味果実酒(例えば、ポートワイン、シェリー、マデイラ、マルサラ、ベルモット等)等である。また、別の好ましい実施形態において、本発明の製造方法により製造される果汁飲料は混成酒であり、具体的にはチューハイ、RTD、RTS、梅酒、あんず酒、杏仁酒、アマレット、リキュール等である。特に好ましい実施形態において、本発明の製造方法により製造される果汁飲料はワインであり、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインのいずれも包含される。
以下の実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各実施例において用いられる果汁はいずれも濃縮果汁であり、下記の各表中に示す果汁の配合量はいずれもストレート換算した値である。
各評価用飲料の窒素内圧は、以下に示す方法により算出した。なお、特に明記しない限り、圧力の測定は20℃の評価用飲料について行った。
まず、各評価用飲料について、含まれる気体の全圧を、株式会社クローネ製のデジタル圧力計(KDM-30)を用いて測定した。具体的には、上記デジタル圧力計に穿孔針を取り付けた後、穿孔針を各評価用飲料の容器に刺し込み、測定部を各評価用飲料の液中に浸し、所定の手順に従って、各評価用飲料に含まれる気体の全圧を測定した。次いで、各評価用飲料について、二酸化炭素濃度を、株式会社アントンパール製の飲料分析システム(PBA-S)を用いて測定した。また、この方法により測定された二酸化炭素濃度、および上記方法により測定された全圧から、各評価用飲料について二酸化炭素内圧(二酸化炭素分圧)を算出した。次いで、算出された二酸化炭素内圧、および上記方法により測定された全圧から、各評価用飲料について窒素内圧を算出した。下記の各表中に示す窒素内圧の値は、この方法により算出された値である。
実施例1:アルコール濃度の検討1
果汁飲料のアルコール濃度と、果汁飲料を容器に注いだ場合のきめ細かい泡の発生およびその持続性との関連について、以下の手順に従って検討した。
まず、2種類のブドウ(コンコード種、レッドグレープ種)およびパイナップルの果汁(濃縮果汁)、果糖ぶどう糖液糖およびエタノール(原料アルコール)を準備し、下記表1に示す組成およびアルコール濃度となるようにそれぞれを混合および水で希釈して、各果汁飲料を調製した。得られた各果汁飲料を、Ardagh Metal社製のウィジェット缶(総体積380ml)に330ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、表1に示す窒素内圧(0.3MPa)となるように液体窒素を滴下し、ウィジェット缶の蓋を巻き締めて、試験区1-1~1-6の評価用飲料を調製した。
5℃で1日以上静置した各評価用飲料を、図2に示す形状の評価用グラス(開口部60×60mm、底部60×30mm、高さ170mm)に、グラスの開口面の直上7cmの位置から果汁飲料を概ね平均的な速度で注ぎ入れ、10秒間で全量を注ぎ入れた。傾斜面(図2において斜線で示した面)の正面から、果汁飲料から生じた泡がカスケード泡として持続する時間の計測を行った。
また、各評価用飲料を、パイントグラスに全量注ぎ入れ、注ぎ終わり20秒後の各評価用飲料を官能評価試験に供した。官能評価試験では、各評価用飲料について、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)を、よく訓練され、果汁飲料の評価に熟練した4名のパネルにより以下の基準に基づき評価した。
スコア4:非常にエアリーな口当たりが感じられる。
スコア3:エアリーな口当たりが感じられる。
スコア2:ややエアリーな口当たりが感じられる。
スコア1:エアリーな口当たりが感じられない。
各評価用飲料のカスケード泡の持続時間、および官能評価試験の結果をそれぞれ表1に示す。なお、カスケード泡の持続時間が30秒以上であり、かつ明瞭な波模様が観察される場合には、明瞭な波模様および優れたカスケード泡の持続性が奏される(総合判定「○」)と判定し、カスケード泡の持続時間が30秒以上であり、かつ極めて明瞭な波模様が観察される場合には、極めて明瞭な波模様および優れたカスケード泡の持続性が奏される(総合判定「◎」)と判定した。一方、カスケード泡の持続時間が30秒未満である場合には、十分なカスケード泡の持続性が奏されない(総合判定「×」)と判定した。また、官能評価試験の結果は、4名のパネルの平均スコアとした。
Figure 2023035710000002
表1の結果から、果汁飲料のアルコール濃度が6体積%である場合(試験区1-4~1-6)には、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏され、また、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。
実施例2:アルコール濃度の検討2
果汁飲料のアルコール濃度と、果汁飲料を容器に注いだ場合のきめ細かい泡の発生およびその持続性との関連について、以下の手順に従ってさらに検討した。
まず、コンコード種のブドウ果汁(濃縮果汁)、果糖ぶどう糖液糖およびエタノール(原料アルコール)を準備し、下記表2に示す組成およびアルコール濃度となるようにそれぞれを混合および水で希釈して、各果汁飲料を調製した。得られた各果汁飲料を、Ardagh Metal社製のウィジェット缶(総体積380ml)に330ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、表2に示す窒素内圧(0.3MPa)となるように液体窒素を滴下し、ウィジェット缶の蓋を巻き締めて、試験区2-1~2-8の評価用飲料を調製した。なお、試験区2-1としては、実施例1の試験区1-1と同じものを用いた。
得られた各評価用飲料のカスケード泡の持続時間の測定を、実施例1と同様の方法により行った。結果を表2に示す。
Figure 2023035710000003
表2の結果から、果汁飲料のアルコール濃度が2~30体積%である場合(試験区2-2~2-7)には、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。また、表には示していないものの、試験区2-2~2-7では、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏された。
実施例3:エキス分の検討1
果汁飲料のエキス分と、果汁飲料を容器に注いだ場合のきめ細かい泡の発生およびその持続性との関連について、以下の手順に従って検討した。
まず、コンコード種のブドウ果汁(濃縮果汁)、果糖ぶどう糖液糖およびエタノール(原料アルコール)を準備し、下記表3に示す組成およびエキス分となるようにそれぞれを混合および水で希釈して、各果汁飲料を調製した。得られた各果汁飲料を、Ardagh Metal社製のウィジェット缶(総体積380ml)に330ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、表3に示す窒素内圧(0.3MPa)となるように液体窒素を滴下し、ウィジェット缶の蓋を巻き締めて、試験区3-1~3-5の評価用飲料を調製した。
得られた各評価用飲料のカスケード泡の持続時間の測定を、実施例1と同様の方法により行った。結果を表3に示す。
Figure 2023035710000004
表3の結果から、果汁飲料のエキス分が3.5度以上である場合(試験区3-4~3-5)には、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。また、表には示していないものの、試験区3-4~3-5では、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏された。
実施例4:エキス分の検討2
果汁飲料のエキス分と、果汁飲料を容器に注いだ場合のきめ細かい泡の発生およびその持続性との関連について、以下の手順に従ってさらに検討した。
まず、6種の赤ワイン(エゴ(赤)、ピエール&レミー・ゴーティエ(カベルネ・ソービニヨン)、カッシェロ・デル・ディアブロ(カベルネ・ソービニヨン)、おいしい酸化防止剤無添加赤ワイン まろやか、おいしい酸化防止剤無添加赤ワイン ふくよか、おいしい酸化防止剤無添加赤ワイン 濃い甘)、1種の白ワイン(おいしい酸化防止剤無添加白ワイン すっきり)、および2種のロゼワイン(ビストロ、おいしい酸化防止剤無添加ロゼワイン)を準備した。なお、すべてのワインともメルシャン株式会社が販売しているものである。各ワインをArdagh Metal社製のウィジェット缶(総体積380ml)に330ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、表4に示す窒素内圧(0.3MPa)となるように液体窒素を滴下し、ウィジェット缶の蓋を巻き締めて評価用飲料を調製した。なお、各ワインのエキス分およびアルコール分は表4に示す通りであった。
得られた各評価用飲料のカスケード泡の持続時間の測定および官能評価試験を、実施例1と同様の方法により行った。結果を表4に示す。
Figure 2023035710000005
表4の結果から、果汁飲料のエキス分が3.5度以上である場合(試験区4-4~4-9)には、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏され、また、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。
実施例5:エキス分の検討3
果汁飲料のエキス分と、果汁飲料を容器に注いだ場合のきめ細かい泡の発生およびその持続性との関連について、以下の手順に従ってさらに検討した。
まず、実施例4と同様の6種の赤ワイン、1種の白ワインおよび2種のロゼワインを準備した。各ワインを東洋製罐株式会社製のアルミ缶(非ウィジェット缶、総体積360ml)に310ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、表5に示す窒素内圧(0.3MPa)となるように液体窒素を滴下し、アルミ缶の蓋を巻き締めて評価用飲料を調製した。なお、各ワインのエキス分およびアルコール分は表5に示す通りであった。
得られた各評価用飲料のカスケード泡の持続時間の測定および官能評価試験を、実施例1と同様の方法により行った。結果を表5に示す。
Figure 2023035710000006
表5の結果から、果汁飲料のエキス分が3.5度以上である場合(試験区5-4~5-9)には、ウィジェット缶を用いなくても、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏され、また、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。
実施例6:窒素内圧の検討1
果汁飲料の窒素内圧と、果汁飲料を容器に注いだ場合のきめ細かい泡の発生およびその持続性との関連について、以下の手順に従って検討した。
まず、コンコード種のブドウ果汁(濃縮果汁)、果糖ぶどう糖液糖およびエタノール(原料アルコール)を準備し、下記表6に示す組成となるようにそれぞれを混合および水で希釈して、各果汁飲料を調製した。得られた各果汁飲料を、Ardagh Metal社製のウィジェット缶(総体積380ml)に330ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、表6に示す窒素内圧(0.1~0.4MPa)となるように液体窒素を滴下し、ウィジェット缶の蓋を巻き締めて、試験区6-1~6-4の評価用飲料を調製した。
得られた各評価用飲料のカスケード泡の持続時間の測定および官能評価試験を、実施例1と同様の方法により行った。結果を表6に示す。
Figure 2023035710000007
表6の結果から、果汁飲料の窒素内圧が0.2MPa以上である場合(試験区6-2~6-4)には、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏され、また、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。
実施例7:窒素内圧の検討2
果汁飲料の窒素内圧と、果汁飲料を容器に注いだ場合のきめ細かい泡の発生およびその持続性との関連について、以下の手順に従ってさらに検討した。
市販の赤ワインAを準備し、Ardagh Metal社製のウィジェット缶(総体積380ml)に330ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、表7に示す窒素内圧(0.02~0.4MPa)となるように液体窒素を滴下し、ウィジェット缶の蓋を巻き締めて、試験区7-1~7-7の評価用飲料を調製した。
得られた各評価用飲料のカスケード泡の持続時間の測定および官能評価試験を、実施例1と同様の方法により行った。結果を表7に示す。
Figure 2023035710000008
表7の結果から、果汁飲料の窒素内圧が0.2MPa以上である場合(試験区7-4~7-7)には、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏され、また、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。
実施例8:二酸化炭素内圧の検討
果汁飲料の二酸化炭素内圧と、果汁飲料を容器に注いだ場合のきめ細かい泡の発生およびその持続性との関連について、以下の手順に従って検討した。
まず、コンコード種のブドウ果汁(濃縮果汁)、果糖ぶどう糖液糖およびエタノールを準備し、下記表8に示す組成となるようにそれぞれを混合し、二酸化炭素内圧が既知の炭酸水で希釈して、各果汁飲料を調製した。得られた各果汁飲料を、Ardagh Metal社製のウィジェット缶(総体積380ml)に330ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、表8に示す窒素内圧(0.3MPa)となるように液体窒素を滴下し、さらにウィジェット缶の蓋を巻き締めて、試験区8-1~8-4の評価用飲料を調製した。
得られた各評価用飲料のカスケード泡の持続時間の測定および官能評価試験を、実施例1と同様の方法により行った。結果を表8に示す。
Figure 2023035710000009
表8の結果から、果汁飲料の二酸化炭素内圧が0.1MPa未満である場合(試験区8-1~8-2)には、果汁飲料を容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏され、また、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。
なお、各試験区の気泡径(バブル径)を、以下の手順に従って測定した。すなわち、実施例1と同様の方法により評価用グラスに果汁飲料を注ぎ入れ、傾斜面の正面からカスケード泡が発生している部分をハイスピードカメラで撮影した。撮影は、評価用グラスの底面から鉛直上方7cmの高さの位置で行い、撮影開始時間は撮影箇所に気泡群が存在する間の任意の時間とした。撮影された画像を保存し、画像解析ソフト(三谷商事株式会社製、WinRooF)を使用して、焦点が合っている10個の気泡の円相当径を測定した。なお、測定値は、10個の気泡の円相当径の平均値として算出した。撮影条件を以下に示す。
ハイスピードカメラ 株式会社フォトロン社製 FASTCAM SA-3
レンズ ライカ社製 Z16APO
撮影速度 1000~4000fps
シャッター速度 1/Frame sec
解像度 1024×1024
拡大 気泡径に合わせて4~20μm/pixelとなるよう調整
上記の手順に従って測定された各試験区の気泡径の結果を表8に示す。
表8の結果から、果汁飲料の二酸化炭素内圧が0.1MPa未満である場合(試験区8-1~8-2)には、より小さい径の気泡が発生していることが示された。この結果は、果汁飲料の二酸化炭素内圧が0.1MPa未満である場合にきめ細かい泡が発生したことを、気泡径という観点からも裏付けるものであると言える。
実施例9:モデル果汁飲料
本発明のモデルとなる果汁飲料を以下の手順に従って作製した。
まず、コンコード種のブドウ果汁(濃縮果汁)、クエン酸、クエン酸ナトリウム、果糖ぶどう糖液糖およびエタノール(原料アルコール)を準備し、下記表9に示す組成となるように混合してモデル果汁飲料を調製した。得られたモデル果汁飲料を、Ardagh Metal社製のウィジェット缶(総体積380ml)に330ml充填した後、川口液化ケミカル社製の液体窒素滴下装置を用いて、窒素内圧(0.3MPa)となるように液体窒素を滴下し、ウィジェット缶の蓋を巻き締めて、試験区9の評価用飲料を調製した。なお、モデル果汁飲料の二酸化炭素内圧は0.1MPaであった。
得られた評価用飲料のカスケード泡の持続時間の測定および官能評価試験を、実施例1と同様の方法により行った。結果を表9に示す。
Figure 2023035710000010
表9の結果から、アルコール含有量が6体積%、エキス分が7.1度、窒素内圧が0.3MPa、二酸化炭素内圧が0.1MPa未満である試験区9の果汁飲料では、容器に注いだ場合にきめ細かい泡が発生し、口に含んだ時に、空気を多く含んだような軽い口当たり(エアリーな口当たり)が奏され、また、優れたカスケード泡の持続性が奏されることが示された。
本発明によれば、果汁飲料において、容器に注いだ場合にきめ細かい泡を発生させ、さらに該泡が、容器内を上から下に向かって波模様を形成して流れるような動態(カスケード泡の形成)を持続させることができる。

Claims (14)

  1. 容器に詰められた、アルコールを2~30体積%含む果汁飲料であって、エキス分が3.5度以上であり、不活性気体内圧が0.2MPa以上であり、二酸化炭素内圧が0.1MPa未満である、果汁飲料。
  2. 果実酒である、請求項1に記載の果汁飲料。
  3. 前記果実酒がワインである、請求項2に記載の果汁飲料。
  4. 前記二酸化炭素内圧が0.06MPa以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の果汁飲料。
  5. 前記不活性気体が窒素およびアルゴンの少なくとも一種の気体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の果汁飲料。
  6. 前記容器が、密封されたパッケージ容器であって、該パッケージ容器の開封時に気体が前記果汁飲料中に放出される装置を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の果汁飲料。
  7. 前記装置が、前記二酸化炭素および不活性気体の少なくとも一種の一部または全部を保持する、請求項6に記載の果汁飲料。
  8. 容器に詰められた果汁飲料を製造する方法であって、
    前記果汁飲料におけるアルコール濃度を2~30体積%に調整する工程、
    前記果汁飲料におけるエキス分を3.5度以上に調整する工程、
    前記果汁飲料における不活性気体内圧を0.2MPa以上に調整する工程、および
    前記果汁飲料における二酸化炭素内圧を0.1MPa未満に調整する工程
    を含む、方法。
  9. 前記果汁飲料が果実酒である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記果実酒がワインである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記二酸化炭素内圧が0.06MPa以下である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記不活性気体が窒素およびアルゴンの少なくとも一種の気体を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記容器が、密封されたパッケージ容器であって、該パッケージ容器の開封時に気体が前記果汁飲料中に放出される装置を備える、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記装置が、前記二酸化炭素および不活性気体の少なくとも一種の一部または全部を保持する、請求項13に記載の方法。
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