JP2023029876A - 光学積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、偏光板と位相差フィルムを有する光学積層体であって、熱衝撃を受けてもクラックの発生を抑制できる光学積層体を提供することである。【解決手段】偏光板と位相差フィルムを有する光学積層体であって、前記位相差フィルムは、フィルム面に対し突刺し冶具の先端を垂直に押圧し、破断が生じたときの、前記突刺し冶具の先端から前記位相差フィルムへ加えられた応力F(g)と前記位相差フィルムのひずみ量S(mm)を用いて下記式(1)にて算出される突刺し弾性率が50g/mm以下であることを特徴とする光学積層体。(1)突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm)【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELともいう。)表示装置に代表される画像表示装置が急速に普及している。有機EL表示装置には、偏光子及び位相差フィルムを備える円偏光板やさらに他光学機能層を積層された光学積層体が搭載される。
有機EL表示装置等の画像表示装置向けの位相差フィルムとしては、従来の樹脂フィルムを延伸したものや、液晶化合物を材料にして形成したものが検討され、画像表示装置の薄型化への要望が強くなるに伴って、位相差フィルム及びそれを備える光学積層体についても薄型化が求められている(例えば、特許文献1参照)。この様な位相差フィルムを有する光学積層体は、温度変化による膨張収縮により位相差フィルムを起点としてクラックが生じることがあった。特に急激な温度変化(熱衝撃)が与えられると、クラックが生じやすい。この様なクラックが発生すると光学積層体の耐久性はもとより、表示装置の視認性も低下することがあった。
特開2017-102286号公報
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、位相差フィルムを有する光学積層体であって、急激な温度変化(熱衝撃)を受ける環境でも、クラックの発生を抑制できる光学積層体を提供することである。
本発明は、以下の[1]~[5]で示される光学積層体を提供する。
[1]位相差フィルムを有する光学積層体であって、前記位相差フィルムは、フィルム面に対し突刺し冶具の先端を垂直に押圧し、破断が生じたときの、前記突刺し冶具の先端から前記位相差フィルムへ加えられた応力F(g)と前記位相差フィルムのひずみ量S(mm)を用いて下記式(1)にて算出される突刺し弾性率が50g/mm以下であることを特徴とする光学積層体。

(1)突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm)

[2]前記位相差フィルムは、重合性液晶化合物が硬化した位相差層を含む[1]の光学積層体。
[3]前記位相差フィルムは、配向層をさらに含む[2]の光学積層体。
[4]前記位相差層は、垂直配向性を有する[2]または[3]の光学積層体。
[5]前記光学積層体は、さらに偏光板を有する[1]~[4]のいずれかの光学積層体。
本発明は、以下の[6]で示される表示装置も提供する。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の光学積層体が、表示素子に積層されている表示装置。
本発明によれば、位相差フィルムを有する光学積層体であって、急激な温度変化を受ける環境下でも、クラックの発生を抑制できる光学積層体を提供することができる。
(a)~(c)は、本発明の光学積層体の層構成を示す概略断面図の一例である。 有機EL表示装置の層構成を示す概略断面図の一例である。 実施例1~6、比較例1、2にて作製した光学積層体を用いた熱衝撃試験時の層構成を示す概略断面図である。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)突刺し弾性率
フィルム面に対し突刺し冶具の先端を垂直に押圧し、破断が生じたときの、前記突刺し冶具の先端から前記フィルムへ加えられた応力F(g)と貫通穴または破断が生じるまでにフィルムに生じたひずみ量S(mm)を用いて定義したフィルムの物性値であり、応力FとひずみSの間の比例定数(応力F/ひずみS)として表される。
突刺し弾性率の測定には、ロードセルを備えた圧縮試験機で行うことができ、圧縮試験機の例としては、カトーテック株式会社製の突き刺し試験機“NDG5”、ハンディー圧縮試験機“KES-G5”、株式会社島津製作所の小型卓上試験機 “EZ Test”等を挙げられる。この様な圧縮試験機を用いてもとめられる応力―ひずみ曲線から、破断が生じた際にフィルムに加えられた応力とそれまでにフィルムに生じたひずみ量を測定することができる。
突刺し冶具押圧時にフィルムに生じる破断には、冶具先端によりフィルムに貫通穴が生じる場合も含まれる。
(2)配向層
位相差層を形成する重合性液晶化合物の分子軸の方向を所望の位相差特性となるように規制する能力を有する層を示す。重合性液晶化合物が硬化した層(位相差層)は、配向層を介して基板上に形成される。配向層としては、配向性ポリマーを含む配向層、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向層が挙げられる。
(3)垂直配向性
位相差層を形成する重合性液晶化合物の分子軸の方向が、光学積層体を構成する各層の積層面に対し、略垂直となった状態を示す。垂直配向性を示す位相差層として代表的なものとしてポジティブC層が挙げられる。
(4)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大となる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(5)面内の位相差値
面内の位相差値(Re[λ])は、23℃、波長λ(nm)におけるフィルムの面内の位相差値をいう。Re[λ]は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Re[λ]=(nx-ny)×dによって求められる。
(6)厚み方向の位相差値
面内の位相差値(Rth[λ])は、23℃、波長λ(nm)におけるフィルムの厚み方向の位相差値をいう。Rth[λ]は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Rth[λ]=((nx+ny)/2-nz)×dによって求められる。
<光学積層体>
本発明の光学積層体は、位相差フィルムを有し、前記位相差フィルムの突刺し弾性率は、50g/mm以下である。また、前記位相差フィルムは位相差層を有する。位相差層は、重合性液晶化合物を含む組成物から構成される層を有することが好ましい。重合性液晶化合物を含む組成物から構成される層とは、具体的には、重合性液晶化合物が硬化した層を意味する。本明細書において、λ/2の位相差を与える層、λ/4の位相差を与える層(ポジティブA層)及びポジティブC層等を総称して、位相差層ということがある。さらに、位相差フィルムは後述の配向層を含んでいてもよい。
以下、図1を参照して、本発明の光学積層体の層構成の一例を説明する。図1(a)に示す光学積層体100は、配向層11の一方の面に位相差層10が積層され、配向層11のもう一方の面に粘着剤層12を備える層構成を有する。粘着剤層12は、有機EL表示素子等へ貼合するための粘着剤層であることができる。この光学積層体100において、位相差フィルム1は、位相差層10と配向層11とで構成されている。
図1(b)に示す光学積層体101は、図1(a)の位相差層10の配向層11と積層される反対側の面に、接着剤層13を介して第2の位相差フィルム2を積層した層構成を有する。粘着剤層12は、図1(a)と同様、有機EL表示素子等へ貼合するための粘着剤層であることができる。この光学積層体101において、第1の位相差フィルム1は、位相差層10と配向層11とで構成されている。
図1(c)に示す光学積層体102は、図1(b)の第2の位相差フィルム2の第1の位相差フィルム1と積層される反対側の面に、接着剤層または粘着剤層を介して偏光板3を積層した層構成を有する。ここで、第2の位相差フィルム2と偏光板3とを貼合するための接着剤層または粘着剤層については図示していない。粘着剤層12は、図1(a)、(b)と同様、有機EL表示素子、タッチセンサ等へ貼合するための粘着剤層であることができる。この光学積層体102において、第1の位相差フィルム1は位相差層10と配向層11とで構成されている。
図1に示すように本発明の光学積層体は、位相差フィルムを2層以上有していてもよい。光学積層体中に複数の位相差フィルムを備える場合は、少なくとも1つの位相差フィルムの突刺し弾性率が、50g/mm以下であればよいが、温度変化によるクラック発生を抑制する観点から光学積層体中に含まれるすべての位相差フィルムの突刺し弾性率が、50g/mm以下であることが好ましい。
位相差フィルムの位相差層を、重合性液晶化合物を含む組成物から構成される層(重合性液晶化合物が硬化した層)とすると、本発明の突刺し弾性率50g/mm以下とすることが容易となるので好ましい。また、位相差フィルムは、重合性液晶化合物を配向させるための配向層を有していてもよい。また、その製造段階においては、配向層を支持する基材をさらに有していてもよい。
重合性液晶化合物は、重合性基を有する化合物であって、液晶状態となりうる化合物である。重合性液晶化合物の重合性基同士が反応して重合性液晶化合物が重合することにより、重合性液晶化合物が硬化する。
重合性液晶化合物が硬化した層は例えば、基材に設けられた配向層上に形成される。前記基材は、配向層を支持する機能を有し、長尺に形成されている基材であってもよい。この基材は、離型性支持体として機能し、転写用の位相差層や配向層を支持することができる。さらに、その表面が剥離可能な程度の接着力を有するものが好ましい。前記基材としては、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;マレイミド系樹脂等からなるフィルムであることができる。
基材の厚みとしては、特に限定されないが、例えば20μm以上200μm以下の範囲とすることが好ましい。基材の厚さが20μm以上であると、強度が付与される。
なお、基材は、種々のブロッキング防止処理が施されていてもよい。ブロッキング防止処理としては、例えば、易接着処理、フィラー等を練り込ませる処理、エンボス加工(ナーリング処理)等が挙げられる。このようなブロッキング防止処理を基材に対して施すことによって、基材を巻き取る際の基材同士の張り付き、いわゆるブロッキングを効果的に防止することができ、生産性高く光学フィルムを製造することが可能となる。
重合性液晶化合物が硬化した層は、配向層を介して基材上に形成される。すなわち、基材、配向層の順で積層され、重合性液晶化合物が硬化した層は前記配向層上に積層される。
なお、配向層は、垂直配向層に限らず、重合性液晶化合物の分子軸を水平配向させる配向層であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を傾斜配向させる配向層であってもよい。配向層としては、後述する重合性液晶化合物を含む組成物の塗工等により溶解しない溶媒耐性を有し、また、溶媒の除去や液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向層としては、配向性ポリマーを含む配向層、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向層が挙げられる。配向層の厚さは、通常10nm~10000nmの範囲である。
また、配向層は位相差層を支持する機能を有し、離型性支持体として機能してもよい。転写用の位相差層を支持することができ、さらにその表面が剥離可能な程度の接着力を有するものでもよい。
配向層に用いる樹脂としては、重合性化合物が重合した樹脂が用いられる。重合性化合物は、重合性基を有する化合物であって、通常は、液晶状態とならない非液晶性の重合性非液晶性化合物である。重合性化合物の重合性基同士が反応して重合性化合物が重合することにより、樹脂となる。このような樹脂としては、位相差層の形成段階で重合性液晶化合物を配向させるための配向層として利用し、位相差フィルムに含まれないものであれば、公知の配向層の材料として用いられる樹脂であれば特に限定されるものではなく、従来公知の単官能又は多官能の(メタ)アクリレート系モノマーを重合開始剤下で硬化させた硬化物等を用いることができる。具体的に、(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メタクリル酸、ウレタンアクリレート等を例示することができる。なお、樹脂としては、これらの1種類であってもよいし、2種類以上の混合物であってもよい。
配向層は、位相差層を形成した後、他光学フィルム等と積層させる工程の前後において、基材とともに剥離除去することができる。
また、基材との剥離性向上および位相差フィルムに膜強度を付与する目的で、位相差フィルムに配向層を含めることができる。位相差フィルムが配向層を含む場合、突刺し弾性率50g/mm以下とする観点から、配向層に用いる樹脂として単官能や2官能の(メタ)アクリレート系モノマー、イミド系モノマーもしくはビニルエーテル系モノマーを硬化させた硬化物等を用いることが好ましい。
単官能の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、炭素数4から16のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2から14のβカルボキシアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2から14のアルキル化フェニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びイソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、2官能の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;1,3-ブタンジオール(メタ)アクリレート;1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジアクリレート;ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、イミド系モノマーを硬化させたイミド系樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。なお、イミド系樹脂としては、これらの1種類であってもよいし、2種類以上の混合物であってもよい。
また、配向層を形成する樹脂として、単官能や2官能の(メタ)アクリレート系モノマー、イミド系モノマーおよびビニルエーテル系モノマー以外のモノマーを含んでいてもよいが、単官能や2官能の(メタ)アクリレート系モノマー、イミド系モノマーおよびビニルエーテル系モノマーの含有割合が、総モノマー中で50重量%以上であってもよく、55重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましい。
配向層が位相差フィルムに含まれる場合、配向層の厚さは、通常10nm~10000nmの範囲であり、位相差層の配向性がフィルム面に対し面内配向である場合、配向層の厚みは、10nm~1000nmであることが好ましく、配向層の配向性がフィルム面に対し垂直配向である場合は、100nm~10000nmであることが好ましい。配向層の厚みが上記範囲内であると、基材の剥離性向上および適度な膜強度を付与することができる。
本実施形態で使用される重合性液晶化合物の種類については、特に限定されないものの、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物、ディスコティック液晶化合物)とに分類できる。さらに、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。なお、高分子とは、一般に重合度が100以上のものを言う(高分子物理・相転移ダイナミクス、土井 正男著、2頁、岩波書店、1992)。
本実施形態では、何れの重合性液晶化合物を用いることもできる。さらに、2種以上の棒状液晶化合物や、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1に記載のものを好適に用いることができる。円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落[0020]~[0067]、又は、特開2010-244038号公報の段落[0013]~[0108]に記載のものを好適に用いることができる。
重合性液晶化合物は、2種類以上を併用してもよい。その場合、少なくとも1種類が分子内に2以上の重合性基を有している。すなわち、前記重合性液晶化合物が硬化した層は、重合性基を有する液晶化合物が重合によって固定されて形成された層であることが好ましい。この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
重合性液晶化合物は、重合反応をし得る重合性基を有する。重合性基としては、例えば、重合性エチレン性不飽和基や環重合性基などの付加重合反応が可能な官能基が好ましい。より具体的には、重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などを挙げることができる。その中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基及びアクリロイル基の両者を包含する概念である。
重合性液晶化合物が硬化した層は、後述するように、重合性液晶化合物を含む組成物を、例えば配向層上に塗工し、活性エネルギー線を照射することによって形成することができる。前記組成物には、上述した重合性液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。例えば、前記組成物には、重合開始剤が含まれていることが好ましい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が選択される。例えば、光重合開始剤としては、α-カルボニル化合物、アシロインエーテル、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。重合開始剤の使用量は、前記塗工液中の全固形分に対して、0.01~20質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
本発明における「硬化した」とは、形成された層単独でも変形、流動することなく自立して存在できる状態を示し、形成された層の突刺し弾性率は、通常3g/mm以上である。
また、前記組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。その中でも、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。
なお、重合性モノマーとしては、上述した重合性液晶化合物と共重合することができるものが好ましい。重合性モノマーの使用量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、1~50質量%であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましい。
また、前記組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられる。その中でも特に、フッ素系化合物が好ましい。
また、前記組成物には、溶媒が含まれていてもよく、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、アミド(例、N,N-ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン)が挙げられる。その中でも、アルキルハライド、ケトンが好ましい。また、2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
また、前記組成物には、偏光子界面側垂直配向剤、空気界面側垂直配向剤などの垂直配向促進剤、並びに、偏光子界面側水平配向剤、空気界面側水平配向剤などの水平配向促進剤といった各種配向剤が含まれていてもよい。さらに、前記組成物には、上記成分以外にも、密着改良剤、可塑剤、ポリマーなどが含まれていてもよい。
上記活性エネルギー線は、紫外線、可視光、電子線、X線を含み、好ましくは紫外線である。前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線の照射強度は、通常、紫外線B波(波長域280~310nm)の場合、100mW/cm~3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくはカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。紫外線を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは0.1秒~5分であり、より好ましくは0.1秒~3分であり、さらに好ましくは0.1秒~1分である。
紫外線は、1回または複数回に分けて照射することができる。使用する重合開始剤にもよるが、波長365nmにおける積算光量は、700mJ/cm以上とすることが好ましく、1,100mJ/cm以上とすることがより好ましく、1,300mJ/cm以上とすることがさらに好ましい。上記積算光量とすることは、位相差フィルムを構成する重合性液晶化合物の重合率を高め、耐熱性を向上させるのに有利である。波長365nmにおける積算光量は、2,000mJ/cm以下とすることが好ましく、1,800mJ/cm以下とすることがより好ましい。上記積算光量とすることは、位相差フィルムの着色を招くおそれがある。また、紫外線の照射後に、冷却工程を設けてもよい。冷却温度は、例えば、20℃以下とすることができ、10℃以下とすることができる。冷却時間は、例えば、10秒間以上とすることができ、20秒間以上とすることができる。
本実施形態において位相差層の厚みは、0.5μm以上であることが好ましい。また、前記位相差層の厚みは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。位相差層の厚みが前記下限値以上であると、十分な耐久性が得られる。位相差層の厚みが前記上限値以下であると、光学積層体の薄層化に貢献し得る。位相差層の厚みは、λ/4の位相差を与える層、λ/2の位相差を与える層、又はポジティブC層の所望の面内位相差値、及び厚み方向の位相差値が得られるよう調整され得る。
位相差フィルム中には、それぞれ別の異なる位相差特性を有する複数の位相差層が積層されたものが含まれていてもよい。それぞれの位相差層は、接着剤や粘着剤を介して積層してもよいし、すでに形成された位相差層の表面に重合性液晶化合物を含む組成物を塗工し、硬化させてもよい。
位相差フィルムが、重合性液晶化合物が硬化した位相差層のみから形成される場合、突刺し弾性率を大幅に小さくすることができるため、熱衝撃によるクラック発生を抑えることができるので好ましい。位相差フィルムが、重合性液晶化合物が硬化した位相差層のみから形成される場合、位相差フィルムの突刺し弾性率は、例えば40g/mm以下や35g/mm以下であることができ、好ましくは30g/mm以下、より好ましくは25g/mm以下、さらに好ましくは15g/mm以下であり、通常3g/mm以上である。膜強度を保持する観点から突刺し弾性率は7g/mm以上であることが好ましい。
一方、位相差フィルムは、重合性液晶化合物が硬化した位相差層と配向層から形成される場合、温度変化よるクラック抑制と適度な基材との剥離性および膜強度を維持する観点から、位相差フィルムの突刺し弾性率の下限値は、好ましくは15g/mm以上、より好ましくは20g/mm以上であり、上限値としては50g/mm以下、好ましくは40g/mm以下、さらに好ましくは30g/mm以下(通常5g/mm以上)とすることができる。
上記のとおり、本発明の位相差フィルムは、位相差層のみから構成されていてもよいし、位相差層と配向層とから構成されていてもよいが、この位相差フィルムは、以下の計算式(A)
Figure 2023029876000002
で示される重合性基量Nが0.67以下、さらには0.64以下であることが好ましい。
重合性基量Nは通常0.01以上、好ましくは0.03以上である。
ここで、
ALは、位相差フィルムを構成する配向層を構成する樹脂を構成する重合性化合物に由来する構成単位の種類数を示す。なお、位相差フィルムが位相差層のみから構成されている場合には、AL=0である。
Cwiは、配向層を構成する樹脂における重合性化合物に由来する全構成単位を基準として、重合性化合物iに由来する構成単位の含有量(質量%)を示し、
Miは、配向層を構成する重合性化合物iの分子量を示し、
Niは、配向層を構成する重合性化合物iが有する重合性基の数を示す。
LCは、位相差層が重合性液晶化合物の硬化した層である場合に、位相差層を構成する重合性液晶化合物に由来する構成単位の種類数を示す。
Cwjは、位相差層における重合性液晶化合物に由来する全構成単位を基準として、重合性液晶化合物jに由来する構成単位の含有量(質量%)を示し、
Mjは、位相差層を構成する重合性液晶化合物jの分子量を示し、
Njは、位相差層を構成する重合性液晶化合物iが有する重合性基の数を示す。
ALは配向層の厚さ(μm)を示し、LLCは位相差層の厚さ(μm)を示す。
totalは、LALとLLCとの和を示す。
光学積層体が積層された表示装置の使用環境下において、温度変化が生じると光学積層体を構成する位相差フィルム、他光学フィルムや接着剤、粘着剤層において膨張、収縮が生じる。他構成部材の膨張、収縮による寸法変化の影響が位相差フィルムに集中し易い。温度変化による他部材の寸法変化に対し、位相差フィルムが追従できなくなり、位相差フィルムを起点としたクラックが生じやすい。
この様な温度変化によるクラックは、位相差フィルムが10μm以下の薄膜である場合や位相差フィルムが、重合性液晶化合物が硬化した位相差層を有する場合に生じやすい。特に位相差フィルムが位相差層または位相差層と配向層から形成され、位相差層または配向層に直接粘着剤や接着剤層が積層された場合にクラックが生じやすく、位相差層の配向性が、ポジティブC層の様な垂直配向性を有する場合は、その傾向が顕著となることがある。
本願の光学積層体は、その構成要素である位相差フィルムの突刺し弾性率を50g/mm以下とすることにより、前述の温度変化による他部材の寸法変化に対しても位相差フィルムが追従でき、上述のクラックが生じやすい位相差フィルムや光学積層体の構成でも好適にその発生を抑制することができる。
本願の光学積層体は、2つ以上の位相差フィルムを有してもよい。光学積層体が、位相差フィルムを2層含む場合、2層はλ/4の位相差を与える層およびポジティブC層、またはλ/4の位相差を与える層およびλ/2の位相差を与える層であることが好ましい。
光学積層体が、位相差フィルムを2層含む場合、それぞれの位相差フィルムの位相差層を接着剤層や粘着剤層を介して積層してもよい。光学積層体の薄膜化の観点から複数の層を積層した位相差フィルムの厚みは、3~30μmであることが好ましく、5~25μmであることがより好ましい。
光学積層体の構成において、2つ以上の位相差フィルムを有し、それら位相差フィルムの少なくとも一つが、重合性液晶化合物が硬化した垂直配向性を示す位相差層を有する場合、熱衝撃によりクラックがより発生しやすい傾向がある。特に活性エネルギー線硬化性接着剤を介して位相差フィルム同士が積層され、且つその接着剤層の貯蔵弾性率が3000MPa以上である場合にクラックの発生が顕著となることがある。光学積層体が二つの位相差フィルムを有する場合の位相差特性の組み合わせとしては、例えば、位相差層がλ/4の位相差を与える層を有する位相差フィルムと垂直配向性を与える層を有する位相差フィルムの組み合わせが挙げられる。この様な構成の光学積層体でも、位相差フィルムの突刺し弾性率を本願で規定する範囲とすることにより、効率的にクラックの発生を抑制することができる。
位相差フィルム中に配向層が含まれる場合は、配向層の鉛筆硬度やスチールウール硬度等の耐摩耗性評価を熱衝撃によるクラック抑制の指標として用いることができる。
例えば鉛筆硬度は、JIS K 5600-5-4:1999に準じて求められ、各硬度の鉛筆を用いて引っかいたときに傷が生じない最も硬い鉛筆の硬度で表される。配向層の鉛筆硬度は、3B以下とすると熱衝撃によるクラック発生を抑制することができるので好ましい。
他指標としてのスチールウール硬度は、例えばスチールウール試験機(大栄精機社製)にて、クリーンルーム用ワイパー(旭化成株式会社製 BEMCOT AZ-8)を試験対象の表面にそれぞれ500gの荷重で接触させ、40r/minの速度で4往復摩耗試験を行い、目視にて確認されたキズの本数にて示すことができる。配向層に対するスチールウール試験にて測定されるキズの本数は、熱衝撃によるクラック発生を抑制するうえで、4本以上であることが好ましく、8本以上であることがさらに好ましい。
取り扱い性や有機EL表示装置等の表示装置の視認性の観点から、鉛筆硬度は通常5B以上であり、スチールウール試験で測定されるキズの本数は、通常50本以下であり、20本以下であることが好ましく、10本以下であることがより好ましい。
上記位相差フィルムの光弾性係数は、好ましくは3~100×10-13Pa-1、より好ましくは5~70×10-13Pa-1であり、さらに好ましくは15~60×10-13Pa-1であり、よりさらに好ましくは20~60×10-13Pa-1である。なお、光弾性係数は、例えば、位相差測定装置KOBRA-WPR(王子計測機器株式会社製)を用いて、サンプル(サイズ1cm×10cm)の両端を挟持して応力(0.5N~3N)をかけながら、サンプル中央の位相差値(23℃/波長550nm)を測定し、応力と位相差値の関数の傾きから算出することができる。
光学積層体は、図1に示した層以外の層を有することができる。光学積層体がさらに有していてもよい層としては、前面板、遮光パターン、偏光板などの光学機能層や、他光学機能層と積層させるための接着剤層や粘着剤層、タッチセンサ等が挙げられる。前面板は、偏光板3における位相差フィルムが積層された側とは反対側に配置されることができる。遮光パターンは、前面板における偏光板側の面上に形成することができる。遮光パターンは、画像表示装置の額縁(非表示領域)に形成され、画像表示装置の配線が使用者に視認されないようにすることができる。タッチセンサは、粘着剤層12を介して、光学積層体に積層されることができる。
光学積層体の主面の形状は、実質的に矩形であることができる。主面とは表示面に対応する最も広い面積を有する面を意味する。実質的に矩形であるとは、4つの隅(角部)のうち少なくとも1つの角部が鈍角となるように切除された形状や丸みを設けた形状であったり、主面に垂直な端面の一部が面内方向に窪んだ凹み部(切り欠け)を有したり、主面内の一部が、円形、楕円形、多角形及びそれらの組合せ等の形状にくり抜かれた穴あき部を有したりしてもよいことをいう。
光学積層体の大きさは特に限定されない。光学積層体が実質的に矩形である場合、長辺の長さは6cm以上35cm以下であることが好ましく、10cm以上30cm以下であることがより好ましく、短辺の長さは5cm以上30cm以下であることが好ましく、6cm以上25cm以下であることがより好ましい。
光学積層体の厚さは、通常50~500μmであるが、薄膜化の観点から、150μm以下が好ましく、105μm以下がより好ましいが、光学積層体の厚さが105μm以下となると熱衝撃を受けた際、位相差フィルムを起点としたクラックが光学積層体全体に広がりやすい。
この様な薄膜の光学積層体となっても、位相差フィルムの突刺し弾性率を本願で規定する範囲とすることにより、温度変化によるクラック発生を好適に抑制することができる。
本願の位相差フィルムは、熱衝撃によるクラック発生を抑えるという観点から、基材付きのカール量を低減させた方がよい。カール量は基材付きの構成で、10cm×10cm角に切り出し、23℃55%に24時間調湿後に測定することができる。カール量は、基材の種類、厚みによって異なるが、基材が15~25μm(例えば20μm)の環状ポリオレフィン系樹脂(COP)フィルムの場合、4辺のカール量の平均値として、10mm以下が好ましく、さら5mm以下が好ましい。
<偏光板>
本発明において偏光板とは、偏光子単独、または、偏光子の少なくとも1つの面に貼合された保護フィルムとからなる積層体のことをいう。偏光フィルムが備える保護フィルムは、後述のハードコート層、反射防止層、帯電防止層などの表面処理層を有していてもよい。偏光子と保護フィルムとは、例えば接着剤層や粘着剤層を介して積層することができる。偏光板が備える部材について、以下に説明する。
(1)偏光子
偏光板が備える偏光子は、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であることができる。第1の層が有する偏光子としては、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光子を好適に用いることができる。偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液等の架橋液で処理する工程;及び、架橋液による処理後に水洗する工程を含む方法によって製造できる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体の例は、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、及びアンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等を含む。
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は通常、85~100mol%であり、98mol%以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール又はポリビニルアセタール等を用いることもできる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は通常、1000~10000であり、1500~5000が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子(偏光子)の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が採用される。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に制限されないが、偏光子の厚みを15μm以下とするためには、5~35μmのものを用いることが好ましい。より好ましくは、20μm以下である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、架橋処理の前又は架橋処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤や水を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常、3~8倍である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、該フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素による染色後の架橋処理としては通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液は、ヨウ化カリウムを含有することが好ましい。
偏光子の厚みは、通常30μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは13μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下であり、特に好ましくは8μm以下である。偏光子の厚みは、通常2μm以上であり、3μm以上であることが好ましい。
偏光子としては、例えば特開2016-170368号公報に記載されるように、液晶化合物が重合した硬化膜中に、二色性色素が配向したものを使用してもよい。二色性色素としては、波長380~800nmの範囲内に吸収を有するものを用いることができ、有機染料を用いることが好ましい。二色性色素として、例えば、アゾ化合物が挙げられる。液晶化合物は、配向したまま重合することができる液晶化合物であり、分子内に重合性基を有することができる。また、WO2011/024891に記載されるように、液晶性を有する二色性色素から偏光子を形成してもよい。
偏光子の収縮力は、好ましくは2.0N/2mm以下であり、より好ましくは1.8N/mm以下であり、さらに好ましくは1.5N以下である。
(2)保護フィルム
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも1つの面に保護フィルムを有していてもよい。偏光子と位相差フィルムの間に保護フィルムを有する場合は、負の複屈折性を持つことが好ましい。ここで、負の複屈折性とは、樹脂の延伸方向と垂直な方向に遅相軸が発現することを意味する。位相差フィルムとしては、正の複屈折性を持つ位相差層を含むものを用いることから、偏光子の熱収縮に伴う位相差フィルムの位相差発現とは逆の位相差が発現されるため、色変化が小さくなると考えられる。ここで、正の複屈折性とは、位相差フィルムの延伸方向と平行な方向に遅相軸が発現することを意味する。
偏光子に積層される保護フィルムは、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;マレイミド系樹脂等からなるフィルムであることができる。
特に、偏光子と位相差フィルムの間に用いる保護フィルムは、負の複屈折性を持つものを用いることが好ましい。つまり、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、マレイミド系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むフィルムを用いることが好ましい。このような樹脂フィルムを保護フィルムとして用いることで、異形形状に加工した場合でも、耐久性に優れた偏光板とすることができる。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50~100重量%、好ましくは70~100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
前記(メタ)アクリル系樹脂フィルムの波長590nmにおける面内の位相差値Reは、好ましくは10nm以下であり、より好ましくは7nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは3nm以下であり、最も好ましくは1nm以下である。
波長590nmにおける(メタ)アクリル系樹脂フィルムの厚み方向の位相差値Rthは、好ましくは15nm以下であり、より好ましくは10nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは3nm以下であり、最も好ましくは1nm以下である。面内の位相差値および厚み方向の位相差値がこのような範囲であれば、位相差フィルムの特性を損なうことなく、耐熱試験時における色変化を抑制することができる。面内の位相差値および厚み方向の位相差値をこのような範囲とするためには、例えば、後述のグルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いて得ることができる。
前記(メタ)アクリル系樹脂は、負の複屈折性を持つ範囲で好ましくは、正の複屈折を発現する構造単位を有していてもよい。正の複屈折を発現する構造単位と負の複屈折を発現する構造単位とを有していれば、その存在比を調整して、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの位相差を制御することができ、低位相差の(メタ)アクリル系樹脂フィルムを得ることができる。正の複屈折を発現する構造単位としては、例えば、ラクトン環、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィン等を構成する構造単位、後述の一般式(1)で示される構造単位が挙げられる。負の複屈折を発現する構造単位としては、例えば、スチレン系モノマー、マレイミド系モノマー等を由来とする構造単位、ポリメチルメタクリレートの構造単位、後述の一般式(3)で示される構造単位等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造またはグルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が好ましく用いられる。ラクトン環構造またはグルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は耐熱性に優れる。より好ましくは、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂である。グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いれば、上記のように、低透湿、かつ、位相差および紫外線透過率の小さい(メタ)アクリル系樹脂フィルムを得ることができる。グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(以下、グルタルイミド樹脂とも称する)は、例えば、特開2006-309033号公報、特開2006-317560号公報、特開2006-328329号公報、特開2006-328334号公報、特開2006-337491号公報、特開2006-337492号公報、特開2006-337493号公報、特開2006-337569号公報、特開2007-009182号公報、特開2009-161744号公報に記載されている。これらの記載は、本明細書に参考として援用される。
好ましくは、上記グルタルイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位(以下、グルタルイミド単位とも称する)と、下記一般式(2)で表される構造単位(以下、(メタ)アクリル酸エステル単位とも称する)とを含む。
Figure 2023029876000003
式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1~8のアルキル基であり、Rは、水素、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、または炭素数5~15の芳香環を含む置換基である。式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1~8のアルキル基であり、Rは、水素、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、または炭素数5~15の芳香環を含む置換基である。
グルタルイミド樹脂は、必要に応じて、下記一般式(3)で表される構造単位(以下、芳香族ビニル単位とも称する)をさらに含んでいてもよい。
Figure 2023029876000004
式(3)において、Rは、水素または炭素数1~8のアルキル基であり、Rは、炭素数6~10のアリール基である。
上記一般式(1)において、好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Rは水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基であり、さらに好ましくは、Rはメチル基であり、Rは水素であり、Rはメチル基である。
上記グルタルイミド樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド単位は、上記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化することにより、形成することができる。また、グルタルイミド単位は、無水マレイン酸等の酸無水物、または、このような酸無水物と炭素数1~20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β-エチレン性不飽和カルボン酸等をイミド化することによっても、形成することができる。
上記一般式(2)において、好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Rは水素またはメチル基であり、さらに好ましくは、Rは水素であり、Rはメチル基であり、Rはメチル基である。
上記グルタルイミド樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミド樹脂は、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル単位として、好ましくはスチレン、α-メチルスチレン等を含み、さらに好ましくはスチレンを含む。このような芳香族ビニル単位を有することにより、グルタルイミド構造の正の複屈折性を低減し、より低位相差の(メタ)アクリル系樹脂フィルムを得ることができる。
上記グルタルイミド樹脂は、芳香族ビニル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、RおよびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミド樹脂における上記グルタルイミド単位の含有量は、例えばRの構造等に依存して変化させることが好ましい。グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミド樹脂の総構造単位を基準として、好ましくは1重量%~80重量%であり、より好ましくは1重量%~70重量%であり、さらに好ましくは1重量%~60重量%であり、特に好ましくは1重量%~50重量%である。グルタルイミド単位の含有量がこのような範囲であれば、耐熱性に優れた低位相差の(メタ)アクリル系樹脂フィルムが得られ得る。
上記グルタルイミド樹脂における上記芳香族ビニル単位の含有量は、目的や所望の特性に応じて適切に設定され得る。用途によっては、芳香族ビニル単位の含有量は0であってもよい。芳香族ビニル単位が含まれる場合、その含有量は、グルタルイミド樹脂のグルタルイミド単位を基準として、好ましくは10重量%~80重量%であり、より好ましくは20重量%~80重量%であり、さらに好ましくは20重量%~60重量%であり、特に好ましくは20重量%~50重量%である。芳香族ビニル単位の含有量がこのような範囲であれば、低位相差、かつ、耐熱性および機械的強度に優れた(メタ)アクリル系樹脂フィルムが得られ得る。
上記グルタルイミド樹脂には、必要に応じて、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位以外のその他の構造単位がさらに共重合されていてもよい。その他の構造単位としては、例えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体から構成される構造単位が挙げられる。これらのその他の構造単位は、上記グルタルイミド樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、目的に応じて任意の適切な添加剤を含有し得る。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤;位相差低減剤等が挙げられる。含有される添加剤の種類、組み合わせ、含有量等は、目的や所望の特性に応じて適切に設定され得る。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂と、紫外線吸収剤と、必要に応じてその他の重合体や添加剤等とを、任意の適切な混合方法で充分に混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、これをフィルム成形することができる。あるいは、(メタ)アクリル系樹脂と、紫外線吸収剤と、必要に応じてその他の重合体や添加剤等とを、それぞれ別々の溶液にしてから混合して均一な混合液とした後、フィルム成形してもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物を製造するには、例えば、オムニミキサー等、任意の適切な混合機で上記のフィルム原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いられる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、任意の適切な混合機を用いることができる。
上記フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等、任意の適切なフィルム成形法が挙げられる。溶融押出法が好ましい。溶融押出法は溶剤を使用しないので、製造コストや溶剤による地球環境や作業環境への負荷を低減することができる。
上記溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられる。成形温度は、好ましくは150~350℃、より好ましくは200~300℃である。
上記Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸等を行うこともできる。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、上記所望の位相差が得られる限りにおいて、未延伸フィルムまたは延伸フィルムのいずれでもよい。延伸フィルムである場合は、1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸フィルムである場合は、同時2軸延伸フィルムまたは逐次2軸延伸フィルムのいずれでもよい。
上記延伸温度は、フィルム原料である熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度-30℃)~(ガラス転移温度+30℃)、より好ましくは(ガラス転移温度-20℃)~(ガラス転移温度+20℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度-30℃)未満であると、得られるフィルムのヘイズが大きくなり、あるいは、フィルムが裂けたり、割れたりして所定の延伸倍率が得られないおそれがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+30℃)を超えると、得られるフィルムの厚みムラが大きくなったり、伸び率、引裂伝播強度、および耐揉疲労等の力学的性質が十分に改善できなかったりする傾向がある。さらに、フィルムがロールに粘着するといったトラブルが発生しやすくなる傾向がある。
上記延伸倍率は、好ましくは1.1~3倍、より好ましくは1.3~2.5倍である。延伸倍率がこのような範囲であれば、フィルムの伸び率、引裂伝播強度、および耐揉疲労等の力学的性質を大幅に改善することができる。結果として、厚みムラが小さく、複屈折が実質的にゼロであり(したがって、位相差が小さく)、さらに、ヘイズが小さいフィルムを製造することができる。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)等を行うことができる。熱処理の条件は、任意の適切な条件を採用し得る。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムの光弾性係数は、好ましくは-3~-100×10-13Pa-1、より好ましくは-5~-70×10-13Pa-1であり、さらに好ましくは-15~-50×10-13Pa-1である。なお、光弾性係数は前述の方法で測定することができる。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムの厚みは、好ましくは10μm~200μmであり、より好ましくは20μm~100μmである。厚みが10μm未満であると、強度が低下するおそれがある。厚みが200μmを超えると、透明性が低下するおそれがある。
偏光子の両面に保護フィルムを積層する場合は、前記と同一のフィルムを両面に貼合してもよいし、その他の樹脂フィルムを用いてもよい。例えば、オレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、セルロース系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのようなノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂は、下記セルロースエステル系樹脂を除く、エステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルが挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。ポリエステル系樹脂の代表例として、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合体であるポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものも挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。
保護フィルムの厚みは通常1~100μmであるが、強度や取扱性等の観点から5~60μmであることが好ましく、10~55μmであることがより好ましく、15~40μmであることがさらに好ましい。
上述のように、保護フィルムは、その外面(偏光子とは反対側の面)に、ハードコート層、防眩層、光拡散層、反射防止層、低屈折率層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を備えるものであってもよい。なお、保護フィルムの厚みは、表面処理層の厚みを含んだものである。
保護フィルムは、例えば接着剤層または粘着剤層を介して偏光子に貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。粘着剤層としては後述のものが使用できる。
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
水系接着剤を使用する場合は、偏光子と保護フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するための乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥工程後、例えば20~45℃の温度で養生する養生工程を設けてもよい。
上記活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤であり、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。
上記硬化性化合物は、カチオン重合性の硬化性化合物やラジカル重合性の硬化性化合物であることができる。カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。活性エネルギー線硬化性接着剤は通常、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含む。
偏光子と保護フィルムとを貼合するにあたっては、接着性を高めるために、これらの少なくともいずれか一方の貼合面に表面活性化処理を施してもよい。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、火炎処理、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理;水やアセトン等の溶媒を用いた超音波処理、ケン化処理、アンカーコート処理のような湿式処理を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合わせてもよい。
偏光子の両面に保護フィルムが貼合される場合においてこれらの保護フィルムを貼合するための接着剤は、同種の接着剤であってもよいし異種の接着剤であってもよい。
また、前述の接着剤や接着剤を介した貼合方法については、偏光子と保護フィルムの貼合だけでなく、本願発明の光学積層体に含まれる他光学機能層の貼合に用いてもよい。例えば、光学積層体が2層以上の位相差フィルムを有する場合、位相差フィルム同士の貼合に用いることができる。
<粘着剤層>
粘着剤層12は、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。粘着剤層の厚みは、通常3~30μmであり、好ましくは3~25μmである。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
粘着剤層及び粘着剤組成物について、本願発明の光学積層体と有機EL表示素子の貼合に用いる粘着剤層12に用いる例として説明したが、それに限らない。例えば、本願発明の光学積層体と他光学機能層との貼合や、光学積層体中を構成する光学機能層同士の貼合にも用いてもよい。
<前面板>
前面板は、偏光板の視認側に配置される。前面板は、接着層を介して偏光板に積層されることができる。接着層としては、例えば前述の粘着剤層や接着剤層が挙げられる。図2に示すように、前面板5は、偏光板3上に、不図示の粘着剤層を介して積層されることができる。前面板5は、図2に示すように、遮光パターン6が形成されていてもよい。
前面板としては、ガラス、樹脂フィルムの少なくとも一面にハードコート層を含んでなるものなどが挙げられる。ガラスとしては、例えば、高透過ガラスや、強化ガラスを用いることができる。特に薄い透明面材を使用する場合には、化学強化を施したガラスが好ましい。ガラスの厚みは、例えば100μm~5mmとすることができる。
樹脂フィルムの少なくとも一面にハードコート層を含んでなる前面板は、既存のガラスのように硬直ではなく、フレキシブルな特性を有することができる。ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、5~100μmであってもよい。
樹脂フィルムとしては、ノルボルネンまたは多環ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、セルロース(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース)エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリシクロオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、 ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシなどの高分子で形成されたフィルムであってもよい。樹脂フィルムは、未延伸、1軸または2軸延伸フィルムを使用することができる。これらの高分子はそれぞれ単独または2種以上混合して使用することができる。樹脂フィルムとしては、透明性及び耐熱性に優れたポリアミドイミドフィルムまたはポリイミドフィルム、1軸または2軸延伸ポリエステルフィルム、透明性及び耐熱性に優れるとともに、フィルムの大型化に対応できるシクロオレフィン系誘導体フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム及び透明性と光学的に異方性のないトリアセチルセルロース及びイソブチルエステルセルロースフィルムが好ましい。樹脂フィルムの厚さは5~200μm、好ましくは、20~100μmであってもよい。
前記ハードコート層は、光或いは熱エネルギーを照射して架橋構造を形成する反応性材料を含むハードコート組成物の硬化により形成することができる。前記ハードコート層は、光硬化型(メタ)アクリレートモノマー、或いはオリゴマー及び光硬化型エポキシモノマー、或いはオリゴマーを同時に含むハードコート組成物の硬化により形成することができる。前記光硬化型(メタ)アクリレートモノマーは、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートで構成された群から選択された1種以上を含むことができる。前記エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ化合物に対して(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させて得ることができる。
ハードコート組成物は溶剤、光開始剤及び添加剤からなる群から選択される一つ以上をさらに含むことができる。添加剤は、無機ナノ粒子、レベリング剤及び安定剤からなる群から選択される一つ以上を含むことができ、それ以外にも当該技術分野で一般的に使用される各成分として、例えば、抗酸化剤、UV吸収剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
<遮光パターン>
遮光パターンは、前面板または前面板が適用される表示装置のベゼルまたはハウジングの少なくとも一部として提供することができる。遮光パターンは、前面板における表示素子側に形成することができる。遮光パターンは、表示装置の各配線を隠し使用者に視認されないようにすることができる。遮光パターンの色及び/または材質は特に制限されることはなく、黒色、白色、金色などの多様な色を有する樹脂物質で形成することができる。一実施形態において、遮光パターンの厚さは2μm~50μmであってもよく、好ましくは4μm~30μmであってもよく、より好ましくは6μm~15μmの範囲であってもよい。また、遮光パターンと表示部の間の段差による気泡混入及び境界部の視認を抑制するために、遮光パターンに形状を付与することができる。
<タッチセンサ>
タッチセンサは入力手段として用いられる。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が提案されており、いずれの方式でも構わない。中でも静電容量方式が好ましい。静電容量方式タッチセンサは活性領域及び活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は画像表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサは基板と;基板の活性領域に形成された感知パターンと;基板の非活性領域に形成され、感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。基板としては、ガラスや上述の前面板を構成する樹脂フィルムと同様の材料が使用できる。タッチセンサの基板は、靱性が2,000MPa%以上のものがタッチセンサのクラック抑制の面から好ましい。より好ましくは靱性が2,000MPa%以上30,000MPa%以下であってもよい。
感知パターンは、第1方向に形成された第1パターン及び第2方向に形成された第2パターンを備えることができる。第1パターンと第2パターンは互いに異なる方向に配置される。第1パターン及び第2パターンは、同一層に形成され、タッチされる地点を感知するためには、それぞれのパターンが電気的に接続されなければならない。第1パターンは各単位パターンが継ぎ手を介して互いに接続された形態であるが、第2パターンは各単位パターンがアイランド形態に互いに分離された構造になっているので、第2パターンを電気的に接続するためには別途のブリッジ電極が必要である。感知パターンは周知の透明電極素材を適用することができる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、PEDOT(poly(3,4―ethylenedioxythiophene))、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、金属ワイヤなどを挙げることができ、これらは単独または2種以上混合して使用することができる。好ましくはITOを使用することができる。金属ワイヤに使用される金属は特に限定されず、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、テレニウム、クロムなどを挙げることができる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
ブリッジ電極は感知パターン上部に絶縁層を介して絶縁層上部に形成することができ、基板上にブリッジ電極が形成されており、その上に絶縁層及び感知パターンを形成することができる。ブリッジ電極は感知パターンと同じ素材で形成することもでき、モリブデン、銀、アルミニウム、銅、パラジウム、金、白金、亜鉛、スズ、チタンまたはこれらのうちの2種以上の合金などの金属で形成することもできる。第1パターンと第2パターンは電気的に絶縁されなければならないので、感知パターンとブリッジ電極の間には絶縁層が形成される。絶縁層は第1パターンの継ぎ手とブリッジ電極の間にのみ形成することもでき、感知パターンを覆う層の構造に形成することもできる。後者の場合は、ブリッジ電極は絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して第2パターンを接続することができる。
タッチセンサはパターンが形成されたパターン領域と、パターンが形成されていない非パターン領域間の透過率の差、具体的には、これらの領域における屈折率の差によって誘発される光透過率の差を適切に補償するための手段として基板と電極の間に光学調節層をさらに含むことができ、光学調節層は無機絶縁物質または有機絶縁物質を含むことができる。光学調節層は光硬化性有機バインダー及び溶剤を含む光硬化組成物を基板上にコーティングして形成することができる。光硬化組成物は無機粒子をさらに含むことができる。無機粒子によって光学調節層の屈折率が上昇することができる。
光硬化性有機バインダーは、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を含むことができる。光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。無機粒子は、例えば、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などを含むことができる。光硬化組成物は、光重合開始剤、重合性モノマー、硬化補助剤などの各添加剤をさらに含むこともできる。
<光学積層体の製造方法>
図1(a)~(c)に示した光学積層体を例に、光学積層体の製造方法を説明する。
光学積層体100(図1(a))は、例えば次のように製造することができる。基材上に配向層11を形成し、配向層11上に重合性液晶化合物を含む塗工液を塗工する。重合性液晶化合物を配向させた状態で、加熱処理または活性エネルギー線を照射し、重合性液晶化合物を硬化させる。重合性液晶化合物が硬化し、位相差層10を形成した後、基材を剥離し、剥離フィルム上に形成された粘着剤層12を配向層11における基材を剥離した面に積層させる。
図1(b)に示した光学積層体101の場合、図1(a)に示した光学積層体100と位相差層10を形成するところまでは同様であり、位相差層10を形成後、位相差層10と第2の位相差フィルムを接着剤層13を介して積層させる。光学積層体100と位相差層10が長尺状である場合は、接着剤層13を介して、ロール・トゥ・ロールでそれぞれの部材を貼り合わせてもよい。光学積層体100と第2の位相差フィルムを積層した後、基材を剥離し、剥離フィルム上に形成された粘着剤層12を配向層11における基材を剥離した面に積層させる。
図1(c)に示した光学積層体102の場合、まず偏光板3を製造する。偏光板3は、偏光子と保護フィルムとを、それぞれ接着剤層を介して積層して製造することができる。保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に積層されていればよい。偏光板は、長尺の部材を準備し、ロール・トゥ・ロールでそれぞれの部材を貼り合わせた後、所定形状に裁断して製造してもよいし、それぞれの部材を所定の形状に裁断した後、貼り合わせてもよい。偏光子に保護フィルムを貼り合わせた後、加熱工程や調湿工程を設けてもよい。位相差フィルムは、図1(b)の光学積層体101と同様、第2の位相差フィルムを積層したところまでは同じであり、第2の位相差フィルムの接着剤層13とは反対側の面に接着剤層または粘着剤層を介して偏光板3と積層させる。偏光板3や光学積層体101が長尺状である場合は、ロール・トゥ・ロールでそれぞれの部材を貼り合わせてもよい。偏光板3を積層後、基材を剥離し、剥離フィルム上に形成された粘着剤層12を配向層11における基材を剥離した面に積層させる。
そして、粘着剤層12上に積層された剥離フィルムを剥離し、粘着剤層12を介して光学積層体と有機EL表示素子を貼合することにより、有機EL表示装置を作製することができる。
<用途>
本発明の光学積層体は、さまざまな表示装置に用いることができる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含む。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(以下、無機ELともいう)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FEDともいう)、表面電界放出表示装置(SEDともいう))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLVともいう)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMDともいう)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。光学積層体は、特に有機EL表示装置又は無機EL表示装置に特に有効に用いることができる。
図2において、有機EL表示装置103は、位相差フィルム1上に積層された粘着剤層12を介して、光学積層体が有機EL表示素子4に積層された層構成を有する。
また、表示装置は、フレキシブル表示装置であることもでき、フレキシブル有機EL表示装置であることができる。フレキシブル有機EL表示装置は、本発明の光学積層体と、有機EL表示素子とを含む。有機EL表示素子に対して視認側に本発明の光学積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。折り曲げ可能とは、クラック及び破断を生じさせずに屈曲できることを意味する。本発明の光学積層体をフレキシブル有機EL表示装置に適用する場合、光学積層体は、前面板およびタッチセンサの少なくとも一方を備えることが好ましい。
具体的な光学積層体としては、視認側から前面板、偏光板、位相差フィルム、タッチセンサの順に積層された態様、または視認側から前面板、タッチセンサ、偏光板、位相差フィルムの順に積層された態様が挙げられる。タッチセンサの視認側に偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、前面板、偏光板、位相差フィルム、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す部及び%は、特記しないかぎり重量基準である。なお、以下の例における各物性の測定は、次の方法で行った。
(1)フィルム厚みの測定
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーターであるMH-15Mを用いて測定した。
(突刺し弾性率の測定)
実施例、比較例で得られた基材フィルム付き第1の位相差フィルムを、縦40mm×横40mmの断片を切り出した。また縦40mm×横40mmの糊付き台紙を用意した。この糊付き台紙は、中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれている。位相差層1の表面が糊付き台紙における糊に接するように、上記積層体を糊付き台紙に貼合した後、第1の位相差フィルムから基材を剥離して、突刺し試験用サンプルを作製した。
突刺し弾性率の測定は、次のように行った。カトーテック株式会社製の“NDG5 突き刺し試験機”にニードルを取り付けて行った。ニードルを突刺し試験用サンプルの主面(位相差層1の表面)に対して垂直に突刺し、突刺し試験用サンプルが破断する直前の応力F(g)とそのときのひずみ量S(mm)を算出し、突刺し弾性率(g/mm)を応力F(g)/ひずみ量S(mm)にて算出した。ニードルとしては、先端径が1mmφ、0.5Rであるものを使用した。ニードルを突き刺す速度は、0.33cm/秒とした。位相差フィルム1の突刺し弾性率を表1に示す。測定は温度23℃、湿度50%の室温環境下で行った。
(3)耐摩耗性評価(スチールウール硬度)
位相差フィルムの配向層表面の耐摩耗性の評価をスチールウール試験にて行った。
スチールウール試験機(大栄精機社製)にて、クリーンルーム用ワイパー(旭化成株式会社製 BEMCOT AZ-8)をガラス板上に配置した環状ポリオレフィン系樹脂(COP)基材(厚み20μm)上に各実施例、比較例と同様の方法で製膜した配向層表面に500gの荷重で接触させ、40r/minの速度で4往復摩耗試験をおこない、蛍光灯下で目視にて発生したキズの本数を数えた。
(4)耐摩耗性評価(鉛筆硬度評価)
位相差フィルムの配向層表面の表面硬度評価を鉛筆硬度試験にて行った。
鉛筆硬度試験器(安田精機製作所製No.553-M1)にて、試験用の鉛筆(三菱鉛筆株式会社製ユニスター)をガラス板上に配置した環状ポリオレフィン系樹脂(COP)基材(厚み20μm)上に各実施例、比較例と同様の方法で製膜した配向層表面に500gの荷重で斜め45度から接触させ、0.5mm/secの速度で硬度試験をおこない、蛍光灯下で目視にて発生したキズの有無を数えた。5本試験の内、1本以下の傷つきとなる硬度を確認した。
[実施例1]
(第1の位相差フィルム1の作製)
配向層形成用の組成物として、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業(株)製 A-600)10.0重量部と、
トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製 A-TMPT)10.0重量部と、
1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業(株)製 A-HD-N)10.0重量部と、
光重合開始材としてイルガキュア907(BASF社製 Irg-907)1.50重量部とを、
溶媒メチルエチルケトン 70.0重量部中で溶解させ、配向層形成用塗工液を調整した。
基材フィルムとして厚さ20μmの長尺状の環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製)を準備し、基材フィルムの片面に、得られた配向層形成用塗工液をバーコーターにて塗布した。
塗工後の塗布層に温度80℃で60秒間の熱処理を施した後、紫外線(UVB)を220mJ/cm照射し、配向層形成用の組成物を重合、硬化させて、基材フィルム上に厚さ3.5μmの配向層1を形成した。
位相差形成用の組成物として、光重合性ネマチック液晶化合物(メルク社製 RMM28B)20.0重量部と、光重合開始剤としてイルガキュア907(BASF社製 Irg-907)1.0重量部とを、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80.0重量部中に溶解させ、位相差層形成用塗工液を調整した。
先に得られた配向層上に位相差層形成用塗工液を塗布し、塗布層に温度80℃で60秒間の熱処理を施した。その後、紫外線(UVB)を220mJ/cm照射し、位相差層形成用の組成物を重合、硬化させて、配向層上に厚さ0.7μmの位相差層1を形成した。この様にして基材フィルム上に配向層1と位相差層1からなる第1の位相差フィルム1を得た。この第1の位相差フィルム1は厚み方向に位相差を示した。また、基材フィルムから第1の位相差フィルム1が剥離可能であることを確認した。
(偏光板の作製)
厚み20μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約4倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、40℃の純水に40秒間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.052/5.7/100の水溶液に28℃で30秒間浸漬して染色処理を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が11.0/6.2/100の水溶液に70℃で120秒間浸漬した。引き続き、8℃の純水で15秒間洗浄した後、300Nの張力で保持した状態で、60℃で50秒間、次いで75℃で20秒間乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚み8μmの吸収型偏光子フィルムを得た。得られた偏光子フィルムの両面にポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤を塗布し、偏光子フィルムの片面に保護フィルム(ゼオン製COPフィルム ゼオノアZF14)ともう一方の面に保護フィルム(富士フィルム製TACフィルム フジタックTJ25)貼り合わせて両面保護フィルム付偏光板を得た。
(光学積層体の作製)
両面剥離フィルム付きシート状粘着剤(厚み25μm リンテック株式会社製P-3132)の一方の剥離フィルムを剥離し、得られた偏光板のTACフィルム側表面に粘着層剤を介して貼り合わせた後、シート状粘着剤の他方側の剥離フィルムを剥離し、粘着剤層を偏光板のTACフィルム側表面に積層させた。積層された粘着剤層を介して第1の位相差フィルムの位相差層1側表面と偏光板を貼り合わせた後、第1の位相差フィルム1から基材フィルムを剥離した。さらに先の両面剥離フィルム付きシート状粘着剤の一方の剥離フィルムを剥離した後、第1の位相差フィルム1の基材フィルムを剥離した面に粘着剤層を介して貼り合わせ、積層構造が、偏光板/粘着剤層/第1の位相差フィルム1/粘着剤層/剥離フィルムである光学積層体を得た。
[実施例2、3、比較例1、2]
第1の位相差フィルムを構成する配向層1と位相差層1の形成用の組成物を表1の配合比、厚みを変えた以外は、実施例1と同様の方法で実施例2、3、比較例1、2の光学積層体を作製した。また、実施例2、3、比較例1、2で得られた第1の位相差フィルムは、厚み方向に位相差を示した。
[実施例4]
配向層形成用の組成物を表1の材料および配合比として配向層形成用塗工液を作成し、その塗工液の塗布層に温度100℃で120秒間の熱処理を施し、硬化させた。
それ以外は実施例1と同様の方法で光学積層体を作製した。また、実施例4で得られた第1の位相差フィルムは、厚み方向に位相差を示した。
[実施例5]
[第1の位相差フィルム2の作製]
下記構造の光配向性材料5.0重量部(重量平均分子量:30,000)とシクロペンタノン(溶媒)95.0重量部とを混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、配向膜形成用組成物を得た。
Figure 2023029876000005
以下に示す重合性液晶化合物A、及び重合性液晶化合物Bを9:1の質量比で混合した混合物10重量部に対して、レベリング剤(F-556;DIC社製)を0.1重量部、及び重合開始剤である2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(「イルガキュア369(Irg369)」、BASFジャパン株式会社製)を0.6重量部添加した。
さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、液晶硬化膜形成用組成物を得た。
重合性液晶化合物Aは、特開2010-31223号公報に記載の方法で製造した。また、重合性液晶化合物Bは、特開2009-173893号公報に記載の方法に準じて製造した。以下にそれぞれの分子構造を示す。
(重合性液晶化合物A)
Figure 2023029876000006
(重合性液晶化合物B)
Figure 2023029876000007
〔基材、配向膜、重合性液晶化合物が硬化した層からなる積層体の製造〕
基材として50μm厚のシクロオレフィン系フィルム〔日本ゼオン株式会社製の商品名「ZF-14-50」〕上にコロナ処理を実施した。コロナ処理が施された面に、配向膜形成用組成物をバーコーターで塗布した。塗布膜を80℃で1分間乾燥した。乾燥した塗布膜に、偏光UV照射装置〔ウシオ電機株式会社の商品名「SPOT CURE SP-9」〕を用いて、軸角度45゜にて偏光UVを照射し、配向膜を得た。偏光UVの照射は、波長313nmにおける積算光量が100mJ/cmとなるように行われた。
続いて、配向膜上に、液晶硬化膜形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布した。塗布膜を120℃で1分間乾燥した。乾燥した塗布膜に、高圧水銀ランプ〔ウシオ電機株式会社の商品名:「ユニキュアVB-15201BY-A」〕を用いて、紫外線を照射した。紫外線の照射工程は、波長365nmにおける積算光量が250mJ/cmとなるように、窒素雰囲気下で行われた。照射直後に冷却工程として、硬化膜を5℃に設定したオーブンに20秒間投入した。オーブン取り出し後、すぐに再度前記紫外線照射工程および冷却工程を実施し、基材上に配向膜、および重合性液晶化合物が硬化した層からなる第1の位相差フィルム2を得た。この第1の位相差フィルム2は面内方向に位相差を示した。得られた第1の位相差フィルム2を第1の位相差フィルム1の代わりに用いて、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
[実施例6]
比較例1と同じ方法で第1の位相差フィルムを作成し、光学積層体を作製する際に配向層1と位相差層1の間で剥離し、第1の位相差フィルムを位相差層1のみとした以外は実施例1と同じ方法で実施例6の光学積層体を作製した。
Figure 2023029876000008
実施例1~6、比較例1、2にて得られた光学積層体について剥離フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を介してそれぞれガラス板に貼合し、図3で示す状態とした上で、次に示す方法で耐熱衝撃性試験を行った。
荷重 10Nに設定したエリクセンペン(エリクセン社製 型番318)のペン先を光学積層体中の偏光板におけるガラス板側とは反対側の面に押し当て起点とした。同様の起点を他2カ所(計3カ所)等間隔で設けた。その後、-20℃ 30分と60℃ 30分を1サイクルとする熱衝撃性試験(ESPEC CORP.製 品名:TSA-303EL-W)を数サイクル実施した。熱衝撃性試験前に光学積層体中の偏光板表面にエリクセンペンを押し当てた各起点から生じたクラックの長さを測定し、3か所の起点のクラック測定結果の平均値をクラック長さ(mm)とした。
実施例1~6、比較例1、2で得られた第1の位相差フィルムの突刺し弾性率、膜厚、耐摩耗性評価(スチールウール、鉛筆硬度)及び光学積層体の熱衝撃試験の結果について、表2に示す。実施例1~5、比較例1、2の第1の位相差フィルムの突刺し弾性率は、第1の位相差フィルムと基材フィルムの積層体より、基材フィルムを剥離した後、第1の位相差フィルム(位相差層1+配向層1)に対して、突刺し冶具を位相差層1側から押圧することにより測定した。実施例6の第1の位相差フィルムは、基材フィルムと配向層1を位相差層1より剥離し、第1の位相差フィルム(位相差層1のみ)に対し測定した結果を示した。また、耐摩耗性評価については、実施例1、2、比較例1の配向層について実施した。
Figure 2023029876000009
表3に、各実施例および各比較例で得た位相差フィルムにおける
配向層の厚さLALと、配向層を構成する樹脂における重合性化合物iに由来する単位の含有量Cwi、当該重合性化合物iの分子量Miおよび官能基数Niを示す。配向層の重合性基量は、計算式(A-1)
Figure 2023029876000010

により算出された値N1である。
また、表3に、各実施例および各比較例で得た位相差フィルムにおける位相差層の厚さLLCと、位相差層を構成する重合性液晶化合物jに由来する単位の含有量Cwjと、当該重合性液晶化合物jの分子量Mjおよび官能基数Njとを示す。位相差層の重合性基量は、計算式(A-2)

Figure 2023029876000011

により算出される値N2である。
そして表3に、前記の計算式(A)により算出された重合性基量Nを併せて示す。
Figure 2023029876000012
本発明によれば、位相差フィルムを備える光学積層体であって、急激な温度変化を受ける環境下でも、クラックの発生を抑制できる光学積層体を提供することができるので有用である。
1 第1の位相差フィルム(位相差フィルム)
2 第2の位相差フィルム
3 偏光板
4 有機EL表示素子
5 前面板
6 遮光パターン
10 位相差層
11 配向層
12 粘着剤層
13 接着剤層
14 ガラス板
100,101,102,104 光学積層体
103 有機EL表示装置

Claims (6)

  1. 位相差フィルムを有する光学積層体であって、
    前記位相差フィルムは、
    フィルム面に対し突刺し冶具の先端を垂直に押圧し、破断が生じたときの、
    前記突刺し冶具の先端から前記位相差フィルムへ加えられた応力F(g)と前記位相差フィルムのひずみ量S(mm)を用いて下記式(1)にて算出される突刺し弾性率が50g/mm以下であることを特徴とする光学積層体。

    (1)突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm)
  2. 前記位相差フィルムは、重合性液晶化合物が硬化した位相差層を含む請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記位相差フィルムは、配向層をさらに含む請求項2に記載の光学積層体。
  4. 前記位相差層は、垂直配向性を有する請求項2または3に記載の光学積層体。
  5. 前記光学積層体は、さらに偏光板を有する請求項1~4のいずれかに記載の光学積層体。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の光学積層体が、表示素子に積層されている表示装置。
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