JP2023035564A - 壁用臭気封止材及び壁材 - Google Patents

壁用臭気封止材及び壁材 Download PDF

Info

Publication number
JP2023035564A
JP2023035564A JP2021142520A JP2021142520A JP2023035564A JP 2023035564 A JP2023035564 A JP 2023035564A JP 2021142520 A JP2021142520 A JP 2021142520A JP 2021142520 A JP2021142520 A JP 2021142520A JP 2023035564 A JP2023035564 A JP 2023035564A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
paper
odor
anchor coat
wallpaper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021142520A
Other languages
English (en)
Inventor
真弓 氏居
Mayumi Ujii
菜月 山村
Natsuki Yamamura
伸夫 古沢
Nobuo Furusawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2021142520A priority Critical patent/JP2023035564A/ja
Publication of JP2023035564A publication Critical patent/JP2023035564A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】壁紙の意匠性を低下させることなく、壁紙や建物への臭気の付着を抑制することが可能な、壁用臭気封止材及び壁材を提供する。【解決手段】壁材200は、壁紙の裏面に配置される壁用臭気封止材100と、壁用臭気封止材100の壁紙と対向する面に積層された表面基材210とを備え、壁用臭気封止材100は、壁紙の裏面と対向して配置され、且つ紙の材料を用いて形成された紙基材層11と、紙基材層11に積層され、且つポリオレフィンを含むアンカーコート層12と、アンカーコート層12に積層され、且つ金属又は無機化合物を蒸着して形成された蒸着層13とを備え、アンカーコート層12が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、建造物の内装等に用いられる壁紙に用いる壁用臭気封止材と、壁用臭気封止材を備える壁材に関する。
建物の老朽化や居住者の生活状況によって、室内に強い臭いや異臭が発生し、住宅の居住性や快適性が低下することがある。強い臭いや異臭は、例えば、建物の床や壁の内部に用いられる建材が含む各種の化学物質や、建材に染み込んだ室内の臭いが室内に拡散することにより生じる。
壁紙に臭気が染み込むことを防止するために、例えば、特許文献1に開示されているフィルムがある。特許文献1に開示されているフィルムは、壁紙に貼り付けるフィルムであり、アミノ基を有する化合物を担持する粒子状吸着剤を含む層と、アミノ基を有する化合物を担持しない粒子状吸着剤を含む層とを積層して形成されている。
特開2012-210718号公報
一般的な壁紙や壁紙の下地となる建物の壁面に付着した臭気を除去するために、特許文献1に開示されているフィルムを壁材の表面に貼り付けた場合、壁紙の質感や意匠性が低下するという課題があった。
本発明は、上述した問題点を鑑み、壁紙の意匠性を低下させることなく、壁紙や建物への臭気の付着を抑制することが可能な、壁用臭気封止材及び壁材を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、壁紙の裏面に配置される壁用臭気封止材であって、紙基材層と、アンカーコート層と、蒸着層とを備える。紙基材層は、壁紙の裏面と対向して配置され、且つ紙材料を用いて形成されている。アンカーコート層は、紙基材層の壁紙と対向する面と反対側の面に積層され、且つポリオレフィンを含む。蒸着層は、アンカーコート層の紙基材層と対向する面と反対側の面に積層され、且つ金属又は無機化合物を蒸着して形成されている。そして、アンカーコート層が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する。
また、上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、壁紙の裏面に配置される壁用臭気封止材であって、原紙層と、アンカーコート層と、蒸着層とを備える。原紙層は、壁紙の裏面と対向して配置され、且つ紙の材料を含む。アンカーコート層は、原紙層の壁紙と対向する面と反対側の面に積層され、且つポリオレフィンを含む。蒸着層は、アンカーコート層の原紙層と対向する面と反対側の面に積層され、且つ金属又は無機化合物を蒸着して形成されている。そして、原紙層は、紙基材と、紙基材のアンカーコート層と対向する面に積層された第一積層樹脂層及び紙基材のアンカーコート層と対向する面と反対側の面に積層された第二積層樹脂層のうち少なくとも一方とを含む。さらに、アンカーコート層が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する。
また、上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、壁用臭気封止材と、壁用臭気封止材の壁紙と対向する面に積層された表面基材とを備える壁材である。
本発明の一態様によれば、壁紙の意匠性を低下させることなく、壁紙や建物への臭気の付着を抑制することが可能な、壁用臭気封止材及び壁材を提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態における壁用臭気封止材及び壁材の構成例を示す断面図である。 本発明の第2実施形態における壁用臭気封止材及び壁材の構成例を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本技術の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本技術の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
(第1実施形態)
以下、図1を参照して、壁材200の構成について説明する。
壁材200は、図1に示すように、壁用臭気封止材100と、表面基材210を備える。
(壁用臭気封止材の構成)
壁用臭気封止材100は、例えば、建物の壁面に貼り付ける壁紙の裏面に配置される。
また、壁用臭気封止材100は、バリア層10と、プライマー層20と、接着層30を備える。
<バリア層>
バリア層10は、室内の臭いや臭いの原因となる液体等が、建物の壁面を形成するコンクリートや板(以下、「下地」と記載する場合がある)に透過することや、下地から室内に各種の化学物質が拡散することを防止する機能を有する層である。
また、バリア層10は、紙基材層11と、アンカーコート層12と、蒸着層13と、オーバーコート層14を備える。
(紙基材層)
紙基材層11は、壁紙の裏面と対向して配置されていると共に、紙の材料を用いて形成された層である。
なお、紙基材層11の構成は、特に限定されるものではなく、壁用臭気封止材100が適用される壁紙の用途に応じて、適宜選択することが可能である。
紙基材層11の材料は、植物由来のパルプを主成分としている紙であればよく、例えば、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙、グラシン紙等を用いることが可能である。
紙基材層11の材料である紙の質量は、バリア層10の質量を基準として、50質量%以上95質量%以下に設定する。紙基材層11の材料である紙の質量を、バリア層10の質量を基準として50質量%以上に設定する理由は、紙基材層11の材料である紙の質量が、バリア層10の質量を基準として50質量%以上であれば、プラスチック材料の使用量を十分に削減することが可能である理由を含む。これに加え、バリア層10の全体を基準として、紙製である部分が多いため、リサイクル性に優れる理由を含む。
第1実施形態では、一例として、紙基材層11の材料である紙の質量を、バリア層10の質量を基準として、80質量%以上95質量%以下に設定した場合について説明する。なお、紙基材層11の材料である紙の質量は、バリア層10の質量を基準として、70質量%以上95質量%以下に設定してもよい。
紙基材層11の厚さは、例えば、30[μm]以上100[μm]以下に設定する。紙基材層11の厚さを30[μm]以上100[μm]以下に設定する理由は、紙基材層11の厚さが30[μm]以上であれば、紙基材層11の厚さが30[μm]未満である場合と比較して、ガスバリア性をより向上させることが可能である理由を含む。これに加え、紙基材層11の厚さが100[μm]以下であれば、紙基材層11の厚さが100[μm]を超える場合と比較して、安定して臭気の拡散を抑制することが可能である理由を含む。
第1実施形態では、一例として、紙基材層11の厚さを、30[μm]以上70[μm]以下に設定した場合について説明する。
また、紙基材層11の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、バリア層10の厚さのうち70%以上に設定する。紙基材層11の厚さを、バリア層10の厚さのうち70%以上に設定する理由は、紙基材層11の厚さが、バリア層10の厚さのうち70%以上であれば、紙基材層11の厚さが、バリア層10の厚さのうち70%未満である場合と比較して、環境適性を向上させることが可能である理由を含む。
紙基材層11のうちアンカーコート層12と対向する面には、コート層(図示略)が設けられている。
紙基材層11にコート層を設けることで、紙基材層11の材料である紙に、アンカーコート層12が染み込むことを抑制することが可能である。これに加え、紙基材層11の材料である紙に形成されている凹凸を埋める目止めの役割を果たすことも可能であるため、アンカーコート層12を欠陥なく均一に製膜することが可能となる。
また、コート層には、バインダー樹脂として、例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、パラフィン(WAX)等を用いる。これに加え、填料として、例えば、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等を用いる。
コート層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1[μm]以上10[μm]以下に設定する。コート層の厚さを1[μm]以上10[μm]以下に設定する理由は、コート層の厚さが1[μm]以上であれば、アンカーコート層12をより均一に製膜することが可能である理由を含む。これに加え、コート層の厚さが10[μm]以下であれば、コストを抑制すると共に、バリア層10が備える複数の層を、均一に製膜することが可能である理由を含む。
第1実施形態では、一例として、コート層の厚さを、3[μm]以上8[μm]以下に設定した場合について説明する。
(アンカーコート層)
アンカーコート層12は、紙基材層11の壁紙と対向する面と反対側の面に積層されており、ポリオレフィンを含む層である。
アンカーコート層12が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する。
アンカーコート層12は、ポリオレフィンに加え、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール等を用いることが可能である。
アンカーコート層12におけるポリオレフィンの含有量は、例えば、50質量%以上に設定する。アンカーコート層12におけるポリオレフィンの含有量を50質量%以上に設定する理由は、アンカーコート層12におけるポリオレフィンの含有量が50質量%以上であれば、ガスバリア性を向上させ、臭気の拡散を抑制することが可能である理由を含む。
第1実施形態では、一例として、アンカーコート層12におけるポリオレフィンの含有量を、70質量%以上に設定した場合について説明する。
アンカーコート層12の厚さは、例えば、2[μm]以上10[μm]以下に設定する。アンカーコート層12の厚さを2[μm]以上10[μm]以下に設定する理由は、アンカーコート層12の厚さが2[μm]以上であれば、ヒートシール層としての役割を十分に発揮することが可能である理由を含む。これに加え、アンカーコート層12の厚さが10[μm]以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層に対する密着性やバリア性を十分に発揮することが可能である理由を含む。
第1実施形態では、一例として、アンカーコート層12の厚さを、3[μm]以上8[μm]以下に設定した場合について説明する。
アンカーコート層12を形成する方法としては、例えば、紙基材層11にポリオレフィン及び溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させる方法を用いる。塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルを用いることが可能である。塗液に含まれる溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、塗液に含まれる溶媒としては、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水を用いることが好適である。さらに、環境面への影響の観点から、塗液に含まれる溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水を用いることがより好適である。
(蒸着層)
蒸着層13は、アンカーコート層12の紙基材層11と対向する面と反対側の面に積層されており、金属又は無機化合物を蒸着して形成された層である。また、蒸着層13は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムのうち少なくとも一つを含む薄膜層である。なお、蒸着層13には、無機酸化物と共に、微量の不純物が含まれていても良い。
蒸着層13の厚さは、使用用途によって適宜設定すればよいが、例えば、30[nm]以上100[nm]以下に設定する。蒸着層13の厚さを30[nm]以上100[nm]以下に設定する理由は、蒸着層13の厚さを30[nm]以上とすることで、蒸着層13の連続性を十分なものとしやすくなる理由を含む。これに加え、蒸着層13の厚さを100[nm]以下とすることで、カールやクラックの発生を十分に抑制することが可能となり、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい理由を含む。
第1実施形態では、一例として、蒸着層13の厚さを、50[nm]以上80[nm]以下に設定した場合について説明する。
蒸着層13は、真空成膜手段によって成膜することが、酸素ガスバリア性能や膜均一性の観点から好適である。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)等、公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから、真空蒸着法が好適である。真空蒸着法における加熱手段としては、電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のうち、いずれかの方式を用いることが好適であり、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流等で制御しやすいことや、蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることを考慮すると、電子線加熱方式を用いることがより好適である。
また、蒸着層13とアンカーコート層12との密着性及び蒸着層13の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着層13を構成する蒸着膜の透明性を向上させるために、蒸着の際、酸素等の各種ガス等を吹き込む反応蒸着を用いてもよい。
(オーバーコート層)
オーバーコート層14は、蒸着層13のアンカーコート層12と対向する面と反対側の面に積層されており、ポリオレフィンを含む層である。
オーバーコート層14が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する。
オーバーコート層14は、ポリオレフィンに加え、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール等を用いることが可能である。
オーバーコート層14におけるポリオレフィンの含有量は、例えば、50質量%以上に設定する。オーバーコート層14におけるポリオレフィンの含有量を50質量%以上に設定する理由は、オーバーコート層14におけるポリオレフィンの含有量が50質量%以上であれば、ガスバリア性を向上させ、臭気の拡散を抑制することが可能である理由を含む。
第1実施形態では、一例として、オーバーコート層14におけるポリオレフィンの含有量を、70質量%以上に設定した場合について説明する。
オーバーコート層14の厚さは、例えば、2[μm]以上10[μm]以下に設定する。オーバーコート層14の厚さを2[μm]以上10[μm]以下に設定する理由は、オーバーコート層14の厚さが2[μm]以上であれば、ヒートシール層としての役割を十分に発揮することが可能である理由を含む。これに加え、オーバーコート層14の厚さが10[μm]以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層に対する密着性やバリア性を十分に発揮することが可能である理由を含む。
第1実施形態では、一例として、オーバーコート層14の厚さを、3[μm]以上8[μm]以下に設定した場合について説明する。
オーバーコート層14を形成する方法としては、例えば、紙基材層11にポリオレフィン及び溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させる方法を用いる。塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルを用いることが可能である。塗液に含まれる溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、塗液に含まれる溶媒としては、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水を用いることが好適である。さらに、環境面への影響の観点から、塗液に含まれる溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水を用いることがより好適である。
<プライマー層>
プライマー層20は、オーバーコート層14に積層された層であり、バリア層10と接着層30との接着性を向上させるために設けられている。
プライマー層20を構成するプライマーとしては、ポリブチレンカーボネート樹脂を使用することが好適である。ポリブチレンカーボネート樹脂以外に、プライマー層20を構成するプライマーとしては、例えば、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の樹脂材料を、単独又は混合して用いることが可能である。プライマー層20は、樹脂材料を、ロールコート法やグラビア印刷法等、適宜の塗布手段を用いて、バリア層10に塗布することにより形成される。
また、プライマー層20を構成するプライマーとしては、アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と、イソシアネートとを含む樹脂で形成することが可能である。アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとし、プレポリマーにジアミン等の鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得ることが可能である。
成分A、成分B、成分Cを配合して反応させることにより、ポリエステルウレタンが形成されると共に、アクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル-ポリエステルウレタン共重合体が形成される。そして、プライマー層20を構成するプライマーは、アクリル-ポリエステルウレタン共重合体の末端に配置された水酸基を、イソシアネートと反応させて硬化させることにより形成される。
成分Aとしては、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。特に、成分Aとして、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いることが、耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れウレタンと共重合させて相溶化するのが容易である点から好適である。
成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となり、分子量5000~7000(重量平均分子量)であることが耐候性、接着性の観点からさらに好適である。また、成分Aは、両末端に水酸基を有する重合体のみを用いてもよいが、一方の末端のみに共役二重結合が残っている重合体と、両末端に水酸基を有する重合体とを混合して用いてもよい。
成分Bとしては、成分C(ジイソシアネート成分)と反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する材料が用いられる。成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。ポリエステルジオールとしては、芳香族又はスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物、又はその誘導体、又はエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、及び環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を用いることが可能である。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール、1,4-シクロへキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を用いることが可能である。
また、塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を用いることが可能である。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物を用い、ジオール成分として3-メチルペンテンジオール及び1,4-シクロへキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
成分Bと成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、プライマー層20に柔軟性を与え、接着性向上に寄与する。また、アクリル重合体を含むアクリル樹脂成分は、プライマー層20の耐候性及び耐ブロッキング性に寄与する。
ウレタン樹脂における成分Bの分子量は、プライマー層20に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよい。例えば、成分Bがアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3-メチルペンテンジオール及び1,4-シクロへキサンジメタノールを含むポリエステルジオールの場合、成分Bの分子量が500以上5000以下(重量平均分子量)であることが好適である。
成分Cとしては、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族又は脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4’-シクロヘキシルジイソシアネート等を用いることが可能である。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが、物性及びコストが優れる点で好適である。
成分A~Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオール及び後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基は、イソシアネート基が過剰となるように双方の当量比を調整する。
三成分A、B、Cを60℃~120℃の環境下において、2時間~10時間程度の時間をかけて反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応して、ポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共に、アクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在する。
これにより、過剰のイソシアネート基及び水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。形成されたプレポリマーに、鎖延長剤として、例えば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を鎖延長剤と反応させ、鎖延長する。これにより、アクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル-ポリエステルウレタン共重合体を得ることが可能となる。
アクリル-ポリエステルウレタン共重合体にイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節して塗布液を調整する。調整した塗布液を、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法でバリア層10に塗布することにより、プライマー層20が形成される。
イソシアネートとしては、アクリル-ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、例えば、2価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートを用いることが可能である。特に、熱変色防止や耐候性の点から、脂肪族イソシアネートを用いることが望ましい。脂肪族イソシアネートとしては、具体的に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、又はこれらの2量体、3量体等の多量体、又はこれらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネート等を用いることが可能である。
プライマー層20の乾燥後の塗布量は、1[g/m]以上20[g/m]以下であることが好適であり、1[g/m]以上5[g/m]以下であることがより好適である。
また、プライマー層20には、必要に応じて、シリカ粉末等の充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
<接着層>
接着層30は、プライマー層20に積層された層である。
また、接着層30は、例えば、接着基材31と、接着基材31に設けられた粘着層32と、を備えており、例えば、シート状に形成されている。
接着基材31は、網状シート材を用いて形成された支持体である。また、支持体としては、例えば、不織布、織布が用いられる。また、接着基材31は、支持体が、例えば、樹脂フィルムで貼り合わされたラミネートクロス、又は、支持体の表面が樹脂材料で覆われたコーティングクロスであってもよい。
粘着層32は、網状シート材に含浸されたアクリル系樹脂を含む層であり、公知の樹脂材料により形成することが可能である。粘着層32を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体を用いることが可能である。これらの樹脂は単独、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。
粘着層32の形成量(塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量)は、0.1[g/m]以上2.0[g/m]以下であることが好ましい。
また、粘着層32には、上述した性能を損なわない範囲内で、樹脂以外の公知の添加剤を用いることが可能である。添加剤としては、例えば、無機顔料微粒子、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、離型剤、ワックス・樹脂フィラーに代表される滑り剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等を用いることが可能である。
接着層30を設けることにより、壁用臭気封止材100は、いわゆるタック加工された建材用の防臭シートとなる。このため、壁用臭気封止材100を施工する際に、下地へ容易に貼り付けることが可能となり、壁用臭気封止材100の施工性を向上させることが可能となる。
すなわち、壁用臭気封止材100には、タック加工が施されている。
なお、上述した第1実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第1実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の壁用臭気封止材100であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)紙基材層11に積層され、且つポリオレフィンを含むアンカーコート層12と、アンカーコート層12に積層され、且つ金属又は無機化合物を蒸着して形成された蒸着層13を備える。これに加え、アンカーコート層12が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する。
このため、蒸着層13により臭気を透過させ、室内への臭気の拡散を防止することが可能となり、高い防臭機能を発揮することが可能となる。
その結果、壁紙の意匠性を低下させることなく、壁紙や建物への臭気の付着を抑制することが可能な、壁用臭気封止材100を提供することが可能となる。
また、アンカーコート層12の柔軟性を向上させることが可能となり、屈曲後(折り曲げ後)に蒸着層13の割れを抑制することが可能であると共に、アンカーコート層12と蒸着層13との密着性を向上させることが可能となる。これに加え、カルボキシル基等による緻密な膜を形成することが可能となり、水蒸気バリア性に優れるバリア層10を形成することが可能となる。
(2)蒸着層13の厚さが、30[nm]以上100[nm]以下である。
その結果、カールやクラックの発生を抑制しつつ、十分なガスバリア性能を確保することが可能であると共に、可撓性を向上させることが可能となる。
(3)アンカーコート層12の厚さが、2[μm]以上10[μm]以下である。
その結果、製造に要するコストを低下させると共に、紙基材層11に対する密着性を向上させることが可能となる。これに加え、バリア性を向上させることが可能となる。
(4)蒸着層13に積層され、且つポリオレフィンを含むオーバーコート層14をさらに備え、オーバーコート層14が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する。
その結果、オーバーコート層14の柔軟性を向上させることが可能となり、屈曲後(折り曲げ後)に蒸着層13の割れを抑制することが可能であると共に、オーバーコート層14とに蒸着層13との密着性を向上させることが可能となる。これに加え、カルボキシル基等による緻密な膜を形成することが可能となり、水蒸気バリア性に優れるバリア層10を形成することが可能となる。
(5)オーバーコート層14の厚さが、2[μm]以上10[μm]以下である。
その結果、製造に要するコストを低下させると共に、蒸着層13に対する密着性を向上させることが可能となる。これに加え、バリア性を向上させることが可能となる。
(6)タック加工が施されている。
その結果、容易に施工可能となり、高い施工性を有することが可能となる。
また、第1実施形態の壁材200であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(7)壁用臭気封止材100と、壁用臭気封止材100の壁紙と対向する面に積層された表面基材210とを備える。
その結果、壁紙の意匠性を低下させることなく、壁紙や建物への臭気の付着を抑制することが可能な、壁材200を提供することが可能となる。
(第2実施形態)
以下、図2を参照して、壁材200の構成について説明する。
壁材200は、図2に示すように、壁用臭気封止材100と、表面基材210を備える。なお、表面基材210の構成は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(壁用臭気封止材の構成)
壁用臭気封止材100は、バリア層10と、プライマー層20と、接着層30を備える。
第2実施形態の構成は、バリア層10の構成を除き、上述した第1実施形態と同様であるため、プライマー層20と接着層30については、説明を省略する。
<バリア層>
バリア層10は、原紙層60と、アンカーコート層12と、蒸着層13と、オーバーコート層14を備える。なお、アンカーコート層12と、蒸着層13と、オーバーコート層14の構成は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(原紙層)
原紙層60は、壁紙の裏面と対向して配置されており、紙の材料を含む層である。
また、原紙層60は、紙基材61と、第一積層樹脂層62と、第二積層樹脂層63を含む。
原紙層60の厚さは、例えば、15[μm]以上150[μm]以下に設定する。原紙層60の厚さを、15[μm]以上150[μm]以下に設定する理由は、原紙層60の厚さが15[μm]以上の場合、表面基材である壁紙や化粧材を剥がすことが容易である理由を含む。これに加え、原紙層60の厚さが150[μm]以下の場合、製造コストを低減させることが可能である理由を含む。
(紙基材)
紙基材61は、紙の材料を用いて形成されている。
なお、紙基材61の構成は、特に限定されるものではなく、壁用臭気封止材100が適用される壁紙の用途に応じて、適宜選択することが可能である。
紙基材61の材料は、植物由来のパルプを主成分としている紙であればよく、例えば、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙、グラシン紙等を用いることが可能である。
紙基材61の材料である紙の質量は、バリア層10の質量を基準として、50質量%以上95質量%以下に設定する。紙基材61の材料である紙の質量を、バリア層10の質量を基準として50質量%以上に設定する理由は、紙基材61の材料である紙の質量が、バリア層10の質量を基準として50質量%以上であれば、プラスチック材料の使用量を十分に削減することが可能である理由を含む。これに加え、バリア層10の全体を基準として、紙製である部分が多いため、リサイクル性に優れる理由を含む。
第2実施形態では、一例として、紙基材61の材料である紙の質量を、バリア層10の質量を基準として、80質量%以上95質量%以下に設定した場合について説明する。なお、紙基材61の材料である紙の質量は、バリア層10の質量を基準として、70質量%以上95質量%以下に設定してもよい。
紙基材61の厚さは、例えば、30[μm]以上100[μm]以下に設定する。紙基材61の厚さを30[μm]以上100[μm]以下に設定する理由は、紙基材61の厚さが30[μm]以上であれば、紙基材61の厚さが30[μm]未満である場合と比較して、ガスバリア性をより向上させることが可能である理由を含む。これに加え、紙基材61の厚さが100[μm]以下であれば、紙基材61の厚さが100[μm]を超える場合と比較して、安定して臭気の拡散を抑制することが可能である理由を含む。
第2実施形態では、一例として、紙基材61の厚さを、30[μm]以上70[μm]以下に設定した場合について説明する。
また、紙基材61の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、バリア層10の厚さのうち70%以上に設定する。紙基材61の厚さを、バリア層10の厚さのうち70%以上に設定する理由は、紙基材61の厚さが、バリア層10の厚さのうち70%以上であれば、紙基材61の厚さが、バリア層10の厚さのうち70%未満である場合と比較して、環境適性を向上させることが可能である理由を含む。
(第一積層樹脂層)
第一積層樹脂層62は、紙基材61のアンカーコート層12と対向する面に積層されている。
第一積層樹脂層62の材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂材料を用いることが好適である。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が用いることが可能である。特に、安価で加工性に優れる点から、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン(PE)を用いることが好適である。
(第二積層樹脂層)
第二積層樹脂層63は、紙基材61のアンカーコート層12と対向する面と反対側の面に積層されている。
第二積層樹脂層63の材料としては、第一積層樹脂層62と同様、例えば、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂材料を用いることが好適である。
(原紙層の形成)
原紙層60は、例えば、紙基材61に対して、第一積層樹脂層62及び第二積層樹脂層63の材料である樹脂材料を、押出ラミネートすることにより形成する。
なお、上述した第2実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第2実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の壁用臭気封止材100であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)壁紙の裏面と対向して配置され、且つ紙の材料を含む原紙層60と、アンカーコート層12と、蒸着層13とを備える。そして、原紙層60は、紙の材料を用いて形成された紙基材61と、第一積層樹脂層62及び第二積層樹脂層63のうち少なくとも一方とを含む。これに加え、アンカーコート層12が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する。
このため、バリア層10の上面(原紙層60の上面)から表面基材210を施工することが可能となる。これに加え、水濡れ耐性を向上させることが可能となり、壁面から水分が大量にしみ込んだ場合においても、バリア層10の破損を抑制することが可能となる。
その結果、壁紙の意匠性を低下させることなく、壁紙や建物への臭気の付着を抑制することが可能な、壁用臭気封止材100を提供することが可能となる。
第2実施形態の壁材200であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(2)壁用臭気封止材100と、壁用臭気封止材100の壁紙と対向する面に積層された表面基材210とを備える。
その結果、壁紙の意匠性を低下させることなく、壁紙や建物への臭気の付着を抑制することが可能な、壁材200を提供することが可能となる。
第1実施形態を参照しつつ、以下、実施例1の壁用臭気封止材と、比較例1から4の壁用臭気封止材について説明する。
(実施例1)
紙基材層は、紙の厚さが28[μm]であり、クレーコート層の厚さが5[μm]であるクレーコート紙を用いて形成した。
アンカーコート層は、紙基材層にカルボキシル基の塩を含む塗液(三井化学株式会社製:ケミパールS500)をバーコーターで塗工した後、オーブンで乾燥させて形成した。アンカーコート層の厚さは、3[μm]とした。
蒸着層は、アンカーコート層に真空蒸着法にてAL蒸着を施して形成した。蒸着層の厚さは、50[nm]とした。
オーバーコート層は、蒸着層にカルボキシル基の塩を含む塗液(三井化学株式会社製:ケミパールS500)をバーコーターで塗工した後、オーブンで乾燥させて形成した。オーバーコート層の厚さは、3[μm]とした。
以上の方法により、バリア層を作成した。
バリア層を作成した後、オーバーコート層に、グラビア印刷法を用いて、ポリブチレンカーボネート樹脂を、固形分としての塗布量が1[g/m]となるように塗布した。
次に、ポリブチレンカーボネート樹脂の表面に、接着シート(恵比寿化成株式会社製、#703N)を貼り付けて接着層を形成した。接着シートは、接着基材であるラミネートクロスの表面にアクリル樹脂を塗布した後、乾燥させて粘着層を形成したものである。
さらに、ポリブチレンカーボネート樹脂を乾燥させることにより、バリア層と接着層との間にプライマー層を形成した。
以上により、実施例1の壁用臭気封止材を形成した。
(比較例1)
バリア層の構成を、以下の構成とした点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例1の壁用臭気封止材を形成した。
天間特殊紙製の原紙(「TNK28」、坪量:28[g/m])に、コート紙を挟んでラミネートした厚さが22[μm]のポリエチレンフィルムを積層した。さらに、凸版印刷社製の「GLフィルム」をラミネートした厚さが12[μm]のポリエチレンフィルムを積層した後、例えば、アクリル系樹脂を主鎖とするウレタン系アンカー剤を用いて形成したアンカー層を、さらに積層させた。次に、厚さが12[μm]である凸版印刷社製の「GLフィルム」を積層させて、バリア層を形成した。
なお、アンカー層を形成するアクリル系樹脂を主鎖とするウレタン系アンカー剤としては、例えば、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを用いて形成された2液硬化型ウレタン樹脂を用いることが可能である。
(比較例2)
バリア層の構成を、以下の構成とした点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例2の壁用臭気封止材を形成した。
天間特殊紙製の原紙(「TNK28」、坪量:28[g/m])に、厚さが12[μm]である凸版印刷社製の「GLフィルム」を積層させて、バリア層を形成した。
(比較例3)
バリア層の構成を、以下の構成とした点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例3の壁用臭気封止材を形成した。
天間特殊紙製の原紙(「TNK28」、坪量:28[g/m])に、コート紙を挟んでラミネートした厚さが22[μm]のポリエチレンフィルムを積層した。さらに、凸版印刷社製の「GLフィルム」をラミネートした厚さが12[μm]のポリエチレンフィルムを積層した後、例えば、アクリル系樹脂を主鎖とするウレタン系アンカー剤を用いて形成したアンカー層を、さらに積層させた。次に、二軸延伸エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)フィルムを積層させて、バリア層を形成した。
(比較例4)
バリア層の構成を、以下の構成とした点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例4の壁用臭気封止材を形成した。
天間特殊紙製の原紙(「TNK28」、坪量:28[g/m])に、二軸延伸エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)フィルムを積層させて、バリア層を形成した。
(性能評価、評価結果)
実施例1の壁用臭気封止材と、比較例1から4の壁用臭気封止材に対し、それぞれ、異なる室内において壁紙の下層に施工し、それぞれの室内について、臭気抑制機能、施工性(切削性)、コスト(製造コスト)、環境負荷を評価した。評価方法としては、以下に記載した方法を用いた。
<臭気抑制機能>
各室内において、複数の測定日において室内空気質の測定を行い、臭気の抑制効果を確認した。臭気抑制機能の評価では、臭気が観測される各室内において、壁用臭気封止材及び壁材の施工前における臭気と、壁用臭気封止材及び壁材の施工を行った後に所定期間が経過した後の臭気とを、7人の評価者が各室内の臭いをかぐことにより確認した。
そして、7人の観測者全員が壁用臭気封止材の施工前後で臭気の抑制を確認できた場合を「○」と評価し、7人の観測者全員が壁用臭気封止材の施工前後で臭気の抑制を確認できなかった場合を「×」と評価した。
<施工性>
壁用臭気封止材をハサミ又はカッターにて切削し、壁用臭気封止材を容易に切削することが可能であった場合を「○」と評価し、壁用臭気封止材の切削は可能だが、困難を伴う場合を「×」と評価した。
<コスト>
壁用臭気封止材の製造コストを、壁用臭気封止材の製造コストが安価な場合を「○」と評価し、壁用臭気封止材の製造コストが評価「○」に対して高価である場合を「△」と評価した。
<環境適性>
壁用臭気封止材の全体における樹脂使用率の相対比較を行い、壁用臭気封止材の全体における樹脂使用率が低い場合を「○」と評価し、壁用臭気封止材の全体における樹脂使用率が評価「○」に対して高い場合を「△」と評価した。
(評価結果)
以下、臭気抑制機能、施工性、コスト、環境適性の評価結果を示す。
Figure 2023035564000002
上述した方法を用いて、各種の性能を評価した結果、実施例1の壁用臭気封止材は、全ての評価試験に対して、優れた性能を示した。一方、比較例1から4の壁用臭気封止材は、全ての評価試験に対しては、優れた性能を示すことが不可能であった。
以上の評価結果から、実施例1の壁用臭気封止材を用いた室内では、比較例3及び4の壁用臭気封止材を用いた室内と比較して、臭気抑制効果が高いことが確認された。
また、実施例1の壁用臭気封止材は、比較例2の壁用臭気封止材と比較して、施工性が高いことが確認された。
さらに、実施例1の壁用臭気封止材は、比較例1及び2の壁用臭気封止材と比較して、製造コストが低いことが確認された。
また、実施例1の壁用臭気封止材は、比較例1~4の壁用臭気封止材と比較して、環境適性が高いことが確認された。
したがって、本発明の壁用臭気封止材を壁紙の裏面に配置して施工することにより、施工性を低下させることなく、臭気抑制効果と共に高い環境適性を備えることが明らかになった。
10…バリア層、11…紙基材層、12…アンカーコート層、13…蒸着層、14…オーバーコート層、20…プライマー層、30…接着層、31…接着基材、32…粘着層、60…原紙層、61…紙基材、62…第一積層樹脂層、63…第二積層樹脂層、100…壁用臭気封止材、200…壁材、210…表面基材

Claims (8)

  1. 壁紙の裏面に配置される壁用臭気封止材であって、
    前記壁紙の裏面と対向して配置され、且つ紙の材料を用いて形成された紙基材層と、
    前記紙基材層の前記壁紙と対向する面と反対側の面に積層され、且つポリオレフィンを含むアンカーコート層と、
    前記アンカーコート層の前記紙基材層と対向する面と反対側の面に積層され、且つ金属又は無機化合物を蒸着して形成された蒸着層と、を備え、
    前記アンカーコート層が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する壁用臭気封止材。
  2. 壁紙の裏面に配置される壁用臭気封止材であって、
    前記壁紙の裏面と対向して配置され、且つ紙の材料を含む原紙層と、
    前記原紙層の前記壁紙と対向する面と反対側の面に積層され、且つポリオレフィンを含むアンカーコート層と、
    前記アンカーコート層の前記原紙層と対向する面と反対側の面に積層され、且つ金属又は無機化合物を蒸着して形成された蒸着層と、を備え、
    前記原紙層は、紙の材料を用いて形成された紙基材と、前記紙基材の前記アンカーコート層と対向する面に積層された第一積層樹脂層及び紙基材のアンカーコート層と対向する面と反対側の面に積層された第二積層樹脂層のうち少なくとも一方と、を含み、
    前記アンカーコート層が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する壁用臭気封止材。
  3. 前記蒸着層の厚さは、30nm以上100nm以下である請求項1又は請求項2に記載した壁用臭気封止材。
  4. 前記アンカーコート層の厚さは、2μm以上10μm以下である請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した壁用臭気封止材。
  5. 前記蒸着層の前記アンカーコート層と対向する面と反対側の面に積層され、且つポリオレフィンを含むオーバーコート層をさらに備え、
    前記オーバーコート層が含むポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステルのうち少なくとも一つを有する請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載した壁用臭気封止材。
  6. 前記オーバーコート層の厚さは、2μm以上10μm以下である請求項5に記載した壁用臭気封止材。
  7. タック加工が施されている請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載した壁用臭気封止材。
  8. 請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載した壁用臭気封止材と、
    前記壁用臭気封止材の前記壁紙と対向する面に積層された表面基材と、を備える壁材。
JP2021142520A 2021-09-01 2021-09-01 壁用臭気封止材及び壁材 Pending JP2023035564A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021142520A JP2023035564A (ja) 2021-09-01 2021-09-01 壁用臭気封止材及び壁材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021142520A JP2023035564A (ja) 2021-09-01 2021-09-01 壁用臭気封止材及び壁材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023035564A true JP2023035564A (ja) 2023-03-13

Family

ID=85503853

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021142520A Pending JP2023035564A (ja) 2021-09-01 2021-09-01 壁用臭気封止材及び壁材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023035564A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2007163C (en) Pressure-sensitive film composite having improved adhesion to plasticized vinyl substrates
US5441784A (en) Paper base wallcoverings
WO2014136767A1 (ja) 両面粘着テープ
JP2012201687A (ja) 湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤およびそれを用いた造作部材
US4876142A (en) Fluid resistant coating composition
JP2013087150A (ja) 湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤、及び化粧造作部材
JP4655199B2 (ja) 湿気硬化性ホットメルト接着剤
JP2023035564A (ja) 壁用臭気封止材及び壁材
JP2023035584A (ja) 壁用臭気封止材及び壁材
EP1367110A1 (en) Adhesive composition
CN111465664A (zh) 蒸镀膜用涂敷剂、阻气性膜和包装材料
JP7298188B2 (ja) 積層体及び壁紙
JP4759907B2 (ja) 化粧材
JP2023028083A (ja) 床用の臭気封止材及び床材
JP2023035566A (ja) 床用の臭気封止材及び床材
JP2023028084A (ja) 壁用の臭気封止材及び壁紙
JP5593784B2 (ja) 積層体
JP2023035565A (ja) 床用の臭気封止材及び床材
TWI477524B (zh) 聚氨酯樹脂及其利用
JP2004027084A (ja) プライマー組成物及び接着構造体
JP2006316144A (ja) 壁紙用防汚フィルム
JP4181920B2 (ja) 壁紙用防汚フィルム
KR102031132B1 (ko) 노출 자착식 방수시트
JP7298181B2 (ja) 積層体及び床材
JP2007021862A (ja) 易接着フィルム