JP2023034675A - 全固体電池製造用鋳型シートおよびこれを用いた全固体電池の製造方法 - Google Patents

全固体電池製造用鋳型シートおよびこれを用いた全固体電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】他の層との積層界面における接着強度が高い、シート状の固体電解質層や正極集電体層、負極集電体層等を簡便な方法で製造可能な全固体電池製造用鋳型シートを提供する。【解決手段】上記課題を解決する全固体電池製造用鋳型シートは、全固体電池の製造に用いられるシートであり、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリスチレン系樹脂からなる群から選ばれる一種以上の樹脂を含み、少なくとも一方の面に、凹凸を転写するための鋳型面を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、全固体電池製造用鋳型シートおよびこれを用いた全固体電池の製造方法に関する。
従来の電池では、電解質を溶媒に溶解させた電解液が広く使用されてきた。近年、デバイスのさらなる薄型化や小型化が求められており、これらのデバイスに用いる電池の小型化や薄型化等も求められている。しかしながら、電解液を用いた電池は小型化が難しく、さらに液漏れによる機器の破損の抑制が必要である。そこで、高分子量のポリエーテル系共重合体に電解質塩としてリチウムイミド塩等のリチウムイオン系の塩を担持させた固体状の電解質層(以下、「固体電解質」とも称する)が提案されている。このような固体電解質層を正極および負極で挟み込んだ電池は、一般的に全固体電池と称される。そして、当該全固体電池は、優れた電気特性を有するだけでなく、柔軟性や屈曲性等を有すること等から、非常に注目されている。
例えば、上記固体電解質層を形成する方法として、平滑な易剥離性フィルム上に親水性高分子層とおよび被覆層を形成することが提案されている(特許文献1)。当該技術では、易剥離性フィルムおよび被覆層を親水性高分子層から剥離し、親水性高分子層を固体電解質層として使用する。
また、上記固体電解質層の別の形成方法として、多孔性基材を準備し、その表面に粘着剤を用いて無機固体電解質材料を固着させる方法等も提案されている(特許文献2)。
また、全固体電池の製造方法として、平滑なシート状の固体電解質層や正極活物質層をそれぞれ準備しておき、これらを順次積層し、ロールプレスによって接着する方法が提案されている(特許文献3)。当該方法によれば、全固体電池を効率よく製造可能である。
特開2001-236993号公報 特開2018-101641号公報 特開2020-161471号公報
ここで、全固体電池は、車両で使用されること等があり、振動や衝撃を長期間に亘って受けることがある。そのため、長期に亘って振動や衝撃に対する耐久性を有することが求められる。しかしながら、上述の特許文献3に記載されているような方法で全固体電池を製造すると、固体電解質層と正極集電体層や負極集電体層との接着強度が十分でなく、使用時に、これらの界面で剥離が生じることがあった。一方、各層界面での接着強度を上げるため各種処理を行うと、全固体電池の製造方法が非常に複雑になりやすい、という課題があった。
上記問題に鑑み、本発明はなされたものである。本発明は、他の層との積層界面における接着強度が高い、シート状の固体電解質層や正極集電体層、負極集電体層等を簡便な方法で製造可能な全固体電池製造用鋳型シートの提供、およびこれを用いた全固体電池の製造方法の提供を目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、全固体電池の製造に用いられるシートであり、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリスチレン系樹脂からなる群から選ばれる一種以上の樹脂を含み、少なくとも一方の面に、凹凸を転写するための鋳型面を有する、全固体電池製造用鋳型シートを提供する。
また、上記全固体電池製造用鋳型シートの前記鋳型面上に、全固体電池製造用鋳型シートの前記鋳型面上に、活物質層または固体電解質層を形成する工程、および前記活物質層または前記固体電解質層から前記全固体電池製造用鋳型シートを剥離し、前記活物質層または前記固体電解質層と他の層とを積層する工程、を含む、全固体電池の製造方法も提供する。
本発明の全固体電池製造用鋳型シートによれば、他の層との積層界面における接着強度が高い、シート状の固体電解質層や正極集電体層、負極集電体層等を簡便な方法で製造可能である。
図1A~図1Dは、本発明の全固体電池製造用鋳型シートの使用方法を説明する模式図である。 図2は、本発明の全固体電池製造用鋳型シートを用いて、全固体電池を製造するフローを説明する模式図である。 図3A~図3Fは、全固体電池の製造過程を示す概略断面図である。
以下、本発明の全固体電池製造用鋳型シートについて説明し、その後、これを用いた全固体電池の製造方法を説明する。ただし、本発明の全固体電池製造用鋳型シートや、全固体電池の製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、本明細書において、数値範囲を示す「~」は、例えば「X~Y」と表記した場合、「X以上、Y以下」を意味する。
さらに、本明細書において、「シート」は、一般的に「シート」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「フィルム」と呼ばれているものをも包含する概念である。本明細書において、「MD方向」とはフィルムの流れる方向(Machine Direction)、すなわち、延伸方向であり、「TD方向」とは、前記MD方向と直交し、フィルムの主面と平行な方向(Transverse Direction)である。
1.全固体電池製造用鋳型シート
本発明の全固体電池製造用鋳型シート(以下、単に「鋳型シート」とも称する)は、全固体電池の製造、特にシート状の正極活物質層や負極活物質層(以下、これらを特に区別する必要がない場合には「活物質層」とも称する)、固体電解質層の形成に好適なシートである。以下、鋳型シートを用いて固体電解質層や活物質層を形成する場合を例に説明するが、鋳型シートによって形成可能な層は、これらに限定されない。
前述のように、全固体電池を製造する場合、シート状の固体電解質層や活物質層を予め作製し、これを貼り合わせることが効率的である。しかしながら、このような方法で全固体電池を作製すると、使用時の衝撃や振動等によって、各層の界面で剥離が生じやすかった。
これに対し、例えば図1Aに示すように、本発明の鋳型シート10は、少なくとも一方の面に、凹凸を有する鋳型面10aを有する。当該鋳型シート10上に固体電解質層や活物質層20を形成すると、その表面に、鋳型面から凹凸が転写される(図1Bおよび図1C)。その結果、当該固体電解質層や活物質層20を他の層30と積層したとき(図1D)に、他の層30と固体電解質層や活物質層20との界面でアンカー効果が生じる。したがって、外部からの衝撃や振動を受けたとしても、これらの界面で剥離が生じ難い。なお、本明細書における他の層30とは、鋳型シート10の鋳型面10a上に形成した層20と異なる層であって、当該層20の凹凸が転写された面と隣接して配置される層をいう。例えば鋳型シートの鋳型面上に活物質層を形成した場合、他の層は、固体電解質層等である。一方、鋳型シートの鋳型面上に固体電解質層を形成した場合、他の層は、活物質層等である。
また、当該鋳型シートは、固体電解質層や活物質層の表面に凹凸を形成するだけでなく、全固体電池の製造時に、固体電解質層や活物質層を搬送したりするための支持体としても使用可能である。さらに、固体電解質層や活物質層を、鋳型シートと積層した状態でロール状に巻き取ったり、保管したりすることも可能である。したがって、当該鋳型シートによれば、複雑な工程を行うことなく、長期に亘って、性能安定性の高い全固体電池を製造できる。
ここで、上記鋳型シートの形状は、一方の面または両方の面に鋳型面を有していればよく、枚葉状のシートであってもよく、長尺状のシートであってもよい。ただし、鋳型シートが長尺状のシートであると、上述のように、鋳型シート上に固体電解質層や活物質層を形成した後、これらを積層したまま巻き取って保管することが可能となる。また、長尺状の全固体電池を製造できるという観点からも好ましい。なお、鋳型シートは、一層のみで構成されていてもよく、二層以上で構成されていてもよい。
上記鋳型面は、鋳型シートの一方の面のみに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。また、鋳型シートの一方の面もしくは両面の全ての領域に形成されていてもよく、一部の領域のみに形成されていてもよい。
上記鋳型面は、固体電解質層や活物質層等に所望の凹凸を転写可能であれば、その表面構造は特に制限されず、規則的またはランダムに凹凸が形成された面とすることができる。当該鋳型面は、エンボス加工、ヘアライン加工、またはサンドブラスト加工された面であってもよく、発泡処理によって凹凸が形成された面であってもよい。鋳型面が有する凹凸の形状は、固体電解質層や活物質層に形成したい凹凸に対応する形状であればよい。鋳型面は、例えば、梨地状や、格子状、ピラミッド状、斜線状、亀甲状、丸型メッシュ状等の凸部または凹部を有する面であってもよい。
ただし、固体電解質層や活物質層と他の層とのアンカー効果を十分に高めるとの観点で、鋳型面の算術平均粗さRaは0.2~5.0μmが好ましく、最大高さRyは0.5~80μmが好ましい。算術平均粗さRaは0.4~4.5μmがより好ましく、0.5~4.0μmがさらに好ましい。また、最大高さRyは、2.0~60μmがより好ましく、4.0~40μmがさらに好ましい。鋳型面の算術平均粗さRaおよび最大高さRyが上記下限値以上であると、固体電解質層や活物質層に、鋳型面の形状(凹凸)を転写しやすくなる。また、鋳型面の算術平均粗さRaおよび最大高さRyが上記範囲であると、鋳型面の形状が転写された固体電解質層や活物質層において、上述のアンカー効果が発現しやすくなる。
また、上記鋳型面の十点平均粗さRzは、1.0~15μmが好ましく、2.0~13μmがより好ましく、3.0~11μmがさらに好ましい。鋳型面の十点平均粗さが当該範囲である場合にも、鋳型面の形状が転写された固体電解質層や活物質層において、上述のアンカー効果が発現しやすくなる。
上記算術平均粗さRa、最大高さRy、および十点平均粗さRzは、それぞれJIS B0601(1994年)に準拠して測定される値であり、公知の表面粗さ計によって測定可能である。また、上記算術平均粗さRa、最大高さRy、および十点平均粗さRzは、後述する鋳型シートの製造方法によって、調整できる。
また、上記鋳型面の表面張力は、15~40mN/mが好ましい。鋳型面の表面張力が当該範囲であると、鋳型面上に固体電解質層や活物質層を形成後、固体電解質層や活物質層から鋳型シートを剥離しやすくなる。表面張力は10~40mN/mがより好ましく、12~38mN/mがさらに好ましい。表面張力は、25℃における値であり、JISK6768に準じて和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液(例えばNO.35.0)が塗れるか塗れないかにより確認する。鋳型面の表面張力は、鋳型シートの材料で調整可能である。また、鋳型シート(鋳型面)の表面に、シリコーンやフッ素樹脂等を含むコーティング層を配置することによっても調整できる。
さらに、鋳型面のグロス(60°)を、上記表面粗さの指標として使用することも可能である。具体的には、上記鋳型面のJIS Z8741に準拠して測定されるグロスが、10~40であると、上述の算術平均粗さRaや、平均高さRy、十点平均粗さRz等が上述の範囲に収まりやすい。上記グロスは12~38がより好ましく、15~35がさらに好ましい。
さらに、鋳型シートの厚みは、当該鋳型シート上に形成する層の種類や大きさ、幅、さらには巻き取りの必要性等に応じて適宜選択されるが、通常5~500μmが好ましく、8~300μmがより好ましく、10~200μmがさらに好ましい。鋳型シートの厚みが5μm以上であると、鋳型面上に固体電解質層や活物質層を形成した際に、鋳型シートに皺がよったり、撓んだりし難く、固体電解質層や活物質層の形成が容易となる。また、鋳型シートの厚みが5μm以上であると、鋳型シートが適度なコシ感を持ち、ロール状に巻き取ったりしやすくなる。
鋳型シートのJIS K7127(1999年)に準拠し、引張試験機を用いて測定温度23±2℃、50±5%RH、引張速度5mm/min、チャック間距離100mmの条件で測定されるMD方向の引張弾性率は、1000~5000MPaが好ましく、1050~4800MPaがより好ましく、1100~4500MPaがさらに好ましい。鋳型シートのMD方向の引張弾性率が1000MPa以上であると、固体電解質層や活物質層を形成する際、鋳型シートが撓んだりし難く、固体電解質層や活物質層を支持しやすくなる。さらに、鋳型面による形状転写性が良好になりやすい。一方で、MD方向の引張弾性率が5000MPa以下であると、鋳型シートをロール状に巻き取ったりすることが可能となる。鋳型シートの弾性率は、鋳型シートの材料等によって調整可能である。
さらに、鋳型シートを、MD方向(鋳型シート形成時の長さ方向)300mm、TD方向(鋳型シート形成時の幅方向)300mmの正方形に切り出し、170℃で30分間加熱したとき、MD方向の収縮率の絶対値は、1.5%以下が好ましく、1.3%以下がより好ましく、1.0%以下がさらに好ましい。MD方向の収縮率は、以下の式で求められる。また、加熱後のMD方向の長さ、および加熱前のMD方向の長さは、それぞれ25℃で測定される値である。
MD方向の収縮率={(加熱後のMD方向の長さ-加熱前のMD方向の長さ)/加熱前のMD方向の長さ}×100
後述の全固体電池の製造方法で説明するように、鋳型シートの鋳型面上に固体電解質層や活物質層を形成後、鋳型シートを剥離する前に加熱を行うことがある。そのため、鋳型シートを加熱したときの収縮率は小さいほうが好ましく、MD方向の収縮率の絶対値が1.5%以下であると、固体電解質層や活物質層に影響を及ぼし難い。MD方向の収縮率は、鋳型シートの材料等によって調整可能である。
また同様に、加熱したときのTD方向の収縮率の絶対値も小さいことが好ましく、同様の測定を行ったときのTD方向の収縮率の絶対値は、1.5%以下が好ましく、1.3%以下がより好ましく、1.0%以下がさらに好ましい。TD方向の収縮率は、以下の式で求められる。
TD方向の収縮率={(加熱後のTD方向の長さ-加熱前のTD方向の長さ)/加熱前のTD方向の長さ}×100
ここで、鋳型シートは、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリスチレン系樹脂からなる群から選ばれる一種以上の樹脂を主に含んでいればよく、これらを一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。鋳型シート中の上記樹脂の含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。これらの樹脂を用いることで、固体電解質層や活物質層の支持性が良好になったり、鋳型面による形状転写性が良好になったりしやすい。なお、鋳型シートは、本発明の効果および目的を損なわない範囲で、これら以外の樹脂を一部に含んでいてもよい。
上記ポリエステル系樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート等が含まれる。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレンまたは炭素数3以上のα-オレフィン由来の構成単位を全構成単位の量に対して50モル%以上で含む樹脂であればよい。ポリオレフィンの例には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体;プロピレン単独重合体(ポリプロピレン);1-ブテン単独重合体;4-メチル1-ペンテン単独重合体;3-メチル-1-ペンテン単独重合体;エチレン・α-オレフィン共重合体;プロピレン・α-オレフィン共重合体;1-ブテン・α-オレフィン共重合体;4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体等が含まれる。
フッ素系樹脂の例には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体、クロロトリフルオロエチレンとエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとの3元共重合体、等が含まれる。
ポリスチレン系樹脂は、スチレン由来の構成単位を全構成単位の量に対して50モル%以上含む樹脂であればよく、その例には、スチレンの単独重合体や、スチレンと他の単量体との共重合体が含まれる。
上記の中でも、ポリエステル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂が、表面張力、汎用性、弾性率等の観点で好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、4-メチル-1-ペンテン単独重合体、または4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体がより好ましい。
ここで、鋳型シートは、上記樹脂のみで構成されていてもよいが、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、上記樹脂以外の樹脂を含んでいてもよく、さらに各種添加剤を含んでいてもよい。各種添加剤の例には、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、(透明)核剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤等が含まれる。
また上述のように、鋳型面の表面張力を上記範囲に調整するため、鋳型面が表面に、シリコーンレジンやフッ素樹脂を含むコーティング層を有していてもよい。シリコーンレジンは、分子内にシリコーン骨格を有する化合物であればよく、オルガノポリシロキサン等を好適に使用できる。また、オルガノポリシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂やアルキッド樹脂等も使用できる。オルガノポリシロキサンの例には、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ハイドロジェンポリシロキサン等が含まれる。また、フッ素樹脂の例には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフロライド、ポリビニルフロライド等が含まれる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。コーティング層の厚みは特に制限されないが、0.1~3.0μmが好ましく、0.5~2.0μmがより好ましい。
(鋳型シートの製造方法)
上記鋳型シートの製造方法は、上記鋳型面を形成可能な方法であれば特に制限されない。一例としては、平滑な樹脂シートを作製し、当該樹脂シートにエンボス加工、ヘアライン加工、またはサンドブラスト加工を行い、鋳型面を形成する方法が挙げられる。
この場合の樹脂シートの製造方法は特に制限されず、一般的な樹脂シートの製造方法と同様とすることができる。例えば、上述の樹脂単独、もしくは上述の樹脂と所望の添加剤等とを含むペレットを準備する。そして、当該ペレットを、Tダイを有する押出機等に供給し、押出成形することで製造できる。なお、必要に応じて樹脂シートは、一軸延伸や二軸延伸してもよい。
そして、樹脂シートに、エンボス加工、ヘアライン加工、またはサンドブラスト加工を行うことで、鋳型面を形成する。エンボス加工で鋳型面を形成する場合、鋳型面の形状に対応する凹凸を有するエンボスロールとニップロールとの間に加熱した樹脂シートを供給し、エンボスロールに樹脂シートを圧着することで、エンボスロールの凹凸を転写する。
ヘアライン加工で鋳型面を形成する場合、樹脂シートの表面に、金属ブラシ、または研磨布紙等を巻き付けたドラムを押し当て、一定方向に金属ブラシや研磨布紙を移動させる。これにより、直線状に凹凸を有する鋳型面を形成できる。
サンドブラスト加工で鋳型面を形成する場合、樹脂シートをサンドブラスト処理装置に導入して、粉粒体を高速で樹脂シートに衝突させ、凹凸(鋳型面)を形成する。粉粒体の種類は所望の鋳型面の凹凸形状に応じて適宜選択される。
また、上記鋳型シートの別の製造方法の例として、上述の樹脂と発泡剤とを混合し、発泡成形する方法がある。つまり、上記鋳型シートが発泡シートであってもよい。本明細書において、発泡シートとは、シートの内部に多数の空隙を有するシートをいう。発泡シートの発泡倍率は、1.05~20倍が好ましく、1.1~7倍がより好ましく、1.1~3倍がさらに好ましい。発泡倍率が当該範囲であると、上述の表面粗さを有する鋳型面が得られやすい。発泡倍率は、樹脂組成物の密度から、発泡体の密度を除した値を発泡倍率とする。
上記発泡シートを得るための発泡剤は化学発泡剤および物理発泡剤のいずれであってもよく、これらを組み合わせてもよい。
化学発泡剤の例には、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、各種カルボン酸塩、水素化ホウ素ナトリウム、アゾジカルボアミド、N,N-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジッド)、アゾビスイソブチロニトリル、パラトルエンスルホニルヒドラジッド、重曹クエン酸ナトリウム等が含まれる。
物理発泡剤の例には、二酸化炭素、窒素、または二酸化炭素と窒素の混合物等が含まれる。これらは、いずれもガス状、液状または超臨界状態のいずれでも供給することが可能である。
化学発泡剤を用いる場合、上述の樹脂と、発泡剤とを混合してから成形機に投入し、これをシート状に成形する。一方、物理発泡剤を用いる場合には、上述の樹脂を成形機内で混練して可塑化した後、物理発泡剤を混合し、シート状に成型する。いずれの場合においても成形は、射出成形機、押出成形機等によって行うことができる。
2.全固体電池の製造方法
本発明の全固体電池の製造方法は、上述の鋳型シートの前記鋳型面上に、活物質層または固体電解質層を形成する工程、および活物質層または固体電解質層から鋳型シートを剥離し、活物質層または固体電解質層と他の層とを積層する工程、を含む。鋳型転写工程では、正極活物質層、負極活物質層、または固体電解質層のいずれか1つのみを、鋳型シートを用いて作製してもよく、これらのうちの2つ以上を、鋳型シートを用いて作製してもよい。
上述のように、上述の鋳型シートの鋳型面の凹凸を活物質層や固体電解質層に転写することで、当該活物質層や固体電解質層と積層される層との間にアンカー効果を生じさせることができる。したがって、長期に亘って、性能安定性の高い全固体電池を容易に製造できる。
以下、正極集電体層の両面に、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および負極集電体層がこの順に配置された全固体電池を製造する方法を例に、本発明の方法を説明する。ただし、本発明の全固体電池の製造方法は、当該方法に限定されない。また、全固体電池の各構成を先に説明し、その後、製造方法について説明する。
(1)負極
負極は、負極集電体層と、当該負極集電体層に隣接して配置された負極活物質層とを有する。負極活物質層は、負極集電体層の一方の面のみに配置されていてもよく、両面に配置されていてもよい。
(負極集電体層)
負極集電体層は導電性を有する層であれば特に制限されない。負極集電体層の材料の例には、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、カーボン等が含まれるが、これらに限定されない。負極集電体層の形状は特に制限されず、平板状であってもよく、メッシュ状等であってもよい。
また、負極集電体層は、上記材料を含む一層のみから構成されていてもよいが、表面に導電性炭素を含むコーティング層をさらに有していてもよい。コーティング層が含む導電性炭素の例には、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等)、活性炭、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が含まれる。上記コーティング層は、バインダを含んでいてもよく、バインダの例には、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ブタジエンゴム、およびスチレンブタジエンゴム等が含まれる。
(負極活物質層)
負極活物質層は、負極活物質を含む層であればよく、必要に応じて固体電解質や導電助剤、バインダを含んでいてもよい。
負極活物質の例には、リチウムチタン酸化物が含まれる。リチウムチタン酸化物の例には、LiTi12等のスピネル構造のリチウムチタン酸化物(Li4+xTi12(0≦x≦3))や、LiTi等のラムスデライト構造のリチウムチタン酸化物(Li2+xTi(0≦x≦3))等が含まれる。また、負極活物質層は、リチウムチタン酸化物以外の負極活物質、例えばSi合金系負極活物質やSn合金系負極活物質等の合金系負極活物質;ハードカーボンやソフトカーボン、グラファイト等の炭素材料;をさらに含んでいてもよい。
負極活物質層が含む固体電解質は、後述の固体電解質層の固体電解質と同様である。また、負極活物質層が含む導電助剤の例には、気相成長法炭素繊維やカーボンナノ繊維等の炭素材料;金属材料等が含まれる。
負極活物質が含むバインダの例には、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等が含まれる。
負極活物質層の平均厚さは、特に限定されず、その用途に応じて適宜選択されるが、通常20μm以上150μm以下が好ましい。負極活物質層の平均厚さが20μm以上であると、上述の鋳型シートを用いて、凹凸を有する負極活物質層を形成したとしても、割れ難くなる。また、負極活物質層の平均厚さが150μm以下であると、全固体電池を十分に薄くでき、全固体電池を種々の用途に使用可能となる。
なお、負極活物質層の固体電解質層と積層される面は、上述の鋳型シートの鋳型面と同様の表面粗さの凹凸を有することが好ましい。これにより、負極活物質層と固体電解質層との間にアンカー効果が発現し、これらの界面で剥離が生じ難くなる。当該負極活物質層表面の凹凸は、本実施形態のように、鋳型シートを用いて負極活物質層を形成することで、鋳型面から直接転写されたものであってもよい。また、鋳型シートを用いて固体電解質層を形成し、その後、固体電解質層と負極活物質層とを密着させることで形成されたものであってもよい。
(2)固体電解質層
固体電解質層は、固体電解質を含む層であればよく、必要に応じてバインダを含んでいてもよい。バインダは、上述の負極活物質層が含むバインダと同様とすることができる。
固体電解質の例には、LiS-P(Li11、LiPS、Li等)、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiBr-LiS-P、LiS-P-GeS(Li13GeP16、Li10GeP12等)、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、及びLi7-xPS6-xCl等の硫化物固体電解質;LiLaZr12、Li7-xLaZr1-xNb12、Li7-3xLaZrAl12、Li3xLa2/3-xTiO、Li1+xAlTi2-x(PO、Li1+xAlGe2-x(PO、LiPO、Li3+xPO4-x(LiPON)等の酸化物固体電解質;ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)等のポリマー電解質が含まれる。
固体電解質層の平均厚さは、特に限定されず、通常5μm以上50μm以下が好ましい。固体電解質層の平均厚さが5μm以上であると、ピンホールや割れのリスクが少なくなる。また上述の鋳型シートを用いて表面に凹凸を形成したとしても、割れ難い。また、固体電解質層の平均厚さが50μm以下であると、全固体電池を十分に薄くでき、全固体電池を種々の用途に使用可能となる。
なお、固体電解質層の正極活物質層または負極活物質層と積層される面は、上述の鋳型シートの鋳型面と同様の表面粗さの凹凸を有することが好ましい。特に、固体電解質層の両面に、上記表面粗さの凹凸を有することが好ましい。これにより、固体電解質層と各活物質層との間にそれぞれアンカー効果が発現し、これらの界面で剥離が生じ難くなる。当該固体電解質層表面の凹凸は、本実施形態のように、鋳型シートを用いて活物質層を形成し、当該活物質層と固体電解質層とを密着させることで形成されたものであってもよい。一方、鋳型シートを用いて固体電解質層を形成することで、鋳型シートから直接転写したものであってもよい。
(3)正極
正極は、正極集電体層と、当該正極集電体層に隣接して配置された正極活物質層とを有する。正極活物質層は、正極集電体層の一方の面のみに配置されていてもよく、両面に配置されていてもよい。
(正極集電体層)
正極集電体層は、導電性を有する層であればよく特に制限されない。正極集電体層の材料の例には、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、カーボン等が含まれるが、これらに限定されない。正極集電体層の形状は特に制限されず、平板状であってもよく、メッシュ状等であってもよい。さらに、正極集電体層は、上記材料を含む一層のみから構成されていてもよく、表面に導電性炭素を含むコーティング層をさらに有していてもよい。当該コーティング層は、負極集電体層のコーティング層と同様とすることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含んでいればよく、必要に応じて固体電解質、導電助剤、バインダ等を含んでいてもよい。固体電解質、導電助剤、バインダ等は、負極活物質層が含む成分と同様である。
正極活物質の例には、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、Li1+xMn2-x-y(Mは、Al、Mg、Co、Fe、Ni、およびZnから選ばれる1種以上の金属元素)等の異種元素置換Li-Mnスピネル等のリチウム含有酸化物が含まれる。
正極活物質層の平均厚さは、特に限定されず、通常20μm以上150μm以下が好ましい。正極活物質層の平均厚さが20μm以上であると、上述の鋳型シートを用いて、凹凸を有する正極活物質層を形成したとしても、割れ難くなる。また、正極活物質層の平均厚さが150μm以下であると、全固体電池を十分に薄くでき、全固体電池を種々の用途に使用可能となる。
なお、正極活物質層の固体電解質層と積層される面は、上述の鋳型シートの鋳型面と同様の表面粗さの凹凸を有することが好ましい。これにより、正極活物質層と固体電解質層との間にアンカー効果が発現し、これらの界面で剥離が生じ難くなる。当該正極活物質層表面の凹凸は、本実施形態のように、鋳型シートを用いて正極活物質層を形成することで、鋳型面から直接転写されたものであってもよい。また、鋳型シートを用いて固体電解質層を形成し、当該固体電解質層と正極活物質層とを密着させることで形成されたものであってもよい。
(4)全固体電池の製造方法
図2に、本発明の一実施形態に係る全固体電池の製造方法のフローを示す。当該実施形態の製造方法では、予め正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および負極集電体層をそれぞれ準備する(以下、「準備工程」とも称する)。その後、これらを順に積層することで、前固体電池を製造する(以下、積層工程)とも称する)。以下、各工程について詳しく説明する。
(準備工程)
上記準備工程では、予め正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および負極集電体層をそれぞれ準備する。本実施形態では、上述の鋳型シートを用いて正極活物質層および負極活物質層を形成する。鋳型シートを用いて正極活物質層または負極活物質層を形成する方法は特に制限されず、例えば、上述の鋳型シートの鋳型面に、正極活物質や負極活物質を含む組成物を塗布もしくはディップし、乾燥または硬化させる方法が挙げられる。組成物の塗布方法は特に制限されず、例えばドクターブレード法、ダイコーター法、コンマコーター法、スクリーン印刷法等によって塗布できる。またこのとき、鋳型シートの鋳型面の凹凸に正極活物質や負極活物質を十分に埋め込むため、スラリーの粘度を適切に調整することが好ましい。その後、必要に応じて、加熱等を行い、活物質層を固化(硬化)させる。
一方で、平滑な支持体の上に正極活物質や負極活物質を含む組成物を一様に塗布しておき、当該組成物に鋳型シートの鋳型面を密着させて、組成物を鋳型シート側に写し取ってもよい。そして、必要に応じて、加熱等を行い、活物質層を固化(硬化)させる。
本実施形態では、このように作製した正極活物質層や負極活物質層を、鋳型シートと積層した状態でロールに巻き取り、正極活物質ロールおよび負極活物質ロールとする(図2)。
また、本実施形態では、固体電解質層を平滑シート上に形成し、当該固体電解質層を平滑シートと積層した状態でロールに巻き取り、固体電解質ロールとする。固体電解質層の形成方法は特に制限されず、上述の固体電解質を含む組成物を塗布し、乾燥または硬化させる方法とすることができる、塗布方法は上記活物質層を形成する場合と同様の方法とすることができる。
さらに、本実施形態では、正極集電体および負極集電体をそれぞれロールに巻き取った正極集電体ロールおよび負極集電体ロールをさらに準備する。
(積層工程)
積層工程では、上述の準備工程で準備した、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および負極集電体層を順に積層する。図3A~図3Fに、本実施形態の製造過程における各層の概略断面を示す。
まず、正極集電体ロールから正極集電体層111を巻き出すとともに、正極集電体層111の両面に、正極活物質ロールから巻き出した正極活物質層112および鋳型シート100を重ね合わせる(図3A)。このとき、鋳型シート100と正極集電体層111とで正極活物質層112を挟み込むように積層する。そして、プレスを行い、正極集電体層111と正極活物質層112とを密着させる。その後、鋳型シート100を正極活物質層112から剥離する(図3B)これにより、正極集電体層111の両面に正極活物質層112が配置された正極110が得られる。また、正極活物質層112の表面には、鋳型シート100の鋳型面に対応する凹凸が転写されている。
続いて、固体電解質ロールから、固体電解質層120および平滑シートを巻き出し、上記正極活物質層112と積層する。このとき、平滑シートと正極活物質層112とで固体電解質層120を挟み込むようにこれらを積層する。そして、プレスを行い、正極活物質層112と固体電解質層120とを密着させる(図3C)。このとき、正極活物質層112の表面の凹凸に、固体電解質層120が入り込むようにプレスを行ってもよく、固体電解質層120が入り込まない程度にプレスを行ってもよい。
さらに、負極活物質ロールから負極活物質層132および鋳型シート(図示せず)を巻き出し、鋳型シートを剥離しながら、負極活物質層132を固体電解質層120に重ね合わせる(図3D)。このとき、負極活物質層132のうち、鋳型面の凹凸が転写された面が固体電解質層120と対向するように、負極活物質層132と固体電解質層120とを重ね合わせる。そして、正極活物質層112の表面の凹凸、および負極活物質層132の表面の凹凸に、それぞれ固体電解質層120が入り込むように、プレスを行ってもよく、これらが入り込まない程度にプレスを行ってもよい。
そして、負極集電体ロールから負極集電体層131を巻き出し、負極活物質層132上に配置する(図3E)。そして、熱プレスを行い、負極集電体層131および負極活物質層132を密着させて負極130を形成するとともに、正極活物質層112の表面の凹凸、および負極活物質層132の表面の凹凸に、それぞれ固体電解質層120が入り込ませる(図3F)。熱プレスは、通常の一軸プレスやロール間プレスでも良いが、均一な加圧とするために温間等方圧プレス(WIPプレス)が好ましい。加熱温度は、通常150~200℃程度とすることができる。これにより正極110(正極集電体層111および正極活物質層112)、固体電解質層120、および負極130(負極集電体層131および正極活物質層132)が積層された全固体電池が得られる。
(その他)
上記説明では、準備工程で、鋳型シートを用いて正極活物質層および負極活物質層を形成していたが、これらのうちいずれか一方のみを鋳型シートを用いて形成してもよい。さらに、鋳型シートを用いて固体電解質層を形成してもよい。このとき、固体電解質層の両面に鋳型シートを配置し、固体電解質層の両面に凹凸を形成してもよい。
ただし、固体電解質層にピンホール等が生じると、正極と負極とが接触し、短絡が生じることがある。また、一般的に、正極活物質や負極物質のほうが、固体電解質より粒径が大きいことから、熱によってプレスを行ったとしても、上記粗さの凹凸形状を維持しやすい。したがって、活物質層(正極活物質層および/または負極活物質層)を、鋳型シートによって形成することが好ましい。
また、上記説明では、正極集電体層の両側に正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および負極集電体層がこの順に配置されていたが、正極集電体層の一方の面のみに、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および負極集電体層がこの順に配置されていてもよい。さらに、負極集電体層の両側に負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層、および正極集電体層がこの順に配置された全固体電池としてもよい。
1.シートの準備
[比較例1]
東レ社製ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、商品名ルミラーS10、厚み50μm)の片面にシリコーン樹脂をコーティングし、シートaとした。当該シートaの物性を表1に示す。各物性は、後述の方法で測定した。
[実施例1]
表面にランダムな凹凸を有する東レ社製ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、商品名:ルミラーX42、厚み50μm)に、比較例1と同様にシリコーン樹脂を含むコーティング層を形成し、これを鋳型シートAとした。当該鋳型シートAの物性を表1に示す。
[比較例2]
三井化学東セロ社製4-メチル1-ペンテンフィルム(商品名:オピュラン)をそのままシートbとした。当該シートbの物性を表1に示す。
[比較例3]
三井化学東セロ社製4-メチル1-ペンテンフィルム(商品名:オピュラン)をそのままシートcとした。当該シートcの物性を表1に示す。
[実施例2]
三井化学東セロ社製4-メチル1-ペンテンフィルム(商品名:オピュラン)をエンボス加工して、表面にランダムな凹凸を有する鋳型面を作製し、鋳型シートBとした。当該鋳型シートBの物性を表1に示す。
2.評価
[鋳型面の表面粗さの測定]
上記鋳型シートA、Bの鋳型面、もしくはシートa~cの表面粗さ(算術平均粗さRa、最大高さRy、および十点平均粗さRz)を、ACCRETECH(東京精密)社製の表面粗さ測定機(SURFCOM 130A)にて、JIS B0601(1994年)に準拠して測定した。測定条件は以下の通りである。
・測定条件
評価長さ:4.0mm
測定速度:0.6mm/s
カットオフ値:0.8mm
フィルタ種別:ガウシアン
測定レンジ:±400μm
傾斜補正:直線
λs値:無し
[表面張力]
JISK6768に準じて和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液(NO.35.0)が塗れるか塗れないかにより確認した
[グロス]
JIS Z8741に準拠して、グロスメーター(日本電色工業社製、商品名:VG7000)で上記鋳型面もしくはシートa~cの表面のヘイズを測定した。
[引張弾性率]
実施例および比較例で得られた鋳型シートから15mm×20cmの試験片を切り出した。次いで、オリエンテック社製引張試験機を用いて、JIS K7127(1999年)に準拠し、測定温度23±2℃、50±5%RH、引張速度5mm/min、チャック間距離100mmの条件で上記試験片のMD方向の引張弾性率を測定した。
[降伏点強度および引張強度]
実施例および比較例で得られた鋳型シートから15mm×20cmの試験片を切り出した。次いで、オリエンテック社製引張試験機を用いて、JIS K7127(1999年)に準拠し、測定温度23±2℃、50±5%RH、引張速度300mm/min、チャック間距離100mmの条件で上記試験片のMD方向の降伏点強度および引張強度を測定した。
[軟化温度]
得られた鋳型シートを厚さ3mmに圧縮成形したものを試験片とし、JISK7206(1999年)に準拠(荷重:1Kg、昇温速度:2℃/min)して測定した。
[加熱後の収縮率]
各シートを、MD方向の長さ300mm、TD方向の長さ300mmとなるように正方形に切り出し、170℃で30分間加熱した。その後、室温(25℃)まで冷却して、MD方向の収縮率およびTD方向の収縮率を以下の式に基づいて算出した。
MD方向の収縮率={(加熱後のMD方向の長さ-加熱前のMD方向の長さ)/加熱前のMD方向の長さ}×100
TD方向の収縮率={(加熱後のTD方向の長さ-加熱前のTD方向の長さ)/加熱前のTD方向の長さ}×100
[上記鋳型シートと電極合材層との剥離性]
各シート(鋳型シートA、Bについては鋳型面)上に、正極活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)、固体電解質(LiS-P)、およびバインダ(ブタジエンゴム)を含む電極合材層用組成物を塗布した。そして、70℃で3時間乾燥させて、厚み50μmの電極合材層を形成した。その後、これらの剥離性を下記判定基準にて評価した。
〇:電極合材層が割れずにスムーズに剥離できた
×:剥離性が悪く、電極合材層に割れが生じた
[電極合材層に対する形状転写性]
上記鋳型シートを剥離後の電極合材層に、剥離面の形状が転写されているか、3Dレーザー顕微鏡(オリンパス製 OLS5000)を用いて、凹凸形状を観察した。また、評価基準は以下の通りである。
〇:鋳型シートの表面形状に起因した凹凸形状が見られた
×: 凹凸形状が見られなかった
[電極合材層および固体電解質層の密着性]
上記電極合材層の、シートから剥離した面に、固体電解質(LiS-P)、バインダ(ブタジエンゴム)を99:1で含む固体電解質層用組成物を塗布し、70℃で3時間乾燥させて厚み20μmの固体電解質層を形成した。これらを1cmの大きさに打ち抜き、190℃、400MPaでプレスすることにより積層体を得た。得られた積層体を、直径5mmの丸い棒に巻き付け、固体電解質層と電極合材層との間に生じるひび割れの程度を目視で観察して、密着性を評価した。評価基準は以下の通りである。
〇:ひび割れや剥離が見られず、強い密着性を示した
×:ひび割れや剥離が生じ、弱い密着性を示した
Figure 2023034675000001
上記表1に示されるように、鋳型面を有する鋳型シートを用いて電極合材層を形成した場合、鋳型シートと電極合材層との剥離性が良好であり、さらには、電極合材層に鋳型面の形状を転写できた(実施例1および2)。さらに、当該電極合材層上に固体電解質層を作製したところ、これらの密着性が非常に高かった(実施例1および2)。これに対し、鋳型面を有さない鋳型シートを用いた場合には、電極合材層の表面に凹凸がなく、固体電解質層との密着性が低かった(比較例1~3)。
本発明の全固体電池製造用鋳型シートによれば、他の層との積層界面における接着強度が高い、シート状の固体電解質層や正極集電体層、負極集電体層等を簡便な方法で製造可能である。よって、各種用途に用いられる全固体電池の製造に有用である。
10、100 全固体電池製造用鋳型シート
10a 鋳型面
20 固体電解質層または活物質層
30 他の層
110正極
111 正極集電体層
112 正極活物質層
120 固体電解質層
130 負極
131 負極集電体層
132 負極集電体層

Claims (11)

  1. 全固体電池の製造に用いられるシートであり、
    ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリスチレン系樹脂からなる群から選ばれる一種以上の樹脂を含み、
    少なくとも一方の面に、凹凸を転写するための鋳型面を有する、
    全固体電池製造用鋳型シート。
  2. 前記鋳型面の算術平均粗さRaが0.2~5.0μmであり、最大高さRyが0.5~80μmであり、かつ表面張力が15~40mN/mである、
    請求項1に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  3. 前記鋳型面の十点平均粗さRzが、1.0~15μmである、
    請求項1または2に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  4. 前記鋳型面が、エンボス加工、ヘアライン加工、またはサンドブラスト加工された面である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  5. 前記鋳型面の表面に、シリコーンまたはフッ素樹脂を含むコーティング層を有する、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  6. 発泡シートである、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  7. 前記発泡シートの発泡倍率が、1.05~20倍である、
    請求項6に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  8. JISK7127で測定されるMD方向の引張弾性率が、1000~5000MPaである、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  9. 前記鋳型面のJIS Z8741に準拠して測定されるグロスが、10~40である、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  10. MD方向300mm、TD方向300mmの正方形に切り出し、170℃で30分間加熱したとき、
    MD方向の収縮率の絶対値が、1.5%以下である、
    請求項1~9のいずれか一項に記載の全固体電池製造用鋳型シート。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の全固体電池製造用鋳型シートの前記鋳型面上に、活物質層または固体電解質層を形成する工程、および
    前記活物質層または前記固体電解質層から前記全固体電池製造用鋳型シートを剥離し、前記活物質層または前記固体電解質層と他の層とを積層する工程、
    を含む、全固体電池の製造方法。
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