JP2023028395A - 基板洗浄装置、基板洗浄方法及び基板研磨装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な方法により、リンス処理中に粒子が基板に付着するのを抑制する【解決手段】基板を回転させながら洗浄具を基板の表面に摺接させてスクラブ洗浄する基板洗浄装置において、基板の表面に洗浄液を噴射することでスクラブ洗浄後の基板のリンス処理を行う洗浄液供給部を備え、リンス処理における洗浄液の温度は0℃~20℃に設定されている。洗浄液供給部は、基板の中心付近に向けて洗浄液を供給する第1洗浄液供給部と、基板の中心と縁との間の領域に向けてスプレー状に洗浄液を供給する第2洗浄液供給部とを備え、第1洗浄液供給部による洗浄液の第1噴射角度は、第2洗浄液供給部による洗浄液の第2噴射角度よりも小さい。また、リンス処理中の第1期間において第1速度で前記基板を回転させ、第1期間に引き続く第2期間において第1速度よりも早い第2速度で前記基板を回転させる。【選択図】図3
Description
本発明は、研磨後の基板を洗浄する装置及び方法に関するものである。
半導体デバイス形成用の基板の表面を平坦化する方法の一つとして、化学機械研磨(CMP)装置による研磨がある。CMPでは、基板等の研磨対象物の表面を研磨部材に押し当て、研磨部材と研磨対象物との間に研磨液を供給しつつ、研磨部材と研磨対象物とを相対運動させることにより、研磨対象物の表面を平坦に研磨するようにしている。
基板を研磨する研磨装置には、研磨処理後の基板表面を洗浄する基板洗浄装置が備えられている(例えば特許文献1参照)。基板洗浄では、研磨後の基板を回転させるとともに、基板上に薬液を吹き付けつつロールスポンジやペンスポンジ等の洗浄具を基板上で回転させることで、基板洗浄が行われる。洗浄液による基板洗浄後、洗浄具を基板から退避させ、薬液や純水(DIW)を基板に供給することで、基板表面へのリンス処理が行われる。これにより、洗浄処理後に基板上に残留した粒子(例えば、洗浄処理で除去しきれなかった研磨剤の粒子や研磨された基板の粒子)を除去する。
基板洗浄処理にあたっては、粒子が基板に付着するのを抑制するために、基板表面に供給される洗浄液のpHが塩基側に調整されている。しかしながら、基板表面の洗浄液の粘性により、基板表面の近傍における洗浄液の流速は非常に小さくなるため、リンス処理によっても、基板表面の洗浄液中に浮遊する粒子を基板の外部に排出することが困難であった。また、基板へのスクラブ処理後に洗浄具を基板から退避させてリンス処理を行う場合、リンス処理中に、洗浄具から粒子が付着した洗浄液が基板に滴下することがある。それにより、リンス処理中に基板上に付着した粒子が残留し、研磨/洗浄処理後の基板の品質が劣化してしまうおそれがあった。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、簡便な方法により、リンス処理中に粒子が基板に付着するのを抑制することが可能な基板洗浄装置及び方法、並びにかかる洗浄装置を備えた基板研磨装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、基板を回転させながら洗浄具を前記基板の表面に摺接させてスクラブ洗浄する基板洗浄装置であって、前記スクラブ洗浄後に前記洗浄具を前記基板の表面から退避させる洗浄具駆動機構と、前記基板の表面に洗浄液を噴射することで、スクラブ洗浄後の前記基板のリンス処理を行う洗浄液供給部とを備え、前記リンス処理における前記洗浄液の温度は0℃~20℃に設定されていることを特徴とする。
本発明の一態様は、基板を回転させながら洗浄具を前記基板の表面に摺接させてスクラブ洗浄する基板洗浄装置であって、前記基板の表面に洗浄液を噴射することで、スクラブ洗浄後の前記基板のリンス処理を行う洗浄液供給部を備え、前記洗浄液供給部は、前記基板の中心付近に向けて洗浄液を供給する第1洗浄液供給部と、前記基板の中心と縁との間の領域に向けてスプレー状に洗浄液を供給する第2洗浄液供給部とを備え、前記基板の表面に対する前記第1洗浄液供給部による洗浄液の噴射角度を第1噴射角度とし、前記基板の表面に対する前記第2洗浄液供給部による洗浄液の噴射角度を第2噴射角度としたとき、前記第1噴射角度は前記第2噴射角度よりも小さいことを特徴とする。
本発明の一態様は、基板を回転させながら洗浄具を前記基板の表面に摺接させてスクラブ洗浄する基板洗浄装置であって、前記基板の表面に洗浄液を噴射することで、スクラブ洗浄後の前記基板のリンス処理を行う洗浄液供給部と、前記基板を所定速度で回転させる基板回転機構を備え、前記基板回転機構は前記リンス処理中の第1期間において第1速度で前記基板を回転させ、前記第1期間に引き続く第2期間において前記第1速度よりも早い第2速度で前記基板を回転させるよう構成することを特徴とする。
本発明によれば、簡便な方法により、リンス処理中に粒子が基板に付着するのを抑制することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る基板洗浄装置を含む基板処理装置の構成を概略的に示したものであり、基板処理装置10は、ハウジング12、ロードポート14を有している。ロードポート14には、例えば多数の基板Wを収容するオープンカセットが搭載されている。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る基板洗浄装置を含む基板処理装置の構成を概略的に示したものであり、基板処理装置10は、ハウジング12、ロードポート14を有している。ロードポート14には、例えば多数の基板Wを収容するオープンカセットが搭載されている。
ハウジング12の内部には、基板Wの研磨(平坦化)を行うための複数の研磨ユニット16a~16dと、研磨後の基板Wを洗浄する第1洗浄ユニット18及び第2洗浄ユニット20と、洗浄後の基板Wを乾燥させる乾燥ユニット22が収容されている。図1の例では、研磨ユニット16a~16dが基板処理装置10の長手方向に沿って並べられ、洗浄ユニット18,20及び乾燥ユニット22が研磨ユニット16a~16dと並行に並べられている。
ロードポート14と、研磨ユニット16a及び乾燥ユニット22との間には、第1搬送ロボット24が配置されている。第1搬送ロボット24は、研磨前の基板Wをロードポート14から受け取って搬送ユニット24に受け渡し、また、乾燥ユニット22から取り出された乾燥後の基板Wを搬送ユニット24から受け取る。また、研磨ユニット16a~16dと、洗浄ユニット18、20及び乾燥ユニット22との間には、搬送ユニット26が配置されている。
第1洗浄ユニット18と第2洗浄ユニット20との間には、これらの間で基板Wの受け渡しを行う第2搬送ロボット28が配置されている。また、第2洗浄ユニット20と乾燥ユニット22との間には、これらの間で基板Wの受け渡しを行う第3搬送ユニット30が配置されている。
ハウジング12の内部には、基板処理装置10の各機器の動きを制御する制御ユニット32が配置されている。制御ユニット32は、例えば汎用のコンピュータ装置であり、CPU、制御プログラムを記憶するメモリ、入力部、表示部などを備えている。また、制御ユニット32は、外部入力を受け入れる入力部34を備えている。ここで、外部入力には、ユーザによる機械的な操作、並びに有線または無線による外部装置からの信号の入力が含まれ得る。
制御ユニット32は、記憶部(メモリ)36に記憶された制御プログラムを起動させることにより、基板処理装置10の各機器の動きを制御する。基板処理装置10の動作を制御するための制御プログラムは、予め制御ユニット32を構成するコンピュータにインストールされていても良く、あるいは、DVD,BDやSSD等の記憶媒体に記憶されていても良く、さらには、インターネットを介して制御ユニット32にインストールするようにしても良い。
本実施形態の洗浄ユニット18、20は、後述の洗浄具を自転させながら基板Wの表面に接触させることにより基板Wを洗浄するとともに、洗浄処理後に洗浄液を供給してリンス処理を行う。また、洗浄ユニット18、20は、洗浄具と合わせて、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用してもよい。
乾燥ユニット22は、一例として、回転する基板Wに向けて、図示しないノズルからIPA蒸気を噴出することにより基板Wを乾燥させる。あるいは、基板Wを高速で回転させて遠心力によって基板Wを乾燥させてもよい。
図2及び図3は、本実施形態に係る基板洗浄装置40の概略構成を示したものであり、図4は基板洗浄装置の機能ブロック図である。基板洗浄装置40(図1の基板洗浄ユニット18、20の各々に相当)は、基板Wを回転させる基板ローラ50を駆動する基板ローラ駆動機構42と、基板のブラッシングを行うためのロールスポンジ52、53を駆動するスポンジ駆動機構44と、洗浄液としての純水(DIW)を供給する純水供給ユニット46と、洗浄液としての薬液を供給する薬液供給ユニット48を備えている。
洗浄液としては、例えば、対象となる基板表面の膜種に応じて、純水(DIW)等のリンス液、アルカリ系溶液(アンモニア水、アンモニア過酸化水素(SC1))、界面活性剤、キレート剤等の薬液、あるいはそれらの混合薬液を用いることができる。本実施形態では、洗浄液として、薬液と純水(DIW)を用いている。
基板洗浄装置40は、ほぼ同一水平面上に配置された4つの基板ローラ50と、一対の略円柱形状のロールスポンジ52、53、純水(DIW)供給ノズル54、55と、薬液供給ノズル56、57とを備えている。 なお、2つの基板洗浄装置40のそれぞれは、図示しない隔壁などで隔離されており、基板洗浄処理中に吹き付けられる洗浄液(薬液、純水)が外部に漏れないようにされている。また、この隔壁には、基板Wを基板洗浄装置40へと出し入れするためのシャッター機構を設けることができる。
基板Wの中心の近傍に洗浄液を供給する純水供給ノズル54と薬液供給ノズル56を組み合わせたものを第1洗浄液供給部61と称する。また、基板Wの中心と縁部との間の領域に洗浄液を供給する純水供給ノズル55と薬液供給ノズル57を組み合わせたものを第2洗浄液供給部62と称する。
基板ローラ50の各々は、肩部(支持部)50Aと、肩部50Aの上に設けられた小径の保持部50Bの2段構成とされており、肩部50Aで基板Wの底面を支持しつつ、保持部50Bで基板Wの側面(エッジ部)を保持する。基板ローラ50は基板ローラ駆動機構42に備えられた図示しないエアシリンダによって、互いに近接および離間する方向に移動可能となっている。基板ローラ50が互いに近接することで、保持部50Bにより基板Wをほぼ水平に保持することができる。基板ローラ50のうちの少なくとも1つは、基板ローラ駆動機構42によって回転駆動される構成となっており、これにより基板Wを水平面内で回転させることができる。また、基板ローラ50の回転速度(すなわち基板Wの回転速度)は、制御ユニット32により適宜調整することができる。
ロールスポンジ52,53は水平面内に延びており、基板ローラ50によって保持された基板Wに接触してこれを洗浄する。ロールスポンジ52,53は、スポンジ駆動機構44によって、その長手方向を軸として回転される。また、ロールスポンジ52,53は、その上下方向の動きをガイドするガイドレール58に取り付けられており、スポンジ駆動機構44によりガイドレール58に沿って上下方向に移動することができ、これにより基板Wに接触する位置と、基板Wから退避する位置との間で移動可能とされている。
純水供給ノズル54、55は基板Wの斜め上方に位置し、基板Wの上面に純水を供給する。薬液供給ノズル56、57は基板Wの斜め上方に位置し、基板Wの上面に薬液を供給する。純水供給ノズル54、55及び薬液供給ノズル56、57は、ロールスポンジ52,53の長手方向とほぼ平行に延びる支持部材60によって支持される。純水供給ノズル54、55は、それぞれ別個の純水供給管64,65を介して純水供給ユニット46に接続され、純水が個別に供給される。また、薬液供給ノズル56、57は、それぞれ別個の薬液供給管66,67を介して薬液供給ユニット48に接続され、薬液が個別に供給される。
純水供給ユニット46及び薬液供給ユニット48は、流量調整機能及び温度調節機構を備えており、制御ユニット32によりその動作が制御されている。これにより、純水供給ノズル54、55及び薬液供給ノズル56、57に供給される純水及び薬液の流量及び温度を適宜調整することができる。
基板洗浄装置40による基板Wへの洗浄・リンス処理は、次のように行われる。基板Wの搬入時には、基板ローラ50は互いに離間した位置にある。また、上側のロールスポンジ52は基板Wの搬送位置から上昇した位置に保持されており、下側のロールスポンジ53は基板Wの搬送位置から下降した位置に保持されている。
不図示の搬送ユニットにより搬送されてきた基板Wは、まず基板ローラ50の肩部50Aの上に載置される。その後、ローラ駆動機構42が駆動して、基板ローラ50が互いに近接する方向(基板Wに向かう方向)に移動することにより、基板Wは保持部50Bによってほぼ水平に保持される。
次いで、スポンジ駆動機構44が駆動すると、上側のロールスポンジ52が下降して基板Wの上面に接触するとともに、下側のロールスポンジ53が上昇して基板Wの下面に接触する。これにより、図2に示すように、基板Wの中心を含む領域がロールスポンジ52、53によって挟まれる。なお、ロールスポンジ52,53が基板Wに接触する位置は、図2に示す位置に限られることはなく、基板Wの中心から外れた位置に接触するように構成しても良い。
その後、純水供給ユニット46及び薬液供給ユニット48が駆動して、流量及び温度が調整された純水及び薬液が、純水供給ノズル54、55及び薬液供給ノズル56、57から基板Wに供給される。そして、ローラ駆動機構42及びスポンジ駆動機構44が駆動して、基板ローラ50によって基板Wが設定速度にて水平面内で回転しつつ、ロールスポンジ52,53がその軸心周りに回転しながら基板Wの上下面にそれぞれ接触することによって、基板Wの上下面がスクラブ洗浄される。なお、スクラブ洗浄処理において、薬液供給ノズル56,57からの薬液の供給のみとしてもよい。
スクラブ洗浄後、ロールスポンジ52,53が基板Wの上下面から退避され、純水供給ノズル54、55及び薬液供給ノズル56、57から純水及び薬液を基板Wに供給することで、基板洗浄後のリンス処理が行われる。リンス処理の詳細については後述する。リンス処理後、不図示の搬送ユニットによって基板Wが基板洗浄装置40から搬出される。
図3において、基板Wが上面側から見て時計回りに回転しており、かつ、基板Wの上側のロールスポンジ52が側面から見て時計回りに回転しているものとする。図3の例では、純水供給ノズル54,55の上方に薬液供給ノズル56,57が配置されており、ロールスポンジ52,53が基板Wに接触する領域の近傍に洗浄液(薬液、純水)を供給する。純水供給ノズル54,55及び薬液供給ノズル56,57による洗浄液の供給方向は、ロールスポンジ52,53の長手方向とほぼ直交している。
なお、薬液供給ノズル56,57の上方に純水供給ノズル54,55を設置する構成としても良い。また、薬液供給ノズル56,57により薬液が基板Wに供給される位置と、純水供給ノズル54,55により純水が基板Wに供給される位置は、同じであっても良いし、異なっていても良い。例えば、薬液供給ノズル56,57により薬液が基板Wに吹き付けられる位置を、ロールスポンジ52,53により近づけることにより、スクラブ洗浄をより効果的に行うことができる。
第1洗浄液供給部61は、いわゆるペン型噴射器であり、基板Wの中心付近に向けて、比較的小さな幅方向の角度でロールスポンジ52の長手方向に対してほぼ垂直に洗浄液を供給する。第1洗浄液供給部61からの洗浄液がロールスポンジ52と基板Wとの間を通る際に、基板Wとロールスポンジ52との接触領域が洗浄される。その後、洗浄液はロールスポンジ52の奥に侵入する。基板Wの中心近傍では遠心力がそれほど大きくないため、洗浄液は基板Wの回転に伴ってロールスポンジ52側に戻される(図3の矢印F1参照)。これにより、基板Wの上面における奥側もロールスポンジ52によって洗浄される。
第2洗浄液供給部62は、第1洗浄液供給部61よりも大きな幅方向の角度で、基板Wの中心からやや離れた位置に向けて、ロールスポンジ52の長手方向に対してほぼ垂直に、かつ、基板Wの回転方向と同じ向きに洗浄液をスプレー状に供給する。スプレー状に洗浄液を供給するため、洗浄液の勢いを抑えて基板Wへの負荷を軽減できる。
第2洗浄液供給部62からの洗浄液がロールスポンジ52と基板Wとの間を通る際に、基板Wの中央よりやや外側の部分において、基板Wとロールスポンジ52との接触領域が洗浄される。ここで、第2洗浄液供給部102からの洗浄液が供給される領域では、基板Wの回転方向と、ロールスポンジ52の回転方向と、洗浄液供給部62からの洗浄液の供給方向とが一致する。そのため、これらの相対速度が小さくなり、洗浄液が基板Wおよびロールスポンジ52と接触している時間が長くなり、洗浄力が向上する。
第2洗浄液供給部62からの洗浄液はロールスポンジ52の奥に侵入する。洗浄液の供給方向はロールスポンジ52と垂直であり、かつ、基板Wの回転方向と洗浄液の供給方向とが一致するため、この洗浄液は基板Wの回転によって基板Wの内側に押し戻されることなく、遠心力によって基板Wの外側に飛ばされる(図3の矢印F2参照)。これにより、長時間の洗浄に用いられた後の洗浄液が基板Wに留まるのを抑えることができる。
ここで、基板Wの上面においては、図3に示すように、第1洗浄液供給部61からの供給方向と、第2洗浄液供給部62からの供給方向とが一致するのが望ましい。洗浄液の供給方向が逆であると、第1洗浄液供給部61からの洗浄液と第2洗浄液供給部62からの洗浄液とが衝突した場合に、対流が発生して洗浄液が舞い上がってしまい、空気中の塵などを含んだ洗浄液が基板Wに着地し、基板Wを汚染してしまうおそれが生じるためである。
図5は、基板Wの表面からの距離に対する液体の流速(液流速)の関係の一例(計算値)を示したものであり、基板の回転速度を100rpm、液体(純水)の供給量を1L/minとした場合について示している。基板Wと液体との摩擦及び液体の粘性による影響で、基板Wの近傍(表面からの距離が小さい領域)における液体の流れが非常に小さいことが分かる。
図6は、基板W上の洗浄液の液膜に粒子が付着した場合の、当該粒子の流れを示した説明図である。粒子70が液膜72の上層に止まっている場合には、当該上層での液体の流れは速い(液流速が大きい)ため、基板Wの回転を伴うリンス処理により、粒子が基板Wの外部へ除去されやすくなる。一方、粒子が液膜の下層に到達する場合には、当該下層での液体の流れが遅い(液流速が小さい)ため、粒子は基板Wの外部に除去されにくくなる。
このため、洗浄処理後に基板表面に残留する粒子や、ロールスポンジ(洗浄具)から基板に滴下する(粒子が付着した)洗浄液が、リンス処理中に基板Wの液膜内に残留し、リンス処理後の基板Wの表面に付着する場合がある。そうすると、研磨/洗浄処理後の基板の品質が劣化してしまう。
ここで、スピンリンスプロセスにおける粒子の付着量は、物質移動係数k(基板表面の鉛直方向の粒子の移動量を決める係数)に依存する。物質移動係数kが高いほど、物質が鉛直方向へ移動しやすくなる。すなわち、基板W上の液膜に付着した粒子が基板Wの表面に向かって(鉛直方向に)移動しやすくなる。
物質移動係数kは、次式で定義される。
k=0.332×Sc1/3×Rex 1/2×(D/x)
Sc=μ/D、Rex=ux/ν
ここで、D[m2/s]は拡散係数であり、xは基板Wの半径方向位置、μは粘性係数、uは物質の速度、νは動粘性係数である。
k=0.332×Sc1/3×Rex 1/2×(D/x)
Sc=μ/D、Rex=ux/ν
ここで、D[m2/s]は拡散係数であり、xは基板Wの半径方向位置、μは粘性係数、uは物質の速度、νは動粘性係数である。
図7は、物質移動係数kの温度依存性を示したグラフであり、(a)は物質移動係数kの絶対値(計算値)、(b)は20℃における物質移動係数kを基準としたときの、各温度における物質移動係数の比率を示している。なお、基板Wの回転速度を100rpm、基板Wの半径位置rを100mm、液体供給量を1L/minの計算結果を示している。図7のグラフより、液体の温度が高いほど、物質移動係数kが高くなる(すなわち、液膜の粒子が基板Wに再付着しやすくなる)傾向があることが分かる。
図8は、リンス処理で供給される洗浄液(純水)の温度を変化させた場合の、リンス処理後の基板Wの残留粒子数の比を求めたグラフであり、液温が低くなるほど、残留粒子数が減少していることが分かる。なお、リンス処理で供給される洗浄液の液温としては、基板Wの回転速度を300rpm以下とした場合において、0℃~20℃とすることが好ましく、0℃~15℃とすることが特に好ましい。また、リンス処理での洗浄液の液温を、スクラブ洗浄処理での液温より低く定めることが好ましい。
このため、洗浄処理後のリンス処理において、基板Wに供給する純水の温度を低くすることで、洗浄処理後に液膜に残留する粒子や、ロールスポンジから基板W上の液膜に滴下される洗浄液に含まれる粒子を、リンス処理により効率的に基板Wの外部に排出することができる。これにより、基板W上の液膜内の粒子を除去するために高速に基板Wを回転させたり、時間をかけてリンス処理を行う必要がなくなり、リンス処理に要する時間の短縮化(スループットの向上)を図ることができる。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る基板洗浄装置の概要を示したものであり、第1洗浄液供給部61及び第2洗浄液供給部62の位置関係が異なる以外は、上述の第1の実施形態と構成は同一であるため、詳細な説明は省略する。
図9は、第2の実施形態に係る基板洗浄装置の概要を示したものであり、第1洗浄液供給部61及び第2洗浄液供給部62の位置関係が異なる以外は、上述の第1の実施形態と構成は同一であるため、詳細な説明は省略する。
図9において、ピン型ノズルから構成される第1洗浄液供給部61を構成するノズルによる洗浄液の供給角度(ノズルの中心軸と基板Wとの角度θ1)が、第2洗浄液供給部62を構成するノズルによる洗浄液の供給角度θ2よりも小さくなるように、構成されている。洗浄液の供給角度を小さくすることで、基板Wに達する洗浄液の速度の水平方向の成分が大きくなり、基板Wの回転により回り込まれることなく基板Wの外部に洗浄液が排出されやすくなる。これにより、基板W上の液膜中の粒子を効率よく外部に排出することができる。
図10は、第1洗浄液供給部61の配置を変化させた場合の、残留粒子数比の変化を示したグラフであり、(a)は第1洗浄液供給部61の配置及びリンス処理の条件を、(b)は各条件における残留粒子数比を、それぞれ示している。図10(a)において、条件(1)は、上記第1実施形態と同じ位置に第1洗浄液供給部61を配置したものであり、第2洗浄液供給部とほぼ同じ高さ(ほぼ同じ噴射角度)にて、基板Wの中心に向けて洗浄液を供給する。同図において、粒子液滴下位置は、ロールスポンジから落下する洗浄液の排出を模擬した実験を行うために、粒子液を滴下した位置を示している。
条件(2)は、ピン型ノズルで構成される第1洗浄液供給部61による洗浄液の供給角度を、第2洗浄液供給部62よりも小さくした場合であり(図9参照)、第1洗浄液供給部61からの洗浄液が、基板Wの回転により回り込まれることなく基板Wの外部に洗浄液が排出されやすくなる。本実施形態では、第1洗浄液供給部61による洗浄液の供給角度θ1を15°、第2洗浄液供給部62による洗浄液の供給角度θ2を30°と設定している。
条件(3)は、ピン型ノズルで構成される第1洗浄液供給部61による洗浄液の供給角度を条件(2)と同じ角度と設定しつつ、第1洗浄液供給部61による洗浄液を、粒子液滴下位置に向けて供給している。また、条件(1)~条件(3)において、薬液によるリンス時間を10秒間、その後の純水によるリンス時間を10秒間とし、洗浄液が滴下される時間を5秒間と設定している。また、基板Wの回転速度、洗浄液の流量及び温度、基板Wの半径といった条件については、条件(1)~条件(3)で同条件としている。
図10(b)は、各条件における残留粒子数比を示したものであり、条件(1)に比べると、ピン型ノズルの洗浄液供給部からの洗浄液の供給角度を小さくすることにより、基板W上の粒子が洗浄液により強制的に排出されることで、洗浄液による粒子の除去効果が高くなっていることが分かる。なお、第1洗浄液供給部61による洗浄液の供給角度θ1については、0°~30°の範囲内が好ましく、特に好ましくは5°~10°である。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、リンス処理中に基板Wの回転速度を変化させることで、洗浄液による粒子の除去効果を高めるものである。図11は、基板の半径方向位置に対する洗浄液の膜厚の一例を示したものであり、洗浄液の供給量は1L/minと定めている。また、基板Wの回転速度を50rpm、150rpmとした以外は、同じ条件と定めている。
第3の実施形態では、リンス処理中に基板Wの回転速度を変化させることで、洗浄液による粒子の除去効果を高めるものである。図11は、基板の半径方向位置に対する洗浄液の膜厚の一例を示したものであり、洗浄液の供給量は1L/minと定めている。また、基板Wの回転速度を50rpm、150rpmとした以外は、同じ条件と定めている。
図11のグラフより、基板Wの中心付近は洗浄液が供給される部分に相当しており膜厚が高くなっており、基板Wの外周に向けて洗浄液の膜厚が小さくなっている。また、基板Wの回転速度が低いほど、洗浄液に作用する遠心力が小さくなるため、洗浄液の膜厚が大きくなっていることが分かる。洗浄液の膜厚を大きくすることにより、リンス処理中に付着する粒子が基板Wの表面に移動するのを抑制することができ、粒子の除去効果を高くすることができる。
図12は、基板Wの回転速度の条件を変えたときのリンス処理の例を示したものであり、(a)は基板Wの回転速度に関する条件、(b)は残留粒子数比の結果を示している。条件(1)では、リンス開始から終了(20秒後)まで同一の回転速度(150rpm)とし、条件(2)ではリンス開始から5秒間は低速度(50rpm)で、その後の15秒間は条件(1)と同一速度(150rpm)と定めている。また、条件(1)及び条件(2)において、薬液によるリンス時間を10秒間、その後の純水によるリンス時間を10秒間とし、洗浄液が滴下される時間を5秒間と設定している。また、洗浄液の流量及び温度、基板Wの半径といった条件については、条件(1)及び条件(2)で同条件としている。
図12(b)は、各条件における残留粒子数比を示したものであり、条件(1)に比べると、基板Wの回転速度を低くすることで、基板W上の洗浄液の膜厚が大きくなるため粒子が基板Wに付着することなく、基板Wの周辺部へ移動しやすくなる。その後、基板Wの回転速度を上げることで、遠心力により粒子が基板Wの外部へ排出されやすくなる。これにより、洗浄液による粒子の除去効果が高くなっていることが分かる。
本実施形態では、低速度としての基板Wの回転速度を50rpmとしているが、これに限られることはなく、通常速度(本実施形態では150rpmであるが、100rpm以上とするのが好ましい)よりも低速であれば良く、例えば、30rpm~150rpmとするのが好ましい。また、低速度とする時間についても5秒間に限られることはなく、リンス処理のスループットや洗浄液の流量を考慮して、調整することができる。
本実施形態では、基板Wの回転速度を2段階で変化させているが、本発明はこれに限られることはなく、例えば3段階(50rpm、100rpm、150rpmの順)、又は4段階以上で回転速度を切り替えるようにしてもよい。
(第4の実施形態)
基板洗浄中および基板洗浄後(並びにリンス処理中及びリンス処理後)に、基板Wに付着した液体が移動することがある。これは、固体表面エネルギーが大きい方に液滴が引っ張られて移動するためであり、基板Wの表面は親水性となっており固体表面エネルギーが高いため、液滴が表面に移動しやすくなっている。このため、基板洗浄中に、基板裏面の縁部分から基板表面の縁部分に向けて洗浄液が移動する場合がある。また、基板洗浄後に基板側面に付着した洗浄液が、基板Wの表面に回り込む場合がある。そうすると、洗浄液に由来する粒子が基板Wの表面に付着するおそれがある。
基板洗浄中および基板洗浄後(並びにリンス処理中及びリンス処理後)に、基板Wに付着した液体が移動することがある。これは、固体表面エネルギーが大きい方に液滴が引っ張られて移動するためであり、基板Wの表面は親水性となっており固体表面エネルギーが高いため、液滴が表面に移動しやすくなっている。このため、基板洗浄中に、基板裏面の縁部分から基板表面の縁部分に向けて洗浄液が移動する場合がある。また、基板洗浄後に基板側面に付着した洗浄液が、基板Wの表面に回り込む場合がある。そうすると、洗浄液に由来する粒子が基板Wの表面に付着するおそれがある。
このため、本実施形態では、基板洗浄処理または基板洗浄処理前の段階で、基板Wの側面及び裏面を親水化処理することで、側面及び裏面に付着する洗浄液が基板Wの表面に回り込むことを防止する。親水化処理の方法としては、硫酸と過酸化水素水の混合液、フッ化水素系薬液、イソプロピルアルコール等のアルコール類の液体を側面及び裏面に噴射する、または、基板Wの側面及び裏面にオゾン処理、プラズマ処理を施すことが好ましい。
上記の各実施形態では、洗浄液の液温、ピン型ノズルの洗浄液供給部の配置、基板Wの回転速度を調整することで、洗浄液による粒子の除去効果を高めるようにしている。これらの各方法を複数組み合わせても良く、これにより洗浄液による粒子の除去効果をさらに高めることができる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
10 基板処理装置
32 制御ユニット
40 基板洗浄装置
42 基板ローラ駆動機構
44 スポンジ駆動機構
46 純水供給ユニット
48 薬液供給ユニット
50 基板ローラ
52,53 ロールスポンジ
54,55 純水供給ノズル
56,57 薬液供給ノズル
61 第1洗浄液供給部
62 第2洗浄液供給部
W 基板
32 制御ユニット
40 基板洗浄装置
42 基板ローラ駆動機構
44 スポンジ駆動機構
46 純水供給ユニット
48 薬液供給ユニット
50 基板ローラ
52,53 ロールスポンジ
54,55 純水供給ノズル
56,57 薬液供給ノズル
61 第1洗浄液供給部
62 第2洗浄液供給部
W 基板
Claims (8)
- 基板を回転させながら洗浄具を前記基板の表面に摺接させてスクラブ洗浄する基板洗浄装置において、
前記スクラブ洗浄後に前記洗浄具を前記基板の表面から退避させる洗浄具駆動機構と、
前記基板の表面に洗浄液を噴射することで、スクラブ洗浄後の前記基板のリンス処理を行う洗浄液供給部とを備え、前記リンス処理における前記洗浄液の温度は0℃~20℃に設定されていることを特徴とする、基板洗浄装置。 - 前記洗浄液供給部は、前記スクラブ洗浄時において前記基板に洗浄液を供給するように構成されており、前記リンス処理で供給される前記洗浄液の温度は、前記スクラブ洗浄で供給される前記洗浄液の温度よりも低い、請求項1記載の基板洗浄装置。
- 前記洗浄液供給部は、前記基板の中心付近に向けて洗浄液を供給する第1洗浄液供給部と、前記基板の中心と縁との間の領域に向けてスプレー状に洗浄液を供給する第2洗浄液供給部とを備え、
前記基板の表面に対する前記第1洗浄液供給部による洗浄液の噴射角度を第1噴射角度とし、前記基板の表面に対する前記第2洗浄液供給部による洗浄液の噴射角度を第2噴射角度としたとき、前記第1噴射角度は前記第2噴射角度よりも小さい、請求項1又は2記載の基板洗浄装置。 - 前記第2噴射角度は、5°~10°の範囲内であることを特徴とする、請求項3記載の基板洗浄装置。
- 前記基板を所定速度で回転させる基板回転機構を備え、
前記基板回転機構は前記リンス処理中の第1期間において第1速度で前記基板を回転させ、前記第1期間に引き続く第2期間において前記第1速度よりも早い第2速度で前記基板を回転させるよう構成されている、請求項1ないし4のいずれか記載の基板洗浄装置。 - 前記第1速度は30rpm~150rpmの範囲内である、請求項5記載の基板洗浄装置。
- 基板を回転させながら洗浄具を前記基板の表面に摺接させてスクラブ洗浄するステップと、
前記スクラブ洗浄後に前記洗浄具を前記基板の表面から退避させるステップと、
前記基板の表面に洗浄液を噴射することで、スクラブ洗浄後の前記基板のリンス処理を行うステップとを備え、前記リンス処理における前記洗浄液の温度は0℃~20℃に設定されていることを特徴とする、基板洗浄方法。 - 前記基板に対して研磨処理を行う研磨部と、研磨処理後の前記基板に対して洗浄処理を行う請求項1ないし6のいずれか記載の洗浄装置を備えたことを特徴とする、基板処理装置。
Priority Applications (2)
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JP2021134075A JP2023028395A (ja) | 2021-08-19 | 2021-08-19 | 基板洗浄装置、基板洗浄方法及び基板研磨装置 |
PCT/JP2022/031289 WO2023022210A1 (ja) | 2021-08-19 | 2022-08-19 | 基板洗浄装置、基板洗浄方法及び基板研磨装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021134075A JP2023028395A (ja) | 2021-08-19 | 2021-08-19 | 基板洗浄装置、基板洗浄方法及び基板研磨装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023028395A true JP2023028395A (ja) | 2023-03-03 |
Family
ID=85240594
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021134075A Pending JP2023028395A (ja) | 2021-08-19 | 2021-08-19 | 基板洗浄装置、基板洗浄方法及び基板研磨装置 |
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WO (1) | WO2023022210A1 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2002203830A (ja) * | 2000-10-20 | 2002-07-19 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 基板処理方法および基板処理装置 |
JP5522903B2 (ja) * | 2008-04-16 | 2014-06-18 | 株式会社Sokudo | 基板乾燥装置およびそれを備えた基板処理装置 |
JP6600470B2 (ja) * | 2014-04-01 | 2019-10-30 | 株式会社荏原製作所 | 洗浄装置及び洗浄方法 |
JP2018056385A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | 株式会社荏原製作所 | 基板洗浄装置および基板洗浄方法ならびに基板洗浄装置用のロールスポンジ |
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2021
- 2021-08-19 JP JP2021134075A patent/JP2023028395A/ja active Pending
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2022
- 2022-08-19 WO PCT/JP2022/031289 patent/WO2023022210A1/ja unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
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WO2023022210A1 (ja) | 2023-02-23 |
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