JP2023033782A - 疲労及び/又は気分状態改善用組成物 - Google Patents

疲労及び/又は気分状態改善用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】飲食品など全般に幅広く応用できる汎用性の高い疲労及び/又は気分状態改善用組成物を提供する。【解決手段】イヌリンを有効成分として含む、疲労及び/又は気分状態改善用組成物による。さらに、疲労改善が、VASにおいて、「全体的疲労感」、「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「自覚的ストレス」、「緊張度」、及び「イライラ感」からなる群から選択される少なくとも1つのスコアを低下させることであり、気分状態改善が、POMS2において、「総合的気分状態」TMD(Total Mood Disturbance)のスコアを低下させることである、疲労及び/又は気分状態改善用組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、疲労及び/又は気分状態改善用組成物に関する。
近年、特定保健用食品や機能性表示食品などの制度の制定により、保健機能食品及びそれらの機能を有する食品素材に大きな関心が寄せられている。市場ではサプリメント、いわゆる健康食品の他にも生理機能を表示した一般食品も多く販売されるようになった。
このようなサプリメント又は健康食品素材の一つとして食物繊維がある。厚生労働省が食物繊維を、成人男性で1日当たり20g、成人女子で1日当たり18g摂取することを推奨していることもあり、食物繊維を添加して、食物繊維が豊富であると記載した一般食品や生理機能を表示した食品が数多く上市されている。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2つに大別される。食物繊維の代表的な生理機能は整腸作用であるが、水溶性食物繊維にはその他にも中性脂肪の低減、血糖値の上昇抑制など機能性があることが確認されている。それらの機能は水溶性食物繊維が腸内細菌の餌となり、いわゆる善玉菌と呼ばれる菌の一群を増やし、またそれらの菌が水溶性食物繊維を代謝することで短鎖脂肪酸が産生されるなど、腸の環境を整える作用が寄与するものと考えられている。
近年、脳と腸は自律神経系や液性因子(ホルモンなど)を介して関連していることが解明されつつあり、注目を集めている。この関連は“脳腸相関(brain-gut interaction)”と呼ばれ、消化管の情報は神経系を介して大脳に伝わり、腹部不快感は抑うつや不安などの情動変化も引き起こす可能性が示唆されている。
しかしながらその多くの論拠は、例えば過敏性腸症候群などの疾病やラットなどの動物において「腸内細菌-腸-脳」の相関の可能性を示したものであり、腸内細菌に代謝される水溶性食物繊維と脳の相関についてさまざまな試験が試みられているがはっきりした効果は得られていない。たとえば、食物繊維が腸内細菌に代謝され産生される短鎖脂肪酸の1つである酪酸に、“抗うつ作用”を持つことが動物実験で示されている(特許文献1)が、ヒトの疫学調査において、水溶性食物繊維の摂取量と抑うつ症状の自己評価尺度であるCES-Dのうつ気分には相関がみられていない。(非特許文献1)
水溶性食物繊維として世界中で利用されているイヌリンについてもメンタルヘルスに対する効果が検証されている。例えば、軽度~重度のうつ病肥満女性に対して一日当たり10gのイヌリン及びプラセボのマルトデキストリンを摂取させたところ、有意差が認められなかった。イヌリン及びプラセボに関わらず体重が1.9kgより減少した対象者ではうつ病評価尺度であるHDRSスコアの改善が見られた。(非特許文献2)
しかしながら、イヌリン分解物であるオリゴフラクトースを50%と鎖長の長さが10~60のイヌリンを50%含んだフラクタン複合物を健常者に対して一日10g摂取させたところ、来院患者の不安と抑うつを測定することを目的に開発された尺度であるHADSの指標の内、anxiety(不安)が有意に大きくなり、HADSのdepressionについては改善が見られていない。(非特許文献3)HDRSとはハミルトンうつ病評価尺度のことであり、うつ病の診断ではなくうつ病の重症度を評価するための尺度である。
また、平成11年に厚生省による疫学調査において、疲労感を自覚している人の割合は就労人口の約6割にも達し、その半数である約3割が半年以上続く慢性的な疲労に悩んでいるとされ、注目を集めた。近年、脳機能や神経メカニズムと疲労について研究が進み、食品素材の疲労に対する効果も評価されており、例えばビタミンCや,コエンザイムQ10,クエン酸,イミダゾールジペプチド等の抗疲労効果が示されている。
食物繊維の抗疲労効果については、オーツ麦のグルカンやマカの多糖類等が動物実験によって抗疲労又は筋持久力の向上に効果がある可能性が示されているが、ヒトでは明らかになっていない。
特開第2018-184366号
Nutrition Volume 32, Issue 5, May 2016, Pages 584-589「Dietary fiber intake and depressive symptoms in Japanese employees: The Furukawa Nutrition and Health Study」 Nutritional Neuroscience Jun 26; Pages 1-15,2019「Calorie restriction in combination with prebiotic supplementation in obese women with depression: effects on metabolic and clinical response」 British Journal of Nutrition (2005), 93, Suppl. 1, S1-S5「The concept of well-being: relevance to nutrition research」
水溶性食物繊維は、緩下する可能性が低く且つ整腸作用を有し、さらに一般の食品に利用しやすい。水溶性食物繊維が疲労及び/又は気分状態を改善する機能を有するのであれば、一般消費者のQOLの向上に寄与できる。発明者らは鋭意研究の結果、イヌリンの摂取により疲労感及び/又は気分状態を低減できる作用を発見し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は具体的には、以下の通りである。
<1>イヌリンを有効成分として含む、疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
<2>イヌリンの用量が、一日当たり4.0g~20gである、<1>に記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
<3>投与又は摂取対象が、健康な対象である、<1>又は<2>に記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
<4>疲労改善が、VASにおいて、「全体的疲労感」、「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「自覚的ストレス」、「緊張度」、及び「イライラ感」からなる群から選択される少なくとも1つのスコアを低下させることであり、
気分状態改善が、POMS2において、「総合的気分状態」TMD(Total Mood Disturbance)のスコアを低下させることである、<1>~<3>のいずれかに記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
<5>組成物に含まれるイヌリン全量に対する、鎖長5以下のフラクトオリゴ糖の比率が、50重量%未満である、<1>~<4>のいずれかに記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
<6>疲労改善及び気分状態改善の両方の作用を有する、<1>~<5>のいずれかに記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
<7>食品組成物である。<1>~<6>のいずれかに記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
本発明における機能をもつ食品は、イヌリンを有効成分とすることで飲食品など全般に幅広く応用できる汎用性の高いものである。また、イヌリンの持つ整腸作用により疲労及び/又は気分状態改善以外の健康の維持、疾病の予防なども期待できる。本発明に使用可能なイヌリンは、小麦やキク科植物などに含まれ、古くから喫食経験がある物質である。また人体への安全性が高く、副作用の心配をする必要がなく長期にわたり継続的に服用できる。
イヌリン又はプラセボを一日あたり15g摂取させた試験対象者における、POMSによる気分状態(怒り・敵意)の変化を表すグラフである。 イヌリン又はプラセボを一日あたり15g摂取させた試験対象者における、POMSによる気分状態(緊張・不安)の変化を表すグラフである。 イヌリン又はプラセボを一日あたり15g摂取させた試験対象者における、POMSによる気分状態(TMD得点)の変化を表すグラフである。 イヌリン又はプラセボを一日あたり5.0g摂取させた試験対象者における、POMSによる気分状態(疲労・無気力)の変化を表すグラフである。 イヌリン又はプラセボを一日あたり5.0g摂取させた試験対象者における、POMSによる気分状態(緊張・不安)の変化を表すグラフである。 イヌリン又はプラセボを一日あたり5.0g摂取させた試験対象者における、POMSによる気分状態(活気-活力)の変化を表すグラフである。 イヌリン又はプラセボを一日あたり5.0g摂取させた試験対象者における、POMSによる気分状態(TMD得点)の変化を表すグラフである。 イヌリン又はプラセボを一日あたり5.0g摂取させた試験対象者における、VASによる心身の疲労について検討した結果を表すグラフである。 イヌリン又はプラセボを一日あたり5.0g摂取させた試験対象者における、VASによる心身の疲労について検討した結果を表すグラフである。
(イヌリン)
本明細書において、イヌリンとはGFn(G:グルコース、F:フルクトース、n:フルクトースの数(n≧2))で表されるフラクタンの重合体であり、スクロースのフルクトース側に2分子以上のD-フルクトースがβ-(2→1)結合で脱水重合した構造を有するものを意味する。イヌリンは通常重合度の異なる集合体として販売されている。例えば、植物由来のイヌリンは、植物の種類によって多少の差異があるものの、その重合度の分布としては約8~60の範囲にあり、平均重合度は約30前後であることが知られている。本発明において使用されるイヌリンは、好ましくは平均重合度が5以上30以下である。本発明において使用されるイヌリンは、低重合体(重合度4以下のイヌリン)の含量が少ないこと、具体的には使用されるイヌリン全体における割合が10%以下であることが望ましい。本発明において使用されるイヌリンは、溶解度及び風味の観点から、砂糖に酵素を作用させて精製したものを使用することが好ましい。また、鎖長5以下のフラクトオリゴ糖、及び/又はイヌリンの分解物であるオリゴフラクトースのイヌリン全体における割合は、風味の維持及び吸湿性を低く維持する観点から、50重量%未満、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。
本発明において、イヌリン全量の用量における、鎖長5以下のフラクトオリゴ糖成分の用量は、一日当たり5.0g以下が好ましく、4.5g以下がより好ましく、4.0g以下がさらに好ましく、3.6g以下がさらに好ましく、3.0g以下が最も好ましい。
本発明に使用されるイヌリンは植物から抽出されたもの、化学的に合成されたもの、酵素により産生されたものなどに特に制限されるものではなく、どのような由来であっても整腸機能の改善作用を発揮することができる。イヌリンの重合度に着目した場合、重合度の大きさにより性質は異なり、低重合体(特に重合度4以下)は甘味を呈し、高重合体(特に30以上)は水に溶けにくい特徴を持っている。そのためその重合度の分布が加工特性や味質・食感に影響を与える。従って好ましくは平均重合度が5以上30以下であり、低重合体の含量が少ないこと、具体的には、使用されるイヌリン基準で5重量%以下であることが望ましい。
本発明に用いるイヌリンは既知の方法で分析できる。例えば、フラクタンとして測定する方法としてAOAC999.03法は酵素で処理を行い分光光度を測定することで食品中のフラクタンを測定する方法である。また、AOAC997.08法は、イヌリンを酵素で処理し、陽イオン交換クロマトグラフィーにより分析することで食品中のフラクタンを測定する方法である。水溶性食物繊維として測定する場合には、その他に酵素HPLC法を用いることもできる。
またイヌリンの重合度を測定する方法も既知の方法で分析することができる。例えばAOAC997.03法においては酵素での処理前後においてグルコースとフルクトースの量比を測定することで平均重合度を得ることができる。GPC法(ゲル浸透クロマトグラフィー)は、SECやGFPとも呼ばれ、ポリマーの分子量を測定する方法として広く用いられている。この方法でもイヌリンの分子量、すなわち重合度を測定することもできる。また、光散乱を用いる方法、核磁気共鳴法(NMR)、粘度や蒸気圧や氷点降下などの物理的現象を用いる方法などの様々な方法でその重合度を測定することができる。
本発明の疲労及び/又は気分状態改善用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、イヌリン以外の食物繊維、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等を含むことができるが、含まなくともよい。
(一日当たりの用量)
本発明において、一日当たりのイヌリンの投与又は摂取量は、本発明の効果が得られる限り限定されることはないが、好ましくは4.0g以上20g以下である。下限及び上限としては、5.0g、6.0g、7.0g、8.0g、9.0g、10g、11g、12g、13g、14g、15g、16g、17g、又は18gのうちの、いずれかをそれぞれ採用することができる。
上記用量は一日当たりの用量であり、何回かに分けて、例えば朝昼夜に分けて摂取してもよいが、一回で摂取又は投与することが好ましい。投与又は摂取期間は、特に限定されるものではないが、好ましくは4週間以上である。
(対象)
本発明の疲労及び/又は気分状態改善用組成物は、哺乳類、特にヒトに対して投与又は摂取させるものである。対象としては、例えば、20歳未満の未成年、成人、65歳以上の高齢者、65歳未満の者などに投与することができる。対象としては、健康な対象及び、疾患(例えば、うつ病などの精神疾患、肥満など)を罹患する対象であってもよいが、健康な対象であることが好ましい。健康な対象とは、前記の精神疾患又は肥満などの、精神的又は身体的に影響のある慢性的疾患を有しない対象を意味する。
(疲労改善)
疲労は、生体の恒常性を保つために休息が必要であることのサインであり、過剰な活動などによって疲弊して病気になるのを防ぐための重要である。
本明細書において「疲労」とは、日本疲労学会で定めたものに準拠する。すなわち、「疲労」とは、「過度の肉体的及び精神的活動、又は疾患によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動の減退状態」を意味する。よって、本明細書において「疲労」には、疲れが徐々に体に蓄積され、状態が進行していく、体の疲労である「身体疲労」と、人間関係や環境など心理的ストレスにより心が疲れ、精神的苦痛及び身体症状も伴うこともある、心の疲労である「精神疲労」が含まれる。
(VAS)
日本疲労学会では、「抗疲労臨床評価ガイドライン」において「疲労感の評価方法としてはVAS検査が有用である」と示されている。よって、本実施例においては、疲労の主観的評価は、日本疲労学会の抗疲労 臨床評価ガイドラインで示されている疲労感 Visual Analogue Scale検査(以下、VAS)を用いた。具体的にはA4の用紙に100mmの線を横に示し、「全くない」を左端、「最もある」を右端とした場合、各項目に対し現在の状態がどこに位置するか「|」を線上に記入させ、起点から「|」までの距離(mm)をその項目のスコアとした。身体と疲労に関する項目として「全体的疲労感」、「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「自覚的ストレス」、「緊張度」、「眠気」、「退屈度」、「意欲」、「空腹感」、「のどの渇き」、「イライラ感」、「爽快感」を評価した。
本発明において、疲労改善は、組成物の投与前後で、VAS検査によって「全体的疲労感」、「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「自覚的ストレス」、「緊張度」、「眠気」、「退屈度」、「意欲」、「空腹感」、「のどの渇き」、「イライラ感」、及び「爽快感」からなる群から選択される少なくとも1つのスコアが改善されるか否かにより評価することができる。
本明細書において、「疲労改善」は、好ましくは、組成物の投与前後で、「全体的疲労感」、「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「自覚的ストレス」、「緊張度」、及び「イライラ感」からなる群から選択される少なくとも1つのスコアを低下させることであり、より好ましくは、「全体的疲労感」、「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「自覚的ストレス」、「緊張度」、及び「イライラ感」の全てのスコアを低下させることである。
(気分状態改善)
本明細書において「気分状態」とは、感情プロフィール検査(POMS)においてAH(怒り-敵意)、CB(混乱-当惑)、DD(抑うつ-落ち込み)、FI(疲労-無気力)、TA(緊張-不安)、VA(活気-活力)、F(友好)の7下位尺度、各5項目で合計35項目の5段階評定尺度(得点範囲0-4点)で構成され、ネガティブな尺度(AH、CB、DD、FI、TA)の合計点からポジティブな尺度であるVAの得点を引いて得られる「総合的気分状態」TMD(Total Mood Disturbance)の得点で評価することができる。
(POMS2)
本実施例においては、気分状態の測定には、65項目の質問からなる日本語版POMS(profile of mood states)を用いた。
感情プロフィール検査(POMS)とは、成人の感情機能を理解するうえで有用な、幅広い気分状態を網羅した検査である。本検討には日本語版 Profile of Mood States短縮版(以下、POMS2)を用いた。具体的にはAH(怒り-敵意)、CB(混乱-当惑)、DD(抑うつ-落ち込み)、FI(疲労-無気力)、TA(緊張-不安)、VA(活気-活力)、F(友好)の7下位尺度、各5項目で合計35項目の5段階評定尺度(得点範囲0-4点)で構成され、ネガティブな尺度(AH、CB、DD、FI、TA)の合計点からポジティブな尺度であるVAの得点を引き、ネガティブな気分状態を示すとされる「総合的気分状態」TMD(Total Mood Disturbance)得点を算出している。
本発明において、気分状態改善は、TMD(総合的気分状態)のスコアが改善されるか否かにより評価することができる。すなわち、本明細書において、「気分状態改善」は、好ましくは、組成物の投与前後で、AH(怒り-敵意)、CB(混乱-当惑)、DD(抑うつ-落ち込み)、FI(疲労-無気力)、TA(緊張-不安)、VA(活気-活力)、及びF(友好)のからなる群から選択される少なくとも1つのスコアを低下させることであり、より好ましくは、「総合的気分状態」TMD(Total Mood Disturbance)の得点で表される気分のスコアを低下させることである。
本発明の疲労及び/又は気分状態改善用組成物は、好ましくは、疲労改善及び気分状態改善の両方の作用を有する。
(食品組成物)
本発明の疲労及び/又は気分状態改善用組成物が、食品組成物である場合(以下、本発明の食品組成物と称することがある)、本発明の食品組成物としては、例えば、炭酸飲料、各種果汁、果汁飲料や果汁入り清涼飲料、果肉飲料や果粒入り果実飲料、各種野菜を含む野菜系飲料、豆乳・豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料などの一般飲料や前述のような飲料を含んだアルコール飲料;即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席味噌汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズドライ食品などの即席食品類;嗜好品類;パン、マカロニ・スパゲッティ、麺類、ケーキミックス、唐揚げ粉、パン粉、ギョーザの皮などの小麦粉製品;キャラメル・キャンディー、チューイングガム、チョコレート、クッキー・ビスケット、ケーキ・パイ、スナック・クラッカー、和菓子・米菓子・豆菓子、デザート菓子などの菓子類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類、甘味料などの基礎調味料;風味調味料、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類などの複合調味料・食品類;バター、マーガリン類、マヨネーズ類、植物油などの油脂類;牛乳・加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリームなどの乳・乳製品;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済み冷凍食品などの冷凍食品、水産缶詰め、果実缶詰め・ペースト類、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、水産乾物類、佃煮類などの水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物・煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)などの農産加工品;ベビーフード、ふりかけ・お茶漬けのりなどの市販食品;液剤;錠剤;カプセル剤;顆粒剤;散剤;細粒剤などが挙げられる。
本発明の食品組成物は、所望により、酸化防止剤、香料、酸味料、着色料、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、香辛料、pH調整剤、安定剤、植物油、動物油、糖及び糖アルコール類、ビタミン、有機酸、果汁エキス類、野菜エキス類、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の添加物及び素材を単独で又は2種以上組み合わせて配合することができる。これらの素材及び添加物の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜決定することができる。
本発明の食品組成物は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(PETボトル)、金属缶、金属箔又はプラスチックフィルムと複合された紙容器、アルミパウチなどのパウチ、プラスチック容器、ビニール容器、PTP(プレス・スルー・パッケージ)包装、及びガラス瓶などの瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができ、その容量についても特に限定されない。
本発明の食品組成物には、機能性食品(飲料)及び健康食品(飲料)が含まれる。本明細書において「健康食品(飲料)」とは、健康に何らかの効果を与えるか、あるいは、効果を期待することができる食品又は飲料を意味し、「機能性食品(飲料)」とは、前記「健康食品(飲料)」の中でも、前記の種々の生体調節機能(すなわち、消化器系、循環器系、内分泌系、免疫系、又は神経系などの生理系統の調節機能)を充分に発現することができるように設計及び加工された食品又は飲料を意味する。
イヌリンの食品組成物への配合量としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限はなく、食品組成物基準で、通常1~20重量%、1~10重量%、又は3~7重量%である。
本発明の疲労及び/又は気分状態改善用組成物には、例えば、「不安感、気分の落ち込み、困惑感を軽減させる」、「活気・活力の低下を軽減させる」、「活気・活力の低下を増大させる」、「精神的ストレスを緩和する」、「落ち込んだ気分を前向きにする」、「一時的な精神的ストレスと疲労感を緩和する」、「生き生きとした気分にする」、「疲労感を軽減する」、「日常の生活で生じる身体的な疲労感を軽減する」、「起床時の疲労感を軽減する」、「デスクワークによる仕事のストレスや疲れを軽減する」、「日常生活や運動後の疲労感を軽減する」或いは、これらと同視できる機能の表示をすることができる。上記の「表示」は、消費者に前記の機能を知らしめる全てが含まれ、表示される対象は、疲労及び/又は気分状態改善用組成物自体、包装、容器、カタログ、パンフレット、及びインターネットホームページなどその媒体を問わない。
以下に製造例及び実施例を記載し本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において特に説明のない限り、%は重量%を示す。なお、実施例で使用したイヌリンは、平均重合度が5以上30以下であり、低重合体(重合度4以下のイヌリン)の含量が、使用されるイヌリン全量基準で、10%以下であり、鎖長5以下のフラクトオリゴ糖、及び/又はイヌリンの分解物であるオリゴフラクトースのイヌリン全体における割合が、使用されるイヌリン全量基準で、10重量%以下である。
製造例1 イヌリン入り青汁
大麦若葉50%、イヌリン48.9%、乳酸菌0.1%、野草発酵エキス1.0%を混合してイヌリン入り青汁粉末を得た。イヌリン入り青汁粉末8gを150mlの冷水に溶解、分散させることでイヌリン3.9g入り青汁となる。イヌリンの配合により苦味や渋味といった青汁、独特な味をマスキングでき、飲みやすい青汁となる。特定の乳酸菌の摂取によりメンタルヘルスが改善する可能性が示されており、イヌリンとの同時摂取による効果が期待できる。
製造例2 ココア飲料
乳タンパク49%、イヌリン23%、ココアパウダー14%、脱脂粉乳11.5%、乳化剤1.1%、増粘多糖類0.6%、香料0.6%、甘味料0.3%を混合し、イヌリン入りココア飲料粉末を得た。このイヌリン入りココア飲料粉末25gを150mlのお湯に溶解、分散させることでイヌリン5.75g入りココア飲料となる。イヌリンの配合により、糖質が少なくてもボディ感が向上し、口当たりがなめらかになると同時に乳感があり、またタンパク臭を軽減させることで後味のすっきりした飲料となった。ココアに含まれるテオブロミンにはセロトニンとの関連が示唆されており、リラックス効果が得られるとされている。イヌリンとの同時接種によりメンタルヘルスの改善効果が期待できる。
製造例3 ヨーグルトソースパウダー
粉糖47~48%、イヌリン41~42%、クエン酸1~1.2%、果汁パウダー6~9%、香料1.8%、色素0~1.2%を混合する事でイヌリン入りフルーツ風味ソースパウダーを得た。このイヌリン入りフルーツ風味ソースパウダーを10g程度市販ヨーグルトに振りかけることで、イヌリンを摂取しつつフルーツ風味のヨーグルトを味わうことができる。イヌリンを入れることでボディ感が向上しコクのあるヨーグルトとなる。果汁パウダーの種類を変化させ、それに合わせ処方を変化させることで様々な味のパウダーを得ることができる。特定の乳酸菌の摂取によりメンタルヘルスが改善する可能性が示されており、特定の乳酸菌によって製造されたヨーグルトと合わせることで、イヌリンと同時摂取による効果が期待できる。
製造例4 イヌリン入りチーズパウダー
チーズエキスパウダー5.8%、イヌリン75.4%、乳タンパク又は脱脂粉乳18.8%を混合することでイヌリン入りチーズ風味パウダーを得た。パスタなどの食物繊維が不足しがちな食事においても味や食感を損なうことなく、食物繊維を摂取することができる。またエキスパウダーをバターエキスなどに変更することで様々な料理に適応できる。イヌリンを入れることで雑味のマスキングがされ、コク味が付与される。
〔実施例1.機能の検証〕
本試験はイヌリンの摂取が健常成人の心身の疲労感や粘膜免疫に及ぼす効果を検証するために、一般に健康とされる男女の30~50名程度を対象とし、ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を実施した。被験者はイヌリン又はプラセボ(マルトデキストリン)を所定の量、毎日摂取した。摂取前、摂取4~6週間後の、VASやPOMSなどの質問紙検査を行なった。
(試験1)
6週間、イヌリン又はプラセボを一日あたり15g摂取させた試験対象者30名のうち、飲用率80%以上かつ、事前・事後の全項目の測定を完了した27名を解析対象として、試験物群(12名)とプラセボ群(15名)の比較についてPOMSによる気分状態について検討した。結果を図1~3に示す。
イヌリンを摂取した群において、AH(怒り‐敵意)、TA(緊張‐不安)、及びTMD得点の前後比較で有意な低下が確認できた。
(試験2)
4週間、イヌリン又はプラセボを一日あたり5.0g摂取させた試験対象者50名のうち、飲用率80%以上かつ、事前・事後の全項目の測定を完了した48名を解析対象として、試験物群(25名)とプラセボ群(23名)の比較についてPOMSによる気分状態について検討した。結果を図4~7に示す。
試験品群において、FI(疲労-無気力)、TA(緊張-不安)、及びTMD(総合的気分)の有意な低下、及びVA(活気-活力)の有意な上昇がみられた。また、群間比較では、プラセボ群と比較して試験品群にVA(活気-活力)の有意な高値がみられた。
(試験3)
試験2の被験者において、VASによる心身の疲労について検討した。結果を図8~9に示す。
前後差分による群間比較においてプラセボ群と比較して試験品群に「全体的疲労感」「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「自覚的ストレス」、「緊張度」、及び「イライラ感」の有意な低値がみられた。
本発明における疲労及び/又は気分状態改善機能をもつ食品は、イヌリンを有効成分とすることで飲食品など全般に幅広く応用できる汎用性の高いものである。また、イヌリンの持つ整腸作用により疲労及び/又は気分状態改善以外の健康の維持、疾病の予防などが期待できる。

Claims (7)

  1. イヌリンを有効成分として含む、疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
  2. イヌリンの用量が、一日当たり4.0g~20gである、請求項1に記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
  3. 投与又は摂取対象が、健康な対象である、請求項1又は2に記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
  4. 疲労改善が、VASにおいて、「全体的疲労感」、「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「自覚的ストレス」、「緊張度」、及び「イライラ感」からなる群から選択される少なくとも1つのスコアを低下させることであり、
    気分状態改善が、POMS2において、「総合的気分状態」TMD(Total Mood Disturbance)のスコアを低下させることである、請求項1~3のいずれかに記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
  5. 組成物に含まれるイヌリン全量に対する、鎖長5以下のフラクトオリゴ糖の比率が、50重量%未満である、請求項1~4のいずれかに記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
  6. 疲労改善及び気分状態改善の両方の作用を有する、請求項1~5のいずれかに記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
  7. 食品組成物である。請求項1~6のいずれかに記載の疲労及び/又は気分状態改善用組成物。
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