JP2023030436A - 積層体および包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエチレン樹脂のみで構成された積層体において、包装材料として適用可能な透明性や、ヒートシール性や、破袋強度を備え、かつリサイクル性にも優れた積層体およびこれを用いた包装材料を提案するものである。【解決手段】基材3と第1の接着剤層5と、中間層6と、第2の接着剤層9と、シーラント層10とが、この順序に積層され、基材の最外面側に保護層2が積層された積層体1であって、保護層2は熱硬化型樹脂からなり、基材と、中間層と、シーラント層はポリエチレンからなり、基材は、探針降下温度が180℃以上であり、中間層は、探針降下温度が180℃以下であり、前記積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である。【選択図】図1

Description

本発明はポリエチレン樹脂を主体とした積層体および包装材料に関する。
包装袋等に使用される包装材料には、用途に応じてさまざまな特性が求められる。必要とされる特性の例を挙げれば、包装材料として必要な強度、製袋適性、印刷適性、輸送適性、内容物の保存性等々である。このようにさまざまな性能をそれぞれ十分に満たすために、従来は特性の異なる複数の種類の合成樹脂フィルムを複合して用いることが一般的に行われていた。一般に、包装材料に含まれる主要な樹脂の割合が90質量%以上であるとリサイクル性が高いと考えられているが、従来の包装材料の多くは複数の樹脂材料を含んで構成されており、かつこの基準を満たしていないため、リサイクルされていないのが現状である。
特許文献1に記載された多層フィルムは、熱可塑性樹脂によって構成された基材層の少なくとも一方の面上に、無機層状化合物および水溶性高分子を含む分散液を塗布して形成されたガスバリア層と、カチオン性樹脂と水酸基を有する樹脂とを含むオーバーコート層と、接着剤層と、シーラント層とが順次積層された多層フィルムである。この多層フィルムは、ヒートシール性およびガスバリア性に優れていると記載されている。
しかしながら、このような複数種類の材料を複合した包装材料は、使用後にそれぞれの材料に分別することが困難であり、それぞれ単一の材料としてリサイクルすることは出来なかった。従って、折角回収したとしても、燃やして熱として回収利用する以外になく、近年の地球環境保護の立場からは、相容れないものとなっている。
特許文献2には、ポリエチレンからなる基材層の外面に樹脂からなるコーテイング層を備えることで耐ブロッキング性と開封性に優れる包装袋が提案されている。しかしながら、この文献においては、リサイクルしやすい観点から層構成の単純化の提案で、基材層にシーラント層を配した単層構成、または、基材を貼り合わせた構成であることから軽包装の用途に留まり、十分な密封保持性が求められる液体を含む包装袋には強度が不十分で適用が難しい。
一般的に包装袋を形成する製袋工程では、積層体のシーラント層同士を合わせ、積層体の基材層外面側から高温治具に圧力をかけて挟み込むことで熱溶着(ヒートシール)させる工程がある。ヒートシール機の治具は高温になっており、直接治具に接触する基材層外面側は高温に曝されるため、耐熱性が劣るポリエチレン樹脂からなる基材層が熱に冒されて治具に付着するなどの不具合が生じる場合がある。そのため、製袋温度の適正条件が狭く、生産性が悪いことが課題となっていた。
また、一般的にヒートシールすることにより包装袋を作成する場合、ポリエチレン樹脂は耐熱性が劣るため、表面基材層とシーラント層の融点が接近することで、ヒートシール部に熱ダメージを受け易く、熱収縮や歪みなど外観不良を生じ易い。熱ダメージを軽減するためには、製袋速度を遅くする必要があり、生産性の低下が課題となっていた。
特開2009-241359号公報 特開2020-196791号公報
本発明の解決しようとする課題は、ポリエチレン樹脂のみで構成された積層体において、包装材料として適用可能なヒートシール性や、破袋強度を備え、かつリサイクル性にも優れた積層体およびこれを用いた包装材料を提案するものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、少なくとも基材層と中間層とシーラント層とを含む積層体において、基材層の少なくとも片面に保護層が設けられ、基材層と中間層とシーラント層が共にポリエチレン(PE)樹脂からなり、前記基材層は探針降下温度が180℃以上であり、前記中間層は探針降下温度が180℃以下であり、前記積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である積層体である。(探針降下温度の測定方法)
加熱機構を有するカンチレバーから構成されたナノサーマル顕微鏡を備える原子間力顕微鏡を用い、試料台に固定した個体状態の樹脂基材表面にカンチレバーを接触させて、コンタクトモードにてカンチレバーに一定の力(触圧)を加え、電圧を印加することにより加熱していくと、試料表面が熱膨張し、カンチレバーは上昇する。さらにカンチレバーを加熱すると、試料表面は軟化し大きな硬度の変化がみられ、カンチレバーは下降し、試料表面に入り込む。このときの急激な変位の変化を検知する。この変位の変化点が軟化点であり、電圧を温度に変換することで、軟化温度すなわち探針降下温度となる。
本発明に係る積層体は、探針降下温度を指標とすることにより、包装材料として使用可能な透明性や破袋強度を確保することができた。
また、請求項2に記載の発明は、保護層が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂の1つ以上を含み、厚みが0.3μm以上、3μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体である。
また、請求項3に記載の発明は、保護層、基材層、第1の接着剤層、中間層、第2の接着剤層、シーラント層がこの順に設けられ、中間層の少なくとも片面にガスバリア層が更に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体である。
また、請求項4に記載の発明は、ガスバリア層が、無機化合物層または無機化合物層と被覆層とからなることを特徴とする請求項3に記載の積層体である。
また、請求項5に記載の発明は、被覆層が、水酸基含有高分子と有機ケイ素化合物とを含むことを特徴とする請求項4に記載の積層体である。
また、本発明の請求項6にかかる発明は、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体から構成される包装材料である。
本発明に係る積層体は、主要な構成物である基材とシーラント層が共にポリエチレン樹脂であるため、リサイクルに当たって分離する必要がなく、リサイクル性が向上した。
耐熱性の劣るポリエチレン樹脂を基材としながらも、基材の表面に熱硬化型樹脂からなる保護層を設けたことにより、ヒートシール性が確保され、生産性の高い包装袋を製造することができる。
探針降下温度を指標としたことにより、ポリエチレン基材の透明性を担保することが可能となり、包装材料として必要な裏面印刷適性を確保することができた。
基材の少なくても片面にガスバリア層を備えることにより、ガスバリア性包装材料とすることができる。
図1は、本発明に係る積層体の一実施態様を示した断面模式図であり、実施例に対応する。 図2は、比較例の積層体の断面模式図である。
図面を参照しながら、本発明に係る積層体について、詳細に説明する。図1は、本発明に係る積層体の一実施態様を示した断面模式図であり、実施例1、2、3に対応する。また、図2は、比較例1の積層体の断面模式図である。
本発明に係る積層体1は、基材3と第1の接着剤層5と、中間層6と、第2の接着剤層9と、シーラント層10とが、この順序に積層され、基材3の最外面側に保護層2が積層された積層体である。図1に示した積層体においては、基材3の裏面に印刷層4が設けられている。
保護層2は熱硬化型樹脂からなり、前記基材3と、前記中間層6と、前記シーラント層10はいずれもポリエチレンからなり、前記基材3は、下記測定方法で測定される基材表面の探針降下温度が180℃以上であり、前記中間層は、下記測定方法で測定される中間層表面の探針降下温度が180℃以下であることを特徴とする。
(探針降下温度の測定方法)
加熱機構を有するカンチレバーから構成されたナノサーマル顕微鏡を備える原子間力顕微鏡を用い、試料台に固定した個体状態の樹脂基材表面にカンチレバーを接触させて、コンタクトモードにてカンチレバーに一定の力(触圧)を加え、電圧を印加することにより加熱していくと、試料表面が熱膨張し、カンチレバーは上昇する。さらにカンチレバーを加熱すると、試料表面は軟化し大きな硬度の変化がみられ、カンチレバーは下降し、試料表面に入り込む。このときの急激な変位の変化を検知する。この変位の変化点が軟化点であり、電圧を温度に変換することで、軟化温度すなわち探針降下温度となる。
探針降下温度とは、局所的に熱分析することによって探針の上昇・降下挙動を測定することによって得られる温度である。探針降下温度を評価するためには、加熱機構を有するカンチレバー(探針)から構成されたナノサーマル顕微鏡を備える原子間力顕微鏡を用いる。試料台に固定した固体状態の試料表面にカンチレバーを接触させて、コンタクトモードにてカンチレバー(探針)を一定の力(触圧)を加え、電圧を印加することにより加熱していくと、試料表面が熱膨張し、カンチレバー(探針)は上昇する。さらにカンチレバー(探針)を加熱すると、試料表面は軟化し大きな硬度の変化がみられ、カンチレバー(探針)は下降し、試料表面に入り込む。このときの急激な変位の変化を検知する。この電圧の変化点が探針降下開始点であり、電圧を温度に変換することで、探針降下温度となる。このような測定を行うことで、ナノスケール領域の局所的、且つ表面近傍の探針降下温度を知ることができる。
原子間力顕微鏡(AFM)はオックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製のMPF-3D-SA(商品名)、Zthermシステム (商品名)を用いる。特にこの装置に限定されることはなく、ブルカー・ジャパン社のNano Thermal Analysis(商品名)シリーズやnanoIR(商品名)シリーズでも可能である。さらに、他のメーカーAFMに付属として、Nano Thermal Analysis(商品名)を取り付けて、測定することも可能である。
カンチレバー(探針)はアナシス・インスツルメンツ社製のAN2-200(商品名)を用いる。特にこのカンチレバーに限定されることはなく、レーザー光を十分に反射することができ、電圧を印加することができれば、他のカンチレバー(探針)を使用してもよい。
カンチレバー(探針)に印加する電圧範囲は測定対象の樹脂等にもよるが、1Vから10Vまでが好ましく、試料の損傷を少なく、より空間分解能を高く測定するためには、3Vから8Vまでがより好ましい。
測定可能な探針降下温度範囲は測定対象の樹脂等にもよるが、一般的に測定開始温度は常温の25℃程度から測定終了温度は400℃程度まで測定することができる。探針降下温度を算出する温度範囲については、25℃以上300℃以下であることが好ましい。
探針降下温度の測定においては、カンチレバー(探針)に触圧を一定にして熱をかけるが、触圧は試料に接する必要があるが、表面を破壊しない力とする必要がある。カンチレバー(探針)のばね定数は0.1~3.5N/mが好ましく、タッピングモードとコンタクトモードの両モードでの測定を行うためには、0.5~3.5N/mのばね定数のカンチレバー(探針)を用いるのが好ましい。触圧は0.1~3.0Vが好ましい。
カンチレバー(探針)の昇温速度については、カンチレバー(探針)が備える加熱機構等にもよるが、一般的に0.1V/秒以上10V/秒以下の昇温速度で加熱することが好ましい。より好ましくは0.2V/秒以上5V/秒以下の昇温速度で加熱することが好ましい 。試料表面が軟化すると、カンチレバーが試料に侵入するようになり、針は下降する。カンチレバー(探針)の侵入量は軟化曲線のピークトップが認識できる深さが必要であるため、3~500nmが好ましい、侵入量が大きいと、カンチレバー(探針)が破損することがあるため、より好ましくは5~100nmである。
特にこれらに限定されるわけではないが、膨張の曲線と軟化の曲線を必要に応じた関数によってそれぞれ近似し、これらの交点を算出することで、探針降下開始点や探針降下温度とする方法でもよい。または、変位のピークトップを探針降下開始点や探針降下温度とする解析方法でもよい。膨張もしくは軟化において、定常状態からのある一定値までの変位としてもよい。
試料の正確な温度を計測するため、試料測定後に校正曲線の作成を行った。校正用サンプルとしては、ポリカプロラクトン(融点:55℃)、低密度ポリエチレン(LDPE、融点:110℃)、ポリプロピレン(PP、融点:164℃)、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点:235℃)の4種を用いた。それぞれ測定位置を変えて2回測定し、その平均値を探針降下温度として検量線を作成して、校正曲線を作成した。 この校正曲線を使用して、電圧を探針降下開始点とし、温度に換算し探針降下温度とした。
発明者らは、種々のポリエチレン樹脂についてこの探針降下温度を測定した結果、探針降下温度が180℃以上であると、基材3のヘイズが小さく透明性が発現し、視認性が十分確保でき、200℃以上になると透明性が更に良くなることが分かった。印刷層4を基材3の内面側に配置することが可能となる。これにより本発明の効果が一層得られ易いことを見出した。なお、印刷層4の位置は、必ずしも基材3の裏面側でなくても良い。
中間層6は、探針降下温度が180℃以下であると、落下試験における破袋強度が良好であり、180℃を超える場合には、破袋強度が不足する場合があることが分かっている。
図1に示した層構成においては、中間層6のシーラント層10に対向する側の面に無機化合物層7、及び被覆層8からなるガスバリア層を備えたことを特徴とする。無機化合物層7、および被覆層8は、少なくとも一方があればよく、図1に示すように両方あっても良い。無機化合物層7は、酸化アルミニウムや酸化ケイ素のような金属酸化物の薄膜であり、被覆層8は、水酸基含有高分子と有機ケイ素化合物を含む皮膜からなり、酸素や水蒸気の透過を抑制するバリア層として機能する。ガスバリア層は、中間層の基材側でもシーラント層側でも良い。
保護層2は、熱硬化型樹脂層であり、耐熱性を有するものであれば、特に限定されないが、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂は、単体または複合して用いることができる。積層体の表面でのヒートシール時の熱ダメージが軽減緩和されるためには、保護層の厚みは0.3μm以上の厚みが必要である。3μm以上の厚みでは塗布して乾燥する際に乾燥不足となり生産の上では好ましくない。
基材3として耐熱性の乏しいポリエチレンを用いた場合であっても、最外面に熱硬化型樹脂からなる保護層2を設けたことにより、製袋条件の熱シール温度範囲が拡がることで生産性が低下しなくなった。なお基材3としては、延伸フィルムであることが望ましい。延伸することにより、伸びが小さくなり、印刷適性が向上する。
印刷層6に用いる印刷インキとしては、ポリエチレンに対する付着性を有するものであれば、特に限定されない。印刷方式としては、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等を用いることが出来る。
第1の接着剤層5、および第2の接着剤層9に用いる接着剤としては、一般的なドライラミネート用接着剤が用いられる。以下実施例および比較例に基づいて、本発明に係る積層体をより具体的に説明する。
<実施例1>
基材として探針降下温度が180℃以上のポリエチレンフィルム(東京インキ社製SMUQ、厚さ25μm)の表面側にコロナ処理を行った後、ポリアミドイミド樹脂(東洋紡社製バイロマックスHR-15ET)を塗布し、厚さ0.5μmの保護層を形成した。不揮発成分濃度については、5質量%とした。次に基材の反対側に、コロナ処理を行い、グラビアインキを用いて絵柄を印刷し印刷層を形成した。基材の探針降下温度は、211℃であった。
次に基材の印刷層面に第1の接着剤としてドライラミネート用接着剤(三井化学社製タケラックA525/タケネートA52)を塗布し、予め探針降下温度が180℃以下のポリエチレンフィルム(チャーターネックス社製 GAP 厚さ25μm)のシーラント層側のコロナ処理面にガスバリア層として電子ビーム加熱方式の真空蒸着装置を用いて酸化ケイ素(Siox)蒸着膜を厚さ40nmを形成し、さらに、有機無機皮膜混合液を塗布し、厚さ0.3μmの被覆層を形成した中間層を貼り合わせた。なお、中間層の探針降下温度は、160℃であった。さらにシーラント層として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)フィルム(三井東セロ社製 TUX、厚さ60μm)を、第2の接着剤(第1の接着剤と同じ)を用いて貼り合せて、積層体を作成した。
<実施例における探針降下温度の測定方法>
測定条件の詳細は以下の通りである。原子間力顕微鏡としてオックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製のMPF-3D-SA(商品名)を用い、これに備えるナノサーマル顕微鏡としてオックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製のZtherm(商品名)を用いた。カンチレバー(探針)としてはアナシス・インスツルメンツ社製のAN2-200(商品名)を用いた。
ACモードにて10μm視野の試料の形状測定を行った後、カンチレバー(探針)を試料とZ方向に5~10μm離した。この状態で、コンタクトモードにて最大印加電圧6V、加熱速度0.5V/sの条件で装置のDetrend補正機能を行い、電圧印加によるカンチレバー(探針)のたわみ量(Deflection)の変化を補正した。その後、コンタクトモードにてカンチレバーと試料の接触前後のDeflectionの変化が0.2Vとなるようにカンチレバーを試料に接触させ、Deflectionが一定の値を保ったまま、最大印加電圧6V、加熱速度0.5V/sの条件でカンチレバーに電圧を印加して試料を加熱した。この際のZ変位の変化を記録し、Z変位が上昇から下降に転じ、変化点から50nm下降した時点で測定を停止した。Z変位が変化点から50nm下降せずに最大印加電圧に達した場合は、Detrend補正時と測定時の最大印加電圧を0.5V大きくして再度実施した。記録したZ変位が最大となる印加電圧を温度に変換し、探針降下温度とした。この測定を10μm視野内に対し10点行い、平均値を用いた。
印加電圧を温度に変換するためには、ポリカプロラクトン(融点60℃)、低密度ポリエチレン(112℃)、ポリプロピレン(166℃)、ポリエチレンテレフタレート(255℃)を校正試料として測定し、印加電圧と温度の検量線を作成した。ここで、融点は昇温速度5℃/分の条件で示差走査熱量計(DSC)により測定した融解ピーク温度である。測定方法は試料の測定と同様であるが、Detrend補正時と測定時の最大印加電圧をポリカプロラクトンは3.5V、低密度ポリエチレンは5.5V、ポリプロピレンは6.5V、ポリエチレンテレフタレートは7.8Vとした。各校正試料を測定した際のZ変位が最大となる印加電圧に対する融点の関係を最小二乗法により3次関数で近似して検量線を作成し、試料を測定した際の印加電圧を温度に変換した。
各実施例および比較例に係る積層体に対し、以下の評価を行った。
(リサイクル性)
上記式(1)に基づき、各例の積層体におけるポリエチレンのwt%を算出した。評価は、以下の2段階とした。
〇(good):ポリエチレンを90wt%以上含有する。
×(bad):ポリエチレンの含有率が90wt%未満である。
<印刷視認性の評価>
基材の裏面側に形成した印刷画像を基材表面から目視により観察した。
〇:画像が濁ることなく、鮮明に確認できる。
×:画像が濁り、不鮮明な状態。
<シール性の評価>
10cm角に切り出した積層体試料をシーラント層面が内側になるように2つ折りにしてヒートシールテスターを用いてヒートシールした。ヒートシール条件は、上面シール温度を120℃から10℃毎に昇温させ、シール面を観察し、溶融した場合の温度を記録した。圧力0.1MPa、時間1秒、下面シール温度は100℃固定。外観の観察と、シール強度の確認を行った。
外観
〇:表面に溶融がなく、外観上問題がない。
×:表面が溶融しており、外観上問題あり。
<落下強度の評価>
積層体を用いて周辺部がヒートシールされた100mm×150mmの包装袋を10個作成する。それぞれの包装袋に水道水200mlを充填してヒートシールにより封止し、5℃で1日保管後、1.5mの高さから50回落下させ破袋した包装袋の数を記録する。
<実施例2>
実施例1と同様の材料を用いて、基材の表面側に保護層厚み1μmを形成した後、実施例1と同様にして酸化ケイ素薄膜、被覆層、印刷層、接着剤層、シーラント層を設けて積層体とし、同様に評価した。
<実施例3>
実施例1と同様の材料を用いて、基材の表面側に保護層厚み3μmを形成した後、実施例1と同様にして酸化ケイ素薄膜、被覆層、印刷層、接着剤層、シーラント層を設けて積層体とし、同様に評価した。
<比較例1>
比較例1として基材と中間層は、実施例の基材と同じ探針降下温度が180℃以上のポリエチレンフィルム(東京インキ社製 SMUQ、厚さ25μm)を用い、印刷層、ガスバリア層は実施例1と同様に施し、基材表面側の保護層のない積層体を作成し、同様に評価した。なお基材、中間層の触針降下温度は、211℃であった。
<比較例2>
比較例2として、基材を探針降下温度180℃以下のポリエチレンフィルム(チャーターネックスフィルム社製 GAP、厚さ25μm)に変更した以外は、比較例1と同様にして積層体を作成し、同様に評価した。なお基材の触針降下温度は、160℃であった。
以上の結果を表1にまとめた。
Figure 2023030436000002
表1に示されるように、実施例および比較例のすべてが高いリサイクル性を有していたが、保護層が無い比較例1,2の積層体ではシール性が不良であり、本発明に係る積層体は、シール性、印刷視認性、落下衝撃に優れており、包装材料としての存在価値が高いことがわかる。
1・・・積層体
2・・・保護層
3・・・基材層
4・・・印刷層
5・・・第1の接着剤層
6・・・中間層
7・・・無機化合物層
8・・・被覆層
9・・・第2の接着剤層
10・・シーラント層

Claims (6)

  1. 少なくとも基材層と中間層とシーラント層とを含む積層体において、基材層の少なくとも片面に保護層が設けられ、基材層と中間層とシーラント層が共にポリエチレン(PE)樹脂からなり、前記基材層は探針降下温度が180℃以上であり、前記中間層は探針降下温度が180℃以下であり、前記積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である積層体。
  2. 保護層が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂の1つ以上を含み、厚みが0.3μm以上、3μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 保護層、基材層、第1の接着剤層、中間層、第2の接着剤層、シーラント層がこの順に設けられ、中間層の少なくとも片面にガスバリア層が更に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. ガスバリア層が、無機化合物層または無機化合物層と被覆層とからなることを特徴とする請求項3に記載の積層体。
  5. 被覆層が、水酸基含有高分子と有機ケイ素化合物とを含むことを特徴とする
    請求項4に記載の積層体。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体を用いた包装材料。
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