JP2023028457A - 包装体用フィルム及び包装体 - Google Patents

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誠人 宮脇
Masato Miyawaki
知明 山中
Tomoaki Yamanaka
正弘 平原
Masahiro Hirahara
雅也 藤原
Masaya Fujiwara
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Abstract

Figure 2023028457000001
【課題】無溶剤で製造可能であり、バリア材との接着性に優れ、耐衝撃性の高い包装体を形成できる包装体用フィルム及び包装体。
【解決手段】バリア材20と、バリア材20の少なくとも一方の面に積層された接着層30、32と、を備え、接着層30、32は、接着層用組成物の硬化物であり、前記接着層用組成物は、ベースポリマーと、エポキシ成分と、硬化剤とを含み、前記ベースポリマーの含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して50質量%以上であり、前記エポキシ成分の含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して0.1質量%超30質量%以下であり、前記硬化剤の含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して0.5質量%以上20質量%以下である、包装体用フィルム1。
【選択図】図1

Description

本発明は、包装体用フィルム及び包装体に関する。
アルミ箔等のバリア材を構成要素とするバリア性積層フィルムは、包装体用フィルムとして広く使用されている。バリア性積層フィルムは、熱可塑性樹脂を接着樹脂層としたり、反応・硬化型接着剤を接着剤層としたりして各層が貼り合されている。
近年、地球温暖化等の環境課題が世界的に広がる中、包装体にも環境負荷を低減することが求められている。環境負荷の低減の一環に、揮発性有機化合物(VOC)の排出の抑制が挙げられる。
例えば、特許文献1には、無溶剤タイプの接着剤を用いた積層フィルムが提案されている。
特開平6-254137号公報
しかしながら、無溶剤タイプの接着剤を用いた場合、溶剤タイプの接着剤に比べて、バリア材との接着性に劣るという課題がある。このため、無溶剤タイプの接着剤を用いた包装体は、耐衝撃性に劣る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、無溶剤で製造可能であり、バリア材との接着性に優れ、耐衝撃性の高い包装体を形成できる包装体用フィルム及び包装体を目的とする。
すなわち、本発明の包装体用フィルムは、以下の構成を有する。
[1]バリア材と、前記バリア材の少なくとも一方の面に位置する接着層と、を備え、
前記接着層は、接着層用組成物の硬化物であり、
前記接着層用組成物は、ベースポリマーと、エポキシ成分と、硬化剤とを含み、
前記ベースポリマーの含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して50質量%以上であり、
前記エポキシ成分の含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して0.1質量%超30質量%以下であり、
前記硬化剤の含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して0.5質量%以上20質量%以下である、包装体用フィルム。
[2]前記ベースポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリル及びアイオノマーから選択される1種以上の樹脂である、[1]に記載の包装体用フィルム。
[3]前記バリア材がアルミ箔又は蒸着フィルムである、[1]又は[2]に記載の包装体用フィルム。
[4]前記エポキシ成分が、80℃以上で開環する化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の包装体用フィルム。
[5]前記接着層のメルトフローレイトが0.5~50g/10minである、[1]~[4]のいずれかに記載の包装体用フィルム。
[6]前記硬化剤が酸無水物である、[1]~[5]のいずれかに記載の包装体用フィルム。
[7]前記接着層上にシーラント材をさらに備える、[1]~[6]のいずれかに記載の包装体用フィルム。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の包装体用フィルムが製袋された包装体。
本発明の包装体用フィルムによれば、無溶剤で製造可能であり、バリア材との接着性に優れ、耐衝撃性の高い包装体を形成できる。
本発明の第一実施形態に係る包装体用フィルムの断面図である。 本発明の第二実施形態に係る包装体用フィルムの断面図である。
本発明の包装体用フィルムは、バリア材と、バリア材の少なくとも一方の面に位置する接着層と、を備える。
本発明の接着層は、接着層用組成物の硬化物であり、接着層用組成物は、ベースポリマーと、エポキシ成分と、硬化剤とを含む。
[第一実施形態]
≪包装体用フィルム≫
本発明の第一実施形態に係る包装体用フィルムについて、図面を参照して説明する。
図1の包装体用フィルム1は、基材10と、第一の接着層30と、バリア材20と、第二の接着層32と、シーラント材40とがこの順で積層されたものである。すなわち、包装体用フィルム1は、バリア材20と、バリア材20の両方の面に位置する、第一の接着層30と第二の接着層32と、を備える。包装体用フィルム1は、第二の接着層32のバリア材20と対向する面にシーラント材40を備える。
包装体用フィルム1の酸素透過度は、4.0mL/(m・day)未満が好ましく、2.0mL/(m・day)未満がより好ましく、1.0mL/(m・day)未満がさらに好ましい。包装体用フィルム1の酸素透過度が上記上限値未満であると、酸素バリア性に優れる。包装体用フィルム1の酸素透過度は小さいほど好ましく、酸素透過度の下限値は、0mL/(m・day)が好ましい。
包装体用フィルム1の酸素透過度は、JIS K7126-2:2006の附属書Aに記載の電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法に準じて測定できる。
包装体用フィルム1の酸素透過度は、バリア材20の材質や厚さ、及びこれらの組合せにより調整できる。
包装体用フィルム1の水蒸気透過度は、4.0g/(m・day)未満が好ましく、2.0g/(m・day)未満がより好ましく、1.0g/(m・day)未満がさらに好ましい。包装体用フィルム1の水蒸気透過度が上記上限値未満であると、水蒸気バリア性に優れる。包装体用フィルム1の水蒸気透過度は小さいほど好ましく、水蒸気透過度の下限値は、0g/(m・day)が好ましい。
包装体用フィルム1の水蒸気透過度は、JIS K7129:2008の感湿センサ法に記載の試験方法に準じ、表A.1に記載の試験条件1にて測定できる。
包装体用フィルム1の水蒸気透過度は、バリア材20の材質や厚さ、及びこれらの組合せにより調整できる。
包装体用フィルム1の残留溶媒量は、5.0mg/m以下が好ましく、2.0mg/m以下がより好ましく、1.0mg/m以下がさらに好ましい。包装体用フィルム1の残留溶媒量が上記上限値以下であると、溶媒(溶剤)の臭気をより低減できる。
包装体用フィルム1の残留溶媒量は、例えば、キャピラリーガスクロマトグラフ装置を用いて測定できる。
包装体用フィルム1の残留溶媒量は、バリア材20の材質、第一の接着層30の材質、第二の接着層32の材質、熱処理の条件、及びこれらの組合せにより調整できる。
包装体用フィルム1の厚さTは、特に限定されないが、例えば、35~250μmが好ましく、40~200μmがより好ましく、50~150μmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の強度が高められる。厚さTが上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
包装体用フィルム1の厚さTは、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
<基材>
基材10としては、樹脂製フィルムが挙げられる。
樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミド(PA)フィルム、セロファン、及びこれらの積層体が挙げられる。
ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
ポリオレフィンフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)等が挙げられる。
ポリアミド(PA)フィルムとしては、例えば、二軸延伸ナイロン(ONY)等が挙げられる。
積層体としては、上記樹脂製フィルム同士の積層体が挙げられる。
包装体用フィルム1の強度をより高められることから、基材10としては、PET、二軸延伸PET、PP、OPP、PAが好ましく、二軸延伸PET、ONYがより好ましい。
基材10は、その表面や層間に印刷が施されていてもよい。
基材10は、MD方向(フィルムを製造する際の流れ方向)の配向度αが0.5~2.5が好ましく、0.7~2.0がより好ましく、1.0~1.5がさらに好ましい。配向度αが上記下限値以上であると、包装体用フィルム1は水蒸気バリア性により優れる。配向度αが上記上限値以下であると、包装体用フィルム1を製袋した包装体の耐衝撃性をより高められる。
基材10は、TD方向(MD方向に垂直な方向)の配向度βが0.2~2.5が好ましく、0.5~2.0がより好ましく、0.7~1.5がさらに好ましい。配向度βが上記下限値以上であると、包装体用フィルム1は水蒸気バリア性により優れる。配向度βが上記上限値以下であると、包装体用フィルム1を製袋した包装体の耐衝撃性をより高められる。
配向度α/配向度βで表される比は、0.5~2.0が好ましく、0.5~1.5がより好ましい。
配向度α及び配向度βは、赤外二色法によって測定された値から算出される。
配向度は、光の電場が一定の方向にしか振動しない直線偏光と呼ばれる光を赤外分光光度計に用い、透過法で測定される。
測定方法としては、まず、偏光子の設置角度を0°(電場の向きは垂直方向)としてBKG(バックグラウンド)測定を行なった後、試料の延伸方向を縦方向に合わせ、吸光度を測定する(このとき偏光方向と延伸軸の方向は平行になる。)。得られた値を吸光度「A//」とする。
次に、試料の角度を90°回転させ、試料の延伸軸と偏光方向を垂直にした状態で吸光度を測定する。得られた値を吸光度「A⊥」とする。
試料の延伸軸に対して平行な偏光と垂直な偏光で得られた二つの吸光度A//及びA⊥の吸光度比を配向度とする。
赤外二色法における測定波数は、測定対象の材質に応じて適宜選択される(『小林靖二、「赤外二色法による分子配向」、高分子学会誌「高分子」、Vol.15、No.175、p.877-883』参照)。
また、配向度は、JIS K7127:1999に準じて測定される引張弾性率から簡易的に求められる。
基材10の厚さT10は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5~100μmが好ましく、10~50μmがより好ましい。基材10の厚さT10が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の強度が高められる。基材10の厚さT10が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
基材10の厚さT10は、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
<バリア材>
バリア材20は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する。包装体用フィルム1が酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有することで、包装体用フィルム1を包装体としたときの内容物の変質、変化をより抑制できる。
バリア材20としては、例えば、アルミ箔(アルミニウム箔)、エチレン-ビニルアルコール重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、EVOH等がPETに塗布されたアクリルコートPET等が挙げられる。
バリア材20としては、酸素バリア性及び水蒸気バリア性により優れることから、アルミ箔が好ましい。
バリア材20の厚さT20は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、3~20μmが好ましく、5~15μmがより好ましい。バリア材20の厚さT20が上記下限値以上であると、酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより高められる。バリア材20の厚さT20が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
バリア材20の厚さT20は、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
<第一の接着層>
第一の接着層30は、接着層用組成物の硬化物である。ここで、「硬化物」とは、手で触れたときに接着層用組成物が手に付着しない程度に充分に硬化しているものをいう。
包装体用フィルム1が第一の接着層30を有することで、バリア材20との接着性を高められ、包装体用フィルム1を包装体としたときの耐衝撃性をより高められる。
接着層用組成物は、ベースポリマーと、エポキシ成分と、硬化剤とを含む。また、接着層用組成物は、溶剤を含まないことから、包装体用フィルム1の臭気を低減できる。加えて、接着層用組成物は、VOCを含まないことから、包装体を製造する際の環境負荷を低減できる。
(ベースポリマー)
ベースポリマーは、第一の接着層30を構成するポリマーである。
ベースポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)及びアイオノマーから選択される1種以上の樹脂が挙げられる。
ポリエチレンとしては、上述したHDPE、MDPEのほか、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。
ポリプロピレンとしては、上述したOPP、CPP等が挙げられる。
アイオノマーは、金属イオンによる凝集力を利用し、高分子を凝集体とした合成樹脂である。アイオノマーとしては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸をエチレン等と組合せたエチレン系アイオノマーのほか、ウレタン系アイオノマー、スチレン系アイオノマー、フッ素系高分子を用いたアイオノマー等が挙げられる。
アイオノマーに用いられる金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
アイオノマーの市販品としては、例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製のSURLYN(登録商標)アイオノマー等が挙げられる。
ベースポリマーとしては、バリア材20との接着性に優れることから、LDPE、EEAが好ましい。また、シーラント材として利用できることから、ベースポリマーとしては、LDPE、PPが好ましい。
これらのベースポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ベースポリマーの含有量は、接着層用組成物の総質量に対して50質量%以上であり、50~99質量%が好ましく、75~98質量%がより好ましく、85~95質量%がさらに好ましい。ベースポリマーの含有量が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1を包装体としたときの耐衝撃性をより高められる。ベースポリマーの含有量が上記上限値以下であると、バリア材20との接着性をより高められる。
(エポキシ成分)
エポキシ成分は、エポキシ基を有する化合物である。本実施形態の接着層用組成物は、エポキシ成分を含むことで、バリア材20との接着性をより高められる。
エポキシ成分としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの共重合体、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの共重合体等のエポキシ樹脂プレポリマーが挙げられる。
エポキシ成分としては、第一の接着層30の脆性を改善できることから、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの共重合体が好ましい。
エポキシ成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ成分は、硬化剤の存在下で加熱することにより、開環して重合し、硬化が促進する。エポキシ成分の開環温度は、80℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。エポキシ成分の開環温度が上記下限値以上であると、低温(例えば、60℃以下)で開環反応が進行することを抑制でき、バリア材20との接着性をより高められる。エポキシ成分の開環温度の上限値は、特に限定されないが、例えば、350℃とされる。
エポキシ成分の開環温度は、加熱処理の際の加熱温度に準ずる。
エポキシ成分の含有量は、接着層用組成物の総質量に対して0.1質量%超30質量%以下であり、1~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。エポキシ成分の含有量が上記下限値以上であると、バリア材20との接着性をより高められる。エポキシ成分の含有量が上記上限値以下であると、第一の接着層30の脆性を改善でき、包装体用フィルム1を包装体としたときの耐衝撃性をより高められる。
(硬化剤)
硬化剤は、接着層用組成物の硬化を促進する化合物である。本実施形態の接着層用組成物は、硬化剤を含むことで、接着層用組成物の硬化を促進し、硬化物となる。本実施形態の第一の接着層30は、エポキシ成分の開環重合による硬化物であるため、例えば、50℃程度の環境下でも溶融せず、接着性と耐熱性に優れる。
硬化剤としては、例えば、酸無水物、ポリアミン等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば、カルボン酸無水物、硫酸の無水物、硝酸の無水物、リン酸の無水物等が挙げられる。
カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水酢酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水安息香酸等が挙げられる。
ポリアミンとしては、例えば、プトレシン、スペルミジン、スペルミン等が挙げられる。
硬化剤としては、エポキシ成分の硬化をより促進できることから、酸無水物が好ましく、カルボン酸無水物がより好ましく、無水マレイン酸、無水フタル酸がさらに好ましい。
硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤の含有量は、接着層用組成物の総質量に対して0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。硬化剤の含有量が上記下限値以上であると、バリア材20との接着性をより高められる。硬化剤の含有量が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1を包装体としたときの耐衝撃性をより高められる。
本実施形態の接着層用組成物は、硬化剤を含有することで、ベースポリマーが変性ポリマーとなっていてもよい。
変性ポリマーとしては、例えば、酸無水物変性ポリエチレン、酸無水物変性ポリプロピレン等の酸無水物変性ポリオレフィン、酸無水物変性EVA、酸無水物変性EEA、酸無水物変性EAA、酸無水物変性ポリアクリロニトリル、酸無水物変性アイオノマー等が挙げられる。
ポリアミンとエポキシ成分との反応物としては、例えば、ポリアミンのエポキシ付加物、マンニッヒ反応物、ミカエル反応物、チオ尿素反応物等が挙げられる。
本実施形態の接着層用組成物は、ベースポリマー、エポキシ成分及び硬化剤以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、硬化助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤等、樹脂組成物に通常用いられる各種添加剤等が挙げられる。
硬化助剤としては、例えば、フェノール類等が挙げられる。
接着層用組成物が他の成分を含む場合、他の成分の含有量は、例えば、接着層用組成物の総質量に対して5質量%以下が好ましい。
また、接着層用組成物は、包装体用フィルム1の臭気を低減できること、包装体を製造する際の環境負荷を低減できることから、溶剤を含まないことが好ましい。溶剤としては、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン等の有機溶剤が挙げられる。
溶剤の含有量は、例えば、包装体用フィルム1の面積1m当たり、5mg/m以下が好ましく、1mg/m以下がより好ましく、0mg/mが最も好ましい。
第一の接着層30のメルトフローレイト(MFR)は、0.5~50g/10minが好ましく、1~30g/10minがより好ましく、5~20g/10minがさらに好ましい。第一の接着層30のMFRが上記下限値以上であると、バリア材20との接着性をより高められる。第一の接着層30のMFRが上記上限値以下であると、包装体用フィルム1を包装体としたときの耐衝撃性をより高められる。加えて、第一の接着層30のMFRが上記上限値以下であると、第一の接着層30が層間からはみ出すことを抑制でき、包装体用フィルム1の外観を良好にできる。
第一の接着層30のMFRは、JIS K7210-1:2014(ISO 1133-1:2011)「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に記載の方法に準拠して求められる。ベースポリマーがPEの場合、試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で測定される。ベースポリマーがPPの場合、試験温度230℃、試験荷重2.16kgの条件で測定される。ベースポリマーがEEAの場合、試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で測定される。ベースポリマーがポリイソシアネートの場合、試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で測定される。
第一の接着層30は、赤外吸収分光法(IR)による波数910cm-1における吸収ピークの存在が認められることが好ましい。ここで、IRによる波数910cm-1における吸収ピークは、エポキシ基に由来する吸収ピークである。
IRによる波数910cm-1における吸収ピークの存在は、硬化反応において余った後の余剰のエポキシ成分の存在を示している。すなわち、エポキシ成分が加熱により開環し、硬化剤との硬化反応が充分に進行し、バリア材20との接着を強固にできることを意味する。
一方、IRによる波数910cm-1における吸収ピークの存在が認められない場合、エポキシ成分は、硬化剤と反応する前に消費され、充分な硬化反応がなされず、強固な接着強度が得られないことを意味する。
第一の接着層30の厚さT30は、例えば、1~10μmが好ましく、2~8μmがより好ましく、2~4μmがさらに好ましい。第一の接着層30の厚さT30が上記下限値以上であると、バリア材20との接着性をより高められる。第一の接着層30の厚さT30が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1を包装体としたときの耐衝撃性をより高められる。
第一の接着層30の厚さT30は、包装体用フィルム1の厚さ方向の断面を顕微鏡等で観察することにより求められる。
<第二の接着層>
第二の接着層32は、接着層用組成物の硬化物である。
包装体用フィルム1が第二の接着層32を有することで、バリア材20とシーラント材40とを充分に接着でき、包装体用フィルム1を包装体としたときの耐衝撃性をより高められる。
第二の接着層32における接着層用組成物の組成は、第一の接着層30における接着層用組成物の組成と同様である。
第二の接着層32のMFRは、第一の接着層30のMFRと同様である。
第二の接着層32のMFRは、第一の接着層30のMFRと同じであってもよく、異なっていてもよい。
第二の接着層32の厚さT32は、第一の接着層30の厚さT30と同様である。
第二の接着層32の厚さT32は、第一の接着層30の厚さT30と同じであってもよく、異なっていてもよい。
<シーラント材>
シーラント材40は、包装体用フィルム1を製袋する際のシール性を高め、包装体用フィルム1を包装体としたときの耐衝撃性をより高めるための材料である。
シーラント材40としては、上述した接着層用組成物におけるベースポリマーと同様の樹脂が挙げられる。
シーラント材40としては、バリア材20との接着性に優れることから、LDPE、EEAが好ましい。また、シール性をより高められることから、シーラント材40としては、LDPE、PPが好ましい。
シーラント材40の厚さT40は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5~100μmが好ましく、5~90μmがより好ましく、10~80μmがさらに好ましく、10~50μmが特に好ましい。シーラント材40の厚さT40が上記下限値以上であると、包装体用フィルム1のシール性をより高められる。シーラント材40の厚さT40が上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
シーラント材40の厚さT40は、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
≪包装体用フィルムの製造方法≫
包装体用フィルム1の製造方法は、基材10を得る工程(基材製造工程)と、シーラント材40を得る工程(シーラント材製造工程)と、基材10とバリア材20とシーラント材40とを接着層を介して積層して積層体を得る工程(積層体製造工程)と、上記積層体に加熱処理を施す工程(加熱処理工程)とを有する。
<基材製造工程>
基材製造工程で基材10を得る方法は、基材10の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
<シーラント材製造工程>
シーラント材製造工程でシーラント材40を得る方法は、シーラント材40の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
<積層体製造工程>
積層体製造工程では、基材10とバリア材20とシーラント材40との積層体が製造される。積層体製造工程で基材10とバリア材20とシーラント材40とを積層する方法は、例えば、ドライラミネート法等の従来公知の方法から選択される。
ドライラミネート法では、例えば、積層しようとするバリア材20の表面に接着層用組成物を塗布し、基材10とバリア材20とを接着層用組成物を介して積層し、シーラント材40に接着層用組成物を塗布し、バリア材20とシーラント材40とを接着層用組成物を介して積層し、各層を圧着することで積層体が得られる。得られた積層体は、例えば、ロール状に巻き取られる。
<加熱処理工程>
上記のようにして積層体を製造した後、加熱処理工程では、積層体に加熱処理を施す。積層体に加熱処理を施すことで、接着層用組成物の硬化が充分に促進され、基材10とバリア材20との接着性及びバリア材20とシーラント材40との接着性をより高められる。加えて、積層体に加熱処理を施すことで、接着層用組成物に含まれるエポキシ成分の開環重合が充分に促進され、接着性及び耐熱性に優れる第一の接着層30並びに第二の接着層32が得られる。
加熱処理の温度は、例えば、80℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。加熱処理の温度が上記下限値以上であると、接着層用組成物に含まれるエポキシ成分の開環反応が進行し、接着層用組成物の硬化が充分に促進され、基材10とバリア材20との接着性及びバリア材20とシーラント材40との接着性をより高められる。加熱処理の温度の上限値は、積層体を構成する各層が熱により損傷を受けることを抑制する観点から決定され、例えば、350℃以下とされる。
加熱処理の時間は、例えば、3~60秒間が好ましく、3~30秒間がより好ましく、5~15秒間がさらに好ましい。加熱処理の時間が上記下限値以上であると、接着層用組成物の硬化が充分に促進され、基材10とバリア材20との接着性及びバリア材20とシーラント材40との接着性をより高められる。加熱処理の時間が上記上限値以下であると、積層体を構成する各層が熱により損傷を受けることを抑制でき、包装体用フィルム1の酸素バリア性及び水蒸気バリア性の低下をより抑制できる。
積層体の加熱処理は、包装体用フィルム1の製造ラインに設けられた温風吹付装置等で行うことができる。
積層体に加熱処理を施すことで、接着層用組成物の硬化が充分に促進され、基材10とバリア材20との間に第一の接着層30が形成され、バリア材20とシーラント材40との間に第二の接着層32が形成された、包装体用フィルム1が得られる。
包装体用フィルムの製造方法は、上述した工程のほか、包装体用フィルムに所定の外観を付与することを目的として、基材10に印刷層(不図示)を設ける印刷工程を有していてもよい。
印刷工程は、特に限定されず、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等、各種の印刷方式を採用できる。
≪包装体≫
本実施形態の包装体は、本実施形態の包装体用フィルム1が製袋されたものである。包装体としては、例えば、包装体用フィルム1のシーラント材40同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。
包装体の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンド袋、これらのチャック付き袋等が挙げられる。
また、例えば、包装体としては、開口部を有する容器本体と、包装体用フィルム1からなる蓋体とを備え、容器本体の開口部周縁にシーラント材40を当接し、上記包装体用フィルム1を容器本体にヒートシールした容器が挙げられる。この場合の容器本体の材質としては、容易にリサイクルできる観点から、ポリプロピレンが好ましい。
以上説明したとおり、本実施形態の包装体用フィルム1は、バリア材20を備えるため、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる。
本実施形態の接着層用組成物は、有機溶剤を含有しない。このため、臭気を低減でき、包装体を製造する際の環境負荷を低減できる。
第一の接着層30を形成する接着層用組成物は、特定量のベースポリマーとエポキシ成分と硬化剤とを含む。このため、第一の接着層30の脆性は改善され、包装体用フィルム1は、充分な強度を有する。加えて、第一の接着層30は、耐熱性に優れる。
包装体用フィルム1は、第一の接着層30を備えるため、バリア材20との接着性をより高められる。
第二の接着層32を形成する接着層用組成物は、特定量のベースポリマーとエポキシ成分と硬化剤とを含む。このため、第二の接着層32の脆性は改善され、包装体用フィルム1は、充分な強度を有する。加えて、第二の接着層32は、耐熱性に優れる。
包装体用フィルム1は、第二の接着層32を備えるため、バリア材20とシーラント材40との接着性をより高められる。
包装体用フィルム1は、第一の接着層30及び第二の接着層32を備えるため、包装体用フィルム1を製袋した包装体は、耐衝撃性に優れる。
本実施形態の包装体用フィルム1は、乾燥工程が不要で、既存の加工設備による製造が可能である。このため、安定して生産でき、乾燥炉等の新たな設備投資が不要であり、経済性に優れる。
[第二実施形態]
≪包装体用フィルム≫
本発明の第二実施形態に係る包装体用フィルムについて、図面を参照して説明する。
図2の包装体用フィルム2は、バリア材22に接着層34が積層されたものである。すなわち、包装体用フィルム2は、バリア材22と、バリア材22の一方の面に位置する接着層34とを備える。接着層34は、第一実施形態と同様、接着層用組成物の硬化物である。
本実施形態において、第一実施形態と異なる点は、バリア材22が基材を兼ねている点である。
包装体用フィルム2の厚さTは、特に限定されないが、例えば、35~200μmが好ましく、40~150μmがより好ましく、50~100μmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、包装体用フィルム2の強度が高められる。厚さTが上記上限値以下であると、包装体用フィルム2の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
包装体用フィルム2の厚さTは、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
包装体用フィルム2の酸素透過度、水蒸気透過度及び残留溶媒量は、包装体用フィルム1と同様である。
バリア材22は、第一実施形態における基材10とバリア材20とを兼ねる材料である。
バリア材22としては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、セロファン、及びこれらの積層体等、基材10と同様の樹脂製フィルムに、アルミニウムやシリカ等が蒸着された蒸着フィルムが挙げられる。
これらの蒸着フィルムの中でも、酸素バリア性及び水蒸気バリア性により優れることから、PETに金属が蒸着された金属蒸着PETが好ましく、PETにアルミニウムが蒸着されたアルミニウム蒸着PET(アルミ蒸着PET)がより好ましい。
包装体用フィルム2は、バリア材22を備えることで、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる。
バリア材22の厚さT22は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5~100μmが好ましく、10~50μmがより好ましい。バリア材22の厚さT22が上記下限値以上であると、包装体用フィルム2の強度が高められる。加えて、バリア材22の厚さT22が上記下限値以上であると、包装体用フィルム2の水蒸気バリア性を高められる。バリア材22の厚さT22が上記上限値以下であると、包装体用フィルム2の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
バリア材22の厚さT22は、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
接着層34は、接着層用組成物の硬化物である。
接着層34における接着層用組成物の組成は、第一の接着層30における接着層用組成物の組成と同様である。
接着層34のMFRは、第一の接着層30のMFRと同様である。
接着層34のMFRは、第一の接着層30のMFRと同じであってもよく、異なっていてもよい。
包装体用フィルム2を容易に製袋できることから、接着層34は、シーラント材としての機能を有することが好ましい。
このため、接着層34を形成する接着層用組成物に含まれるベースポリマーとしては、LDPE、PPが好ましい。
これらのベースポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着層34の厚さT34は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5~100μmが好ましく、5~80μmがより好ましく、10~50μmがさらに好ましい。接着層34の厚さT34が上記下限値以上であると、包装体用フィルム2のシール性をより高められる。接着層34の厚さT34が上記上限値以下であると、包装体用フィルム2の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
接着層34の厚さT34は、包装体用フィルム2の厚さ方向の断面を顕微鏡等で観察することにより求められる。
≪包装体用フィルムの製造方法≫
包装体用フィルム2の製造方法は、バリア材22を得る工程(バリア材製造工程)と、バリア材22に接着層用組成物を積層して積層体を得る工程(積層体製造工程)と、上記積層体に加熱処理を施す工程(加熱処理工程)とを有する。
バリア材製造工程では、まず、バリア材22の基層となる樹脂フィルムを製造する。樹脂フィルムを得る方法は、基材10を得る方法と同様である。
次に、樹脂フィルムの片面に蒸着層を設ける。樹脂フィルムに蒸着層を設ける方法は、特に限定されず、従来公知の真空蒸着法を適用できる(蒸着操作)。
蒸着操作において、蒸着チャンバー内の真空度は、例えば、0.1~0.5Paが好ましい。
蒸着操作において、樹脂フィルムの搬送速度は、例えば、100~400m/分が好ましい。
蒸着操作により、樹脂フィルムの片面に蒸着層が形成された蒸着フィルム(バリア材22)が得られる。
積層体製造工程では、バリア材22の蒸着層の表面に接着層用組成物を塗布することで積層体が得られる。得られた積層体は、例えば、ロール状に巻き取られる。
次に、上記積層体に加熱処理を施す(加熱処理工程)。
加熱処理工程における加熱条件(加熱温度、加熱時間)は、第一実施形態と同様である。
積層体に加熱処理を施すことで、接着層用組成物の硬化が充分に促進され、バリア材22の一方の面に接着層34が形成された、包装体用フィルム2が得られる。
包装体用フィルムの製造方法は、上述した工程のほか、包装体用フィルムに所定の外観を付与することを目的として、バリア材22に印刷層(不図示)を設ける印刷工程を有していてもよい。
印刷工程は、特に限定されず、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等、各種の印刷方式を採用できる。
≪包装体≫
本実施形態の包装体は、本実施形態の包装体用フィルム2が製袋されたものである。包装体としては、例えば、包装体用フィルム2の接着層34同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。
包装体の形態としては、第一実施形態の包装体と同様の包装体が挙げられる。
また、例えば、包装体としては、開口部を有する容器本体と、包装体用フィルム2からなる蓋体とを備え、容器本体の開口部周縁に接着層34を当接し、上記包装体用フィルム2を容器本体にヒートシールした容器が挙げられる。この場合の容器本体の材質としては、容易にリサイクルできる観点から、ポリプロピレンが好ましい。
以上説明したとおり、本実施形態の包装体用フィルム2は、バリア材22を備えるため、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる。
本実施形態の接着層用組成物は、有機溶剤を含有しない。このため、臭気を低減でき、包装体を製造する際の環境負荷を低減できる。
接着層34を形成する接着層用組成物は、特定量のベースポリマーとエポキシ成分と硬化剤とを含む。このため、接着層34の脆性は改善され、包装体用フィルム2は、充分な強度を有する。加えて、接着層34は、耐熱性に優れる。
包装体用フィルム2は、接着層34を備えるため、バリア材22との接着性をより高められる。
包装体用フィルム2は、接着層34を備えるため、包装体用フィルム2を製袋した包装体は、耐衝撃性に優れる。
包装体用フィルム2は、乾燥工程が不要で、既存の加工設備による製造が可能である。このため、安定して生産でき、乾燥炉等の新たな設備投資が不要であり、経済性に優れる。
包装体用フィルム2は、包装体用フィルム1よりも簡易な構造を有する。このため、包装体用フィルム1よりも製造しやすく、生産性に優れる。
[その他の実施形態]
上述の実施形態では、基材10は単層であるが、本発明はこれに限定されず、基材10は、二つ以上の層からなる複層であってもよい。
上述の実施形態では、基材10は単層であるが、本発明はこれに限定されず、基材10の片面に印刷層が形成されていてもよい。基材10の片面に印刷層が形成されることで、包装体用フィルムに所定の外観を付与でき、外観を美麗にできる。
上述の実施形態では、シーラント材40を備えるが、本発明はこれに限定されず、第二の接着層32がシーラント材を兼ねる構成であってもよい。
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した材料、試験条件は下記のとおりである。
[使用材料]
<基材>
・PET:二軸延伸PET、ルミラー(登録商標)、東レフィルム加工株式会社製、厚さ12μm。
・Ny:二軸延伸ナイロン(ONY)、ハーデン(登録商標)、東洋紡株式会社製、厚さ15μm。
<バリア材>
・Al:アルミニウム箔、株式会社UACJ製、厚さ7μm。
・蒸着PET:VM-PET(商品名)、東レフィルム加工株式会社製、厚さ12μm。
<接着層用組成物>
(ベースポリマー)
・LDPE:低密度ポリエチレン、商品名「スミカセン(登録商標)」、住友化学株式会社製。
・PP:ポリプロピレン、商品名「ノバテック(登録商標)PP」、日本ポリプロ株式会社製。
・EEA:エチレン-アクリル酸エチル共重合体、商品名「レクスパール(登録商標)EEA」、三菱ケミカル株式会社製。
・ポリイソシアネート:ウレタンプレポリマー、商品名「タケラック(登録商標)E」、三井化学株式会社製。
(エポキシ成分)
・エポキシ樹脂プレポリマー:ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの共重合体、商品名「jER(登録商標)」、三菱ケミカル株式会社製。
(硬化剤)
・マレイン酸変性:無水マレイン酸変性ポリオレフィン、商品名「モディック(登録商標)PE」、三菱ケミカル株式会社製。
・フタル酸変性:無水フタル酸変性ポリオレフィン、商品名「エポキシ樹脂硬化剤」、昭和電工マテリアルズ株式会社製。
・ポリアミン:マンニッヒタイプ、商品名「LUCKAMIDE(登録商標)」、DIC株式会社製。
<シーラント材>
・LDPE:低密度ポリエチレンフィルム、商品名「V-1」、タマポリ株式会社製、厚さ30μm。
・LDPE:低密度ポリエチレンフィルム、商品名「V-1」、タマポリ株式会社製、厚さ40μm。
・PP:無延伸ポリプロピレンフィルム、パイレン(登録商標)フィルム-CT(商品名)、東洋紡株式会社製、厚さ30μm。
[実施例1~7、比較例1~6]
表1に示すバリア材に、表1に示す組成を有する接着層用組成物を塗布して、表1に示す基材と、シーラント材とを積層して積層体を得た。この積層体に表2に示す熱処理条件の加熱処理を施して(加熱処理工程)、実施例1~9、比較例1~6の構成に従った包装体用フィルムを製造した。ただし、比較例2、3では、加熱処理を施さなかった。実施例2、9では、接着層がシーラント材の機能を兼ねる。実施例9では、蒸着PETが、基材の機能を兼ねる。表中、積層体構成の「AD」は、接着層用組成物の硬化物である、「接着層」を示す。ただし、比較例6の「AD」は、接着層用組成物が充分に硬化していない層であった。表中、積層体構成の「PE」は、低密度ポリエチレン(LDPE)の層であることを示す。表中、積層体構成の「*PET」は、蒸着PETであることを示す。表中、「マレイン酸変性」は、無水マレイン酸で変性されたベースポリマーの変性ポリマーを表1に記載された含有量で含むことを示す。表中、「フタル酸変性」は、無水フタル酸で変性されたベースポリマーの変性ポリマーを表1に記載された含有量で含むことを示す。表中、接着層用組成物の組成の「-」は、その成分が含まれていないことを示す。
[評価方法]
<硬化の程度>
各例で得られた包装体用フィルムから接着層(第一の接着層)を剥ぎ取り、赤外分光光度計(株式会社島津製作所製、型番「IRAffinity-1S」)を用いて、IR測定を行った。得られたスペクトルデータから、エポキシ基に由来する波数910cm-1におけるIR吸収ピークのピーク高さh1を測定した。各例の接着層用組成物のIR測定を同様に行い、得られたスペクトルデータから、エポキシ基に由来する波数910cm-1におけるIR吸収ピークのピーク高さh2を測定した。波数910cm-1におけるIR吸収ピークのピーク高さの比(h1/h2)を算出し、比h1/h2が0.4未満であれば、接着層が充分に硬化しているものと判断して、硬化の程度を「◎」とした。比h1/h2が0.4以上であれば、接着層が充分に硬化していないものと判断して、硬化の程度を「×」とした。結果を表2に示す。なお、表中「-」は、波数910cm-1におけるIR吸収ピークの存在が確認できず、比h1/h2を算出できなかったことを示す。
<残留溶媒量>
各例で得られた包装体用フィルムについて、残留溶媒量を、キャピラリーガスクロマトグラフ装置を用いて測定した。いずれのサンプルも、残留溶媒量が0mg/mであった。結果を表2に示す。
<接着層のMFR>
各例の接着層用組成物を用いて、接着層のMFRを測定した。接着層のMFRは、JIS K7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に記載の方法に準拠し、測定した。ベースポリマーがPEの場合、試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で測定した。ベースポリマーがPPの場合、試験温度230℃、試験荷重2.16kgの条件で測定した。ベースポリマーがEEAの場合、試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で測定した。ベースポリマーがポリイソシアネートの場合、試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で測定した。結果を表2に示す。
<IR吸収ピーク>
各例で得られた包装体用フィルムから接着層(第一の接着層)を剥ぎ取り、赤外分光光度計(株式会社島津製作所製、型番「IRAffinity-1S」)を用いて、IR測定を行った。得られたスペクトルデータから、エポキシ基に由来する波数910cm-1におけるIR吸収ピークの存在の有無を確認した。結果を表2に示す。
<接着強度>
各例で得られた包装体用フィルムについて、JIS Z0238の「袋のヒートシール強さ試験」に準拠し、下記条件により接着強度を測定した。表中の接着強度は、5つの試験片の測定結果の平均値である。下記評価基準に基づいて、接着性を評価した。結果を表2に示す。表中、(a:b:c)とあるのは、包装体用フィルムにおいて、破壊又は剥離が生じた位置を示す。「a」は、基材とバリア材との間で破壊又は剥離が生じたことを示す。「b」は、バリア材とシーラント材との間で破壊又は剥離が生じたことを示す。「c」は、シーラント材が破壊したことを示す。ただし、実施例9においては、(b:c)を意味する。表中「DB」とあるのは、荷重が25N/15mmに到達しても、包装体用フィルムが破壊又は剥離しなかったことを示す。表中の数値は、破壊又は剥離時の荷重を示し、「0」は、引張直後に当該位置で剥離が生じたことを示す。
《測定条件》
試験片:15mm幅。
測定環境:23℃、50%RH。
測定機器:ストログラフE-L(東洋精機製作所株式会社製)。
つかみ間隔:50mm。
引張速度:300mm/min。
《評価基準》
◎:全ての位置で「DB」だった。
△:バリア材とシーラント材との間で破壊又は剥離が生じ、他の位置は「DB」だった。
×:いずれかの位置に「0」があった。
<酸素透過度>
各例で得られた包装体用フィルムについて、JIS K7126-2:2006の附属書Aに記載の電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法に準じて酸素透過度を測定し、下記評価基準に基づいて酸素バリア性を評価した。結果を表2に示す。
《評価基準》
◎:酸素透過度1.0mL/(m・day)未満。
○:酸素透過度1.0mL/(m・day)以上2.0mL/(m・day)未満。
△:酸素透過度2.0mL/(m・day)以上4.0mL/(m・day)未満。
×:酸素透過度4.0mL/(m・day)以上。
<水蒸気透過度>
各例で得られた包装体用フィルムについて、JIS K7129:2008の感湿センサ法に記載の試験方法に準じ、表A.1に記載の試験条件1にて水蒸気透過度を測定し、下記評価基準に基づいて水蒸気バリア性を評価した。結果を表2に示す。
《評価基準》
◎:水蒸気透過度1.0g/(m・day)未満。
○:水蒸気透過度1.0g/(m・day)以上2.0g/(m・day)未満。
△:水蒸気透過度2.0g/(m・day)以上4.0g/(m・day)未満。
×:水蒸気透過度4.0g/(m・day)以上。
<衝撃強度>
各例で得られた包装体用フィルムを用い、130mm×170mmの平袋を作製した。この際、包装体用フィルムのMD方向が平袋の長手方向に、包装体用フィルムのTD方向が平袋の短手方向になるようにして平袋を作製した。この平袋に180gの水を入れ、開口部をヒートシール(シール温度:180℃、シール時間:1秒、シール圧:3.5kg/cm、シール幅:10mm)によって封止したものを評価用サンプルとした。この評価用サンプルの衝撃強度(耐衝撃性)を落下試験により評価した。落下試験は、JIS Z0200-8.5.5.2に準拠して行われた。試験条件は以下のとおりとした。
コンクリート面に対して、120cmの高さから垂直に配置した評価用サンプルを落下させる。この操作を3回繰り返す。10個の評価用サンプルのうち、内容物の漏洩が観察されたサンプル数をカウントし、以下の評価基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:漏洩が観察されたサンプル数が0個。
○:漏洩が観察されたサンプル数が2個以下。
×:漏洩が観察されたサンプル数が3個以上。
<外観>
各例で得られた包装体用フィルムを20cm×20cmの正方形に切り出し、2つ折りにし、この操作を5回繰り返して、包装体用フィルムの外観を目視で確認した。層間から接着層用組成物のはみ出しが見られていなければ「◎」、層間から接着層用組成物のはみ出しが見られていれば「×」とした。結果を表2に示す。
<総合評価>
上記硬化の程度、接着性の評価、酸素バリア性の評価、水蒸気バリア性の評価、耐衝撃性の評価及び外観の評価結果に基づき、各例の包装体用フィルムを下記評価基準に従って総合評価した。結果を表2に示す。総合評価が「◎」又は「○」のものを合格とした。
《評価基準》
◎:全ての評価結果が「◎」。
○:評価結果に「○」が1つ以上あり、かつ、評価結果に「×」がない。
×:いずれかの評価結果に「×」がある。
Figure 2023028457000002
Figure 2023028457000003
表2に示すように、本発明を適用した実施例1~9の包装体用フィルムは、総合評価が「◎」又は「○」で、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れ、バリア材と基材との接着性に優れ、耐衝撃性の高い包装体を形成できることが確認できた。
これに対して、接着層用組成物のベースポリマーの含有量が本発明の範囲外である比較例1は、耐衝撃性の評価が「×」だった。接着層用組成物にエポキシ成分及び硬化剤を含有しない比較例2、3は、波数910cm-1におけるIR吸収ピークが存在せず、耐衝撃性及び外観の評価が「×」だった。接着層用組成物の硬化剤の含有量が本発明の範囲外である比較例4は、接着性及び耐衝撃性の評価が「×」だった。接着層用組成物のエポキシ成分の含有量が本発明の範囲外である比較例5は、波数910cm-1におけるIR吸収ピークが存在せず、接着性及び耐衝撃性の評価が「×」だった。接着層の硬化が不充分な比較例6は、硬化の程度、接着性及び耐衝撃性の評価が「×」だった。
以上の結果から、本発明を適用することで、無溶剤で製造可能であり、バリア材と基材との接着性に優れ、耐衝撃性の高い包装体を形成できることが確認できた。
1、2 包装体用フィルム
10 基材
20、22 バリア材
30 接着層(第一の接着層)
32 接着層(第二の接着層)
34 接着層
40 シーラント材

Claims (8)

  1. バリア材と、前記バリア材の少なくとも一方の面に位置する接着層と、を備え、
    前記接着層は、接着層用組成物の硬化物であり、
    前記接着層用組成物は、ベースポリマーと、エポキシ成分と、硬化剤とを含み、
    前記ベースポリマーの含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して50質量%以上であり、
    前記エポキシ成分の含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して0.1質量%超30質量%以下であり、
    前記硬化剤の含有量は、前記接着層用組成物の総質量に対して0.5質量%以上20質量%以下である、包装体用フィルム。
  2. 前記ベースポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリル及びアイオノマーから選択される1種以上の樹脂である、請求項1に記載の包装体用フィルム。
  3. 前記バリア材がアルミ箔又は蒸着フィルムである、請求項1又は2に記載の包装体用フィルム。
  4. 前記エポキシ成分が、80℃以上で開環する化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体用フィルム。
  5. 前記接着層のメルトフローレイトが0.5~50g/10minである、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装体用フィルム。
  6. 前記硬化剤が酸無水物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の包装体用フィルム。
  7. 前記接着層上にシーラント材をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の包装体用フィルム。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の包装体用フィルムが製袋された包装体。
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