JP7373683B1 - 積層体および包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材および無機酸化物層を備えるバリア性基材と、ポリプロピレンを主成分として含有するシーラント層と、を備える積層体を用いて作製される包装袋の、耐落下破袋性を向上させる。【解決手段】第1の基材と、第1の接着剤層と、第2の基材と、第2の接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、第1の基材が、ポリプロピレン延伸基材を備え、第2の基材が、ポリプロピレン延伸基材を備え、第1の基材および第2の基材から選択される少なくとも一方が、無機酸化物層をさらに備えるバリア性基材であり、シーラント層が、ポリプロピレンを主成分として含有し、第2の接着剤層の断面についてAFMを用いて測定される弾性率が、30.0MPa以上であり、第2の接着剤層の厚さが、0.5μm以上3.0μm以下である、積層体。【選択図】なし

Description

本開示は、積層体および包装袋に関する。
ポリエステルフィルムは、機械的特性、化学的安定性、耐熱性および透明性に優れると共に、安価である。そのため、従来、ポリエステルフィルムは、包装袋を作製するために用いられる積層体を構成する基材として用いられている。包装袋に充填される内容物によっては、包装袋には酸素バリア性などのガスバリア性が要求される。この要求を満たすべく、ポリエステルフィルムの表面に、アルミナまたはシリカなどを含む無機酸化物層が形成されている(例えば、特許文献1参照)。近年、ポリエステルフィルムに代わる基材が模索されている。
特開2005-053223号公報
本開示者らは、積層体を構成する基材として、従来のポリエステルフィルムに代えて、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を用いることを検討した。本開示者らは、具体的には、リサイクル性およびガスバリア性の観点から、上記延伸基材および無機酸化物層を備えるバリア性基材と、ポリプロピレンを主成分として含有するシーラント層と、を備える積層体を用いることを検討した。検討の結果、本開示者らは、このような積層体を用いて作製された包装袋は、落下時の衝撃により破れやすく、耐落下破袋性が充分ではない場合があることを見出した。
本開示の解決課題の一つは、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材および無機酸化物層を備えるバリア性基材と、ポリプロピレンを主成分として含有するシーラント層と、を備える積層体を用いて作製される包装袋の、耐落下破袋性を向上させることにある。
本開示の積層体は、第1の基材と、第1の接着剤層と、第2の基材と、第2の接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備え、第1の基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備え、第2の基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備え、第1の基材および第2の基材から選択される少なくとも一方が、無機酸化物層をさらに備えるバリア性基材であり、シーラント層が、ポリプロピレンを主成分として含有し、第2の接着剤層の断面について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定される弾性率が、30.0MPa以上であり、第2の接着剤層の厚さが、0.5μm以上3.0μm以下である。
本開示によれば、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材および無機酸化物層を備えるバリア性基材と、ポリプロピレンを主成分として含有するシーラント層と、を備える積層体を用いて作製される包装袋の、耐落下破袋性を向上させることができる。
図1は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図3は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図4は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図5は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図6は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図7は、包装袋の一実施形態を示す正面図である。 図8は、包装袋一実施形態を示す斜視図である。
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補および複数の下限値の候補が挙げられている場合、パラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。一例として、「パラメータBは、好ましくはA1以上、より好ましくはA2以上、さらに好ましくはA3以上であり、また、好ましくはA4以下、より好ましくはA5以下、さらに好ましくはA6以下である。」との記載について説明する。この例において、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施することが可能であり、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さおよび形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある層または基材における「主成分」とは、当該層または基材中の含有割合が50質量%超、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である成分をいう。
以下の説明において、登場する各成分(例えば、ポリプロピレン、α-オレフィン、樹脂材料、添加剤、ガスバリア性樹脂、接着性樹脂、無機酸化物)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[積層体]
本開示の積層体は、第1の基材と、第1の接着剤層と、第2の基材と、第2の接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に(以下、「この順に」ともいう)備える。
第1の基材は、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備える。第2の基材は、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備える。第1の基材の延伸基材と第2の基材の延伸基材とは、同一でもよく、異なってもよい。第1の基材および第2の基材から選択される少なくとも一方は、該延伸基材と無機酸化物層とを備えるバリア性基材である。以下の説明において、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を「ポリプロピレン延伸基材」ともいう。
シーラント層は、ポリプロピレンを主成分として含有する。
本開示の積層体は、一実施形態において、第1の基材がポリプロピレン延伸基材であり、第2の基材がバリア性基材である。すなわち上記積層体は、ポリプロピレン延伸基材と、所望により印刷層と、第1の接着剤層と、バリア性基材と、第2の接着剤層と、シーラント層と、をこの順に備える。この実施形態において、無機酸化物層が第1の接着剤層側を向き、ポリプロピレン延伸基材が第2の接着剤層側を向くように、バリア性基材は配置されていることが好ましい。このような配置により、例えば、無機酸化物層の劣化等をより抑制できる。
本開示の積層体は、一実施形態において、第1の基材がバリア性基材であり、第2の基材がポリプロピレン延伸基材である。すなわち上記積層体は、バリア性基材と、所望により印刷層と、第1の接着剤層と、ポリプロピレン延伸基材と、第2の接着剤層と、シーラント層と、をこの順に備える。この実施形態では、無機酸化物層が第1の接着剤層側を向き、ポリプロピレン延伸基材が外側を向くように、バリア性基材は配置されていることが好ましい。
本開示の積層体は、優れたガスバリア性(例えば酸素バリア性および水蒸気バリア性、特に酸素バリア性)を示す。本開示の積層体を用いて作製された包装袋は、レトルト処理およびボイル処理などの熱処理後においても、優れたガスバリア性を示す。熱処理を受けた際に無機酸化物層がより適切に保護され、より高いガスバリア性を示すという観点から、第1の基材がポリプロピレン延伸基材であり、第2の基材がバリア性基材である積層体が好ましい。
図1~図6は、本開示の積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
図1に示す積層体1は、第1の基材としてのポリプロピレン延伸基材10と、第1の接着剤層40Aと、第2の基材としてのバリア性基材20と、第2の接着剤層40Bと、シーラント層30と、をこの順に備える。バリア性基材20は、ポリプロピレン延伸基材22と、無機酸化物層24と、を備える。この例では、ポリプロピレン延伸基材22が第2の接着剤層40B側を向き、無機酸化物層24が第1の接着剤層40A側を向くように、バリア性基材20は配置されている。
図2は、バリア性基材20が、ポリプロピレン延伸基材22と無機酸化物層24との間に表面コート層23を備えること以外は図1と同様である。図3は、バリア性基材20が、ポリプロピレン延伸基材22と、表面コート層23と、無機酸化物層24と、被覆層25と、をこの順に備えること以外は図1と同様である。
図4に示す積層体1は、第1の基材としてのバリア性基材20と、第1の接着剤層40Aと、第2の基材としてのポリプロピレン延伸基材10と、第2の接着剤層40Bと、シーラント層30と、をこの順に備える。バリア性基材20は、ポリプロピレン延伸基材22と、無機酸化物層24と、を備える。この例では、ポリプロピレン延伸基材22が積層体1の最外層を構成し、無機酸化物層24が第1の接着剤層40A側を向くように、バリア性基材20は配置されている。
図5は、バリア性基材20が、ポリプロピレン延伸基材22と無機酸化物層24との間に表面コート層23を備えること以外は図4と同様である。図6は、バリア性基材20が、ポリプロピレン延伸基材22と、表面コート層23と、無機酸化物層24と、被覆層25と、をこの順に備えること以外は図4と同様である。
本開示の積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは88質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、92質量%以上、94質量%以上または95質量%以上である。このような積層体を用いて作製される包装袋は、例えば、リサイクル性に優れる。本開示の積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有割合の上限は、特に限定されないが、例えば99質量%でもよく、98質量%でもよく、97質量%でもよい。
<ポリプロピレン延伸基材>
ポリプロピレン延伸基材は、ポリプロピレンを主成分として含有する。
ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーのいずれでもよく、これらから選択される2種以上の混合物でもよい。ポリプロピレンとしては、バイオマス由来のポリプロピレンおよび/またはリサイクルされたポリプロピレンを用いてもよい。プロピレンホモポリマーとは、プロピレンのみの重合体である。プロピレンランダムコポリマーとは、プロピレンと、プロピレン以外のα-オレフィン等と、のランダム共重合体である。プロピレンブロックコポリマーとは、プロピレンからなる重合体ブロックと、少なくともプロピレン以外のα-オレフィン等からなる重合体ブロックと、を有する共重合体である。少なくともプロピレン以外のα-オレフィン等からなる重合体ブロックは、プロピレンと、プロピレン以外のα-オレフィンと、からなる重合体ブロックでもよい。
α-オレフィンとしては、例えば、プロピレン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンおよび6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。
ポリプロピレンの中でも、透明性の観点からはランダムコポリマーが好ましく、包装袋の剛性および耐熱性を重視する場合はホモポリマーが好ましく、包装袋の耐衝撃性を重視する場合はブロックコポリマーが好ましい。
ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上であり、また、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは30g/10分以下であり、例えば0.1g/10分以上50g/10分以下である。ポリプロピレンのMFRは、JIS K7210-1:2014、A法に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
ポリプロピレン延伸基材におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上、90質量%以上または95質量%以上である。
ポリプロピレン延伸基材は、ポリプロピレン以外の樹脂材料を含有してもよい。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン等の、ポリプロピレン以外のポリオレフィン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステルおよびアイオノマー樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン延伸基材は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料および改質用樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン延伸基材は、延伸処理が施されたポリプロピレン基材である。ポリプロピレン延伸基材を備える積層体は、例えば、耐熱性、耐衝撃性、耐水性および寸法安定性に優れ、例えば、レトルト処理またはボイル処理がなされる包装袋を構成する包装材料として好適である。
延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
機械方向(基材の流れ方向、MD方向)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上であり、また、好ましくは15倍以下、より好ましくは13倍以下である。幅方向(MD方向に対して垂直な方向、TD方向)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上であり、また、好ましくは15倍以下、より好ましくは13倍以下である。延伸倍率を2倍以上とすることにより、基材の強度および耐熱性を向上でき、また、基材への印刷適性を向上できる。基材の破断限界という観点からは、延伸倍率は15倍以下であることが好ましい。
ポリプロピレン延伸基材は、例えば2軸延伸基材である。
ポリプロピレン延伸基材には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、ポリプロピレン延伸基材と他の層との密着性を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理;ならびに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
ポリプロピレン延伸基材の表面に、易接着層を設けてもよい。
ポリプロピレン延伸基材は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
ポリプロピレン延伸基材の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下であり、例えば10μm以上100μm以下である。厚さが下限値以上の延伸基材を備える積層体は、例えば、強度および耐熱性に優れる。厚さが上限値以下の延伸基材を備える積層体は、例えば、加工性に優れる。
本明細書において、基材および各層の厚さは、以下のようにして測定される。積層体を包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、市販の回転式ミクロトームを用いて室温(25℃)環境下にて、該ブロックを切断することにより、積層体の断面を作製する。断面は、積層体の主面に対して垂直となる厚さ方向に切断して得られる。仕上げはダイヤモンドナイフにて実施する。基材および各層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所社製、SU8000)を用いて上記断面を観察して測定される5箇所の厚さの算術平均値とする。
<バリア性基材>
バリア性基材は、ポリプロピレン延伸基材と、無機酸化物層と、を備える。バリア性基材は、例えば、ポリプロピレン延伸基材と、該延伸基材の一方の面上に設けられた無機酸化物層と、を備える。バリア性基材は、ポリプロピレン延伸基材と無機酸化物層との間に、表面コート層を備えてもよい。バリア性基材は、無機酸化物層上に、被覆層を備えてもよい。バリア性基材は、透明性を有してもよい。
(ポリプロピレン延伸基材)
バリア性基材が備えるポリプロピレン延伸基材としては、<ポリプロピレン延伸基材>の欄にて説明したポリプロピレン延伸基材が挙げられる。第1の基材のポリプロピレン延伸基材と、第2の基材のポリプロピレン延伸基材とは、同一でもよく、異なってもよい。
バリア性基材が備えるポリプロピレン延伸基材としては、例えば、ポリプロピレン層と、所望により接着性樹脂層と、後述する表面樹脂層と、をこの順に備える他の態様の延伸基材でもよい。この実施形態では、バリア性基材は、他の態様の延伸基材と、該延伸基材の表面樹脂層上に設けられた無機酸化物層と、を備える。この実施形態では、バリア性基材は、ポリプロピレン層と、所望により接着性樹脂層と、表面樹脂層と、無機酸化物層と、をこの順に備える。他の態様の延伸基材は、一実施形態において、共押出延伸樹脂フィルムである。共押出延伸樹脂フィルムは、例えば、Tダイ法またはインフレーション法などを利用して製膜して積層フィルムを得た後、該積層フィルムを延伸することにより作製できる。
他の態様の延伸基材における延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
MD方向へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上であり、また、好ましくは15倍以下、より好ましくは13倍以下である。TD方向へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上であり、また、好ましくは15倍以下、より好ましくは13倍以下である。
(表面コート層)
バリア性基材は、ポリプロピレン延伸基材と無機酸化物層との間に、極性基を有する樹脂材料を含有する表面コート層を備えてもよい。このようなバリア性基材は、無機酸化物層の密着性に優れ、また、ガスバリア性にも優れる。このようなバリア性基材は、ポリプロピレン延伸基材と、表面コート層と、無機酸化物層と、をこの順に備える。
極性基とは、ヘテロ原子を1個以上含む基を指し、例えば、エステル基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレタン基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボン酸無水物基、スルホ基、チオール基およびハロゲン基が挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、水酸基、アミノ基、アミド基およびウレタン基が好ましく、カルボキシ基、水酸基、アミド基およびウレタン基がより好ましい。
極性基を有する樹脂材料としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル、ポリエチレンイミン、水酸基含有アクリル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンおよびアモルファスナイロンなどのポリアミド、ならびにポリウレタンが挙げられる。これらの中でも、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、水酸基含有アクリル樹脂、ポリアミドおよびポリウレタンがより好ましい。
表面コート層は、例えば、水系エマルジョンまたは溶剤系エマルジョンを用いて形成できる。水系エマルジョンとしては、例えば、ポリアミド系のエマルジョン、ポリエチレン系のエマルジョンおよびポリウレタン系のエマルジョンが挙げられる。溶剤系エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂系のエマルジョンおよびポリエステル系のエマルジョンが挙げられる。
表面コート層における極性基を有する樹脂材料の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
表面コート層は、極性基を有する樹脂材料以外の上記樹脂材料を含有してもよい。
表面コート層は、上記添加剤を含有してもよい。
ポリプロピレン延伸基材および表面コート層の合計厚さに対する表面コート層の厚さの割合は、好ましくは0.08%以上、より好ましくは0.2%以上、さらに好ましくは1%以上であり、また、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、よりさらに好ましくは5%以下であり、例えば0.08%以上20%以下である。表面コート層の厚さは、好ましくは0.02μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、よりさらに好ましくは0.2μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下であり、例えば0.02μm以上10μm以下である。上記割合または厚さが下限値以上であると、例えば、無機酸化物層の密着性を向上でき、ガスバリア性を向上でき、また、積層体のラミネート強度を向上できる。上記割合または厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性基材の加工性および積層体のリサイクル性を向上できる。
例えば、ポリプロピレンまたはポリプロピレンを含有する樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用して製膜してポリプロピレン基材を得た後、該基材を延伸し、得られた延伸基材に表面コート層形成用塗工液を塗布し乾燥することにより、ポリプロピレン延伸基材および表面コート層を有する樹脂基材を作製できる。
(ポリプロピレン層、表面樹脂層および接着性樹脂層)
他の態様の延伸基材において、ポリプロピレン層は、ポリプロピレンを主成分として含有する。ポリプロピレンの詳細は上述したとおりであり、本欄での説明は省略する。ポリプロピレン層におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上、90質量%以上または95質量%以上である。
ポリプロピレン層は、ポリプロピレン以外の上記樹脂材料を含有してもよい。
ポリプロピレン層は、上記添加剤を含有してもよい。
ポリプロピレン層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。ポリプロピレン層の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下であり、例えば10μm以上100μm以下である。
表面樹脂層は、180℃以上の融点を有する樹脂材料(以下「高融点樹脂材料」ともいう)を含有する。ポリプロピレン層と無機酸化物層との間に高融点樹脂材料を含有する表面樹脂層を設けることによって、例えば、当該表面樹脂層上に形成される無機酸化物層の密着性を向上できると共に、ガスバリア性も向上できる。
高融点樹脂材料の融点は、好ましくは185℃以上、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは205℃以上である。融点が下限値以上であると、例えば、無機酸化物層の密着性を向上でき、ガスバリア性を向上でき、また、積層体のラミネート強度を向上できる。高融点樹脂材料の融点は、好ましくは265℃以下、より好ましくは260℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。これにより、例えば、延伸基材の製膜性を向上できる。
本明細書において、高融点樹脂材料等の融点は、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定する。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、10℃/分の昇温速度でDSC曲線を測定し、融点としての融解ピーク温度を求める。
高融点樹脂材料は、極性基を有することが好ましい。極性基とは、ヘテロ原子を1個以上含む基を指し、例えば、エステル基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレタン基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボン酸無水物基、スルホ基、チオール基およびハロゲン基が挙げられる。これらの中でも、水酸基、エステル基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基およびカルボニル基が好ましく、アミド基がより好ましい。
高融点樹脂材料は、融点が180℃以上であればよく、例えば、ポリオレフィン、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、セルロース樹脂およびアイオノマー樹脂が挙げられる。例えば、融点が180℃以上であり、極性基を有する樹脂材料が好ましく、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ならびにナイロン6およびナイロン6,6等のポリアミドがより好ましい。
表面樹脂層における高融点樹脂材料の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
表面樹脂層は、高融点樹脂材料以外の上記樹脂材料を含有してもよい。
表面樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。
表面樹脂層には、上記表面処理が施されていてもよい。
ポリプロピレン層および表面樹脂層を備える他の態様の延伸基材の総厚さに対する表面樹脂層の厚さの割合は、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上であり、また、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下であり、例えば1%以上10%以下である。表面樹脂層の厚さは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、また、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下であり、例えば0.1μm以上5μm以下である。上記割合または厚さが下限値以上であると、例えば、無機酸化物層の密着性を向上でき、ガスバリア性を向上でき、また、積層体のラミネート強度を向上できる。上記割合または厚さが上限値以下であると、例えば、他の態様の延伸基材の製膜性および加工性、ならびに積層体のリサイクル性を向上できる。
他の態様の延伸基材は、ポリプロピレン層と表面樹脂層との間に、接着性樹脂層を備えてもよい。これにより、これらの層間の密着性を向上できる。接着性樹脂層の厚さは、例えば、1μm以上15μm以下である。接着性樹脂層は、例えば、接着性樹脂により形成できる。接着性樹脂としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィンおよびポリオレフィンの酸変性物が挙げられる。これらの中でも、積層体のリサイクル性という観点から、ポリオレフィンおよびその酸変性物が好ましく、ポリプロピレンおよびその酸変性物がより好ましい。
(無機酸化物層)
バリア性基材は、無機酸化物層を備える。無機酸化物層は、1種または2種以上の無機酸化物を含み、例えば無機酸化物の蒸着膜である。バリア性基材を備える積層体は、ガスバリア性、具体的には、酸素バリア性および水蒸気バリア性に優れる。このような積層体を用いて作製された包装袋は、包装袋内に充填された内容物の酸化劣化を抑えることができ、内容物の質量減少を抑えることができる。バリア性基材は、例えば、表面コート層上に無機酸化物層を備えてもよく、表面樹脂層上に無機酸化物層を備えてもよい。
無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウムおよび酸化炭化ケイ素(炭素含有酸化ケイ素)が挙げられる。これらの中でも、シリカ、酸化炭化ケイ素およびアルミナが好ましい。
一実施形態において、無機酸化物層形成後のエージング処理が必要ないため、無機酸化物としては、シリカがより好ましい。一実施形態において、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できることから、無機酸化物としては、炭素含有酸化ケイ素がより好ましい。
無機酸化物層の厚さは、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上であり、また、好ましくは150nm以下、より好ましくは60nm以下、さらに好ましくは40nm以下であり、例えば1nm以上150nm以下である。厚さが下限値以上の無機酸化物層を備える積層体は、例えば、酸素バリア性および水蒸気バリア性に優れる。厚さが上限値以下の無機酸化物層を備える積層体は、例えば、無機酸化物層におけるクラックの発生を抑制でき、また、リサイクル性に優れる。
無機酸化物層の表面には、上記表面処理が施されていてもよい。
無機酸化物層、特に無機酸化物蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、ならびにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法および光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)が挙げられる。
無機酸化物層は、1回の蒸着工程により形成される単層でもよく、複数回の蒸着工程により形成される多層でもよい。無機酸化物層が多層である場合、各層は同一の無機酸化物から構成されてもよく、異なる無機酸化物から構成されてもよい。各層は、同一の方法により形成してもよく、異なる方法により形成してもよい。
無機酸化物層は、CVD法により形成された蒸着膜であることが好ましく、CVD法により形成された炭素含有酸化ケイ素蒸着膜であることがより好ましい。このような無機酸化物層を備える積層体は、例えば、耐屈曲性に優れる。
炭素含有酸化ケイ素蒸着膜は、ケイ素、酸素および炭素を含む。
炭素含有酸化ケイ素蒸着膜の一実施形態において、炭素の割合Cは、ケイ素、酸素および炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上であり、また、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下であり、例えば3%以上50%以下である。炭素の割合Cを上記範囲とすることにより、例えば、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できる。
本明細書において、各元素の割合は、モル基準である。
炭素含有酸化ケイ素蒸着膜の一実施形態において、ケイ素の割合Siは、ケイ素、酸素および炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは8%以上であり、また、好ましくは45%以下、より好ましくは38%以下、さらに好ましくは33%以下であり、例えば1%以上45%以下である。酸素の割合Oは、ケイ素、酸素および炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上であり、また、好ましくは70%以下、より好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下であり、例えば10%以上70%以下である。ケイ素の割合Siおよび酸素の割合Oを上記範囲とすることにより、例えば、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下をより抑制できる。
炭素含有酸化ケイ素蒸着膜の一実施形態において、酸素の割合Oは、炭素の割合Cよりも高いことが好ましく、ケイ素の割合Siは、炭素の割合Cよりも低いことが好ましい。酸素の割合Oは、ケイ素の割合Siよりも高いことが好ましい、すなわち、各割合は、割合O、割合C、割合Siの順に低くなることが好ましい。これにより、例えば、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下をより抑制できる。
炭素含有酸化ケイ素蒸着膜における割合C、割合Siおよび割合Oは、X線光電子分光法(XPS)により、以下の測定条件のナロースキャン分析によって測定する。
(測定条件)
使用機器:「ESCA-3400」(Kratos製)
[1]スペクトル採取条件
入射X線:MgKα(単色化X線、hν=1253.6eV)
X線出力:150W(10kV・15mA)
X線走査面積(測定領域):約6mmφ
光電子取込角度:90度
[2]イオンスパッタ条件
イオン種:Ar
加速電圧:0.2(kV)
エミッション電流:20(mA)
etch範囲:10mmφ
イオンスパッタ時間:30秒で実施し、スペクトルを採取
(被覆層)
バリア性基材は、無機酸化物層上に、被覆層をさらに備えてもよい。すなわち、バリア性基材は、無機酸化物層におけるポリプロピレン延伸基材に向かう面とは反対の面上に、被覆層をさらに備えてもよい。このようなバリア性基材を備える積層体は、例えば、酸素バリア性および水蒸気バリア性に優れる。
被覆層は、一実施形態において、樹脂成分を含有する。樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンおよびポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、メラミン樹脂ならびにエポキシ樹脂が挙げられる。被覆層における樹脂成分の含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは75質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であり、例えば50質量%超95質量%以下である。
被覆層は、上記添加剤を含有してもよい。
被覆層の厚さは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、また、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下であり、例えば0.01μm以上5μm以下である。このような被覆層は、例えば、耐傷性に優れる。
被覆層は、例えば、無機酸化物層の表面に被覆層用塗工液を塗布し、乾燥することにより形成できる。被覆層用塗工液は、例えば、上述した樹脂成分と、必要に応じて添加剤と、溶剤と、を混合することにより調製できる。これらの成分の詳細は、上述したとおりである。被覆層用塗工液の塗布方法としては、公知の塗布方法が挙げられる。塗布された被覆層用塗工液の乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥および赤外線照射などの熱を印加する方法が挙げられる。乾燥温度は、50℃以上でもよく、また、150℃以下でもよい。
被覆層は、一実施形態において、ガスバリア性樹脂を含有するバリアコート層でもよい。ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド、ポリウレタン、ならびにアクリル樹脂が挙げられる。バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。このようなバリアコート層は、例えば、ガスバリア性に優れる。
バリアコート層は、上記添加剤を含有してもよい。
ガスバリア性樹脂を含有するバリアコート層の厚さは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下であり、例えば0.01μm以上10μm以下である。厚さが下限値以上のバリアコート層を備えるバリア性基材は、例えば、ガスバリア性に優れる。厚さが上限値以下のバリアコート層を備えるバリア性基材は、例えば、積層体の加工性およびリサイクル性を向上できる。
バリアコート層は、例えば、ガスバリア性樹脂等の材料を水または適当な有機溶剤に溶解または分散させ、得られた塗布液を無機酸化物層の表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。バリアコート層は、例えば、市販のバリアコート剤を塗布し、乾燥することによっても形成できる。
被覆層は、一実施形態において、金属アルコキシドと水溶性高分子とを含有する組成物を、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤等の存在下で、ゾルゲル法によって重縮合処理して形成されたガスバリア性塗布膜でもよい。無機酸化物層上にガスバリア性塗布膜を備えるバリア性基材は、例えば、ガスバリア性に優れる。ガスバリア性塗布膜は、上記金属アルコキシド等がゾルゲル法によって加水分解および重縮合された加水分解重縮合物を含む。このようなガスバリア性塗布膜を無機酸化物層上に設けることにより、例えば、無機酸化物層におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。
金属アルコキシドは、例えば、式(1)で表される。
1 nM(OR2m (1)
式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1以上8以下の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。R1およびR2における有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基およびn-オクチル基等の炭素数1以上8以下のアルキル基が挙げられる。金属原子Mは、例えば、ケイ素、ジルコニウム、チタンまたはアルミニウムである。金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびテトラブトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体等の水酸基含有高分子が挙げられる。酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性および耐候性などの所望の物性に応じて、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体のいずれか一方を用いてもよく、両者を併用してもよく、また、ポリビニルアルコールを用いて得られるガスバリア性塗布膜およびエチレン-ビニルアルコール共重合体を用いて得られるガスバリア性塗布膜を積層してもよい。水溶性高分子の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは500質量部以下である。
金属アルコキシドと共に、シランカップリング剤を用いてもよい。シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができ、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましく、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよびβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
ガスバリア性組成物は、金属アルコキシド1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは0.5モル以上の、また、好ましくは100モル以下、より好ましくは60モル以下の割合の水を含んでもよい。水の含有量を下限値以上とすることにより、例えば、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上できる。水の含有量を上限値以下とすることにより、例えば、加水分解反応を速やかに行うことができる。
ガスバリア性組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびn-ブチルアルコールが挙げられる。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好ましい。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸および硝酸等の鉱酸;ならびに酢酸および酒石酸等の有機酸が挙げられる。酸の使用量は、金属アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量1モルに対して、好ましくは0.001モル以上0.05モル以下である。
アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶剤に可溶な第3級アミンが好適であり、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびトリペンチルアミンが挙げられる。アミン系化合物の使用量は、金属アルコキシドとシランカップリング剤との合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。
ガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコートおよびアプリケータ等の塗布手段が挙げられる。
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について説明する。
金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶剤、および必要に応じてシランカップリング剤等を混合して、ガスバリア性組成物を調製する。組成物中では、次第に重縮合反応が進行する。無機酸化物層上に、常法により、上記組成物を塗布し乾燥する。この乾燥により、金属アルコキシドおよび水溶性高分子(組成物がシランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。上記操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層してもよい。例えば、塗布された上記組成物を好ましくは20℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上の温度で、また、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下の温度で、1秒以上10分以下加熱する。これにより、ガスバリア性塗布膜を形成できる。
ガスバリア性塗布膜の厚さは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、また、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下であり、例えば0.01μm以上2μm以下である。これにより、例えば、ガスバリア性を向上でき、無機酸化物層におけるクラックの発生を抑制でき、また、包装袋のリサイクル性を向上できる。
<印刷層>
本開示の積層体は、第1の基材および第2の基材などの基材の表面に印刷層を備えてもよい。印刷層に形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号およびこれらの組み合わせなどが表される。印刷層形成は、バイオマス由来のインキを用いて行うこともできる。これにより、環境負荷をより低減できる。
印刷層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法およびフレキソ印刷法などの従来公知の印刷法が挙げられる。これらの中でも、環境負荷低減という観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
印刷層の厚さは、例えば0.5μm以上3μm以下である。
<シーラント層>
本開示の積層体は、シーラント層を備える。
シーラント層は、ポリプロピレンを主成分として含有する。シーラント層は、ポリプロピレン延伸基材と同種の樹脂材料、すなわち、ポリプロピレンを主成分として含有する。これにより、積層体のモノマテリアル化を図ることができる。すなわち使用済みの包装袋を回収した後、基材とシーラント層とを分離する必要がなく、包装袋のリサイクル性を向上できる。
シーラント層におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上、90質量%以上または95質量%以上である。このようなシーラント層を備える積層体は、例えば、リサイクル性に優れる。
ポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体等のプロピレンランダムコポリマー、およびプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等のプロピレンブロックコポリマーが挙げられる。α-オレフィンの詳細は、上述したとおりである。ヒートシール性という観点から、ポリプロピレンの密度は、例えば0.88g/cm3以上0.92g/cm3以下である。密度は、JIS K7112:1999のD法(密度勾配管法、23℃)に準拠して測定される。環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリプロピレンおよび/またはリサイクルされたポリプロピレンを用いてもよい。
シーラント層は、上記添加剤を含有してもよい。
シーラント層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
シーラント層の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下であり、例えば10μm以上200μm以下である。厚さが下限値以上のシーラント層を備える積層体は、例えば、シール強度に優れる。厚さが上限値以下のシーラント層を備える積層体は、例えば、加工性に優れる。積層体からパウチ(特にレトルトパウチ)を作製する場合は、シーラント層の厚さは、好ましくは30μm以上であり、また、好ましくは100μm以下である。
シーラント層は、ヒートシール性という観点から、好ましくは未延伸のポリプロピレンフィルムであり、未延伸のポリプロピレンフィルムは、例えば、キャスト法、Tダイ法またはインフレーション法などを利用することにより作製できる。
シーラント層には、上記表面処理が施されていてもよい。
<接着剤層>
本開示の積層体は、第1の基材と第2の基材との間に、第1の接着剤層を備える。本開示の積層体は、第2の基材とシーラント層との間に、第2の接着剤層を備える。このような積層体は、例えば、第1の基材/第2の基材間、および第2の基材/シーラント層間のラミネート強度に優れる。
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層の断面について、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定される弾性率は、30.0MPa以上であり、好ましくは33.0MPa以上、より好ましくは35.0MPa以上である。弾性率が下限値以上であり、かつ厚さが2.5μm以下の第2の接着剤層を備える積層体を用いて作製される包装袋は、耐衝撃性、したがって耐落下破袋性に優れるとともに、引裂き性、したがって開封性に優れる傾向にある。また、該包装袋は、例えば、リサイクル性に優れる。
第2の接着剤層の断面について、AFMを用いて測定される弾性率は、好ましくは120MPa以下、より好ましくは110MPa以下、さらに好ましくは100MPa以下、よりさらに好ましくは90.0MPa以下、特に好ましくは80.0MPa以下、70.0MPa以下、60.0MPa以下または50.0MPa以下である。弾性率が上限値以下の第2の接着剤層を備える積層体は、ラミネート強度に優れる傾向にある。
第2の接着剤層の上記弾性率は、例えば30.0MPa以上120MPa以下である。
AFMによる上記弾性率の測定条件の詳細は、実施例欄に記載する。
上記弾性率を有する第2の接着剤層は、例えば、後述する無溶剤型接着剤を用い、また、それぞれ後述する主剤に含まれる重合体成分の種類および分子量、硬化剤の種類、モル比(NCO/OH)、エージング条件を適宜変更することにより形成することができる。
第2の接着剤層の断面について、サーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点は、好ましくは200℃以上、より好ましくは205℃以上、さらに好ましくは210℃以上、よりさらに好ましくは215℃以上、特に好ましくは220℃以上または225℃以上である。軟化点が下限値以上の第2の接着剤層を備える積層体を用いて作製される包装袋は、耐熱性に優れ、例えばレトルト処理などの熱処理後においてもガスバリア性、外観およびラミネート強度に優れる傾向にある。したがって、このような包装袋は、耐落下破袋性と熱処理後のガスバリア性とを両立できる。
第2の接着剤層の断面について、サーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点は、例えば330℃以下でもよく、320℃以下でもよく、310℃以下でもよく、300℃以下でもよく、290℃以下でもよく、280℃以下でもよく、270℃以下でもよく、260℃以下でもよい。
第2の接着剤層の上記軟化点は、例えば200℃以上330℃以下である。
接着剤層の軟化点は、サーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される値である。サーマルプローブを用いた局所熱分析では、接着剤層の断面にサーマルプローブを接触させた状態で、温度を上昇させながらサーマルプローブの加熱前からの接着剤層断面の法線方向の変位を計測し、熱膨張曲線を得る。上記断面は、積層体の主面に対して垂直となる厚さ方向に切断して得られる。サーマルプローブが接触する箇所は、接着剤層の断面が露出した部分のうち、接着剤層の厚さ方向における中央部付近とする。測定は同一断面において5箇所以上で実施し、軟化点は再現良く測定された5箇所の値の算術平均値として記載する。
局所熱分析では、加熱により接着剤層に含まれる成分が膨張することで、サーマルプローブが押し上げられる。接着剤層の成分の構造転移等により、熱膨張曲線の傾き(変位/温度)が変化する。接着剤層の成分の構造転移のうち、特に膨張から軟化へと転じる場合は、サーマルプローブの先端が成分内に入り込むため、サーマルプローブが下降する。サーマルプローブの変位が上昇から下降に転じる点が、熱膨張曲線のピークに相当し、軟化点と呼ばれる。熱膨張曲線のピークの温度を読み取ることで、接着剤層の軟化点が得られる。
測定条件の詳細は、実施例欄に記載する。
第2の接着剤層の厚さは、3.0μm以下であり、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下であり、また、0.5μm以上であり、好ましくは0.8μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、例えば0.5μm以上3.0μm以下である。弾性率が30.0MPa以上であり、かつ厚さが上限値以下の第2の接着剤層を備える積層体を用いて作製される包装袋は、耐衝撃性、したがって耐落下破袋性に優れる傾向にあり、また、引裂き性、したがって開封性に優れる傾向にある。弾性率が30.0MPa以上であり、かつ厚さが下限値以上の第2の接着剤層を備える積層体を用いて作製される包装袋は、耐衝撃性、したがって耐落下破袋性に優れる傾向にある。また、該包装袋は、リサイクル性に優れる。
積層体全体の厚さに対する第2の接着剤層の厚さは、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.8%以上、さらに好ましくは1.0%以上であり、また、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下、よりさらに好ましくは1.5%以下であり、例えば0.5%以上3.0%以下である。
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層の厚さは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは8.0μm以下、さらに好ましくは6.0μm以下、特に好ましくは5.0μm以下であり、例えば0.5μm以上10.0μm以下である。
第1の接着剤層の断面について、サーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点は、好ましくは200℃以上、より好ましくは205℃以上、さらに好ましくは210℃以上、よりさらに好ましくは215℃以上、特に好ましくは220℃以上または225℃以上であり、また、例えば330℃以下でもよく、320℃以下でもよく、310℃以下でもよく、300℃以下でもよく、290℃以下でもよく、280℃以下でもよく、270℃以下でもよく、260℃以下でもよく、例えば200℃以上330℃以下である。軟化点が下限値以上の第1の接着剤層を備える積層体を用いて作製される包装袋は、耐熱性に優れ、例えばレトルト処理などの熱処理後においてもガスバリア性、外観およびラミネート強度に優れる傾向にある。したがって、このような包装袋は、耐落下破袋性と熱処理後のガスバリア性とを両立できる。
第1の接着剤層の断面について、AFMを用いて測定される弾性率は、一実施形態(A)において、好ましくは30.0MPa以上、より好ましくは33.0MPa以上、さら好ましくは35.0MPa以上であり、また、好ましくは120MPa以下、より好ましくは110MPa以下、さらに好ましくは100MPa以下、よりさらに好ましくは90.0MPa以下、特に好ましくは80.0MPa以下、70.0MPa以下、60.0MPa以下または50.0MPa以下であり、例えば30.0MPa以上120MPa以下である。弾性率が上限値以下の第1の接着剤層を備える積層体は、ラミネート強度に優れる傾向にある。このような弾性率を有する第1の接着剤層は、例えば、後述する無溶剤型接着剤を用い、また、それぞれ後述する主剤に含まれる重合体成分の種類および分子量、硬化剤の種類、モル比(NCO/OH)、エージング条件を適宜変更することにより形成することができる。
第1の接着剤層が一実施形態(A)の弾性率を有する場合、第2の接着剤層の弾性率は、一実施形態において、第1の接着剤層の弾性率よりも小さい。このような態様の積層体を用いて作製される包装袋は、耐衝撃性、したがって耐落下破袋性により優れるとともに、シール強度により優れる傾向にある。これは、第2の接着剤層の弾性率が小さいことにより、第2の基材の表層が剥離することを抑制でき、したがって第2の基材とシーラント層とのラミネート強度の低下を抑制できるためであると推測される。
第1の接着剤層が一実施形態(A)の弾性率を有する場合、第2の接着剤層の弾性率は、一実施形態において、第1の接着剤層の弾性率よりも大きい。このような態様の積層体を用いて作製される包装袋は、引裂き性、したがって開封性により優れる傾向にある。
第1の接着剤層が一実施形態(A)の弾性率を有する場合、第1の接着剤層の厚さは、一実施形態において、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下、よりさらに好ましくは1.5μm以下であり、また、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上であり、例えば0.5μm以上3.0μm以下である。この実施形態において、積層体全体の厚さに対する第1の接着剤層の厚さは、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.8%以上、さらに好ましくは1.0%以上であり、また、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下、よりさらに好ましくは1.5%以下であり、例えば0.5%以上3.0%以下である。このような第1の接着剤層を備える積層体を用いて作製される包装袋は、耐衝撃性、したがって耐落下破袋性に優れるとともに、引裂き性、したがって開封性に優れる傾向にある。また、該包装袋は、例えば、リサイクル性に優れる。
第1の接着剤層が一実施形態(A)の弾性率を有する場合、第1の接着剤層の厚さは、一実施形態において、第2の接着剤層の厚さよりも大きい。第1の基材における第1の接着剤層に向かう面上に印刷層が設けられている場合は、第1の接着剤層は印刷層による段差を良好に覆うことができ、外観良好な包装袋を得ることができる傾向にある。第1の接着剤層の厚さ1と第2の接着剤層の厚さ2との比(厚さ1/厚さ2)は、例えば0.16以上でもよく、0.5以上でもよく、0.8以上でもよく、第1の接着剤層の厚さが第2の接着剤層の厚さよりも大きい場合は1.0超であり、また、6.0以下でもよく、3.0以下でもよく、1.1以下でもよい。
第1の接着剤層の断面について、AFMを用いて測定される弾性率は、一実施形態(B)において、好ましくは30.0MPa未満、より好ましくは28.0MPa以下、さらに好ましくは26.0MPa以下であり、また、好ましくは5.0MPa以上、より好ましくは10.0MPa以上、さらに好ましくは15.0MPa以上、よりさらに好ましくは16.0MPa以上、特に好ましくは18.0MPa以上であり、例えば5.0MPa以上30.0MPa未満である。弾性率が上限値以下の第1の接着剤層を備える積層体を用いて作製される包装袋は、レトルト処理などの熱処理後においてもガスバリア性(例えば酸素バリア性および水蒸気バリア性、特に酸素バリア性)および外観に優れる傾向にある。第1の基材における第1の接着剤層に向かう面上に印刷層が設けられている場合は、弾性率が上限値以下の第1の接着剤層は、印刷層との密着性に優れる傾向にある。弾性率が下限値以上の第1の接着剤層を備える積層体を用いて作製される包装袋は、レトルト処理などの熱処理後においてもガスバリア性および外観に優れる傾向にある。このような弾性率を有する第2の接着剤層は、例えば、後述する溶剤型接着剤を用い、また、それぞれ後述する主剤に含まれる重合体成分の種類および分子量、硬化剤の種類、モル比(NCO/OH)、エージング条件を適宜変更することにより形成することができる。
第1の接着剤層が一実施形態(B)の弾性率を有する場合、第1の接着剤層の厚さは、一実施形態において、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上、特に好ましくは2.5μm以上であり、また、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは8.0μm以下、さらに好ましくは6.0μm以下、特に好ましくは5.0μm以下であり、例えば1.0μm以上10.0μm以下である。この実施形態において、積層体全体の厚さに対する第1の接着剤層の厚さは、好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2.0%以上、特に好ましくは2.5%以上であり、また、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは6.0%以下、特に好ましくは5.0%以下であり、例えば1.0%以上10.0%以下である。第1の接着剤層の厚さは、一実施形態において、第2の接着剤層の厚さよりも大きい。第1の基材における第1の接着剤層に向かう面上に印刷層が設けられている場合は、厚さが下限値以上の第1の接着剤層は印刷層による段差を良好に覆うことができ、外観良好な包装袋を得ることができる傾向にある。厚さが下限値以上の第1の接着剤層を備える積層体は、熱処理後においてもラミネート強度に優れる傾向にある。
(接着剤)
第1の接着剤層および第2の接着剤は、それぞれ接着剤により構成される。第1の接着剤層を形成する接着剤と、第2の接着剤層を形成する接着剤とは、同一でもよく、異なってもよい。接着剤は、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、および非硬化型の接着剤のいずれでもよく、上述した弾性率および軟化点を上述した範囲に調整しやすいという観点から、2液硬化型の接着剤が好ましい。
接着剤を用いて積層体を得る方法としては、対象物に接着剤を塗布した後、形成された接着剤層に他の対象物を重ね合せた状態で両者に挟まれた接着剤層の硬化を進行させる方法が挙げられる。対象物としては、例えば、第1の基材、第2の基材およびシーラントフィルムが挙げられる。接着剤層の硬化を進行させる工程を、以下「エージング工程」ともいう。
接着剤のエージング条件について、以下に記載する。エージング温度は、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上であり、また、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。エージング時間は、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、さらに好ましくは20時間以上であり、また、好ましくは150時間以下、より好ましくは135時間以下、さらに好ましくは120時間以下である。エージング温度を高くすることにより、接着剤層の弾性率は高くなる傾向にある。エージング時間を長くすることにより、接着剤層の弾性率は高くなる傾向にある。
接着剤としては、例えば、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエーテル系接着剤、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、オレフィン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤およびフェノール系接着剤が挙げられる。これらの中でも、弾性率および軟化点を上述した範囲に調整しやすいという観点から、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤およびポリエーテル系接着剤が好ましく、ポリウレタン系接着剤およびポリエステル系接着剤がより好ましく、ポリウレタン系接着剤がさらに好ましく、2液硬化型のポリウレタン系接着剤が特に好ましい。
接着剤は、溶剤型接着剤でもよく、無溶剤型接着剤でもよい。
溶剤型接着剤とは、接着剤を対象物に塗布した後に、オーブン等で加熱して接着剤中の溶剤を揮発させた後に他の対象物と貼り合せる方法に用いられる接着剤をいう。2液硬化型接着剤の場合は、主剤および硬化剤のいずれか一方、または両方が溶剤を含有する。上記溶剤としては、例えば、有機溶剤が挙げられ、具体的には、トルエン、キシレン、n-ヘキサンおよびメチルシクロヘキサン等の炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチルおよび酢酸イソブチル等のエステル溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコールおよびイソブチルアルコール等のアルコール溶剤;ならびにアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン溶剤が挙げられる。
無溶剤型接着剤とは、接着剤を対象物に塗布した後に、オーブン等で加熱して溶剤を揮発させる工程を必ずしも経ずに他の対象物と貼り合せる方法に用いられる接着剤をいう。2液硬化型接着剤の場合は、主剤および硬化剤の両者が溶剤を実質的に含有しない。「実質的に含有しない」とは、接着剤の構成成分、2液硬化型接着剤の場合は主剤および/または硬化剤の構成成分の製造時に反応媒体として使用された溶剤が除去しきれずに、接着剤、2液硬化型接着剤の場合は主剤および/または硬化剤中に微量の溶剤が残留している場合を包含する。
2液硬化型のポリウレタン系接着剤は、主剤と硬化剤とを有する。2液硬化型のポリウレタン系接着剤は、溶剤型でもよく、無溶剤型でもよい。以下、2液硬化型のポリウレタン系接着剤について説明する。
ポリウレタン系接着剤は、例えば、ポリオール化合物を含む主剤と、ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤と、を有する。このような主剤と硬化剤とを混合して形成される硬化物(反応物)としては、例えば、ポリウレタンが挙げられ、具体的には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタンおよびアクリルポリウレタンが挙げられる。
ポリオール化合物は、1分子中にヒドロキシ基を2個以上有する。ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびアクリルポリオールが挙げられる。これらの中でも、弾性率が上述した範囲にある接着剤層が得られやすいという観点から、ポリエステルポリウレタンポリオールおよびポリエステルポリオールが好ましく、溶剤型接着剤の場合はポリエステルポリウレタンポリオールがより好ましく、無溶剤型接着剤の場合はポリエステルポリオールがより好ましい。
ポリエステルポリウレタンポリオールは、1分子中に、ヒドロキシ基、エステル結合およびウレタン結合を、それぞれ2つ以上有する化合物であり、例えば、主骨格としてポリエステルポリウレタン構造を有する。ポリエステルポリオールは、1分子中に、ヒドロキシ基およびエステル結合を、それぞれ2つ以上有する化合物であり、例えば、主骨格としてポリエステル構造を有する。ポリエーテルポリオールは、1分子中に、ヒドロキシ基およびエーテル結合を、それぞれ2つ以上有する化合物である。ポリカーボネートポリオールは、1分子中に、ヒドロキシ基およびカーボネート結合を、それぞれ2つ以上有する化合物である。
2液硬化型かつ無溶剤型接着剤の主剤に含まれる重合体成分(例えばポリオール化合物)の重量平均分子量(Mw)は、塗工適性という観点から、好ましくは800以上、より好ましくは1,200以上、さらに好ましくは2,000以上であり、また、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、さらに好ましくは6,000以下である。Mwが小さいほど、接着剤層の弾性率は高くなる傾向にあり、Mwが大きいほど、接着剤層の弾性率は低くなる傾向にある。
主剤に含まれる重合体成分(例えばポリオール化合物)の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.7以下、さらに好ましくは2.6以下、特に好ましくは2.5以下であり、また、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上である。ここでMnは、主剤に含まれる重合体成分(例えばポリオール化合物)の数平均分子量である。
2液硬化型かつ溶剤型接着剤の主剤に含まれる重合体成分(例えばポリオール化合物)の重量平均分子量(Mw)は、塗工適性という観点から、好ましくは11,000以上、より好ましくは13,000以上、さらに好ましくは15,000以上、よりさらに好ましくは18,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、また、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは40,000以下である。Mwが小さいほど、接着剤層の弾性率は高くなる傾向にあり、Mwが大きいほど、接着剤層の弾性率は低くなる傾向にある。
主剤に含まれる重合体成分(例えばポリオール化合物)の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下であり、また、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.5以上である。ここでMnは、主剤に含まれる重合体成分(例えばポリオール化合物)の数平均分子量である。各平均分子量は、JIS K7252-1:2016に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算の値である。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族イソシアネートおよび脂肪族イソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネート化合物は、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物でもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族イソシアネート化合物;ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネートおよびα,α,α’,α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート化合物、これらの化合物から誘導される、ダイマーおよびトリマー(例えばイソシアヌレート体);ならびにこれらの化合物と、低分子活性水素化合物もしくはそのアルキレンオキシド付加物、または高分子活性水素化合物とを反応させて得られる、アダクト体、ビューレット体およびアロファネート体が挙げられる。
低分子活性水素化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,8-オクタメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびメタキシリレンジアミンが挙げられ、トリメチロールプロパンが好ましい。高分子活性水素化合物としては、例えば、ポリエステル、ポリエーテルポリオールおよびポリアミドが挙げられる。
ポリオール化合物を含む主剤とポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とは、例えば、ポリイソシアネート化合物が有する全イソシアネート基と、ポリオール化合物が有する全ヒドロキシ基とのモル比(NCO/OH)が以下のとおりとなる量比で用いることが好ましい。すなわちモル比(NCO/OH)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.5以上であり、また、好ましくは8.0以下、より好ましくは6.0、さらに好ましくは5.0以下であり、無溶剤型接着剤の場合はよりさらに好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.0以下である。モル比(NCO/OH)が大きいほど、接着剤層の弾性率は高くなる傾向にあり、モル比(NCO/OH)が小さいほど、接着剤層の弾性率は低くなる傾向にある。
[包装袋]
本開示の積層体は、包装材料として好適に用いられる。包装材料は、包装袋を作製するために用いられる。本開示の包装袋は、上記積層体を備える。本開示の積層体を包装材料として用いることにより、包装袋を作製できる。一実施形態において、本開示の積層体を、第1の基材が外側、シーラント層が内側に位置するように二つ折にして重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。他の実施形態において、複数の本開示の積層体をシーラント層同士が対向するように重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。包装袋の全部が上記積層体で構成されてもよく、包装袋の一部が上記積層体で構成されてもよい。
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型およびガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シールおよび超音波シールが挙げられる。
包装袋は、易開封部を備えてもよい。易開封部としては、例えば、包装袋の引き裂きの起点となるノッチ部や、包装袋を引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線が挙げられる。
包装袋は、蒸気抜き機構を備えてもよい。蒸気抜き機構は、包装袋内の蒸気圧力が所定値以上となった際に、包装袋の内部と外部とを連通させ、蒸気を逃がすと共に、蒸気抜き機構以外の箇所において蒸気が抜けることを抑制するように構成されている。蒸気抜き機構は、例えば、側部シール部から包装袋の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部と、蒸気抜きシール部によって、内容物収容部から隔離された非シール部と、を備える。非シール部は、包装袋の外部に連通している。内容物が充填され、開口部がヒートシールされた包装袋を、電子レンジなどを用いて加熱する。これにより、内部の圧力が高まり、蒸気抜きシール部が剥離する。蒸気は、蒸気抜きシール部剥離箇所および非シール部を通り、包装袋外部へ抜ける。
包装袋中に収容される内容物としては、例えば、液体、固体、粉体およびゲル体が挙げられる。内容物は、飲食品でもよく、化学品、化粧品、医薬品、金属部品および電子部品等の非飲食品でもよい。包装袋中に内容物を収容した後、包装袋の開口部をヒートシールすることにより、包装袋を密封できる。
包装袋の具体例として、以下、小袋およびスタンディングパウチについて説明する。
小袋は、小型の包装袋であって、例えば1g以上200g以下の内容物を収容するために使用される。小袋中に収容される内容物としては、例えば、ソース、醤油、ドレッシング、ケチャップ、シロップ、料理用酒類、他の液体または粘稠体の調味料;液体スープ、粉末スープ、果汁類;香辛料;ペットフード;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品;化学品、化粧品、医薬品、金属部品および電子部品等の非食品が挙げられる。
スタンディングパウチは、例えば50g以上2000g以下の内容物を収容するために使用される。スタンディングパウチ中に収容される内容物としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫剤、洗剤;ドレッシング、食用油、マヨネーズ、他の液体または粘稠体の調味料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品;ペットフード;クリーム;金属部品および電子部品が挙げられる。
包装袋の内容物は、一実施形態において、ペットフードである。
本開示の包装袋は、一実施形態において、熱処理を受けてもガスバリア性に優れることから、レトルト処理されたパウチ(以下「レトルトパウチ」ともいう)またはボイル処理されたパウチ(以下「ボイルパウチ」ともいう)として、あるいは電子レンジ対応包装袋として好適である。本開示の包装袋は、電子レンジ用ボイルまたはレトルトパウチとしても好適である。ここで電子レンジ対応包装袋とは、電子レンジを用いて加熱可能な包装袋を意味する。
レトルトパウチは、包装袋中に飲食品などの内容物を充填して密封した後に、加圧下で100℃を超える温度で水または水蒸気によって加熱殺菌処理(レトルト処理)が行われた包装袋である。ボイルパウチは、包装袋中に飲食品などの内容物を充填して密封した後に、100℃以下の温度で煮沸処理が行われた包装袋である。
本開示の包装袋は、一実施形態において、レトルトパウチである。レトルト処理の条件は、種々ありえるが、一般的なレトルト処理が行われたパウチであれば、上記レトルトパウチに包含される。レトルト処理のうち、例えば、処理温度が105℃以上115℃以下の場合をセミレトルト処理と呼ぶ場合があり、処理温度が115℃超121℃以下の場合をレトルト処理と呼ぶ場合があり、処理温度が121℃超140℃以下の場合をハイレトルト処理と呼ぶ場合がある。
本開示の包装袋は、一実施形態において、レトルトパウチである。
本開示のレトルトパウチの酸素透過度(単位:cc/m2・day・atm)は、一実施形態において、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下、特に好ましく1.0以下である。酸素透過度は、JIS K7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度90%RH環境下において測定される。酸素透過度の下限値は、低いほど好ましいが、例えば0.1でもよい。
図7に、2枚の積層体を貼り合わせて得られる包装袋50を示す。斜線部分は、ヒートシールされた箇所を示す。包装袋50は、易開封部51を備えてもよい。易開封部51としては、例えば、引き裂きの起点となるノッチ部52や、引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線53が挙げられる。
図8に、スタンディングパウチの構成の一例を簡略に示す。斜線部分は、ヒートシールされた箇所を示す。スタンディングパウチ60は、一実施形態において、胴部(側面シート)61と、底部(底面シート)62と、を備える。側面シート61と底面シート62とは、同一部材により構成されてもよく、別部材により構成されてもよい。底面シート62が側面シート61の形状を保持することにより、パウチに自立性が付与され、スタンディング形式のパウチとすることができる。側面シート61と底面シート62とによって囲まれる領域内に、内容物を収容するための収容空間が形成される。
スタンディングパウチ60は、蒸気抜き機構63を備えてもよい。蒸気抜き機構63は、側部シール部から包装袋の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部63aと、蒸気抜きシール部63aによって、内容物収容部から隔離された非シール部63bと、を備える。非シール部63bは、包装袋の外部に連通している。
スタンディングパウチにおいて、胴部のみが本開示の積層体により構成されてもよく、底部のみが該積層体により構成されてもよく、胴部および底部の両方が該積層体により構成されてもよい。
一実施形態において、側面シートは、本開示の積層体が備えるシーラント層が最内層となるように製袋することにより形成できる。一実施形態において、側面シートは、本開示の積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、両側の側縁部をヒートシールして製袋することにより形成できる。
他の実施形態において、側面シートは、本開示の積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、重ね合わせた該積層体の両側の側縁部における積層体間に、シーラント層が外側となるようにV字状に折った積層体2枚をそれぞれ挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。このような作製方法によれば、側部ガセット付きの胴部を有するスタンディングパウチが得られる。
一実施形態において、底面シートは、製袋された側面シート下部の間に積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。より具体的には、底面シートは、製袋された側面シート下部の間に、シーラント層が外側となるようにV字状に折った積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。
一実施形態において、積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、次いで、もう1枚の積層体をシーラント層が外側となるようにV字状に折り、これを向かい合わせとなった積層体の下部に挟み込み、ヒートシールすることにより底部を形成する。次いで、底部に隣接する2辺をヒートシールすることにより、胴部を形成する。このようにして、一実施形態のスタンディングパウチを形成できる。
本開示は、例えば以下の[1]~[16]に関する。
[1]第1の基材と、第1の接着剤層と、第2の基材と、第2の接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、前記第1の基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備え、前記第2の基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備え、前記第1の基材および前記第2の基材から選択される少なくとも一方が、無機酸化物層をさらに備えるバリア性基材であり、前記シーラント層が、ポリプロピレンを主成分として含有し、前記第2の接着剤層の断面について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定される弾性率が、30.0MPa以上であり、前記第2の接着剤層の厚さが、0.5μm以上3.0μm以下である、積層体。
[2]前記第2の接着剤層の断面についてサーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点が、200℃以上330℃以下である、前記[1]に記載の積層体。
[3]前記第1の接着剤層の断面について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定される弾性率が、30.0MPa以上であり、前記第1の接着剤層の厚さが、0.5μm以上3.0μm以下である、前記[1]または[2]に記載の積層体。
[4]前記第1の接着剤層の断面についてサーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点が、200℃以上330℃以下である、前記[3]に記載の積層体。
[5]前記第1の接着剤層の前記弾性率が、前記第2の接着剤層の前記弾性率よりも大きい、前記[3]または[4]に記載の積層体。
[6]前記第1の接着剤層の厚さが、前記第2の接着剤層の厚さよりも大きい、前記[3]~[5]のいずれか一項に記載の積層体。
[7]前記第1の接着剤層の断面について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定される弾性率が、30.0MPa未満であり、前記第1の接着剤層の断面についてサーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点が、200℃以上330℃以下である、前記[1]または[2]に記載の積層体。
[8]前記第1の接着剤層の厚さが、2.0μm以上5.0μm以下である、前記[7]に記載の積層体。
[9]前記第1の接着剤層の厚さが、前記第2の接着剤層の厚さよりも大きい、前記[7]または[8]に記載の積層体。
[10]前記バリア性基材が、前記無機酸化物層における前記延伸基材に向かう面とは反対の面上に、被覆層をさらに備える、前記[1]~[9]のいずれか一項に記載の積層体。
[11]前記第1の基材が、前記延伸基材であり、前記第2の基材が、前記延伸基材と前記無機酸化物層とを備える前記バリア性基材であり、前記無機酸化物層が前記第1の基材側を向き、前記延伸基材が前記シーラント層側を向くように、前記第2の基材が配置されている、前記[1]~[10]のいずれか一項に記載の積層体。
[12]前記第1の基材が、前記延伸基材と前記無機酸化物層とを備える前記バリア性基材であり、前記無機酸化物層が前記第2の基材側を向き、前記延伸基材が外側を向くように、前記第1の基材が配置されており、前記第2の基材が、前記延伸基材である、前記[1]~[10]のいずれか一項に記載の積層体。
[13]前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有割合が、80質量%以上である、前記[1]~[12]のいずれか一項に記載の積層体。
[14]包装材料である、前記[1]~[13]のいずれか一項に記載の積層体。
[15]前記[1]~[14]のいずれか一項に記載の積層体を備える包装袋。
[16]レトルト処理またはボイル処理されたパウチである、前記[15]に記載の包装袋。
以下、具体例に基づき本開示の積層体および包装袋について具体的に説明する。
[透明バリア性基材の作製]
水酸基含有アクリル樹脂(数平均分子量:25,000、ガラス転移温度:99℃、水酸基価:80mgKOH/g)を、メチルエチルケトンと酢酸エチルとの混合溶剤(混合比1:1)を用いて、固形分濃度が10質量%となるまで希釈し、主剤を調製した。トリレンジイソシアネートを含有する酢酸エチル溶液(固形分75質量%)を硬化剤として、主剤に添加し、表面コート層形成用溶液を得た。硬化剤の使用量は、主剤100質量部に対して、10質量部とした。
一方の面がコロナ処理された、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ(株)製、ME-1)を準備した。該フィルムのコロナ処理面に、上記表面コート層形成用溶液を塗布し乾燥して、厚さ0.5μmの表面コート層を形成した。このようにして、樹脂基材を得た。
樹脂基材の表面コート層上に、実機である低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、Roll to Rollにより、樹脂基材にテンションを与えながら、厚さ12nmの炭素含有酸化ケイ素(シリカ)蒸着膜を形成した(CVD法)。蒸着膜形成条件は、以下の通りとした。
(形成条件)
・ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
・冷却・電極ドラム供給電力:22kW
・ライン速度:100m/min
炭素含有酸化ケイ素蒸着膜における炭素の割合C、ケイ素の割合Si、および酸素の割合Oを測定した。炭素の割合C、ケイ素の割合Si、および酸素の割合Oは、ケイ素、酸素および炭素の3元素の合計100%に対して、それぞれ、32.7%、29.8%および37.5%であった。各元素の割合は、X線光電子分光法(XPS)により、上述した測定条件のナロースキャン分析によって測定した。
水385gと、イソプロピルアルコール67gと、0.5N塩酸9.1gとを混合して、pH2.2の溶液を得た。この溶液に、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシラン175gと、シランカップリング剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gとを、10℃となるように冷却しながら混合して、溶液Aを得た。水溶性高分子としてケン価度99%以上、重合度2400のポリビニルアルコール14.7gと、水324gと、イソプロピルアルコール17gとを混合して、溶液Bを得た。溶液Aと溶液Bとを、質量基準(溶液A:溶液B)で6.5:3.5となるように混合して、バリアコート剤を得た。樹脂基材上に形成した蒸着膜上に、バリアコート剤をスピンコート法によりコーティングし、オーブンにて80℃で60秒間の加熱処理を施して、厚さ300nmのバリアコート層を形成した。
以上のようにして、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム、厚さ0.5μmの表面コート層、厚さ12nmの炭素含有酸化ケイ素(シリカ)蒸着膜、および厚さ300nmのバリアコート層をこの順に備える透明バリア性基材を得た。
[接着剤]
以下の主剤と硬化剤とから構成される2液硬化型接着剤を用いた。
・接着剤α
主剤 :ポリエステル系重合体(Mw:4,000)
硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と
キシリレンジイソシアネート(XDI)との混合物
主剤と硬化剤とのモル比(NCO/OH):2
接着剤αは、溶剤を実質的に含まない。
・接着剤β
主剤 :ポリエステル系重合体(Mw:3,500)
硬化剤:イソホロンジイソシアネート(IPDI)とHDIとの混合物
(IPDIよりもHDIの含有量が大きい)
主剤と硬化剤とのモル比(NCO/OH):2
接着剤βは、溶剤を実質的に含まない。
・接着剤γ
主剤 :ポリエステル系重合体(Mw:3,500)
硬化剤:IPDIとHDIとの混合物
主剤と硬化剤とのモル比(NCO/OH):1
接着剤γは、溶剤を実質的に含まない。
・接着剤δ
主剤 :ポリエステル系重合体(Mw:20,000)
硬化剤:HDIのビューレット体と、HDIのヌレート体と、の混合物
主剤と硬化剤とのモル比(NCO/OH):1.5
接着剤δは、溶剤を含む。
[例1]
第1の基材として、一方の面がコロナ処理された、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171、以下「OPPフィルム」とも記載する)を準備した。第2の基材として、上記透明バリア性基材を準備した。シーラント層として、一方の面がコロナ処理された、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(オカモト(株)製、ET-20、以下「CPPフィルム」とも記載する)を準備した。
第1の基材としてのOPPフィルムのコロナ処理面に、グラビアロールコート法により、塗布厚さ1μm(乾燥時)の印刷層を形成した。印刷層上に、接着剤αを、グラビアロールコート法により塗布し、第1の基材の形成された接着剤層面と透明バリア性基材のバリアコート層面とを貼り合わせ、40℃にて72時間エージングした。さらに、透明バリア性基材の非バリアコート層面にコロナ処理を行い、接着剤αを、グラビアロールコート法により塗布し、透明バリア性基材の形成された接着剤層面とCPPフィルムのコロナ処理面とを貼り合わせ、40℃にて72時間エージングした。形成された各接着剤層の厚さは、0.45μmであった。
以上のようにして、積層体を得た。得られた積層体は、OPPフィルム(20μm)/印刷層(1μm)/接着剤層(0.45μm)/透明バリア性基材(21μm)/接着剤層(0.45μm)/CPPフィルム(60μm)という層構成を有する。括弧内の数値は各層の厚さを示す。
[例2~例7]
接着剤の種類および/または第2の接着剤層の厚さを表1に記載したとおりに変更したこと以外は例1と同様にして、積層体を作製した。ここで第1の接着剤層の厚さも、第2の接着剤層の厚さと同様に変更した。
[例8]
第1の基材として、一方の面がコロナ処理された、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171、OPPフィルム)を準備した。第2の基材として、上記透明バリア性基材を準備した。シーラント層として、一方の面がコロナ処理された、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(オカモト(株)製、ET-20、CPPフィルム)を準備した。
第1の基材としてのOPPフィルムのコロナ処理面に、グラビアロールコート法により、塗布厚さ1μm(乾燥時)の印刷層を形成した。印刷層上に、接着剤γを、グラビアロールコート法により塗布し、第1の基材の形成された接着剤層面と透明バリア性基材のバリアコート層面とを貼り合わせ、40℃にて72時間エージングした。さらに、透明バリア性基材の非バリアコート層面にコロナ処理を行い、接着剤γを、グラビアロールコート法により塗布し、透明バリア性基材の形成された接着剤層面とCPPフィルムのコロナ処理面とを貼り合わせ、40℃にて72時間エージングした。形成された各接着剤層の厚さは、3.6μmであった。
以上のようにして、積層体を得た。得られた積層体は、OPPフィルム(20μm)/印刷層(1μm)/接着剤層(3.6μm)/透明バリア性基材(21μm)/接着剤層(3.6μm)/CPPフィルム(60μm)という層構成を有する。括弧内の数値は各層の厚さを示す。
[軟化点の測定]
上記例で得られた積層体を包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、市販の回転式ミクロトームを用いて室温(25℃)環境下にて、該ブロックを切断することにより、積層体の断面を作製した。断面は、積層体の主面に対して垂直となる厚さ方向に切断して得られる。仕上げはダイヤモンドナイフにて実施した。基材および各層の厚さも、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所社製、SU8000)を用いて上記断面を観察することにより測定できる。
測定装置としてANASYS INSTRUMENT社製nanoTA、サーマルプローブとしてANASYS INSTRUMENTS社製PR-EX-AN2-300-5を用いた。
測定前に、以下のキャリブレーションを行った。
標準試料として、BRUKER社製nanoTA Calibration Samplesを準備した。標準試料の台には、軟化点が公知であるポリカプロラクトン(軟化点:55℃)、ポリエチレン(軟化点:116℃)、ポリエチレンテレフタレート(軟化点:235℃)が載っている。各標準試料の表面にサーマルプローブを接触させながら加熱した。加熱中に、サーマルプローブ直下の熱膨張を計測し、Voltage(電位)に対するDeflection(変位)を表すグラフを取得した。装置で設定する測定条件は以下の通りとした。
測定開始温度:0.1V
測定終了温度:10V
昇温速度:0.5V/sec
各標準試料の軟化点を用い、電位に対するサーマルプローブの変位を表すグラフを温度に対する変位のグラフに変換した。以上のようにして、キャリブレーション(n=10)を行った。
キャリブレーション後、接着剤層の軟化点を測定した。軟化点の測定箇所は、接着剤層の断面が露出した部分のうち、接着剤層の厚さ方向における中央部付近とした。測定は同一断面において5箇所以上で実施し、軟化点は再現良く測定された5箇所の値の算術平均値として記載した。ただし、各測定点は間隔が50μm以上となるようにした。
測定は、接着剤層の断面にサーマルプローブを接触させ、サーマルプローブを接触させた状態で、下記条件で加熱し、温度に対するサーマルプローブの変位を表すグラフ(熱膨張曲線)を取得した。
測定開始温度:40℃
測定終了温度:350℃
昇温速度:28℃/sec
熱膨張曲線のピークが得られた場合は、熱膨張曲線のピークの温度を軟化点とした。得られた熱膨張曲線において、ピークが複数存在した場合は、最も低温側に現れたピークの温度を軟化点とした。熱膨張曲線の最高変位から、連続的な変位の下降が0.2V以上計測された熱膨張曲線は、ピークが得られたとみなした。
[弾性率の測定]
上記例で得られた積層体について、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてフォースカーブ測定を行い、得られたフォースカーブより、接着剤層の断面の弾性率を求めた。
具体的な測定手順は以下のとおりである。
上記例で得られた積層体を包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、市販の回転式ミクロトームを用いて室温(25℃)環境下にて、該ブロックを切断することにより、積層体の断面を作製した。断面は、積層体の主面に対して垂直となる厚さ方向に切断して得られる。仕上げはダイヤモンドナイフにて実施した。
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、上記断面に対して接着剤層の断面を含む2.5μm角でマッピング測定を行った。接着剤層の断面について、適切なフォースカーブ形状が得られたフォースカーブを20個選択した。JKR(Johnson-Kendall-Roberts)理論によりそれぞれのフォースカーブをフィッティングして弾性率をそれぞれ算出し、得られた20個の弾性率の算術平均値(以下「第一の算術平均値」ともいう)を算出した。ここで、フォースカーブの選択箇所は、接着剤層の断面が露出した部分のうち、接着剤層の厚さ方向における中央部付近とした。上記20個の弾性率から第一の算術平均値に近い弾性率を3個選択して、3個の弾性率の算術平均値(以下「第二の算術平均値」ともいう)を算出した。得られた第二の算術平均値を、接着剤層の断面の弾性率とした。
AFMの測定条件の詳細を、以下に示す。
(AFM弾性率測定)
・装置名:SPM-9700HT(島津製作所製)
・測定雰囲気:大気下、室温(25℃)
・測定モード:コンタクトモード
・キャリブレーション方法:ガラスを用いてカンチレバー感度を測定する
・測定点数:64×64点(計4096点)
・視野範囲:2.5μm角
・カンチレバー型式:CONTR(ナノワールド製)
・カンチレバーの先端半径:<8nm
・カンチレバーのばね定数:0.2N/m
・触圧:0.5V
・スキャン速度:3Hz
・弾性率の計算モデル:JKR(Johnson-Kendall-Roberts)理論
・サンプルのポアソン比:0.4
・解析ソフト:Nano 3D Mapping(島津製作所製)
[ガスバリア性評価(レトルト処理後)]
上記例で得られた積層体を2枚準備し、これらをシーラント層(CPPフィルム)の面を対向させて重ね合わせ、3辺を180℃、0.1MPaおよび1秒の条件でヒートシールして、B5サイズ(182mm×257mm)の平状のパウチを作製した。得られたパウチ内に、開口部から水を100mL充填し、開口部を上記条件でヒートシールして、パウチを密封した。得られたパウチに対して、121℃、30分および0.21MPaのレトルト条件でのレトルト殺菌を実施した。レトルト殺菌実施後、パウチから積層体を切り出して、試験片を得た。この試験片を用いて、酸素透過度(cc/m2・day・atm)を、以下の方法により測定した。
酸素透過度測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を用いて、試験片の第1の基材側が酸素供給側になるようにセットして、JIS K7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度90%RH環境下における酸素透過度を測定した。結果を表1に示す。
[引裂き性および落下破袋]
上記例で得られた積層体を2枚準備し、これらをシーラント層(CPPフィルム)の面を対向させて重ね合わせ、3辺を180℃、0.1MPaおよび1秒の条件でヒートシールして、外寸130mm×170mm、内寸110mm×150mmのパウチを作製した。パウチ上部から長手方向に20mmの位置に短手方向に長さ2mmのノッチ部を形成した。得られたパウチ内に、開口部から水を180mL充填し、開口部を上記条件でヒートシールして、パウチを密封した。得られたパウチに対して、121℃、30分および0.21MPaのレトルト条件でのレトルト殺菌を実施した。レトルト殺菌実施後のパウチを22℃環境で1日静置した後、引裂き性評価と落下破袋評価とを実施した。
(引裂き性)
ノッチ部の切込み方向に沿ってパウチを直線的に引き裂けて開封できるかを評価した。
AA:パウチを直線的に開封でき、
ノッチ部から反対側のパウチ端まで問題なくパウチを開封できた。
BB:パウチが表と裏が違う方向に裂けたが、
ノッチ部から反対側のパウチ端まで問題なくパウチを開封できた。
CC:パウチが表と裏が違う方向に裂け、
ノッチ部から反対側のパウチ端までパウチを開封できなかった。
(落下破袋)
パウチをそれぞれ10袋準備した。120cmの高さより、パウチの主面が床面に衝突する方向でパウチを10回落下させ、さらにパウチ下部のシール部(内寸110mmの辺)が床面に衝突する方向でパウチを10回落下させて、破袋の有無を目視で確認した。
AA:破袋は確認されず、傷やシール後退も発生しなかった。
BB:破袋は確認されなかったが、傷やシール後退が発生した。
CC:1袋以上の破袋が確認された。
[ポリプロピレン含有割合]
上記例で得られた積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有割合を表1に記載した。
1:積層体、10:ポリプロピレン延伸基材、20:バリア性基材、22:ポリプロピレン延伸基材、23:表面コート層、24:無機酸化物層、25:被覆層、30:シーラント層、40A、40B:接着剤層、
50:包装袋、51:易開封部、52:ノッチ部、53:ハーフカット線、
60:スタンディングパウチ、61:胴部(側面シート)、62:底部(底面シート)、63:蒸気抜き機構、63a:蒸気抜きシール部、63b:非シール部

Claims (16)

  1. 第1の基材と、
    第1の接着剤層と、
    第2の基材と、
    第2の接着剤層と、
    シーラント層と、
    を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、
    前記第1の基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備え、前記第2の基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備え、前記第1の基材および前記第2の基材から選択される少なくとも一方が、無機酸化物層をさらに備えるバリア性基材であり、
    前記シーラント層が、ポリプロピレンを主成分として含有し、
    前記第2の接着剤層を形成する接着剤が、ポリエステル系接着剤であり、
    前記第2の接着剤層の断面について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定される弾性率が、30.0MPa以上であり、前記第2の接着剤層の厚さが、0.5μm以上3.0μm以下である、
    積層体。
  2. 前記第2の接着剤層の断面についてサーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点が、200℃以上330℃以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1の接着剤層の断面について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定される弾性率が、30.0MPa以上であり、前記第1の接着剤層の厚さが、0.5μm以上3.0μm以下である、請求項1に記載の積層体。
  4. 前記第1の接着剤層の断面についてサーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点が、200℃以上330℃以下である、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記第1の接着剤層の前記弾性率が、前記第2の接着剤層の前記弾性率よりも大きい、請求項3に記載の積層体。
  6. 前記第1の接着剤層の厚さが、前記第2の接着剤層の厚さよりも大きい、請求項3に記載の積層体。
  7. 前記第1の接着剤層の断面について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定される弾性率が、30.0MPa未満であり、前記第1の接着剤層の断面についてサーマルプローブを用いた局所熱分析で測定される軟化点が、200℃以上330℃以下である、請求項1に記載の積層体。
  8. 前記第1の接着剤層の厚さが、2.0μm以上5.0μm以下である、請求項7に記載の積層体。
  9. 前記第1の接着剤層の厚さが、前記第2の接着剤層の厚さよりも大きい、請求項7に記載の積層体。
  10. 前記バリア性基材が、前記無機酸化物層における前記延伸基材に向かう面とは反対の面上に、被覆層をさらに備える、請求項1に記載の積層体。
  11. 前記第1の基材が、前記延伸基材であり、
    前記第2の基材が、前記延伸基材と前記無機酸化物層とを備える前記バリア性基材であり、前記無機酸化物層が前記第1の基材側を向き、前記延伸基材が前記シーラント層側を向くように、前記第2の基材が配置されている、
    請求項1に記載の積層体。
  12. 前記第1の基材が、前記延伸基材と前記無機酸化物層とを備える前記バリア性基材であり、前記無機酸化物層が前記第2の基材側を向き、前記延伸基材が外側を向くように、前記第1の基材が配置されており、
    前記第2の基材が、前記延伸基材である、
    請求項1に記載の積層体。
  13. 前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有割合が、80質量%以上である、請求項1~12のいずれか一項に記載の積層体。
  14. 包装材料である、請求項1~12のいずれか一項に記載の積層体。
  15. 請求項1~12のいずれか一項に記載の積層体を備える包装袋。
  16. レトルトパウチまたはボイルパウチである、請求項15に記載の包装袋。
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